説明

土壌汚染調査用試料採取装置およびこれを使用した土壌汚染調査装置

【課題】
土壌汚染の調査を正確に行うことができる土壌汚染調査用試料採取装置およびこれを使用した土壌汚染調査装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
地面の穴の内部に配設した吸水管を介して水を吸引する。吸水管に繋がる第1接続管44から分岐して導入管86aを設け、導入管86aを水導入容器85に連通させる。第1接続管44に開閉弁91を配設する。水導入容器85に導入した水を導出管86bを介して排出する。導入管86aに導入制御弁87を配設し、導出管86bに導出制御弁88を配設する。両制御弁87,88を閉じたとき、両制御弁87,88の間に位置する導入管86aと水導入容器85と導出管86bとが両制御弁87,88で密閉される。水導入容器85内の水に溶解している調査対象物質を空気供給ポンプ102により空気を供給して気化容器92内で気化させ、その調査対象物質の濃度を濃度計測装置104により計測する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に存在するトリクロロエチレンやテトラクロロエチレン等の揮発性有機化合物(volatile organic compounds 以下「VOCs」という。)からなる汚染物質を調査するための土壌汚染調査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されている従来の土壌汚染調査装置においては、まず、掘削機により表層汚染調査用掘削ビットに回転力と打撃力を作用させて所定の深さまで地盤の掘削を行う。次に、掘削機のドリルヘッドから表層汚染調査用掘削ビットを取外した後に、地下空気採取管の検知管を表層汚染調査用掘削ビットの胴体内部に挿入する。その後、気体採取セットの真空式定量ポンプを作動させて検知管を経由して所定の地下の空気を採取し、汚染ガス等を分析・計測するようにしている。
【特許文献1】特開平2003−82976号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の土壌汚染調査装置は、掘削を行った地盤の地中に貫入した表層汚染調査用掘削ビットから空気を採取するようにしているため、その作業の際、地中に貫入した表層汚染調査用掘削ビットとその外周の地盤との間に生じた隙間から地上の空気が浸入して該空気も採取されてしまい、その結果、土壌汚染調査の精度が悪くなり正確な調査ができないという問題があった。
【0004】
また、地中には、地下水が流れている地盤があり、そのような場所では表層汚染調査用掘削ビットを貫入して空気を採取しようとする地点に水しか存在しない場合があるので、そのような場合は空気を採取することができないため、調査自体ができないという問題もあった。
【0005】
本発明はこのような問題を解消するためになされたもので、土壌汚染の調査を正確に行うことができる土壌汚染調査用試料採取装置およびこれを使用した土壌汚染調査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明に係る土壌汚染調査用試料採取装置は、地面に穿った穴の内部に先端側が配設される吸水通路と、この吸水通路を介して水を吸引する吸水手段と、前記吸水通路の中途部から分岐して水導入室に連通する導入通路と、前記吸水通路を流れる水を前記水導入室に導入させるための水導入手段と、前記水導入室に連通すると共に、前記導入通路を介して前記水導入室に導入した水を前記水導入室の外部へ排出する導出通路と、前記導入通路に配置され、前記導入通路の水の通過を許容または禁止する導入制御弁と、前記導出通路に配置され、前記導出通路の水の通過を許容または禁止する導出制御弁とを備えた土壌汚染調査用試料採取装置であって、前記導入通路の水の通過を前記導入制御弁が禁止し、かつ、前記導出通路の水の通過を前記導出制御弁が禁止したとき、水の流れる経路からみて、前記導入制御弁と導出制御弁の間に位置する前記導入通路と前記水導入室と前記導出通路とが前記導入制御弁と導出制御弁とで密閉されるようにしたものである。
【0007】
請求項2に記載した発明に係る土壌汚染調査用試料採取装置は、請求項1に記載の土壌汚染調査用試料採取装置において、前記導出通路を前記吸水通路に合流させて前記水導入室に導入された水を前記導出通路を介して再び前記吸水通路に戻すようにし、前記水導入手段を、前記吸水通路から導入通路が分岐する部位と前記導出通路が吸水通路に合流する部位との間における前記吸水通路の部位に配置され、該吸水通路の部位を流れる水の通過を許容または制限する開閉弁で構成したものである。なお、この場合の開閉弁とは、閉弁したとき完全に閉じるものだけを指すのではなく、吸水通路の流路面積を絞るようにするものも含まれるものとする。
【0008】
請求項3に記載した発明に係る土壌汚染調査用試料採取装置は、請求項1に記載の土壌汚染調査用試料採取装置において、前記水導入手段を、前記導出通路に接続され、前記導出通路を流れる水を吸引する副吸水手段で構成したものである。
【0009】
請求項4に記載した発明に係る土壌汚染調査用試料採取装置は、請求項1ないし3のうち何れか一つに記載の土壌汚染調査用試料採取装置において、前記吸水通路の先端側を、地面に穿った複数の穴の内部にそれぞれ先端側が配設される分枝吸水通路で構成し、前記導入通路を、前記分枝吸水通路からそれぞれ分岐する分枝導入通路とこれらの分枝導入通路を合流させて前記水導入室に連通する集合導入通路とで構成し、前記分枝導入通路にそれぞれ前記導入制御弁を配置したものである。
【0010】
請求項5に記載した発明に係る土壌汚染調査装置は、請求項1ないし請求項4のうち何れか一つに記載の土壌汚染調査用試料採取装置と、前記水導入室に貯留された水に溶解している調査対象物質を気化させる気化手段と、この気化手段により気化された調査対象物質の濃度を計測する計測手段とを備えているものである。
【0011】
請求項6に記載した発明に係る土壌汚染調査装置は、請求項5に記載の土壌汚染調査装置において、前記気化手段は、気化室と、この気化室に空気を供給する空気供給手段とを備え、前記水導入室に貯留した水を前記気化室に移送して、前記空気供給手段により前記気化室に空気を供給することによって、前記気化室に移送した水に含有する調査対象物質を前記気化室で気化させると共に前記気化室の空気と混合させて混合空気を生成し、この混合空気に含有する調査対象物質の濃度を前記計測手段によって計測するようにしたものである。
【0012】
請求項7に記載した発明に係る土壌汚染調査装置は、請求項6に記載の土壌汚染調査装置において、前記気化室の上部に空気循環通路の一端を連通させると共に前記気化室の下部に前記空気循環通路の他端を連通させ、前記空気循環通路の中途部に前記空気供給手段を配置し、前記気化室の上部に溜まった空気を前記空気循環通路の一端から前記空気供給手段により吸引すると共にこの吸引した空気を再び前記空気循環通路の他端から前記気化室の下部に貯留した水中に供給することによって、前記気化室に移送した水に含有する調査対象物質を前記気化室で気化させると共に前記気化室の空気と混合させて混合空気を生成し、この混合空気に含有する調査対象物質の濃度を前記計測手段によって計測するようにしたものである。
【0013】
請求項8に記載した発明に係る土壌汚染調査装置は、請求項6または請求項7に記載の土壌汚染調査装置において、前記気化室の上部に計測用循環通路の一端と他端とを連通させると共に前記計測用循環通路の中途部に前記計測手段を配置し、前記気化室の上部に溜まった前記混合空気を前記計測用循環通路を介して循環させて前記計測手段を通過させながら前記混合空気に含有する調査対象物質の濃度を前記計測手段によって計測するようにしたものである。
【0014】
請求項9に記載した発明に係る土壌汚染調査装置は、請求項6ないし請求項8のうち何れか一つに記載の土壌汚染調査装置において、前記水導入室の水を前記気化室に移送する送水手段と、前記送水手段,前記導入制御弁,前記導出制御弁および前記空気供給手段のそれぞれの作動を制御すると共に前記計測手段により計測した計測値のデータ信号を出力する制御装置とを備えているものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、一対の制御弁の間に位置する導入通路と水導入室と導出通路とを一対の制御弁で密閉するようにしたので、調査対象物質の溶解した水を空気に晒すことなく密閉された状態で採取することができる。このため、採取した水に含まれる調査対象物質の濃度を計測することで計測精度が向上し、土壌汚染の調査を正確に行うことができる。
また、一対の制御弁の間に位置する導入通路と水導入室と導出通路とを一対の制御弁で密閉するようにしたので、調査対象物質の溶解した水を空気に晒すことなく密閉された状態で採取するための構造を単純にすることができ、安価に提供することができる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、水導入手段を、吸水通路から導入通路が分岐する部位と導出通路が吸水通路に合流する部位との間における吸水通路の部位に配置した開閉弁で構成したので、該開閉弁を単に閉弁することで水導入室に水を導入させることができ、水導入室に水を導入させる構造を単純にすることができる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、水導入手段を、導出通路を流れる水を吸引する副吸水手段で構成したので、水導入室に速やかに水を導入することができる。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、吸水通路の先端側を、地面に穿った複数の穴の内部にそれぞれ先端側が配設される分枝吸水通路で構成する一方、導入通路を、分枝吸水通路からそれぞれ分岐する分枝導入通路とこれらの分枝導入通路を合流させて水導入室に連通する集合導入通路とで構成し、分枝導入通路にそれぞれ導入制御弁を配置したので、それぞれの導入制御弁を一つずつ順々に開弁すると共に残りの導入制御弁を閉弁すれば分枝吸水通路が配設された地点ごとの地中の水を個別に採取することが容易にできる。このため、個別に採取した水に含まれる調査対象物質の濃度を個別に計測することで、分枝吸水通路が配設された地点ごとの土壌汚染の調査を個別に行うことが容易にできる。
【0019】
請求項5記載の発明によれば、土壌汚染調査用試料採取装置で採取した水に溶解している調査対象物質を気化させ、この気化された調査対象物質の濃度を計測するようにしたので、調査対象物質の濃度の計測精度が向上し、土壌汚染の調査を正確に行うことができる。
【0020】
請求項6記載の発明によれば、空気供給手段により気化室に空気を供給することによって、気化室に移送した水に含有する調査対象物質を気化室で気化させると共に気化室の空気と混合させて混合空気を生成し、この混合空気に含有する調査対象物質の濃度を計測手段によって計測するようにしたので、調査対象物質が溶解した水に空気を十分接触させることができ、水に溶解した調査対象物質の気化を確実に行うことができる。このため、調査対象物質の濃度の計測精度が向上し、土壌汚染の調査を正確に行うことができる。
【0021】
請求項7記載の発明によれば、気化室の上部に溜まった空気を空気循環通路の一端から空気供給手段により吸引すると共にこの吸引した空気を再び空気循環通路の他端から気化室の下部に貯留した水中に供給することによって、気化室に移送した水に含有する調査対象物質を気化室で気化させると共に気化室の空気と混合させて混合空気を生成し、この混合空気に含有する調査対象物質の濃度を計測手段によって計測するようにしたので、調査対象物質が溶解した水に、気化室の上部に溜まった空気だけを接触させて水に溶解した調査対象物質の気化を行うことができる。このため、調査対象物質の気化に使用する空気の量を可及的少なくでき、調査対象物質の空気に対する含有比率を低下させずに済むので、調査対象物質の濃度の計測精度が向上し、土壌汚染の調査を正確に行うことができる。
【0022】
請求項8記載の発明によれば、気化室の上部に溜まった混合空気を計測用循環通路を介して循環させて計測手段を通過させながら混合空気に含有する調査対象物質の濃度を計測するようにしたので、調査対象物質の空気に対する含有比率を一定に保持したまま濃度を計測することができる。このため、調査対象物質の濃度を計測している間に濃度が変化することが少なくなるので、計測精度が向上し、土壌汚染の調査を正確に行うことができる。
【0023】
請求項9記載の発明によれば、送水手段,導入制御弁,導出制御弁および空気供給手段のそれぞれの作動制御と計測手段により計測した計測値のデータ信号の出力とを制御装置によって行うようにしたので、調査対象物質の濃度の計測が自動的に行われ、土壌汚染の調査作業の省力化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係る土壌汚染調査装置の第1の実施の形態を図1ないし図10によって詳細に説明する。
図1は本発明に係る土壌汚染調査装置を装備した作業車の構成を示す側面図、図2は本発明に係る土壌汚染調査装置を装備した作業車を上方から見た状態を示す平面図である。図3は試錐管の先端部に掘削部材が固定された状態を示す断面図であり、図4の(a)および(b)は掘削部材を横断した状態を示す拡大断面図であり、同図の(c)は掘削部材を先端側から見た外観の状態を示す拡大図である。図5は本発明に係る土壌汚染調査装置の構成を示すブロック図であり、図6は土壌汚染調査装置本体の構成を示すブロック図であり、図7は試錐管の後端部に固定される閉塞部材の構成を示す図であり、図8は給水管および吸水管に接続される三方継手の構成を示す図である。図9は試錐管に穿設された浄化液排出孔の構成を示す断面図であり、図10は給水管,吸水管および試錐管が載置された枠体を正面から見た外観の状態を示す図であり、図11はその枠体を左側方から見た外観の状態を示す図である。なお、図1,図2,図5および図6については、作図の都合上、それぞれの構成部材の縮尺の比率は互いに異ならせて図示している。
【0025】
図1および図2において、符号1で示すものは、この実施の形態による試錐装置2を装備した作業車を示す。図2は、後述する試錐管24を装着する前の作業車1を示す平面図である。この作業車1には、左右一対の無限軌道帯3,3と、この無限軌道帯3,3(図1は左側のみを示す。)を駆動して作業車1を走行させるエンジン4と、掘削しながら地盤に穴を穿つための試錐機構部5と、給水ポンプ6と、真空ポンプ7と第1貯水容器8aおよび第2貯水容器8b等を備えている。試錐機構部5,給水ポンプ6および後述する制御盤25等によって試錐装置2が構成されている。試錐装置2,真空ポンプ7,第1貯水容器8aおよび第2貯水容器8bは、作業車1に装備された台座11上に設置され固定されている。
【0026】
無限軌道帯3,3は、駆動スプロケット12および従動スプロケット13…に巻き回され、エンジン4は、作業車1の後部における左右一対の無限軌道帯3,3の間に配置されている。作業車1の後部には、操作盤14が配設され、この操作盤14に配設された第1操作子14aを操作してエンジン4の駆動力を駆動スプロケット12に作業車1が前進方向もしくは後進方向に走行するように伝達または遮断して作業車1を走行または停止させる。また、操作盤14に配設された第2操作子14bを操作して左右一対の無限軌道帯3,3のそれぞれの回転速度を異ならせて作業車1の進行方向を変更する。
【0027】
左右一対の無限軌道帯3,3の上方で、かつ、操作盤14の前方には、基体15が設けられ、台座11は、昇降自在に基体15によって支持されている。台座11は基体15にリンク部材16で連結され、台座11と基体15との間には油圧シリンダ17aが架設されている。油圧シリンダ17aは、操作盤14に設けられた第3操作子14cを操作することによってエンジン4の右側面部に配設された油圧ポンプ17bにより伸縮駆動され、油圧シリンダ17aは任意の伸縮位置で固定できるように構成されている。
【0028】
これによって、台座11は基体15に対して鉛直方向の任意の位置で支持される。台座11が基体15に対して鉛直方向下方に変位したとき、それに伴って、台座11に立設された支持部材11aに軸支された円形状の回転体21が基体15に連結されたワイヤ18の張力によって時計回りに回転させられ、回転体21の回転角度が支持部材11aに固定されたエンコーダ22によって計測される。その計測値の信号が、台座11に搭載された制御盤25内のコントローラ23に電線を介して送信され、コントローラ23内に配設されたメモリ23aに計測値データとして記憶される(図5を参照)。コントローラ23は、本発明でいう制御装置を構成し、試錐装置2,真空ポンプ7および後述する土壌汚染調査装置本体9並びに加圧ポンプ52の動作を制御する。
【0029】
また、図1に示すように、台座11は最高位置と最低位置との間をストロークSだけ変位可能に構成され、台座11が最高位置から最低位置まで降下した回数は、図示しないカウンタで計測されメモリ23aに記憶される。この回数とエンコーダ22によって計測された回転角度とに基づいて、地面Eに穴を穿つための円筒状の試錐管24が地中に貫入する深度がコントローラ23内に設けられた演算手段により演算され求められる。なお、台座11が最低位置まで降下したときは、その旨を作業者に報知する表示灯(図示せず)が点灯する。
【0030】
また、コントローラ23内には、タイマ23bが配設されており、試錐機構部5による掘削が開始されてからの時間がタイマ23bによって計測される。そして、タイマ23bによる計測時間と、エンコーダ22により計測された深度データと、後述する濃度計測装置104により計測された計測データとがコントローラ23内の制御回路によって関連付けられてメモリ23aに出力され、該メモリ23aで記憶されるようになっており、これによって、地中における深度ごとのVOCsの濃度が時間の経過とも関連付けられてメモリ23aに記憶される。
【0031】
台座11が鉛直方向下方に変位して回転体21が時計回りに回転するとき、回転体21と支持部材11a側との間に架設されたトーションバネ(図示せず)が撓んで回転体21を反時計回りに回転させようとするトルクが作用するようになっており、このトーションバネは、台座11が鉛直方向上方に変位したとき、回転体21を反時計回りに回転させるように作用する。
【0032】
試錐機構部5は、台座11の前部に固定され、試錐管24を把持した状態で試錐管24をその軸芯L1回りに所定の回転角度(正逆300度の回転角度)で往復回転させるためのクランプ5aと、このクランプ5aに回転力を伝達するための試錐管回転モータ5bとを備える。試錐管24の回転速度は、台座11に搭載された制御盤25に設けられた操作スイッチ25aを操作して無段階に調節することができる。また、掘削の作業中、地中に石等の障害物があった場合はその障害物を粉砕して除去するために、その分、掘削作業の時間が長くなることがあるが、そのような場合は、制御盤25に設けられた操作スイッチ25bを操作してその旨をメモリ23aに記憶させ、障害物除去作業が発生した時間帯と、そのときの深度および濃度の計測データとの関係が後で計測データを整理する際に分かるようにしている。
【0033】
図9に示すように、試錐管24は、外径が27.2ミリメートル、内径が23.4ミリメートルで長さが2メートルを有する複数の筒状の分割管73…と、分割管73…に螺着される筒状の試錐管継手76…とで構成され、分割管73…および試錐管継手76…はステンレス製の部材からなる。試錐管継手76…の両端部の内周面にそれぞれ刻設された雌ネジ部に分割管73…のそれぞれの両端部外周面に刻設された雄ネジ部を螺合して分割管73と試錐管継手76とを次々に連結することによって長尺の1本の試錐管24が構成される。なお、分割管73…および試錐管継手76…のネジ部はテーパネジ構造とされ、互いに強固に螺合することによって緩み難くされている。
【0034】
図3に示すように、試錐管24の先端部を構成する試錐管継手76には、地中を掘削するための略円柱状の掘削部材26が螺着され、試錐管24内には、硬質ナイロン樹脂製の吸水管27が挿入され、吸水管27内には給水ポンプ6によって水が供給されるテフロン(登録商標、正確にはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)である。以下同じ。)樹脂製の給水管28が挿入されている。吸水管27および給水管28は、共に円管状の横断面を有している。また、給水管28外周と吸水管27内周との間の間隙は本発明でいう吸水通路を構成する。
【0035】
掘削部材26は、その先端部の掘削部26aと、この掘削部26aが螺着される筒状の掘削部材本体26bと、試錐管24の先端部を構成する試錐管継手76に螺着される連結部材37とからなり、掘削部材本体26bの内部には、略円柱状の空洞からなる水回収部32が掘削部材26の軸芯L2(掘削部材26が固定された試錐管24の軸芯L1と同軸)に沿って形成され、掘削部26aに水供給孔33が軸芯L2方向に穿設されており、この水供給孔33は、掘削部26aに設けられた第1連通路34を介して給水管28と連通する。
【0036】
第1連通路34の水供給孔33とは反対側の端部に刻設された雌ネジ部に、筒状の給水管用継手部材35の一端部外周面に刻設された雄ネジ部が螺合され、給水管用継手部材35の他端部には、給水管28の先端部28aが嵌着され、クランプ部材(図示せず)で強固に把持される。このため、給水管28が嵌着されたまま給水管用継手部材35の雄ネジ部を緩めることによって、給水管28を掘削部材26に対して給水管28の軸芯方向に離脱させることができる。
【0037】
第1連通路34の中途部から分岐通路34bが分岐され、その分岐通路34bの終端が水回収部32の底部32aに開口して水噴射孔36を形成している。図3の矢視A−A線に沿う拡大断面図として図示した図4の(a)に示すように、水噴射孔36は、掘削部材26の軸芯L2から半径方向に偏倚した部位で軸芯L2回りの円周方向に所定の角度(5度〜15度の範囲で適宜設定)だけ傾斜して穿設されている。
【0038】
連結部材37は、長手方向中間部が大径とされ、それより小径とされた両端部に雄ネジ部がそれぞれ刻設された円管状の部材からなり、該雄ネジ部の一方が、掘削部26aとは反対側の掘削部材本体26bの端部内周面に刻設された雌ネジ部に螺着され、連結部材37内には水回収部32に連通する第2連通路37aが掘削部材26の軸芯L2に沿って形成されている。第2連通路37aの水回収部32とは反対側の端部内周面には雌ネジ部が刻設され、この雌ネジ部に、筒状の吸水管用継手部材38の一端部外周面に刻設された雄ネジ部が螺合され、吸水管用継手部材38の他端部の小径部には、吸水管27の先端部27aが嵌着され、クランプ部材(図示せず)で強固に把持される。このため、吸水管27が嵌着されたまま吸水管用継手部材38の雄ネジ部を緩めることによって、吸水管27を掘削部材26に対して吸水管27の軸芯方向に離脱させることができる。掘削部材本体26b内の水回収部32,連結部材37の第2連通路37aおよび吸水管用継手部材38の内部は本発明でいう吸水通路を構成する。而して、水回収部32の中心部を貫通して給水管28が配設されることになる。なお、試錐管継手76と連結部材37,連結部材37と掘削部材本体26bおよび掘削部材本体26bと掘削部26aのそれぞれのネジ部はテーパネジ構造とされ、互いに強固に螺合することによって緩み難くされている。
【0039】
また、図3および図3の矢視B−B線に沿う拡大断面図として図示した図4の(b)に示すように、掘削部材26の掘削部材本体26bには、掘削部材26の外部と水回収部32とを連通する水回収孔32b…が掘削部材26の軸芯L2に平行に延びる長孔形状に形成され、これらの水回収孔32b…は軸芯L2回りに等角度間隔に4個形成されている。水回収孔32b…を長孔形状に形成したことで、水回収孔32b…の開口面積を十分確保でき、かつ、大きな粒土は水回収孔32b…を通過することができないため細かな土だけが泥水となって回収される。なお、水回収孔32b…の外部側の周囲は泥水が通過しやすいように大きく面取りされている(図3を参照)。而して、吸水通路を構成する水回収部32と連結部材37の第2連通路37aとを流れる水の経路から見て、水回収孔32b…より上流側に水噴射孔36が位置付けられ、給水管28内の給水通路を流れる水の一部が水噴射孔36から水回収部32の水流方向に略沿うよう噴射される。
【0040】
掘削部材26の掘削部26aは掘削部本体41を備え、掘削部本体41には、掘削部材26の軸芯L2に平行に掘削ロッド42…が螺合により植設されている。掘削部材26を先端側から見た外観の拡大した状態を図示した図4の(c)に示すように、掘削ロッド42…は、掘削部材26の軸芯L2の周囲を囲むように3本の掘削ロッド42が掘削部本体41の円柱状突部41aに植設され、前記3本の掘削ロッド42を囲むように6本の掘削ロッド42が円柱状突部41aの周囲に形成された環状段部41bに植設されている。なお、掘削部26aは、合計9本の掘削ロッド42が螺合された状態で熱処理されて硬化された後、掘削ロッド42…の先端が研磨機で研磨されて掘削に適した形状に成形されている。
【0041】
図1に示すように、水泥分離容器43が一対の保持部材43aを介して台座11の支持部材11aに固定されており、図5に示すように、水泥分離容器43の上部に、後述する第3接続管71が接続され、水泥分離容器43の上部と第1貯水容器8aおよび第2貯水容器8bのそれぞれの底部とが、本発明でいう吸水通路の下流部を構成する第1接続管44を介して接続されている。これによって、吸水通路を流れる水の経路から見て、貯水容器8a,8bの上流側に水泥分離容器43が配設される。水泥分離容器43の底部には、水泥分離容器43内の泥を排出するときに取り外すゴム製の栓部材45が着脱自在に嵌入されている。水泥分離容器43は、水と泥とを分離するためのもので略円筒状の透明の容器からなり、水泥分離容器43の容量は、土壌汚染調査の対象となっている1箇所の地点における地中を予定された深度まで掘削したときに地上に排出される泥の体積に相当する容積より少しだけ多い容量とされている。そして、水泥分離容器43の外表面には、深度1メートル分の泥の量に相当する位置ごとに目盛が付けられ、この目盛と泥の貯留量との関係から試錐作業中のおおよその深度を把握することができる。
【0042】
第1接続管44の中途部には、水泥分離容器43と第1貯水容器8aとの間の通路を開閉する第1電磁弁46aと、水泥分離容器43と第2貯水容器8bとの間の通路を開閉する第2電磁弁46bとが配設されている。水泥分離容器43の上部と貯水容器8a,8bとは第1接続管44を介して接続されており、この第1接続管44の中途部には、水泥分離容器43で泥を除去できなかった場合を想定して念のために除泥フィルタ72が配設されている。
【0043】
また、第1貯水容器8aと第1電磁弁46aとの間の第1接続管44における中途部から分岐して設けられた第1排水管47aの中途部には、第1貯水容器8a内に貯留した水を排出する際に開弁する第3電磁弁46cが配設されている。一方、第2貯水容器8bと第2電磁弁46bとの間の第1接続管44における中途部から分岐して設けられた第2排水管47bの中途部には第2貯水容器8b内に貯留した水を排出する際に開弁する第4電磁弁46dが配設されている。
【0044】
第1貯水容器8aと第2貯水容器8bとには、貯留する水の水位が予め設定された最高水位または最低水位の何れかに到達したことを検出して、その検出信号を、コントローラ23に電線(図示せず)を介して送信する第1水位検出センサ48aと第2水位検出センサ48bとがそれぞれ配設されている。貯水容器8a,8b内のそれぞれの上部には、台座11に搭載された加圧ポンプ52が第2接続管51を介して接続され、貯水容器8a,8b内に貯留した水を排水管47a,47bを介して排出する際に貯水容器8a,8b内を加圧ポンプ52によって加圧する。第2接続管51の中途部には、加圧ポンプ52と第1貯水容器8aとの間の通路を開閉する第5電磁弁46eと、加圧ポンプ52と第2貯水容器8bとの間の通路を開閉する第6電磁弁46fとが配設されている。
【0045】
また、第2接続管51の中途部には、貯水容器8a,8b内から吸い出された気体が排出される排気管53の一端が接続され、排気管53の中途部には真空ポンプ7が接続され、貯水容器8a,8b内の圧力が真空ポンプ7によって減圧される。また、第2接続管51の中途部には、真空ポンプ7と第1貯水容器8aとの間の通路を開閉する第7電磁弁46gと、真空ポンプ7と第2貯水容器8bとの間の通路を開閉する第8電磁弁46hとが配設されている。真空ポンプ7,第1貯水容器8a,第2貯水容器8b,第1電磁弁46a,第2電磁弁46b,第3電磁弁46c,第4電磁弁46d,第5電磁弁46e,第6電磁弁46f,第7電磁弁46g,第8電磁弁46hおよび加圧ポンプ52によって吸水手段50が構成されている。
上述した第1電磁弁46aないし第8電磁弁46hは、それぞれコントローラ23に電線(図示せず)を介して接続され、コントローラ23によって開閉制御される。また、前記給水ポンプ6,真空ポンプ7および加圧ポンプ52もそれぞれコントローラ23に電線(図示せず)を介して接続され、コントローラ23によって作動またはその作動の停止が制御される。
【0046】
図5に示すように、第1接続管44における除泥フィルタ72と第1電磁弁46aおよび第2電磁弁46bとの間には、土壌汚染調査装置本体9が配設されている。この土壌汚染調査装置本体9は、後述する洗浄用水槽115を除き、台座11に配設されている。図6に示すように、土壌汚染調査装置本体9は、第1接続管44から分岐して円筒状の水導入容器85の一端部に接続された導入管86aと、水導入容器85の他端部に接続され、水導入容器85に導入された水を再び第1接続管44に合流するように配管された導出管86bと、導入管86aの中途部に配設された導入制御弁87と、導出管86bの中途部に配設された導出制御弁88と、第1接続管44における導入管86aとの分岐部と導出管86bとの合流部との間に配設された電磁弁からなる開閉弁91とを備えている。導入管86aの内部は本発明の導入通路を構成し、導出管86bの内部は本発明の導出通路を構成し、水導入容器85の内部は本発明でいう水導入室を構成する。
【0047】
水導入容器85の一端部には第4接続管93の一端が接続され、第4接続管93の他端は円筒状の気化容器92内の上部に連通している。水導入容器85に貯留された水は第4接続管93を介して気化容器92内に導入される。第4接続管93の中途部には、水導入容器85内の水を強制的に気化容器92に送水するための送水ポンプ96が配設され、第4接続管93における水導入容器85と送水ポンプ96との間には第9電磁弁93aが配設されている。水導入容器85の他端部には空気を導入するための第1空気導入管94が接続され、その中途部には第10電磁弁94aが配設されている。第9電磁弁93a,第10電磁弁94aおよび送水ポンプ96は本発明でいう送水手段を構成する。なお、送水ポンプ96を設けずに、第9電磁弁93aおよび第10電磁弁94aを共に開弁するだけで水導入容器85内の水を自由落下により気化容器92に供給することもできる。その場合は、送水ポンプ96による強制的な送水に比べて送水に要する時間が長くなる。
【0048】
気化容器92内は、本発明でいう気化室を構成し、第4接続管93の下流端は、気化容器92内の上部中央に連通されて、第4接続管93から流出する水が落下するように位置付けられている。気化容器92内に落下した水は、気化容器92内の下部に貯留される。気化容器92内の上部と下部には空気循環管101の両端部がそれぞれ連通され、空気循環管101の中途部に配設された空気供給ポンプ102により、気化容器92内の上部の空気が空気循環管101の一端部から排出させられて再び気化容器92内の下部の他端部から流入させられ循環するようになっている。空気循環管101の内部は本発明でいう空気循環通路を構成し、空気供給ポンプ102は本発明でいう空気供給手段を構成する。
【0049】
気化容器92内の上部には計測用循環往路管103の一端部が連通され、計測用循環往路管103の他端部は、本発明でいう計測手段を構成する濃度計測装置104に接続されている。濃度計測装置104は電線(図示せず)を介してコントローラ23に接続されている。計測用循環往路管103の中途部には第1三方電磁弁103aが配設され、この第1三方電磁弁103aには換気用管108が配管され、この換気用管108の中途部には除湿フィルタ112が配設されている。また、濃度計測装置104には計測用循環復路管109の一端が接続され、計測用循環復路管109の他端は気化容器92内の上部に連通している。計測用循環往路管103および計測用循環復路管109のそれぞれの内部は本発明でいう計測用循環通路を構成する。また、計測用循環復路管109の中途部には第2三方電磁弁109aが配設され、この第2三方電磁弁109aには排気管116が接続され、換気用管108を介して導入され濃度計測装置104内が洗浄された後の空気が排気管116から排出される。また、気化容器92の上部には、気化容器92内の上部に空気を導入するための第2空気導入管110が配管され、その第2空気導入管110の中途部には第11電磁弁110aが配設されている。
【0050】
一方、気化容器92の底部には、気化容器92内の水を排出するための第3排水管98が配管され、その中途部には排水用ポンプ106が配設され、第3排水管98における気化容器92と排水用ポンプ106との間には第12電磁弁98aが配設されている。なお、排水用ポンプ106を設けずに、第11電磁弁110aおよび第12電磁弁98aを共に開弁するだけで気化容器92内の水を自由落下により排出することもできる。その場合は、排水用ポンプ106による強制的な排水に比べて排水に要する時間が長くなる。
【0051】
上述した導入制御弁87,導出制御弁88,開閉弁91,第9電磁弁93a,第10電磁弁94a,第11電磁弁110a,第12電磁弁98a,第1三方電磁弁103aおよび第2三方電磁弁109aは、電磁弁からなり、電線(図示せず)を介してそれぞれコントローラ23に接続され、コントローラ23によって開閉制御される。なお、導入制御弁87および開閉弁91に代えて、第1接続管44における導入管86aとの分岐部に一つの三方電磁弁を配設して、第1接続管44と導入管86aとを流れる水の流れをコントローラ23により制御するようにしてもよい。この場合は、前記一つの三方電磁弁が導入制御弁87と開閉弁91との双方の機能を備えることになる。
【0052】
第4接続管93における送水ポンプ96と気化容器92との間の中途部には、気化容器92内を洗浄するために、洗浄用水槽115に貯留された水を気化容器92に供給する洗浄用水管117が接続され、この洗浄用水管117の中途部には洗浄用水供給ポンプ122が配設され、このポンプ122によって洗浄用水槽115の水が洗浄用水管117を介して強制的に水導入容器85に供給される。送水ポンプ96,空気供給ポンプ102,排水用ポンプ106および洗浄用水供給ポンプ122の各ポンプは電線(図示せず)を介してコントローラ23に接続され、それぞれコントローラ23によって作動またはその作動の停止が制御される。洗浄用水槽115は作業車1の近傍の地面Eに設置される。
【0053】
試錐管24の後端部を構成する試錐管継手76には、図7に示すように、アルミニウム合金製の閉塞部材55が装着される。すなわち、吸水管27および給水管28が突出した試錐管継手76の開口と吸水管27との間が閉塞部材55によって閉塞され、この閉塞部材55は、試錐管24の後端部を構成する試錐管継手76に装着したとき、試錐管24の軸芯L1を通る仮想平面を接合面とする一対の半体55a,55bからなり、これらの半体55a,55bにそれぞれ一体に形成されたヒンジ部56のヒンジ孔にピン57が挿入され、このピン57の軸芯L3回りに互いに半体55a,55b同士を接近する方向または離間する方向に回動させて半体55a,55bが接合または離脱される。
【0054】
半体55a,55bのヒンジ部56とは反対側に凹状の凹部58a,58bがそれぞれ形成され、半体55bの凹部58b内に棒状の係止部材61の一端部が回転自在に軸支されている。半体55a,55b同士を接合した状態で、半体55aの凹部58a内に係止部材61を挿入して係止部材61の他端部に螺合されたネジ部材61aを半体55aの端面に圧接するようにねじ込むことによって半体55a,55b同士が強固に接合される。
吸水管27の外周と閉塞部材55との間および半体55a,55bの接合面84a,84b同士の間は半体55a,55bのそれぞれに装着されたシール部材たるリングシール62a,62b同士等の圧接によって液密にシールされる。
【0055】
ところで、掘削作業時に試錐管24がその軸芯L1回りに正逆300度の回転角度で往復回転したときは、試錐管24と共にその軸芯L1回りに閉塞部材55も回転するが、吸水管27とリングシール62a,62bとは摺動自在とされているので閉塞部材55と吸水管27とは相対的に回転することができ、試錐管24および閉塞部材55の回転に連れ回されて吸水管27も回転することはない。
【0056】
半体55a,55b同士が接合された状態の閉塞部材55における内部と外部とは、一方の半体55aに形成された連通路63によって連通される。また、試錐管24の後端部を構成する試錐管継手76の内周と吸水管27の外周との間に設けられた間隙が試錐液供給通路64とされ、この試錐液供給通路64と半体55aの連通路63とが連通される。そして、試錐液供給ポンプ65により試錐液容器66内に貯留された試錐液が、連通路63に接続された配管81を介して供給される(図1を参照)。このとき、試錐管24の後端部を構成する試錐管継手76の端面は半体55a,55bに形成された段部83a,83bに当接しているため、試錐液供給ポンプ65により供給された試錐液で閉塞部材55内の圧力が上昇しても、その圧力により該試錐管継手76が閉塞部材55から抜け出ることはない。
なお、試錐液供給ポンプ65および試錐液容器66は地面Eに設置される。
【0057】
試錐液供給通路64に供給された試錐液は、試錐管24の先端部を構成する試錐管継手76に軸芯L1回りに等角度間隔に4個穿設された試錐液排出孔67…を介して試錐管24の外部に排出される(図3を参照)。試錐液は、ベントナイトを主成分として水に懸濁させた懸濁液からなり、地中に貫入した試錐管24とその外周の土との摩擦抵抗を低減する機能,掘削部材26の掘削部26aで掘削した泥を吸水通路を介して搬送する機能,試錐管24が地中から引き抜かれたとき、地面Eに穿った穴の内周面に擁壁を形成する機能等を有する。
【0058】
図8に示すように、試錐管24の後端部を構成する試錐管継手76から突出した吸水管27の後端部27bには、略T字状をした三方継手68が接続される。三方継手68は、筒状の主継手部68aと、この主継手部68aの長手方向中途部から分岐した分岐部68bとからなり、主継手部68aの一端部に吸水管27の後端部27bが接続され、吸水管27内から突出した給水管28は主継手部68aの中空部を貫通し主継手部68aの他端部の開口から突出して、その突出端部は、図1に示すように給水ポンプ6に接続されており、作業車1の近傍の地面Eに設置された貯水槽69に貯留された水が給水管28を介して給水ポンプ6により供給される。
【0059】
主継手部68aの他端部の開口と給水管28との間の間隙はゴム製の栓部材70で液密に閉塞される。この結果、吸水管27と給水管28との後端部側同士が、これら両管27,28の軸芯方向に互いに相対変位不能に三方継手68および栓部材70によって連結される。三方継手68の分岐部68bの端部は、第3接続管71を介して水泥分離容器43の上部に接続される(図1を参照)。而して、吸水管27の内周と給水管28の外周との間の吸水通路は、三方継手68を介して第3接続管71と連通し、図8に示す矢印のように、水がそれぞれ流れる。
【0060】
分割管73…の中途部には、図9に示すように、分割管73…の内部と外部とを連通する浄化液排出孔73b…が分割管73…の長手方向に沿って等間隔で複数箇所穿設され、かつ、その複数箇所ごとに分割管73…の軸芯回りに等角度間隔に4個ずつ穿設されている。図9中に、一部を拡大して示すように、浄化液排出孔73b…には、ステンレス製の細い短線を不織布状に形成した円盤状のフィルタ74が装着され、さらに、フィルタ74が脱落しないように分割管73…の外部のフィルタ74の上から抜け止め部材75が装着されている。フィルタ74の目の粗さは、試錐液中のベントナイトは透過できないが後述する浄化液は透過できる大きさとされている。
【0061】
なお、試錐作業を行う場合は、長尺の1本の試錐管24のままでは取り扱いが不便であるので、試錐作業の前は、試錐管24を複数の分割管73…に分解した状態で取り扱う。図10および図11に示すように、分割管73…のそれぞれの一端部には試錐管継手76を予め螺着しておき、その試錐管継手76が螺着された分割管73…を、給水管28が挿入された吸水管27の外周に一定の間隔を隔てて環装する。分割管73…の本数は、地中に貫入する試錐管24の長さに相当する分より少し多い数量とし、吸水管27および給水管28は試錐管24の長さよりさらに10メートル以上長い管長とする。試錐管継手76が螺着された分割管73…が環装されたまま吸水管27を給水管28と共にとぐろ状に巻いた状態で枠体77に載置しておく。この枠体77の下部にはキャスタ77aが設けられているので、吸水管27,給水管28および複数の分割管73…を載置した状態で所望の場所に枠体77を容易に移動させることができる。
【0062】
(土壌汚染調査の作業工程)
上述した土壌汚染調査装置本体9を使用して土壌汚染の調査を行う場合は、以下の作業工程で行われる。
【0063】
(試錐作業の工程)
(1)まず、複数の分割管73…が環装され、とぐろ状に巻かれた吸水管27および給水管28が載置された枠体77,土壌汚染調査装置本体9が装備された作業車1,試錐液供給ポンプ65その他の機具を土壌汚染の調査を行う現場まで運搬する。
【0064】
(2)次に、試錐する地点に作業車1を設置した後、吸水管27および給水管28が連結された掘削部材26が螺着された分割管73を枠体77から取り出して試錐機構部5のクランプ5aの孔内に貫入して掘削部材26の掘削部26aを地面Eに接地させる。
なお、吸水管27および給水管28がそれぞれ嵌着された吸水管用継手部材38および給水管用継手部材35は掘削部材26の連結部材37および掘削部26aにそれぞれ螺合されているが、これらの螺合はネジ長さの中途部までしか螺合せずに螺合に余裕を持たせ、掘削の際に試錐管24が軸芯L1回りに正逆300度の回転角度で往復回転しても、それに伴って吸水管27および給水管28も回転しないようにしている。
【0065】
(3)次に、エンジン4を運転した状態で、操作盤14の第3操作子14cを操作して、油圧ポンプ17bを作動させて油圧シリンダ17aを伸張させて台座11を最高位置まで上昇させ、その最高位置で、試錐機構部5のクランプ5aにより試錐管24を強固に把持させる。
【0066】
(4)次に、制御盤25の操作スイッチ25aを操作して試錐管回転モータ5bを駆動させて正逆300度の回転角度で試錐管24を往復回転させる。このとき、油圧ポンプ17bの作動を停止して油圧シリンダ17aの油圧を減少させ、土壌汚染調査装置本体9が設置された台座11自体の荷重によって下方に向かう推力が試錐管24に付与され、この推力と試錐管24の回転とによって掘削部材26により掘削が行われる。このため、試錐管24を地中に貫入させるための特別な荷重付与手段が不要となる。
【0067】
(5)一方、貯水槽69に貯留された水が給水ポンプ6によって給水管28を介して供給され、その水が掘削部材26の掘削部26aに穿設された水供給孔33から噴射される。この水の噴射と掘削部26aの回転による攪拌とによって、掘削された土が泥水となって掘削部材26の水回収孔32b…から水回収部32に回収された後、その泥水が、真空ポンプ7による減圧作用によって吸水管27と給水管28との間の吸水通路を介して水泥分離容器43内に導入される。
【0068】
(6)この水泥分離容器43内で泥が分離された後の水が真空ポンプ7による減圧作用によって、第1接続管44の中途部に配設された除泥フィルタ72を通過して第1貯水容器8aに導入され、この導入された水で第1貯水容器8a内の水位が予め設定された水位に到達したとき、第1水位検出センサ48aからの信号をコントローラ23が受信して、コントローラ23によって第1電磁弁46aが閉弁されると共に第2電磁弁46bが開弁される。このとき、第3電磁弁46cおよび第4電磁弁46dは閉弁されている。
これによって、水泥分離容器43からの水が真空ポンプ7による減圧作用によって、第1接続管44および第2電磁弁46bを通過して第2貯水容器8b内に導入される。水が第2貯水容器8b内に導入されている間、コントローラ23によって第3電磁弁46cが開弁され、第1貯水容器8a内に貯留された水が第1排水管47aを介して排水される。このとき、コントローラ23によって第5電磁弁46eが開弁されると共に加圧ポンプ52が駆動され、これによって、第2接続管51を介して第1貯水容器8a内の圧力が増加させられ第1貯水容器8a内の水が強制的に排出される。
【0069】
(7)第1貯水容器8a内の水が排出され、第1貯水容器8a内の水位が予め設定された最低水位になったとき、第1水位検出センサ48aからの信号をコントローラ23が受信し、コントローラ23によって加圧ポンプ52の駆動が停止されると共に第3電磁弁46cおよび第5電磁弁46eが共に閉弁される。
【0070】
(8)第2貯水容器8b内の水位が予め設定された最高水位に到達したとき、第2水位検出センサ48bからの信号をコントローラ23が受信して、コントローラ23によって第1電磁弁46aが開弁されると共に第2電磁弁46bが閉弁される。これによって、水泥分離容器43からの水が真空ポンプ7による減圧作用によって、第1接続管44および第1電磁弁46aを通過して第1貯水容器8a内に再び導入される。水が第1貯水容器8a内に導入されている間、コントローラ23によって第4電磁弁46dが開弁され、第2貯水容器8b内に貯留された水が第2排水管47bを介して排水される。
このとき、コントローラ23によって第6電磁弁46fが開弁されると共に加圧ポンプ52が駆動され、これによって、第2接続管51を介して第2貯水容器8b内の圧力が増加させられ第2貯水容器8b内の水が強制的に排出される。第2貯水容器8b内の水が排出されると、コントローラ23によって加圧ポンプ52の駆動が停止されると共に第4電磁弁46dおよび第6電磁弁46fが共に閉弁される。なお、第1貯水容器8aまたは第2貯水容器8b内から交互に真空ポンプ7によって吸い出された気体は排気管53に排出される。
【0071】
(9)以下、同様の工程が繰り返され、給水管28を介して連続して水が地面Eの穴内に供給されると共にその供給された水が連続して第1貯水容器8aまたは第2貯水容器8bに交互に回収される。
【0072】
(10)試錐管24と吸水管27との間の試錐液供給通路64に試錐液供給ポンプ65により試錐液が供給される。この試錐液は、試錐管24の試錐液排出孔67…から試錐管24の外部に排出される。この排出された試錐液の一部は、掘削部材26の水回収孔32b…から回収された泥水と一緒になって、真空ポンプ7による減圧作用によって吸水管27と給水管28との間の吸水通路を流れる。このとき、泥水の中の泥は試錐液によって搬送されながら水泥分離容器43内に導入される。
【0073】
(11)台座11が最低位置まで降下したら、制御盤25の操作スイッチ25aを操作して試錐管回転モータ5bを停止して試錐管24の回転を停止させる。次に、試錐機構部5のクランプ5aを緩めて試錐管24の把持を解除し、操作盤14の第3操作子14cを操作して油圧ポンプ17bを作動させて油圧シリンダ17aを伸張させ台座11を最高位置まで上昇させて、その最高位置でクランプ5aにより試錐管24を再び強固に把持させる。
【0074】
(12)次に、制御盤25の操作スイッチ25aを操作して試錐管回転モータ5bを駆動させて再び試錐管24を回転させ、操作盤14の第3操作子14cを操作して油圧ポンプ17bの作動を停止して油圧シリンダ17aの油圧を減少させる。これによって、台座11自体の荷重によって掘削部材26により掘削が行われる。
【0075】
(13)掘削部材26による掘削によって地中の深度が深くなり、試錐管24の長さが不足する場合は、制御盤25の操作スイッチ25aを操作して試錐管回転モータ5bを停止し、試錐管24の回転を停止させると共に試錐液供給ポンプ65も停止させる。
【0076】
(14)試錐管24の後端部を構成する試錐管継手76に固定した閉塞部材55の半体55a,55bを、係止部材61による係止を解除して試錐管継手76から離脱させた後、枠体77から次の分割管73(試錐管継手76が一端部に螺着されたもの)を吸水管27に沿って移動させ、閉塞部材55を離脱させた試錐管24の後端部(試錐管継手76)に、前記次の分割管73を螺合させ、分割管73を継ぎ足す。継ぎ足した分割管73の他端部(試錐管継手76)に閉塞部材55の半体55a,55bを装着して接合し、係止部材61により係止する。
【0077】
(15)次に、制御盤25の操作スイッチ25aを操作して試錐管回転モータ5bを駆動して試錐管24を再び回転させると共に試錐液供給ポンプ65も駆動させ試錐液の供給を再び行う。
【0078】
(16)以下、同様の工程が繰り返され、掘削部材26によって、予定された地中の深度まで掘削される。
【0079】
(土壌汚染調査の工程)
土壌汚染の調査は以下の作業工程で行われる。なお、下記の作業工程における電磁弁やポンプ等の動作の制御は全てコントローラ23によって行われる。
(1)除泥フィルタ72を通過した後の第1接続管44を流れる水は、導入管86aを介して水導入容器85に定期的に導入される。すなわち、開弁されていた開閉弁91が閉弁されると同時に、閉弁されていた導入制御弁87および導出制御弁88が共に開弁されることによって、除泥フィルタ72を通過した後の第1接続管44を流れる水が導入管86aに全て導入され、水導入容器85内に水が貯留される。この状態は一定時間行われる。このとき、第9電磁弁93aおよび第9電磁弁94aは共に閉弁されており、送水ポンプ96も停止させられている。
【0080】
(2)前記一定時間が経過し、水導入容器85内に水が充填されて導出管86bを通過して再び第1接続管44に水が合流して流れている状態で、開閉弁91が開弁されると同時に導入制御弁87および導出制御弁88が共に閉弁される。これによって、第1接続管44を流れる水は導入管86aおよび導出管86bを介して迂回することなく直接、第1貯水容器8aまたは第2貯水容器8bの方に流れる。一方、導入制御弁87と導出制御弁88との間の導入管86a,水導入容器85および導出管86b内は、水が充填された状態で導入制御弁87と導出制御弁88とによって密閉される。
【0081】
(3)第9電磁弁93aおよび第10電磁弁94aが共に開弁されると同時に送水ポンプ96が駆動され、導入制御弁87と導出制御弁88とによって密閉された水の全てが第4接続管93を介して気化容器92内の上部に移送されて水が落下する。このとき、空気供給ポンプ102が駆動され、空気循環管101の一端から気化容器92内の上部に溜まった空気が吸引されて気化容器92内の下部に貯留した水中に供給され、この動作が繰返されて、空気循環管101を介して気化容器92内の空気が循環する。このとき、第12電磁弁98aは閉弁している。
この結果、気化容器92内の下部に貯留した水と空気供給ポンプ102によって循環された空気とが接触して、水に溶解しているVOCsが気化され空気と混合される。
【0082】
(4)気化容器92内でVOCsが気化され空気と混合されて生成された混合空気は、濃度計測装置104に内蔵されたポンプ(図示せず)の作動により、計測用循環往路管103を介して濃度計測装置104内に導入されたのち、計測用循環復路管109を介して気化容器92内に帰還し、計測用循環往路管103および計測用循環復路管109を介して気化容器92内の混合空気が循環する。このとき、第1三方電磁弁103aは、気化容器92と濃度計測装置104とが計測用循環往路管103を介して連通するように制御され、第2三方電磁弁109aは、濃度計測装置104と気化容器92とが計測用循環復路管109を介して連通するように制御されている。
【0083】
計測用循環往路管103および計測用循環復路管109を介して気化容器92内の混合空気が循環している間に、その混合空気に含まれるVOCsの濃度が濃度計測装置104によって計測される。その計測の後、その計測値の信号とエンコーダ22によって計測された深度データの信号とがコントローラ23に送信されて、計測値データとしてコントローラ23内のメモリ23aに記憶される。
このとき、濃度計測装置104による計測値データとエンコーダ22による深度データとコントローラ23内のタイマ23bによって計測された時間とが関連付けられてメモリ23aに記憶されるようになっており、これによって、地中における深度ごとのVOCsの濃度がその計測された時の時間と共にメモリ23aに記憶される。
また、濃度計測装置104およびエンコーダ22による計測値のデータがコントローラ23内のメモリ23aに記憶されるので、その記憶された計測値のデータをコントローラ23に電線(図示せず)を介して接続された外部機器で適宜変換して外部機器のモニタに表示させることもできる。
【0084】
(5)濃度計測装置104によるVOCsの濃度の計測が終了した後、第9電磁弁93aが閉弁されると共に、送水ポンプ96および空気供給ポンプ102の駆動が停止される。次いで、第12電磁弁98aおよび第11電磁弁110aが開弁されると共に洗浄用水供給ポンプ122および排水用ポンプ106が駆動される。これによって、洗浄用水供給ポンプ122によって洗浄用水槽115の水が洗浄用水管117を介して強制的に気化容器92に供給され気化容器92内が洗浄される。洗浄した後の水は、排水用ポンプ106によって第3排水管98から強制的に排出される。この工程で、気化容器92内の洗浄に要する時間が経過すると、排水用ポンプ106および洗浄用水供給ポンプ122の駆動が停止されると共に第11電磁弁110aおよび第12電磁弁98aが閉弁される。
(6)また、第1三方電磁弁103aが制御され、換気用管108が濃度計測装置104に連通するように切り替えられる一方、第2三方電磁弁109aが制御され、排気管116が濃度計測装置104に連通するように切り替えられる。この結果、濃度計測装置104に内蔵されたポンプ(図示せず)の作動により換気用管108を介して除湿フィルタ112により乾燥した空気が濃度計測装置104内に導入されて、その空気によって濃度計測装置104内が洗浄される。洗浄後の空気は排気管116を介して外部に排出される。これによって、濃度計測装置104によるVOCsの次の濃度計測を精度良く行うことができる。この工程で、濃度計測装置104内の洗浄に要する時間が経過すると、第1三方電磁弁103aが制御され、計測用循環往路管103が濃度計測装置104に連通するように切り替えられる一方、第2三方電磁弁109aが制御され、計測用循環復路管109が濃度計測装置104に連通するように切り替えられる。
(7)以下、同様の工程が一定の周期で繰返される。
【0085】
(他の地点の土壌汚染調査の作業工程)
予定された地点の土壌汚染調査が終了した後、同じ調査区域における他の地点の土壌汚染調査を行う場合は、以下の作業工程で行われる。
【0086】
(1)制御盤25の操作スイッチ25aを操作して試錐管回転モータ5bを停止して試錐管24の回転を停止させると共に試錐液供給ポンプ65も停止させる。
【0087】
(2)試錐管24の後端部(試錐管継手76)に固定した閉塞部材55を離脱させた後、クランプ5aによって試錐管24を把持した状態で操作盤14の第3操作子14cを操作して油圧ポンプ17bを作動させ、台座11を上昇させて地中から試錐管24を引き抜く。このとき、試錐管24外周に接する地中には、試錐液による擁壁が形成されているので、試錐管24を引き抜く際に試錐管24外周と地中との間に作用する摩擦力は低減される。
【0088】
(3)次に、地上に引き出された試錐管24の分割管73を回転して、その分割管73と地中に貫入している試錐管24の後端部(試錐管継手76)との螺合を緩め、地上に引き出された分割管73を取り外した後、試錐機構部5のクランプ5aを緩めて試錐管24の把持を解除し、操作盤14の第3操作子14cを操作して油圧ポンプ17bの作動を停止させて油圧シリンダ17aを収縮させ台座11を最低位置まで下降させて、地中に貫入した試錐管24をクランプ5aにより再び強固に把持させる。
【0089】
(4)取り外された分割管73は一端部に試錐管継手76が螺着されたまま、給水管28が挿入された吸水管27の外周に環装された状態で枠体77に載置する。
【0090】
(5)次に、クランプ5aによって試錐管24を把持した状態で操作盤14の第3操作子14cを操作して油圧ポンプ17bを作動させ、再び台座11を上昇させて、まだ地中に貫入している試錐管24を引き抜く。
【0091】
(6)以下、同様の工程が繰り返され、地中に貫入した全ての試錐管24を引き抜く。
なお、上述した試錐管24の引き抜き作業の際、給水管28および吸水管27は、掘削部材26に連結したままであったが、試錐管24の引き抜き作業を行う前に、試錐管24の後端から外部に突出している給水管28および吸水管27の部位を回転させて給水管28の先端部28aおよび吸水管27の先端部27aがそれぞれ嵌着されている給水管用継手部材35および吸水管用継手部材38を掘削部材26から離脱させて試錐管24内から給水管28および吸水管27を予め引き出しておいてもよい。
【0092】
(7)地中に貫入した全ての試錐管24が引き抜かれた後、作業車1の操作盤14の第1操作子14aおよび第2操作子14bを操作して作業車1を他の地点に移動させると共に枠体77等もその地点に移動させ、その地点の土壌汚染の調査を、上述した(1)ないし(6)の工程と同様の工程で行う。
【0093】
上述したように構成された土壌汚染調査用試料採取装置によれば、一対の制御弁87,88の間に位置する導入管86aと水導入容器85と導出管86bとを一対の制御弁87,88で密閉するようにしたので、VOCsの溶解した水を空気に晒すことなく密閉された状態で採取することができる。このため、採取した水に含まれるVOCsの濃度を計測することで計測精度が向上し、土壌汚染の調査を正確に行うことができる。
また、一対の制御弁87,88の間に位置する導入管86aと水導入容器85と導出管86bとを一対の制御弁87,88で密閉するようにしたので、VOCsの溶解した水を空気に晒すことなく密閉された状態で採取するための構造を単純にすることができ、安価に提供することができる。
【0094】
また、この実施の形態による土壌汚染調査用試料採取装置によれば、開閉弁91を閉弁することにより水導入容器85に水を導入させるようにしたので、水導入容器85に水を導入させる構造を単純にすることができる。
【0095】
また、この実施の形態による土壌汚染調査装置によれば、水導入容器85で採取した水に溶解しているVOCsを気化容器92内で気化させ、この気化されたVOCsの濃度を濃度計測装置104で計測するようにしたので、VOCsの濃度の計測精度が向上し、土壌汚染の調査を正確に行うことができる。
【0096】
また、この実施の形態による土壌汚染調査装置によれば、空気供給ポンプ102により気化容器92に空気を供給することによって、気化容器92に移送した水に含有するVOCsを気化容器92内で気化させると共に気化容器92の空気と混合させて混合空気を生成し、この混合空気に含有するVOCsの濃度を濃度計測装置104によって計測するようにしたので、VOCsが溶解した水に空気を十分接触させることができ、水に溶解したVOCsの気化を確実に行うことができる。このため、VOCsの濃度の計測精度が向上し、土壌汚染の調査を正確に行うことができる。
【0097】
また、この実施の形態による土壌汚染調査装置によれば、気化容器92内の上部に溜まった空気を空気循環管101の一端から空気供給ポンプ102により吸引すると共にこの吸引した空気を再び空気循環管101の他端から気化容器92内の下部に貯留した水中に供給することによって、気化容器92に移送した水に含有するVOCsを気化容器92内で気化させると共に気化容器92内の空気と混合させて混合空気を生成し、この混合空気に含有するVOCsの濃度を濃度計測装置104によって計測するようにしたので、VOCsが溶解した水に、気化容器92内の上部に溜まった空気だけを接触させて水に溶解したVOCsの気化を行うことができる。このため、VOCsの気化に使用する空気の量を可及的少なくでき、VOCsの空気に対する含有比率を低下させずに済むので、VOCsの濃度の計測精度が向上し、土壌汚染の調査を正確に行うことができる。
【0098】
また、この実施の形態による土壌汚染調査装置によれば、気化容器92内の上部に溜まった混合空気を計測用循環往路管103および計測用循環復路管109を介して循環させて濃度計測装置104を通過させながら混合空気に含有するVOCsの濃度を計測するようにしたので、VOCsの空気に対する含有比率を一定に保持したまま濃度を計測することができる。このため、VOCsの濃度を計測している間に濃度が変化することが少なくなるので、計測精度が向上し、土壌汚染の調査を正確に行うことができる。
【0099】
また、この実施の形態による土壌汚染調査装置によれば、第9電磁弁93a,第10電磁弁94a,送水ポンプ96,導入制御弁87,導出制御弁88および空気供給ポンプ102のそれぞれの作動制御と濃度計測装置104により計測した計測値のデータ信号の出力とをコントローラ23によって行うようにしたので、VOCsの濃度の計測が自動的に行われ、土壌汚染の調査作業の省力化を図ることができる。
【0100】
上述した実施の形態においては、貯水容器として第1貯水容器8aと第2貯水容器8bとの2個の容器を配設する例を示したが、本発明は、このような構成に囚われることなく、3個以上の容器を配設し、その一部の容器から順番に水を貯留するように切り替えてもよい。例えば貯水容器を6個設ける場合では、2個ずつ順番に水を貯留するように切り替えてもよい。
【0101】
また、この実施の形態においては、貯水容器8a,8b内を加圧して貯留した水を強制的に排出するように加圧ポンプ52を配設したが、本発明は、このような構成に囚われることなく、該加圧ポンプ52を省略することもできる。その場合は、貯水容器8a,8bからの排水に要する時間が長くなり、回収された水を再び貯留するときまでに排水が完了しない虞があるが、その分、貯水容器の個数を多くするようにすればよい。
【0102】
また、この実施の形態においては、真空ポンプ7による減圧により水を吸引して第1貯水容器8aおよび第2貯水容器8bに水を貯留する例を示したが、本発明は、このような構成に囚われることなく、貯水容器8a,8bおよび真空ポンプ7等に代えて、うず巻ポンプ等の汎用性のあるポンプを使用してもよい。この場合は、該ポンプが吸水手段を構成する。
【0103】
また、この実施の形態においては、給水管28内を給水通路とし、給水管28外周と吸水管27内周との間の間隙を吸水通路とし、試錐管24の内周と吸水管27の外周との間の間隙を試錐液供給通路64としたが、このような構成に囚われることなく、3つの通路を適宜選択してそれぞれの通路を決定してもよい。
【0104】
また、この実施の形態においては、掘削部材26の掘削部材本体26bに水回収孔32b…を形成したが、このような構成に囚われることなく、掘削部材26近傍の試錐管24(試錐管24の先端部を構成する試錐管継手76を含む。)に複数の水回収孔を穿設する一方、掘削部材本体26bの水回収孔32b…を廃止するか、または廃止しないで穿設したままにしておいてもよい。
【0105】
また、この実施の形態においては、試錐管24の先端部を構成する試錐管継手76に試錐液排出孔67を穿設したが、このような構成に囚われることなく、試錐液供給通路64を掘削部材26内まで延設すると共にこれに連通する試錐液排出孔を掘削部材26の適当な位置に穿設する一方、試錐管24の先端部を構成する試錐管継手76の試錐液排出孔67を廃止するか、または廃止しないで穿設したままにしておいてもよい。
【0106】
また、この実施の形態においては、吸水管27が嵌着された吸水管用継手部材38と掘削部材26の連結部材37とは螺合構造で連結したが、このような構成に囚われることなく、両者を互いに単に嵌合する嵌合構造で接続するようにしてもよい。このような構成にしたとしても、吸水管27と給水管28とは三方継手68によって連結され、かつ、給水管用継手部材35を介して給水管28が掘削部26aに螺合されているので、吸水管27が嵌着された吸水管用継手部材が掘削部材26の連結部材37から抜け出て離脱することはない。
【0107】
また、この実施の形態においては、試錐機構部5により試錐管24をその軸芯L1回りに正逆300度の回転角度で往復回転させるようにしたが、このような構成に囚われることなく、試錐管24を一定方向に回転させるようにしてもよい。この場合は、吸水管27が嵌着された吸水管用継手部材38と掘削部材26の連結部材37との接続および給水管28が嵌着された給水管用継手部材35と掘削部材26の掘削部26aとの接続をそれぞれ互いに軸方向の相対変位が不能で、かつ、相対回転は可能とする液密な接続構造とする。
【0108】
また、この実施の形態においては、浄化液排出孔73b…が穿設された試錐管24を使用したが、このような構成に囚われることなく、浄化液排出孔73b…が穿設されていない試錐管を使用してもよい。そのような試錐管を使用した場合は、土壌汚染調査が終了したら、直ちに試錐管を地中から引き抜くことになるが、その引き抜き工程の際、試錐液を試錐管内に供給しながら引き抜くようにすれば試錐管を引き抜いた後の地中の穴に試錐液が充填されて穴が崩壊することがない。
【0109】
そして、試錐管を引き抜いた後、地下水の定期的な水質調査や土壌の浄化を行う場合は、浄化液排出孔が穿設された試錐管を地中の穴に貫入する作業を行う必要があるが、穴には試錐液が充填されているだけなので比較的小さな押圧力を該試錐管に付与するだけで試錐管を穴に貫入させることができる。このため、この試錐管の先端部には、上述したような掘削部材26を固定する必要はなく単に先端が尖った安価な部材を固定すれば足り、この結果、掘削部材としては、掘削作業を行う1本の試錐管だけに固定するために1個だけ用意すれば足りるので、ダイヤモンドビットのような掘削性能の優れた高価な掘削ビットが設けられた掘削部材を使用したとしても工具全体の費用の増加は殆どない。
【0110】
さらにまた、この実施の形態の土壌汚染調査装置本体9は、コントローラ23で制御して自動的に動作するようにしたが、このような構成に囚われることなく、導入制御弁87,導出制御弁88,開閉弁91,第9電磁弁93a,第10電磁弁94a,第12電磁弁98a,第1三方電磁弁103a,第2三方電磁弁109aおよび第11電磁弁110aを手動式の開閉弁または切替弁として必要なタイミングで人為的に開閉または切替の操作を行うと共に、送水ポンプ96,空気供給ポンプ102,排水用ポンプ106および洗浄用水供給ポンプ122を駆動するそれぞれのモータ(図示せず)への電力の供給またはその停止も必要なタイミングで人為的に操作するようにしてもよい。
【0111】
(第2の実施の形態)
次に、本発明に係る土壌汚染調査装置の第2の実施の形態を図12ないし図15によって詳細に説明する。図12は、第2の実施の形態に係る浄化用器具を、一部を破断して示した図であり、図13は、土壌汚染調査装置を使用している状態を模式的に表した図であり、図14は、浄化用器具を試錐管内に設置した状態を示した断面図であり、図15は、浄化用器具が設置され地中に貫入された試錐管によって土壌汚染の浄化が行われている状態を示した図である。なお、この実施の形態においても、第1の実施の形態で説明した作業車1の搭載機器の一部は使用する。また、図12ないし図15において、前記第1の実施の形態で説明したものと同一もしくは同等部材については、同一符号を付し詳細な説明は省略する。また、図13については、作図の都合上、それぞれの構成部材の縮尺の比率は互いに異ならせて図示している。
【0112】
上述した第1の実施の形態の土壌汚染調査では、その調査が終了した地点の地中から試錐管24を引き抜くようにしたが、試錐管24を地中に貫入したままにしておくこともできる。そのようにして、試錐管24内に水を供給しながら吸水して、浄化液排出孔73b…のフィルタ74に詰まった試錐液中のベントナイトを除去したのち、浄化液排出孔73b…から浄化液を地中に排出して供給しながら、上述した試錐作業により同様に地中に貫入された他の試錐管24から吸水手段で地下水を吸引し、この吸引した地下水に含まれるVOCsの濃度を土壌汚染調査装置の濃度計測装置104によって計測する。この場合の浄化液としては、オゾン,過酸化水素または界面活性剤を所定の割合で水に溶解して生成した浄化液や、その他、水等がある。
【0113】
この実施の形態による土壌汚染調査を具体的に説明すると、地中に貫入された試錐管24内に、図12に示す浄化用器具105を挿入する。浄化用器具105は、前記浄化液を供給するためのステンレス製の浄化液供給管107と、空気を供給するためのステンレス製の空気供給管111と、これらの管107,111が並列にされた状態で挿通される一対のゴム製の膨張管113,114とを備える。図12中に、一部を拡大して示すように、膨張管113の上端部および下端部の内側にはステンレス製の円柱状の口金118,118がそれぞれ配設され、膨張管114の上端部および下端部の内側にはステンレス製の円柱状の口金118,121がそれぞれ嵌入されている。口金118に貫通して穿設された貫通孔には浄化液供給管107および空気供給管111の長手方向中途部がそれぞれ貫通して気密に嵌入され、口金121に穿設された有底穴には浄化液供給管107および空気供給管111の先端部がそれぞれ気密に嵌入されている。
【0114】
口金118,121が嵌入された膨張管113,114のそれぞれの端部の外周には、ステンレス製の環状の締結具123が環装され、締結具123によって膨張管113,114がそれぞれ口金118,121に強固に締め付けられている。これによって、一対の膨張管113,114内は気密にされた膨張室113a,114aがそれぞれ形成され、該膨張室113a,114aにそれぞれ連通する連通孔124,124が空気供給管111の長手方向中途部に穿設されている。浄化液供給管107における膨張管113,114間には、膨張管114の近傍に浄化液供給孔125が穿設されている。
【0115】
膨張管113から突出した浄化液供給管107と空気供給管111とには、それぞれテフロン樹脂製の浄化液供給接続管126と空気供給接続管127とが気密に接続され、地中に貫入された試錐管24内に浄化用器具105を挿入する際、地中における浄化用器具105の深度を把握できるように浄化液供給接続管126または空気供給接続管127の少なくとも何れか一方の管に長さを表す目印を印しておくとよい。
【0116】
上述した浄化用器具105を使用して土壌汚染の浄化および調査の作業を行う場合は、第1の実施の形態で説明した試錐作業により、汚染された区域を挟んで地中に貫入された複数の試錐管24…内にそれぞれ浄化用器具105を、その膨張管113,114間に試錐管24の浄化液排出孔73bが位置する所望の深度まで挿入する。このときの深度は、土壌汚染を浄化したい深度とし、それぞれの試錐管24に対して各浄化用器具105を挿入する深度は同一とする。図13に示すように、複数の試錐管24のうち一部の試錐管24(図13中の左右両側に位置する2本の試錐管24)に配置された浄化液供給接続管126のそれぞれの端部は浄化液供給集合管128に接続され、該浄化液供給集合管128の端部には浄化液貯留槽131に貯留された浄化液を供給するための浄化液供給ポンプ132が接続されている。浄化液貯留槽131は地面Eに設置され、浄化液供給ポンプ132は作業車1の台座11に搭載される。
【0117】
また、複数の試錐管24のうち残りの試錐管24(図13中の中央側に位置する3本の試錐管24)に配置された浄化液供給接続管126のそれぞれの端部は吸水管133に接続され、浄化液供給接続管126のそれぞれの中途部には、開閉動作する吸水用電磁弁134a,134b,134cがそれぞれ配設されている。吸水管133,この吸水管133に繋がる浄化液供給接続管126および浄化液供給管107のそれぞれの管の内部は、本発明でいう吸水通路を構成する。吸水管133の端部には、第1の実施の形態と同一の吸水手段50が接続され、吸水用電磁弁134a,134b,134cと吸水手段50との間の吸水管133の中途部には第1の実施の形態と同一の土壌汚染調査装置本体9が接続されている。この場合は、第1の実施の形態における第1接続管44に対応するように吸水管133が土壌汚染調査装置本体9に対して接続されることになる。なお、吸水用電磁弁134a,134b,134cは、作業車1の台座11に搭載された制御盤25のコントローラ23にそれぞれ電線(図示せず)を介して接続され、コントローラ23によって開閉制御される。
【0118】
それぞれの空気供給接続管127の端部は空気供給集合管129に接続され、この空気供給集合管129の端部には、該空気供給集合管129に空気を供給するための空気供給ポンプ135が接続されている。空気供給ポンプ135は作業車1の台座11に搭載される。前記浄化液供給ポンプ132および空気供給ポンプ135は、コントローラ23にそれぞれ電線(図示せず)を介して接続され、コントローラ23によって作動またはその作動の停止が制御される。また、土壌汚染調査装置本体9および吸水手段50についても第1の実施の形態と同様にコントローラ23にそれぞれ電線(図示せず)を介して接続されている。
【0119】
複数の試錐管24内にそれぞれ浄化用器具105を挿入したのち、コントローラ23により空気供給ポンプ135を作動させて空気供給管111の連通孔124,124から空気を供給し、試錐管24の内壁に圧接されるまで膨張管113,114を膨張させる(図14を参照)。膨張管113,114が試錐管24の内壁に圧接された状態で膨張管113,114内の空気圧が保持され、その状態で、コントローラ23により浄化液供給ポンプ132を作動させて浄化液貯留槽131に貯留された浄化液が浄化液供給管107の浄化液供給孔125から試錐管24内の膨張管113,114間に供給される。そして、その後、浄化液は図13中の左右両側に位置する2本の試錐管24の浄化液排出孔73b…から地中に排出される。このとき、コントローラ23により、吸水用電磁弁134a,134b,134cのうち何れか1つの吸水用電磁弁だけが選択されて開弁され、他の2つの吸水用電磁弁が閉弁されている。
【0120】
而して、図15に示すように、試錐管24の浄化液排出孔73b…から排出された浄化液によって土壌から溶出したVOCsが浄化液や地下水と共に、図13中の中央側に位置する3本の試錐管24のうち吸水用電磁弁が開弁された浄化用器具105が挿入された試錐管24(図15中の中央の試錐管24)の浄化液排出孔73b…から吸引される。この吸引によって地中のVOCsが除去され、土壌の浄化がなされる。また、その吸引された液体に溶解しているVOCsの濃度が土壌汚染調査装置本体9の濃度計測装置104により計測され、この計測データが、浄化作業が開始されてからコントローラ23のタイマ23bによって計測された時間の経過とも関連付けられてコントローラ23のメモリ23aに記憶される。メモリ23aに記憶された計測データをリアルタイムで確認することによって、地中における浄化の進捗状況を容易に確認することができる。なお、図15中、符号119で示したものは、試錐管24の浄化液排出孔73b…から排出された浄化液によって土壌から溶出したVOCsが浄化液や地下水と共に地中を流れた経路であり、符号120で示したものは、試錐液によって地中に形成された擁壁である。
【0121】
また、吸水用電磁弁134a,134b,134cは一定時間ごとに順々に開弁するようにコントローラ23によって開閉制御されると共に、土壌汚染調査装置本体9の濃度計測装置104により計測される計測データが、吸水用電磁弁が開弁されて浄化液等が吸引された試錐管24ごとに区別してコントローラ23のメモリ23aに記憶される。これによって、試錐管24が貫入された地点ごとの浄化の進捗状況を容易に確認することができる。
また、それぞれの試錐管24に対して各浄化用器具105を挿入する深度を浄化液排出孔73bの位置ごとに適宜変更して、土壌汚染された地中の箇所を全て浄化すると共に、その浄化の進捗状況を土壌汚染調査装置本体9の濃度計測装置104によるVOCsの濃度の計測により確認する。
【0122】
なお、この実施の形態においても、上述した第1の実施の形態と同等の構成部分については、第1の実施の形態と同様の構造変更は可能であり、第1の実施の形態と同様の作用・効果も奏することができるのは言うまでもない。
また、この実施の形態の土壌汚染調査装置における浄化液供給ポンプ132,空気供給ポンプ135および吸水用電磁弁134aないし134cは、コントローラ23で制御して自動的に動作するようにしたが、このような構成に囚われることなく、浄化液供給ポンプ132および空気供給ポンプ135を駆動するそれぞれのモータ(図示せず)への電力の供給またはその停止を必要なタイミングで人為的に操作すると共に、吸水用電磁弁134aないし134cも手動式の開閉弁として必要なタイミングで人為的に開閉操作を行うようにしてもよい。
また、この実施の形態においては、浄化液を供給しながら、その供給した浄化液を吸引して、その吸引した液体に溶解しているVOCsの濃度を土壌汚染調査装置本体9の濃度計測装置104により計測するようにしたが、このような構成に囚われることなく、浄化液の供給は行わずに、試錐管24から地下水を吸引して、その吸引した地下水に溶解しているVOCsの濃度を土壌汚染調査装置本体9の濃度計測装置104により計測することもできる。
【0123】
また、この実施の形態においては、コントローラ23により、各浄化液供給接続管126に配設された吸水用電磁弁134a,134b,134cのうち何れか1つの吸水用電磁弁だけを選択して開弁し、他の2つの吸水用電磁弁を閉弁するようにしたが、このような構成に囚われることなく、地中に貫入する試錐管24の本数を増やすと共に、それらの試錐管24に浄化用器具105および吸水用電磁弁をそれぞれ配置し、互いに近い地点に貫入した2以上の一群の試錐管24に配置した浄化用器具105の吸水用電磁弁をコントローラ23により選択して開弁し、それらの2以上の一群の浄化液供給接続管126から吸引して、その吸引した液体に溶解しているVOCsの濃度を土壌汚染調査装置本体9の濃度計測装置104により計測するようにしてもよい。
【0124】
上述した実施の形態の土壌汚染調査では、その調査が終了した地点の地中に貫入したままの試錐管24に浄化用器具105を配置するようにしたが、土壌汚染調査が終了した地点の試錐管24を、試錐液を試錐管24内に供給しながら引き抜き、そして、試錐管24を引き抜いた後の穴に、図16ないし図18に示すような試錐管24'を貫入して、試錐管24の代わりに試錐管24'を使用して地中の浄化を行うこともできる。図16は、試錐管24'の先端側の一部を示した断面図であり、図17は図16の矢視C1−C1線および矢視C2−C2線に沿う拡大断面図であり、図18は、浄化用器具105が設置され地中に貫入された試錐管24'によって土壌汚染の浄化が行われている状態を示した図である。なお、図16は、作図の都合上、試錐管24'を中途部で分断して図示している。また、図16の矢視C1−C1線および矢視C2−C2線に沿う拡大断面図は、同一の形状になるので作図の都合上、図17では1つの拡大断面図しか図示していない。図16に示すように、試錐管24'は、先端部が円錐形状に尖った貫入部136と、該貫入部136に接続された分割管73'と、分割管73'の端部同士を螺着して連結する試錐管継手76(第1の実施の形態と同じもの。図16中には図示せず。)とで構成される。
【0125】
この試錐管24'は、外径が27.2ミリメートル、内径が23.4ミリメートル、長さが2メートルで、0.3ミリメートルないし2ミリメートルの孔径を有する浄化液排出孔137と、幅寸法が0.3ミリメートルないし2ミリメートルで長さが5ミリメートルないし50ミリメートルの長孔からなり、試錐管24'の軸芯L1'に沿う方向に長い長孔とされた吸水孔138とが穿設されている。図17に示すように、浄化液排出孔137と吸水孔138とは、軸芯L1'回りの円周方向に等角度間隔でそれぞれ6個ずつ穿設されており、これらの孔は、高密度のレーザー光線の照射によって穿設されている。浄化液排出孔137…と吸水孔138…とは、試錐管24'の軸芯L1'方向に交互に穿設されており、浄化用器具105を試錐管24'内に配置した場合において、浄化用器具105の浄化液供給管107から浄化液を排出するときは、一対の膨張管113,114の間に浄化液排出孔137…が位置付けられ、浄化用器具105の浄化液供給管107から地下水を吸引するときは、一対の膨張管113,114の間に吸水孔138…が位置付けられる。
【0126】
浄化液排出孔137は、0.3ミリメートルないし2ミリメートルの孔径を有する細孔に形成されているので、浄化用器具105を試錐管24'内に配置して浄化液供給管107から浄化液を浄化液供給ポンプ132によって所定の高圧力で供給すると、6個の浄化液排出孔137…から試錐管24'の軸芯L1'に略直交する方向に試錐管24'の周囲に浄化液が勢いよく地中に噴射される。このため、図18に示すように、試錐管24'(図18中の左右両側の試錐管24')の浄化液排出孔137…から浄化液が略水平方向に地中を拡散し、その拡散した浄化液によって土壌から溶出したVOCsが浄化液や地下水と共に、他の試錐管24'(図18中の中央の試錐管24')の吸水孔138を介してその試錐管24'に配置された浄化用器具105の浄化液供給管107に回収される。この回収によって地中のVOCsが除去され、土壌の浄化がなされる。
また、吸水孔138は、幅寸法が0.3ミリメートルないし2ミリメートルで長さが5ミリメートルないし50ミリメートルの細長孔に形成されているので、吸水孔138から水が吸引されるとき、大きな粒土は吸水孔138を通過することができないため細かな土だけが泥水となって回収されるので、吸水孔138が粒土で目詰まりすることがない。
【0127】
(第3の実施の形態)
次に、本発明に係る土壌汚染調査装置の第3の実施の形態を図19によって詳細に説明する。図19は、この第3の実施の形態に係る土壌汚染調査装置の構成を示すブロック図である。なお、この実施の形態においても、前記第1の実施の形態で説明した作業車1の搭載機器の一部は使用する。また、図19において、前記第1の実施の形態で説明したものと同一もしくは同等部材については、同一符号を付し詳細な説明は省略する。また、図19については、作図の都合上、それぞれの構成部材の縮尺の比率は互いに異ならせて図示している。
【0128】
この実施の形態においては、第1の実施の形態で説明した試錐作業により、汚染された区域の地中に複数の試錐管24…が貫入され、それらの試錐管24…内に、第2の実施の形態で説明した浄化用器具105がそれぞれ配置され、複数の試錐管24…のうち一部の試錐管24…の浄化用器具105の浄化液供給管107から浄化液を地中に供給しながら、その供給した浄化液を地下水と共に、残りの試錐管24…の浄化用器具105の浄化液供給管107から吸引して、その吸引した液体に溶解しているVOCsの濃度を計測するものである。図19には、作図の都合上、地面Eの穴に貫入される複数の試錐管24…に配置される浄化用器具105…の構成部材のうちの浄化液供給管107…(地下水等を吸引するもの)のみを図示している。
図19中に符号X1およびX2で示すものは、汚染された区域を、一定の面積を有する2つの領域に区分けし、それらの2つの領域を表している。領域X1における浄化液供給管107…に接続された浄化液供給接続管126…のそれぞれの端部は吸水管141に接続され、浄化液供給接続管126…のそれぞれの中途部には、開閉動作する吸水用電磁弁142a,142b,142c,142d,142eがそれぞれ配設されている。吸水用電磁弁142aないし142eは電線(図示せず)を介してそれぞれコントローラ23に接続され、コントローラ23によって開閉制御される。浄化液供給管107…,浄化液供給接続管126…および吸水管141のそれぞれの管の内部は、本発明でいう吸水通路を構成する。
【0129】
吸水管141の端部には、第1の実施の形態と同一の吸水手段50が接続されている。この場合は、第1の実施の形態における第1接続管44に対応するように吸水管141が吸水手段50に対して接続されることになる。浄化液供給管107…と吸水用電磁弁142aないし142eとの間における浄化液供給接続管126…の中途部からそれぞれ分岐して分枝導入管143a,143b,143c,143d,143eが配管され、これらの分枝導入管143aないし143eが集合導入管144に接続されており、分枝導入管143aないし143eの中途部にはそれぞれ分枝導入管用電磁弁145a,145b,145c,145d,145eが配設されている。分枝導入管用電磁弁145aないし145eは電線(図示せず)を介してそれぞれコントローラ23に接続され、コントローラ23によって開閉制御される。分枝導入管143aないし143eの内部は本発明でいう分枝導入通路を構成し、集合導入管144の内部は本発明でいう集合導入通路を構成し、分枝導入管用電磁弁145aないし145eは本発明でいう導入制御弁を構成する。
【0130】
また、領域X2における浄化液供給管107…に接続された浄化液供給接続管126…のそれぞれの端部は吸水管141に接続され、浄化液供給接続管126…のそれぞれの中途部には、開閉動作する吸水用電磁弁142f,142g,142h,142i,142jがそれぞれ配設されている。吸水用電磁弁142fないし142jは、電線(図示せず)を介してそれぞれコントローラ23に接続され、コントローラ23によって開閉制御される。浄化液供給管107…と吸水用電磁弁142fないし142jとの間における浄化液供給接続管126…の中途部からそれぞれ分岐して分枝導入管143f,143g,143h,143i,143jが配管され、これらの分枝導入管143fないし143jが集合導入管144に接続されており、分枝導入管143fないし143jの中途部にはそれぞれ分枝導入管用電磁弁145f,145g,145h,145i,145jが配設されている。分枝導入管用電磁弁145fないし145jは、電線(図示せず)を介してそれぞれコントローラ23に接続され、コントローラ23によって開閉制御される。分枝導入管143fないし143jの内部は本発明でいう分枝導入通路を構成し、分枝導入管用電磁弁145fないし145jは本発明でいう導入制御弁を構成する。
【0131】
集合導入管144は水導入容器85の一端部に接続され、水導入容器85の他端部には、水導入容器85の凡そ5倍の容量を有する第3貯水容器152が導出管86bを介して接続されている。導出管86bの中途部には電磁弁からなる導出制御弁88が配設され、第3貯水容器152の上部には副吸水ポンプ153が第5接続管154を介して接続され、第5接続管154の中途部には第13電磁弁154aが配設されている。副吸水ポンプ153は本発明でいう副吸水手段を構成する。また、第3貯水容器152の上部と下部には、第3貯水容器152内に貯留された水を排出する際に共に開弁される第14電磁弁155aと第15電磁弁156aとが第3空気導入管155と第4排水管156との中途部にそれぞれ配設され、第3貯水容器152内には、貯留された水の水位が所定の上限または下限の水位の何れかに到達したことを検出して、その検出信号を、コントローラ23に電線(図示せず)を介して送信する第3水位検出センサ157が配設されている。第13電磁弁154a,第14電磁弁155aおよび第15電磁弁156aは、電線(図示せず)を介してそれぞれコントローラ23に接続され、コントローラ23によって開閉制御される。副吸水ポンプ153は電線(図示せず)を介してコントローラ23に接続され、コントローラ23によって作動またはその作動の停止が制御される。
【0132】
(土壌汚染調査の作業工程)
上述した土壌汚染調査装置を使用して、土壌汚染の調査を行う場合は、以下の作業工程で行われる。なお、下記の作業工程における電磁弁やポンプの動作の制御は全てコントローラ23によって行われるが、第1および第2の実施の形態において説明したのと同様に、人為的に動作させるようにしてもよい。
【0133】
(1)まず、領域X1の地点から地下水を採取する場合は、吸水手段50による吸水のために開弁されていた吸水用電磁弁142aないし142eのうち、例えば吸水用電磁弁142aのみが閉弁されると共に、閉弁されていた分枝導入管用電磁弁145aないし145eのうち分枝導入管用電磁弁145aが開弁される。それと同時に、導出制御弁88および第13電磁弁154aが開弁されると共に副吸水ポンプ153が作動させられる。このとき、領域X2の吸水用電磁弁142fないし142jは吸水手段50による吸水のために全て開弁され、分枝導入管用電磁弁145fないし145jは閉弁されている。吸水用電磁弁142aに対応する浄化液供給管107から吸引された地下水は、分枝導入管143aおよび集合導入管144を介して水導入容器85に導入される。この状態は一定時間行われる。このとき、第9電磁弁93aおよび第10電磁弁94aは共に閉弁されており、送水ポンプ96も停止されている。
【0134】
(2)前記一定時間が経過し、水導入容器85内に水が充填されて導出管86bを通過して第3貯水容器152に水が流出している状態で、副吸水ポンプ153が停止されると同時に分枝導入管用電磁弁145aおよび導出制御弁88が共に閉弁される。また、これと同時に吸水用電磁弁142aが開弁され、該吸水用電磁弁142aに対応する浄化液供給管107から吸水手段50により地下水が再び吸引される。一方、分枝導入管用電磁弁145aないし145jと導出制御弁88との間の分枝導入管143aないし143j,集合導入管144,水導入容器85および導出管86b内は、水が充填された状態で分枝導入管用電磁弁145a等と導出制御弁88とによって密閉される。
【0135】
(3)ないし(6)の作業工程は、第1の実施の形態で述べた土壌汚染調査の作業工程(3)ないし(6)と同様の作業工程が行われる。よって、説明は省略する。
(7)次に、開弁されていた吸水用電磁弁142aないし142eのうち、吸水用電磁弁142bのみが閉弁されると共に、閉弁されていた分枝導入管用電磁弁145aないし145eのうち分枝導入管用電磁弁145bが開弁される。それと同時に、導出制御弁88および第13電磁弁154aが開弁されると共に副吸水ポンプ153が作動させられる。このとき、領域X2の吸水用電磁弁142fないし142jは吸水手段50による吸水のために全て開弁され、分枝導入管用電磁弁145fないし145jは閉弁されている。吸水用電磁弁142bに対応する浄化液供給管107から吸引された地下水は、分枝導入管143bおよび集合導入管144を介して水導入容器85に導入される。この状態は一定時間行われる。このとき、第9電磁弁93aおよび第10電磁弁94aは共に閉弁されており、送水ポンプ96も停止されている。
【0136】
(8)前記一定時間が経過し、水導入容器85内に水が充填されて導出管86bを通過して第3貯水容器152に水が流出している状態で、副吸水ポンプ153が停止されると同時に分枝導入管用電磁弁145bおよび導出制御弁88が共に閉弁される。また、これと同時に吸水用電磁弁142bが開弁され、該吸水用電磁弁142bに対応する浄化液供給管107から吸水手段50により地下水が再び吸引される。一方、分枝導入管用電磁弁145aないし145jと導出制御弁88との間の分枝導入管143aないし143j,集合導入管144,水導入容器85および導出管86b内は、水が充填された状態で分枝導入管用電磁弁145a等と導出制御弁88とによって密閉される。
【0137】
(9)ないし(12)の作業工程は、第1の実施の形態で述べた土壌汚染調査の作業工程(3)ないし(6)と同様の作業工程が行われる。よって、説明は省略する。
(13)以下、同様にして、次の吸水用電磁弁の1つのみが閉弁されると共に、その吸水用電磁弁に対応する分枝導入管用電磁弁の1つのみが開弁され、これらの吸水用電磁弁および分枝導入管用電磁弁の開閉制御が順々に行われ、その後、水導入容器85への水の充填,気化容器92でのVOCsの気化および濃度計測装置104によるVOCsの濃度計測等が行われる。このようにして、領域X1の土壌汚染調査が終了したのち領域X2の土壌汚染調査が同様に行われる。
領域X2の土壌汚染調査が終了したら、再び、領域X1に戻り、開弁されていた吸水用電磁弁142aないし142eのうち、吸水用電磁弁142aのみが閉弁されると共に、閉弁されていた分枝導入管用電磁弁145aないし145eのうち分枝導入管用電磁弁145aが開弁される。そして、その後、水導入容器85への水の充填,気化容器92でのVOCsの気化および濃度計測装置104によるVOCsの濃度計測等が行われる。
【0138】
なお、上述した作業工程において、第3貯水容器152内に貯留された水の水位が所定の上限の水位に至ったことが第3水位検出センサ157によって検出されたとき、第14電磁弁155aおよび第15電磁弁156aが共に開弁され、第3空気導入管155から空気が導入されて第3貯水容器152内の水が自由落下により排出される。この排出は、副吸水ポンプ153の動作が停止しているときに行われる。そして、第3貯水容器152内の水位が所定の下限の水位に至ったことが第3水位検出センサ157によって検出されたとき、第14電磁弁155aおよび第15電磁弁156aが共に閉弁される。
【0139】
上述したように構成された土壌汚染調査用試料採取装置によれば、導出管86bを介して副吸水ポンプ153により水を吸引するようにしたので、水導入容器85内に速やかに水を導入することができる。
【0140】
また、上述したように構成された土壌汚染調査用試料採取装置によれば、地面に穿った複数の穴の内部に浄化液供給管107…をそれぞれ配設し、これらの浄化液供給管107…を、浄化液供給接続管126…,分枝導入管143aないし143jおよび集合導入管144を介して水導入容器85に接続し、分枝導入管143aないし143jにそれぞれ分枝導入管用電磁弁145aないし145jを配置したので、それぞれの分枝導入管用電磁弁145aないし145jを一つずつ順々に開弁すると共に開弁した分枝導入管用電磁弁以外の分枝導入管用電磁弁を閉弁すれば浄化液供給管107…を配設した地点ごとの地中の水を個別に採取することが容易にできる。このため、個別に採取した水に含まれるVOCsの濃度を個別に計測することで、浄化液供給管107…を配設した地点ごとの土壌汚染の調査を個別に行うことが容易にできる。
【0141】
なお、この実施の形態においても、上述した第1の実施の形態および第2の実施の形態と同等の構成部分については、第1の実施の形態および第2の実施の形態と同様の構造変更は可能であり、第1の実施の形態および第2の実施の形態と同様の作用・効果も奏することができるのは言うまでもない。
また、上述した実施の形態においては、吸水管141に接続された浄化液供給接続管126…にそれぞれ吸水用電磁弁142aないし142jを配設する例を示したが、本発明は、このような構成に囚われることなく、副吸水ポンプ153の出力が十分あり、副吸水ポンプ153の吸引によって水導入容器85内に水を導入することができる場合は、吸水用電磁弁142aないし142jを廃止して浄化液供給接続管126…を吸水管141に直接接続するようにしてもよい。
【0142】
また、この実施の形態においては、導出管86bから流出した水を副吸水ポンプ153により吸引して第3貯水容器152に貯留するようにしたが、本発明は、このような構成に囚われることなく、図19の一部を変更して記載した図20のブロック図に示すように、導出管86bを吸水管141に直接接続するようにし、導出管86bから流出した水を吸水手段50により吸引することもできる。このようにすれば、第3貯水容器152および副吸水ポンプ153等を省略することができるので、その分、土壌汚染調査用試料採取装置を安価に提供することができる。
【0143】
また、この実施の形態においては、汚染された区域を2つの領域X1およびX2に区分けし、それらの2つの領域にそれぞれ複数の試錐管24…を貫入するようにしたが、本発明は、このような構成に囚われることなく、汚染された区域をさらに多くの領域に区分けし、それらの全ての領域にそれぞれ複数の試錐管24…を貫入して、それらの試錐管24…にそれぞれ配設した浄化用器具105の浄化液供給管107から吸引して、その吸引した地下水に溶解しているVOCsの濃度を計測するようにしてもよい。
【0144】
また、この実施の形態においては、複数の試錐管24…のうち一部の試錐管24…の浄化用器具105の浄化液供給管107から浄化液を地中に供給しながら、その供給した浄化液を地下水と共に、残りの試錐管24…の浄化用器具105の浄化液供給管107から吸引して、その吸引した液体に溶解しているVOCsの濃度を計測するようにしたが、本発明は、このような構成に囚われることなく、浄化液を地中に供給せずに浄化液供給管107から地下水を吸引するだけにして、その吸引した地下水に溶解しているVOCsの濃度を計測して地中の土壌汚染の程度を調査するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】図1は本発明に係る土壌汚染調査装置を装備した作業車の構成を示す側面図である。
【図2】図2は本発明に係る土壌汚染調査装置を装備した作業車を上方から見た状態を示す平面図である。
【図3】図3は試錐管の先端部に掘削部材が固定された状態を示す断面図である。
【図4】図4の(a)は図3の矢視A−A線に沿う拡大断面図、同図の(b)は図3の矢視B−B線に沿う拡大断面図、同図の(c)は掘削部材を先端側から見た外観の状態を示す拡大図である。
【図5】図5は本発明に係る土壌汚染調査装置の構成を示すブロック図である。
【図6】図6は本発明に係る土壌汚染調査装置の土壌汚染調査装置本体の構成を示すブロック図である。
【図7】図7は試錐管の後端部に固定される閉塞部材の構成を示す図である。
【図8】図8は給水管および吸水管に接続される三方継手の構成を示す図である。
【図9】図9は試錐管に穿設された浄化液排出孔の構成を示す断面図である。
【図10】図10は給水管,吸水管および試錐管が載置された枠体を正面から見た外観の状態を示す図である。
【図11】図11は給水管,吸水管および試錐管が載置された枠体を左側方から見た外観の状態を示す図である。
【図12】図12は本発明の第2の実施の形態に係る浄化用器具を、一部を破断して示す図である。
【図13】図13は本発明の第2の実施の形態に係る土壌汚染調査装置を使用している状態を模式的に表した図である。
【図14】図14は本発明の第2の実施の形態に係る浄化用器具を試錐管内に設置した状態を示した断面図である。
【図15】図15は本発明の第2の実施の形態に係る浄化用器具が設置され地中に貫入された試錐管によって土壌汚染の浄化が行われている状態を示した図である。
【図16】図16は本発明の第2の実施の形態に係る他の試錐管における先端側の一部を示した断面図である。
【図17】図17は図16の矢視C1−C1線および矢視C2−C2線に沿う拡大断面図である。
【図18】図18は本発明の第2の実施の形態に係る浄化用器具が設置され地中に貫入された試錐管によって土壌汚染の浄化が行われている状態を示した図である。
【図19】図19は本発明の第3の実施の形態に係る土壌汚染調査装置の構成を示すブロック図である。
【図20】図20は図19の一部の構成を変更したブロック図である。
【符号の説明】
【0146】
9 土壌汚染調査装置本体
23 コントローラ(制御装置)
50 吸水手段
85 水導入容器(水導入室)
86a 導入管(導入通路)
86b 導出管(導出通路)
87 導入制御弁
88 導出制御弁
91 開閉弁
92 気化容器(気化室)
93a 第9電磁弁(送水手段)
94a 第10電磁弁(送水手段)
96 送水ポンプ(送水手段)
101 空気循環管(空気循環通路)
102 空気供給ポンプ(空気供給手段)
103 計測用循環往路管(計測用循環通路)
104 濃度計測装置(計測手段)
109 計測用循環復路管(計測用循環通路)
143a 分枝導入管(分枝導入通路)
143b 分枝導入管(分枝導入通路)
143c 分枝導入管(分枝導入通路)
143d 分枝導入管(分枝導入通路)
143e 分枝導入管(分枝導入通路)
143f 分枝導入管(分枝導入通路)
143g 分枝導入管(分枝導入通路)
143h 分枝導入管(分枝導入通路)
143i 分枝導入管(分枝導入通路)
143j 分枝導入管(分枝導入通路)
144 集合導入管(集合導入通路)
145a 分枝導入管用電磁弁(導入制御弁)
145b 分枝導入管用電磁弁(導入制御弁)
145c 分枝導入管用電磁弁(導入制御弁)
145d 分枝導入管用電磁弁(導入制御弁)
145e 分枝導入管用電磁弁(導入制御弁)
145f 分枝導入管用電磁弁(導入制御弁)
145g 分枝導入管用電磁弁(導入制御弁)
145h 分枝導入管用電磁弁(導入制御弁)
145i 分枝導入管用電磁弁(導入制御弁)
145j 分枝導入管用電磁弁(導入制御弁)
153 副吸水ポンプ(副吸水手段)
E 地面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に穿った穴の内部に先端側が配設される吸水通路と、
この吸水通路を介して水を吸引する吸水手段と、
前記吸水通路の中途部から分岐して水導入室に連通する導入通路と、
前記吸水通路を流れる水を前記水導入室に導入させるための水導入手段と、
前記水導入室に連通すると共に、前記導入通路を介して前記水導入室に導入した水を前記水導入室の外部へ排出する導出通路と、
前記導入通路に配置され、前記導入通路の水の通過を許容または禁止する導入制御弁と、
前記導出通路に配置され、前記導出通路の水の通過を許容または禁止する導出制御弁とを備えた土壌汚染調査用試料採取装置であって、
前記導入通路の水の通過を前記導入制御弁が禁止し、かつ、前記導出通路の水の通過を前記導出制御弁が禁止したとき、水の流れる経路からみて、前記導入制御弁と導出制御弁の間に位置する前記導入通路と前記水導入室と前記導出通路とが前記導入制御弁と導出制御弁とで密閉されるようにした土壌汚染調査用試料採取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の土壌汚染調査用試料採取装置において、
前記導出通路を前記吸水通路に合流させて前記水導入室に導入された水を前記導出通路を介して再び前記吸水通路に戻すようにし、
前記水導入手段を、前記吸水通路から導入通路が分岐する部位と前記導出通路が吸水通路に合流する部位との間における前記吸水通路の部位に配置され、該吸水通路の部位を流れる水の通過を許容または制限する開閉弁で構成した土壌汚染調査用試料採取装置。
【請求項3】
請求項1に記載の土壌汚染調査用試料採取装置において、
前記水導入手段を、前記導出通路に接続され、前記導出通路を流れる水を吸引する副吸水手段で構成した土壌汚染調査用試料採取装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のうち何れか一つに記載の土壌汚染調査用試料採取装置において、
前記吸水通路の先端側を、地面に穿った複数の穴の内部にそれぞれ先端側が配設される分枝吸水通路で構成し、
前記導入通路を、前記分枝吸水通路からそれぞれ分岐する分枝導入通路とこれらの分枝導入通路を合流させて前記水導入室に連通する集合導入通路とで構成し、
前記分枝導入通路にそれぞれ前記導入制御弁を配置した土壌汚染調査用試料採取装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうち何れか一つに記載の土壌汚染調査用試料採取装置と、
前記水導入室に貯留された水に溶解している調査対象物質を気化させる気化手段と、
この気化手段により気化された調査対象物質の濃度を計測する計測手段とを備えた土壌汚染調査装置。
【請求項6】
請求項5に記載の土壌汚染調査装置において、
前記気化手段は、気化室と、この気化室に空気を供給する空気供給手段とを備え、
前記水導入室に貯留した水を前記気化室に移送して、前記空気供給手段により前記気化室に空気を供給することによって、前記気化室に移送した水に含有する調査対象物質を前記気化室で気化させると共に前記気化室の空気と混合させて混合空気を生成し、
この混合空気に含有する調査対象物質の濃度を前記計測手段によって計測するようにした土壌汚染調査装置。
【請求項7】
請求項6に記載の土壌汚染調査装置において、
前記気化室の上部に空気循環通路の一端を連通させると共に前記気化室の下部に前記空気循環通路の他端を連通させ、
前記空気循環通路の中途部に前記空気供給手段を配置し、
前記気化室の上部に溜まった空気を前記空気循環通路の一端から前記空気供給手段により吸引すると共にこの吸引した空気を再び前記空気循環通路の他端から前記気化室の下部に貯留した水中に供給することによって、前記気化室に移送した水に含有する調査対象物質を前記気化室で気化させると共に前記気化室の空気と混合させて混合空気を生成し、
この混合空気に含有する調査対象物質の濃度を前記計測手段によって計測するようにした土壌汚染調査装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の土壌汚染調査装置において、
前記気化室の上部に計測用循環通路の一端と他端とを連通させると共に前記計測用循環通路の中途部に前記計測手段を配置し、
前記気化室の上部に溜まった前記混合空気を前記計測用循環通路を介して循環させて前記計測手段を通過させながら前記混合空気に含有する調査対象物質の濃度を前記計測手段によって計測するようにした土壌汚染調査装置。
【請求項9】
請求項6ないし請求項8のうち何れか一つに記載の土壌汚染調査装置において、
前記水導入室の水を前記気化室に移送する送水手段と、
前記送水手段,前記導入制御弁,前記導出制御弁および前記空気供給手段のそれぞれの作動を制御すると共に前記計測手段により計測した計測値のデータ信号を出力する制御装置とを備えた土壌汚染調査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2008−58045(P2008−58045A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−232955(P2006−232955)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(591211711)カルト株式会社 (20)
【Fターム(参考)】