説明

土壌消毒装置

【課題】土壌を均一にむらなく消毒することができる土壌消毒装置を提供する。
【解決手段】消毒させるべき土壌7を収容し、入口2aと出口2bとを有する消毒容器2と、該消毒容器2を軸線8廻りに回転させる回転手段3と、前記消毒容器2に投入させるべき磁性体片9を加熱するための加熱器4と、前記消毒容器2の出口2bに配置され、磁性を帯びた線材を網目状にしたふるい5と、前記線材に引き寄せられた前記磁性体片9を回収するための回収器6とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土壌を効率よく消毒することができる土壌消毒装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
土壌を加熱して消毒する方法が特許文献1に開示されている。この土壌の加熱消毒方法は、土壌に未酸化の鉄分等の金属粉を混ぜ、金属粉が酸化するときに発生する反応熱で土壌を加熱し、消毒するものである。しかしながら、特許文献1は、金属粉体を用いるため、取扱い性が悪い。また、金属粉体の土壌に対する分布が偏っていた場合、消毒効率にもばらつきが生じることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−210095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来技術を考慮したものであって、土壌を均一にむらなく消毒することができる土壌消毒装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、請求項1の発明では、消毒させるべき土壌を収容し、入口と出口とを有する消毒容器と、該消毒容器を軸線廻りに回転させる回転手段と、前記消毒容器に投入させるべき磁性体片を加熱するための加熱器と、前記消毒容器の出口に配置され、磁性を帯びた線材を網目状にしたふるいと、前記線材に引き寄せられた前記磁性体片を回収するための回収器とを備えたことを特徴とする土壌消毒装置を提供する。
【0006】
請求項2の発明では、前記加熱器と前記消毒容器との間に配置され、前記磁性体片の投入量を制御するための制御器とをさらに備え、該制御器は、前記磁性体片の投入個数を計測するための第1のカウンタを含むことを特徴としている。
【0007】
請求項3の発明では、前記回収器は、回収された前記磁性体片の個数を計測するための第2のカウンタを有することを特徴としている。
請求項4の発明では、前記ふるいを通過した土壌を移送するための移送手段と、該移送手段の途中に配置され、前記磁性体片を引き寄せるための磁石とをさらに備え、前記磁石に引き寄せられた磁性体片は、前記回収器に回収されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、土壌に加熱された磁性体片を投入し、これを消毒容器内で回転させながら消毒できるので、土壌に対してむらなく磁性体片の殺菌効果を及ぼすことができる。この磁性体片を球状の鉄片とすれば、取扱い性が向上する。また、消毒容器の出口で磁性体片はふるいを形成する線材に引き寄せられるので、磁性体片が混入されたまま土壌が排出されることを防止できる。
【0009】
請求項2の発明によれば、制御器をさらに備えることで、土壌に対する与熱量のコントロールが容易となる。また、このときの磁性体片の個数を計測することで、与熱量と殺菌効力との関係を知ることができる。
請求項3の発明によれば、回収された磁性体片の個数を計測する第2のカウンタを用いることで、磁性体片の投入個数と比較して、磁性体片が確実に回収されたか否かを知ることができる。このため、磁性体片が土壌に混入されたままの状態を防止でき、土壌の品質管理に役立つ。
【0010】
請求項4の発明によれば、移送手段の途中に磁石を配し、この磁石に引き寄せられた磁性体片を回収器で回収することで、さらに確実に土壌に磁性体片が混合することを防止できる。回収された磁性体片は、第2のカウンタで計測されるので、磁性体片の投入個数と比較して、消毒された土壌に対する磁性体片の混合割合を算出することができ、土壌の品質管理に役立つ。また、土壌に磁性体が混合することを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る土壌消毒装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示すように、本発明に係る土壌消毒装置1は、消毒容器2と、回転手段3と、加熱器4と、ふるい5と、回収器6とを備えている。消毒容器2は、略円筒形状であり、入口2a及び出口2bとを含んでいる。図では、出口2bの径が入口2aの径より小さいものを示しているが、これに限定されない。この消毒容器2内に、消毒させるべき土壌7が収容される。土壌7は、入口2aから投入される。この消毒容器2は、回転軸廻りに回転可能である。具体的には、軸線8廻りに回転する。ただし、回転軸を消毒容器2に対して偏心した位置に配置してもよい。軸線8に回転手段3が接続されている。この回転手段3を駆動させることで、消毒容器2は軸線8廻り(矢印R方向)に回転する。回転手段3としては、例えばモータ等があるが、手動で回してもよい。
【0013】
消毒容器2には、土壌7の他に磁性体片9が収容されている。具体的には、土壌7中に磁性体片9が混入されている。この磁性体片9は、加熱器4にて予め加熱されている。消毒容器2内投入された加熱後の磁性体片9は、土壌7に混入される。なお、図では消毒容器2の周壁を開口させて投入口10を設け、この投入口10を塞ぐ蓋11を開けてここから磁性体片9を消毒容器2内に投入する構造としている。しかしながら、磁性体片9は土壌7と同様に入口2aから投入してもよい。この状態で、消毒容器2を回転させることで、磁性体片9は土壌7中を移動する。磁性体片9は加熱されているので、その熱により土壌を消毒(殺菌)する。このため、土壌7に対してむらなく磁性体片9の殺菌効果を及ぼすことができる。この磁性体片9を球状の鉄片(例えばパチンコ玉)とすれば、鉄を加熱することで遠赤外線の波長が発せられるため、消毒効果が向上する。後述する磁性体片9の個数を計測する観点、あるいは取扱い性の容易さの観点から、球状の鉄片たる鉄玉を用いることが好ましい。
【0014】
消毒容器2の出口2bには、ふるい5が取り付けられている。このふるい5は、磁性を帯びた線材を網目状にして形成されている。したがって、土壌7とともにふるい5を通過しようとする磁性体片9は、このふるい5に引き寄せられる。これにより、磁性体片9が混入されたまま土壌7が排出されることを防止できる。ふるい5に吸着した磁性体片9は、適宜回収される。回収された磁性体片9は、回収器6に収容される。磁性体片9は再利用することができる。
【0015】
一方、加熱器4と消毒容器2との間には、投入量制御器12が配置されている。投入量制御器12は、消毒容器2内に投入される磁性体片9の量を制御するものである。例えば、投入される磁性体片9の個数が制御される。この投入個数は、投入量制御器12に備わる第1のカウンタ13にて計測される。このように、制御器12をさらに備えることで、土壌7に対する与熱量のコントロールが容易となる。また、第1のカウンタ13により磁性体片9の個数を計測することで、与熱量と殺菌効力との関係を知ることができる。さらに、回収器6に第2のカウンタ14を設け、ここで回収された磁性体片9の個数を計測してもよい。これにより、磁性体片9の投入個数と比較して、磁性体片9が確実に回収されたか否かを知ることができる。このため、磁性体片9が土壌7に混入されたままの状態を防止でき、土壌7の品質管理に役立つ。
【0016】
消毒容器2で磁性体片9により消毒された土壌7は、ふるい5を通過して、移送手段たるコンベヤ15に載置され、矢印F方向に移送される。コンベヤ15の途中には、磁石16が配置されている。この磁石16にて、ふるい5にて回収されなかった磁性体片9を引き寄せて回収する。回収された磁性体片9は、第2のカウンタ14にてその個数を計測され、回収器6内に回収される。このように、移送手段15の途中に磁石16を配し、この磁石16に引き寄せられた磁性体片9を回収器6で回収することで、さらに確実に土壌7に磁性体片9が混合することを防止できる。このように、消毒容器2にて消毒された土壌7を移送する途中の段階で、さらに磁性体片9を回収する手段を設けることにより、確実に土壌7に不純物が混入されることを防止できる。このことは、装置が大型化したとしても不純物の確実な混入防止の観点から必要であれば設けるべきである。回収された磁性体片9は、第2のカウンタ14で計測されるので、磁性体片9の投入個数と比較して、磁性体片9が確実に回収されたか否かを知ることができる。このため、磁性体片9が土壌7に混入されたままの状態を確実に防止でき、土壌7の品質管理に役立つ。消毒された土壌7は、容器17に収容される。
【0017】
なお、消毒効果をさらに高めるため、消毒容器2を重ねて複数回消毒してもよいし、一つの消毒容器2を繰り返し使用してもよい。さらには、消毒容器2を大型化してもよいし、用途に応じて小型のものを用いてもよい。また、磁性体片9の消毒効果を高めるため、消毒容器2自体を加熱してもよい。本発明に係る消毒装置1での消毒は、化学処理を必要としていないので、特に農産物にかかわる土壌を消毒することに適している。
【符号の説明】
【0018】
1 土壌消毒装置
2 消毒容器
2a 入口
2b 出口
3 回転手段
4 加熱器
5 ふるい
6 回収器
7 土壌
8 軸線
9 回転手段
10 投入口
11 蓋
12 投入量制御器
13 第1のカウンタ
14 第2のカウンタ
15 コンベヤ
16 磁石
17 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消毒させるべき土壌を収容し、入口と出口とを有する消毒容器と、
該消毒容器を軸線廻りに回転させる回転手段と、
前記消毒容器に投入させるべき磁性体片を加熱するための加熱器と、
前記消毒容器の出口に配置され、磁性を帯びた線材を網目状にしたふるいと、
前記線材に引き寄せられた前記磁性体片を回収するための回収器とを備えたことを特徴とする土壌消毒装置。
【請求項2】
前記加熱器と前記消毒容器との間に配置され、前記磁性体片の投入量を制御するための制御器とをさらに備え、
該制御器は、前記磁性体片の投入個数を計測するための第1のカウンタを含むことを特徴とする請求項1に記載の土壌消毒装置。
【請求項3】
前記回収器は、回収された前記磁性体片の個数を計測するための第2のカウンタを有することを特徴とする請求項2に記載の土壌消毒装置。
【請求項4】
前記ふるいを通過した土壌を移送するための移送手段と、
該移送手段の途中に配置され、前記磁性体片を引き寄せるための磁石とをさらに備え、
前記磁石に引き寄せられた磁性体片は、前記回収器に回収されることを特徴とする請求項3に記載の土壌消毒装置。

【図1】
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【公開番号】特開2011−200127(P2011−200127A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67999(P2010−67999)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(505430838)有限会社創造舎 (8)
【出願人】(506120253)株式会社環境セラステクノ (8)
【Fターム(参考)】