説明

土壌通気

【課題】サイズおよび重量を減少させる比較的コンパクトなギアシステムにより作動される土壌エアレータを提供する。
【解決手段】フレームアッセンブリーと通気装置と前方車軸部材と後方車軸部材とフレームアッセンブリーと通気装置の合同された重量の一部を前方車軸部材又は後方車軸部材に移動させるため、フレームアッセンブリーにモーメントを作用する付勢部材を有する重量移動システムとを具備して、フレームアッセンブリーがヒンジを備え、通気装置は通気用歯が土壌中の岩のような障害物に衝突したとき、重量移動システムによりヒンジ軸廻りに押し、ギアシステムへの衝撃を緩和する土壌エアレータ710である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエアレータアッセンブリーを使用する土壌通気に関する。
【0002】
関連出願に対する参照文献
本願は、David Maasらによって2004年2月10日に出願された米国特許出願第10/775,540号のタイトル”土壌通気装置(SOIL AERATION DEVICE)”に継続する物であり、該出願は、David Maasらによって2003年8月11日に出願された米国特許願第10/638,953のタイトル”土壌通気(SOIL AERATOR)”に継続するものである。これら出願の全体的な内容は、ここで説明されているかのように、本願に取り込まれているものとする。
【0003】
本願は、David Maasらによって2004年2月10日に出願された米国特許出願第10/776,007号のタイトル”土壌通気アセンブリ(SOIL AERATOR ASSEMBLY)”に継続する物であり、該出願は、David Maasらによって2004年2月10日に出願された米国仮出願第10/638,953のタイトル”土壌通気(SOIL AERATOR)”の利益を主張するものである。これら出願の全体的な内容は、ここで説明されているかのように、本願に取り込まれているものとする。
【0004】
本願は、David Maasらによって2004年6月14日に出願された米国特許出願第10/866,939号のタイトル”地面表面の通気(AERATING A GROUND SURFACE)”に継続する物であり、該出願は、David Maasらによって2004年2月10日に出願された米国仮出願第60/543,225のタイトル”土壌通気アセンブリ(SOIL AERATOR ASSEMBLY)”の利益を主張するものである。これら出願の全体的な内容は、ここで説明されているかのように、本願に取り込まれているものとする。
【背景技術】
【0005】
土壌通気は、地下土壌の圧縮を軽減し、植物生育を刺激し、適切な排水を促進するために、土壌管理人により従来から使用されている技法である。土壌は過度の使用又は環境上の作用により圧縮されることがあり、これは最終的に土壌の透過性や、土壌内に植栽された植物の発達に悪影響を及ぼす。特に、圧縮した土壌はその中に入ることができる酸素量や、土壌から飛散することができる二酸化炭素の量を制限することになる。全ての土壌が過度の使用および環境上の要因により等しく悪影響を受けるわけではない。土壌圧縮の程度は、土壌組成、植生の量、土壌の水分量に左右される。周期的な土壌通気は、上述のような悪影響により土壌に過度の負担が加えられ所望の植生を最早支持することができなくなる前に、土壌の圧縮を解放させる。
【0006】
一般に、土壌エアレータは、地中に侵入させ、土壌の“栓”を除去させるようにしたエンド・コアリング・チューブ(end−coring tube)を備えている。このエンド・コアリング・チューブは通常、回転部材に固定された複数のバー又はラック上に担持されている。これらローター、ラックおよび関連するギア機構はそれぞれ一般に大きく、嵩高で重量も大きい。従って、土壌エアレータの総体寸法および重量も増大することになる。その結果、大きい排気量のエンジンを備えた比較的大きいトラクターの使用が必要となる。
【0007】
エンド・コアリング・チューブの侵入力および地面の硬さによっては、エンド・コアリング・チューブが地面を侵入する衝撃および侵入させる試みによって、エアレータのフレームおよび車輪が地面から飛び上がることがある。更に、エンド・コアリング・チューブが土壌中の岩などの硬い物体に当ったとき、その衝撃がエンド・コアリング・チューブおよび駆動システムにより全体的に吸収され、これらチューブおよび駆動部材がかなり損傷を受けたり、破損されたりすることがある。
【0008】
牽引可能な土壌エアレータは通常、2つの車輪(例えば、右側車輪と、左側車輪)およびトラクターに土壌エアレータのフレームを取着させるための連結装置を備えている。この構造は、2つの車輪が地面上を回転し、通気用チューブが土壌を侵入するときにトラクターの背後で牽引することができる硬直フレームを提供するものである。しかし、このような硬直構造は、車輪が地面の凹凸およびその他の表面異常に遭遇したときに問題を生じさせる。例えば、一方の車輪が大きな隆起物又は岩に当たり、他方の車輪が平坦な地面にあるとすると、この硬直構造のフレームが地面と平行にならず、通気用チューブが土壌中に均一に侵入しなくなる。
【0009】
ある種の土壌エアレータは、トラクターの昇降装置に接続された油圧連結システムを備えている。この連結システムはエアレータを地面との関係で上下動させるのに役立つことができる。エンド・コアリング・チューブを土壌から離脱させるためには、土壌エアレータ全体をこの連結システムと共に地面から引き上げるようにする。この連結システムは一般に枢動するようになっておらず、そのことは土壌エアレータがトラクターとの関係で回動しないことを意味している。従って、トラクターの運転者は、トラクターを回転させる前に、昇降装置を使用して土壌エアレータ全体を地面から上昇させることになる。もし、そうしないと、土壌エアレータがトラクターの背後で揺動してエンド・コアリング・チューブを土壌で破損させてしまうことになる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
土壌通気装置は、ある形態において、通気用歯を含み、これらは通気装置のサイズおよび重量を減少させる比較的コンパクトなギアシステムにより作動させるようになっている。図示の実施例において、土壌通気装置は、キャリアに回転自在に装着された少なくとも2つの歯保持シャフトと、このシャフトのそれぞれに取着された複数の通気用歯とを有する。この土壌通気装置は更に、上記歯保持シャフトをキャリアの中心軸の周りに回転させつつ、歯保持シャフト自体を自転させるギアシステムを備えることができる。このギアシステムは、各歯保持シャフトに連結された遊星ギア装置と、前記中心軸と同軸に整合されたサンギアとを具備してなり、各サンギアを複数の遊星ギア装置と係合させたものでよい。
【0011】
種々の実施例として、土壌通気装置は中央に配置させた支持シャフトを設けることなく操作されるようにし、それにより歯保持シャフトを互いに接近させて配置させ、土壌通気装置のサイズを減少させるようにしてもよい。1実施例として、土壌通気装置は、フレームに回転自在に取着させたキャリアを有し、このキャリアを中心軸の周りに回転させるようにしてもよい。この土壌通気装置は更に、キャリアに回転自在に装着された第1および第2の2つの歯保持シャフトと、各シャフトに取着された複数の通気用歯とを具備してなるものでもよい。中心を外して配置させたシャフトをキャリアに接続させ、前記中心軸から片寄らせ、前記キャリアに装着させてもよい。前記第1および第2のシャフトを中心軸から片寄らせ、通気用歯が他の通気用歯又はシャフトから干渉されることなく、前記中心軸を通って操作されるようにしてもよい。
【0012】
ある実施例において、土壌エアレータは、1又はそれ以上の重量移動システムと連動するようにして蝶着され芝生レームアッセンブリーを含むものでもよい。この重量移動システムは通気用歯が土壌中の岩のような障害物に衝突したとき通気用サブアッセンブリーを地面から離昇させるようになっている。好ましい実施例において、この重量移動システムは、通気用歯の岩との衝突の際に生じた最小の上昇力のみで上記通気用サブアッセンブリーを離昇させることができ、それにより通気用歯への損傷を有意に減少させ又は防止し、土壌エアレータの寿命を実質的に延長させるようにするものである。
【0013】
種々の実施例として、土壌エアレータは多重サスペンションシステムを備えることも有利である。このシステムは、土壌エアレータの車輪が凹凸の大きい地面を通過する際においても、上記通気用サブアッセンブリーを、通気すべき地面と実質的に平行に、かつ、接近させた状態に維持させるものである。このサスペンションシステムのある実施例のものでは、地面上の隆起物又は他の障害物から車輪への衝撃および振動を実質的に吸収することを可能にするものである。そのため、それらの実施例において、通気用歯は、土壌エアレータの車輪が不均一な通路を走行する場合でも、地面を実質的に均一に侵入することができ、通気ポケットを形成させる。このサスペンションシステムのある実施例では、土壌エアレータが不均一な地面上を走行する際において、土壌エアレータのフレームおよび駆動部材に対する全体的振動および疲労を減少させることができる。
【0014】
本発明のある実施例において、エアレータは、そのエアレータ全体を地面から離昇させることなく、通気用歯の通路を地面上で移動させることができるようになっている。土壌エアレータは、歯用ラックに装着された通気用歯の1セットを有するものでもよく、この場合、これらの通気用歯は地面内に通気ポケットを形成するようになっている。このエアレータは、通気用歯を第1の操作位置と第2の操作位置との間を移動させるように操作される調整部材を更に有するものでもよい。この第1の操作位置においては、歯用ラックが地面に近くなったときに、通気用歯が地面と接触するよう操作され、第2の操作位置においては、フレームを地面から離昇させることなく、通気用歯が地面と接触するのを避けることができるようになっている。
【0015】
ある実施例において、エアレータは、第1のタイミング位置と、第2のタイミング位置との間で調整可能なギアシステムを有している。このギアシステムは土壌通気装置に連結させることができ、通気用歯の動きの少なくとも一部を案内する少なくとも1つのギアを有する。このギアシステムが第1のタイミング位置に調整されたとき、通気用歯は地面と接触するよう操作される。このギアシステムが第2のタイミング位置に調整されたとき、通気用歯は地面との接触を回避するよう操作される。
【0016】
ある実施例において、エアレータは、通気用歯が地面に対し衝突し、侵入したとき、ギアシステムに逃げ(relief)を与えるよう構成されている。すなわち、エアレータがエネルギー調節システムを有し、これがギアシステムに連結されていて双方向衝撃逃げを与えるようになっている。このエネルギー調節(モジュレーション)システムは1又はそれ以上のバネ装置を有し、それにより通気用歯が地面の硬くなった部分と衝突したとき負荷がかかるようになっている。
【0017】
本発明の1又はそれ以上の実施例の詳細を、添付図面および以下の説明において開示する。本発明の他の特徴、目的および利点は、これらの説明、図面、更に請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の1実施例に係わる土壌通気装置の斜視図。
【図2】図1の土壌通気装置を収容するためのフレームを、その構成部材の一部を省略して示す斜視図。
【図3】本発明の他の実施例に係わる土壌通気装置の斜視図。
【図4】図3の土壌通気装置の側面図。
【図5】図4の土壌通気装置を収容するためのフレームを、そのサイドパネルを省略して示す斜視図。
【図6】図1の土壌通気装置および図3の土壌通気装置を示す斜視図。
【図7A】図3の土壌通気装置のキャリア、シャフトおよび通気用歯の側面図であって、本発明の1実施例に係わる図。
【図7B】図7Aの土壌通気装置のシャフトおよび通気用歯の一部を示す前面図。
【図8A】本発明の1実施例に従って通気ポケットを形成する土壌通気用歯の状態を示す側面図。
【図8B】本発明の1実施例に従って通気ポケットを形成する土壌通気用歯の状態を示す側面図。
【図8C】本発明の1実施例に従って通気ポケットを形成する土壌通気用歯の状態を示す側面図。
【図9】本発明の他の実施例に係わる図3の土壌通気装置の側面図。
【図10】本発明の更に他の実施例に係わる図3の土壌通気装置の側面図。
【図11】本発明の1実施例に係わる土壌通気装置に使用される通気用歯の斜視図。
【図12A】本発明のある実施例に従って通気処理された地面を上から見た平面図。
【図12B】本発明のある実施例に従って通気処理された地面を上から見た平面図。
【図13A】図5の土壌エアレータのフレームの斜視図であって、サイドパネルをフレームから取り除き土壌エアレータを見えるようにした図。
【図13B】図13の土壌エアレータのフレームの一部を示す斜視図。
【図14】図13の土壌通気装置の側面図であって、弓形の歯が地面と接触している状態を示す図。
【図15】図14の弓形刃の側面図。
【図16】本発明の1実施例に係わる土壌エアレータの斜視図。
【図17】図16の土壌エアレータのフレームの斜視図であって、サイドパネルをフレームから取り除き土壌通気装置を見えるようにした図。
【図18】図17の土壌通気装置の斜視図。
【図19】図18の土壌通気装置の側面図。
【図20A】図19の土壌通気装置の通気用歯の側面図。
【図20B】図19の土壌通気装置の通気用歯の側面図。
【図21A】図18の土壌通気装置で使用することのできる通気用歯の具体例を示す側面図。
【図21B】図18の土壌通気装置で使用することのできる通気用歯の具体例を示す側面図。
【図21C】図18の土壌通気装置で使用することのできる通気用歯の具体例を示す側面図。
【図22】図16の土壌エアレータの一部を示す斜視図。
【図23】図16の土壌エアレータの一部の分解斜視図。
【図24A】図16に示す独立サスペンションシステムを示す側面図。
【図24B】図16に示す独立サスペンションシステムを示す側面図。
【図25A】図16の土壌エアレータの一部を示す側面図。
【図25B】図16の土壌エアレータの一部を示す側面図。
【図26A】図16の土壌エアレータを示す側面図。
【図26B】図16の土壌エアレータを示す側面図。
【図27】本発明の1実施例に係わるエアレータの斜視図。
【図28】図27のエアレータから取り出した通気装置を示す斜視図。
【図29】図28の通気装置の部分的分解斜視図。
【図30】図27のエアレータから取り出したある部材の側面図。
【図31A】図27のエアレータから取り出した通気用歯の側面図。
【図31B】図27のエアレータから取り出した通気用歯の側面図。
【図32】Aは、図27のエアレータの他の斜視図であり、BはAのエアレータの一部の分解斜視図。
【図33】本発明の1実施例に係わる図27のエアレータのある部材の部分的分解斜視図。
【図34】図33のエアレータの部材および図2の通気装置の側面図。
【図35】図33のエアレータの部材および図28の通気装置の側面図。
【図36】図27のエアレータのある部材の側面図。
【図37】図36のエアレータのある部材の側面図。なお、図面全体に亘り、同一部材には同一符号が付されている。
【発明を実施するための形態】
【0019】
サイズ、重み又はその双方について相対的縮小をもって示す説明的実施例
幾つかの実施例はサイズ、重み又はその双方について相対的縮小を与えるよう構成された土壌通気装置が含まれる。
【0020】
図1を参照すると、土壌通気装置10は対向する一対のキャリア20、22間に延出する2つの歯保持シャフト30、40を有する。歯保持シャフト30、40はキャリア20、22に回転自在に装着されており、各シャフトは68で示すように、それ自体の軸の周りに回転(自転)するようになっている。シャフト30、40は軸方向に実質的に平行に配置され、土壌通気用歯50は各シャフト30、40から径方向に延出している。例えば、米国特許No.6,513,603明細書(Bjorge;2003年2月4日)(その内容の全てが参照として、ここに組み込まれるものとする)に教示されているように、土壌通気用歯50は地面から土壌に侵入し、その一部を除去することができる。中心を外して配置させた2つの支持シャフト24,26も、対向する一対のキャリア20、22間に延出している。これら支持シャフト24,26はキャリア20、22に固着されていて、操作時において土壌通気装置10を機械的に支持するようになっている。ギアシステム60は歯保持シャフト30、40と係合し、歯保持シャフト30、40を回転させるようになっている。このギアシステム60は、各サンギア65に対する複数の遊星ギア63、64を有する。各歯保持シャフト30、40には遊星ギア63又は64が取着されている。この実施形態において、サンギア65は遊星ギア63、64の間において配置され、駆動チェーン66を介して遊星ギア63、64と係合している。複数の遊星ギア63、64が個々のサンギア65を使用して操作されるため、ギアシステム60の嵩高が有利にも減少される。更に、土壌通気装置10は中心に配置された支持シャフトを使用しないから、歯保持シャフト30、40を互いに近づけて配置させることができ、従って土壌通気装置10の全体的サイズを減少させることができる。
【0021】
図1をより詳細に参照すると、ベアリング32および42を使用して歯保持シャフト30、40をそれぞれキャリア20、22に回転自在に装着させることができる。このベアリング32、42は玉軸受、転がり軸受又はブッシュのいずれであってもよく、歯保持シャフト30、40の一部がキャリア20、22を貫通して延びるためのアクセスを提供する。遊星ギア63は歯保持シャフト30と同軸に整合され、キャリア20の外側にある歯保持シャフト30の部分に固定されている。同様に、遊星ギア64は歯保持シャフト40と同軸に整合され、キャリア20を通って延出する歯保持シャフト30の部分に装着されている。この実施例において、遊星ギア63、64はサンギア65と径方向に整合しており、単一の駆動チェーン66が3つの歯車63、64、65の全てと係合するようになっている。ギアシステム60の操作を簡単に説明すると、キャリア20、22が駆動手段(図1には示されていない)により中心軸21を中心として回転される。サンギア65は中心軸21と同軸に整合しており、キャリア20、22の回転したときに中心軸21との関連において実質的に固定された状態に維持される。これらキャリア20、22が回転すると、歯保持シャフト30、40が中心軸21を中心として回転されることになる。同様に、遊星ギア63、64も中心軸21を中心として回転されることになる。このようなことから、駆動チェーン66が遊星ギア63、64を方向68に回転させることにより遊星ギア63、64がサンギア65の周りを方向28に向けて回転することになる。歯保持シャフト30又は40をその軸を中心として方向68に自転させつつ、歯保持シャフト30又は40を中心軸21を中心として方向28に回転させる動きにより、土壌通気用歯50の所望の動き、つまり地面から土壌に侵入し、土壌の一部を除去する動きが生じることになる。
【0022】
更に図1を参照すると、支持シャフト24,26はキャリア20、22間に配置され、各キャリア20、22の周辺近傍に固定されている。支持シャフト24,26が中心からずれて(例えば、中心軸21からずらして)配置されているため、土壌通気用歯50が中心に位置するシャフトと当たるというような干渉を生じさせることなく、歯保持シャフト30、40を中心軸21に近づけて配置させることができる。むしろ、歯保持シャフト30、40は、土壌通気用歯50が干渉されることなく中心軸21を通過する際に、方向68に向けて回転することができる。これらシャフト30、40、24および26のコンパクトな配置は、歯保持シャフト30、40を、回転する土壌通気用歯50と、中心に配置させた支持シャフトとの間のクリアランス(隙間)のために十分に離間させる必要があるその他の装置と比較して土壌通気装置10の全体的サイズを有益にも減少させることができる。
【0023】
図2を参照すると、土壌通気装置10はフレーム12内に設置することができる。このフレーム12は安全パネル13を有し、これは岩屑による歯保持シャフト30、40に対する損傷を防止すると共に、稼動する土壌通気用歯50および歯保持シャフト30、40から使用者を保護するようになっている。このフレーム12は更にサイドパネル14を含み、ギアシステム60を石片から保護するようにしてもよい。図2の実施例において、一方のサイドパネル14を除去し、フレーム12内の土壌通気装置の状態をよりよく示している。所望により、サンギア65をサイドパネル14(図2に示すものから除去されている)に取着させ、サンギア65を中心軸21との関係で実質的に固定された状態を維持するようにしてもよい。キャリア20、22はサイドパネル14又はフレーム12の他の部分に回転自在に取着させ、キャリア20、22を、中心軸21を中心として回転させ、その間、フレーム12を中心軸21との関係で実質的に固定された状態を維持するようにしてもよい。1セットの車輪(図2には図示されていない)をサイドパネル14又はフレーム12の他の部分に連結させてもよい。更に、このフレームは、それをトラクター又は他の車両に取着させるための他の部材を含むものであってもよい。
【0024】
図3を参照すると、他の実施例としての土壌通気装置110は4つの歯保持シャフト130、135、140、145を有し、これらは2つのキャリア120、122の間に延出している。土壌通気用歯50は歯保持シャフト130、135、140、145のそれぞれから実質的に径方向に延出していて、地面から土壌に侵入し、その一部を除去することができる。歯保持シャフト130、135、140、145は互いに実質的に平行となって、キャリア120、122間において軸方向に延出している。歯保持シャフト130、135、140、145はそれぞれベアリング132、137,142および147を用いてキャリア120、122に回転自在に装着されている。従って、歯保持シャフト130、135、140、145はそれぞれ中心軸121の周りを方向128に回転しつつ、それぞれの軸を中心として方向168に自転するようになっている。ベアリング132、137,142および147は玉軸受、転がり軸受又はブッシュのいずれであってもよく、歯保持シャフト130、135、140、145の一部がキャリア120、122を貫通して延びるためのアクセスを提供する。
【0025】
図3、4を参照すると、土壌通気装置110は、各サンギア165(又は175)に対する複数の遊星ギア163、164(又は173、174)を有するギアシステム160を含む。この実施例において、遊星ギア163、164はサンギア165と係合している。遊星ギア163は歯保持シャフト130と同軸に整合した状態で歯保持シャフト130に固着されている。同様に、遊星ギア164は歯保持シャフト140と同軸に整合した状態で歯保持シャフト140に固着されている。サンギア165は中心軸121と同軸に整合しており、キャリア120、122の中心軸121を中心とする回転時において中心軸121との関連において実質的に固定された状態に維持される。駆動チェーン166はサンギア165および対応する遊星ギア163、164と係合し、遊星ギア163、164がサンギア165の周りを方向128に回転するとき、遊星ギア163、164を方向168に回転させる。この遊星ギア163、164の方向168の自転および方向128の回転により、歯保持シャフト130、140を地面から侵入させ、土壌の一部を取り去るための所望の通路となるように動作させることができる。遊星ギア173、174は、サンギア165および遊星ギア163、164と同様の様式で駆動チェーン176を介してサンギア175と係合している。遊星ギア173、174のサンギア175との係合により、歯保持シャフト135、145は、歯保持シャフト130、140の場合と同様にして、方向168の自転および方向128の回転を行うことができる。ギアシステム160は、各歯保持シャフトについて個々のサンギアおよび遊星ギアを使用することなく(例えば、4つの歯保持シャフト、4つのサンギア、4つの遊星ギア)、歯保持シャフト130、135、140、145の所望の動きを提供するものである。むしろ、ギアシステム160は、各サンギアを介して複数の遊星ギアを操作させ、それにより土壌通気装置のギアシステムの嵩高を有利に減少させることになる。
【0026】
図5を参照すると、土壌通気装置110はフレーム112内に組み込まれ、地面上を移動させることができる。このフレームは、図2との関連で先に記載してものと同様に、安全パネル113およびサイドパネル114を具備する。この実施例において、フレーム112内に収容した土壌通気装置110をよりよく示すためサイドパネル114が省略されている。更に、このフレームに車輪116および接続手段117を設け、それによりフレーム112をトラクター又は他の車両に取着させて地面上に移動させることができる。
【0027】
これについては、例えば、図13−15との関連で記載されている。このフレーム112は空気圧又は油圧シリンダーのような昇降装置115を有するものでもよく、それによりフレームが非土壌表面上を回転又は移動する間において土壌通気装置110を離昇させるようにする。例えば、接続手段を車両に取着させる一方、昇降装置115を作動させてシリンダーピストンPを延出させ、それによりフレーム112を枢軸Pを中心として反時計回りに回動させるようにする。このようなシリンダー動作により、フレーム112が車輪116に向けて後方に揺動したとき、土壌通気装置110を地面から離昇させることができる。
【0028】
再度、図3を簡単に参照すると、土壌通気装置110は中心軸121に沿って支持シャフト124を設けたものでもよい。この支持シャフト124は動作時において土壌通気装置110に対し機械的安定性を付与する。所望により、土壌通気装置110は中心に配置させた支持シャフト124を設けることなく操作させてもよい。例えば、支持シャフト124を要することなく土壌通気装置110に対し十分な機械的安定性が得られるように、歯保持シャフト130、135、140、145をキャリア120、122に回転自在に装着させてもよい。この場合、歯保持シャフト130、135、140、145は、中心からずらして配置させた支持シャフトとしての役割も果たすことになる。
【0029】
次に、図6を参照すると、中央に配置させた支持シャフトを除くことにより、土壌通気装置のサイズを有利に減少させることができる。土壌通気装置10(図1にも図示されている)は、中心からずらした支持シャフト24、26を有する。従って、歯保持シャフト30、40を、土壌通気用歯50のためのクリアランス(間隙)を要することなく、中心軸21に近づけて配置させることができる。一方の歯保持シャフト30に対し複数の土壌通気用歯50を、他方の歯保持シャフト40上の複数の土壌通気用歯50に対し、互い違いに配置させ、一方の土壌通気用歯50を他方の土壌通気用歯50から干渉されることなく、歯保持シャフト30を中心として回転させることができる。ある実施例においては、中心に配置させた支持シャフト124からの機械的支持を必要とする場合がある。このような場合、歯保持シャフト相互を十分に離間させ、土壌通気用歯50を、中心に位置させた支持シャフト又は隣接する歯保持シャフトからの干渉を受けることなく1つの歯保持シャフトを中心として回転させる。例えば、土壌通気装置110(図3にも図示されている)は、中心に位置させた支持シャフト124と、土壌通気用歯50のためのクリアランスを与えるように離間させた歯保持シャフト130、135、140、145とを具備してなる。しかし、中心に位置させた支持シャフト124を除き、歯保持シャフトを互いにより近づけて配置させれば、土壌通気装置110のサイズを減少させることができる。
【0030】
上述のように、1つのシャフト130上の歯50が他方のシャフト135上の歯50を互い違いにさせることにより土壌通気装置110のサイズを小さくすることができる。図7A−Bを参照すると、土壌通気装置110は、中心に配置させた支持シャフト124に接近して配置させた歯保持シャフト130、135、140、145を具備するものでもよい(支持シャフト124と、歯50の回転路との間に僅かに最小のクリアランスを与えるようにして)。歯保持シャフト130、135、140、145を、この中心軸に近づけて配置させることにより、これらシャフトも同じく互いに接近させて配置されることになる。この実施例において、シャフト130、135はキャリア120に取着され、かつ、距離“d”で分離され、歯50はシャフト130、135から径方向に距離“d”の1/2よりも長く延出している。
【0031】
図7Aに示すように、歯保持シャフト130、135、140、145のこの接近させた配置により、シャフト130上の歯50の移動路131が隣接するシャフト135上の歯50の移動路136と重なることになる。しかし、シャフト130上の歯50が隣接するシャフト135上の歯50との関係で互い違いの位置に設けられている(図1および図7Bに示すように)。この互い違いの配置により、シャフト130上の歯50は、他のシャフト(例えば、シャフト135)上の歯50から干渉されることなく、シャフト130を中心として回転することができる。従って、歯保持シャフト130、135、140、145は、回転する歯50相互間の干渉の可能性を生じさせることなく、中心に配置させた支持シャフト124に接近して配置させることができる。それにより、キャリア120およびフレーム112の寸法および重量をより小さくすることができる。その他、土壌通気装置は、図1との関連で説明した実施例と同様に、中心配置の支持シャフトを設けることなく、互い違いに配置させた歯を設けたものでもよい。それにより、キャリア120およびフレーム112の寸法および重量を更に縮小させることができる。
【0032】
操作に際し、土壌通気装置10又は110はフレーム12又は112に取着され、地面上に案内される。ある実施例において、このフレームをトラクター又は他の車両に取着可能にさせ、土壌通気装置を地面上でこの車両の後に牽引させる。他の実施例において、このフレームは使用者が地面上を手動で押すことができるように構成される。駆動手段、例えばキャリアを回転させるスピニング・ドライブシャフトをフレーム12又は112および土壌通気装置10又は110に取着させ、遊星ギアおよび歯保持シャフトの所望の回転および自転動作を生じさせるようにしてもよい。その他、駆動手段は、キャリア20又は120が地面上を走行する際にキャリア20又は120が回転させられるようにしたものでもよい。
【0033】
図8A−Cを参照すると、土壌通気用歯50は、地面80を侵入し、土壌82の一部を除去するよう操作される。ギアシステム60および歯保持シャフト30、40の相互作用により、歯保持シャフト30、40の回転28および自転68を生じさせ、順次、個々の土壌通気用歯50の所望の動きを生じさせる。なお、土壌通気装置10で使用される土壌通気用歯50の型などの多くのファクター次第で、回転方向68および自転方向28は図8A−Cに示すものと異なるものでもよい。(土壌通気用歯50の操作を、図1の土壌通気装置10およびギアシステム60の実施例との関連で説明したが、この説明は図3に図示した実施例などの土壌通気装置の他の実施例にも適用することができる)。歯保持シャフト30が中心軸21の周りを回転(方向28)し、地面80に近い点に達した時点において、地面80に対し土壌通気用歯50が鋭角で配向するように、ギアシステム60は構成される。
【0034】
図8Aを参照すると、土壌通気用歯50は土壌82の一部を地面80に対し鋭角84で侵入する。この実施例において、土壌通気用歯50の1又はそれ以上の土壌破砕面52が鋭角で土壌に侵入し、それにより土壌通気用歯50に近い土壌は圧縮されることなく上に向けて破砕される。図8Bを参照すると、歯保持シャフト30は中心軸21を中心として回転(方向28)し続けるが、土壌通気用歯50は、歯保持シャフト30に取着された遊星ギア63の動作により回転(方向68)する。自転28および回転68動作によりもたらされる円弧状一掃動作56により、土壌通気用歯50が侵入した領域に通気ポケット86が形成される。図8Cに示すように、歯保持シャフト30は中心軸21を中心として回転(方向28)し続け、それにより土壌通気用歯50を回転(方向68)させながら土壌82から引き上げさせる。自転28および回転68動作によりもたらされる除去動作58により通気ポケット86の形成が完了することになる。この実施例においては、土壌通気用歯50は切断チューブ55を含み、これが上記一掃動作56および除去動作58の間において、土壌82の栓88を切断、除去することになる。上記侵入動作54、一掃動作56および除去動作58は、次の歯保持シャフト40が地面80近傍で回転し、対応する遊星ギア64が土壌通気用歯50を地面80に対し鋭角で配向させることにより、繰り返される。
【0035】
土壌通気装置110のためのギアシステムの種々の態様のものを土壌通気装置110の嵩高を有利に減少させるために使用することができる。図9を参照すると、ギアシステム260を、歯保持シャフト130、135、140、145の所望の動作を生じさせるように作動させることができる。すなわち、この実施例においては、サンギア265が中心軸121と整合し、キャリア120が中心軸121を中心として回転する際においてもサンギア265は中心軸121との関連で実質的に固定された状態に維持される。サンギア265は必ずしも遊星ギア263、264間に配置されないが、これら歯車263、264および265が径方向に整合され、駆動チェーン266がこれら歯車263、264および265と係合している。同様に、遊星ギア273、274が、中心軸121と同軸に整合させた他のサンギア(第1のサンギア265の背後に配置されていて図9には現われていない)と連動するようになっている。その他、サンギア265の軸方向の厚みおよび駆動チェーンのタイプによっては、駆動チェーン266、276を同一のサンギア265と係合させるようにしてもよい。図9に示すように、遊星ギア263、264、273、274は、対応するサンギアの周りを回転方向128に移動しつつ、夫々の軸を中心としてそれぞれ回転方向168に自転することになる。各サンギアを使用してそれぞれ複数の遊星ギア(1対1の対応ではなく)を操作するようになっているため、土壌通気装置およびギアシステムの嵩高を減少させることができる。
【0036】
他の実施例において、ギアシステムはサンギアと間接的に係合する遊星ギアを含むものであってもよい。図10を参照すると、駆動チェーン366は第1の遊星ギア362およびサンギア365と係合している。第2の駆動チェーン376は第1の遊星ギア362および他の遊星ギア361、363、364と係合しているが、サンギア365とは係合していない。サンギアは中心軸121と整合し、キャリア120が中心軸121を中心として回転する際においてもサンギアは中心軸121との関連で実質的に固定された状態に維持される。キャリア120が中心軸121を中心として回転すると、遊星ギア361、362、363、364がサンギア365の周りを方向168に向かって回転する。駆動チェーン366は遊星ギア363をその軸を中心として方向168に向けて自転させる。この遊星ギア362の回転により駆動チェーン376が作動し、他の遊星ギア361、363、364が同一回転方向168に回転されることになる。従って、よりコンパクトなギアシステム360により、1つのサンギア365を用いて4個の遊星ギア361、362、363、364が駆動されることになる。
【0037】
以上記載したある実施例では、ギアシステムが土壌通気装置の1側に配置されている。しかし、他の実施例として、2つのギアシステムを設けてもよい。すなわち、装置の両側にそれぞれ1つのギアシステムを設ける。例えば、1つのギアシステムを1つのキャリア20又は120の外側に配置させ、第2のギアシステム(第1のギアシステムと実質的に似せたもの)を反対側のキャリア20又は120の外側に配置させる。
【0038】
更に、自転方向68又は168および回転方向28、128は、図1、3、4、8A−C、9および10に示した実施例に限定されるものではない。例えば、土壌通気用刃を含む土壌通気用歯50を、自転方向68又は168及び/又は回転方向28、128を図示のものとは逆にして操作させるようにしてもよい。
【0039】
更に、ギアシステムを、駆動チェーン以外の係合部材を用いてギアシステム内の歯車相互を係合させて使用してもよい。例えば、係合部材はケーブル、ベルト、連結チェーンなどを含むものであってもよい。従って、歯車の接触面は、係合部材の選択されたタイプのものと適当に係合するように構成させることができる。
【0040】
更に、土壌通気装置のギアシステムは、任意の数のサンギアを有することができ、1又は2つのサンギアを有する実施例に限定されない。従って、ギアシステムは任意の数の遊星ギアを含み、各サンギアが複数の遊星ギアと係合するようにしたものでもよい。
【0041】
他の実施例として、土壌通気装置は、歯保持シャフトと同心に配置され、かつ、中心から外して配置させた支持シャフトを有するものであってもよい。この実施例において、歯保持シャフトはキャリアに回転自在に装着され、遊星ギアと連結され、他方、内側支持シャフトが、対向するキャリアに対し固着されている。この歯保持シャフトおよび中心から外して配置させた支持シャフトの構成は、土壌通気装置に対する支持部材を提供するものとなる。更に、この支持シャフトが歯保持シャフトの外側の空間を占めるものでないから、より多数の歯保持シャフトをキャリアに装着することができる。その他、中心から外して配置させる支持シャフトを、キャリアの外側周辺に沿うようにしてキャリアに装着してもよい。例えば、キャリアが円形の実施例において、この支持シャフトは、キャリアの周縁の曲線に整合する凹面を有する非常に薄い部材であってもよい。この凹面は上記周縁の一部に沿ってキャリアに装着し、中心から外して配置させる支持シャフトが、キャリアの対向面のかなりの領域を占めないようにしてもよい。
【0042】
更に、土壌通気用歯50は図8A−Cに示す実施例に限定されない。むしろ、土性又は他のファクター次第で、土壌通気用歯50の形状を種々変更することができる。例えば、破砕用表面、スパイク、通気チューブ、通気用刃又はこれらの組合せなどを用いることができる。図11を参照すると、例えば、土壌通気用歯は、地面から土壌の“栓”を必ずしも除去することなく土壌に侵入し、土壌を切断するようにした通気用刃150を含むものであってもよい。この通気用刃は、先端152と、凹状エッジ154と、凸状エッジ156とを有し、土壌の圧縮度を減少させながら土壌に侵入し、土壌を切断するようになっている。従って、この土壌通気装置の操作の後においては、地面に土壌の栓が散在することがなくなる。例えば、図12A−Bはそれぞれ別の形状の通気用歯/刃を使用した場合の通気化土壌の模式的平面図を示している。図12Aにおいては、土壌は通気用歯50(図8A−Cに示すもの)を用いて通気化されたものである。土壌通気装置が地面80上を前方方向5に移動した場合、この歯50により侵入、掃動、栓除去動作が上述のようになされ、通気ポケット86が形成されることになる。この通気ポケットの各行は隣接する行との関係で互い違いになっている。これは通気用歯50が隣接するシャフト上の通気用歯との関係で互い違いに配置されていることによるものである(図7Bに示す実施例のものと同様に)。図12Bにおいては、土壌は通気用刃150(図11に示すもの)を用いて通気化されている。この通気用刃150は、土壌通気装置を前方方向5に移動させた際に、通気ポケット又は溝186を形成し土壌の通気化を行うようになっている。この場合も、隣接するシャフト上の通気用刃150の位置を互い違いにすることにより溝186の各行を互い違いにしている(図7Bに示す実施例のものと同様に)。通気ポケット/溝の位置を互い違いにすることにより(図12A、図12Bに示すように)、通気化土壌中の孔密度を増加させることができ、それにより土壌通気装置の一回の通過により土壌の詰りを著しく減少させることができる。
【0043】
歯付きシャフトを保持するキャリアの回転速度を、トラクターの地上速度との関係で増加させた場合は、上記ポケットは互いにより近く配置されることになる。所望により、これらポケットは互いに重なり合い、各刃により連続的なスリットが形成されるようにしてもよい。もし、通気用歯が一体的なコアリングチューブを有する場合、キャリアの速度を適当に選択し、このコアリングチューブにより形成された孔が重なり合うようにすることができる。このような実施は比較的広く、連続的なスリット(ほぼ通気用チューブと同じ程度に広い)を形成させることになる。もし、図11に示すように、通気用歯が一体的なコアリングチューブを有していない場合は、連続的スリットはより幅が狭いものとなり、ほぼ通気用歯の幅と一致する幅を有するものとなるであろう。
【0044】
これらの互い違いになった通気ポケットの密度(すなわち、芝生(turf)の単位面積当たりのポケットの数)は従来のシステムで得られるものよりもかなり大きいものとなる。従来の通気化システムでは、基準通気ポケットとの関係で、最も隣接するポケットは一般に一致するように並列し、基準通気ポケットから少なくとも2歯長さ分だけ離して形成されている。本発明の互い違いの歯の配列により、ポケットの行列が互いにずれたものとすることができ、図12A、図12Bに示すように、単位面積当たりのポケットの数を増加させることができる。
【0045】
更に、ポケットの互い違いの配置により、ポケットが芝生を横切って、より均一に分布することになるため、通気化効果をかなり改善することができる。従来のシステムではある程度の通気化を奏するコアリング孔の繰返し行列を形成させることができるが、これら行列間の間隙には通気化が実質的に提供されることがない。反対に、従来のシステムはコアリング部位の近傍の土壌をしばしば締め固めることになる。なぜならば、コアリングチューブが土壌中に直接、強制的に押し下げられるからである。しかしながら、図7のシステムでは、形成された通気ポケットが群がって形成され、密に隣接し、土壌破壊用刃により生じた破砕部により実質的に相互に接続されているので、実質的に均一な通気化が提供されることになる。それにより、空気、水および養分の摂取が著しく改善されることになる。
【0046】
図14,15を参照すると、図11の弓形刃150は、その通気用刃150を硬く詰まった土壌中に侵入させるとき、土壌通気装置の地面からの好ましくない離昇を防止ないし抑制させるすき刃作用を生じさせるようになっている。図14に示すように、更に、回転動128およびトラクターの移動119の歯保持シャフトに対する作用が、弓形歯の回転作用を支配することを考慮すれば、通気用刃150の先端によりエアレータのフレーム112が下方に引き下げられることが理解されよう。図4に関連して先に説明したように、遊星ギアシステム160により各歯保持シャフトが方向168に回転するとき、歯保持シャフトは中心軸121を中心として方向128に向って回転することになる。歯保持シャフトに取着された通気用刃150は、回転方向128および回転方向168の組合わせの動きを受けることになる。通気用刃150は最初に、鋭角で地面と接触し(図8Aとの関連で説明した土壌への侵入と同様に)、ついで、土壌に侵入し、土壌を破砕させ、通気溝を形成する。通気用刃150が地面80に侵入すると、通気用刃150の角度および形状が、すき刃が表土を貫通する場合と同様に、下向きの力を生じさせる。
【0047】
エンド・コアリング歯が最初に硬く詰まった土壌に侵入するときに土壌通気装置が地面から離昇するのを防止するため、フレーム上に重ねた付加的重量、3点連結システム又は限られた数の通気用歯を用いる必要がある従来の土壌通気システムとは異なり、弓形刃150のすき刃作用によりそのような好ましくない離昇を防止ないし抑制することができる。従来の通気装置では、歯が地面と衝突し、地面に侵入する際に通気装置が地面から離昇するのを防止するため、安定器又は3点連結システム(これら双方とも特に望ましくない)を用いて積極的に下方への力を加えることを一般に必要としていた。しかし、安定器は装置ユニットを芝生上で牽引するのに必要な動力を増大させることになり、そのことにより、より大きく、より高価なトラクターの使用をしばしば必要とすることになる。もし、この安定器の重りを装置ユニットに恒久的に取着させたときは、その輸送が困難となり、費用が嵩むことになる。着脱自在な安定器は、保管したり、取り扱ったり、設置したりする必要があり、これは時間がかかることであり、必然的に傷害の危険性を伴う。他方、3点連結システムは高価であり、複雑であり、牽引可能な装置に接続させるのに多くの時間と技術を必要とする。更に、3点牽引部は、回転させる前にそれを地面から離昇させる必要があり、そうしないと、牽引部がトラクターの背後で横方向に揺動する際に芝生を引き裂く虞がある。このことは、通気化作業を妨害することになり、実質的に直線的な通気化走行での使用を要請するものとなる。最後に、3点牽引部を備えたトラクターはそれ自体、高価で、大きなものとなる。従って、より小さく、より安価なトラクターの背後で牽引することのできる装置を使用すれば、より経済的となる。
【0048】
すなわち、小さなサイズで軽い土壌エアレータであれば、トラクターに対し1点連結を用いて操作させることができ、地面からの好ましくない浮き上がりを防止するためにフレームに付加的な安定器の重量を加える必要もない。しかも、上記すき刃作用により、より多数の弓形刃150を個々の歯保持シャフトに装着させ、地面からの土壌エアレータの浮き上がりを殆ど生じさせないで、これら弓形歯150を殆ど同時に地面に向けて接触させることができる。例えば、12以上の弓形刃を、約3フィートの長さの歯保持シャフトに装着させ、図4に示す実施例と同様にして、これらをほぼ同時に地面に接触させることができる。
【0049】
従って、幾つかの実施例においては、土壌エアレータのフレーム112(図13Aおよび13B)は、地面に対しエアレータを強制的に押し付けるための安定器(バラスト)又は3点連結システムのような付加的な下向きの力を適用することを要しない。むしろ、この土壌エアレータのフレーム112は、トラクターへの接続のため1点連結を用いることができ、付加的安定器をフレームに追加する必要がない。例えば、この1点連結は、接続シャフト118の一端を多用途車に接続することにより達成することができる。
【0050】
図13に示すように(図5にも先に記載されている)、接続シャフト118がフレーム112から延出し、その受理端部117で車両に接続可能となっている。この接続シャフト118の受理端部117は、トラクターの相補シャフト(図示しない)内に同軸に挿入可能となっているものでもよい。この受理端部117が正しく挿入された時、締付けピンを孔117a,117bに挿入し、接続シャフト118の一部を多用途車に固く取着させる。従って、土壌エアレータのフレーム112は、この接続シャフト118を介して、トラクターからの牽引力Fを受理することができる。他の例が図13Bに示されている。この場合、接続シャフト118の受理端部117は、多用途車に設けられた相補的ボール連結部と接続するようにした1点牽引部材119と係合するようになっている。この牽引部材119はボルトあるいは他の締付け具を用い孔117a,117bを介して受理端部に取着させることができる。その他の実施例として、締付けピン/孔アッセンブリー、オス・メスコネクターアッセンブリーなどを用いてトラクターに係合させてもよい。
【0051】
歯保持シャフトは好ましくは、約3から4フィートの長さを有する。この場合、歯保持シャフトの1フィート当り少なくとも約4個の歯を設けることが好ましく、所望により、歯保持シャフトの1フィート当り6個、8個、10個、又はそれ以上の歯を設けることができる。トラクターの所要動力および歯交換コストが制限因子であり得る住居用の場合、この歯数を適宜減少させてもよい。歯数を増加させた種々の実施例においては、より小さい径のコアリングチューブを有するより細い破砕ナイフを使用することができる。この破砕ナイフは好ましくは、長さが4から6インチで、幅が1インチ以下のものである。コアリングチューブは用途に応じて1/4から2インチの範囲から選択される内径を有することが好ましい。歯のクリアランスの要件が満たされる限りにおいて、任意数の歯保持シャフトを設けることができる。速度可変駆動モータが使用される場合は、2本又は4本の歯保持シャフトでもしばしば十分であるが、キャリアがより大きく、歯がより短く、及び/又は駆動手段が異なる他の実施例において、6本、8本、10本又はそれ以上の本数の歯保持シャフトを使用することが望ましいことがある。サンギア/遊星ギア比は、トラクターの地上走行速度との関係での通気用歯の移動および回転速度を調整するために変えることができるが、殆どの用途において、その比は1:1から10:1の範囲が好ましく、一般的用途において、その比が1:1から5:1の範囲であることが最も好ましい。互い違い歯配列は、3本、4本又はそれ以上の本数の別々の歯保持シャフト形状からなるものでよい。これらの千鳥配列は連続する歯保持シャフトにおいて繰り返されることになる。
【0052】
コアリングチューブを使用する従来のカム駆動(又は、プランジャータイプ)通気装置は、一般に、時速約1マイルを超える速度で牽引されることはない。これを超える速度では、トラクターの前進動作によりコアリングチューブがコア孔から引き上げられる前に、前方向に土壌を裂いて通過することになる。
【0053】
しかし、対照的に、ここに記載した遊星システムでは、通気用歯の弓形状と協動して先導ポケットを形成し、それによりクリアランスが提供される結果、通気ポケットの前方端部で土壌を裂いて通過することなくエアレータをかなり高速で牽引させることができる。図14,15に示すように、通気用歯は、それが土壌中を侵入するとき先導ポケットを形成し、この先導ポケットから離れるようにして時計方向に回転する。これらの2つの特徴の別々の作用および相乗的作用が、通気用歯を通気ポケットの前方端部で土壌を裂いて通過させることなく、トラクターを高速で操作させることを可能にする。なお、キャリアの回転速度は、トラクターの速度を増大させるときに増大させることができ、それにより歯の通気掃動の時間を制限させることができる。図14,15の遊星通気システムは、前記の方式に従って毎時、5、10、更に12マイルの速さで牽引させることができることが認められた。
【0054】
重量移動システム、多重サスペンションシステム、又はその双方を有する実施例
ある実施例のものは、重量移動システム、多重サスペンションシステム、又はその双方を有するエアレータを包含するものである。
【0055】
図16および17を参照すると、土壌エアレータ410は、駆動手段450、フレーム500および土壌通気装置600を具備してなる。土壌エアレータ410は左右の車輪510と、可変速度駆動モータ450とを有する。この駆動モータ450は土壌通気装置600を回転させ、通気用歯650を用いて地面に通気ポケットを形成するものである。各車輪510は別のサスペンションシステム520に接続され、このサスペンションシステム520はフレーム500に接続されている。左右の車輪510は互いに同軸に整合されているが、これら車輪510は単一の車軸に相互に接続されてはいない。むしろ、サスペンションシステム520がそれぞれ左右車輪510の1つに接続され、かつ、フレーム500のジャッキ部材540に接続され、フレーム500との関連での右車輪の動きが、フレーム500との関連での左車輪の動きから独立したものとなっている(更に、図22−24との関係でも記載されている)。
【0056】
接続シャフト550がフレーム500に接続され、この接続シャフト550は、牽引取付け装置との接続可能な受理端部551を有する。この実施例において、土壌エアレータ410はトラクター又は多用途車(図示しない)に対し1点牽引接続し得るようになっている。例えば、牽引連結装置558(図17)を、多用途車の相補的ボール連結装置との接続のため、受理端部551に接続させることができる。すなわち、ボール連結アッセンブリーを用いて土壌エアレータを多用途車の背後で牽引させ、通気装置600を地面上に移動させることができる。もちろん、牽引車両のタイプおよびオペレータの好みに応じて、接続シャフト550を車両に接続させるための他の種類の接続アッセンブリーを用いてもよい。この接続シャフト550は垂直部材552に固着されており、この垂直部材552はフレーム500の前面と、枢軸Pで回動自在に係合している。従って、フレーム500は、垂直部材552および接続シャフト550との関係で軸Pを中心として枢動可能となっている。フレーム500は更に、空気又は油圧シリンダーのような昇降装置570を含むものでもよく、それにより、フレーム500が非土壌面上を回転又は移動する際に土壌通気装置600を地面から離昇させるようにしてもよい。例えば、接続シャフト550を車両に接続させた状態で、昇降装置570を延出させ作動アーム572を押しシリンダーヘッド574から離れる方向に移動させる。このシリンダーの延出によりフレーム500が、図17で見て、枢軸Pを中心として反時計回りに回転することになり、従って、土壌通気装置600を地面から離昇させることができる(更に、図25A−Bとの関係でも記載されている)。
【0057】
更に図16、17を参照すると、フレーム500は定荷重バネ560を有し、これが点564においてピボットシャフト(軸ピン)552に接続され、かつ、更に反対側端部562において、フレーム500の背面のフィン部材502に接続されている。この定荷重バネ560は、垂直部材552とフレーム500との間に伸張力を提供し、それによりフレーム500にモーメントを生じさせる。それにより、フレーム500の後部に接続された車輪510を強制的に地面に向けさせることになる。例えば、重量移動装置560は、垂直部材552の頂部にピン留めされたシリンダーヘッド564と、フィン部材502にピン留めされた作動アーム562とを有する気体バネ装置であってもよい。この気体バネ装置560は図16に示す位置にあるとき、圧縮され、フィン部材502を垂直部材552から離れる方向に付勢するようになっている。このような伸張力はフレーム500に対しモーメントを生じさせ、車輪510により支持された土壌エアレータ410の重量を効果的に再分散させることになる(更に、図26A−Bとの関係でも記載されている)。
【0058】
図17を参照すると、土壌通気装置600は車輪510の前方のフレーム500部分に装着されていて、土壌通気装置600の中心軸605が車軸515から実質的に平行にずらして位置している。この土壌通気装置600は、各キャリア610の外側に遊星ギアシステム620を有する(2つのキャリアの一方をよく見せるため、図17ではサイドパネルがフレーム500から取り除かれている)。この遊星ギアシステム620は、通気用歯が地面に侵入し通気ポケットを形成するとき、歯保持シャフトのタイミングおよび動きを制御するものである。従って、車両がフレーム500を地面上を牽引するとき、フレーム500が土壌通気装置600の高さおよび姿勢を正しく維持させるようになっている。
【0059】
図18を参照すると、土壌通気装置600は、この実施例では、4つの歯保持シャフト640を有し、その夫々に1セットの通気用歯650が装着されている。これら通気用歯650は歯保持シャフト640から放射状に延出し、歯保持シャフト640が地面に接近して位置するとき、通気用歯650が地面に侵入し、通記ポケットを形成するようになっている。これら歯保持シャフト640は互いに実質的に平行に配置され、かつ、2つの両側のキャリア610間に装着されている。各歯保持シャフト640はキャリア610に対し回転自在に装着され、従って、各歯保持シャフト640はそれ自身の中心軸を中心として回転し、同時に土壌通気装置600の中心軸605を中心として回転するようになっている。更に、中心支持シャフト630が、駆動シャフト631を中心として回転自在に軸支され、かつ、歯保持シャフト640と実質的に平行に配置され、キャリア610間に固定位置関係の状態で固着されている。遊星ギアシステム620は、歯保持シャフト640に接続された遊星ギア622を有し、サンギア(中心歯車)624が土壌通気装置600の中心軸605に沿って配置されている。駆動シャフト631およびそれに固着された中心ギア624は駆動モータ450により回転されることになる。遊星ギアシステム620は、歯保持シャフト640が中心軸605を中心として回転するとき、歯保持シャフト640に対し所望の回転動作を提供するものである。もう1つの遊星ギアシステム620を反対側のキャリア610の外側(図示しない)に反映させ、歯保持シャフト640の好ましくない捩れを除去するようにしてもよい。もちろん、キャリアおよびギアシステムについて、歯保持シャフト640の数および通気用歯の形状並びに所望の動きに応じて、その他の構造のものを使用し、歯保持シャフト640に様々な回転および自転を与えるようにしてもよい。更に、別のギアシステム、タイミングシステムなどをキャリア610の双方又は一方に接続させ、駆動モータ450からキャリア610の回転動を与えるようにしてもよい。
【0060】
図19を参照すると、土壌通気装置600の1例において、各歯保持シャフト640がその中心軸を中心として時計方向628に自転し、同時に全ての歯保持シャフト640が中心軸605を中心として反時計方向626に回転するようになっている。更に、牽引力559をフレーム500に適用することにより、土壌通気装置600全体が地面420上を移動するようになっている。この歯保持シャフト640の複合動作により、通気用歯650が地面420を鋭角で侵入し、ついで、土壌に通気ポケットが形成されることになる。
【0061】
図20A−Bは、通気用歯650が地面に侵入し、通気ポケットを形成する例を示している。図20Aを参照すると、歯保持シャフト640の回転動作626が通気用歯650を地面420に引き寄せさせる。歯保持シャフトの自転動作628が通気用歯650を地面420に対し鋭角αをもって配置させ、その状態で通気用歯650が地面420に侵入する。この実施例において、通気用歯650は弓形状部分652を有し、これが通気用歯の地面420への侵入時にすき刃作用を生じさせる。通気用歯650が地面420に侵入するとき、通気用歯650に対し種々の力がその侵入角度に沿って作用し(例えば、牽引力559および歯保持シャフトから伝達される他の力)、弓形状部分652の形状が通気用歯650に対し下向きの力659を生じさせる。これは従来のすき刃が地面に沿って押し付けられる際に見られるものと同様である。この通気用歯650によるすき刃作用は、従来の土壌エアレータで一般的に見られた土壌通気装置600の好ましくない離昇を防止ないし減少させるものである。
【0062】
図20Bを参照すると、歯保持シャフト640の反時計回りの回転動作626および時計回りの自転動作628を継続することにより、通気ポケット422の形成が完成する。本実施例において、通気用歯650は通気用チューブを有せず、土壌から栓(plug)が取り出され地面420に堆積されることはない。むしろ、通気用歯650の弓形状部分652がその切削動作方向に長くなった通気溝を切削するものとなり、これは従来のエンド・コアリング・チューブにより得られるものと同様の通気の度合いを提供するものである。この場合、通気ポケット422は見ることができるが、土壌の有意量が地面420上に堆積されることはない。従って、例えば、ゴルフコースのフェアウエイ又はパッティンググリーンとして使用される前に地面を更に処理する(草刈などにより)必要はない。
【0063】
図21A−Cを参照すると、通気用歯の種々の形状のものが土壌通気装置600と共に使用することができる。図21Aには、図20A−Bに記載した通気用歯650の例が示されている。この通気用歯650の弓形状部分652は凹状エッジ653と、先端部655で収束する凹状エッジ654とを有する。更に、通気用歯650は、先端部655の反対側に装着部656を有する。この装着部656はネジ孔、シャフト、その他の適当な構造の庄着手段を有し、歯保持シャフト640上の対応する装着部材と係合するようになっている。従って、通気用歯650は土壌通気装置600に対し着脱自在に装着することができる。これは、通気用歯650を研いだり、交換する際の通気用歯650の着脱を容易にするものである。
【0064】
図21Bは土壌通気装置600と共に使用することができる通気用歯660の他の例を示している。この通気用歯660は、弓形状部分662と、凹状エッジ663と、凹状エッジ664と、先端部665と、前記実施例で記載したのと同様に操作される装着部666とを有する。この図21Bの通気用歯660は、凹状エッジ664に沿って装着された通気用チューブ668を有し、通気用歯660が土壌内に向けて駆動されたとき、円錐状切削エッジ669が土壌の栓を切削するようになっている。この通気用チューブ668は弓形状部分662と一体的に形成されていてもよいし、あるいは凹状エッジ664に対し溶接などを用いて取着させたものでもよい。この通気用チューブ668は好ましくは、先端部665の後方にある程度離間させて配置させ、弓形状部分662が土壌に侵入し、破壊してから、この通気用チューブ668が土壌から栓を切削するようにする。その結果、土壌の少ない圧縮および移動をもって通気ポケットが形成されることになる。この通気用歯660が通気ポケットを切り取ると同時に、この通気用チューブ668が、エンド・コアリング方法と比較して実質的に少ない量の土壌の栓を取り除くことになる。その結果、より少ない量の土壌が地面上に残されることになる。なぜならば、この通気用歯660により形成された土壌の栓は従来の円筒状エンド・コアリング・チューブにより形成される土壌の栓よりも小さいからである。それにも拘わらず、土壌中に形成される通気ポケットはエンド・コアリング・チューブにより形成される孔とサイズ的に同等のものとなる。
【0065】
図21Cは土壌通気装置600と共に使用することができる通気用歯670の他の例を示している。この通気用歯670は、弓形状部分672と、凹状エッジ673と、凹状エッジ674と、先端部675と、前記図21Aで記載した実施例のものとほぼ同様に操作される装着部676とを有する。この通気用歯670も切削エッジ679を有する通気用チューブ678を具備し、通気用歯670が土壌内に向けて侵入したとき、土壌の栓を切削するようになっている。この通気用チューブ678は弓形状部分672と一体的に形成されていてもよいし、あるいは凹状エッジ674に対し溶接などの適当な取着手段を用いて取着させたものでもよい。図21Bで記載した実施例と同様に、通気用チューブ678は、先端部675の後方にある程度離間させて配置させ、弓形状部分672が土壌に侵入し、破壊してから、この通気用チューブ678が土壌から栓を切削するようにする。
【0066】
図22を参照すると、土壌エアレータ410の左右車輪510のそれぞれが別々のサスペンションシステム520に接続され、このサスペンションシステム520が地面上の隆起物又は他の障害物から車輪への衝撃を非対称的に吸収し得るようになっている。その結果、フレーム500および土壌通気装置600は、一方の車輪510が地面の小さな隆起又は凹凸部に当り瞬間的に変位しても正しい高さおよび姿勢で実質的に維持されることになる。
【0067】
このサスペンションシステム520は更にガス充填シリンダーの形態の定荷重バネ522を有している。ある実施例として、単位重量当りの弾性エネルギー蓄積能力およびバネ速度を制御する能力からして気体バネ装置が好ましく使用される。定荷重バネは、図16−17を参照して記述したように重量を転移させるよう操作される。より具体的に述べると、定荷重バネ522の下端部が種々の孔511の1つに装着される。この種々の孔511の夫々は枢軸530との関係で異なるてこ比を定荷重バネ522に付与するようになっている。図22において、最も左側の孔が最も小さなてこ比の利益を付与するようになっている。この定荷重バネ522はフレームを反時計回りに付勢するようになっていて(図17では時計回り)、後方車輪510からの重量を前方ローラ506に移動させるようにしている。このときのトルクにより、通気用歯が障害物に衝突したとき、フレーム500が図17に示す時計回りの方向に容易に回転されることになり、それにより土壌エアレータ600が上方に離昇され、衝突の衝撃を軽減するようにしている。この定荷重バネ522はバネ定数および装着孔を適当に選択することにより望み通りに校正することができる。
【0068】
このサスペンションシステム520には更に別の主バネ部材を設け、車輪510に対する主支持手段を、定荷重バネ522に代って提供するようにしてもよい。いずれの実施例においても、このバネ部材は地面上の隆起物に車輪510が衝突したとき、車輪510の一時的変位を吸収し、それによりフレーム500(および土壌通気装置)の変位を減少ないし解消させるものである。更に、このバネ部材は車輪510がでこぼこな路を転動する際の土壌エアレータのフレーム500に加えられる全体的振動および機械的疲労を軽減することができる。
【0069】
サスペンション装置はサスペンションアームおよびジャッキ部材540に接続されている。このジャッキ部材540はフレーム500の1構成部材であり、土壌エアレータ410を操作する前に、フレーム500および土壌通気装置600の地面からの高さを調整するのに使用することができる。土壌エアレータ410が操作されているとき、ジャッキ部材540はフレーム500の他の部材に実質的に固着されている。サスペンションアーム526は、例えばブッシュ接続部530に沿ってジャッキ部材540と可動自在に係合している。
【0070】
図23はフレーム500、独立サスペンションシステム520の1つ、および左側車輪510の分解斜視図である。(右側車輪510およびその対応する独立サスペンションシステム520は図22に示されているが、図23では分解図をよく見せるためこれらは省略されている。本実施例において、右側車輪510およびその対応する独立サスペンションシステム520は、図23に示されている左側車輪510およびその対応する独立サスペンションシステム520を反映するアッセンブリーを有する)。各ジャッキ部材540はアジャスター部544と、延長部546とを有し、クランク545を操作して、アジャスター部544との関係での延長部546の位置を変更し得るようになっている。この調整機構により、使用者は土壌エアレータ410を操作する前に、フレーム500および土壌通気装置600の地面からの高さを設定することができる。ジャッキ部材540の下方部には、その他の部材(例えば、図16に示す後部ローラ504)をフレーム500に取着させるための複数の他の孔548が設けられている。更に、各ジャッキ部材540にはブッシュコネクター542が設けられていて、これは対応する車軸部材526のブッシュ530と回転自在に係合している。サスペンションアーム526はブッシュコネクター542を中心として枢動することができ、それにより車軸527をジャッキ部材540との関係で移動することができる。車輪510のハブ512およびベアリング514が車軸527に装着され、車輪510が車軸527を中心として回転できるようになっている。
【0071】
更に、図23を参照すると、サスペンションアーム526には、サスペンション装置522との接続のためのフランジ528が設けられている。このフランジは多数の孔を有し、その夫々がサスペンション装置522のロッド端部523と接続可能となっている。使用者により、サスペンション装置522をこのフランジ528の異なる孔に接続し、サスペンション装置522により提供される逃げを調整することができるようになっている。ジャッキ部材540の他方のフランジ548はサスペンション装置522のロッド端部524と接続可能となっている。このように、サスペンション装置522はサスペンションアーム526およびジャッキ部材540に接続され、ジャッキ部材540との関係でのサスペンションアーム526の枢動を抑制し得るようになっている。
【0072】
操作に際し、サスペンションシステム520のサスペンション装置522およびサスペンションアーム526は、地面420上の隆起物又は他の障害物に当ったときの車輪からの衝撃を吸収し得るよう操作される。例えば、車輪が地面の小さな隆起又は凹凸に遭遇したとき、サスペンションアーム526がジャッキ部材540(およびフレーム500の他の部分)との関係で枢動することができ、他方、サスペンション装置522は圧縮ないし伸長して一時的変位と順応するようになっている。
【0073】
図24Aは地面420上を移動するジャッキ部材540および独立サスペンションシステム520を示している(独立サスペンションシステム520の操作をより明瞭に示すため、車輪510が省略されている)。土壌エアレータ410は、牽引力559を供給する車両により地面420上を牽引される。車軸527(車輪510と共に回転自在に装着されている)が比較的平らな地面の部分の点“a”上を移動するとき、ジャッキ部材540は地面420上を定状態高さ“h”で移動する。フレーム500はジャッキ部材540に実質的に固着され、同じく、地面420上を定状態高さで移動する。従って、土壌通気装置600は地面上の正しい高さで実質的に維持される。
【0074】
図24Bを参照すると、車輪510が地面420上の点“b”で隆起425上を移動するとき、車軸527が車輪のハブ512と共に上方に変位する。従って、サスペンションアーム526はブッシュコネクター542を中心として枢動し、一時的変位529を受けることになる。この一時的変位529はサスペンション装置522により実質的に吸収され、他方、ジャッキ部材540(およびフレーム500の他の部分)は実質的に地面420上の定状態高さで維持される。サスペンションアーム526が一時的変位529を受けたとき、作動アーム532はシリンダー部分534内に圧縮され、隆起425からの衝撃429を吸収する。気体バネ装置522は制御された伸長速度を有するようにし、それにより、作動アーム532がシリンダー部分534から外に延出する速度を制限し(気体バネ装置における蓄積エネルギーの制御された放出)、定状態位置に戻るようにしてもよい。その他、気体バネ装置522は、作動アーム532の急激な伸長を防止する内部減衰機構を有するストラット(支柱)であってもよい。上述のように、気体バネ装置522のてこ比は、作動アーム532のロッド端部523をフランジ528の異なる孔に適当に接続させることにより調整することができる。このロッド端部523をシリンダー部分534に近いほうの孔に接続させることによりてこ比の利益は減少することになる。
【0075】
更に、図24A−Bを参照すると、各車輪は対応するサスペンションシステム520に接続される。従って、第1の車輪510は比較的平らな地面(例えば、地面の点“a”)上を転動し、第2の車輪510は隆起425(例えば、地面の点“b”)上を転動することがあり得る。しかし、フレーム500および土壌通気装置600は正しい高さおよび姿勢に実質的に維持される。なぜならば、独立サスペンションシステム520が地面からの全ての衝撃を実質的に吸収するよう操作されるからである。
【0076】
次に、図25A−Bを参照すると、牽引車の操縦者は昇降装置570を制御し、土壌エアレータが牽引されている最中において、土壌通気装置600を地面420から離昇させることができる。例えば、もし、土壌エアレータがコンクリート表面又は通気を意図しない他の表面に近づいている場合に、昇降装置570を操作し、土壌通気装置600を一時的に地面から離昇させ、通気用歯650、地面又はその双方の損傷を防止するようにする。重量移動装置560は、昇降装置570の操作をより良く見せるため図25A−Bでは省略されているが、この昇降装置570は重量移動装置560がフレーム500に取着されているか否かを問わず正しく機能することができる。
【0077】
図25Aは操作モードの土壌エアレータを示している。この場合、シリンダー作動アーム572は実質的に引き込められていて、車輪510が地面に接触し、土壌通気装置600が地面420上で正しい高さに維持されている。接続シャフト550は例えばボール連結アッセンブリーを用いて牽引車両に接続される。この実施例において、昇降装置570は空気シリンダーであって、これはピボットシャフト552にピン留めされたシリンダーヘッド574と、フレーム500のフィン部材502にピン留めされた作動アーム572とを有する。この作動アーム572はスライダースロットを有し、フィン部材502へのピン連結が、フレーム500の小さな動きに応答して前後に摺動することができるようになっている。
【0078】
図25Bを参照すると、オペレータは昇降装置570を制御して、作動アーム572をシリンダーヘッド574から延出させることにより通気装置を地面420から離昇させることができる。この伸長力によりフィン502がピボットシャフト552から離れる方向に押される。このピボットシャフト552は接続シャフト550を介して牽引車両に接続される。その結果、フレーム500が枢軸Pを中心として枢動し、前方ローラ506および土壌通気装置600を地面から離昇させる。それにより通気用歯650は地面420と接触しないことになる。土壌エアレータ410はこの位置に保持され、車輪510がフレーム500および土壌通気装置600を上昇位置において支持した状態で、牽引車両により地面上を牽引される。このように、多用途車に対し1点牽引接続された土壌エアレータ410は、土壌通気装置600を制御自在に地面から離昇させることができ、牽引車両に3点連結システム又は他の油圧駆動リンク装置を設ける必要はない。
【0079】
図26A−Bを参照すると、重量移動装置560は、土壌エアレータの重量を前方ローラ506から、フレームの後部に接続された車輪510上に移動させるよう操作される。図26Aにおいて、土壌エアレータ410は操作モードであり、昇降装置570が実質的に引き込められていて、土壌通気装置600が地面420上の正しい高さに実質的に維持されている。接続シャフトは、例えばボール連結アッセンブリーを用いて牽引車両に接続されており、それにより土壌エアレータ410は地面420上を牽引されるようになっている。この実施例において、重量移動装置560は、ピボットシャフト552にピン連結されたシリンダーヘッド564と、フレーム500のフィン部材502にピン留めされた作動アーム562とを有する定荷重気体バネである。土壌エアレータが操作モードにあるとき、この気体バネ装置560は圧縮下にあり、従ってピボットシャフト552と、フィン部材502との間に伸長力を印加するものとなる。
【0080】
重量移動装置560からの力が、フレームを枢軸Pを中心として回動させるのに、それ自体では不十分かも知れないが、重量移動装置がフレーム500に対しモーメントを付加し、それにより土壌エアレータの重量を前方ローラ506から車両510へ効果的に再分布させることができる。例えば、重量移動装置560が所定位置になくとも、地面と接する土壌エアレータ410の部材(車輪510および前方ローラ506を含む)が土壌エアレータ410の重量の負担を等しく支持させるようにしてもよい。しかし、重量移動装置560が所定位置にある状態で、車輪510が土壌エアレータ410の重量の多くの部分を支持するように土壌エアレータ410の重量を分布させてもよい。そのような場合、土壌エアレータ410の前方側(例えば、前方ローラ506)を、車輪510を地面から上昇させるのに要する力よりもかなり小さい力で地面から離昇させることができる。
【0081】
図26Bを参照すると、重量移動装置は、通気用歯が岩のような硬い障害物421に衝突したときに、土壌通気装置600および通気用歯650について逃げを提供するように実行させることができる。もし、この硬い障害物421が実質的に突き刺せないものである場合は、この障害物421に衝突した通気用歯650が土壌通気装置600を通常の高さ(図26Aに示す)から上昇させることになる。もし、通気用歯650が、土壌エアレータの重量の実質的部分を支える必要がある場合(例えば、土壌エアレータが地面から完全に上昇し、通気用歯により支持されることになる場合)、これら通気用歯又は土壌通気装置600の他の部分が損傷を受けることになる。しかし、重量移動装置560が土壌エアレータ410の重量を再分布するよう操作され、フレーム500および土壌通気装置の前方部分(例えば、前方ローラ506)が、通気用歯を介しての小さな上方向の力の印加により直ちに地面から離昇されることになる。図26Bに示すように、フレーム500の前方ローラ506および土壌通気装置600は、通気用歯650が硬い障害物421に衝突したとき通気用歯650に逃げが与えられるよう、フレーム500が枢軸Pを中心として回転するときに上昇させることができる。なぜならば、車輪510が地面に留まり、土壌エアレータの重量の実質的部分を支持し、通気用歯650が土壌エアレータ410の全重量を支持するものでないからであり、それにより通気用歯650および土壌通気装置600の他の部分への損傷の可能性を減少させることができる。
【0082】
定荷重バネ以外のバネを使用することもできる。一般的なガス又は螺旋バネを代りに使用してもよい。気体バネ装置560は適宜、伸長速度制御又は他の内部減衰手段を備えたものでもよく、それにより作動アーム562が延びたり、引っ込んだりする速度を制限するようにする。ただし、これは、ある実施例においては、重量移動システムにより提供される衝撃軽減を実際に減少させるものとなる。このバネは、バネ速度を手動で制御する空気圧又は他の公知の手段を設けることにより調整可能にすることが望ましい。
【0083】
以上の説明から分かるように、前記前方および後方重量移動システムは以上の実施例においては反対のシステムである。前方重量移動バネ560は図26においてフレーム500を反時計回りに付勢するよう操作され、これに対し、後方重量移動バネ522は反対の作用を奏する。これは最適な調整可能性を付与するものである。これらの相反するバネシステムのバネ速度およびてこ比の利点を調整することにより(それは前方又は後方重量移動バネの完全な排除を包含する)、好ましいヘッド重量の正確な量をこの通気装置に提供することができる。柔らかな土壌状態および上述のすき刃作用を与える通気用歯の配列の場合、ヘッド重量を有することは何ら必要のないことかも知れない。そのような場合、単に名目上のヘッド重量を与えるようバネシステムをセットし、サスペンション部材の衝撃吸収効果を最大にすることが望ましい。その他の状況で、より大きいヘッド重量が望ましい他の通気用歯の組立ての場合、バネ速度およびてこ作用点を調整してヘッド重量を増大させることができる。
【0084】
更に、重量移動装置560は、フレーム500にモーメントを生じさせ、それにより車輪510を効果的に地面420に向けさせることができる。ある実施例として、この重量移動装置560からの作用は、車輪510が地面の隆起又は他の障害物上を転動するときの衝撃を吸収することにより車輪510およびフレーム500のための更なる懸架手段を提供するものとなる。バネ速度および重量移動装置の減衰手段によっては、フレーム500を正しい高さで維持させつつ、車輪510を地面の凹凸により密接に従うようにしてもよい。
【0085】
土壌エアレータ410は、比較的軽量で、土壌通気装置600を適当な高さおよび姿勢に維持させる効率的な構造を有するよう構築することができる。しかし、本発明の範囲は、図16−26に記載した実施例に限定されるものではない。
【0086】
例えば、土壌エアレータ410は図16−17に示した二輪車構造のものに限定されない。つまり、土壌エアレータ410は任意の数の車輪510を有することができる。例えば、土壌エアレータは4つの車輪、すなわち、右側前方および後方車輪と、左側前方および後方車輪とを有するものでもよい。このような実施例の場合、各車輪510はそれぞれ独立したサスペンションシステム520に接続され、該システムは、フレーム500に接続される。
【0087】
他の実施例として、1又はそれ以上の重量移動装置560、昇降装置570および別のサスペンションシステム520を省略することもできる。これらの部材並びに上述のその他の部材、構成要素は、所望の機能を達成するため、必要に応じて含めたり、省略したりすることができるところの別々の構成要素であると正しく理解されるべきであろう。
【0088】
更に、土壌エアレータ410は、1点連結装置558以外の取着システムを使用して牽引車両に接続させてもよい。例えば、土壌エアレータはトラクター又は他の車両の背後に牽引させるため、3点連結システムに取着されるようにしてもよい。
【0089】
更に、土壌通気装置600の動きを作動させる駆動手段は土壌エアレータのフレーム500に取着させる必要もない。むしろ、牽引車両が駆動手段、例えばPTOシャフトを提供し、これを土壌エアレータが接続されるトラクターから延出させるようにしてもよい。その他、正しい牽引を維持することができ、キャリア610の回転に対し独立した制御を望まない場合は、動力を車輪自体の回転から提供することもできる。
【0090】
更に他の実施例として、キャリア自体以外に駆動機構を有しなくともよい。十分な数のホルダーシャフトがキャリア上に配置されている限り、キャリアは土壌通気装置600が土壌を横切って引かれているとき、自由に回転させることができ、この回転に応答して、通気用歯が土壌と係合し、それによりキャリアが回転されることになることが観察されている。ついで、キャリアはそれ自身の運動量の下で回転し続け、別の駆動手段なしで通気プロセスを実行することができる。
【0091】
通気用歯と、地面との間の接触を回避するため、又は衝撃の逃げを提供するため、移動することができる部材を有する説明用実施例
ある実施例として、通気用歯と、地面との接触を回避するため、又は衝撃の逃げを提供するため移動する部材を有するエアレータが提供される。
【0092】
図27を参照すると、エアレータ710は、フレーム720に接続された通気用サブアッセンブリー800を有する。2又はそれ以上の車輪722がフレーム720に回転自在に接続され、フレーム720の牽引部724は多用途車(例えば、トラクター)に接続可能になっていて、それによりエアレータ710は地面上を移動できるようになっている。図示の実施例において、この牽引部724は、1点牽引カップリング、例えばボール連結装置を受理するよう構成されたシャフトを有する。他のエアレータの実施例として、牽引部724は3点牽引装置を有するものでもよい。エアレータ710が地面上を導かれる際において、ガソリン原動機730が通気用サブアッセンブリー800を操作するための回転力を供給するようになっている。図27に示すように、原動機730はフレーム720に装着されている。しかし、駆動手段の他の実施例としては、多用途車から延出した回転駆動シャフトが含まれる。このように、エアレータ710が多用途車により地面上を移動する間において、通気用サブアッセンブリー800が操作され、地面に通気用ポケットが形成される。
【0093】
更に、図27を参照すると、ギアシステム850が通気用サブアッセンブリー800に接続されていて、通気用歯の所望の動きを案内するようになっている(通気用サブアッセンブリー800をより良く見せるためエアレータ710からサイドパネルが省略されている)。サンギア852は通気用サブアッセンブリー800の中心支持部材と同軸に整合されている。このサンギア852はタイミング部材750に装着されており、それにより(エネルギー調節システム760を介して)フレーム720に接続されている。このようにして、サンギア852は、通気用サブアッセンブリー800の残りのものとの関係で実質的に静止した状態に保たれる。各遊星ギア854は通気用サブアッセンブリー800の対応する歯用ラックに接続されている。従って、通気用サブアッセンブリー800が回転するとき、遊星ギア854がサンギア852を中心として回転することになる。サンギア852との関係での遊星ギア854の動きにより、通気用サブアッセンブリー800における通気用歯の所望の動きが提供される。
【0094】
図28−29を参照すると、通気用サブアッセンブリー800は一対の対向するキャリア820および822を有し、これらは中心支持部材810に係合、固定されている。歯用ラック824a−dがキャリア820および822と回転自在に係合しており、かつ、中心支持部材810と実質的に平行に配置されている。それにより、各歯用ラック824a−dは中心軸805(図29に最もよく示されている)を中心として回転し、同時に、それら自身の軸を中心として自転するようになっている。1又はそれ以上の通気用歯880が歯用ラック824a−dの夫々に着脱自在に装着されている。各通気用歯880は歯用ラックから実質的に放射方向に延出し、歯用ラックが地面近傍を走行する際に地面を侵入し得るようになっている。各遊星ギア854a−dは、対応する歯用ラック824a−dと同軸に整合、かつ、接続されていて、遊星ギア(例えば、824d)の回転により、対応する歯用ラック(例えば、854d)がそれ自身の軸を中心として回転するようになっている。
【0095】
遊星ギア854a−dは、ベルト、チェーン、直接接触又は他のギア相互作用手段を用いてサンギア852と係合している。前述のように、サンギア852はタイミング部材750(図27)に装着されていて、キャリア820および822が回転する間において、サンギア852が実質的に静止位置に維持されるようになっている。このサンギアは中心支持部材810と同軸に整合しており、1又はそれ以上のベアリング851がサンギア852と、支持部材810との間に装着され、それにより支持部材810が回転する間においてサンギア852が実質的に静止状態に維持されるようになっている。
【0096】
更に図28−29を参照すると、駆動手段730(図27)を支持部材810又はキャリア820および822のいずれかと係合させ、キャリア820および822を中心軸805を中心として回転させてもよい。キャリア820および822が中心軸805を中心として回転すると、歯用ラック824a−dが中心軸805を中心として回転し、それにより遊星ギア854a−dがサンギア852を中心として回転することになる。遊星ギア854a−dがサンギア852を中心として回転する間において、ギアシステム850の相互作用により各遊星ギア854a−dがそれ自身の軸を中心として回転することになる。その結果、各歯用ラック824a−dが(例えば、それ自身の軸を中心とする回転、中心軸805を中心として回転、更にトラクターによる地面を横切る横方向の搬送による)複合的動きをとることになる。
【0097】
次に、図30を参照すると、サンギア852は、装着孔753および853を整合させ、機械的固定具をそれらを通して固定させることにより、タイミング部材750に装着される。タイミングアーム750がエアレータのフレーム720に接続されるため、サンギア852は、通気用サブアッセンブリー800が回転する間において実質的に静止状態に保たれる。図30に示すように、原動機730(図27)によりキャリア820および822が中心軸805を中心として反時計回りに回転するようになっている。従って、遊星ギア854a−dはサンギア852を中心として反時計回り796に回転することになる。この回転動作796に応答して、ギアシステム850により各遊星ギア854a−dがそれ自身の軸を中心として時計回り798に回転することになる。これらの回転動作796および回転動作798は通気用歯880に伝達される。なぜならば、各歯用ラック824a−dが対応する遊星ギア854a−dと同様の複合的動きをとるからである。遊星ギア854a−dのこれらの回転動作796および回転動作798のタイミングを正しく調整することにより、通気用サブアッセンブリー800が、通気用歯880を地面790に侵入させ地面790に通気ポケットを生じさせるようにすることができる。
【0098】
図31Aを参照すると、通気用歯880の1実施例として、弓状部分882および弓状部分882に装着された通気用チューブ885を有するものが使用される。この弓状部分882は凹面883と、相補的凸面884とを有する。これら凹面883および凸面884は通気用歯880が地面を侵入するとき、土壌を破砕させることができる。この通気用チューブ885はこの弓状部分882に接続され、先端部881から離間して設けられている。そのため、この通気用チューブ885が土壌と係合し地面から栓を切り取る前に先端部881が地面を侵入することになる。通気用歯880はネジ穴887などの装着手段を有し、歯用ラック824a−dに設けられてネジ付きスタッドに装着自在に装着するようにしてもよい。多用途車がエアレータ710を地面上を移動させるとき、並進動作975が通気用サブアッセンブリー800に与えられる。この並進動作975が、地面に向けて案内される通気用歯880の位置と組合されて、先端部881を地面790に侵入させることになる。相対的自転速度、回転速度および並進速度に応じて、通気用歯880の弓形部がすき刃作用を生じさせ、それが力799(下向き成分を有する)を土壌から通気用歯880に押し付けることになる。
【0099】
図31Bを参照すると、遊星ギア854a−dの回転動作798が通気用歯をもってして通気ポケット792を一掃するようにして進行するとき、通気用チューブ885が地面790から土壌の栓794を切り取り、除去するように作用することになる。この通気用チューブ885は円錐状テーパ面を有し、これが土壌と係合し、通気用歯880が通気ポケット792を形成する際に、土壌の栓794を切り取ることになる。通気用チューブ885は、従来のエンド・コアリング法と比較して、実質的により小さい量の土壌栓を除去することになる。従って、地面790は、通気化プロセスの間に形成された土壌の栓を崩壊させる後処理(なぎ倒すことなどにより)の必要がなくなる。通気用歯880は従って、通気化処置に関連するメンテナンス費用(およびある状況下では、ゴルフコースの中断時間)を有意に減少させながら有利に履行させることができる。
【0100】
図32A−Bを参照すると、エアレータ710は、通気用歯880が地面と当接し、侵入するときにギアシステムに対し逃げを提供することができるシステム760を有する。場合によっては、このようなシステム760は、歯の地面との衝撃からのエネルギーを利用することができ、バネ装置に負荷を加え、後にそのバネ装置から荷重を除き、それにより通気ポケット形成の終り近くで“跳ね飛ばし”動作が提供される。前述のように、通気用サブアッセンブリー800は、タイミング部材750(多分、図30に最もよく示している)に装着されたサンギア852と係合している。通気用サブアッセンブリー800が、地面の硬い部分と衝突した通気用歯880の1つ又はそれ以上からの急激な衝撃を受けたとき、その衝撃が通気用歯880から歯用ラック824a−dに伝達され、ついでギアシステム850に伝達される。この衝撃の大きさによっては、ギアシステム850の幾つかの部分が損傷を受けることがある。しかし、エネルギー調節システム760は、サンギア852(並びにタイミング部材750)を若干調整することを可能にし、それにより実質的な衝撃を受けたときにギアシステム850に対して逃げが与えられる。
【0101】
図32Bを参照すると、これにはエネルギー調節システム760がより詳細に示されている。すなわち、エネルギー調節システム760は、外囲器762に組立てられたタイミング部材750を有し、タイミング部材の係合部754が実質的に外囲器762内に挿入されている。バネ764および相補的バネ766がこの外囲器762内に配置され、従って、係合部754がこれらバネ装置764および766間に配置されている。この外囲器は底面に開口部又はスロットを有し、係合部がこの外囲器762内に挿入されるようになっている。これらバネ装置764および766は金属製コイルバネ、十分な弾性を有する固形物、又は気体バネなどからなるものでよい。更に、バネ764および相補的バネ766は必ずしも同一のタイプのものでなくともよい。カバー片768を使用してこの係合部754およびバネ装置764および766を実質的にカバーすることができる。外囲器762はフレーム720内のスロット725内に嵌合するよう構成されている。外囲器762から横方向に延出するキー763(例えば、割りピン)はフレーム720内の1又はそれ以上のキーホール723a−b内に嵌合されるようになっている。それにより、外囲器762は、キー763がキーホール723a内に嵌挿される第1の位置からキー763が第2のキーホール723b内に嵌挿される第2の位置へ調整できるようになっている。図36−37を参照して後述するように、このような調整はギアシステム850のタイミングルーチンを移動させるのに用いることができ、これは通気用歯880を地面790との接触から引っ込めさせる作用を有する。
【0102】
次に、図33を参照すると、これにはエネルギー調節システム760がより詳細に示されている。すなわち、係合部754およびバネ装置764および766は、ネジ付きシャフト761により外囲器762内に保持されている。これら係合部754およびバネ装置764および766は必ずしもネジと係合する必要もないが、シャフト761上を摺動し得るようになっている。調整ナット767がこのシャフト761のネジと係合し、回転させて係合部758の定常状態位置を移動させ、それによりサンギア852の位置および通気用歯880の配向を漸増的に移動させるようになっている。
【0103】
更に、図33を参照すると、タイミング部材750が装着孔753を介してサンギア852(図30)に装着されている。このタイミング部材を定常状態位置に静置させ、係合部754がバネ装置764および766間の実質的静止位置に維持されるようにしてもよい。通気用歯880から伝達される実質的な衝撃に応答して、サンギアが若干回転するよう強要され、タイミング部材750が回転方向758に僅かな距離、揺動し、ギアシステム850(図30)に対し逃げを与えるようにすることができる。このタイミング部材750が回転方向758に移動するとき、係合部754がバネ装置764および766の一方を圧縮させる。ギアシステム850により受け止められた衝撃が沈静したとき、圧縮されたバネ装置764又は766が係合部754を強制的に定常状態位置に戻し、それによりサンギアが急速にその当初の位置に戻されることになり、最終的に、通気用歯880が通常のタイミング位置に急速に戻されることになる。
【0104】
例えば、図34を参照すると、通気用歯880が回転動作796および回転動作798を受け(図30−31との関連で説明したように)、地面790に侵入し、それにより通気ポケットが形成される。しかし、もし、通気用歯880が地面の硬い部分797(例えば、岩、固まった土壌など)に衝突すると、通気用歯880の回転動作798は、回転動作796が継続していても妨げられることになる。この作用により遊星ギア854aが方向798に回転することが一時的に妨げられることになる。このような状況において、チェーン856がサンギア852を方向798aに僅かに回転させようとする。サンギア852がタイミング部材750に装着されているため、このタイミング部材が方向758に動き、それにより係合部754によってバネ装置764が圧縮されることになる。サンギア852を僅かに移動させることにより、通気用サブアッセンブリー800が実質的な衝撃を受けたとき、エネルギー調節システム760がギアシステム850に逃げを与えるようにしている。さもなければ、通気用歯880、サンギア852、遊星ギア854a又はチェーン856が損傷を受けることになる。
【0105】
更に、バネ装置764の圧縮は、通気用歯880が通気ポケット792をほぼ形成するまで(図31B参照)、衝撃エネルギーの一部を有利に蓄積するのに利用される。つまり、通気ポケット形成時点で、この蓄積されたエネルギーが放出され、通気用歯880の回転方向798の動きを加速させる。通気用歯880のこのような“跳ね飛ばし”動作は、通気ポケット792の形成の間に切り出された土壌の栓794を分散させるのに役立ち、通気用歯880による切断操作を改善させ、通気ポケット792の周りでの芝生および土壌の崩壊を減少させるものとなる。図34との関連で記述した実施例に戻ると、通気用歯880は硬くなった部分797を粉砕させ通気ポケット792を形成し、土壌の栓784を切り出すことができる。歯の最初の衝突の後のある時点において、歯の動作路の制限が少なくなり、その場合、歯の最初の衝突により生じたバネ装置764の圧縮が解放され、(方向758に移動する前に)タイミング部材750が強制的に定常状態位置に向けられることになる。この動作により(方向798aに回転する前に)サンギア852が当初の位置の戻るよう若干、回転することになる。従って、遊星ギア854aは通常のタイミングルーチンに強制的に戻されることになる(例えば、遊星ギア854aは方向798に急速に移動することになる)。この通常のタイミングルーチンへの戻りにより、通気用歯880が回転方向798に急速に動かされ、これは、地面から切り出された土壌の栓794を分散させる“跳ね飛ばし”動作を生じさせ、そのほか、歯の切り出し操作の有効性を改善させる。
【0106】
図35を参照すると、エネルギー調節システム760はギアシステム850に対する双方向の逃げを提供することができる。図34との関連で先に説明したように、エネルギー調節システム760はサンギア852を方向798aに若干回転させる。しかし、このエネルギー調節システムは更に、もしも、サンギアが異なる方向796aに若干回転させられる場合に、ギアシステム850に対し逃げを提供するようになっている。例えば、通気用歯880は回転動作796および回転動作798を受け(図30−31との関連で説明したように)、地面790に侵入し、それにより通気ポケットが形成される。この通気用歯880が地面に侵入するときの通気用歯880に対する力(例えば、すき刃作用の力799など)により、回転動作798が継続していても、回転動作796が妨げられることがある。この作用により、ギアシステム850の通常のタイミングルーチンに従って遊星ギア854aがサンギア852を中心として方向796に回転することが一時的に妨げられる。このような状況において、チェーン856がサンギア852を強制的に方向796aに向けて若干回転させようとする。サンギア852がタイミング部材750に装着されているため、このタイミング部材が方向756に動き、それにより係合部754によってバネ装置766が圧縮されることになる。
【0107】
サンギア852を方向796a(図35)又は方向798a(図34)に僅かに移動させることにより、通気用歯880の地面への侵入がギアシステムの通常のタイミングルーチンを一時的に妨害したときに、エネルギー調節システム760がギアシステム850に逃げを与えるようにしている。さもなければ、通気用歯880、サンギア852、遊星ギア854a又はチェーン856が損傷を受けることになる。
【0108】
図36−37を参照すると、タイミング部材750は第1の位置から第2の位置へ調整することができ、それによりギアシステム850のタイミングルーチンに移動を生じさせることができる。このようなギアシステム850のタイミングルーチンの移動は、通気用歯880を地面790との接触から“引っ込めさせる”作用を有する。この歯の後退は、エアレータ710全体を地面から離昇させる必要なしに達成することができる。むしろ、たとえ、通気用歯880が地面と接触していなくとも、エアレータの車輪722を地面790上に転動させ続けさせることができる。更に、エアレータを操作させながら、この歯の後退を達成することができる。このように、器械全体を離昇させる必要なく、通気用歯880を地面790との接触から後退させる“進行中(on−the−fly)”能力が提供される。
【0109】
図36を参照すると、サンギア852は、装着孔753を介して固定された固定具を用いてタイミング部材750に装着されている。従って、サンギア852は実質的に静止状態に保持され、他方、キャリア822により遊星ギア854a−dがサンギア852を中心として回転することになる。タイミング部材750が調整自在にエアレータのフレーム720に接続されていて、タイミング部材750はこのフレームとの関係で第1の位置に配置される。タイミング部材750がこの第1の位置にあるとき、歯用ラック824a−d上の通気用歯880が、図30−31との関連で説明したように通気ポケット792を形成するよう作動する。遊星ギア854a−dが歯用ラック824a−dをその軸を中心として回転方向798に回転させるとき、歯用ラック824a−dは回転動作796を行うようになっている。歯用ラック824a−dの夫々が地面に近づいたとき、通気用歯880は地面790に侵入し、通気ポケット792を形成するよう位置づけられる。多用途車がエアレータ710を前方方向795に移動させるとき、通気用サブアッセンブリー800が、ゴルフコースのフェアウェイ近傍のコンクリート製歩道などの通気化不能表面790a上を移動することがあり得る。このような表面790aは本来、通気化を意図していないものであり、オペレータはこのような表面790a上の移動を避けたり、通気用歯880が通気化不能表面790aと接触したりするのを防止しなければならない。
【0110】
図37を参照すると、地面との接触を避けるため、タイミング部材750を第2の位置に移動させ、通気用歯880を上昇させることができる。エアレータ710は前方方向795に移動する間において、オペレータはタイミング部材750を第1の位置(破線で示す)から第2の位置へシフトさせ、それによりサンギア852を特定量だけ回転させる(図36および図37のマーカーの歯852aの向きを比較してもらいたい)。サンギア852がこの新たな位置に回転したとき、遊星ギア854a−dのタイミングルーチンは、地面近傍の通気用歯880が地面から180度シフトされるようにシフトされている。ギアシステムのタイミングルーチンがシフトされたため、通気用歯880は、歯用ラックが地面から十分に高く上昇するまでは、地面790への下向きに延びた位置に回転することはない。このようにして、通気用歯880が地面790と接触するを防止するようにしている。これは、エアレータ710全体を上昇させることを要することなく、通気用歯880(地面近傍の歯用ラックに設けられているもの)を地面から離れた位置に後退させる作用を奏するものである。このような構成は、エアレータ710が通気化不能表面790aに向って前方方向795に進行している場合に有利となる。このような場合、オペレータはタイミング部材750を第1の位置から第2の位置へシフトさせ、通気用歯880を通気化不能表面790aとの接触が防止し得る位置まで後退させる。
【0111】
図37に示す実施例において、このタイミング部材750のシフト動作により、サンギア852が約60度(図36および図37のマーカーの歯852aの向きを比較してもらいたい)シフトすることになる。しかし、ギアシステム850のギア比およびエアレータシステムの他の寸法によっては、タイミング部材/サンギアの前記のものと異なる量の動きが必要になることを理解されたい。
【0112】
更に、図36−37との関連で記述した通気用歯後退機構をエネルギー調節システム760との組合せで使用してもよい。図32A−Bに戻ると、タイミング部材750をエネルギー調節システム760の外囲器762に接続し、エネルギー調節システム760は、フレーム720に接続させることができる。この場合、タイミング部材750は外囲器762の位置を調整することにより第1の位置から第2の位置(図37)にシフトすることができる。1例として、タイミング部材750を、キー763がキーホール723aに嵌挿された第1の位置から、キー763が第2のキーホール723bに嵌挿された第2の位置にシフトすることができる。すなわち、外囲器762がフレーム720内のスロット725(図32A−B)に沿って特定距離、摺動し、その結果、タイミング部材750が第1の位置から第2の位置にシフトされることになる(図37)。その他、外囲器762を、空気シリンダー、サーボモータ、又は他の自動手段によりスロット725に沿って移動させてもよい。更に他の可能な作動手段として、外囲器762から突出するピンをキーホール内に横方向に付勢させるようにしたバネを使用してもよい。適当なハンドル部材を外囲器762に取着し、使用者がキーホールからピンを取り出し、外囲器を所望のタイミング位置に摺動させ、ついで、ピンを再びキーホール内に装着するようにしてもよい。
【0113】
タイミング部材750の第1の位置から第2の位置へのシフト動作は種々の方法で達成することができる。前述のように、キー/キーホールシステムはタイミング部材750の位置を手動で調整し、固定するのに使用することができる。同様に、ノッチ/溝システムを用いて、タイミング部材750の位置を手動で調整、固定してもよい。他の実施例として、油圧又は空気圧駆動アクチュエータのようなアクチュエータをフレーム720に装着し、タイミング部材750の位置を制御するのに使用してもよい。場合によっては、オペレータが多用途車に座った状態でアクチュエータを制御してもよい。それにより、オペレータは多用途車を運転しながら通気用歯を地面から後退させることができる。
【0114】
以上、本発明を多くの実施例を参照して説明したが、本発明の趣旨、範囲を逸脱することなく、種々の変更が可能であることを理解されたい。
【符号の説明】
【0115】
10,110,600 土壌通気装置
12,112,500,720 フレーム
13,113 安全パネル
14,114 サイドパネル
20, 22,120,122 キャリア
21,121,605 中心軸
24, 26 支持シャフト
30, 40,130,135,140,145,640 歯保持シャフト
50,650,660,880 土壌通気用歯
60,160,260,360,620 ギアシステム
63, 64,163,164,263,264,361−364,854 遊星ギア
65,165,175,265,365,624,852 サンギア
88 栓
132,137,142,147 ベアリング
150 通気用刃
154 凹状エッジ
156 凸状エッジ
166,266,366,376 駆動チェーン
410,710 土壌エアレータ
450 駆動モータ
502 フィン
510,722 車輪
522 定荷重バネ
540 ジャッキ部材
550 接続シャフト
552 垂直部材
570 昇降装置
668,678 通気用チューブ
724 牽引部
730 モータ
750 タイミング部材
760 エネルギー調節システム
792 通気ポケット
800 通気用サブアッセンブリー
850 ギアシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方端部と、後方端部とを有するフレームアッセンブリーと;
該フレームアッセンブリーに接続された通気装置と;
前記フレームアッセンブリーを支持するための前方車軸部材であって、通気装置の前方に配置されている前方車軸部材と;
前記フレームアッセンブリーを支持するための後方車軸部材であって、通気装置の後方に配置されている後方車軸部材と;
前記フレームアッセンブリーに接続された重量移動システムであって、
前記フレームアッセンブリーと通気装置の合同された重量の一部を前方車軸部材又は後方車軸部材に移動させるため、前記フレームアッセンブリーにモーメントを作用する付勢部材を有する重量移動システムと;
を具備し、前記フレームアッセンブリーがヒンジを備え、前記通気装置は、前記重量移動システムにより前記ヒンジ軸廻りに押されてなる土壌エアレータ。
【請求項2】
前記前方車軸部材の少なくとも1つがローラに接続されている請求項1に記載の土壌エアレータ。
【請求項3】
第2の後方車軸部材を更に具備してなり、各後方車軸部材が車輪に接続されている請求項2に記載の土壌エアレータ。
【請求項4】
前記重量移動システムが更に、前記フレームアッセンブリーに接続された第1のバネ部材を有する請求項1に記載の土壌エアレータ。
【請求項5】
前記重量移動システムが更に、前記後方車軸部材および通気装置に接続された第2のバネ部材を有する請求項4に記載の土壌エアレータ。
【請求項6】
前記重量移動システムが通気装置の重量の可変部分を前記前方車軸部材および前記後方車軸部材の少なくとも一方に移動させ、それにより、通気装置のヘッド重量を変化させるようにしている請求項1に記載の土壌エアレータ。
【請求項7】
少なくとも2つの後方車軸部材を有し、その夫々が別々のサスペンションシステムにより前記フレームに連結されている請求項1に記載の土壌エアレータ。
【請求項8】
前記重量移動システムが、フレームアッセンブリーに反対のモーメントを作用する少なくとも2つのバネ部材を有するようにした請求項1に記載の土壌エアレータ。
【請求項9】
前記重量移動システムが定荷重バネを有する請求項1に記載の土壌エアレータ。
【請求項10】
前記土壌通気装置が、通気用歯を保持する複数の歯保持シャフトを回転させかつ移動させる遊星ギアシステムを有する請求項1に記載の土壌エアレータ。
【請求項11】
各通気用歯が弓形土壌破砕エッジを含む請求項1に記載の土壌エアレータ。
【請求項12】
フレームに移動自在に接続され、歯用ラックに装着された1セットの通気用歯を有する通気用サブアッセンブリーであって、該通気用歯が地面に通気ポケットを形成するように地面に対して自転と公転の複合された動作可能とされた通気用サブアッセンブリーと;
該通気用サブアッセンブリーに接続され、第1の操作位置と第2の操作位置との間において移動するように操作可能とされた調整部材と;
を具備してなり、
該調整部材が前記第1の操作位置に移動された時、前記歯用ラックが地面に接近し、前記通気用歯が地面と接触するように動作可能とされ、
前記調整部材が該第2の操作位置に移動された時、前記通気用サブアッセンブリーを地面から離昇させることなく、前記通気用歯が地面との接触を回避するように動作可能とされたエアレータ。
【請求項13】
前記通気用サブアッセンブリーの接続したギアシステムを更に具備してなり、該ギアシステムが前記歯用ラックに接続された少なくとも1つのギアを有し、回転動作を前記歯用ラックに伝えるようにした請求項12に記載のエアレータ。
【請求項14】
前記調整部材が前記ギアシステムを第1のタイミング位置と、第2のタイミング位置との間において移動させるよう操作されるものである請求項13に記載のエアレータ。
【請求項15】
前記調整部材が第1の操作位置に移動したとき、前記ギアシステムが前記第1のタイミング位置に調整されるようにした請求項14に記載のエアレータ。
【請求項16】
前記調整部材が第2の操作位置に移動したとき、前記ギアシステムが前記第2のタイミング位置に調整されるようにした請求項14に記載のエアレータ。
【請求項17】
前記調整部材がエネルギー調節システムに接続されていて、前記ギアシステムに逃げを付与するようにした請求項14に記載のエアレータ。
【請求項18】
前記通気用歯の1つ又はそれ以上が地面からの衝撃を受けたときに、前記エネルギー調節システムが前記ギアシステムに逃げを付与するようにした請求項17に記載のエアレータ。
【請求項19】
前記エネルギー調節システムが少なくとも1つのバネ装置を有する請求項17に記載のエアレータ。
【請求項20】
前記調整部材が前記ギアシステムのサンギアに接続されている請求項13に記載のエアレータ。
【請求項21】
前記調整部材が、前記フレームとの関係で前記サンギアを定常状態位置に移動させるよう操作されるようになっている請求項20に記載のエアレータ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図8C】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12A】
image rotate

【図12B】
image rotate

【図13A】
image rotate

【図13B】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20A】
image rotate

【図20B】
image rotate

【図21A】
image rotate

【図21B】
image rotate

【図21C】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24A】
image rotate

【図24B】
image rotate

【図25A】
image rotate

【図25B】
image rotate

【図26A】
image rotate

【図26B】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31A】
image rotate

【図31B】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate


【公開番号】特開2012−130350(P2012−130350A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−41268(P2012−41268)
【出願日】平成24年2月28日(2012.2.28)
【分割の表示】特願2006−553292(P2006−553292)の分割
【原出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(506047813)プラネットエアー ターフ プロダクツ,エルエルシー (4)
【Fターム(参考)】