説明

土留め体設置回収式基礎縦杭施工システム

【課題】掘削に際して、地上においた油圧ショベルとテレスコピックなどの地上からの押圧の必要なく、必要な押圧力で掘削、鑿岩を可能とする掘削用土留め体を提供する。
【解決手段】固定基礎孔により反力を与えられる掘削用土留め体10であって、吸引式掘削具、削岩機付き吸引式掘削具7、吸引式アースオーガ、削岩機6などの掘削手段DMの少なくともいずれか一つを、掘削用土留め体10の周方向に移動可能に、あるいは又は及びその掘削方向を傾動可能か固定して、あるいは又は及びその掘削用土留め体10の径方向の位置を移動可能か固定して、着脱交換可能に設置可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定基礎孔に固定された離接機構によって、土留め体を順に押し下げて設置する土留め体設置工程と、前記土留め体を順に引き出して回収しながらコンクリートを打設する土留め体回収工程とを実現する土留め体設置回収式基礎縦杭施工システムに使用する土留め体の最深部に使用可能な掘削用土留め体と、この掘削用土留め体を用いた基礎縦杭施工システムに関する。
【背景技術】
【0002】
送電線用鉄塔などの建築物には、その基礎に強固な基礎縦杭が必要とされる。その基礎縦杭施工工事は山間僻地の不便な場所での施工となることが多く、用いる機材や装置もできるだけ小型で運搬設置の容易なものが望まれ、かつ、施工中は出来るだけ周囲環境への影響を少なくし、施工後は本体建築物以外は完全に撤去する必要のあるものである。
【0003】
また、そのような山間僻地での工事については、必要な作業員もできるだけ少なくして、かつ、作業環境もできるだけ良好なものとすることが望まれている。本出願人は、このような課題を解決すべく、特許文献1〜4に記載された特許発明の技術を提案して来ている。
【0004】
特許文献1に記載のアースオーガによる立坑の掘削工法および掘削装置は、アースオーガを油圧ショベルのブーム先端に取り付けられ伸縮可能なテレスコピックアームの先端に取り付けて、立坑底での穿孔・掘削と、同ブーム先端にクラムシェルを付け替えて、掘削後の土砂の掻取り・搬出を地上から可能とするもので、それまでの立坑底での作業員の困難で悪環境での作業を不要とするものである。
【0005】
特許文献2に記載の土留め体の施工方法および施工装置は、固定基部に設置された離接機構を用いて、土留め体を順に下方へ設置する設置工程と、この設置工程の完了後、同じ離接機構を用いて土留め体を順に上方へ回収しながらコンクリートを打設する回収工程とを可能として、従来、土中に残留されていた土留め体の再利用を可能とするもので、省資源化に大きく貢献するものである。
【0006】
特許文献3に記載の掘削具、立坑掘削システムは、掘削用ドリルチップを同時回転する中心軸と円筒の先端に備え、この円筒後端に回転しない蓋を付けて、この蓋に吸引ダクトを設置して、土石を掘削しながら、吸引排出することができるもので、特許文献1の技術を更に進化させたものである。
【0007】
特許文献4に記載の縦坑掘削ユニットおよび縦坑掘削システムは、より固い岩盤についても鑿岩、掘削、土石排出ができるように、特許文献4の掘削具に鑿岩機を組み合わせたものである。
【0008】
しかしながら、上記いずれの技術においても、掘削の際には、地上に置いた油圧ショベルと、そのブーム先端に取り付けられたテレスコピックによる掘削具の押圧や位置移動などが必要であり、また、縦坑の深さが深くなってテレスコピックの長さが長くなると、その移動や位置決めに困難が伴い、解決が望まれていた。
【特許文献1】特許第4000004号公報(図1)
【特許文献2】特許第3947976号公報(図1〜図4)
【特許文献3】特許第3965421号公報(図1、図4)
【特許文献4】特許第4022570号公報(図1、図2、図5、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記問題を改善しようとするもので、掘削に際して、地上においた油圧ショベルとテレスコピックなどの地上からの押圧の必要なく、必要な押圧力で掘削、鑿岩を可能とする掘削用土留め体と、この掘削用土留め体を用いた基礎縦杭施工システムとを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の掘削用土留め体は、固定基礎孔に固定された離接機構によって、土留め体を順に押し下げて設置する土留め体設置工程と、前記土留め体を順に引き出して回収しながらコンクリートを打設する土留め体回収工程とを実現する土留め体設置回収式基礎縦杭施工システムに使用する土留め体の最深部に使用可能な掘削用土留め体であって、
吸引式掘削具、削岩機付き吸引式掘削具、吸引式アースオーガ、削岩機などの掘削手段の少なくともいずれか一つを、前記掘削用土留め体の周方向に移動可能に、あるいは又は及びその掘削方向を傾動可能か固定して、あるいは又は及びその前記掘削用土留め体の径方向の位置を移動可能か固定して、着脱交換可能に設置可能としたことを特徴とする。
【0011】
本発明の基礎縦杭施工システムは、上記掘削用土留め体を用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の掘削用土留め体によれば、固定基礎孔に固定された離接機構によって、土留め体を順に押し下げて設置する土留め体設置工程と、前記土留め体を順に引き出して回収しながらコンクリートを打設する土留め体回収工程とを実現する土留め体設置回収式基礎縦杭施工システムに使用する土留め体の最深部に使用可能な掘削用土留め体であって、
吸引式掘削具、削岩機付き吸引式掘削具、吸引式アースオーガ、削岩機などの掘削手段の少なくともいずれか一つを、前記掘削用土留め体の周方向に移動可能に、あるいは又は及びその掘削方向を傾動可能か固定して、あるいは又は及びその前記掘削用土留め体の径方向の位置を移動可能か固定して、着脱交換可能に設置可能としたので、掘削用土留め体自身が固定基礎孔からの反力を受けて、そこに取り付けた掘削手段へ押圧力を与えることができるので、掘削に際して、地上においた油圧ショベルとテレスコピックなどの地上からの押圧の必要なく、必要な押圧力で掘削、鑿岩をすることができる。
【0013】
本発明の基礎縦杭施工システムは、上記掘削用土留め体を用いたので、この掘削用土留め体の効果を基礎縦杭施工システムとして発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
<実施形態1>
図1は、本発明の掘削用土留め体の一例を示すもので、(a)は、その上面図、(b)は、(a)のA視要部詳細図、(c)は、その一部破断の正面図である。
【0015】
この掘削用土留め体10は、特許文献2に記載された土留め体の施工装置に相当する、固定基礎孔に固定された離接機構によって、土留め体を順に押し下げて設置する土留め体設置工程と、前記土留め体を順に引き出して回収しながらコンクリートを打設する土留め体回収工程とを実現する土留め体設置回収式基礎縦杭施工システム、に使用する土留め体の最深部に使用可能な掘削用土留め体10である。
【0016】
その特徴は、この掘削用土留め体10に、吸引式掘削具8(図12参照)、削岩機付き吸引式掘削具7、吸引式アースオーガ9(図12参照)、削岩機6などの掘削手段(DM)の少なくともいずれか一つを、掘削用土留め体10の周方向に移動可能に、あるいは又は及びその掘削方向を傾動可能か固定して、あるいは又は及びその掘削用土留め体10の径方向の位置を移動可能か固定して、着脱交換可能に設置可能としたことにある。
【0017】
このようにすると、掘削用土留め体10自身が、地盤Eに対して離接機構13によって土留め体11を設置回収(押し下げ・引き上げ)できる程度に強固に固定された固定基礎孔30(いずれも図2参照。基本的には、特許文献2と同じ構成である。)からの押圧力を受けているので、その押圧力を利用して、掘削手段(DM)を好適に押圧して掘削、鑿岩等をさせることができる。
【0018】
つまり、この掘削用土留め体10によれば、それに設置された掘削手段(DM)によって、掘削に際して、地上においた油圧ショベルとテレスコピックなどの地上からの押圧の必要なく、必要な押圧力で掘削、鑿岩を可能とすることができる。以下、より詳しく説明する。
【0019】
掘削用土留め体10は、少なくとも外径は、通常の土留め体11と同じ外径の土留め体本体1と、この土留め体本体1の内周壁に着脱可能に設置された支持リング2と、この支持リング2上に回動可能に設置された径方向支持梁3と、この径方向支持梁3の長手方向の一端に固定された固定支持体4と、径方向支持梁3上を径方向に移動可能に支持された移動支持体5とを備えている。
【0020】
この例では、掘削手段DMとして、固定支持体4に削岩機6が、移動支持体5に削岩機付き吸引式掘削具7が設置されている。
【0021】
土留め体本体1は、この例では、それ以外の土留め体11(図2及び特許文献2の図2参照。)が薄鋼板枠体構成の通常のものであるのに対し、肉厚中実の鋼材で構成され、土留め体11より重量のあるものとなっている。
【0022】
このようにすると、その重量だけで、掘削用土留め体10に設置した掘削手段DMに掘削力を与える押圧力を補助することができる上、その重量(より正確には質量)によって、掘削や鑿岩に伴う振動の影響を少なくすることができる。
【0023】
土留め体本体1の重量を稼ぐために、単に、この本体1を、通常の土留め体11と同じ内外径で中実円筒鋼材とする他、その長さを通常の土留め体より長くしたり、内径を小さくしたり、更に、別に重りを着脱可能にあるいは固定的に固定するようにしてもよい。
【0024】
支持リング2は、その上に、径方向支持梁3を円周方向に回動可能に載せているが、そのために、二本の平行な角形鋼パイプからなる径方向支持梁3の両端に設置されたローラ支持板3bと、このローラ支持板3bに支持リング2を上下から挟み込むんで回転するように取り付けられた左右一対の回転ローラ3cとを備えている。
【0025】
また、支持リング2は、支持リング2の下方で土留め体本体1の内周壁に着脱可能にリングを形成するように取り付けられたローラチェーン2aと、このローラチェーン2aに噛み合うスプロケット2bと、このスプロケット2bを適度な速度で回動させる回動手段2cと、この回動手段2cをローラ支持板3bに支持設置する回動手段支持板2dとを備えている。
【0026】
なお、上記の径方向支持梁3を支持リング2上を回動させるのに必要な部品は、図1(a)に示すように径方向支持梁3に対して対称な位置に一対で設けられている。また、この角形鋼パイプからなる径方向支持梁3は、その内部空間を油圧タンクとして用いられ、この径方向支持梁3の一方側面には、この油圧タンクの作動油を回転駆動手段2c等に供給する油圧ポンプ3d(制御弁なども内蔵する)が設けられている。
【0027】
径方向支持梁3は、上述したように、一般に建築構造材として用いられる角形鋼パイプを二本平行に支持リング2上に載せ、支持リング2に対して、上述の構成により土留め体本体1の内側で回動可能となっている。
【0028】
固定支持体4は、径方向支持梁3の二本の角形鋼パイプの間に両持ち状態で固定されている。移動支持体5は、径方向支持梁3の上面に設けられた一対のラック3aと、このラック3aに噛み合い、移動支持体5に内蔵された回動手段(不図示)で回動される一対のピニオンギヤ5aと、移動支持体5に支持され径方向支持梁3の角形鋼パイプの内上側に当接回動する一対の左右ローラ5bとで両持ち状態で径方向移動可能に支持されている。
【0029】
固定支持体4に着脱交換可能に支持された削岩機(掘削手段)6(DM)は、2点鎖線の想像線で示すように、鑿岩方向を真下や、土留め体本体1の中心側、外周側に傾けることができる。つまり、これにより、図3〜5で示すように基礎縦杭35に要求される拡径底部34Aに必要な拡径底孔EAを掘削することができる。
【0030】
移動支持体5に着脱交換可能に支持された削岩機付き吸引式掘削具(掘削手段)7(DM)は、特許文献4(図1及び図2)に記載されたものと同じものなので、詳細の説明は省略するが、中央の鑿岩ロッド7aと、円筒状の掘削用ドリルチップ7bと、鑿岩・掘削された土石を吸引排出するための吸引排出口7cとを備えている。
【0031】
これより、このような構成の掘削用土留め体10を用いた土留め体設置回収式基礎縦杭施工システムの施工工程について説明する。
【0032】
図2は、図1の掘削用土留め体を用いた土留め体設置回収式基礎縦杭施工システムによる施工工程を順に示すもので、(a)、(b)は掘削をしながら土留め体を設置している工程を示す断面図である。これより、既に説明した部分と同じ部分には同じ符号を付して、重複説明を省略する。
【0033】
この施工の基礎になるのが固定基礎孔30であるが、その構成は、特許文献2に記載のものと概ね同一であるので、詳細は省略するが、まず、山間の傾斜した地盤Eに基礎孔30用の所定深さ(例えば、1メートル)で、所定内径(例えば、3.5メートル)の基礎下孔を掘削し、孔底にH形鋼を環状とした基台15と、その上に波形円筒状のライナープレート12とを設置する。
【0034】
基台15とライナープレート12とは上下に離間しないように強固に固定し、その後、基台15及びライナープレート12と基礎下孔との間にコンクリート16を打設し固化させる。その後、基台15に複動油圧ジャッキなどで構成される離接機構13の基礎側を固定し、この離接機構13の先端側(上下移動側)に固定リング14を介して土留め体10(11)を固定する。
【0035】
最初は、離接機構13を最伸状態として、最深部となる掘削用土留め体10に固定リング14を固定し、掘削具6、7で掘削、土石吸引排出しながら、離接機構13により掘削の度合いに応じて掘削用土留め体10を下方へ順に押し下げていく。この工程を土留め体の設置工程という。なお、符号36Aは、土石吸引排出ダクトである。
【0036】
この際、この押し下げの反力に耐えられるように固定基礎孔30が地盤Eに対して固定されていることが必要であるが、一般に固い岩盤の地盤に設けられた固定基礎孔30であれば、この押し下げの反力に耐えることができる。
【0037】
さて、この設置工程は、一つの土留め体10、11の最上部が離接機構13の先端の最短縮位置まで来た際には、新しい土留め体11を載せて、順に続けられる。
【0038】
ここに示した図2(a)と(b)はそのような設置工程が進んで、最深部の掘削用土留め体10の上に三段の土留め体11が既に施工され、(a)の状態から(b)の状態へと離接機構13が縮んで、土留め体10、11を押し下げ、掘削が進んでいる状態を示している。
【0039】
なお、この図2は、まだ基礎縦孔の掘削の途中過程であるが、削岩機6が拡底掘削も可能であるこを示すために、この状態でも最深部が拡底されてる状態を示している。しかし、実際には、拡底工程は、目的とする深さに到達した際に行われるものである。
【0040】
図3は、図2と同様に土留め体設置回収式基礎縦杭施工システムによる施工工程を順に示すもので、(a)は、土留め体設置工程を完了し、掘削用土留め体から掘削具を除去した状態を示す断面図、(b)は、地上で用意されたコンクリート打設用縦筋を示す図、(c)は、(b)の縦筋を吊り下げた状態を示す正面図、(d)は、(c)の下方図である。
【0041】
図2で説明した設置工程が済むと、最深部の掘削用土留め体10の土留め体本体1以外の部分は分離可能なので、掘削具6、7や、他の部品は外されて地上に持ち出され、図3(a)の状態となる。ここで、最深部の土留め体本体1の下方に拡径底孔EAが形成されている点を確認する。
【0042】
次に、図3(b)に示すように、基礎縦杭のコンクリート打設用の縦筋31を準備し、まず、地上で寝かせた状態で、目的とする縦筋配置半径となる縦筋吊り下げリング33に必要な本数だけ連結する。
【0043】
この状態の縦筋吊り下げリング33を適切な吊り下げ手段CF(例えば、クレーンのフック)で吊り下げると図3(c)の状態となり、この状態を下方から見ると、図3(d)のように見える。ここで、この状態では、まだ、横筋(フープ筋)が取り付けられていないことを確認する。
【0044】
図4は、図2と同様に土留め体設置回収式基礎縦杭施工システムによる施工工程を順に示すもので、(a)は、吊り下げられた縦筋に最上部の土留め体部分で順に横筋(フープ筋)を設置しながら下降させている状態を示す断面図、(b)は、縦筋と横筋の設置が終了した後、順に土留め体を回収しながらコンクリート打設をしている状態を示す断面図である。
【0045】
図3(c)の吊り下げ状態の縦筋31を、設置工程の済んだ土留め体10、11の中へ徐々に入れて行くが、その際、図4(a)に示すように、吊り下げ状態の縦筋31の最下部の外側から、土留め体10の最上部分の上で、順に、分割状態の横筋(フープ筋)32を取り付けながら入れていくようにしている。
【0046】
このようにすると、予め縦筋31と横筋32とを組み立て準備しておくのに比べ、大幅に施工工程を簡略化でき、組み立てた状態の縦筋31と横筋32とを置いて置く場所や運搬の節約をすることができる。
【0047】
こうして、順に横筋32を取り付けながら、縦筋を土留め体10、11の最深部(その拡径底孔EAの底面)まで下げると、ついで、図4(b)の回収工程となる。この回収工程は、図示するように、離接機構13で順に土留め体11、10を上へ引き出しながら、土留め体10がなくなった部分に順にコンクリート34を打設していくものである。
【0048】
なお、ここで、最深部の拡径底孔EAにもコンクリート34が打設されて拡径底部34Aが形成されているのを確認する。
【0049】
図5は、図2と同様に土留め体設置回収式基礎縦杭施工システムによる施工工程を順に示すもので、コンクリート打設が完了し、土留め体が完全に回収除去され、離接機構も除去された状態を示す断面図である。
【0050】
図4で説明した回収工程が進み、固定基礎孔30の底部までコンクリートの打設が済むと、最後の土留め体10も取り除き、離接機構13も除去すると、図5の状態となり、これで、土留め体設置回収式基礎縦杭施工システムによる基礎縦杭35の施工は完了する。
【0051】
ここで、基礎縦坑35のコンクリート打設部分の上面から、縦筋31の一部が突出している。これは、この後、固定基礎孔30が除去され、本来の送電線鉄塔などの建築物の地上基礎が施工されるが、その地上基礎との連結の為である。
【0052】
なお、土留め体10、11の外径、つまり、基礎縦坑35の外径は、例えば、2.5メートル、基礎縦坑の深さは、建築物の仕様にもよるが、20メートルから30メートルとされているが、これに限られず、本発明の土留め体設置回収式基礎縦杭施工システムは、これ以外の外径や深さにも対応可能なものである。
【0053】
また、本発明の基礎縦杭施工システムの用いる固定基礎孔は、上述のようなライナープレート12と基台15とコンクリート16とという簡易な構成であるので、山間僻地での施工に便利であり、また、基礎縦杭施工後の撤去も簡単なものである。
【0054】
<実施形態2>
本発明の土留め体設置回収式基礎縦杭施工システムにおいては、固定基礎孔が土留め体を押し下げ、引き出す際に必要な反力(押圧力)に耐えられるかどうか、が非常に重要である。一般に地盤Eが固い岩盤である場合には、図2で示したもの(特許文献2と同じもの)で十分であるが、軟弱な地盤の場合には不十分な場合がある。
【0055】
そこで、本出願人は、地盤Eとの結合力を高め、軟弱な地盤等であっても十分な反力を確保することができるような固定基礎孔を種々研究し、以下の3種類の固定基礎孔を地盤の軟弱度に応じて用いることを提案するものである。
【0056】
図6(a)は、本発明の土留め体設置回収式基礎縦杭施工システムに用いる固定基礎孔の他例を示す断面図、(b)は、(a)の反力杭固定金具を示す正面図、(c)は、(b)の側面図である。
【0057】
この固定基礎孔30Aは、図2の固定基礎孔30に比べ、固定基礎孔30Aの下方部分から、固定基礎孔30Aを中心として放射状に斜め下方向に複数本の反力杭19が打ち込まれ、反力杭19が固定基礎孔30Aに傾斜方向が維持されるように、かつ、使用後除去可能に固定されている点が異なっている。
【0058】
また、このため、固定基礎孔30Aは、図2の固定基礎孔30に比べ、基礎孔30A下部がH形鋼ではなく、アングル鋼の基台18となり、この基台18の水平辺と反力杭19とを反力杭固定金具20で反力杭19の傾斜方向が維持されるように固定連結している点が異なっている。
【0059】
反力杭19を、例えば、外径が48.6ミリで、長さが1535ミリのものとして、45度傾けて、20本放射状に打ち込んで、固定基礎孔30Aの反力を測定すると、同じ地盤で反力杭の無い場合に比べて、約2倍の反力を得ることができた。
【0060】
反力杭固定金具20は、図6(b)、(c)に示すように、基台固定部20aと、この基台固定部20aに対して傾斜角度可変に固定可能な反力杭固定部20bとを備えている。
【0061】
基台固定部20aは、「コ」状部分を備え、ここに基台18の水平辺を挟み込んで、固定ボルト20cで固定金具20を基台18に締付固定するものである。また、基台固定部20aは、上記「コ」状部分の下方に両側に放射状凹凸部20dを備えた突起部分を備えている。
【0062】
反力杭固定部20bは、基台固定部20aの放射状凹凸部20dと同じものを内側に備えた一対の上方部分と、この上方部分に連結された円筒状であって、反力杭19を収容して、固定締付する固定孔20eを有する下方部分とを備えている。固定孔20eの一部には、その軸方向の全長に渡って、切り溝20fが設けられている。
【0063】
反力杭固定部20bの上方部分の放射状凹凸部20dの中央部分には、一対の上方部分を貫通するように、締付固定ボルト20gが設けられ、固定孔20eに反力杭19を入れ、このボルト20gを締め付けることにより、反力杭19の傾斜角度に合わせながら、反力杭固定部20bを基台固定部20aに固定すると共に、反力杭19を固定孔20eによって締付固定することができる。
【0064】
従って、このような構成の反力杭固定金具20によれば、反力杭19を打ち込んだ後、基台固定部20a側で基台18との固定を、反力杭固定部20b側で反力杭19の固定をして、両者間をその傾斜角を維持したまま、固定連結することができる。
【0065】
また、使用後には、反力杭固定金具20と、反力杭19とはいずれも取り外すことができ、結局、この固定基礎孔30Aも基礎縦杭施工後は完全に除去可能なものである。加えて、この固定基礎孔30Aによれば、地盤によって、十分な反力が得られない場合でも、約2倍の反力を得ることができる。
【0066】
図7(a)は、本発明の土留め体設置回収式基礎縦杭施工システムに用いる固定基礎孔の他例を示す断面図、(b)は(a)のロックボルトの配置状態を示す図である。
【0067】
この固定基礎孔30Bは、図2の固定基礎孔30に比べ、ライナープレート12の適所に水平方向に複数本のロックボルト21を打ち込んだ点が異なっている。
【0068】
このロックボルト21は、いわゆる水平アンカーボルトであって、鋼製のボルト状のものを水平に図7(b)に示すような配置で打ち込んで、その周囲にコンクリート21aを圧入して固化させ、その後端側で、ライナープレート12に、ワッシャ21cとナット21bとを用いて強固に固定したものである。
【0069】
このような構成の固定基礎孔30Bによれば、その反力を固定基礎孔30に比べ、増加させることができる。
【0070】
図8は、本発明の土留め体設置回収式基礎縦杭施工システムに用いる固定基礎孔の他例を示す断面図である。
【0071】
この固定基礎孔30Cは、図2の固定基礎孔30に比べ、固定基礎孔Cの中央固定位置と、固定基礎孔30Cの外側の中央部分から同じ半径にある2箇所の外部固定位置に、固定基礎孔固定用アンカー22A、22Bを打ち込んで、それらと固定基礎孔30Cの上方部分とを、この例では、H形鋼で構成された固定梁23で上下への反力が伝わるように固定連結したものである。
【0072】
この場合も、アンカー22A、22Bの周囲にはコンクリート22aを圧入して固化させ、固定梁23に対して、アンカー22A、22Bの上端をワッシャ22cとナット22bとで固定している点は、図7の場合と同じである。
【0073】
このような構成の固定基礎孔30Bによれば、その反力を固定基礎孔30に比べ、増加させることができる。
【0074】
なお、固定基礎孔固定用アンカーは、固定基礎孔の中央位置の一箇所だけでも、この中央部分から同じ半径離れた基礎孔内部の内部固定位置の少なくとも2箇所だけでも、また、固定基礎孔の外部の前記中央部分から同じ半径離れた外部固定位置の少なくとも2箇所だけでもよく、これらを併合して用いてもよい。
【0075】
<実施形態3>
図9は、図1の掘削用土留め体を用いた土留め体設置回収式基礎縦杭施工システムの全体構成を示す構成図である。
【0076】
この土留め体設置回収式基礎縦杭施工システム50(以後、「基礎縦杭施工システム50」という。)は、図1〜図5で説明した、掘削用土留め体10と、固定基礎孔30と、掘削により吸引排出された土石と吸引空気の混合物を通過させる吸引排出ダクト36A〜36Dを備えている。
【0077】
また、この基礎縦杭施工システム50は、地下の吸引式掘削具7から吸引排出された土石を分離捕集する土石捕集機40と、土石捕集機40で分離された土石を土石収容袋41aへ運ぶコンベア41と、土石捕集機の上流側に設けられ、依然と残留している細かい土砂を分離する微粒土砂捕集機42とを備えている。
【0078】
更に、基礎縦杭施工システム50は、微粒土石捕集機42の上流側に設けられた吸引機43と、この吸引機43から排出される排気から微粉塵を除去しながら排気する開閉袋式フィルタ44とを備えている。
【0079】
吸引式掘削具7と土石捕集機40とは吸引排出ダクト36Aで、土石捕集機40と微粒土砂捕集機42とは吸引排出ダクト36Bで、微粒土砂捕集機42と吸引機43とは吸引排出ダクト36Cで、吸引機43と開閉袋式フィルタ44とは吸引排出ダクト36Dで連結されている。
【0080】
この基礎縦杭施工システム50は、このような構成により、掘削用土留め体10と固定基礎孔30との効果をシステム50として発揮すると共に、吸引排出された土石を効率よく分離回収し、かつ、周囲環境に極力影響を与えない、という効果を発揮することができる。以下、このシステム50の更なる特徴点について説明する。
【0081】
図10は、(a)は、図9のシステムを構成する土石捕集機の拡大図、(b)は、(a)の上部横断面図、(c)は(a)の下部縦断面図、(d)は(c)の要部拡大図、(e)は(c)のBB矢視断面図である。
【0082】
図10に示す土石捕集機40は、上方のサイクロン式土石分離部37と、この分離部分の下方で複数のバタフライ形斜め遮蔽式土石排出蓋38bを設けた土石排出部38とを備えている。
【0083】
サイクロン式土石分離部37は、筒状体であって、その筒状体の外周壁の上方に吸引されて来た土石と吸引空気の混合物を接線方向に導入するサイクロン導入口37aと、この導入口37aによって発生される下方への渦流の下方部分に開口し、分離部37の上方に分離後の吸引空気を導く空気導出口37bとを備えている。
【0084】
このサイクロン式の原理は、公知のものではあるが、一般の掃除機にではなく、縦坑掘削時に発生する土石と吸引空気との混合物における土石と空気との分離にサイクロンを用いた点が特徴である。分離された土石は重力により下方の土石排出部38へ落下していく。
【0085】
この土石排出部38は、筒部38aと、この筒部38aの内周壁に沿って開閉する、上下3箇所に設けられたバタフライ形斜め遮蔽式土石排出蓋38bと、この排出蓋38bの遮蔽時に排出蓋38bの回転限度側の上下周縁部分に接触して気密を維持する半円リング状の周縁リング板38cとを備えている。
【0086】
このバタフライ形斜め遮蔽式土石排出蓋38bは、図10(d)に示すように、一定角度傾斜した状態で、その外周端が筒部38aの内周壁に気密に接触するようになっている。加えて、既述の周縁リング板38cが排出蓋38bの外周縁側面との間の気密を維持している。
【0087】
その結果、この排出蓋38bは、図10(c)に示す角度範囲Cだけで開閉するようになっている。
【0088】
更に、この土石排出部38は、このような構成の土石排出蓋38bと周縁リング板38cとのセットを上下に3箇所に渡って設けて、分離された土石を下部へ落下させるのに、常に、3つの排出蓋38bの内二つは閉じた状態(図示)とするようにしている。
【0089】
よって、この土石排出部38によれば、より特定的には、複数箇所設けられたバタフライ形斜め遮蔽式土石排出蓋38bによれば、従前に比べ、下方開口側からの空気の流入を確実に阻止して、土石捕集機40の吸引力を大幅に良好に維持することができ、大きな石が混じった土石であっても効率よく吸引排出し、分離することができる。
【0090】
なお、土石排出蓋38bと周縁リング板38cとのセットは、上下に2箇所以上設ければ良い。
【0091】
図11(a)は、図9のシステムを構成する微粒土砂捕集機の拡大図、(b)は、(a)の上部横断面図、(c)は同システムを構成する開閉袋式フィルタの拡大図、(d)は(c)の要部縦断面図である。
【0092】
図11(a)、(b)の微粒土砂捕集機42は、土石捕集機40では捕集できない細かい土砂を捕集するもので、土石捕集機40のサイクロン式土石分離部37と同様のサイクロン導入口42aと空気導出口bとを備え、微粒土砂に対して、同様の分離効果を発揮することができる。
【0093】
なお、微粒土砂捕集機42の下方は、開閉可能となっており、分離された微粒土砂を適宜取り出し、回収することができる。
【0094】
図11(c)、(d)の開閉袋式フィルタ44は、微粒土砂捕集機42でも分離できなかった微粉塵を通過させないで、空気だけを通過させる開閉袋式フィルタユニット44bを4つ用い、分配管44aで、これらのユニット44bに均等に吸引機43からの排気が行き渡るようにしたものである。
【0095】
分配管44aはその長手方向の中央に吸気部分を持ち、その吸気部分を中心として両側に各2箇所ずつのユニット44bへの排気部分を持っていて、上記均等な排気配分を達成している。
【0096】
開閉袋式フィルタユニット44bは、上方の結束部44cで分配管44aに着脱可能に固定され、下方の結束部44dを解放することで、内部に溜まった微粉塵を排出回収することができる。
【0097】
<実施形態4>
図12(a)、(b)は本発明の掘削用土留め体に着脱設置可能な吸引式掘削具を例示する外観斜視図である。
【0098】
図12(a)の吸引式掘削具(掘削手段)8(DM)は、特許文献3に記載の掘削具と同じもので、取付部8aと、回動手段8bと、掘削用ドリルチップ8dと8eとを同時回転する中心軸と円筒8cの先端とに備え、この円筒8cの後端に回転しない蓋を付けて、この蓋に吸引ダクト口8fを設置して、土石を掘削しながら、吸引排出することができるものである。
【0099】
この吸引式掘削具8は、削岩機で鑿岩する必要の無い程度の固さの地盤の掘削に有効であり、掘削用土留め体10と組み合わされれば、その効果を、掘削用土留め体10として発揮する。
【0100】
図12(b)の吸引式アースオーガ(掘削手段)9(DM)は、図12(a)の吸引式掘削具8の掘削用ドリルチップをアースオーガとしたもので、取付部9aと、回動手段9bと、回転しない蓋付き円筒9cと、回動手段9Bで回動するアースオーガ9dと、円筒9Cに設けられた吸引ダクト口9fを備えたものである。
【0101】
この吸引式アースオーガ9は、アースオーガ9dで穿孔可能な地盤の掘削に適しており、土砂を掘削しながら、吸引排出することができるもので、掘削用土留め体10と組み合わされれば、その効果を、掘削用土留め体10として発揮する。
【0102】
こうして、この基礎縦杭施工システム50によれば、山間僻地での鉄塔基礎工事や、地滑り抑止杭などの施工に必要な小口径の縦孔を、地上からの遠隔操作により掘削し、掘削された土石を密閉されたシステムの中で排出回収することができるので、周囲環境に極力影響を与えることなく保全する環境共生型のシステムを提供可能とすることができる。
【0103】
なお、本発明の掘削用土留め体及び基礎縦杭施工システムは、上記の実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で、種々の変形例、組み合わせが可能であり、これらの変形例、組み合わせもその権利範囲に含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明の掘削用土留め体及び基礎縦杭施工システムは、掘削に際して、地上においた油圧ショベルとテレスコピックなどの地上からの押圧の必要なく、必要な押圧力で掘削、鑿岩を可能とすることが要請される産業分野に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の掘削用土留め体の一例を示すもので、(a)は、その上面図、(b)は、(a)のA視要部詳細図、(c)は、その一部破断の正面図
【図2】図1の掘削用土留め体を用いた土留め体設置回収式基礎縦杭施工システムによる施工工程を順に示すもので、(a)、(b)は掘削をしながら土留め体を設置している工程を示す断面図
【図3】図2と同様に土留め体設置回収式基礎縦杭施工システムによる施工工程を順に示すもので、(a)は、土留め体設置工程を完了し、掘削用土留め体から掘削具を除去した状態を示す断面図、(b)は、地上で用意されたコンクリート打設用縦筋を示す図、(c)は、(b)の縦筋を吊り下げた状態を示す正面図、(d)は、(c)の下方図
【図4】図2と同様に土留め体設置回収式基礎縦杭施工システムによる施工工程を順に示すもので、(a)は、吊り下げられた縦筋に最上部の土留め体部分で順に横筋(フープ筋)を設置しながら下降させている状態を示す断面図、(b)は、縦筋と横筋の設置が終了した後、順に土留め体を回収しながらコンクリート打設をしている状態を示す断面図
【図5】図2と同様に土留め体設置回収式基礎縦杭施工システムによる施工工程を順に示すもので、コンクリート打設が完了し、土留め体が完全に回収除去され、離接機構も除去された状態を示す断面図
【図6】(a)は、本発明の土留め体設置回収式基礎縦杭施工システムに用いる固定基礎孔の他例を示す断面図、(b)は、(a)の反力杭固定金具を示す正面図、(c)は、(b)の側面図
【図7】(a)は、本発明の土留め体設置回収式基礎縦杭施工システムに用いる固定基礎孔の他例を示す断面図、(b)は(a)のロックボルトの配置状態を示す図
【図8】本発明の土留め体設置回収式基礎縦杭施工システムに用いる固定基礎孔の他例を示す断面図
【図9】図1の掘削用土留め体を用いた土留め体設置回収式基礎縦杭施工システムの全体構成を示す構成図
【図10】(a)は、図9のシステムを構成する土石捕集機の拡大図、(b)は、(a)の上部横断面図、(c)は(a)の下部縦断面図、(d)は(c)の要部拡大図、(e)は(c)のBB矢視断面図
【図11】(a)は、図9のシステムを構成する微粒土砂捕集機の拡大図、(b)は、(a)の上部横断面図、(c)は同システムを構成する開閉袋式フィルタの拡大図、(d)は(c)の要部縦断面図
【図12】(a)、(b)は本発明の掘削用土留め体に着脱設置可能な吸引式掘削具を例示する外観斜視図
【符号の説明】
【0106】
1 土留め体本体
2 支持リング
3 径方向支持梁
4 固定支持体
5 移動支持体
6(DM) 削岩機(掘削手段)
7(DM) 削岩機付き吸引式掘削具(掘削手段)
8(DM) 吸引式掘削具(掘削手段)
9(DM) 吸引式アースオーガ(掘削手段)
10 掘削用土留め体
11 土留め体
13 離接機構
19 反力杭
20 反力杭固定金具
21 ロックボルト
22A、22B 固定基礎孔固定用アンカー
30〜30C 固定基礎孔
31 縦筋
32 横筋(フープ筋)
34 コンクリート
34A 拡径底部
35 基礎縦杭
37 サイクロン式土石分離部
38 土石排出部
38b バタフライ形斜め遮蔽式土石排出蓋
40 土石捕集機
42 微粒土砂捕集機
43 吸引機
44 開閉袋式フィルタ
50 土留め体設置回収式基礎縦杭施工システム
DM 掘削手段
E 地盤
EA 拡径底孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定基礎孔に固定された離接機構によって、土留め体を順に押し下げて設置する土留め体設置工程と、前記土留め体を順に引き出して回収しながらコンクリートを打設する土留め体回収工程とを実現する土留め体設置回収式基礎縦杭施工システムに使用する土留め体の最深部に使用可能な掘削用土留め体であって、
吸引式掘削具、削岩機付き吸引式掘削具、吸引式アースオーガ、削岩機などの掘削手段の少なくともいずれか一つを、前記掘削用土留め体の周方向に移動可能に、あるいは又は及びその掘削方向を傾動可能か固定して、あるいは又は及びその前記掘削用土留め体の径方向の位置を移動可能か固定して、着脱交換可能に設置可能としたことを特徴とする掘削用土留め体。
【請求項2】
掘削用土留め体を肉厚中実の鋼材より構成し、薄鋼板枠体構成の通常の土留め体より重量のあるものとしたことを特徴とする請求項1記載の掘削用土留め体。
【請求項3】
請求項1または2記載の掘削用土留め体を用いたことを特徴とする基礎縦杭施工システム。
【請求項4】
固定基礎孔の下方部分から、該記固定基礎孔を中心として放射状に斜め下方向に複数本の反力杭が打ち込まれ、前記反力杭が前記固定基礎孔に傾斜方向が維持されるように、かつ、使用後除去可能に固定されていることを特徴とする請求項2記載の基礎縦杭施工システム。
【請求項5】
固定基礎孔の中央固定位置に、あるいは、この中央部分から同じ半径にある少なくとも2箇所の内部固定位置に、あるいは又は及び、前記固定基礎孔の外側の前記中央部分から同じ半径にある少なくとも2箇所の外部固定位置に、固定基礎孔固定用アンカーを打ち込むことを特徴とする請求項3または4記載の基礎縦孔施行システム。
【請求項6】
吸引式の掘削手段で地上に吸引排出された土石を分離捕集する土石捕集機を備え、
この土石捕集機の分離部分をサイクロン式とし、この分離部分の下方に複数のバタフライ形斜め遮蔽式土石排出蓋を設けたことを特徴とする請求項3から5のいずれか記載の基礎縦杭施工システム。
【請求項7】
土石捕集機の上流側に、微粒土砂捕集機を設け、前記微粒土砂捕集機をサイクロン式としたことを特徴とする請求項3から6のいすれか記載の基礎縦杭施工システム。
【請求項8】
微粒土石捕集機の上流側に、吸引機を設け、前記吸引機から排出される排気から微粉塵を除去しながら排気する開閉袋式フィルタを設置したことを特徴とする請求項3から7のいずれか記載の基礎縦杭施工システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2009−161980(P2009−161980A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−307(P2008−307)
【出願日】平成20年1月7日(2008.1.7)
【特許番号】特許第4296450号(P4296450)
【特許公報発行日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(593001853)エイト工業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】