土質を監視する方法およびシステム
通気帯中に形成されたボーリング孔(14)内に設置される、可膨張性スリーブ(18)に取り付けるようになっている通気帯プローブ(10)を用いて、比較的安定した土壌条件において、土壌の水力学的性質を監視し、土壌間隙水のサンプルを収集する方法および装置である。通気帯プローブは、外部からプローブの内部にアクセスするため、1つまたは複数の導管(13a、13b、13c)が接続された流体セル(15)と、流体セルの内部とボーリング孔の土壌との間での液体の通過を可能にする、プローブの壁の1つに組み込まれた、またはその上に形成された多孔質媒体(11)とを備え、通気帯プローブは、前側(10f)および後側(10r)を有する細長い本体から構成され、後側は略平面であり、前側は変形可能で浸透性の材料から形成され、またはボーリング孔の曲率に対応する曲率を有するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤の化学的および水力学的性質の研究と分析に関し、より具体的には、通気帯中の土壌および間隙水の性質を監視する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地盤の化学的および水力学的性質の監視は、例えば、間隙水と地盤の汚染の監視、農業作物の灌漑制御システム、ならびに土壌と植物の研究目的など、様々な用途において有利に使用される。この目的で、地盤に含まれる流体に関する正確な情報を提供するため、かつ地盤に浸透する水および/または汚染物質の化学的性質を監視するため、特別な道具が必要とされる。飽水帯の上方(すなわち、地下水面の上方)にある土壌の層である通気帯の監視は、そのような用途において特に重要である。通気帯は、地表における汚染源と飽水帯中の地下水とを結び付けるので、通気帯のリアルタイム監視は、地下水の質を制御する上で極めて重要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、張力計および吸着カップなどの器具は、現在、土壌水ポテンシャルを測定し、かつ土壌間隙水のサンプルを得るのに一般に使用されている。これらの器具は、多孔質媒体(多孔質セラミック、多孔質金属、または多孔質ポリマーなど)を通して、土壌間隙水とセル内の水との間に水圧の連続性を発生させることに基づいている。張力計および吸着カップは、土壌学および実践的農業に有効に使用されてもよいが、それらの使用は、相対的に、非常に浅い土壌に限定されている。一般的には、通常は脆弱なセラミック材料で作られる多孔質先端部が、土壌が十分に柔らかい場合は地盤に押し込まれ、あるいは、その目的のために特に掘削された小径の孔の中に設置され、したがって、これらのデバイスは、通気帯中のより深い地層からの情報を収集するのに使用することはできない。
【0004】
米国特許第6,956,381号は、ボーリング孔内に配置された可撓性スリーブの外側に付着された可撓性のTDR(時間分域反射率測定)プローブを使用して、深い土壌レベルでの誘電率および電気伝導率を測定する方法およびシステムを開示している。可撓性スリーブは、充填材料の漏れを防ぐために封止されるので、前記スリーブをボーリング孔に入れ、それを前記充填材料で満たした後の、TDRプローブとボーリング孔の壁との接触が改善される。
【0005】
上述の方法により、通気帯の深い区画における地下水含有量を継続的に監視するための解決策が提供される。含水量は、通気帯中の水文学的プロセスの研究に必要な最も重要な水圧パラメータの1つであるが、監視パラメータの範囲を拡大させ、地下水ポテンシャルと間隙水の化学的性質とに関するリアルタイム情報を付加する方法を有することが最も重要である。したがって、深い土壌レベルにおける化学的および水力学的性質をサンプリングし、監視するのに適した手段が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明の一つの目的は、深い通気帯層からリアルタイムの継続的な情報を収集する方法および装置を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、深い土壌レベルにおける浸潤プロセスを監視し、浸透水の水圧状態および化学的性質を決定する方法および装置を提供することである。
【0008】
本発明のさらなる目的は、深い土壌レベルに設置するのに適合されたサンプリングプローブの構造を提供することである。
【0009】
本発明のさらに別の目的は、汚染物質の通気帯中への移動をリアルタイム監視できるようにするとともに、化学分析のために様々な深さから間隙水サンプルを取得し、地下水ポテンシャルを測定することを可能にする方法および装置を提供することである。
【0010】
なお、説明が進行するに従って、本発明の他の目的および利点が明白になるであろう。
【0011】
通気帯中に形成されたボーリング孔内に設置するように適合された、可膨張性の可撓性スリーブに取り付けられた1つまたは複数の通気帯プローブであって、外部からプローブの内部にアクセスするため、1つまたは複数の導管が接続された流体セルと、前記流体セルの内部とボーリング孔の土壌(すなわち、多孔質媒体に接触する土壌)との間での液体の通過を可能にする、プローブの壁の1つに組み込まれた、またはその上に形成された多孔質媒体(例えば、多孔質セラミック、多孔質金属、もしくは多孔質ポリマー)とをそれぞれ備える通気帯プローブを用いて、継続的に通気帯の深層から液体サンプルを収集し、かつその水力学的性質を監視することが可能であることが分かっている。可膨張性スリーブおよびその上に取り付けられた通気帯プローブを設置する間、前記可膨張性スリーブはボーリング孔の中に下ろされ、次にその中で膨張し、その結果、前記1つまたは複数の通気帯プローブ全体に継続的な圧力が加えられ、それによって、プローブがボーリング孔の壁に押し付けられ、前記多孔質媒体を通して、土壌に含まれる水と前記流体セルの内部に含まれる水との間に水圧の連続性が得られる。
【0012】
通気帯とは、飽水帯の上方にある土壌の層である。本発明の通気帯プローブが中に設置されるボーリング孔は、従来の掘削機器を用いて通気帯を横切って掘削された、垂直な、または傾斜したボーリング孔である。本明細書において本発明の要素/手段と関連して外部という用語が使用されるときは常に、概して、前記ボーリング孔の外部の地表に位置する要素/手段を指すものとする。
【0013】
本明細書において使用される水圧の連続性という用語は、概して、流体容器に含まれる水と土壌に含まれる水との間の相互接続を指す。前記水の相互接続は、一般的に、前記流体容器の壁の1つに構築または形成された浸透性の媒体を通して得られる。
【0014】
可膨張性スリーブは、多量の充填材料を受け入れることができる任意タイプの可撓性スリーブであってよく、実質的に半径方向に拡張してよく、前記スリーブは、好ましくは、PVC、ゴム、ポリエチレン、テフロン(登録商標)、または強化生地などであるがそれらに限定されない、任意タイプの適切な可撓性材料からなる可撓性ライナーから形成され、前記充填材料は、ガス、液体、凝固性液体(例えば、二成分ウレタン、コンクリート、エポキシ樹脂、発泡材料)、または乾燥砂のタイプのもの、好ましくは、二成分ウレタンもしくはコンクリートなどであるがそれらに限定されない、凝固性液体のタイプのものであってもよい。
【0015】
他のタイプのプローブ/センサも、それらがボーリング孔の壁に接触し、そこから、本発明の通気帯プローブを介して得られる情報と併せて使用されてもよい付加的情報を収集するようにして、可膨張性スリーブに取り付けられてもよい。例えば、通気帯プローブの範囲内の土壌の水分を測定するため、TDRプローブが、各通気帯プローブに近接して可膨張性スリーブに取り付けられてもよい。
【0016】
流体セルは、可撓性スリーブに沿って、またはその内部もしくは外部を通る導電線を用いて、外部監視デバイスの1つまたは複数に電気的に接続された、1つまたは複数の感知手段を備えてもよい。感知手段としては、流体セル内の圧力を測定する圧力センサ、前記流体セル内の液位を監視する液位感知手段、または、pH、酸化還元、EC、酸素、硝酸塩などの特定の分析用電極を挙げることができるが、それらに限定されない。
【0017】
可膨張性プローブが、それに取り付けられた通気帯プローブ(ならびに、それに取り付けられてもよい任意の追加のプローブの1つまたは複数/センサの1つまたは複数)がボーリング孔の壁に押し付けられるようにして、ボーリング孔内で膨張した後、流体セルの内部は、それに接続された1つまたは複数の導管を介して多量の水で満たされ、流体セルに含まれる水と土壌中の間隙水との間の水圧の連続性が、前記流体セルの多孔質媒体を介して得られる。各流体セルの内部にアクセスする1つまたは複数の導管は、その中で得られた液体のサンプルを収集するため、またその中に正圧/負圧状態を適用するために使用されてもよい。前記液体のポテンシャルは、その中に設置された圧力センサを用いて測定されてもよく、前記液体の液位は、液位感知手段および前記1つまたは複数の導管によって制御されてもよい。
【0018】
結果として、第1の態様では、本発明は、通気帯の一区画を横切るボーリング孔を掘削する工程と、外部からプローブの内部にアクセスするため、1つまたは複数の導管が接続された流体セルと、前記流体セルの内部とそれに接触する土壌との間での液体の通過を可能にする、プローブの壁の1つに組み込まれた、またはその上に形成された多孔質媒体とをそれぞれ備える1つまたは複数の通気帯プローブが上に取り付けられ、前記通気帯中に形成されたボーリング孔内に設置されるように適合された可膨張性スリーブを、前記ボーリング孔の中に下ろす工程と、前記1つまたは複数の通気帯プローブ全体に継続的な圧力が加えられ、それによって、前記プローブを前記ボーリング孔の壁に押し付け、かつ前記1つまたは複数の通気帯プローブの前記多孔質媒体に接触する前記土壌と、前記プローブの流体セルの内部との間に前記多孔質媒体を通して水圧の連続性が得られるように、前記可膨張性スリーブを充填材料で満たす工程と、前記1つまたは複数の導管を介して多量の液体を前記流体セルに導入する工程と、必要であれば、前記1つまたは複数の導管を介して多量の液体を前記流体セルから除去する工程とを含む、通気帯中の地盤の間隙水の質および/または清浄度を判断する方法に関する。
【0019】
この方法は、1つまたは複数の通気帯プローブの流体セル内に設置された圧力感知手段を用いて、前記流体セル内の圧力を測定する工程であって、前記圧力感知手段に電気的に接続された導電線を介して測定を行う工程をさらに含んでもよい。さらに、可膨張性スリーブに取り付けられてもよい付加的なプローブ(1つまたは複数)/センサ(1つまたは複数)を介して、付加的情報が収集されてもよい。
【0020】
流体セルに含まれる液体の液位は、流体セル内の液位がある予め定められた上限(例えば、30%≦上限≦100%)を上回ったときは常に、前記1つまたは複数の導管を介して多量の液体がそこから除去され、流体セル内の液位がある予め定められた下限レベル(例えば、0%≦下限≦30%)を下回ったときは常に、前記1つまたは複数の導管を介して多量の液体がそこに導入されるように、内部に設置されてもよい液位感知手段を用いて継続的に制御されてもよい。
【0021】
さらに、前記1つまたは複数の導管の1つに接続された任意の適切な圧力源(例えば、圧力ポンプまたは圧縮ガス)を用いて、圧力/真空状態が流体セル内に形成されてもよい。
【0022】
前記1つまたは複数の導管内の通過は、流体セルに近接して導管の上に設置された制御可能なバルブによって制御されてもよい。
【0023】
別の態様では、本発明は、継続的に通気帯から液体サンプルを収集し、かつその水力学的性質を監視するプローブを対象とし、前記プローブ(以下、通気帯プローブ)は、通気帯中に形成されたボーリング孔内に設置される可膨張性スリーブに取り付けられるようになっており、前記通気帯プローブは、外部からプローブの内部にアクセスするため、1つまたは複数の導管が接続された流体セルと、前記流体セルの内部とそれに接触する土壌との間での液体の通過を可能にする、プローブの壁の1つに設置された、またはその上に形成された多孔質媒体とを備え、前記可膨張性スリーブは、その上に取り付けられた前記通気帯プローブが、ボーリング孔の壁に押し付けられ、前記多孔質媒体を介して、前記流体セルの内部に含まれる水と土壌に含まれる水との間で水圧の連続性が得られるようにして、充填材料を用いて前記ボーリング孔内で膨張される。
【0024】
通気帯プローブは、好ましくは、前側および後側を有する細長い本体から作られ、前記後側は略平面であり、前記前側は、変形可能かつ透過性の材料から形成されるか、あるいは、前記前側とボーリング孔の壁との間の表面接触を増加させるために、その長さに関して事実上湾曲して形成され、細長い本体はさらに、前記前側に対して鋭角で構成された傾斜した端部を有するので、前記可膨張性スリーブに導入される充填材料によって前記後側および傾斜した端部の全体にわたって加えられる圧力に応答して、前記通気帯プローブが適所に固定されてもよい。
【0025】
流体セルは、好ましくは、通気帯プローブ内に設置されるように構成され、その壁の1つに設置された、またはその上に形成された多孔質媒体を有するとともに、その壁を液体が通過できるようにする細長い流体容器である。前記流体セルの内部にアクセスする1つまたは複数の導管は、その内部に正圧/負圧状態を適用するため、多量の液体をそこに導入し、またはそこから除去するのに使用されてもよい。好ましくは、少なくとも1つの導管は、液体を前記流体セルに導入し、またはそこから除去するのに使用され、少なくとも1つの他の導管は、その内部に正圧/負圧状態を適用するのに使用される。
【0026】
本発明の好ましい一実施形態によれば、多孔質媒体は、通気帯プローブの前側に面する流体セルの壁に形成された開口部内またはその上に付着され、それによって、前記多孔質媒体の外側表面が、前記通気帯プローブの前側の表面と一直線に並ぶか、またはそこからわずかに突出し、結果として、前記通気帯プローブが壁に押し付けられたとき、前記外側表面がボーリング孔の土壌に効果的に接触することができる。有利には、前記多孔質媒体の外側表面は、ボーリング孔の湾曲した壁との表面接触を最大限にするため、その長さに亘って湾曲している。
【0027】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、多孔質媒体は、キャビティと、流体セルの基部を通してその内部に通じる開口部とを有する細長いカップの形態で提供され、前記多孔質媒体を含む前記流体セルの少なくとも一部は浸透性を有して変形可能な媒体で覆われて、前記多孔質媒体および前記浸透性を有して変形可能な媒体を介して、前記流体セルの内部に含まれる水と前記通気帯プローブに接触する土壌に含まれる水との間に水圧の連続性を確立する。好ましくは、前記浸透性を有して変形可能な媒体は、前記多孔質媒体を含む前記流体セルの少なくとも一部を、ネットと、前記ネットと前記流体セルの前記一部との間の空間を満たす粒状材料とで取り囲むことによって実現される。前記粒状材料は、好ましくは微細な土壌粒子で構成され、前記ネットの細孔は、好ましくは、前記微細な土壌を保持するとともに、加圧されたときは常にその通過を制限できるようにするのに十分に小さい。
【0028】
あるいは、浸透性を有して変形可能な媒体は、多孔質プラスチック、スポンジ、粘土、および非常に軟質の多孔質ポリマーからなる群から選択された材料からなる。
【0029】
1つまたは複数の導管の1つに接続される外圧源は、流体セル内に正圧/負圧状態を適用するのに使用されてもよい。前記圧力源、および流体セル内に設置されてもよい任意の感知手段は、前記センサからの入力を受け取り、前記圧力源を作動させる制御信号を供給するように適合された、外部制御デバイスに連結されてもよい。
【0030】
1つまたは複数の導管の通過は、その上に設置され、それぞれの制御線を介して外部制御デバイスに電気的に連結された、制御可能なバルブを用いて制御されてもよい。好ましくは、前記制御可能なバルブは、流体セルの外部で、かつそれに近接して前記導管に設置されてもよい。
【0031】
さらに別の態様では、本発明は、通気帯中に形成されたボーリング孔内に設置されるようになっている可膨張性スリーブと、前記可膨張性スリーブに取り付けられた1つまたは複数の通気帯プローブであって、外部からプローブの内部にアクセスするために1つまたは複数の導管が接続された流体セルと、前記流体セルの内部とそれに接触する土壌との間での液体の通過を可能にする、プローブの壁の1つに組み込まれた、またはその上に形成された多孔質媒体とを有する通気帯プローブと、を備える、通気帯中の土壌および間隙水の質および/または清浄度を判断するシステムを対象とする。
【0032】
多孔質媒体は、キャビティを有するカップの形態で提供されてもよく、前記カップは、前記キャビティが前記流体セルの内部に通じるようにして、前記流体セルの基部に取り付けられる。有利には、前記多孔質媒体を含む流体セルの少なくとも一部は浸透性を有して変形可能な媒体によって覆われ、前記浸透性を有して変形可能な媒体は、ネットと、前記ネットと前記流体セルの前記一部との間の空間を満たす粒状材料と、によって構成されてもよい。
【0033】
このシステムは、ボーリング孔の壁に接触し、かつそこから付加的情報を収集するようにして、可膨張性スリーブ上に取り付けられた他のタイプのプローブ/センサをさらに備えてもよく、その情報は、本発明の通気帯プローブを介して得られた情報と併せて使用されてもよい。
【0034】
本発明は例証として添付図面に示されており、図面中、類似の参照番号は一貫して類似の要素を指すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明は、主として、比較的安定した土壌条件において、土壌水ポテンシャルなど、土壌の水力学的性質を監視し、土壌間隙水のサンプルを収集する方法および装置を対象とする。本発明の装置は、深い通気帯中の土壌間隙水の監視に特に有用であるが、深い通気帯には限定されず、浅い土壌層位に等しく使用することができる。さらに、当業者には理解されるが、本発明の方法および装置は、溶解した有機物質および無機物質などの水相の溶解成分、炭化水素および燃料などの非水相物質などであるがそれらに限定されない、他の土壌溶液および液体の監視にも適している。
【0036】
理解されるように、本発明の通気帯監視装置は、地下水汚染に関する警告を生じさせるのに有利に使用されてもよい。通気帯中の浸透水および蓄積汚染の化学的性質を制御する動的プロセスは、地表下の物理的、化学的、および微生物学的状態における一時的な変化に大きく依存する。したがって、汚染が十分早期に検出されれば、地下水汚染をある程度まで低減および/または制御することができる。通気帯のあらゆる改善処置は、本質的に、地盤の間隙水の化学的および物理的性質を、オンラインで、リアルタイムに、かつ継続的に監視することを必要とし、以下の説明から認識されるように、本発明の方法および装置はそのような目的に特に有利である。
【0037】
本発明の装置は、通気帯サンプリングプローブと、いくつかのそのようなプローブを深い通気帯の断面に沿って設置することができるように特に設計された、特別な設置技術とを利用する。本発明の監視システムは、アンケースドボーリング孔内に設置されるように設計されている。多孔質先端部(例えば、張力計)を使用する標準的なサンプリングポートは、地盤に押し込まれるように設計されているが、本発明の通気帯プローブは、通気帯の土壌と表面接触させ、その土壌との水圧の連続性を得るため、ボーリング孔の壁に押し付けることができるように特に設計されている。
【0038】
本発明の通気帯プローブの構成は、ボーリング孔の中に下ろされ、次に膨張し、次いで、可膨張性スリーブの外側に取り付けられた通気帯プローブをボーリング孔の壁に押し付けるように設計された特別な可膨張性スリーブを使用して、通気帯プローブの多孔質媒体をボーリング孔の壁に付着させることに基づいている。可膨張性スリーブは、任意の適切な可撓性材料から、好ましくは、例えば、PVC、ゴム、ポリエチレン、テフロン、または強化生地から作られた可撓性ライナーから作られた、可撓性スリーブによって実現されてもよい。
【0039】
可膨張性スリーブの長さは、地球全体にわたって場所ごとに大幅に変わるものであり、試験されるべき通気帯の深さに応じて決定されるべきである。例えば、最近の応用例では、長さが2〜50mの可撓性スリーブが使用され、いくつかの場所の通気帯に成功裡に設置されたが、当然ながら、可撓性スリーブの長さはそのような長さに限定されず、他の地理的位置では、はるかに長い可撓性スリーブが必要なことがある。可膨張性スリーブの直径は、一般に5〜20cmの範囲内であってもよいが、当然ながら、これらの寸法には限定されない。好ましくは、可撓性スリーブの直径は数cm程度であるが、それもやはり、掘削されたボーリング孔の深さと掘削能力とに応じて決まる。可膨張性スリーブの遠位端は、好ましくは封止(例えば、接着または溶接によって)されて、スリーブ内に圧力が発生することを確保し、充填材料がボーリング孔に漏れるのを防ぐ。
【0040】
可膨張性スリーブの膨張は、ガス、液体、凝固性液体(例えば、二成分ウレタン、コンクリート、エポキシ樹脂、発泡材料)、または乾燥砂などであるがそれらに限定されない、充填材料を用いて得ることができる。充填材料は、好ましくは、二成分ウレタンまたはコンクリートなどであるがそれらに限定されない、一種の凝固性液体である。
【0041】
そのような凝固剤を使用して可撓性スリーブを満たすことで、有利には、プローブを大幅に大きな力でボーリング孔の壁に押し付けることができる静水圧が発生し、この力は、好ましくは、通気帯中のプローブの深さに対して変わる、本来の地盤圧力(上に重なる岩石および/または土壌の層によって与えられる、地殻のある地点における垂直圧力)に等しい圧力に対応する。このようにして、通気帯プローブの多孔質媒体と土壌との接触が改善され、掘削されたボーリング孔内における本来の地盤圧力が回復される。一般的に、凝固剤が使用されるとき、スリーブを満たした後に凝固剤は固まり、その上に取り付けられた通気帯プローブは通気帯の断面に恒久的に位置する。
【0042】
凝固性液体を充填材料として使用する別の利点は、ボーリング孔の掘削によって発生する可能性がある、張力を解放する亀裂が修復されることである。可撓性スリーブは、あらゆる傾きで掘削されたボーリング孔内に設置されてもよいが、本発明の好ましい一実施形態では、通気帯プローブは、安定した土壌条件の監視を行うため、傾斜した(例えば、水平面に対して30°〜50°の角度で)ボーリング孔の天井に付着される。
【0043】
図1は、ボーリング孔の壁と直接接触している、ボーリング孔内に設置されるように設計された通気帯プローブ10の縦断面図である。通気帯プローブ10は、一般に、台形の輪郭が得られるように構成され、前記輪郭における台形の底面が通気帯プローブ10の前面10fを形成する、傾斜した末端10aおよび10bを有する細長い本体で構成される。このようにして、通気帯プローブ10は、本明細書において後述されるように、その台形の輪郭における頂面10r(本明細書では、後面とも称される)と、前記傾斜した端部10aおよび10bとの表面全体に圧力を加えることによって、横方向に効果的に押すことができる。
【0044】
通気帯プローブ10は、プローブとボーリング孔の間の表面接触を最大限にするため、ボーリング孔の半径方向の曲率に対応する形状を有する、湾曲した多孔質媒体11を備える。図2でより良く分かるように、湾曲した多孔質媒体11は、通気帯プローブ10の液体セル15の本体に設けられた開口部上に形成されるか、その中もしくは上に付着される(例えば、エポキシなどであるがそれに限定されない接着剤19を用いて)ので、液体は、そこと流体セル15の内部との間を行き来できる。通気帯プローブ10の前面10fも、好ましくは、ボーリング孔の壁との表面接触を最大限にするため、ボーリング孔の曲率に対応する湾曲した形状で構成される。
【0045】
通気帯プローブ10は、液体セル15の内部と流体連通してプローブに接続される、少なくとも2つの可撓性導管13aおよび13bをさらに含む。セル15に接続された第1の導管13a(以下、圧力導管とも称される)は、液体セル15内に正圧/負圧状態を形成するのに使用される。液体セル15内で終端する第1の導管13aの端部は、好ましくは、液体セル15内で得られた液体12が中に入り込むのを防ぐため、その短い一部分のみが液体セル15に導入されるように、液体セル15の天井15a付近で終端する。第2の導管13b(以下、液体導管とも称される)は、液体セル15内で得られた多量の液体12を導入/除去するのに使用され、したがって、液体セル15の長さに沿って導入され、好ましくは液体セル15の床15b付近で終端する。以下の説明で詳述されるように、液体セル15内に設置された感知手段(4、5)からの読取値を受け取るため、導通線13cも通気帯プローブ10に付着されてもよい。
【0046】
図3は、可膨張性スリーブ18を用いてボーリング孔内に設置されたときの、本発明の通気帯プローブ10の側面図を示す。この配置では、プローブの前面10fが外向きにされて、それが中に設置されるボーリング孔の壁に接触するようにして、接着剤、プラスチック/ナイロンの拘束具などであるがそれらに限定されない、任意の適切な取付け手段を使用して、または、適切な袋を縫い付けることによって、1つまたは複数の通気帯プローブ10が可膨張性スリーブ18の外側に取り付けられる。通気帯プローブ10を備える可膨張性スリーブ18は、ボーリング孔に挿入された後、充填材料17(例えば、ウレタン)によって膨張させられるので、膨張したスリーブ内の静水圧(矢印6によって指定される)が、その上に取り付けられた通気帯プローブ10を押し、ボーリング孔の壁14にプローブを押し付ける。このようにして、湾曲した多孔質媒体11は、通気帯中に形成された孔の壁に押し付けられ、土壌9と直接接触するようになる。
【0047】
図4は、可撓性スリーブ18を用いてボーリング孔内に設置された通気帯プローブ10の縦断面図である。通気帯プローブ10は、圧力センサ4と、導通線13cを介して外部制御(または記録)デバイス43に接続された液位感知手段5とを備えてもよい。制御デバイス43は、液位感知手段5と、導管13aを介してそれに接続された圧力源45とを用いて、流体セル15内の液体12の液位を継続的に測定し制御するように設計されてもよい。
【0048】
例えば、液位感知手段5によって測定された液位が所望のレベルを下回る場合、制御デバイス43は、圧力源45を作動させる制御信号を生成して、導管13aを介して流体セル15内に真空条件を適用し、次いで、導管13bを介して液体が容器51から流体セル15内へ吸引されるようにしてもよい。同様に、流体セル15内の液体12の液位が予め定められた所望の液位を超える場合、制御デバイス43は、圧力源45を作動させる制御信号を生成して、導管13aを介して流体セル15内に圧力条件を適用し、次いで、導管13bを介して液体が流体セル15から容器51内へ放出されるようにしてもよい。
【0049】
同様に、制御デバイス43は、導管13bを介して容器51内への液体のフローを引き起こすため、圧力源45を適宜作動させて、導管13aを介して圧力を加えることによって、継続的に、またはそのような手順を手動で開始する際に、流体セル15から液体サンプルを得るように適合されてもよい。
【0050】
通気帯プローブ10は、導通線13cを介して制御デバイス43から受け取る制御信号を用いて、導管13aおよび13bをそれぞれ経由する通路を制御可能に開閉する、制御可能なバルブ22aおよび22bをさらに備えてもよい。制御可能なバルブ22aおよび22bは、好ましくは、流体セル15に近接して、好ましくはその天井15a付近で、導管13aおよび13bの区画上にそれぞれ構築される。制御可能なバルブ22aおよび22bは、様々な動作モードで通気帯プローブ10を作動させるのに使用されてもよい。例えば、水ポテンシャルを測定するとき、制御可能なバルブ22bおよび22aは閉じられてもよく、その結果、土壌9とセル15の間の水の連続性は多孔質媒体11を通して達成され、土壌9中の間隙水圧は圧力センサ4を介して測定されてもよい。次に、水ポテンシャルは、圧力センサ4を用いて、流体セル15内の圧力を継続的に測定することによって決定されてもよく、圧力平衡に達したことが決定され、すなわち、安定した圧力測定読取値が得られる。別の可能な動作モードでは、溶液は、土壌9から流体セル15内への液体の移動(矢印48によって示される)が多孔質媒体11を通してなされるように、制御可能なバルブ22bを閉じ、制御可能なバルブ22aを開き、かつ圧力源45を始動させて、流体セル15内に負圧状態を適用することによって、土壌から通気帯プローブ10内へ吸引されてもよい。液位感知手段5によって測定されてもよいような、所望の圧力レベルに達した後、制御可能なバルブ22aは閉じられてもよい。
【0051】
図5は、傾斜したボーリング孔内に置き、可膨張性スリーブ18を膨張させた後の、可膨張性スリーブ18上に取り付けられた通気帯プローブ10の斜視図を示す。図に見られるように、スリーブ18を膨張させた後、通気帯プローブ10およびその前面に取り付けられた多孔質媒体11は、前記プローブが位置する傾斜したボーリング孔区画の上壁区画に押し付けられる。
【0052】
通気帯プローブ10の本体は、先端を切り取った円筒形の断面形状を有してもよく、ステンレス鋼、エポキシモールド、テフロン、またはPVCなどであるがそれらに限定されないあらゆる適切なタイプの剛性材料から、好ましくはステンレス鋼から作られてもよい。本発明の特定の一実施形態では、通気帯プローブ10の前面10fの長さは約40cmであってもよく、前面と後面の間の距離は約8cmであってもよく、通気帯プローブ10の幅は約10cmであってもよい。
【0053】
流体セル15は、多量の液体を内部に保持するのに適したあらゆるタイプの材料、好ましくはある種の金属またはプラスチック材料、最も好ましくはステンレス鋼、エポキシモールド、テフロン、またはPVCから作られた、あらゆる適切な断面形状(例えば、円筒形または長方形)、好ましくは円筒形を有する、中空の細長い容器から構成されてもよく、接着剤を用いて通気帯プローブの本体内に取り付けられるか、特別な構造によってスリーブ上に取り付けられてもよい。本発明の特定の一実施形態では、流体セル15の長さは約25cmであってもよく、その容積は約300ccであってもよい。
【0054】
多孔質媒体11は、湾曲面を有し、多孔質セラミックまたは多孔質金属などであるがそれらに限定されないあらゆる適切な多孔質材料から作られた、プレートによって実現されてもよい。本発明の特定の一実施形態では、多孔質媒体11の表面積は約100cm2(例えば、10×10cm)であってもよく、流体セル15の壁に取り付けるのに適した、あらゆる適切な幾何学形状(例えば、長方形、円形)で構成されてもよい。多孔質媒体11は、流体セル15の前壁(ボーリング孔の壁に面する)に形成された開口部を覆うか、またはその中に設置されてもよく、前記開口部は、多孔質媒体11とほぼ同じ面積と形状とを有する。多孔質媒体11は、好ましくは、適切な接着剤、例えばエポキシ接着剤を使用して、流体セル15に取り付けられる。通気帯プローブ10の特定の一実施形態では、多孔質媒体11の幅および高さは約10×10cmであってもよい。
【0055】
本発明の特定の実施形態では、可撓性スリーブ18がその中に設置されるボーリング孔の直径は、一般的に、5〜20cmの範囲である。
【0056】
圧力センサ4は、好ましくは、0〜1(真空)気圧の範囲の圧力を測定することができるタイプのセンサであるが、特定の用途では、0〜2気圧の圧力範囲、またはより狭い範囲が使用されてもよい。液位感知手段5は、例えば、電極対または光学読取機によって実現されてもよい。例示として、図1では、液位感知手段5は、流体容器15の壁に取り付けられた2つの電極によって実現される。可撓性導管は、一般に0.5〜4mmの範囲の、好ましくは約1mmの内径を有する一種のプラスチックまたは金属材料から、好ましくは、PVC、ステンレス鋼、もしくはテフロンから作られるのが好ましい。制御手段43は、例えば、フィールドコンピュータまたはデータロガーなどのあらゆる適切なコントローラ、すなわち制御理論によって実現されてもよい。
【0057】
圧力源45は、正圧もしくは負圧のどちらかを発生させることができる圧力ポンプによって、または、真空ポンプと圧縮ガスなどのガスの加圧源との組合せによって実現されてもよい。制御可能なバルブ22aおよび22bは、好ましくは、例えば、レッチまたはソレノイドなどの一種の二状態制御可能なバルブ(開/閉)である。
【0058】
図1〜5に示される通気帯プローブ10の構造を使用することは、掘削によってきれいで平滑なボーリング孔の壁14が作られる、比較的微粒子の土壌に適しており、その際、湾曲した多孔質媒体11とボーリング孔の壁との良好な表面接触が容易に得られてもよく、これは、土壌間隙水とセル15に含まれる水12との間の水圧の連続性にとって重要である。したがって、通気帯プローブ10は、沖積層などの粗い礫質土壌にはあまり適していないが、それは、そのような土壌を掘削することで凹凸のあるボーリング孔の壁がもたらされて、湾曲した多孔質媒体11とボーリング孔の壁14の土壌との間の表面接触が乏しくなるためである。
【0059】
図6および7は、通気帯プローブ40が粗い物質内に設置されるように設計され、掘削によって、硬い多孔質媒体と粗い堆積物との間に良好な接触を得ることが困難な、凹凸のあるボーリング孔の壁44がもたらされる(図7)、本発明の好ましい一実施形態を示す。この好ましい実施形態では、通気帯中の土壌と流体セル41との間の水圧の連続性は、粗い土壌物質49と通気帯プローブ40の流体セル41との間を架橋することができる浸透性を有して変形可能な媒体46(例えば、未固結剤)に含まれる、多孔質先端部42(例えば、セラミック先端部)を用いて得られる。
【0060】
本発明の特定の一実現例では、通気帯プローブ40は細長い固体47を備え、その固体は前側47fおよび後側47rを有し、また、可膨張性スリーブに対するあらゆる損傷を防ぐため、かつ前記後側47r全体に加えられる力によって通気帯プローブ40の固定を改善するため、前記前側47fに対して鋭角で構成された傾斜した末端47aおよび47bを有する。略平面である前側47fの表面は、流体セル41を中に受け入れるように構成されたキャビティを備える。流体セル41は、好ましくは、細長い本体47内に構築された円筒形の容器から作られる。図7に示されるように、細長い本体47は、流体セル41の表面積の半分をその長さに沿って事実上覆い、それによって、ボーリング孔の壁44に面する、かつ細長い本体47によって覆われない前面41fを規定する。スリーブ18に面する細長い本体47の後側は、好ましくは、スリーブ18を膨張させたときに全体に加えられる圧力(矢印6によって示される)に応答して、通気帯プローブ40を適所で固定するため、傾斜した末端47aおよび47bを有する。浸透性を有して変形可能な媒体46は、好ましくは、多孔質媒体42を通して流体セル41の前面41fとボーリング孔の壁44との間に介在する、砂枕の形態で作られる。
【0061】
浸透性を有して変形可能な媒体46は、好ましくは、セルをその長さ全体に沿って包み込み、かつ非常に微細な湿潤砂46s(例えば、0.01mm未満の粒径を有する)で満たされた、可撓性繊維ネット(蚊よけネットに類似)から作られる。有利には、流体セル41が中に構築される細長い本体47の前側のキャビティは、流体セル41の基部に取り付けられる多孔質媒体42が前記細長い本体47に接触しないように構成される。このようにして、図6および7に示されるように、多孔質媒体の外側表面全体が、浸透性を有して変形可能な媒体46によって取り囲まれてもよい。
【0062】
あるいは、浸透性を有して変形可能な媒体46は、多孔質プラスチック、スポンジ、粘土、または非常に軟質の多孔質ポリマーからなる群から選択された材料で作られる。
【0063】
通気帯プローブ40の設置技術は、上述の設置技術に実質的に類似している。しかし、この場合、通気帯プローブ40が、膨張した可撓性スリーブ18によってボーリング孔の凹凸のある壁44に対して押される(矢印6で示される)と、浸透性を有して変形可能な媒体46は壁44に押し付けられる。本発明の特定の一実施形態では、浸透性を有して変形可能な媒体46は微細な湿潤砂で満たされたネットで作られ、凹凸のある壁44に押し付けられながら、前記ネットと流体セル41の前面41fとの間に捕捉された砂46sの部分は、ネットの孔から土壌のキャビティへと押し出され、それによって、微細な砂46sと凹凸のある土壌物質49との間に水圧の連続性(矢印50によって指定される)をもたらす。流体セル41と土壌49の間の良好な接触と水圧の連続性とを得るため、浸透性を有して変形可能な媒体46は、その可撓性により、ボーリング孔の壁44の荒れた表面に適応し、入り込むことが可能になる。そのような浸透性を有して変形可能な媒体を使用することの追加の利点は、土壌に接触し、かつ粗い堆積物における水圧の連続性を得る条件を改善する表面積が比較的大きいことである。
【0064】
多孔質先端部42は、好ましくは、流体セル41の基部に設けられた開口部内に、またはその上に付着させることによってセルの内部と流体連通している、流体セル41に接続されたカップの形状で作られる。有利には、多孔質先端部42は細長い本体47とは接触していないので、その側面および底面は、必要な水圧の連続性を得るため、浸透性を有して変形可能な媒体によって覆われる。凹凸のある堆積物49と媒体46中の微細な砂46sとの間の水圧の連続性が得られると、通気帯の土壌と多孔質先端部42との間の水圧の連続性も得られる。理解されるように、通気帯プローブ40は、固体の多孔質先端部42の表面と硬岩との間の十分な表面接触を得ることが自明ではない、硬岩に使用するのに適している。同様の方法は、浸透性を有して変形可能な媒体の比較的大きな面積が、割れ目と交差するボーリング孔の大きなセグメントを覆うことがある、粉砕された岩にも適用されてもよい。
【0065】
特定の一実施形態では、通気帯プローブ40の前側47fの長さは約40cmであってもよく、前記後側と前側の間の距離は一般に約6cmであってもよく、通気帯プローブ40の幅は一般に約2cmであってもよい。細長い本体47は、ステンレス鋼、エポキシモールド、テフロン、またはPVCなどであるがそれらに限定されない、任意のタイプの適切な剛性材料から、好ましくはステンレス鋼から製造されてもよく、最も好ましくは、エポキシモールドから作られる。
【0066】
流体セル41は、好ましくは、ステンレス鋼、エポキシモールド、テフロン、またはPVCなどであるがそれらに限定されない任意の適切なタイプの剛性材料から、好ましくはPVCから作られた、中空の細長い本体(例えば、円筒形もしくは長方形)から作られる。本発明の特定の一実施形態では、流体セル41の長さは一般に約25cmであってもよく、そのような特定の実施形態におけるその内部の容積は約100ccであってもよい。多孔質先端部42は、多孔質セラミック、多孔質金属、または多孔質ポリマーなどであるがそれらに限定されない、任意の適切な多孔質材料から製造されてもよい。本発明の特定の一実施形態では、多孔質先端部42の長さは約6cm、その外径は約2cmであってもよい。流体セル41および多孔質先端部42は、0から、プローブの深さから水を上昇させるのに必要な静水圧までの範囲の圧力に耐えるように設計されるべきであり、例えば、乾燥土壌において典型的な0.2の真空圧に耐えるべきである。ただし、セルが約40mの深さで設置された場合、5バールまで持ちこたえる。
【0067】
通気帯プローブ40の流体セル41の内部は、好ましくは流体セル41の天井を通る、可撓性の導管13aおよび13bを介してアクセスされてもよい。圧力導管13aは、流体セル41内に正圧/負圧状態を適用するのに使用され、したがってその第1の端部は圧力源45に接続され、その他方の端部は流体セル41の天井を通り抜け、液体41wが中に入り込むのを防ぐため、前記天井付近で終端する。液体導管13bは、流体セル41の内部に多量の液体を導入し、またそこから除去するのに使用され、したがってその外部端部は液体容器51に接続され、その他方の(内部)端部は、流体セル41の天井を通ってそれに入り込み、その長さに沿って通り、多孔質先端部42のキャビティ42c内で終端する。
【0068】
通気帯プローブ40は、好ましくは、圧力センサ4と、液位感知手段5と、可撓性導管13aおよび13bにそれぞれ取り付けられた、その中の通過を制御する制御可能なバルブ22aおよび22bとをさらに備え、それらはすべて、導電線13cを介して制御デバイス43に電気的に連結される。上述の通気帯プローブ10と同様に、可撓性導管13aおよび13b、ならびに導電線13cは、可撓性スリーブ18の長さに沿って、好ましくはその内部を通って地表に達し、地表において、それらはそれぞれの外部デバイスに、すなわち、圧力源45、容器51、および制御デバイス43に接続される。可撓性導管、感知手段、制御可能なバルブ、圧力源、および制御デバイスは、図1〜5を参照して上述した通気帯プローブ10に使用されるものと類似であってもよい。
【0069】
上述の通気帯プローブは、一般に、ボーリング孔内に設置した後、類似のやり方で操作される。一般に、可撓性導管13aおよび13bは流体セル15または41の内部にアクセスするのに使用され、液位感知手段5は、流体セルおよびその内部に含まれる液体の監視、保守、および制御に使用される。可撓性導管13bは、一般に、地表から流体セルへ、または流体セルから地表へ液体を移行させるのに使用される。可撓性導管の内径は、好ましくは非常に狭く(例えば、約1mm)、使用される対応する取付け具および導管は、好ましくは、特別な真空気密の付属物である。システムが設置されると、土壌が十分に湿っているときは、可撓性導管13aを介して真空を適用することによって、あるいは、多孔質媒体/先端部を介して液体を流体セルから土壌に強制的に送り出すことによって、水圧の連続性が得られる。地表から流体セルへ水を移行させるため、圧力導管13aを介して真空が適用され、液体導管13bの外部端部は容器51内の所望の溶液に導入される。流体セル15または41内に作られた真空により、容器51内の溶液は、表面から、液体導管13bを介して流体セル内へ送られる。
【0070】
流体セルの液位は、圧力導管13aの下端に水が入り込むのを防ぐため、液位感知手段5によって監視されてもよい。液体の所望の液位が流体セル内で得られると、セル内に獲得された液体と土壌との間の水圧の連続性を得るため、圧力導管13aを介して適用された真空は、正圧(例えば、空気または他の圧縮不活性ガス)に置き換えられて、多孔質媒体11を通して、または多孔質先端部42と砂浸透性を有して変形可能な媒体46とを通して、液体12または41wを流体セル15または41の内部から土壌9または49に押し出してもよい。水圧の接続が確立されると、流体セル内または圧力導管13a上のどちらかに位置してもよい圧力センサ(例えば、マイクロ圧力変換器(PT))を使用して、セル内に作り出される張力が測定される。圧力センサ5を流体セル内に置くか、または圧力導管13a内に置くかの選択は、セル内の液体と圧力導管13a内のガスとの相対体積に従って決定されるべきであることに留意されたい。これは、比較的狭い内径を有する可撓性導管を使用する理由の1つである。
【0071】
土壌間隙水のサンプリングが望ましい場合、圧力導管13aを介して真空が流体セル内に適用され、それによって、多孔質媒体/先端部を通して土壌中の間隙水が流体セル内に送られる。流体セルが、液位感知手段5によって監視されながら、間隙水で満たされると、圧力導管13aを介して正圧が適用され、それによって、液体導管13bを通して水が地表の上に押し出される。非常に狭い内径を有する可撓性導管を使用することで、液体がすべて液体導管13bを通して最後まで押し上げられ、導管内には液滴が残らず、液体がずっと上まで流れることを阻止する泡立ち作用もないことが確保されることに留意されたい。液体導管13bの内部端部は、流体セルの底部付近で、または多孔質先端部のキャビティ内で終端するので、流体セルは比較的短時間(例えば、1分未満)で空になり、液体サンプルは表面まで進む。したがって、少量の液体のみがセルから土壌に戻される。
【0072】
図8Aおよび8Bは、本明細書において上述したような可膨張性スリーブを用いて設置するように設計されている、圧力センサ84sが流体セル81の外部に設置された本発明の別の通気帯プローブ80を示す。この好ましい実施形態では、流体セル81の内部と通気帯の土壌との間の水圧の連続性は、浸透性および変形可能な媒体88によって覆われた多孔質先端部82を介して得られるが、このことは図6〜7を参照して上述されており、したがって、簡潔にするため詳細には後述されない。流体セル81は、図8A〜8Bにおいて、例証として、多孔質先端部82が接続される1つの先細状の側面を有する略長方形の幾何学形状を有するものとして示されるが、このことは、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。当然ながら、流体セル81は、他の任意の適切な幾何学形状を持っていてもよい。
【0073】
上述の実施形態と同様に、流体セル81の内部は、圧力源および容器(図示なし)にそれぞれ接続された、圧力導管83および液体導管85を介してアクセスされてもよく、前記導管内の通過は、流体セル81に近接して取り付けられた、それぞれの制御可能なバルブ83vおよび85vを用いて制御されてもよい。
【0074】
流体セルの内部はまた、補助導管84と接触していてもよく、その導管は、圧力センサ84sがその上端に設置され、かつ制御可能なバルブ84vが前記圧力センサ84s付近で前記補助導管84に取り付けられた比較的短い導管(例えば、数cm)である。制御可能なバルブ84vの動作は、水サンプルを流体セル81から回収する間、流体セル81内で発展し得るような状態で外圧が加えられたときは常に、補助導管84内の通過が阻止されるように、外部制御デバイス(図示なし)によって制御されて、圧力センサ84sを保護する。
【0075】
図8Bに示されるように、通気帯プローブ80は、プローブの要素が中に設置される開いた箱の形状を有するハウジング89をさらに備える。ハウジング89の内部は、剛性を得るとともにプローブを強化するため、凝固性樹脂で満たされる。例証として、ハウジング89の内部はエポキシ樹脂で満たされてもよい。凝固性樹脂は、通気帯プローブ80の構成要素の大部分を覆ってもよいが、多孔質先端部82の少なくとも一部は覆われないままにしておくべきである。好ましくは、多孔質先端部82の表面積のほとんどは、前記凝固性樹脂によって覆われないままである。
【0076】
ハウジング89の開口部は、微細な土壌粒子で構成される粒状材料などであるがそれに限定されない、浸透性を有して変形可能な媒体によって覆われ、前記開口部は、好ましくは、枕状の面が得られるようにして、ハウジング89の前記開口部全体に付着されたネット(例えば、1〜3mmの範囲の孔径を有する)によって覆われる。前記枕状の面は、設置の間はボーリング孔の壁に接触し、その表面の形状を持ち、それによって、壁との最大限の表面接触を得るとともに水圧の連続性を改善するように適合される。あるいは、ハウジング89の外側表面は、多孔質プラスチック、スポンジ、粘土、および非常に軟質の多孔質ポリマーからなる群から選択された材料で作られる、浸透性を有して変形可能な媒体によって覆われる。
【0077】
図9A〜9Bは、それぞれ、本発明書において上述したような可膨張性スリーブを用いて設置するように設計された、本発明のさらに別の通気帯プローブの斜視図および縦断面図を示す。本発明のこの好ましい実施形態では、通気帯プローブは、圧力導管74cを用いて接続される、i)サンプリングポート70p、およびii)補助セル74の2つの部分に分割され、前記サンプリングポート70pは可膨張性スリーブ(図示なし)に取り付けられ、前記補助セル74は、好ましくは前記スリーブの内部で維持される。この配置では、サンプリングポート70pの寸法は、補助セル74を使用することによって大幅に低減されて、流体セル71用の中間の容積が得られる。
【0078】
上述の実施形態(通気帯プローブ40および80)と同様に、流体セル71の内部と通気帯の土壌との間の水圧の連続性は、流体セル71の基部に設けられた開口部に接続された多孔質先端部72(例えば、セラミックの先端部)と、前記多孔質先端部72を覆う変形可能かつ可撓性の媒体76とを介して得られる。サンプリングポート70pは、前側77fとそれよりも短い後側77rとを有する細長い固体77を備え、したがって、可膨張性スリーブを膨張させたとき、サンプリングポート70pを適所で固定する助けとなる、傾斜した側面77aおよび77bを形成する。流体セル71およびその基部に接続された多孔質先端部72は、好ましくは成形によって、本体77の前側77fに付着される。
【0079】
本体77は、流体セル71および多孔質先端部72の表面積の約半分をそれらの長さに沿って覆ってもよく、それにより、前記固体77によって覆われない表面積は、図9Aおよび9Bに示されるように、浸透性を有して変形可能な媒体76によって覆われてもよい。浸透性を有して変形可能な媒体76は、本体77によって覆われない多孔質先端部72の表面積全体を覆うべきであり、本体77によって覆われない流体セル71の表面積は、前記浸透性を有して変形可能な媒体76によって部分的に覆われるか、または全く覆われなくてもよい。
【0080】
浸透性を有して変形可能な媒体76は、本体77の前面77fの境界に付着された可撓性繊維ネット(蚊よけネットに類似)を使用し、前記繊維ネットと前面77fの間の空間を非常に微細な湿潤砂(例えば、0.01mm未満の粒径を有する)で満たすことによって実現されてもよい。本発明のサンプリングポート70pは異なるように構成されてもよく、例えば、流体セル71の表面積全体が固体77によって覆われてもよく、多孔質先端部72および/または固体77が、多孔質先端部72が本体77によって実質的に覆われないままであるように構成されてもよいことを理解されたい。
【0081】
あるいは、浸透性を有して変形可能な媒体76は、多孔質プラスチック、スポンジ、粘土、または非常に軟質の多孔質ポリマーからなる群から選択された材料で作られる。
【0082】
図9Bに示される縦断面図を参照すると、サンプリングポート70pの流体セル71および多孔質先端部72は、固体77の後側77rに付着された支持部材75を通る、かつ固体77を通る、液体導管73および圧力導管74cを介してアクセスされてもよい。この実現例では、液体導管73は、固体77によって覆われた側壁を介して流体セル71に挿入され、固体の長さに沿って多孔質先端部72のキャビティ72cに入り、好ましくは、前記多孔質先端部72の床付近で終端する。圧力導管74cも、固体77によって覆われた側壁を介して流体容器71に挿入され、容器内で、好ましくは流体セル71の天井付近で終端する。
【0083】
圧力導管74cを介して流体容器71の内部に接続された補助セル74は、流体セル71内の正圧/負圧を適用する中間の容積として使用される。一方向バルブ74vが導管74cに取り付けられて、圧力導管74c内の流体フロー方向を制限するので、許容される唯一の流体フロー方向はセル71から補助セル74への方向である。この配置により、液体サンプルが補助セル74の内部空間に流れ込むことが可能になるが、それがセル71内へと戻ることは阻止される。この好ましい実施形態では、セル71内におけるサンプリングされた液体の容積ははるかに小さく(例えば、数mm、好ましくは5〜20mm)、これは、少量の液体サンプルの収集が、浸透する液体が時間とともに変動するのをより良好に反映し、したがって、間隙水のサンプリングの確度が改善されるという理由で好ましい。それに加えて、プローブが数十メートルもの深さに設置された場合、水をセル74から地表の上まで押し上げるのに必要な高圧はセル71から逃げ、このプロセスの間、セル71内の水はセラミックの先端部72を通して土壌に押し戻されない。補助セル74は、導管74pおよび74nを通して、外部の正圧源および負圧源にそれぞれ接続されてもよい。当然ながら、代替実施形態では、単一の導管を使用して、補助セル74がそのような圧力源に接続されてもよい。補助セル74は、液位を測定する感知手段78lと、圧力を測定する感知手段78pとをその中にさらに備える。前記感知手段は、好ましくは、導電線78cを介して外部制御(または記録)デバイスに接続される。前記導電線78cは、好ましくは、可膨張性スリーブ内部を通り、地表上にあるスリーブの外部端部を介して前記スリーブを出る。このようにして、流体セル71の容積の大部分はそれに接続される補助セル74によって提供されるので、サンプリングポート70pのサイズは大幅に低減される。
【0084】
導管の中の通過を外部で制御するため、制御可能なバルブ(図示なし)が圧力導管および流体導管上に設置されてもよい。この実現例では、導管74cには一方向バルブ74vが設けられるので、正圧/負圧状態は最初に補助セル74内で適用され、流体セル71内には適用されない。通気帯プローブ70の動作は、上述の通気帯プローブの動作とほぼ同様である。
【0085】
通気帯プローブ70の本体は、ステンレス鋼、PVC、テフロン、ポリエチレンなどであるがそれらに限定されない、任意の適切なタイプのプラスチックまたは金属材料から作られてもよい。本発明の特定の一実施形態では、サンプリングポート70pの前面77fの長さは約15cmであってもよい。前記前面と後面の間の距離は一般に約6cmであってもよく、本体77の幅は一般に約2cmであってもよい。
【0086】
流体セル71は、ステンレス鋼、エポキシモールド、テフロン、またはPVCなどであるがそれらに限定されない、任意のタイプの適切な剛性材料から、好ましくはPVCから作られた、任意の適切な断面形状(例えば、円筒形もしくは長方形)、好ましくは円筒形を有する細長い中空の容器から構成されてもよく、成形または接着剤によって、サンプリングポート70pの本体内に取り付けられてもよい。本発明の特定の一実施形態では、流体セル71の長さは約8cmであってもよく、その容積は一般に約10ccであってもよい。
【0087】
多孔質先端部72は、多孔質セラミック、多孔質金属、または多孔質ポリマーなどであるがそれらに限定されない、任意の適切な多孔質材料から、好ましくはセラミックから作られ、細長いカップの形状に形成されてもよい。多孔質先端部72は、好ましくは、適切な接着剤によって、またはそれをセルに成形することによって、流体セル71に付着される。本発明の特定の一実施形態では、多孔質先端部71の長さは一般に約6cmであってもよく、その外径は一般に約2cmであってもよい。
【0088】
補助セル74は、ステンレス鋼またはPVCなどであるがそれらに限定されない、一種の剛性材料から作られた、任意の適切な断面形状(例えば、円筒形もしくは長方形)、好ましくは円筒形を有する細長い中空の容器から構成されてもよい。本発明の特定の一実施形態では、補助セル74の長さは一般に約45cmであってもよく、その容積は約300ccであってもよい。補助セル74は、設置深さに応じて、0(真空)から数気圧の正圧までの範囲の圧力に耐えるように設計されるべきである。
【0089】
圧力導管74n、74p、および74cは、好ましくは、0.5〜3mmの範囲、好ましくは約1mmの内径を有し、計画された設置深さに応じて、0(真空)から数気圧の範囲の圧力を伝達することができる、一種の薄いパイプである。
【0090】
圧力読取値の感度、および圧力変化に対する時間応答は、圧力導管および液体導管に設置された制御可能なバルブにより、本発明の通気帯プローブにおいて大幅に改善される。この配置によって、流体セルの容積をそれに接続された導管の容積から隔離することが可能になり、また、このようにして、前記導管の容積によって導入される干渉効果を実質的に相殺することが可能になり、すなわち、流体セル内における圧力平衡時間が引き延ばされる。
【0091】
サンプリングポート70pのサイズが低減されることにより、設置の間、より強い圧力を使用するとともに、その中に使用される脆弱な多孔質先端部72が割れるリスクを低減することが可能になることを理解されたい。それに加えて、補助セル74内の高圧の適用はセル71内の圧力に影響しない。
【0092】
本発明の通気帯監視システムは、土壌条件の継続的な監視が必要な一連の用途において、土壌およびお間隙水の性質を監視するのに有利に使用されてもよい。例えば、本発明の通気帯監視システムは、例えば、化学物質メーカー、石油化学施設、およびガソリンスタンドなど、汚染物質を保管する、または取り扱う施設内において、土質を監視するのに使用されてもよい。
【0093】
本発明の通気帯プローブは、土壌水ポテンシャルの測定のみが必要な場合、導管なしで操作されてもよいが、好ましくは、通気帯プローブの流体セルの内部にアクセスする、少なくとも1つまたは複数の導管が設けられる。さらに、上述の通気帯プローブは、流体セルの内部にアクセスする少なくとも2つの導管(液体導管および圧力導管)を使用するが、本発明の通気帯プローブは、液体導管または圧力導管として交互に機能してもよい、単一の導管を使用して操作されてもよいことを理解されたい。
【実施例1】
【0094】
イスラエルのアシュドドで行われた研究計画の構想内において、可膨張性スリーブに取り付けられた、図1〜5に記載されるタイプの通気帯プローブ10を12個含む、本発明の通気帯監視システムを、砂丘層中の21mの深い通気帯断面に沿って設置した。システムは2005年5月に設置し、2か月の期間にわたって得た結果を図11に示す。
【0095】
この実施例では、沿岸の帯水層の地下水涵養に対する土地利用の影響を、本発明の通気帯監視システムを使用して調査した。この調査は、イスラエルの沿岸都市アシュドド周辺の、都市部、農地、および広い砂丘地域において行った。砂丘の調査現場には、いくつかの個別の監視FTDR(フレキシブル時間分域反射率測定、"Flexible Time Domain Reflectometry Probe for Deep Vadose Zone Monitoring", Ofer Dahan et al, Vadose Zone Journal 2:270-275 (2003)に記載)システムと、直接接触プローブ10を使用する2つの追加の通気帯監視システムとを備え付けた。
【0096】
前記2つの直接接触プローブシステムは同一のものであったが、一方のシステムは間隙水サンプリング用、他方は水圧測定用とした。システムは、間隙水サンプリングが水圧測定に何らかの影響を及ぼすのを防ぐため、間隔(約6〜15m)を空けて設置した。この現場の通気帯は、厚さ20m以下の未固結の砂丘と、地表面の下7m以内にある、単一の厚さ1m以下の粘土層を有する砂岩とからなる。気候は、雨季の冬(10月から4月まで、500mm以下)の後に乾季の夏が来ることを特徴とする。調査現場は植物のないむきだしの砂丘に位置するので、涵養プロセスは、主として、激しい降雨が直接浸透することによって制御される。
【0097】
降雨によって発生する浸潤プロセスに対応する間隙水圧力を実証する、この現場から得た予備結果を図11に示す。水圧は、地表面の下4m、6.5m、および11.5mの3つの異なる深さにおける絶対圧(1000mbarが大気圧を表す)として、通気帯プローブ10によって測定した。各通気帯プローブの上方および下方の含水量の変動を、FTDRプローブを用いて監視した。図11に見られるように、監視された各湿潤プロセスの後には、水圧の増加が起こった。あるいは、水分量が低減した後には水圧の現象が起こった。このパターンからの逸脱は、11.5mに設置した一連のプローブにおいて見られる。含水量の増加に続く水圧の増加に先立って、含水量の変化を伴わない圧力上昇が観察される。圧力変換器は絶対圧を測定するので、圧力上昇は、通気帯のガス相内の圧力増加によって生じたものであり、水の張力が変化したことの直接的な結果ではない可能性がある。圧力上昇は、通気帯内へと伝搬するとともに、より下層の空気を捕捉し加圧する、浸潤事象によって発生することがある。
【実施例2】
【0098】
この現場(イスラエル、アシュドド)に設置した第2の通気帯監視システムにより、季節を問わず、地表から地下水までの様々な深さから、間隙水を頻繁に採水することが可能になった。図12は、様々な時期および深さにおいて、サンプリングポートによって通気帯から得た水サンプルの同位体組成を示す。この結果は重要な水文学的意味を有するが、ここでは、単に様々な深さにおける孔サンプリングの能力を実証するために示される。
【0099】
図10は、本発明の通気帯プローブ151を備えるいくつかの可撓性スリーブ150を通気帯152の断面に設置した、実施例1および2で使用した実験装置を示す。
【実施例3】
【0100】
地表から地下水への水流および汚染物質の運搬を、イスラエルのワジアラバにおいて沖積層で調査した。溶質の運搬パターンを調査するため、2005年5月〜8月の間に設置した通気帯監視システムを備え付けた河道の一区画において、多重トレーサー試験を行った。図13に概略的に示されるシステムは、浸潤水をサンプリングするのに使用される図6〜8に示されるタイプの通気帯プローブ40を5個、ならびに通気帯の湿潤プロセスを監視するのに使用される5個のFTDRプローブ65を含んでいた。
【0101】
この浸潤実験では、通気帯監視システムは、地下水層90の上方にある通気帯91中に形成した傾斜したボーリング孔内に設置した、5mの可撓性PVCスリーブ98に沿って分布させた5個の通気帯プローブ40を含んでいた。実験は、地表に作られた、水93で満たされた池97によって行った。5個のリング状の浸透計94を池の底に設置して、そこに含まれるトレースされた溶液を浸潤させた。この実験は、沖積層の水浸潤メカニズムを調査するように設計した。図14は、池97の中の異なるリング状の浸透計94に注入した5つの化学的水トレーサー(フルオロ安息香酸、FBA)の破過曲線を示す。通気帯プローブ40によって取得した、水サンプルの分析から得られたトレースの同様の破過曲線が確立された。完全な実験装置およびその結果は、浸潤プロセスを明確にする興味深い情報を示す。
【0102】
一定の水頭が得られるように、池97を水93で充満させた。リング94の内側と池97の間の等しい水頭を、実験全般にわたって維持した。通気帯中の含水量プロファイルをFTDRシステムによって継続的に監視し、通気帯プローブ40内の水を頻繁にサンプリングした。10個の異なるトレーサー(5個のフルオロ安息香酸とトレーサー、イオントレーサーとしてのBrおよびLi、ならびに3つの蛍光色素)を使用して、2つのトレーサー試験を2つの異なるセッションにて行った。各トレーサー試験の間、一定濃度の特定の量のトレースされた溶液を、各リング94を通して浸潤させた。FTDRシステムによって湿潤/排水プロセスを監視することにより、湿潤前線の伝搬をトレースすることが可能になった。それに加えて、通気帯プローブ40によって得られた水サンプルを分析することにより、すべてのサンプルのすべてのトレーサーに対して破過曲線を確立することが可能になった。
【0103】
図14は、地表の下方2,3mに位置するサンプリングセルにおいて、第1のトレーサー試験の間、地表上の異なる浸潤リング94に注入したFBAトレーサーの破過曲線を示す。トレーサーの破過曲線は、層状の土壌を通る浸潤プロセスが複雑であることを強調する。グラフは、流れ線の混合パターンを明白に示し、流れのパターンが垂直からは遠いことを実証している。さらに、トレーサーのいくつかは、2つの別個の濃度ピークを特徴とする破過曲線を伴ってセル内に現われる。多重ピークの破過曲線は、二重の孔隙率のシステムによって、優先的フローメカニズムが優勢であることを象徴的に示す。2つのトレーサー試験のすべてのサンプリングセルからの結果を分析すると、同様のフロー挙動が示される。
【0104】
上述のパラメータはすべて、単に例示として与えられるものであり、本発明の様々な実施形態の異なる要件に従って変えられてもよい。したがって、上述のパラメータは、本発明の範囲をいかなる形でも限定するものと解釈されるべきではない。それに加えて、上述の様々な通気帯プローブ、流体セル、多孔質媒体、および他の部材は、上記の説明に例示されたものとは異なる、様々な形状(例えば、平面図において、楕円形、正方形などを有する)およびサイズで構成されてもよいことが理解されるべきである。
【0105】
上述の実施例および説明は、当然ながら、単に例証目的で提供されたものであり、本発明をいかなる形でも限定することを意図していない。当業者には理解されるように、本発明は、すべて本発明の範囲を超えない上述のものから1つを超える技術を採用して、多種多様なやり方で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の通気帯プローブの好ましい一実施形態の縦断面図である。
【図2】図1に示される通気帯プローブの断面図である。
【図3】可膨張性スリーブによる、ボーリング孔の壁に対する本発明の通気帯プローブの取付けを示す側面図である。
【図4】本発明の通気帯プローブおよび可膨張性スリーブの側面図である。
【図5】本発明の通気帯プローブおよび可膨張性スリーブの斜視図である。
【図6】浸透性を有して変形可能な媒体を含む通気帯プローブの側面図である。
【図7】可撓性スリーブを用いてボーリング孔内に設置されたときの、図6に示される通気帯プローブの縦断面図である。
【図8】図8Aおよび8Bは、外圧センサを有する本発明の通気帯プローブの正面図である。
【図9】図9Aは、補助セルを有する本発明の通気帯プローブの斜視図であり、図9Bは、その縦断面図である。
【図10】本発明の通気帯プローブを備えるいくつかの可撓性スリーブが通気帯の断面に設置された、実施例1および2に使用される実験装置の概略図である。
【図11】実施例1および2で得られた結果のプロット図である。
【図12】実施例1および2で得られた結果のプロット図である。
【図13】本発明の監視システムを使用して実施された実験装置の概略図である。
【図14】実施例3で得られた結果の図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤の化学的および水力学的性質の研究と分析に関し、より具体的には、通気帯中の土壌および間隙水の性質を監視する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地盤の化学的および水力学的性質の監視は、例えば、間隙水と地盤の汚染の監視、農業作物の灌漑制御システム、ならびに土壌と植物の研究目的など、様々な用途において有利に使用される。この目的で、地盤に含まれる流体に関する正確な情報を提供するため、かつ地盤に浸透する水および/または汚染物質の化学的性質を監視するため、特別な道具が必要とされる。飽水帯の上方(すなわち、地下水面の上方)にある土壌の層である通気帯の監視は、そのような用途において特に重要である。通気帯は、地表における汚染源と飽水帯中の地下水とを結び付けるので、通気帯のリアルタイム監視は、地下水の質を制御する上で極めて重要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、張力計および吸着カップなどの器具は、現在、土壌水ポテンシャルを測定し、かつ土壌間隙水のサンプルを得るのに一般に使用されている。これらの器具は、多孔質媒体(多孔質セラミック、多孔質金属、または多孔質ポリマーなど)を通して、土壌間隙水とセル内の水との間に水圧の連続性を発生させることに基づいている。張力計および吸着カップは、土壌学および実践的農業に有効に使用されてもよいが、それらの使用は、相対的に、非常に浅い土壌に限定されている。一般的には、通常は脆弱なセラミック材料で作られる多孔質先端部が、土壌が十分に柔らかい場合は地盤に押し込まれ、あるいは、その目的のために特に掘削された小径の孔の中に設置され、したがって、これらのデバイスは、通気帯中のより深い地層からの情報を収集するのに使用することはできない。
【0004】
米国特許第6,956,381号は、ボーリング孔内に配置された可撓性スリーブの外側に付着された可撓性のTDR(時間分域反射率測定)プローブを使用して、深い土壌レベルでの誘電率および電気伝導率を測定する方法およびシステムを開示している。可撓性スリーブは、充填材料の漏れを防ぐために封止されるので、前記スリーブをボーリング孔に入れ、それを前記充填材料で満たした後の、TDRプローブとボーリング孔の壁との接触が改善される。
【0005】
上述の方法により、通気帯の深い区画における地下水含有量を継続的に監視するための解決策が提供される。含水量は、通気帯中の水文学的プロセスの研究に必要な最も重要な水圧パラメータの1つであるが、監視パラメータの範囲を拡大させ、地下水ポテンシャルと間隙水の化学的性質とに関するリアルタイム情報を付加する方法を有することが最も重要である。したがって、深い土壌レベルにおける化学的および水力学的性質をサンプリングし、監視するのに適した手段が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明の一つの目的は、深い通気帯層からリアルタイムの継続的な情報を収集する方法および装置を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、深い土壌レベルにおける浸潤プロセスを監視し、浸透水の水圧状態および化学的性質を決定する方法および装置を提供することである。
【0008】
本発明のさらなる目的は、深い土壌レベルに設置するのに適合されたサンプリングプローブの構造を提供することである。
【0009】
本発明のさらに別の目的は、汚染物質の通気帯中への移動をリアルタイム監視できるようにするとともに、化学分析のために様々な深さから間隙水サンプルを取得し、地下水ポテンシャルを測定することを可能にする方法および装置を提供することである。
【0010】
なお、説明が進行するに従って、本発明の他の目的および利点が明白になるであろう。
【0011】
通気帯中に形成されたボーリング孔内に設置するように適合された、可膨張性の可撓性スリーブに取り付けられた1つまたは複数の通気帯プローブであって、外部からプローブの内部にアクセスするため、1つまたは複数の導管が接続された流体セルと、前記流体セルの内部とボーリング孔の土壌(すなわち、多孔質媒体に接触する土壌)との間での液体の通過を可能にする、プローブの壁の1つに組み込まれた、またはその上に形成された多孔質媒体(例えば、多孔質セラミック、多孔質金属、もしくは多孔質ポリマー)とをそれぞれ備える通気帯プローブを用いて、継続的に通気帯の深層から液体サンプルを収集し、かつその水力学的性質を監視することが可能であることが分かっている。可膨張性スリーブおよびその上に取り付けられた通気帯プローブを設置する間、前記可膨張性スリーブはボーリング孔の中に下ろされ、次にその中で膨張し、その結果、前記1つまたは複数の通気帯プローブ全体に継続的な圧力が加えられ、それによって、プローブがボーリング孔の壁に押し付けられ、前記多孔質媒体を通して、土壌に含まれる水と前記流体セルの内部に含まれる水との間に水圧の連続性が得られる。
【0012】
通気帯とは、飽水帯の上方にある土壌の層である。本発明の通気帯プローブが中に設置されるボーリング孔は、従来の掘削機器を用いて通気帯を横切って掘削された、垂直な、または傾斜したボーリング孔である。本明細書において本発明の要素/手段と関連して外部という用語が使用されるときは常に、概して、前記ボーリング孔の外部の地表に位置する要素/手段を指すものとする。
【0013】
本明細書において使用される水圧の連続性という用語は、概して、流体容器に含まれる水と土壌に含まれる水との間の相互接続を指す。前記水の相互接続は、一般的に、前記流体容器の壁の1つに構築または形成された浸透性の媒体を通して得られる。
【0014】
可膨張性スリーブは、多量の充填材料を受け入れることができる任意タイプの可撓性スリーブであってよく、実質的に半径方向に拡張してよく、前記スリーブは、好ましくは、PVC、ゴム、ポリエチレン、テフロン(登録商標)、または強化生地などであるがそれらに限定されない、任意タイプの適切な可撓性材料からなる可撓性ライナーから形成され、前記充填材料は、ガス、液体、凝固性液体(例えば、二成分ウレタン、コンクリート、エポキシ樹脂、発泡材料)、または乾燥砂のタイプのもの、好ましくは、二成分ウレタンもしくはコンクリートなどであるがそれらに限定されない、凝固性液体のタイプのものであってもよい。
【0015】
他のタイプのプローブ/センサも、それらがボーリング孔の壁に接触し、そこから、本発明の通気帯プローブを介して得られる情報と併せて使用されてもよい付加的情報を収集するようにして、可膨張性スリーブに取り付けられてもよい。例えば、通気帯プローブの範囲内の土壌の水分を測定するため、TDRプローブが、各通気帯プローブに近接して可膨張性スリーブに取り付けられてもよい。
【0016】
流体セルは、可撓性スリーブに沿って、またはその内部もしくは外部を通る導電線を用いて、外部監視デバイスの1つまたは複数に電気的に接続された、1つまたは複数の感知手段を備えてもよい。感知手段としては、流体セル内の圧力を測定する圧力センサ、前記流体セル内の液位を監視する液位感知手段、または、pH、酸化還元、EC、酸素、硝酸塩などの特定の分析用電極を挙げることができるが、それらに限定されない。
【0017】
可膨張性プローブが、それに取り付けられた通気帯プローブ(ならびに、それに取り付けられてもよい任意の追加のプローブの1つまたは複数/センサの1つまたは複数)がボーリング孔の壁に押し付けられるようにして、ボーリング孔内で膨張した後、流体セルの内部は、それに接続された1つまたは複数の導管を介して多量の水で満たされ、流体セルに含まれる水と土壌中の間隙水との間の水圧の連続性が、前記流体セルの多孔質媒体を介して得られる。各流体セルの内部にアクセスする1つまたは複数の導管は、その中で得られた液体のサンプルを収集するため、またその中に正圧/負圧状態を適用するために使用されてもよい。前記液体のポテンシャルは、その中に設置された圧力センサを用いて測定されてもよく、前記液体の液位は、液位感知手段および前記1つまたは複数の導管によって制御されてもよい。
【0018】
結果として、第1の態様では、本発明は、通気帯の一区画を横切るボーリング孔を掘削する工程と、外部からプローブの内部にアクセスするため、1つまたは複数の導管が接続された流体セルと、前記流体セルの内部とそれに接触する土壌との間での液体の通過を可能にする、プローブの壁の1つに組み込まれた、またはその上に形成された多孔質媒体とをそれぞれ備える1つまたは複数の通気帯プローブが上に取り付けられ、前記通気帯中に形成されたボーリング孔内に設置されるように適合された可膨張性スリーブを、前記ボーリング孔の中に下ろす工程と、前記1つまたは複数の通気帯プローブ全体に継続的な圧力が加えられ、それによって、前記プローブを前記ボーリング孔の壁に押し付け、かつ前記1つまたは複数の通気帯プローブの前記多孔質媒体に接触する前記土壌と、前記プローブの流体セルの内部との間に前記多孔質媒体を通して水圧の連続性が得られるように、前記可膨張性スリーブを充填材料で満たす工程と、前記1つまたは複数の導管を介して多量の液体を前記流体セルに導入する工程と、必要であれば、前記1つまたは複数の導管を介して多量の液体を前記流体セルから除去する工程とを含む、通気帯中の地盤の間隙水の質および/または清浄度を判断する方法に関する。
【0019】
この方法は、1つまたは複数の通気帯プローブの流体セル内に設置された圧力感知手段を用いて、前記流体セル内の圧力を測定する工程であって、前記圧力感知手段に電気的に接続された導電線を介して測定を行う工程をさらに含んでもよい。さらに、可膨張性スリーブに取り付けられてもよい付加的なプローブ(1つまたは複数)/センサ(1つまたは複数)を介して、付加的情報が収集されてもよい。
【0020】
流体セルに含まれる液体の液位は、流体セル内の液位がある予め定められた上限(例えば、30%≦上限≦100%)を上回ったときは常に、前記1つまたは複数の導管を介して多量の液体がそこから除去され、流体セル内の液位がある予め定められた下限レベル(例えば、0%≦下限≦30%)を下回ったときは常に、前記1つまたは複数の導管を介して多量の液体がそこに導入されるように、内部に設置されてもよい液位感知手段を用いて継続的に制御されてもよい。
【0021】
さらに、前記1つまたは複数の導管の1つに接続された任意の適切な圧力源(例えば、圧力ポンプまたは圧縮ガス)を用いて、圧力/真空状態が流体セル内に形成されてもよい。
【0022】
前記1つまたは複数の導管内の通過は、流体セルに近接して導管の上に設置された制御可能なバルブによって制御されてもよい。
【0023】
別の態様では、本発明は、継続的に通気帯から液体サンプルを収集し、かつその水力学的性質を監視するプローブを対象とし、前記プローブ(以下、通気帯プローブ)は、通気帯中に形成されたボーリング孔内に設置される可膨張性スリーブに取り付けられるようになっており、前記通気帯プローブは、外部からプローブの内部にアクセスするため、1つまたは複数の導管が接続された流体セルと、前記流体セルの内部とそれに接触する土壌との間での液体の通過を可能にする、プローブの壁の1つに設置された、またはその上に形成された多孔質媒体とを備え、前記可膨張性スリーブは、その上に取り付けられた前記通気帯プローブが、ボーリング孔の壁に押し付けられ、前記多孔質媒体を介して、前記流体セルの内部に含まれる水と土壌に含まれる水との間で水圧の連続性が得られるようにして、充填材料を用いて前記ボーリング孔内で膨張される。
【0024】
通気帯プローブは、好ましくは、前側および後側を有する細長い本体から作られ、前記後側は略平面であり、前記前側は、変形可能かつ透過性の材料から形成されるか、あるいは、前記前側とボーリング孔の壁との間の表面接触を増加させるために、その長さに関して事実上湾曲して形成され、細長い本体はさらに、前記前側に対して鋭角で構成された傾斜した端部を有するので、前記可膨張性スリーブに導入される充填材料によって前記後側および傾斜した端部の全体にわたって加えられる圧力に応答して、前記通気帯プローブが適所に固定されてもよい。
【0025】
流体セルは、好ましくは、通気帯プローブ内に設置されるように構成され、その壁の1つに設置された、またはその上に形成された多孔質媒体を有するとともに、その壁を液体が通過できるようにする細長い流体容器である。前記流体セルの内部にアクセスする1つまたは複数の導管は、その内部に正圧/負圧状態を適用するため、多量の液体をそこに導入し、またはそこから除去するのに使用されてもよい。好ましくは、少なくとも1つの導管は、液体を前記流体セルに導入し、またはそこから除去するのに使用され、少なくとも1つの他の導管は、その内部に正圧/負圧状態を適用するのに使用される。
【0026】
本発明の好ましい一実施形態によれば、多孔質媒体は、通気帯プローブの前側に面する流体セルの壁に形成された開口部内またはその上に付着され、それによって、前記多孔質媒体の外側表面が、前記通気帯プローブの前側の表面と一直線に並ぶか、またはそこからわずかに突出し、結果として、前記通気帯プローブが壁に押し付けられたとき、前記外側表面がボーリング孔の土壌に効果的に接触することができる。有利には、前記多孔質媒体の外側表面は、ボーリング孔の湾曲した壁との表面接触を最大限にするため、その長さに亘って湾曲している。
【0027】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、多孔質媒体は、キャビティと、流体セルの基部を通してその内部に通じる開口部とを有する細長いカップの形態で提供され、前記多孔質媒体を含む前記流体セルの少なくとも一部は浸透性を有して変形可能な媒体で覆われて、前記多孔質媒体および前記浸透性を有して変形可能な媒体を介して、前記流体セルの内部に含まれる水と前記通気帯プローブに接触する土壌に含まれる水との間に水圧の連続性を確立する。好ましくは、前記浸透性を有して変形可能な媒体は、前記多孔質媒体を含む前記流体セルの少なくとも一部を、ネットと、前記ネットと前記流体セルの前記一部との間の空間を満たす粒状材料とで取り囲むことによって実現される。前記粒状材料は、好ましくは微細な土壌粒子で構成され、前記ネットの細孔は、好ましくは、前記微細な土壌を保持するとともに、加圧されたときは常にその通過を制限できるようにするのに十分に小さい。
【0028】
あるいは、浸透性を有して変形可能な媒体は、多孔質プラスチック、スポンジ、粘土、および非常に軟質の多孔質ポリマーからなる群から選択された材料からなる。
【0029】
1つまたは複数の導管の1つに接続される外圧源は、流体セル内に正圧/負圧状態を適用するのに使用されてもよい。前記圧力源、および流体セル内に設置されてもよい任意の感知手段は、前記センサからの入力を受け取り、前記圧力源を作動させる制御信号を供給するように適合された、外部制御デバイスに連結されてもよい。
【0030】
1つまたは複数の導管の通過は、その上に設置され、それぞれの制御線を介して外部制御デバイスに電気的に連結された、制御可能なバルブを用いて制御されてもよい。好ましくは、前記制御可能なバルブは、流体セルの外部で、かつそれに近接して前記導管に設置されてもよい。
【0031】
さらに別の態様では、本発明は、通気帯中に形成されたボーリング孔内に設置されるようになっている可膨張性スリーブと、前記可膨張性スリーブに取り付けられた1つまたは複数の通気帯プローブであって、外部からプローブの内部にアクセスするために1つまたは複数の導管が接続された流体セルと、前記流体セルの内部とそれに接触する土壌との間での液体の通過を可能にする、プローブの壁の1つに組み込まれた、またはその上に形成された多孔質媒体とを有する通気帯プローブと、を備える、通気帯中の土壌および間隙水の質および/または清浄度を判断するシステムを対象とする。
【0032】
多孔質媒体は、キャビティを有するカップの形態で提供されてもよく、前記カップは、前記キャビティが前記流体セルの内部に通じるようにして、前記流体セルの基部に取り付けられる。有利には、前記多孔質媒体を含む流体セルの少なくとも一部は浸透性を有して変形可能な媒体によって覆われ、前記浸透性を有して変形可能な媒体は、ネットと、前記ネットと前記流体セルの前記一部との間の空間を満たす粒状材料と、によって構成されてもよい。
【0033】
このシステムは、ボーリング孔の壁に接触し、かつそこから付加的情報を収集するようにして、可膨張性スリーブ上に取り付けられた他のタイプのプローブ/センサをさらに備えてもよく、その情報は、本発明の通気帯プローブを介して得られた情報と併せて使用されてもよい。
【0034】
本発明は例証として添付図面に示されており、図面中、類似の参照番号は一貫して類似の要素を指すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明は、主として、比較的安定した土壌条件において、土壌水ポテンシャルなど、土壌の水力学的性質を監視し、土壌間隙水のサンプルを収集する方法および装置を対象とする。本発明の装置は、深い通気帯中の土壌間隙水の監視に特に有用であるが、深い通気帯には限定されず、浅い土壌層位に等しく使用することができる。さらに、当業者には理解されるが、本発明の方法および装置は、溶解した有機物質および無機物質などの水相の溶解成分、炭化水素および燃料などの非水相物質などであるがそれらに限定されない、他の土壌溶液および液体の監視にも適している。
【0036】
理解されるように、本発明の通気帯監視装置は、地下水汚染に関する警告を生じさせるのに有利に使用されてもよい。通気帯中の浸透水および蓄積汚染の化学的性質を制御する動的プロセスは、地表下の物理的、化学的、および微生物学的状態における一時的な変化に大きく依存する。したがって、汚染が十分早期に検出されれば、地下水汚染をある程度まで低減および/または制御することができる。通気帯のあらゆる改善処置は、本質的に、地盤の間隙水の化学的および物理的性質を、オンラインで、リアルタイムに、かつ継続的に監視することを必要とし、以下の説明から認識されるように、本発明の方法および装置はそのような目的に特に有利である。
【0037】
本発明の装置は、通気帯サンプリングプローブと、いくつかのそのようなプローブを深い通気帯の断面に沿って設置することができるように特に設計された、特別な設置技術とを利用する。本発明の監視システムは、アンケースドボーリング孔内に設置されるように設計されている。多孔質先端部(例えば、張力計)を使用する標準的なサンプリングポートは、地盤に押し込まれるように設計されているが、本発明の通気帯プローブは、通気帯の土壌と表面接触させ、その土壌との水圧の連続性を得るため、ボーリング孔の壁に押し付けることができるように特に設計されている。
【0038】
本発明の通気帯プローブの構成は、ボーリング孔の中に下ろされ、次に膨張し、次いで、可膨張性スリーブの外側に取り付けられた通気帯プローブをボーリング孔の壁に押し付けるように設計された特別な可膨張性スリーブを使用して、通気帯プローブの多孔質媒体をボーリング孔の壁に付着させることに基づいている。可膨張性スリーブは、任意の適切な可撓性材料から、好ましくは、例えば、PVC、ゴム、ポリエチレン、テフロン、または強化生地から作られた可撓性ライナーから作られた、可撓性スリーブによって実現されてもよい。
【0039】
可膨張性スリーブの長さは、地球全体にわたって場所ごとに大幅に変わるものであり、試験されるべき通気帯の深さに応じて決定されるべきである。例えば、最近の応用例では、長さが2〜50mの可撓性スリーブが使用され、いくつかの場所の通気帯に成功裡に設置されたが、当然ながら、可撓性スリーブの長さはそのような長さに限定されず、他の地理的位置では、はるかに長い可撓性スリーブが必要なことがある。可膨張性スリーブの直径は、一般に5〜20cmの範囲内であってもよいが、当然ながら、これらの寸法には限定されない。好ましくは、可撓性スリーブの直径は数cm程度であるが、それもやはり、掘削されたボーリング孔の深さと掘削能力とに応じて決まる。可膨張性スリーブの遠位端は、好ましくは封止(例えば、接着または溶接によって)されて、スリーブ内に圧力が発生することを確保し、充填材料がボーリング孔に漏れるのを防ぐ。
【0040】
可膨張性スリーブの膨張は、ガス、液体、凝固性液体(例えば、二成分ウレタン、コンクリート、エポキシ樹脂、発泡材料)、または乾燥砂などであるがそれらに限定されない、充填材料を用いて得ることができる。充填材料は、好ましくは、二成分ウレタンまたはコンクリートなどであるがそれらに限定されない、一種の凝固性液体である。
【0041】
そのような凝固剤を使用して可撓性スリーブを満たすことで、有利には、プローブを大幅に大きな力でボーリング孔の壁に押し付けることができる静水圧が発生し、この力は、好ましくは、通気帯中のプローブの深さに対して変わる、本来の地盤圧力(上に重なる岩石および/または土壌の層によって与えられる、地殻のある地点における垂直圧力)に等しい圧力に対応する。このようにして、通気帯プローブの多孔質媒体と土壌との接触が改善され、掘削されたボーリング孔内における本来の地盤圧力が回復される。一般的に、凝固剤が使用されるとき、スリーブを満たした後に凝固剤は固まり、その上に取り付けられた通気帯プローブは通気帯の断面に恒久的に位置する。
【0042】
凝固性液体を充填材料として使用する別の利点は、ボーリング孔の掘削によって発生する可能性がある、張力を解放する亀裂が修復されることである。可撓性スリーブは、あらゆる傾きで掘削されたボーリング孔内に設置されてもよいが、本発明の好ましい一実施形態では、通気帯プローブは、安定した土壌条件の監視を行うため、傾斜した(例えば、水平面に対して30°〜50°の角度で)ボーリング孔の天井に付着される。
【0043】
図1は、ボーリング孔の壁と直接接触している、ボーリング孔内に設置されるように設計された通気帯プローブ10の縦断面図である。通気帯プローブ10は、一般に、台形の輪郭が得られるように構成され、前記輪郭における台形の底面が通気帯プローブ10の前面10fを形成する、傾斜した末端10aおよび10bを有する細長い本体で構成される。このようにして、通気帯プローブ10は、本明細書において後述されるように、その台形の輪郭における頂面10r(本明細書では、後面とも称される)と、前記傾斜した端部10aおよび10bとの表面全体に圧力を加えることによって、横方向に効果的に押すことができる。
【0044】
通気帯プローブ10は、プローブとボーリング孔の間の表面接触を最大限にするため、ボーリング孔の半径方向の曲率に対応する形状を有する、湾曲した多孔質媒体11を備える。図2でより良く分かるように、湾曲した多孔質媒体11は、通気帯プローブ10の液体セル15の本体に設けられた開口部上に形成されるか、その中もしくは上に付着される(例えば、エポキシなどであるがそれに限定されない接着剤19を用いて)ので、液体は、そこと流体セル15の内部との間を行き来できる。通気帯プローブ10の前面10fも、好ましくは、ボーリング孔の壁との表面接触を最大限にするため、ボーリング孔の曲率に対応する湾曲した形状で構成される。
【0045】
通気帯プローブ10は、液体セル15の内部と流体連通してプローブに接続される、少なくとも2つの可撓性導管13aおよび13bをさらに含む。セル15に接続された第1の導管13a(以下、圧力導管とも称される)は、液体セル15内に正圧/負圧状態を形成するのに使用される。液体セル15内で終端する第1の導管13aの端部は、好ましくは、液体セル15内で得られた液体12が中に入り込むのを防ぐため、その短い一部分のみが液体セル15に導入されるように、液体セル15の天井15a付近で終端する。第2の導管13b(以下、液体導管とも称される)は、液体セル15内で得られた多量の液体12を導入/除去するのに使用され、したがって、液体セル15の長さに沿って導入され、好ましくは液体セル15の床15b付近で終端する。以下の説明で詳述されるように、液体セル15内に設置された感知手段(4、5)からの読取値を受け取るため、導通線13cも通気帯プローブ10に付着されてもよい。
【0046】
図3は、可膨張性スリーブ18を用いてボーリング孔内に設置されたときの、本発明の通気帯プローブ10の側面図を示す。この配置では、プローブの前面10fが外向きにされて、それが中に設置されるボーリング孔の壁に接触するようにして、接着剤、プラスチック/ナイロンの拘束具などであるがそれらに限定されない、任意の適切な取付け手段を使用して、または、適切な袋を縫い付けることによって、1つまたは複数の通気帯プローブ10が可膨張性スリーブ18の外側に取り付けられる。通気帯プローブ10を備える可膨張性スリーブ18は、ボーリング孔に挿入された後、充填材料17(例えば、ウレタン)によって膨張させられるので、膨張したスリーブ内の静水圧(矢印6によって指定される)が、その上に取り付けられた通気帯プローブ10を押し、ボーリング孔の壁14にプローブを押し付ける。このようにして、湾曲した多孔質媒体11は、通気帯中に形成された孔の壁に押し付けられ、土壌9と直接接触するようになる。
【0047】
図4は、可撓性スリーブ18を用いてボーリング孔内に設置された通気帯プローブ10の縦断面図である。通気帯プローブ10は、圧力センサ4と、導通線13cを介して外部制御(または記録)デバイス43に接続された液位感知手段5とを備えてもよい。制御デバイス43は、液位感知手段5と、導管13aを介してそれに接続された圧力源45とを用いて、流体セル15内の液体12の液位を継続的に測定し制御するように設計されてもよい。
【0048】
例えば、液位感知手段5によって測定された液位が所望のレベルを下回る場合、制御デバイス43は、圧力源45を作動させる制御信号を生成して、導管13aを介して流体セル15内に真空条件を適用し、次いで、導管13bを介して液体が容器51から流体セル15内へ吸引されるようにしてもよい。同様に、流体セル15内の液体12の液位が予め定められた所望の液位を超える場合、制御デバイス43は、圧力源45を作動させる制御信号を生成して、導管13aを介して流体セル15内に圧力条件を適用し、次いで、導管13bを介して液体が流体セル15から容器51内へ放出されるようにしてもよい。
【0049】
同様に、制御デバイス43は、導管13bを介して容器51内への液体のフローを引き起こすため、圧力源45を適宜作動させて、導管13aを介して圧力を加えることによって、継続的に、またはそのような手順を手動で開始する際に、流体セル15から液体サンプルを得るように適合されてもよい。
【0050】
通気帯プローブ10は、導通線13cを介して制御デバイス43から受け取る制御信号を用いて、導管13aおよび13bをそれぞれ経由する通路を制御可能に開閉する、制御可能なバルブ22aおよび22bをさらに備えてもよい。制御可能なバルブ22aおよび22bは、好ましくは、流体セル15に近接して、好ましくはその天井15a付近で、導管13aおよび13bの区画上にそれぞれ構築される。制御可能なバルブ22aおよび22bは、様々な動作モードで通気帯プローブ10を作動させるのに使用されてもよい。例えば、水ポテンシャルを測定するとき、制御可能なバルブ22bおよび22aは閉じられてもよく、その結果、土壌9とセル15の間の水の連続性は多孔質媒体11を通して達成され、土壌9中の間隙水圧は圧力センサ4を介して測定されてもよい。次に、水ポテンシャルは、圧力センサ4を用いて、流体セル15内の圧力を継続的に測定することによって決定されてもよく、圧力平衡に達したことが決定され、すなわち、安定した圧力測定読取値が得られる。別の可能な動作モードでは、溶液は、土壌9から流体セル15内への液体の移動(矢印48によって示される)が多孔質媒体11を通してなされるように、制御可能なバルブ22bを閉じ、制御可能なバルブ22aを開き、かつ圧力源45を始動させて、流体セル15内に負圧状態を適用することによって、土壌から通気帯プローブ10内へ吸引されてもよい。液位感知手段5によって測定されてもよいような、所望の圧力レベルに達した後、制御可能なバルブ22aは閉じられてもよい。
【0051】
図5は、傾斜したボーリング孔内に置き、可膨張性スリーブ18を膨張させた後の、可膨張性スリーブ18上に取り付けられた通気帯プローブ10の斜視図を示す。図に見られるように、スリーブ18を膨張させた後、通気帯プローブ10およびその前面に取り付けられた多孔質媒体11は、前記プローブが位置する傾斜したボーリング孔区画の上壁区画に押し付けられる。
【0052】
通気帯プローブ10の本体は、先端を切り取った円筒形の断面形状を有してもよく、ステンレス鋼、エポキシモールド、テフロン、またはPVCなどであるがそれらに限定されないあらゆる適切なタイプの剛性材料から、好ましくはステンレス鋼から作られてもよい。本発明の特定の一実施形態では、通気帯プローブ10の前面10fの長さは約40cmであってもよく、前面と後面の間の距離は約8cmであってもよく、通気帯プローブ10の幅は約10cmであってもよい。
【0053】
流体セル15は、多量の液体を内部に保持するのに適したあらゆるタイプの材料、好ましくはある種の金属またはプラスチック材料、最も好ましくはステンレス鋼、エポキシモールド、テフロン、またはPVCから作られた、あらゆる適切な断面形状(例えば、円筒形または長方形)、好ましくは円筒形を有する、中空の細長い容器から構成されてもよく、接着剤を用いて通気帯プローブの本体内に取り付けられるか、特別な構造によってスリーブ上に取り付けられてもよい。本発明の特定の一実施形態では、流体セル15の長さは約25cmであってもよく、その容積は約300ccであってもよい。
【0054】
多孔質媒体11は、湾曲面を有し、多孔質セラミックまたは多孔質金属などであるがそれらに限定されないあらゆる適切な多孔質材料から作られた、プレートによって実現されてもよい。本発明の特定の一実施形態では、多孔質媒体11の表面積は約100cm2(例えば、10×10cm)であってもよく、流体セル15の壁に取り付けるのに適した、あらゆる適切な幾何学形状(例えば、長方形、円形)で構成されてもよい。多孔質媒体11は、流体セル15の前壁(ボーリング孔の壁に面する)に形成された開口部を覆うか、またはその中に設置されてもよく、前記開口部は、多孔質媒体11とほぼ同じ面積と形状とを有する。多孔質媒体11は、好ましくは、適切な接着剤、例えばエポキシ接着剤を使用して、流体セル15に取り付けられる。通気帯プローブ10の特定の一実施形態では、多孔質媒体11の幅および高さは約10×10cmであってもよい。
【0055】
本発明の特定の実施形態では、可撓性スリーブ18がその中に設置されるボーリング孔の直径は、一般的に、5〜20cmの範囲である。
【0056】
圧力センサ4は、好ましくは、0〜1(真空)気圧の範囲の圧力を測定することができるタイプのセンサであるが、特定の用途では、0〜2気圧の圧力範囲、またはより狭い範囲が使用されてもよい。液位感知手段5は、例えば、電極対または光学読取機によって実現されてもよい。例示として、図1では、液位感知手段5は、流体容器15の壁に取り付けられた2つの電極によって実現される。可撓性導管は、一般に0.5〜4mmの範囲の、好ましくは約1mmの内径を有する一種のプラスチックまたは金属材料から、好ましくは、PVC、ステンレス鋼、もしくはテフロンから作られるのが好ましい。制御手段43は、例えば、フィールドコンピュータまたはデータロガーなどのあらゆる適切なコントローラ、すなわち制御理論によって実現されてもよい。
【0057】
圧力源45は、正圧もしくは負圧のどちらかを発生させることができる圧力ポンプによって、または、真空ポンプと圧縮ガスなどのガスの加圧源との組合せによって実現されてもよい。制御可能なバルブ22aおよび22bは、好ましくは、例えば、レッチまたはソレノイドなどの一種の二状態制御可能なバルブ(開/閉)である。
【0058】
図1〜5に示される通気帯プローブ10の構造を使用することは、掘削によってきれいで平滑なボーリング孔の壁14が作られる、比較的微粒子の土壌に適しており、その際、湾曲した多孔質媒体11とボーリング孔の壁との良好な表面接触が容易に得られてもよく、これは、土壌間隙水とセル15に含まれる水12との間の水圧の連続性にとって重要である。したがって、通気帯プローブ10は、沖積層などの粗い礫質土壌にはあまり適していないが、それは、そのような土壌を掘削することで凹凸のあるボーリング孔の壁がもたらされて、湾曲した多孔質媒体11とボーリング孔の壁14の土壌との間の表面接触が乏しくなるためである。
【0059】
図6および7は、通気帯プローブ40が粗い物質内に設置されるように設計され、掘削によって、硬い多孔質媒体と粗い堆積物との間に良好な接触を得ることが困難な、凹凸のあるボーリング孔の壁44がもたらされる(図7)、本発明の好ましい一実施形態を示す。この好ましい実施形態では、通気帯中の土壌と流体セル41との間の水圧の連続性は、粗い土壌物質49と通気帯プローブ40の流体セル41との間を架橋することができる浸透性を有して変形可能な媒体46(例えば、未固結剤)に含まれる、多孔質先端部42(例えば、セラミック先端部)を用いて得られる。
【0060】
本発明の特定の一実現例では、通気帯プローブ40は細長い固体47を備え、その固体は前側47fおよび後側47rを有し、また、可膨張性スリーブに対するあらゆる損傷を防ぐため、かつ前記後側47r全体に加えられる力によって通気帯プローブ40の固定を改善するため、前記前側47fに対して鋭角で構成された傾斜した末端47aおよび47bを有する。略平面である前側47fの表面は、流体セル41を中に受け入れるように構成されたキャビティを備える。流体セル41は、好ましくは、細長い本体47内に構築された円筒形の容器から作られる。図7に示されるように、細長い本体47は、流体セル41の表面積の半分をその長さに沿って事実上覆い、それによって、ボーリング孔の壁44に面する、かつ細長い本体47によって覆われない前面41fを規定する。スリーブ18に面する細長い本体47の後側は、好ましくは、スリーブ18を膨張させたときに全体に加えられる圧力(矢印6によって示される)に応答して、通気帯プローブ40を適所で固定するため、傾斜した末端47aおよび47bを有する。浸透性を有して変形可能な媒体46は、好ましくは、多孔質媒体42を通して流体セル41の前面41fとボーリング孔の壁44との間に介在する、砂枕の形態で作られる。
【0061】
浸透性を有して変形可能な媒体46は、好ましくは、セルをその長さ全体に沿って包み込み、かつ非常に微細な湿潤砂46s(例えば、0.01mm未満の粒径を有する)で満たされた、可撓性繊維ネット(蚊よけネットに類似)から作られる。有利には、流体セル41が中に構築される細長い本体47の前側のキャビティは、流体セル41の基部に取り付けられる多孔質媒体42が前記細長い本体47に接触しないように構成される。このようにして、図6および7に示されるように、多孔質媒体の外側表面全体が、浸透性を有して変形可能な媒体46によって取り囲まれてもよい。
【0062】
あるいは、浸透性を有して変形可能な媒体46は、多孔質プラスチック、スポンジ、粘土、または非常に軟質の多孔質ポリマーからなる群から選択された材料で作られる。
【0063】
通気帯プローブ40の設置技術は、上述の設置技術に実質的に類似している。しかし、この場合、通気帯プローブ40が、膨張した可撓性スリーブ18によってボーリング孔の凹凸のある壁44に対して押される(矢印6で示される)と、浸透性を有して変形可能な媒体46は壁44に押し付けられる。本発明の特定の一実施形態では、浸透性を有して変形可能な媒体46は微細な湿潤砂で満たされたネットで作られ、凹凸のある壁44に押し付けられながら、前記ネットと流体セル41の前面41fとの間に捕捉された砂46sの部分は、ネットの孔から土壌のキャビティへと押し出され、それによって、微細な砂46sと凹凸のある土壌物質49との間に水圧の連続性(矢印50によって指定される)をもたらす。流体セル41と土壌49の間の良好な接触と水圧の連続性とを得るため、浸透性を有して変形可能な媒体46は、その可撓性により、ボーリング孔の壁44の荒れた表面に適応し、入り込むことが可能になる。そのような浸透性を有して変形可能な媒体を使用することの追加の利点は、土壌に接触し、かつ粗い堆積物における水圧の連続性を得る条件を改善する表面積が比較的大きいことである。
【0064】
多孔質先端部42は、好ましくは、流体セル41の基部に設けられた開口部内に、またはその上に付着させることによってセルの内部と流体連通している、流体セル41に接続されたカップの形状で作られる。有利には、多孔質先端部42は細長い本体47とは接触していないので、その側面および底面は、必要な水圧の連続性を得るため、浸透性を有して変形可能な媒体によって覆われる。凹凸のある堆積物49と媒体46中の微細な砂46sとの間の水圧の連続性が得られると、通気帯の土壌と多孔質先端部42との間の水圧の連続性も得られる。理解されるように、通気帯プローブ40は、固体の多孔質先端部42の表面と硬岩との間の十分な表面接触を得ることが自明ではない、硬岩に使用するのに適している。同様の方法は、浸透性を有して変形可能な媒体の比較的大きな面積が、割れ目と交差するボーリング孔の大きなセグメントを覆うことがある、粉砕された岩にも適用されてもよい。
【0065】
特定の一実施形態では、通気帯プローブ40の前側47fの長さは約40cmであってもよく、前記後側と前側の間の距離は一般に約6cmであってもよく、通気帯プローブ40の幅は一般に約2cmであってもよい。細長い本体47は、ステンレス鋼、エポキシモールド、テフロン、またはPVCなどであるがそれらに限定されない、任意のタイプの適切な剛性材料から、好ましくはステンレス鋼から製造されてもよく、最も好ましくは、エポキシモールドから作られる。
【0066】
流体セル41は、好ましくは、ステンレス鋼、エポキシモールド、テフロン、またはPVCなどであるがそれらに限定されない任意の適切なタイプの剛性材料から、好ましくはPVCから作られた、中空の細長い本体(例えば、円筒形もしくは長方形)から作られる。本発明の特定の一実施形態では、流体セル41の長さは一般に約25cmであってもよく、そのような特定の実施形態におけるその内部の容積は約100ccであってもよい。多孔質先端部42は、多孔質セラミック、多孔質金属、または多孔質ポリマーなどであるがそれらに限定されない、任意の適切な多孔質材料から製造されてもよい。本発明の特定の一実施形態では、多孔質先端部42の長さは約6cm、その外径は約2cmであってもよい。流体セル41および多孔質先端部42は、0から、プローブの深さから水を上昇させるのに必要な静水圧までの範囲の圧力に耐えるように設計されるべきであり、例えば、乾燥土壌において典型的な0.2の真空圧に耐えるべきである。ただし、セルが約40mの深さで設置された場合、5バールまで持ちこたえる。
【0067】
通気帯プローブ40の流体セル41の内部は、好ましくは流体セル41の天井を通る、可撓性の導管13aおよび13bを介してアクセスされてもよい。圧力導管13aは、流体セル41内に正圧/負圧状態を適用するのに使用され、したがってその第1の端部は圧力源45に接続され、その他方の端部は流体セル41の天井を通り抜け、液体41wが中に入り込むのを防ぐため、前記天井付近で終端する。液体導管13bは、流体セル41の内部に多量の液体を導入し、またそこから除去するのに使用され、したがってその外部端部は液体容器51に接続され、その他方の(内部)端部は、流体セル41の天井を通ってそれに入り込み、その長さに沿って通り、多孔質先端部42のキャビティ42c内で終端する。
【0068】
通気帯プローブ40は、好ましくは、圧力センサ4と、液位感知手段5と、可撓性導管13aおよび13bにそれぞれ取り付けられた、その中の通過を制御する制御可能なバルブ22aおよび22bとをさらに備え、それらはすべて、導電線13cを介して制御デバイス43に電気的に連結される。上述の通気帯プローブ10と同様に、可撓性導管13aおよび13b、ならびに導電線13cは、可撓性スリーブ18の長さに沿って、好ましくはその内部を通って地表に達し、地表において、それらはそれぞれの外部デバイスに、すなわち、圧力源45、容器51、および制御デバイス43に接続される。可撓性導管、感知手段、制御可能なバルブ、圧力源、および制御デバイスは、図1〜5を参照して上述した通気帯プローブ10に使用されるものと類似であってもよい。
【0069】
上述の通気帯プローブは、一般に、ボーリング孔内に設置した後、類似のやり方で操作される。一般に、可撓性導管13aおよび13bは流体セル15または41の内部にアクセスするのに使用され、液位感知手段5は、流体セルおよびその内部に含まれる液体の監視、保守、および制御に使用される。可撓性導管13bは、一般に、地表から流体セルへ、または流体セルから地表へ液体を移行させるのに使用される。可撓性導管の内径は、好ましくは非常に狭く(例えば、約1mm)、使用される対応する取付け具および導管は、好ましくは、特別な真空気密の付属物である。システムが設置されると、土壌が十分に湿っているときは、可撓性導管13aを介して真空を適用することによって、あるいは、多孔質媒体/先端部を介して液体を流体セルから土壌に強制的に送り出すことによって、水圧の連続性が得られる。地表から流体セルへ水を移行させるため、圧力導管13aを介して真空が適用され、液体導管13bの外部端部は容器51内の所望の溶液に導入される。流体セル15または41内に作られた真空により、容器51内の溶液は、表面から、液体導管13bを介して流体セル内へ送られる。
【0070】
流体セルの液位は、圧力導管13aの下端に水が入り込むのを防ぐため、液位感知手段5によって監視されてもよい。液体の所望の液位が流体セル内で得られると、セル内に獲得された液体と土壌との間の水圧の連続性を得るため、圧力導管13aを介して適用された真空は、正圧(例えば、空気または他の圧縮不活性ガス)に置き換えられて、多孔質媒体11を通して、または多孔質先端部42と砂浸透性を有して変形可能な媒体46とを通して、液体12または41wを流体セル15または41の内部から土壌9または49に押し出してもよい。水圧の接続が確立されると、流体セル内または圧力導管13a上のどちらかに位置してもよい圧力センサ(例えば、マイクロ圧力変換器(PT))を使用して、セル内に作り出される張力が測定される。圧力センサ5を流体セル内に置くか、または圧力導管13a内に置くかの選択は、セル内の液体と圧力導管13a内のガスとの相対体積に従って決定されるべきであることに留意されたい。これは、比較的狭い内径を有する可撓性導管を使用する理由の1つである。
【0071】
土壌間隙水のサンプリングが望ましい場合、圧力導管13aを介して真空が流体セル内に適用され、それによって、多孔質媒体/先端部を通して土壌中の間隙水が流体セル内に送られる。流体セルが、液位感知手段5によって監視されながら、間隙水で満たされると、圧力導管13aを介して正圧が適用され、それによって、液体導管13bを通して水が地表の上に押し出される。非常に狭い内径を有する可撓性導管を使用することで、液体がすべて液体導管13bを通して最後まで押し上げられ、導管内には液滴が残らず、液体がずっと上まで流れることを阻止する泡立ち作用もないことが確保されることに留意されたい。液体導管13bの内部端部は、流体セルの底部付近で、または多孔質先端部のキャビティ内で終端するので、流体セルは比較的短時間(例えば、1分未満)で空になり、液体サンプルは表面まで進む。したがって、少量の液体のみがセルから土壌に戻される。
【0072】
図8Aおよび8Bは、本明細書において上述したような可膨張性スリーブを用いて設置するように設計されている、圧力センサ84sが流体セル81の外部に設置された本発明の別の通気帯プローブ80を示す。この好ましい実施形態では、流体セル81の内部と通気帯の土壌との間の水圧の連続性は、浸透性および変形可能な媒体88によって覆われた多孔質先端部82を介して得られるが、このことは図6〜7を参照して上述されており、したがって、簡潔にするため詳細には後述されない。流体セル81は、図8A〜8Bにおいて、例証として、多孔質先端部82が接続される1つの先細状の側面を有する略長方形の幾何学形状を有するものとして示されるが、このことは、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。当然ながら、流体セル81は、他の任意の適切な幾何学形状を持っていてもよい。
【0073】
上述の実施形態と同様に、流体セル81の内部は、圧力源および容器(図示なし)にそれぞれ接続された、圧力導管83および液体導管85を介してアクセスされてもよく、前記導管内の通過は、流体セル81に近接して取り付けられた、それぞれの制御可能なバルブ83vおよび85vを用いて制御されてもよい。
【0074】
流体セルの内部はまた、補助導管84と接触していてもよく、その導管は、圧力センサ84sがその上端に設置され、かつ制御可能なバルブ84vが前記圧力センサ84s付近で前記補助導管84に取り付けられた比較的短い導管(例えば、数cm)である。制御可能なバルブ84vの動作は、水サンプルを流体セル81から回収する間、流体セル81内で発展し得るような状態で外圧が加えられたときは常に、補助導管84内の通過が阻止されるように、外部制御デバイス(図示なし)によって制御されて、圧力センサ84sを保護する。
【0075】
図8Bに示されるように、通気帯プローブ80は、プローブの要素が中に設置される開いた箱の形状を有するハウジング89をさらに備える。ハウジング89の内部は、剛性を得るとともにプローブを強化するため、凝固性樹脂で満たされる。例証として、ハウジング89の内部はエポキシ樹脂で満たされてもよい。凝固性樹脂は、通気帯プローブ80の構成要素の大部分を覆ってもよいが、多孔質先端部82の少なくとも一部は覆われないままにしておくべきである。好ましくは、多孔質先端部82の表面積のほとんどは、前記凝固性樹脂によって覆われないままである。
【0076】
ハウジング89の開口部は、微細な土壌粒子で構成される粒状材料などであるがそれに限定されない、浸透性を有して変形可能な媒体によって覆われ、前記開口部は、好ましくは、枕状の面が得られるようにして、ハウジング89の前記開口部全体に付着されたネット(例えば、1〜3mmの範囲の孔径を有する)によって覆われる。前記枕状の面は、設置の間はボーリング孔の壁に接触し、その表面の形状を持ち、それによって、壁との最大限の表面接触を得るとともに水圧の連続性を改善するように適合される。あるいは、ハウジング89の外側表面は、多孔質プラスチック、スポンジ、粘土、および非常に軟質の多孔質ポリマーからなる群から選択された材料で作られる、浸透性を有して変形可能な媒体によって覆われる。
【0077】
図9A〜9Bは、それぞれ、本発明書において上述したような可膨張性スリーブを用いて設置するように設計された、本発明のさらに別の通気帯プローブの斜視図および縦断面図を示す。本発明のこの好ましい実施形態では、通気帯プローブは、圧力導管74cを用いて接続される、i)サンプリングポート70p、およびii)補助セル74の2つの部分に分割され、前記サンプリングポート70pは可膨張性スリーブ(図示なし)に取り付けられ、前記補助セル74は、好ましくは前記スリーブの内部で維持される。この配置では、サンプリングポート70pの寸法は、補助セル74を使用することによって大幅に低減されて、流体セル71用の中間の容積が得られる。
【0078】
上述の実施形態(通気帯プローブ40および80)と同様に、流体セル71の内部と通気帯の土壌との間の水圧の連続性は、流体セル71の基部に設けられた開口部に接続された多孔質先端部72(例えば、セラミックの先端部)と、前記多孔質先端部72を覆う変形可能かつ可撓性の媒体76とを介して得られる。サンプリングポート70pは、前側77fとそれよりも短い後側77rとを有する細長い固体77を備え、したがって、可膨張性スリーブを膨張させたとき、サンプリングポート70pを適所で固定する助けとなる、傾斜した側面77aおよび77bを形成する。流体セル71およびその基部に接続された多孔質先端部72は、好ましくは成形によって、本体77の前側77fに付着される。
【0079】
本体77は、流体セル71および多孔質先端部72の表面積の約半分をそれらの長さに沿って覆ってもよく、それにより、前記固体77によって覆われない表面積は、図9Aおよび9Bに示されるように、浸透性を有して変形可能な媒体76によって覆われてもよい。浸透性を有して変形可能な媒体76は、本体77によって覆われない多孔質先端部72の表面積全体を覆うべきであり、本体77によって覆われない流体セル71の表面積は、前記浸透性を有して変形可能な媒体76によって部分的に覆われるか、または全く覆われなくてもよい。
【0080】
浸透性を有して変形可能な媒体76は、本体77の前面77fの境界に付着された可撓性繊維ネット(蚊よけネットに類似)を使用し、前記繊維ネットと前面77fの間の空間を非常に微細な湿潤砂(例えば、0.01mm未満の粒径を有する)で満たすことによって実現されてもよい。本発明のサンプリングポート70pは異なるように構成されてもよく、例えば、流体セル71の表面積全体が固体77によって覆われてもよく、多孔質先端部72および/または固体77が、多孔質先端部72が本体77によって実質的に覆われないままであるように構成されてもよいことを理解されたい。
【0081】
あるいは、浸透性を有して変形可能な媒体76は、多孔質プラスチック、スポンジ、粘土、または非常に軟質の多孔質ポリマーからなる群から選択された材料で作られる。
【0082】
図9Bに示される縦断面図を参照すると、サンプリングポート70pの流体セル71および多孔質先端部72は、固体77の後側77rに付着された支持部材75を通る、かつ固体77を通る、液体導管73および圧力導管74cを介してアクセスされてもよい。この実現例では、液体導管73は、固体77によって覆われた側壁を介して流体セル71に挿入され、固体の長さに沿って多孔質先端部72のキャビティ72cに入り、好ましくは、前記多孔質先端部72の床付近で終端する。圧力導管74cも、固体77によって覆われた側壁を介して流体容器71に挿入され、容器内で、好ましくは流体セル71の天井付近で終端する。
【0083】
圧力導管74cを介して流体容器71の内部に接続された補助セル74は、流体セル71内の正圧/負圧を適用する中間の容積として使用される。一方向バルブ74vが導管74cに取り付けられて、圧力導管74c内の流体フロー方向を制限するので、許容される唯一の流体フロー方向はセル71から補助セル74への方向である。この配置により、液体サンプルが補助セル74の内部空間に流れ込むことが可能になるが、それがセル71内へと戻ることは阻止される。この好ましい実施形態では、セル71内におけるサンプリングされた液体の容積ははるかに小さく(例えば、数mm、好ましくは5〜20mm)、これは、少量の液体サンプルの収集が、浸透する液体が時間とともに変動するのをより良好に反映し、したがって、間隙水のサンプリングの確度が改善されるという理由で好ましい。それに加えて、プローブが数十メートルもの深さに設置された場合、水をセル74から地表の上まで押し上げるのに必要な高圧はセル71から逃げ、このプロセスの間、セル71内の水はセラミックの先端部72を通して土壌に押し戻されない。補助セル74は、導管74pおよび74nを通して、外部の正圧源および負圧源にそれぞれ接続されてもよい。当然ながら、代替実施形態では、単一の導管を使用して、補助セル74がそのような圧力源に接続されてもよい。補助セル74は、液位を測定する感知手段78lと、圧力を測定する感知手段78pとをその中にさらに備える。前記感知手段は、好ましくは、導電線78cを介して外部制御(または記録)デバイスに接続される。前記導電線78cは、好ましくは、可膨張性スリーブ内部を通り、地表上にあるスリーブの外部端部を介して前記スリーブを出る。このようにして、流体セル71の容積の大部分はそれに接続される補助セル74によって提供されるので、サンプリングポート70pのサイズは大幅に低減される。
【0084】
導管の中の通過を外部で制御するため、制御可能なバルブ(図示なし)が圧力導管および流体導管上に設置されてもよい。この実現例では、導管74cには一方向バルブ74vが設けられるので、正圧/負圧状態は最初に補助セル74内で適用され、流体セル71内には適用されない。通気帯プローブ70の動作は、上述の通気帯プローブの動作とほぼ同様である。
【0085】
通気帯プローブ70の本体は、ステンレス鋼、PVC、テフロン、ポリエチレンなどであるがそれらに限定されない、任意の適切なタイプのプラスチックまたは金属材料から作られてもよい。本発明の特定の一実施形態では、サンプリングポート70pの前面77fの長さは約15cmであってもよい。前記前面と後面の間の距離は一般に約6cmであってもよく、本体77の幅は一般に約2cmであってもよい。
【0086】
流体セル71は、ステンレス鋼、エポキシモールド、テフロン、またはPVCなどであるがそれらに限定されない、任意のタイプの適切な剛性材料から、好ましくはPVCから作られた、任意の適切な断面形状(例えば、円筒形もしくは長方形)、好ましくは円筒形を有する細長い中空の容器から構成されてもよく、成形または接着剤によって、サンプリングポート70pの本体内に取り付けられてもよい。本発明の特定の一実施形態では、流体セル71の長さは約8cmであってもよく、その容積は一般に約10ccであってもよい。
【0087】
多孔質先端部72は、多孔質セラミック、多孔質金属、または多孔質ポリマーなどであるがそれらに限定されない、任意の適切な多孔質材料から、好ましくはセラミックから作られ、細長いカップの形状に形成されてもよい。多孔質先端部72は、好ましくは、適切な接着剤によって、またはそれをセルに成形することによって、流体セル71に付着される。本発明の特定の一実施形態では、多孔質先端部71の長さは一般に約6cmであってもよく、その外径は一般に約2cmであってもよい。
【0088】
補助セル74は、ステンレス鋼またはPVCなどであるがそれらに限定されない、一種の剛性材料から作られた、任意の適切な断面形状(例えば、円筒形もしくは長方形)、好ましくは円筒形を有する細長い中空の容器から構成されてもよい。本発明の特定の一実施形態では、補助セル74の長さは一般に約45cmであってもよく、その容積は約300ccであってもよい。補助セル74は、設置深さに応じて、0(真空)から数気圧の正圧までの範囲の圧力に耐えるように設計されるべきである。
【0089】
圧力導管74n、74p、および74cは、好ましくは、0.5〜3mmの範囲、好ましくは約1mmの内径を有し、計画された設置深さに応じて、0(真空)から数気圧の範囲の圧力を伝達することができる、一種の薄いパイプである。
【0090】
圧力読取値の感度、および圧力変化に対する時間応答は、圧力導管および液体導管に設置された制御可能なバルブにより、本発明の通気帯プローブにおいて大幅に改善される。この配置によって、流体セルの容積をそれに接続された導管の容積から隔離することが可能になり、また、このようにして、前記導管の容積によって導入される干渉効果を実質的に相殺することが可能になり、すなわち、流体セル内における圧力平衡時間が引き延ばされる。
【0091】
サンプリングポート70pのサイズが低減されることにより、設置の間、より強い圧力を使用するとともに、その中に使用される脆弱な多孔質先端部72が割れるリスクを低減することが可能になることを理解されたい。それに加えて、補助セル74内の高圧の適用はセル71内の圧力に影響しない。
【0092】
本発明の通気帯監視システムは、土壌条件の継続的な監視が必要な一連の用途において、土壌およびお間隙水の性質を監視するのに有利に使用されてもよい。例えば、本発明の通気帯監視システムは、例えば、化学物質メーカー、石油化学施設、およびガソリンスタンドなど、汚染物質を保管する、または取り扱う施設内において、土質を監視するのに使用されてもよい。
【0093】
本発明の通気帯プローブは、土壌水ポテンシャルの測定のみが必要な場合、導管なしで操作されてもよいが、好ましくは、通気帯プローブの流体セルの内部にアクセスする、少なくとも1つまたは複数の導管が設けられる。さらに、上述の通気帯プローブは、流体セルの内部にアクセスする少なくとも2つの導管(液体導管および圧力導管)を使用するが、本発明の通気帯プローブは、液体導管または圧力導管として交互に機能してもよい、単一の導管を使用して操作されてもよいことを理解されたい。
【実施例1】
【0094】
イスラエルのアシュドドで行われた研究計画の構想内において、可膨張性スリーブに取り付けられた、図1〜5に記載されるタイプの通気帯プローブ10を12個含む、本発明の通気帯監視システムを、砂丘層中の21mの深い通気帯断面に沿って設置した。システムは2005年5月に設置し、2か月の期間にわたって得た結果を図11に示す。
【0095】
この実施例では、沿岸の帯水層の地下水涵養に対する土地利用の影響を、本発明の通気帯監視システムを使用して調査した。この調査は、イスラエルの沿岸都市アシュドド周辺の、都市部、農地、および広い砂丘地域において行った。砂丘の調査現場には、いくつかの個別の監視FTDR(フレキシブル時間分域反射率測定、"Flexible Time Domain Reflectometry Probe for Deep Vadose Zone Monitoring", Ofer Dahan et al, Vadose Zone Journal 2:270-275 (2003)に記載)システムと、直接接触プローブ10を使用する2つの追加の通気帯監視システムとを備え付けた。
【0096】
前記2つの直接接触プローブシステムは同一のものであったが、一方のシステムは間隙水サンプリング用、他方は水圧測定用とした。システムは、間隙水サンプリングが水圧測定に何らかの影響を及ぼすのを防ぐため、間隔(約6〜15m)を空けて設置した。この現場の通気帯は、厚さ20m以下の未固結の砂丘と、地表面の下7m以内にある、単一の厚さ1m以下の粘土層を有する砂岩とからなる。気候は、雨季の冬(10月から4月まで、500mm以下)の後に乾季の夏が来ることを特徴とする。調査現場は植物のないむきだしの砂丘に位置するので、涵養プロセスは、主として、激しい降雨が直接浸透することによって制御される。
【0097】
降雨によって発生する浸潤プロセスに対応する間隙水圧力を実証する、この現場から得た予備結果を図11に示す。水圧は、地表面の下4m、6.5m、および11.5mの3つの異なる深さにおける絶対圧(1000mbarが大気圧を表す)として、通気帯プローブ10によって測定した。各通気帯プローブの上方および下方の含水量の変動を、FTDRプローブを用いて監視した。図11に見られるように、監視された各湿潤プロセスの後には、水圧の増加が起こった。あるいは、水分量が低減した後には水圧の現象が起こった。このパターンからの逸脱は、11.5mに設置した一連のプローブにおいて見られる。含水量の増加に続く水圧の増加に先立って、含水量の変化を伴わない圧力上昇が観察される。圧力変換器は絶対圧を測定するので、圧力上昇は、通気帯のガス相内の圧力増加によって生じたものであり、水の張力が変化したことの直接的な結果ではない可能性がある。圧力上昇は、通気帯内へと伝搬するとともに、より下層の空気を捕捉し加圧する、浸潤事象によって発生することがある。
【実施例2】
【0098】
この現場(イスラエル、アシュドド)に設置した第2の通気帯監視システムにより、季節を問わず、地表から地下水までの様々な深さから、間隙水を頻繁に採水することが可能になった。図12は、様々な時期および深さにおいて、サンプリングポートによって通気帯から得た水サンプルの同位体組成を示す。この結果は重要な水文学的意味を有するが、ここでは、単に様々な深さにおける孔サンプリングの能力を実証するために示される。
【0099】
図10は、本発明の通気帯プローブ151を備えるいくつかの可撓性スリーブ150を通気帯152の断面に設置した、実施例1および2で使用した実験装置を示す。
【実施例3】
【0100】
地表から地下水への水流および汚染物質の運搬を、イスラエルのワジアラバにおいて沖積層で調査した。溶質の運搬パターンを調査するため、2005年5月〜8月の間に設置した通気帯監視システムを備え付けた河道の一区画において、多重トレーサー試験を行った。図13に概略的に示されるシステムは、浸潤水をサンプリングするのに使用される図6〜8に示されるタイプの通気帯プローブ40を5個、ならびに通気帯の湿潤プロセスを監視するのに使用される5個のFTDRプローブ65を含んでいた。
【0101】
この浸潤実験では、通気帯監視システムは、地下水層90の上方にある通気帯91中に形成した傾斜したボーリング孔内に設置した、5mの可撓性PVCスリーブ98に沿って分布させた5個の通気帯プローブ40を含んでいた。実験は、地表に作られた、水93で満たされた池97によって行った。5個のリング状の浸透計94を池の底に設置して、そこに含まれるトレースされた溶液を浸潤させた。この実験は、沖積層の水浸潤メカニズムを調査するように設計した。図14は、池97の中の異なるリング状の浸透計94に注入した5つの化学的水トレーサー(フルオロ安息香酸、FBA)の破過曲線を示す。通気帯プローブ40によって取得した、水サンプルの分析から得られたトレースの同様の破過曲線が確立された。完全な実験装置およびその結果は、浸潤プロセスを明確にする興味深い情報を示す。
【0102】
一定の水頭が得られるように、池97を水93で充満させた。リング94の内側と池97の間の等しい水頭を、実験全般にわたって維持した。通気帯中の含水量プロファイルをFTDRシステムによって継続的に監視し、通気帯プローブ40内の水を頻繁にサンプリングした。10個の異なるトレーサー(5個のフルオロ安息香酸とトレーサー、イオントレーサーとしてのBrおよびLi、ならびに3つの蛍光色素)を使用して、2つのトレーサー試験を2つの異なるセッションにて行った。各トレーサー試験の間、一定濃度の特定の量のトレースされた溶液を、各リング94を通して浸潤させた。FTDRシステムによって湿潤/排水プロセスを監視することにより、湿潤前線の伝搬をトレースすることが可能になった。それに加えて、通気帯プローブ40によって得られた水サンプルを分析することにより、すべてのサンプルのすべてのトレーサーに対して破過曲線を確立することが可能になった。
【0103】
図14は、地表の下方2,3mに位置するサンプリングセルにおいて、第1のトレーサー試験の間、地表上の異なる浸潤リング94に注入したFBAトレーサーの破過曲線を示す。トレーサーの破過曲線は、層状の土壌を通る浸潤プロセスが複雑であることを強調する。グラフは、流れ線の混合パターンを明白に示し、流れのパターンが垂直からは遠いことを実証している。さらに、トレーサーのいくつかは、2つの別個の濃度ピークを特徴とする破過曲線を伴ってセル内に現われる。多重ピークの破過曲線は、二重の孔隙率のシステムによって、優先的フローメカニズムが優勢であることを象徴的に示す。2つのトレーサー試験のすべてのサンプリングセルからの結果を分析すると、同様のフロー挙動が示される。
【0104】
上述のパラメータはすべて、単に例示として与えられるものであり、本発明の様々な実施形態の異なる要件に従って変えられてもよい。したがって、上述のパラメータは、本発明の範囲をいかなる形でも限定するものと解釈されるべきではない。それに加えて、上述の様々な通気帯プローブ、流体セル、多孔質媒体、および他の部材は、上記の説明に例示されたものとは異なる、様々な形状(例えば、平面図において、楕円形、正方形などを有する)およびサイズで構成されてもよいことが理解されるべきである。
【0105】
上述の実施例および説明は、当然ながら、単に例証目的で提供されたものであり、本発明をいかなる形でも限定することを意図していない。当業者には理解されるように、本発明は、すべて本発明の範囲を超えない上述のものから1つを超える技術を採用して、多種多様なやり方で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の通気帯プローブの好ましい一実施形態の縦断面図である。
【図2】図1に示される通気帯プローブの断面図である。
【図3】可膨張性スリーブによる、ボーリング孔の壁に対する本発明の通気帯プローブの取付けを示す側面図である。
【図4】本発明の通気帯プローブおよび可膨張性スリーブの側面図である。
【図5】本発明の通気帯プローブおよび可膨張性スリーブの斜視図である。
【図6】浸透性を有して変形可能な媒体を含む通気帯プローブの側面図である。
【図7】可撓性スリーブを用いてボーリング孔内に設置されたときの、図6に示される通気帯プローブの縦断面図である。
【図8】図8Aおよび8Bは、外圧センサを有する本発明の通気帯プローブの正面図である。
【図9】図9Aは、補助セルを有する本発明の通気帯プローブの斜視図であり、図9Bは、その縦断面図である。
【図10】本発明の通気帯プローブを備えるいくつかの可撓性スリーブが通気帯の断面に設置された、実施例1および2に使用される実験装置の概略図である。
【図11】実施例1および2で得られた結果のプロット図である。
【図12】実施例1および2で得られた結果のプロット図である。
【図13】本発明の監視システムを使用して実施された実験装置の概略図である。
【図14】実施例3で得られた結果の図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からプローブの内部にアクセスするため、1つまたは複数の導管が接続された流体セルと、該流体セルの内部とボーリング孔の土壌との間での液体の通過を可能にする、プローブの壁の1つに組み込まれた、またはその上に形成された多孔質媒体と、を備え、
前側および後側を有する細長い本体から構成され、該後側が略平面であり、該前側が変形可能かつ透過性の材料から形成され、または前記ボーリング孔の曲率に対応する曲率を有し、通気帯中に形成されたボーリング孔内に設置される可膨張性スリーブに取り付けられるようになっている、通気帯プローブ。
【請求項2】
前記通気帯プローブの前記細長い本体の端部が前記前側に対して鋭角を成している、請求項1に記載の通気帯プローブ。
【請求項3】
前記多孔質媒体の外側表面が湾曲しており、該多孔質媒体の外側表面が、前記通気帯プローブの前記前側の表面と一直線に並ぶか、またはそこからわずかに突出するように、前記通気帯プローブの前記前側に面する前記流体セルの壁に形成された開口部の上または中に前記多孔質媒体が付着される、請求項1に記載の通気帯プローブ。
【請求項4】
前記多孔質媒体が、キャビティおよび開口部を有し、前記流体セルの基部に設けられた対応する開口部の上または中に付着される細長いカップであり、該多孔質媒体を含む該流体セルの少なくとも一部が、浸透性を有して変形可能な媒体で覆われる、請求項1に記載の通気帯プローブ。
【請求項5】
前記浸透性を有して変形可能な媒体が、前記多孔質媒体を含む前記流体セルの少なくとも一部を取り囲むのに使用されるネットと、該ネットと該流体セルの該一部との間の空間を満たす粒状材料と、から形成されている、請求項4に記載の通気帯プローブ。
【請求項6】
前記浸透性を有して変形可能な媒体が、多孔質プラスチック、スポンジ、粘土、または非常に軟質の多孔質ポリマーからなる群から選択された材料からなる、請求項4に記載の通気帯プローブ。
【請求項7】
前記可撓性スリーブを膨張させるのに使用される前記充填材料が、乾燥砂、ガス、液体、凝固性液体、二成分ウレタン、コンクリート、エポキシ樹脂、および発泡材料からなる群から選択された材料からなる、請求項1から6のいずれか一項に記載の通気帯プローブ。
【請求項8】
前記流体セル内に加圧/真空状態を適用するべく、前記1つまたは複数の導管の1つに接続される外圧源をさらに備えている、請求項1から7のいずれか一項に記載の通気帯プローブ。
【請求項9】
前記流体セル内に設置され、かつ前記可撓性スリーブに沿って通る導電線を用いて外部監視デバイスの1つまたは複数に電気的に連結される1つまたは複数の感知手段をさらに備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の通気帯プローブ。
【請求項10】
前記1つまたは複数の導管に設置される制御可能なバルブをさらに備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の通気帯プローブ。
【請求項11】
前記圧力源、感知手段、および/または制御可能なバルブが、前記センサから入力を受け取るとともに、前記圧力源および/または制御可能なバルブに制御信号を供給するようになっている外部制御デバイスに連結されている、請求項8から10のいずれか一項に記載の通気帯プローブ。
【請求項12】
通気帯の一区画を横切るボーリング孔を掘削する工程と、
外部からプローブの内部にアクセスするため、1つまたは複数の導管が接続された流体セルと、前記流体セルの内部と前記ボーリング孔の土壌との間での液体の通過を可能にする、プローブの壁の1つに組み込まれた、またはその上に形成された多孔質媒体と、をそれぞれ備える1つまたは複数の通気帯プローブが上に取り付けられ、前記通気帯中に形成されたボーリング孔内に設置されるようになっている可膨張性スリーブを、前記ボーリング孔の中に下ろす工程と、
前記1つまたは複数の通気帯プローブ全体に継続的な圧力が加えられ、それによって、前記プローブを前記ボーリング孔の壁に押し付け、かつそれらの間に前記多孔質媒体を通して水圧の連続性が得られるように、前記可膨張性スリーブを充填材料で満たす工程と、
前記1つまたは複数の導管を介して多量の液体を前記流体セルに導入する工程と、
必要であれば、前記1つまたは複数の導管を介して多量の液体を前記流体セルから除去する工程と、を含む、通気帯中の土壌および間隙水の質および/または清浄度を判断する方法。
【請求項13】
前記流体セル内に設置された圧力感知手段を用いて、前記流体セル内の圧力を測定する工程であって、前記圧力感知手段に電気的に接続された導電線を介して測定する工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
流体セル内の液位が予め定められた上限を上回ったときは常に、前記1つまたは複数の導管を介して多量の液体がそこから除去され、流体セル内の液位が予め定められた下限を下回ったときは常に、前記1つまたは複数の導管を介して多量の液体がそこに導入されるように、内部に設置された液位感知手段を用いて前記流体セルに含まれる液体の液位を制御する工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
多量の液体を前記流体セルから除去する、またはそこに導入するときは常に、前記1つまたは複数の導管を介して前記流体セル内に加圧/真空状態を形成する工程をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記1つまたは複数の導管内の流体の通過を、その上に設置された制御可能なバルブを用いて制御する工程をさらに含む、請求項12から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
通気帯中に形成されたボーリング孔内に設置されるようになっている可膨張性スリーブと、
前記可膨張性スリーブに取り付けられた1つまたは複数の通気帯プローブであって、外部からプローブの内部にアクセスするために1つまたは複数の導管が接続された流体セルと、該流体セルの内部と前記ボーリング孔の土壌との間での液体の通過を可能にする、プローブの壁の1つに組み込まれた、またはその上に形成された多孔質媒体と、を備える通気帯プローブと、
を備える、通気帯中の土壌および間隙水の質および/または清浄度を判断するシステム。
【請求項18】
前記多孔質媒体が浸透性を有して変形可能な媒体によって覆われる、請求項17に記載のシステム。
【請求項1】
外部からプローブの内部にアクセスするため、1つまたは複数の導管が接続された流体セルと、該流体セルの内部とボーリング孔の土壌との間での液体の通過を可能にする、プローブの壁の1つに組み込まれた、またはその上に形成された多孔質媒体と、を備え、
前側および後側を有する細長い本体から構成され、該後側が略平面であり、該前側が変形可能かつ透過性の材料から形成され、または前記ボーリング孔の曲率に対応する曲率を有し、通気帯中に形成されたボーリング孔内に設置される可膨張性スリーブに取り付けられるようになっている、通気帯プローブ。
【請求項2】
前記通気帯プローブの前記細長い本体の端部が前記前側に対して鋭角を成している、請求項1に記載の通気帯プローブ。
【請求項3】
前記多孔質媒体の外側表面が湾曲しており、該多孔質媒体の外側表面が、前記通気帯プローブの前記前側の表面と一直線に並ぶか、またはそこからわずかに突出するように、前記通気帯プローブの前記前側に面する前記流体セルの壁に形成された開口部の上または中に前記多孔質媒体が付着される、請求項1に記載の通気帯プローブ。
【請求項4】
前記多孔質媒体が、キャビティおよび開口部を有し、前記流体セルの基部に設けられた対応する開口部の上または中に付着される細長いカップであり、該多孔質媒体を含む該流体セルの少なくとも一部が、浸透性を有して変形可能な媒体で覆われる、請求項1に記載の通気帯プローブ。
【請求項5】
前記浸透性を有して変形可能な媒体が、前記多孔質媒体を含む前記流体セルの少なくとも一部を取り囲むのに使用されるネットと、該ネットと該流体セルの該一部との間の空間を満たす粒状材料と、から形成されている、請求項4に記載の通気帯プローブ。
【請求項6】
前記浸透性を有して変形可能な媒体が、多孔質プラスチック、スポンジ、粘土、または非常に軟質の多孔質ポリマーからなる群から選択された材料からなる、請求項4に記載の通気帯プローブ。
【請求項7】
前記可撓性スリーブを膨張させるのに使用される前記充填材料が、乾燥砂、ガス、液体、凝固性液体、二成分ウレタン、コンクリート、エポキシ樹脂、および発泡材料からなる群から選択された材料からなる、請求項1から6のいずれか一項に記載の通気帯プローブ。
【請求項8】
前記流体セル内に加圧/真空状態を適用するべく、前記1つまたは複数の導管の1つに接続される外圧源をさらに備えている、請求項1から7のいずれか一項に記載の通気帯プローブ。
【請求項9】
前記流体セル内に設置され、かつ前記可撓性スリーブに沿って通る導電線を用いて外部監視デバイスの1つまたは複数に電気的に連結される1つまたは複数の感知手段をさらに備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の通気帯プローブ。
【請求項10】
前記1つまたは複数の導管に設置される制御可能なバルブをさらに備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の通気帯プローブ。
【請求項11】
前記圧力源、感知手段、および/または制御可能なバルブが、前記センサから入力を受け取るとともに、前記圧力源および/または制御可能なバルブに制御信号を供給するようになっている外部制御デバイスに連結されている、請求項8から10のいずれか一項に記載の通気帯プローブ。
【請求項12】
通気帯の一区画を横切るボーリング孔を掘削する工程と、
外部からプローブの内部にアクセスするため、1つまたは複数の導管が接続された流体セルと、前記流体セルの内部と前記ボーリング孔の土壌との間での液体の通過を可能にする、プローブの壁の1つに組み込まれた、またはその上に形成された多孔質媒体と、をそれぞれ備える1つまたは複数の通気帯プローブが上に取り付けられ、前記通気帯中に形成されたボーリング孔内に設置されるようになっている可膨張性スリーブを、前記ボーリング孔の中に下ろす工程と、
前記1つまたは複数の通気帯プローブ全体に継続的な圧力が加えられ、それによって、前記プローブを前記ボーリング孔の壁に押し付け、かつそれらの間に前記多孔質媒体を通して水圧の連続性が得られるように、前記可膨張性スリーブを充填材料で満たす工程と、
前記1つまたは複数の導管を介して多量の液体を前記流体セルに導入する工程と、
必要であれば、前記1つまたは複数の導管を介して多量の液体を前記流体セルから除去する工程と、を含む、通気帯中の土壌および間隙水の質および/または清浄度を判断する方法。
【請求項13】
前記流体セル内に設置された圧力感知手段を用いて、前記流体セル内の圧力を測定する工程であって、前記圧力感知手段に電気的に接続された導電線を介して測定する工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
流体セル内の液位が予め定められた上限を上回ったときは常に、前記1つまたは複数の導管を介して多量の液体がそこから除去され、流体セル内の液位が予め定められた下限を下回ったときは常に、前記1つまたは複数の導管を介して多量の液体がそこに導入されるように、内部に設置された液位感知手段を用いて前記流体セルに含まれる液体の液位を制御する工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
多量の液体を前記流体セルから除去する、またはそこに導入するときは常に、前記1つまたは複数の導管を介して前記流体セル内に加圧/真空状態を形成する工程をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記1つまたは複数の導管内の流体の通過を、その上に設置された制御可能なバルブを用いて制御する工程をさらに含む、請求項12から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
通気帯中に形成されたボーリング孔内に設置されるようになっている可膨張性スリーブと、
前記可膨張性スリーブに取り付けられた1つまたは複数の通気帯プローブであって、外部からプローブの内部にアクセスするために1つまたは複数の導管が接続された流体セルと、該流体セルの内部と前記ボーリング孔の土壌との間での液体の通過を可能にする、プローブの壁の1つに組み込まれた、またはその上に形成された多孔質媒体と、を備える通気帯プローブと、
を備える、通気帯中の土壌および間隙水の質および/または清浄度を判断するシステム。
【請求項18】
前記多孔質媒体が浸透性を有して変形可能な媒体によって覆われる、請求項17に記載のシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2009−525420(P2009−525420A)
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−552951(P2008−552951)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【国際出願番号】PCT/IL2007/000118
【国際公開番号】WO2007/088534
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(593107591)ベン−グリオン ユニバーシティー オブ ザ ネゲヴ,リサーチ アンド ディベロップメント オーソリティー (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【国際出願番号】PCT/IL2007/000118
【国際公開番号】WO2007/088534
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(593107591)ベン−グリオン ユニバーシティー オブ ザ ネゲヴ,リサーチ アンド ディベロップメント オーソリティー (2)
【Fターム(参考)】
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