説明

圧入装置

【課題】圧入装置における上部フレームを簡単で安価な構造にした圧入装置を提供する。
【解決手段】柱状構造物1に、取り付け部を備えた帯状鋼板2が柱状構造物周方向に間隔をおいて設けられたアンカー材により固定され、ジャッキ取り付け部材13のベース部材11が、ボルト18により着脱可能に前記取り付け部に取り付けられ、ジャッキ取り付け部材13に伸縮式ジャッキの一端側が取り付けられ、伸縮式ジャッキの他端側は加圧部材25に連結され、ジャッキ取り付け部材13は、加圧部材25とは反対側に伸長するアーム20を備えており、アーム20の先端側には、柱状構造物1に当接された支圧板21を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋脚等の柱状構造物を補強するための鋼板ブロック等の被覆ブロックを地中に圧入するための圧入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、橋脚等の柱状構造物を補強するために、柱状構造物の外周側に配置される鋼板ブロックを地中に圧入するための圧入装置として、柱状構造物を囲むように配置された分割フレーム相互をチャック用ジャッキにより開閉可能に連結して柱状構造物を把持固定する上部フレームを構成し、かつ下位に位置する分割フレーム相互をチャック用ジャッキにより開閉可能に連結して柱状構造物を把持固定する下部用フレームを構成し、上下のフレームを圧入用ジャッキにより連結した圧入装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−336946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の場合は、分割フレーム相互をチャック用ジャッキにより連結して上部フレームを構成し、かつ下位に位置する分割フレーム相互をチャック用ジャッキにより連結して下部用フレームを構成し、上下のフレームを圧入用ジャッキにより連結した圧入装置であるので、上部の分割フレーム相互をジャッキにより強固に柱状構造物に固定する必要があることから、圧入用ジャッキの反力を受ける上部フレームが大型化するという問題がある。
本発明は、圧入装置における上部フレームを簡単で安価な構造にした圧入装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の課題を有利に解決するために、第1発明の圧入装置では、柱状構造物に、取り付け部を備えた帯状鋼板が柱状構造物周方向に間隔をおいて設けられたアンカー材により固定され、ジャッキ取り付け部材のベース部材が、ボルトにより着脱可能に前記取り付け部に取り付けられ、そのジャッキ取り付け部材に伸縮式ジャッキの一端側が取り付けられ、伸縮式ジャッキの他端側は加圧部材に連結され、前記ジャッキ取り付け部材は、前記加圧部材とは反対側に伸長するアームを備えており、そのアームの先端側には、前記柱状構造物に当接された支圧板を備えていることを特徴とする。
また、第2発明では、第1発明の圧入装置において、帯状鋼板に、複数の雌ねじ孔を有する鋼材が溶接により固定されて、前記取り付け部が形成され、ジャッキ取り付け部材のベース部材が、ボルトにより着脱可能に前記取り付け部に取り付けられていることを特徴とする。
第3発明においては、第1発明又は第2発明の圧入装置において、一対のブラケットを備えたジャッキ取り付け部材における各ブラケットに複数の雌ねじ孔が間隔をおいて設けられ、前記各ブラケットにそれぞれアームの基端側がボルトにより着脱可能に取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
第1発明によると、柱状構造物に、取り付け部を備えた帯状鋼板が柱状構造物周方向に間隔をおいて設けられたアンカー材により固定され、ジャッキ取り付け部材のベース部材が、ボルトにより着脱可能に前記取り付け部に取り付けられ、そのジャッキ取り付け部材に伸縮式ジャッキの一端側が取り付けられ、伸縮式ジャッキの他端側は加圧部材に連結され、前記ジャッキ取り付け部材は、前記加圧部材とは反対側に伸長するアームを備えており、そのアームの先端側には、前記柱状構造物に当接された支圧板を備えているので、伸縮式ジャッキを伸張して圧入する場合に作用する曲げモーメントをアーム及び支圧板により受けて柱状構造物に伝達でき、伸縮式ジャッキの反力を受ける側の構造を小型に経済的に安価な圧入装置とすることができる等の効果が得られる。
また、第2発明では、第1発明の圧入装置において、帯状鋼板に、複数の雌ねじ孔を有する鋼材が溶接により固定されて、前記取り付け部が形成され、ジャッキ取り付け部材のベース部材が、ボルトにより着脱可能に前記取り付け部に取り付けられているので、取り付け部が雌ねじ付きの鋼材であるので、取り付け部の構成が簡単な構造とすることができる等の効果が得られる。
第3発明においては、第1発明又は第2発明の圧入装置において、一対のブラケットを備えたジャッキ取り付け部材における各ブラケットに複数の雌ねじ孔が間隔をおいて設けられ、前記各ブラケットにそれぞれアームの基端側がボルトにより着脱可能に取り付けられているので、アームを備えたジャッキ取り付け部材の構成を簡単な構成とすることができ、組立も容易である等の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の圧入装置を柱状構造物に設置した状態を示す一部縦断側面図である。
【図2】図1の正面図で、図6における一部を拡大して示す図である。
【図3】本発明の圧入装置を柱状構造物に設置した状態を示す概略正面図である。
【図4】(a)は柱状構造物に厚肉鋼板を備えた帯状鋼板を配置した状態の一部を示す正面図、(b)は(a)のa−a線断面図、(c)は(a)のb−b線断面図である。
【図5】(a)は厚肉鋼板を備えた帯状鋼板にジャッキ取り付け部材を配置して、ボルト及びアンカーボルトにより設置した状態を示す正面図、(b)は(a)のc−c−線断面図である。
【図6】ベース部材を備えたジャッキ取り付け部材に、伸縮式ジャッキを組み込んで組立てた状態を示す側面図である。
【図7】図6の一部切欠き正面図である。
【図8】本発明の一実施形態の圧入装置を柱状構造物に設置した状態を概略正面図である。
【図9】鉄筋コンクリート製の柱状構造物の中間部の周囲に複数の補強鋼板を水底地盤上に円筒状に多段に組み立てて鋼製円筒体を形成した状態を示す概略正面図である。
【図10】本発明の圧入装置における伸縮式ジャッキを伸長して鋼製円筒体を圧入している状態を示す正面図である。
【図11】伸縮式ジャッキと鋼製加圧リングとの間にスペーサを介在させた状態で鋼製円筒体を圧入している状態を示す正面図である。
【図12】伸縮式ジャッキと鋼製加圧リングとの間にスペーサを介在させた状態で鋼製円筒体を圧入している状態の全体を示す概略正面図である。
【図13】伸縮式ジャッキと鋼製加圧リングとの間のスペーサを取り外して、伸縮式ジャッキと鋼製加圧リングを連結すると共に伸縮式ジャッキを短縮し、補強鋼板を円筒体上端部に継ぎ足した状態を示す概略正面図である。
【図14】鋼製円筒体の上部に鋼板ブロックを順次継ぎ足した後、圧入して、柱状構造物を囲む円筒体を柱状構造物のコンクリート基礎まで圧入した状態を示す概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明を図示の実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0009】
先ず、図3及び図4に示すように、鉄筋コンクリート製の柱状構造物1の上部外周面の周方向に、帯状鋼板2及びこれに固定された後記の厚肉鋼板3が配置されて、接着剤4及び前記厚肉鋼板3の中央部側の複数のアンカーボルト5及びこれにねじ込まれたナット6により固定される。
前記の帯状鋼板2は、適宜、柱状構造物1の円形等の横断面形態に応じて、短尺半円筒状等の2分割又は多分割形態とされ、柱状構造物1に対して連続的又は断続的にリング状に配置される。必要に応じ、帯状鋼板2の両側部にフランジを備えた形態として、帯状鋼板相互をボルト・ナットにより連結してリング状としてもよい。
前記の帯状鋼板2には、その幅方向のほぼ中央部で、伸縮式ジャッキ7(図4c参照)の取り付け部付近に、周方向に間隔をおくと共に幅方向に間隔をおいて、複数のアンカーボルト挿通孔8を備えている。伸縮式ジャッキ7としては、油圧式ジャッキ等の液圧式ジャッキ等の伸縮式ジャッキ7が用いられる。
【0010】
前記の各アンカーボルト挿通孔8に重合可能なように、周方向に間隔をおくと共に幅方向に間隔をおいて複数のアンカーボルト挿通孔9を周方向の中央側に備えていると共に、前記複数のアンカーボルト挿通孔9よりも周方向外側に、周方向に間隔をおくと共に幅方向に間隔をおいて複数の雌ねじ孔10を備えた厚肉鋼板3で、前記の帯状鋼板2より板厚の厚い厚肉鋼板3からなる鋼材が、伸縮式ジャッキ7側のベース部材11の取り付け部3aとして、前記帯状鋼板2の周方向に等角度間隔をおいて配置されて、厚肉鋼板3の周縁部が溶接Wにより帯状鋼板2に固定されている。
取り付け部3aとしての厚肉鋼板3を、周方向に等角度間隔(例えば、90°間隔)をおいて備えた帯状鋼板2が鉄筋コンクリート製の柱状構造物1の側周面に、連続又は断続してリング状に配置され、柱状構造物1と帯状鋼板2とは、エポキシ樹脂等の接着剤4により固定されている。
【0011】
帯状鋼板2と厚肉鋼板3は、柱状構造物1に固定された各アンカーボルト5及び各アンカーボルト5にそれぞれ装着されたナット6により、柱状構造物1に固定されている。より具体的には、帯状鋼板2と厚肉鋼板3における柱状構造物周方向の中央部側で、これらの複数のアンカーボルト挿通孔8,9にそれぞれ挿通されると共に、柱状構造物1に設けたアンカー孔12に挿入されて、エポキシ樹脂製の接着剤あるいはセメント系グラウト等の固定手段により柱状構造物1に固定された各アンカーボルト5及び各アンカーボルト5にそれぞれ装着されたナット6により、柱状構造物1に固定されている。
前記の柱状構造物1に対する帯状鋼板2と厚肉鋼板3の固定手段としては、図示を省略するが、柱状構造物1にアンカー孔12に、雌ねじ孔付き截頭円錐状楔を嵌合した拡開スリーブ及び前記截頭円錐状楔にねじ込まれたアンカーボルトを有する機械式アンカー材を挿入すると共に、前期拡開スリーブを前記截頭円錐状楔によりアンカー孔12内壁に食い込むように圧着して、アンカーボルト5及びこれに装着されたナット6により、柱状構造物1に固定するようにしてもよい。
【0012】
前記の厚肉鋼板3の上下面は、例えば、水平面と平行な平坦面とされて、厚肉鋼板3の上面又は下面に作用する上下方向のせん断力を帯状鋼板2及び接着剤(接着剤層)4により、及びアンカーボルト5を介して、柱状構造物1に伝達可能にされている。
【0013】
図5(a)(b)に示すように、取り付け部3aとしての厚肉鋼板3に、鋼製のジャッキ取り付け部材13におけるベース部材11が嵌合されている。ベース部材11は、厚肉鋼板3における上面に面接触して係合する下面を有する上部脚部14と、前記厚肉鋼板3における底面に面接触して係合する下部脚部15を備え、横方向に開口し周方向に連続した凹溝16を有している。前記ベース部材11の中央部には、上下方向に間隔をおくと共に周方向に間隔をおいて複数の貫通孔17が設けられ、前記貫通孔17により、前記厚肉鋼板3を固定している複数のアンカーボルト5の頭部及びナットを前記貫通孔17内に配置可能として、これらの干渉を防止している。
前記ベース部材11の両側部には、横方向に間隔をおくと共に上下方向に間隔をおいて複数の段付きボルト孔34を備えている。
【0014】
また、ベース部材11における上部脚部14及び下部脚部15の先端部は、平坦な縦面とされて、前記の帯状鋼板2の外周面に、面接触状態で当接される。前記の上部脚部14及び下部脚部15の先端部の当接面は、帯状鋼板2の外周面の形態に応じて当接するように、円弧状、直線状等の形態とされる。
【0015】
また、前記のジャッキ取り付け部材13におけるベース部材11は、その両側部(周方向の両側部)が、これに挿通されると共に、厚肉鋼板3にねじ込まれた複数のボルト18により前記取り付け部3aに着脱可能に固定されている。
【0016】
図1及び図2に示すように、前記のベース部材11から垂直に立設しかつ上方に伸びるように、一対の間隔をおいたジャッキ支持用の短尺のブラケット19が溶接等により前記ベース部材11に固定され、各ブラケット19は、上端側に上端側が開放された支軸支承用の溝を備え、前記の支軸支承用の各溝には、伸縮式ジャッキ7のシリンダ側の各支軸がそれぞれ嵌合載置され、また、各ブラケット19の上部側面には間隔をおいて複数の雌ねじ孔が設けられ、前記各ブラケット19に、それぞれ側面L形で鋼製のアーム20の基端側が複数のボルトにより取り付けられ、各アーム20の先端部には、鋼製支圧板21が溶接により固定されている。
本発明の実施形態においては、前記のように、帯状鋼板2に取り付け部3aとしての厚肉鋼板3を、周方向に間隔をおいて取り付け、その取り付け部3aにジャッキ取り付け部材13を介して伸縮式ジャッキ7を取り付ける形態としているので、周方向に隣り合う伸縮式ジャッキ7は、従来のように、剛性の大きいフレームに複数設ける形態と異なり、剛性の大きいフレームを必要としていないと共に、個々の伸縮式ジャッキは、一つのフレームに設けることなく、個々の取り付け部3aの部分で取り付けられて、独立している。そのため、帯状鋼板2及び取り付け部3aとしての厚肉鋼板3の配置を、柱状構造物1の周方向に設ける場合の自由度が大きく、円形、楕円形、矩形等の柱状構造物1の横断面形態に応じて、設置箇所を増やすことが容易にでき、構造も簡単で安価な圧入装置とすることができる等の効果がある。
【0017】
図6及び図7に示すように、前記のベース部材11と短尺のブラケット19と、伸縮式ジャッキ7と、アーム20及び支圧板21は、予め工場において組立セットされ、現場において、ベース部材11をボルトにより固定することにより、設置される。
【0018】
図1に示すように、本発明においては、地盤に鋼製筒状体22を圧入する時の反力を受けるジャッキ付近の上部側の要素としては、帯状鋼板2と、厚肉鋼板3からなる取り付け部、ベース部材11、短尺のブラケット19、アーム20及び支圧板21等であり、小型化が図られて、安価な構造とされている。
【0019】
また、図1に示すように、柱状構造物1から、帯状鋼板2及び厚肉鋼板3と、ベース部材11を介して短尺のブラケット19における伸縮式ジャッキ7の中心線までの距離Lが短くされている。また、横方向に張り出す距離が短くかつ、上方に伸びる寸法の短い短尺のブラケットとされ、ベース部材11からブラケット19における伸縮式ジャッキ7の中心線までの横方向の距離が短く、ベース部材11から伸縮式ジャッキ7の回動支軸23までの距離が、アーム20に比べて1/3程度に短くされているため、ベース部材11及びベース部材11を固定しているボルト18に作用する引張力及び曲げ力が小さくなるようにされている。
【0020】
伸縮式ジャッキ7のピストン24の先端部は、柱状構造物1の周囲にリング状に組み立てられた鋼製の加圧リング等の加圧部材25に取り付けられる取り付け金具26に対して着脱可能な横軸27により連結されている。前記の取り付け金具26は、ピストン側に取り付けても、加圧部材25側(又は後記の鋼材製のスペーサー(コマ材)28)に予め取り付けても良い。
柱状構造物1に取り付けられた帯状鋼板2及び厚肉鋼板3と、これに取り付けられたジャッキ取り付け部材13及び伸縮式ジャッキ7と、前記ジャッキ取り付け部材13に付属するアーム20及び加圧部材25等により圧入装置30が構成されている。
【0021】
前記のような圧入装置30を組み立てる場合には、取り付け部3aとしての厚肉鋼板3を備えた帯状鋼板2を橋脚等の柱状構造物1にアンカーボルトにより固定し、図6及び図7に示すように組み立てられて、支圧板21付きのアーム20とジャッキ取り付け部材13及び伸縮式ジャッキ7を備えた組立体におけるベース部材11の両側部を、前記取り付け部3aに複数のボルト18により取り付け、伸縮式ジャッキ7におけるピストン先端部を、図8に示すように、加圧部材25に取り付けることで、又は、図11に示すように、スペーサー(コマ材)28に取り付けることで、柱状構造物1の周囲に組み立て設置することができる。上下のスペーサー(継ぎ足し用のコマ材)28相互、又は取り付け金具26或は加圧部材25とは、ボルト・ナットにより、連結又は分解可能に一体化されている。
前記のスペーサー(コマ材)28は、短柱状のブロックであるため、伸縮式ジャッキ7の直下に直列に配置され、リング状の加圧部材25の全周に設けるものではないため、
【0022】
前記のように、前記実施形態の圧入装置30では、柱状構造物1に帯状鋼板2が柱状構造物周方向に間隔をおいて設けられたアンカー材により固定され、ジャッキ取り付け部材13のベース部材11が、ボルト18により着脱可能に前記取り付け部3aに取り付けられ、そのジャッキ取り付け部材13に伸縮式ジャッキ7の一端側が取り付けられ、伸縮式ジャッキ7の他端側は加圧部材25に連結され、前記ジャッキ取り付け部材13は、前記加圧部材25とは反対側に伸長するアーム20を備えており、そのアーム20の先端側には、前記柱状構造物1に当接された支圧板21を備えているので、伸縮式ジャッキを伸張して圧入する場合に作用する曲げモーメントMをアーム及び支圧板により受けて柱状構造物に伝達でき、伸縮式ジャッキ7の反力を受ける側の構造を小型に経済的に安価な圧入装置とすることができる等の効果が得られる。
【0023】
また、ジャッキ取り付け部材におけるベース部材11を、取り付け部を備えた帯状鋼板2をアンカーボルト5により柱状構造物1に取り付けた後にボルト18により取り付けることができるため、伸縮式ジャッキ7の取り付けが容易である等の効果がえられる。
【0024】
また、前記実施形態では、帯状鋼板2に、複数の雌ねじ孔を有する鋼材が溶接により固定されて、前記取り付け部3aが形成され、ジャッキ取り付け部材13のベース部材11が、ボルト18により着脱可能に前記取り付け部に取り付けられているので、また、取り付け部3aが雌ねじ付きの鋼材であるので、取り付け部3aの構成が簡単な構造とすることができる等の効果が得られる。
【0025】
さらに、前記実施形態の圧入装置30においては、一対のブラケット19を備えたジャッキ取り付け部材13における各ブラケット19に複数の雌ねじ孔が間隔をおいて設けられ、前記各ブラケット19にそれぞれアーム20の基端側がボルトにより着脱可能に取り付けられているので、アーム20を備えたジャッキ取り付け部材13の構成を簡単な構成とすることができ、組立も容易である等の効果が得られる。
【0026】
図9に示すように、柱状構造物1の周りに配置された組立式浮体34を利用して平面弧状等の上下・左右の鋼板ブロック29相互を溶接接合した後、前記のような圧入装置30を用いて、柱状構造物1の周囲に配置される補強用の鋼製筒状体22を海底地盤又は水底地盤等の地盤31に圧入する場合には、多数の鋼板ブロック29を組み立てた鋼製筒状体22を、図10に示すように、柱状構造物1に圧入時の反力及び曲げモーメントによる押圧力を伝達するようにして、伸縮式ジャッキ7を伸張して、鋼製筒状体22を地盤31に圧入し、また、適宜、伸縮式ジャッキ7を短縮して図11又は図12に示すように、スペーサー28を介在させて、鋼製筒状体22を地盤31に圧入する。
鋼製筒状体22を地盤31に圧入した後、伸縮式ジャッキ7を短縮して、図13に示すように、適宜、圧入された鋼製筒状体22の上端部に、鋼板ブロック29を溶接により接合して、リング状に継ぎ足し、前記の同様に、鋼板ブロック29を継ぎ足された鋼製筒状体22を水底地盤31に圧入する。このような工程を必要回数行って、図14に示すように、鋼製筒状体22を、柱状構造物1における鉄筋コンクリート製のコンクリート基礎32の上面に着座させる。
前記の鋼板製ブロック29の溶接接合にあたっては、適宜、柱状構造物1の周囲に設けた組立式浮体上の作業員により行われる。鋼板製ブロック29は、柱状構造物1の周囲を囲むように、組立式浮体上のクレーン(又はクレーン船、図示を省略)等により吊り上げ搬送され、仮固定又は仮保持された状態で溶接により接合される。
【0027】
以下、図示を省略するが、柱状構造物1と鋼製筒状体22との間を、掘削・洗浄して、土砂を排除した後、柱状構造物1と鋼製筒状体22との間の空間に、適宜縦鉄筋等をコンクリート基礎32に定着させるようにして配置し、その後、前記空間を埋めるように、また、柱状構造物1の凹みあるいは亀裂を埋めるように、コンクリート又はモルタル等のセメント系充填材を充填して、柱状構造物1と鋼製筒状体22との一体化を図り、柱状構造物1の補強・補修し、柱状構造物1の耐震性能の向上を図る。
【0028】
前記実施形態においては、短尺のブラケット19と、アーム20とを、ボルト33により組み立てるようにしているが、本発明を実施する場合、短尺のブラケット19と、アーム20とを一体の鋼材により形成するようにしてもよい。
【0029】
本発明を実施する場合、ベース部材11の中央側に、帯状鋼板2及び取り付け部3aを柱状構造物1に固定するためのアンカーボルト5との干渉を防止するための貫通孔17を設けているが、前記の貫通孔17に代えて、ベース部材11の中央部の裏面側の凹溝を深くして、アンカーボルト及びナットとの干渉を防止するようにしてもよい。
柱状構造物1としては、断面円形又は長円形或は楕円形、若しくは矩形又は長方形の形態でもよく、これに合わせて、帯状鋼板2を、平面半円状、平面弧状あるいは直線状等の形態とすればよい。
【0030】
本発明を実施する場合、伸縮式ジャッキにおけるピストンをジャッキ取り付け部材側に配置し、シリンダ先端にブラケットを設けて、加圧部材側との連結を図る取り付け金具に連結するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 柱状構造物
2 帯状鋼板
3 厚肉鋼板
3a 取り付け部
4 接着剤
5 アンカーボルト
6 ナット
7 伸縮式ジャッキ
8 アンカーボルト挿通孔(帯状鋼板側)
9 アンカーボルト挿通孔(厚肉鋼板側)
10 雌ねじ孔
11 ベース部材
12 アンカー孔
13 ジャッキ取り付け部材
14 上部脚部
15 下部脚部
16 凹溝
17 貫通孔
18 ボルト
19 ブラケット
20 アーム
21 支圧板
22 鋼製筒状体
23 支軸
24 ピストン
25 加圧部材
26 取り付け金具
27 横軸
28 スペーサー
29 鋼板ブロック
30 圧入装置
31 地盤
32 コンクリート基礎
33 ボルト
34 組立式浮体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状構造物に、取り付け部を備えた帯状鋼板が柱状構造物周方向に間隔をおいて設けられたアンカー材により固定され、ジャッキ取り付け部材のベース部材が、ボルトにより着脱可能に前記取り付け部に取り付けられ、そのジャッキ取り付け部材に伸縮式ジャッキの一端側が取り付けられ、伸縮式ジャッキの他端側は加圧部材に連結され、前記ジャッキ取り付け部材は、前記加圧部材とは反対側に伸長するアームを備えており、そのアームの先端側には、前記柱状構造物に当接された支圧板を備えていることを特徴とする圧入装置。
【請求項2】
帯状鋼板に、複数の雌ねじ孔を有する鋼材が溶接により固定されて、前記取り付け部が形成され、ジャッキ取り付け部材のベース部材が、ボルトにより着脱可能に前記取り付け部に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の圧入装置。
【請求項3】
一対のブラケットを備えたジャッキ取り付け部材における各ブラケットに複数の雌ねじ孔が間隔をおいて設けられ、前記各ブラケットにそれぞれアームの基端側がボルトにより着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の圧入装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−167474(P2012−167474A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28626(P2011−28626)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【特許番号】特許第4945689号(P4945689)
【特許公報発行日】平成24年6月6日(2012.6.6)
【出願人】(000103769)オリエンタル白石株式会社 (136)
【Fターム(参考)】