説明

圧力センサを備える容積型ポンプ

【課題】ピペット装置または送出装置において使用するための圧力センサ付き容積型ポンプ装置であって、従来技術から知られている欠点を少なくとも部分的に取り除く。
【解決手段】シリンダ壁(4)が、シリンダ壁(4)の内側に位置し、シリンダ底部(5)までポンプシリンダ(2)の実質的に全長にわたって延びているピストンスリーブ(14)を備えている。さらに、圧力チャネル(12)の主たる部分(13)が、ピストンスリーブ(14)を備えるシリンダ壁(4)に位置することで、ピストンスリーブ(14)が、ポンプピストン(7)が圧力センサ(10)の位置を過ぎて移動するときに圧力センサ(10)またはシリンダ壁(4)の内表面(30)に触れる、あるいは圧力センサ(10)またはシリンダ壁(4)の内表面(30)を危険にさらすことを防止することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この特許出願は、2010年1月22日付の米国特許出願第12/692,089号の優先権を主張し、この米国特許出願の開示の全体が、あらゆる目的のために本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、ポンプシリンダおよびポンプピストンを備える容積型ポンプに関する。ポンプシリンダが、長手軸と、長手軸に平行に延びるシリンダ壁と、長手軸に実質的に垂直に広がるシリンダ底部と、シリンダ底部またはシリンダ底部の近くに位置するシリンダ出口とを備えている。ポンプピストンは、ポンプシリンダの内側を長手軸の方向に往復移動することができるピストン前部を備えている。さらに、容積型ポンプは、ポンプシリンダの内側に位置し、シリンダ壁と、シリンダ底部と、ピストン前部とによって画定されるシリンダ空間と、シリンダ壁の開口に位置し、あるいはシリンダ壁の開口の外側に位置し、シリンダ空間の圧力を検出する圧力センサとを備えている。さらに、容積型ポンプは、圧力チャネルを備えており、その主たる部分が、シリンダ空間と圧力センサとの間に流体接続をもたらすために、ポンプシリンダの長手軸に平行に延びている。そのような容積型ポンプは、容積型ポンプのシリンダ出口に流体に関して有効に接続されたピペットまたはディスペンサ先端部へと液体を吸い込み、さらには/あるいはそのようなピペットまたはディスペンサ先端部から液体を送出するために、好ましく使用される。容積型ポンプには、例えばピストンポンプ、プランジャポンプ、およびシリンジポンプが含まれる。そのような容積型ポンプおよびそれらに組み合わせられるピペットまたはディスペンサ先端部の単一および複数配置が、液体取り扱い装置または液体取り扱いロボットを実現するために想定される。そのような液体取り扱いツールは、例えば、液体サンプルを採取し、さらには/あるいは液体サンプルを配置するように仕上げられ、GENESIS Freedom(登録商標)作業ステーションまたはFreedom EVO(登録商標)プラットフォーム(どちらも、Tecan Trading AG,8708 Mannedorf,Switzerland)などの液体取り扱い作業ステーションまたはロボット式サンプルプロセッサの好ましい一部分である自動ピペッタまたはディスペンサから公知である。
【背景技術】
【0003】
米国特許第5,499,545号から、吸収または排出される液体の量への大気圧および内部の圧力の変化の影響を取り除くことによって、測定精度が改善されてなるピペット装置が知られている。このピペット装置は、ピストンポンプのシリンダ部の内部の圧力を測定する圧力センサを備えている。圧力センサが、シリンダとピペットの先端との間に位置する配管部によって、シリンダ部へと流体接続されている。同様の構成が、欧州特許出願公開第0215534A2号から知られており、圧力ゲージがT字ピースを使用してポンプシリンダとピペットチューブとの間の配管へと流体に関して接続されている。
【0004】
欧州特許出願公開第0571100A1号から、空気ピストンの原理にて動作するピペット装置が知られている。動作が、ピペットの空気空間へと接続された圧力センサによって測定される空気の圧力にもとづいて監視および/または制御される。圧力センサが、シリンダ内の空気の圧力を測定するようにピペットの円筒形の管へと接続されている。制御ユニットが、ピペットの空気空間の圧力変化を記録し、不具合の場合に警報ユニットとして機能し、あるいはピペットの空気空間の圧力の変化にもとづいてピペットの動作を制御する。
【0005】
ディスペンサおよび送出装置が、米国特許第7,314,598B2号から知られている。ディスペンサが、圧力センサをノズルを構成しているシリンジに一体に形成することによって、(例えば、上述のすべての従来技術文献において使用されているような)配管などを不要にすることで、圧力を精密に検出することができる圧力センサを有している。ディスペンサは、本体に搭載されたモータによってピストンをシリンジの内側で摺動させることによって、ノズルから液体の吸引および排出を行うために設けられている。シリンジの内部の内圧を検出するための検出センサが、空気取り入れ口をシリンジの内表面へと延びるように形成された貫通穴へと直接接続することによって、一体に形成されている。しかしながら、シリンダ出口に或る程度の死空間が残されており、提案されている構成では、そのような死空間の圧力を測定することが不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の1つの目的は、ピペット装置または送出装置において使用するための新たな圧力センサ付き容積型ポンプ装置であって、従来技術から知られている欠点を少なくとも部分的に取り除く新たな容積型ポンプ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の目的は、本明細書の冒頭部分で紹介されたとおりの改良された容積型ポンプであって、圧力チャネル(channel)を備えており、圧力チャネルの主たる部分がポンプシリンダの長手軸に平行に延びており、シリンダ空間と圧力センサとの間に流体接続(fluidic connection)をもたらしている容積型ポンプによって達成される。本発明による改善は、シリンダ壁が、ピストンスリーブを備えており、このピストンスリーブが、シリンダ壁の内側に位置するとともに、シリンダ底部までポンプシリンダの実質的に全長にわたって延びており、圧力チャネルの主たる部分が、ピストンスリーブを備えるシリンダ壁に位置することで、ピストンスリーブが、ポンプピストンが圧力センサの位置を過ぎて移動するときに圧力センサまたはシリンダ壁の内表面に触れる、あるいは圧力センサまたはシリンダ壁の内表面を危険にさらす(compromise)ことを防止するという特徴にもとづいている。さらなる態様および進歩的要素は、従属請求項から導き出される。
【発明の効果】
【0008】
本発明による容積型ポンプ装置は、少なくとも以下の利点を提供する。
−ポンプの死空間、すなわち圧力がポンプピストンの移動に応じて異なる容積を、ポンプピストンの運動によって圧力センサを傷める恐れなく、最小限へと減らすことができる。
−たとえ圧力センサがポンプシリンダの中央や後部領域に置かれる場合でも、圧力チャネルの容積を最小にすることができる。
【0009】
次に、本発明を、本発明による新たな容積型ポンプ装置の好ましい実施の形態を選抜して提示(ただし、これらに限られるわけではない)する添付の図面および概略図の助けを借りて描写および説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施の形態による容積型ポンプを示しており、圧力チャネルの主たる部分が、シリンダ壁に含まれるピストンスリーブの少なくとも1つの溝として実現されている。図1の(A)は、ポンプピストンが最も前方の位置にある状態を示している。図1の(B)は、ポンプピストンが最も後方の位置にある状態を示している。
【図2】本発明の第2の実施の形態による容積型ポンプを示しており、圧力チャネルの主たる部分が、ポンプピストンの内腔として実現されている。図2の(A)は、ポンプピストンが最も前方の位置にある状態を示している。図2の(B)は、ポンプピストンが最も後方の位置にある状態を示している。
【図3】本発明の第3の実施の形態による容積型ポンプを示しており、圧力チャネルの主たる部分が、ポンプピストンの側面の平坦部または溝、あるいはポンプピストンの小径部として実現されている。図3の(A)は、ポンプピストンが最も前方の位置にある状態を示している。図3の(B)は、ポンプピストンが最も後方の位置にある状態を示している。
【図4】本発明の第4の実施の形態による容積型ポンプを示しており、圧力チャネルの主たる部分が、ピストンスリーブの外面のきわめて短いアンダーカット部またはテーパ部として実現されている。図4の(A)は、ポンプピストンが最も前方の位置にある状態を示している。図4の(B)は、ポンプピストンが最も後方の位置にある状態を示している。
【図5】本発明の第5の実施の形態による容積型ポンプを示しており、圧力チャネルの主たる部分が、ピストンスリーブの外面の細長いアンダーカット部またはテーパ部として実現されている。図5の(A)は、ポンプピストンが最も前方の位置にある状態を示している。図5の(B)は、ポンプピストンが最も後方の位置にある状態を示している。
【図6】本発明の第6の実施の形態による容積型ポンプを示しており、圧力チャネルの主たる部分が、シリンダ壁の溝(gorge)として実現されている。図6の(A)は、ポンプピストンが最も前方の位置にある状態を示している。図6の(B)は、ポンプピストンが最も後方の位置にある状態を示している。図6の(C)は、図6の(A)の高さCにおける断面を示している。図6の(D)は、図6の(B)の高さDにおける断面を示している。図6の(E)は、図6の(B)の高さEにおける断面を示している。
【図7】本発明の第7の実施の形態による容積型ポンプを示しており、圧力チャネルの主たる部分が、シリンダ壁の溝とピストンスリーブの外面のアンダーカット部またはテーパ部との組み合わせとして実現されている。図7の(A)は、ポンプピストンが最も前方の位置にある状態を示している。図7の(B)は、ポンプピストンが最も後方の位置にある状態を示している。図7の(C)は、図7の(A)の高さCにおける断面を示している。図7の(D)は、図7の(B)の高さDにおける断面を示している。図7の(E)は、図7の(B)の高さEにおける断面を示している。
【図8】本発明の第8の実施の形態による容積型ポンプを示しており、圧力チャネルの主たる部分が、ポンプシリンダの全長にわたって延びてポンプシリンダの開いた後端にて終わっているピストンスリーブの少なくとも1つの溝として実現されている。図8の(A)は、引き込まれた位置にあるポンプピストン、およびポンプの円錐形の受け部に取り付けられた使い捨ての先端部を示している。図8の(B)は、ポンプピストンが最も前方の位置にあり、使い捨ての先端部がポンプの円錐形の受け部から排出された状態を示している。図8の(C)は、図8の(B)の高さCにおける断面を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付の図1〜8に、本発明による容積型ポンプの好ましい実施の形態が示されている。いずれの場合も、容積型ポンプ1が、長手軸3と、長手軸3に平行に延びるシリンダ壁4と、長手軸3に実質的に垂直に広がるシリンダ底部5と、シリンダ底部5またはシリンダ底部5の近くに位置するシリンダ出口6とを有するポンプシリンダ2を備えている。さらに、本発明による容積型ポンプ1は、ポンプシリンダ2の内側を長手軸3の方向に往復移動することができるピストン前部8を有するポンプピストン7、およびポンプシリンダ2の内側に位置し、シリンダ壁4と、シリンダ底部5と、ピストン前部8とによって画定されているシリンダ空間9を備えている。さらに、本発明による容積型ポンプ1は、シリンダ空間9の圧力を検出するための圧力センサ10および圧力チャネル12を備えており、圧力センサ10が、シリンダ壁4またはポンプピストン7の開口11、11’に位置し、あるいはシリンダ壁4またはポンプピストン7の開口11、11’の外側に位置し、圧力チャネル12の主たる部分13が、シリンダ空間9と圧力センサ10との間の流体の接続をもたらすために、ポンプシリンダ2の長手軸3に平行に延びている。
【0012】
シリンダ出口6がシリンダ底部5に位置している典型的な実施の形態が、図1〜5、7、および8に示されている。シリンダ出口6を、長手軸3に沿って延びるようにシリンダ底部5の中央に位置させることができる(図1、2、4、5、6の(A)、7、および8を参照)。シリンダ出口6を、シリンダ底部5に中央からずらして位置させてもよい(図3および6の(B)を参照)。図6の(B)のシリンダ出口6は、シリンダ底部5の近くに位置しており、最初は(シリンダ壁4の開口として)長手軸3に実質的に垂直に始まり、終わりは長手軸3に実質的に平行である。圧力センサ10は、シリンダ壁4の開口11に位置する場合には、好ましくは、圧力センサ10の圧力トランスデューサ前面がシリンダ壁4の内表面30と同一面に位置するように配置される(例えば、図3および4を参照)。圧力センサ10は、シリンダ壁4の開口11の外に位置する場合には、好ましくは、シリンダ壁4の外表面に直接的に配置され(例えば、図5を参照)、あるいは横チャネル31を介して圧力チャネル12の主たる部分13に流体連通する(例えば、図8を参照)。圧力センサ10は、ポンプピストン7の開口11’の外に位置する場合には、好ましくは、ポンプピストン7の後端27に配置される(例えば、図2の(A)を参照)。圧力センサ10は、流体の圧力を測定し、典型的には気体、液体、または気体/液体混合物の圧力を測定する。圧力は、流体の膨張を止めるために必要な力の一表現であり、通常は、単位面積あたりの力を単位にして表わされる。
【0013】
圧力センサは、通常はトランスデューサとして機能し、加えられた圧力の関数として信号を生成する。本特許出願の目的において、そのような信号は電気的である。圧力トランスデューサを、ピエゾ抵抗ひずみゲージならびに容量、電磁気、圧電、または光学の原理にもとづいて機能する圧力トランスデューサを含むグループから選択することができる。ホイートストンブリッジ構成、シリコンピエゾ抵抗技術、およびレシオメトリックな出力を特徴とするHoneywell 26PC01SMT(Honeywell Sensing and Control, Golden Valley, MN 55422)という型式の圧力センサがとくに好ましい。
【0014】
本発明による容積型ポンプ1において、圧力チャネル12の主たる部分13は、ポンプシリンダ2またはポンプピストン7の内部に位置し、少なくともポンプピストン7が最も前方の位置にあるときに、シリンダ底部5からシリンダ壁4またはポンプピストン7の開口11、11’まで延び、あるいはシリンダ壁4またはポンプピストン7の開口11、11’を過ぎて延びている。
【0015】
圧力チャネル12の主たる部分13を、ポンプシリンダ2の内部に位置する場合に、さまざまな実施の形態にて実現することができ、そのいくつかが、図1および2〜8に示されている。圧力チャネル12の主たる部分13を、ポンプピストン7の内部に位置する場合には、例えば図2に従って実現することができる。いずれの場合も、圧力チャネル12の主たる部分13は、シリンダ底部5から(シリンダ壁4の)開口11または(ポンプピストン7の)開口11’まで延び、あるいは開口11または11’を過ぎて延びている。圧力チャネル12がシリンダ底部5からポンプピストン7の開口11’まで延びる場合には、圧力チャネル12の主たる部分13は、好ましくはピストン前部8から始まる(図2を参照)。
【0016】
次に、種々の実施の形態を、添付の図面の助けを借りてさらに詳しく説明する。
【0017】
図1が、本発明の第1の実施の形態による容積型ポンプ1を示している。圧力チャネル12の主たる部分13が、好ましくは、シリンダ壁4に含まれるピストンスリーブ14のただ1つの溝15として実現される。好ましくはOリングまたはリップシールの形態であるシール部材24が、ポンプピストン7とピストンスリーブ14との間に位置している。シール部材24は、ポンプピストン7の凹所32’に捕らえられ、ピストンスリーブ14の表面を摺動するように構成された運動シールとして実現されている。
【0018】
図1の(A)が、最も前方の位置にあるときのポンプピストン7を示しており、ポンプピストン7のピストン前部8が、シリンダ底部5に触れている。シリンダ壁4の開口11およびポンプピストン7のシール部材24は、圧力センサ10がシリンダ空間9の後部限界かつシリンダ空間9の内部に位置するように配置されている。センサ10は、ここでは、ピストンスリーブ14の少なくとも1つの溝15によってもたらされる圧力チャネル12の主たる部分13へとわずかに突き出している。
【0019】
図1の(B)が、最も後方の位置にあるときのポンプピストン7を示しており、ポンプピストン7のシール部材24が、ポンプシリンダ2のほぼ後端34に達している。
【0020】
図1の実施の形態から、シリンダ壁4の開口11が、ポンプシリンダ2の下半分になければならず、したがって容積型ポンプ1の送出量が、ポンプシリンダ2の容積の約半分に制限されることが、明らかである。ポンプシリンダ2は、好ましくはステンレス鋼(好都合には、液体の水位の検出のために導電性が望まれる場合)またはポリプロピレンなどのポリマー材料から製造される。ポンプピストン7およびピストンスリーブ14は、好ましくはステンレス鋼から製造される。シール部材24は、好ましくはネオプレンなどの不活性ゴムから作られる。
【0021】
図2が、本発明の第2の実施の形態による容積型ポンプ1を示している。圧力チャネル12の主たる部分13が、ピストン前部8からポンプピストン7の後端27または後部側面28の開口11’まで達するポンプピストン7の内腔29として実現されている。好ましくはOリングまたはリップシールの形態であるシール部材24が、ポンプピストン7とシリンダ壁4との間に位置している。シール部材24は、シリンダ壁4の凹所32に捕らえられ、運動するポンプピストン7の表面に摺動可能に触れるように構成された固定のシールとして実現されている。
【0022】
図2の(A)が、最も前方の位置にあるときのポンプピストン7を示しており、ポンプピストン7のピストン前部8が、シリンダ底部5に触れている。ポンプピストン7の開口11’(ポンプピストン7の後端27に位置している)およびポンプピストン7のシール部材24は、互いに別個独立に配置されており、圧力センサ10が、ポンプシリンダ2にではなく、ポンプピストン7に取り付けられている。ここでは、圧力センサ10が、完全にポンプシリンダ2の外部に位置している。
【0023】
図2の(B)が、ピストン前部がポンプシリンダ2のほぼ後端34に位置する固定のシール部材24の近くにある最も後方の位置へと向かうほぼ中間の位置にあるときのポンプピストン7を示している。ポンプピストン7の開口11’(ポンプピストン7の後部側面28に位置している)およびポンプピストン7のシール部材24は、互いに別個独立に配置されており、圧力センサ10が、ポンプシリンダ2にではなく、ポンプピストン7に取り付けられている。ここでも、圧力センサ10が、完全にポンプシリンダ2の外部に位置している。
【0024】
図2の実施の形態から、ポンプシリンダ2が、図1の実施の形態と比べた場合に、約2倍の送出量を有することが明らかである。図2の(A)による変種は、送出量は変わらぬままにポンプピストン7を短くすることができるため、図2の(B)の変種よりも好ましい。ポンプシリンダ2は、好ましくはステンレス鋼(好都合には、液体の水位の検出のために導電性が望まれる場合)またはポリプロピレンなどのポリマー材料から製造される。ポンプピストン7は、好ましくは、圧力センサにポンプシリンダ2に対する電気絶縁を好都合に提供する不活性ポリマー材料から製造される。シール部材24は、好ましくはネオプレンなどの不活性ゴムから作られる。圧力センサ10を、容積型ポンプ1が取り付けられ、あるいは組み込まれる液体取り扱いロボットまたは液体取り扱いシステム(どちらも図示されていない)の要件に応じて、ポンプピストン7の後端27に配置することができ(図2の(A)を参照)、あるいはポンプピストン7の後部側面28に配置することができる(図2の(B)を参照)。
【0025】
図3が、本発明の第3の実施の形態による容積型ポンプ1を示している。圧力チャネル12の主たる部分13が、ポンプピストン7の側面18の平坦部16または溝17として実現され、あるいはポンプピストン7の側面18の小径部19として実現されている。好ましくはOリングまたはリップシールの形態であるシール部材24が、ポンプピストン7とシリンダ壁4との間に位置している。シール部材24は、ポンプピストン7の凹所32’に捕らえられ、シリンダ壁4の表面を摺動するように構成された運動シールとして実現されている。
【0026】
図3の(A)が、最も前方の位置にあるときのポンプピストン7を示しており、ポンプピストン7のピストン前部8が、シリンダ底部5に触れている。シリンダ壁4の開口11およびポンプピストン7のシール部材24は、シール部材24が圧力センサ10を超えて移動することがなく、したがって圧力センサ10が常にシリンダ空間9の内部に位置するように、配置されている。圧力チャネル12の主たる部分13が、ポンプピストン7の側面18の平坦部16または溝17として実現されている。ポンプピストンの側面に2つ以上の溝17を設けることも、本発明に包含される。ここでは、圧力センサ10が、シリンダ壁4の内表面30と同一面に位置している。シリンダ出口6が、容積型ポンプ1の長手軸3に対して偏心し、すなわち中心からずらされて配置されている。
【0027】
図3の(B)が、最も後方の位置にあるときのポンプピストン7を示しており、ポンプピストン7のシール部材24が、ポンプシリンダ2のほぼ後端34に達している。圧力チャネル12の主たる部分13が、ポンプピストン7の側面18の小径部19として実現されている。
【0028】
図3の実施の形態から、シリンダ壁4の開口11が、ポンプシリンダ2の下半分に位置していなければならず、したがって容積型ポンプ1の送出量が、ポンプシリンダ2の容積の約半分に制限されることが、明らかである。ポンプシリンダ2は、好ましくはステンレス鋼(好都合には、液体の水位の検出のために導電性が望まれる場合)、ポリプロピレンなどのポリマー材料、あるいはこれらの組み合わせから製造される。ポンプピストン7は、好ましくはステンレス鋼から製造される。シール部材24は、好ましくはネオプレンなどの不活性ゴムから作られる。好ましくは、圧力チャネル12の主たる部分13とシリンダ出口6とが、(図示のように)直線状に配置され、圧力センサ10が、ポンプピストン7の実際の位置にかかわらずに常にポンプシリンダ2およびシリンダ出口6(ならびに、シリンダ出口6に取り付けられたピペットまたはディスペンサ先端部37)の圧力を検出できるようにされる。このような構成は、例えばサンプル液体の吸引の際の凝固(clot)の検出を可能にする。片側の平坦化16または小径化19が、製造および圧力センサ10に対する向きを容易にするために好ましい一方で、片側の溝17が、圧力チャネル12の主たる部分13の容積を最小限にし、したがって容積型ポンプ1の死空間を最小にするために好ましい。ポンプピストン7をポンプシリンダ2の内部で案内するために、案内ブシュ52を設けることができる。この案内ブシュ52は、好ましくはポンプピストン7の周囲に、ピストン前部8の近くにおいて適用される。圧力チャネル12を遮ることなく、空気を通過させるために、案内ブシュ52は、好ましくは穴または切り欠き53を、好ましくは開口11(したがって、圧力センサ10)に面するように備えている。結果として、ポンプピストン7(および、ピストンと一緒に移動する案内ブシュ52)を最も後方の位置へと移動させ、たとえ案内ブシュ52がセンサ10を過ぎて移動する場合でも、センサ10を危険にさらすことがない。図3の(A)および図3の(B)に示したような実施の形態(案内ブシュ52がシール部材24の前方にのみ位置している)から離れ、しかしながら本発明の技術的思想から離れることなく、案内ブシュ52を、シール部材24の前方および後方に配置することもでき、あるいは後方にのみ配置することも可能である。しかしながら、これらの場合に、後方の案内ブシュ52は、たとえポンプピストン7が最も後方の位置へと移動するときでもポンプシリンダ2から出ることがないような位置にて、ポンプピストン7へと適用されることが好ましい。
【0029】
図4が、本発明の第4の実施の形態による容積型ポンプ1を示している。圧力チャネル12の主たる部分13が、ピストンスリーブ14の外面22のテーパ部21として実現されている。好ましくはOリングまたはリップシールの形態であるシール部材24が、ポンプピストン7とピストンスリーブ14との間に位置している。シール部材24は、ポンプピストン7の凹所32’に捕らえられ、ピストンスリーブ14の表面を摺動するように構成された運動シールとして実現されている。ここでは、ポンプピストン7が、ピストン前部8とシール部材24を備える凹所32’とを有している前部プレート47を備えている。さらに、ポンプピストン7は、ピストン駆動部が係合するピストン棒48を備えている。そのようなピストン駆動部(好ましくは、モータ駆動部35、図8を参照)は、本発明のすべての実施の形態において、自動化された液体取り扱いロボットまたは液体取り扱いシステムに本発明による1つ以上の容積型ポンプ1を備えるために好ましい。
【0030】
図4の(A)が、最も前方の位置にあるときのポンプピストン7を示しており、ポンプピストン7のピストン前部8が、シリンダ底部5に触れている。シリンダ壁4の開口11、したがって圧力センサ10が、シリンダ底部5の近くに位置している。ポンプピストン7のシール部材24が、ピストンスリーブ14の外面22のテーパ部21の下端とシリンダ底部5との間の入り口スリット49を開いたままにしているピストンスリーブ14に、密封して触れるように配置されている。この入り口スリット49が、圧力チャネル12の主たる部分13について、シリンダ空間9との流体接続を保証している。ここでは、圧力センサ10が、シリンダ壁4の内表面30と同一面に位置している。
【0031】
図4の(B)が、最も後方の位置にあるときのポンプピストン7を示しており、ポンプピストン7のシール部材24が、ポンプシリンダ2のほぼ後端34に達している。
【0032】
図4の実施の形態から、シリンダ壁4の開口11の位置が、容積型ポンプ1の送出量に影響を及ぼさないことが明らかである。ポンプシリンダ2は、好ましくはステンレス鋼(好都合には、液体の水位の検出のために導電性が望まれる場合)またはポリプロピレンなどのポリマー材料から製造される。ポンプピストン7およびピストンスリーブ14は、好ましくはステンレス鋼から製造される。シール部材24は、好ましくはネオプレンなどの不活性ゴムから作られる。
【0033】
図5が、多くの点で第4の実施の形態に類似する本発明の第5の実施の形態による容積型ポンプ1を示している。圧力チャネル12の主たる部分13が、ピストンスリーブ14の外面22のアンダーカット部20として実現されている。好ましくはOリングまたはリップシールの形態であるシール部材24が、ポンプピストン7とピストンスリーブ14との間に位置している。シール部材24は、ポンプピストン7の凹所32’に捕らえられ、ピストンスリーブ14の表面を摺動するように構成された運動シールとして実現されている。
【0034】
図5の(A)が、最も前方の位置にあるときのポンプピストン7を示しており、ポンプピストン7のピストン前部8が、シリンダ底部5に触れている。シリンダ壁4の開口11、したがって圧力センサ10が、ポンプシリンダ2のほぼ中央に位置している。ポンプピストン7のシール部材24が、ピストンスリーブ14の外面22のアンダーカット部20の下端とシリンダ底部5との間の入り口スリット49を開いたままにしているピストンスリーブ14に、密封して触れるように配置されている。この入り口スリット49が、圧力チャネル12の主たる部分13について、シリンダ空間9との流体接続を保証している。ここでは、センサ10が、シリンダ壁4の外に位置している。図5からは離れるが、本発明から離れることなく、圧力トランスデューサの前面が、少なくとも部分的にシリンダ壁4の開口11の中へと達してもよい(図示せず)。
【0035】
図5の(B)が、最も後方の位置にあるときのポンプピストン7を示しており、ポンプピストン7のシール部材24が、ポンプシリンダ2のほぼ後端34に達している。
【0036】
図5の実施の形態から、シリンダ壁4の開口11の位置が、容積型ポンプ1の送出量に影響を及ぼさないことが明らかである。さらに、シリンダ壁4の開口11の位置、したがって圧力センサ10の位置を、ポンプシリンダ2のほぼ全長において、容積型ポンプ1が取り付けられ、あるいは組み込まれる液体取り扱いロボットまたは液体取り扱いシステム(どちらも図示されていない)の要件に応じて、任意に選択することができる(これが、この第5の実施の形態を図4の実施の形態から異ならしめている)。ポンプシリンダ2は、好ましくはステンレス鋼(好都合には、液体の水位の検出のために導電性が望まれる場合)またはポリプロピレンなどのポリマー材料から製造される。ポンプピストン7およびピストンスリーブ14は、好ましくはステンレス鋼から製造される。シール部材24は、好ましくはネオプレンなどの不活性ゴムから作られる。
【0037】
図6が、本発明の第6の実施の形態による容積型ポンプ1を示している。先の図1および3〜5と同様に、シリンダ壁4の開口11が、シリンダ壁4の貫通穴25として実現されている。圧力チャネル12の主たる部分13が、シリンダ壁4の溝23として実現されている。好ましくはOリングまたはリップシールの形態であるシール部材24が、ポンプピストン7とシリンダ壁4との間に位置している。シール部材24は、ポンプピストン7の凹所32’に捕らえられ、シリンダ壁4の表面を摺動するように構成された運動シールとして実現されている。
【0038】
図6の(A)が、最も前方の位置にあるときのポンプピストン7を示しており、ポンプピストン7のピストン前部8が、シリンダ底部5に触れている。シリンダ壁4の開口11およびポンプピストン7のシール部材24は、シール部材24が圧力センサ10を超えて移動することがなく、したがって圧力センサ10が常にシリンダ空間9の内部に位置するように、配置されている。ここでは、センサ10が、シリンダ壁4の内表面30に対して引っ込められている。シリンダ出口6が、容積型ポンプ1の長手軸3に対して同心に配置されている。
【0039】
図6の(B)が、最も後方の位置にあるときのポンプピストン7を示しており、ポンプピストン7のシール部材24が、ポンプシリンダ2のほぼ後端34に達している。シリンダ出口6が、容積型ポンプ1の長手軸3に対して中心をずらして配置されている。すでに述べたように、ここでは、シリンダ出口6がシリンダ底部5の近くに位置しており、最初は(シリンダ壁4の開口として)長手軸3に実質的に垂直に始まり、終わりは長手軸3に実質的に平行である。複数の類似の容積型ポンプ1のピペットまたはディスペンサ先端部37を、Y軸(実質的に水平、かつ液体取り扱い作業ステーションに沿った液体取り扱いロボットの移動方向であるX軸に対して直角に延びている)に関して直線状に配置することが、よく知られている。また、類似の容積型ポンプ1の複数(例えば、8または12個)のピペットまたはディスペンサ先端部37を、すべての容積型ポンプ1の個々のピペットまたはディスペンサ先端部37の間の間隔が可変であるが等しくなるように位置させることができるやり方で、Y軸上に直線状に配置することも、一般的である。シリンダ出口6が、各々の容積型ポンプ1の長手軸3に対して大きくずらされているおかげで、容積型ポンプ1が、例えば欧州特許第1477815B1号から知られるようにY軸に沿って交互に配置される場合に、Y軸に沿って並列配置されるピペットまたはディスペンサ先端部37の最小ピッチを、ピペットまたはディスペンサ先端部37の直径よりもわずかに大きいだけに最小化することができる。
【0040】
図6の実施の形態から、シリンダ壁4の開口11が、ポンプシリンダ2の下半分に位置していなければならず、したがって容積型ポンプ1の送出量が、ポンプシリンダ2の容積の約半分に制限されることが、明らかである。ポンプシリンダ2は、好ましくはステンレス鋼(好都合には、液体の水位の検出のために導電性が望まれる場合)、ポリプロピレンなどのポリマー材料、あるいはこれらの組み合わせから製造される。ポンプピストン7は、好ましくはステンレス鋼から製造される。シール部材24は、好ましくはネオプレンなどの不活性ゴムから作られる。好ましくは、圧力チャネル12の主たる部分13とシリンダ出口6とが、(図示のように)直線状に配置され、圧力センサ10が、ポンプピストン7の実際の位置にかかわらずに常にポンプシリンダ2およびシリンダ出口6(ならびに、シリンダ出口6に取り付けられたピペットまたはディスペンサ先端部37)の圧力を検出できるようにされる。このような構成は、例えばサンプル液体の吸引の際の凝固の検出を可能にする。
【0041】
図7が、多くの点で第5の実施の形態に類似する本発明の第7の実施の形態による容積型ポンプ1を示している。ここでも、圧力チャネル12の主たる部分13が、ピストンスリーブ14の外面22のアンダーカット部20として実現されている。好ましくはOリングまたはリップシールの形態であるシール部材24が、ポンプピストン7とピストンスリーブ14との間に位置している。シール部材24は、ポンプピストン7の凹所32’に捕らえられ、ピストンスリーブ14の表面を摺動するように構成された運動シールとして実現されている。シリンダ壁4の開口11、したがって圧力センサ10が、ポンプシリンダ2のほぼ中央に位置している。ポンプピストン7のシール部材24が、ピストンスリーブ14の外面22のアンダーカット部20の下端とシリンダ底部5との間の入り口スリット49を開いたままにしているピストンスリーブ14に、密封して触れるように配置されている。この入り口スリット49が、圧力チャネル12の主たる部分13について、シリンダ空間9との流体接続を保証している。ここでは、センサ10が、シリンダ壁4の貫通穴25に位置しており、センサが、シリンダ壁4の内表面30に対して引っ込められている。好ましくは、ポンプシリンダ2は、ピストンスリーブ14および溝4を受け入れるために必要な空間を残しつつ、不活性ポリマーから成型される。ピストンスリーブ14およびポンプピストン7は、好ましくはステンレス鋼から製造される。シール部材24は、好ましくはネオプレンなどの不活性ゴムから作られる。
【0042】
図7の(A)が、最も前方の位置にあるときのポンプピストン7を示しており、ポンプピストン7のピストン前部8が、シリンダ底部5に実質的に触れている。
【0043】
図7の(B)が、最も後方の位置にあるときのポンプピストン7を示しており、ポンプピストン7のシール部材24が、ポンプシリンダ2のほぼ後端34に達している。
【0044】
図7の実施の形態から、シリンダ壁4の開口11の位置が、容積型ポンプ1の送出量に影響を及ぼさないことが明らかである。さらには(図5の第5の実施の形態と同様に)、シリンダ壁4の開口11の位置、したがって圧力センサ10の位置を、ポンプシリンダ2のほぼ全長において、容積型ポンプ1が取り付けられ、あるいは組み込まれる液体取り扱いロボットまたは液体取り扱いシステム(どちらも図示されていない)の要件に応じて、任意に選択することができる。
【0045】
図8が、本発明の第8の実施の形態による容積型ポンプ1を示している。シリンダ壁4の開口11が、シリンダ底部5の反対側に位置するポンプシリンダ2の端部34の後部開口26として実現されている。圧力チャネル12の主たる部分13が、シリンダ壁4に含まれるピストンスリーブ14の少なくとも1つの溝15として実現されている。ピストンスリーブ14が、ポンプシリンダ2の実質的に全長にわたって延びており、ピストンスリーブ14の少なくとも1つの溝15が、実質的にピストンスリーブ14の全長にわたって延びている。圧力センサ10は、シリンダ壁4の開口11(この場合には、後部開口26)の外に位置しており、横チャネル31が、圧力センサ10を圧力チャネル12に流体に関して連通させている、好ましくはOリングまたはリップシールの形態であるシール部材24が、ポンプシリンダ2の後端34に位置する円筒形部分33の凹所32に捕らえられた固定のシールとして実現されている。シール部材24は、運動するピストンスリーブ14の表面が摺動かつ密封して接触するように構成されている。モータ駆動部35が、好ましくは、ポンプピストン7を長手軸3の方向に往復駆動するために、ポンプピストン7の近くに位置している。使い捨てのピペットまたはディスペンサ先端部37を受け止めるための円錐形の受け部36が、シリンダ出口に、シリンダ出口と同軸に位置している。さらに、第8の実施の形態による容積型ポンプ1は、使い捨てのピペットまたはディスペンサ先端部37を円錐形の受け部36から排出するための排出管38を備えている。この排出管38は、ポンプシリンダ2と同軸に配置され、ポンプシリンダ2の外側に位置している。排出管38は、上部または上部付近に、排出アクチュエータ40を当接させるための外向きに突き出したフランジ39を備えている。排出管38は、下部に、使い捨てのピペットまたはディスペンサ先端部37の後部の縁との当接のための内向きに突き出したフランジ39を備えている。必要なすべての場所において、ポンプシリンダ2を周囲に対して封じるために、Oリング42が好ましい。ケーシング51が、好ましくはセンサ10を囲んでおり、押しねじ46(図8では、黒い三角形として例示されている)を使用して円筒形部分33へと密閉して押し付けられている。
【0046】
図8の(A)が、引き込まれた位置にあるポンプピストン7、およびポンプの円錐形の受け部36に取り付けられた使い捨ての先端部37を示している。第1の変種におけるモータ駆動部35は、ポンプピストン7(後部側面28に歯車ラック43を備えている)を駆動する歯車44を備えている。しかしながら、任意の他の適切な駆動部を、ポンプシリンダ2においてポンプピストン7を往復運動させるために使用することができる。好ましくは、別または同じ電動駆動部が、好ましくは保持ばね(図示されていない)を備える排出アクチュエータ40を駆動するために使用される。ポンプピストン7をポンプシリンダ2の内部で案内するために、案内ブシュ52を設けることができる。この案内ブシュ52は、好ましくはポンプピストン7の周囲に、ピストン前部8の近くにおいて適用される。ここでは、案内ブシュ52(ピストンと一緒に移動する)が、センサ10の位置を過ぎて移動するときに、ピストンスリーブ14の少なくとも1つの溝15ゆえに、センサ10に触れることがあり得ず、あるいは他のかたちでセンサ10を危険にさらすことがあり得ない。結果として、この案内ブシュ52は、穴または切り欠き53を必要としない。死空間を最小限にし、したがって容積型ポンプ1の精度を高めるために、ただ1つの溝15が好ましい。
【0047】
図8の(B)が、最も前方の位置にあるときのポンプピストン7を示しており、ポンプピストン7のピストン前部8が、シリンダ底部5に実質的に触れている。図1〜7とは異なり、この実施の形態におけるピストン前部8は、平坦ではなく、平たい円錐として形成されている。すでに述べたすべての実施の形態から離れて、ピストン前部8が、ドーム状を呈してもよい(図示せず)。排出管38が、排出アクチュエータ40によって最も下方の位置まで押されることで、それまで取り付けられていた使い捨てのピペットまたはディスペンサ先端部37が排出されている。第2の変種におけるモータ駆動部35は、ねじ棒45と、ポンプピストン7の後側28に取り付けられてポンプピストン7を駆動する運動伝達部41とを備えている。好ましくは、排出アクチュエータ40は、サンプル容積の送出の一番最後の段階(increment)と同時に使い捨てのピペットまたはディスペンサ先端部37を円錐形の受け部36から排出するために、運動伝達部41を介して長手軸3の方向にポンプピストン7を往復駆動するためのモータ駆動部35によって駆動されるように構成される。先端部の排出を助け、排出アクチュエータ40の動きを増幅するために、ロッカーアームレバー50が、運動伝達部41と排出アクチュエータ40との間に有効に接続されて配置される。しかしながら、任意の他の適切な駆動部を、ポンプシリンダ2においてポンプピストン7を往復運動させるために使用することができる。好ましくは、別または同じ電動駆動部が、好ましくは保持ばね(図示されていない)を備える排出アクチュエータ40を駆動するために使用される。
【0048】
図8の実施の形態から、シール部材24の位置が、ポンプシリンダ2の後端34よりもさらにシリンダ底部5から遠い位置においてポンプシリンダ2を封じるような位置であり、この位置が、円筒形部分33によって可能にされていることが、明らかである。とくには、ポンプピストン7の駆動に歯車ラック43が不要である第2の変種によれば、容積型ポンプ1の最大送出量が、ポンプシリンダ2の容積にほぼ等しい。ポンプシリンダ2は、好ましくはステンレス鋼(好都合には、液体の水位の検出のために導電性が望まれる場合)またはポリプロピレンなどのポリマー材料から製造される。ポンプピストン7は、好ましくはステンレス鋼から製造され、ピストンスリーブ14は、好ましくはTeflon(登録商標)(DuPont,Wilmington,USA)から製造される。シール部材24は、好ましくはネオプレンなどの不活性ゴムから作られる。
【0049】
一般に、ピストンスリーブ14は、たとえ容積型ポンプ1の組み立ての際にポンプシリンダ2の後端34からポンプシリンダ2へと押し込まれるインサートとして実現される場合でも、シリンダ壁4の一部であると考えられる。好ましくは、容積型ポンプ1は、好都合にはサンプル液体との混和性を有しない気体(空気または窒素ガス)を圧縮し、さらには/あるいは膨張させるために使用される。次いで、この気体が、好ましくは使用されるピペットまたはディスペンサ先端部37の容積以下である或る量の液体サンプルを押し出し(送出し)、あるいは吸引するために使用される。このようにして、容積型ポンプ1は、最も好ましくは、空気を出し入れするポンプとして実現および利用される。
【0050】
例えばOリング、リップシール、またはこれらの組み合わせの形態であるシール部材24に加えて、液体シールまたはグランド(gland)流体シール(例えば、IVEK CORP.,North Springfield,Vermont 05150,USA)を設けることも考えられる。そのような液体シールが、シリンダを周囲に対して封じるためにポンプピストン7とシリンダ壁4との間に(単独または上述のシール部材24のいずれかとの組み合わせにおいて)選択される場合、容積型ポンプ1は、液体を出し入れするポンプとして好ましく実現および利用される。
【0051】
同じ参照番号は、たとえすべての場合において参照番号が図面に示されていなくても、あるいは明細書において個別に説明されていなくても、同じ特徴を指し示している。本発明による容積型ポンプ1の本明細書に開示の実施の形態について、容積型ポンプの製造の当業者にとって妥当なあらゆる組み合わせが、本発明に包含される。
【符号の説明】
【0052】
1 容積型ポンプ
2 ポンプシリンダ
3 長手軸
4 シリンダ壁
5 シリンダ底部
6 シリンダ出口
7 ポンプピストン
8 ピストン前部
9 シリンダ空間
10 圧力センサ
11 4の開口
11’ 7の開口
12 圧力チャネル
13 12の主たる部分
14 ピストンスリーブ
15 14の溝
16 7の側面の平坦部
17 7の側面の溝
18 7の側面
19 小径部
20 14の外面のアンダーカット部
21 14の外面のテーパ部
22 14の外面
23 4の溝
24 シール部材
25 貫通穴
26 後部開口
27 7の後端
28 7の後側
29 内腔
30 4の内表面
31 横チャネル
32、32’ 凹所
33 円筒形部分
34 2の後端
35 モータ駆動部
36 円錐形の受け部
37 使い捨てのピペットまたはディスペンサ先端部
38 排出管
39 フランジ
40 排出アクチュエータ
41 運動伝達部
42 Oリング
43 歯車ラック
44 歯車
45 ねじ棒
46 押しねじ
47 前部プレート
48 ピストン棒
49 入り口スリット
50 ロッカーアームレバー
51 ケーシング
52 案内ブシュ
53 52の穴、切り欠き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手軸(3)と、長手軸(3)に平行に延びるシリンダ壁(4)と、長手軸(3)に実質的に垂直に広がるシリンダ底部(5)と、シリンダ底部(5)またはシリンダ底部(5)の近くに位置するシリンダ出口(6)とを有するポンプシリンダ(2)、
ポンプシリンダ(2)の内側を長手軸(3)の方向に往復移動することができるピストン前部(8)を有するポンプピストン(7)、
ポンプシリンダ(2)の内部に位置し、シリンダ壁(4)と、シリンダ底部(5)と、ピストン前部(8)とによって画定されるシリンダ空間(9)、
シリンダ壁(4)の開口(11)に位置し、あるいはシリンダ壁(4)の開口(11)の外側に位置し、シリンダ空間(9)の圧力を検出する圧力センサ(10)、および
主たる部分(13)をポンプシリンダ(2)の長手軸(3)に平行に延在させており、シリンダ空間(9)と圧力センサ(10)との間に流体接続をもたらす圧力チャネル(12)
を備えている容積型ポンプ(1)であって、
シリンダ壁(4)が、ピストンスリーブ(14)を備えており、該ピストンスリーブ(14)が、シリンダ壁(4)の内側に位置するとともに、シリンダ底部(5)までポンプシリンダ(2)の実質的に全長にわたって延びており、
圧力チャネル(12)の主たる部分(13)が、ピストンスリーブ(14)を備えるシリンダ壁(4)に位置することで、ピストンスリーブ(14)が、ポンプピストン(7)が圧力センサ(10)の位置を過ぎて移動するときに圧力センサ(10)またはシリンダ壁(4)の内表面(30)に触れる、あるいは圧力センサ(10)またはシリンダ壁(4)の内表面(30)を危険にさらすことを防止する容積型ポンプ(1)。
【請求項2】
シリンダ壁(4)の開口(11)が、シリンダ壁(4)の貫通穴(25)として実現され、あるいはシリンダ底部(5)の反対側に位置するポンプシリンダ(2)の端部(34)の後部開口(26)として実現されている請求項1に記載の容積型ポンプ(1)。
【請求項3】
圧力チャネル(12)の主たる部分(13)が、ピストンスリーブ(14)の少なくとも1つの溝(15)として実現されている請求項1に記載の容積型ポンプ(1)。
【請求項4】
ピストンスリーブ(14)の少なくとも1つの溝(15)が、ピストンスリーブ(14)の実質的に全長にわたって延びている請求項3に記載の容積型ポンプ(1)。
【請求項5】
圧力チャネル(12)の主たる部分(13)が、ピストンスリーブ(14)の外面(22)のアンダーカット部(20)またはテーパ部(21)として実現されている請求項1に記載の容積型ポンプ(1)。
【請求項6】
圧力チャネル(12)の主たる部分(13)が、シリンダ壁(4)の溝(23)として実現されている請求項1に記載の容積型ポンプ(1)。
【請求項7】
ポンプピストン(7)が、ポンプピストン(7)の周囲に適用され、ポンプピストン(7)と一緒に移動する少なくとも1つの案内ブシュ(52)を備えている請求項1に記載の容積型ポンプ(1)。
【請求項8】
圧力センサ(10)が、開口(11)内に位置しており、シリンダ壁(4)の内表面(30)と同一面に位置し、あるいはシリンダ壁(4)の内表面(30)に対して引っ込められている請求項1に記載の容積型ポンプ(1)。
【請求項9】
圧力センサ(10)が、シリンダ壁(4)の開口(11)の外に位置しており、横チャネル(31)が、圧力センサ(10)を圧力チャネル(12)に流体接続している請求項1に記載の容積型ポンプ(1)。
【請求項10】
シール部材(24)が、ポンプピストン(7)とシリンダ壁(4)またはピストンスリーブ(14)との間に位置している請求項1に記載の容積型ポンプ(1)。
【請求項11】
シール部材(24)が、シリンダ壁(4)、ピストンスリーブ(14)、またはポンプシリンダ(2)の後端(34)に位置する円筒形部分(33)の凹所(32)に捕らえられた固定のシールとして実現されている請求項10に記載の容積型ポンプ(1)。
【請求項12】
シール部材(24)が、ポンプピストン(7)の凹所(32’)に捕らえられた運動シールとして実現されている請求項10に記載の容積型ポンプ(1)。
【請求項13】
ポンプピストン(7)を長手軸(3)の方向に往復駆動するためのモータ駆動部(35)を備えている請求項1に記載の容積型ポンプ(1)。
【請求項14】
使い捨てのピペットまたはディスペンサ先端部(37)を受けるための円錐形の受け部(36)を備えている請求項1に記載の容積型ポンプ(1)。
【請求項15】
使い捨てのピペットまたはディスペンサ先端部(37)を円錐形の受け部(36)から排出するための排出管(38)を備えている請求項14に記載の容積型ポンプ(1)。
【請求項16】
排出管(38)が、排出アクチュエータ(40)と当接するフランジ(39)を備えている請求項15に記載の容積型ポンプ(1)。
【請求項17】
排出アクチュエータ(40)は、サンプル容積の送出の一番最後の段階と同時に使い捨てのピペットまたはディスペンサ先端部(37)を円錐形の受け部(36)から排出するために、運動伝達部(41)を介して長手軸(3)の方向にポンプピストン(7)を往復駆動するためのモータ駆動部(35)によって駆動されるように構成されている請求項16に記載の容積型ポンプ(1)。
【請求項18】
液体サンプルを採取し、さらには/あるいは液体サンプルを配置するように実現された液体取り扱いロボットであって、請求項1に記載の容積型ポンプ(1)を1つまたは複数配置して備えている液体取り扱いロボット。
【請求項19】
容積型ポンプ(1)を複数配置して備えている請求項18に記載の液体取り扱いロボットを備えている液体取り扱い作業ステーションであって、
複数の容積型ポンプ(1)の配置が、実質的に水平かつX軸に対して直角に延びるY軸上に配置された複数のピペットまたはディスペンサ先端部(37)を受け入れるように実現されており、X軸は、当該液体取り扱い作業ステーションに沿った液体取り扱いロボットの移動方向である液体取り扱い作業ステーション。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−149937(P2011−149937A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−1661(P2011−1661)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(501442699)テカン・トレーディング・アクチェンゲゼルシャフト (26)
【氏名又は名称原語表記】TECAN Trading AG
【Fターム(参考)】