説明

圧力センサモジュール

【課題】温度補償型の圧力センサモジュールにおいて、温度測定部および温度補償部を備えた温度補償装置と、圧力検出部を備えた圧力センサ装置とが互いに別々の半導体基板に形成された場合であっても、温度測定部が圧力センサ装置の温度を正確に測定することができ、適切に温度補償された圧力値を出力することが可能な圧力センサモジュールを提供する。
【解決手段】本発明の圧力センサモジュールは、圧力を検出する圧力検出部を有する圧力センサ装置と、温度測定部を有し前記温度測定部の出力値に基づいて前記圧力センサ装置の出力値を補償する温度補償装置と、を少なくとも備えてなる圧力センサモジュールであって、前記圧力センサ装置は、前記温度補償装置の前記温度測定部と重なる領域に配置されていること、を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度補償型の圧力センサモジュールに係る。より詳細には、温度測定部および温度補償部を備えた温度補償装置と、圧力検出部を備えた圧力センサ装置とが互いに別々の半導体基板に形成された構成においても、温度測定部が圧力センサ装置の温度を正確に測定し、適切に温度補償された圧力値を出力可能な温度補償型の圧力センサモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
温度補償型の圧力センサモジュールは、実装基板上に搭載された圧力センサ装置と温度補償装置とを備えており、金属ワイヤや実装基板に形成された表面配線を通じて互いに接続されている。これらの半導体装置はカバー部材によって覆われており、カバー部材と実装基板とで囲まれた空間に収納されている。カバー部材には、外部の圧力変化を、モジュールの内部へ導入するための圧力導入孔が設けられている。
圧力センサ装置の一面側には、圧力が加わると撓むダイアフラムと、その撓み量に応じて抵抗値が変化するゲージ抵抗が形成されている。この抵抗値の変化を電気信号として取り出すことにより、ダイアフラムに加わった圧力(大気圧)を計測することができる。温度補償装置には、周辺環境の温度を測定する温度測定部と、測定した温度に基づいて圧力センサ装置の出力値を補償する温度補償部とが形成されている。(例えば、特許文献1,特許文献2参照)。
【0003】
しかしながら、従来の温度補償型の圧力センサモジュールでは、ダイアフラムやゲージ抵抗が形成された圧力センサ装置の一面側(圧力検出部)と、温度補償装置に形成された温度測定部とが互いに離れて配置されている。このため、温度測定部が測定する温度は、圧力センサ装置の温度を正確に測定することが困難である。例えば、圧力導入孔の近傍に配置された半導体素子は、圧力導入孔を通して流入する外気に直接曝されるため、モジュールの外の影響を受けて温度が変化し易い。一方、圧力導入孔から離れた位置にある半導体装置は、圧力導入孔の近傍とは違って温度の変化が小さい。このように、圧力センサモジュールの内部において温度が不均一となることがあるため、温度測定部によって測定された温度が、必ずしも圧力センサ装置の正確な温度ではなかった。したがって、従来の圧力センサモジュールは、高精度な温度補償が困難であり、結果として正確な圧力値を出力することができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−178133号公報
【特許文献2】特開2002−340714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて考案されたものであり、温度補償型の圧力センサモジュールにおいて、温度測定部を備えた温度補償装置と圧力センサ装置とが、別々の半導体基板に形成されていたとしても、温度測定部が圧力センサ装置の温度を正確に測定することができ、ひいては温度補償が適切に行われ、正確な圧力値を出力することが可能な圧力センサモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の圧力センサモジュールは、圧力を検出する圧力検出部を有する圧力センサ装置と、温度測定部を有し前記温度測定部の出力値に基づいて前記圧力センサ装置の出力値を補償する温度補償装置と、を少なくとも備えてなる圧力センサモジュールであって、前記圧力センサ装置は、前記温度補償装置の前記温度測定部と重なる領域に配置されていること、を特徴とする。
(請求項1発明の作用・効果)
第一の発明の圧力センサモジュールによれば、圧力センサ装置が、温度補償装置の温度測定部と重なる領域に配置されている。圧力センサ装置と温度測定部とを近接して配置することで、温度測定部は、従来よりも圧力センサ装置の温度を正確に測定することが可能となり、ひいては圧力センサ装置の出力値を高精度に温度補償することができる。その結果、正確な圧力値を出力することが可能な圧力センサモジュールを提供することができる。
本発明の請求項2に記載の圧力センサモジュールは、請求項1において、前記圧力センサ装置は、前記温度測定部と伝熱性の接合層を介して配置されていることを特徴とする。
(請求項2発明の作用・効果)
第二の発明の圧力センサモジュールによれば、圧力センサ装置が、伝熱性の接合層を介して温度測定部と重なる領域に配置されているため、圧力センサ装置の温度が温度測定部に伝わり易い。したがって、温度測定部は、圧力センサ装置の温度を正確に測定することができる。
本発明の請求項3に記載の圧力センサモジュールは、請求項1又は2において、前記圧力センサ装置は、半導体基板の一面側に形成された圧力検出部と、前記半導体基板の一面側から他面まで貫通する貫通伝熱路とを有し、前記半導体基板の一面側と前記温度測定部とが、前記貫通伝熱路を通じて熱的に接続されていることを特徴とする。
(請求項3発明の作用・効果)
第三の発明の圧力センサモジュールによれば、半導体基板の一面側から他面まで貫通する貫通伝熱路が形成されており、半導体基板の一面側と温度測定部とが貫通電熱路を通じて熱的に接続されている。このため、半導体基板の一面側の温度が温度測定部に伝わり易い。したがって、温度測定部は、圧力センサ装置の温度を正確に測定することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の圧力センサモジュールは、圧力センサ装置が、温度補償装置が有する温度測定部と重なる領域に配置されている。圧力センサ装置と温度測定部とを近接して配置することで、温度測定部は、従来よりも圧力センサ装置が有する圧力検出部の温度を正確に測定することが可能となり、ひいては圧力センサ装置の出力値を高精度に温度補償することができる。その結果、本発明では、正確な圧力値を出力することが可能な圧力センサモジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施形態の圧力センサモジュールを示す模式図であり、(a)は要部断面側面図を、(b)は平面図を表す。
【図2】感圧素子(ゲージ抵抗)の電気的な配線図である。
【図3】本発明の第2実施形態の圧力センサモジュールを示す模式図であり、(a)は要部断面側面図を、(b)は平面図を表す。
【図4】本発明の第3実施形態の圧力センサモジュールの要部断面側面図である。
【図5】本発明の第4実施形態の圧力センサモジュールの要部断面側面図である。
【図6】本発明の第5実施形態の圧力センサモジュールの要部断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る圧力センサモジュールの好ましい実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
<第1実施形態>
以下、本発明の第一実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態の圧力センサモジュール1A(1)の一構成例を示す模式図であり、図1(a)は断面側面図、図1(b)は平面図である。
この圧力センサモジュール1A(1)は、圧力を検出する圧力検出部を有する圧力センサ装置10と、温度測定部22を有し前記温度測定部22の出力値に基づいて前記圧力センサ装置10の出力値を温度補償する機能を備えた温度補償装置20と、を少なくとも備えてなる。
【0011】
圧力センサモジュール1A(1)を構成する圧力センサ装置10は、平板状の半導体基板11を基材とし、この半導体基板11の一面11a側に圧力を検出する圧力検出部が形成されている。この圧力検出部は、半導体基板11の一面11aの中央域αにおいて、その板厚方向の内部に該一面11aと略平行して広がる空間12(基準圧力室)と、該空間12の上部に位置する薄板化されたダイアフラム13と、を備えている。また、ダイアフラム13の外縁には複数のゲージ抵抗14が配置されている。さらに、前記一面11aにおいて、前記ダイアフラム13を除いた外縁域βには、ゲージ抵抗14と電気的に接続された第一接続パッド16が配置されている。
【0012】
第一接続パッド16は複数配されており、第一接続パッド16同士は、パッド間接続線17を介して互いに接続されている。そのため、第一接続パッド16同士は、ゲージ抵抗14およびパッド間接続線17を介して互いに接続された構造となっている。
【0013】
なお、図示のように、一面11aの第一接続パッド16を除いた領域は、パッシベーション膜、例えば、窒化膜、酸化膜のような薄い絶縁層15によって覆われる形態が好ましい。絶縁層15を設けることにより、ダイアフラム13やゲージ抵抗14が絶縁層15によって被覆された構成が得られる。これにより、ダイアフラム13やゲージ抵抗14を、異物や汚染物質から防御することができる。
【0014】
半導体基板11の一面11aには、感圧素子として機能するゲージ抵抗14(R1〜R4)が配置される。各ゲージ抵抗(R1〜R4)は、不図示のリード配線等を介して、ホイートストーンブリッジ(図3)を構成するように電気的に接続されている。このようなゲージ抵抗14は、ダイアフラム13の周縁部に配置することが好ましい。周縁部においてはダイアフラム13が変形した際に、圧縮と引張の両応力がゲージ抵抗14に加わりやすいので、感度のよい圧力センサが得られるからである。
【0015】
一方、圧力センサモジュール1A(1)を構成する温度補償装置20は、平板状の半導体基板21を基材とし、この半導体基板21の一面21a上に温度測定部22が配され、温度測定部22を除く領域にデバイス層23が配されている。デバイス層23は、記憶や演算など様々な機能を担う集積回路である。
また、半導体基板21の一面21aにおいて、前記温度測定部22及びデバイス層23を被覆するように、デバイス保護層24が配されている。
さらにデバイス保護層24上に第二接続パッド25が設けられ、圧力センサ装置の第一接続パッド16と、温度補償装置の第二接続パッド25とは、接続線26により電気的に接続されている。
【0016】
そして、特に本発明の圧力センサモジュール1A(1)では、前記温度測定部22が形成されている領域γと重なる領域に、前記圧力センサ装置10が配置されていること、を特徴とする。
本発明の圧力センサモジュール1A(1)では、温度測定部22が形成されている領域γと重なる領域に、前記圧力センサ装置10が配置されている。圧力センサ装置10と温度測定部22(領域γ)とを近接して配置することで効果的に伝熱がなされ、前記温度測定部22は、従来よりも圧力センサ装置10の温度を正確に測定することができ、ひいては温度補償が適切に行われる。その結果、本発明の圧力センサモジュール1A(1)では、正確な圧力値を出力することが可能である。
【0017】
温度補償装置20の上に、接着剤からなる接着層30を介して、圧力センサ装置10が配置されている。また、第一接続パッド16および第二接続パッド25は、それぞれ圧力センサ装置10上、デバイス保護層24上に形成されており、かつ、接続線26を介して電気的に接続されている。
【0018】
さらに、本実施形態の圧力センサモジュール1A(1)では、前記半導体基板11を貫通して貫通伝熱路40が形成されており、圧力センサ装置10の一面11a側と温度測定部22の上部とが貫通伝熱路40を介して熱的に接続されている。すなわち、本実施形態の圧力センサモジュール1A(1)では、この貫通伝熱路40が、圧力センサ装置の一面11a側に形成された圧力検出部の温度を、温度補償装置20に形成された温度測定部22へ伝える伝熱路である。
【0019】
貫通伝熱路40は、半導体基板11を一面11aから他面11bにかけて貫通するように形成されている。貫通伝熱路40の一方の端部(図中上側)は配線パッド41と、他方の端部(図中下側)はデバイス保護層24とそれぞれ接続されている。貫通伝熱路40は熱伝導性の良好な金属、例えば、銀、銅、アルミ、およびそれらの合金が充填されてなる。
これにより温度測定部22は、従来よりも圧力センサ装置10(特にダイアフラム部13やゲージ抵抗14の近傍)の温度を正確に測定することができ、ひいては温度補償が適切に行われる。その結果、圧力センサモジュール1A(1)では、正確な圧力値を出力することが可能である。
なお、貫通伝熱路40とデバイス保護層24とは電気的に絶縁されているため、貫通伝熱路40と温度補償装置20は電気的に絶縁されている。
【0020】
<第2実施形態>
次に、本発明の圧力センサモジュールの第2実施形態について説明する。
なお、以下の説明では、上述した第一実施形態と異なる部分について主に説明し、第一実施形態と同様の部分については、その説明を省略する。
図3は、本実施形態の圧力センサモジュール1B(1)の一構成例を示す模式図であり、図3(a)は断面側面図、図3(b)は平面図である。
【0021】
この圧力センサモジュール1B(1)は、第二の伝熱路をさらに備え、該第二の伝熱路は、その一端が前記貫通伝熱路40の一面11a側に位置する端部に接続され、他端が前記圧力センサ装置10を構成するゲージ抵抗Rの信号ラインの一部に接続されていること、を特徴とする。
ゲージ抵抗Rの上面に絶縁層15を介してゲージ抵抗被覆パッド50が形成されており、配線パッド41とゲージ抵抗被覆パッド50が、第二の伝熱路として表面接続配線51を介して接続されている。
【0022】
そして、ゲージ抵抗被覆パッド50と表面接続配線51は、熱伝導性の良好な金属、例えば、銀、銅、アルミ、およびそれらの合金から形成されている。これにより、貫通伝熱路40とゲージ抵抗Rとを、熱伝導性の良好な金属を介して接続することが可能となる。
これにより圧力センサモジュール1B(1)において、圧力センサ装置10と温度測定部22との間でより効果的に伝熱がなされ、前記温度測定部22は、圧力センサ装置10(特にダイアフラム部13およびゲージ抵抗14の近傍)の温度をより正確に測定することができ、ひいては温度補償が適切に行われる。その結果、本実施形態の圧力センサモジュール1B(1)では、より正確な圧力値を出力することが可能となる。
【0023】
<第3実施形態>
次に、本発明の圧力センサモジュールの第3実施形態について説明する。
なお、以下の説明では、上述した第一実施形態と異なる部分について主に説明し、第一実施形態と同様の部分については、その説明を省略する。
図4は、本実施形態の圧力センサモジュール1C(1)の一構成例を模式的に示す断面側面図である。
【0024】
この圧力センサモジュール1C(1)は、半導体基板11の他面11b側と、温度測定部との間に、該半導体基板11の他面11b側と該温度測定部22とを熱的に接続する接合部が配されている。
本実施形態の圧力センサモジュール1C(1)では、温度測定部22を被覆するように、デバイス保護層24の上面に、半導体基板11の他面11b側と温度測定部22とを熱的に接続する接合部として金属薄膜層60が形成されている。
【0025】
金属薄膜層60は、熱伝導性の良好な金属、例えば、銀、銅、アルミ、およびそれらの合金から形成されている。あるいは、熱伝導性に優れる樹脂製の伝熱フィルムから形成されていても良い。これにより、貫通伝熱路40から伝わる熱を、熱伝導性の良好な金属薄膜層60を介して、温度測定部22が形成された領域γにおいて均一に伝熱することが可能となる。
これにより圧力センサモジュール1C(1)において、圧力センサ装置10と温度測定部22との間でより正確に伝熱がなされ、前記温度測定部22は、圧力センサ装置10(特にダイアフラム部13およびゲージ抵抗14の近傍)の温度をより正確に測定することができ、ひいては温度補償が適切に行われる。その結果、本実施形態の圧力センサモジュール1C(1)では、より正確な圧力値を出力することが可能となる。
【0026】
なお、金属薄膜層60の形成方法としては特に限定されるものではないが、層の厚さをより均一に制御可能な、金属スパッタ法などを用いることが好ましい。
また、金属薄膜層60の厚みとしては特に限定されるものではないが、例えば0.5μm〜5μmとすることが好ましい。
【0027】
<第4実施形態>
次に、本発明の圧力センサモジュールの第4実施形態について説明する。
なお、以下の説明では、上述した第一実施形態と異なる部分について主に説明し、第一実施形態と同様の部分については、その説明を省略する。
図5は、本実施形態の圧力センサモジュール1D(1)の一構成例を模式的に示す断面側面図である。
【0028】
この圧力センサモジュール1D(1)は、前記半導体基板11の他面11b側と前記温度センサ領域γとの間に、該半導体基板11の他面11b側と該温度センサ領域γとを熱的に接続する接合部が配されている。
上述した第3実施形態の圧力センサモジュール1C(1)では、接合部として金属薄膜層60が配されていたが、本実施形態の圧力センサモジュール1D(1)では、温度センサ部22(温度センサ領域γ)を被覆するように、デバイス保護層24の上面に、半導体基板11の他面側と温度センサ領域γとを熱的に接続する接合部として金属接合層70が形成されている。
【0029】
金属接合層70は、熱伝導性の良好な金属、例えば、銀、銅、アルミ、およびそれらの合金、もしくはデバイス保護層との密着性が良好な金属、例えば、クロム、チタン、ニッケル、およびそれらの合金から形成されている。金属接合層70は、金属粒子を含有したペーストを印刷する印刷法や、スパッタリング法、めっき法等を用いて形成することができる。これにより、貫通配線40から伝わる熱を、熱伝導性の良好な金属接合層70を介して、温度センサ部22(領域γ)により均一に伝熱することが可能となる。
これにより圧力センサモジュール1D(1)において、圧力センサ部10と温度センサ部22との間でより正確に伝熱がなされ、前記温度センサ部22は、圧力センサ部10(特にダイアフラム部13近傍)の温度をより正確に測定することができ、ひいては温度補正が適切に行われる。その結果、本実施形態の圧力センサモジュール1D(1)では、より正確な圧力値を出力することが可能となる。
【0030】
さらに、本実施形態の圧力センサモジュール1D(1)では、金属ペースト層70にデバイス保護層24との密着性が良好な金属を用いることで接着層30が不要になる。これにより第3実施形態の圧力センサモジュール1C(1)に比べても、貫通配線40からの温度センサ部22(領域γ)への伝熱をより確実にすることができ、本発明の効果をより強固なものとすることができる。
【0031】
なお、金属ペースト層70の形成方法としては特に限定されるものではないが、例えばペースト印刷法など、ごく一般的な方法を用いることができる。金属ペーストを用いることで、第3実施形態の圧力センサモジュール1C(1)に比べて容易に製造することができる。
また、金属ペースト層70の厚みとしては特に限定されるものではないが、例えば金属粒子を含有したペーストを印刷して形成した場合は10μm〜100μm、スパッタリング法を用いて形成した場合は100nm〜3μm、めっき法を用いて形成した場合は1μm〜30μmとすることが好ましい。
【0032】
<第5実施形態>
次に、本発明の圧力センサモジュールの第5実施形態について説明する。
なお、以下の説明では、上述した第一実施形態と異なる部分について主に説明し、第一実施形態と同様の部分については、その説明を省略する。
図6は、本実施形態の圧力センサモジュール1E(1)の一構成例を模式的に示す断面側面図である。
【0033】
上述した第1乃至第4実施形態では、貫通伝熱路40を介してダイアフラム13やゲージ抵抗14の近傍の温度を前記温度測定部22へと伝えていたが、本実施形態の圧力センサモジュール1E(1)では、貫通伝熱路ではなく、半導体基板11の側面11cに沿って側面伝熱路80が形成されており、圧力センサ装置10の一面11a側と温度測定部22の上部が側面伝熱路80を介して熱的に接合されている。すなわち、本実施形態の圧力センサモジュール1E(1)では、この側面伝熱路80が、前記ダイアフラム13およびゲージ抵抗14の近傍の温度を前記温度測定部22へ伝える伝熱路である。
【0034】
側面伝熱路80は、半導体基板11の一面11aの一部を被覆し、半導体基板11の側面11c、及び半導体基板11の他面11bの一部を被覆して形成されており、側面伝熱路80の一方の端部(図中上側)は電極パッド41と、他方の端部(図中下側)はデバイス保護層24とそれぞれ接続されている。
側面伝熱路80は熱伝導性の良好な金属、例えば、銀、銅、アルミ、およびそれらの合金からなる。
これにより温度測定部22は、従来よりも圧力センサ装置10(特にダイアフラム部13およびゲージ抵抗14の近傍)の温度を正確に測定することができ、ひいては温度補償が適切に行われる。その結果、圧力センサモジュール1E(1)では、正確な圧力値を出力することが可能である。
【0035】
以上、本発明の圧力センサモジュールについて説明してきたが、本発明は上述した例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述した実施形態は例示であって、仕様等によりゲージ抵抗又はリード抵抗等の配置が変わっても良いことは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、温度補償型の圧力センサモジュールに広く適用可能である。
【符号の説明】
【0037】
1A〜1E(1) 圧力センサモジュール、10 圧力センサ装置、11 半導体基板、12 空間(基準圧力室)、13 ダイアフラム、14 ゲージ抵抗、15 絶縁層、16 第一接続パッド、17 パッド間接続線、20 温度補償装置、21 半導体基板、22 温度測定部、23 デバイス層、24 デバイス保護層、25 第二接続パッド、26 接続線、30 接着層、40 貫通伝熱路、50 ゲージ抵抗被覆パッド、51 表面接続配線、60 金属薄膜層、70金属ペースト層、80 側面伝熱路、γ 温度測定部領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力を検出する圧力検出部を有する圧力センサ装置と、温度測定部を有し前記温度測定部の出力値に基づいて前記圧力センサ装置の出力値を補償する温度補償装置と、を少なくとも備えてなる圧力センサモジュールであって、
前記圧力センサ装置は、前記温度補償装置の前記温度測定部と重なる領域に配置されていること、を特徴とする圧力センサモジュール。
【請求項2】
前記圧力センサ装置は、前記温度測定部と伝熱性の接合層を介して配置されていることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサモジュール。
【請求項3】
前記圧力センサ装置は、半導体基板の一面側に形成された圧力検出部と、前記半導体基板の一面側から他面まで貫通する貫通伝熱路とを有し、前記半導体基板の一面側と前記温度測定部とが、前記貫通伝熱路を通じて熱的に接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の圧力センサモジュール。
【請求項4】
第二の伝熱路をさらに備え、該第二の伝熱路は、その一端が前記貫通伝熱路の一面側に位置する端部に接続され、他端が前記圧力検出部を構成するゲージ抵抗の信号ラインの一部に接続されていること、を特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の圧力センサモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−113774(P2013−113774A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262012(P2011−262012)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】