圧力交換装置、圧力交換ユニット、及び圧力交換装置の点検方法
【課題】保守点検作業が極めて容易な圧力交換ユニットを提供する。
【解決手段】圧力交換前の第1流体を供給する第1流体供給管61、圧力交換後の第1流体を回収する第1流体回収管64、圧力交換前の第2流体を供給する第2流体供給管63、及び圧力交換後の第2流体を回収する第2流体回収管62が互いに並列に配置され、各回収管62,64及び各供給管61,63と接続する第1流体流入口と第1流体流出口と第2流体流入口と第2流体流出口を一端側に備え、他端側に圧力交換部50が挿脱自在に構成されている圧力交換装置10が、回収管または供給管に沿って複数台配列され、当該接続状態で圧力交換装置の他端側から圧力交換部50が挿脱自在に配置されている。
【解決手段】圧力交換前の第1流体を供給する第1流体供給管61、圧力交換後の第1流体を回収する第1流体回収管64、圧力交換前の第2流体を供給する第2流体供給管63、及び圧力交換後の第2流体を回収する第2流体回収管62が互いに並列に配置され、各回収管62,64及び各供給管61,63と接続する第1流体流入口と第1流体流出口と第2流体流入口と第2流体流出口を一端側に備え、他端側に圧力交換部50が挿脱自在に構成されている圧力交換装置10が、回収管または供給管に沿って複数台配列され、当該接続状態で圧力交換装置の他端側から圧力交換部50が挿脱自在に配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1流体と第2流体との間で圧力を交換する圧力交換装置、圧力交換ユニット、及び圧力交換装置の点検方法に関する。
【背景技術】
【0002】
逆浸透膜装置を用いる海水淡水化施設では、逆浸透膜装置から排水される高圧濃縮流体である高圧濃縮海水がもつ余剰圧力を、逆浸透膜装置に給水される被濃縮流体である低圧海水の昇圧に利用する圧力交換装置が設けられている。
【0003】
図19に示すように、特許文献1には、管状の圧力伝達部が回転軸心周りに複数本配設されたロータ85を備えた圧力交換装置80が記載されている。
【0004】
該圧力交換装置80は、ロータ85の回転に伴って、高圧入口側ポート82へ供給される高圧濃縮海水と低圧入口側ポート81へ供給される低圧海水とを圧力伝達部で接触させて、高圧濃縮海水の圧力によって昇圧した低圧海水を、高圧出口側ポート83から高圧海水として排水し、低圧入口側ポート81へ供給される低圧海水によって前記圧力を伝達し終えた低圧濃縮海水を低圧出口側ポート84から排水するように構成されている。
【0005】
図20(a),(b)には、このような圧力交換装置80の複数台が組み込まれた圧力交換ユニット90が示されている。圧力交換ユニット90は、圧力交換前の高圧流体を供給する高圧流体供給ヘッダー管91、圧力交換後の低圧流体を回収する低圧流体回収ヘッダー管92、圧力交換前の低圧流体を供給する低圧流体供給ヘッダー管93、及び圧力交換後の高圧流体を回収する高圧流体回収ヘッダー管94が互いに軸心が平行姿勢で配置され、各ヘッダー管91,92,93,94に沿って複数台の圧力交換装置80が縦姿勢でラックに支持され、各圧力交換装置80の高圧入口側ポート82、低圧出口側ポート84、低圧入口側ポート81、及び高圧出口側ポート83のそれぞれが、ジョイント機構を介して高圧流体供給ヘッダー管91、低圧流体回収ヘッダー管92、低圧流体供給ヘッダー管93、及び高圧流体回収ヘッダー管94と接続されている。
【0006】
大量の海水を淡水化処理する大型の海水淡水化施設の圧力交換ユニットには、多数の圧力交換装置が組み込まれており、このような圧力交換装置は、定期的に保守点検作業を行う必要がある。その際には圧力交換装置と各ヘッダー管とのジョイント機構を各々取り外した後に、圧力交換装置をチェーンブロック等の揚重装置で支持しながらラックから離脱し、その後人手で分解して点検清掃するという作業が必要で、更に点検清掃後には、逆の手順で圧力交換装置を組み立てて、ラックに収容し、さらに圧力交換装置と各ヘッダー管とを連結する作業が必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009180903号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような圧力交換装置は、通常70〜80kgの重量物であり、圧力交換ユニットから圧力交換装置を取り外して点検清掃し、再度圧力交換ユニットに組み付ける作業は非常に煩雑で手間が掛かるという問題があった。
【0009】
本発明の目的は、保守点検作業が極めて容易な圧力交換装置、圧力交換ユニット、及び圧力交換装置の点検方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するため、本発明による圧力交換装置の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載したとおり、第1流体と第2流体との間で圧力を交換する圧力交換装置であって、一端側から第1流体が流入及び流出する第1流路と前記一端側から第2流体が流入及び流出する第2流路とが配設された圧力伝達部と、第1流体を前記第1流路に案内する第1流体流入路と、第1流体との間で圧力交換された第2流体を前記第2流路から案内する第2流体流出路と、第2流体を前記第2流路に案内する第2流体流入路と、第2流体との間で圧力交換された第1流体を前記第1流路から案内する第1流体流出路とが形成され、前記圧力伝達部の一端側に設けられた第1側方部材と、前記圧力伝達部の他端側に設けられた第2側方部材と、で圧力交換部が形成され、第1流体及び第2流体を供給または排出する第1流体流入口と第1流体流出口と第2流体流入口と第2流体流出口とを備えた第1エンドカバーを前記第1側方部材に隣接して備え、前記第2側方部材側から前記圧力交換部が挿脱自在に構成されている点にある。
【0011】
上述の構成によれば、第1エンドカバーに形成した第1流体流入口と第1流体流出口と第2流体流入口と第2流体流出口を介して外部との間で第一流体及び第二流体の供給または回収を行なうように構成できるので、圧力交換装置を保守点検する際に、外部との間で第一流体及び第二流体の供給または回収を行なうための配管を取り外すことなく、第2側方部材側から内部に収容された圧力交換部を離脱させることができ、極めて容易に保守作業を行うことができる。
【0012】
本発明による圧力交換装置の第二の特徴構成は、同請求項2に記載したとおり、上述の第一特徴構成に加えて、前記圧力伝達部は前記第1流路と第2流路が回転軸心周りに貫通して配設された回転体であり、前記第1側方部材の第1流体流入路と第2流体流出路と第2流体流入路と第1流体流出路とが厚み方向に形成され、前記圧力伝達部は保持部材を介して前記第1側方部材と前記第2側方部材との間で回転可能に挟持されて前記圧力交換部を構成し、前記圧力交換部は一端側に前記第1エンドカバーと他端側に第2エンドカバーとを備えたケーシングに収容されている点にある。
【0013】
上述の構成によれば、ケーシングから第2エンドカバーを取り外すことにより、ケーシングから圧力交換部を離脱させることができる。
【0014】
本発明による圧力交換ユニットの第一の特徴構成は、同請求項3に記載したとおり、圧力交換前の第1流体を供給する第1流体供給管、圧力交換後の第1流体を回収する第1流体回収管、圧力交換前の第2流体を供給する第2流体供給管、及び圧力交換後の第2流体を回収する第2流体回収管が互いに並列に配置され、各回収管及び各供給管と接続する第1流体流入口と第1流体流出口と第2流体流入口と第2流体流出口を一端側に備え、他端側に圧力交換部が挿脱自在に構成されている圧力交換装置が、前記回収管または供給管に沿って複数台配列され、当該接続状態で前記圧力交換装置の他端側から圧力交換部が挿脱自在に配置されている点にある。
【0015】
第1流体流入口、第1流体流出口、第2流体流入口、及び第2流体流出口のそれぞれが各回収管及び各供給管に接続された状態で、圧力交換装置の他端側から圧力交換部が挿脱自在に、つまり、圧力交換部を離脱させるときに干渉するような部材がないように圧力交換装置が配置されているので、圧力交換装置の他端側から圧力交換部を容易に離脱させることができ、極めて容易に保守作業を行うことができる。
【0016】
本発明による圧力交換ユニットの第二の特徴構成は、同請求項4に記載したとおり、上述の第一特徴構成に加えて、前記第1流体供給管、前記第1流体回収管、前記第2流体供給管、及び前記第2流体回収管が横姿勢で配置され、各圧力交換装置の圧力交換部が縦方向に挿脱自在に配置されている点にある。
【0017】
圧力交換部が縦方向に挿脱自在に配置されているため、単に圧力交換装置から圧力交換部を上方または下方に抜き取れば、直ちに圧力交換部の保守点検作業が行える。
【0018】
本発明による圧力交換ユニットの第三の特徴構成は、同請求項5に記載したとおり、上述の第一特徴構成に加えて、前記第1流体供給管、前記第1流体回収管、前記第2流体供給管、及び前記第2流体回収管が縦姿勢で配置され、各圧力交換装置の圧力交換部が横方向に挿脱自在に配置されている点にある。
【0019】
圧力交換部が横方向に挿脱自在に配置されているため、単に圧力交換装置から圧力交換部を横に抜き取れば、直ちに圧力交換部の保守点検作業が行える。
【0020】
本発明による圧力交換装置の点検方法の第一の特徴構成は、同請求項6に記載したとおり、上述の第一から第三の何れかの特徴構成を備えた圧力交換ユニットに取り付けられた圧力交換装置の点検方法であって、圧力交換装置は圧力交換部を収容するケーシングと圧力交換装置の他端側にケーシングを閉止する第2エンドカバーを有して構成され、各供給管及び回収管と、前記第1流体流入口、前記第1流体流入口、前記第2流体流入口、前記第2流体流出口のそれぞれが接続された状態で、前記圧力交換装置の他端側に取り付けられた第2エンドカバーを取り外し、前記圧力交換装置から前記圧力交換部を離脱して、前記圧力交換装置を点検する点にある。
【0021】
上述の構成によれば、ケーシングの他端側に取り付けられた第2エンドカバーを取り外せば、ケーシングから圧力交換部を容易に離脱し、直ちに圧力交換装置の保守点検作業が行なえる。
【0022】
本発明による圧力交換装置の点検方法の第二の特徴構成は、同請求項7に記載したとおり、上述の第一の特徴構成に加えて、前記圧力交換装置は、一端側から第1流体が流入及び流出する第1流路と前記一端側から第2流体が流入及び流出する第2流路とが配設された回転体と、第1流体を前記第1流路に案内する第1流体流入路と、第1流体との間で圧力交換された第2流体を前記第2流路から案内する第2流体流出路と、第2流体を前記第2流路に案内する第2流体流入路と、第2流体との間で圧力交換された第1流体を前記第1流路から案内する第1流体流出路とが形成された第1側方部材と、前記回転体を第1側方部材との間で保持部材を介して挟持する第2側方部材と、前記回転体を貫通し、前記第1側方部材と前記第2側方部材の支持部で支持された支軸とで形成された前記圧力交換部と、前記圧力交換部を収容するケーシングと、前記第1側方部材に隣接して各流入口、流出口を有し、前記ケーシングと連結する第1エンドカバーと、前記第2側方部材に隣接して前記ケーシングと連結する第2エンドカバーと、を有して構成され、各供給管及び回収管と前記第1流体流入口、前記第1流体流入口、前記第2流体流入口、前記第2流体流出口がそれぞれ前記第1エンドカバーに接続された状態で、前記第2エンドカバーを取り外し、前記支軸に備えた装着部に治具を装着し、前記治具により前記ケーシングから前記圧力交換部を離脱して、前記圧力交換装置を点検する点にある。
【0023】
ケーシングの他端側に取り付けられた第2エンドカバーを取り外せば、回転体を貫通し、第1側方部材と第2側方部材の支持部で支持された支軸に対して、第2側方部材側の支持部に備えた装着部が露出するので、当該装着部に治具を装着して筒状ケーシングから圧力交換部を離脱させれば、直ちに圧力交換装置の保守点検作業が行える。例えば、各圧力交換装置の筒状ケーシングに収容された圧力交換部が縦方向に挿脱自在に配置されている場合には、装着部にクレーン牽引治具を装着することにより、容易に圧力交換部を吊り上げることができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したとおり、本発明によれば、保守点検作業が極めて容易な圧力交換装置、圧力交換ユニット、及び圧力交換装置の点検方法を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】海水淡水化施設の概略フロー図
【図2】圧力交換装置を説明する断面図
【図3】圧力交換ユニットの平面図
【図4】圧力交換ユニットの正面図
【図5】圧力交換ユニットの側面図
【図6】(a)は別実施例を示す圧力交換ユニットの平面図、(b)は同正面図
【図7】(a)は別実施例を示す圧力交換ユニットの平面図、(b)は同正面図
【図8】(a)は別実施例を示す圧力交換ユニットの平面図、(b)は同正面図、(c)は同側面図
【図9】(a)は別実施例を示す圧力交換ユニットの平面図、(b)は同正面図
【図10】(a)は別実施例を示す圧力交換ユニットの平面図、(b)は同正面図
【図11】回転体の説明図であって、(a)は正面図、(b)は断面図、(c)は背面図
【図12】第1側方部材の説明図であって(a)は正面図、(b)は断面概略図、(c)は背面図
【図13】第2側方部材の説明図であって、(a)は正面図、(b)は図5(a)のE−E線断面図、(c)は背面図
【図14】(a)は図4(c)に示す第1流体流入路のA−A線断面図、(b)は図4(c)に示す第2流体流出路のB−B線断面図、(c)は図4(c)に示す第2流体流入路のC−C線断面図、(d)は図4(c)に示す第1流体流出路のD−D線断面図
【図15】回転体に形成された各流路と第1側方部材に形成された各流入路及び各流出路の位置を示す説明図
【図16】封止部材の説明図であって、(a)は正面図、(b)は断面概略図、(c)は背面図
【図17】別実施形態を示す圧力交換ユニットの平面図
【図18】別実施形態を示す圧力交換装置の断面図
【図19】従来の圧力交換装置の説明図
【図20】(a)は従来の圧力交換ユニットの斜視図、(b)は同正面図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明による圧力交換装置、圧力交換ユニット、及び圧力交換装置の点検方法を図面に基づいて説明する。
【0027】
図1に示すように、海水淡水化施設は、海水中の夾雑物を取り除く前処理部1と、前処理部1で前処理された海水を貯留するろ過海水槽2と、ろ過海水槽2に貯留された海水を保安フィルターに供給する供給ポンプ3と、逆浸透膜装置6の詰まりを防止するため海水中の微細な異物を除去する保安フィルター4と、保安フィルター4を通過した海水を昇圧する高圧ポンプ5と、昇圧された海水が供給される逆浸透膜装置6を備えている。逆浸透膜装置6によって海水中の各種塩類が除去され、飲料用水や工業用水等として利用できるように淡水化される。
【0028】
逆浸透膜装置6は、浸透膜の一方側の海水に圧力をかけることにより、逆浸透膜の他方側に海水中の各種塩類が除去された淡水を染み出させる装置であり、ろ過するためには、海水を浸透圧以上の所定の圧力にする必要がある。
【0029】
逆浸透膜装置6は、供給された海水のすべてを淡水化できるものではない。例えば、逆浸透膜装置6に供給される海水のうち40%は淡水化されて排水されるが、残りの60%は淡水化されずに非常に圧力の高い高圧濃縮海水として排水される。
【0030】
そこで、逆浸透膜装置6から排水される高圧濃縮海水のもつ余剰圧力を有効なエネルギーとして回収して利用する圧力交換装置10を備えている。
【0031】
ろ過海水槽2から逆浸透膜装置6に供給される海水のうち、40%は高圧ポンプ5で浸透圧以上の所定の圧力、例えば、6.9MPaまで昇圧される。逆浸透膜装置6に供給される残りの60%の海水(以下、「低圧海水」と記す)は、圧力交換装置10が逆浸透膜装置6から排水される高圧濃縮海水から回収した余剰圧力(6.75MPa)と、ブースターポンプ7により6.9MPaまで昇圧される。
【0032】
つまり、圧力交換装置10は、逆浸透膜装置6から排水される高圧濃縮海水Hiの圧力により、被濃縮流体である低圧海水Liを昇圧して、高圧海水Hoとしてブースターポンプ7を経由して逆浸透膜装置6に供給するとともに、圧力交換装置10に供給される低圧海水Liにより前記圧力が回収された後の低圧濃縮海水Loを排水する圧力交換処理を行なう。
【0033】
このように、圧力交換装置10は、逆浸透膜装置6から排水される高圧濃縮海水Hiの余剰圧力を捨てることなく逆浸透膜装置6に供給される低圧海水Liの昇圧に利用して、逆浸透膜装置6でのろ過に必要な圧力の一部を補うので、海水淡水化施設全体のエネルギー効率が向上する。
【0034】
図2に示すように、圧力交換装置10は、一端側が第1エンドカバー14で封止され、他端側が第2エンドカバー15で封止された筒状ケーシング13と、筒状ケーシング13に収容された圧力交換部50を備えている。
【0035】
圧力交換部50は、第1エンドカバー14に対向配置された第1側方部材20と、第2エンドカバー15に対向配置された第2側方部材30と、それら側方部材20,30で挟持された筒状の保持部材11と、第1側方部材20及び第2側方部材30の対向面側の中央部に突出形成された軸部20a,30bに支持された圧力伝達部として機能する回転体40とで構成されている。
【0036】
回転体40には、一端側から第1流体が流入及び流出する第1流路41と、同じく一端側から第2流体が流入及び流出する複数の第2流路42とが他端側で連通可能に回転軸心周りに放射状に複数本配設されている。
【0037】
第1側方部材20には、第1流体を第1流路41に案内する第1流体流入路21と、第1流体との間で圧力交換された第2流体を第2流路42から案内する第2流体流出路22と、第2流体を第2流路42に案内する第2流体流入路23と、第2流体との間で圧力交換された第1流体を第1流路41から案内する第1流体流出路24とが厚み方向に形成されている。
【0038】
第2側方部材30には、回転体40の回転に伴って回転体40の他端側で第1流路41と第2流路42を連通する連通路31,32,33,34が形成されている。
【0039】
回転体40の回転に伴って第1流路41と第2流路42とを連通路31,32または連通路33,34で連通することによって、第1流体流入口25を介して第1流体流入路21から第1流路41に供給された高圧の第1流体と、第2流体流入口27を介して第2流体流入路23から第2流路42に供給された低圧の第2流体との間で圧力交換が行なわれ、その結果、高圧の第2流体が第2流体流出路22を介して第2流体流出口26から流出する一方で、低圧の第1流体が第1流体流出路24を介して第1流体流出口28から流出する。
【0040】
つまり、逆浸透膜装置から排水される高圧濃縮流体が第1流体として第1流体流入口25から第1流体流入路21に供給され、被濃縮流体、即ち海水が第2流体として第2流体流入口27から第2流体流入路23に供給される。
【0041】
図3から図5に示すように、圧力交換ユニット60は、上下2段に設置された架台70に組み込まれている。架台70の上段に圧力交換前の第1流体を供給する第1流体供給ヘッダー管61、圧力交換後の第2流体を回収する第2流体回収ヘッダー管64が固定され、架台70の下段に圧力交換前の第2流体を供給する第2流体供給ヘッダー管63、及び圧力交換後の第1流体を回収する第1流体回収ヘッダー管62が固定されている。第1流体供給ヘッダー管61及び第2流体供給ヘッダー管63が流体供給管として機能し、第1流体回収ヘッダー管62と第2流体回収ヘッダー管64が流体回収管として機能する。
【0042】
各ヘッダー管61,62,63,64は並列して(図3から図5では、互いに軸心が平行姿勢となるように)配置され、各ヘッダー管61,62,63,64に沿って上述した圧力交換装置10が複数台(図面では4台×2列)配列されるように架台70の上段に固定され、各ヘッダー管61,62,63,64に第1流体流入管51、第1流体流出管52、第2流体流入管53、及び第2流体流出管54のそれぞれが接続されている。
【0043】
第1流体流入管51は第1流体供給ヘッダー管61と第1流体流入口25を接続するための配管であり、第1流体流出管52は第1流体回収ヘッダー管62と第1流体流出口28を接続するための配管であり、第2流体流入管53は第2流体供給ヘッダー管63と第2流体流入口27を接続するための配管であり、第2流体流出管54は第2流体回収ヘッダー管64と第2流体流出口26を接続するための配管である。各配管51,52,53,54には、各ヘッダー管61,62,63,64との接続部と管軸心を合わせて接続するための連結管が介挿されている。尚、接続部と管軸心とが容易に整合可能な場合には、連結管は必須ではなく、連結管を不要とすると圧力交換ユニット60の一層の小型化を図ることができる。
【0044】
第1流体供給ヘッダー管61、第1流体回収ヘッダー管62、第2流体供給ヘッダー管63、及び第2流体回収ヘッダー管64が横姿勢で配置され、圧力交換装置10の一端側、つまり第1エンドカバー14側が下方を向き、圧力交換装置10の他端側、つまり第2エンドカバー15側が上方を向く縦姿勢で配置されている。
【0045】
図2に示すように、圧力交換部50は、第1側方部材20と第2側方部材30に両端を支持された支軸43を備え、支軸43に貫通され、回転体40の両端部で回転体40を回転自在に支持する軸部48a,48bが、第1及び第2側方部材20,30の対向面側に突出するように、第1及び第2側方部材20,30と一体に形成されている。
【0046】
六角ボルトで構成される支軸43は、第2側方部材30から第1側方部材20に向けて挿入され、第1側方部材20側でナットによって締付固定されている。第2側方部材30の上端部中央には六角ボルトの頭部を収容可能な深さの凹部30bが形成され、六角ボルトの頭部にはその軸方向に雌ねじ部43aが形成されている。
【0047】
一端側が第1エンドカバー14にボルト固定されたケーシング13に、上述の圧力交換部50が収容され、その上から封止板35介して第2エンドカバー15が配置され、第1エンドカバー14と第2エンドカバー15とがその外周部でタイボルトとナットによって固定されている。
【0048】
図2及び図4に示すように、各圧力交換装置10の保守点検時には、各圧力交換装置10が配管51,52,53,54を介して各ヘッダー管61,62,63,64に接続された状態で、先ず、タイボルトのナット12cを取り外して第2エンドカバー15及び封止板35を取り外し、次に、六角ボルト(支軸43)の頭部に形成された雌ねじ部43aにアイボルト75を螺着し、当該アイボルト75のリング部にクレーン装置のフックを係合させて圧力交換部50全体を吊り上げて、ケーシング13から離脱させる。
【0049】
つまり、支軸43に対して、第2側方部材30側の支持部に備えた装着部として機能する雌ねじ部43aに、アイボルト75を治具として装着し、アイボルト75を介してケーシング13から圧力交換部を吊り上げて離脱させる。
【0050】
更に、圧力交換部50を作業台に載置して、支軸43を取り外せば、第1側方部材20と、第2側方部材30と、回転体40とに分離でき、それぞれのクリーニングや点検作業が行なわれる。
【0051】
点検作業が終了すると、逆の手順で圧力交換部50を組み上げて、組み上げた圧力交換部50をクレーンでケーシング13に収容し、更に、封止板35を介して第2エンドカバー15を固定する。
【0052】
従って、圧力交換装置10を保守点検する際に、各ヘッダー管61,62,63,64と接続されている各配管51,52,53,54を取り外すことなく、ケーシング13の他端側から内部に収容された圧力交換部50を容易に離脱させることができ、保守作業が極めて容易になる。
【0053】
尚、保守点検作業時に圧力交換ユニット60を停止させた状態で各圧力交換装置10を順に点検する例を説明したが、各配管51,52,53,54に開閉バルブを設ければ、圧力交換ユニット60の稼動中に特定の圧力交換装置10のみを点検することも可能になる。つまり、点検対象の圧力交換装置10に対する開閉バルブを閉止することにより、システムから切り離すことが可能になる。
【0054】
図3から図5で説明した圧力交換ユニット60の構成は一例であり、本発明による圧力交換ユニット60の構成はこれに限定されるものではない。
【0055】
例えば、図3から5に示した圧力交換ユニット60の配置を天地逆にした圧力交換ユニット60であってもよい。
【0056】
例えば、図6(a),(b)に示すように、一列に配置された各ヘッダー管61,62,63,64の側方にその長手方向に圧力交換装置10を配列し、各配管51,52,53,54と各ヘッダー管61,62,63,64を接続してもよいし、図7(a),(b)に示すように、一列に配置された各ヘッダー管61,62,63,64の上部に、各配管51,52,53,54が対称形状となるように交互に圧力交換装置10を配列してもよい。
【0057】
同様に、図8(a),(b),(c)に示すように、上下に配置された各ヘッダー管61,62,63,64の両側にその長手方向に沿って圧力交換装置10を配列し、各配管51,52,53,54と各ヘッダー管61,62,63,64を接続してもよい。
【0058】
また、第1流体供給ヘッダー管61、第1流体回収ヘッダー管62、第2流体供給ヘッダー管63、及び第2流体回収ヘッダー管64が縦直姿勢で配置され、各圧力交換装置10のケーシング13に収容された圧力交換部50が横方向に挿脱自在に配置されていてもよい。
【0059】
例えば、図9(a),(b)に示すように、各ヘッダー管61,62,63,64が縦姿勢で二列に配置され、横姿勢の圧力交換装置10が上下に配列されるものであってもよいし、図10(a),(b)に示すように、各ヘッダー管61,62,63,64が縦姿勢で一列に配置され、横姿勢の圧力交換装置10が上下に配列されるものであってもよい。
【0060】
この場合には、六角ボルトの頭部に形成された雌ねじ部44aに螺着したアイボルト75のリング部に係合して、圧力交換部50を横方向に引き抜く引抜装置と、引抜装置により引き出された圧力交換部50を支持する案内レールを備えた保守用の架台を準備すれば作業性がより向上する。
【0061】
また、回収管及び供給管は軸心が平行姿勢で配置される直管で構成される例を説明したが、圧力交換装置との接続を考慮して曲管で構成してもよい。例えば、図17に示すように、圧力交換後の第2流体を回収する第2流体回収ヘッダー管64が一本の合流管に合流するように構成される場合、各ヘッダー管64を合流部に向けて僅かに傾斜させた姿勢で並列に配置し、一端側に曲管部64Aが形成されていてもよい。
【0062】
尚、図面には表されていないが、何れの場合にも、各圧力交換装置10やヘッダー管等は架台70に固定されている。
【0063】
以下、上述した圧力交換装置10の主要部を更に詳しく説明する。
図2及び図11(a),(b),(c)に示すように、回転体40には、16組の第1流路41と第2流路42が回転軸心周りに放射状に配置されている。各第1流路41と各第2流路42は、回転体40を回転軸心方向に貫通するように形成されている。なお、第1流路41の断面積と第2流路42の断面積は略等しくなるように形成されている。
【0064】
回転体40と第1側方部材20及び第2側方部材30との間には、各流体が進入するような隙間が形成され、当該隙間に進入した流体の圧力によって、回転体40の回転時に第1側方部材20及び第2側方部材30との間の摺動が回避され、円滑に回転するように構成されている。
【0065】
このため、第1側方部材20及び第2側方部材30には夫々回転体40との対向面とは異なる端面方向へと圧力が作用するが、連結部材12で第1エンドカバー14と第2エンドカバー15とを締結することで、第1側方部材20及び第2側方部材30に作用する前記圧力を受けている。
【0066】
よって、第1側方部材20及び第2側方部材30が流体の圧力によって歪むようなことなく、回転体40と第1側方部材20及び第2側方部材40との夫々の隙間は一定に保たれ、回転体40のより円滑な回転が可能となり効率が向上する。また、隙間に進入した流体は、潤滑剤の役割もかねており、より円滑な回転を可能としている。
【0067】
図2及び図12(a),(b),(c)に示すように、第1流体流入路21は、第1側方部材20の開口部21aから開口部21bにかけて回転体40の周方向に沿って複数の第1流路41と連通するように拡径して形成された第1傾斜部としての流路壁21cを備えて構成されている。
【0068】
第2流体流出路22は、第1側方部材20の開口部22aから開口部22bにかけて回転体40の周方向に沿って複数の第2流路42と連通するように拡径して形成された第2傾斜部としての流路壁22cを備えて構成されている。
【0069】
第2流体流入路23は、第1側方部材20の開口部23aから開口部23bにかけて回転体40の周方向に沿って複数の第2流路42と連通するように拡径して形成された第2傾斜部としての流路壁23cを備えて構成されている。
【0070】
第1流体流出路24は、第1側方部材20の開口部24aから開口部24bにかけて回転体40の周方向に沿って複数の第1流路41と連通するように拡径して形成された第1傾斜部としての流路壁24cを備えて構成されている。
【0071】
流路壁21cの傾斜方向と流路壁23cの傾斜方向は円周方向に対して同じ向きに設定され(図14(a),(c)参照)、流路壁21cの傾斜方向と流路壁22cの傾斜方向が円周方向に対して逆になるように設定され(図14(b),(d)参照)、流路壁23cの傾斜方向と流路壁24cの傾斜方向が円周方向に対して逆になるように設定され(図14(c),(d)参照)、各流入路及び流出路が回転体40に対するトルク付与機構を構成する。
【0072】
第1流体流入路21は、第1側方部材20の開口部21aから開口部21bにかけて回転体40の周方向に沿って複数の第1流路41と連通するように拡径して形成されているので、高圧濃縮海水Hiは流路壁21cに沿って分散し複数の第1流路41に流入する。
【0073】
このとき、高圧濃縮海水Hiは回転体40の周方向に沿って流れ、第1流路41の壁面へ圧力を付与する、つまり、回転体40を回転させるトルクを発生する。
【0074】
第2流体流出路22は、第1側方部材20の開口部22aから開口部22bにかけて回転体40の周方向に沿って複数の第2流路42と連通するように拡径して形成されているので、隣接する複数の第2流路42を流れる高圧海水Hoが合流して流路壁22cを経て流出する。
【0075】
このときに、高圧海水Hoは、第2流路42から第2流体流出路22に流れる水の通水断面積を広くする向きに第2流路42の壁面へ圧力を付与する、つまり、回転体40を回転させるトルクを発生する。
【0076】
流路壁21cの傾斜方向と流路壁22cの傾斜方向が逆になるように設定されているので、高圧濃縮海水Hiが第1流体流入路21から第1流路41に流入するときに発生するトルクと、高圧海水Hoが第2流路42から第2流体出路22へと流出するときに発生するトルクが同じ向きになる。
【0077】
つまり、回転体40に流入する高圧濃縮海水Hiと回転体40から流出する高圧海水Hoのエネルギーにより回転体40を回転させるトルクを発生させるので、何れか一方のエネルギーのみにより回転体40を回転させる場合より、大きなトルクを発生させることができる。
【0078】
同様に、低圧海水Liが第2流体流入路23から第2流路42に流入するときのエネルギーにより回転体40に付与されるトルクと、低圧濃縮海水Loが第1流路41から第1流体流出路24へと流出するときのエネルギーにより回転体40に付与されるトルクも同じ向きになる。
【0079】
このように、トルク付与機構が、第1流路41に流入する高圧濃縮海水Hiのエネルギーと第2流路42から流出する高圧海水Hoのエネルギー、及び、第2流路42に流入する低圧海水Liのエネルギーと第1流路41から流出する低圧濃縮海水Loのエネルギーにより回転体40を回転させるトルクを発生させる。
【0080】
図2に示すように、第1エンドカバー14には、第1流体流入路21と連通する第1流体流入口25と、第2流体流出路22と連通する第2流体流出口26と、第2流体流入路23と連通する第2流体流入口27と、第1流体流出路24と連通する第1流体流出口28が形成されている。第1エンドカバー14とケーシング13はボルトで螺着されている。第1エンドカバー14のケーシング13との接触面には、円周方向にシールが配設され、ケーシング13の外部に流体が漏れるのが防止される。
【0081】
さらに、第1エンドカバー14の第1側方部材20との対向面側の中央部には凹部が形成され、該凹部と第1側方部材20の外側面とで第1閉空間16を構成し、第1流体流入路21と第1閉空間16とを連通する第1連通路17により、第1閉空間16には高圧濃縮海水Hiが流入するように構成されている。第1連通路17から第1閉空間16に流入した高圧濃縮海水Hiの圧力は、第1側方部材20を回転体40に向けて押圧するように作用する。
【0082】
この第1側方部材20を回転体40に向けて押圧する力は、回転体40内の第1または第2流体が、第1側方部材20に作用する押圧力と釣り合うので、第1側方部材を薄肉化しても流体の圧力によって回転軸心方向に歪むような事態が回避され、回転体40と第1側方部材20との隙間は一定に保たれ、回転体の円滑な回転が可能となる。
【0083】
図2及び図13(a),(b),(c)に示すように、第2側方部材30には、第1側方部材20の各開口部21b,22b,23b,24b(図14参照)に対向する位置に、第1流路41と第2流路42とを連通して濃縮海水と海水との間で圧力を交換するための連通部31,32,33,34が形成されている。
【0084】
回転体40の回転に伴って、連通部31,32を介して第1流路41と第2流路42が連通し、第1流路41に流入した高圧の濃縮海水と第2流路42に流入している低圧海水との間で圧力伝達が行なわれ、高圧となった海水が第2流路42から流出する。
【0085】
また、回転体40の回転に伴って、連通部33,34を介して第2流路42と第1流路41が連通し、第2流路42に流入した低圧海水と第1流路41に流入している濃縮海水との間で圧力伝達が行なわれ、濃縮海水が第1流路41から流出する。
【0086】
圧力交換時には、第1流体流入路21から周方向に隣接する複数の第1流路41に高圧濃縮海水が流入し、連通部31,32を介して同じく周方向に隣接する複数の第2流路42と同時に連通し、圧力交換後の高圧海水が第2流体流出路22を介して流出する。
【0087】
このとき、トルク付与機構の作用で、各第1流路41及び第2流路42の圧損が周方向で異なるため、第1流路41から連通部31に流入した流体が連通部32を経由して圧損の低い第2流路42に流出すると、トルク付与機構は適正に機能せず、回転力が低下する虞がある。尚、圧損の低い流路とは、流入路から流出路へと直線的に連通している通路(例えば、後述する図15の41b,42oや42j,41g)のことである。
【0088】
同様の現象が連通部33,34でも発生する虞がある。そのため、トルク付与機構による適正なトルクが維持されるように、連通部31,32及び連通部33,34の中央部には、それぞれ第2側方部材30の表面よりも僅かに低い高さの隔壁wが形成されている。
【0089】
この隔壁wにより、周方向への流れが制限され、圧損の低い流路への流れ(例えば、後述する図15の41bから42oや42jから41gへの流れ)を阻害し、径方向に隣接する第1流路から第2流路または第2流路から第1流路への流れ(例えば、後述する図15の42bから42bや42jから41jへの流れ)を生じさせ、トルク付与機構を適正に機能させることができる。
【0090】
図15に示すように、回転体40には、16組の圧力伝達部、つまり、第1流路41a〜41pと第2流路42a〜42pが回転軸心周りに放射状に配設されている。図15中の二点鎖線で示す領域は、第1側方部材20の第1流体流入路21の開口部21bと、第2流体流出路22の開口部22bと、第2流体流入路23の開口部23bと、第1流体流出路24の開口部24bに対応する領域を表している。
【0091】
第1流体流入路21には、隣接する第1流路41c,41b,41a,41p,41o,41nの6本が同時に連通し、第2流体流出路22には、第1流路41c,41b,41a,41p,41o,41nと第2側方部材30内で連通した第2流路42c,42b,42a,42p,42o,42nが同時に連通する。第2流体流入路23には、隣接する第2流路42f,42g,42h,42i,42j,42kの6本が同時に連通し、第1流体流出路24には、第2流路42f,42g,42h,42i,42j,42kと第2側方部材30内で連通した第1流路41f,41g,41h,41i,41j,41kが連通する。
【0092】
第1流体流入路21に流入した高圧濃縮海水Hiが、第1流路41c,41b,41a,41p,41o,41nの夫々に分散して流入するときに、高圧濃縮海水Hiは、流路壁21cに沿って流れ、回転体40には、図15中一点鎖線矢印が示すように時計回りのトルクが付与される。
【0093】
第1流路41c,41b,41a,41p,41o,41nに流入した高圧濃縮海水Hiの圧力は、夫々第2側方部材30内で連通した第2流路42c,42b,42a,42p,42o,42nの海水に伝達され、高圧海水Hoが第2流路42c,42b,42a,42p,42o,42nから第2流体流出路22へと流出する。
【0094】
高圧海水Hoが第2流路42c,42b,42a,42p,42o,42nから第2流体流出路22へと流出する際に、流れを広くするように流路壁22cに沿って流れ、回転体40には、図15中一点鎖線矢印が示すように時計回りのトルクが付与される。
【0095】
第2流体流入路23に流入した低圧海水Liが、第2流路42f,42g,42h,42i,42j,42kの夫々に分散して流入するときに、低圧海水Liは、流路壁23cに沿って流れ、回転体40には、図15中一点鎖線矢印が示すように時計回りのトルクが付与される。
【0096】
第2流路42f,42g,42h,42i,42j,42kに流入した低圧海水Liの圧力は、夫々第2側方部材30内で連通した第1流路41f,41g,41h,41i,41j,41kの濃縮海水に伝達され、低圧濃縮海水Loが第1流路41f,41g,41h,41i,41j,41kから第1流体流出路24へと流出する。
【0097】
低圧濃縮海水Loが第1流路41f,41g,41h,41i,41j,41kから第1流体流出路24へと流出する際に、流れを広くするように流路壁24cに沿って流れ、回転体40には、図15中、一点鎖線矢印が示すように時計回りのトルクが付与される。
【0098】
高圧濃縮海水Hiが第1流体流入路21から複数の第1流路41に分散して流入するときに、高圧濃縮海水Hiの圧力は回転体40の隣接する第1流路41の間の端面40a(図11参照)に作用し、回転体40を第2側方部材30側へ押圧し、高圧海水Hoが複数の第2流路42から第2流体流出路22へ流出するときに、高圧海水Hoの圧力は回転体40の隣接する第2流路42の間の端面40aに作用し、回転体40を第2側方部材30側へ押圧する。
【0099】
同様に、低圧海水Liが第2流体流入路23から複数の第2流路42に分散して流入するときに、低圧海水Liの圧力は回転体40の隣接する第2流路42の間の端面40aに作用し、回転体を第2側方部材に押圧し、低圧濃縮海水Loが複数の第1流路41から第1流体流出路24へ流出するときに、高圧海水Hoの圧力は回転体40の隣接する第1流路41の間の端面40aに作用し、回転体40を第2側方部材30側へ押圧する。
【0100】
このように、回転体40には、第1流路41及び第2流路42に流入出する流体が端面40aに作用するため、第2側方部材30側へと押圧される力が働くが、第2側方部材に形成された連通部31,32,33,34に第1流体及び第2流体が流入し、回転体40の端面40bに作用して、回転体40を第1側方部材20側へ押圧するので、両端面40a,40bに作用する押圧力が釣り合うとともに押圧力の分布も等しくなり、回転体40は第1側方部材20または第2側方部材30に一方的に摺動するようなことがなくなり、円滑に回転することができる。
【0101】
さらに、第2側方部材30の連通部31,32,33,34が形成された面には、2本の連通溝37a,37bが形成されている。連通溝37a,37bは、例えば数ミリ程度の溝で形成され、連通部34と連通部31の間、及び連通部32と連通部33の間に配置されることで、回転体40と第2側方部材30との隙間を通って高圧流体が低圧流体の連通路へと進入する際の大きな圧力変動、低圧流体が高圧流体の連通路へと進入する際の大きな圧力変動を緩和する。
【0102】
図2及び図16に示すように、第2側方部材30と第2エンドカバー15の間には、封止板35が配設されている。封止板35の一面に形成された溝部と、第2側方部材30とで第2閉空間38a,38bが区画されるように構成されている。第2閉空間38a,38bは、隔壁38cで区画されている。封止板35には、第2側方部材30と接触する端面にシール36aが備えられ、周囲にシール36bが備えられている。
【0103】
封止板35の他面は第2エンドカバーとボルトで固定され、連結部材12のナット12b,12cを締め付けることで、封止板35を第2側方部材30側へと押圧するように構成されている。
【0104】
なお、封止板35と第2エンドカバー15を一体に形成してもよく、この場合は、第2側方部材30と、第2エンドカバーとで第2閉空間38が区画される。
【0105】
第2側方部材30の連通部31,32には、高圧流体を第2閉空間38aへと導く第2連通路39aが厚み方向に貫通形成され、連通部33,34には、低圧流体を第2閉空間38bへと案内する第2連通路39bが厚み方向に貫通形成されている。
【0106】
第2閉空間38a,38bには、回転体40内の流体が第2連通路39a,39bを介して流入し、流入した流体の圧力は第2側方部材30を回転体40に向けて押圧するように作用する。
【0107】
回転体40内の高圧濃縮海水Hiと高圧海水Hoが、第2側方部材30に作用する押圧力と釣り合うので、第2側方部材を薄肉化しても流体の圧力によって回転軸心方向に歪むような事態が回避され、回転体40と第2側方部材30との隙間は一定に保たれ、回転体の円滑な回転が可能となる。
【0108】
上述のように、第1側方部材20と第2側方部材30には、回転体40内の流体によって軸心方向外側への圧力がかかるが、第1閉空間16に第1連通路17を介して第1流体流入路21に供給される高圧濃縮海水Hiが導かれ、第2閉空間38a,38bに第2連通路39a,39bを介して第1流路41、第2流路42内の高圧濃縮海水Hi及び低圧海水Liが導かれる。第1側方部材20及び第2側方部材30は、夫々回転体40の回転軸心方向に歪む、または回転軸心に対して傾くことを防ぐことができ、支軸43に無駄な応力がかかることがない。
【0109】
保持部材11は円筒状に形成され、その内周径は回転体40の直径より僅かに大きく設定され、その長さは回転体40の回転軸心方向長さより僅かに長く設定されている。保持部材11の周面には、第3連通路45が貫通形成され、回転体40と保持部材11の隙間に進入した高圧濃縮海水Hiまたは高圧海水Loが第3連通路45を介して、保持部材11の外周面とケーシング13の内周面とで区画される外周閉空間46に流入するように構成されている。
【0110】
このように、回転体40の各端面と第1側方部材20及び第2側方部材30の隙間と、回転体40の外周と保持部材11の隙間には各流体が進入するが、当該隙間は狭すぎると回転体40と第1側方部材20または第2側方部材30、回転体40と保持部材11が摺動して回転に対する抵抗となり、広すぎると高圧の流体から低圧の流体へと漏れる量が多すぎて圧力の交換効率が低下するため、例えば、1〜100μm程度が好ましい。この隙間は、回転体40と保持部材11の軸方向の長さの差によって設定されるが、摺動の発熱により膨張しても前記隙間の距離を一定にできるように熱膨張率が同等の素材で形成することが好ましい。
【0111】
回転体40と第1側方部材20及び第2側方部材30との隙間を介して、回転体40の外周面と保持部材11の内周面との隙間に進入した流体が、保持部材11に形成された第3連通路45を介して、保持部材11の外周面とケーシング13の内周面との外周閉空間46に進入する。
【0112】
外周閉空間46に導かれた流体の圧力は、回転体40と保持部材11の内周面との隙間に作用する流体の圧力と略等しく、保持部材11の内周面と外周面の両面に作用する押圧力が釣り合うので、保持部材11を薄肉化しても径方向に歪むような事態が回避される。そのため、運転中に回転体40と保持部材11との隙間は広がることなく、所定の隙間が保持されるので円滑に回転できるようになる。
【0113】
第1側方部材20、第2側方部材30、回転体40、保持部材11は、アルミナ等のセラミックス、FRP、または、二相ステンレス鋼やスーパー二相ステンレス鋼等のように、海水に対する耐食性があり、十分に強度のある材料を用いることができる。また、二相ステンレス鋼やスーパー二相ステンレス鋼を用いた場合には、回転体40と第1側方部材20及び第2側方部材30との対向面、及び保持部材11の内周面を窒化処理し、或は、アルミナ等のセラミックを溶射し、肉盛溶接し、或はHIP処理して摩擦係数を低減する耐磨耗層を形成することが好ましい。また、回転体40と保持部材11は、熱膨張率が同等の素材を選択して構成することが好ましい。
【0114】
ケーシング13は、樹脂材料、FRPまたは、二相ステンレス鋼やスーパー二相ステンレス鋼等の金属材料のように、海水に対する耐食性があり、ある程度強度を備えた材料で形成されている。ステンレス鋼等の高強度の金属管を樹脂材料やセラミックスで被覆して耐食性を付加して構成してもよい。これにより、耐食性に劣る安価な材料を利用することができコストダウンが図られる。
【0115】
このような圧力交換ユニット60に組み込まれる圧力交換装置10の具体的な構造は上述したものに限定されるものではなく、一端側から第1流体が流入及び流出する第1流路と前記一端側から第2流体が流入及び流出する第2流路とが配設された圧力伝達部と、第1流体を前記第1流路に案内する第1流体流入路と、第1流体との間で圧力交換された第2流体を前記第2流路から案内する第2流体流出路と、流体を前記第2流路に案内する第2流体流入路と、第2流体との間で圧力交換された第1流体を前記第1流路から案内する第1流体流出路とが形成され、前記圧力伝達部の一端側に設けられた第1側方部材と、前記圧力伝達部の他端側に設けられた第2側方部材と、で圧力交換部が形成され、第1流体及び第2流体を供給または排出する第1流体流入口と第1流体流出口と第2流体流入口と第2流体流出口とを備えた第1エンドカバーを前記第1側方部材に隣接して備え、前記第2側方部材側から前記圧力交換部が挿脱自在に構成されている圧力交換装置であればよい。
【0116】
図18には、このような他の圧力交換装置が示されている。圧力交換装置10は、一端側から第1流体が流入及び流出する第1流路41と前記一端側から第2流体が流入及び流出する第2流路42とが配設された圧力伝達部40と、第1流体を第1流路41に案内する第1流体流入路21と、第1流体との間で圧力交換された第2流体を第2流路42から案内する第2流体流出路22と、流体を第2流路42に案内する第2流体流入路23と、第2流体との間で圧力交換された第1流体を第1流路41から案内する第1流体流出路24とが形成され、圧力伝達部の一端側に設けられた第1側方部材20と、圧力伝達部40を第1側方部材20との間で挟持する第2側方部材30と、で圧力交換部が形成され、第1流体及び第2流体を供給または排出する第1流体流入口25と第1流体流出口28と第2流体流入口27と第2流体流出口26とを備えた第1エンドカバー14を第1側方部材20に隣接して備え、第2側方部材30側から圧力交換部が挿脱自在に構成されている。
【0117】
第2側方部材30に第1流路41と第2流路42とを連通させて圧力伝達可能な連通部31,33が形成されている。また、第1エンドカバー14の内部に第1側方部材20が回転可能に収容され、圧力伝達部40の端面に形成されたフランジ部と第1エンドカバー14とがボルトBLTで締め付けられている。
【0118】
このような圧力交換装置10では、各ヘッダー管(図示せず)と、第1流体流入口25と第1流体流出口28と第2流体流入口27と第2流体流出口26とがそれぞれ接続された状態で、ボルトBLTを取り外すことにより、圧力交換装置10から圧力交換部を離脱させることができる。
【0119】
上述した何れの圧力交換装置でも、連通部31,32,33,34を第2側方部材30に形成しているが、回転体40に形成することもできる。
【0120】
以上説明した圧力交換装置、圧力交換ユニットの具体的構成は実施形態の記載に限定されるものではなく、本発明による作用効果を奏する範囲において適宜変更設計可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0121】
6:逆浸透膜装置
10:圧力交換装置
11:保持部材
13:ケーシング
14:第1エンドカバー
15:第2エンドカバー
20:第1側方部材
21:第1流体流入路
22:第2流体流出路
23:第2流体流入路
24:第1流体流出路
30:第2側方部材
40:圧力伝達部(回転体)
41:第1流路
42:第2流路
43:支軸
Hi:高圧濃縮海水(濃縮流体)
Li:低圧海水(被濃縮流体)
Ho:高圧海水(被濃縮流体)
Lo:低圧濃縮海水(濃縮流体)
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1流体と第2流体との間で圧力を交換する圧力交換装置、圧力交換ユニット、及び圧力交換装置の点検方法に関する。
【背景技術】
【0002】
逆浸透膜装置を用いる海水淡水化施設では、逆浸透膜装置から排水される高圧濃縮流体である高圧濃縮海水がもつ余剰圧力を、逆浸透膜装置に給水される被濃縮流体である低圧海水の昇圧に利用する圧力交換装置が設けられている。
【0003】
図19に示すように、特許文献1には、管状の圧力伝達部が回転軸心周りに複数本配設されたロータ85を備えた圧力交換装置80が記載されている。
【0004】
該圧力交換装置80は、ロータ85の回転に伴って、高圧入口側ポート82へ供給される高圧濃縮海水と低圧入口側ポート81へ供給される低圧海水とを圧力伝達部で接触させて、高圧濃縮海水の圧力によって昇圧した低圧海水を、高圧出口側ポート83から高圧海水として排水し、低圧入口側ポート81へ供給される低圧海水によって前記圧力を伝達し終えた低圧濃縮海水を低圧出口側ポート84から排水するように構成されている。
【0005】
図20(a),(b)には、このような圧力交換装置80の複数台が組み込まれた圧力交換ユニット90が示されている。圧力交換ユニット90は、圧力交換前の高圧流体を供給する高圧流体供給ヘッダー管91、圧力交換後の低圧流体を回収する低圧流体回収ヘッダー管92、圧力交換前の低圧流体を供給する低圧流体供給ヘッダー管93、及び圧力交換後の高圧流体を回収する高圧流体回収ヘッダー管94が互いに軸心が平行姿勢で配置され、各ヘッダー管91,92,93,94に沿って複数台の圧力交換装置80が縦姿勢でラックに支持され、各圧力交換装置80の高圧入口側ポート82、低圧出口側ポート84、低圧入口側ポート81、及び高圧出口側ポート83のそれぞれが、ジョイント機構を介して高圧流体供給ヘッダー管91、低圧流体回収ヘッダー管92、低圧流体供給ヘッダー管93、及び高圧流体回収ヘッダー管94と接続されている。
【0006】
大量の海水を淡水化処理する大型の海水淡水化施設の圧力交換ユニットには、多数の圧力交換装置が組み込まれており、このような圧力交換装置は、定期的に保守点検作業を行う必要がある。その際には圧力交換装置と各ヘッダー管とのジョイント機構を各々取り外した後に、圧力交換装置をチェーンブロック等の揚重装置で支持しながらラックから離脱し、その後人手で分解して点検清掃するという作業が必要で、更に点検清掃後には、逆の手順で圧力交換装置を組み立てて、ラックに収容し、さらに圧力交換装置と各ヘッダー管とを連結する作業が必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009180903号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような圧力交換装置は、通常70〜80kgの重量物であり、圧力交換ユニットから圧力交換装置を取り外して点検清掃し、再度圧力交換ユニットに組み付ける作業は非常に煩雑で手間が掛かるという問題があった。
【0009】
本発明の目的は、保守点検作業が極めて容易な圧力交換装置、圧力交換ユニット、及び圧力交換装置の点検方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するため、本発明による圧力交換装置の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載したとおり、第1流体と第2流体との間で圧力を交換する圧力交換装置であって、一端側から第1流体が流入及び流出する第1流路と前記一端側から第2流体が流入及び流出する第2流路とが配設された圧力伝達部と、第1流体を前記第1流路に案内する第1流体流入路と、第1流体との間で圧力交換された第2流体を前記第2流路から案内する第2流体流出路と、第2流体を前記第2流路に案内する第2流体流入路と、第2流体との間で圧力交換された第1流体を前記第1流路から案内する第1流体流出路とが形成され、前記圧力伝達部の一端側に設けられた第1側方部材と、前記圧力伝達部の他端側に設けられた第2側方部材と、で圧力交換部が形成され、第1流体及び第2流体を供給または排出する第1流体流入口と第1流体流出口と第2流体流入口と第2流体流出口とを備えた第1エンドカバーを前記第1側方部材に隣接して備え、前記第2側方部材側から前記圧力交換部が挿脱自在に構成されている点にある。
【0011】
上述の構成によれば、第1エンドカバーに形成した第1流体流入口と第1流体流出口と第2流体流入口と第2流体流出口を介して外部との間で第一流体及び第二流体の供給または回収を行なうように構成できるので、圧力交換装置を保守点検する際に、外部との間で第一流体及び第二流体の供給または回収を行なうための配管を取り外すことなく、第2側方部材側から内部に収容された圧力交換部を離脱させることができ、極めて容易に保守作業を行うことができる。
【0012】
本発明による圧力交換装置の第二の特徴構成は、同請求項2に記載したとおり、上述の第一特徴構成に加えて、前記圧力伝達部は前記第1流路と第2流路が回転軸心周りに貫通して配設された回転体であり、前記第1側方部材の第1流体流入路と第2流体流出路と第2流体流入路と第1流体流出路とが厚み方向に形成され、前記圧力伝達部は保持部材を介して前記第1側方部材と前記第2側方部材との間で回転可能に挟持されて前記圧力交換部を構成し、前記圧力交換部は一端側に前記第1エンドカバーと他端側に第2エンドカバーとを備えたケーシングに収容されている点にある。
【0013】
上述の構成によれば、ケーシングから第2エンドカバーを取り外すことにより、ケーシングから圧力交換部を離脱させることができる。
【0014】
本発明による圧力交換ユニットの第一の特徴構成は、同請求項3に記載したとおり、圧力交換前の第1流体を供給する第1流体供給管、圧力交換後の第1流体を回収する第1流体回収管、圧力交換前の第2流体を供給する第2流体供給管、及び圧力交換後の第2流体を回収する第2流体回収管が互いに並列に配置され、各回収管及び各供給管と接続する第1流体流入口と第1流体流出口と第2流体流入口と第2流体流出口を一端側に備え、他端側に圧力交換部が挿脱自在に構成されている圧力交換装置が、前記回収管または供給管に沿って複数台配列され、当該接続状態で前記圧力交換装置の他端側から圧力交換部が挿脱自在に配置されている点にある。
【0015】
第1流体流入口、第1流体流出口、第2流体流入口、及び第2流体流出口のそれぞれが各回収管及び各供給管に接続された状態で、圧力交換装置の他端側から圧力交換部が挿脱自在に、つまり、圧力交換部を離脱させるときに干渉するような部材がないように圧力交換装置が配置されているので、圧力交換装置の他端側から圧力交換部を容易に離脱させることができ、極めて容易に保守作業を行うことができる。
【0016】
本発明による圧力交換ユニットの第二の特徴構成は、同請求項4に記載したとおり、上述の第一特徴構成に加えて、前記第1流体供給管、前記第1流体回収管、前記第2流体供給管、及び前記第2流体回収管が横姿勢で配置され、各圧力交換装置の圧力交換部が縦方向に挿脱自在に配置されている点にある。
【0017】
圧力交換部が縦方向に挿脱自在に配置されているため、単に圧力交換装置から圧力交換部を上方または下方に抜き取れば、直ちに圧力交換部の保守点検作業が行える。
【0018】
本発明による圧力交換ユニットの第三の特徴構成は、同請求項5に記載したとおり、上述の第一特徴構成に加えて、前記第1流体供給管、前記第1流体回収管、前記第2流体供給管、及び前記第2流体回収管が縦姿勢で配置され、各圧力交換装置の圧力交換部が横方向に挿脱自在に配置されている点にある。
【0019】
圧力交換部が横方向に挿脱自在に配置されているため、単に圧力交換装置から圧力交換部を横に抜き取れば、直ちに圧力交換部の保守点検作業が行える。
【0020】
本発明による圧力交換装置の点検方法の第一の特徴構成は、同請求項6に記載したとおり、上述の第一から第三の何れかの特徴構成を備えた圧力交換ユニットに取り付けられた圧力交換装置の点検方法であって、圧力交換装置は圧力交換部を収容するケーシングと圧力交換装置の他端側にケーシングを閉止する第2エンドカバーを有して構成され、各供給管及び回収管と、前記第1流体流入口、前記第1流体流入口、前記第2流体流入口、前記第2流体流出口のそれぞれが接続された状態で、前記圧力交換装置の他端側に取り付けられた第2エンドカバーを取り外し、前記圧力交換装置から前記圧力交換部を離脱して、前記圧力交換装置を点検する点にある。
【0021】
上述の構成によれば、ケーシングの他端側に取り付けられた第2エンドカバーを取り外せば、ケーシングから圧力交換部を容易に離脱し、直ちに圧力交換装置の保守点検作業が行なえる。
【0022】
本発明による圧力交換装置の点検方法の第二の特徴構成は、同請求項7に記載したとおり、上述の第一の特徴構成に加えて、前記圧力交換装置は、一端側から第1流体が流入及び流出する第1流路と前記一端側から第2流体が流入及び流出する第2流路とが配設された回転体と、第1流体を前記第1流路に案内する第1流体流入路と、第1流体との間で圧力交換された第2流体を前記第2流路から案内する第2流体流出路と、第2流体を前記第2流路に案内する第2流体流入路と、第2流体との間で圧力交換された第1流体を前記第1流路から案内する第1流体流出路とが形成された第1側方部材と、前記回転体を第1側方部材との間で保持部材を介して挟持する第2側方部材と、前記回転体を貫通し、前記第1側方部材と前記第2側方部材の支持部で支持された支軸とで形成された前記圧力交換部と、前記圧力交換部を収容するケーシングと、前記第1側方部材に隣接して各流入口、流出口を有し、前記ケーシングと連結する第1エンドカバーと、前記第2側方部材に隣接して前記ケーシングと連結する第2エンドカバーと、を有して構成され、各供給管及び回収管と前記第1流体流入口、前記第1流体流入口、前記第2流体流入口、前記第2流体流出口がそれぞれ前記第1エンドカバーに接続された状態で、前記第2エンドカバーを取り外し、前記支軸に備えた装着部に治具を装着し、前記治具により前記ケーシングから前記圧力交換部を離脱して、前記圧力交換装置を点検する点にある。
【0023】
ケーシングの他端側に取り付けられた第2エンドカバーを取り外せば、回転体を貫通し、第1側方部材と第2側方部材の支持部で支持された支軸に対して、第2側方部材側の支持部に備えた装着部が露出するので、当該装着部に治具を装着して筒状ケーシングから圧力交換部を離脱させれば、直ちに圧力交換装置の保守点検作業が行える。例えば、各圧力交換装置の筒状ケーシングに収容された圧力交換部が縦方向に挿脱自在に配置されている場合には、装着部にクレーン牽引治具を装着することにより、容易に圧力交換部を吊り上げることができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したとおり、本発明によれば、保守点検作業が極めて容易な圧力交換装置、圧力交換ユニット、及び圧力交換装置の点検方法を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】海水淡水化施設の概略フロー図
【図2】圧力交換装置を説明する断面図
【図3】圧力交換ユニットの平面図
【図4】圧力交換ユニットの正面図
【図5】圧力交換ユニットの側面図
【図6】(a)は別実施例を示す圧力交換ユニットの平面図、(b)は同正面図
【図7】(a)は別実施例を示す圧力交換ユニットの平面図、(b)は同正面図
【図8】(a)は別実施例を示す圧力交換ユニットの平面図、(b)は同正面図、(c)は同側面図
【図9】(a)は別実施例を示す圧力交換ユニットの平面図、(b)は同正面図
【図10】(a)は別実施例を示す圧力交換ユニットの平面図、(b)は同正面図
【図11】回転体の説明図であって、(a)は正面図、(b)は断面図、(c)は背面図
【図12】第1側方部材の説明図であって(a)は正面図、(b)は断面概略図、(c)は背面図
【図13】第2側方部材の説明図であって、(a)は正面図、(b)は図5(a)のE−E線断面図、(c)は背面図
【図14】(a)は図4(c)に示す第1流体流入路のA−A線断面図、(b)は図4(c)に示す第2流体流出路のB−B線断面図、(c)は図4(c)に示す第2流体流入路のC−C線断面図、(d)は図4(c)に示す第1流体流出路のD−D線断面図
【図15】回転体に形成された各流路と第1側方部材に形成された各流入路及び各流出路の位置を示す説明図
【図16】封止部材の説明図であって、(a)は正面図、(b)は断面概略図、(c)は背面図
【図17】別実施形態を示す圧力交換ユニットの平面図
【図18】別実施形態を示す圧力交換装置の断面図
【図19】従来の圧力交換装置の説明図
【図20】(a)は従来の圧力交換ユニットの斜視図、(b)は同正面図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明による圧力交換装置、圧力交換ユニット、及び圧力交換装置の点検方法を図面に基づいて説明する。
【0027】
図1に示すように、海水淡水化施設は、海水中の夾雑物を取り除く前処理部1と、前処理部1で前処理された海水を貯留するろ過海水槽2と、ろ過海水槽2に貯留された海水を保安フィルターに供給する供給ポンプ3と、逆浸透膜装置6の詰まりを防止するため海水中の微細な異物を除去する保安フィルター4と、保安フィルター4を通過した海水を昇圧する高圧ポンプ5と、昇圧された海水が供給される逆浸透膜装置6を備えている。逆浸透膜装置6によって海水中の各種塩類が除去され、飲料用水や工業用水等として利用できるように淡水化される。
【0028】
逆浸透膜装置6は、浸透膜の一方側の海水に圧力をかけることにより、逆浸透膜の他方側に海水中の各種塩類が除去された淡水を染み出させる装置であり、ろ過するためには、海水を浸透圧以上の所定の圧力にする必要がある。
【0029】
逆浸透膜装置6は、供給された海水のすべてを淡水化できるものではない。例えば、逆浸透膜装置6に供給される海水のうち40%は淡水化されて排水されるが、残りの60%は淡水化されずに非常に圧力の高い高圧濃縮海水として排水される。
【0030】
そこで、逆浸透膜装置6から排水される高圧濃縮海水のもつ余剰圧力を有効なエネルギーとして回収して利用する圧力交換装置10を備えている。
【0031】
ろ過海水槽2から逆浸透膜装置6に供給される海水のうち、40%は高圧ポンプ5で浸透圧以上の所定の圧力、例えば、6.9MPaまで昇圧される。逆浸透膜装置6に供給される残りの60%の海水(以下、「低圧海水」と記す)は、圧力交換装置10が逆浸透膜装置6から排水される高圧濃縮海水から回収した余剰圧力(6.75MPa)と、ブースターポンプ7により6.9MPaまで昇圧される。
【0032】
つまり、圧力交換装置10は、逆浸透膜装置6から排水される高圧濃縮海水Hiの圧力により、被濃縮流体である低圧海水Liを昇圧して、高圧海水Hoとしてブースターポンプ7を経由して逆浸透膜装置6に供給するとともに、圧力交換装置10に供給される低圧海水Liにより前記圧力が回収された後の低圧濃縮海水Loを排水する圧力交換処理を行なう。
【0033】
このように、圧力交換装置10は、逆浸透膜装置6から排水される高圧濃縮海水Hiの余剰圧力を捨てることなく逆浸透膜装置6に供給される低圧海水Liの昇圧に利用して、逆浸透膜装置6でのろ過に必要な圧力の一部を補うので、海水淡水化施設全体のエネルギー効率が向上する。
【0034】
図2に示すように、圧力交換装置10は、一端側が第1エンドカバー14で封止され、他端側が第2エンドカバー15で封止された筒状ケーシング13と、筒状ケーシング13に収容された圧力交換部50を備えている。
【0035】
圧力交換部50は、第1エンドカバー14に対向配置された第1側方部材20と、第2エンドカバー15に対向配置された第2側方部材30と、それら側方部材20,30で挟持された筒状の保持部材11と、第1側方部材20及び第2側方部材30の対向面側の中央部に突出形成された軸部20a,30bに支持された圧力伝達部として機能する回転体40とで構成されている。
【0036】
回転体40には、一端側から第1流体が流入及び流出する第1流路41と、同じく一端側から第2流体が流入及び流出する複数の第2流路42とが他端側で連通可能に回転軸心周りに放射状に複数本配設されている。
【0037】
第1側方部材20には、第1流体を第1流路41に案内する第1流体流入路21と、第1流体との間で圧力交換された第2流体を第2流路42から案内する第2流体流出路22と、第2流体を第2流路42に案内する第2流体流入路23と、第2流体との間で圧力交換された第1流体を第1流路41から案内する第1流体流出路24とが厚み方向に形成されている。
【0038】
第2側方部材30には、回転体40の回転に伴って回転体40の他端側で第1流路41と第2流路42を連通する連通路31,32,33,34が形成されている。
【0039】
回転体40の回転に伴って第1流路41と第2流路42とを連通路31,32または連通路33,34で連通することによって、第1流体流入口25を介して第1流体流入路21から第1流路41に供給された高圧の第1流体と、第2流体流入口27を介して第2流体流入路23から第2流路42に供給された低圧の第2流体との間で圧力交換が行なわれ、その結果、高圧の第2流体が第2流体流出路22を介して第2流体流出口26から流出する一方で、低圧の第1流体が第1流体流出路24を介して第1流体流出口28から流出する。
【0040】
つまり、逆浸透膜装置から排水される高圧濃縮流体が第1流体として第1流体流入口25から第1流体流入路21に供給され、被濃縮流体、即ち海水が第2流体として第2流体流入口27から第2流体流入路23に供給される。
【0041】
図3から図5に示すように、圧力交換ユニット60は、上下2段に設置された架台70に組み込まれている。架台70の上段に圧力交換前の第1流体を供給する第1流体供給ヘッダー管61、圧力交換後の第2流体を回収する第2流体回収ヘッダー管64が固定され、架台70の下段に圧力交換前の第2流体を供給する第2流体供給ヘッダー管63、及び圧力交換後の第1流体を回収する第1流体回収ヘッダー管62が固定されている。第1流体供給ヘッダー管61及び第2流体供給ヘッダー管63が流体供給管として機能し、第1流体回収ヘッダー管62と第2流体回収ヘッダー管64が流体回収管として機能する。
【0042】
各ヘッダー管61,62,63,64は並列して(図3から図5では、互いに軸心が平行姿勢となるように)配置され、各ヘッダー管61,62,63,64に沿って上述した圧力交換装置10が複数台(図面では4台×2列)配列されるように架台70の上段に固定され、各ヘッダー管61,62,63,64に第1流体流入管51、第1流体流出管52、第2流体流入管53、及び第2流体流出管54のそれぞれが接続されている。
【0043】
第1流体流入管51は第1流体供給ヘッダー管61と第1流体流入口25を接続するための配管であり、第1流体流出管52は第1流体回収ヘッダー管62と第1流体流出口28を接続するための配管であり、第2流体流入管53は第2流体供給ヘッダー管63と第2流体流入口27を接続するための配管であり、第2流体流出管54は第2流体回収ヘッダー管64と第2流体流出口26を接続するための配管である。各配管51,52,53,54には、各ヘッダー管61,62,63,64との接続部と管軸心を合わせて接続するための連結管が介挿されている。尚、接続部と管軸心とが容易に整合可能な場合には、連結管は必須ではなく、連結管を不要とすると圧力交換ユニット60の一層の小型化を図ることができる。
【0044】
第1流体供給ヘッダー管61、第1流体回収ヘッダー管62、第2流体供給ヘッダー管63、及び第2流体回収ヘッダー管64が横姿勢で配置され、圧力交換装置10の一端側、つまり第1エンドカバー14側が下方を向き、圧力交換装置10の他端側、つまり第2エンドカバー15側が上方を向く縦姿勢で配置されている。
【0045】
図2に示すように、圧力交換部50は、第1側方部材20と第2側方部材30に両端を支持された支軸43を備え、支軸43に貫通され、回転体40の両端部で回転体40を回転自在に支持する軸部48a,48bが、第1及び第2側方部材20,30の対向面側に突出するように、第1及び第2側方部材20,30と一体に形成されている。
【0046】
六角ボルトで構成される支軸43は、第2側方部材30から第1側方部材20に向けて挿入され、第1側方部材20側でナットによって締付固定されている。第2側方部材30の上端部中央には六角ボルトの頭部を収容可能な深さの凹部30bが形成され、六角ボルトの頭部にはその軸方向に雌ねじ部43aが形成されている。
【0047】
一端側が第1エンドカバー14にボルト固定されたケーシング13に、上述の圧力交換部50が収容され、その上から封止板35介して第2エンドカバー15が配置され、第1エンドカバー14と第2エンドカバー15とがその外周部でタイボルトとナットによって固定されている。
【0048】
図2及び図4に示すように、各圧力交換装置10の保守点検時には、各圧力交換装置10が配管51,52,53,54を介して各ヘッダー管61,62,63,64に接続された状態で、先ず、タイボルトのナット12cを取り外して第2エンドカバー15及び封止板35を取り外し、次に、六角ボルト(支軸43)の頭部に形成された雌ねじ部43aにアイボルト75を螺着し、当該アイボルト75のリング部にクレーン装置のフックを係合させて圧力交換部50全体を吊り上げて、ケーシング13から離脱させる。
【0049】
つまり、支軸43に対して、第2側方部材30側の支持部に備えた装着部として機能する雌ねじ部43aに、アイボルト75を治具として装着し、アイボルト75を介してケーシング13から圧力交換部を吊り上げて離脱させる。
【0050】
更に、圧力交換部50を作業台に載置して、支軸43を取り外せば、第1側方部材20と、第2側方部材30と、回転体40とに分離でき、それぞれのクリーニングや点検作業が行なわれる。
【0051】
点検作業が終了すると、逆の手順で圧力交換部50を組み上げて、組み上げた圧力交換部50をクレーンでケーシング13に収容し、更に、封止板35を介して第2エンドカバー15を固定する。
【0052】
従って、圧力交換装置10を保守点検する際に、各ヘッダー管61,62,63,64と接続されている各配管51,52,53,54を取り外すことなく、ケーシング13の他端側から内部に収容された圧力交換部50を容易に離脱させることができ、保守作業が極めて容易になる。
【0053】
尚、保守点検作業時に圧力交換ユニット60を停止させた状態で各圧力交換装置10を順に点検する例を説明したが、各配管51,52,53,54に開閉バルブを設ければ、圧力交換ユニット60の稼動中に特定の圧力交換装置10のみを点検することも可能になる。つまり、点検対象の圧力交換装置10に対する開閉バルブを閉止することにより、システムから切り離すことが可能になる。
【0054】
図3から図5で説明した圧力交換ユニット60の構成は一例であり、本発明による圧力交換ユニット60の構成はこれに限定されるものではない。
【0055】
例えば、図3から5に示した圧力交換ユニット60の配置を天地逆にした圧力交換ユニット60であってもよい。
【0056】
例えば、図6(a),(b)に示すように、一列に配置された各ヘッダー管61,62,63,64の側方にその長手方向に圧力交換装置10を配列し、各配管51,52,53,54と各ヘッダー管61,62,63,64を接続してもよいし、図7(a),(b)に示すように、一列に配置された各ヘッダー管61,62,63,64の上部に、各配管51,52,53,54が対称形状となるように交互に圧力交換装置10を配列してもよい。
【0057】
同様に、図8(a),(b),(c)に示すように、上下に配置された各ヘッダー管61,62,63,64の両側にその長手方向に沿って圧力交換装置10を配列し、各配管51,52,53,54と各ヘッダー管61,62,63,64を接続してもよい。
【0058】
また、第1流体供給ヘッダー管61、第1流体回収ヘッダー管62、第2流体供給ヘッダー管63、及び第2流体回収ヘッダー管64が縦直姿勢で配置され、各圧力交換装置10のケーシング13に収容された圧力交換部50が横方向に挿脱自在に配置されていてもよい。
【0059】
例えば、図9(a),(b)に示すように、各ヘッダー管61,62,63,64が縦姿勢で二列に配置され、横姿勢の圧力交換装置10が上下に配列されるものであってもよいし、図10(a),(b)に示すように、各ヘッダー管61,62,63,64が縦姿勢で一列に配置され、横姿勢の圧力交換装置10が上下に配列されるものであってもよい。
【0060】
この場合には、六角ボルトの頭部に形成された雌ねじ部44aに螺着したアイボルト75のリング部に係合して、圧力交換部50を横方向に引き抜く引抜装置と、引抜装置により引き出された圧力交換部50を支持する案内レールを備えた保守用の架台を準備すれば作業性がより向上する。
【0061】
また、回収管及び供給管は軸心が平行姿勢で配置される直管で構成される例を説明したが、圧力交換装置との接続を考慮して曲管で構成してもよい。例えば、図17に示すように、圧力交換後の第2流体を回収する第2流体回収ヘッダー管64が一本の合流管に合流するように構成される場合、各ヘッダー管64を合流部に向けて僅かに傾斜させた姿勢で並列に配置し、一端側に曲管部64Aが形成されていてもよい。
【0062】
尚、図面には表されていないが、何れの場合にも、各圧力交換装置10やヘッダー管等は架台70に固定されている。
【0063】
以下、上述した圧力交換装置10の主要部を更に詳しく説明する。
図2及び図11(a),(b),(c)に示すように、回転体40には、16組の第1流路41と第2流路42が回転軸心周りに放射状に配置されている。各第1流路41と各第2流路42は、回転体40を回転軸心方向に貫通するように形成されている。なお、第1流路41の断面積と第2流路42の断面積は略等しくなるように形成されている。
【0064】
回転体40と第1側方部材20及び第2側方部材30との間には、各流体が進入するような隙間が形成され、当該隙間に進入した流体の圧力によって、回転体40の回転時に第1側方部材20及び第2側方部材30との間の摺動が回避され、円滑に回転するように構成されている。
【0065】
このため、第1側方部材20及び第2側方部材30には夫々回転体40との対向面とは異なる端面方向へと圧力が作用するが、連結部材12で第1エンドカバー14と第2エンドカバー15とを締結することで、第1側方部材20及び第2側方部材30に作用する前記圧力を受けている。
【0066】
よって、第1側方部材20及び第2側方部材30が流体の圧力によって歪むようなことなく、回転体40と第1側方部材20及び第2側方部材40との夫々の隙間は一定に保たれ、回転体40のより円滑な回転が可能となり効率が向上する。また、隙間に進入した流体は、潤滑剤の役割もかねており、より円滑な回転を可能としている。
【0067】
図2及び図12(a),(b),(c)に示すように、第1流体流入路21は、第1側方部材20の開口部21aから開口部21bにかけて回転体40の周方向に沿って複数の第1流路41と連通するように拡径して形成された第1傾斜部としての流路壁21cを備えて構成されている。
【0068】
第2流体流出路22は、第1側方部材20の開口部22aから開口部22bにかけて回転体40の周方向に沿って複数の第2流路42と連通するように拡径して形成された第2傾斜部としての流路壁22cを備えて構成されている。
【0069】
第2流体流入路23は、第1側方部材20の開口部23aから開口部23bにかけて回転体40の周方向に沿って複数の第2流路42と連通するように拡径して形成された第2傾斜部としての流路壁23cを備えて構成されている。
【0070】
第1流体流出路24は、第1側方部材20の開口部24aから開口部24bにかけて回転体40の周方向に沿って複数の第1流路41と連通するように拡径して形成された第1傾斜部としての流路壁24cを備えて構成されている。
【0071】
流路壁21cの傾斜方向と流路壁23cの傾斜方向は円周方向に対して同じ向きに設定され(図14(a),(c)参照)、流路壁21cの傾斜方向と流路壁22cの傾斜方向が円周方向に対して逆になるように設定され(図14(b),(d)参照)、流路壁23cの傾斜方向と流路壁24cの傾斜方向が円周方向に対して逆になるように設定され(図14(c),(d)参照)、各流入路及び流出路が回転体40に対するトルク付与機構を構成する。
【0072】
第1流体流入路21は、第1側方部材20の開口部21aから開口部21bにかけて回転体40の周方向に沿って複数の第1流路41と連通するように拡径して形成されているので、高圧濃縮海水Hiは流路壁21cに沿って分散し複数の第1流路41に流入する。
【0073】
このとき、高圧濃縮海水Hiは回転体40の周方向に沿って流れ、第1流路41の壁面へ圧力を付与する、つまり、回転体40を回転させるトルクを発生する。
【0074】
第2流体流出路22は、第1側方部材20の開口部22aから開口部22bにかけて回転体40の周方向に沿って複数の第2流路42と連通するように拡径して形成されているので、隣接する複数の第2流路42を流れる高圧海水Hoが合流して流路壁22cを経て流出する。
【0075】
このときに、高圧海水Hoは、第2流路42から第2流体流出路22に流れる水の通水断面積を広くする向きに第2流路42の壁面へ圧力を付与する、つまり、回転体40を回転させるトルクを発生する。
【0076】
流路壁21cの傾斜方向と流路壁22cの傾斜方向が逆になるように設定されているので、高圧濃縮海水Hiが第1流体流入路21から第1流路41に流入するときに発生するトルクと、高圧海水Hoが第2流路42から第2流体出路22へと流出するときに発生するトルクが同じ向きになる。
【0077】
つまり、回転体40に流入する高圧濃縮海水Hiと回転体40から流出する高圧海水Hoのエネルギーにより回転体40を回転させるトルクを発生させるので、何れか一方のエネルギーのみにより回転体40を回転させる場合より、大きなトルクを発生させることができる。
【0078】
同様に、低圧海水Liが第2流体流入路23から第2流路42に流入するときのエネルギーにより回転体40に付与されるトルクと、低圧濃縮海水Loが第1流路41から第1流体流出路24へと流出するときのエネルギーにより回転体40に付与されるトルクも同じ向きになる。
【0079】
このように、トルク付与機構が、第1流路41に流入する高圧濃縮海水Hiのエネルギーと第2流路42から流出する高圧海水Hoのエネルギー、及び、第2流路42に流入する低圧海水Liのエネルギーと第1流路41から流出する低圧濃縮海水Loのエネルギーにより回転体40を回転させるトルクを発生させる。
【0080】
図2に示すように、第1エンドカバー14には、第1流体流入路21と連通する第1流体流入口25と、第2流体流出路22と連通する第2流体流出口26と、第2流体流入路23と連通する第2流体流入口27と、第1流体流出路24と連通する第1流体流出口28が形成されている。第1エンドカバー14とケーシング13はボルトで螺着されている。第1エンドカバー14のケーシング13との接触面には、円周方向にシールが配設され、ケーシング13の外部に流体が漏れるのが防止される。
【0081】
さらに、第1エンドカバー14の第1側方部材20との対向面側の中央部には凹部が形成され、該凹部と第1側方部材20の外側面とで第1閉空間16を構成し、第1流体流入路21と第1閉空間16とを連通する第1連通路17により、第1閉空間16には高圧濃縮海水Hiが流入するように構成されている。第1連通路17から第1閉空間16に流入した高圧濃縮海水Hiの圧力は、第1側方部材20を回転体40に向けて押圧するように作用する。
【0082】
この第1側方部材20を回転体40に向けて押圧する力は、回転体40内の第1または第2流体が、第1側方部材20に作用する押圧力と釣り合うので、第1側方部材を薄肉化しても流体の圧力によって回転軸心方向に歪むような事態が回避され、回転体40と第1側方部材20との隙間は一定に保たれ、回転体の円滑な回転が可能となる。
【0083】
図2及び図13(a),(b),(c)に示すように、第2側方部材30には、第1側方部材20の各開口部21b,22b,23b,24b(図14参照)に対向する位置に、第1流路41と第2流路42とを連通して濃縮海水と海水との間で圧力を交換するための連通部31,32,33,34が形成されている。
【0084】
回転体40の回転に伴って、連通部31,32を介して第1流路41と第2流路42が連通し、第1流路41に流入した高圧の濃縮海水と第2流路42に流入している低圧海水との間で圧力伝達が行なわれ、高圧となった海水が第2流路42から流出する。
【0085】
また、回転体40の回転に伴って、連通部33,34を介して第2流路42と第1流路41が連通し、第2流路42に流入した低圧海水と第1流路41に流入している濃縮海水との間で圧力伝達が行なわれ、濃縮海水が第1流路41から流出する。
【0086】
圧力交換時には、第1流体流入路21から周方向に隣接する複数の第1流路41に高圧濃縮海水が流入し、連通部31,32を介して同じく周方向に隣接する複数の第2流路42と同時に連通し、圧力交換後の高圧海水が第2流体流出路22を介して流出する。
【0087】
このとき、トルク付与機構の作用で、各第1流路41及び第2流路42の圧損が周方向で異なるため、第1流路41から連通部31に流入した流体が連通部32を経由して圧損の低い第2流路42に流出すると、トルク付与機構は適正に機能せず、回転力が低下する虞がある。尚、圧損の低い流路とは、流入路から流出路へと直線的に連通している通路(例えば、後述する図15の41b,42oや42j,41g)のことである。
【0088】
同様の現象が連通部33,34でも発生する虞がある。そのため、トルク付与機構による適正なトルクが維持されるように、連通部31,32及び連通部33,34の中央部には、それぞれ第2側方部材30の表面よりも僅かに低い高さの隔壁wが形成されている。
【0089】
この隔壁wにより、周方向への流れが制限され、圧損の低い流路への流れ(例えば、後述する図15の41bから42oや42jから41gへの流れ)を阻害し、径方向に隣接する第1流路から第2流路または第2流路から第1流路への流れ(例えば、後述する図15の42bから42bや42jから41jへの流れ)を生じさせ、トルク付与機構を適正に機能させることができる。
【0090】
図15に示すように、回転体40には、16組の圧力伝達部、つまり、第1流路41a〜41pと第2流路42a〜42pが回転軸心周りに放射状に配設されている。図15中の二点鎖線で示す領域は、第1側方部材20の第1流体流入路21の開口部21bと、第2流体流出路22の開口部22bと、第2流体流入路23の開口部23bと、第1流体流出路24の開口部24bに対応する領域を表している。
【0091】
第1流体流入路21には、隣接する第1流路41c,41b,41a,41p,41o,41nの6本が同時に連通し、第2流体流出路22には、第1流路41c,41b,41a,41p,41o,41nと第2側方部材30内で連通した第2流路42c,42b,42a,42p,42o,42nが同時に連通する。第2流体流入路23には、隣接する第2流路42f,42g,42h,42i,42j,42kの6本が同時に連通し、第1流体流出路24には、第2流路42f,42g,42h,42i,42j,42kと第2側方部材30内で連通した第1流路41f,41g,41h,41i,41j,41kが連通する。
【0092】
第1流体流入路21に流入した高圧濃縮海水Hiが、第1流路41c,41b,41a,41p,41o,41nの夫々に分散して流入するときに、高圧濃縮海水Hiは、流路壁21cに沿って流れ、回転体40には、図15中一点鎖線矢印が示すように時計回りのトルクが付与される。
【0093】
第1流路41c,41b,41a,41p,41o,41nに流入した高圧濃縮海水Hiの圧力は、夫々第2側方部材30内で連通した第2流路42c,42b,42a,42p,42o,42nの海水に伝達され、高圧海水Hoが第2流路42c,42b,42a,42p,42o,42nから第2流体流出路22へと流出する。
【0094】
高圧海水Hoが第2流路42c,42b,42a,42p,42o,42nから第2流体流出路22へと流出する際に、流れを広くするように流路壁22cに沿って流れ、回転体40には、図15中一点鎖線矢印が示すように時計回りのトルクが付与される。
【0095】
第2流体流入路23に流入した低圧海水Liが、第2流路42f,42g,42h,42i,42j,42kの夫々に分散して流入するときに、低圧海水Liは、流路壁23cに沿って流れ、回転体40には、図15中一点鎖線矢印が示すように時計回りのトルクが付与される。
【0096】
第2流路42f,42g,42h,42i,42j,42kに流入した低圧海水Liの圧力は、夫々第2側方部材30内で連通した第1流路41f,41g,41h,41i,41j,41kの濃縮海水に伝達され、低圧濃縮海水Loが第1流路41f,41g,41h,41i,41j,41kから第1流体流出路24へと流出する。
【0097】
低圧濃縮海水Loが第1流路41f,41g,41h,41i,41j,41kから第1流体流出路24へと流出する際に、流れを広くするように流路壁24cに沿って流れ、回転体40には、図15中、一点鎖線矢印が示すように時計回りのトルクが付与される。
【0098】
高圧濃縮海水Hiが第1流体流入路21から複数の第1流路41に分散して流入するときに、高圧濃縮海水Hiの圧力は回転体40の隣接する第1流路41の間の端面40a(図11参照)に作用し、回転体40を第2側方部材30側へ押圧し、高圧海水Hoが複数の第2流路42から第2流体流出路22へ流出するときに、高圧海水Hoの圧力は回転体40の隣接する第2流路42の間の端面40aに作用し、回転体40を第2側方部材30側へ押圧する。
【0099】
同様に、低圧海水Liが第2流体流入路23から複数の第2流路42に分散して流入するときに、低圧海水Liの圧力は回転体40の隣接する第2流路42の間の端面40aに作用し、回転体を第2側方部材に押圧し、低圧濃縮海水Loが複数の第1流路41から第1流体流出路24へ流出するときに、高圧海水Hoの圧力は回転体40の隣接する第1流路41の間の端面40aに作用し、回転体40を第2側方部材30側へ押圧する。
【0100】
このように、回転体40には、第1流路41及び第2流路42に流入出する流体が端面40aに作用するため、第2側方部材30側へと押圧される力が働くが、第2側方部材に形成された連通部31,32,33,34に第1流体及び第2流体が流入し、回転体40の端面40bに作用して、回転体40を第1側方部材20側へ押圧するので、両端面40a,40bに作用する押圧力が釣り合うとともに押圧力の分布も等しくなり、回転体40は第1側方部材20または第2側方部材30に一方的に摺動するようなことがなくなり、円滑に回転することができる。
【0101】
さらに、第2側方部材30の連通部31,32,33,34が形成された面には、2本の連通溝37a,37bが形成されている。連通溝37a,37bは、例えば数ミリ程度の溝で形成され、連通部34と連通部31の間、及び連通部32と連通部33の間に配置されることで、回転体40と第2側方部材30との隙間を通って高圧流体が低圧流体の連通路へと進入する際の大きな圧力変動、低圧流体が高圧流体の連通路へと進入する際の大きな圧力変動を緩和する。
【0102】
図2及び図16に示すように、第2側方部材30と第2エンドカバー15の間には、封止板35が配設されている。封止板35の一面に形成された溝部と、第2側方部材30とで第2閉空間38a,38bが区画されるように構成されている。第2閉空間38a,38bは、隔壁38cで区画されている。封止板35には、第2側方部材30と接触する端面にシール36aが備えられ、周囲にシール36bが備えられている。
【0103】
封止板35の他面は第2エンドカバーとボルトで固定され、連結部材12のナット12b,12cを締め付けることで、封止板35を第2側方部材30側へと押圧するように構成されている。
【0104】
なお、封止板35と第2エンドカバー15を一体に形成してもよく、この場合は、第2側方部材30と、第2エンドカバーとで第2閉空間38が区画される。
【0105】
第2側方部材30の連通部31,32には、高圧流体を第2閉空間38aへと導く第2連通路39aが厚み方向に貫通形成され、連通部33,34には、低圧流体を第2閉空間38bへと案内する第2連通路39bが厚み方向に貫通形成されている。
【0106】
第2閉空間38a,38bには、回転体40内の流体が第2連通路39a,39bを介して流入し、流入した流体の圧力は第2側方部材30を回転体40に向けて押圧するように作用する。
【0107】
回転体40内の高圧濃縮海水Hiと高圧海水Hoが、第2側方部材30に作用する押圧力と釣り合うので、第2側方部材を薄肉化しても流体の圧力によって回転軸心方向に歪むような事態が回避され、回転体40と第2側方部材30との隙間は一定に保たれ、回転体の円滑な回転が可能となる。
【0108】
上述のように、第1側方部材20と第2側方部材30には、回転体40内の流体によって軸心方向外側への圧力がかかるが、第1閉空間16に第1連通路17を介して第1流体流入路21に供給される高圧濃縮海水Hiが導かれ、第2閉空間38a,38bに第2連通路39a,39bを介して第1流路41、第2流路42内の高圧濃縮海水Hi及び低圧海水Liが導かれる。第1側方部材20及び第2側方部材30は、夫々回転体40の回転軸心方向に歪む、または回転軸心に対して傾くことを防ぐことができ、支軸43に無駄な応力がかかることがない。
【0109】
保持部材11は円筒状に形成され、その内周径は回転体40の直径より僅かに大きく設定され、その長さは回転体40の回転軸心方向長さより僅かに長く設定されている。保持部材11の周面には、第3連通路45が貫通形成され、回転体40と保持部材11の隙間に進入した高圧濃縮海水Hiまたは高圧海水Loが第3連通路45を介して、保持部材11の外周面とケーシング13の内周面とで区画される外周閉空間46に流入するように構成されている。
【0110】
このように、回転体40の各端面と第1側方部材20及び第2側方部材30の隙間と、回転体40の外周と保持部材11の隙間には各流体が進入するが、当該隙間は狭すぎると回転体40と第1側方部材20または第2側方部材30、回転体40と保持部材11が摺動して回転に対する抵抗となり、広すぎると高圧の流体から低圧の流体へと漏れる量が多すぎて圧力の交換効率が低下するため、例えば、1〜100μm程度が好ましい。この隙間は、回転体40と保持部材11の軸方向の長さの差によって設定されるが、摺動の発熱により膨張しても前記隙間の距離を一定にできるように熱膨張率が同等の素材で形成することが好ましい。
【0111】
回転体40と第1側方部材20及び第2側方部材30との隙間を介して、回転体40の外周面と保持部材11の内周面との隙間に進入した流体が、保持部材11に形成された第3連通路45を介して、保持部材11の外周面とケーシング13の内周面との外周閉空間46に進入する。
【0112】
外周閉空間46に導かれた流体の圧力は、回転体40と保持部材11の内周面との隙間に作用する流体の圧力と略等しく、保持部材11の内周面と外周面の両面に作用する押圧力が釣り合うので、保持部材11を薄肉化しても径方向に歪むような事態が回避される。そのため、運転中に回転体40と保持部材11との隙間は広がることなく、所定の隙間が保持されるので円滑に回転できるようになる。
【0113】
第1側方部材20、第2側方部材30、回転体40、保持部材11は、アルミナ等のセラミックス、FRP、または、二相ステンレス鋼やスーパー二相ステンレス鋼等のように、海水に対する耐食性があり、十分に強度のある材料を用いることができる。また、二相ステンレス鋼やスーパー二相ステンレス鋼を用いた場合には、回転体40と第1側方部材20及び第2側方部材30との対向面、及び保持部材11の内周面を窒化処理し、或は、アルミナ等のセラミックを溶射し、肉盛溶接し、或はHIP処理して摩擦係数を低減する耐磨耗層を形成することが好ましい。また、回転体40と保持部材11は、熱膨張率が同等の素材を選択して構成することが好ましい。
【0114】
ケーシング13は、樹脂材料、FRPまたは、二相ステンレス鋼やスーパー二相ステンレス鋼等の金属材料のように、海水に対する耐食性があり、ある程度強度を備えた材料で形成されている。ステンレス鋼等の高強度の金属管を樹脂材料やセラミックスで被覆して耐食性を付加して構成してもよい。これにより、耐食性に劣る安価な材料を利用することができコストダウンが図られる。
【0115】
このような圧力交換ユニット60に組み込まれる圧力交換装置10の具体的な構造は上述したものに限定されるものではなく、一端側から第1流体が流入及び流出する第1流路と前記一端側から第2流体が流入及び流出する第2流路とが配設された圧力伝達部と、第1流体を前記第1流路に案内する第1流体流入路と、第1流体との間で圧力交換された第2流体を前記第2流路から案内する第2流体流出路と、流体を前記第2流路に案内する第2流体流入路と、第2流体との間で圧力交換された第1流体を前記第1流路から案内する第1流体流出路とが形成され、前記圧力伝達部の一端側に設けられた第1側方部材と、前記圧力伝達部の他端側に設けられた第2側方部材と、で圧力交換部が形成され、第1流体及び第2流体を供給または排出する第1流体流入口と第1流体流出口と第2流体流入口と第2流体流出口とを備えた第1エンドカバーを前記第1側方部材に隣接して備え、前記第2側方部材側から前記圧力交換部が挿脱自在に構成されている圧力交換装置であればよい。
【0116】
図18には、このような他の圧力交換装置が示されている。圧力交換装置10は、一端側から第1流体が流入及び流出する第1流路41と前記一端側から第2流体が流入及び流出する第2流路42とが配設された圧力伝達部40と、第1流体を第1流路41に案内する第1流体流入路21と、第1流体との間で圧力交換された第2流体を第2流路42から案内する第2流体流出路22と、流体を第2流路42に案内する第2流体流入路23と、第2流体との間で圧力交換された第1流体を第1流路41から案内する第1流体流出路24とが形成され、圧力伝達部の一端側に設けられた第1側方部材20と、圧力伝達部40を第1側方部材20との間で挟持する第2側方部材30と、で圧力交換部が形成され、第1流体及び第2流体を供給または排出する第1流体流入口25と第1流体流出口28と第2流体流入口27と第2流体流出口26とを備えた第1エンドカバー14を第1側方部材20に隣接して備え、第2側方部材30側から圧力交換部が挿脱自在に構成されている。
【0117】
第2側方部材30に第1流路41と第2流路42とを連通させて圧力伝達可能な連通部31,33が形成されている。また、第1エンドカバー14の内部に第1側方部材20が回転可能に収容され、圧力伝達部40の端面に形成されたフランジ部と第1エンドカバー14とがボルトBLTで締め付けられている。
【0118】
このような圧力交換装置10では、各ヘッダー管(図示せず)と、第1流体流入口25と第1流体流出口28と第2流体流入口27と第2流体流出口26とがそれぞれ接続された状態で、ボルトBLTを取り外すことにより、圧力交換装置10から圧力交換部を離脱させることができる。
【0119】
上述した何れの圧力交換装置でも、連通部31,32,33,34を第2側方部材30に形成しているが、回転体40に形成することもできる。
【0120】
以上説明した圧力交換装置、圧力交換ユニットの具体的構成は実施形態の記載に限定されるものではなく、本発明による作用効果を奏する範囲において適宜変更設計可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0121】
6:逆浸透膜装置
10:圧力交換装置
11:保持部材
13:ケーシング
14:第1エンドカバー
15:第2エンドカバー
20:第1側方部材
21:第1流体流入路
22:第2流体流出路
23:第2流体流入路
24:第1流体流出路
30:第2側方部材
40:圧力伝達部(回転体)
41:第1流路
42:第2流路
43:支軸
Hi:高圧濃縮海水(濃縮流体)
Li:低圧海水(被濃縮流体)
Ho:高圧海水(被濃縮流体)
Lo:低圧濃縮海水(濃縮流体)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流体と第2流体との間で圧力を交換する圧力交換装置であって、
一端側から第1流体が流入及び流出する第1流路と前記一端側から第2流体が流入及び流出する第2流路とが配設された圧力伝達部と、
第1流体を前記第1流路に案内する第1流体流入路と、第1流体との間で圧力交換された第2流体を前記第2流路から案内する第2流体流出路と、第2流体を前記第2流路に案内する第2流体流入路と、第2流体との間で圧力交換された第1流体を前記第1流路から案内する第1流体流出路とが形成され、前記圧力伝達部の一端側に設けられた第1側方部材と、
前記圧力伝達部の他端側に設けられた第2側方部材と、
で圧力交換部が形成され、
第1流体及び第2流体を供給または排出する第1流体流入口と第1流体流出口と第2流体流入口と第2流体流出口とを備えた第1エンドカバーを前記第1側方部材に隣接して備え、前記第2側方部材側から前記圧力交換部が挿脱自在に構成されている圧力交換装置。
【請求項2】
前記圧力伝達部は前記第1流路と第2流路が回転軸心周りに貫通して配設された回転体であり、
前記第1側方部材の第1流体流入路と第2流体流出路と第2流体流入路と第1流体流出路とが厚み方向に形成され、
前記圧力伝達部は保持部材を介して前記第1側方部材と前記第2側方部材との間で回転可能に挟持されて前記圧力交換部を構成し、
前記圧力交換部は一端側に前記第1エンドカバーと他端側に第2エンドカバーとを備えたケーシングに収容されている請求項1記載の圧力交換装置。
【請求項3】
圧力交換前の第1流体を供給する第1流体供給管、圧力交換後の第1流体を回収する第1流体回収管、圧力交換前の第2流体を供給する第2流体供給管、及び圧力交換後の第2流体を回収する第2流体回収管が互いに並列に配置され、
各回収管及び各供給管と接続する第1流体流入口と第1流体流出口と第2流体流入口と第2流体流出口を一端側に備え、他端側に圧力交換部が挿脱自在に構成されている圧力交換装置が、前記回収管または供給管に沿って複数台配列され、当該接続状態で前記圧力交換装置の他端側から圧力交換部が挿脱自在に配置されている圧力交換ユニット。
【請求項4】
前記第1流体供給管、前記第1流体回収管、前記第2流体供給管、及び前記第2流体回収管が横姿勢で配置され、各圧力交換装置の圧力交換部が縦方向に挿脱自在に配置されている請求項3記載の圧力交換ユニット。
【請求項5】
前記第1流体供給管、前記第1流体回収管、前記第2流体供給管、及び前記第2流体回収管が縦姿勢で配置され、各圧力交換装置の圧力交換部が横方向に挿脱自在に配置されている請求項3記載の圧力交換ユニット。
【請求項6】
請求項3から5の何れかに記載の圧力交換ユニットに取り付けられた圧力交換装置の点検方法であって、
圧力交換装置は圧力交換部を収容するケーシングと圧力交換装置の他端側にケーシングを閉止する第2エンドカバーを有して構成され、
各供給管及び回収管と、前記第1流体流入口、前記第1流体流入口、前記第2流体流入口、前記第2流体流出口のそれぞれが接続された状態で、前記圧力交換装置の他端側に取り付けられた第2エンドカバーを取り外し、前記圧力交換装置から前記圧力交換部を離脱して、前記圧力交換装置を点検する圧力交換装置の点検方法。
【請求項7】
前記圧力交換装置は、
一端側から第1流体が流入及び流出する第1流路と前記一端側から第2流体が流入及び流出する第2流路とが配設された回転体と、
第1流体を前記第1流路に案内する第1流体流入路と、第1流体との間で圧力交換された第2流体を前記第2流路から案内する第2流体流出路と、第2流体を前記第2流路に案内する第2流体流入路と、第2流体との間で圧力交換された第1流体を前記第1流路から案内する第1流体流出路とが形成された第1側方部材と、
前記回転体を第1側方部材との間で保持部材を介して挟持する第2側方部材と、
前記回転体を貫通し、前記第1側方部材と前記第2側方部材の支持部で支持された支軸とで形成された前記圧力交換部と、
前記圧力交換部を収容するケーシングと、
前記第1側方部材に隣接して各流入口、流出口を有し、前記ケーシングと連結する第1エンドカバーと、
前記第2側方部材に隣接して前記ケーシングと連結する第2エンドカバーと、を有して構成され、
各供給管及び回収管と前記第1流体流入口、前記第1流体流入口、前記第2流体流入口、前記第2流体流出口がそれぞれ前記第1エンドカバーに接続された状態で、前記第2エンドカバーを取り外し、
前記支軸に備えた装着部に治具を装着し、前記治具により前記ケーシングから前記圧力交換部を離脱して、
前記圧力交換装置を点検する請求項6記載の圧力交換装置の点検方法。
【請求項1】
第1流体と第2流体との間で圧力を交換する圧力交換装置であって、
一端側から第1流体が流入及び流出する第1流路と前記一端側から第2流体が流入及び流出する第2流路とが配設された圧力伝達部と、
第1流体を前記第1流路に案内する第1流体流入路と、第1流体との間で圧力交換された第2流体を前記第2流路から案内する第2流体流出路と、第2流体を前記第2流路に案内する第2流体流入路と、第2流体との間で圧力交換された第1流体を前記第1流路から案内する第1流体流出路とが形成され、前記圧力伝達部の一端側に設けられた第1側方部材と、
前記圧力伝達部の他端側に設けられた第2側方部材と、
で圧力交換部が形成され、
第1流体及び第2流体を供給または排出する第1流体流入口と第1流体流出口と第2流体流入口と第2流体流出口とを備えた第1エンドカバーを前記第1側方部材に隣接して備え、前記第2側方部材側から前記圧力交換部が挿脱自在に構成されている圧力交換装置。
【請求項2】
前記圧力伝達部は前記第1流路と第2流路が回転軸心周りに貫通して配設された回転体であり、
前記第1側方部材の第1流体流入路と第2流体流出路と第2流体流入路と第1流体流出路とが厚み方向に形成され、
前記圧力伝達部は保持部材を介して前記第1側方部材と前記第2側方部材との間で回転可能に挟持されて前記圧力交換部を構成し、
前記圧力交換部は一端側に前記第1エンドカバーと他端側に第2エンドカバーとを備えたケーシングに収容されている請求項1記載の圧力交換装置。
【請求項3】
圧力交換前の第1流体を供給する第1流体供給管、圧力交換後の第1流体を回収する第1流体回収管、圧力交換前の第2流体を供給する第2流体供給管、及び圧力交換後の第2流体を回収する第2流体回収管が互いに並列に配置され、
各回収管及び各供給管と接続する第1流体流入口と第1流体流出口と第2流体流入口と第2流体流出口を一端側に備え、他端側に圧力交換部が挿脱自在に構成されている圧力交換装置が、前記回収管または供給管に沿って複数台配列され、当該接続状態で前記圧力交換装置の他端側から圧力交換部が挿脱自在に配置されている圧力交換ユニット。
【請求項4】
前記第1流体供給管、前記第1流体回収管、前記第2流体供給管、及び前記第2流体回収管が横姿勢で配置され、各圧力交換装置の圧力交換部が縦方向に挿脱自在に配置されている請求項3記載の圧力交換ユニット。
【請求項5】
前記第1流体供給管、前記第1流体回収管、前記第2流体供給管、及び前記第2流体回収管が縦姿勢で配置され、各圧力交換装置の圧力交換部が横方向に挿脱自在に配置されている請求項3記載の圧力交換ユニット。
【請求項6】
請求項3から5の何れかに記載の圧力交換ユニットに取り付けられた圧力交換装置の点検方法であって、
圧力交換装置は圧力交換部を収容するケーシングと圧力交換装置の他端側にケーシングを閉止する第2エンドカバーを有して構成され、
各供給管及び回収管と、前記第1流体流入口、前記第1流体流入口、前記第2流体流入口、前記第2流体流出口のそれぞれが接続された状態で、前記圧力交換装置の他端側に取り付けられた第2エンドカバーを取り外し、前記圧力交換装置から前記圧力交換部を離脱して、前記圧力交換装置を点検する圧力交換装置の点検方法。
【請求項7】
前記圧力交換装置は、
一端側から第1流体が流入及び流出する第1流路と前記一端側から第2流体が流入及び流出する第2流路とが配設された回転体と、
第1流体を前記第1流路に案内する第1流体流入路と、第1流体との間で圧力交換された第2流体を前記第2流路から案内する第2流体流出路と、第2流体を前記第2流路に案内する第2流体流入路と、第2流体との間で圧力交換された第1流体を前記第1流路から案内する第1流体流出路とが形成された第1側方部材と、
前記回転体を第1側方部材との間で保持部材を介して挟持する第2側方部材と、
前記回転体を貫通し、前記第1側方部材と前記第2側方部材の支持部で支持された支軸とで形成された前記圧力交換部と、
前記圧力交換部を収容するケーシングと、
前記第1側方部材に隣接して各流入口、流出口を有し、前記ケーシングと連結する第1エンドカバーと、
前記第2側方部材に隣接して前記ケーシングと連結する第2エンドカバーと、を有して構成され、
各供給管及び回収管と前記第1流体流入口、前記第1流体流入口、前記第2流体流入口、前記第2流体流出口がそれぞれ前記第1エンドカバーに接続された状態で、前記第2エンドカバーを取り外し、
前記支軸に備えた装着部に治具を装着し、前記治具により前記ケーシングから前記圧力交換部を離脱して、
前記圧力交換装置を点検する請求項6記載の圧力交換装置の点検方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−76379(P2013−76379A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217231(P2011−217231)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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