説明

圧力低下装置

【課題】圧力下にある媒体の消費装置の安全装置の改造若しくは後付けを不要にする。
【解決手段】第1の弁2が設けられており、第1の弁の下流側に第1の圧力制御装置3が配置されており、第1の圧力制御装置の低圧側における作動圧力は、前記下流側に配置された消費装置又は消費系の設定圧力を下回る値に調節されるようになっており、第1の圧力制御装置に圧力表示器が対応配置されており、第1の圧力制御装置の下流側に第2の圧力制御装置4が配置されており、第2の圧力制御装置の低圧側における作動圧力は、第1の圧力制御装置の低圧側における作動圧力を下回る値に調節されるようになっており、第2の圧力制御装置に圧力表示器が対応配置されており、第2の圧力制御装置の下流側に第2の弁6が配置されており、第2の弁を迂回するバイパス導管7が設けられており、該バイパス導管内に第3の弁8が配置されているようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力下にある媒体の圧力を低下させるための圧力低下装置であって、前記媒体が圧力低下された後で、下流側に配置された消費装置又は消費系に供給されるようになっており、該消費装置又は消費系は、所定の設定圧力を有している形式の圧力低下装置に関する。
【0002】
更に本発明は、移動搬送装置、特に車両、であって、圧力下にある媒体を蓄えるために使用される少なくとも1つの蓄え装置を有しており、該蓄え装置は、取出し導管若しくは充填導管を有している形式のものに関する。
【背景技術】
【0003】
冒頭で述べた形式の、圧力を低下させるための装置及び移動搬送装置は、圧縮された種々様々な媒体を配分する際に使用される。以下に、従来技術及び本発明を、水素を例に取って説明するが、以下の論述は原則として他のあらゆる媒体に適用可能である。
【0004】
現在使用されている水素トレーラーの場合、200barの公称圧力で圧縮水素が蓄えられる。水素消費装置若しくは水素消費者の水素消費系若しくは用途は、一般に50barの最高圧力用に設定されている。従って、水素トレーラーから供給される水素は、消費装置の水素系を極端に高い圧力で負荷しないということを保証する必要がある。この理由から、複数の相応の安全装置を設けなければならず、これらの安全装置は専ら、消費装置の水素系に組み込まれている。従って、汎用の水素トレーラーは、適当な安全装置無しで提供され得る。
【0005】
今日では、水素を搬送する圧力を、最高500bar以上に高めることが考えられている。これに適した蓄え装置が既にテストされて、成功を期待させる成果を出している。但し、このような高い圧力の変更は、消費装置に設けられた安全装置もやはり、この高い圧力に設定する必要があるということを意味しており、このことは結果的に水素消費装置に関して相応の投資コストを生ぜしめる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、冒頭で述べた形式の、圧力下にある媒体の圧力を低下させるための装置、及び少なくとも1つの蓄え装置を有する移動搬送装置を改良して、圧力下にある媒体の消費装置の安全装置の改造若しくは後付けを不要にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するために本発明では、圧力下にある媒体の圧力を低下させるための圧力低下装置であって、前記媒体は、圧力低下された後で、当該圧力低下装置の下流側に配置された消費装置又は消費系に供給されるようになっており、前記消費装置若しくは消費系は、所定の設定圧力を有している形式の圧力低下装置において、
‐第1の弁が設けられており、
‐該第1の弁の下流側に第1の圧力制御装置が配置されており、
‐該第1の圧力制御装置の低圧側における作動圧力は、前記下流側に配置された消費装置又は消費系の設定圧力を下回る値に調節されるようになっており、
‐第1の圧力制御装置に圧力表示器が対応配置されており、
‐第1の圧力制御装置の下流側に第2の圧力制御装置が配置されており、
‐該第2の圧力制御装置の低圧側における作動圧力は、第1の圧力制御装置の低圧側における作動圧力を下回る値に調節されるようになっており、
‐第2の圧力制御装置に圧力表示器が対応配置されており、
‐第2の圧力制御装置の下流側に第2の弁が配置されており、
‐該第2の弁を迂回するバイパス導管が設けられており、該バイパス導管内に第3の弁が配置されているようにした。
【0008】
更に、前記形式の圧力低下装置において、
‐第1の弁が設けられており、
‐該第1の弁の下流側に第1の外部媒体制御式又は内部媒体制御式の切換え弁が配置されており、
‐前記第1の切換え弁の低圧側における作動圧力は、前記下流側に配置された消費装置又は消費系の設定圧力を下回る値に調節されるようになっており、
‐第1の切換え弁の下流側に、第2の外部媒体制御式又は内部媒体制御式の切換え弁が配置されており、
‐該第2の切換え弁の低圧側における作動圧力は、第1の切換え弁の低圧側における作動圧力を下回る値に調節されるようになっており、
‐第2の切換え弁の下流側に第2の弁が配置されており、
‐該第2の弁を迂回するバイパス導管が設けられており、該バイパス導管内に第3の弁が配置されているようにした。
【0009】
更に、前記形式の圧力低下装置において、
‐第1の弁が設けられており、
‐該第1の弁の下流側に圧力制御装置が配置されており、
‐該圧力制御装置の低圧側における作動圧力は、前記下流側に配置された消費装置又は消費系の設定圧力を下回る値に調節されるようになっており、
‐前記圧力制御装置に圧力表示器が対応配置されており、
‐前記圧力制御装置の下流側に、外部媒体制御式又は内部媒体制御式の切換え弁が配置されており、
‐該切換え弁の低圧側における作動圧力は、前記圧力制御装置の低圧側における作動圧力を下回る値に調節されるようになっており、
‐前記切換え弁の下流側に第2の弁が配置されており、
‐該第2の弁を迂回するバイパス導管が設けられており、該バイパス導管内に第3の弁が配置されているようにした。つまり、圧力下にある媒体の圧力を低下させるための本発明による圧力低下装置の3つの択一的な構成が提案される。
【0010】
本発明による移動搬送装置は、圧力下にある媒体の圧力を低下させるための、本発明による少なくとも1つの圧力低下装置を有しており、該圧力低下装置は、移動搬送装置の取出し導管若しくは充填導管に対応配置されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
従属請求項に記載された、本発明による圧力を低下させるための装置、並びに本発明による移動搬送装置の別の有利な構成は、以下の特徴を有している。即ち:
‐第1及び/又は第2の圧力制御装置若しくは前記圧力制御装置が、背圧制御装置であり、
‐第1の弁及び(第1の)圧力制御装置の機能が、1つの圧力制御装置に統合されており、
‐第1及び/又は第2の外部媒体制御式又は内部媒体制御式の切換え弁、若しくは前記外部媒体制御式又は内部媒体制御式の切換え弁に、(1つの)圧力表示器、有利には(1つの)マノメータが対応配置されており、
‐全ての弁及び圧力制御装置若しくは切換え弁が、1つの制御ボックス又はバルブボックス内に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】圧力下にある媒体の圧力を低下させるための、本発明による圧力低下装置の1実施形態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための形態を図面につき詳しく説明する。
【0014】
圧力下にある媒体、例えば水素、の圧力を低下させるための、本発明による圧力低下装置の図示の1実施形態は、例えば手動弁として形成された第1の弁2を有しており、前記媒体は、当該装置に導管1を介して供給される。第1の弁2の下流側には第1の圧力制御装置3が配置されている。この圧力制御装置3の低圧側における作動圧力は、下流側に配置された、圧力を低下された媒体の消費装置又は系の設定圧力を下回る値に調節される。下流側に配置された媒体消費装置若しくは媒体系は、図面を見やすくするために図示されていない。図面には、移送導管10が示されているに過ぎず、この移送導管10は、カップリング9を介して本発明による圧力低下装置と接続された後に、圧力を低下された媒体若しくは水素の供給を可能にする。
【0015】
第1の圧力制御装置3の下流側には、第2の圧力制御装置4が配置されている。この第2の圧力制御装置4の低圧側における作動圧力は、第1の圧力制御装置3の低圧側における作動圧力を下回る値に調節される。この場合、第2の圧力制御装置4は、第1の圧力制御装置3の付加的な保護手段として役立つ。第1の圧力制御装置3及び第2の圧力制御装置4には、それぞれ圧力表示器、例えばマノメータA;Bが対応配置されている。第1の圧力制御装置3及び第2の圧力制御装置4は、有利には背圧制御装置(背圧を受けて背圧を制御する装置)として構成されている。
【0016】
更に、第2の圧力制御装置4の下流側には、有利にはやはり手動弁として形成された第2の弁6が配置されている。更に、本発明による圧力低下装置はバイパス導管7を有しており、このバイパス導管7には第3の弁8が配置されている。この第3の弁8も、有利には手動弁として形成されている。
【0017】
第1の圧力制御装置3及び第2の圧力制御装置4に対して択一的に、外部媒体制御式又は内部媒体制御式の切換え弁を使用することもできる。更に択一的には、第2の圧力制御装置4の代わりに、外部媒体制御式又は内部媒体制御式の切換え弁を使用することができる。
【0018】
既に述べたように、本発明による、圧力下にある媒体の圧力を低下させるための圧力低下装置は、例えば水素トレーラーで使用することができる。この場合、水素トレーラーに蓄えられた、例えば500bar又はそれ以上の圧力を有する水素が、導管1を介して本発明による圧力低下装置に供給される。以下に、本発明による圧力低下装置によって実現されるべき運転形式を説明する。
【0019】
本来の移し替え過程を開始する前に、まずいわゆる機能テストが実施される。この場合、弁2,6,8は閉じられている。次いで作業員によって、下流側に配置された媒体若しくは水素消費系(図面を見やすくするために図示せず)から空気が抜かれる。次いで、導管1,10が、カップリング9を介して互いに接続される。
【0020】
今、導管領域1及び/又は5に場合によっては存在する過剰圧力を、バイパス導管7を介して低下させるために、弁8が開放される。これに対して択一的に、破線で示した導管11を介した、大気への放圧も可能である。場合によっては存在する過剰圧力が低下されると直ちに、弁8は閉鎖される。次いで、弁2が(低速で)開放されて、マノメータA,Bにより、両圧力制御装置3,4の低圧側で調節された作動圧力が維持されるかどうかがテストされる。維持される場合には、水素消費系に通じる導管区分1,5,10を介して、媒体若しくは水素の移し替えを始めることができる。
【0021】
このためにはまず最初に、水素消費装置の放圧弁若しくは空気抜き弁(図示せず)が閉じられ、次いで第2の弁6が(低速で)開放される。
【0022】
移し替え過程を終了させるためには、弁2,6が、有利には順次閉鎖されて、前記水素消費装置の放圧弁が再び開放される。次いで、導管1,10間の接続部9を分離することができる。
【0023】
圧力下にある媒体の圧力を低下させるための本発明による圧力低下装置は、安全弁も、バーストディスクも必要としない。更に、その他の圧力作動式の放圧装置も不要である。更に、付加的な電気的エネルギ、計器用エアー等の供給も省くことができる。
【符号の説明】
【0024】
1 導管、 2 第1の弁、 3 第1の圧力制御装置、 4 第2の圧力制御装置、 5 導管領域、 6 第2の弁、 7 バイパス導管、 8 第3の弁、 9 カップリング、 10 移送導管、 11 導管、 A,B 圧力表示器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力下にある媒体の圧力を低下させるための圧力低下装置であって、前記媒体が圧力低下された後で、当該圧力低下装置の下流側に配置された消費装置又は消費系に供給されるようになっており、該消費装置又は消費系は、所定の設定圧力を有している形式の圧力低下装置において、
‐第1の弁(2)が設けられており、
‐該第1の弁(2)の下流側に第1の圧力制御装置(3)が配置されており、
‐該第1の圧力制御装置(3)の低圧側における作動圧力は、前記下流側に配置された消費装置又は消費系の設定圧力を下回る値に調節されるようになっており、
‐第1の圧力制御装置(3)に圧力表示器(A)が対応配置されており、
‐第1の圧力制御装置(3)の下流側に第2の圧力制御装置(4)が配置されており、
‐該第2の圧力制御装置(4)の低圧側における作動圧力は、第1の圧力制御装置(3)の低圧側における作動圧力を下回る値に調節されるようになっており、
‐第2の圧力制御装置(4)に圧力表示器(B)が対応配置されており、
‐第2の圧力制御装置(4)の下流側に第2の弁(6)が配置されており、
‐該第2の弁(6)を迂回するバイパス導管(7)が設けられており、該バイパス導管(7)内に第3の弁(8)が配置されていることを特徴とする、圧力下にある媒体の圧力を低下させるための圧力低下装置。
【請求項2】
圧力下にある媒体の圧力を低下させるための圧力低下装置であって、前記媒体が圧力低下された後で、当該圧力低下装置の下流側に配置された消費装置又は消費系に供給されるようになっており、該消費装置又は消費系は、所定の設定圧力を有している形式の圧力低下装置において、
‐第1の弁が設けられており、
‐該第1の弁の下流側に第1の外部媒体制御式又は内部媒体制御式の切換え弁が配置されており、
‐前記第1の切換え弁の低圧側における作動圧力は、前記下流側に配置された消費装置又は消費系の設定圧力を下回る値に調節されるようになっており、
‐第1の切換え弁の下流側に、第2の外部媒体制御式又は内部媒体制御式の切換え弁が配置されており、
‐該第2の切換え弁の低圧側における作動圧力は、第1の切換え弁の低圧側における作動圧力を下回る値に調節されるようになっており、
‐第2の切換え弁の下流側に第2の弁が配置されており、
‐該第2の弁を迂回するバイパス導管が設けられており、該バイパス導管内に第3の弁が配置されていることを特徴とする、圧力下にある媒体の圧力を低下させるための圧力低下装置。
【請求項3】
圧力下にある媒体の圧力を低下させるための圧力低下装置であって、前記媒体が圧力低下された後で、当該圧力低下装置の下流側に配置された消費装置又は消費系に供給されるようになっており、該消費装置又は消費系は、所定の設定圧力を有している形式の圧力低下装置において、
‐第1の弁が設けられており、
‐該第1の弁の下流側に圧力制御装置が配置されており、
‐該圧力制御装置の低圧側における作動圧力は、前記下流側に配置された消費装置又は消費系の設定圧力を下回る値に調節されるようになっており、
‐前記圧力制御装置に圧力表示器が対応配置されており、
‐前記圧力制御装置の下流側に、外部媒体制御式又は内部媒体制御式の切換え弁が配置されており、
‐該切換え弁の低圧側における作動圧力は、前記圧力制御装置の低圧側における作動圧力を下回る値に調節されるようになっており、
‐前記切換え弁の下流側に第2の弁が配置されており、
‐該第2の弁を迂回するバイパス導管が設けられており、該バイパス導管内に第3の弁が配置されていることを特徴とする、圧力下にある媒体の圧力を低下させるための圧力低下装置。
【請求項4】
第1及び/又は第2の圧力制御装置(3,4)若しくは前記圧力制御装置が、背圧制御装置である、請求項1又は2記載の装置。
【請求項5】
第1の弁(2)及び(第1の)圧力制御装置(3)の機能が、1つの圧力制御装置に統合されている、請求項1、3又は4記載の装置。
【請求項6】
第1及び/又は第2の外部媒体制御式又は内部媒体制御式の切換え弁、若しくは前記外部媒体制御式又は内部媒体制御式の切換え弁に、(1つの)圧力表示器、有利には(1つの)マノメータが対応配置されている、請求項2又は3記載の装置。
【請求項7】
全ての弁(2,6,8)及び圧力制御装置(3,4)若しくは切換え弁が、1つの制御ボックス又はバルブボックス内に配置されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
移動搬送装置であって、圧力下にある媒体を蓄えるために使用される少なくとも1つの蓄え装置を有しており、該蓄え装置は、取出し導管若しくは充填導管を有している形式のものにおいて、
当該移動搬送装置が、請求項1から7までのいずれか1項に記載の、圧力下にある媒体の圧力を低下させるための、少なくとも1つの圧力低下装置を有しており、該圧力低下装置は、移動搬送装置の取出し導管若しくは充填導管(1)に対応配置されていることを特徴とする、移動搬送装置。

【図1】
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【公開番号】特開2012−178155(P2012−178155A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−36198(P2012−36198)
【出願日】平成24年2月22日(2012.2.22)
【出願人】(391009659)リンデ アクチエンゲゼルシャフト (106)
【氏名又は名称原語表記】Linde Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Klosterhofstrasse 1, D−80331 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】