説明

圧力分散材及びその製造方法

【課題】好適な荷重分散性や透湿・吸水性が付与された複合高分子ヒドロゲルを含んでなる圧力分散材の提供。
【解決手段】水溶性有機モノマーの重合体(A)と、粘土鉱物(B)とから形成される三次元網目中に、低揮発性媒体(C)を含有する多孔質ゲルを含んでなる圧力分散材を提供する。低揮発性媒体(C)は、0.1g/cm2・hr・60℃・1atm以下の低揮発性媒体、あるいは20℃における蒸気圧が1000Pa以下で1気圧における沸点が130℃以上の低揮発性媒体とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力分散材及びその製造方法に関する。詳しくは、整形外科、外科、リハビリ、看護、介護、スポーツ等の医療や日用生活分野における褥瘡予防用具や各種装具の圧力吸収パッドなどに用いられる圧力分散材等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、寝具、椅子(車椅子含む)、乗物用シート、座布団等において、体圧を分散させ、快適性を高めたり褥瘡を予防したりするために、圧力分散材が用いられている。また、圧力分散材は、筋肉や関節用のサポーター、義肢や外固定材の下巻き材(巻軸包帯、アンダースリーブ等)、靴や足用装具のインソール、糖尿病等の足病を有する患者の除圧用パッドなどとして、摩擦、衝撃、圧力等を緩衝するためにも適用されている。
【0003】
これらの圧力分散材では、特に長時間使用するため体圧分散性や快適性を改善、向上させる試みがなされてきた。例えば、特許文献1には、「ゲル状物質中に、圧力変形の小さい物質を混合し、その物質を後から溶解または収縮させることによりそこに空洞を形成したことを特徴とする体圧力分散材」が開示されている(当該文献請求項1参照)。この体圧力分散材は、体圧分散性が良好であり、軽量で取扱い易いものとされている。
【0004】
また、特許文献2には、活性水素成分ポリエーテルポリオールと、有機ポリイソシアネートと、発泡剤とを必須成分として成り、かつ、所定の密度とずれ力を備えるクッション材が開示されている(当該文献請求項2参照)。このクッション材は、体圧分散性に優れ、せん断力に対して良好な特性を有するものとされている。
【0005】
本発明に関連して、近年、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)やポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)等の有機高分子と無機膨潤性クレイからなる、有機・無機複合高分子ヒドロゲル(以下、単に「有機・無機複合高分子ゲル」と称する)が開発されてきている(特許文献3参照)。
【0006】
有機・無機複合高分子ゲルは、従来にない高い力学物性を有するヒドロゲル材料として注目されている。特許文献4には、有機・無機複合高分子ゲルの発泡体であって、軽量性と高い伸縮性及び柔軟性を併せ持つゲル発泡体が開示されている。また、特許文献5には、大気開放系でも安定した性能を保持できる有機・無機複合高分子ゲルとして、低揮発性媒体を含有させたゲルが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−60533号公報
【特許文献2】特開2006−051067号公報
【特許文献3】特開2002−53629号公報
【特許文献4】特許4245406号公報
【特許文献5】特開2006−28446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献4,5には、有機・無機複合高分子ゲルあるいはその発泡体が、医療や衛生用品、家庭用品などの分野で用いられ得ることが記載されている。しかし、これらの有機・無機複合高分子ゲル等を上述の圧力分散材として用いることについては、開示がない。特に、圧力分散材のような人体に長時間接触させ、長期間使用する場合の技術については、何ら開示がない。
【0009】
そこで、本発明は、好適な荷重分散性が付与された有機・無機複合高分子ゲルを含んでなる圧力分散材を提供することを主な目的とする。
また、人体に長時間接触させ、長期間使用する場合でも、不快感の少ない有機・無機複合高分子ゲルを含んでなる圧力分散材を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題解決のため、本発明者らは、特に材料と生体が長時間接触する状況に着目して鋭意研究した結果、新たな特性を備える有機・無機複合高分子ゲルとして、本発明に係る圧力分散材に用いられる多孔質ゲルを完成させるに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、水溶性有機モノマーの重合体(A)と、粘土鉱物(B)とから形成される三次元網目中に、低揮発性媒体(C)を含有する多孔質ゲルを含んでなる圧力分散材を提供する。低揮発性媒体(C)は、0.1g/cm2・hr・60℃・1atm以下の低揮発性媒体、あるいは20℃における蒸気圧が1000Pa以下で1気圧における沸点が130℃以上の低揮発性媒体とされる。
この圧力分散材において、前記多孔質ゲルの発泡倍率は1.2〜20、嵩密度は1g/cm未満とされることが好適となる。
また、この圧力分散材において、前記水溶性有機モノマーの重合体(A)、粘土鉱物(B)及び低揮発性媒体(C)の合計質量(A+B+C)に対する、前記多孔質ゲル中での各成分の質量比は、水溶性有機モノマーの重合体(A)については0.003〜0.35、粘土鉱物(B)については0.002〜0.15、低揮発性媒体(C)については0.5〜0.995とされることが好適となる。
多孔質ゲルの発泡倍率と嵩密度及び各成分の配合比率を上記数値範囲とすることにより、多孔質ゲルは以下のような好適な透湿・吸水特性や力学的特性を示す。
すなわち、前記多孔質ゲルの透湿度は、同一相対湿度環境下において、温度26℃の環境下よりも、温度40℃の環境下の方が高値であり、同一温度環境下において、相対湿度80%の環境下よりも、相対湿度30%の環境下の方が高値である。
また、前記多孔質ゲルの30%変位での圧縮応力は15kPa以下であり、前記多孔質ゲルを70%変位以上圧縮した後、50%変位まで戻した時の応力は10kPa以下である。
この圧力分散材において、前記水溶性有機モノマーの重合体(A)には、(メタ)アクリルアミド及び/又は(メタ)アクリルアミド誘導体の重合物あるいは共重合物が好適に用いられる。
また、前記低揮発性媒体(C)には、多価アルコール、具体的にはグリセリン、ポリグリセリン、ポリエチエレングリコール、エチレングリコール及びプロピレングリコール並びにこれらの誘導体からなる群より選択される一以上の多価アルコールが好適に用いられる。
【0012】
本発明は、粘土鉱物(B)及び0.1g/cm2・hr・60℃・1atm以下の低揮発性媒体(C)とともに分散液中に分散させた水溶性有機モノマーを重合し、発泡させる工程を含む多孔質ゲルを含んでなる圧力分散材の製造方法と、粘土鉱物(B)とともに水を含む分散液中に分散させた水溶性有機モノマーを重合し、ゲルを形成した後、水の少なくとも一部を0.1g/cm2・hr・60℃・1atm以下の低揮発性媒体(C)で置換し、次いで発泡させる工程を含む多孔質ゲルを含んでなる圧力分散材の製造方法をも提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、好適な荷重分散性が付与された有機・無機複合高分子ゲルを含んでなる圧力分散材が提供される。
また、本発明により、発汗等の皮膚の生理機能にとって好適な特性が付与された有機・無機複合高分子ゲルを含んでなる圧力分散材が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例において評価したダンベル型試験片の形状を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0016】
1.圧力分散材
(1)水溶性有機モノマー重合体(A)
本発明に係る圧力分散材は、水溶性有機モノマーの重合体(A)と、粘土鉱物(B)とから形成される三次元網目中に、低揮発性媒体(C)を含有する多孔質ゲルを含んでなる。
【0017】
水溶性有機モノマー重合体(A)は、(メタ)アクリルアミド及び/又は(メタ)アクリルアミド誘導体の重合物あるいは共重合物とすることが好ましい。(メタ)アクリルアミド及び/又は(メタ)アクリルアミド誘導体の重合物あるいは共重合物は、水に分散させた粘土鉱物(B)と水素結合やイオン結合等の非共有結合によって結合し、三次元網目を形成する。
(メタ)アクリルアミド又はその誘導体としては、N-置換アクリルアミド誘導体、N,N-ジ置換アクリルアミド誘導体、N-置換メタクリルアミド誘導体、N,N-ジ置換メタクリルアミド誘導体などが挙げられる。具体的には、アクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N-シクロプロピルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-シクロプロピルメタクリルアミド、N-イソプロピルメタクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-メチル-N-エチルアクリルアミド、N-メチル-N-イソプロピルアクリルアミド、N-メチル-N-n-プロピルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N-アクリロイルピロリディン、N-アクリロイルピペリディン、N-アクリロイルメチルホモピペラディン、N-アクリロイルメチルピペラディンなどが例示される。これらモノマーは、他の有機モノマーとの共重合物としてもよい。
【0018】
これらのモノマーのうち、水溶液中でのポリマー物性(親水性と疎水性)がLCST(下限臨界共溶温度)を持つN-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミドなどが機能性の観点から好ましい。
【0019】
本発明に係る圧力分散材では、多孔質ゲル中に形成された気孔が加圧時に押し潰されて形状を変化させ、加圧が解除された際には気孔が再拡張して空隙を回復させる。押し潰された気孔の表面同士が密着してしまうことにより気孔の再拡張が阻害されるのを防止するため、モノマーの重合体は、粘土鉱物と適切な相互作用を有するネットワークを形成することが必要であり、そのためには、上記モノマーを複数組み合わせた共重合体が好ましい。
【0020】
(2)粘土鉱物(B)
粘土鉱物(B)は、水または水溶液中で膨潤するものであることが好ましく、より好ましくは水溶性有機モノマーを含む溶液中で層状剥離し、微細かつ均一に分散可能なものである。粘土鉱物(B)は、好ましくは10層以下、より好ましくは3層以下、特に好ましくは1層または2層のナノメーターレベル(の厚み)で分散しているものである。
【0021】
粘土鉱物(B)の分散は多孔質ゲルを乾燥したものの超薄切片を透過型電子顕微鏡により観察することによって確認される。また、同様な試料を用いた小角X線回折測定によっても確認され、回折角(2θ)が好ましくは3度〜8度で、より好ましくは2度〜8度で、特に好ましくは1度〜8度で粘土鉱物の積層に基づく明確な回折ピークが観測されないことによって確認される。
【0022】
また、粘土鉱物(B)は、水溶性有機モノマー重合体(A)と水素結合やイオン結合等の非共有結合によって結合し、三次元網目を形成するものであることが好ましい。すなわち、粘土鉱物(B)は、メチレンビスアクリルアミド等の有機架橋剤を用いないで水溶性有機モノマー重合体(A)との三次元網目を形成できるものである。
【0023】
粘土鉱物(B)としては、例えば、水膨潤性スメクタイトや水膨潤性雲母などの水中で膨潤し、層状剥離した状態で微分散することが可能な膨潤性の無機粘土鉱物が用いられる。具体的には、ナトリウムを層間イオンとして含む水膨潤性ヘクトライト、水膨潤性モンモリロナイト、水膨潤性サポナイト、水膨潤性合成雲母などが挙げられる。また、水溶性有機モノマーと共に溶媒中で層状剥離可能であれば、界面活性剤などにより部分的に有機化した粘土鉱物を用いることもできる。
【0024】
(3)低揮発性媒体(C)
低揮発性媒体(C)は、水溶性有機モノマー重合体(A)と粘土鉱物(B)とからなる三次元網目中に均一に含有されるもので、水より低い揮発性を有するものが用いられる。
【0025】
低揮発性媒体(C)は、揮発性が60℃・1気圧の開放系において1cm・1時間当たり0.1g以下、好ましくは0.05g以下、より好ましくは0.01g以下、さらに好ましくは0.001g以下のものが用いられる。特に好ましくは、室温(10〜30℃)においてほとんど揮発しないものである。
また、低揮発性媒体(C)は、20℃における蒸気圧が水より低いものが用いられ、20℃における蒸気圧が1000Pa以下のものが好ましく、より好ましくは100Pa以下、さらに好ましくは50Pa以下のものが用いられる。
さらに、低揮発性媒体(C)は、1気圧における沸点が水より高いものが用いられ、1気圧における沸点が130℃以上のものが好ましく、より好ましくは150℃以上、さらに好ましくは170℃以上のものが用いられる。
低揮発性媒体(C)は、揮発性が、0.1g/cm2・hr・60℃・1atm以下で、20℃における蒸気圧が1000Pa以下で、1気圧における沸点が130℃以上のものが、最適である。
【0026】
低揮発性媒体(C)としては、例えば、多価アルコール、多価アルコール誘導体、イオン液体、油等が挙げられる。このうち、親水性及び/又は吸湿性のものが後述する透湿性を発揮させるために好適であり、多価アルコール、多価アルコール誘導体が好ましく、多価アルコールが特に好ましい。これらの物質は、1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0027】
(3−1)多価アルコール
多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ポリグリセリン(ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン等)、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG600等)、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール(ペンタメチレングリコール)、1,2,6−へキサントリオール、オクチレングリコール(エトヘキサジオール)、ブチレングリコール(1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール 、2,3−ブタンジオール等)、へキシレングリコール、1,3−プロパンジオール(トリメチレングリコール)、1,6−ヘキサンジオール (ヘキサメチレングリコール)等が例示される。これらの多価アルコールの揮発性、蒸気圧、沸点を「表1」に示す。
【0028】
【表1】

※60℃・1atmの開放系で1cm2・1時間あたりの揮発量。単位は、g/cm2・hr・60℃・1atm。
【0029】
これらの多価アルコールのうち、グリセリン、ジグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールが好ましく、グリセリン、ジグリセリンがより好ましく、グリセリンが特に好ましい。
【0030】
(3−2)多価アルコール誘導体
多価アルコール誘導体としては、前記多価アルコールのエステル化合物、エーテル化合物等が挙げられる。例えば、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリグリコールジクロリド、1-ブトキシエトキシプロパノール、グリセリルモノアセテート、グリセリルジアセテート、グリセリルトリアセテート、グリセリルモノブチレート、グリセリンエーテル、ポリ(オキシエチレン-オキシプロピレン)誘導体等が挙げられる。これらの多価アルコール誘導体の蒸気圧、沸点を「表2」に示す。
【0031】
【表2】

【0032】
(3−3)イオン液体
イオン液体は、イオン性液体、常温溶融塩或いは単に溶融塩などと称されるものであり、150℃以下、より好ましく100℃以下、特に好ましくは60℃以下の温度域で液状の溶融状態を呈する塩である。
【0033】
本発明では、イオン液体は、親水性イオン液体と疎水性イオン液体とに大別される。本発明では、水とイオン液体とを質量比1:1で混合し、十分に撹拌後、静置し10分以内に水相とイオン液体の相に分離するものを疎水性イオン液体と定義し、10分経過しても相分離が観察されないものを親水性イオン液体と定義する。イオン液体が親水性であるか、疎水性であるかはカチオンとアニオンの組み合わせや、多様なカチオンの構造の僅かな違いなどにより異なる。
【0034】
親水性イオン液体の例として、以下が挙げられる。
カチオンとして、エチルメチルイミダゾリームイオン構造を有し、アニオンとして、塩素イオン、ブロムイオンや、チオシアン酸、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、トリフロロメタンスルホン酸、硝酸、メチルスルホン酸イオン構造等を有するイオン液体。
カチオンとして、ブチルメチルイミダゾリームイオン構造を有し、アニオンとして、塩素イオン、ブロムイオンや、チオシアン酸、テトラフルオロホウ酸、トリフロロメタンスルホン酸、硝酸、メチルスルホン酸イオン構造等を有するイオン液体。
カチオンとして、ヘキシルメチルイミダゾリーム、ブチルジメチルイミダゾリウムイオン構造を有し、アニオンとして、塩素イオン、ブロムイオンや、チオシアン酸、硝酸、メチルスルホン酸イオン構造等を有するイオン液体。
カチオンとして、エチルジメチルイミダゾリームイオン構造を有し、アニオンとして、塩素イオン、ブロムイオンや、チオシアン酸、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、トリフロロメタンスルホン酸、硝酸、メチルスルホン酸イオン構造等を有するイオン液体。
カチオンとして、エチルピリジニウムイオン構造を有し、アニオンとして、塩素イオン、ブロムイオンや、チオシアン酸、トリフロロメタンスルホン酸、硝酸、メチルスルホン酸イオン構造等を有するイオン液体。
【0035】
疎水性イオン液体の例として、以下が挙げられる。
カチオンとして、エチルメチルイミダゾリームイオン構造を有し、アニオンとして、ビス(トリフロロメチルスルホニル)イミド酸イオン構造を有するイオン液体。
カチオンとして、ブチルメチルイミダゾリームイオン構造を有し、アニオンとして、ヘキサフルオロリン酸、ビス(トリフロロメチルスルホニル)イミド酸イオン構造等を有するイオン液体。
カチオンとして、ヘキシルメチルイミダゾリーム、ヘキシルピリジニウムイオン構造等を有し、アニオンとして、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、トリフロロメタンスルホン酸、ビス(トリフロロメチルスルホニル)イミド酸イオン構造等を有するイオン液体。
【0036】
より具体的には、親水性イオン液体として、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム メチルサルフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム チオシアネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム エチルサルフェート、テトラブチルアンモニウム ハイドロキシド 30−ハイドレート等を使用することが好ましい。また、疎水性イオン液体として、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム ヘキサフロロホスフェートを使用することが好ましい。
【0037】
(3−4)油
油には、鉱油、植物油、動物油及び合成油等の公知の低揮発性油を、1種又は2種以上適宜組み合わせて用いることができる。
【0038】
鉱油としては、例えば、流動パラフィン、流動イソパラフィン、ナフテン油、石油ゼリー、ポリデセン、水素化ポリイソブテン等を挙げることができる。
【0039】
植物油としては、例えば、オリーブ油、オリーブスクワラン、マカデミアナッツ油、ホホバ油、ひまし油、やし油、パーム油、サフラワー油、ひまわり油、硬化やし油、硬化パーム油、アーモンド油、落花生油、綿実油、アボガド油、杏仁油、グレープシード油、トウモロコシ油、大豆油、菜種油、胡麻油、アプリコットオイル、シアバター油、コムギ胚種油、アンズ油、ハシバミ油、アルファルファ油、ケシ油、カボチャ油、インゲンマメ油、クロフサスグリ油、オオマツヨイグサ油、キビ油、オオムギ油、キノア油、ライムギ油、ククイ油、トケイソウ油、ジャコウバラ油等を挙げることができる。
【0040】
動物油としては、例えば、ラノリン、タートル油、ミツロウ、スクワレン、プリスタン、パーヒドロスクワラン等を挙げることができる。
【0041】
合成油としては、例えば、グリセリントリ−2−エチルヘキサノエート等の脂肪酸トリグリセライド;ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジメチルシロキサン、フェニルシリコーン、アミノシリコーン等のシリコーンオイル;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、プルセリンオイル,イソプロピルミリステート,2-エチルヘキシルパルミテート,2-オクチルドデシルステアレート,2-オクチルドデシルエルケート,イソステアリルイソステアレート等の脂肪酸エステル類;イソステアリルラクテート,オクチルヒドロキシステアレート,オクチルドデシルヒドロキシステアレート,ジイソステアリルマレート,クエン酸トリイソセチル,脂肪族アルコールのヘプタン酸エステル,オクタン酸エステル,デカン酸エステル等のヒドロキシル化エステル;プロピレングリコールジオクタノエート,ネオペンチルグリコールジヘプタノエート,ジエチレングリコールジイソノナノエート等のポリオールエステル;オクチルドデカノール,2-ブチルオクタノール,2-ヘキシルデカノール,2-ウンデシルペンタデカノール,オレイルアルコール等の脂肪族アルコール;オレイン酸、リノール酸およびリノレン酸等の高級脂肪酸;等を挙げることができる。
【0042】
(4)配合比率
水溶性有機モノマーの重合体(A)は、水溶性有機モノマーの重合体(A)、粘土鉱物(B)及び低揮発性媒体(C)の合計質量(以下、「合計質量(A+B+C)」と呼ぶことがある。)に対する質量比が、0.003〜0.35となるように配合されることが好ましく、0.05〜0.30となるように配合されることが更に好ましい。粘土鉱物(B)は、合計質量(A+B+C)に対する質量比が、0.002〜0.15となるように配合されることが好ましく、0.005〜0.10となるように配合されることが更に好ましい。低揮発性媒体(C)は、合計質量(A+B+C)に対する質量比が、0.5〜0.995となるように配合されることが好ましく、0.7〜0.95となるように配合されることが更に好ましい。
【0043】
各組成の配合比率を上記の数値範囲とすることで、多孔質ゲルに次に説明する好適な透湿・吸水特性と荷重分散性等の力学的特性を付与できる。
【0044】
(5)添加物
本発明に係る圧力分散材に用いられる多孔質ゲルには、以下の物質を含有させてもよい。これらの添加物については、好ましくはゲル発泡体の製造時に予め水溶性有機モノマーに混合し、場合によっては発泡後に発泡体に注入することもできる。
【0045】
(5−1)親水性高分子化合物
親水性高分子化合物として、天然、半合成又は合成の親水性高分子化合物を、1種又は2種以上適宜組み合わせて含有させることができる。親水性高分子化合物を配合することにより、ゲル中に水を包含させた場合に水の揮発を抑制できる。親水性高分子化合物は、圧力分散材としての長期の使用や耐久性の観点から、架橋や親水性官能基数の制御等により、水と接触しても崩壊又は溶解し難いものが好ましく、非水溶性のものがさらに好ましい。親水性高分子化合物はゲル発泡体中には、0.1〜50質量%添加することが好ましく、1〜20質量%添加することがさらに好ましい。
【0046】
天然親水性高分子化合物の具体例として、例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、デンプン(例えば、コメ、トウモロコシ、バレイショ及びコムギのデンプン)等の植物系高分子;キサンタンガム、デキストリン、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子;カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子等が挙げられる。
【0047】
半合成親水性高分子化合物の具体例として、例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子;メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム等のセルロース系高分子;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子等が挙げられる。
【0048】
合成親水性高分子化合物の具体例として、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子;ポリエチレンイミン等が挙げられる。
【0049】
(5−2)充填材等
従来公知の無機充填材、液状充填剤、難燃剤、繊維状強化材、着色剤などを含有させることができる。また、本発明のゲル発泡体を製造する過程で使用する水等の揮発性媒体を含有させておいてもよく、水を含有させる場合は、ゲル発泡体中に0.1〜60質量%含有させることが好ましく、1〜40質量%添加することがさらに好ましい。
【0050】
(6)発泡倍率・気孔孔径
本発明に係る圧力分散材は、ゲル中に気孔を含有することで、伸縮性を保ったままで低密度化され、高い柔軟性を発揮する。なお、ゲル中に形成する気孔の大きさ、独立気孔/連続気孔の種類、形状等は、特に限定されない。
【0051】
本発明に係る圧力分散材に用いられる多孔質ゲルの発泡倍率は、水溶性有機モノマー重合体(A)と、粘土鉱物(B)と、低揮発性媒体(C)を含有する分散液の発泡前の体積に対して1.2〜20、好ましくは1.5〜10とされる。発泡倍率を上記数値範囲とした場合、多孔質ゲルの嵩密度は、1g/cm未満、好ましくは0.05g/cm〜0.9g/cm、更に好ましくは0.1g/cm〜0.7g/cm、特に好ましくは0.15〜0.5g/cmとなる。
また、発泡により形成される気孔の平均孔径は、1〜1000μmであることが好ましく、より好ましくは5〜500μm、さらに好ましくは10〜300μm、特に好ましくは20〜200μmであることが更に好ましい。
【0052】
発泡倍率、嵩密度、及び気孔の平均孔径を上記の数値範囲とすることで、多孔質ゲルに次に説明する好適な透湿・吸湿特性と荷重分散性、圧縮応力、荷重時伸長等の力学的特性を付与できる。具体的には、多孔質ゲルの発泡倍率又は気孔の平均孔径が上記数値範囲の下限値より小さいと(嵩密度が上記数値範囲の上限値より大きいと)、十分な透湿性が付与され難く、発泡倍率又は気孔の平均孔径が上記数値範囲の上限値より大きいと(嵩密度が上記数値範囲の下限値より小さいと)、十分な荷重分散性や耐久性が付与され難くなる。
【0053】
(7)透湿・吸湿特性
本発明に係る圧力分散材に用いられる多孔質ゲルは、各組成の配合比率、発泡倍率(嵩密度)、及び気孔の平均孔径を所定の範囲とすること等により、好適な透湿・吸湿特性を発揮する。
多孔質ゲルの透湿度は、同一相対湿度環境下(例えば、30RH%、50RH%、又は80RH%のいずれかの環境)において、温度26℃の環境下よりも、温度40℃の環境下の方が高値となることが好ましい。この場合、温度26℃の環境下での多孔質ゲルの透湿度は、100〜2500g/m・dayが好ましく、温度40℃の環境下での多孔質ゲルの透湿度は、1000〜5000g/m・dayであることが好ましい。
また、多孔質ゲルの透湿度は、同一温度環境下(例えば、26℃、32℃、又は40℃のいずれかの環境)において、相対湿度80%の環境下よりも、相対湿度30%の環境下の方が高値となることが好ましい。この場合、相対湿度80%の環境下での多孔質ゲルの透湿度は、100〜2500g/m・dayが好ましく、相対湿度30%の環境下での多孔質ゲルの透湿度は、1000〜5000g/m・dayであることが好ましい。
このように、本発明の多孔質ゲルは、温度、湿度の環境によって透湿特性が変化するものであるが、例えば、相対湿度30%、温度40℃の環境下では透湿度は3000〜5000g/m・dayであることが好ましく、相対湿度50%、温度32℃の環境下では透湿度は1000〜3000g/m・dayであることが好ましく、相対湿度80%、温度26℃の環境下では透湿度は100〜1000g/m・dayであることが好ましい。
さらに、本発明の多孔質ゲルは、相対湿度30%の環境下に24時間放置後にはゲルの保持している水分が放出されゲル質量が減少し、相対湿度80%の環境下に24時間放置後には周囲の湿分を吸収してゲル質量が増加することが好ましい。
具体的には、本発明の多孔質ゲルは、同一温度環境下(例えば、26℃、32℃、又は40℃のいずれかの環境)において、相対湿度30%の環境下に24時間放置後にはゲル質量が1〜30%減少することが好ましく、2〜25%減少することが更に好ましい。また、本発明の多孔質ゲルは、同一温度環境下(例えば、26℃、32℃、又は40℃のいずれかの環境)において、相対湿度80%の環境下に24時間放置後にはゲル質量が5〜50%増加することが好ましく、10〜40%増加することが更に好ましい。
【0054】
本発明の圧力分散材は、上記のような透湿・吸湿特性を有するため、高温や高湿度で発汗や不感蒸泄等が多くなる場合には、過剰な湿分を吸湿・発散等するため、蒸れによる不快感や皮膚障害をなくし、乾燥時のドライスキン等に対しては、湿分を発散するため、保湿作用による皮膚改善を期待できる。このように、本発明の圧力分散材は、長時間使用した場合でも皮膚生理機能の恒常性、快適性を維持することができる。なお、圧力分散材の透湿性が高すぎると、荷重分散性が不十分となったり多孔質ゲルの耐久性が低下したりすることがある。一方、透湿性が低すぎると、蒸れ等による不快感が発生し易くなる。
【0055】
多孔質ゲルは、形成された気孔の空隙や上記低揮発性媒体中に湿気を保持し、温度や湿度等の環境変化により、気孔の空隙を通して水分を放出すると考えられる。本発明に係る圧力分散材に用いられる多孔質ゲルでは、発泡倍率を1.2〜20(嵩密度を1g/cm未満)とし、さらに気孔の平均孔径を1〜1000μm、より好ましくは5〜500μmに調整することにより、このような吸湿徐放性を調整し、上記の好適な透湿・吸湿特性を発揮し得るようにするものと考えられる。
【0056】
また、多孔質ゲルは、組成として含む低揮発性媒体(C)を多価アルコール又はその誘導体とした場合には、多価アルコール等の水との親和性により湿気を保持し、吸湿徐放性を示すものと考えられる。本発明に係る圧力分散材に用いられる多孔質ゲルでは、低揮発性媒体(C)の質量比(C)/{(A)+(B)+(C)}を0.5〜0.995とし、より好ましくは0.7〜0.95とし、親水性による吸湿徐放性を調整することにより、上記の好適な透湿性が発揮される。
【0057】
(8)荷重分散性
本発明に係る圧力分散材に用いられる多孔質ゲルは、発泡倍率等を所定の範囲としたことにより、好適な荷重分散性を発揮する。本発明に係る圧力分散材は、厚み50mmのシートとして寝具用マットレス、椅子や車椅子などのクッション材として用いた場合に、最大圧力が好ましくは160mmHg以下、さらに好ましくは130mmHg以下のものである。なお、圧力分散材を用いない際の最大圧力は、通常、200mmHg以上となる。本発明に係る圧力分散材は、約110mmHgと良好な荷重分散性を示す。
【0058】
本発明の圧力分散材は、このように好適な荷重分散性を有するため、整形外科、外科、リハビリ、看護、介護、スポーツ等の医療や日用生活分野における褥瘡予防用具や各種装具の圧力吸収パッドなどに用いられる圧力分散材等として好適である。圧力分散材の荷重分散性が不十分であると、局所的な応力集中により皮膚障害(場合によっては褥瘡)を発生したり、骨、関節等に障害を与えたりする原因となり得る。
【0059】
多孔質ゲルは、加圧時に気孔が押し潰されて形状を変化させることによって荷重分散性を示す。本発明に係る圧力分散材に用いられる多孔質ゲルでは、発泡倍率を1.2〜20(嵩密度を1g/cm未満)とし、荷重分散性を上記数値範囲に調整することにより、好適な体圧分散性能が発揮される。
【0060】
また、本発明に係る圧力分散材に用いられる多孔質ゲルでは、水溶性有機モノマーの重合体(A)、粘土鉱物(B)及び低揮発性媒体(C)を所定比率で配合し、多孔質ゲルの弾性および回復性を調整することにより、好適な体圧分散性能が発揮される。
【0061】
(9)その他の特性
(9−1)圧縮応力
本発明の圧力分散材は整形外科、外科、リハビリ、看護、介護、スポーツ等の医療や日用生活分野における褥瘡予防用具や各種装具の圧力吸収パッドなどに用いられる圧力分散材等として好適な荷重分散性に加えて、良好な衝撃吸収、荷重支持性を示す。具体的には圧力分散材の30%変位での圧縮応力が、15kPa以下であることが好ましく、0.5〜10kPaであることが更に好ましい。また前記圧分散材を70%変位以上圧縮した後、50%変位まで戻した時の応力が10kPa以下であることが好ましく、0.1〜8kPaであることが更に好ましい。
本発明の圧力分散材は上記の所定の特性を示すことにより圧縮方向のストレスを緩和し、かつ荷重支持性をも兼ね備えることができる。
【0062】
(9−2)粘弾性特性
本発明の圧力分散材は、ゲル材料特有の剪断応力分散性、より詳しくはゲル自身の柔らかさと粘弾性特性によって発現する剪断応力分散性を兼ね備えていることが望ましい。具体的には本発明の圧力分散材に用いられる多孔質ゲルは37℃、ひずみ速度1.0Hzにおける複素弾性率|G*|が1.0〜10.0kPaであり、損失正接tanδが0.01〜1.00であることが好ましく、複素弾性率|G*|が0.8〜8.0kPaであり、損失正接tanδが0.05〜0.50であることがより好ましい。また、本発明の圧力分散材の37℃、ひずみ速度0.1〜10.0Hzにおける複素弾性率|G*|が1.0〜10.0kPaであり、損失正接tanδが0.01〜1.00であることが好ましい。
本発明の圧力分散材は上記の所定の粘弾性特性を示すことにより皮膚表面及び内部に負荷される剪断方向のストレスを緩和し、かつ荷重支持性をも兼ね備えることができる。
【0063】
(9−3)伸長力・伸長率
本発明の圧力分散材に用いられる多孔質ゲルは、圧力分散材装着時に変形力を加えた際や、体荷重を加えた際に、皮膚にストレスをかけないように、100%伸長時の伸長力が、50kPa以下であることが好ましい。
また、本発明の圧分散材に用いられる多孔質ゲルは、体表面への密着性を高めるために、30kPa荷重時の伸長率が、100%以上であることが好ましい。
【0064】
(9−4)着座温湿度
本発明の圧力分散材は体表面環境を快適環境下に調節することが可能である。一般の被服内環境において快適とされる温湿度域は温度30.5〜33.5℃において湿度65RH%未満、より好ましくは31〜33℃において湿度40〜60RH%の環境であり、この好適環境条件は人体表面−装着物間においても同様と考えられる。本発明に用いられる多孔質ゲルは、前記の吸湿徐放性を有することにより人体表面と多孔質ゲルとの間の環境をこの快適環境に保つことが可能である。本発明の圧分散材を車椅子クッションとして用いた際の着座部臀裂辺りの温湿度は、温度31〜32℃、湿度50〜55%RHを維持し、快適な温湿度状態を保つことが可能である。
【0065】
2.圧力分散材の製造方法
本発明に係る圧力分散材の製造方法は、粘土鉱物及び0.1g/cm2・hr・60℃・1atm以下の低揮発性媒体とともに分散液中に分散させた水溶性有機モノマーを重合し、発泡させる工程を含む多孔質ゲルを含んでなる。
【0066】
具体的には、溶媒(水および低揮発性媒体)中で、層状剥離して均一に微分散した粘土鉱物の共存下に、水溶性有機モノマーを重合させる過程において、水溶性有機モノマーと粘土鉱物と溶媒との混合物に、発泡剤または気体を導入し、重合して発泡させる。あるいは、水溶性有機モノマーを重合後に溶媒中に、発泡剤または気体を導入し、発泡させてもよい。溶媒には、重合開始剤や触媒、他の水溶性化合物(添加物)を予め混合、溶解させておいてもよい。
また、本発明に係る圧力分散材の製造方法は、粘土鉱物とともに水を含む分散液中に水溶性有機モノマーと発泡剤を導入し、水溶性有機モノマーを重合してゲルを形成した後、水の少なくとも一部を0.1g/cm2・hr・60℃・1atm以下の低揮発性媒体で置換した後、発泡させる工程を含む多孔質ゲルを含んでなる。
具体的には、溶媒(水)中で層状剥離して均一に微分散した粘土鉱物の共存下に水溶性有機モノマーを重合させる過程において、水溶性有機モノマーと粘土鉱物と水との混合物に発泡剤を導入し、水溶性有機モノマーを重合した後、水の少なくとも一部を低揮発性媒体に置換し、その後、加熱等により発泡させる。溶媒には、重合開始剤や触媒、他の水溶性化合物(添加物)を予め混合、溶解させておいてもよい。
【0067】
発泡剤としては、ヘプタン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン等の低沸点の炭化水素化合物、塩素化炭化水素化合物、フロン、NaHCO、NaCO、CaCO等の炭酸塩などが好ましい。特に、操作が容易であり、環境に与える影響が小さいことから特に炭化水素化合物や炭酸塩は好ましく用いられる。発泡剤の添加量は、所望の発泡体の発泡倍率、用いる発泡剤の種類、発泡時の条件(例:温度や圧力)によって異なり、適宜選択される。例えばペンタンの場合、水溶性有機モノマー及び粘土鉱物に対して好ましくは50〜1000質量%が用いられる。発泡剤として、例えばペンタンを使用する場合は、ペンタンを重合過程で撹拌しながら加えてゲルを調製する。得られたゲルを大気中、室温または必要に応じて加温して保持することにより、発泡が生じ、均一なゲル発泡体を得ることができる。
【0068】
また、気体としては、不活性なガスが好ましく、例えば窒素ガス、炭酸ガスなどを挙げることができる。また、気体の導入量も、所望の発泡体の発泡倍率によって適宜選択される。気体を用いる場合には、例えば窒素ガスを重合過程で、好ましくは粘度が30mPa・s以上に上昇した時点で微細な泡となるように導入し、重合してゲル発泡体を得ることができる。
また、発泡剤として、熱により膨張する性質を有するマイクロカプセルが有効に用いられる。具体的な熱膨張性マイクロカプセルの例としては、熱可塑性高分子(例:ポリメタクリル酸メチル、ポリグリコール酸など)やその架橋高分子を殻(シェル)にして、その内部に低沸点炭化水を包み込んだマイクロカプセルがあげられる。かかる熱膨張性マイクロカプセルはゲル調製用の反応液中に導入され、その後、重合過程及び/又は重合化後に、好ましくは低揮発性媒体を含む有機無機複合ゲル中において熱膨張させ、膨張したマイクロカプセルとなり、ゲルを発泡状態とする働きを有する。用いる熱膨張性マイクロカプセルの大きさは必ずしも限定されないが、ゲル中の三次元網目に微細に分散して含まれるためには、1〜500μm、より好ましくは3〜100μm、特に好ましくは5〜50μmの範囲の大きさが用いられる。熱膨張性マイクロカプセルの使用量は、所望の発泡倍率、用いる熱膨張性マイクロカプセルの種類、膨張(発泡)時の条件(例:温度や圧力)によって異なり、適宜選択されるが、例えば、水溶性有機モノマーに対する質量比として、0.01〜10の範囲が好ましく用いられる。一方、膨張を起こさせる温度としては、有機無機複合ゲルの合成を阻害しない範囲が用いられる。例えば、膨張温度としてはゲルの重合温度以上とするのが好ましく、具体的には20℃〜250℃の範囲が用いられ、より好ましくは30℃〜200℃、更に好ましくは50℃〜150℃、特に好ましくは60℃〜120℃の範囲が用いられる。本発明で使用できる熱膨張性マイクロカプセルの具体的としては、例えば、マツモトマイクロスフェアーFシリーズ(松本製薬工業株式会社:F−20、F−30、F−36LV、F−36、F−48、F−50、F−78K、F−79、F−80S、F−82、F−100、F−102、F−105、F−170、F−190D、F−230D、F−260D、等)、FN−シリーズ(松本製薬工業株式会社:FN−100、FN−105、FN−180S、FN−180、等)があげられる。
【実施例】
【0069】
(実施例1)
水溶性有機モノマーとしてN、N−ジメチルアクリルアミド(興人株式会社製)を19.8g、膨潤性粘土鉱物として水膨潤性ヘクトライト(商標ラポナイトXLG、英国ロックウッド株式会社製)を4.58g、熱膨張性マイクロカプセル(F20:松本油脂製薬株式会社製、平均粒子径10〜20μm)14.85g(乾燥重量)、純水190g含む均一透明な溶液を500mlのガラス容器中で撹拌しながら調製した。該溶液を氷浴に入れ、次いで、ペルオキソ二硫酸カリウム0.2gを含む開始剤水溶液10gを撹拌して加え、均一反応溶液を得た。次いで、フィルム作成用ガラス容器(内容積60cm:縦10cm、横10cm、厚み6mm)に反応溶液を注入し、ガラス容器を50℃の恒温水槽に入れ5時間保持して、水溶性有機モノマーを重合させ、有機無機複合ゲルを調製した。熱膨張性マイクロカプセル/水溶性有機モノマー重合物の質量比は0.75。以上の工程は全て酸素を除いた状態にて行った。重合後、容器から取りだした有機無機複合ゲルを大過剰(ゲルの約5倍量)のグリセリンと水の混合溶液(グリセリン:水=71:29(質量比))中に入れ、40℃で60時間保持した。その間、12時間おきに新鮮な混合溶液に交換した。得られた有機無機複合ゲルの一部を切り出し、含まれているグリセリン量を乾燥重量と熱重量分析により測定した所、グリセリンの(高分子+粘土(ヘクトライト)+グリセリン)に対する質量比が0.89であり、高分子および粘土の(高分子+粘土(ヘクトライト)+グリセリン)に対する質量比は各々0.088および0.02であった。この有機無機複合ゲルを温度105℃のオートクレーブ内で20分処理することにより、熱膨張性マイクロカプセルを膨張させ、発泡状態のゲルを得た。更に、湿度60%、温度25℃の雰囲気で1日保持して調湿処理を行うことにより、有機無機複合多孔質ゲルを得た。得られた有機無機複合多孔質ゲルの媒体中の水/グリセリンの質量比は0.2であった。また、発泡(膨張)前の有機無機複合ゲルに対する有機無機複合多孔質ゲルの体積比(発泡倍率)は3.6であり、有機無機複合多孔質ゲルの密度は0.30g/cm3、平均気孔径は51μmであった。得られた有機無機多孔質ゲルは柔軟で、表面粘着性があり、取り扱い性に優れた軽量のゲル多孔質体であった。有機無機多孔質ゲルを一片が2cmで厚みが1cmの直方体に切り出して圧縮試験を、また1cm×1cmの断面で長さが7cmの直方体に切り出して延伸試験を行った。圧縮及び延伸試験には、島津製作所製卓上型万能試験機AGS−Hを用い、変形速度30mm/分及び50mm/分にて行った。その結果、圧縮試験において90%圧縮(元の長さの10%迄圧縮)しても破壊することなく、また延伸試験において200%まで延伸しても破壊することなくいずれも可逆的な繰り返し変形が可能であった。60%圧縮時の応力は初回が21kPa、2回以降が18kPaであった。一方、得られた有機無機多孔質ゲルは、大気中でも長期間(1年以上)において安定した形状と物性を示した。
【0070】
(実施例2)
水190gの代わりに、純水130gとグリセリン60gを用いる以外は実施例1と同様にして、有機無機複合ゲルを調製した。得られたゲル中の媒体中のグリセリン含有率は30%であった。この有機無機複合ゲルを温度80℃、湿度95%の恒温恒湿器内で120分処理することにより、熱膨張性マイクロカプセルを膨張させ、有機無機複合多孔質ゲルを得た。得られた有機無機複合多孔質ゲル中のグリセリン、高分子および粘土鉱物の(グリセリン+高分子+粘土鉱物)に対する質量比は、各々、0.711、0.235、0.05であった。また、有機無機複合多孔質ゲルの発泡倍率は4.0倍、密度は0.27g/cmであった。圧縮試験においては90%圧縮しても、または延伸試験において200%まで延伸しても破壊することなく、いずれも可逆的な繰り返し変形が可能であった。60%圧縮時の応力は29kPaであった。
【0071】
(実施例3−5)
各成分の質量比および熱膨張性マイクロカプセルのモノマーに対する質量比を変化させること以外は実施例1と同様な方法で、「表3」に示す有機無機複合多孔質ゲルを調製した。
【0072】
【表3】

【0073】
上記の実施例に係る有機無機複合多孔質ゲルの各特性について、以下の方法で評価した。
【0074】
(透湿度)
(1)サンプル調整
多孔質ゲルを厚さ5mmのシート状に切り出し、温度23±2℃、相対湿度65±5%の環境下において24時間以上調整した。
(2)試験方法
JIS K6404、及びJIS L1099 A−2「ウォーター法」に準じて測定した。
予め測定環境温度に調整した透湿カップに測定環境温度の水を約42ml入れ、透湿カップにシート状の多孔質ゲルの試験片、パッキン、リングを順次載せ、ちょうナットで固定し、装着側面をビニル粘着テープでシールする。
透湿カップを含む試験体全質量(透湿カップ、多孔質ゲル試験片、パッキン、リング、及びちょうナットの合計質量)を測定し、初期試験体全質量Cとする。
温度26℃、32℃、40℃においてそれぞれ相対湿度30%、50%、80%の各試験環境下に透湿カップを2時間晒した後の試験体全質量Cを測定し、さらに試験開始後24時間後の試験体全質量C24を測定して以下の式に従い、透湿度を算出した。
T = ((C−C24) /S)×24/22
T:透湿度 [g/m・day]
:測定開始2時間後の試験体質量 [g]
24:測定開始24時間後の試験体質量 [g]
S:カップの透湿面積 [m]
【0075】
(多孔質ゲルの質量変化率)
(1)サンプル調整
上記「透湿度」の試験に用いたシート状の多孔質ゲルの試験片を用いて測定を行う。
(2)試験方法
上記「透湿度」の試験と同様に、温度23±2℃、相対湿度65±5%の環境下で24時間以上調整した多孔質ゲルサンプルを透湿カップにセットし、透湿カップを含む試験体全質量(透湿カップ、多孔質ゲル試験片、パッキン、リング、及びちょうナットの合計質量)を測定し、初期試験体全質量Cを求める。
その後、温度26℃、32℃、40℃において、それぞれ相対湿度30%、50%、80%の各試験環境下に透湿カップを24時間晒した後の試験体全質量C24を測定し、以下の式に従い、多孔質ゲルの質量変化率を算出した。
R = ((C24 −C ) /C)
R:多孔質ゲルの質量変化率(%)
:測定開始前の初期試験体全質量 [g]
24:測定開始24時間後の試験体質量 [g]
【0076】
(圧縮応力)
(1)サンプル調整
温度23±2℃、相対湿度65±5%の環境下において24時間以上調整した。
(2)試験方法
JISK6400−2に準拠し、厚み50mm以上の試験片について、10mm毎分の試験速度にて実施した。試験機は引張試験機(島津製作所社製 商品名「オートグラフAG−I」)を用い、変位を元の試験片の厚みで序した百分率にて70%に相当する変位以上まで試験片を圧縮し、元の厚みになるまで戻す操作の各変位における試験力を測定した。
(A)30%変位での圧縮応力
元の試験片の厚みで序した百分率にて30%に相当する変位まで試験片を圧縮したときの試験力を試験開始前の試験片面積で除した値を「30%圧縮応力」として算出した。
(B)70%変位以上圧縮した後、50%変位まで戻した時の応力
元の試験片の厚みで序した百分率にて70%に相当する変位以上の圧縮を加えた後に、元の厚みの50%変位になるまで戻した際の試験力を測定し、試験開始前の試験片面積で除した値を「戻りの50%圧縮応力」として算出した。
【0077】
(粘弾性特性)
(1)サンプル調整
多孔質ゲルを厚さ5mmのシート状に切り出し、温度23±2℃、相対湿度65±5%の環境下において24時間以上調整した。
(2)試験方法
粘弾性測定装置(HAAKE社製、商品名「Rheo Stress RS150」)を用いて動的粘弾性の測定を行った。測定温度は37℃、応力を100(Pa)とした条件下にてひずみ速度(周波数)を0.01〜100.0(1/s)と変化させたときの、複素弾性率および損失正接の測定を行った。
【0078】
(伸長率・伸長力)
(1)サンプル調整
多孔質ゲルを、厚さ5mmで、図1に示すダンベル型試験片の形状にうち抜き、温度32℃、相対湿度50%の環境下において24時間調整した。
(2)試験方法
JIS K 6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に準じ、上記のダンベル型試験片について、0.75N(30kPa)荷重時の伸長率(%)及び100%伸長時の伸長力を、引張試験機(インストロン社製、商品名「INSTRON5564」)を用いて、引張速度100mm/min、チャック間距離20mmの条件で測定した。荷重又は伸長時の標点間断面積は25mmとなる。
【0079】
評価結果を「表4」に示す。
【0080】
【表4】

【0081】
実施例1の多孔質ゲルを用いて、圧力分散材としての実用試験を以下の通り行った。
【0082】
(荷重分散性)
標準型車椅子にクッション材として厚み50mmの本発明の圧力分散材を用い、健常人が着座した際の最大圧力を圧力分布測定装置(VERG社(カナダ)製 FSA)によって計測した。同様に、市販の通気性の高いクッション材である厚み75mmのウレタンフォーム製車椅子クッション、厚み50mmの低反発ウレタンフォームクッション、厚み25mmのウレタンゲルパッドについて同様に試験を行い、比較を行った。
【0083】
(着座温湿度)
温度28℃、相対湿度65%の室内環境下において試験を実施した。
標準型車椅子にクッション材として厚み50mmの本発明の圧力分散材を用い、健常人が1時間着座し続けた際の着座部臀裂辺りの温湿度を温湿度計(佐藤計量器製作所製 商品名「デジタル温湿度計SK−110TRH TYPE4」)によって計測した。同様に、市販の通気性の高いクッション材である厚み75mmのウレタンフォーム製車椅子クッション、厚み50mmの低反発ウレタンフォームクッション、厚み25mmのウレタンゲルパッドについて同様に試験を行い、比較を行った。
【0084】
その結果を「表5」に示す。
【表5】

【0085】
以上の結果より、本発明の圧力分散材は、上記したような圧力分散材としての好適な力学的特性(荷重分散性、圧縮応力、伸長率、伸長力等)を備えつつ、皮膚生理機能の恒常性や快適性にとって望ましいと考えられる透湿・吸湿特性も備えており、人体に使用する圧力分散材として有用である。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明に係る圧力分散材は、好適な荷重分散性や透湿・吸水特性を有している。そのため、整形外科、外科、リハビリ、看護、介護、スポーツ等の医療や日用生活分野における褥瘡予防用具や各種装具の圧力吸収パッド等として好適に用いられ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性有機モノマーの重合体(A)と、粘土鉱物(B)とから形成される三次元網目中に、0.1g/cm2・hr・60℃・1atm以下の低揮発性媒体(C)を含有する多孔質ゲルを含んでなる圧力分散材。
【請求項2】
水溶性有機モノマーの重合体(A)と、粘土鉱物(B)とから形成される三次元網目中に、20℃における蒸気圧が1000Pa以下で1気圧における沸点が130℃以上の低揮発性媒体(C)を含有する多孔質ゲルを含んでなる圧力分散材。
【請求項3】
前記多孔質ゲルの発泡倍率が、1.2〜20である請求項1又は2記載の圧力分散材。
【請求項4】
前記多孔質ゲルの嵩密度が、1g/cm未満である請求項1〜3のいずれか一項に記載の圧力分散材。
【請求項5】
前記水溶性有機モノマーの重合体(A)、粘土鉱物(B)及び低揮発性媒体(C)の合計質量(A+B+C)に対する、前記多孔質ゲル中での各成分の質量比が、
水溶性有機モノマーの重合体(A)については0.003〜0.35であり、
粘土鉱物(B)については0.002〜0.15であり、
低揮発性媒体(C)については0.5〜0.995である
請求項1〜4のいずれか一項に記載の圧力分散材。
【請求項6】
前記多孔質ゲルの透湿度が、同一相対湿度環境下において、温度26℃の環境下よりも、温度40℃の環境下の方が高値である請求項1〜5のいずれか一項に記載の圧力分散材。
【請求項7】
前記多孔質ゲルの透湿度が、同一温度環境下において、相対湿度80%の環境下よりも、相対湿度30%の環境下の方が高値である請求項1〜6のいずれか一項に記載の圧力分散材。
【請求項8】
前記多孔質ゲルの30%変位での圧縮応力が、15kPa以下である請求項1〜7のいずれか一項に記載の圧力分散材。
【請求項9】
前記多孔質ゲルを70%変位以上圧縮した後、50%変位まで戻した時の応力が10kPa以下である請求項1〜8のいずれか一項に記載の圧力分散材。
【請求項10】
前記水溶性有機モノマーの重合体(A)が、(メタ)アクリルアミド及び/又は(メタ)アクリルアミド誘導体の重合物あるいは共重合物である請求項1〜9のいずれか一項に記載の圧力分散材。
【請求項11】
前記低揮発性媒体(C)が、多価アルコールである請求項1〜10のいずれか一項に記載の圧力分散材。
【請求項12】
前記多価アルコールが、グリセリン、ポリグリセリン、ポリエチエレングリコール、エチレングリコール及びプロピレングリコール並びにこれらの誘導体からなる群より選択される一以上である請求項11記載の圧力分散材。
【請求項13】
粘土鉱物(B)及び0.1g/cm2・hr・60℃・1atm以下の低揮発性媒体(C)とともに分散液中に分散させた水溶性有機モノマーを重合し、発泡させる工程を含む多孔質ゲルを含んでなる圧力分散材の製造方法。
【請求項14】
粘土鉱物(B)とともに水を含む分散液中に分散させた水溶性有機モノマーを重合し、ゲルを形成した後、水の少なくとも一部を0.1g/cm2・hr・60℃・1atm以下の低揮発性媒体(C)で置換し、次いで発泡させる工程を含む多孔質ゲルを含んでなる圧力分散材の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−41446(P2012−41446A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183916(P2010−183916)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000173751)一般財団法人川村理化学研究所 (206)
【出願人】(000151380)アルケア株式会社 (88)
【Fターム(参考)】