説明

圧力噴霧ノズル

【課題】一定圧力でターンダウンの広い圧力噴霧ノズルを提供する。
【解決手段】常に一定圧力で安定した噴霧が得られるよう、噴口部(1)の噴口開口面積と戻り調量部(4)のオリフィス開口面積の和が一定の開口面積になるべく位置の調整と、運転停止時には閉止弁の役割をする断面積の異なる調量ロッド(8)を持つ圧力噴霧ノズルで、かつ、位置の調整をパルス信号とステッピングモータ(19)との組み合わせで行う圧力噴霧ノズル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は乾燥炉等で使用される大流量・高ターンダウン圧力噴霧バーナに適用する噴霧ノズルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、乾燥炉等で用いられている大流量油焚き圧力噴霧バーナはターンダウン比が1:4程度であるが、経済性・運転性の向上のため更なる高ターンダウン化がもとめられている。
【0003】
このニーズに対応するため、単一ノズル仕様のバーナでは広いターンダウンと低負荷時での良好な燃料噴霧状態の維持に向け、最大噴霧圧力3MPa以上の高圧と、燃料供給量を最大負荷量の約2倍という厳しい条件を採用している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、燃料ポンプは容量の大きな高圧ポンプが必要となるだけでなく、これらの燃料配管に使用する電磁弁等の付帯機器も仕様が厳しくなるため、高価な機器となる。
【0005】
大流量・高圧低粘度油ポンプは機種が少なく、運転可能流量範囲も狭いため、選択できるポンプも少なく、且つ、日本のように東日本と西日本で電気の周波数が異なるところでは供用できない等、汎用性にも欠ける。
【0006】
また、吐出量が吐出圧の1/2剰に比例する圧力噴霧ノズルでターンダウンを大きく取ることは低流量では吐出圧が大幅に下がらざるを得ず、前記のような条件を選択しても、噴霧角の変化や噴霧粒径の増加は避けられない。
【0007】
更に、大流量を流すためには配管も太くならざるを得ず、たとえバーナ直近に逆止弁を設けたとしても、噴霧ノズルにもれ停止機構がない限り停止時の油垂れは避けられない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、噴霧圧力を通常使用されている2MPa以下に維持したまま、ターンダウン比1:8以上という広い噴霧範囲と良好な噴霧状態の維持ができるノズルチップを提供することにある。
【0009】
一定圧力のままの流量を変更は噴口面積の変更となるが、噴口直下の旋回室の旋回強度も変わるため、噴霧状態の維持が難しい。
【0010】
本発明では旋回室の強度を維持したまま流量を変更するため、旋回室出口に噴口だけでなくリターンオリフィスを設け、両者の面積を同時に可変する方法を採用した。即ち、旋回室に入る流量を一定にしたまま、噴口流量とリターンオリフィス流量の分配比を変えることとした。
【0011】
これにより、一定圧力で噴霧状態を維持したまま、吐出量を任意に変えることが可能となる。
【0012】
また、バーナ運転停止時の後垂れ防止策として、ノズルチップ内にバネを利用した閉止弁を設ける方法が提案されている特許文献1に記載されているが、本発明では噴口面積とリターンオリフィス面積を変更する調量ロッドを利用して、閉止機構を設けた。
【特許文献1】特開平10-52655
【発明の効果】
【0013】
これにより、比較的低い圧力で、高ターンダウン運転が可能な圧力噴霧バーナが提供でき、使用機器単価が大幅に低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明による高ターンダウン圧力噴霧ノズルの具体的な実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
圧力噴霧でターンダウンを変えるためには、複数ノズルをノズルホルダーにセットし、燃焼量に応じ使用するノズルの本数を増やす方法か、戻り付きノズルを用い調量弁で戻り量を変化さす方法をとるのが一般的である。戻り付きノズルにおいて、ノズルの噴霧量を減らし、戻り量を増加させるとノズル圧が低下し、噴霧状態が悪くなるため、ターンダウンは1:4までが普通である。
【実施例1】
【0016】
図1は本発明に係わる戻り付き圧力噴霧ノズルの構造を示す。
【0017】
燃料はノズル外筒A5の油入り口15よりノズルに入り戻り調量部4の外側から旋回部2の旋回溝を通り旋回室に入り噴口部1の噴口より霧となり吐出する。旋回室2に入った油の一部は調量部4内側の調量オリフィスを抜け、ノズル外筒B6の内側に入り戻り口16よりポンプ下流に戻る。
【0018】
噴口から吐出する量と戻り口からリターンする油の割合は調量ロッド8の位置で、噴口と調量オリフィスの開口面積を決め、調節する。
【0019】
ここでは、噴口の開口面積と戻り調量部のオリフィス開口面積の和が常にノズルの最大流量に必要な開口面積になるよう調量ロッド8の断面積を変えることで、常に一定の圧力で噴霧でき、安定した噴霧角と噴霧状態が得られる。
【0020】
また、本発明のノズルを適用しようとする装置は大流量を流すため、配管径が太く、遮断弁をバーナ直近に付けたとしても管内滞油が多く、運転停止時に後垂れの問題が生じ易い。
【0021】
これに対応すべく、本発明では調量ロッドに閉止弁機能を持たし、運転停止時には調量ロッドで噴口を閉止できる太さにしている。
【0022】
図2はこの調量ロッドの位置決めを自動で行うための、ノズル14とリニアステッピングモータ19の組み合わせを図示している。
【0023】
調量ロッドが所定の位置に来るよう予めパルス数をプログラミングし、ここに図示していないがバーナ制御盤内で運転モードに合わし、リニアステッピングモータを制御する。
【0024】
図2ではリニアステッピングモータとの組み合わせを図示しているが、通常のステッピングモータと回転を直線移動に変えるユニットの組み合わせを使用することも出来る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】戻り付き圧力噴霧ノズルの構造図である。
【図2】ノズルと駆動部の組み合わせ図である。
【符号の説明】
【0026】
1 噴口部
2 旋回部
3 ノズルキャップ
4 戻り調量部
5 ノズル外筒A
6 ノズル外筒B
7 シールボルト
8 調量ロッド
9 シールロッド
10 Oリング1
11 Oリング2
12 Oリング3
13 Oリング4
14 ノズルユニット
15 油入り口
16 油戻り口
17 ドラフトチューブ
18 ジョイント部
19 リニアステップモータ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
大流量・高ターンダウンのバーナに使用する圧力噴霧ノズルにおいて、吐出量を連続的に広範囲に変えるため、チップ先端の噴口面積とリターンオリフィスの面積を連続的、かつ同時に変え得る調量ロッドを備えた噴霧ノズル。
【請求項2】
燃焼停止時に調量ロッドに油垂れ防止機構を設けた請求項1に記載の噴霧ノズル。
【請求項3】
調量ロッドによる流量制御・油垂れ防止に必要な調量ロッドの位置決めをパルス発信機とステッピングモータを組み合わせた機構で行う請求項1及び2に記載の噴霧ノズル。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−2550(P2009−2550A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−162182(P2007−162182)
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【出願人】(390029207)オリンピア工業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】