説明

圧力型電気炊飯器

【課題】圧力型電気炊飯器のシール性向上、蓋体強度の緩和等を図る。
【解決手段】内鍋と、この内鍋を収容する内鍋収容口および内鍋加熱手段を有する炊飯器器体と、この炊飯器器体の上記内鍋収容口の上部に開閉可能に設けられた蓋体と、この蓋体に設けられていて、同蓋体が閉じられた時に上記内鍋の開口部をシールするパッキンとからなる圧力型電気炊飯器であって、上記内鍋は、その上端側開口部にネック部が形成され、本体部内側の内径よりも開口部の内径が所定寸法以上小さくなるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ヒータや電磁誘導加熱手段などの電気的な加熱手段で加熱し、所定値以上の高圧力下で炊飯できるようにした圧力型電気炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
所定値以上の高圧力下で炊飯できる圧力型の電気炊飯器は、従来から知られている(例えば、特許文献1,2を参照)。
【0003】
このような圧力型の電気炊飯器は、一般に蓋体側に内鍋内の圧力を所定の圧力に保つ調圧弁、異常圧を開放する安全弁、および内鍋内を外気に開放するか閉じるかする圧力切換え装置などを装備している。従って、圧力切換え装置が閉じていると、圧力調整弁による圧力調整によって常圧を上回る所定の高圧力を保った状態での効率的な炊飯ができ、炊飯時間を短縮し、また吸水のための浸漬工程を省略したり、かつ短くしても、芯の無い美味しいご飯が炊けるといった利点が生じる。
【0004】
一方、圧力切換え装置が開いていると、内鍋内が大気に開放されるので、上記圧力調整弁は機能せず、通常の炊飯を行うことができる。
【0005】
一方、蓋体は、上記圧力炊飯時の高い内圧に耐えるために、上記特許文献1などでは、内部に補強板を設けて、この補強板の後部を蓋体とともに器体後部のヒンジピンにて枢支する一方、前部を器体の前部に掛け止めするようにしている。
【0006】
しかし、この特許文献1に記載の蓋体の耐圧構造は、蓋体の内部に設けた補強板の後部を器体に枢支し、補強板の前部を器体に掛け止めて耐圧負荷が蓋体内部の補強板から器体側に至って受け止められる構造であるため、構造が複雑になる。また、補強板の内鍋側には、蓋ヒータ、放熱板、所定の圧力を保つように内鍋の開口部を閉じるシール性の高い内蓋などが多重に位置し、それらの内の直接炊飯圧力が作用する内蓋などは、補強板側との間にギャップがあるとバックアップされない制約があり、ギャップ部分のギャップ比率が大きいと、それだけバックアップされにくく耐圧不足になりやすい問題がある。
【0007】
そこで、上記特許文献2では、蓋体を、蓋本体と、内鍋側に露出し、蓋体の一部をなして、または蓋体とは別体に設けられて内鍋の開口部を閉じる、上記所定の圧力に対する耐圧強度を有した内蓋部とから構成し、この内蓋部を閉じ状態にして器体へ係止するに際して、当該内蓋部の後部を、蓋本体を炊飯器器体の肩部材後端部に開閉できるように支持するヒンジピンに係合させて係止することにより、取り付けるようにしている。
【0008】
このような構成では、蓋体閉じ状態の炊飯器器体内に材料を入れた内鍋を収容して加熱手段を働かせることにより、炊飯が行える状態となる。このとき、器体側開口部は蓋本体部で、他方内鍋側は内蓋部でそれぞれ閉じられるが、内蓋部は蓋本体部の内側に位置して閉じ状態で器体側にも内鍋側にも対面することができ、蓋本体部を含む簡単な蓋構造、係止構造で器体側に係止されて内鍋の開口部を閉じ、自らの耐圧強度と相まって、蒸気通路での圧力弁の働きによる圧力炊飯機能を安定状態に保証して、しかも、炊飯圧力が内蓋部より外側の蓋本体側に及ぶのを防止することができる。
【0009】
しかも、上記ヒンジピンは、蓋本体を開閉できるように炊飯器器体の肩部材側に強固に取り付けられているので、内蓋部の後部を十分な耐圧強度を保証した上で係止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第2869388号公報
【特許文献2】特開2006−167170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
以上のように、炊飯器器体側開口部を閉じる蓋体の本体側下板部分を炊飯器器体側のヒンジ機構部に係止するとともに、蓋体下部の内蓋部分で内鍋開口部を閉じるようにすると、蓋体の耐圧強度を向上させながら、良好なシール性能を維持することができる。
【0012】
しかし、このような構成の場合、何れにしても蓋体の耐圧強度向上のために、特別な補強構造、取付構造を採用しなければならない点では、何ら変りがなく、蓋体の構造が複雑で、高コストなものとなる。
【0013】
特に上記特許文献1,2の場合には、その何れの場合にも、内径の大きい内鍋開口部の全体から蓋体側に内圧が作用するから、内蓋部分は素より、蓋体全体を均等に補強する必要があり、より高いレベルの蓋体の補強構造が要求される。
【0014】
また、上記特許文献2の図3に示されるように、内蓋部外周には、内鍋の開口部をシールするための、断面くの字状のパッキンが設けられているが、このくの字状のパッキンは、内鍋開口部の開口面にくの字に重合変形されてシールされるために、シールポイント、シールクリアランスを厳格にすると、蓋体の開閉動作がスムーズでなくなる問題があり、他方、シールポイント、シールクリアランスを緩やかにすると、シール性能が悪化し、信頼性が悪化する。
【0015】
また、シールポイントを厳格に設定したとしても、内鍋の形状と器体側収納口の形状は、必ずしも全体に亘って全くの同一形状に形成されているとは限らず、周方向の位置が変わると、シールポイントがズレるということも起こり得る。
【0016】
本願発明は、このような問題を解決するためになされたもので、内鍋の開口部の内径を本体側部分の内径よりも小さいネッキング構造とし、本体内側から蓋体側に作用する圧力領域を縮小することにより、蓋体側の耐圧強度を緩和できるようにした圧力型電気炊飯器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本願発明は、上記の目的を達成するために、次のような課題解決手段を備えて構成されている。
【0018】
(1) 請求項1の発明
この発明の圧力型電気炊飯器は、内鍋と、この内鍋を収容する内鍋収容口および内鍋加熱手段を有する炊飯器器体と、この炊飯器器体の上記内鍋収容口の上部に開閉可能に設けられた蓋体と、この蓋体に設けられていて、同蓋体が閉じられた時に上記内鍋の開口部をシールするパッキンとからなる圧力型電気炊飯器であって、上記内鍋は、その上端側開口部にネック部が形成され、本体部内側の内径よりも開口部の内径が所定寸法以上小さくなっていることを特徴としている。
【0019】
このような構成によると、内鍋は、水および飯米が収容される内側部分の内径に比べて開口部の内径が大きく絞られたものとなり、炊飯時に内鍋内で発生した内圧が、内側よりも相当に小さい径の開口部を介して蓋体側に作用することになり、蓋体側に作用する圧力を上記ネック部の段部面で効果的に抑制し、かつ圧力が作用する領域を蓋体の中央部側に集約させることができるようになる。
【0020】
その結果、蓋体側では、当該絞られた開口部に対応する狭い領域で、かつ抑制された圧力値に応じて耐圧強度を考慮すれば足りるようになり、従来の構成に比べて必要な補強構造のレベル自体が相当に緩和されるとともに、蓋体の外周側では高い補強構造が不要となる。その結果、蓋体の構造が簡単になるとともに、軽量かつ低コストなものになる。
【0021】
また、内鍋の開口部に嵌合されるパッキンも、その直径が小さいもので足りるようになり、シール性が向上するとともに低コストになる。
【0022】
上記のようにネック部を設けたことにより、内鍋全体の外径を従来のものと同一のものとした場合に、内鍋の上端側フランジ部の幅が拡大されるので、内鍋開口部に当接するパッキンの大きさを十分に大きくすることができ、広い面積で密着させることができるようになるので、きわめてシール機能が高くなる。
【0023】
(2) 請求項2の発明
この発明の圧力型電気炊飯器は、内鍋と、この内鍋を収容する内鍋収容口および内鍋加熱手段を有する炊飯器器体と、この炊飯器器体の上記内鍋収容口の上部に開閉可能に設けられた蓋体と、この蓋体に設けられていて、同蓋体が閉じられた時に上記内鍋の開口部をシールするパッキンとからなる圧力型電気炊飯器であって、上記内鍋には、把手が設けられていて、該把手を介して上記炊飯器器体側内鍋収容口に対する内鍋の位置決めがなされるようになっていることを特徴としている。
【0024】
このような構成によると、内鍋の、例えば左右両側などの所定の位置に設けた把手により、内鍋と炊飯器器体側内鍋収容口との相対位置が決まることになり、同位置で最もシール性が高くなるように、蓋体側パッキンと内鍋開口部とのシールポイントを設定しておけば、常に一定のシール性能を実現することができる。
【発明の効果】
【0025】
以上の結果、本願発明によると、蓋体側の耐圧強度に余裕を与えることができ、また蓋開閉をスムーズにしながら、良好なシール性能の電気炊飯器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本願発明の実施の形態に係る圧力型電気炊飯器の構成を示す前後方向の断面図である。
【図2】同電気炊飯器の第1の要部の構成を示す拡大断面図である。
【図3】同電気炊飯器の左右方向の断面図である。
【図4】同電気炊飯器の第2の要部の構成を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1〜図4は、本願発明の実施の形態に係る圧力型電気炊飯器の炊飯器本体および要部の構成を示している。
【0028】
先ず同電気炊飯器は、例えば内鍋として電磁誘導の可能な磁性金属板よりなるものが採用されている一方、炊飯時の加熱手段として、合成樹脂製の内ケースを介して当該内鍋の底壁部の全体を包み込むように、当該内鍋底壁部の中央部側と側方部側の2ケ所の全周に対応するワークコイルが設けられ、また保温時の加熱手段として、上記内鍋側壁部全周に対応する保温ヒータ、同内鍋の開口面部に対応する蓋ヒータ、炊飯時の圧力を2段階で調節するための第1,第2の圧力調整弁等がそれぞれ設けられている。そして、それらによって高圧状態又は通常圧力状態での適切な炊飯と効率的な保温機能とを実現できるようになっている。
【0029】
すなわち、該電気炊飯器の炊飯器本体は、例えば図1および図3に示すように、内部に誘起されるうず電流によって自己発熱が可能な例えばステンレス鋼板等の磁性金属板よりなる内鍋(飯器)3と、該内鍋3を任意にセットし得るように形成された合成樹脂製の有底筒状の内ケース(保護枠)4と、該内ケース4を保持する外部筺体である筒状の外ケース1aおよび皿状の底ケース1bと、該外ケース1aおよび皿状の底ケース1bと上記内ケース4とを一体化して形成された炊飯器器体の上部に開閉可能に設けられた蓋体2とから構成されている。
【0030】
上記内ケース4の底壁部(底部)4aの下方側にはコイル台7が設けられ、その上部には、同図1および図3に示すように、フェライトコアを介し、上記内鍋3の底壁部3aの中央部側フラット面と側方部側アール面Rの両位置に対応して、各々リッツ線が相互に接触する程度の小さなピッチで同心状に巻成された第1,第2の2組のワークコイルL1,L2が、それら相互の間に所定の間隔を置いて、それぞれ内鍋3の底壁部3aの全体を包み込むように設けられており、通電時には内鍋3にうず電流を誘起して、その全体を略均一に加熱するようになっている。
【0031】
そして、該第1,第2のワークコイルL1,L2は、例えば相互に直列に接続され、連続するワークコイルユニットとして、その一端は整流回路および平滑回路を介した電源ラインに、また他端は図示しないIGBT(パワートランジスタ)のコレクタにそれぞれ接続されている。これら各回路やIGBTは、上記炊飯器器体の後述する電源および制御基板6A上に設けられている。
【0032】
また、上記第2のワークコイルL2の上方の内ケース側壁部4bには、保温時において加熱手段として機能する保温ヒータが設けられており(図示省略)、炊飯時および保温時において上記内鍋3の側壁部3bの全周を有効かつ均一に加熱するようになっている。
【0033】
また上記外ケース1aは、例えば合成樹脂材で形成された上下方向に筒状のカバー部材により形成されており、該カバー部材の上端部は合成樹脂製の肩部材5が結合され、上述した炊飯器器体の開口部外周縁を形成している。また、上記カバー部材の下端部には、上記合成樹脂製の底ケース1bが結合され、上記内ケース4の底壁部4aとの間に所定の広さの断熱および通風空間部を形成している。
【0034】
そして、上記内ケース4下方側の上記コイル台7の中央部には、上下方向に同心状に貫通したセンタセンサ収納空間部が形成されており、該センタセンサ収納空間部中に上下方向に昇降自在な状態で、かつ常時コイルスプリングにより上方に上昇付勢された状態で内鍋の温度を検知する温度センサ8を備えたセンタセンサが設けられている。
【0035】
上記外ケース1a、底ケース1b、内ケース4、肩部材5の各々は、高圧状態での炊飯がなされる圧力型炊飯器の特性を考慮して、十分な補強構造が採用されている。
【0036】
一方、符号2は蓋体であり、該蓋体2は、その外周面を構成する合成樹脂製の上板21と、該上板21の内側(下側)に設けられた下板22と、該下板22の本体部の内側(下側)にゴム製の第1のパッキン25を介して重合固定される蓋ヒータ(図示省略)を有する金属製の放熱板23と、該放熱板23の下方に設けられ、その外周縁24a部分に合成樹脂製の着脱可能な枠部材27を介してゴム製の第2のパッキン14が取り付けられている金属製の内カバー24とから形成されている。そして、耐圧力強度を高めるために、上記下板22部分の後端側外周をヒンジ機構12側に係止しているとともに、上記上板21と下板22との間には、所定の板厚、所定の構造の中板(補強板)20および補強リブを設けることにより、当該蓋ユニット2の全体を高強度の構造体に形成するようにしている。
【0037】
すなわち、上記下板22は、その後端部外周側22aが上方に向けてコ字状に曲成され、内側にヒンジ機構12を収納しているとともに、その外周端側下降部22bはヒンジ機構12の後方をカバーしている。
【0038】
また、同下板22の後端側外周には、上記コ字状部の下方に位置してクランク状に延びるヒンジ機構12との連結部22cが設けられている。このヒンジ機構12との連結部22cは、器体側肩部材5方向に折り曲げられて、炊飯器本体側肩部材5の段部5b面上に臨まされている。
【0039】
そして、これら下板22後端部外周側の各部22a,22b,22c部分を取付ブラケットとして、上記蓋体2は、その後端側を、上記外ケース1aおよび内ケース4よりなる炊飯器器体上部の開口部を形成している肩部材5に対してヒンジ機構12を介して回動自在に取付けられており、その開放端側(前端側)には、該蓋体2の所定位置に係合して該蓋体2の上下方向への開閉を行うロックおよびロック解除機構13が設けられている。
【0040】
また、上記蓋体2の略中央部には、お粘成分を回収しながら蒸気のみを外部に逃がすとともに炊飯工程に応じて内鍋3内の圧力を2段階で調節する第1,第2の調圧ユニット(調圧機構)26A,26Bを備えた2組の蒸気放出装置が設けられている。
【0041】
この2組の蒸気放出装置は、内鍋3内から外部に向けて迂回する2組の蒸気逃し通路40,40a〜40c、40,40a〜40cよりなっている。そして、同2組の蒸気逃し通路40,40a〜40c、40,40a〜40cはそれぞれ内カバー24、放熱板23部分の蒸気入口40,40の下流側に重さの異なる第1,第2の調圧弁B1(大),B2(小)を設け、同第1,第2の調圧弁B1,B2によって調圧圧力を設定して調圧するようになっている。これら第1,第2の調圧弁B1,B2は電気的に選択して作動制御される。
【0042】
また、上記放熱板23の外周側23aは、上方側に略直角に曲成されて筒状壁に形成されているとともに、該筒状壁の一部(中間)を扁平に重合して半径方向外方に凸部を形成し、同凸部部分にゴム製の第1のパッキン25の基部25aを嵌合している。
【0043】
この第1のパッキン25の先端25bは、次に述べる内カバー24の外周縁部24aの上端に当接されるようになっている。
【0044】
上記内カバー24の外周縁部24aは、図2に示すように、クランク状に曲成されて、上下方向の筒状壁と該筒状壁の上端から半径方向外方に向けて水平に延びるフランジ部とが形成されている。
【0045】
そして、同筒状壁とフランジ部との間のコーナー空間を利用して、図2に示すように、ゴム製の第2のパッキン14が取り付けられている。この第2のパッキン14は、断面フック型形状の基部14aを合成樹脂製の固定用枠部材27の断面H型形状の基部27aに係合する形で固定されており、基部14aから下方に延びる筒状壁部14bが内カバー24の筒状壁部と平行になる形で嵌合されている。
【0046】
そして、同筒状壁部14bの下端からは、さらに半径方向外方に延びる所定の幅の水平部14cが設けられ、該水平部14cの外周端には、後述する内鍋3の開口部外周縁のフランジ部3c上面に当接する第1のシール片14dと同内鍋3開口部のネック部Nの内周面に当接する第2のシール片14eとの2組のシール片が一体に設けられている。
【0047】
そして、このような構成の第2のパッキン14は、上述した枠部材27の基部27a部分とその外周の把手片27b部分を介して上記内カバー24の外周側クランク状の縁部24aの内側に係合固定することによって、図示のように固定されている。
【0048】
一方、上記蓋体2の上板21の前部中央には、当該炊飯器の操作部および表示部を構成する操作パネル嵌合用の開口部が、またその下部側の中板20部分には、同操作パネル嵌合用の凹溝部が形成されており、同開口部および凹溝部部分に上板21の外周面と連続する外周面を形成する形で、例えば透明なABS樹脂製の操作パネル(銘板)9が嵌合されてカバーされるようになっている。
【0049】
該操作パネル9は、そのパネル部裏側に所定の深さの基板および液晶パネル収納ボックスを備えてなり、第2の電気基板(マイコン基板)6Bおよび液晶パネルが上記上板21の開口部および中板20の凹溝部内に嵌合して収納されている。そして、その中央部には液晶パネル21の表示面に対応する透明窓を有するとともに、同透明窓の周囲に、タイマー炊飯用の炊飯予約スイッチ、炊飯スイッチ、火かげんスイッチ、保温取消スイッチ、炊飯メニュー(例えば白米、早炊き、おこわ、おかゆ、玄米その他のコースメニュー)を指定するメニュースイッチ、お米選択スイッチ、時計及びタイマーの時刻時・分設定スイッチ、音声ガイド設定スイッチその他の各種操作キー面部分が設けられている。
【0050】
一方、炊飯器器体の開口部周縁を形成している上記肩部材5は、内周側から外周側にかけて、その内周壁5c側を上記内ケース4の側壁部4b上端に対して係合され、上記段部5bを形成している断面逆U字状の内鍋支持部と、該断面逆U字状の内鍋支持部の外周壁5aとの間に設けた係合凸部を上記外ケース1aの上端に係合している断面逆U字状の肩枠部とからなり、それらを相互に連続一体化して構成されている。
【0051】
さらに、上記合成樹脂製の外ケース1aの後部側は、平面視略H形の形状に成型されていて(図示省略)、図1に示すように、前後方向に平行な左右の側壁部間後部に位置して左右に延びる仕切壁61が設けられている。そして、この仕切壁61の左右両端側には、後方側から平面視略コ字形の外ケースカバー1cの側壁部前端が嵌合(係合)されるようになっている。
【0052】
上記外ケース1aの仕切壁61と上記内ケース4との間には、上記内ケース4側と仕切られる形で、シール性の高い電装品収納空間が形成されている。そして、この電装品収納空間内に、ワークコイルC1,C2、保温ヒータ等を駆動制御するIGBTやヒータ駆動回路、電源電圧整流用のダイオードブリッジよりなる整流回路、平滑回路などを備えた第1の電気基板(制御基板)6Aおよび該第1の電気基板6Aを保持した電気基板カバー(制御基板カバー)62が上下方向に立設する状態で設けられている。
【0053】
この第1の電気基板6A上には、IGBT等の発熱部品、その他の必要部品が設けられているとともに、接続用配線であるフレキシブルなフラットケーブルを介して、上述したする蓋体2側の第2の電気基板(マイコン基板)6Bが接続されている。
【0054】
上記電気基板カバー62は、例えば上記外ケース1a側の仕切壁61に対して着脱可能な状態で取り付けられるようになっていて、その下部側には内ケース4の下面側第1,第2のワークコイルC1,C2部分および第1の電気基板6Aのヒートシンク19の放熱フィン部分に冷却用の空気を流す送風ファン29が設けられている。
【0055】
この送風ファン29は、上下方向に開口した短筒状のファンケーシング内の送風通路に軸流ファンを備えて構成されているとともに、上記内ケース4aの底部側への吹出空気分流ダクトを備えて構成されている。なお、29aは底ケース側の空気吸込口である。
【0056】
ところで、この実施形態の場合、上記内鍋3の開口部は、例えば図2、図3に拡大して示すように、側壁部3bの上端部分が全体に亘って均等に所定寸法aだけ開口部中心軸方向に縮径され、その内径φ2(図3参照)が上記側壁部3b中間部分(アール面部Rの上端側部分)の内径φ1(図3参照)よりも小さいネック部(バルジ形状部)Nに構成され、さらに、その上端側縁部が半径方向外方に向けて水平に折り曲げられて所定の幅bのフランジ部3cに形成されている。
【0057】
また、この実施形態の場合、上記側壁部3bそのものも下部側アール面部Rの上端から少しづつ縮径された構造となっており、それによって全体としても下部より上部側の方が内径φが小さい構造のものとなっている(図1,図3中の内ケース4と内鍋3との間の隙間の変化を参照)。
【0058】
これらの結果、上記内鍋3は、全体として下方側から上方側にかけて少しづつ内径が縮小し、しかも特に上端側開口部では所定寸法aだけ大きく内径が縮小され、水平方向に向けてU字形状に湾曲したネック部(バルジ形状部)Nを形成した上で、終端側を半径方向水平に延設して所定幅bの幅広のフランジ部3cを形成したものとなっている。
【0059】
このような構成の内鍋3によると、水および飯米が収容される内側部分の内径に比べて開口部の内径が大きく絞られたものとなり、炊飯時に内鍋3内で発生した内圧が、内側よりも相当に小さい径の開口部を介して蓋体2の内カバー24側に作用することになり、蓋体2側に作用する圧力を上記ネック部Nの段部面で効果的に抑制し、かつ圧力が作用する領域を蓋体2の中央部側第1,第2の圧力調整弁26A,26B付近に集約させることができるようになる。
【0060】
その結果、蓋体2側では、当該絞られた開口部に対応する狭い領域で、かつ抑制された圧力値に応じて耐圧強度を考慮すれば足りるようになり、従来の構成に比べて必要な補強構造のレベル自体が相当に緩和されるとともに、蓋体2の外周側では高い補強構造が不要となる。その結果、蓋体2の構造が簡単になるとともに、軽量かつ低コストなものになる。
【0061】
また、内鍋3の開口部に嵌合される蓋体2側第1,第2のパッキン25,14も、その直径が小さいもので足りるようになり、シール性が向上するとともに低コストになる。
【0062】
特に、以上の構成では、上述のようにネック部Nを設けたことにより、全体の外径を従来のものと同一のものとした場合に、内鍋3の上端側フランジ部3cの幅bが大きく拡大されるので、第2のパッキン14の開口部外周側フランジ部3c上面に当接する第1のシール片14dの大きさを十分に大きくすることができ、広い面積で密着させることができるようになるので、きわめてシール機能が高くなる。しかも、この第1のシール片14dのフランジ部3cに対するシールは、蓋閉時における上面側からの圧着シールであるから、蓋開閉時のスムーズさには何の影響も与えない。
【0063】
また、このようにフランジ部3cの幅bが拡大されると、フランジ部3cに蓄えられる熱量も多くなり、内鍋開口部における露付き/白ボケの解消につながる。
【0064】
もちろん、持ち運びにも便利になる。
【0065】
また、上記第2のパッキン14の開口部内側第2のシール片14eは、図2,図4に示すように、ネック部Nの内周面側に平行な形で当接する上下方向にストレートな形状のものとすることができ、図2,図4のような蓋閉状態では、ネック部Nの内周面側に平行に挿入されて当接し、内鍋3内の圧力が上昇すると、その圧力によって矢印方向に押圧されて強く密着される。
【0066】
その結果、高圧時の確実なシール機能が実現される。
【0067】
しかも、上記第1,第2のシール片14d,14eとも、従来のようにシールポイントおよびクリアランスを厳格に設定する必要がなくなり、設計も容易になる。
【0068】
一方、蓋開閉時には、第2のシール片14eはネック部Nの内周面に線接触に近い小さな面積で接触するだけであるから、開閉はスムーズである。
【0069】
また、上記第2のシール片14eは、上記内鍋3内の圧力による膨張押圧作用を、より有効に受け止めるとともに、上述の蓋開閉時の挿脱を一層スムーズにするために、その先端側が若干半径方向内側に縮径されているとともに、対応する外周面側が内側に曲成したアール面に形成されている。
【0070】
したがって、上記蓋開閉時の操作は、よりスムーズとなる。
【0071】
このように、この実施形態の高圧シール性能を有した第2のパッキン14は、蓋閉時において蓋体2によって内鍋3開口部上端側外周のフランジ部3c上面に圧着される第1のシール片14dと、蓋閉時において、内鍋3の開口部に設けたネック部Nの内周面に平行に小さな接触面積で軽く当接し、内鍋3内の内圧の増大に伴って大きな接触面積で強く圧着される第2のシール片14eとの2つのシール片によって2重にシールされるようになっている。
【0072】
したがって、従来のように、くの字の1つのパッキン(1つのシール片)によって厳格にシールポイントを決めてシールするものに比べて、蓋開閉時の開閉動作が遥かにスムーズであるにも拘わらず、そのシール性能、信頼性は極めて高く、特に上述のような圧力型炊飯器に適したものとなる。
【0073】
一方、この実施の形態の場合、図3に示すように、上記内鍋3のフランジ部3cの左右両端側には、内鍋3を取り外したり、収容したりする時に使用される把手28が設けられている。
【0074】
この把手28は、内鍋携帯時に内鍋3の熱を遮断する断熱材として機能するとともに、内鍋3を上記内ケース4内に収容する時の位置決め作用を果たすようになっており、この把手28が収容される肩部材5の左右両端部分では、図4に示すように、図2に示す場合に比べて内ケース4上端の肩部材5の内側壁5cが周方向の所定幅だけ部分的に低く切り欠かれて形成されており、それに対応して把手28の下端側内鍋3のネック部N外周面への係合部28aと上記内鍋3のフランジ部3cに嵌合される上端側フランジ部28bとが設けられ、内鍋3のフランジ部3cに対し、周方向の所定の位置(2ケ所)でビスネジにより締結固定されている。
【0075】
この場合、同左右両端側の把手28,28の取付部では、当該把手28,28のフランジ部28b,28bの幅cを考慮して上記内鍋3側のフランジ部3cの幅が所定寸法縮小されるが、その場合にも、上述のようにネック部Nの存在により本来フランジ部3cの幅b自体が従来よりも広く形成されているので、同把手取付部でも上記第1のシール片14dを圧接させるための十分な幅のフランジ面が確保される。
【0076】
このため、従来と異なり、同把手28,28の取付部分においても上述と全く同様の十分なシール機能が実現される。また、同構成では、逆に見ると、そのように第1のパッキン14により十分なシール機能を実現しながら、なお十分な幅の把手28を設けることができるということもできる。
【0077】
また、以上の構成の場合、それら2つの相反する条件を両立させながら、しかも把手28,28の半径方向外方への突出量をも小さくすることができるので(図2のネック部Nの寸法aにより)、外ケース1aのコンパクト化にもつながることになる。
【0078】
また、上記のように、把手28,28により内鍋3収容時の正確な位置決めが実現されると、上記第1のパッキン14の第1,第2のシール片14d,14eのシールポイントが常時確実に維持固定されるので、より一層シール性能が向上する。
【符号の説明】
【0079】
1aは外ケース、1bは底ケース、2は蓋体、3は内鍋、3cはフランジ部、4は内ケース、5は肩部材、14は第2のパッキン、14dは第1のシール片、14eは第2のシール片、20は中板、21は上板、22は下板、23は放熱板、24は内カバー、Nはネック部である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内鍋と、この内鍋を収容する内鍋収容口および内鍋加熱手段を有する炊飯器器体と、この炊飯器器体の上記内鍋収容口の上部に開閉可能に設けられた蓋体と、この蓋体に設けられていて、同蓋体が閉じられた時に上記内鍋の開口部をシールするパッキンとからなる圧力型電気炊飯器であって、上記内鍋は、その上端側開口部にネック部が形成され、本体部内側の内径よりも開口部の内径が所定寸法以上小さくなっていることを特徴とする圧力型電気炊飯器。
【請求項2】
内鍋と、この内鍋を収容する内鍋収容口および内鍋加熱手段を有する炊飯器器体と、この炊飯器器体の上記内鍋収容口の上部に開閉可能に設けられた蓋体と、この蓋体に設けられていて、同蓋体が閉じられた時に上記内鍋の開口部をシールするパッキンとからなる圧力型電気炊飯器であって、上記内鍋には、把手が設けられていて、該把手を介して上記炊飯器器体側内鍋収容口に対する内鍋の位置決めがなされるようになっていることを特徴とする圧力型電気炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−239800(P2012−239800A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115687(P2011−115687)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000003702)タイガー魔法瓶株式会社 (509)
【Fターム(参考)】