説明

圧力波過給機への入口における排気温度をコントロールするための方法

【課題】圧力波過給機への入口における最低の排気温度Teinをできるだけ少ない費用で保証し、過剰調整を回避する。
【解決手段】エンジン制御機器によって提供される排気温度Taと圧力波過給機2への入口間の排気システム10が、熱モデルとして表現され、エンジン制御機器に保管されていること、提供された排気温度Taに基づいて、モデル化後、熱モデルによって圧力波過給器2への入口における排気温度Teinが仮定されること、仮定された排気温度Teinが、エンジン制御装置に保管された限界温度Tgrenzと比較され、この限界温度Tgrenzを下回った場合には、加熱出力必要量が決定され、その後、仮定された排気温度Teinが限界温度Tgrenzをもはや下回らなくなるまで、仮定された排気温度Teinを高める加熱措置が実行される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン制御機器によって提供された排気温度Tに基づいて圧力波過給機への入口における排気温度Teinをコントロールするための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンを過給するための圧力波機械は、従来技術から公知である。この場合、圧力波機械の最大に表示可能な充填圧は、圧力波過給機への排気側の入口温度Teinによって決まっている。入口温度Teinが高くなるほど、セルロータへの排気入口の側の圧力が、従って、これから生じる充填圧が高くなる。排気温度が低い場合、圧力波プロセスが常に問題となり、このプロセスは、極端な場合には完全に麻痺することがある。
【0003】
他方の側では、圧力波機械の浄化プロセスが、圧力波機械の排気出口とフレッシュエア入口間の圧力差によって制限されている。従って、排気出口はできるだけ低い背圧が支配することが重要である。従って、排気クリーニングシステムは、圧力波過給機からの排気出口における背圧が排気クリーニングシステムによって高められることがないように、排気系統内の圧力波過給機入口のできるだけ前に位置決めすべきでる。排気クリーニングシステムが圧力波過給機入口の前に配設されている場合、排気クリーニングシステムは、高い排気温度Tに基づいて良好に加熱される。しかしながら、同時に、排気クリーニングシステムは、圧力波過給機に対する熱慣性を意味し、圧力波過給機の前の温度上昇を遅延させる。その結果、負荷ジャンプ時、即ち部分負荷から全負荷へのエンジン運転変化時に、圧力波過給機内の充填圧上昇が、排気温度Tの遅延した温度上昇によって制限されている。この問題を解決するため、圧力波過給機への入口における排気温度Teinは、圧力波過給機の設定に依存した最小のレベルに上げられなければならない。以下では、圧力波過給機の設定に依存したこの最小のレベルが、限界温度Tgrenzである。この場合、排気の熱損失を最小化するために、パッシブの措置が排気系統を遮断するために既に行なわれていたことから出発した。
【0004】
排気クリーニングシステムの場合は、必要な運転温度に触媒をすることに、同様の問題がある。この場合、遮断をするためのパッシブな措置以外に、排気温度を高くする加熱装置又はエンジン調整変数の調整装置を介した排気の加熱のような支援をするためのアクティブな措置も考えられる。この場合、触媒の場合は、通常、運転温度への短期間の加熱だけが必要である。但し、圧力波過給機の場合は、場合によっては、特に低いエンジン負荷の場合、連続運転中に付加的加熱が行なわれる。
【0005】
特許文献1から、三元触媒が、ガソリンエンジンの出口の、ガソリンエンジンと圧力波機械の排気入口間に配設され、三元触媒と圧力波機械の排気入口間に加熱装置が配設された、圧力波機械と三元触媒とを組み合わせたガソリンエンジンが公知である。図2によれば、三元触媒は、二分割することができ、加熱装置は、両部分の間に存在する。これにより、触媒と圧力波機械の入口の効率的な加熱を得ることができる。この場合、触媒を制御するためにラムダセンサと、温度センサと、いわゆるウェイストゲートバルブとが使用される。温度センサの信号は、過給機絞り弁を制御するための変数として使用することができる。別の制御変数として、エンジンの回転数と絞り弁の後の圧力を使用することができる。ラムダセンサは、混合気を形成するための調整変数を供給する。加えて、加熱装置が圧力波機械の排気入口に作用する、圧力波機械と加熱装置と触媒とを組み合わせたディーゼルエンジンが開示される。触媒は、酸化触媒である。酸化触媒は、ディーゼルエンジンの出口の、ディーゼルエンジンと圧力波機械の排気入口間に存在する。加熱装置は、酸化触媒と圧力波機械の排気入口間に存在する。加熱装置を、排気温度が低い場合に起動されるバーナであってもよいとの指摘以外に、排気温度のその他のコントロールは開示されていない。加えて、別個の加熱装置における欠点は、バーナ又は電気ヒータのような付加的な部品による高いシステム費用である。
【0006】
特許文献2は、フレッシュエアが圧力波過給機によって圧縮され、圧力波過給機の少なくとも1つの運転パラメータが内燃機械の少なくとも1つの実運転変数に依存してコントロールされる、内燃機関を運転するための方法を開示する。回転数の制御又はコントロールをするための実運転変数として、排気の熱力学的状態変数、特に排気の温度及び/又は圧力が、特に良好に適している。ガスポケット供給弁の位置の制御又はコントロールをするための別の実運転変数として、燃焼室から圧力波過給機に流れる排気のラムダ値、圧力波過給機から環境に流出する排気のラムダ値間の差が特に適している。特に、圧力波過給機を有する内燃機関の運転を制御及びコントロールする制御及びコントロール装置は、排気通路内の温度Trec3を検出する温度センサと、出口通路内の温度Trec4を検出する温度センサと、吸入通路内の温度Trec1を検出する温度センサの信号を受け取る。この場合、センサを削減するため、前記変数のいくつかは、モデルに基づいて算定することができる。しかしながら、排気温度を調整するための措置は、設けられていない。その代わりに、コントローラ構造が、電気モータの回転数とハウジングの位置ずれをコントロールするため、ガスポケット供給弁の位置をコントロールするため、充填空気絞り弁も位置をコントロールするため、吸入絞り弁の位置をコントロールするために使用される。
【0007】
特許文献3は、充填圧が圧力波過給機によって上昇させられる、内燃機関の充填圧を調整するための方法を開示する。この場合、低温ガスハウジング内に、通路3−4から通路1−2の幾何学的な位置ずれを介して圧力波プロセスを調整するための制御ディスクを配設することが提案される。充填圧は、制御ディスク位置及び/又はガスポケット弁位置及び/又は圧力波過給機のロータ回転数及び/又はバイパス弁位置に依存して調整及び/又はコントロールされる。既存のセンサを利用することが提案される。例えば、排気温度は、組み合わされたラムダセンサによる排気温度測定によって確認することができる。排気出口の、排気弁と、通路3を介した圧力波過給機への入口との間、もしくは、圧力波過給機から通路4もしくはこれに続く排気管もしくはマニホールドへの出口の後で、排気温度を測定することが想定可能である。しかしながら、排気温度モデルに基づいて排気温度を確認し、センサによる検出を行なわないことも想定可能である。しかしながら、これらの測定又は他の方法による確認は、排気温度のコントロールをするために使用されない。排気温度を調整するための措置も、同様に設けられていない。
【0008】
更に、触媒に関する従来技術から、ガソリンエンジンにおいて、いわゆる二次エアシステムを排出ガス基準及び法律を維持するために使用することが公知である(出典:Wikipediaの“Sekundaerluftsystem”)。この二次エアシステムは、本質的に、1つの二次エアポンプと1つの二次エアバルブから成る。このシステムは、コールドスタート後のウォームアップ段階で、排気成分HC及びCOを最小化するために起動される。二次エアポンプは、弁によりエンジンを迂回して排気管に噴射される外気を移送する。そこで、空気が未燃焼の排気成分と発熱反応し(熱による再燃焼)、これにより、その際に、触媒が、迅速に運転温度になるように支援する。触媒の位置に応じて、エアインジェクションが、排気弁の直後から触媒の直前までの間で行なわれる。エンジンウォームアップ中に“円滑な”エンジン回転を保証し、必要時にミスファイヤなくエンジン出力を十分に保証するため、ここでは、運転温度に達するまで、更に燃料を過剰にすることによる、即ち準化学量論的に、混合気調整が行なわれる。その結果、特に、燃料の炭化水素の一部が未燃焼状態で燃焼室から出て、雰囲気に達することになる。他の部分は、不完全燃焼して、有毒な一酸化炭素になる。通常は、両物質、即ち炭化水素(HC)と一酸化炭素(CO)の両方が、触媒で酸化され、無害になる。しかしながら、エンジンウォームアップの段階では、触媒自体は、スタンバイ状態でない。加えて、リッチな混合気調整の場合は、排気中の酸素が、酸化を生じさせるためには不足している。即ち、再燃焼のための空気中の酸素は、混合気自体によって提供することができるのではなく、外から供給しなければならない。二次エアインジェクションの工程は、通常は時間制御をしつつ行なわれる。触媒は、コールドスタート後の数秒の内にスタンバイになるので、その場合には、二次エアインジェクションも停止することができる。それ以降、化学量論的に調整され、λ=1にコントロールされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0 899 436号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第10 2006 020 522号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第10 2010 008 385号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の課題は、既に行なわれているパッシブの遮断措置を無視して、圧力波過給機への入口における最低の排気温度Teinをできるだけ少ない費用で保証し、過剰調整を回避することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、請求項1の特徴を有する発明によって解決される。従って、エンジン制御機器によって提供された排気温度Tに基づいて圧力波過給機への入口における排気温度Teinをコントロールするための方法が提案される。一方で、この排気温度Tは、センサによって測定され、測定値としてエンジン制御機器に伝達される。その代わりに、現代の多くのエンジン制御機器は、車両の運転パラメータに基づいて、通常は内燃機関の運転パラメータに基づいてTをモデル化する。しかしながら、Tを読み取るための測定個所又はモデル化された排気温度Tは、圧力波過給機への入口のところに存在するのではなく、内燃機関のところ又は内燃機関からの出口の後で触媒の前に規則的に存在する。エンジン制御機器によって提供される排気温度Tと圧力波過給機への入口間の排気システムは、本発明により、熱モデルとして表現され、エンジン制御機器に保管される。提供された排気温度Tに基づいて、モデル化後、熱モデルによって圧力波過給機への入口における排気温度Teinが仮定される。仮定された排気温度Teinが、エンジン制御装置に保管された限界温度Tgrenzと比較される。この限界温度Tgrenzを下回った場合には、加熱出力必要量が決定される。その後、仮定された排気温度Teinが限界温度Tgrenzをもはや下回らなくなるまで、仮定された排気温度Teinを高める措置が実行される。このため、加熱出力必要量が、熱モデルを介してオンラインで、即ちリアルタイムで確認される。
【0012】
内燃機関が低い負荷要求時に相応に低い排気温度で作動する場合、圧力波過給機では、場合によっては連続運転中の加熱が必要であるので、内燃機関と圧力波過給機の運転状況の燃料消費量の少ない制御をするために、できるだけ正確なTeinの確認が基本である。しかしながら、同時に、センサによる付加的なそれぞれの費用は、圧力波過給機をターボチャージャに比べて競争力を有するようにするために、回避すべきである。従って、本発明は、もっぱら、既存の、センサ又は計算によりエンジン制御機器によって確認された値が利用される。この場合、エンジン制御機器によって提供される排気温度Tのための測定個所は、規則的に、触媒の前に位置し、圧力波過給機への入口のところではない。それは、現在では既に、排気温度Tが、触媒の最適な運転のために、触媒への入口の前でセンサにより測定されているか、エンジン制御機器によって車両エンジンの運転パラメータに基づいてモデル化されているからである。従って、本発明によれば、圧力波過給機への入口における温度Teinは、熱モデルに基づいて確認され、従って測定されるのではなく、計算により仮定される。熱モデルは、エンジン試験ベンチでの測定に基づいて、しかしながら少なくとも、高温ガス試験ベンチでの測定に基づいて、データを補充される。この場合、温度上昇を生じさせる反応速度論を含めて表現される、使用される触媒のモデルは、リアルタイム性を保証するために、現象学上のモデルに基づいて利用される。場合によっては、更にまた、測定個所又はモデル化された排気温度Tと圧力波過給機への入口間の排気装置の別の要素も、モデルに追加される。この熱モデルに基づいて、圧力波過給機への入口における温度Teinに関する情報だけでなく、内燃機関の各運転状態に対して、必要な加熱出力必要量、即ちエンジン出口におけるマスフロー及び温度を求めるモデルも得られる。圧力波過給器への入口における温度Teinが熱モデルに基づいて正確に決定可能になるほど、エンジン制御装置に保管された限界温度TgrenzとTeinの差から、TeinをTgrenzに合わせるために必要な加熱出力必要量を、正確に決定することができる。
【0013】
この場合、エンジン制御装置に保管された限界温度Tgrenzは、固定変数として保管することができる。この場合。正確な限界温度Tgrenzは、圧力波過給機と排気装置を組み合わせた内燃機関の変数及び設定に依存する。従って、限界温度は、車両タイプ毎に変化する。いずれにしても、500℃よりも低いTeinの値を下回るべきではない。従って、Tgrenzは、少なくとも500℃である。
【0014】
更に、限界温度Tgrenzが、圧力波過給機及び/又は内燃機関の運転状態に依存した特性マップとして保管されていることは、特に好ましい。これは、それぞれの運転状態に対する仮定された排気温度Teinを必要な最小値に最適化する。特に、ここでは、限定的に学習能力を有するエンジン制御装置を介して、所定の運転状態に基づいて、例えば運転者がアクセルを操作すること及び/又はこれから生じる絞り弁位置に基づいて、むしろ動的な又はむしろ抑制的な運転方法を仮定することができる。特に、この運転方法に応じて、特性マップから、むしろ動的な又はむしろ拘束的な、燃料消費を最適化した運転方法に相当する温度Tgrenzが読み取られる。加熱戦略と全てのコントロールパラメータは、同様に、特性マップから読み取られ、相応に調整される。
【0015】
本発明により確認された加熱出力必要量に基づいて、Teinの必要な温度レベルに適切に調整するための適当な適用戦略が実行される。
【0016】
好ましいことに、仮定された排気温度Teinを高めるための加熱措置として、内燃機関の運転状態は、内燃機関からの出口における排気温度Tausを高めるように変更される。この場合、例えば絞り弁位置、点火時点、噴射時点、噴射量配分及びカムシャフトアジャスタ位置のような、内燃機関の全ての調整変数が使用可能である。内燃機関からの出口における排気温度Tausを高めることが、目標である。この場合、内燃機関の最適な燃料消費特性と圧力波過給機の愛的な応答特性の間に妥協が見られなければならない。加えて、内燃機関のエンジントルクへの圧力波過給機のための温度コントロールの影響は、同様にコントロール技術的に補正すべきである。不必要に多くの燃料エネルギーが加熱出力に変換されず、効率の欠点が最小化されるように、必要な加熱出力必要量を本発明により正確に決定することが一層重要である。
【0017】
本発明により仮定された排気温度Teinを高めるための別の可能性は、加熱措置として、内燃機関の運転状態を、圧力波過給機の前に存在する触媒内の熱反応に基づいた排気温度TKATを高めるように変更することにある。通常、これは、触媒内での再燃焼によって得られ、これは、燃焼反応を生じさせるために、触媒内に酸素と燃料が十分に存在しなければならないことを前提とする。
【0018】
触媒内に所望の熱反応を生じさせる可能性は、内燃機関又は別個の供給ラインを介して排気に酸素を供給することにある。相応の排気混合物を決定するために、エンジン制御装置内に存在するラムダ値を利用することができる。但し、特にこの加熱バリエーションの場合、有害物質放出結果に対するマイナスの影響が排除されなければならず、例えば炭化水素は、無条件に回避する必要がある。本発明によれば、このバリエーションも、いずれにしても内燃機関のシステムに存在する既存の調整変数しか利用しない。いずれにしても触媒のために二次エアインジェクションが設けられている場合は、この二次エアインジェクションを使用することができる。更に、過給をされる直接噴射式の現代の内燃機関は、リッチに燃料調整を調整する場合でも排気に十分に熱反応用の酸素を供給する状況にあるので、二次エアインジェクションを必要としない。従って、このバリエーションの場合も、バーナ又は電気ヒータのような付加的なシステム構成要素を設置する必要なく、本発明によるコントロール技術だけによってTeinの最適化が得られる。この場合、エンジン制御装置に保管された前記触媒のモデルは、同様に、温度上昇を生じさせる反応速度論を考慮するので、Teinは、触媒を介した加熱措置の場合でも、Tに基づいて熱モデルを介して適切にモデル化することができる。
【0019】
触媒内に所望の熱反応を生じさせる別の可能性は、触媒の酸素蓄積器を利用することにある。有害物質限度の維持と、特に確認された有害物質の監視とをするために、現代の制御機器によって今日では既に、触媒内に存在する酸素量、即ちいわゆるOSC値(酸素蓄積能力)が確認される。ここで、触媒状態を知っていることは、基本的に、準化学量論的に調整された燃焼を介して触媒の酸素蓄積器を適切に排出する可能性を提供する。これは、排気内に存在する燃料と酸素の反応によって、短期間での温度上昇を、触媒内に、従って触媒の後でも、即ち圧力波過給機の前でも、生じさせる。この措置は、特に運転の移り変わり時、即ち負荷変化時に有効である。圧力波過給器を備える内燃機関を使用するための前記原理を利用するため、触媒の酸素蓄積能力は、適切に高めることができる。これは、前方領域において、圧力波過給機及び内燃機関の最適な運転を得るためには、Teinを高めるための加熱出力必要量のために必要な酸素量を確認しなければならないことを意味する。更に、はじめから車両には、必要な場合に排出時に十分な酸素を必要な熱反応のために提供するために相応の酸素蓄積能力を備える触媒が取り付けられる。従って、本発明によれば、圧力波過給機の前で触媒が使用され、この触媒の酸素蓄積能力が、触媒内の熱反応に基づいた排気温度TKATを酸素蓄積器の適切な排出によって少なくともTgrenzの値に高めることができるように、十分に設定される。
【0020】
本発明により仮定された排気温度Teinを高めるための本発明による別の可能性は、仮定された排気温度Teinを高めるための加熱措置として、圧力波過給機の運転状態が、変更されたガスの動的状況に基づいて排気温度Teinを高めるように変更されることにある。この場合、理想気体の圧力p、絶対温度T及び容積Vが、簡単な状態方程式によって互いに関連付けられる。mキログラムの理想気体に対して、pV=mRTが当て嵌まる。この場合、Rは、その数値が気体に依存する特殊な気体定数である。Rの単位は、J/K・kgである。方程式pV=mRTから、容積変化が温度に対して影響を有することがわかる。圧力波過給機の入口におけるガス流の容積変化には、過給機調整変数によって直接的に影響を与えることができる。このため、圧力波過給機の場合、制御ロール及びエッジスライダ位置とロータ回転数のような典型的な過給機調整変数が使用可能である。従って、圧力波過給機内でのガスの動的状態が変更されると、圧力波過給機の前の熱の動的状態も影響を受ける。従って、相応にコントロール技術を設定することにより、Teinは、本発明により、圧力波過給機の運転状態の変更を介して適切に高めることもできる。
【0021】
以下で、本発明を図に基づいて正確に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】内燃機関(1)、触媒(3,4,5)及び圧力波過給機(2)の概略図
【図2】圧力波過給機への入口において温度コントロールをするためのモデル構造
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、内燃機関(1)、触媒(3,4,5)及び圧力波過給機(2)の装置の原理図を示す。内燃機関(1)の排気系統(10)内で、内燃機関(1)の近傍に触媒(3)が存在する。触媒(3)の後に、圧力波過給機(2)が配設されている。圧力波過給機(2)は、低温ガス側(20)を有し、この低温ガス側(20)に、外気が矢印方向に流入し、低温ガス側(20)を貫流し、矢印方向に低温ガス側(2)から再び流出する。加えて、圧力波過給機(2)は、高温ガス側(21)を有し、この高温ガス側(21)に、排気系統(10)からの排気が、触媒(3)を通過した後に流入する。高温の排気は、矢印方向に、圧力波過給機(2)の高温ガス側(21)を貫流し、高温ガス側(21)を矢印方向に再び出る。次に、排気は、更に排気系統(10)を流れ、圧力波過給機(2)の後で、詳細には図示してない方式で排気系統(10)を出て外気に入るまえに、更に1つ又は複数の触媒(4,5)を貫流する。別の触媒(4,5)は、自由選択式であり、完璧にするためにのみ図示されている。排気系統(10)内で、内燃機関(1)と第1の触媒(3)間に、図示してない温度センサが配置され、この温度センサが、排気温度Tを測定し、同様に図示してないエンジン制御機器に伝送する。選択的に、排気温度Tは、エンジン制御機器内に既に存在する、車両の運転パラメータに基づいた温度モデルを介してモデル化される。エンジン制御機器によって提供されたこの排気温度Tに、以下の、図2に詳細に記載された本発明によるコントロール技術全体が基づいている。圧力波過給機(2)の運転にとって決定的であるのは、圧力波過給機(2)の入口の直近を支配する温度Teinである。Teinが高いほど多くのエネルギーを、圧力波過給機(2)は、回転運動に変換することができる。TとTein間に、更に、排気系統(10)の一部と触媒(3)が位置する。両者は、TとTein間の温度差に影響を及ぼすが、これは、一方では、経路と加熱すべき熱容量とを介して、排気が熱をその周囲に放出するからであり、他方では、排気熱が、触媒(3)内で進行する化学プロセスによって他のエネルギーに変換されるからである。従って、提供された温度TとTeinは、一致しない。Teinは、提供されたTに基づいて、本発明によりエンジン制御装置において、TとTein間に位置する排気系統(10)と触媒(3)を同様に考慮する1つの熱モデルを介して確認され、排気系統(10)と触媒(3)は、1つの表現モデルを介して確認される。モデル化された温度Teinが、エンジン制御装置に、純粋に保管されるか、特性マップの形態で保管されるかのいずれかで保管された限界温度Tgrenz以下に下がった場合、エンジン制御装置が加熱措置を実行する。これらの措置は、内燃機関(1)では、排気が内燃機関(1)を出る温度Tausに作用させることができる。選択的又は重畳的に、加熱措置は、触媒(3)における反応速度論によって生じる触媒(3)内の温度TKATに作用させることができる。付加的に設置すべきシステム構成要素を用いずに加熱するための第3の可能性は、圧力波過給機(2)の入口の直近のTeinに、例えば制御ロール及びエッジスライダ位置とロータ回転数のような典型的な過給機調整変数の変更を介して影響を与えることにある。
【0024】
図2は、圧力波過給機への入口において温度コントロールをするためのモデル構造を示す。Tは、エンジン制御機器によって提供される。本発明によれば、エンジン制御機器は、熱モデルを介して、Tに基づいて圧力波過給機への入口における温度Teinを計算する。従って、エンジン制御機器は、読み取られた純粋な値又は既にモデル化されている値に基づいて、具体的な排気装置の全ての特徴を考慮する必要のある熱モデルを介してTeinをモデル化する。このため、モデルは、予め、エンジン試験ベンチにおいて具体的な排気装置に基づいて確認された測定値を補充される。同様にエンジン制御装置に保管されているのは、圧力波過給機が、その必要な出力を生じさせるために必要とする最低温度、即ち温度Tgrenzである。この場合、本発明によれば、エンジン制御装置に保管された限界温度は、Tgrenz≧500℃である。エンジン制御機器は、Tein(被減数)をTgrenz(減数)と比較し、差を構成する。差がゼロ又は正の場合は、エンジン制御機器は、いかなる措置も実行しない。差が負の場合は、エンジン制御機器が、同様に熱モデルに基づいて加熱出力必要量を決定し、Teinに作用する適用可能な加熱措置を実行する。エンジン制御機器は、TeinがもはやTgrenzよりも小さくなくなるまで、即ち差がゼロ又は正になるまで、これを行なう。Teinの温度が再び下がった場合、エンジン制御機器がTと熱モデルに基づいてこれを確認し、TeinがTgrenzを下回った場合に、制御機器が再び適用可能な加熱措置を実行する。これは、圧力波過給機にとって不利な運転プロフィルの場合に、排気温度が長時間にわたって加熱措置に高められることを生じさせることができる。この場合、熱モデルに基づいて、可能な範囲で最善の妥協が、付加的な燃料消費と、内燃機関、触媒及び圧力波過給機の最適な効率との間に見られなければならない。この場合、加熱出力必要量は、オンラインで決定されるが、これは、即ち、根底にある全てのモデルが、リアルタイム対応可能であることを意味する。この場合、内燃機関の運転状態に応じて、前記加熱措置の色々なものを目標指向にすることができる。
【符号の説明】
【0025】
1 内燃機関
2 圧力波過給機
3 触媒
4 触媒
5 触媒
10 排気系統
20 低温ガス側
21 高温ガス側


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン制御機器によって提供された排気温度Tに基づいて圧力波過給機(2)への入口における排気温度Teinをコントロールするための方法において、
エンジン制御機器によって提供される排気温度Tと圧力波過給機(2)への入口間の排気システム(10)が、熱モデルとして表現され、エンジン制御機器に保管されていること、提供された排気温度Tに基づいて、モデル化後、熱モデルによって圧力波過給器(2)への入口における排気温度Teinが仮定されること、仮定された排気温度Teinが、エンジン制御装置に保管された限界温度Tgrenzと比較され、この限界温度Tgrenzを下回った場合には、加熱出力必要量が決定され、その後、仮定された排気温度Teinが限界温度Tgrenzをもはや下回らなくなるまで、仮定された排気温度Teinを高める加熱措置が実行されること、を特徴とする方法。
【請求項2】
エンジン制御装置に保管された限界温度がTgrenz≧500℃であること、を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
エンジン制御装置に保管された限界温度Tgrenzが、圧力波過給機(2)及び/又は内燃機関(1)の運転状態に依存した特性マップとして保管されていること、を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
仮定された排気温度Teinを高めるための加熱措置として、内燃機関(1)の運転状態が、内燃機関(1)からの出口における排気温度Tausを高めるように変更されること、を特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
仮定された排気温度Teinを高めるための加熱措置として、内燃機関(1)の運転状態が、圧力波過給機(2)の前に存在する触媒(3)内の熱反応に基づいた排気温度TKATを高めるように変更されること、を特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
圧力波過給機(2)の前で触媒(3)が使用され、この触媒の酸素蓄積能力が、触媒(3)内の熱反応に基づいた排気温度TKATを酸素蓄積器の適切な排出によって少なくともTgrenzの値に高めることができるように、十分に設定されていること、を特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
仮定された排気温度Teinを高めるための加熱措置として、圧力波過給機(2)の運転状態が、変更されたガスの動的状況に基づいて排気温度Teinを高めるように変更されること、を特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2013−87772(P2013−87772A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−202423(P2012−202423)
【出願日】平成24年9月14日(2012.9.14)
【出願人】(504258871)ベンテラー アウトモビールテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (60)
【氏名又は名称原語表記】Benteler Automobiltechnik GmbH
【住所又は居所原語表記】Elsener Strasse 95, D−33102 Paderborn, Germany
【Fターム(参考)】