説明

圧力測定先端部を備えたカテーテル

【課題】医療用プローブを提供する。
【解決手段】医療用プローブは、可撓性挿入管を含み、この可撓性挿入管は、患者の体腔内に挿入するための遠位端と、挿入管の遠位端に配置されて体腔内の組織と接触するよう構成されている遠位先端部と、を有する。このプローブにはまた、遠位先端部を挿入管の遠位端に連結し、弾性材の管状部品を含む連結部材であって、その管状部品が、部品の長さの一部分に沿って部品の中を通過する複数の絡み合った螺旋状の切り込みを有する連結部材が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的に侵襲的医療用デバイスに関するものであり、具体的には臓器内に挿入するためのプローブの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一部の診断と治療技術では、カテーテルを心腔内に挿入し、心臓内壁に接触させる。そのような手技では、良好な接触を確実にするために、カテーテルの遠位端が心内膜に十分な圧力で係合することが一般的に重要である。しかしながら、過剰な圧力は、望まれない心臓組織の損傷、更には心臓壁の穿孔を引き起こす可能性がある。
【0003】
例えば、高周波(RF)心内焼灼では、その遠位端に電極を有するカテーテルが、患者の血管系を通じて心腔内に挿入される。この電極は心内膜上の部位(又は複数の部位)に接触され、これら部位の心臓組織の焼灼のために、高周波エネルギーがカテーテルを通して電極に加えられる。心臓組織に過剰な損傷を与えずに、所望の治療効果を達成するためには、焼灼中の電極と心内膜間の適正な接触が必要である。
【0004】
一連の特許公報が、組織との接触を検知する、集積圧力センサーを有するカテーテルにつき開示されている。一例として、その全体が参照により本願に組み込まれる、米国特許出願公開第2007/0100332号(Saurav et al.)は、組織焼灼のための、電極−組織間接触を評価するためのシステムと方法とを開示している。カテーテルのシャフト内の電子機械的センサーは、カテーテルのシャフトの遠位部分内の電極の運動量に対応する電気信号を生成する。出力機器は、電極と組織間の接触のレベルを評価するために、この電気信号を受け取る。
【0005】
上記の説明は、この分野の関連技術の全般的な概観として提示したものであり、これに含まれるいかなる情報も本特許出願に対する先行技術を構成する承認として解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの実施形態において、医療用プローブには可撓性挿入管が含まれ、その可撓性挿入管は、患者の体腔内に挿入するための遠位端と、その挿入管の遠位端に配置されて体腔内の組織と接触するよう構成されている遠位先端部とを有する。このプローブにはまた、遠位先端部を挿入管の遠位端に連結し、弾性材の管状部品を含む連結部材であって、その管状部品が、部品の長さの一部分に沿って部品の中を通過する複数の絡み合った螺旋状の切り込みを有する連結部材が含まれる。
【0007】
典型的には、螺旋状の切り込みのうちの少なくとも1本には、拡張された終点部が含まれ、この拡張された終点部には、部分的長円が含まれる。
【0008】
いくつかの実施形態において、複数の螺旋状の切り込みには、n本の切り込みが含まれ、nは1より大きい整数であり、管状部品がその部品の軸方向に対してn倍の回転対称性を有するように切り込みを構成することができる。
【0009】
開示されている1つの実施形態において、螺旋状の切り込みのうちの少なくとも1本は、管状部品の軸方向に対して360°〜720°の間の角度範囲を定める。
【0010】
1つの実施形態において、連結部材は、遠位先端部が組織に係合したときに遠位先端部にかかる圧力に対応して屈曲するよう構成されており、かつ、螺旋状の切り込みのうちの少なくとも1本は、その連結部材の初期屈曲に対する所定の角度制限をもたらすよう選択された幅を有する。
【0011】
典型的には、この連結部材には、管状部品に対して固定接続部によって接続された管状部分が含まれる。この管状部品には、ステムを含めることができ、この固定接続部には、管状部分に溶接されたステムが含まれ得る。
【0012】
この管状部分及び管状部品は、共通の円周を形成するよう配置することができ、この固定接続部には、螺旋状の切り込みのそれぞれの終点部近くで、共通する円周のない領域における溶接点が含まれ得る。
【0013】
別の実施形態において、位置センサーが管状部品内にあり得る。典型的には、位置センサーは、挿入管の遠位端に対する遠位先端部の位置を検知するよう構成することができ、この位置は連結部材の変形に対応して変わる。典型的には、位置センサーは磁場に対応して信号を生成するよう構成することができ、この信号は遠位先端部の位置を示す。プローブには、磁場を発生するため、管状部分内に磁場発生器を含めることができる。
【0014】
典型的には、これら挿入管、遠位先端部及び連結部材は、患者の血管を通って心臓内に挿入するよう構成される。
【0015】
本発明の別の実施形態により、
プローブを患者の体腔内に挿入することであって、そのプローブが、可撓性挿入管、及び挿入管の遠位端に配置される遠位先端部、並びに、遠位先端部を挿入管の遠位端に連結し、弾性材の管状部品からなる連結部材であって、その管状部品が、部品の長さの一部分に沿って部品の中を通過する絡み合った複数の螺旋状の切り込みを有する連結部材を含むことと、この遠位端を体腔内の組織に接触させることとを含む、医学的手順の実施方法も提示される。
【0016】
典型的には、この方法には、この遠位先端部が接触する組織を除去することが含まれる。
【0017】
また、本発明の別の実施形態により、
可撓性挿入管を提供することであって、その可撓性挿入管が、患者の体腔内に挿入するための遠位端と、その挿入管の遠位端に配置されて体腔内の組織と接触するよう構成されている遠位先端部と、を有することと、
弾性材の管状部品を含んだ連結部材を用いて、遠位先端部を挿入管の遠位端に連結することであって、管状部品が、部品の長さの一部分に沿って部品の中を通過する複数の絡み合った螺旋状の切り込みを有することと、を含む、医療用プローブを製造するための方法も提供される。
【0018】
本発明は、以下のより詳細な実施形態と、その図面の記述により、より完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の1つの実施形態による、心腔内の心臓壁に接触したカテーテルがある、心腔の概略断面図。
【図2】本発明の1つの実施形態によるカテーテルの概略断面図。
【図3】本発明の1つの実施形態による連結部材の一部分の概略側面図。
【図4A】本発明の1つの実施形態による連結部材の概略透視図。
【図4B】本発明の1つの実施形態による連結部材の概略断面図。
【0020】
(より詳細な実施形態)
概観
本発明の実施形態は、カテーテルなどの侵襲的プローブの新しい設計を提供する。このプローブには、患者の体腔内に挿入するための可撓性挿入管が含まれる。プローブの遠位先端部は、連結部材によって挿入管の遠位端に連結されている。この連結部材には、部品の一部分に複数の絡み合った螺旋状(典型的には二重螺旋)の切り込みを有する弾性材の管状部品が含まれる。
【0021】
この複数の絡み合った螺旋により、先端部が体腔内の組織に係合したときに、この遠位先端部にかかる圧力に対応して連結部材が屈曲することができる。この屈曲は、同じ圧力に対して、連結部材に単一螺旋の切り込みによって達成される屈曲より、より有意に大きくかつより均一となる。より大きくかつより均一に屈曲することにより、屈曲をもたらす圧力の測定改善を促進することができる。更に、複数の螺旋の寸法は、1本のみの螺旋を有する連結部材に必要な大きさに比べて、連結部材の大きさを有意に低減するよう選択することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、心腔22の概略断面図であり、本発明の1つの実施形態による、心臓内にあるカテーテル20の可撓性挿入管26を示す。このカテーテルは、典型的に、大静脈又は大動脈のような血管から経皮的に心臓に挿入される。このカテーテルの遠位先端部24の電極28が、心臓内組織30に係合している。心内膜に接触している遠位先端部により及ぼされる圧力は、心内膜組織を局所的に変形させ、その結果電極28は、比較的大きな面積にわたって組織と接触する。図示された例では、電極は心内膜に対して真正面からではなく、むしろ斜めに係合している。したがって、遠位先端部24は弾性のあるジョイント32の部分で、カテーテル挿入管26に対して屈曲する。この屈曲により、電極と心内組織間の最適な接触が促進される。
【0023】
ジョイント32の弾性的な性質のため、ジョイントの屈曲角度は一般に、組織30により遠位先端部24に対して加えられる圧力(又は遠位先端部により組織に対して加えられる圧力と同等である)に比例する。このように、屈曲角度の測定は圧力の表示をもたらす。この圧力の表示は、遠位先端部が心内膜を所望の治療的又は診断的結果を与えるのに十分なほど堅固に、しかし望まれない組織損傷を引き起こすほどは強くなく、押圧していることを確実にするために、カテーテル20の操作者が利用することができる。米国特許出願第20090093806号(Govari et al.、2007年10月8日出願)は、この方法による圧力検知カテーテルを使用したシステムについて記述されており、この開示は参考として本明細書に組み込まれる。カテーテル20は、このようなシステムに使用することができる。
【0024】
図2は、本発明の実施形態によるカテーテルの遠位先端部の詳細を示す、カテーテル20の概略断面図である。連結部材40は、遠位先端部24と挿入管26の遠位端との間のジョイント32を形成する。例として、連結部材40は、第一部分42及び第二部分44の2つの部分で形成され、これら2つの部分が固定的に互いに接合されていると仮定される。連結部材40の2つの部分は一般に管状であり、連結部材も管状形態になるように接合される。連結部材40を2つの部分で形成する必要はないが、2つの部分を利用することにより、下記で詳しく述べるように、磁場発生器及び磁気位置センサーをこの部材内に組み込むことが簡単になる。この2つの部分の利用は、これも下記で詳しく述べるように、典型的には、接合ステムを一方の部分の中に組み込むことによっても促進される。
【0025】
連結部材40は、その部材の第一部分42の長さの一部に沿って、絡み合った複数の螺旋状の切り込み46を有している。複数の螺旋46は、1より大きい整数本の単一の螺旋を含んでよく、例えば2本、3本又は4本の螺旋であり得るが、これらに限定されない。下記の説明では簡略にするため、別に特記しない限り、複数の螺旋とは、第一切り込み螺旋48及び第二切り込み螺旋50の、絡み合った2本の単一の切り込み螺旋を含むと仮定され、更に、本明細書では二重螺旋とも呼ばれる。当業者には、過度の実験を行うことなく、この複数の螺旋が2本を超える単一螺旋である場合の絡み合った複数螺旋を包含して、本明細書の説明を適合させることができるであろう。
【0026】
連結部材40(一般に、カテーテル20の遠位端を伴う)は通常、可撓性のプラスチック製シース52で覆われている。例えば、カテーテル20が、電極28を介してRF(高周波)電気エネルギーを送達することにより心臓内組織を除去するのに使用される場合、遠位先端部24の領域でかなりの熱が発生する。この理由から、シース52は、例えばポリウレタンなどの耐熱性プラスチック材料を含み、この形状及び弾性は、熱に対する曝露により大きな影響を受けないことが望ましい。
【0027】
カテーテル20は、第一部分42の遠位部分内に位置センサー54を含む。第一部分の遠位部分は、遠位先端部24内に配置される。位置センサーは導電体56を介して、挿入管26の近位端にある処理装置(図示なし)に接続される。導電体56は一般に、2本一組の撚線ケーブルを含み得る。位置センサー54は、挿入管26の遠位端に対する遠位先端部の位置を検出するよう構成される。上記で説明したように、位置は連結部材の変形に対応して変化し、したがって、遠位先端部にかかる(及び遠位先端部によってかかる)圧力の表示をもたらすために、処理装置が位置測定値を利用し得る。
【0028】
心臓内操作について、挿入管26及び遠位先端部24は一般に、非常に小さい外径、典型的には2〜3mm程度を有するべきである。よって、カテーテル20の内部コンポーネント(例えば導電体56など)もすべて、できる限り小型で細く製造され、小さな機械的ひずみによる破損をできる限り避けるよう配置される。
【0029】
位置センサー54は1つ以上のコイルを含んでよく、これらは磁場に対応して信号を発生するよう構成される。これらの信号は、遠位先端部24の位置及び向きを示す。磁場は、連結部材の第二部分44内に配置された小型磁場発生器58によって生成され得る。発生器58は典型的に、導電体60を介して、近位端の処理装置によって作動される。よって、連結部材40が屈曲すると、位置センサーによって生成される信号が変化し、処理装置がこの信号を分析することで遠位先端部にかかる圧力を測定することができる。追加の磁場を、患者の身体の外の固定位置にある磁場発生器(図示なし)によって生成することができる。これらの磁場によって、位置センサー54が追加の信号を生成し、これは、外部磁場発生器を参照とした固定フレームにおける遠位先端部24の位置及び向きを示す。これらの位置センサー54の操作の態様は、上述の米国特許出願第11/868,733号に詳細が記載されている。これらは本発明の範囲外である。
【0030】
カテーテル20は典型的に、操作者がカテーテルの操作を行うのに使用するための、一対のプルワイヤ62、64を含む。このプルワイヤは挿入管26を貫通し、挿入管の遠位先端部、典型的には管内の向かい合った側にある、それぞれの繋留点66、68で繋留されている。操作者は、カテーテルの遠位先端部を「上」又は「下」に屈曲させるため、プルワイヤを引っ張る(典型的にはカテーテルの近位端にあるノブ(図示なし)を回す)。(ここで「上」及び「下」とは、純粋に図2を参照としたものであり、カテーテルの動きをいかなる特定の方向にも制限すると解釈されるものではない。)操作者がプルワイヤを解放すると、挿入管の弾性によりカテーテルがまっすぐになる。
【0031】
図3は、本発明の1つの実施形態による連結部材40の第一部分42の概略側面図である。図4Aは、本発明の実施形態による、2つの部分が接合されて連結部材を形成した状態の概略透視図であり、図4Bは、その連結部材の概略断面図である。
【0032】
連結部材40の両方の部分とも、一般に弾性材(典型的には金属材料)の管状部品を含む。この弾性材は典型的に両方の部分について同じであり、例えば、ニッケルチタン(ニチノール)などの超弾性合金である。心臓内用途については、部材40の全体の長さは約8.5mm、外径は約2.0mmであり得る。第二部分44は長さ約5.2mm、壁の厚さ約0.08mmの円筒形状である。第一部分42は、壁の厚さが約0.27mmである。あるいは、他の適用において、連結部材40の部分及びその全体の寸法はこれより大きくとも小さくともよい。
【0033】
図3に示し、上述したように、連結部材40の第一部分42には、部分内に2本の絡み合う単一の螺旋状の切り込み(第一螺旋48及び第二螺旋50)がある。これら2本の螺旋は、第一部分にレーザー加工により切り込むことができる。上記の寸法に対して、各螺旋は典型的に、約0.1mmの幅でレーザーにより開口される。各螺旋状の切り込みの幅は典型的に同じであるが、このことは必須ではなく、その場合は、いくつかの実施形態では異なる幅の螺旋状の切り込みを有し得る。更に、いくつかの実施形態において、典型的には部材40を補強するために、切り込みの一方又は両方の幅が、切り込みに沿って異なっていてもよい。
【0034】
心臓内適用について、可撓性と剛性の間の適切なバランスをとるために、各螺旋は典型的に、部材40の中央軸70(図4A)に対して約360°〜約720°の間の角度範囲を定める。上記に記載された心臓内適用について、及び図3に示すように、各螺旋は約450°の角度を定めており、これにより、各螺旋は約1.25回転の角範囲を有する。発明者らは、約1.25回転にすると、例えばたわみに関する半径対称性を確保し、かつ部材を十分な強度にするというような、部材40の相反する要件の間に良好なバランスが得られることを見出した。あるいは、各螺旋についてこれより大きい又は小さい角範囲を使用することができ、これらの角範囲は、適用用途の要件によっては等しくなくともよい。
【0035】
部分42の各螺旋の終点部は、ひずみ緩和のために拡張することができ、これにより、この部分が使用中に破損しないようにできる。この拡張部分は一般に、部分的長円の形状である。よって、螺旋48が第一の部分的長円72及び第二の部分的長円74の終点部を有し、螺旋50が第一の部分的長円76及び第二の部分的長円78の終点部を有する。いくつかの実施形態において、この拡張部は、螺旋の幅よりも大きい直径を有する部分的円として実施することができる。この拡張部は、それぞれの螺旋に対して、部分42の長さを最小にし、それゆえに、位置センサー54と発生器58との間の距離が最短になり得るような向きにすることができる。
【0036】
複数の螺旋46は、その複数の螺旋の数に従った、軸70に対する回転対称性を有する。よって、本明細書に記述されている二重螺旋は、2倍の回転対称性を有する。一般に、複数の螺旋46がn本の螺旋を含む場合(nは正の整数)、この螺旋は軸70に対してn倍の回転対称性を有するよう構成することができる。
【0037】
複数の螺旋46の構成は、多条ねじ(multiply-threaded screw、multiple-start screw)のねじ切りの構成に匹敵する。(同様に、単一螺旋は一条ねじ(single-threaded screw、single-start screw)に匹敵する。)この類似性を用いて、上記に例示された実施形態(部材40の全長が約8.5mmのもの)について、複数の螺旋46は、ピッチが約0.5mm、リードがこの値の2倍である、すなわち約1.0mmの二条ねじに対応する。
【0038】
第一部分42は典型的に、一般に長方形のステム80を含み、これを用いて部分42が第二部分44に接続される。ステムは、部分42を製造するのに使用した管から材料を切断することによって形成することができ、これによりステムは、部分42の残部の壁厚と同じ壁厚を有するようにできる。
【0039】
図4Aに図示されているように、部材40は第一部分42を第二部分44の中に滑り入れることによって形成され、これにより、ステム80は部分44内に閉じ込められ、部分的長円72及び76は部分44の縁に隣接して接触する。これら2つの部分は、図示のように共通する円周を有するよう配置されたら、次に固定的に互いに接続され、これは典型的には、部分44の内表面にステム80の縁をキーホール溶接することによって行われる。加えて、更に剛性を高めるため、図4Bに示すように、これら2つの部分は、部分44の縁が部分42に接触する場所、すなわち共通する円周に沿って、互いに溶接接合される。円周溶接は部分的であり、これにより、部分的長円76及び72を含む螺旋状の切り込みの終点部を包含する領域82は溶接されない。この部分的溶接では、単一螺旋の場合よりも、連結部材の2つの部分間に対して応力がより対称的に分配され、また2つの部分のおかげで、1箇所にかかる応力が低減される。
【0040】
連結部材40に複数の螺旋状の切り込みがあることにより、この部材はばねとしての働きをし、この部材が屈曲するのを可能にする。1本を超える数の螺旋状の切り込みを有することにより、その屈曲は、単一の螺旋状の切り込みで、複数の螺旋状の切り込みと同じ回転数を有する管の屈曲よりも、(同じ外力範囲に対して)より均一なものになる。複数の螺旋状の切り込みはまた、単一の螺旋状の切り込みを有する管に比べ、より大きな側方剛性をもたらす。この屈曲は、屈曲の内側で螺旋状の切り込みの側面が接触する角度(例えば30°)までの範囲となる。この点において、接触する場所は本質的に「活性を失う」ことになるが、接触していない部分は屈曲のために利用できる状態のままである。螺旋状の切り込みの幅は、したがって、連結部材の初期屈曲に関して望ましい既定の角度制限をもたらすよう選択することができ、これは、過剰な屈曲によって起こり得るカテーテル20のコンポーネントの破損を防ぐ上で有用である。
【0041】
更に、複数の螺旋状の切り込みを有することによって、単一の螺旋状の切り込みの連結部材で起こる単一点破壊が排除される。複数の螺旋状の切り込み46では、連結部材40の第一部分42が破損するには、対応する複数の破壊が必要になる。
【0042】
カテーテル20の操作及び構造が、カテーテルによる心臓内手順の文脈において上記に記述されているが、本発明の原理は、心臓及び他の身体臓器の両方に対する、侵襲的プローブを使用する他の治療及び診断用途にも同様に適用することができる。更に、カテーテル20及び連結部材40の実行の原理はまた、例えばラッソーカテーテル及び「ペンタレイ(Pentarray)」型カテーテルのような他の型のカテーテル設計において、可撓性を強化するために適用することもできる。螺旋型ラッソーカテーテルにおいては例えば、使用しやすさと、心臓内の望ましい位置へのラッソーの正確な位置合わせとを強化するために、連結部材40のような弾性要素を螺旋型ラッソーに組み込むことができる。
【0043】
上述された実施形態は例示のために引用され、また本発明は、以上に特に示され記述されたものに限定されるものではないことが、したがって理解されるであろう。むしろ本発明の範囲は、以上に記述されたさまざまな特徴の結合及び副結合の両方とともに、当業者が前述の記述を読了後に思いつくであろう、先行技術に開示されていない、それらの変更と修正をも包含する。
【0044】
〔実施の態様〕
(1) 患者の体腔内に挿入するための遠位端を有する可撓性挿入管と、
前記可撓性挿入管の前記遠位端に配置され、前記体腔内の組織に接触するよう構成された遠位先端部と、
前記遠位先端部を前記可撓性挿入管の前記遠位端に連結し、弾性材の管状部品を含む、連結部材であって、前記管状部品が、前記部品の長さの一部分に沿って前記部品の中を通過する複数の絡み合った螺旋状の切り込みを有する、連結部材と、を含む、医療用プローブ。
(2) 前記螺旋状の切り込みのうちの少なくとも1本が、拡張した終点部を含む、実施態様1に記載のプローブ。
(3) 前記拡張した終点部が部分的長円を含む、実施態様2に記載のプローブ。
(4) 前記複数の絡み合った螺旋状の切り込みがn本の切り込みを含み、nは1より大きい整数であり、前記管状部品が前記部品の軸に対してn倍の回転対称性を有するように前記切り込みが構成されている、実施態様1に記載のプローブ。
(5) 前記螺旋状の切り込みのうちの少なくとも1本が、前記管状部品の軸に対して360°〜720°の間の角度範囲を定める、実施態様1に記載のプローブ。
(6) 前記連結部材が、前記遠位先端部が前記組織に係合したときに、前記遠位先端部にかかる圧力に対応して屈曲するよう構成されており、かつ、前記螺旋状の切り込みのうち少なくとも1本の幅が、前記連結部材の初期屈曲に対する所定の角度制限をもたらすよう選択されている、実施態様1に記載のプローブ。
(7) 前記連結部材が、前記管状部品に対して固定接続部によって接続された管状部分を含む、実施態様1に記載のプローブ。
(8) 前記管状部品がステムを含み、前記固定接続部が、前記管状部分に溶接された前記ステムを含む、実施態様7に記載のプローブ。
(9) 前記管状部分及び前記管状部品が共通の円周を形成するよう配置され、前記固定接続部には、前記螺旋状の切り込みのそれぞれの終点部近くで、共通する円周のない領域における溶接点が含まれる、実施態様7に記載のプローブ。
(10) 前記管状部品内に位置センサーを含む、実施態様7に記載のプローブ。
【0045】
(11) 前記位置センサーが、前記挿入管の前記遠位端に対する前記遠位先端部の位置を検知するよう構成され、前記位置は前記連結部材の変形に対応して変わる、実施態様10に記載のプローブ。
(12) 前記位置センサーが磁場に対応して信号を生成するよう構成され、前記信号は前記遠位先端部の位置を示す、実施態様10に記載のプローブ。
(13) 前記磁場を発生するため、前記管状部分内に磁場発生器を含む、実施態様12に記載のプローブ。
(14) 前記挿入管、前記遠位先端部及び前記連結部材が、患者の血管を通って心臓内に挿入するよう構成されている、実施態様1に記載のプローブ。
(15) プローブを患者の体腔内に挿入することであって、前記プローブが、可撓性挿入管、及び前記可撓性挿入管の遠位端に配置される遠位先端部、並びに、前記遠位先端部を前記可撓性挿入管の前記遠位端に連結し、弾性材の管状部品を含む、連結部材であって、前記管状部品が、前記部品の長さの一部分に沿って前記部品の中を通過する絡み合った複数の螺旋状の切り込みを有する、連結部材を含む、ことと、
前記遠位先端部を前記体腔内の組織に接触させることと、を含む、医学的手順を実施するための方法。
(16) 前記プローブの挿入が、前記患者の血管を通って心臓内まで前記プローブを通すことを含む、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記遠位先端部が接触した前記組織を除去することを含む、実施態様15に記載の方法。
(18) 可撓性挿入管を提供することであって、前記可撓性挿入管が、患者の体腔内に挿入するための遠位端と、前記可撓性挿入管の前記遠位端に配置されて前記体腔内の組織と接触するよう構成されている遠位先端部と、を有する、ことと、
弾性材の管状部品を含んだ連結部材を用いて、前記遠位先端部を前記可撓性挿入管の前記遠位端に連結することであって、前記管状部品が、前記部品の長さの一部分に沿って前記部品の中を通過する複数の絡み合った螺旋状の切り込みを有する、ことと、を含む、医療用プローブを製造するための方法。
(19) 前記螺旋状の切り込みのうちの少なくとも1本が、拡張した終点部を含む、実施態様18に記載の方法。
(20) 前記拡張した終点部が部分的長円を含む、実施態様19に記載の方法。
【0046】
(21) 前記複数の螺旋状の切り込みがn本の切り込みを含み、nは1より大きい整数であり、前記管状部品が前記部品の軸に対してn倍の回転対称性を有するように前記n本の切り込みを構成することを含む、実施態様18に記載の方法。
(22) 前記螺旋状の切り込みのうちの少なくとも1本が、前記管状部品の軸に対して360°〜720°の間の角度範囲を定める、実施態様18に記載の方法。
(23) 前記遠位先端部が前記組織に係合したときに、前記遠位先端部にかかる圧力に対応して屈曲するよう、前記連結部材を構成することと、前記連結部材の初期屈曲に対する所定の角度制限をもたらすよう選択された幅を有するよう、前記螺旋状の切り込みのうち少なくとも1本を構成することと、を含む、実施態様18に記載の方法。
(24) 前記連結部材が、前記管状部品に対して固定接続部によって接続された管状部分を含む、実施態様18に記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の体腔内に挿入するための遠位端を有する可撓性挿入管と、
前記可撓性挿入管の前記遠位端に配置され、前記体腔内の組織に接触するよう構成された遠位先端部と、
前記遠位先端部を前記可撓性挿入管の前記遠位端に連結し、弾性材の管状部品を含む、連結部材であって、前記管状部品が、前記部品の長さの一部分に沿って前記部品の中を通過する複数の絡み合った螺旋状の切り込みを有する、連結部材と、を含む、医療用プローブ。
【請求項2】
前記螺旋状の切り込みのうちの少なくとも1本が、拡張した終点部を含む、請求項1に記載のプローブ。
【請求項3】
前記拡張した終点部が部分的長円を含む、請求項2に記載のプローブ。
【請求項4】
前記複数の絡み合った螺旋状の切り込みがn本の切り込みを含み、nは1より大きい整数であり、前記管状部品が前記部品の軸に対してn倍の回転対称性を有するように前記切り込みが構成されている、請求項1に記載のプローブ。
【請求項5】
前記螺旋状の切り込みのうちの少なくとも1本が、前記管状部品の軸に対して360°〜720°の間の角度範囲を定める、請求項1に記載のプローブ。
【請求項6】
前記連結部材が、前記遠位先端部が前記組織に係合したときに、前記遠位先端部にかかる圧力に対応して屈曲するよう構成されており、かつ、前記螺旋状の切り込みのうち少なくとも1本の幅が、前記連結部材の初期屈曲に対する所定の角度制限をもたらすよう選択されている、請求項1に記載のプローブ。
【請求項7】
前記連結部材が、前記管状部品に対して固定接続部によって接続された管状部分を含む、請求項1に記載のプローブ。
【請求項8】
前記管状部品がステムを含み、前記固定接続部が、前記管状部分に溶接された前記ステムを含む、請求項7に記載のプローブ。
【請求項9】
前記管状部分及び前記管状部品が共通の円周を形成するよう配置され、前記固定接続部には、前記螺旋状の切り込みのそれぞれの終点部近くで、共通する円周のない領域における溶接点が含まれる、請求項7に記載のプローブ。
【請求項10】
前記管状部品内に位置センサーを含む、請求項7に記載のプローブ。
【請求項11】
前記位置センサーが、前記挿入管の前記遠位端に対する前記遠位先端部の位置を検知するよう構成され、前記位置は前記連結部材の変形に対応して変わる、請求項10に記載のプローブ。
【請求項12】
前記位置センサーが磁場に対応して信号を生成するよう構成され、前記信号は前記遠位先端部の位置を示す、請求項10に記載のプローブ。
【請求項13】
前記磁場を発生するため、前記管状部分内に磁場発生器を含む、請求項12に記載のプローブ。
【請求項14】
前記挿入管、前記遠位先端部及び前記連結部材が、患者の血管を通って心臓内に挿入するよう構成されている、請求項1に記載のプローブ。
【請求項15】
可撓性挿入管を提供することであって、前記可撓性挿入管が、患者の体腔内に挿入するための遠位端と、前記可撓性挿入管の前記遠位端に配置されて前記体腔内の組織と接触するよう構成されている遠位先端部と、を有する、ことと、
弾性材の管状部品を含んだ連結部材を用いて、前記遠位先端部を前記可撓性挿入管の前記遠位端に連結することであって、前記管状部品が、前記部品の長さの一部分に沿って前記部品の中を通過する複数の絡み合った螺旋状の切り込みを有する、ことと、を含む、医療用プローブを製造するための方法。
【請求項16】
前記螺旋状の切り込みのうちの少なくとも1本が、拡張した終点部を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記拡張した終点部が部分的長円を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記複数の螺旋状の切り込みがn本の切り込みを含み、nは1より大きい整数であり、前記管状部品が前記部品の軸に対してn倍の回転対称性を有するように前記n本の切り込みを構成することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記螺旋状の切り込みのうちの少なくとも1本が、前記管状部品の軸に対して360°〜720°の間の角度範囲を定める、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記遠位先端部が前記組織に係合したときに、前記遠位先端部にかかる圧力に対応して屈曲するよう、前記連結部材を構成することと、前記連結部材の初期屈曲に対する所定の角度制限をもたらすよう選択された幅を有するよう、前記螺旋状の切り込みのうち少なくとも1本を構成することと、を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記連結部材が、前記管状部品に対して固定接続部によって接続された管状部分を含む、請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公開番号】特開2011−115581(P2011−115581A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−264726(P2010−264726)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(508080229)バイオセンス・ウエブスター・インコーポレーテツド (79)
【Fターム(参考)】