説明

圧着用紙の原紙、その製造方法、及びその製造方法に使用される感圧接着剤組成物塗料

【課題】インクジェットプリンタによる印刷において、記録画像の滲みがなく、印刷濃度が十分であり、微細画像の印刷適性に優れた圧着用紙の原紙を提供する。
【解決手段】基紙と、基紙の片面または両面に形成された感圧接着剤組成物の塗工層とを包含し、塗工層には、基剤と微粒子充填剤とカチオン性インク定着剤とが含まれており、かつ微粒子充填剤としては、ISO 787−5による吸油量が100〜280ml/100gである非晶質シリカを含み、非晶質シリカの基剤に対する配合割合は、基剤100重量%に対して50〜150重量%であり、カチオン性インク定着剤としては、ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂を含み、ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂の基剤に対する配合割合は、基剤100重量%に対して5〜35重量%である、ことを特徴とするインクジェット式プリンタによる印刷に適した圧着用紙の原紙。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット式プリンタによる印刷に適した圧着用紙(例えば、葉書用途の圧着用紙、機密保持が必要な各種通知書用途の圧着用紙等)の原紙、その製造方法、及びその製造方法に使用される感圧接着剤組成物塗料に関する。更に詳しくは、バーコードなどの繊細画像の印刷適性に優れる圧着用紙の原紙、その製造方法、及びその製造方法に使用される感圧接着剤組成物塗料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、封書と同様に通信の機密保持が可能で、個人情報(例えば、預貯金額、使用料金等)の郵便による通知に使用できる親展性を有する葉書用途の圧着用紙が開発されている。我が国においては、封書よりも葉書の方が郵便料金が安い。そのため、我が国においては、封書と同様に通信の機密保持が可能で、親展性・隠蔽性を備えつつも、葉書と同様な外観形態を呈することが可能な葉書用途の圧着用紙が種々開発され、広く一般に普及するに至っている。
【0003】
葉書用途の圧着用紙は、一般にロール状で提供される専用の原紙を加工することにより製造される。この原紙は、基紙と、この基紙の片面または両面の全部又は一部に形成された、感圧接着剤組成物の塗工層とを包含する。塗工層には、非剥離性感圧接着剤を主成分とする基剤と、この基剤の接着態様を調整するための微粒子充填剤とが含まれている。また、インクジェット式プリンタによる印刷を行う場合には、インクを定着させるためのカチオン性インク定着剤などを加えることもある。
【0004】
原紙から葉書用途の圧着用紙である連続帳票を製造するには、罫線、注意書き、デザイン等(固定情報)を紫外線硬化型インクでロール状の原紙にオフセット印刷する工程と、固定情報が印刷されたロール状の原紙に折り線や切り取り線となるべきミシン目加工を施す工程と、ミシン目加工が施されたロール状の原紙を長手方向に等間隔でミシン目に沿ってZ折り状に折り畳むことで連続帳票を完成する工程とを経ることとなる。
【0005】
完成した連続帳票の使用に当たっては、連続帳票をノンインパクト方式のオンデマンドプリンタに供給することにより、宛名面には受取人の住所や氏名、また親展面には個人番号、請求金額等の個人情報(可変情報)を印刷する工程と、可変情報が印刷された連続帳票をミシン目に沿って1宛名分の紙片に切り離す工程と、切り離された1宛名分の紙片を親展面を内側にしてミシン目に沿って二つ折り状、又は三つ折り状に折り畳む工程と、折り畳まれた紙片をドライシーラに掛けて圧着封止する工程とを経ることとなる。
【0006】
感圧接着剤組成物の塗工層は、常温、常圧の通常の状態では接着性がなく、塗工層同士を対向させた状態で、ドライシーラに掛けて強力な圧力(例えば、50〜150kg/cm2程度)で挟み付けることにより、初めて接着性を呈するように仕組まれている。
【0007】
一方、一旦接着した後にあっては、郵送時の自動仕分け機等により想定される通常の外力によっては剥離することはないものの、そのような通常の外力を超え、かつ人が加えることが可能な程度の強い力で引き離そうとすれば、折り重ねられて接着された2枚の紙片は、相対向する塗工層同士の界面において剥離され、印刷された可変情報が露出されることとなる。
【0008】
なお、圧着用紙の使用用途に関して、一例として葉書用紙を挙げたが、機密保持が必要な通知書、書類等に用途展開をすることも可能である。
【0009】
このような圧着用紙の構成の一例を図1に示す。同図において、101は圧着用紙、110は基紙、120は感圧接着剤組成物塗工層である。なお、同図において各層の割合は実際の厚みと必ずしも比例するものではない。
【0010】
圧着用紙101の基本的な構成の一例としては、図1(a)の例のように、基紙110の一方の面に感圧接着剤組成物塗工層120を設けたものがある。また、図1(b)の例のように、基紙110の両面に感圧接着剤組成物塗工層120を設けたものもある。
【0011】
このような親展性を有する葉書への各種情報の印刷には、従来より電子写真プリンタやインクジェットプリンタが用いられている。特に近年では、ランニングコストが安いなどの理由から、水溶性インクを用いるインクジェットプリンタによる印刷が注目されている。このため、親展性を有する葉書に用いる圧着用紙にもインクジェット記録適性が求められている。
【0012】
高速輪転式インクジェット式プリンタに使用される圧着用紙に要求される品質(インクジェット適正)としては、(1)ドライシーラで圧着用紙を圧着後、剥離しても親展面の印刷が対向面に転移しない程度のインク吸収性(塗工層のインク吸収性)を有すること、(2)OCR適性を満足するバーコード印刷が可能である程度の記録画像の鮮明性(塗工層の記録画像鮮明性)を有すること、(3)葉書用途の圧着用紙を製造する場合において、罫線や一般情報がUV硬化型印刷用インキ等によりフォーム印刷機で印刷する際に、塗工層から感圧接着剤組成物の成分が剥離して印刷機の版等を汚さない程度の塗工層強度(塗工層の強度)を有すること、が要求される。
【0013】
親展性を有する葉書に印刷される情報には、バーコードのような微細画像もある。バーコードの印刷においては、バーコードが正確に読みとれるように、印刷されたバーコード線がシャープであることや印刷濃度が十分であることなどが要求される。したがって、インクジェット式プリンタによるバーコードの印刷においては、インクジェットインクの滲みなどによる印刷線の膨張がないこと、印刷画像の濃度低下がないこと、などのインクジェット記録適性が用紙に要求される。特に「EAN128バーコード」のような記録密度の高い高精細な画像の印刷には、用いる用紙には高度なインクジェット記録適性が要求される。
【0014】
上述のようなインクジェット記録適性を有する圧着用紙を製造する技術としては、各種情報の印刷面となる感圧接着剤組成物塗工層にカチオン性インク定着剤を配合し、インクジェットインクを感圧接着剤組成物塗工層に定着させる方法が知られている。このような技術の一例として、インクジェット記録用の圧着用紙の感圧接着剤組成物塗工層に、弱カチオン性のポリアミド樹脂を配合するという技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0015】
また、感圧接着剤組成物塗工層にてインクジェットインクを十分に吸収できるように、感圧接着剤組成物塗工層にシリカなどの微細鉱物粉末を含有させる方法もある。このような技術の一例としては、インクジェット記録用の圧着用紙の感圧接着剤組成物に超微細粉無定形シリカや微細鉱物粉末を含有させるという技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開平9−71758号公報(請求項1)
【特許文献2】特開平9−11669号公報(請求項2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、特許文献1,2に記載のインクジェット記録用圧着用紙では、バーコードのような微細画像を印刷した際の画像鮮明性が十分ではないという問題があった。
【0018】
また、前述の通り、画像記録を行った圧着用紙を親展性を有する葉書とするには、圧着用紙を二つ折り又は三つ折りに折り畳み、50〜150kg/cm2程度の強圧をかけて親展面同士を剥離可能に接着するが、この際、インクジェットインクの感圧接着剤組成物塗工層への定着が十分でない場合には、折り畳んで重ね合わせた一方の親展面に記録された画像が、もう一方の親展面に転移してしまうという問題があった。
【0019】
また、前述の通り、親展性を有する葉書は、受取人が親展情報を確認するために剥離可能に接着した親展面同士を剥離して用いられるが、この剥離の際に感圧接着剤組成物塗工層自体が剥がれてしまうと、綺麗に剥離できず、結果的に記録画像に欠けが生じるという問題があった。
【0020】
本発明はこのような問題を鑑みてなされたものであり、その目的するところは、インクジェットプリンタによる印刷において、記録画像の滲みがなく、印刷濃度が十分であり、バーコードなどの微細画像の印刷適性に優れた圧着用紙の原紙、その製造方法、及びその製造方法に使用される感圧接着剤組成物塗料を提供することにある。
【0021】
本発明の他の目的とするとことは、インクジェット式プリンタによる印刷において、インクジェットインクの感圧接着剤組成物塗工層への定着が十分であり、圧着用紙を用いて親展性を有する葉書を形成する際に、折り畳んで重ね合わせた一方の親展面に記録された画像がもう一方の親展面に転移しにくい圧着用紙の原紙、その製造方法、及びその製造方法に使用される感圧接着剤組成物塗料を提供することにある。
【0022】
本発明の他の目的とするところは、感圧接着剤組成物塗工層の強度が十分であり、剥離の際などに感圧接着剤組成物塗工層の欠落の少ない圧着用紙を提供することにある。
【0023】
本発明の他の目的並びに作用効果については、以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上述の発明が解決しようとする課題は、以下の構成を有する、圧着用紙の原紙、その製造方法、及びその製造方法に使用される感圧接着剤組成物塗料により解決することができると考えられる。
【0025】
即ち、本発明の圧着用紙の原紙は、基紙と、前記基紙の片面または両面の全部又は一部に形成された、感圧接着剤組成物の塗工層とを包含する。
【0026】
前記塗工層には、非剥離性感圧接着剤を主成分とする基剤と、前記基剤の接着態様を調整するための微粒子充填剤と、インクジェット式プリンタによるインクを定着させるためのカチオン性インク定着剤と、が含まれている。
【0027】
前記微粒子充填剤としては、ISO 787−5に基づいて測定した吸油量が100〜280ml/100gである非晶質シリカを含み、前記塗工層に含まれる前記非晶質シリカの前記基剤に対する配合割合は、前記基剤100重量%に対して50〜150重量%である。
【0028】
前記カチオン性インク定着剤としては、ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂を含み、前記塗工層に含まれる前記ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂の前記基剤に対する配合割合は、前記基剤100重量%に対して5〜35重量%である。
【0029】
尚、本発明の圧着用紙の原紙においては、少なくとも一方の面の感圧接着剤組成物塗工層が上記条件を満たしていればよく、もう一方の面は、同じ構成の感圧接着剤組成物塗工層、異なる構成の感圧接着剤組成物塗工層、感圧接着剤組成物塗工層を設けない、等の構成を適宜採用すればよい。
【0030】
そして、このような構成によれば、インクジェット式プリンタによる印刷において、記録画像の滲みがなく、印刷濃度が十分であり、繊細画像を好適に印刷することが可能な圧着用紙の原紙が得られる。更には、この圧着用紙の原紙を用いて圧着用紙を製造することで、インクジェットインクの感圧接着剤組成物塗工層への定着が十分であり、親展性を有する葉書を形成する際に、折り畳んで重ね合わせた一方の親展面に記録された画像の、もう一方の親展面への転移のない圧着用紙を得ることが可能となる。
【0031】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記非晶質シリカとして、ISO 787−5に基づいて測定した吸油量が130〜200ml/100gであるものを用いてもよい。このような構成によれば、インクジェットプリンタによる印刷において、記録画像の滲みがなく、印刷濃度が十分であり、繊細画像をより好適に印刷することが可能な圧着用紙の原紙が得られる。
【0032】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂として、ポリジメチルアミンエピクロルヒドリン及び/又は変性ジメチルアミンエピクロルヒドリン縮合物を用いてもよい。このような構成によれば、インクジェットプリンタによる印刷において、記録画像の滲みがなく、印刷濃度が十分であり、繊細画像をより好適に印刷することが可能な圧着用紙の原紙が得られる。
【0033】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂として、数平均分子量が10000以下であるものを用いてもよい。このような構成によれば、インクジェットプリンタによる印刷において、記録画像の滲みがなく、印刷濃度が十分であり、繊細画像をより好適に印刷することが可能な圧着用紙の原紙が得られる。
【0034】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記感圧接着剤組成物の塗工層には、さらに、前記基剤100重量部あたり5〜20重量部のポリビニルアルコールを配合してもよい。このような構成によれば、感圧接着剤組成物塗工層の強度が十分であり、剥離の際などに感圧接着剤組成物塗工層の欠落の少ない圧着用紙の原紙を得ることが可能となる。
【0035】
別の一面から見た本発明は、圧着用紙の原紙の製造方法として把握することもできる。すなわち、この製造方法は、基紙を用意する第1のステップと、感圧接着剤組成物塗料を用意する第2のステップと、前記第1のステップで用意された基紙の片面又は両面の全部又は一部に、第2のステップで用意された感圧接着剤組成物塗料を塗布することにより感圧接着剤組成物の塗工層を形成する第3のステップとを包含する。
【0036】
前記第2のステップは、非剥離性感圧接着剤を主成分とする基剤と、前記基剤の接着態様を調整するための微粒子充填剤と、インクジェット式プリンタによるインクを定着させるためのカチオン性インク定着剤とを、水に添加して混合することにより感圧接着剤組成物塗料を生成する塗料生成ステップを含む。
【0037】
前記塗料生成ステップにおいて、前記微粒子充填剤としては、ISO 787−5に基づいて測定した吸油量が100〜280ml/100gである非晶質シリカを含み、前記非晶質シリカの前記基剤に対する配合割合は、前記基剤100重量%に対して50〜150重量%である。
【0038】
また、前記カチオン性インク定着剤としては、ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂を含み、前記ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂の前記基剤に対する配合割合は、前記基剤100重量%に対して5〜35重量%である。
【0039】
好ましい実施の形態においては、上述の製造方法において、前記感圧接着剤組成物塗料には、さらに、前記基剤100重量部あたり5〜20重量部のポリビニルアルコールが配合されている。
【0040】
別の一面から見た本発明は、圧着用紙の原紙の製造方法に使用される感圧接着剤組成物塗料として把握することもできる。
【0041】
即ち、この感圧接着剤組成物塗料は、非剥離性感圧接着剤を主成分とする基剤と、前記基剤の接着態様を調整するための微粒子充填剤と、インクジェット式プリンタによるインクを定着させるためのカチオン性インク定着剤とを、水に添加して混合してなる。
【0042】
前記微粒子充填剤としては、ISO 787−5に基づいて測定した吸油量が100〜280ml/100gである非晶質シリカを含み、前記微非晶質シリカの前記基剤に対する配合割合は、前記基剤100重量%に対して50〜150重量%である。
【0043】
前記カチオン性インク定着剤としては、ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂を含み、前記ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂の前記基剤に対する配合割合は、前記基剤100重量%に対して5〜35重量%である。
【0044】
好ましい実施の形態にあっては、前記感圧接着剤組成物塗料には、さらに、前記基剤100重量部あたり5〜20重量部のポリビニルアルコールが配合されている。
【0045】
また、本発明の圧着用紙の原紙は、二つ折りタイプの親展性を有する圧着葉書用 紙、もしくは三つ折りタイプの親展性を有する圧着葉書用紙として用いられても良い。この際、剥離可能に圧着される感圧接着剤組成物塗工層の少なくとも一部には、インクジェットプリンタにて情報が印刷される。
【発明の効果】
【0046】
本発明によれば、インクジェットプリンタによる印刷において、記録画像の滲みがなく、印刷濃度が十分であり、繊細画像を好適に印刷することが可能な圧着用紙の原紙を提供することができる。
【0047】
また、本発明の圧着用紙の原紙によれば、インクジェットプリンタによる印刷において、インクジェットインクの感圧接着剤組成物塗工層への定着が十分であり、親展性を有する圧着葉書用紙を形成する際に、一方の親展面に記録された画像が、折り畳んで重ね合わせたもう一方の親展面に転移しにくいという利点がある。
【0048】
また、本発明においては、感圧接着剤組成物の塗工層に、さらに、前記基剤100重量部あたり5〜20重量部のポリビニルアルコールを配合することにより、感圧接着剤組成物塗工層の強度が十分であり、剥離の際などに感圧接着剤組成物塗工層の欠落の少ない圧着用紙を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】圧着用紙の構成の一例を示す図である。
【図2】圧着用紙を二つ折りタイプの親展性を有する圧着葉書に適用した場合の一例を示す図である。
【図3】図2におけるA−A線断面図である。
【図4】圧着用紙を三つ折りタイプの親展性を有する圧着葉書に適用した場合の一例を示す図である。
【図5】両面に本願の構成による感圧接着剤組成物塗工層を設けた場合の図4におけるB−B線断面図である。
【図6】一方の面に本願の構成による感圧接着剤組成物塗工層、他方の面に本願の構成とは異なる構成の感圧接着剤組成物塗工層を設けた場合の図4におけるB−B線断面図である。
【図7】本発明の圧着用紙の原紙から、二つ折りタイプの親展性を有する圧着葉書用紙を製造する場合の一般的な加工工程の工程図である。
【図8】実施例1〜21に用いた感圧接着剤組成物塗料の配合と、得られた圧着用紙の原紙の各物性の評価結果を示す図表である。
【図9】比較例1〜9に用いた感圧接着剤組成物塗料の配合と、得られた圧着用紙の原紙の各物性の評価結果を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下において、本発明の好適な実施の形態について述べるが、本発明は以下の記述で限定されるものではない。
【0051】
インクジェットプリンタによる用紙への印刷では、まずインクノズルから吐出されたインクジェットインクが液滴となって直ちに用紙表面に付着し、その後、用紙内部へと浸透して定着する。インクジェットインクが用紙内部へ浸透するまでの過程において、インクジェットインクは用紙表面と水平方向に広がりながら用紙内部に浸透するが、この水平方向への広がりが大きすぎると記録画像の滲みの原因となる。また、インクジェットインクの用紙内部への浸透が速やかでない場合も、インクジェットインクが用紙表面に長く留まることとなり、結果的に記録画像の滲みの原因となる。
【0052】
その一方で、インクジェットインクが用紙内部へ浸透しすぎると、用紙表面に定着するインクジェットインクの量が少なくなり、結果的に印刷濃度の低下の原因となる。
【0053】
従って、記録画像の滲みがなく、印刷濃度が十分であり、繊細画像の印刷適性に優れる用紙とするためには、用紙表面に付着したインクジェットインクの、用紙表面と水平方向への広がりを適度に抑え、用紙内部への浸透を速やかにし、且つ用紙内部への浸透をできるだけ用紙表層に留める必要がある。
【0054】
先にも述べたように、本発明は、感圧接着剤組成物塗工層へのインクジェットプリンタによる印刷において、記録画像の滲みがなく、印刷濃度が十分であり、繊細画像の印刷適性に優れた圧着用紙の原紙を提供することを目的とするものである。従って、本発明の圧着用紙の原紙においては、インクジェットプリンタによる印刷が行われる感圧接着剤組成物塗工層には、インクジェットインクの用紙表面と水平方向への広がりを適度に抑える機能と、インクジェットインクを速やかに吸収する機能と、インクジェットインクの用紙内部への浸透を感圧接着剤組成物塗工層までに留める機能とが要求される。
【0055】
更に、上記の目的に加え、本発明の圧着用紙の原紙は、親展性を有する圧着葉書用紙を形成する際に、一方の親展面に記録された画像の、折り畳んで重ね合わせたもう一方の親展面への転移を抑えることを目的としている。
前述の通り、圧着用紙を用いて親展性を有する葉書を形成する際には、50〜150kg/cm2程度の強圧をかけて親展面同士を剥離可能に接着する。このため、感圧接着剤組成物塗工層へのインクジェットインクの定着が十分でないと、一方の親展面に記録された画像が、強圧により重ね合わされたもう一方の親展面に転移してしまう。従って、本発明の圧着用紙の原紙の感圧接着剤組成物塗工層には、十分にインクジェットインクを定着させる機能も要求される。
【0056】
そこで本発明の圧着用紙の原紙には、以下の構成を採用するものである。本願の圧着用紙の原紙は、基紙と、基紙の片面または両面の全部又は一部に形成された、感圧接着剤組成物の塗工層とを包含する。塗工層には、非剥離性感圧接着剤を主成分とする基剤と、基剤の接着態様を調整するための微粒子充填剤と、インクジェット式プリンタによるインクを定着させるためのカチオン性インク定着剤と、が含まれている。かつ微粒子充填剤としては、ISO 787−5に基づいて測定した吸油量が100〜280ml/100gである非晶質シリカを含み、塗工層に含まれる微粒子充填剤である非晶質シリカの基剤に対する配合割合は、基剤100重量%に対して50〜150重量%である。カチオン性インク定着剤としては、ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂を含み、塗工層に含まれるポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂の基剤に対する配合割合は、基剤100重量%に対して5〜35重量%とする。
【0057】
このような構成とすることにより、インクジェット式プリンタによる印刷において、記録画像の滲みがなく、印刷濃度が十分であり、繊細画像の印刷適性に優れ、且つ、インクジェットインクの定着が十分で、親展性を有する葉書を形成する際に、折り畳んで重ね合わせた一方の親展面に記録された画像のもう一方の親展面への転移が抑えられた圧着用紙の原紙を得ることができる。
【0058】
本発明の圧着用紙の原紙においては、インクジェット式プリンタによって印刷が施される感圧接着剤組成物塗工層には、基剤の接着態様を調整するために、接着剤組成物中に微粒子充填剤を添加する。含有される微粒子充填剤としては、非晶質シリカを用いる。これは、非晶質シリカは多孔質であり、インクジェットインクを吸収する高い機能を有していることから、感圧接着剤組成物塗工層がインクジェットインクを速やかに吸収することが可能となるためである。
【0059】
本願で用いる非晶質シリカとしては、ISO 787−5に基づいて測定した吸油量が100〜280ml/100gであるものを用いる必要がある。非晶質シリカの吸油量が100ml/100gを下回ると、感圧接着剤組成物塗工層がインクジェットインクを十分且つ速やかに吸収できず、記録画像が滲む虞がある。また、インクジェットインクの用紙内部への浸透を感圧接着剤組成物塗工層までで留めることができず、十分な印刷濃度を確保できない虞がある。一方、非晶質シリカの吸油量が280ml/100gを上回った場合にも、インクジェットインクを十分且つ速やかに吸収できず、記録画像が滲む虞や、十分な印刷濃度を確保できない虞がある。
【0060】
前述の通り、非晶質シリカは多孔質であるため、インクジェットインクの吸収力が高い。そして、この吸収力の度合いは吸油量で評価することができ、吸油量が大きくなるにつれインクジェットインクの吸収性も高くなると考えるのが一般的である。
【0061】
しかしながら、非晶質シリカを感圧接着剤組成物塗工層に含有させた場合、非晶質シリカの吸油量が大きすぎると感圧接着剤組成物塗工層表面におけるインクジェットインクの吸収性は低下することが解った。これは、非晶質シリカの吸油量が大きくなりすぎると、感圧接着剤組成物塗料を調合する段階で非剥離性感圧接着剤やカチオン性インク定着剤などが非晶質シリカに吸収されて非晶質シリカの吸収能力が低下し、結果的に非晶質シリカのインクジェットインク吸収容量が低下してしまうものと推察される。
【0062】
このため、本発明においては、ISO 787−5に基づいて測定した吸油量が130〜200ml/100gである非晶質シリカを用いることがより好ましい。吸油量が上述の範囲の非晶質シリカを用いることにより、感圧接着剤組成物塗工層におけるインクジェットインクの吸収性を十分に確保することができ、バーコードなどの微細画像をより好適に印刷することが可能となる。
【0063】
非晶質シリカの感圧接着剤組成物塗工層への配合量は、基剤100重量部に対して50〜150重量部とする必要がある。非晶質シリカの配合量が50重量部を下回ると、感圧接着剤組成物塗工層がインクジェットインクを十分且つ速やかに吸収できず、記録画像が滲む虞がある。一方、非晶質シリカの配合量が150重量部を上回ると、感圧接着剤組成物塗工層中の基剤の含有比率が相対的に小さくなりすぎ、感圧接着剤組成物塗工層の強度を十分に確保できず、結果として、加圧接着後の圧着用紙を剥離する際に、対向面に感圧接着剤組成物塗工層が剥ぎ取られ、感圧接着剤組成物塗工層の欠落が生じる虞がある。更には、オフセット印刷時などに圧着用紙の原紙から感圧接着剤組成物の一部が脱離し、脱離した感圧接着剤組成物がオフセット印刷機のブランケットに付着して汚染を生じさせる虞がある。
【0064】
尚、本発明においては、インクジェット式プリンタによって印刷が施される感圧接着剤組成物塗工層には、本発明の目的を損なわない範囲で、非晶質シリカ以外の微粒子充填剤を追加してもよい。非晶質シリカ以外の微粒子充填剤としては、デンプン粒子や中空ポリマーなどの有機系粒子や、カオリン、焼成カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、酸化チタン、タルク、シリカ、マイカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫酸カルシウムなどの無機顔料などの中から1種又は2種以上を適宜選択することが可能である。
【0065】
本発明においては、インクジェット式プリンタによって印刷が施される感圧接着剤組成物塗工層には、カチオン性インク定着剤として、ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂を、基剤100重量部あたり5〜35重量部含有させる。
【0066】
ここで、ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂の含有量が5重量部を下回ると、インクジェットインクの用紙表面と水平方向への広がりを適度に抑えることができず、記録画像が滲む虞がある。ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂の含有量としては、基剤100重量部あたり5重量部以上であれば特に限定するものではないが、基剤100重量部あたり5〜35重量部程度とするのが適量である。35重量部を上回って含有してもインクジェットインクを定着させる効果は飽和状態となり、コスト面で不利となる。更には感圧接着剤組成物塗工層中の基剤の含有比率が相対的に小さくなりすぎ、感圧接着剤組成物塗工層の強度を十分に確保できない虞がある。
【0067】
尚、本発明の圧着用紙においては、インクジェットプリンタによって印刷が施される感圧接着剤組成物塗工層には、本発明の目的を損なわない範囲で、ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂以外のカチオン性インク定着剤を追加してもよい。他のカチオン性インク定着剤としては、ポリウレタン系樹脂やポリアミド系樹脂、ポリイミン系樹脂などのカチオン性インク定着剤の中から1種又は2種以上を適宜選択することが可能である。更には硫酸マグネシウムなどの金属塩を併用することも可能である。
【0068】
本発明においては、インクジェットプリンタによって印刷が施される感圧接着剤組成物塗工層には、ISO 787−5に基づいて測定した吸油量が100〜280ml/100gである非晶質シリカと、ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂とを併用して含有させることが重要である。
【0069】
前述の通り、感圧接着剤組成物塗工層にISO 787−5に基づいて測定した吸油量が100〜280ml/100gである非晶質シリカを含有させることにより、感圧接着剤組成物塗工層へのインクジェットインクの吸収を速やかとすることが可能となる。しかしながら、インクジェットインクの用紙表面と水平方向への広がりを防止しながら感圧接着剤組成物塗工層に吸収するためには、インクの吸収を速やかに行うと同時に、感圧接着剤組成物塗工層へのインクジェットインクの定着も速やかに行う必要がある。
【0070】
そこで、本発明においては、感圧接着剤組成物塗工層へのインクジェットインクの定着が速やかとなるよう、インクジェット式プリンタによって印刷が施される感圧接着剤組成物塗工層に、ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂を含有させる。ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂は、ポリウレタン系樹脂やポリアミド系樹脂、ポリイミン系樹脂などの他のカチオン性インク定着剤と比べて、感圧接着剤組成物塗工層へのインクジェットインクの定着が速やかであるものと考えられている。
【0071】
このように、本発明の圧着用紙の原紙は、インクジェット式プリンタによって印刷が施される感圧接着剤組成物塗工層に、ISO 787−5に基づいて測定した吸油量が100〜280ml/100gである非晶質シリカと、ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂とを併用して含有させることにより、感圧接着剤組成物塗工層へのインクジェットインクの吸収と定着を共に速やかとすることができ、微細画像を印刷しても記録画像に滲みのない圧着用紙の原紙を得ることができた。
【0072】
先にも述べたように、親展性を有する圧着葉書用紙を形成する際に、一方の親展面に記録された画像の、折り畳んで重ね合わせたもう一方の親展面への転移を抑えることも本願の目的の一つである。インクジェット式プリンタによって印刷が施される感圧接着剤組成物塗工層に、ISO 787−5に基づいて測定した吸油量が100〜280ml/100gである非晶質シリカと、ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂とを併用して含有させることにより、この目的についても達成することが可能となる。
【0073】
前述の親展面に記録された画像のもう一方の親展面への転移は、インクジェットプリンタによる多色印刷において、特に網点率が100%を超えるような何色ものインクを重ね合わせた画線部で発生しやすい。このことより、インクの転移の問題は、多量のインクジェットインクを感圧接着剤組成物塗工層が十分に吸収できていないか、或いは十分に定着できていない為に生じるものであると推察される。本発明の圧着用紙の原紙の構成を採用すると、感圧接着剤組成物塗工層へのインクジェットインクの十分な吸収性と十分な定着性を同時に満足できるため、このような転移の発生も防ぐことが可能となる。
【0074】
本発明の圧着用紙の原紙に用いるポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂としては、特に限定するものではないが、例えば、ポリジメチルアミンエピクロルヒドリン縮合物、ポリジエチルアミンエピクロルヒドリン縮合物、ポリジプロピルアミンエピクロルヒドリン縮合物、ポリメチルエチルアミンエピクロルヒドリン縮合物、ポリメチルプロピルアミンエピクロルヒドリン縮合物、ポリエチルプロピルアミンエピクロルヒドリン縮合物、などより選ばれるポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂を、1種又は2種以上用いることができる。
【0075】
本発明においては、これらのポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂の中でもポリジメチルアミンエピクロルヒドリン縮合物及び/又は変性ジメチルアミンエピクロルヒドリン縮合物を用いることが好ましい。変性ジメチルアミンエピクロルヒドリン縮合物としてはポリジメチルアミンアンモニアエピクロルヒドリン縮合物及びポリジメチルアミンエチレンジアミンエピクロルヒドリン縮合物などを用いることができる。ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂としてポリジメチルアミンエピクロルヒドリン縮合物及び/又は変性ジメチルアミンエピクロルヒドリン縮合物を用いることにより、記録画像の滲みを防ぎ、十分な印刷濃度を確保することが比較的容易となる。
【0076】
本発明の圧着用紙の原紙に用いるポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂としては、数平均分子量が10000以下のポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂を用いることが好ましい。インクジェットインクとポリアルキルアミンエピクロルヒドリンの反応速度は、ポリアルキルアミンエピクロルヒドリンの数平均分子量が小さいほど速くなるものと考えられる。その為、記録画像の滲みを防ぐためにはなるべく数平均分子量の小さなポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂を用いることが有利である。但し、モノマーのようにあまりにも数平均分子量が小さくなると、取り扱いなどの操業性に難が生じる可能性があるので、小さくともコポリマー程度の数平均分子量となるものが好適である。
【0077】
本発明の感圧接着剤組成物に用いる非剥離性感圧接着剤としては、天然ゴム系ラテックスや合成ゴムラテックス等が挙げられる。特に、天然ゴムにメタアクリル酸メチル、スチレンをグラフト重合させて得られた天然ゴム系ラテックス、メタアクリル酸メチルと混合した天然ゴム系ラテックス、天然ゴム系ラテックスと保護コロイド系アクリル共重合エマルジョンとの混合物等を好適に用いることができる。また、合成ゴムラテックスとしてはスチレン−ブタジエンラテックスを好適に用いることができる。これらのラテックスはそれぞれ単独又は2種以上を混合して用いることが可能である。
【0078】
本発明の圧着用紙の原紙においては、インクジェット式プリンタによって印刷が施される感圧接着剤組成物塗工層にポリビニルアルコールを配合してもよい。前述の通り、圧着用紙を用いた親展性を有する圧着葉書は、剥離可能に接着された親展面同士を剥離することにより親展面に印刷された各種情報を確認することが可能なものである。しかしながら、親展面を剥離する際に対向面に剥ぎ取られるなどして感圧接着剤組成物塗工層が欠落すると、親展面に印刷された各種情報が欠けるなどして情報を正しく認識できない場合がある。このため本発明においては、感圧接着剤組成物にポリビニルアルコールを配合することで感圧接着剤組成物塗工層の強度を高め、剥離の際の感圧接着剤組成物塗工層の欠落を生じ難くすることが好ましい。
【0079】
本願において、感圧接着剤組成物に用いるポリビニルアルコールの配合量としては、基剤100重量部あたり5〜20重量部用いることが好ましい。ポリビニルアルコールの配合量が5重量部を下回ると、感圧接着剤組成物塗工層の強度を高める効果に乏しい。一方、ポリビニルアルコールの配合量が20重量部を上回ると、感圧接着剤組成物中の被感圧接着剤の含有比率が相対的に小さくなりすぎ、加圧接着する際の接着力のコントロールが難しくなる。
【0080】
ここで、用いるポリビニルアルコールの種類は特に限定するものではなく、完全ケン化型ポリビニルアルコールや部分ケン化型ポリビニルアルコールを用いることができる。また、シラノール変性、カルボキシル基変性、アセトアセチル基変性、カチオン変性、などの各種変性ポリビニルアルコールを用いることができる。
【0081】
本発明の感圧接着剤組成物には、必要に応じて、消泡剤、増粘剤、pH調整剤、潤滑剤、分散剤、湿潤剤、染料、老化防止剤、防腐剤、等の当該技術分野で用いられる公知の添加剤を適宜用いてもよい。
【0082】
本発明の圧着用紙の原紙においては、感圧接着剤組成物は、基紙の片面当たり固形分で3〜12g/m2の範囲で塗工することが好ましい。また、基紙に感圧接着剤組成物塗工層を形成するための塗工装置は特に限定されるものではなく、一般の塗工紙製造分野で用いられる公知の塗工装置を適宜使用できる。例えば、ブレードコータ、エアーナイフコータ、ロールコータ、リバースロールコータ、カーテンコータ、バーコータ、グラビアコータ、サイズプレスコータ、ビルブレードコータ、等を用いることが可能である。
【0083】
本発明の圧着用紙の原紙に用いる基紙としては、クラフト紙、フォーム用紙、上質紙、中質紙、OCR用紙等の各種情報用紙を使用することができる。また、基紙の繊維原料には環境面を考慮して、一般的なパルプ以外にも、工程で発生する損紙、古紙パルプ及びケナフ、バガス、竹等の非木材原料も使用することができる。
【0084】
本発明の圧着用紙の原紙の米坪量は、特に制限するものではないが、親展性を有する圧着葉書用紙に加工することを考慮して60〜200g/m2とすることが好ましい。米坪量が60g/m2を下回ると、不透明度を満足することが難しく、親展性を有する葉書とした際に、親展情報が透けて見えてしまう虞がある。一方、米坪量が200g/m2を超えると剛度が高くなるため、親展性を有する葉書とする際の加工適性に劣る虞がある。
【0085】
以下において、本発明に係る圧着用紙の原紙より得られた圧着用紙の具体的な使用例を図2〜6を参照して説明する。図2には圧着用紙を二つ折りタイプの親展性を有する圧着葉書用紙に適用した場合の一例が、図3には図2におけるA−A線断面図が、それぞれ示されている。図2,3において、1は二つ折りタイプの親展性を有する圧着葉書用紙、1aは圧着葉書用紙表面、1bは圧着葉書用紙裏面、2は宛名面、3は圧着面、4は基紙、5は感圧接着剤組成物塗工層、6は親展情報、7は宛名情報である。尚、図3において、基紙4と感圧接着剤組成物塗工層5の厚みについては、実際の厚みと同図に示される厚みとは必ずしも比例するものではない。
【0086】
二つ折りタイプの親展性を有する圧着葉書用紙1は、宛名情報7が印刷される宛名面2が外側、感圧接着剤組成物塗工層5が内側になるように折り畳まれ、感圧接着剤組成物塗工層5を介して親展情報6が印刷された圧着面3aと圧着面3bとが剥離可能に圧着される。この例では宛名面2側の基紙4表面1aには塗工層等が設けられていないが、各種機能を付与するために、クレーコート層やインクジェットインク受理層、耐水バリア層などを設けても良い。なお、ここで「親展情報」とは、受取人に送られる情報であって、各種イベントなどの告知、公共料金の請求、督促、その他第三者の目に触れると不都合が生じる虞のある情報のことである。
【0087】
圧着面3aに親展情報6をインクジェットプリンタを用いて印刷し、感圧接着剤組成物塗工層5を介して圧着面3aと圧着面3bとを剥離可能に加圧接着すると、圧着面3aに印刷された画像は圧着面3bと接触することになる。圧着面3aに印刷された画像のインクジェットインクの定着が不十分な場合、圧着面3aに印刷された画像は圧着面3bに転移する虞があるが、本発明の構成を取ることにより、インクジェットインクの定着が不十分なことによる印刷画像の転移を防ぐことができる。
【0088】
次に、本発明の圧着用紙の原紙より得られた圧着用紙を、三つ折りタイプの親展性を有する葉書に適用した場合の例について説明する。図4には、圧着用紙を三つ折りタイプの圧着葉書に適用した場合の一例が示されており、同図において図4(a)は表面、図4(b)は裏面、図4(c)は折り畳み状態を示す図である。また、図5には両面に本発明の感圧接着剤組成物塗工層14を設けた場合の図4におけるB−B線断面図が、図6には一方の面に本願の構成による感圧接着剤組成物塗料、他方の面に異なる構成の感圧接着剤組成物塗料を塗工した場合の図4におけるB−B線断面図が、それぞれ示されている。図4〜6において、10は三つ折りタイプの親展性を有する圧着葉書用紙、10aは圧着葉書用紙表面、10bは圧着葉書用紙裏面、11は宛名面、12a〜12dは各圧着面、13は基紙、14は本願の構成による感圧接着剤組成物塗工層、15は本願の構成とは異なる感圧接着剤組成物塗工層である。尚、図5,6において、基紙13と感圧接着剤組成物塗工層14,15との厚みについては、実際の厚みと同図に示される厚みとは必ずしも比例するものではない。
【0089】
本発明の圧着用紙原紙より得られた圧着用紙を三つ折りタイプの新展性を有する圧着葉書用紙10に加工する場合には、基紙13の両面に感圧接着剤組成物塗工層14を設け、宛名面11を外側にして図4のように三つ折りに折り畳み、圧着面12aと圧着面12b、圧着面12cと圧着面12dとをそれぞれ感圧接着剤組成物塗工層14を介して剥離可能に圧着させる。このような三つ折り圧着葉書においては、圧着面12a,12bによる圧着部分と、圧着面12c,12dによる圧着部分の双方を親展面として用いてもよく、いずれか一方の圧着部分を親展面とし他方の圧着部分は広告面もしくは剥離不可としてもよい。
【0090】
圧着用紙の両方の面(例えば圧着面12aを有する表面10aと、圧着面12cを有する裏面10b)にインクジェットプリンタで印刷を行う場合には、図5のように両面に本願の構成による感圧接着剤組成物塗工層14を設けた圧着用紙の原紙を用いることが好ましい。圧着面12a、圧着面12cに親展情報16をインクジェットプリンタを用いて印刷し、本願の構成による感圧接着剤組成物塗工層14を介して圧着面12aと圧着面12bとを、及び、圧着面12cと圧着面12dとを剥離可能に加圧接着する。これにより、圧着面12aに印刷された画像は圧着面12bに、圧着面12cに印刷された画像は圧着面12dに、それぞれ接触することになる。圧着面12a、圧着面12cに印刷された画像は、それぞれ圧着面12b、圧着面12dに転移する虞があるが、図5のような構成を取ることにより、インクジェットインクの定着が不十分なことによる印刷画像の転移を防ぐことができる。
【0091】
これに対して、一方の面(例えば圧着面12a,12bを有する表面10a)のみにインクジェット式プリンタにて印刷を行い、他方の面(例えば、圧着面12c,12dを有する裏面10b)にはインクジェット式プリンタによる印刷を行わない場合には、一方の面のみに本願の構成による感圧接着剤組成物塗工層14を設けた図6の構成を採用してもよい。このような例としては、一方の側(例えば圧着面12a,12b)を親展面とし、もう一方の側(例えば、圧着面12c,12d)を広告面として用いる場合が挙げられる。印刷をインクジェット式プリンタで行わない圧着面12c、圧着面12dに用いる感圧接着剤組成物塗工層15には、一般の圧着用紙に用いられる感圧接着剤組成物塗料を適宜選択して用いることが可能である。
【0092】
但し、図6のように宛名面11と同じ側の面(図中圧着面12c、圧着面12d)を広告面とする場合には、宛名情報17がどのようなタイプのプリンタで印刷されるのか確認する必要がある。宛名情報17をインクジェット式プリンタで印刷する場合には、感圧接着剤組成物塗工層15に本願による感圧接着剤組成物塗料を用いることにより、印刷画像の滲みなどが生じないようにすることができる。
【0093】
また、本発明の圧着用紙を適用した三つ折りタイプの親展性を有する葉書においては、圧着用紙の一方の面のみ(例えば圧着面12a,12bを有する表面10a)を親展面とし、もう一方の面(例えば、圧着面12c,12dを有する裏面10b)は剥離を行わない非剥離面とすることもできる。この場合にも、非剥離面となる裏面10bについては本願による感圧接着剤組成物塗料を用いる必要はなく、一般の圧着用紙に用いられる感圧接着剤組成物塗料を適宜選択して用いることが可能である。
【0094】
次に、本願の圧着用紙の原紙から、二つ折りタイプの親展性を有する圧着葉書用紙を製造する場合の一般的な加工工程を、図7の工程図を参照して説明する。図7の例では、ロール状の原紙20の幅W1は二つ折り圧着葉書用紙の展開方向の長さに相当する。
【0095】
先ず、製紙会社にて原紙20を製造する。製造された原紙20の構造は、基紙と、基紙の片面または両面の全部又は一部に形成された、感圧接着剤組成物の塗工層とを包含し、塗工層には、非剥離性感圧接着剤を主成分とする基剤と、基剤の接着態様を調整するための微粒子充填剤と、インクジェット式プリンタによるインクを定着させるためのカチオン性インク定着剤と、が含まれている。こうして製造された原紙20は、ロール状に巻き取った状態で加工業者に移送される(図7(a)参照)。
【0096】
次いで、加工業者では、ロール状の原紙20に、親展情報が透けてしまうことを防止するための模様や一般情報、罫線などの固定情報をオフセット印刷機等でフォーム印刷する。この段階では、幅方向に展開された1単位分の二つ折り圧着葉書用紙の予定領域が、ロール伸長方向に連なった状態となっている(図7(b)参照)。なお、先に述べたように、塗工層強度が不足している場合には、このフォーム印刷の段階で、印刷機汚れの問題が発生する可能性がある。
【0097】
次いで、フォーム印刷が完了したロール状の原紙20を1単位分の二つ折り圧着葉書用紙の予定領域に切り離す為のミシン目加工と、二つ折りにするためのミシン目加工とを施すと共に、必要に応じて幅方向の両側縁部に沿って送り孔加工(図示せず)を施したのち、こうしてフォーム印刷並びにミシン目加工等が施された原紙20は、折り畳み装置へと送られてZ折り状に折り畳まれる(図7(c)参照)。
【0098】
次いで、折り畳み装置においては、フォーム印刷並びにミシン目加工等が施された原紙20は、ロールの長手方向に等間隔でジグザグ状に折り重ねられて、連続帳票の形態を有する葉書用途の二つ折り圧着葉書用紙30が完成する(図7(d)参照)。こうして製造された連続帳票の形態を有する葉書用途の二つ折り圧着葉書用紙30は、加工業者から印刷業者へ引き渡される場合もある。
【0099】
次いで、連続帳票の形態を有する葉書用途の二つ折り圧着葉書用紙30は、そのまま高速輪転式インクジェットプリンタに供給されて、親展情報等の可変情報が印刷されたのち、親展性を有する圧着葉書用紙の各一単位毎に切り離される(図7(e)参照)。こうして各一単位毎に切り離された単票形態を有する葉書用途の圧着用紙30は、折り畳み装置へと送られる。
【0100】
次いで、単票形態を有する圧着葉書用紙30は、所定の折り畳み装置によって、ミシン目に沿って二つ折りされたのち、ドライシーラなどで圧着加工が施され配送用の葉書形態を有する圧着葉書用紙(以下、圧着葉書と言う)30となる。(図7(f)参照)。
【実施例】
【0101】
以下に本発明に係る圧着用紙の原紙の実施例について具体的に説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。尚、実施例中の部及び%は、断らない限り乾燥重量部及び重量%を示す。また、実施例及び比較例中のシリカ及びタルクの吸油量は、ISO 787−5に基づいて測定した吸油量を表す。
【0102】
<実施例1>
微粒子充填剤として吸油量が200ml/100gである非晶質シリカ100重量部を水に添加して十分に分散した後、非剥離性感圧接着剤として天然ゴムにメタクリル酸メチルを混合した天然ゴム系ラテックス100重量部、カチオン性インク定着剤であるポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂として数平均分子量が12000であるポリジメチルアミンエピクロルヒドリン縮合物15重量部を添加して混合し、シリコーン系消泡剤を添加して感圧接着剤組成物となる塗料を作成した。作成した塗料を米坪132g/m2のフォーム用紙の親展面とする一方の面に、エアーナイフコータにて塗工量が固形分で6.0g/m2となるように塗工し、圧着用紙の原紙を得た。
【0103】
<実施例2>
実施例1において、吸油量が200ml/100gである非晶質シリカを、吸油量が130ml/100gである非晶質シリカに変更した以外は実施例1と同様にして圧着用紙の原紙を得た。
【0104】
<実施例3>
実施例1において、吸油量が200ml/100gである非晶質シリカを、吸油量が100ml/100gである非晶質シリカに変更した以外は実施例1と同様にして圧着用紙の原紙を得た。
【0105】
<実施例4>
実施例1において、吸油量が200ml/100gである非晶質シリカを、吸油量が280ml/100gである非晶質シリカに変更した以外は実施例1と同様にして圧着用紙の原紙を得た。
【0106】
<実施例5>
実施例1において、吸油量が200ml/100gである非晶質シリカの配合量を50重量部とした以外は実施例1と同様にして圧着用紙の原紙を得た。
【0107】
<実施例6>
実施例1において、吸油量が200ml/100gである非晶質シリカの配合量を150重量部とした以外は実施例1と同様にして圧着用紙の原紙を得た。
【0108】
<実施例7>
実施例1において、数平均分子量が12000であるポリジメチルアミンエピクロルヒドリン縮合物の配合量を5重量部とした以外は実施例1と同様にして圧着用紙の原紙を得た。
【0109】
<実施例8>
実施例1において、数平均分子量が12000であるポリジメチルアミンエピクロルヒドリン縮合物の配合量を35重量部とした以外は実施例1と同様にして圧着用紙の原紙を得た。
【0110】
<実施例9>
微粒子充填剤として吸油量が100ml/100gである非晶質シリカ50重量部を水に添加して十分に分散した後、非剥離性感圧接着剤として天然ゴムにメタクリル酸メチルを混合した天然ゴム系ラテックス100重量部、カチオン性インク定着剤であるポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂として数平均分子量が12000であるポリメチルエチルアミンエピクロルヒドリン縮合物5重量部を添加して混合し、シリコーン系消泡剤を添加して感圧接着剤組成物となる塗料を作成した。作成した塗料を米坪132g/m2のフォーム用紙の親展面とする一方の面に、エアーナイフコータにて塗工量が固形分で6.0g/m2となるように塗工し、圧着用紙の原紙を得た。
【0111】
<実施例10>
微粒子充填剤として吸油量が280ml/100gである非晶質シリカ50重量部を水に添加して十分に分散した後、非剥離性感圧接着剤として天然ゴムにメタクリル酸メチルを混合した天然ゴム系ラテックス100重量部、カチオン性インク定着剤であるポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂として数平均分子量が12000であるポリメチルエチルアミンエピクロルヒドリン縮合物5重量部を添加して混合し、シリコーン系消泡剤を添加して感圧接着剤組成物となる塗料を作成した。作成した塗料を米坪132g/m2のフォーム用紙の親展面とする一方の面に、エアーナイフコータにて塗工量が固形分で6.0g/m2となるように塗工し、圧着用紙の原紙を得た。
【0112】
<実施例11>
微粒子充填剤として吸油量が100ml/100gである非晶質シリカ150重量部を水に添加して十分に分散した後、非剥離性感圧接着剤として天然ゴムにメタクリル酸メチルを混合した天然ゴム系ラテックス100重量部、カチオン性インク定着剤であるポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂として数平均分子量が12000であるポリメチルエチルアミンエピクロルヒドリン縮合物35重量部を添加して混合し、シリコーン系消泡剤を添加して感圧接着剤組成物となる塗料を作成した。作成した塗料を米坪132g/m2のフォーム用紙の親展面とする一方の面に、エアーナイフコータにて塗工量が固形分で6.0g/m2となるように塗工し、圧着用紙の原紙を得た。
【0113】
<実施例12>
実施例1において、数平均分子量が12000であるポリジメチルアミンエピクロルヒドリン縮合物を、数平均分子量が12000であるポリジエチルアミンエピクロルヒドリン縮合物とした以外は実施例1と同様にして圧着用紙の原紙を得た。
【0114】
<実施例13>
実施例1において、数平均分子量が12000であるポリジメチルアミンエピクロルヒドリン縮合物を、数平均分子量が12000であるポリジメチルアミンアンモニアエピクロルヒドリン縮合物とした以外は実施例1と同様にして圧着用紙の原紙を得た。
【0115】
<実施例14>
実施例1において、数平均分子量が12000であるポリジメチルアミンエピクロルヒドリン縮合物を、数平均分子量が10000であるポリジメチルアミンエピクロルヒドリン縮合物とした以外は実施例1と同様にして圧着用紙の原紙を得た。
【0116】
<実施例15>
実施例1において、数平均分子量が12000であるポリジメチルアミンエピクロルヒドリン縮合物を、数平均分子量が5000であるポリジメチルアミンエピクロルヒドリン縮合物とした以外は実施例1と同様にして圧着用紙の原紙を得た。
【0117】
<実施例16>
実施例1において、数平均分子量が12000であるポリジメチルアミンエピクロルヒドリン縮合物を、数平均分子量が1000であるポリジメチルアミンエピクロルヒドリン縮合物とした以外は実施例1と同様にして圧着用紙の原紙を得た。
【0118】
<実施例17>
微粒子充填剤として吸油量が200ml/100gである非晶質シリカ100重量部を水に添加して十分に分散した後、非剥離性感圧接着剤として天然ゴムにメタクリル酸メチルを混合した天然ゴム系ラテックス100重量部、カチオン性インク定着剤であるポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂として数平均分子量が12000であるポリメチルエチルアミンエピクロルヒドリン縮合物15重量部を添加して混合し、更に完全ケン化型ポリビニルアルコール5重量部を添加して混合し、シリコーン系消泡剤を添加して感圧接着剤組成物となる塗料を作成した。作成した塗料を米坪132g/m2のフォーム用紙の親展面とする一方の面に、エアーナイフコータにて塗工量が固形分で6.0g/m2となるように塗工し、圧着用紙の原紙を得た。
【0119】
<実施例18>
微粒子充填剤として吸油量が200ml/100gである非晶質シリカ100重量部を水に添加して十分に分散した後、非剥離性感圧接着剤として天然ゴムにメタクリル酸メチルを混合した天然ゴム系ラテックス100重量部、カチオン性インク定着剤であるポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂として数平均分子量が12000であるポリジメチルアミンエピクロルヒドリン縮合物15重量部を添加して混合し、更に完全ケン化型ポリビニルアルコール20重量部を添加して混合し、シリコーン系消泡剤を添加して感圧接着剤組成物となる塗料を作成した。作成した塗料を米坪132g/m2のフォーム用紙の親展面とする一方の面に、エアーナイフコータにて塗工量が固形分で6.0g/m2となるように塗工し、圧着用紙の原紙を得た。
【0120】
<実施例19>
微粒子充填剤として吸油量が200ml/100gである非晶質シリカ100重量部を水に添加して十分に分散した後、非剥離性感圧接着剤として天然ゴムにメタクリル酸メチルを混合した天然ゴム系ラテックス100重量部、カチオン性インク定着剤であるポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂として数平均分子量が12000であるポリジメチルアミンエピクロルヒドリン縮合物10重量部を添加し、更にカチオン性インク定着剤であるポリアミドエピクロルヒドリン縮合物5重量部を添加して混合し、シリコーン系消泡剤を添加して感圧接着剤組成物となる塗料を作成した。作成した塗料を米坪132g/m2のフォーム用紙の親展面とする一方の面に、エアーナイフコータにて塗工量が固形分で6.0g/m2となるように塗工し、圧着用紙の原紙を得た。
【0121】
<実施例20>
微粒子充填剤として吸油量が200ml/100gである非晶質シリカ100重量部を水に添加して十分に分散した後、非剥離性感圧接着剤として天然ゴムにメタクリル酸メチルを混合した天然ゴム系ラテックス100重量部、カチオン性インク定着剤であるポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂として数平均分子量が12000であるポリジメチルアミンエピクロルヒドリン縮合物10重量部を添加し、更にカチオン性ポリウレタン樹脂5重量部を添加して混合し、シリコーン系消泡剤を添加して感圧接着剤組成物となる塗料を作成した。作成した塗料を米坪132g/m2のフォーム用紙の親展面とする一方の面に、エアーナイフコータにて塗工量が固形分で6.0g/m2となるように塗工し、圧着用紙の原紙を得た。
【0122】
<実施例21>
微粒子充填剤として吸油量が200ml/100gである非晶質シリカ100重量部を水に添加して十分に分散した後、非剥離性感圧接着剤として天然ゴムにメタクリル酸メチルを混合した天然ゴム系ラテックス100重量部、カチオン性インク定着剤であるポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂として数平均分子量が1000であるポリジメチルアミンエピクロルヒドリン縮合物15重量部を添加して混合し、更に完全ケン化型ポリビニルアルコール15重量部を添加して混合し、シリコーン系消泡剤を添加して感圧接着剤組成物となる塗料を作成した。作成した塗料を米坪132g/m2のフォーム用紙の親展面とする一方の面に、エアーナイフコータにて塗工量が固形分で6.0g/m2となるように塗工し、圧着用紙の原紙を得た。
【0123】
<比較例1>
実施例1において、吸油量が200ml/100gである非晶質シリカを、吸油量が90ml/100gである非晶質シリカに変更した以外は実施例1と同様にして圧着用紙の原紙を得た。
【0124】
<比較例2>
実施例1において、吸油量が200ml/100gである非晶質シリカを、吸油量が300ml/100gである非晶質シリカに変更した以外は実施例1と同様にして圧着用紙の原紙を得た。
【0125】
<比較例3>
実施例1において、吸油量が200ml/100gである非晶質シリカの配合量を40重量部とした以外は実施例1と同様にして圧着用紙の原紙を得た。
【0126】
<比較例4>
実施例1において、吸油量が200ml/100gである非晶質シリカの配合量を160重量部とした以外は実施例1と同様にして圧着用紙の原紙を得た。
【0127】
<比較例5>
実施例1において、数平均分子量が12000であるポリジメチルアミンエピクロルヒドリン縮合物の配合量を2重量部とした以外は実施例1と同様にして圧着用紙の原紙を得た。
【0128】
<比較例6>
比較例5において、数平均分子量が12000であるポリジメチルアミンエピクロルヒドリン縮合物を、数平均分子量が1000であるポリジメチルアミンエピクロルヒドリン縮合物とした以外は比較例5と同様にして圧着用紙の原紙を得た。
【0129】
<比較例7>
実施例1において、数平均分子量が12000であるポリジメチルアミンエピクロルヒドリン縮合物を、ポリアミドエピクロルヒドリン縮合物とした以外は実施例1と同様にして圧着用紙の原紙を得た。
【0130】
<比較例8>
実施例1において、数平均分子量が12000であるポリジメチルアミンエピクロルヒドリン縮合物を、カチオン性ポリウレタン樹脂とした以外は実施例1と同様にして圧着用紙の原紙を得た。
【0131】
<比較例9>
実施例1において、吸油量が200ml/100gである非晶質シリカを、吸油量が60ml/100gであるタルクに変更した以外は実施例1と同様にして圧着用紙の原紙を得た。
【0132】
実施例1〜21、及び比較例1〜9で作成したそれぞれの圧着用紙の原紙の感圧接着剤組成物塗工層を設けた面に、インクジェットプリンタ(VersaMark Vantage /サイテックス社製)を用い、フルカラーインクジェット記録を行った後、記録画像の滲み及び印刷濃度の評価を行った。尚、インクジェットインクには何れもサイテックス社製のサイテックス2001(シアン)、サイテックス2002(マゼンダ)、サイテックス2003(ブラック)、サイテックス2004(イエロー)の4色を使用している。
【0133】
次に、ドライシーラMS−9000(大日本印刷株式会社製)にて感圧接着剤組成物塗工層を設けた親展面同士を加圧接着して葉書サイズに切り、複数の親展性を有する圧着葉書を得た。尚、加圧接着する際は、接着直後の剥離強度が約100g/25mm巾となるようシーラーギャップを調整している。こうして得られた親展性を有する圧着葉書の親展面同士を剥離し、記録画像の転移と塗工層強度について評価を行った。
【0134】
実施例に用いた感圧接着剤組成物塗料の配合と、得られた圧着用紙の原紙の各物性の評価結果が図8に、比較例に用いた感圧接着剤組成物塗料の配合と、得られた圧着用紙の原紙の各物性の評価結果が図9に、それぞれ示されている。表中のカチオン性インク定着剤の種類は、それぞれ以下の通りである。
A:ポリジメチルアミンエピクロルヒドリン
B:ポリメチルエチルアミンエピクロルヒドリン
C:ポリジエチルアミンエピクロルヒドリン
D:ポリジメチルアミンアンモニアエピクロルヒドリン
E:ポリアミドエピクロルヒドリン
F:ウレタン樹脂
G:アミド樹脂
また、評価はそれぞれ以下の方法で行った。
【0135】
[滲み]
記録画像の滲みを目視にて評価した。評価は、1〜5の段階評価とした。尚、最も滲みがありバーコードの読み取りなど実用上問題のあるものを1、滲みが無く最も良好であるものを5とし、2以上を実用上問題ないレベルとして合格とした。
【0136】
[印刷濃度]
記録画像の印刷濃度を目視にて評価した。評価は1〜5の段階評価とした。尚、印刷濃度が最も低くバーコードの読み取りなど実用上問題のあるものを1、印刷濃度が高く最も良好であるものを5とし、2以上を実用上問題ないレベルとして合格とした。
【0137】
[転移]
剥離した一方の親展面の記録画像がもう一方の親展面に転移していないか目視にて評価した。転移がなく実用上問題のない合格レベルにあるものを○、転移があるため実用上問題があり合格レベルに満たないものを×としている。
【0138】
[塗工層強度]
剥離した親展面の感圧接着剤組成物塗工層の表面状態を目視にて評価した。
◎ 感圧接着剤組成物塗工層表面が綺麗であり、感圧接着剤組成物塗工層の欠落による記録画像の欠けがなく最も良好なもの
○ 感圧接着剤組成物塗工層表面がやや荒れているものの、感圧接着剤組成物塗工層の欠落による記録画像の欠けがなく良好なもの
△ 感圧接着剤組成物塗工層表面が荒れており、感圧接着剤組成物塗工層の欠落による記録画像の欠けが若干見られるものの実用上問題のないもの
× 感圧接着剤組成物塗工層表面が荒れており、感圧接着剤組成物塗工層の欠落による記録画像の欠けが酷く実用上問題のあるもの
【0139】
図8からも明かなように、実施例1〜21で得られた圧着用紙の原紙は、何れも、滲み、印刷濃度とも合格レベルであり、転移がなく、塗工層強度も問題のないものであった。以下においては、実施例1で得られた圧着用紙の原紙を基準として検証を行う。
【0140】
[非晶質シリカの吸油量の検証]
まず、非晶質シリカの吸油量について検証を行う。吸油量が130ml/100gである非晶質シリカを用いた実施例2で得られた圧着用紙の原紙は、実施例1の圧着用紙の原紙と同等の物性であった。
【0141】
吸油量が100ml/100gである非晶質シリカを用いた実施例3で得られた圧着用紙の原紙は、実施例1で得られた圧着用紙の原紙に比べ滲みと印刷濃度の評価がやや劣る結果となったが、問題ないレベルであった。
【0142】
吸油量が280ml/100gである非晶質シリカを用いた実施例4で得られた圧着用紙の原紙は、実施例1で得られた圧着用紙の原紙に比べ滲みと印刷濃度の評価がやや劣る結果となったが、問題ないレベルであった。
【0143】
一方、吸油量が90ml/100gである非晶質シリカを用いた比較例1で得られた圧着用紙の原紙、及び、吸油量が300ml/100gである非晶質シリカを用いた比較例2で得られた圧着用紙の原紙は、共に実施例1で得られた圧着用紙の原紙に比べ滲みと印刷濃度の評価が劣る結果となり、印刷濃度は合格レベルに満たないものであった。
【0144】
以上の結果より、非晶質シリカの吸油量は、100〜280ml/100gの範囲であることが好ましく、更には130〜200ml/100gの範囲であることがより好ましいと思われる。
【0145】
[非晶質シリカの配合量の検証]
次に、非晶質シリカの配合量について検証を行う。基剤100重量部に対して非晶質シリカの配合量を50重量部とした実施例5で得られた圧着用紙の原紙は、実施例1で得られた圧着用紙に比べ滲みと印刷濃度の評価がやや劣る結果となったが、実用上問題ないレベルであった。
【0146】
基剤100重量部に対して非晶質シリカの配合量を150重量部とした実施例6で得られた圧着用紙は、実施例1で得られた圧着用紙の原紙に比べ塗工層強度の評価がやや劣る結果となったが、実用上問題ないレベルであった。
【0147】
一方、基剤100重量部に対して非晶質シリカの配合量を40重量部とした比較例3で得られた圧着用紙の原紙は、実施例1で得られた圧着用紙の原紙に比べ、滲みと印刷濃度の評価が劣る結果となり、滲みは合格レベルに満たないものであった。また、転移の評価においても合格レベルに満たないものであった。
【0148】
基剤100重量部に対して非晶質シリカの配合量を160重量部とした比較例4で得られた圧着用紙の原紙は、実施例1で得られた圧着用紙の原紙に比べ塗工層強度に劣り、実用に供し得ないものであった。
【0149】
以上の結果より、非晶質シリカの配合量は、基剤100重量部あたり50〜150重量部の範囲であることが好ましいと思われる。
【0150】
[ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂の配合量の検証]
次に、ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂の配合量について検証を行う。基剤100重量部に対してポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂としてポリジメチルアミンエピクロルヒドリン縮合物を5重量部配合した実施例7で得られた圧着用紙の原紙は、実施例1で得られた圧着用紙の原紙に比べ、滲みと印刷濃度の評価がやや劣る結果となったが、問題ないレベルであった。
【0151】
基剤100重量部に対してポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂としてポリジメチルアミンエピクロルヒドリン縮合物を35重量部配合した実施例8で得られた圧着用紙の原紙は、実施例1で得られた圧着用紙の原紙と同等の物性であった。
【0152】
一方、基剤100重量部に対してポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂としてポリジメチルアミンエピクロルヒドリン縮合物を2重量部配合した比較例5で得られた圧着用紙の原紙は、実施例1で得られた圧着用紙の原紙に比べ滲みの評価が劣る結果となり、実用に供し得ないものであった。
【0153】
また、比較例6で得られた圧着用紙の原紙は、比較例5において用いた数平均分子量が12000であるポリジメチルアミンエピクロルヒドリン縮合物を数平均分子量が1000であるポリジメチルアミンエピクロルヒドリン縮合物に変更し、滲みの防止を図ったが、実施例1で得られた圧着用紙の原紙に比べ滲みの評価が劣る結果となり、実用に供し得ないものであった。
【0154】
以上の結果より、ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂の配合量は、基剤100重量部あたり5重量部以上であることが好ましいと思われる。
【0155】
[ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂の数平均分子量の検証]
次にポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂の数平均分子量について検証を行う。ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂として数平均分子量が10000であるポリジメチルアミンエピクロルヒドリン縮合物を用いた実施例14、ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂として数平均分子量が5000であるポリジメチルアミンエピクロルヒドリン縮合物を用いた実施例15、ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂として数平均分子量が1000であるポリジメチルアミンエピクロルヒドリン縮合物を用いた実施例16で得られた圧着用紙の原紙では、何れも実施例1で得られた圧着用紙の原紙に比べ滲み、印刷濃度とも良好な評価となった。
【0156】
以上の結果より、ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂の数平均分子量は、10000以下であることがより好ましいと思われる。
【0157】
[ポリビニルアルコールの配合についての検証]
次にポリビニルアルコールの配合について検証を行う。基剤100重量部に対して完全ケン化型ポリビニルアルコールを5重量部配合した実施例17、及び、基剤100重量部に対して完全ケン化型ポリビニルアルコールを20重量部配合した実施例18で得られた圧着用紙の原紙では、何れも実施例1で得られた圧着用紙の原紙に比べ塗工層強度に優れる評価となった。
【0158】
以上の結果より、基剤100重量部あたり5〜20重量部のポリビニルアルコールを配合することで、塗工層強度をより向上させることが可能であると思われる。
【0159】
[ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂についての検証]
次にポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂について検証を行う。ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂としてポリジエチルアミンエピクロルヒドリンを使用した実施例12で得られた圧着用紙の原紙は、実施例1で得られた圧着用紙の原紙に比べ滲みと印刷濃度の評価がやや劣る結果となったが、問題ないレベルであった。
【0160】
また、ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂としてポリジメチルアミンアンモニアエピクロルヒドリン縮合物を使用した実施例13で得られた圧着用紙の原紙は、実施例1で得られた圧着用紙の原紙と同等のレベルであった。
【0161】
以上の結果より、ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂としては、ポリジメチルアミンエピクロルヒドリン縮合物又は変性ジメチルアミンエピクロルヒドリン縮合物を用いることが好ましいと思われる。
【0162】
また、基剤100重量部に対して、吸油量が100ml/100gである非晶質シリカを50重量部、ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂としてポリメチルエチルアミンエピクロルヒドリン縮合物を5重量部配合した実施例9、及び、基剤100重量部に対して、吸油量が280ml/100gである非晶質シリカを50重量部、ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂としてポリメチルエチルアミンエピクロルヒドリン縮合物を5重量部配合した実施例10で得た圧着用紙の原紙は、実施例1〜21で得た圧着用紙の原紙の中でも最も滲みが見られ、印刷濃度も低い評価となったが、実用に耐えうるレベルであった。
【0163】
また、基剤100重量部に対して、吸油量が100ml/100gである非晶質シリカを150重量部、ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂としてポリメチルエチルアミンエピクロルヒドリン縮合物を35重量部配合した実施例11で得た圧着用紙の原紙は、実施例1の圧着用紙の原紙に比べ塗工層強度の評価がやや劣る結果となったが、実用上問題ないレベルであった。
【0164】
また、ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂として数平均分子量が1000であるポリジメチルアミンエピクロルヒドリン縮合物を用い、更に基剤100重量部に対して完全ケン化型ポリビニルアルコールを15重量部配合した実施例21で得た圧着用紙の原紙は、実施例1〜21で得た圧着用紙の原紙の中でも滲み、印刷濃度、塗工層強度の評価の全てで最も良好な圧着用紙の原紙を得た。
【0165】
また、カチオン性インク定着剤としてポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂であるポリジメチルアミンエピクロルヒドリン縮合物と併用してポリアミドエピクロルヒドリン縮合物を配合した実施例19で得た圧着用紙の原紙は、実施例1で得た圧着用紙の原紙に比べ滲みと印刷濃度の評価がやや劣る結果となったが、実用上問題ないレベルであった。
【0166】
また、カチオン性インク定着剤としてポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂であるポリジメチルアミンエピクロルヒドリン縮合物と併用してカチオン性ポリウレタン樹脂を配合した実施例20で得た圧着用紙の原紙は、実施例1で得た圧着用紙の原紙に比べ滲みと印刷濃度の評価がやや劣る結果となったが、実用上問題ないレベルであった。
【0167】
また、カチオン性インク定着剤としてポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂を使用せず、ポリアミドエピクロルヒドリン縮合物を単独で用いた比較例7、及び、カチオン性インク定着剤としてポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂を使用せず、カチオン性ポリウレタン樹脂を単独で用いた比較例8で得られた圧着用紙の原紙は、実施例1で得られた圧着用紙の原紙と比較して滲みと印刷濃度に劣り、更には転移が認められ、実用に供し得ないものであった。
【0168】
また、微粒子充填剤として吸油量が60ml/100gであるタルクを単独で用いた比較例9で得られた圧着用紙の原紙は、実施例1で得られた圧着用紙の原紙と比較して滲みと印刷濃度に劣り、更には転移が認められ、実用に供し得ないものであった。
【0169】
以上の結果より、吸油量が100〜280ml/100gである非晶質シリカとポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂を併用することで、滲みを防止でき、印刷濃度が高く、転移の問題のない圧着用紙の原紙を得ることが可能であると思われる。
【産業上の利用可能性】
【0170】
以上述べたように、本発明によれば、インクジェットプリンタによる印刷において、記録画像の滲みがなく、印刷濃度が十分であり、バーコードのような繊細画像を好適に印刷することが可能である圧着用紙の原紙を提供することが可能となる。
【0171】
更には、インクジェットインクの感圧接着剤組成物塗工層への定着が十分であり、親展性を有する葉書を形成する際に、折り畳んで重ね合わせた一方の親展面に記録された画像の、もう一方の親展面への転移のない圧着用紙の原紙を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0172】
1 二つ折りタイプの親展性を有する圧着葉書用紙
1a 圧着葉書用紙表面
1b 圧着葉書用紙裏面
2 宛名面
3 圧着面
4 基紙
5 感圧接着剤組成物塗工層
6 親展情報
7 宛名情報
10 三つ折りタイプの親展性を有する圧着葉書用紙
10a 圧着葉書用紙表面
10b 圧着葉書用紙裏面
11 宛名面
12 圧着面
13 基紙
14 本願の構成による感圧接着剤組成物塗工層
15 本願の構成とは異なる感圧接着剤組成物塗工層
16 親展情報
17 宛名情報
101 圧着用紙
110 基紙
120 感圧接着剤組成物塗工層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基紙と、
前記基紙の片面または両面の全部又は一部に形成された、感圧接着剤組成物の塗工層とを包含し、
前記塗工層には、
非剥離性感圧接着剤を主成分とする基剤と、
前記基剤の接着態様を調整するための微粒子充填剤と、
インクジェット式プリンタによるインクを定着させるためのカチオン性インク定着剤と、が含まれており、かつ
前記微粒子充填剤としては、ISO 787−5に基づいて測定した吸油量が100〜280ml/100gである非晶質シリカを含み、
前記塗工層に含まれる前記微粒子充填剤である非晶質シリカの前記基剤に対する配合割合は、前記基剤100重量%に対して50〜150重量%であり、
前記カチオン性インク定着剤としては、ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂を含み、
前記塗工層に含まれる前記ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂の前記基剤に対する配合割合は、前記基剤100重量%に対して5〜35重量%である、圧着用紙の原紙。
【請求項2】
前記非晶質シリカのISO 787−5に基づいて測定した吸油量が130〜200ml/100gである請求項1に記載の圧着用紙の原紙。
【請求項3】
前記ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂が、ポリジメチルアミンエピクロルヒドリン縮合物及び/又は変性ジメチルアミンエピクロルヒドリン縮合物である、請求項1又は2に記載の圧着用紙の原紙。
【請求項4】
前記ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂の数平均分子量が10000以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の圧着用紙の原紙。
【請求項5】
前記感圧接着剤組成物の塗工層には、さらに、前記基剤100重量部あたり5〜20重量部のポリビニルアルコールが配合されている、請求項1〜4のいずれかに記載の圧着用紙の原紙。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載の圧着用紙の原紙を二つ折りにして葉書サイズとなるように加工し、剥離可能に圧着される感圧接着剤組成物塗工層の少なくとも一部にはインクジェットプリンタにて情報が印刷される親展性を有する葉書。
【請求項7】
請求項1〜5の何れかに記載の圧着用紙の原紙を三つ折りにして葉書サイズとなるように加工し、剥離可能に圧着される感圧接着剤組成物塗工層の少なくとも一部にはインクジェットプリンタにて情報が印刷される親展性を有する葉書。
【請求項8】
基紙を用意する第1のステップと、
感圧接着剤組成物塗料を用意する第2のステップと、
前記第1のステップで用意された基紙の片面又は両面の全部又は一部に、第2のステップで用意された感圧接着剤組成物塗料を塗布することにより感圧接着剤組成物の塗工層を形成する第3のステップとを包含し、
前記第2のステップは、
非剥離性感圧接着剤を主成分とする基剤と、前記基剤の接着態様を調整するための微粒子充填剤と、インクジェット式プリンタによるインクを定着させるためのカチオン性インク定着剤とを、水に添加して混合することにより感圧接着剤組成物塗料を生成する塗料生成ステップを含み、
前記塗料生成ステップにおいて、
前記微粒子充填剤としては、ISO 787−5に基づいて測定した吸油量が100〜280ml/100gである非晶質シリカを含み、
前記非晶質シリカの前記基剤に対する配合割合は、前記基剤100重量%に対して50〜150重量%であり、
前記カチオン性インク定着剤としては、ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂を含み、
前記ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂の前記基剤に対する配合割合は、前記基剤100重量%に対して5〜35重量%である、圧着用紙の原紙の製造方法。
【請求項9】
前記感圧接着剤組成物塗料には、さらに、前記基剤100重量部あたり5〜20重量部のポリビニルアルコールが配合されている、請求項8に記載の圧着用紙の原紙の製造方法。
【請求項10】
非剥離性感圧接着剤を主成分とする基剤と、前記基剤の接着態様を調整するための微粒子充填剤と、インクジェット式プリンタによるインクを定着させるためのカチオン性インク定着剤とを、水に添加して混合してなり、
前記微粒子充填剤としては、ISO 787−5に基づいて測定した吸油量が100〜280ml/100gである非晶質シリカを含み、
前記非晶質シリカの前記基剤に対する配合割合は、前記基剤100重量%に対して50〜150重量%であり、
前記カチオン性インク定着剤としては、ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂を含み、
前記ポリアルキルアミンエピクロルヒドリン系樹脂の前記基剤に対する配合割合は、前記基剤100重量%に対して5〜35重量%である、圧着用紙の原紙の製造方法に使用される感圧接着剤組成物塗料。
【請求項11】
前記感圧接着剤組成物塗料には、さらに、前記基剤100重量部あたり5〜20重量部のポリビニルアルコールが配合されている、請求項8に記載の圧着用紙の原紙の製造方法に使用される感圧接着剤組成物塗料。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−98506(P2011−98506A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254458(P2009−254458)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(592175416)紀州製紙株式会社 (23)
【Fターム(参考)】