説明

圧縮吻合デバイス

【課題】最小侵襲外科手順における使用のための新規な圧縮吻合デバイスを提供すること。
【解決手段】吻合されるべき第1の管状構造体の第1の自由端と第2の管状構造体の第2の自由端との外科的接合における使用のための吻合デバイスであって、第1のリング部材および第2のリング部材を備え、それらの各々が管状構造体の自由端部に固定されており、各リング部材は、円筒状の外側部分(第1の外側部分および第2の外側部分)および内側部分(第1の内側部分および第2の内側部分)を備え、これらは互いに作動可能に取り付けられている、吻合デバイスを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(背景)
(技術分野)
本開示は、概略的には組織を吻合するためのデバイスに関する。より具体的には、本開示は、最小侵襲外科手順における使用のための圧縮吻合デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の説明)
別々の結合管により連結された複数の有窓の突出物を有する別々のリング部材から形成される吻合デバイスが、特許文献1で考察されている。この特許において開示される吻合デバイスでは、接合されるべき管の自由端部は、有窓の突出物で、別個のリング部材に結び付けられ、そして1つの結合管が2つのリング部材を連結して、管の端部がともに永久に増殖し、それによりこの管状部材の外側表面の直径に近づくことを可能にする関係で、管の端部を係合する。
【0003】
編み物から作製された1つの柔軟なひとまとまりの円筒状スリーブから形成される類似のデバイスが、特許文献2に開示されている。この特許において、このひとまとまりの編まれた円筒状スリーブは、その端部がそれ自身の上に外側方向に巻かれ、比較的堅固なリング部材を間隔を空けた関係で形成し、次いでこれらは、これらの部材が一緒に成長することが可能である構成で管状部材の端部に連結される。
【0004】
上で参照された特許は、治癒を促進するために、管状部材の端部を、これらの部材を内側に回すかまたは巻くかのいずれかにより、一緒に引くための構造体を開示する。なぜなら、それらは端部が接触した関係で静止することを可能にするからである。他の技術には、特許文献3および特許文献4に開示されるデバイスに類似のデバイスが関与する。
【0005】
非永久的なコネクタまたは接合デバイスが使用され、脈管の端部を吻合外科手術で接合することが望ましい。なぜなら、永久的なコネクタは、腸の適正な機能のために必要である直径の変化を妨げる傾向があるからである。吻合外科手術において使用されるあらゆる外来の物質は、理想的には、いったん脈管の端部が部分的にかまたは全体的に治癒すると、部分的または完全に崩壊するか、生体吸収されるか、そして/または生体再吸収されるべきである。
【0006】
圧縮吻合デバイスは、過去に、吻合されるべき解剖学的管状構造体の自由端部を受けるために開発された。このような吻合デバイスの例は、Tyco Healthcare LPにより開発され、現在、商標名VALTRAC(登録商標)のもとで販売されている。このアセンブリは、1対のリング部材を備え、各リング部材は、吻合されるべき各管状構造体の自由端部への固定のためのものである。各リング部材は、他方のリング部材を嵌合してそのリング部材を連結する、連結構造体を有する。Hardyらに発行され、そして現在はTyco Healthcare LPにより所有されている特許文献5は、そのような吻合デバイスの作動特徴を記載する。この特許文献の内容は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第3,974,835号明細書
【特許文献2】米国特許第4,182,339号明細書
【特許文献3】米国特許第3,496,939号明細書
【特許文献4】米国特許第3,254,650号明細書
【特許文献5】米国特許第4,766,898号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(要旨)
本開示は、吻合されるべき第1の管状構造体の自由端と第2の管状構造体の自由端との外科的接合における使用のための吻合デバイスに関する。このデバイスは、一般に、第1のリング部材および第2のリング部材を備え、それらの各々が管状構造体の自由端部に固定される。各リング部材は、円筒状の外側部分(第1の外側部分および第2の外側部分)および内側部分(第1の内側部分および第2の内側部分)を備え、これらは互いに作動可能に取り付けられる(すなわち、第1の外側部分は、作動可能に第1の内側部分に取り付けられ、第2の外側部分は、作動可能に第2の内側部分に取り付けられる)。これらの外側部分は、各々、端部が開口した円筒であり、それらの円周のまわりに配置された、それらを通る組織の増殖を促進するための穴を有する。上記内側部分も端部が開口しており、連結手段を有し、そして互いに嵌合して係合するように設計されている。
【0009】
吻合手順の間、上記管状構造体は、一緒に接合され、その端部で固定される。本開示の吻合デバイスの円筒状の外側部分は、この管状構造体の端部の近くまたはこの端部に隣接した管状構造体の部分に対する支持を提供し、従って、吻合組織の治癒の間の狭窄の可能性を低下させる。さらに、この円筒状の外側部分は、上記管状構造のほぼ一定の直径を維持する。一定の直径を有するそのような管腔は、流体および/または気体がそれを通って流れるのに有益である。外側部分上の穴は、足場を提供し、この足場により、組織がそれを通って増殖することが可能になる。この組織の内殖は、さらに、吻合の近くの組織の部分の強度を高める。
【0010】
作動において、各リング部材は、吻合されるべき管状構造体に挿入される。組織は、巾着縫合配置または類似の配置で、各リング部材の外側部分のまわりで結ばれる。このリング部材は、次いで、上記内側部分が出会い、互いに嵌合するまで一緒にされ、従って、そのリング部材を一緒にロックし、そしてそれを通る流路を形成する。この内側部分が嵌合すると、上記吻合デバイスの外側部分の周りの組織は、それらが一緒に永久的に増殖することが可能な様式で、接触して配置される。円筒状の外側部分は、治癒の間、管腔の所望の直径を維持する。この外側部分上の穴は、組織がその中に増殖するための足場を提供し、従って、吻合部位および接触する領域を強める。
【0011】
経時的に、この吻合部位の周囲の組織は治癒し、この吻合デバイスは、身体によって吸収され、身体を通って排出される。いったん治癒が完了すると、これら2つの管状構造体は、一緒に接合し、連続的かつ強い管腔を生成する。一般に吻合デバイスは、排出されるまで約14〜約21日間、身体内に留まり得る。
【0012】
上で述べたように、上記吻合デバイスは、生体吸収性材料から構築される。この吻合デバイスは、例えば、ポリ乳酸(PLA)およびポリグリコール酸(PGA)のコポリマーのような生体吸収性ポリマー樹脂を含み得る。これらの構成成分の相対的割合は、外科的用途に合うように選択され得る。例えば、同一の処理条件下では、ポリグリコール酸は、代表的には、これら2つの成分の内では、より強く、より結晶性の成分である。しかし、ポリグリコール酸は、より迅速に身体組織により吸収される。従って、より長い期間にわたって移植片の強度を維持することが望ましい外科的用途に対しては、その繊維は代表的には、より多くのポリ乳酸を含む。この繊維は、縫合糸材料を製造する際に使用されるタイプの繊維であり得る。さらに、このデバイスを形成するためのいくつかの他の材料は、米国特許第3,297,033号明細書に開示され、それらはポリヒドロキシ酢酸エステルとラクチドのコポリマーと称される。この特許文献の全体の内容が本明細書中に参考として援用される。広い範囲のグリコリド/ラクチドコポリマーから作製される外科用成形品は公知であり、長年利用されてきているので、上で参照された特許に開示された材料は、可能な材料の部分的な一覧を構成する。
【0013】
上記円筒状の外側部分の長さは、約3cm〜約4cmの範囲であり得るが、組織に提供されるべき所望の支持および所望の組織内殖に依存して、より長くてもより短くてもよい。この長さは、上記管状構造が狭窄に抵抗するのを補助するための望ましい量の支持を提供し、それはまた、治癒の間、管腔の直径を維持するのを補助する。
【0014】
上記外側部分は、比較的薄い壁厚を有し得る。このような最小の壁厚は、依然組織に対する支持を提供しつつ、外側円筒状部分を可撓性にし得る。壁の厚みは、それらの円周の周りの穴の深さに対応するので、最小の壁厚はまた、それを通る組織の増殖を容易にする。
【0015】
第1の内側部分の内径は、上記第2の内側部分の内径と実質的に同じである。上記第1の外側部分の外径は、上記第2の外側部分の外径と実質的に同じであり、それは、吻合されるべき管状脈管の内径にほぼ等しい。従って、上記吻合デバイスは、あらゆる適切な管状脈管に嵌まり込むように設計され得る。
【0016】
1つの実施形態では、この外側部分は、少なくとも部分的にメッシュ様の材料から構築される。
【0017】
本発明は、さらに以下の手段を提供する。
(項目1)
吻合デバイスであって、この吻合デバイスは、吻合されるべき第1の管状構造体の第1の自由端と第2の管状構造体の第2の自由端との外科的接合における使用のためのものであり、この吻合デバイスは、
この第1の管状構造体の第1の自由端への固定のための第1のリング部材であって、この第1のリング部材は、
連結手段が配置された第1の内側部分;および
長さおよび厚みを有する第1の外側部分であって、この第1の外側部分は、実質的に円筒形状であり、開口端部を有しかつこの第1の外側部分を通る複数の穴を有し、この複数の穴は、組織がこの第1の外側部分を通って増殖するのを容易にする足場を提供し、この第1の外側部分は、この第1の内側部分に作動可能に取り付けられている、第1の外側部分、
を備える、第1のリング部材;ならびに
この第2の環状構造体の第2の自由端への固定のための第2のリング部材であって、この第2のリング部材は、
第1の内側部分と協働して嵌合するための、連結手段が配置された第2の内側部分;および
長さおよび厚みを有する第2の外側部分であって、この第2の外側部分は、実質的に円筒形状であり、開口端部を有しかつこの第2の外側部分を通る複数の穴を有し、この複数の穴は、組織がこの第2の外側部分を通って増殖するのを容易にする足場を提供し、この第2の外側部分は、この第2の内側部分に作動可能に取り付けられている、第2の外側部分、
を備える、第2のリング部材、
を備える、吻合デバイス。
(項目2)
項目1に記載の吻合デバイスであって、上記第1の外側部分の長さが、約3cm〜約4cmの間である、吻合デバイス。
(項目3)
項目1に記載の吻合デバイスであって、上記第2の外側部分の長さが、約3cm〜約4cmの間である、吻合デバイス。
(項目4)
項目1に記載の吻合デバイスであって、上記第1の外側部分が可撓性である、吻合デバイス。
(項目5)
項目1に記載の吻合デバイスであって、上記第2の外側部分が可撓性である、吻合デバイス。
(項目6)
項目1に記載の吻合デバイスであって、上記第1のリング部材および上記第2のリング部材が、生体吸収性材料から作製されている、吻合デバイス。
(項目7)
項目1に記載の吻合デバイスであって、上記第1の外側部分の長さおよび上記第2の外側部分の長さが、上記第1の内側部分および上記第2の内側部分が嵌合するとき、上記第1の管状構造体と上記第2の管状構造体の狭窄に抵抗するような構成および寸法である、吻合デバイス。
(項目8)
項目1に記載の吻合デバイスであって、上記第1の内側部分が上記第2の内側部分と嵌合するように協働するとき、上記第1のリング部材が上記第2の内側部分とロックする、吻合デバイス。
(項目9)
項目1に記載の吻合デバイスであって、上記第1の内側部分および上記第2の内側部分が、互いに嵌合するとき、この吻合デバイスを通る流路を形成する、吻合デバイス。
(項目10)
項目1に記載の吻合デバイスであって、上記第1の内側部分の内径が、上記第2の内側部分の内径と実質的に同じである、吻合デバイス。
(項目11)
項目1に記載の吻合デバイスであって、上記第1の外側部分および上記第2の外側部分が、実質的に同じ外径を有する、吻合デバイス。
(項目12)
項目1に記載の吻合デバイスであって、上記第1のリング部材および上記第2のリング部材が、メッシュ様の材料から構成されている、吻合デバイス。
(項目13)
2つの管状構造体を吻合するための外科用デバイスであって、
第1のリング部材であって、この第1のリング部材は、第1の内側部分に作動可能に取付けられた円筒状の第1の外側部分を有し、この円筒状の第1の外側部分は、開口端部を備える少なくとも部分的に中空のシャフトおよびこの中空のシャフトを通って配置された複数の穴を有し、この複数の穴は、この円筒状の第1の外側部分を通る組織の増殖を容易にし、この第1の内側部分は、第1の連結手段を有しかつこの円筒状の第1の外側部分内に少なくとも部分的に配置される、第1のリング部材;ならびに
第2のリング部材であって、この第2のリング部材は、第2の内側部分に作動可能に取付けられた円筒状の第2の外側部分を有し、この円筒状の第2の外側部分は、開口端部を備える少なくとも部分的に中空のシャフトおよびこの中空のシャフトを通って配置された複数の穴を有し、この複数の穴は、この円筒状の第2の外側部分を通る組織の増殖を容易にし、この第2の内側部分は、この第1の連結手段に連結するための第2の連結手段を有しかつこの円筒状の第2の外側部分内に少なくとも部分的に配置される、第2のリング部材、
を備え、それにより、この第1のリング部材は第1の管状構造体の中へ挿入され、この第2のリング部材は第2の管状構造体の中へ挿入され、この第1の管状構造体は、この円筒状の第1の外側部分の周りに結び付けられ、この第2の管状構造体は、この円筒状の第2の外側部分の周りに結び付けられ、そしてこの第1のリング部材は、この第1の連結手段およびこの第2の連結手段を介して、この第2のリング部材に連結される、外科用デバイス。
【0018】
本開示の実施形態は、図面を参照して、本明細書中以下で説明される。
【発明の効果】
【0019】
本開示により、最小侵襲外科手順における使用のための新規な圧縮吻合デバイスが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、吻合デバイスの従来技術の図である。
【図2】図2は、吻合デバイスの従来技術の図である。
【図3】図3は、第1のリング部材および第2のリング部材が管状構造体へ挿入され、そしてそれらを接合するプロセスの様々な段階で図示された、本開示の吻合デバイスの斜視図である。
【図4】図4は、第1のリング部材および第2のリング部材が管状構造体へ挿入され、そしてそれらを接合するプロセスの様々な段階で図示された、本開示の吻合デバイスの斜視図である。
【図5】図5は、第1のリング部材および第2のリング部材が管状構造体へ挿入され、そしてそれらを接合するプロセスの様々な段階で図示された、本開示の吻合デバイスの斜視図である。
【図6】図6は、第1のリング部材および第2のリング部材が管状構造体へ挿入され、そしてそれらを接合するプロセスの様々な段階で図示された、本開示の吻合デバイスの斜視図である。
【図7】図7は、第1のリング部材および第2のリング部材が管状構造体へ挿入され、そしてそれらを接合するプロセスの様々な段階で図示された、本開示の吻合デバイスの斜視図である。
【図8】図8は、第1のリング部材および第2のリング部材が管状構造体へ挿入され、そしてそれらを接合するプロセスの様々な段階で図示された、本開示の吻合デバイスの斜視図である。
【図9】図9は、嵌合していない配置で図示された、第1のリング部材および第2のリング部材の拡大図である。
【図10】図10は、嵌合した配置で図示された、第1のリング部材および第2のリング部材の拡大図である。
【図11】図11は、嵌合していない配置で図示された、管状構造体へ挿入された第1のリング部材および第2のリング部材の断面図である。
【図12】図12は、嵌合した配置で図示された、管状構造体へ挿入された第1のリング部材および第2のリング部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(詳細な説明)
「従来技術」と記された図1および2は、米国特許第4,766,898号(その開示は、本明細書中で参考として援用される)の吻合デバイスを図示する。図1は、2つの管状組織部材24、26の自由端部20、22を連結する吻合デバイス28を図示する。図2は、その円周のまわりの複数のスロット34および開口部36、ならびに他のリング部材と嵌合して対応するための嵌合する留め金(prong)38を有する、一対のリング部材32のうちの1つを示す。嵌合する留め金38の各々は、係合する爪(pawl)42と協働して嵌合するように設計され配置される複数のロッキングスロット43を保有する。リング部材32が接合される場合、1個のデバイス30が形成され、それは実質的にトロイド形状を有する。
【0022】
本開示の吻合デバイスは、吻合外科手術において脈管端部を接合するために使用され、全体が数字100で参照され、全体が図3〜12に示される。図3および9に最もよく示されるように、吻合デバイス100は、一般に、第1のリング部材200および第2のリング部材300から構成される。第1のリング部材200は、一般に、第1の外側部分210および第1の内側部分220から構成される。第2のリング部材300は、一般に、第2の外側部分310および第2の内側部分320から構成される。外側部分210、310は、それぞれ、内側部分220、320に作動可能に取り付けられる。
【0023】
外側部分210、310は、長さおよび直径を有する円筒状のリング様の構造体であり、内側部分220、320は、長さおよび直径を有するリング様の構造体である。第1の外側部分210の直径は、第2の外側部分310の直径と実質的に同じであり、これ以降、外側部分直径D(図11)と称される。第1の内側部分220の直径は、第2の内側部分320の直径と実質的に同じであり、これ以降、内側部分直径d(図11)と称される。内側部分220、320は、それぞれ、外側部分210、310と少なくとも部分的に嵌まり込むような、適切なサイズであり、従って、外側部分直径Dは、内側部分直径dよりも大きい。外側部分210、310の直径Dは、組織管腔550内に嵌まり込むようなサイズであり、そしてこのような吻合デバイス100を配置するのに使用される外科用デバイス(示さず)の外径に実質的に等しいようなサイズでもあり得る。望ましくは、内側部分220、320の内径dは、外側部分210、310の外径Dよりもわずかに小さいようなサイズおよび構成である。このような構成は、組織管腔550を通る通路を提供する。
【0024】
第1の外側部分210および第2の外側部分310は、それぞれ、長さL、L’(円筒の長さ)を有する。長さL、L’は、約3cm〜約4cmの範囲を有し得るが、組織530、540に提供されるべき所望の支持および所望の内殖に依存して、より長くてもより短くてもよい。第1の外側部分210および第2の外側部分310のそれぞれの厚みT、T’(図10および11)は、組織530、540に対する支持を提供しつつ、できるだけ薄いようなサイズおよび構成であり得る。特に有用な実施形態では、これらの厚みT、T’は、外側部分210、310が可撓性であることを可能にする。外側部分210,310は、それぞれ、それらの長さL、L’に沿って吻合に対する支持を提供する。具体的には、吻合の部位520は、それに近くかつ隣接した組織530、540によって囲まれている。この組織530、540は、それぞれ、円筒状の外側部分210、310により支持される(図12を参照のこと)。円筒状の外側部分210、310の長さL、L’により提供されるこの支持は、治癒の間、管腔550の所望の円周を維持する。
【0025】
複数の穴400は、各外側部分210、310の周囲に環状に配置される。複数の穴400は、足場を提供し、その足場により、吻合部位520の近くかつ隣接する組織530、540がそれらの穴の中に増殖することが可能になる。組織530、540は、複数の穴400を通って増殖し、自然に外側部分210、310の内部に付着し、こうして少なくとも部分的に外側部分210、310を封じ込める。この組織の内殖および外側部分210、310の部分的な封じ込めは、吻合部位520の近くの組織530、540の部分の強度を高め、治癒の間、管腔550の円周を維持するのをさらに助ける。
【0026】
内側部分220、320は、スナップフィットまたは類似のタイプのロック特徴(差込みピン、ターンロックを含む)を介して互いに嵌合するような構成およびサイズである。特に有用な実施形態では、リング部材200、300を回してそれらを互いに連結することは必要ではない。従って、内側部分220、320が嵌合するとき、第1のリング部材200および第2のリング部材300は、一緒にロックされる。類似の嵌合して対応するロック特徴の例は、Hardyらに対して発行された米国特許第4,766,898号(その内容は本明細書中に参考として援用される)に開示されている。
【0027】
作動において、第1のリング部材200は、第1の管状構造体500中に挿入され、そして第2のリング部材300は、第2の管状構造体510の中に挿入される。第1および第2のリング部材200、300が管状構造体500、510の中に挿入され、それらを接合するプロセスのいくつかの段階が、図3〜8に描写されている。図9および11は、非接近位置にある吻合デバイス100を示し、図10および12は、接近した吻合デバイス100を示す。管状構造体500、510の組織は、巾着縫合600または類似の配置を介して、それぞれ各リング部材200、300の外側部分210、310の周りで結び付けられる。リング部材200、300は、次いで、内側部分220、320が出会い、互いに嵌合するまで一緒にされる。内側部分220、320が嵌合すると、吻合デバイス100の外側部分210、310の周りの管状構造体500,510は、それらが単一の管腔550へと永久的に増殖することを可能にする様式で(図12)、各リング部材200、300の間に隣接して配置され、そしてそこで圧縮される(図8)。さらに、吻合デバイス100の2つのリング部材200、300が一緒にロックされると、体液が通過するための内側部分220、320を通る通路が確立される(図12)。
【0028】
吻合デバイス100は、利用されるポリマーが十分な強度を有し、形成を可能にする必要な機械的特性を保有している限り、当業者に公知の任意の生体吸収性ポリマーまたはコポリマーから作製され得る。吻合デバイス100を形成するために利用され得る適切なポリマーとしては、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、ジオキサノン、グリコール酸、乳酸、グリコリド、ラクチド、これらのホモポリマー、これらのコポリマー、およびこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。経時的に、吻合部位520を囲む組織530、540は、治癒し、吻合デバイス100は、身体によって少なくとも部分的に吸収され、その後身体を通って排出される。いったん治癒が完了すると、2つの管状構造体500、510は、一緒に接合し、流体および/または気体が通るための連続的かつ強い管腔550を生成する。特に有用な実施形態では、吻合デバイス100は、部分的に崩壊可能であるか、吸収可能であるか、または再吸収可能(resorbable)であり、その結果、吻合デバイス100は、軟化し、身体から分離する。吻合デバイス100は、次いで排泄物とともに身体を通る。吻合デバイス100は、身体を別々に通される複数の小片に壊れるように構築され得る。吻合デバイス100は、身体を通るまでに、約14〜約21日、身体に留まり得る。
【0029】
上記の説明は、多くの特定例を含んでいるが、これらの特定例は、本開示の範囲に対する限定と解釈されるべきではなく、単に本開示の範囲の好ましい実施形態の例示として解釈されるべきである。当業者は、本開示の範囲および趣旨内にある多くの他の可能なバリエーションを想定する。
【0030】
吻合デバイスは、第1の管状構造体および第2の管状構造体の自由端部を外科的に接合する。このデバイスは、一般に、2つのリング部材を備え、それらの各々が管状構造体の自由端部に固定されている。各リング部材は、外側部分および内側部分を備える。この外側部分は、各々、開口端部を備えた円筒状かつリング様である。この円筒状の外側部分の長さは、この管状構造体の端部の近く、またはそれに隣接する管状構造体の部分に対する支持を提供し、従って、吻合組織の治癒の間の狭窄の可能性を低下させる。外側部分は、その周囲の周りに穴を有し、この穴は、組織が増殖するための足場を提供し、それにより吻合の近くの組織の強度を高める。内側部分は、連結手段を有し、そして互いに嵌合して係合するように設計されている。
【符号の説明】
【0031】
吻合デバイス 100
第1のリング部材 200
第2のリング部材 300
第1の外側部分 210
第1の内側部分 220
第2の外側部分 310
第2の内側部分 320
第1の管状構造体 500
第2の管状構造体 510
組織 530、540
管腔 550

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−157704(P2012−157704A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−70875(P2012−70875)
【出願日】平成24年3月27日(2012.3.27)
【分割の表示】特願2006−309835(P2006−309835)の分割
【原出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】