圧縮強度試験機

【課題】電源、圧力源等の駆動源を確保できない工事現場であっても、圧力強度試験を可能とする圧力強度試験機を提供すること。
【解決手段】一対のシャフト33を介して相互に対向するように配設したメインプレート31とサブプレート32との間に、相互に対向するように押圧体1と受圧体2とを配設し、押圧体1と受圧体2との間にセットしたテストピースTに圧縮力を加える圧縮試験機に、サブプレート32に配設し、受圧体2を介して加えられた力が作用するシリンダ6と、受圧体2に加えられた力により作用したシリンダ6にかかる圧力を計測する圧力計7と、メインプレート31と螺合するとともに、一端を押圧体1に接続する一方、他端を手動ハンドル5に接続し、手動ハンドル5を回転させた場合に押圧体1が螺進することにより、テストピースTに圧縮力を加える送りネジ4とを備えるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テストピースの圧縮強度試験に好適な圧縮強度試験機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、アスベストを含有する耐火材、断熱材などの撤去工事が増加している。これまで、廃石綿及び廃石綿汚染物(撤去作業に用いた養生シート、防護服、フィルターなど)は、ビニールの袋で二重に梱包され、処分場で埋め立て処分されている(例えば、非特許文献1参照)。東京都では、平成18年2月より、都内で発生したアスベスト関連廃棄物を都内で処分できるように処分施設を準備した。東京都では、廃石綿をそのままビニールの袋で二重に梱包するだけでなく、(1)廃石綿をセメントで固型化し、飛散しづらい性状とすること。(2)固型化された廃石綿は人手で持てるおおむね10kg/個の質量とすること。(3)固型化された廃石綿の一軸圧縮強度が10kg/cm2(略1N/mm2)以上であること。(4)固型化された廃石綿をビニール袋で二重梱包すること。を義務付けている。
【0003】
このため、アスベストを含有する耐火材、断熱材などを撤去する場合には、工事現場にミキサーを持ち込んで、廃石綿とセメントミルクとを混合/攪拌することにより、略10kg/個となる直径200mm高さ300mmの円柱形状の廃棄体を作成すると同時に、直径50mm高さ100mmの円柱形状のテストピースを作成し、東京都が定めた試験機関において、テストピースの一軸圧縮強度が試験されることになっている。そして、この試験機関が発行した試験成績表を提出しなければ、廃棄体を埋め立て処分することができないことになっている。
【0004】
しかしながら、廃棄体及びテストピースが固型化するまでの養生期間は周囲の温度によって大きく影響され、例えば、気温の低い冬場は長期間を要し、気温の高い夏場は短期間で足りる。したがって、廃棄体及びテストピースの養生期間を適切に設定することが困難であった。このため、解体業者や建設事業者等の事業者が予め工事現場においてテストピースの一軸圧縮強度試験を行い、テストピースが上述した一軸圧縮強度を有することを確認した後に、東京都が定める試験機関でテストピースの試験をするようにすれば、東京都が定める試験機関においてテストピースの一軸圧縮強度が足りないという事態を防ぐことができる。
【0005】
【非特許文献1】厚生省生活衛生局水道環境部産業廃棄物対策室監修、財団法人廃棄物研究財団編「特別管理廃棄物シリーズII 廃石綿等処理マニュアル」化学工業日報社、平成5年3月発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、電源、圧力源等の駆動源が確保できない工事現場もあり、電力、圧力等の駆動力を用いて圧縮強度試験を行う圧縮強度試験機を使用することができない場合もある。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、電源、圧力源等の駆動源を確保できない工事現場であっても、圧力強度試験を可能とする圧縮強度試験機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の請求項1に係る圧縮強度試験機は、一対のシャフトを介して相互に対向するように配設したメインプレートとサブプレートとの間に、相互に対向するように押圧体と受圧体とを配設し、該押圧体と該受圧体との間にセットしたテストピースに圧縮力を加える圧縮試験機において、前記サブプレートに配設し、受圧体を介して加えられた力が作用するシリンダと、受圧体に加えられた力により作用したシリンダにかかる圧力を計測する圧力計と、前記メインプレートと螺合するとともに、一端を前記押圧体に接続する一方、他端を手動ハンドルに接続し、手動ハンドルを回転させた場合に前記押圧体が螺進することにより、前記テストピースに圧縮力を加える送りネジとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る圧縮強度試験機は、一端を押圧体に接続し、他端を手動ハンドルに接続した送りネジを備え、手動ハンドルを回転させた場合に送りネジが押圧体を螺進させることにより、テストピースに圧縮力を加えるので、電源、圧力源等の駆動源を確保できない工事現場であっても圧力強度試験が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明に係る圧縮強度試験装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
図1は本発明の実施の形態である圧縮強度試験機の正面図、図2は図1に示した圧縮強度試験機の平面図、図3は図1に示した圧縮強度試験機の側面図である。本発明の実施の形態である圧縮強度試験機は、廃棄体と同時に作成したテストピースの圧縮強度を事前に確認するのに好適なものである。
【0012】
図1〜図3に示すように、本発明の実施の形態である圧縮強度試験機は、押圧体1と受圧体2との間にセットしたテストピースTの圧縮強度を試験するものであり、フレーム3、送りネジ4、シリンダ6及び圧力計7を備えている。
【0013】
フレーム3は、メインプレート31、サブプレート32及び一対のシャフト33により構成してある。メインプレート31及びサブプレート32は、図2に示すように、平面視長円形状を有した板状体であり、平面視同一形状を有している。メインプレート31の両側縁部中央には雌ネジ(図示せず)が形成してあり、サブプレート32の対応する位置には貫通孔(図示せず)が形成してある。
【0014】
一対のシャフト33は、メインプレート31とサブプレート32とを接続するものであり、円柱形状を有している。各シャフト33の一端と他端とには、段付きネジ33a(他端のみ図示)が形成してある。各シャフト33の一端に形成した段付きネジをメインプレート31の雌ネジに螺合することにより、シャフト33とメインプレート31とを接続してある。また、各シャフト33の他端に形成した段付きネジ33aをサブプレート32に貫通した後、ナット34を螺合することにより、シャフト33とサブプレート32とを接続してある。したがって、メインプレート31とサブプレート32とは、一対のシャフト33を介して、平行かつ互いに対向するように配設される。
【0015】
また、メインプレート31の中央には貫通穴31aが形成してある。この貫通穴31aには、下面側に突出するように嵌合したボス35が溶接等により接合してある。ボス35は円筒形状を有しており、その内周面には送りネジ4が螺合する雌ネジ35aが形成してある。また、サブプレート32の中央には、雌ネジ32aが形成してある。
【0016】
送りネジ4は、ボス35に形成した雌ネジ35aに螺合するネジであって、一端が上述した押圧体1に接続してあり、他端が手動ハンドル5に固着してある。押圧体1は、円盤形状を有する板状体であって、試験対象となるテストピースTの直径よりも大きな外径を有している。手動ハンドル5は、作業者によって回転させられる部分であり、送りネジ4よりも大径のボス部51と径外方向に延在する棒状のハンドル部52とを有している。したがって、作業者が手動ハンドル5を回転させると、押圧体1が螺進することになり、押圧体1と受圧体2との間にセットしたテストピースTに圧縮力が加えられることになる。
【0017】
シリンダ6は、外形に雄ネジ61を形成した油圧シリンダであって、サブプレート32に形成した雌ネジ32aに螺合するとともにナット62が螺合してある。シリンダ6は、シリンダ内部を摺動するピストン部(図示せず)とピストン部から外部に延在するロッド部63とを有している。ロッド部63には、上述した受圧体2が接続してある。したがって、テストピースTに圧縮力が加えられると、当該圧縮力が押圧体1を介してシリンダ6に伝達され、ロッド部63とピストン部とに作用することになる。なお、受圧体2は、円盤形状を有する板状体であって、上述した押圧体1と同一の外径を有している。また、本実施の形態である圧縮強度試験機では、内径が1cmでストロークが数mmの油圧シリンダを採用している。
【0018】
圧力計7は、シリンダ6に作用した圧縮力を測定するものであって、シリンダ6に接続してある。なお、本実施の形態である圧縮強度試験機では、数十MPaの圧力を測定できる圧力計を採用している。
【0019】
本実施の形態である圧縮強度試験機では、テストピースTの断面積と、シリンダ6の断面積とを予め求めておく必要がある。例えば、テストピースTが直径5cmの円柱形状であり、シリンダ6の内径が1cmの場合には、テストピースTの断面積が約20cm2となり、シリンダ6の断面積が約0.8cm2となる。この条件下でテストピースTの圧縮強度試験を行う場合には、テストピースTとシリンダ6の断面積比が約25倍となるので、圧力計が25Mpaを計測した場合に、テストピースTに加わる圧縮強度は1MPa(=1N/mm2(略10kg/cm2))となる。
【0020】
廃棄体と同時に作成したテストピースTは、ビニール袋に梱包された状態で、本発明の実施の形態である圧縮強度試験機を用いて圧縮強度が確認される。なお、本実施の形態である圧縮強度試験機は、テストピースTが所定の圧縮強度を有することを確認することを目的とするものであるから、所定の圧縮強度を超える圧縮力をテストピースTに加える必要はない。したがって、押圧体1と受圧体2との間にテストピースTをセットした状態で手動ハンドル5を回転させて押圧体1と受圧体2との間にテストピースTを挟持させた後、さらに、圧力計7が25MPaを計測するまで手動ハンドル5を回転させ、そのときのテストピースTの性状を確認すればよい。このとき、テストピースTの性状に異常が認められない場合には、廃棄体の一軸圧縮強度が10kg/cm2(略1N/mm2)以上であると判断できる。一方、テストピースTの性状に異常が認められる場合には、廃棄体の一軸圧縮強度が10kg/cm2(略1N/mm2)に満たないと判断できるので、さらに養生した後、本実施の形態である圧縮強度試験機を用いて再度圧縮強度試験を行う必要がある。
【0021】
本実施の形態である圧縮強度試験機によれば、手動ハンドル5を回転させることにより、押圧体1と受圧体2との間にテストピースTを挟持することができ、さらに、圧力計7が所定の圧力を計測するまで手動ハンドル5を回転させ、そのときのテストピースTの性状を確認すればテストピースTの圧縮強度を確認できる。したがって、本実施の形態である圧縮強度試験機は、電源、圧力源等の駆動源を必要とせず、駆動源を有しない工事現場においても圧縮強度試験が可能である。また、駆動源により作動するアクチュエータを必要としないので、本実施の形態である圧縮強度試験機は、小型、かつ軽量なものとなり、作業者に過大な負担を強いることはない。
【0022】
したがって、本実施の形態である圧縮強度試験機を用いれば、圧縮強度試験をこまめに行うことが容易となり、過剰な養生期間を費やすことがなく、適切な養生期間で廃棄体を処分できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態である圧縮強度試験機の正面図である。
【図2】図1に示した圧縮強度試験機の平面図である。
【図3】図1に示した圧縮強度試験機の側面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 押圧体
2 受圧体
3 フレーム
31 メインプレート
31a 貫通穴
32 サブプレート
32a 雌ネジ
33 シャフト
33a ネジ
34 ナット
35 ボス
35a 雌ネジ
4 送りネジ
5 手動ハンドル
51 ボス部
52 ハンドル部
6 シリンダ
61 雄ネジ
62 ナット
63 ロッド部
7 圧力計
T テストピース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のシャフトを介して相互に対向するように配設したメインプレートとサブプレートとの間に、相互に対向するように押圧体と受圧体とを配設し、該押圧体と該受圧体との間にセットしたテストピースに圧縮力を加える圧縮試験機において、
前記サブプレートに配設し、受圧体を介して加えられた力が作用するシリンダと、
受圧体に加えられた力により作用したシリンダにかかる圧力を計測する圧力計と、
前記メインプレートと螺合するとともに、一端を前記押圧体に接続する一方、他端を手動ハンドルに接続し、手動ハンドルを回転させた場合に前記押圧体が螺進することにより、前記テストピースに圧縮力を加える送りネジと
を備えたことを特徴とする圧縮強度試験機。
【図1】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2008−89552(P2008−89552A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
物理学 | 測定;試験 | 材料の化学的または物理的性質の決定による材料の調査または分析 | 機械的応力の負荷による固体材料の強さの調査
物理学 | 測定;試験 | 材料の化学的または物理的性質の決定による材料の調査または分析 | 機械的応力の負荷による固体材料の強さの調査 | 細部 | チヤック
物理学 | 測定;試験 | 材料の化学的または物理的性質の決定による材料の調査または分析 | 機械的応力の負荷による固体材料の強さの調査 | 定張力または定圧縮力によるもの
【出願番号】特願2006−274090(P2006−274090)
【出願日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社
【Fターム(参考)】
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 調査方法;試験の仕方 | 圧縮、耐圧試験
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 力を掛ける方法(時間的、空間的) | 静的負荷による試験
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 調査対象項目 | 強度 | 破壊強度
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 試験片、材料 | 無機材料、セラミックス
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 試験片、形状、構造及び部分、部品 | 柱状、棒状
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 試験装置;構成、部分構成(治具を含む) | 荷重負荷装置
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 試験装置;構成、部分構成(治具を含む) | 小型、軽量の構成
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 試験装置;構成、部分構成(治具を含む) | 省エネルギー、消費電力低減の構成
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 測定対象 | 応力
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 測定対象の検出手段 | 機械力学的
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