説明

圧縮成型固形粉末化粧料

【課題】弾性粉体を含有する圧縮成型固形粉末化粧料において、使用感や使用性を損ねることなく、良好な耐衝撃性を有し、また固体触媒活性を低減した圧縮成型固形粉末化粧料を提供する。
【解決手段】弾性粉体と液状油を含有する圧縮成型固形粉末化粧料において、平均粒子径1〜30μmのポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末を配合してなり、上記弾性粉体の配合量が0.5〜7質量%、液状油の配合量が2〜15質量%、ポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末の配合量が20〜75質量%である圧縮成型固形粉末化粧料である。上記の弾性粉体は、JIS K6301のスプリング式硬さ試験による硬さが30〜50、平均粒子径が3〜35μmの弾性粉体が好ましい。上記の圧縮成型固形粉末化粧料には、更に固形油粉末を0.05〜1質量%配合することが好ましい。この固形油粉末は、平均粒子径0.05〜20μmの固形油粉末が好ましい。また、この固形油粉末は、融点85〜125℃の固形油粉末が好ましい。更に、圧縮成型固形粉末化粧料には、金属酸化物粉体を配合してもよい。金属酸化物粉体は表面処理金属酸化物粉体が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性粉体を含有する圧縮成型固形粉末化粧料に関する。より詳しくは、ポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末を配合した、使用性、使用感が良好であり、耐衝撃性を有し、製剤全体としての固体触媒活性が低い圧縮成型固形粉末化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
固形粉末化粧料は、粉体混合物を皿状容器に充填し、成形し、この成形物をコンパクト容器に装着して用いる化粧料である。固形粉末化粧料は、携帯性が良いため、ファンデーションやアイシャドウ等のメーキャップ化粧料に汎用されている剤型である。そして、固形粉末化粧料は、ハンドバック等に入れて携帯されるため、成形物の耐衝撃性が悪いと、成形物が割れたり、崩れたりするので、耐衝撃性が保証された水準でなければならない。また、固形粉末化粧料は、成形物表面を小道具で擦りとり、肌に塗布して使用するので、小道具への取れ具合、肌への塗布感等の使用感が商品の重要な品質となっている。
【0003】
固形粉末化粧料の成形方法としては、着色顔料、体質顔料、光輝性顔料等からなる粉体系に油剤を加えて分散し、これをアルミニウム等の金属製や樹脂製の皿状容器に充填し、次いで圧縮成型して製造する、いわゆるプレス成形法が、一般的に用いられてきた。このプレス成形法では、化粧料基材の組成によって、耐衝撃性の低下、剥離、欠けといった成形不良の問題を生じる場合があり、この問題が発生しないように、化粧料基材の配合成分の検討や圧縮成型条件の検討を行う必要がある。
【0004】
圧縮成型法の上記の問題を解決し、圧縮成型法における固形粉末化粧料の耐衝撃性を高めるために、粉末状ワックスを配合したり(特許文献1)、固形油粉末を配合する(特許文献2、8)ことが提案されている。しかしながら、固形粉末化粧料に後述する弾性粉体を配合する場合には、弾性粉体が圧縮成型し難いため、成形不良に伴う耐衝撃性に劣ることがある。そのため、十分な耐衝撃性を得るには、粉末状ワックスや固形油粉末の配合量を増すか、或いは弾性粉体を減らす必要があり、結果として、化粧料の伸び広がりの滑らかさなどの使用感を著しく損なう問題点がある。また、耐衝撃性を高める他の方法として、油剤を多量に配合する方法が知られているが、油剤を多量に配合した化粧料は、塗布時の使用感が重くなり、化粧料ののびが悪くなったり、また経時的に化粧料が締まって使用性が悪化するいわゆるケーキングが生じる問題点がある。
【0005】
また、圧縮成型法における固形粉末化粧料の耐衝撃性を高めるために、粉末にタルクを用いる方法が提案されている。例えば、2〜8μmの粒径を有するタルクと雲母とを組み合わせて配合する方法(特許文献3)、さらには、タルクとカルナウバワックスを多量配合する方法(特許文献4)が提案されている。しかしながら、特許文献3、4記載のタルクを多量に配合する方法を用いると、タルクは油にぬれると色がくすむために、皮脂による化粧膜のぬれが進むことで、経時での化粧膜の色くすみが生じる問題点がある。経時での色くすみを抑制する技術としては、酸化チタンと鉄化合物とを焼成して得られる肌色焼結顔料を配合することで経時での色くすみを抑制する方法(特許文献5)や、単独の水又は油には濡れないが、水と油を同時に接触させると濡れる粉体を配合することで経時的な化粧膜の色沈みを防止する方法(特許文献6)などがある。
【0006】
また、化粧料にシリコーンエラストマーやウレタンなどに代表される弾性粉体を配合することで使用性や毛穴隠し効果に優れた化粧料を提供することが知られている(特許文献7、8)。また、平均粒子径0.5〜20μmのポリエチレンテレフタレート粉体を、化粧料全量に対して1〜80重量%含有する化粧料が知られており、このポリエチレンテレフタレート粉体を体質顔料として配合した化粧料は、伸びがよく、色くすみが少なく、成型(プレス)が容易であるとされている(特許文献9)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平4−18011号公報
【特許文献2】特開2005−272427号公報
【特許文献3】特開平6−192038号公報
【特許文献4】特開2003−119111号公報
【特許文献5】特開2007−145778号公報
【特許文献6】特開2002−255744号公報
【特許文献7】特開平8−319215号公報
【特許文献8】特開2000−72624号公報
【特許文献9】特開2008−63305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
圧縮成型固形粉末化粧料に弾性粉体を含有させることにより、使用感・使用性を向上できるが、固形弾性粉体を含有させた圧縮成型固形粉末化粧料は、弾性粉体の存在により、耐衝撃性が劣る。本発明は、この弾性粉体を含有する圧縮成型固形粉末化粧料について、使用感・使用性を損ねることなく、良好な耐衝撃性を有し、また固体触媒活性が低い圧縮成型固形粉末化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは鋭意検討した結果、弾性粉体を含有する圧縮成型固形粉末化粧料について、ポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末を配合することにより、使用感や使用性を損ねることなく、良好な耐衝撃性を有する圧縮成型固形粉末化粧料が得られること、更にポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末の存在により、金属酸化物粉体が配合されていても、製剤全体として固体触媒活性が低くなることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、弾性粉体と液状油を含有する圧縮成型固形粉末化粧料において、平均粒子径1〜30μmのポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末を配合してなり、上記弾性粉体の配合量が0.5〜7質量%(以下、「質量%」を単に「%」と示す。)、液状油の配合量が2〜15%、ポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末の配合量が20〜75%であることを特徴とする圧縮成型固形粉末化粧料である。上記の弾性粉体は、JIS K6301のスプリング式硬さ試験による硬さが25〜80、平均粒子径が3〜35μmの弾性粉体が好ましい。上記の圧縮成型固形粉末化粧料には、更に固形油粉末を0.05〜1%配合することが好ましい。この固形油粉末は、平均粒子径0.05〜20μmの固形油粉末が好ましい。また、この固形油粉末は、融点85〜125℃の固形油粉末が好ましい。更に、圧縮成型固形粉末化粧料には、金属酸化物粉体を配合してもよい。この金属酸化物粉体は表面処理金属酸化物粉体が好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の圧縮成型固形粉末化粧料は、弾性粉体を含有するので、小道具への取れ具合などの使用性がよく、塗布時の滑らかな伸び広がり等の使用感が良好であり、毛穴隠し効果がある。また、本発明の固形粉末化粧料は、平均粒子径が1〜30μmのポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末を配合したので、弾性粉体を含有させたにもかかわらず、良好な耐衝撃性を有する。また、本発明の圧縮成型固形粉末化粧料では、金属酸化物粉体を配合した場合でも、製剤全体として固体触媒活性が低くなり、化粧料中の油剤などの成分の変色や劣化を抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、弾性粉体と液状油を含有する圧縮成型固形粉末化粧料について、平均粒子径1〜30μmのポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末を配合することによって、これを改良した発明である。弾性粉体と液状油を含有する圧縮成型固形粉末化粧料は既知である。この弾性粉体は、固形粉末化粧料の小道具への取れ具合などの使用性を良くし、塗布時の滑らかな伸び広がり、感触の向上など使用感を良好にし、また毛穴隠しなどのフォーカス効果などために配合する。本発明で用いる弾性粉体は、通常化粧料に配合される弾性粉体が用いられる。この弾性粉体は、JIS K6301に記載されているスプリング式硬さ試験における硬さ(以下、単に「JIS硬さ」と略す)が25〜80の粉体が好ましく、更に好ましくは30〜50の粉体である。また、本発明の弾性粉体は、平均粒子径が3〜35μmが好ましく、この範囲であれば特に塗布時のなめらかさにおいて優れた効果が得られる。
【0013】
このような粉体は、具体的にはシリコーン粉体、ポリウレタン粉末、ポリアクリル酸アルキル粉体、ナイロン粉体等であり、市販品としては、トレフィルE505、トレフィルE506、トレフィルE701(いずれも、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製のシリコーン粉体)、テクポリマーACX−806C(積水化成品工業社製のポリアクリル酸アルキル粉体)、マツモトマイクロスフェアS100、マツモトマイクロスフェアS101,マツモトマイクロスフェアS102(いずれも、松本油脂製薬社製のポリアクリル酸アルキル粉体)、KSP−100、KSP−101、KSP−102(いずれも、信越化学工業社製のシリコーン粉体)等が挙げられる。これらは、一種又は二種以上を適宜選択、あるいは複合化して用いることができる。
【0014】
本発明の圧縮成型固形粉末化粧料への弾性粉体の配合量は、0.5〜7%であり、好ましくは1〜5%である。この範囲であれば、塗布時の滑らかさ等の使用感を向上させる効果に非常に優れたものが得られる。弾性粉体の配合量が0.5%未満の場合塗布時のなめらかな感触を十分に発揮することができず、7%を超える場合は、十分な耐衝撃性ある圧縮成型固形粉末化粧料が得られない。
【0015】
本発明で用いる液状油は、感触調整剤、粉体同士の結合剤、肌への付着性向上剤として用いられるものであり、室温にて液状のものである。この液状油としては、例えば、流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素類、トリベヘン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ホホバ油、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、トリオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル等のエステル類、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油等の油脂類、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のアミノ酸誘導体類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤類等が挙げられ、これらより一種又は二種以上を用いることができる。
【0016】
本発明の圧縮成型固形粉末化粧料への液状油の配合量は、2〜15%であり、好ましくは5〜13%である。液状油をこの範囲で配合すると、ケーキングが生じず、使用感が良好な固形粉末化粧料を得ることができる。2%未満の場合は、粉体同士の結合性が低下し、また肌への付着性が劣り、また経時的な皮脂ぬれによる色くすみ抑制効果が損なわれ、15%を超える場合は、十分な伸び広がりのなめらかさが得られず、またケーキングを生じる。
【0017】
本発明に用いる平均粒子径1〜30μmのポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末は、ポリエチレンテレフタレートを微粉砕して得た粉末である。例えば、結晶質と非晶質とからなるポリエチレンテレフタレートを、水酸化ナトリウムなどの解重合触媒の存在下又は不存在でエチレングリコールと接触せしめ、その非晶質部分を解重合させて溶出させ、多孔質状ポリエチレンテレフタレートとなし、この多孔質状ポリエチレンテレフタレートをロッドミル、ボールミル、ハンマーミル、円盤型ミル、ジェットミルなどの粉砕機で平均粒径1〜30μmに微粉砕して得ることができる(特開2006−328251号公報、特許文献8参照)。また、ポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末は、ポリエチレンテレフタレート樹脂を結晶化させ、まず平均粒径が500μm程度になるまで粗粉砕し、その後冷風を供給しつつ平均粒径10〜30μm微粉砕して得ることもできる (特開2007−77259号公報参照)。
【0018】
本発明で用いるポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末は、粉砕により微粒化されたポリエチレンテレフタレートであるから、その形状は不定形である。本発明で用いる弾性粉体は圧縮成型性が劣り、これを含有する圧縮成型固形粉末化粧料は耐衝撃性が劣るが、ポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末を配合することにより、この圧縮成型固形粉末化粧料の耐衝撃性を向上させることができる。ポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末の平均粒子径は、1〜30μmであり、好ましくは5〜10μmである。ポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末の平均粒子径が1μm未満の場合、塗布時のなめらかな感触を十分に発揮することができず、30μmを超える場合、耐衝撃性を十分に向上させることができない。このポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末の市販品としてはスノーリーフP(オーケン社製)などがある。
【0019】
本発明の圧縮成型固形粉末化粧料へのポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末の配合量は、20〜75%であり、好ましくは25〜60%である。ポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末の配合量が20%未満の場合は、固形粉末化粧料の圧縮成型性を向上させて、これに十分な耐衝撃性を付与することはできない。また75%を超える場合は、十分な化粧効果を有する固形粉末化粧料が得られない。ポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末は、皮脂に接したときの色くすみの程度が小さい性質がある。そのため、20〜75%と多量に配合しても、経時での皮脂ぬれによる色くすみを低減できる。また、50〜75%の配合により、製剤全体として固体触媒活性の低下が期待できる。したがって、経時での皮脂濡れによる色くすみを抑制して、耐衝撃性のよい、また製剤全体として固体触媒活性の低い圧縮成型固形粉末化粧料を得ることができる。
【0020】
本発明の圧縮成型固形粉末化粧料には、上記の成分のほかに、固形油粉末を配合するのが好ましい。この固形油粉末は、圧縮成型したときに粒子同士が融着することにより、粉体の結合剤として機能する粉末である。本発明の圧縮成型固形粉末化粧料に固形油粉末を配合することにより、その成形性がさらに向上し、そのため特に落下強度を向上させることができる。この固形油粉末は、上記の液状油に溶解しなく、融点が85〜125℃の固形油の粉末が好ましい。特に、融点85〜125℃の炭化水素ワックスを微粉砕して得られる粉末が好ましい。融点が85〜125℃である炭化水素ワックスは、ポリエチレンワックス、エチレン・プロピレンコポリマー、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス、及びカルナウバワックス等の植物由来のワックス類等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。
【0021】
これらの炭化水素ワックスを粉砕するには、公知の微粉砕方法である機械的粉砕方法又は化学的粉砕方法、或いは機械的粉砕と化学的粉砕を複合した粉砕方法が使用可能である。具体的には、機械的粉砕方法として、ジェットミル、ハンマーミル、ピンミル、ボールミル、ビーズミル等が挙げられる。化学的粉砕方法としては、前記炭化水素ワックスを適当な溶媒に溶かし溶液としたものを噴霧乾燥する方法や、その溶液から炭化水素ワックスを相分離させる方法、又は、その溶液を水と乳化しマイクロエマルジョンとして乾燥させる方法等が挙げられる。粉砕後、必要に応じて、目的の平均粒子径を得るまで炭化水素ワックスを分級することも可能である。
【0022】
固形油粉末の平均粒子径は0.05〜20μmが好ましく、更に好ましくは3〜5μmである。平均粒子径がこの範囲であると、成形性が特に良好となり、耐衝撃性が特に優れる固形粉末化粧料を得ることができる。固形油粉末の形状は非球状又は不定形が好ましい。球状では圧縮成型固形粉末化粧料の成形性向上効果が低く、非球状の方が圧縮成型固形粉末化粧料の成形性の向上や強度の向上等の効果が優れている。固形油粉末として、PRESS−AID−XP(平均粒径3μm)、PRESS−AID−SP(平均粒径6μm)(何れも、PRESPERSE社製)等の市販品が用いられる。また、特開2000−72624号公報記載の方法で製造された非球状固形油粉末等も用いられる。
【0023】
本発明の圧縮成型固形粉末化粧料における固形油粉末の配合量は0.05〜1%が好ましく、更に好ましくは0.1〜0.5%である。固形油粉末をこの範囲で配合すれば、取れが良好で耐衝撃性に優れた圧縮成型固形粉末化粧料が得られる。
【0024】
本発明の圧縮成型固形粉末化粧料には、上記成分以外に、他の粉体を配合できる。本発明に配合可能な粉体は、着色剤、隠蔽剤(メーキャップ効果)、感触調整剤、賦形剤、紫外線遮蔽剤、パール剤等の目的で用いられるものであり、通常の化粧料に用いられる粉体が用いられ、板状、球状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により限定されず、無機粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的には、酸化チタン、黒色酸化チタン、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、無水ケイ酸、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、タルク、マイカ、合成マイカ、セリサイト、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、窒化硼素等の無機粉体類、ポリメチルセスキオキサン、ポリスチレン、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体、塩化ビニリデン−メタクリル酸共重合体、ポリエチレン、ウールパウダー、シルクパウダー、結晶セルロースパウダー、N−アシルリジンパウダー等の有機粉体類、有機タール系顔料、有機色素のレーキ顔料等の色素粉体類、微粒子酸化チタン被覆マイカチタン、微粒子酸化亜鉛被覆マイカチタン、硫酸バリウム被覆マイカチタン、酸化チタン含有無水ケイ酸、酸化亜鉛含有無水ケイ酸等の複合粉体等が挙げられ、これらより一種又は二種以上を用いることができる。
【0025】
上記の粉体のうち、金属酸化物粉体(金属酸化物複合粉体を含む)は、固体触媒活性が高く、これらを配合した化粧料は、製剤の全体としての固体触媒活性が高くなり、化粧料中の油剤などの他の成分を変色・劣化させる。本発明の圧縮成型固形粉末化粧料においては、固体触媒活性が極めて低いポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末を配合したため、金属酸化物粉体が配合されていても、製剤全体としての固体触媒活性が低くなり、化粧料中の油剤などの他の成分を変色・劣化を抑制できる。また、金属酸化物粉体は固体触媒活性が高いので、これを比較的多量に配合する場合は、表面処理を施して、表面処理金属酸化物粉体にして、固体触媒活性を低下させて用いるのが好ましい。この表面処理は、表面処理剤を金属酸化物粉体の表面に固着させ、その表面の一部又は全部を表面処理剤で被覆する処理である。
【0026】
上記の表面処理は、例えば、二酸化ケイ素処理、酸化アルミニウム処理、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸等のシリコーン化合物による処理、パーフルオロポリエーテルリン酸、パーフルオロアルキルリン酸、弗素変性シリコーン等の弗素化合物による処理、ラウリン酸亜鉛等の金属石鹸処理、N−長鎖アシルアミノ酸等のアミノ酸処理、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス等の油処理、水素添加リン脂質による処理、シランカップリング剤であるN−オクチルシリル化処理、チタネートカップリング剤であるイソプロピルトリイソステアロイルチタネート処理等が挙げられる。この中で特に好ましい表面処理は、二酸化ケイ素処理や酸化アルミニウム処理にて処理後、さらにイソプロピルトリイソステアロイルチタネート処理や水素添加リン脂質にて処理する表面処理である。
【0027】
表面処理金属酸化物粉体の製造方法は、例えば、適当なミキサーによって撹拌されている金属酸化物粉体にイソプロピルアルコール、水素添加リン脂質を混合した後、攪拌し、次いで、120℃にて減圧乾燥し、溶媒であるイソプロピルアルコールを除去、水素添加リン脂質処理粉体を得る方法が挙げられる。また、別の方法例としては、適当なミキサーによって撹拌されている金属酸化物粉体と水とを混合した後、イソプロピルトリイソステアロイルチタネートを液滴下もしくはスプレー噴霧にて加え、その後一定時間高速攪拌する。次いで、撹拌を続けながら80〜250℃で水を加熱蒸発除去し、粉砕した後80〜250℃で加熱熟成させる方法が挙げられる。表面処理剤の金属酸化物粉体への被覆量は、被覆される金属酸化物粉体に対して0.01〜5%であるのが好ましく、より好ましくは0.02〜3.0%である。この被覆量が0.01%よりも少ない場合には、十分な固体触媒抑制効果を具備することができない。一方、この被覆量が5.0%を越えると、処理剤特有の匂いが生じたり、処理剤が金属酸化物の表面に固着されずに、それ自体が析出してしまうので好ましくない。
【0028】
なお、上記に列挙した粉体のうちのタルクは、成形性に優れており、その配合により固形粉末化粧料に耐衝撃性を付与できるが、皮脂でぬれると色くすみする性質がある。そのため、タルクを用いるときには、そのタルクの配合量は、ポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末の倍量より少ない量にする。ポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末の倍量以上では、皮脂ぬれによる色くすみ抑制効果が損なわれる。タルクの平均粒子径は2〜20μmが好ましい。また、タルクは、その固体触媒活性がポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末より高いので、製剤全体としての固体触媒活性を低下させる効果は、ポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末より小さい。タルクはフッ素化合物、シリコーン化合物、界面活性剤等の通常公知の処理剤により表面処理を施して用いてもよい。
【0029】
本発明の圧縮成型固形粉末化粧料には、前記成分の他に、通常の化粧料に使用される成分として、界面活性剤、油ゲル化剤、水溶性高分子、トリメチルシロキシケイ酸等の油溶性被膜形成剤、ペースト油、水性成分、パラオキシ安息香酸誘導体、フェノキシエタノール等の防腐剤、ビタミン類、美容成分、香料等を本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
【0030】
本発明の圧縮成型固形粉末化粧料に配合可能な界面活性剤としては、分散剤、感触調整剤等の目的で用いられるものである。このような界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、ポリオキシアルキレンアルキル共変性シリコーン等の非イオン性界面活性剤類、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂肪酸塩、アシルメチルタウリン塩、N−メチル−N−アルキルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩、N−アシルアミノ酸塩、N−アシル−N−アルキルアミノ酸塩等の陰イオン性界面活性剤類、アルキルアミン塩、ポリアミンおよびアルカノイルアミン脂肪酸誘導体、アルキルアンモニウム塩、脂環式アンモニウム塩等の陽イオン性界面活性剤類、レシチン、N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン等の両性界面活性剤等が挙げられ、これらより一種又は二種以上を用いることができる。
【0031】
本発明の圧縮成型固形粉末化粧料に配合可能な油ゲル化剤としては、通常の化粧料に用いられるものであれば何れでもよく、例えば、デキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、12−ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸カルシウム等が挙げられ、これらより一種又は二種以上を用いることができる。
【0032】
本発明の圧縮成型固形粉末化粧料に配合可能な水溶性高分子としては、肌への付着性向上、化粧持続性向上、感触改良等を目的で用いられるものである。このような水溶性高分子としては、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体類、アルギン酸ソーダ、カラギーナン、クインスシードガム、寒天、ゼラチン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ペクチン、ジェランガム等の天然高分子類、ポリビニルアルコール、カルボシキビニルポリマー、アルキル付加カルボシキビニルポリマー、ポリアクリル酸ソーダ、ポリメタクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸グリセリンエステル、ポリビニルピロリドン等の合成高分子類等が挙げられ、これらより一種又は二種以上を用いることができる。
【0033】
本発明の圧縮成型固形粉末化粧料に配合可能なペースト油としては、通常の化粧料に用いられるものであれば何れでもよく、例えば、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル等が挙げられ、これらより一種又は二種以上を用いることができる。
【0034】
本発明の圧縮成型固形粉末化粧料の製造方法は、特に限定されないが、弾性粉体、液状油、ポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末及びその他の粉体を混合し均一に分散し、これを金属製や樹脂製の皿状容器に充填し圧縮成型(プレス成型)する。
【0035】
本発明の圧縮成型固形粉末化粧料は、粉体を主成分とし、これに油剤等を分散させた組成物を、皿等の容器に充填し圧縮成型して得られる化粧料で、ファンデーション、白粉、頬紅、アイシャドウ、アイブロウ等のメーキャップ化粧料やボディパウダーや制汗パウダーなどのスキンケア化粧料等が挙げられる。また、本発明の圧縮成型固形粉末化粧料は、表面を平面状(平ら状)に成形するものの他に、表面を立体状、例えばドーム状、球状、半球状、円錐状、角錐状、ダイヤモンドカット状等の多種多様な立体形状に成形することができる。
【0036】
実施例1〜7及び比較例1〜8:固形粉末ファンデーション
表1に示す組成の固形粉末ファンデーションを下記方法により調製し、「塗布時の滑らかさ」、「落下強度」、「経時での色くすみ抑制」の各項目について、以下に示す評価方法及び判定基準により評価判定し、結果を併せて表1に示した。
【0037】
【表1】

【0038】
注1:スノーリーフP(平均粒子径7μm:オーケン社製)
注2:球状シリコーン:KSP−100(硬さ30、平均粒子径:5.5μm)(信越化学工業社製)
注3:下記の製造方法で製造した不定形固形油粉末
融点120℃のフィッシャー・トロプシュワックスの平均粒子径5mmの球状粒子をミルにて粉砕し、粗粉砕物を得た。この粗粉砕物の平均粒子径をレーザー回折式粒度分布測定装置にて測定した結果60μmであった。次に、この粗粉砕物をシングルトラックジェットミルにて更に微粉砕し、平均粒子径3μmの固形油粉末を得た。この固形油粉末は、電子顕微鏡にて粒子形状を観察した結果、不定形であった。
【0039】
(製造方法)
A:成分14〜15を混合する。
B:成分1〜13をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で均一分散する。
C:BにAを添加し、混合する。
D:Cをパルベライザーで粉砕する。
E:Dを樹脂皿に充填し、圧縮成型し、固形粉末ファンデーションを得た。
【0040】
(評価方法1)ぬれによる色変化
皮脂による化粧膜のぬれを想定し、上記実施例及び比較例のそれぞれの調製過程で得たDの粉砕物とトリイソオクタン酸グリセリルを混合した際の外観色の変化を「経時での色くすみ抑制」効果の指標とした。
[混合方法]
前記Dの粉砕物100%に対してトリイソオクタン酸グリセリルを5%添加し、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で30秒間混合した。
[色差測定方法]
前記混合物を200kg/cmの圧力にて金皿にプレスし、日本電色色差計S−2000を用いてL,a,b値を測色し、トリイソオクタン酸グリセリル混合前のプレス表面の色(L,a,b)と、混合後のプレス表面の色(L,a,b)より、以下の式により色差ΔEを求めた。
ΔE=((L−L)+(a−a+(b−b)0.5
【0041】
(評価方法2)官能評価
化粧料評価専門パネル20名に、前記の固形粉末ファンデーションを使用してもらい、塗布後、パネルに通常の生活をしてもらった後、3時間後に色くすみのなさを評価してもらった。「塗布時の滑らかさ」、「経時での色くすみ抑制」の其々の項目について、各自が以下の評価基準に従って7段階評価し、ファンデーション毎に評点を付し、更に全パネルの評点の平均点を用いて、以下の判定基準に従って判定した。
[評価基準]
(評価結果):(評点)
非常に良好 : 6点
良好 : 5点
やや良好 : 4点
普通 : 3点
やや不良 : 2点
不良 : 1点
非常に不良 : 0点
[判定基準]
(評点の平均点) : (判定)
5以上 : ◎ 非常に良好
3.5以上〜5未満 : ○ 良好
1.5以上〜3.5未満 : △ 不良
1.5未満 : × 非常に不良
【0042】
(評価方法3)落下強度
前記実施例及び比較例の固形粉末ファンデーションをそれぞれ5個用意し、樹脂皿に充填した状態のまま、50cmの高さからアクリル板上に正立方向で自由落下させ、落下後の表面状態を観察し、ファンデーション毎に以下の評価基準により評点を付し、そしてn=5の評点の平均点を算出し、以下の4段階の判定基準により判定した。
[評価基準]
(内容) :(評点)
変化無し : 4
僅かにヒビ割れがあるが、使用性に問題無し : 3
ヒビ割れ、スキマ有り : 2
大きなヒビ割れやスキマ有り : 1
[判定基準]
(n=5の評点の平均点): (判定)
3.5以上 : ◎ 非常に良好
3以上〜3.5未満 : ○ 良好
2以上〜3未満 : △ 不良
2未満 : × 非常に不良
【0043】
表1の結果から明らかなように、本発明の実施品である実施例1〜7の固形粉末ファンデーションは、「塗布時の滑らかさ」、「落下強度」、「経時での色くすみ抑制」の全ての項目に優れた固形粉末化粧料であった。一方、実施例1において、ポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末を配合しない場合(比較例1)は、実施例1に比し、落下強度が非常に悪く、塗布時の滑らかさに欠け経時で色くすみがあり、良いものが得られなかった。また、ポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末の代わりにタルクを配合した場合(比較例2)は、落下強度や使用感について実施例1より劣り、色くすみが激しかった。また、ポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末の代わりに球状ポリスチレン粉末を配合した場合(比較例3)は、ポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末の代わりにタルクを配合した比較例2よりは、色くすみ抑制効果があがったが、落下強度に劣っていた。また、実施例1において、弾性粉体を配合しない場合(比較例4)は、実施例1に比し、特に塗布時の滑らかさが得られず使用感に劣っていた。また、弾性粉体を多量に配合した場合(比較例5)は、固形に成形することが困難で、官能評価をすることができなかった。更に、実施例1において、液体油を配合しない場合(比較例6)は、固形に成形することが困難で、官能評価をすることはできなかった。また、液体油を少量配合した場合(比較例7)は、固形に成形することはできたが、実施例1に比し、全ての項目に劣っていた。逆に、液状油を多量に配合した場合(比較例8)は、ある程度の落下強度は得られるものの、実施例1に比し、塗布時のなめらかさが得られず、色くすみの抑制が改善されなかった。
なお、色変化の試験に関しては、実際に使用した時の評価と一致するものであった。
【0044】
実施例8:固形白粉
(成分) (%)
1.タルク(平均粒径5μm) 20.0
2.ポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末(注1) 30.0
3.球状ポリスチレン(非弾性粉体) 5.0
4.固形油粉末(注3) 0.5
5.ナイロン末(非弾性粉体)(注4) 3.0
6.球状ポリアクリル酸アルキル粉体(弾性粉体)(注5) 1.5
7.球状シリコーン粉体(弾性粉体)(注6) 0.5
8.ベンガラ 0.1
9.黄酸化鉄 1.0
10.黒酸化鉄 0.1
11.酸化チタン被覆合成金雲母 10.0
12.パラオキシ安息香酸メチル 0.3
13.セリサイト 残量
14.ジメチルポリシロキサン(20mm/s:25℃) 4.0
15.スクワラン 4.0
16.パーフルオロポリエーテル(注7) 1.0
注4:ナイロン12 SP500(東レ株式会社製)
注5:マツモトマイクロスフェアS100(平均粒子径:15μm)(松本油脂製薬社製)
注6:トレフィルE506W(硬さ:30、平均粒子径:1〜15μm)(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)
注7:フォンブリン HC/04(ソルベイ ソレクシス社製)
【0045】
(製造方法)
A:成分14〜16を混合する。
B:成分1〜13をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で均一分散する。
C:BにAを添加し、混合する。
D:Cをパルベライザーで粉砕する。
E:Dを金皿に充填し、圧縮成型して固形白粉を得た。
得られた固形白粉は、「塗布時の滑らかさ」、「落下強度」、「経時での色くすみ抑制」の全ての項目に優れた固形粉末化粧料であった。
【0046】
実施例9:固形粉末アイシャドウ
(成分) (%)
1.タルク(平均粒径12μm) 5.0
2.ポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末(注1) 20.0
3.酸化チタン被覆合成金雲母(平均粒子径20μm) 20.0
4.酸化チタン被覆ガラス末(平均粒子径80μm) 10.0
5.球状無水ケイ酸(注8) 2.0
6.球状シリコーン粉体(弾性粉体)(注9) 1.0
7.セリサイト 残量
8.ベンガラ 4.0
9.黄酸化鉄 3.0
10.黒酸化鉄 0.5
11.パラオキシ安息香酸メチル 0.3
12.固形油粉末(注3) 0.5
13.流動パラフィン 5.0
14.ジメチルポリシロキサン(10cs) 5.0
注8:シリカマイクロビードP−1505(触媒化成工業社製)
注9:KSP−101(硬さ:30、平均粒子径:12μm)(信越化学工業社製)
【0047】
(製造方法)
A:成分13〜14を混合する。
B:成分1〜12をヘンシェルミキサーで均一分散する。
C:BにAを添加し、混合する。
D:Cをパルベライザーで粉砕する。
E:Dを金皿に充填し、圧縮成型して固形粉末アイシャドウを得た。
得られた固形粉末アイシャドウは、「塗布時の滑らかさ」、「落下強度」、「経時での色くすみ抑制」の全ての項目に優れた固形粉末化粧料であった。
【0048】
実施例10:固形粉末頬紅
(成分) (%)
1.ポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末(注1) 20.0
2.タルク(平均粒径5μm) 10.0
3.窒化ホウ素 5.0
4.ジメチルポリシロキサン2%処理酸化チタン 5.0
5.無水ケイ酸(注10) 3.0
6.ナイロン末(非弾性粉体)(注4) 2.0
7.球状シリコーン粉体(弾性粉体)(注2) 2.0
8.ベンガラ 4.0
9.黄酸化鉄 1.0
10.黒酸化鉄 0.2
11.セリサイト 残量
12.パラオキシ安息香酸メチル 0.3
13.固形油粉末(注11) 0.05
14.スクワラン 4.0
15.ジメチルポリシロキサン(20cs) 4.0
注10:ゴッドボール D11−796C(鈴木油脂工業社製)
注11:PRESS−AID−SP(平均粒子径6μm:PRESPERSE社製)
【0049】
(製造方法)
A:成分14〜15を混合する。
B:成分1〜13をヘンシェルミキサーで均一分散する。
C:BにAを添加し、混合する。
D:Cをパルベライザーで粉砕する。
E:Dを金皿に充填し、圧縮成型して固形粉末頬紅を得た。
得られた固形粉末頬紅は、「塗布時の滑らかさ」、「落下強度」、「経時での色くすみ抑制」の全ての項目に優れた固形粉末化粧料であった。
【0050】
実施例11:固形粉末アイブロウ
(成分) (%)
1.ポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末(注1) 30.0
2.タルク(平均粒径5μm) 10.0
3.ポリメタクリル酸メチル粉体(非弾性粉体)(注12) 2.0
4.球状シリコーン粉体(弾性粉体)(注2) 2.0
5.ベンガラ 2.0
6.黄酸化鉄 1.0
7.黒酸化鉄 8.0
8.合成マイカ 5.0
9.ジメチルポリシロキサン2%処理セリサイト 残量
10.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
11.流動パラフィン 4.0
12.ジメチルポリシロキサン(20cs) 3.0
13.ポリイソブチレン 1.0
注12:マツモトマイクロスフェアー M101(平均粒子径が約10μmの球状粒子)(松本油脂製薬社製)
【0051】
(製造方法)
A:成分11〜13を混合する。
B:成分1〜10をヘンシェルミキサーで均一分散する。
C:BにAを添加し、混合する。
D:Cをパルベライザーで粉砕する。
E:Dを金皿に充填し、圧縮成型して固形粉末アイブロウを得た。
得られた固形粉末アイブロウは、「塗布時の滑らかさ」、「落下強度」、「経時での色くすみ抑制」の全ての項目に優れた固形粉末化粧料であった。
【0052】
実施例12〜14及び比較例9〜10:固形粉末ファンデーション
表2に示す組成の固形粉末ファンデーションを下記方法により調製し、各固形粉末ファンデーションについて、その固体触媒活性を以下に示す測定法で調べた。その結果を併せて表2に示した。
【0053】
【表2】

【0054】
(製造方法)
A.成分1〜11をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で均一に分散する。
B.成分12、13を均一に混合する。
C.Aをヘンシェルミキサーで攪拌しながら、Bを添加し、均一分散する。
D.Cをパルベライザーで粉砕する。
E.Dを金皿に充填し、圧縮成型し、固形粉末ファンデーションを得た。
【0055】
(固体触媒活性の測定法)
各固形粉末ファンデーション2.0gとアスタキサンチン溶液(0.5%エチルヘキサン酸グリセリル溶液)24.0gをペイントシェイカー(浅田鉄工株式会社製)にて10分間撹拌し、得られた混合物の半量を2000rpmにて10分間、さらに3000rpmにて5分間遠心分離(H−38F、株式会社コクサン製)を行った。次いで、得られた上澄み溶液を分光光度計(V−570、日本分光株式会社製)にて測定し、アスタキサンチン(吸光ピーク476nm)の吸光度を測定した。さらに、混合物の残りの半量は50℃の恒温層にて5日間保管し、5日後に上記と同様に遠心分離を行い、上澄み液の吸光度を測定した。アスタキサンチンの褪色率は以下の式で算出した。このアスタキサンチンの褪色率が低いほど、固形粉末状パウダーファンデーションの固体触媒活性が低いことを示す。
褪色率(%)=[{(混合直後の吸光度)−(50℃5日間保管後の吸光度)}/(混合直後の吸光度)]×100
【0056】
表2の実施例12〜14及び比較例9〜10の固形粉末ファンデーションについて、固体触媒活性が高い酸化チタンを配合した実施例12と比較例9を対比すると、比較例9のタルクに代えてポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末を配合した(実施例12)ことにより、褪色率が43から41に低下したことが分かる。また、固体触媒活性を低減させるべく表面処理した酸化チタンを配合した実施例13と比較例10を対比すると、比較例10のタルクに代えてポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末を配合した(実施例13)ことにより、退色率が34から30に低下したことが分かる。このように、ポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末を配合することにより、褪色率が低下する、すなわち固形粉末ファンデーションの固体触媒活性が低下する。また、実施例13と実施例14を対比すると分かるように、ポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末の配合量を増加させると、固形粉末ファンデーションの固体触媒活性が低下する。また、実施例12と実施例13を対比すると分かるように、酸化チタンを表面処理して配合することにより、固形粉末ファンデーションの固体触媒活性が低下する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性粉体と液状油を含有する圧縮成型固形粉末化粧料において、平均粒子径1〜30μmのポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末を配合してなり、上記弾性粉体の配合量が0.5〜7質量%、液状油の配合量が2〜15質量%、ポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末の配合量が20〜75質量%であることを特徴とする圧縮成型固形粉末化粧料。
【請求項2】
弾性粉体が、JIS K6301のスプリング式硬さ試験による硬さが25〜80、平均粒子径が3〜35μmの弾性粉体である請求項1記載の圧縮成型固形粉末化粧料。
【請求項3】
更に固形油粉末を、0.05〜1質量%配合した請求項1又は2記載の圧縮成型固形粉末化粧料。
【請求項4】
固形油粉末が、平均粒子径0.05〜20μmの固形油粉末である請求項3記載の圧縮成型固形粉末化粧料。
【請求項5】
固形油粉末が、融点85〜125℃の固形油粉末である請求項3又は4に記載の圧縮成型固形粉末化粧料。
【請求項6】
更に、金属酸化物粉体を配合した請求項1〜5のいずれかに記載の圧縮成型固形粉末化粧料。
【請求項7】
金属酸化物粉体が表面処理金属酸化物粉体である請求項6記載の圧縮成型固形粉末化粧料。

【公開番号】特開2009−256318(P2009−256318A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46271(P2009−46271)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】