圧縮梱包機の制御方法
【課題】 ラム30の前進動作による廃材の圧縮をもって形成される圧縮塊の長さ調整を実現し、それにより複数の圧縮塊をまとめて結束してなる圧縮梱包体の長さを、あらかじめ設定した許容範囲内とすることを可能とする。
【解決手段】 供給口11が開口する領域の中間位置までラム30を前進させてから後退動作に移行することにより圧縮塊の長さを調整する。具体的には、1個の圧縮梱包体のまとめられる複数の圧縮塊を形成するまでを1サイクルとし、当該1サイクル中に繰り返されるラム30の個々の前進動作に対し、少なくとも1回は次の(ロ)の位置を割り当てるとともに、その他は次の(イ)乃至(ニ)のいずれかの位置を選択して割り当て、当該割り当てた位置で当該前進動作を停止させる。(イ)供給口11の前端位置、(ロ)供給口11が開口する領域の中間位置、(ハ)結束位置51の後端位置、(ニ)上記以外の位置
【解決手段】 供給口11が開口する領域の中間位置までラム30を前進させてから後退動作に移行することにより圧縮塊の長さを調整する。具体的には、1個の圧縮梱包体のまとめられる複数の圧縮塊を形成するまでを1サイクルとし、当該1サイクル中に繰り返されるラム30の個々の前進動作に対し、少なくとも1回は次の(ロ)の位置を割り当てるとともに、その他は次の(イ)乃至(ニ)のいずれかの位置を選択して割り当て、当該割り当てた位置で当該前進動作を停止させる。(イ)供給口11の前端位置、(ロ)供給口11が開口する領域の中間位置、(ハ)結束位置51の後端位置、(ニ)上記以外の位置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、段ボールや新聞、雑誌等の故紙や、ペットボトルなどのリサイクル可能な廃材を圧縮してブロック状の塊とした後、結束して梱包する構成を備えた圧縮梱包機に関し、特にラムと称する移動圧縮部材の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮梱包機として、従来から図13に示すように、圧縮室10の上壁に形成した廃材供給用の供給口11に圧縮開閉用の蓋(圧縮蓋20)を設け、供給口11から圧縮室10内に廃材を供給する過程で溢れ出た廃材1を、圧縮蓋20で上方から押圧して圧縮室10内に押し込んだ後、ラム30を前進動作させて圧縮塊を形成するとともに、複数の圧縮塊をまとめて結束し1個の圧縮梱包体を形成する構成の圧縮梱包機が提案されている。
この種の圧縮梱包機では、圧縮室10内に供給された廃材1が、圧縮蓋20とラム30で圧縮されるため、圧縮効率がよく高密度の圧縮塊を形成することができる。
【0003】
さて、複数の圧縮塊をまとめて結束してなる圧縮梱包体の長さを、一定の長さ範囲(結束長さの許容範囲)に収まるようにすれば、その後の運搬作業などにおいて扱いやすくなり都合がよい。しかし、供給される廃材によっては密度が異なり、圧縮量が変わってくるため、圧縮塊の長さが区々となる。例えば、図14(a)に示すように、新聞などの高密度で圧縮室内へ供給される廃材(高密度廃材)にあっては、ラム30による圧縮量は小さくなり、したがって圧縮塊1Aは長めに形成される。一方、図14(b)に示すように、段ボールなどの低い密度で圧縮室内へ供給される廃材(低密度廃材)にあっては、ラム30による圧縮量は大きくなり、したがって圧縮塊1Bは短めに形成される。
このため廃材の種類によっては、圧縮梱包体が、あらかじめ設定した長さの許容範囲L1〜L2に収まらないものもある(図14の(a))。
【0004】
そこで、特許文献1に開示されているように、ガイド板装置(20)によって接続口(13)の開口面積を変化させて、プレスケース(14)内への廃材の供給量を調整することで、廃材の圧縮後の長さを任意に調整可能とした構造のものが既に提案されている。なお、接続口は供給口に、プレスケースは圧縮室に相当する構成要素である。
【0005】
しかし、特許文献1に開示されたガイド板装置(20)の構造は、図13に示したような開閉式の圧縮蓋が供給口に設けられた圧縮蓋開閉式の圧縮梱包機には適用できない。よって、この種の圧縮蓋開閉式の圧縮梱包機を対象として、廃材の種類にかかわらず、圧縮梱包体の長さをあらかじめ設定した許容範囲内に納めることのできる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−154808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたもので、圧縮室の供給口に開閉式の圧縮蓋を有する圧縮梱包機において、ラムの前進動作による廃材の圧縮をもって形成される圧縮塊の長さ調整を実現し、それにより複数の圧縮塊をまとめて結束してなる圧縮梱包体の長さを、あらかじめ設定した許容範囲内とすることを可能とした制御方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、前後方向に延在するとともに、圧縮梱包される廃材を供給するための供給口が上壁の一部に開口する圧縮室と、
供給口の開口面を開閉するとともに、閉塞動作に伴い供給口から溢れている廃材を圧縮室内に押し込む機能を有する開閉式の圧縮蓋と、
圧縮室内を前後方向に往復移動可能であり、供給口から供給された廃材を、前進動作をもって圧縮室内で圧縮して圧縮塊を形成するラムと、
圧縮室の前方に連続して設けられ、ラムの前進動作に伴い圧縮塊が移送されてくる搬出通路と、
搬出経路に結束位置を設定し、当該結束位置で複数の圧縮塊をまとめて結束して圧縮梱包体を形成する結束装置と、
を備えた圧縮梱包機の制御方法であって、
供給口が開口する領域の中間位置までラムを前進させてから後退動作に移行することにより圧縮塊の長さを調整することを特徴とする。
【0009】
通常、圧縮蓋開閉式の圧縮梱包機においては、供給口の前端位置までラムが前進して廃材を圧縮する。その後、圧縮室内を後退して供給口を開放し次の廃材の供給に備える。そして、全開された供給口から廃材を圧縮室内へ供給し、さらに供給口から溢れ出した廃材を圧縮蓋の閉塞動作をもって圧縮室内へ押し込む。そしてまた供給口の前端位置までラムが前進して廃材を圧縮する。
しかし、廃材を供給する際に、供給口が常に全開状態であると、供給口の開口面積が常に一定となるため、廃材の供給量も常にほぼ一定となる。廃材の供給量は、供給口から圧縮室内に入った廃材が、供給口から溢れ出す程度の高さまで堆積する量に決められている。当該高さまで圧縮室内で廃材が堆積していないと、ラムの前進動作で圧縮した際に上部に隙間ができ、圧縮塊の密度に部分的なばらつきが生じてしまうためである。
【0010】
上述した本発明によれば、供給口が開口する領域の中間位置までラムを前進させてから後退動作に移行することで、ラムの前進位置よりも前方にある供給口の領域が、ラムの前進動作で圧縮された廃材(圧縮塊)により閉塞される。そのため、供給口の開口面積が全開状態のときよりも狭くなって圧縮室内への廃材の供給量を減少させることができる。圧縮室内への廃材の供給量が減少すれば、続くラムの前進動作によって形成される圧縮塊の長さも通常より短くなる。
本発明によれば、このようにラムの前進位置を制御することで、圧縮塊の長さを自在に調整することができる。これにより、複数の圧縮塊をまとめて結束してなる圧縮梱包体の長さを、あらかじめ設定した許容範囲内とすることを可能となる。
【0011】
本発明は、1個の圧縮梱包体にまとめられる複数の圧縮塊を形成するまでを1サイクルとし、当該1サイクル中に繰り返されるラムの個々の前進動作に対し、少なくとも1回は次の(ロ)の位置を割り当てるとともに、その他は次の(イ)乃至(ニ)のいずれかの位置を選択して割り当て、当該割り当てた位置で当該前進動作を停止させる方法としてもよい。
(イ) 供給口の前端位置
(ロ) 供給口が開口する領域の中間位置
(ハ) 結束位置の後端位置
(ニ) 上記(イ)乃至(ハ)以外の位置
【0012】
上述した(イ)乃至(ニ)のいずれかの位置で適宜ラムの前進動作を停止させることで、長さの異なる圧縮塊を適宜形成し、それらの組み合わせをもって容易に圧縮梱包体の長さをあらかじめ設定した許容範囲内に調整することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、圧縮室の供給口に開閉式の圧縮蓋を有する圧縮梱包機において、ラムの前進動作による廃材の圧縮をもって形成される圧縮塊の長さ調整を実現し、それにより複数の圧縮塊をまとめて結束してなる圧縮梱包体の長さを、あらかじめ設定した許容範囲内とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】圧縮蓋開閉式の圧縮梱包機の構成を模式的に示す正面断面図である。
【図2】最初に供給された廃材を、ラムが第1の前進動作により圧縮してから後退するまでの過程の制御方法を説明するための正面断面図である。
【図3】図2に続く、最初に供給された廃材を、ラムが第1の前進動作により圧縮してから後退するまでの過程の制御方法を説明するための正面断面図である。
【図4】図3に続く、最初に供給された廃材を、ラムが第1の前進動作により圧縮してから後退するまでの過程の制御方法を説明するための正面断面図である。
【図5】図4に続く、最初に供給された廃材を、ラムが第1の前進動作により圧縮してから後退するまでの過程の制御方法を説明するための正面断面図である。
【図6】第2の前進動作をした後、ラムが後退し、続いて廃材が圧縮室に供給され、さらにラムにより圧縮されるまでの過程の制御方法を説明するための正面断面図である。
【図7】図6に続く、第2の前進動作をした後、ラムが後退し、続いて廃材が圧縮室に供給され、さらにラムにより圧縮されるまでの過程の制御方法を説明するための正面断面図である。
【図8】図7に続く、第2の前進動作をした後、ラムが後退し、続いて廃材が圧縮室に供給され、さらにラムにより圧縮されるまでの過程の制御方法を説明するための正面断面図である。
【図9】図8に続く、第2の前進動作をした後、ラムが後退し、続いて廃材が圧縮室に供給され、さらにラムにより圧縮されるまでの過程の制御方法を説明するための正面断面図である。
【図10】図9に続く、第2の前進動作をした後、ラムが後退し、続いて廃材が圧縮室に供給され、さらにラムにより圧縮されるまでの過程の制御方法を説明するための正面断面図である。
【図11】ラムが第3の前進動作をした状態を示す正面断面図である。
【図12】本発明の実施形態に係る制御方法の作用効果を説明するための図である。
【図13】従来の圧縮蓋開閉式の圧縮梱包機の構成を示す正面断面図である。
【図14】従来の圧縮蓋開閉式の圧縮梱包機の問題点を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は圧縮蓋開閉式の圧縮梱包機の構成を模式的に示す正面断面図である。
同図に示す圧縮梱包機は、前後方向に延在するとともに、圧縮梱包される廃材1(図2参照)を供給するための供給口11が上壁の一部に開口する圧縮室10と、供給口11の開口面を開閉するとともに、閉塞動作に伴い供給口11から溢れている廃材1を圧縮室10内に押し込む機能を有する開閉式の圧縮蓋20と、圧縮室10内を前後方向に往復移動可能であり、供給口11から供給された廃材1を、前進動作をもって圧縮室10内で圧縮して圧縮塊2を形成するラム30と、圧縮室10の前方に連続して設けられ、ラム30の前進動作に伴い圧縮塊2が移送されてくる搬出通路40と、搬出経路に結束位置51を設定し、当該結束位置51で複数の圧縮塊2をまとめて結束して圧縮梱包体3を形成する結束装置50と、を備えている。
本実施形態では、搬出経路の入り口付近に結束位置51を設定してある(図1参照)。
【0016】
圧縮室10は、横断面が四角形状の中空部が前後方向に延びた空間を形成している。供給口11は、圧縮室10を形成する上壁の後端部付近を四角形状に切り欠いて形成されている。この供給口11は、その上方に設けられたホッパ60に連通している。ホッパ60内では廃材1が撹拌される。そして、ホッパ60内で十分に撹拌された廃材1は、自然落下にて供給口11を通して圧縮室10内に供給される。
なお、梱包対象となる廃材1は、新聞、雑誌、段ボールなどの故紙や、ペットボトルなど、リサイクル可能な廃棄物である。
【0017】
圧縮蓋20は、軸21を中心に回動自在となっており、油圧シリンダ等の圧縮蓋開閉駆動源22から駆動力を受けて供給口11を開閉する。この圧縮蓋20が開いた状態にあっては、供給口11が開放されてホッパ60と圧縮室10が連通する。一方、圧縮蓋20が閉じた状態にあっては、供給口11が閉塞され、ホッパ60と圧縮室10との間が圧縮蓋20によって仕切られる。
ホッパ60で撹拌された廃材1は、圧縮蓋20が開いているとき、供給口11を通して圧縮室10内へ落下する。また、圧縮室10内に入りきらず供給口11から溢れ出た廃材1は、圧縮蓋20の閉塞動作により圧縮され、圧縮室10内へ押し込まれる。
【0018】
ラム30は、油圧シリンダ等のラム駆動源31から駆動力を受けて圧縮室10内を前後方向に往復移動する。このラム30の前面が廃材1を押圧して圧縮する圧縮面となっており、当該ラム30の前面は、圧縮室10の横断面と同じ四角形状の平坦面で、当該横断面よりも僅かに小さな面積としてあり、圧縮室10の内壁との間に摩擦が生じない程度の隙間が形成されている。このラム30は、圧縮室10内に供給された廃材1を圧縮して塊とするだけの圧力に十分耐えることのできる強度を有している。
ラム30は、圧縮室10内の供給口11の後端縁よりも後方から、供給口11の形成部位を抜け、さらに前方に至る範囲を移動可能となっている。
【0019】
結束装置50は、ラム30によって圧縮室10内で圧縮され、搬出通路40にあらかじめ設定してある結束位置51へと移送されてきた複数の圧縮塊2をまとめて、その周囲に番線52と称する金属製のワイヤを水平面上で巻回して結束する機能を有している。この結束装置50は結束装置駆動源53からの駆動力をもって作動するが、その構造と動作についてはすでに周知であるため、詳細な説明は省略する。
【0020】
上述した圧縮蓋開閉駆動源22、ラム駆動源31及び結束装置駆動源53は、コンピュータで構成された制御装置70により自動制御されている。
【0021】
次に、本発明の実施形態に係る圧縮梱包機の制御方法について説明する。
制御装置70は、ラム駆動源31を制御してラム30の前面(圧縮面)を、(イ)供給口11の前端位置まで前進させる第1の前進動作と、(ロ)供給口11が開口する領域の中間位置まで前進させる第2の前進動作と、(ハ)結束位置51の後端位置まで前進させる第3の前進動作と、を組み合わせることで、複数の圧縮塊2をまとめて結束してなる圧縮梱包体3の長さが、あらかじめ設定した許容範囲内となるように制御している。
【0022】
図2〜図5は、最初に供給された廃材を、ラムが第1の前進動作により圧縮してから後退するまでの過程を示している。
図2に示すように、圧縮蓋20が開いた状態のとき、ホッパ60内で撹拌された廃材1が供給口11を通して圧縮室10内に落下して供給(充填)される。そして、供給口11から上方に廃材1が溢れ出す状態になった後、制御装置70は圧縮蓋開閉駆動源22を制御して圧縮蓋20を閉塞する(図3参照)。このとき、供給口11から溢れ出していた廃材1は、圧縮蓋20に圧縮されて圧縮室10内に押し込まれる。続いて、制御装置70はラム駆動源31を制御して、ラム30の前面を供給口11の前端位置まで前進させる(図4参照)。その後、制御装置70はラム駆動源31を制御して、ラム30を供給口11の後端よりも後方の位置まで後退させる(図5参照)。ここで、ラム30の前進位置を供給口11の前端位置に設定したのは、廃材1を供給口11の下方領域に残さないためであり、その目的が達成されるのであれば、ラム30の前面が厳密に供給口11の前端と一致している必要はない。
このように、ラム30を供給口11の前端位置まで前進させると、供給口11の下方領域から廃材1はすべて押し出され、その後にラム30が後退したとき、供給口11の下方領域はすべて廃材1のない空間となっている。したがって、次に圧縮蓋20が開いて廃材1が供給されるときは、供給口11の下方領域いっぱいに廃材1が充填されるため、その供給量は多くなる。そして、このように多く供給された廃材1がラム30の前進動作によって圧縮されてできた圧縮塊2は、必然的にその長さ寸法が長くなる。
【0023】
次に、図6〜図10を主に参照して、第2の前進動作をした後、ラム30が後退し、続いて廃材1が圧縮室10に供給され、さらにラム30により圧縮されるまでの過程の制御方法について説明する。
供給口11の下方領域すべてに廃材1が充填され、且つ供給口11から廃材1が溢れ出した状態(図2参照)から、圧縮蓋20を閉じて溢れていた廃材1を圧縮室10内に押し込めた状態(図3参照)で、制御装置70はラム駆動源31を制御して、図6に示すようにラム30の前面を供給口11が開口する領域の中間位置まで前進させる。その後、制御装置70はラム駆動源31を制御して、ラム30を供給口11の後端よりも後方の位置まで後退させる(図7参照)。
このように、ラム30を供給口11が開口する領域の中間位置まで前進させると、ラム30の前進位置よりも前方にある供給口11の領域が、ラム30の前進動作で圧縮された廃材(圧縮塊2)により閉塞される。そのため、供給口11の開口面積が全開状態のときよりも狭くなって、続いて供給される廃材1の圧縮室10内への供給量が減少する(図8参照)。なお、供給口11を閉塞している圧縮室10内の圧縮塊2の上面にも廃材1が堆積していく。
なお、本明細書において、ラム30を供給口11が開口する領域の中間位置とは、ラム30を供給口11が開口する領域の前端縁から後端縁に至るまでの間で任意に設定した位置であり、中央位置に限定されるものではない。
【0024】
その後、制御装置70が圧縮蓋開閉駆動源22を制御して圧縮蓋20を閉塞すると、図9に示すように圧縮蓋20が供給口11から溢れ出している廃材1や圧縮塊2の上面に堆積している廃材1を圧縮して、圧縮室10内に押し込める。このとき、ラム30の第2の前進動作で先に形成された圧縮塊2は、第1の前進動作で形成された圧縮塊2よりも圧縮される程度が小さいため、圧縮蓋20による圧縮で一部が崩れることもある。
【0025】
続いて、制御装置70はラム駆動源31を制御してラム30の前面を供給口11の前端位置まで前進させると(図10参照)、ラム30の第2の前進動作で先に形成された圧縮塊2と、その後に圧縮室10に供給された廃材1とが、併せてラム30の前進動作により圧縮されて前方へ移送されていく。
【0026】
図11はラム30が第3の前進動作をした状態を示している。
結束位置51の後端位置まで前進させる第3の前進動作は、あらかじめ設定した個数の圧縮塊2をラム30の往復動作によって形成した後に行われる。この第3の前進動作をもって当該設定個数の圧縮塊2が並んだ状態で結束位置51まで移送する。その後に、制御装置70は結束装置駆動源53を制御して結束位置51に並んだ複数の圧縮塊2を番線52により結束して1個の圧縮梱包体3を形成する。
【0027】
さて、ラム30の前進動作によって圧縮室10内で形成される圧縮塊2の長さは、供給口11から圧縮室10内へ充填される廃材1の供給量と相関する関係にある。
図12(a)に示すように、供給口11が全開状態で、供給口11の下方領域すべてに供給された廃材1(供給口11から溢れた廃材1も含む)によりできた圧縮塊2aや2bは、多い供給量の廃材1でできているため、その長さ寸法La、Lbが長くなる。
ここで、圧縮塊2aは、ラム30の第1又は第3の前進動作後に圧縮室10に充填された廃材1を、ラム30の第1又は第3の前進動作によって圧縮してできた圧縮塊である。また、圧縮塊2bは、ラム30の第1又は第3の前進動作後に圧縮室10に充填された廃材1を、ラム30の第2の前進動作によって途中まで圧縮し、その後、ラム30の第1又は第3の前進動作によって圧縮してできた圧縮塊である。これらいずれの圧縮塊2a、2bも、それを構成する廃材1の量が同じであれば、長さ寸法La、Lbはほぼ同じになる。
【0028】
一方、第2の前進動作によって供給口11の一部が圧縮塊2で閉塞された状態で供給された廃材1(供給口11から溢れたり、供給口11を閉塞する圧縮塊2の上面に堆積した廃材1も含む)によりできた圧縮塊2cは、それを形成する廃材1の全体量が少ないため、その長さ寸法Lcは短くなる。
【0029】
本発明の実施形態に係る制御方法においては、あらかじめ廃材1の種類毎に、結束後の圧縮梱包体3の長さが設定した許容範囲内に収まるように、当該圧縮梱包体3を構成する圧縮塊2a、2b、2cの組み合わせを実験的に求めておき、その組み合わせの圧縮塊2を形成するように制御装置70がラム駆動源31を制御する。これにより、複数の圧縮塊2をまとめて結束してなる圧縮梱包体3の長さを、あらかじめ設定した許容範囲内とすることができる。
例えば、図12(b)に示すように、供給口11が全開状態で、供給口11の下方領域すべてに供給された廃材1(供給口11から溢れた廃材1も含む)によりできた圧縮塊2aのみで構成された圧縮梱包体3aでは許容範囲(L1より大きくL2より小さい)に収まらないときも、圧縮梱包体3bのごとく、第2の前進動作によって供給口11の一部が圧縮塊2で閉塞された状態で供給された廃材1(供給口11から溢れたり、供給口11を閉塞する圧縮塊2の上面に堆積した廃材1も含む)によりできた圧縮塊2cを組み入れることにより、許容範囲(L1〜L2)に収まることが可能となる。
【0030】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変形実施や応用実施が可能であることは勿論である。
例えば、ラム30の前進位置を、(ロ)供給口11が開口する領域の中間位置、(ハ)結束位置51の後端位置の2つだけとして、最初の圧縮塊のみ上記圧縮塊2bとし、その他の圧縮梱包体を構成するすべての圧縮塊を、供給口11の一部が圧縮塊2で閉塞された状態で供給された廃材1(供給口11から溢れたり、供給口11を閉塞する圧縮塊2の上面に堆積した廃材1も含む)によりできた圧縮塊2cで形成することも可能である。
また、ラム30の前進位置として規定する(ロ)供給口11が開口する領域の中間位置を複数設定して、異なる長さの圧縮塊2を形成することも可能である。
【符号の説明】
【0031】
1:廃材、2:圧縮塊、3:圧縮梱包体、
10:圧縮室、11:供給口、
20:圧縮蓋、21:軸、22:圧縮蓋開閉駆動源
30:ラム、31:ラム駆動源、
40:搬出通路、
50:結束装置、51:結束位置、52:番線、53:結束装置駆動源、
60:ホッパ、
70:制御装置
【技術分野】
【0001】
この発明は、段ボールや新聞、雑誌等の故紙や、ペットボトルなどのリサイクル可能な廃材を圧縮してブロック状の塊とした後、結束して梱包する構成を備えた圧縮梱包機に関し、特にラムと称する移動圧縮部材の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮梱包機として、従来から図13に示すように、圧縮室10の上壁に形成した廃材供給用の供給口11に圧縮開閉用の蓋(圧縮蓋20)を設け、供給口11から圧縮室10内に廃材を供給する過程で溢れ出た廃材1を、圧縮蓋20で上方から押圧して圧縮室10内に押し込んだ後、ラム30を前進動作させて圧縮塊を形成するとともに、複数の圧縮塊をまとめて結束し1個の圧縮梱包体を形成する構成の圧縮梱包機が提案されている。
この種の圧縮梱包機では、圧縮室10内に供給された廃材1が、圧縮蓋20とラム30で圧縮されるため、圧縮効率がよく高密度の圧縮塊を形成することができる。
【0003】
さて、複数の圧縮塊をまとめて結束してなる圧縮梱包体の長さを、一定の長さ範囲(結束長さの許容範囲)に収まるようにすれば、その後の運搬作業などにおいて扱いやすくなり都合がよい。しかし、供給される廃材によっては密度が異なり、圧縮量が変わってくるため、圧縮塊の長さが区々となる。例えば、図14(a)に示すように、新聞などの高密度で圧縮室内へ供給される廃材(高密度廃材)にあっては、ラム30による圧縮量は小さくなり、したがって圧縮塊1Aは長めに形成される。一方、図14(b)に示すように、段ボールなどの低い密度で圧縮室内へ供給される廃材(低密度廃材)にあっては、ラム30による圧縮量は大きくなり、したがって圧縮塊1Bは短めに形成される。
このため廃材の種類によっては、圧縮梱包体が、あらかじめ設定した長さの許容範囲L1〜L2に収まらないものもある(図14の(a))。
【0004】
そこで、特許文献1に開示されているように、ガイド板装置(20)によって接続口(13)の開口面積を変化させて、プレスケース(14)内への廃材の供給量を調整することで、廃材の圧縮後の長さを任意に調整可能とした構造のものが既に提案されている。なお、接続口は供給口に、プレスケースは圧縮室に相当する構成要素である。
【0005】
しかし、特許文献1に開示されたガイド板装置(20)の構造は、図13に示したような開閉式の圧縮蓋が供給口に設けられた圧縮蓋開閉式の圧縮梱包機には適用できない。よって、この種の圧縮蓋開閉式の圧縮梱包機を対象として、廃材の種類にかかわらず、圧縮梱包体の長さをあらかじめ設定した許容範囲内に納めることのできる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−154808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたもので、圧縮室の供給口に開閉式の圧縮蓋を有する圧縮梱包機において、ラムの前進動作による廃材の圧縮をもって形成される圧縮塊の長さ調整を実現し、それにより複数の圧縮塊をまとめて結束してなる圧縮梱包体の長さを、あらかじめ設定した許容範囲内とすることを可能とした制御方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、前後方向に延在するとともに、圧縮梱包される廃材を供給するための供給口が上壁の一部に開口する圧縮室と、
供給口の開口面を開閉するとともに、閉塞動作に伴い供給口から溢れている廃材を圧縮室内に押し込む機能を有する開閉式の圧縮蓋と、
圧縮室内を前後方向に往復移動可能であり、供給口から供給された廃材を、前進動作をもって圧縮室内で圧縮して圧縮塊を形成するラムと、
圧縮室の前方に連続して設けられ、ラムの前進動作に伴い圧縮塊が移送されてくる搬出通路と、
搬出経路に結束位置を設定し、当該結束位置で複数の圧縮塊をまとめて結束して圧縮梱包体を形成する結束装置と、
を備えた圧縮梱包機の制御方法であって、
供給口が開口する領域の中間位置までラムを前進させてから後退動作に移行することにより圧縮塊の長さを調整することを特徴とする。
【0009】
通常、圧縮蓋開閉式の圧縮梱包機においては、供給口の前端位置までラムが前進して廃材を圧縮する。その後、圧縮室内を後退して供給口を開放し次の廃材の供給に備える。そして、全開された供給口から廃材を圧縮室内へ供給し、さらに供給口から溢れ出した廃材を圧縮蓋の閉塞動作をもって圧縮室内へ押し込む。そしてまた供給口の前端位置までラムが前進して廃材を圧縮する。
しかし、廃材を供給する際に、供給口が常に全開状態であると、供給口の開口面積が常に一定となるため、廃材の供給量も常にほぼ一定となる。廃材の供給量は、供給口から圧縮室内に入った廃材が、供給口から溢れ出す程度の高さまで堆積する量に決められている。当該高さまで圧縮室内で廃材が堆積していないと、ラムの前進動作で圧縮した際に上部に隙間ができ、圧縮塊の密度に部分的なばらつきが生じてしまうためである。
【0010】
上述した本発明によれば、供給口が開口する領域の中間位置までラムを前進させてから後退動作に移行することで、ラムの前進位置よりも前方にある供給口の領域が、ラムの前進動作で圧縮された廃材(圧縮塊)により閉塞される。そのため、供給口の開口面積が全開状態のときよりも狭くなって圧縮室内への廃材の供給量を減少させることができる。圧縮室内への廃材の供給量が減少すれば、続くラムの前進動作によって形成される圧縮塊の長さも通常より短くなる。
本発明によれば、このようにラムの前進位置を制御することで、圧縮塊の長さを自在に調整することができる。これにより、複数の圧縮塊をまとめて結束してなる圧縮梱包体の長さを、あらかじめ設定した許容範囲内とすることを可能となる。
【0011】
本発明は、1個の圧縮梱包体にまとめられる複数の圧縮塊を形成するまでを1サイクルとし、当該1サイクル中に繰り返されるラムの個々の前進動作に対し、少なくとも1回は次の(ロ)の位置を割り当てるとともに、その他は次の(イ)乃至(ニ)のいずれかの位置を選択して割り当て、当該割り当てた位置で当該前進動作を停止させる方法としてもよい。
(イ) 供給口の前端位置
(ロ) 供給口が開口する領域の中間位置
(ハ) 結束位置の後端位置
(ニ) 上記(イ)乃至(ハ)以外の位置
【0012】
上述した(イ)乃至(ニ)のいずれかの位置で適宜ラムの前進動作を停止させることで、長さの異なる圧縮塊を適宜形成し、それらの組み合わせをもって容易に圧縮梱包体の長さをあらかじめ設定した許容範囲内に調整することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、圧縮室の供給口に開閉式の圧縮蓋を有する圧縮梱包機において、ラムの前進動作による廃材の圧縮をもって形成される圧縮塊の長さ調整を実現し、それにより複数の圧縮塊をまとめて結束してなる圧縮梱包体の長さを、あらかじめ設定した許容範囲内とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】圧縮蓋開閉式の圧縮梱包機の構成を模式的に示す正面断面図である。
【図2】最初に供給された廃材を、ラムが第1の前進動作により圧縮してから後退するまでの過程の制御方法を説明するための正面断面図である。
【図3】図2に続く、最初に供給された廃材を、ラムが第1の前進動作により圧縮してから後退するまでの過程の制御方法を説明するための正面断面図である。
【図4】図3に続く、最初に供給された廃材を、ラムが第1の前進動作により圧縮してから後退するまでの過程の制御方法を説明するための正面断面図である。
【図5】図4に続く、最初に供給された廃材を、ラムが第1の前進動作により圧縮してから後退するまでの過程の制御方法を説明するための正面断面図である。
【図6】第2の前進動作をした後、ラムが後退し、続いて廃材が圧縮室に供給され、さらにラムにより圧縮されるまでの過程の制御方法を説明するための正面断面図である。
【図7】図6に続く、第2の前進動作をした後、ラムが後退し、続いて廃材が圧縮室に供給され、さらにラムにより圧縮されるまでの過程の制御方法を説明するための正面断面図である。
【図8】図7に続く、第2の前進動作をした後、ラムが後退し、続いて廃材が圧縮室に供給され、さらにラムにより圧縮されるまでの過程の制御方法を説明するための正面断面図である。
【図9】図8に続く、第2の前進動作をした後、ラムが後退し、続いて廃材が圧縮室に供給され、さらにラムにより圧縮されるまでの過程の制御方法を説明するための正面断面図である。
【図10】図9に続く、第2の前進動作をした後、ラムが後退し、続いて廃材が圧縮室に供給され、さらにラムにより圧縮されるまでの過程の制御方法を説明するための正面断面図である。
【図11】ラムが第3の前進動作をした状態を示す正面断面図である。
【図12】本発明の実施形態に係る制御方法の作用効果を説明するための図である。
【図13】従来の圧縮蓋開閉式の圧縮梱包機の構成を示す正面断面図である。
【図14】従来の圧縮蓋開閉式の圧縮梱包機の問題点を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は圧縮蓋開閉式の圧縮梱包機の構成を模式的に示す正面断面図である。
同図に示す圧縮梱包機は、前後方向に延在するとともに、圧縮梱包される廃材1(図2参照)を供給するための供給口11が上壁の一部に開口する圧縮室10と、供給口11の開口面を開閉するとともに、閉塞動作に伴い供給口11から溢れている廃材1を圧縮室10内に押し込む機能を有する開閉式の圧縮蓋20と、圧縮室10内を前後方向に往復移動可能であり、供給口11から供給された廃材1を、前進動作をもって圧縮室10内で圧縮して圧縮塊2を形成するラム30と、圧縮室10の前方に連続して設けられ、ラム30の前進動作に伴い圧縮塊2が移送されてくる搬出通路40と、搬出経路に結束位置51を設定し、当該結束位置51で複数の圧縮塊2をまとめて結束して圧縮梱包体3を形成する結束装置50と、を備えている。
本実施形態では、搬出経路の入り口付近に結束位置51を設定してある(図1参照)。
【0016】
圧縮室10は、横断面が四角形状の中空部が前後方向に延びた空間を形成している。供給口11は、圧縮室10を形成する上壁の後端部付近を四角形状に切り欠いて形成されている。この供給口11は、その上方に設けられたホッパ60に連通している。ホッパ60内では廃材1が撹拌される。そして、ホッパ60内で十分に撹拌された廃材1は、自然落下にて供給口11を通して圧縮室10内に供給される。
なお、梱包対象となる廃材1は、新聞、雑誌、段ボールなどの故紙や、ペットボトルなど、リサイクル可能な廃棄物である。
【0017】
圧縮蓋20は、軸21を中心に回動自在となっており、油圧シリンダ等の圧縮蓋開閉駆動源22から駆動力を受けて供給口11を開閉する。この圧縮蓋20が開いた状態にあっては、供給口11が開放されてホッパ60と圧縮室10が連通する。一方、圧縮蓋20が閉じた状態にあっては、供給口11が閉塞され、ホッパ60と圧縮室10との間が圧縮蓋20によって仕切られる。
ホッパ60で撹拌された廃材1は、圧縮蓋20が開いているとき、供給口11を通して圧縮室10内へ落下する。また、圧縮室10内に入りきらず供給口11から溢れ出た廃材1は、圧縮蓋20の閉塞動作により圧縮され、圧縮室10内へ押し込まれる。
【0018】
ラム30は、油圧シリンダ等のラム駆動源31から駆動力を受けて圧縮室10内を前後方向に往復移動する。このラム30の前面が廃材1を押圧して圧縮する圧縮面となっており、当該ラム30の前面は、圧縮室10の横断面と同じ四角形状の平坦面で、当該横断面よりも僅かに小さな面積としてあり、圧縮室10の内壁との間に摩擦が生じない程度の隙間が形成されている。このラム30は、圧縮室10内に供給された廃材1を圧縮して塊とするだけの圧力に十分耐えることのできる強度を有している。
ラム30は、圧縮室10内の供給口11の後端縁よりも後方から、供給口11の形成部位を抜け、さらに前方に至る範囲を移動可能となっている。
【0019】
結束装置50は、ラム30によって圧縮室10内で圧縮され、搬出通路40にあらかじめ設定してある結束位置51へと移送されてきた複数の圧縮塊2をまとめて、その周囲に番線52と称する金属製のワイヤを水平面上で巻回して結束する機能を有している。この結束装置50は結束装置駆動源53からの駆動力をもって作動するが、その構造と動作についてはすでに周知であるため、詳細な説明は省略する。
【0020】
上述した圧縮蓋開閉駆動源22、ラム駆動源31及び結束装置駆動源53は、コンピュータで構成された制御装置70により自動制御されている。
【0021】
次に、本発明の実施形態に係る圧縮梱包機の制御方法について説明する。
制御装置70は、ラム駆動源31を制御してラム30の前面(圧縮面)を、(イ)供給口11の前端位置まで前進させる第1の前進動作と、(ロ)供給口11が開口する領域の中間位置まで前進させる第2の前進動作と、(ハ)結束位置51の後端位置まで前進させる第3の前進動作と、を組み合わせることで、複数の圧縮塊2をまとめて結束してなる圧縮梱包体3の長さが、あらかじめ設定した許容範囲内となるように制御している。
【0022】
図2〜図5は、最初に供給された廃材を、ラムが第1の前進動作により圧縮してから後退するまでの過程を示している。
図2に示すように、圧縮蓋20が開いた状態のとき、ホッパ60内で撹拌された廃材1が供給口11を通して圧縮室10内に落下して供給(充填)される。そして、供給口11から上方に廃材1が溢れ出す状態になった後、制御装置70は圧縮蓋開閉駆動源22を制御して圧縮蓋20を閉塞する(図3参照)。このとき、供給口11から溢れ出していた廃材1は、圧縮蓋20に圧縮されて圧縮室10内に押し込まれる。続いて、制御装置70はラム駆動源31を制御して、ラム30の前面を供給口11の前端位置まで前進させる(図4参照)。その後、制御装置70はラム駆動源31を制御して、ラム30を供給口11の後端よりも後方の位置まで後退させる(図5参照)。ここで、ラム30の前進位置を供給口11の前端位置に設定したのは、廃材1を供給口11の下方領域に残さないためであり、その目的が達成されるのであれば、ラム30の前面が厳密に供給口11の前端と一致している必要はない。
このように、ラム30を供給口11の前端位置まで前進させると、供給口11の下方領域から廃材1はすべて押し出され、その後にラム30が後退したとき、供給口11の下方領域はすべて廃材1のない空間となっている。したがって、次に圧縮蓋20が開いて廃材1が供給されるときは、供給口11の下方領域いっぱいに廃材1が充填されるため、その供給量は多くなる。そして、このように多く供給された廃材1がラム30の前進動作によって圧縮されてできた圧縮塊2は、必然的にその長さ寸法が長くなる。
【0023】
次に、図6〜図10を主に参照して、第2の前進動作をした後、ラム30が後退し、続いて廃材1が圧縮室10に供給され、さらにラム30により圧縮されるまでの過程の制御方法について説明する。
供給口11の下方領域すべてに廃材1が充填され、且つ供給口11から廃材1が溢れ出した状態(図2参照)から、圧縮蓋20を閉じて溢れていた廃材1を圧縮室10内に押し込めた状態(図3参照)で、制御装置70はラム駆動源31を制御して、図6に示すようにラム30の前面を供給口11が開口する領域の中間位置まで前進させる。その後、制御装置70はラム駆動源31を制御して、ラム30を供給口11の後端よりも後方の位置まで後退させる(図7参照)。
このように、ラム30を供給口11が開口する領域の中間位置まで前進させると、ラム30の前進位置よりも前方にある供給口11の領域が、ラム30の前進動作で圧縮された廃材(圧縮塊2)により閉塞される。そのため、供給口11の開口面積が全開状態のときよりも狭くなって、続いて供給される廃材1の圧縮室10内への供給量が減少する(図8参照)。なお、供給口11を閉塞している圧縮室10内の圧縮塊2の上面にも廃材1が堆積していく。
なお、本明細書において、ラム30を供給口11が開口する領域の中間位置とは、ラム30を供給口11が開口する領域の前端縁から後端縁に至るまでの間で任意に設定した位置であり、中央位置に限定されるものではない。
【0024】
その後、制御装置70が圧縮蓋開閉駆動源22を制御して圧縮蓋20を閉塞すると、図9に示すように圧縮蓋20が供給口11から溢れ出している廃材1や圧縮塊2の上面に堆積している廃材1を圧縮して、圧縮室10内に押し込める。このとき、ラム30の第2の前進動作で先に形成された圧縮塊2は、第1の前進動作で形成された圧縮塊2よりも圧縮される程度が小さいため、圧縮蓋20による圧縮で一部が崩れることもある。
【0025】
続いて、制御装置70はラム駆動源31を制御してラム30の前面を供給口11の前端位置まで前進させると(図10参照)、ラム30の第2の前進動作で先に形成された圧縮塊2と、その後に圧縮室10に供給された廃材1とが、併せてラム30の前進動作により圧縮されて前方へ移送されていく。
【0026】
図11はラム30が第3の前進動作をした状態を示している。
結束位置51の後端位置まで前進させる第3の前進動作は、あらかじめ設定した個数の圧縮塊2をラム30の往復動作によって形成した後に行われる。この第3の前進動作をもって当該設定個数の圧縮塊2が並んだ状態で結束位置51まで移送する。その後に、制御装置70は結束装置駆動源53を制御して結束位置51に並んだ複数の圧縮塊2を番線52により結束して1個の圧縮梱包体3を形成する。
【0027】
さて、ラム30の前進動作によって圧縮室10内で形成される圧縮塊2の長さは、供給口11から圧縮室10内へ充填される廃材1の供給量と相関する関係にある。
図12(a)に示すように、供給口11が全開状態で、供給口11の下方領域すべてに供給された廃材1(供給口11から溢れた廃材1も含む)によりできた圧縮塊2aや2bは、多い供給量の廃材1でできているため、その長さ寸法La、Lbが長くなる。
ここで、圧縮塊2aは、ラム30の第1又は第3の前進動作後に圧縮室10に充填された廃材1を、ラム30の第1又は第3の前進動作によって圧縮してできた圧縮塊である。また、圧縮塊2bは、ラム30の第1又は第3の前進動作後に圧縮室10に充填された廃材1を、ラム30の第2の前進動作によって途中まで圧縮し、その後、ラム30の第1又は第3の前進動作によって圧縮してできた圧縮塊である。これらいずれの圧縮塊2a、2bも、それを構成する廃材1の量が同じであれば、長さ寸法La、Lbはほぼ同じになる。
【0028】
一方、第2の前進動作によって供給口11の一部が圧縮塊2で閉塞された状態で供給された廃材1(供給口11から溢れたり、供給口11を閉塞する圧縮塊2の上面に堆積した廃材1も含む)によりできた圧縮塊2cは、それを形成する廃材1の全体量が少ないため、その長さ寸法Lcは短くなる。
【0029】
本発明の実施形態に係る制御方法においては、あらかじめ廃材1の種類毎に、結束後の圧縮梱包体3の長さが設定した許容範囲内に収まるように、当該圧縮梱包体3を構成する圧縮塊2a、2b、2cの組み合わせを実験的に求めておき、その組み合わせの圧縮塊2を形成するように制御装置70がラム駆動源31を制御する。これにより、複数の圧縮塊2をまとめて結束してなる圧縮梱包体3の長さを、あらかじめ設定した許容範囲内とすることができる。
例えば、図12(b)に示すように、供給口11が全開状態で、供給口11の下方領域すべてに供給された廃材1(供給口11から溢れた廃材1も含む)によりできた圧縮塊2aのみで構成された圧縮梱包体3aでは許容範囲(L1より大きくL2より小さい)に収まらないときも、圧縮梱包体3bのごとく、第2の前進動作によって供給口11の一部が圧縮塊2で閉塞された状態で供給された廃材1(供給口11から溢れたり、供給口11を閉塞する圧縮塊2の上面に堆積した廃材1も含む)によりできた圧縮塊2cを組み入れることにより、許容範囲(L1〜L2)に収まることが可能となる。
【0030】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変形実施や応用実施が可能であることは勿論である。
例えば、ラム30の前進位置を、(ロ)供給口11が開口する領域の中間位置、(ハ)結束位置51の後端位置の2つだけとして、最初の圧縮塊のみ上記圧縮塊2bとし、その他の圧縮梱包体を構成するすべての圧縮塊を、供給口11の一部が圧縮塊2で閉塞された状態で供給された廃材1(供給口11から溢れたり、供給口11を閉塞する圧縮塊2の上面に堆積した廃材1も含む)によりできた圧縮塊2cで形成することも可能である。
また、ラム30の前進位置として規定する(ロ)供給口11が開口する領域の中間位置を複数設定して、異なる長さの圧縮塊2を形成することも可能である。
【符号の説明】
【0031】
1:廃材、2:圧縮塊、3:圧縮梱包体、
10:圧縮室、11:供給口、
20:圧縮蓋、21:軸、22:圧縮蓋開閉駆動源
30:ラム、31:ラム駆動源、
40:搬出通路、
50:結束装置、51:結束位置、52:番線、53:結束装置駆動源、
60:ホッパ、
70:制御装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に延在するとともに、圧縮梱包される廃材を供給するための供給口が上壁の一部に開口する圧縮室と、
前記供給口の開口面を開閉するとともに、閉塞動作に伴い前記供給口から溢れている廃材を前記圧縮室内に押し込む機能を有する開閉式の圧縮蓋と、
前記圧縮室内を前後方向に往復移動可能であり、前記供給口から供給された廃材を、前進動作をもって前記圧縮室内で圧縮して圧縮塊を形成するラムと、
前記圧縮室の前方に連続して設けられ、前記ラムの前進動作に伴い前記圧縮塊が移送されてくる搬出通路と、
前記搬出経路に結束位置を設定し、当該結束位置で複数の圧縮塊をまとめて結束して圧縮梱包体を形成する結束装置と、
を備えた圧縮梱包機の制御方法であって、
前記供給口が開口する領域の中間位置まで前記ラムを前進させてから後退動作に移行することにより前記圧縮塊の長さを調整することを特徴とする圧縮梱包機の制御方法。
【請求項2】
1個の圧縮梱包体にまとめられる複数の圧縮塊を形成するまでを1サイクルとし、当該1サイクル中に繰り返される前記ラムの個々の前進動作に対し、少なくとも1回は次の(ロ)の位置を割り当てるとともに、その他は次の(イ)乃至(ニ)のいずれかの位置を選択して割り当て、当該割り当てた位置で当該前進動作を停止させることを特徴とする請求項1の圧縮梱包機の制御方法。
(イ) 前記供給口の前端位置
(ロ) 前記供給口が開口する領域の中間位置
(ハ) 前記結束位置の後端位置
(ニ) 前記(イ)乃至(ハ)以外の位置
【請求項3】
前記結束位置は、前記搬出経路の入り口付近に設定してあることを特徴とする請求項1又は2の圧縮梱包機の制御方法。
【請求項1】
前後方向に延在するとともに、圧縮梱包される廃材を供給するための供給口が上壁の一部に開口する圧縮室と、
前記供給口の開口面を開閉するとともに、閉塞動作に伴い前記供給口から溢れている廃材を前記圧縮室内に押し込む機能を有する開閉式の圧縮蓋と、
前記圧縮室内を前後方向に往復移動可能であり、前記供給口から供給された廃材を、前進動作をもって前記圧縮室内で圧縮して圧縮塊を形成するラムと、
前記圧縮室の前方に連続して設けられ、前記ラムの前進動作に伴い前記圧縮塊が移送されてくる搬出通路と、
前記搬出経路に結束位置を設定し、当該結束位置で複数の圧縮塊をまとめて結束して圧縮梱包体を形成する結束装置と、
を備えた圧縮梱包機の制御方法であって、
前記供給口が開口する領域の中間位置まで前記ラムを前進させてから後退動作に移行することにより前記圧縮塊の長さを調整することを特徴とする圧縮梱包機の制御方法。
【請求項2】
1個の圧縮梱包体にまとめられる複数の圧縮塊を形成するまでを1サイクルとし、当該1サイクル中に繰り返される前記ラムの個々の前進動作に対し、少なくとも1回は次の(ロ)の位置を割り当てるとともに、その他は次の(イ)乃至(ニ)のいずれかの位置を選択して割り当て、当該割り当てた位置で当該前進動作を停止させることを特徴とする請求項1の圧縮梱包機の制御方法。
(イ) 前記供給口の前端位置
(ロ) 前記供給口が開口する領域の中間位置
(ハ) 前記結束位置の後端位置
(ニ) 前記(イ)乃至(ハ)以外の位置
【請求項3】
前記結束位置は、前記搬出経路の入り口付近に設定してあることを特徴とする請求項1又は2の圧縮梱包機の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−107671(P2013−107671A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253605(P2011−253605)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000151461)株式会社東京自働機械製作所 (106)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000151461)株式会社東京自働機械製作所 (106)
【Fターム(参考)】
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