説明

圧縮機ユニット

【課題】アキュムレータ等の流体通過容器の固有振動特性のばらつきを低減した圧縮機ユニットを提供する。
【解決手段】圧縮機ユニット1は、圧縮機本体20、流体通過容器40、支持台30、支持部材60を備える。圧縮機本体は、円筒部21aを有し、圧縮対象である流体の出入口22が形成されている。流体通過容器は、流体の通過する配管41を介して前記の出入口に連結される。支持台は圧縮機本体に固定される。流体通過容器を支持台に固定する支持部材は、支持台に支持される支持部62を有する。支持部材が、支持部を中心として支持台に対して回動し、流体通過容器の側面である胴部42と支持部材の支持面61とが略正対する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1(特開平9−137788号公報)に示されるような圧縮機ユニットが知られている。この圧縮機ユニットは、主に圧縮機本体と、圧縮機本体と配管を介して連結されるアキュムレータとからなる。アキュムレータの下部に取り付けられた略L字状の配管からなる排出口は、圧縮機本体に設けられた吸入配管に水平方向に挿入され、溶接等により固定される。アキュムレータの胴部は、圧縮機本体に固定されたブランケットと、アキュムレータの胴部に巻き付けてアキュムレータをブランケットに水平方向に押し付けて固定するバンドと、で圧縮機本体に固定されている。アキュムレータ胴部の圧縮機本体へのバンドによる固定は、アキュムレータ下部の排出口と圧縮機本体の吸入配管との固定後に行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
圧縮機本体に設けられた吸入配管に対する、アキュムレータの排出口の挿入代は、取り付け精度などの要因によってばらつきが生じやすい。挿入代が変化すると、圧縮機本体に対するアキュムレータの角度が変化するため、挿入代のばらつきは、圧縮機本体に対するアキュムレータの姿勢のばらつきにつながる。
【0004】
アキュムレータ胴部の圧縮機本体へのバンドによる固定は、圧縮機本体とアキュムレータとをつなぐ配管の固定後に行われるため、従来の圧縮機ユニットでは、アキュムレータの圧縮機本体に対する姿勢の変化によって、バンドとアキュムレータの胴部の接触面が変化する。その結果、アキュムレータの固有振動特性がばらつくことがある。
【0005】
つまり、従来の圧縮ユニットでは、圧縮機本体の吸入配管に対するアキュムレータの排出口の挿入代がばらつくと、アキュムレータの固有振動特性もばらつきやすいという問題がある。
【0006】
本発明の課題は、アキュムレータ等の流体通過容器の固有振動特性のばらつきを低減した圧縮機ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1観点に係る圧縮機ユニットは、圧縮機本体と、流体通過容器と、支持台と、支持部材とからなる。圧縮機本体は、円筒部を有し、圧縮対象である流体の出入口が形成されている。流体通過容器は、流体の通過する配管を介して圧縮機本体の出入口に連結される。支持台は圧縮機本体に固定される。支持部材は、支持台に支持される支持部を有し、流体通過容器を支持台に固定する。支持部材は、支持部を中心として支持台に対して回動し、流体通過容器の側面と支持部材の支持面とが略正対する。
【0008】
この圧縮機ユニットでは、支持部材が支持台に対して回動し、流体通過容器の側面と支持部材の支持面が略正対するため、流体通過容器と支持部材の接触面は一定となりやすい。その結果、流体通過容器の固有振動特性のばらつきが低減される。
【0009】
本発明の第2観点に係る圧縮機ユニットは、第1観点に係る圧縮機ユニットであって、支持部材は、支持部の少なくとも一箇所でボルトにより支持台に軸支されている。ボルトは、支持部材の回動方向に略垂直に取り付けられる。支持部材の回動方向に垂直な方向とは、支持部材の回動時に支持部材を形成する支持部近傍の一点が移動する平面に垂直な方向をいう。
【0010】
この圧縮機ユニットでは、支持部材の回動する方向と垂直にボルトが取り付けられるため、支持部材がスムーズに回動し、流体通過容器と支持部材との接触面は一定となりやすい。その結果、流体通過容器の固有振動特性のばらつきが低減されやすい。
【0011】
本発明の第3観点に係る圧縮機ユニットは、第1観点に係る圧縮機ユニットであって、支持台は、圧縮機本体の円筒部の外周面に沿って固定される円弧状の固定部を有する。支持部材は、支持部の少なくとも一箇所でボルトにより支持台に軸支される。ボルトは、圧縮機本体の中心軸に垂直な面での断面視において、固定部と円筒部の外周面との円弧境界線の中央点の接線方向に略沿った方向に取り付けられる。
【0012】
この圧縮機ユニットでは、圧縮機本体の円筒部の外周面と支持台の固定部との境界線の中央点の接線方向にボルトが取り付けられるため、流体通過容器が圧縮機本体に対して前傾もしくは後傾する場合に、支持部材は流体通過容器の姿勢の変化に追従しやすく、流体通過容器と支持部材との接触面は一定となりやすい。その結果、流体通過容器の固有振動特性のばらつきが低減されやすい。また、支持台が圧縮機本体の外周面に沿って固定される固定部を有するため、支持台が圧縮機本体に強く固定されやすい。
【0013】
本発明の第4観点に係る圧縮機ユニットは、第1観点から第3観点のいずれかに係る圧縮機ユニットであって、支持台は、凹形状もしくは凸形状の第1連結部を有する。支持部材は、第1連結部と対をなす凸形状もしくは凹形状の第2連結部を有する。第1連結部と第2連結部とは連結される。支持部材は、第1連結部と第2連結部との接点を支持部として、接点を中心に回動する。
【0014】
この圧縮機ユニットでは、支持台と支持部材とを対となる凸部と凹部とで連結させ、凸部と凹部との接点を中心として支持部材を回動させるため、流体通過容器と支持部材の接触面は一定となりやすい。その結果、流体通過容器の固有振動特性のばらつきが低減されやすい。また、このような構成であれば、流体通過容器の固有振動特性のばらつき低減が、組立容易に実現されやすい。
【0015】
本発明の第5観点に係る圧縮機ユニットは、第1観点から第4観点のいずれかに係る圧縮機ユニットであって、支持部材は、支持部を中心に回動する回動部材と、回動部材に連結され流体通過容器を支持台に固定する固定部材とを有する。
【0016】
この圧縮機ユニットでは、支持部材を固定部材と回動部材とに分離することで、流体通過容器の姿勢に支持部材が追従して流体通過容器と支持部材との接触面が常に同一になりやすく、さらに流体通過容器は圧縮機本体に強く固定されやすい。その結果、流体通過容器の固有振動特性のばらつきが低減されやすい。
【0017】
本発明の第6観点に係る圧縮機ユニットは、第1観点から第5観点のいずれかに係る圧縮機ユニットであって、圧縮機本体の出入口と、圧縮機本体と流体通過容器を連結する配管がロウ付けにより固定されている。
【0018】
圧縮機本体の出入口と、流体通過容器につながる配管をロウ付けで固定した結果、流体通過容器の姿勢にばらつきが生じても、支持部材が支持台に対して回動し、流体通過容器の側面と支持部材の支持面が略正対するため、流体通過容器と支持部材の接触面は一定となりやすい。その結果、流体通過容器の固有振動特性のばらつきが低減されやすい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の第1観点に係る圧縮機ユニットでは、支持部材が支持台に対して回動し、流体通過容器の側面と支持部材の支持面が略正対するため、流体通過容器と支持部材の接触面は一定となりやすい。その結果、流体通過容器の固有振動特性のばらつきが低減されやすい。
【0020】
本発明の第2観点に係る圧縮機ユニットでは、流体通過容器の姿勢のばらつきに支持部材が追従しやすく、流体通過容器の固有振動特性のばらつきが低減されやすい。
【0021】
本発明の第3観点に係る圧縮機ユニットでは、流体通過容器の姿勢のばらつきに支持部材が追従しやすく、流体通過容器の固有振動特性のばらつきが低減されやすい。また、支持台が圧縮機本体と強く固定される。
【0022】
本発明の第4観点に係る圧縮機ユニットでは、流体通過容器の固有振動特性のばらつき低減が組立容易に実現されやすい。
【0023】
本発明の第5観点に係る圧縮機ユニットでは、流体通過容器と支持部材との接触面が常に一定になりやすく、流体通過容器の固有振動特性のばらつきが低減されやすい。
【0024】
本発明の第6観点に係る圧縮機ユニットでは、配管の挿入代にばらつきが生じやすい場合にでも、流体通過容器の固有振動特性のばらつきが低減されやすい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る圧縮機ユニットの概略正面図。
【図2】図1の圧縮機ユニットのII−II断面図(圧縮機本体内の部品及びアキュムレータ内の部品は図示せず。)。
【図3】本発明の実施形態に係る圧縮機ユニットの支持台と締結バンドとの斜視図。
【図4】(a)変形例Aに係る圧縮機ユニットの半円盤形状の凸部を有する支持台の拡大図。(b)変形例Aに係る圧縮機ユニットの半円盤形状の凸部を有する支持台と締結バンドの連結状態を示す拡大図
【図5】(a)変形例Aに係る圧縮機ユニットの半楕円板形状の凸部を有する支持台の拡大図。(b)変形例Aに係る圧縮機ユニットの半楕円板形状の凸部を有する支持台と締結バンドの連結状態を示す拡大図。
【図6】変形例Bに係る圧縮機ユニットの支持台と支持部材との構成を示す圧縮機の中心軸O−Oに垂直な断面における断面図
【発明を実施するための形態】
【0026】
(1)圧縮機ユニットの基本構成
圧縮機ユニット1は、圧縮対象の流体としての冷媒を圧縮するために使用される。圧縮機ユニット1は、主として、圧縮機本体20と、支持台30と、円筒状のアキュムレータ40と、緩衝ゴム部材50と、支持部材である締結バンド60とを有している。以下、各構成部材について詳述する。
【0027】
(2)詳細構成
(2−1)圧縮機本体20
圧縮機本体20について、図1に基づいて説明する。
【0028】
圧縮機本体20は、主として、ケーシング21とケーシング21内に収容されたモータと、圧縮要素とを有している。モータと圧縮要素はシャフトで連結されており、圧縮要素はシャフトを介して伝えられたモータの駆動力により駆動される。ケーシング21は、円筒部21aと、円筒部上下に配置される上蓋21bと、下蓋21cとからなる。円筒部21aの下部には、冷媒の出入口としての吸入管22が設けられている。
【0029】
(2−2)支持台30
支持台30は、圧縮機本体20の円筒部21aの外周面に固定される金属製の板状部材である。以下、支持台30について、図2および図3に基づいて説明する。
【0030】
支持台30は、主として、固定部31と、延出部32,33と、接触部34,35と、第1保持部36と、第2保持部37とを有している。固定部31は、ケーシング21の円筒部21aの外周面に沿う板状部分であり、溶接等によって円筒部21aと固定されている。延出部32,33は、図2において、固定部31の両端からアキュムレータ40側に向かって延びる板状部分である。接触部34,35は、図2において、延出部32,33の端部から延出し、後述するアキュムレータ40の円筒状の胴部42の外周面に沿う板状部分である。第1保持部36は、図2中の矢印Dに略平行に、接触部34の端部から延びる板状の部材である。図2中の矢印Dは、固定部31と円筒部21aの外周面との円弧境界線の中央点の接線方向に沿った方向を示している。また、矢印Dは、図2において、圧縮機本体20の中心Oと、アキュムレータ40の中心Pを結ぶ直線に略垂直な方向でもある。第1保持部36の端部面中央には、図2中の矢印Dと略平行に延出する突出部38を有する。突出部38は、図3のように、端部面と連続する四角柱部38aと、四角柱部38aの先端に設けられた円盤平面38bとからなる。四角柱部38aは、第1保持部36の板厚方向を辺に持つ略長方形断面を有する。円盤平面38bは図2中の矢印Dに略垂直な平面であり、円盤の中心は四角柱部38aの略中心線上にある。第2保持部37は、接触部35の端部から圧縮機本体20側に折り返される板状部分である。第2保持部37の圧縮機本体20方向に延びる平面には、図2中の矢印Dに略平行な方向にボルト穴37aが形成されている。ボルト穴37aの形成される面は、矢印Dに略垂直な平面である。
【0031】
(2−3)アキュムレータ40
流体通過容器としてのアキュムレータ40について、図1に基づいて説明する。
【0032】
アキュムレータ40は、圧縮機本体20に吸入される冷媒の気液分離や貯留を行うことが可能な容器である。アキュムレータ40は、略円筒形状の胴部42と、胴部42の上下に配置された半球状の端部43aおよび43bとからなる。アキュムレータ40が、後述する締結バンド60により固定される部分は、アキュムレータ40の側面である胴部42の外周面である。アキュムレータ40の下側の端部43bには、下方に延びる略L字状の配管41が設けられている。配管41には冷媒が流れる。配管41は、その端部が圧縮機本体20の吸入管22に水平方向に挿入され、ロウ付けにより吸入管22と固定される。
【0033】
図1では、アキュムレータ40の中心軸線P−Pは鉛直方向を向いており、圧縮機本体の中心線O−Oと平行である。しかし、配管41と吸入管22の挿入代によって、アキュムレータ40の中心軸P−Pと圧縮機本体20の中心線O−Oとが交わるように、アキュムレータ40が圧縮機本体20に対して前傾、もしくは後傾する。図1の、中心軸線P−Pと中心線O−Oが平行な状態を基準として、アキュムレータ40が圧縮機本体20に対して前傾もしくは後傾する角度は±5°以内である。
【0034】
(2−4)緩衝ゴム部材50
緩衝ゴム部材50について、図2に基づいて説明する。
【0035】
緩衝ゴム部材50は、後述する締結バンド60のバンド本体部61のアキュムレータ40側の面に貼り付けられている。緩衝ゴム部材50は、アキュムレータ40の側面である胴部42と接触している。また、締結バンド60によるアキュムレータ40の固定時には、緩衝ゴム部材50を巻きつけるようにしながらアキュムレータ40が固定されるため、支持台30の接触部34、35のアキュムレータ40側の面も緩衝ゴム部材50と接触する。
【0036】
(2−5)締結バンド60
締結バンド60について、図2および図3に基づいて説明する。
【0037】
締結バンド60は、支持台30と緩衝ゴム部材50とが接触した状態でアキュムレータ40を支持台30に押さえつける金属製の板状部材である。より具体的には、締結バンド60は、支持台30の接触部34,35のアキュムレータ40側の面に緩衝ゴム部材50が接触した状態でアキュムレータ40を支持台30に押さえつける。
【0038】
締結バンド60は、主として、バンド本体部61と、支持部としてのバンド取付部62およびバンド固定部63とを有している。
【0039】
バンド本体部61のアキュムレータ40側の面には、その一部に緩衝ゴム部材50が貼り付けられている。バンド本体部61は、緩衝ゴム部材50を介してアキュムレータ40を支持台30に対して押さえつける。バンド本体部61は、圧縮機本体20の中心軸O−Oに垂直な断面で見た場合、図2のように略円弧状である。
【0040】
後述のように締結バンド60は、バンド取付部62に設けられた取付穴62aとバンド固定部63に設けられたボルト穴63aを中心として回動可能である。その結果、アキュムレータ40の支持面であるバンド本体部61のアキュムレータ40側の面と、アキュムレータ40の側面である胴部42の外周面とは略正対する。言い換えれば、バンド本体部61のアキュムレータ側の面は、アキュムレータ40の胴部42の中心軸P−Pと略平行である。つまり、アキュムレータ40が圧縮機本体20に対して傾いても、締結バンド60がアキュムレータ40の傾きに追従し、バンド本体部61と胴部42の接触面はほぼ一定となる。さらに、バンド本体部61と胴部42の緩衝ゴム部材50を介した接触面における圧力分布を、バンド本体部61の板圧方向に切断した断面で見た場合に、圧力が断面に沿って一定になりやすいように、バンド本体部61は緩衝ゴム部材50を胴部42に対して押し付けることが可能である。
【0041】
バンド取付部62は、バンド本体部61の両端のうち、バンド本体部61の固定部31の第1保持部36に対向する一端に設けられる。バンド取付部62は、支持台30の第1保持部36に備えられた突出部38に回動可能に取り付けられる。具体的には、バンド取付部62には、突出部38の円盤平面38bよりやや大きな内径の取付穴62aが形成されており、取付穴62aを四角柱部38aに掛けて連結すると、四角柱部38aは取付穴62aを軸支する。円盤平面38bは、取付穴62aが容易に突出部38から外れることを防止する。
【0042】
バンド固定部63は、バンド取付部62とは逆側に位置するバンド本体部61の一端に設けられる。バンド固定部63には、支持台30の第2保持部37のボルト穴37aに対向するボルト穴63aが形成されている。バンド固定部63は、ボルト穴37aおよび63aを貫通するボルト(図示せず)によって支持台30の第2保持部37に固定される。ボルトを中心として締結バンド60は回動可能である。
【0043】
(3)特徴
(3−1)
本実施形態の圧縮機ユニット1では、圧縮機本体20と、アキュムレータ40と、支持台30と、締結バンド60とからなる。圧縮機本体20は、円筒部21aを有し、圧縮対象である流体の出入口として吸入管22が形成されている。アキュムレータ40は、流体の通過する配管41を介して圧縮機本体20の吸入管22に連結される。支持台30は圧縮機本体20に固定される。締結バンド60は、支持台30に支持されるバンド取付部62とバンド固定部63とを有し、アキュムレータ40を支持台30に固定する。締結バンド60が、バンド取付部62とバンド固定部63を中心として支持台30に対して回動し、アキュムレータ40の側面と締結バンド60の支持面とが略正対する。
【0044】
ここでは、締結バンド60が支持台30に対して回動し、アキュムレータ40の側面である胴部42の外周面と、アキュムレータ40の支持面としてのバンド本体部61のアキュムレータ40側の面とが正対する。言い換えれば、胴部42の中心軸P−Pと、バンド本体部61のアキュムレータ40側の面とが平行である。つまり、アキュムレータ40が圧縮機本体20に対して傾いても、締結バンド60がアキュムレータ40の傾きに追従するため、バンド本体部61と胴部42の接触面は一定となりやすい。さらに、バンド本体部61と胴部42の緩衝ゴム部材50を介した接触面における圧力分布を、バンド本体部61の板圧方向に切断した断面で見た場合に、圧力が断面に沿って一定になりやすいように、バンド本体部61は緩衝ゴム部材50を胴部42に対して押し付け可能である。その結果、アキュムレータ40の固有振動特性のばらつきが低減されやすい。
【0045】
なお、胴部42の外周面と、バンド本体部61のアキュムレータ40側の面とは正対することが望ましいが、略正対であってもかまわない。すなわち、胴部42の中心軸P−Pと、バンド本体部61のアキュムレータ40側の面とが略平行であってもかまわない。
【0046】
(3−2)
本実施形態の圧縮機ユニット1では、締結バンド60は、バンド固定部63でボルトにより支持台30に軸支されている。ボルトは、締結バンド60の回動方向に略垂直に取り付けられる。締結バンド60の回動方向に垂直な方向とは、締結バンド60の回動時に支持部材を形成する支持部近傍の一点が移動する平面に垂直な方向をいう。
【0047】
ここでは、締結バンド60の回動する方向と垂直にボルトが取り付けられるため、締結バンド60がスムーズに回動し、アキュムレータ40と締結バンド60の接触面は常に一定となりやすい。その結果、アキュムレータ40の固有振動特性のばらつきが低減されやすい。
【0048】
なお、締結バンド60の回動する方向と、ボルトの取り付け方向とは垂直であることが望ましいが、略垂直であってもかまわない。
【0049】
(3−3)
本実施形態の圧縮機ユニット1では、支持台30は、圧縮機本体20の円筒部21aの外周面に沿って固定される円弧状の固定部31を有する。締結バンド60は、バンド固定部63でボルトにより支持台30に軸支される。ボルトは、圧縮機本体20の中心軸に垂直な面での断面視において、固定部31と円筒部21aの外周面との円弧境界線の中央点の接線方向に略沿った方向に取り付けられる。
【0050】
ここでは、圧縮機本体20の円筒部21aの外周面と支持台30の固定部31との境界線の中央点の接線方向にボルトが取り付けられるため、アキュムレータ40が圧縮機本体20に対して前傾もしくは後傾しても、締結バンド60はアキュムレータ40の姿勢の変化に追従しやすい。そのため、アキュムレータ40と締結バンド60の接触面は一定となりやすい。その結果、アキュムレータ40の固有振動特性のばらつきが低減されやすい。また、支持台30が圧縮機本体20の外周面に沿って固定される固定部31を有するため、支持台30が圧縮機本体20に強く固定されやすい。
【0051】
なお、ボルトの取り付け方向は、円筒部21aの外周面と固定部31との境界線の中央点の接線方向と同一の場合に限定されず、略同一であってもかまわない。
【0052】
(3−4)
本実施形態の圧縮機ユニット1では、圧縮機本体20の吸入管22と、圧縮機本体20とアキュムレータ40を連結する配管41がロウ付けにより固定されている。
【0053】
吸入管22と、アキュムレータ40につながる配管41をロウ付けで固定した結果、アキュムレータ40の姿勢にばらつきが生じても、締結バンド60が支持台30に対して回動し、アキュムレータ40の側面である胴部42と締結バンド60の支持面61が正対しやすい。そのため、アキュムレータ40と締結バンド60の接触面は一定となりやすく、アキュムレータ40の固有振動特性のばらつきが低減されやすい。
【0054】
(4)変形例
(A)
本変形例の圧縮機ユニットでは、上記の第1保持部36およびバンド取付部62の組合せに変えて、図4のような連結部136および係止爪部162の組み合わせで締結バンド160を支持台130に対して回動可能に支持している。以下に、本実施形態の圧縮機ユニットと変形例の相違点のみ示す。
【0055】
まず、連結部136について説明する。なお、支持台130の構造は、連結部136を除き、支持台30の構造と同様であるため省略する。
【0056】
連結部136は、圧縮機本体20の中心軸O−Oに垂直な断面視において、接触部134の端部から圧縮機本体20側に折り返される板状部分である。連結部136には、後述する締結バンド60を挿入可能な略長方形状の角穴136aが形成されている。連結部136の端面には、図4aのように、圧縮機本体20に向かって半円盤状の突起部138を有する。
【0057】
次に、支持部である第2連結部としての係止爪部162について説明する。なお、締結バンド160の構造は、係止爪部162を除き、締結バンド160の構造と同様であるため省略する。
【0058】
係止爪部162は、圧縮機本体20の中心軸O−Oに垂直な断面視において、バンド本体部161の両端のうち、支持台130の連結部136に対向する側の端部から圧縮機本体20側に向けて延びた後にアキュムレータ40側に折り返される板状部分である。係止爪部162は、角穴136aに挿入され、第1連結部としての突起部138に係止されている。突起部138が半円盤状であるため、係止爪部162と突起部138は点で接することとなり、締結バンド160は突起部138を支持部として図4bに示した矢印R方向に回動可能である。
【0059】
さらに、本変形例の圧縮機ユニット201では、上記の第1保持部36およびバンド取付部62の組合せに変えて、図5のような連結部236および係止爪部262の組み合わせで締結バンド260を支持台230に対して回動可能に支持している。以下に、本実施形態の圧縮機ユニットと変形例の相違点のみ示す。
【0060】
まず、連結部236について説明する。なお、支持台230の構造は、連結部236を除き、支持台30の構造と同様であるため省略する。
【0061】
連結部236は、圧縮機本体20の中心軸O−Oに垂直な断面視において、接触部234の端部から圧縮機本体20側に折り返される板状部分である。連結部236の端面には、図5aのように圧縮機本体20に向かって突出する半楕円板形状の突起部238を有する。
【0062】
次に、支持部である第2連結部としての係止爪部262について説明する。なお、締結バンド260の構造は、係止爪部262を除き、締結バンド260の構造と同様であるため省略する。
【0063】
係止爪部262は、圧縮機本体20の中心軸O−Oに垂直な断面視において、バンド本体部261の両端のうち支持台230の連結部236に対向する側の端部から圧縮機本体20側に延びた後にアキュムレータ40側に内向きに折り返される板状部分である。係止爪部262は、第1連結部としての突起部238に係止されている。突起部238は半楕円板形状であるため、係止爪部262と突起部238は点で接することとなり、締結バンド260は突起部238を支持部として図5bに示した矢印R方向に回動可能である。
【0064】
本変形例では、支持台130,230は、第1連結部として凸形状の突起部138,238を有する。締結バンド160,260は、突起部138,238と対をなす凹形状の係止爪部162,262を第2連結部として有する。突起部138,238と係止爪部162,262とは連結される。締結バンド160,260は、突起部138,238と係止爪部162,262との接点を支持部として、接点を中心に回動する。
【0065】
ここでは、支持台130,230と締結バンド160,260とを対となる凸形状の突起部138,238と凹形状の係止爪部162,262とで連結させ、その接点を中心として締結バンド160,260を回動させるため、アキュムレータ40と締結バンド160,260の接触面は一定となりやすい。その結果、アキュムレータ40の固有振動特性のばらつきが低減されやすい。また、このような構成であれば、アキュムレータ40の固有振動特性のばらつき低減が、組立容易に実現されやすい。
【0066】
なお、本変形例では、支持台130,230側に凸形状の突起部138,238を設け、締結バンド160,260側に凹形状の係止爪部162,262を設けたが、支持台130,230に係止爪部を設け、締結バンド160,260に突起部を設けてもよい。この場合にも、本変形例と同様の効果が得られる。
【0067】
(B)
本変形例の圧縮機ユニット301では、上記の支持台30と締結バンド60の組合せに変えて、図6の支持台330および支持部材380の組み合わせで、支持部材380が支持台330に対して回動可能に支持される。
【0068】
以下に、本実施形態の圧縮機ユニットと変形例の相違点である、支持台330と支持部材380の構成についてのみ説明する。
【0069】
(1)支持台330
支持台330は、圧縮機本体20のケーシング21の円筒部21aの外周面に固定される金属製の板状部材である。以下、支持台330について、図6に基づいて説明する。
【0070】
支持台330は、主として、固定部331と、延出部332,333とを有している。固定部331は、ケーシング21の円筒部21aの外周面に沿う板状部分であり、溶接等によって円筒部21aと固定されている。延出部332,333は、圧縮機の中心軸O−Oに垂直な面での断面視において、図6のように、固定部331の両端からアキュムレータ40側に向かって延びる板状部分である。延出部332および333には、後述する回動部材370の第1部材371および第2部材372をボルトで固定するためのボルト穴332aおよび333aが形成されている。ボルト穴332aおよび333aは、図6中の矢印Dに略平行に設けられる。なお、図6中の矢印Dは、固定部331と円筒部21aの外周面との円弧境界線の中央点の接線方向に略沿った方向である。また、矢印Dは、圧縮機本体20の中心Oと、アキュムレータ40の中心Pを結ぶ直線に略垂直な方向でもある。
【0071】
(2)支持部材380
以下、支持部材380について、図6に基づいて説明する。
【0072】
支持部材380は大きく分けて回動部材370と固定部材としての締結バンド360を有している。
【0073】
回動部材370は、独立した第1部材371と第2部材372とからなる。
【0074】
第1部材371は、主に第1部材取付部373、第1部材接触部374および第1部材折返部375からなる。支持部としての第1部材取付部373は、支持台330の延出部332と略平行にアキュムレータ40に向かって延出する。第1部材取付部373には支持台330の延出部332に設けられたボルト穴332aと対向するボルト穴373aが設けられており、延出部332と第1部材取付部373とはボルトによって連結される。第1部材接触部374は、図6において、第1部材取付部373の端部から延出し、アキュムレータ40の円筒部分の外周面に沿う板状部分である。第1部材折返部375は、図6において、第1部材接触部374の端部から圧縮機本体20側に折り返される板状部分である。第1部材折返部375には、略長方形状の角穴375aが形成されている。
【0075】
第2部材372も、主に第2部材取付部376、第2部材接触部377および第2部材折返部378とからなる。支持部としての第2部材取付部376は、支持台330の延出部333と略平行にアキュムレータ40に向かって延出する。第2部材取付部376には、支持台330の延出部333に設けられたボルト穴333aと対向するボルト穴376aが設けられており、延出部333と第2部材取付部376とはボルトによって連結される。第2部材接触部377は、図6において、第2部材取付部376の端部から延出し、アキュムレータ40の円筒部分の外周面に沿う板状部分である。第2部材折返部378は、図6において、第2部材接触部377の端部から圧縮機本体20側に折り返される板状部分である。第2部材折返部378には、ボルト穴378aが形成されている。
【0076】
第1部材371および第2部材372は支持台330とボルトで固定されるため、ボルト周りで回動させて取り付け可能である。第1部材371および第2部材372の取り付け角度は、第1部材接触部374および第2部材接触部377のアキュムレータ40側の面が、アキュムレータ40の側面である胴部42と略正対するように決定される。言い換えれば、胴部42の中心軸P−Pと、第1部材接触部374および第2部材接触部377のアキュムレータ40側の面とが略平行になるよう決定される。この結果、回動部材370がアキュムレータ40の傾きに追従するため、アキュムレータ40と第1部材接触部374および第2部材接触部377との接触面は一定となりやすい。
【0077】
締結バンド360は、回動部材370と緩衝ゴム部材50とが接触した状態でアキュムレータ40を回動部材370に押さえつける金属製の板状部材である。より具体的には、締結バンド360は、回動部材370の第1部材接触部374および第2部材接触部377のアキュムレータ40側の面が緩衝ゴム部材50に接触した状態で、アキュムレータ40を回動部材370に押さえつける。その結果、アキュムレータ40は、回動部材370の固定されている支持台330を介して、圧縮機本体20に固定される。
【0078】
締結バンド360は、主として、バンド本体部361と、係止爪部362と、バンド固定部363とを有している。締結バンドの詳細について以下に説明する。ただし、バンド本体部361については、上記の実施形態のバンド本体部61と同様であるので説明は省略する。
【0079】
係止爪部362は、図6において、バンド本体部361の両端のうち、第1部材折返部375に対向する側の端部から圧縮機本体20側に延びた後にアキュムレータ40側に折り返される板状部分である。係止爪部362は、角穴375aによって第1部材折返部375に係止されている。
【0080】
バンド固定部363は、図6において、バンド本体部361の両端のうち第2部材折返部378に対向する側の端部から第2部材折返部378に沿って延びる板状部分である。バンド固定部363には、第2部材折返部378のボルト穴378aに対向するボルト穴363aが形成されている。バンド固定部363は、ボルト穴378aおよび363aを貫通するボルト(図示せず)によって第2部材折返部378に固定されている。
【0081】
(3)効果
本変形例では、支持部材380は、支持部である第1部材取付部373および第2部材取付部376を中心に回動する回動部材370と、回動部材370に連結されアキュムレータ40を支持台330に固定する固定部材としての締結バンド360とを有する。
【0082】
ここでは、締結バンド360を回動部材370と分離することで、アキュムレータ40の側面である胴部42の外周面と、アキュムレータ40の支持面としてのバンド本体部361のアキュムレータ40側の面とが正対しやすい。その結果、アキュムレータ40と、支持部材380の接触面が常に一定になりやすい。また、本変形例では、アキュムレータ40の側面である胴部42の外周面と、第1部材接触部374および第2部材接触部377とアキュムレータ40との接触面である支持面とも正対しやすい。さらに、回動部材380と固定部材である締結バンド360を分離したことで、アキュムレータ40は強く固定されやすい。その結果、アキュムレータ40の固有振動特性のばらつきがさらに低減されやすい。
【0083】
(C)
上記の実施形態に示した圧縮機ユニットの、アキュムレータ40と、圧縮機本体20と、支持台30,130,230,230と、支持部材60,160,260,380との取り付け構造は、例えばマフラ等の流体通過容器と、圧縮機本体と、支持台と、支持部材との取り付け構造として使用されてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1,301 圧縮機ユニット
20 圧縮機本体
21a 円筒部
22 吸入管(流体の出入口)
30,130,230,330 支持台
31,131,231,331 固定部
40 アキュムレータ(流体通過容器)
41 配管
42 アキュムレータ円筒部(側面)
60,160,260 締結バンド(支持部材)
61,361 バンド本体部(支持面)
62 バンド取付部(支持部)
63 バンド取付部(支持部)
138,238 突起部(第1連結部)
162,262 係止爪部(支持部、第2連結部)
360 締結バンド(固定部材)
370 回動部材
373 第1部材取付部(支持部)
374 第1部材接触部(支持面)
376 第2部材取付部(支持部)
377 第2部材接触部(支持面)
380 支持部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0085】
【特許文献1】特開平9−137788号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒部(21a)を有し、圧縮対象である流体の出入口(22)が形成された圧縮機本体(20)と、
流体の通過する配管(41)を介して前記出入口に連結される流体通過容器(40)と、
前記圧縮機本体に固定される支持台(30,130,230,330)と、
前記支持台に支持される支持部(62,63,162,262,373,376)を有し、前記流体通過容器を前記支持台に固定する支持部材(60,160,260,380)と
を備え、
前記支持部材は、前記支持部を中心として前記支持台に対して回動し、前記流体通過容器の側面(42)と前記支持部材の支持面(61,361,374,377)とが略正対する、
圧縮機ユニット(1,301)。
【請求項2】
前記支持部材は、前記支持部の少なくとも一箇所でボルトにより前記支持台に軸支されており、
前記ボルトは、前記支持部材の回動方向に略垂直に取り付けられる、
請求項1に記載の圧縮機ユニット。
【請求項3】
前記支持台は、前記円筒部の外周面に沿って固定される円弧状の固定部(31,331)を有し、
前記支持部材は、前記支持部の少なくとも一箇所でボルトにより前記支持台に軸支されており、
前記ボルトは、前記圧縮機本体の中心軸に垂直な面での断面視において、前記固定部と前記円筒部の外周面との円弧境界線の中央点の接線方向に略沿った方向に取り付けられる、
請求項1に記載の圧縮機ユニット。
【請求項4】
前記支持台(130,230)は、凹形状もしくは凸形状の第1連結部(138,238)を有し、
前記支持部材(160,260)は、前記第1連結部と対をなす凸形状もしくは凹形状の第2連結部(162,262)を有し、
前記第1連結部と前記第2連結部とは連結され、
前記支持部材は、前記第1連結部と前記第2連結部との接点を前記支持部として、前記接点を中心に回動する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の圧縮機ユニット。
【請求項5】
前記支持部材(380)は、前記支持部(373,376)を中心に回動する回動部材(370)と、前記回動部材に連結され前記流体通過容器を支持台に固定する固定部材(360)とを有する
請求項1から4のいずれか1項に記載の圧縮機ユニット(301)。
【請求項6】
前記出入口と前記配管がロウ付けにより固定されている、
請求項1から5のいずれか1項に記載の圧縮機ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−104325(P2013−104325A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247306(P2011−247306)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】