説明

圧縮空気除湿装置

【課題】周囲温度が上昇した場合においても配電盤からの電力供給を継続し得る圧縮空気除湿装置を提供する。
【解決手段】冷凍サイクル2と、導入口31から導入された圧縮空気を冷凍サイクル2における蒸発器24で冷却して圧縮空気内の水分を結露させることによって除湿して排出口32から排出する熱交換器3と、少なくとも冷凍サイクル2における圧縮機21に電力を供給する配電盤9とを備えた圧縮空気除湿装置1であって、熱交換器3において蒸発器24で冷却された圧縮空気と周囲の空気との間で熱交換させるの熱交換器4と、蒸発器24で冷却された圧縮空気を熱交換器4に供給する配管5aと、熱交換器4において圧縮空気との間で熱交換させられて冷却された空気を配電盤9に供給して配電盤9を冷却するファン7とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍サイクルにおける蒸発器で圧縮空気を冷却して水分を結露させることによって除湿する圧縮空気除湿装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開2009−8284号公報において出願人が開示している圧縮空気除湿装置(以下、単に「除湿装置」ともいう)は、冷凍サイクルと、冷凍サイクルの圧縮機等に電力を供給するための配電盤とを備え、これらが筐体内に収容されて構成されている。具体的には、出願人が開示している除湿装置では、インバータ式の圧縮機および凝縮器ファンを備えて冷凍サイクルが構成されると共に、圧縮機用インバータ、凝縮器ファン用インバータ、および電源部などの各種電気部品が配設されて配電盤が構成されている。この場合、除湿装置の動作時には、配電盤における上記の各電気部品が発熱して高温となる。したがって、出願人が開示している除湿装置では、冷凍サイクルにおける凝縮器を冷却するための上記の凝縮器ファンによって凝縮器と共に配電盤の各電気部品を冷却する構成が採用されている。
【0003】
具体的には、出願人が開示している除湿装置では、配電盤を収容する箱体の壁面に吸気口および排気口が形成されると共に、排気口と、凝縮器ファンにおける空気吸込側の部位(凝縮器ファンの動作時に負圧が生じる部位)とが排気ダクトを介して連結されている。したがって、出願人が開示している除湿装置では、凝縮器ファンを動作させることにより、配電盤が収容されている箱体内の空気(電気部品からの排熱によって温度上昇させられた空気)が排気口から排気されると共に、箱体外部の空気(排気した空気よりも低温の空気:凝縮器の冷却のために筐体内に導入された空気)が吸気口から箱体内に吸い込まれる結果、電気部品が冷却される。これにより、出願人が開示している除湿装置では、配電盤(電気部品)を冷却するための専用の送風ファンを設けることなく、1つの送風ファン(凝縮器ファン)だけで凝縮器および配電盤の双方を冷却することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−8284号公報(第5−8頁、第1−5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、出願人が開示している除湿装置には、以下の改善すべき課題が存在する。すなわち、出願人が開示している除湿装置では、凝縮器ファンによって筐体内に外気を導入して凝縮器を冷却すると共に、配電盤が収容されている筐体内の空気を凝縮器ファンによって吸引して排気させ、かつ、凝縮器の冷却のために筐体内に導入した外気の一部を箱体内に導入することで、配電盤(電気部品)を冷却する構成が採用されている。しかしながら、気温が上昇する夏期等においては、筐体内に導入される外気の温度も上昇する。また、除湿装置が設置される部屋には、圧縮空気の供給対象である工作機械等が設置されているため、除湿装置の運転時には、工作機械等からの排熱によって室温が上昇する結果、筐体内に導入される外気の温度も上昇することとなる。
【0006】
このため、出願人が開示している除湿装置では、周囲温度が想定温度以上に上昇した場合に、その温度の上昇に伴って配電盤を十分に冷却するのが困難となるおそれがある。したがって、配電盤に配設された機器の保護や誤作動の防止のために、配電盤からの電力供給を停止せざるを得ない状況を招くおそれがあるため、この点を改善するのが好ましい。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、周囲温度が上昇した場合においても配電盤からの電力供給を継続し得る圧縮空気除湿装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく請求項1記載の圧縮空気除湿装置は、冷凍サイクルと、導入口から導入された圧縮空気を前記冷凍サイクルにおける蒸発器で冷却して当該圧縮空気内の水分を結露させることによって除湿して排出口から排出する第1の熱交換器と、少なくとも前記冷凍サイクルにおける圧縮機に電力を供給する配電盤とを備えた圧縮空気除湿装置であって、前記第1の熱交換器において前記蒸発器で冷却された前記圧縮空気と周囲の空気との間で熱交換させる第2の熱交換器と、前記蒸発器で冷却された前記圧縮空気を前記第2の熱交換器に供給する第1の配管と、前記第2の熱交換器において前記圧縮空気との間で熱交換させられて冷却された前記空気を前記配電盤に供給して当該配電盤を冷却する送風機とを備えている。
【0009】
また、請求項2記載の圧縮空気除湿装置は、請求項1記載の圧縮空気除湿装置において、前記第2の熱交換器において周囲の前記空気との間で熱交換させられた前記圧縮空気を前記第1の熱交換器、および前記排出口に接続されて前記除湿した圧縮空気を供給対象体に供給する圧縮空気供給用配管のいずれかに流入させる第2の配管を備えている。
【0010】
さらに、請求項3記載の圧縮空気除湿装置は、請求項2記載の圧縮空気除湿装置において、前記第1の熱交換器は、前記導入口から導入された前記圧縮空気と前記蒸発器で冷却された前記圧縮空気との間で熱交換させて当該導入口から導入された圧縮空気を冷却すると共に当該蒸発器で冷却された圧縮空気を温度上昇させる第1の熱交換処理部、および前記蒸発器内の冷媒と前記第1の熱交換処理部において冷却された前記圧縮空気との間で熱交換させて当該第1の熱交換処理部において冷却された圧縮空気を冷却する第2の熱交換処理部を備え、前記第1の配管は、前記第2の熱交換処理部において冷却されて前記第1の熱交換処理部に向かって流れる前記圧縮空気の一部を前記第2の熱交換器に導入可能に接続され、前記第2の配管は、前記第2の熱交換器において温度上昇させられた前記圧縮空気を、前記第1の熱交換処理部において温度上昇させられた前記圧縮空気が前記排出口に向かって流れる圧縮空気流路、および前記圧縮空気供給用配管のいずれかに流入させるように接続されている。
【0011】
また、請求項4記載の圧縮空気除湿装置は、請求項1から3のいずれかに記載の圧縮空気除湿装置において、前記送風機は、前記配電盤に設けられたヒートシンクに向けて前記空気を送風可能に配設されている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の圧縮空気除湿装置によれば、第2の熱交換器において、蒸発器で冷却された圧縮空気と周囲の空気との間で熱交換させて周囲の空気を冷却すると共に、冷却した空気を送風機によって配電盤に供給して配電盤を冷却することにより、配電盤に搭載された各機器が過剰に温度上昇して誤作動や熱破壊を招く事態を回避することができると共に、過剰な温度上昇に伴う配電盤の動作停止を回避することができる結果、除湿を完了した圧縮空気の供給対象体に対する安定的な供給を継続することができる。
【0013】
また、請求項2記載の圧縮空気除湿装置によれば、第2の熱交換器において周囲の空気との間で熱交換させられた圧縮空気を第1の熱交換器、および供給対象体に圧縮空気を供給する圧縮空気供給用配管のいずれかに流入させることにより、例えば、蒸発器で冷却されて除湿された圧縮空気の一部を第2の熱交換器において周囲の空気と熱交換させた後に大気中に排出する構成とは異なり、蒸発器で冷却されることで十分に除湿されている圧縮空気を無駄にすることなく供給対象体に供給することができる。このため、圧縮空気の除湿に要したエネルギー(冷凍サイクルの圧縮機等を動作させるのに消費した電力)が配電盤の冷却のために消費される事態を回避して、そのランニングコストを十分に低減することができる。
【0014】
さらに、請求項3記載の圧縮空気除湿装置によれば、第2の熱交換処理部において冷却されて第1の熱交換処理部に向かって流れる圧縮空気の一部を第2の熱交換器に導入すると共に、第2の熱交換器において温度上昇させられた圧縮空気を、第1の熱交換処理部において温度上昇させられた圧縮空気が排出口に向かって流れる圧縮空気流路、および圧縮空気供給用配管のいずれかに流入させることにより、第2の熱交換処理部において蒸発器で冷却された後に第1の熱交換処理部において温度上昇させられる以前の十分に低温の圧縮空気によって第2の熱交換器の周囲の空気を冷却することができるため、配電盤を確実に冷却することができると共に、例えば、第2の熱交換器において周囲の空気を冷却することで温度上昇させられた圧縮空気を導入口から第2の熱交換処理部の入り口部位までの間に流入させる構成とは異なり、第1の熱交換処理部や第2の熱交換処理部における圧縮空気の冷却効率(すなわち、除湿効率)を悪化させることなく、除湿が完了した後に第2の熱交換器の周囲の空気を冷却するのに使用されて温度上昇させられた圧縮空気を供給対象体に供給することができる。
【0015】
また、請求項4記載の圧縮空気除湿装置によれば、送風機が、配電盤に設けられたヒートシンクに向けて空気を送風することにより、第2の熱交換器において冷却した空気に接して送風対象部位において結露が生じたとしても、ヒートシンクに結露水が付着した状態となるだけで、配電盤の各機器に結露水が付着した状態となることがないため、結露水の付着に起因する各機器(配電盤)の誤作動や故障の発生を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係る圧縮空気除湿装置1の構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、圧縮空気除湿装置の実施の形態について説明する。
【0018】
図1に示す圧縮空気除湿装置1は、図示しないエアーコンプレッサーから圧送される圧縮空気を除湿すると共に、除湿した圧縮空気を工作機械や医療機器などの各種の「供給対象体」に供給可能な除湿装置であって、冷凍サイクル2、熱交換器3,4、配管5a,5b、電磁弁6、ファン7、コントローラ8および配電盤9を備えて、これらが図示しない筐体内に収容されて構成されている。
【0019】
冷凍サイクル2は、圧縮機21、凝縮器22、膨張弁23および蒸発器24を備えると共に、コントローラ8の制御下で周囲の空気を凝縮器22に送風するファン(図示せず)とを備えて構成されている。この場合、本例の圧縮空気除湿装置1では、圧縮機21として、インバータ制御方式の圧縮機が採用されており、圧縮機21の運転状態を変更することで蒸発器24に対する冷媒の供給量を調整可能に構成されている。また、本例の圧縮空気除湿装置1では、膨張弁23として、電子膨張弁およびキャピラリチューブ(機械式膨張弁)のいずれかまたは双方が配設されている。なお、実際の冷凍サイクル2には、圧力センサ、温度センサ、アキュムレータおよびストレーナ等が設けられているが、冷凍サイクル2の構成に関する理解を容易とするために、これらについての図示および説明を省略する。
【0020】
熱交換器3は、「第1の熱交換器」の一例であって、導入用配管11を介して導入されるエアーコンプレッサーからの圧縮空気を冷凍サイクル2の蒸発器24で冷却して圧縮空気内の水分を結露させることによって除湿すると共に、除湿した圧縮空気を、供給用配管12(「圧縮空気供給用配管」の一例)を介して供給対象体に供給するように構成されている。この熱交換器3は、導入口31および排出口32が設けられた外筒内に第1の熱交換処理部34(「一次冷却部」および「再熱部」)と、第2の熱交換処理部35(「二次冷却部」)とが形成されている。また、上記の外筒における底部には、第1の熱交換処理部34および第2の熱交換処理部35において圧縮空気を除湿することで生じたドレン水を排水するためのドレン排水口33a,33bが設けられると共に、このドレン排水口33a,33bには、ドレントラップや電磁弁等の開閉機構(図示せず)が取り付けられている。
【0021】
この場合、第1の熱交換処理部34は、導入口31から導入された圧縮空気(エアーコンプレッサーによって圧縮されることで高温になった圧縮空気)と、第2の熱交換処理部35において蒸発器24で冷却された圧縮空気との間で熱交換させることにより、導入口31から導入された圧縮空気を冷却すると共に、蒸発器24で冷却された圧縮空気を温度上昇させる。また、第2の熱交換処理部35は、蒸発器24内の冷媒と、第1の熱交換処理部34において冷却された圧縮空気との間で熱交換させることにより、第1の熱交換処理部34において冷却された圧縮空気をさらに冷却する。
【0022】
熱交換器4は、「第2の熱交換器」の一例であって、配電盤9の近傍に配設されると共に、熱交換器3の第2の熱交換処理部35において蒸発器24で冷却された圧縮空気と、周囲の空気との間で熱交換させることにより、熱交換器3において冷却された圧縮空気を温度上昇させ、かつ、周囲の空気を冷却する。具体的には、熱交換器4は、一例として、銅パイプを葛折り状に折り曲げて形成されており、銅パイプ内を通過させられる圧縮空気と、ファン7によって銅パイプの外面に吹き付けられる空気との間で熱交換させるように構成されている。この場合、ファン7は、「送風機」の一例であって、圧縮空気との間で熱交換させられて冷却された熱交換器4の周囲の空気を配電盤9に送風することで配電盤9を冷却する。
【0023】
また、本例の圧縮空気除湿装置1では、熱交換器3における第2の熱交換処理部35の下流側部位と熱交換器4とが配管5a(「第1の配管」の一例)を介して相互に接続されて、第1の熱交換処理部34において冷却されて第2の熱交換処理部35に向かって流れる圧縮空気の一部が熱交換器3から熱交換器4に導入される構成が採用されている。さらに、配管5aには、コントローラ8の制御下で配管5aを通過する圧縮空気(熱交換器4に供給される圧縮空気)の流量を調整するための電磁弁6が配設されている。
【0024】
さらに、本例の圧縮空気除湿装置1では、熱交換器4における出口側部位と供給用配管12とが配管5b(「第2の配管」の一例)を介して相互に接続されて、熱交換器4において周囲の空気との間で熱交換させられて温度上昇した圧縮空気を供給用配管12に流入させる構成が採用されている。なお、配管5bに代えて、同図に破線で示す配管5cを配設することにより、熱交換器4において周囲の空気との間で熱交換させられて温度上昇させられた圧縮空気を熱交換器3における排出口32の近傍(前記「第1の熱交換処理部において温度上昇させられた圧縮空気が排出口に向かって流れる圧縮空気流路」の一例)に流入させる構成を採用することもできる。
【0025】
コントローラ8は、圧縮空気除湿装置1を総括的に制御する。具体的には、コントローラ8は、後述するように配電盤9に設けられたインバータを制御することで圧縮機21に必要量の冷媒を圧縮させる。また、冷凍サイクル2が膨張弁23としての電子膨張弁を備えて構成されている場合には、コントローラ8は、この電子膨張弁を制御して蒸発器24に向けて吐出する冷媒の量を調整する。さらに、コントローラ8は、凝縮器22に配設されたファンを制御して周囲の空気を凝縮器22に向けて送風させる。また、コントローラ8は、電磁弁6を制御して配管5aを通過して熱交換器4に導入される圧縮空気の流量を調整する。さらに、コントローラ8は、ファン7を制御して筐体内の空気を熱交換器4に向けて吹き付けさせることにより、熱交換器4において冷却された空気を配電盤9に送風させる。
【0026】
配電盤9は、コントローラ8の制御に従い、圧縮機21等に必要量の電力を供給する。この場合、配電盤9には、その動作時に発熱して高温となるインバータや電源部等の機器が配設されており、これらの機器が過剰に高温になると、誤作動や熱破壊を招くおそれがある。したがって、この種の装置では、上記の各機器に生じた熱を排熱するためのヒートシンク(図示せず)、および各機器の温度を検出するための温度センサ(図示せず)が配電盤に設けられると共に、発熱に起因する誤作動や熱破壊を回避するために、温度センサからのセンサ信号に基づいて特定される温度が規定温度に達したときに動作を停止する保護回路(図示せず)が設けられている。
【0027】
しかしながら、誤作動や熱破壊を回避するために配電盤9の動作を停止させたときには、圧縮機21に対する電力供給が停止することによって、蒸発器24による圧縮空気の冷却を継続することができなくなる。このため、配電盤9の各機器が過剰に高温となったときには、除湿した圧縮空気を供給対象体に対して供給するのが困難となり、供給対象体において各種のトラブルを招くおそれがある。このため、本例の圧縮空気除湿装置1では、後述するように、熱交換器4において冷却した空気を配電盤9に設けられたヒートシンクに吹き付けることで、配電盤9に配設されている上記の各機器が過剰に高温となる事態を回避する構成が採用されている。
【0028】
この圧縮空気除湿装置1によって供給対象体に除湿した圧縮空気を供給する際には、コントローラ8が、配電盤9のインバータを制御して圧縮機21を動作させると共に、膨張弁23の開度を調整することで、蒸発器24に対して気液混合状態の冷媒を供給させる。この状態において、エアーコンプレッサーからの圧縮空気が導入用配管11を介して導入口31から熱交換器3内(第1の熱交換処理部34内)に導入されると、この圧縮空気は、後述するように第2の熱交換処理部35において蒸発器24によって冷却された低温の圧縮空気との間で熱交換させられることで冷却される。この際には、圧縮空気中に含まれている水分の一部が結露水として除去される。
【0029】
次いで、第1の熱交換処理部34において冷却された圧縮空気は、第2の熱交換処理部35において蒸発器24内に供給された冷媒との間で熱交換させられることでさらに冷却される。この際には、圧縮空気中に含まれている水分の大半が結露水として除去される。続いて、第2の熱交換処理部35において冷却された圧縮空気は、第1の熱交換処理部34において、導入口31から第1の熱交換処理部34内に導入される高温の圧縮空気との間で熱交換させられることで温度上昇させられた後に、排出口32から排出される。これにより、供給対象体に対して除湿された圧縮空気が供給用配管12を介して供給される。
【0030】
一方、前述したように、圧縮機21等を動作させているときには、これらに電力を供給している配電盤9の各機器が発熱して温度上昇する。したがって、コントローラ8は、配電盤9に設けられている温度センサからのセンサ信号に基づき、配電盤9の各機器が規定温度(一例として70℃)に達したと判別したときに、電磁弁6を開放させると共にファン7を制御して送風を開始させる。この際には、第2の熱交換処理部35において蒸発器24によって冷却されて第1の熱交換処理部34に向かって熱交換器3内を流れている圧縮空気の一部が配管5a内に流入して電磁弁6を通過して熱交換器4に導入されると共に、筐体内の空気がファン7によって熱交換器4に向けて吹き付けられる。
【0031】
これにより、熱交換器4を構成する銅パイプ内の圧縮空気とファン7によって吹き付けられた空気(熱交換器4の周囲の空気)とが熱交換させられて、吹き付けられた空気が冷却され、この冷却された低温の空気が配電盤9のヒートシンクに向けて送風される。この際には、吹き付けられた空気によってヒートシンクが冷却されるため、配電盤9の各機器が徐々に温度低下させられる。また、熱交換器4において周囲の空気と熱交換させられて温度上昇した圧縮空気は、配管5bを介して供給用配管12に流入させられて、排出口32から供給用配管12内に排出された圧縮空気と共に供給対象体に供給される。
【0032】
また、コントローラ8は、配電盤9のヒートシンクに設けられている温度センサからのセンサ信号に基づき、配電盤9の各機器が十分に温度低下したと判別したとき(一例として、センサ信号に基づいて特定されるヒートシンクの温度が60℃になったとき)に、電磁弁6を閉塞させると共にファン7を停止させる。これにより、配電盤9を冷却する必要がない状態において、ファン7による電力の消費が回避される。
【0033】
このように、この圧縮空気除湿装置1によれば、熱交換器4において、蒸発器24で冷却された圧縮空気と周囲の空気との間で熱交換させて周囲の空気を冷却すると共に、冷却した空気をファン7によって配電盤9に供給して配電盤9を冷却することにより、配電盤9に搭載された各機器が過剰に温度上昇して誤作動や熱破壊を招く事態を回避することができると共に、過剰な温度上昇に伴う配電盤9の動作停止を回避することができる結果、除湿を完了した圧縮空気の供給対象体に対する安定的な供給を継続することができる。
【0034】
また、この圧縮空気除湿装置1によれば、熱交換器4において周囲の空気との間で熱交換させられた圧縮空気を熱交換器3、および供給対象体に圧縮空気を供給する供給用配管12のいずれかに流入させることにより、例えば、蒸発器24で冷却されて除湿された圧縮空気の一部を熱交換器4において周囲の空気と熱交換させた後に大気中に排出する構成とは異なり、蒸発器24で冷却されることで十分に除湿されている圧縮空気を無駄にすることなく供給対象体に供給することができる。このため、圧縮空気の除湿に要したエネルギー(圧縮機21等を動作させるのに消費した電力)が配電盤9の冷却のために消費される事態を回避して、そのランニングコストを十分に低減することができる。
【0035】
さらに、この圧縮空気除湿装置1によれば、第2の熱交換処理部35において冷却されて第1の熱交換処理部34に向かって流れる圧縮空気の一部を熱交換器4に導入すると共に、熱交換器4において温度上昇させられた圧縮空気を、第1の熱交換処理部34において温度上昇させられた圧縮空気が排出口32に向かって流れる圧縮空気流路、および供給用配管12のいずれかに流入させることにより、第2の熱交換処理部35において蒸発器24で冷却された後に第1の熱交換処理部34において温度上昇させられる以前の十分に低温の圧縮空気によって熱交換器4の周囲の空気を冷却することができるため、配電盤9を確実に冷却することができると共に、例えば、熱交換器4において周囲の空気を冷却することで温度上昇させられた圧縮空気を導入口31から第2の熱交換処理部35の入り口部位までの間に流入させる構成とは異なり、第1の熱交換処理部34や第2の熱交換処理部35における圧縮空気の冷却効率(すなわち、除湿効率)を悪化させることなく、除湿が完了した後に熱交換器4の周囲の空気を冷却するのに使用されて温度上昇させられた圧縮空気を供給対象体に供給することができる。
【0036】
また、この圧縮空気除湿装置1によれば、ファン7が、配電盤9に設けられたヒートシンクに向けて空気を送風することにより、熱交換器4において冷却した空気に接して送風対象部位において結露が生じたとしても、ヒートシンクに結露水が付着した状態となるだけで、配電盤9の各機器に結露水が付着した状態となることがないため、結露水の付着に起因する各機器(配電盤9)の誤作動や故障の発生を回避することができる。
【0037】
なお、「圧縮空気除湿装置」の構成は、上記の圧縮空気除湿装置1の構成に限定されるものではない。例えば、配管5aを熱交換器3における第2の熱交換処理部35の出口近傍に接続することで、第2の熱交換処理部35における冷却が完了して第1の熱交換処理部34に向かって熱交換器3内を流れている圧縮空気の一部を熱交換器4に導入して熱交換器4の周囲の空気を冷却する構成を例に挙げて説明したが、この構成に代えて、導入口31から第2の熱交換処理部35の出口部位までの間の任意の位置に「第1の配管」を接続することで、第1の熱交換処理部34や第2の熱交換処理部35において冷却処理中の圧縮空気を熱交換器4に導入させる構成(図示せず)を採用することができる。このような構成を採用した場合においても、配電盤9を十分に冷却することができる。
【0038】
また、「第2の配管」についても、圧縮空気流路中の任意の位置(導入用配管11、または、熱交換器3内における任意の位置)に接続して、「第2の熱交換器」において周囲の空気を冷却するのに使用した圧縮空気を圧縮空気流路に流入させることができる。さらに、熱交換器4を配電盤9の近傍に配設した構成を例に挙げて説明したが、配電盤9から離間した位置に熱交換器4を配設すると共に、熱交換器4において冷却した空気を図示しないダクトを介して配電盤9に送風する構成を採用することもできる。このような構成を採用した場合においても、上記の圧縮空気除湿装置1と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 圧縮空気除湿装置
2 冷凍サイクル
3,4 熱交換器
5a〜5c 配管
6 電磁弁
7 ファン
8 コントローラ
9 配電盤
11 導入用配管
12 供給用配管
21 圧縮機
22 凝縮器
23 膨張弁
24 蒸発器
31 導入口
32 排出口
33a,33b ドレン排水口
34 第1の熱交換処理部
35 第2の熱交換処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍サイクルと、導入口から導入された圧縮空気を前記冷凍サイクルにおける蒸発器で冷却して当該圧縮空気内の水分を結露させることによって除湿して排出口から排出する第1の熱交換器と、少なくとも前記冷凍サイクルにおける圧縮機に電力を供給する配電盤とを備えた圧縮空気除湿装置であって、
前記第1の熱交換器において前記蒸発器で冷却された前記圧縮空気と周囲の空気との間で熱交換させる第2の熱交換器と、前記蒸発器で冷却された前記圧縮空気を前記第2の熱交換器に供給する第1の配管と、前記第2の熱交換器において前記圧縮空気との間で熱交換させられて冷却された前記空気を前記配電盤に供給して当該配電盤を冷却する送風機とを備えている圧縮空気除湿装置。
【請求項2】
前記第2の熱交換器において周囲の前記空気との間で熱交換させられた前記圧縮空気を前記第1の熱交換器、および前記排出口に接続されて前記除湿した圧縮空気を供給対象体に供給する圧縮空気供給用配管のいずれかに流入させる第2の配管を備えている請求項1記載の圧縮空気除湿装置。
【請求項3】
前記第1の熱交換器は、前記導入口から導入された前記圧縮空気と前記蒸発器で冷却された前記圧縮空気との間で熱交換させて当該導入口から導入された圧縮空気を冷却すると共に当該蒸発器で冷却された圧縮空気を温度上昇させる第1の熱交換処理部、および前記蒸発器内の冷媒と前記第1の熱交換処理部において冷却された前記圧縮空気との間で熱交換させて当該第1の熱交換処理部において冷却された圧縮空気を冷却する第2の熱交換処理部を備え、
前記第1の配管は、前記第2の熱交換処理部において冷却されて前記第1の熱交換処理部に向かって流れる前記圧縮空気の一部を前記第2の熱交換器に導入可能に接続され、
前記第2の配管は、前記第2の熱交換器において温度上昇させられた前記圧縮空気を、前記第1の熱交換処理部において温度上昇させられた前記圧縮空気が前記排出口に向かって流れる圧縮空気流路、および前記圧縮空気供給用配管のいずれかに流入させるように接続されている請求項2記載の圧縮空気除湿装置。
【請求項4】
前記送風機は、前記配電盤に設けられたヒートシンクに向けて前記空気を送風可能に配設されている請求項1から3のいずれかに記載の圧縮空気除湿装置。

【図1】
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