説明

圧電アクチュエータ、インクジェットヘッドアセンブリ及びその製造方法

【課題】駆動電極がフレキシブル印刷回路と正確かつ堅固に連結されて駆動電極が扁平に具備されるようにする圧電アクチュエータの提供。
【解決手段】駆動電圧を提供する上部及び下部電極127、123と、上部及び下部電極127、123の間に圧電体液が固化されて形成され、インクジェットヘッド100に具備される複数の圧力チャンバ114内のインクにそれぞれ駆動力を提供する圧電体125と、を含み、圧電体125は、複数の圧力チャンバ114それぞれの上部に個別に具備される分枝部と分枝部の一端で複数の分枝部とそれぞれ連結されながら一体に具備される大面積部とを含む圧電アクチュエータ120を含んで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電アクチュエータ、インクジェットヘッドアセンブリ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、インクジェットヘッドは、電気信号を物理的な力に変換して小さいノズルによってインクが液滴(droplet)の形態に吐出されるようにする構造体である。このようなインクジェットヘッドは、インク吐出方式によって大きく二つに分けることができる。その一つは、熱源を用いてインクにバブル(bubble)を発生させ、そのバブルの膨張力によってインクを吐出させる熱駆動方式のインクジェットヘッドであり、他の一つは、圧電体を用いてその圧電体の変形によってインクに加えられる圧力でインクを吐出させる圧電方式のインクジェットヘッドである。
【0003】
特に、圧電方式のインクジェットヘッドは、最近、産業用インクジェットプリンタに幅広く用いられている。例えば、フレキシブル印刷回路基板(FPCB)上に金、銀等の金属を溶かして作ったインクを噴射して回路パターンを直接形成させたり、産業グラフィックや液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)の製造及び太陽電池等に用いられる。
【0004】
圧電方式のインクジェットヘッドは、圧力チャンバが具備されるインクジェットヘッドプレートの上部に圧電アクチュエータを具備して圧力チャンバに満たされたインクに圧力を加えることができるようにする構造である。よって、上記圧電アクチュエータの駆動電極に電極配線をして電圧を供給しなければならない。
【0005】
しかしながら、一般的に、上記圧電アクチュエータは、圧電体液をペースト状で塗布して固化させた後に使用するため、長さ方向に長く形成される圧力チャンバに相応する形状で圧電体を形成すると、上部が扁平な形状ではなく幅方向に丸く形成されて円状を有するようになる。よって、圧電体の上部に形成される駆動電極も円状で具備されるようになる。
【0006】
円状であっても、アクチュエータ自体の役割としては問題ないが、電源供給のためにフレキシブル印刷回路(Flexible Print Circuit)と連結されるための駆動電極が円状で具備されて、半田付け等が容易ではないのみならず、一応連結されたとしても、短絡される等、不良が発生するようになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解消するためのもので、各圧力チャンバに対応するように圧電体を具備すると共に、駆動電極がフレキシブル印刷回路と正確かつ堅固に連結されて駆動電極が扁平に具備されるようにする圧電アクチュエータを提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施例による圧電アクチュエータは、駆動電圧を提供する上部及び下部電極と、上記上部及び下部電極の間に圧電体液が固化されて形成され、インクジェットヘッドに具備される複数の圧力チャンバ内のインクにそれぞれ駆動力を提供する圧電体と、を含み、上記圧電体は、複数の上記圧力チャンバそれぞれの上部に個別に具備される分枝部と上記分枝部の一端で複数の上記分枝部とそれぞれ連結されながら一体に具備される大面積部とを含むことができる。
【0009】
本発明の一実施例による圧電アクチュエータにおいて、上記上部電極は、上記分枝部から上記大面積部に延長形成されるようにそれぞれ個別に具備されることができる。
【0010】
本発明の一実施例による圧電アクチュエータの上記上部電極において、上記大面積部の上部に位置する部分には上部電極に電圧印加のための電気配線のために他の部分より幅が広く具備される接続部を具備することができる。
【0011】
本発明の一実施例による圧電アクチュエータにおいて、上記接続部は、複数の上記上部電極から長さ方向に異なる位置に具備されることができる。
【0012】
本発明の一実施例による圧電アクチュエータにおいて、上記接続部は、複数の上記上部電極でジグザグに配置されるようにされることができる。
【0013】
本発明の一実施例による圧電アクチュエータにおいて、上記大面積部の上面は、平面状であることができる。
【0014】
本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリは、インク流路が形成されるインクジェットヘッドプレートと、上記インクジェットヘッドプレート内の圧力チャンバに対応するように形成され、上記圧力チャンバからノズルへのインク吐出のための駆動力を提供する圧電アクチュエータと、を含むことができる。
【0015】
上記圧電アクチュエータは、駆動電圧を提供する上部及び下部電極と、上記上部及び下部電極の間に圧電体液が固化されて形成され、インクジェットヘッドに具備される複数の圧力チャンバ内のインクにそれぞれ駆動力を提供する圧電体と、を含むことができる。
【0016】
上記圧電体は、複数の上記圧力チャンバそれぞれの上部に個別に具備される分枝部と、上記分枝部の一端で複数の上記分枝部とそれぞれ連結されながら一体に具備される大面積部と、を含むことができる。
【0017】
本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリにおいて、上記上部電極は、上記分枝部から上記大面積部に延長形成されるようにそれぞれ個別に具備されることができる。
【0018】
本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリの上記上部電極において、上記大面積部の上部に位置する部分には上部電極に電圧印加のための電気配線のために他の部分より幅が広く具備される接続部を具備することができる。
【0019】
本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリにおいて、上記接続部は、複数の上記上部電極から長さ方向に異なる位置に具備されることができる。
【0020】
本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリにおいて、上記接続部は、複数の上記上部電極でジグザグに配置されるように具備されることができる。
【0021】
本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリは、上記インクジェットヘッドプレート上に積層され、外部から流入されるインクを上記インクジェットヘッドプレートの流入口に移動させる流路が形成されるパッケージ部と、上記パッケージ部に貫通形成されるビアに充填され、上記圧電アクチュエータの上部電極と電気的に接続する電気接続部と、をさらに含むことができる。
【0022】
本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリにおいて、上記電気接続部と上記上部電極とを電気的に連結されるようにする連結部材をさらに含むことができる。
【0023】
本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリにおいて、上記連結部材は、半田ボールからなることができる。
【0024】
本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリの製造方法は、インクジェットヘッドプレートに複数の圧力チャンバを含むインク流路を形成する段階と、上記インクジェットヘッドプレートの上部に下部電極を形成する段階と、上記下部電極の上部に複数の上記圧力チャンバそれぞれに対応するように具備される分枝部と一端で複数の上記分枝部とそれぞれ連結されながら一体に具備される大面積部とを具備するように圧電体液を塗布して固化させて圧電体を形成する段階と、上記圧電体の上部に上記分枝部から上記大面積部に延長形成されるようにそれぞれ個別に具備される上部電極を形成する段階と、を含むことができる。
【0025】
本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリの製造方法において、上記上部電極を形成する段階は、上記大面積部の上部に位置する部分には上部電極に電圧印加のための電気配線のために他の部分より幅が広く具備される接続部が具備されるようにすることができる。
【0026】
本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリの製造方法において、上記接続部は、複数の上記上部電極から長さ方向に異なる位置に具備されるようにすることができる。
【0027】
本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリの製造方法において、上記接続部は、複数の上記上部電極でジグザグに配置されるようにすることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明による圧電アクチュエータ及びインクジェットヘッドアセンブリは、外部電極がフレキシブル印刷回路と連結される部分を扁平に構成して外部電極とフレキシブル印刷回路との連結が正確かつ堅固に行われるようにすることができる。
【0029】
以下では、本発明の詳細な説明によって本発明の効果は多様に具現されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリを示す概略切開斜視図である。
【図2】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリを示す概略断面図である。
【図3】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリを示す概略平面図である。
【図4】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリの実装構造を示す概略斜視図である。
【図5】本発明の他の実施例によるインクジェットヘッドアセンブリを示す概略切開斜視図である。
【図6】本発明の他の実施例によるインクジェットヘッドアセンブリを示す概略断面図である。
【図7】本発明の他の実施例によるインクジェットヘッドアセンブリを示す概略平面図である。
【図8】本発明の他の実施例によるインクジェットヘッドアセンブリのパッケージ部のインク流路を示す概略平面図である。
【図9】本発明の他の実施例によるインクジェットヘッドアセンブリのインク流路を示す断面図である。
【図10】本発明の他の実施例によるインクジェットヘッドアセンブリの実装構造を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下では、図面を参照して本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。但し、本発明の思想は提示される実施形態に制限されず、本発明の思想を理解する当業者は、同一の思想の範囲内における他の構成要素の追加、変更、削除等によって退歩的な他の発明や本発明の思想の範囲内に含まれる他の実施形態を容易に提案できるが、それも本願発明の思想の範囲内に含まれる。
【0032】
また、各実施形態の図面に示す同一の思想の範囲内の機能が同一の構成要素は、同一参照符号を用いて説明する。
【0033】
図1は本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリを示す概略切開斜視図であり、図2は本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリを示す概略断面図であり、図3は本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリを示す概略平面図である。
【0034】
図1から図3を参照すると、本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリ100は、インク流路が形成されたインクジェットヘッドプレート110と、インクジェットヘッドプレート110にインク吐出のための駆動力を提供する圧電アクチュエータ120と、を含むことができる。
【0035】
インクジェットヘッドプレート110は、インクが流入されるインク流入口111と、インク流入口111に流入されるインクを貯蔵するリザーバ112と、圧電アクチュエータ120が装着される位置の下部に用意される多数の圧力チャンバ114と、インクを吐出する多数のノズル116と、を含むことができる。リザーバ112と圧力チャンバ114との間にはインクが吐出される際、圧力チャンバ114のインクがリザーバ112に逆流することを抑制するために多数のリストリクタ113が形成されることができる。また、圧力チャンバ114及びノズル116は、多数のダンパー115によって連結されることができる。
【0036】
インクジェットヘッドプレート110は、上記したインク流路を形成する構成要素を上部基板及び下部基板に適切に形成した後、上部基板及び下部基板をシリコン直接接合(SDB)等の方式で接合して形成されることができる。この際、上部基板は、単結晶シリコン基板やSOI基板であることができ、下部基板は、SOI基板からなることができる。また、インクジェットヘッドプレート110は、それに制限されず、より多くの基板を用いてインク流路を構成することができ、場合によっては一つの基板で具現することもできる。インク流路を形成する構成要素も例示的なものに過ぎず、要求される条件及び設計仕様によって多様な構成のインク流路が用意されることができる。
【0037】
圧電アクチュエータ120は、インクジェットヘッドプレート110の圧力チャンバ114に対応するようにインクジェットヘッドプレー110の上部に形成され、圧力チャンバ114に流入されたインクをノズル116に吐出するための駆動力を提供する。例えば、圧電アクチュエータ120は、共通電極の役割をする下部電極123と、電圧の印加によって変形される圧電膜(125、または圧電体)と、駆動電極の役割をする上部電極127と、を含んで構成されることができる。
【0038】
下部電極123は、インクジェットヘッドプレート110の全表面に形成されることができ、一つの導電性金属物質からなることができるが、チタニウム(Ti)及び白金(Pt)からなる二つの金属薄膜層で構成されることが好ましい。下部電極123は、共通電極の役割のみならず、圧電膜(または圧電体、125)とインクジェットヘッドプレート110との相互拡散を防止する拡散防止層の役割もする。
【0039】
圧電膜(または圧電体、125)は、下部電極123上に形成されることができ、ペースト状の圧電体液が固化されて形成されることができ、複数の圧力チャンバ114それぞれの上部に個別に具備される分枝部125aと、上記分枝部125aの一端で複数の上記分枝部125aとそれぞれ連結されながら一体に具備される大面積部125bと、を含むことができる。即ち、圧力チャンバ114の上部部分には、個別に分枝された分枝部125aにペースト状の圧電体液を塗布する。また、その他の部分には、全体的に連結された大面積の形状になるようにペースト状の圧電体液を塗布して固化させて、全体的におおむねフォーク(fork)のヘッド状の圧電膜(または圧電体、125)を形成するようにすることができる。
【0040】
従来の圧電アクチュエータは、圧電体液をペースト状で塗布して固化させて使用されたため、長さ方向に長く形成される圧力チャンバに相応する形状で圧電体を形成すると、上部が扁平な形状ではなく幅方向に丸く形成されて円状を有するようになる。よって、圧電体の上部に形成される駆動電極も円状で具備されるようになる。円状で具備されても、アクチュエータ自体の役割としては問題ないが、電源供給のためにフレキシブル印刷回路(Flexible Print Circuit)と連結されるための駆動電極が円状で具備されて、半田付け等が容易ではないのみならず、一応連結されても短絡される等、不良が発生するようになる。
【0041】
そのため、本発明の実施例においては、上記大面積部125bを具備するようにした。即ち、圧電体液をペースト状で塗布しても広い面積(大面積)で塗布すると、縁部分は丸い段差状を具備しても、上面部分は全体的に扁平な面を形成して固化されるため、従来の技術で円状で具備されるしかなかった圧電体を扁平にすることで、その上部に塗布される上部電極(駆動電極、127)に連結されるフレキシブル印刷回路の連結を確実かつ堅固にすることができる。
【0042】
このような圧電膜125は、圧電物質、好ましくは、PZT(Lead Zirconate Titanate)セラミック材料からなることができる。また、上述したように、上記圧電膜125は、ペースト状の圧電体液を塗布して固化させて形成されることができる。
【0043】
上部電極127は、圧電膜上に形成され、Pt、Au、Ag、Ni、Ti及びCu等の物質のうちいずれか一つの物質からなることができる。上記上部電極127は、上記分枝部125aから上記大面積部125bに延長形成されるようにそれぞれ個別に具備されることができる。即ち、上部電極127は、相互連結されず、各圧力チャンバ114に対応する個数で具備されて各圧力チャンバ112の駆動電極の役割をすることができる。
【0044】
ここで、上記上部電極127において、上記大面積部125bの上部に位置する部分には上部電極127に電圧印加のための電気配線のために他の部分より幅が広く具備される接続部127aを具備することができる。上記接続部127aは、上部電極127とフレキシブル印刷回路165aとの連結をさらに正確にするためのもので、上記上部電極127が上記フレキシブル印刷回路165aと連結される部分にはより広い接続面積を提供することができる。
【0045】
また、上記接続部127aは、複数の上記上部電極127で長さ方向に異なる位置に具備されるようにすることができる。即ち、各上部電極127において、接続部127aが具備される位置を異なるようにすることで、幅が広く具備される部分が隣接する上部電極127と短絡されることを防止できる。より詳細には、上記接続部127aは、複数の上記上部電極127においてジグザグに配置されるように具備されることができる。
【0046】
図4は本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリの実装構造を示す概略斜視図である。
【0047】
図4を参照すると、本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリの実装構造は、対称配列された第1インクジェットヘッドアセンブリ100aと、第2インクジェットヘッドアセンブリ100bと、上記第1及び第2インクジェットヘッドアセンブリ100a、100bの両側端部に配置されたインク貯留タンク160a、160bと、上記第1及び第2インクジェットヘッドアセンブリ100a、100bの上部電極と連結されるフレキシブル印刷回路165a、165bと、を含む。
【0048】
本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリは、上述したように、上部電極に接続部127aを具備し、圧電体125でフレキシブル印刷回路165a、165bが連結される部分に対応する部分を扁平に形成して、その上部に具備される上部電極127が扁平に具備されるようにすることで、フレキシブル印刷回路と上部電極との連結を容易にするのみならず、正確かつ堅固に行われるようにすることができる。
【0049】
また、本発明の他の実施例によるインクジェットヘッドアセンブリ100'は、通常的には、各ヘッドアセンブリ別に一つずつ左右配置される総二つのインク貯留タンクが必需的に求められるが、小型化及び軽量化の趨勢を反映しようと一つのインク貯留タンクのみが具備される。
【0050】
これは、上述した一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリによるインクジェットヘッドプレート110及び圧電アクチュエータ120の構成に以下で説明するパッケージ部130の構成を追加したものに該当する。以下では、パッケージ部130について詳細に説明する。
【0051】
図5は本発明の他の実施例によるインクジェットヘッドアセンブリを示す概略切開斜視図であり、図6は本発明の他の実施例によるインクジェットヘッドアセンブリを示す概略断面図であり、図7は本発明の他の実施例によるインクジェットヘッドアセンブリを示す概略平面図である。
【0052】
図5から図7を参照すると、上記パッケージ部130は、インク貯留タンクから供給されるインクをインクジェットヘッドプレート110のインク流入口111に移動させるためのインク流路が形成される流路形成層130aと、パッケージ部130とインクジェットヘッドプレート110との接合のための中間層130bからなることができる。パッケージ部130はシリコンウェハからなることができるが、この際、流路形成層130aは単結晶シリコンウェハ、中間層130bはガラスウェハで形成されることができ、流路形成層130aと中間層130bとの接合は、陽極接合(anodic bonding)やガラスフリット(glass frit)接合等によって行われることができる。
【0053】
このような本発明のパッケージ部130の構成は例示的なものに過ぎず、パッケージ部130が一つの層からなるシリコンウェハ、より多くの層からなるシリコンウェハ、またはSOIウェハからなることができ、要求される条件によって多様に設計変更されることができる。流路形成層130a及び中間層130bの上記構成も例示的なものに過ぎず、中間層130bがシリコンウェハからなって流路形成層130a及び中間層130bがシリコン直接接合によって接合されることができ、その他にも、ポリマー接合、プラズマを用いた低温シリコン直接接合、または金属接合(Eutectic Bonding)等、多様な設計変更が可能である。
【0054】
流路形成層130aは、インク貯留タンクから供給されるインクが流入されるインクインレット151と、インクジェットヘッドプレート110にインクを移動させるための流路の役割をするインク移送部152と、圧電アクチュエータ120に電圧を印加する電気配線のためのビア153と、を含むことができる。ビア153は、流路形成層130aの上下部を貫通するように形成され、圧電アクチュエータ120の上部一側に配置されることができる。この際、インクインレット151は、ビア153の反対側に形成されることができる。従って、インクジェットヘッドアセンブリの実装構造において、インク貯留タンクがインクジェットヘッドアセンブリの配列中央部に配置され、電気配線をインクジェットヘッドアセンブリの側端部に連結できることで、インクジェットヘッドアセンブリの実装面積を縮小することができる。
【0055】
インクインレット151、インク移送部152及びビア153は、エッチング工程によってシリコンウェハに形成され、特に、ビア153は、乾式エッチングによって一定の直径を有する垂直ホール状で形成されたり、流路形成層130aの下部に行くほど、直径が次第に増加する側面が傾斜された形状で形成されることができる。乾式エッチングの中でも反応性イオンエッチング(Reactive−Ion Etching、RIE)、特に、深堀り反応性イオンエッチング(Deep Reactive−Ion Etching、DRIE)工程によって形成されることができる。ビア153には電気配線用金属を充填して電気接続部154を形成する。
【0056】
電気接続部154は、電気めっき法(electroplating)によってビア153に金属をめっきすることで、形成されることができ、ここに用いられる金属としては、Pt、Au、Ag、Ni、Ti及びCu等の物質のうちいずれか一つの物質であることができる。電気接続部154は、電気的連結を確実にするために上段及び下段がビア153の周りより広く形成され、Iビーム状の断面を有することができる。電気接続部154の断面は、それに限定されず、その他にも1字型、T字型等の形態を有することができる。また、電気接続部154の側面は、ビア153の形状に対応するように垂直に形成されたり、傾斜して形成されることができる。
【0057】
電気接続部154は、圧電アクチュエータ120との連結のために下端部に連結部材155を含むことができる。連結部材155は、電気的に短絡されない水準の接合力を有する導電媒質からなり、例えば、半田ボール(solder ball)または半田バンプ等の突起型連結部材、ACF(Anisotropic Conductive Film、異方性導電フィルム)で構成されることができ、その他にも多様な荷重印加導電型媒質を用いることもできる。本実施例においては、上記連結部材155として半田ボールを用いる場合を想定している。上記連結部材155が上述した上部電極127の接続部127aと連結されることができる。
【0058】
半田ボール155の圧電アクチュエータ120への接合のための半田リフロー時に半田の漏れ現象を防止するため、圧電アクチュエータ120の上面に高分子フィルム121が塗布されることができる。この際、高分子フィルム121は、圧電アクチュエータ120の上面で半田の接合部位を除外して形成される。これは、感光性ポリマー(photoresist)等の素材を現像して形成されることができる。
【0059】
流路形成層130aの上面、ビア153が形成された面及びインク移送部152が形成された面に酸化膜156が形成されることができる。酸化膜156は、シリコンウェハからなる流路形成層130aのシリコン結晶に含有された不純物が拡散されることを防止する役割をする。酸化膜156は、流路形成層130aのシリコンを酸化させて流路形成層130aの表面に成膜した後、流路形成層130aの下部表面に形成された酸化膜を化学−機械的研磨(CMP)等によって除去して形成することができる。
【0060】
中間層130bは、流路形成層130aのインク移送部152のインクをインクジェットヘッドプレート110のインク流入口に供給する通路131と、圧電アクチュエータ120の上部を収容する収容部132と、収容部132とビア153とを連通する連通ホール133と、を含むことができる。圧電アクチュエータ120の収容部132は、中間層130bの下部から上部を向いて陥没された溝からなり、圧電アクチュエータ120の形状に対応する形状を有し、圧電アクチュエータ120の厚さ及び加工誤差を足しただけの深さで形成されることができる。このような収容部132及び連通ホール133は、ガラスウェハにサンドブラスト(sand blast)またはエッチング(etching)工程を行うことで形成されることができる。
【0061】
流路形成層130a及び中間層130bの陽極接合によって形成されたパッケージ部130は、インクジェットヘッドプレート110の上面に積層されて接合される。具体的には、中間層130bの下面及びインクジェットヘッドプレート110の上面が陽極接合またはガラスフリット接合によって接合され、この際、電気接続部154の連結部材155が圧電アクチュエータ120の上面に接合される。本実施例において、インクジェットヘッドプレート110とパッケージ部130との接合を支持するのは、縁部分の接合部になる。
【0062】
このように、本実施例によるインクジェットヘッドアセンブリ100'は、インクジェットヘッドプレート110及びパッケージ部130がウェハレベルで接合されることができるため、加工収率の上昇及び製造原価の節減等、生産性が向上する。
【0063】
図8は本発明の他の実施例によるインクジェットヘッドアセンブリのパッケージ部のインク流路を示す概略平面図であり、図9は本発明の他の実施例によるインクジェットヘッドアセンブリのインク流路を示す断面図である。
【0064】
図8及び図9を参照すると、インク貯留タンク(図示せず)からインクインレット151に流入されたインクは、インク移送部152から矢印方向に沿って移送される。この際、インクは電気接続部154を充填するためのビア153が形成された壁部の間に移動してインク移送部152の端部から中間層130bの通路131によってインクジェットヘッドプレート110のインク流入口111に移動する。
【0065】
インク流入口111によってインクジェットヘッドプレート110に流入されたインクの移動経路は図示されていないが、従来のインクジェットヘッドにおけるインク移動経路と実質的に同一である。即ち、インク流入口111に流入されたインクは、リザーバ112で多数のリストリクタ113によって圧力チャンバ114に移動し、圧電アクチュエータ120の駆動によって圧力チャンバ114内のインクは、多数のダンパー115を経由してノズル116から外部に吐出される。
【0066】
インクジェットヘッドアセンブリ100'の作動を調べると、インク貯留タンク(図示せず)からインクインレット151によって供給されたインクが図8及び図9の矢印方向に移動してインクジェットヘッドプレート110の多数の圧力チャンバ114それぞれの内部に供給される。このように圧力チャンバ114の内部にインクが満たされた状態で、FPCB(フレキシブル印刷回路基板、図示せず)と連結された電気接続部154によって圧電アクチュエータ120に電圧が印加されると、圧電膜が変形され、それにより、振動板の役割をするインクジェットヘッドプレート110の上部が下側に曲がるようになる。上記インクジェットヘッドプレート110の上部の曲げ変形によって圧力チャンバ114の嵩が減少し、それによる圧力チャンバ114内の圧力上昇によって圧力チャンバ114内のインクは、ノズル116によって外部に吐出される。
【0067】
次いで、圧電アクチュエータ120に印加された電圧が遮断されると、圧電膜は現状復元し、それによって振動板の役割をするインクジェットヘッドプレート110の上部が現状復元するようになって圧力チャンバ114の嵩が増加する。それによる圧力チャンバ114内の圧力減少及びノズル116内に形成されたインクのメニスカスによる表面張力によってリザーバ112から圧力チャンバ114の内部にインクが流入される。
【0068】
図10は本発明の他の実施例によるインクジェットヘッドアセンブリの実装構造を示す概略斜視図である。
【0069】
図10を参照すると、インクジェットヘッドアセンブリ100'の実装構造は、対称配列された第1インクジェットヘッドアセンブリ100'aと、第2インクジェットヘッドアセンブリ100'bと、上記第1及び第2インクジェットヘッドアセンブリ100'a、100'bの上部中央に配置されたインク貯留タンク170と、上記第1及び第2インクジェットヘッドアセンブリ100'a、100'bの上面に形成されて電気接続部154a、154bそれぞれに連結されたボンディング部171a、171bと、上記第1及び第2インクジェットヘッドアセンブリ100'a、100'bの圧電アクチュエータに電圧を印加するために上記ボンディング部171a、171bに連結されたFPCB172a、172bと、を含む。上記ボンディング部171a、171bは、エポキシ樹脂からなることができ、特に、ACF(異方性導電フィルム)で形成されることができる。
【0070】
このように、本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリは、圧電アクチュエータ120に電圧を印加するための電気配線をインクジェットヘッドアセンブリの表面にほぼ垂直に形成された電気接続部154によって連結することで、従来のFPCBの接合のために求められるインクジェットヘッドアセンブリの面積が顕著に減少する。従って、本実施例によるインクジェットヘッドアセンブリは、全体幅において、従来のインクジェットヘッドアセンブリの全体幅のうちFPCBの接合のための面積及びACFの接合のための面積だけ減少する。この際、インク貯留タンクは、ノズルが交互形成された対称構造のインクジェットヘッドアセンブリゼットの上部の中央部分に配置されるため、インクジェットヘッドアセンブリの実装面積が顕著に減少する。
【0071】
このようなインクジェットヘッドアセンブリの実装面積の減少は、ウェハレベルパッケージで形成されるインクジェットヘッドアセンブリの全体幅を顕著に減少させるため、一つのウェハあたりより多くの数のインクジェットヘッドアセンブリを製造することができる。従って、加工収率の上昇及び製造原価の節減等、生産性が向上する。
【0072】
次に、本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリの製造方法を簡単に説明する。
【0073】
まず、インクジェットヘッドプレートに複数の圧力チャンバを含むインク流路を形成し、上記インクジェットヘッドプレートの上部に下部電極を形成する。次いで、上記下部電極の上部に複数の上記圧力チャンバそれぞれに対応するように具備される分枝部と、一端で複数の上記分枝部とそれぞれ連結されながら一体に具備される大面積部と、を具備するようにペースト状の圧電体液を塗布して固化させて圧電体を形成する。
【0074】
また、次いで、上記圧電体の上部に上記分枝部から上記大面積部に延長形成されるようにそれぞれ個別に具備される上部電極を形成してインクジェットヘッドアセンブリを製造することができる。
【0075】
もちろん、上記状態にインク貯留タンクを設置することができ、上記圧電アクチュエータの作動のために駆動電極の上部電極を電圧印加のためのフレキシブル印刷回路と連結することができる。
【0076】
以上、本発明の好ましい実施例を詳細に説明したが、それは例示的なものに過ぎず、当該分野における通常的な知識を有する者であれば、それより多様な変形及び均等な他の実施例が可能であることを理解できる。例えば、本発明において、インクジェットヘッドアセンブリのパッケージ部の各構成要素を形成する方法はただ例示されたものであり、多様なエッチング方法を適用することができ、製造方法の各段階の順序も例示されたものと異なるようにすることができる。従って、本発明の本当の技術的保護範囲は、添付された特許の請求範囲によって定められなければならない。
【符号の説明】
【0077】
100、100' インクジェットヘッドアセンブリ
110 インクジェットヘッドプレート
120 圧電アクチュエータ
123 下部電極
125 圧電体(圧電膜)
127 上部電極
127a 連結部
130 パッケージ部
153 ビア
154 電気接続部
155 半田ボール
160a、160b、170 インク貯留タンク
171a、171b ボンディング部
172a、172b FPCB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動電圧を提供する第1電極及び第2電極と、
前記第1電極及び第2電極の間で圧電体液が固化されて形成された、インクジェットヘッドプレートに具備される複数の圧力チャンバ内のインクにそれぞれ駆動力を提供する圧電体と
を含み、
前記圧電体は、前記複数の圧力チャンバのそれぞれに対応させて具備される分枝部と前記分枝部の一端から他の分枝部のそれぞれと連結されながら前記分枝部のそれぞれと一体に具備される大面積部とを含む、圧電アクチュエータ。
【請求項2】
前記第2電極は、前記分枝部の他端側から前記大面積部に延長形成されるように、前記分枝部のそれぞれに対応させて具備される、請求項1に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項3】
前記第2電極において、前記大面積部上に位置する部分に、前記第2電極への電圧印加のための電気配線のために他の部分より幅が広く具備される接続部を具備させる、請求項2に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項4】
前記接続部のそれぞれは、複数の前記第2電極の前記延長形成の方向おける異なる位置に具備される、請求項3に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項5】
前記接続部のそれぞれは、複数の前記第2電極上において、前記延長形成の方向にジグザグに配置されるように具備される、請求項3または4に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項6】
前記大面積部の前記圧電体と対向しない側の面は、平面状である、請求項1から5の何れか1項に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項7】
インク流路が形成されるインクジェットヘッドプレートと、
前記インクジェットヘッドプレート内の圧力チャンバに対応するように形成され、前記圧力チャンバからノズルへのインク吐出のための駆動力を提供する圧電アクチュエータであって、請求項1から6の何れか1項に記載の圧電アクチュエータと
を含む、インクジェットヘッドアセンブリ。
【請求項8】
前記インクジェットヘッドプレート上に積層され、外部から流入されるインクを前記インクジェットヘッドプレートの流入口に移動させる流路が形成されるパッケージ部と、
前記パッケージ部に貫通形成されたビアに充填され、前記圧電アクチュエータの前記第2電極と電気的に接続する電気接続部と
をさらに含む、請求項7に記載のインクジェットヘッドアセンブリ。
【請求項9】
前記電気接続部と前記第2電極とが電気的に連結されるようにする連結部材をさらに含む、請求項8に記載のインクジェットヘッドアセンブリ。
【請求項10】
前記連結部材は、半田ボールからなる、請求項9に記載のインクジェットヘッドアセンブリ。
【請求項11】
インクジェットヘッドプレートに複数の圧力チャンバを含むインク流路を形成する段階と、
前記インクジェットヘッドプレート上に第1電極を形成する段階と、
前記第1電極上に、前記複数の圧力チャンバのそれぞれに対応するように具備される分枝部と当該分岐部の一端で他の分枝部のそれぞれと連結されながら前記分枝部のそれぞれと一体に具備される大面積部とを具備するように圧電体液を塗布して固化させて圧電体を形成する段階と、
前記圧電体上に、前記分枝部の他端側から前記大面積部に延長形成されるように、前記分枝部のそれぞれに対応させて具備される第2電極を形成する段階と
を含むインクジェットヘッドアセンブリの製造方法。
【請求項12】
前記第2電極を形成する段階は、前記大面積部上に位置する部分に、前記第2電極への電圧印加のための電気配線のために他の部分より幅が広い接続部を具備させる、請求項11に記載のインクジェットヘッドアセンブリの製造方法。
【請求項13】
前記接続部のそれぞれは、複数の前記第2電極の前記延長形成の方向おける異なる位置に具備される、請求項12に記載のインクジェットヘッドアセンブリの製造方法。
【請求項14】
前記接続部のそれぞれは、複数の前記第2電極上において、前記延長形成の方向にジグザグに配置されるように具備される、請求項12または13に記載のインクジェットヘッドアセンブリの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−111974(P2013−111974A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−37513(P2012−37513)
【出願日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】