説明

圧電アクチュエータの駆動速度調整方法、圧電アクチュエータの駆動装置、電子機器、圧電アクチュエータの駆動装置の制御プログラム及び記憶媒体

【課題】 圧電アクチュエータの特性にバラツキがあっても、駆動対象を所定速度で駆動でき、制御が容易でコストも低減できる圧電アクチュエータの駆動装置の提供。
【課題手段】 圧電アクチュエータの駆動装置は、圧電素子に加える駆動信号の周波数を所定範囲でスイープさせる周波数制御手段51を備える。周波数制御手段51は、駆動信号の周波数のスイープ方向を制御するスイープ方向制御部61、スイープ速度を制御するスイープ速度制御部63、周波数分解能を制御する分解能制御部62を備える。スイープ方向、スイープ速度、周波数分解能を適宜制御するだけで圧電アクチュエータの駆動速度を簡単に制御できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電アクチュエータの駆動速度調整方法、圧電アクチュエータの駆動装置、電子機器、圧電アクチュエータの駆動装置の制御プログラム及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
圧電素子は、電気エネルギーから機械エネルギーへの変換効率や、応答性に優れている。このため、近年、圧電素子の圧電効果を利用した各種の圧電アクチュエータが開発されている。この圧電アクチュエータは、圧電ブザー、プリンタのインクジェットヘッド、超音波モータ、電子時計、携帯機器等の各種電子機器の分野に応用されている。
【0003】
ところで、圧電アクチュエータは、周囲の温度や負荷等の影響で共振周波数が変動するため、圧電アクチュエータを駆動可能な駆動信号の周波数も、周囲温度や負荷等に応じて変動する。
そのため、変動する駆動信号の周波数範囲を含む広い範囲で駆動信号の周波数をスイープ(変化)させ、確実にモータを駆動させる方式が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
すなわち、特許文献1では、電圧制御発振器に三角波またはのこぎり波のスイープ電圧を出力し、電圧制御発振器の発振周波数をfLからfHまでの範囲で常時変化させ、圧電振動子を駆動可能な周波数を必ず与えることができるようにして、圧電振動子(圧電アクチュエータ)の確実な駆動を可能としている。
【0005】
【特許文献1】特公平5−16272号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、圧電アクチュエータでは、圧電素子の製造のバラツキや、圧電素子と駆動対象との接触角、当接圧力等のバラツキによって個体差や特性差が生じる。
このため、特許文献1のように、発振周波数をスイープさせた場合、圧電アクチュエータの個体差等によって圧電アクチュエータで駆動される駆動対象(被駆動体)の駆動速度、例えばロータを回転駆動する場合にはロータの回転速度にバラツキが生じるという問題があった。
また、圧電アクチュエータが劣化した場合も、駆動速度にバラツキが生じるという問題もあった。
【0007】
このような駆動速度のバラツキを無くし、駆動対象を安定して駆動するためには、駆動対象の駆動状態、例えば駆動対象がロータであれば所定時間あたりの回転数等を検出し、その情報に基づいて圧電アクチュエータの駆動をフィードバック制御する速度調整機構が必要となり、制御が複雑になると共に、コストが向上するという問題もあった。
【0008】
本発明の目的は、圧電アクチュエータの特性にバラツキがあっても、駆動対象を所定速度で駆動できるとともに、制御が容易でコスト増加も抑えることができる圧電アクチュエータの駆動速度調整方法、圧電アクチュエータの駆動装置、この圧電アクチュエータを備えた電子機器、圧電アクチュエータの駆動装置の制御プログラム、この制御プログラムを記憶した記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の圧電アクチュエータの駆動速度調整方法は、所定の周波数の駆動信号が圧電素子に与えられることで振動する振動体と、この振動体に設けられるとともに駆動対象に当接される当接部とを備えた圧電アクチュエータの駆動速度調整方法であって、前記圧電素子へ供給する駆動信号の周波数を所定範囲でスイープさせるとともに、前記周波数のスイープ方向を切り替えて圧電アクチュエータの駆動速度を調整することを特徴とする。
【0010】
本発明では、駆動信号の周波数のスイープ方向を切り替えているので、圧電アクチュエータの駆動速度を容易に調整できる。例えば、縦振動および屈曲振動を組み合わせて作動される圧電アクチュエータの場合、圧電アクチュエータの特性から、圧電素子の縦共振−屈曲共振周波数幅、つまり駆動対象に対して駆動力を与える励振を発生させる周波数幅は、スイープ方向によって異なる。すなわち、スイープ方向をダウン方向とした場合、つまり最初に高い周波数の駆動信号を入力し、その後周波数を減少した場合には、縦共振点が低い周波数側にシフトする為、縦-屈曲共振点幅が広がり回転領域が増える。このため、縦共振−屈曲共振周波数幅は、スイープ方向をダウン方向とした場合のほうが、スイープ方向をアップ方向とした場合に比べて広くなり、その分、圧電アクチュエータの駆動速度を高速にできる。
従って、圧電アクチュエータの駆動速度を向上する場合には、スイープ方向をダウン方向とし、駆動速度を低くする場合には、スイープ方向をアップ方向にすればよい。
これにより、個々の圧電アクチュエータの個体差や特性差による駆動速度のバラツキがあっても、簡単な作業でそのバラツキを軽減でき、駆動対象を所定の速度で駆動可能な圧電アクチュエータを安定して供給することができる。
さらに、圧電アクチュエータの駆動中に前記スイープ方向の切り替え制御を実施可能とすれば、圧電アクチュエータの劣化による駆動速度のバラツキに対しても容易に対応でき、駆動速度を簡単に安定させることができる。また、利用者の操作や駆動対象の状態に応じた駆動速度の切り替え制御も簡単に実施できる。
【0011】
本発明の圧電アクチュエータの駆動速度調整方法は、所定の周波数の駆動信号が圧電素子に与えられることで振動する振動体と、この振動体に設けられるとともに駆動対象に当接される当接部とを備えた圧電アクチュエータの駆動速度調整方法であって、前記圧電素子へ供給する駆動信号の周波数を所定範囲でスイープさせるとともに、前記周波数のスイープ速度を切り替えて圧電アクチュエータの駆動速度を調整することを特徴とする。
【0012】
本発明では、駆動信号の周波数のスイープ速度を切り替えているので、圧電アクチュエータの駆動速度を容易に調整できる。駆動信号の周波数のスイープ速度とは、駆動信号の周波数を変化させる場合の、単位時間あたりの駆動周波数の変更量であり、例えば、駆動信号の周波数を1秒間に100kHz変化させた場合、スイープ速度は100kHz/secとなる。
圧電アクチュエータは、起動時間および駆動対象(被駆動体)の慣性により、回転し始める期間に余裕があるほど初動がスムーズとなり、効率的に駆動対象を駆動できる。すなわち、スイープ速度が低速度つまり1回のスイープの所要時間が長いほうが、前記低速度よりも速度が速い高速度の場合に比べて、圧電アクチュエータの駆動速度を高速にできる。
【0013】
従って、圧電アクチュエータの駆動速度を向上する場合には、スイープ速度を低速にし、駆動速度を低くする場合には、スイープ速度を高速にすればよい。
これにより、前述の駆動速度調整方法と同様に、個々の圧電アクチュエータの個体差や特性差にかかわらず駆動対象を所定速度で駆動可能な圧電アクチュエータを安定して供給でき、圧電アクチュエータの劣化による駆動速度のバラツキに対しても容易に対応でき、利用者の操作や駆動対象の状態に応じた駆動速度の切り替え制御も簡単に実施できる。
【0014】
さらに、スイープ速度は、機構的に複数段階に調整しやすく、かつ、最も広い幅で速度を変化させることができるので、スイープ速度を変化させることで、圧電アクチュエータの駆動速度を所望の速度に容易に調整できる。
なお、スイープ速度の調整範囲は、圧電アクチュエータのサイズなどで設定される縦振動と屈曲振動の共振周波数に応じて設定すればよい。一例を挙げれば、スイープ速度は100kHz/sec〜1MHz/sec程度に設定すればよい。通常、1スイープ時には駆動対象を駆動できない領域も存在するため、前記スイープ速度が100kHz/sec程度以下などと低すぎると、駆動対象(被駆動体)が間欠的に動いていることが人間の目でも分かってしまう。一方、前記スイープ速度が1MHz/sec程度以上などと速すぎると、例えば、周波数範囲が240〜300kHz程度の駆動信号の1パルスに比べてスイープ速度(クロックスピード)が速くなり、速度の変化が飽和してしまう。従って、スイープ速度の調整範囲は、圧電アクチュエータのサイズなどで設定される縦振動と屈曲振動の共振周波数に応じて設定することが好ましい。
また、スイープ速度は、少なくとも2段階に切替可能に構成されていればよいが、圧電アクチュエータの駆動速度を細かく制御するために、3段階以上に切替可能に構成されていることが好ましい。例えば、100kHz/sec、500kHz/sec、1MHz/secの3段階に切替可能に構成すればよい。
【0015】
本発明の圧電アクチュエータの駆動速度調整方法は、所定の周波数の駆動信号が圧電素子に与えられることで振動する振動体と、この振動体に設けられるとともに駆動対象に当接される当接部とを備えた圧電アクチュエータの駆動速度調整方法であって、前記圧電素子へ供給する駆動信号の周波数を所定範囲でスイープさせるとともに、前記周波数の分解能を切り替えて圧電アクチュエータの駆動速度を調整することを特徴とする。
【0016】
本発明では、駆動信号の周波数分解能を切り替えているので、圧電アクチュエータの駆動速度を容易に調整できる。周波数分解能とは、スイープ周波数範囲における分割数であり、高分解能のほうが、低分解能(前記高分解能よりも低い分解能)に比べてスイープ周波数の変化量が小さくなる。
この周波数分解能は、アップダウンカウンタを用いて駆動信号の周波数をスイープさせている場合、12ビットのカウンタを用いれば10ビットのカウンタを用いた場合に比べて高分解能にできる。すなわち、スイープ周波数範囲が240〜300kHzの場合、12ビットのカウンタでは、スイープ周波数の変化量は60/4096≒0.015kHzとなり、10ビットのカウンタでは、60/1024≒0.059kHzとなる。
従って、高分解能のほうが、スイープ周波数の変化量を小さくできる。そして、圧電アクチュエータの駆動量は、駆動信号の周波数に対する駆動量の相関における累積値(積算値)であるため、分解能が細かいほどつまり高分解能のほうが、累積値が増加し、駆動速度も向上する。
【0017】
従って、圧電アクチュエータの駆動速度を向上する場合には、周波数分解能を高くしてスイープ周波数の変化量を小さくし、駆動速度を低くする場合には、周波数分解能を低くしてスイープ周波数の変化量を大きくすればよい。
これにより、前述の駆動速度調整方法と同様に、個々の圧電アクチュエータの個体差や特性差にかかわらず駆動対象を所定速度で駆動可能な圧電アクチュエータを安定して供給でき、圧電アクチュエータの劣化による駆動速度のバラツキに対しても容易に対応でき、利用者の操作や駆動対象の状態に応じた駆動速度の切り替え制御も簡単に実施できる。
【0018】
本発明の圧電アクチュエータの駆動速度調整方法は、所定の周波数の駆動信号が圧電素子に与えられることで振動する振動体と、この振動体に設けられるとともに駆動対象に当接される当接部とを備えた圧電アクチュエータの駆動速度調整方法であって、前記圧電素子へ供給する駆動信号の周波数を所定範囲でスイープさせるとともに、前記駆動信号の周波数のスイープ方向、スイープ速度および周波数分解能の少なくとも1つを制御して圧電アクチュエータの駆動速度を調整することを特徴とする。
【0019】
本発明では、駆動信号の周波数のスイープ方向、スイープ速度および周波数分解能の少なくとも1つを制御しているので、前述の各駆動速度調整方法と同様に、個々の圧電アクチュエータの個体差や特性差にかかわらず駆動対象を所定速度で駆動可能な圧電アクチュエータを安定して供給でき、圧電アクチュエータの劣化による駆動速度のバラツキに対しても容易に対応でき、利用者の操作や駆動対象の状態に応じた駆動速度の切り替え制御も簡単に実施できる。
この際、スイープ方向、スイープ速度および周波数分解能の2つを制御すれば、設定できる圧電アクチュエータの駆動速度の段階を多くできるので、駆動速度を細かく制御できる。
また、スイープ方向、スイープ速度および周波数分解能の3つを制御すれば、設定できる圧電アクチュエータの駆動速度の段階をより多くできるので、駆動速度をより細かく制御できる。
例えば、スイープ方向がダウン方向またはアップ方向の2方向に切り替え可能とされ、スイープ速度を低速度、中速度、高速度の3段階に切り替え可能とされ、周波数分解能を高分解能または低分解能の2段階に切替可能とされている場合、スイープ方向およびスイープ速度の2つを制御すれば、圧電アクチュエータの駆動速度を2×3=6段階に切り替えることができる。さらに、スイープ方向、スイープ速度、周波数分解能の3つを制御すれば、圧電アクチュエータの駆動速度を2×3×2=12段階に切り替えることができる。
【0020】
さらに、前記各発明によれば、駆動信号の周波数を所定範囲でスイープ(変化)させているので、この周波数範囲内で駆動する圧電素子であれば確実に駆動することができる。
また、駆動信号を所定周波数範囲で常時スイープさせているので、周囲温度、外乱、負荷の変動などで圧電素子の駆動周波数がばらついても、そのバラツキに無調整で対応できる。このため、駆動装置に、周囲温度、外乱、負荷の変動などを検出する検出回路や、その検出データに基づいて駆動信号の周波数を調整する調整回路を設ける必要が無く、駆動装置の構成も簡易化できる。
【0021】
本発明の圧電アクチュエータの駆動速度調整方法においては、最初に前記周波数のスイープ方向を設定し、次に前記周波数のスイープ速度を設定し、最後に前記周波数の分解能を設定して圧電アクチュエータの駆動速度を調整することが好ましい。
【0022】
スイープ方向の切替による速度差は大きいため、スイープ方向を最初に設定することで大まかな速度調整領域を設定できる。また、スイープ速度は、3段階以上にも容易に設定できるので、速度調整が行いやすい。従って、本発明の順序で調整すれば、圧電アクチュエータの駆動速度の調整を非常に簡単に行うことができる。
【0023】
本発明の圧電アクチュエータの駆動速度調整方法においては、前記周波数のスイープ方向はアップ方向またはダウン方向に切替可能とされ、前記周波数のスイープ速度は高速度または低速度の少なくとも2段階に切替可能とされ、前記周波数の周波数分解能は高分解能または低分解能の少なくとも2段階に切替可能とされ、前記スイープ速度を低速度、分解能を高分解能に設定した状態で、前記周波数のスイープ方向を切り替えて圧電アクチュエータを駆動し、圧電アクチュエータの目標速度が前記スイープ方向をダウン方向に設定した場合の駆動速度以下であり、かつスイープ方向をアップ方向に設定した場合の駆動速度よりも速い場合には、スイープ方向をダウン方向に設定し、圧電アクチュエータの目標速度が前記スイープ方向をアップ方向に設定した場合の駆動速度以下の場合には、スイープ方向をアップ方向に設定することが好ましい。
【0024】
スイープ速度を低速度、分解能を高分解能に設定しておけば、各スイープ方向において最も駆動速度が高くなる。従って、この状態でスイープ方向をダウン方向およびアップ方向に切り替えれば、各スイープ方向において調整可能な最大速度になり、目標速度と比較することで、スイープ方向を容易に設定できる。
【0025】
本圧電アクチュエータの駆動装置は、所定の周波数の駆動信号が圧電素子に与えられることで振動する振動体と、この振動体に設けられるとともに駆動対象に当接される当接部とを備えた圧電アクチュエータにおける前記圧電素子へ駆動信号を供給する圧電アクチュエータの駆動装置であって、前記圧電素子へ供給する駆動信号の周波数を所定範囲でスイープさせる周波数制御手段を備え、前記周波数制御手段は、前記駆動信号の周波数のスイープ方向を切り替えて圧電アクチュエータの駆動速度を調整することを特徴とする。
【0026】
本発明では、駆動信号の周波数のスイープ方向を切り替えているので、前述の駆動速度調整方法と同様に、圧電アクチュエータの駆動速度を容易に調整できる。
従って、前述の駆動速度調整方法と同様に、個々の圧電アクチュエータの個体差や特性差にかかわらず駆動対象を所定速度で駆動可能な圧電アクチュエータを安定して供給でき、圧電アクチュエータの劣化による駆動速度のバラツキに対しても容易に対応でき、利用者の操作や駆動対象の状態に応じた駆動速度の切り替え制御も簡単に実施できる。
【0027】
本発明の圧電アクチュエータの駆動装置は、所定の周波数の駆動信号が圧電素子に与えられることで振動する振動体と、この振動体に設けられるとともに駆動対象に当接される当接部とを備えた圧電アクチュエータにおける前記圧電素子へ駆動信号を供給する圧電アクチュエータの駆動装置であって、前記圧電素子へ供給する駆動信号の周波数を所定範囲でスイープさせる周波数制御手段を備え、前記周波数制御手段は、前記駆動信号の周波数のスイープ速度を切り替えて圧電アクチュエータの駆動速度を調整することを特徴とする。
【0028】
このような本発明では、駆動信号の周波数のスイープ速度を切り替えているので、前述の駆動速度調整方法と同様に、圧電アクチュエータの駆動速度を容易に調整できる。
従って、前述の駆動速度調整方法と同様に、個々の圧電アクチュエータの個体差や特性差にかかわらず駆動対象を所定速度で駆動可能な圧電アクチュエータを安定して供給でき、圧電アクチュエータの劣化による駆動速度のバラツキに対しても容易に対応でき、利用者の操作や駆動対象の状態に応じた駆動速度の切り替え制御も簡単に実施できる。
【0029】
本発明の圧電アクチュエータの駆動装置は、所定の周波数の駆動信号が圧電素子に与えられることで振動する振動体と、この振動体に設けられるとともに駆動対象に当接される当接部とを備えた圧電アクチュエータにおける前記圧電素子へ駆動信号を供給する圧電アクチュエータの駆動装置であって、前記圧電素子へ供給する駆動信号の周波数を所定範囲でスイープさせる周波数制御手段を備え、前記周波数制御手段は、前記駆動信号の周波数の分解能を切り替えて圧電アクチュエータの駆動速度を調整することを特徴とする。
【0030】
本発明では、駆動信号の周波数分解能を切り替えているので、前述の駆動速度調整方法と同様に、圧電アクチュエータの駆動速度を容易に調整できる。
従って、前述の駆動速度調整方法と同様に、個々の圧電アクチュエータの個体差や特性差にかかわらず駆動対象を所定速度で駆動可能な圧電アクチュエータを安定して供給でき、圧電アクチュエータの劣化による駆動速度のバラツキに対しても容易に対応でき、利用者の操作や駆動対象の状態に応じた駆動速度の切り替え制御も簡単に実施できる。
【0031】
本発明の圧電アクチュエータの駆動装置は、所定の周波数の駆動信号が圧電素子に与えられることで振動する振動体と、この振動体に設けられるとともに駆動対象に当接される当接部とを備えた圧電アクチュエータにおける前記圧電素子へ駆動信号を供給する圧電アクチュエータの駆動装置であって、前記圧電素子へ供給する駆動信号の周波数を所定範囲でスイープさせる周波数制御手段を備え、前記周波数制御手段は、前記駆動信号の周波数のスイープ方向、スイープ速度および周波数分解能の少なくとも1つを制御して圧電アクチュエータの駆動速度を調整することを特徴とする。
【0032】
本発明では、駆動信号の周波数のスイープ方向、スイープ速度および周波数分解能の少なくとも1つを制御しているので、前記駆動速度調整方法と同様に、個々の圧電アクチュエータの個体差や特性差にかかわらず駆動対象を所定速度で駆動可能な圧電アクチュエータを安定して供給でき、圧電アクチュエータの劣化による駆動速度のバラツキに対しても容易に対応でき、利用者の操作や駆動対象の状態に応じた駆動速度の切り替え制御も簡単に実施できる。
【0033】
本発明の圧電アクチュエータの駆動装置においては、前記周波数制御手段は、駆動信号の周波数のスイープ方向を制御するスイープ方向制御部と、駆動信号の周波数のスイープ速度を制御するスイープ速度制御部と、駆動信号の周波数の分解能を制御する周波数分解能制御部とを備えていることが好ましい。
【0034】
この構成の発明では、スイープ方向制御部によって、駆動信号の周波数のスイープ方向が設定され、スイープ速度制御部によって、駆動信号の周波数のスイープ速度が設定され、周波数分解能制御部によって、駆動信号の周波数分解能が設定される。このため、スイープ方向、スイープ速度、周波数分解能を独立して設定できるので、制御が容易になるとともに、様々な組合せによって圧電アクチュエータの駆動速度を設定でき、各圧電アクチュエータの個体差等があっても、所定の速度に容易に設定できる。
【0035】
本発明の圧電アクチュエータの駆動装置においては、前記周波数制御手段は、クロック信号を出力するとともに前記クロック信号の周波数を可変可能な第1の可変周波数発振器と、電圧調整回路と、前記電圧調整回路から出力される電圧によって出力信号の周波数を可変可能な第2の可変周波数発振器と、制御回路とを備え、前記電圧調整回路は、前記第1の可変周波数発振器から出力されるクロック信号が入力されるアップダウンカウンタと、このアップダウンカウンタのカウンタ値に基づいて出力電圧の電圧値を設定するデジタル/アナログ変換器とを備え、前記制御回路は、前記クロック信号の入力をアップダウンカウンタのアップ入力またはダウン入力に切り替えてスイープ方向を選択するスイープ方向制御部と、前記第1の可変周波数発振器から出力されるクロック信号の周波数を変更してスイープ速度を制御するスイープ速度制御部と、前記アップダウンカウンタのビット数を設定して周波数分解能を制御する周波数分解能制御部とを備えることが好ましい。
【0036】
この構成の発明によれば、制御回路によって、アップダウンカウンタのクロック入力の選択でスイープ方向を制御でき、クロック信号の周波数を可変することでスイープ速度を制御でき、カウンタのビット数を変更することで周波数分解能を制御できる。このため、スイープ方向、スイープ速度、周波数分解能を極めて簡単な構成で制御できる。
【0037】
本発明の電子機器は、所定の周波数の駆動信号が圧電素子に与えられることで振動する振動体及びこの振動体に設けられるとともに駆動対象に当接される当接部を有する圧電アクチュエータと、この圧電アクチュエータの駆動装置とを備えることを特徴とする。
この構成の発明では、駆動速度の調整が容易な圧電アクチュエータを備えているので、特に腕時計などの小型で携帯に適した電子機器において、圧電アクチュエータの個体差等にかかわらず、安定した駆動を実現できる。
【0038】
本発明の圧電アクチュエータの駆動装置の制御プログラムは、所定の周波数の駆動信号が圧電素子に与えられることで振動する振動体と、この振動体に設けられるとともに駆動対象に当接される当接部とを備えた圧電アクチュエータにおける前記圧電素子へ駆動信号を供給する圧電アクチュエータの駆動装置の制御プログラムであって、前記駆動装置に組み込まれたコンピュータを、前記圧電素子へ供給する駆動信号の周波数を所定範囲でスイープさせるとともに、前記駆動信号の周波数のスイープ方向、スイープ速度および周波数分解能の少なくとも1つを制御して圧電アクチュエータの駆動速度を調整する周波数制御手段として機能させることを特徴とする。
また、本発明の記憶媒体は、前記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であることを特徴とする。
【0039】
このような本発明によれば、駆動装置に組み込まれたコンピュータを前記各手段として機能させることで、前述と同様に、個々の圧電アクチュエータの個体差や特性差にかかわらず駆動対象を所定速度で駆動可能な圧電アクチュエータを安定して供給でき、圧電アクチュエータの劣化による駆動速度のバラツキに対しても容易に対応でき、利用者の操作や駆動対象の状態に応じた駆動速度の切り替え制御も簡単に実施できる。
そして、各手段をコンピュータで構成すれば、プログラムを変更するだけで、容易に条件を変更できるため、駆動対象等に応じた適切な制御を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
まず、電子機器の実施形態として、圧電アクチュエータによって駆動される日付表示機構を備えた電子時計を例示する。
【0041】
[1.全体構成]
図1は、本実施形態にかかる電子時計1の日付表示機構90を示す平面図である。この図1において、日付表示機構90の主要部は、圧電アクチュエータ91と、この圧電アクチュエータ91によって回転駆動される駆動対象(被駆動体)としてのロータ92と、ロータ92の回転を減速しつつ伝達する減速輪列と、減速輪列を介して伝達される駆動力により回転する日車93とから大略構成されている。減速輪列は、日回し中間車94と日回し車95とを備えている。これらの圧電アクチュエータ91、ロータ92、日回し中間車94、および日回し車95は、底板9Aに支持されている。
【0042】
日付表示機構90の上方には、円盤状の文字板(図示せず)が設けられており、この文字板の外周部の一部には日付を表示するための窓部が設けられ、窓部から日車93の日付を覗けるようになっている。また、底板9Aの下方(裏側)には、ステッピングモータに接続されて指針を駆動する運針輪列(図示せず)や、電源としての二次電池9B等が設けられている。二次電池9Bは、ステッピングモータや圧電アクチュエータ91、印加装置(図示せず)の各回路に電力を供給する。なお、二次電池9Bに、ソーラ(太陽光)発電や回転錘の回転を利用した発電を行う発電機が接続され、この発電機によって発電した電力が二次電池9Bに充電される構造であってもよい。また、電源は、発電機で充電される二次電池9Bに限らず、一般的な一次電池(例えば、リチウムイオン電池)でもよい。
【0043】
日回し中間車94は、大径部941と小径部942とから構成されている。小径部942は、大径部941よりも若干小径の円筒形であり、その外周面には、略正方形状の切欠部943が形成されている。この小径部942は、大径部941に対し、同心をなすように固着されている。大径部941には、ロータ92の上部の歯車921が噛合している。したがって、大径部941と小径部942とからなる日回し中間車94は、ロータ92の回転に連動して回転する。
日回し中間車94の側方の底板9Aには、板バネ944が設けられており、この板バネ944の基端部が底板9Aに固定され、先端部が略V字状に折り曲げられて形成されている。板バネ944の先端部は、日回し中間車94の切欠部943に出入可能に設けられている。板バネ944に近接した位置には、接触子945が配置されており、この接触子945は、日回し中間車94が回転し、板バネ944の先端部が切欠部943に入り込んだときに、板バネ944と接触するようになっている。そして、板バネ944には、所定の電圧が印加されており、接触子945に接触すると、その電圧が接触子945にも印加される。従って、接触子945の電圧を検出することによって、日送り状態を検出でき、日車93の1日分の回転量が検出できる。
なお、日車93の回転量は、板バネ944や接触子945を用いたものに限らず、ロータ92や日回し中間車94の回転状態を検出して所定のパルス信号を出力するものなどが利用でき、具体的には、公知のフォトリフレクタ、フォトインタラプタ、MRセンサ等の各種の回転エンコーダ等が利用できる。
【0044】
日車93は、リング状の形状をしており、その内周面に内歯車931が形成されている。日回し車95は、五歯の歯車を有しており、日車93の内歯車931に噛合している。また、日回し車95の中心には、シャフト951が設けられており、このシャフト951は、底板9Aに形成された貫通孔9Cに遊挿されている。貫通孔9Cは、日車93の周回方向に沿って長く形成されている。そして、日回し車95およびシャフト951は、底板9Aに固定された板バネ952によって図1の右上方向に付勢されている。この板バネ952の付勢作用によって日車93の揺動も防止される。
【0045】
図2には、圧電アクチュエータ91およびロータ92の拡大図が示されている。この図2に示されるように、圧電アクチュエータ91は、略矩形板状の補強板911と、補強板911の両面に接着された圧電素子912とを備えている。
補強板911の長手方向略中央には、両側に突出する腕部913が形成されており、これらの腕部913の一方がビスなどによって底板9Aに固定されている。なお、他方の腕部913は、底板9Aには固定されず、フリーの状態となっており、圧電アクチュエータ91が振動する場合に振動のバランスをとる錘となっている。
補強板911の対角線上両端には、補強板911の長手方向に沿って突出する略半円形の凸部914がそれぞれ形成されている。これらの凸部914のうち一方は、ロータ92の側面に当接されている。
【0046】
圧電素子912は、略矩形板状に形成され、補強板911両面の略矩形状部分に接着されている。圧電素子912の両面には、めっき層によって電極が形成されている。圧電素子912の表面には、溝でめっき層が絶縁されることにより略矩形状の検出電極912Bが形成されている。この検出電極912Bは、圧電素子912の長手方向中央よりもロータ92側で、かつ、圧電素子912の短手方向中央よりも凸部914側に形成されている。検出電極912B以外の部分は駆動電極912Aとなっている。ここで、検出電極912Bの面積は、駆動電極912Aの面積の30分の1以上7分の1以下に設定されており、より望ましくは15分の1以上10分の1以下に設定されている。
【0047】
このような圧電アクチュエータ91の駆動電極912Aに所定周波数の電圧を印加すると、圧電素子912が長手方向に沿って伸縮する縦一次振動モードの振動を励振する。このとき、圧電アクチュエータ91の対角線上両端には凸部914が設けられているので、圧電アクチュエータ91は全体として長手方向中心線に対して重量がアンバランスとなる。このアンバランスにより、圧電アクチュエータ91は長手方向に略直交する方向に屈曲する屈曲二次振動モードの振動を励振する。したがって、圧電アクチュエータ91は、これらの縦一次振動モードおよび屈曲二次振動モードを組み合わせた振動を励振し、凸部914は、略楕円軌道を描いて振動する。このとき、圧電アクチュエータ91が片側の腕部913のみで固定されていること、および凸部914が対角線上端部に設けられてロータ92からの反力を受けることなどにより、縦一次振動モードの振動の節と、屈曲二次振動モードの振動の節とは、圧電素子912の中央からずれた位置となる。つまり、検出電極912Bは、圧電アクチュエータ91において、縦一次振動モードの振動の節を含み、かつ屈曲二次振動モードの振動の節を含んだ位置に形成されている。従って、本実施形態では、補強板911、圧電素子912により振動体が構成され、凸部914により当接部が構成されている。
【0048】
駆動電極912A、検出電極912B、および補強板911は、それぞれリード線などにより図示しない駆動装置(印加装置)に接続されている。駆動装置の具体的構成は後述する。
ロータ92には、板ばね922が取り付けられており、ロータ92が圧電アクチュエータ91側に付勢されている。これにより凸部914とロータ92側面との間に適切な摩擦力が発生し、圧電アクチュエータ91の駆動力の伝達効率が良好となる。
【0049】
このような時計1では、駆動装置が圧電アクチュエータ91への駆動信号を制御することにより、所定の周波数の駆動信号が印加されると、圧電アクチュエータ91は、縦一次振動モードと屈曲二次振動モードとを組み合わせた振動を励振する。凸部914は、これらの振動モードを組み合わせた略楕円軌道を描いて振動し、その振動軌道の一部でロータ92を押圧することによりロータ92を回転駆動する。
ロータ92の回転運動は、日回し中間車94に伝達され、切欠部943に日回し車95の歯が係合すると、日回し中間車94によって日回し車95が回転し、日車93を回転させる。この回転により日車93が表示する日付が変更される。
【0050】
[2.圧電アクチュエータの駆動装置及び駆動方法]
次に、圧電アクチュエータ91の駆動装置50の構成を図3,4に基づいて説明する。
図3において、駆動装置50は、圧電アクチュエータ91の圧電素子912に対して駆動信号を出力する駆動回路55と、駆動回路55から出力される駆動信号の周波数を制御する周波数制御手段51とを備えて構成される。
【0051】
周波数制御手段51は、図4にも示すように、第1の可変周波数発振器53、電圧調整回路54、第2の可変周波数発振器56、制御回路60を備えて構成されている。
電圧調整回路54は、UDカウンタ544およびD/A変換器545を備えて構成されている。制御回路60は、スイープ方向制御部61、周波数分解能制御部62、スイープ速度制御部63を備えて構成されている。
【0052】
第1の可変周波数発振器53は、所定の周波数のクロック信号を電圧調整回路54に対して出力するものである。可変周波数発振器53から出力されるクロック信号の周波数は、制御回路60のスイープ速度制御部63によって制御されている。本実施形態の可変周波数発振器53は、100kHz、500kHz、1MHzの3種類の周波数のクロック信号を出力可能に構成され、スイープ速度制御部63によって選択された周波数のクロック信号が出力されている。
【0053】
電圧調整回路54は、出力する電圧を所定範囲内で増減させるとともに、制御回路60からの指示に基づいて、その電圧の増減方向および増減速度を切り換えるように構成されている。この電圧調整回路54の構成の一例を図4に示す。
電圧調整回路54は、アップダウンカウンタ(UDカウンタ)544と、このUDカウンタ544から出力されたデジタル信号をアナログ信号に変換するデジタル/アナログ変換器(D/A変換器)545とを備えている。
【0054】
D/A変換器545は、内部にUDカウンタ544のカウンタ値に応じた周波数制御電圧値が設定されている。そして、このD/A変換器545は、UDカウンタ544から出力されるカウンタ値を入力すると、このカウンタ値に応じた周波数制御電圧値に相当する周波数制御電圧を可変周波数発振器56に出力する。
可変周波数発振器56は、D/A変換器545から出力される電圧に応じた周波数信号を駆動回路55に出力し、駆動回路55は入力された信号の周波数に応じた周波数の駆動信号を圧電素子912に出力する。
【0055】
このため、UDカウンタ544のカウンタ値によって駆動信号の周波数が設定される。ここで、UDカウンタ544のカウンタ値の変化方向によって、駆動信号の周波数のスイープ方向が設定される。また、UDカウンタ544のカウンタ値の変化速度つまりは可変周波数発振器53から出力されるクロック信号の周波数によって駆動信号の周波数のスイープ速度が設定される。さらに、UDカウンタ544のビット数によって、駆動信号の周波数分解能が設定される。
【0056】
UDカウンタ544は、可変周波数発振器53から入力されるクロック信号を計数し、その計数値をD/A変換器545に出力する。
UDカウンタ544には、カウンタ値を減少させる際にクロック信号を入力するダウン入力部と、カウンタ値を増加させる際にクロック信号を入力するアップ入力部とが設けられており、可変周波数発振器53からのクロック信号をどちらの入力部に入力するかは、制御回路60のスイープ方向制御部61によって選択されている。
【0057】
すなわち、スイープ方向制御部61は、スイープ方向をダウン方向に制御する場合には、UDカウンタ544のカウンタ値の初期値を最大値にセットし、かつ可変周波数発振器53からのクロック信号をダウン入力部に入力させるように制御する。
また、スイープ方向制御部61は、スイープ方向をアップ方向に制御する場合には、UDカウンタ544のカウンタ値の初期値を最小値にセットし、かつ可変周波数発振器53からのクロック信号をアップ入力部に入力させるように制御する。
【0058】
また、UDカウンタ544のビット数は、制御回路60の周波数分解能制御部62によって設定されている。本実施形態では、10ビット(低分解能)と12ビット(高分解能)を選択できるように構成されている。
なお、UDカウンタ544において選択可能なビット数は、10ビットおよび12ビットに限らず、スイープする周波数幅等に応じて選択すればよい。すなわち、分解能(カウンタ値が1変化した際の周波数の変化量)を0.01〜0.25kHz程度にし、スイープ周波数幅を50〜100kHz程度にした場合には、10〜12ビット程度のカウンタを用いる必要があるが、スイープ周波数幅がより小さければ、よりビット数の小さなカウンタ、例えば8ビットおよび9ビットで選択可能なカウンタを利用することもできる。
【0059】
次に、本実施形態における圧電アクチュエータの駆動速度調整方法について説明する。
まず、時計1の生産ラインにおける作業者が、圧電アクチュエータ91で回転駆動されるロータ92の回転速度を計測する。
そして、圧電アクチュエータ91の個体差や、ロータ92および圧電アクチュエータ91を時計1内に組み込んだ際の接触角や圧力のバラツキによって、前記ロータ92の回転速度が予め設定された所定の回転速度と異なる場合には、作業者は、制御回路60の制御部61〜63を介して、スイープ方向、スイープ速度、周波数分解能を設定し、ロータ92の回転速度を調整すればよい。
【0060】
スイープ方向、スイープ速度、周波数分解能の組合せによって設定される各駆動速度の一例を図5に示す。図5の例は、電子時計の日付表示機構用に圧電アクチュエータを用いた場合の例であり、電圧3V、駆動力7.5g、スイープ周波数範囲に対する駆動周波数範囲が3(スイープ領域):1(回転領域)になるように設定した場合の駆動速度である。具体的には、スイープ周波数は240〜300kHzとし、回転領域は略260〜280kHzの範囲であった場合の例である。
なお、スイープ方向は、ダウン方向またはアップ方向のいずれかに設定され、スイープ速度は、100kHz/sec、500kHz/sec、1MHz/secの3段階に切替可能に構成され、周波数分解能は12ビット、10ビットの2段階に切替可能に構成されている。
【0061】
図5からも明らかなように、駆動速度の調整に影響が大きいのは、スイープ方向、スイープ速度、周波数分解能の順である。
スイープ方向は、その切り替えによる速度差が大きく、この方向設定によって他のスイープ速度、周波数分解能を設定した場合の駆動速度が大きく変動する。従って、目標となる駆動速度に調整する場合、スイープ方向を最初に設定することが好ましい。
【0062】
スイープ速度は、最も広い幅で駆動速度を変化させることができ、かつ、可変周波数発振器53によってクロック信号の周波数を変更するだけで実現できる点で機能的に複数段階、例えば3〜6段階程度にも調整しやすいため、目標となる駆動速度に調整するための速度調整手段として最も適している。
なお、図5の例では、可変周波数発振器53から出力するクロック信号の周波数は、100kHz〜1MHz程度の範囲が好ましい。通常、1スイープ時には駆動対象を駆動できない領域も存在するため、100kHz/sec以下とスイープ速度が低すぎると、駆動対象(被駆動体)が間欠的に動いていることが人間の目でも分かってしまう。一方、前記スイープ速度が1MHz/sec以上と速すぎると、駆動信号の1パルスに比べてスイープ速度が速くなり、速度の変化が飽和してしまう。従って、前記100kHz/sec〜1MHz/sec程度の範囲が好ましい。
このようなクロック信号の周波数の最適範囲、つまりスイープ速度の調整範囲は、圧電アクチュエータのサイズなどで設定される縦振動と屈曲振動の共振周波数に応じて設定することが好ましい。
【0063】
周波数分解能(ビット数)は、その切替による速度差は比較的大きいが、速度変化の段階は数段階に限られる。このビット数は、大きければ大きいほど駆動速度は向上するが、UDカウンタ544としては10ビット〜12ビット程度が一般的であり、価格的にも安価である。
【0064】
[3.実施形態の効果]
本実施形態によれば、次の作用効果を奏することができる。
(1)本実施形態の圧電アクチュエータ91の駆動装置50は、圧電素子912を駆動する駆動信号の周波数のスイープ方向、スイープ速度、周波数分解能を適宜切り替えることで圧電アクチュエータ91の駆動速度を調整できる。このため、個々の圧電アクチュエータ91の個体差や特性差による駆動速度のバラツキを簡単な作業で無くすことができ、駆動対象を所定速度で駆動可能な圧電アクチュエータ91を安定して製造、供給することができる。
また、予めスイープ方向、スイープ速度、周波数分解能を適宜設定するだけで、圧電アクチュエータ91の駆動速度を調整しておくことができるので、従来のように、圧電アクチュエータの駆動速度を検出してその都度調整するような速度調整機構を不要にでき、駆動制御が容易になり、かつコストも低減できる。
【0065】
(2)本実施形態では、スイープ方向(2方向)、スイープ速度(3段階)、周波数分解能(2段階)の3種類のパラメータを組み合わせて設定できるようにしているので、駆動速度を12段階に調整することができ、駆動速度を細かく調整できる。
【0066】
(3)本実施形態の圧電アクチュエータの駆動装置50は、圧電素子912を駆動する駆動信号を、所定周波数範囲内でスイープさせているので、この周波数範囲内で駆動する圧電素子912であれば確実に駆動することができる。このため、圧電素子912を用いた超音波モータであれば、非駆動体を確実に回転させることができる。
【0067】
(4)また、駆動信号を所定周波数範囲で常時スイープさせているので、周囲温度、外乱、負荷の変動などで圧電素子912の駆動周波数がばらついても、そのバラツキに無調整で対応できる。このため、駆動装置50に、周囲温度、外乱、負荷の変動などを検出する検出回路や、その検出データに基づいて駆動信号の周波数を調整する調整回路を設ける必要が無く、駆動装置50の構成も簡易化できる。
【0068】
(5)電圧調整回路54を、UDカウンタ544、D/A変換器545を備えて構成し、スイープ速度変化を可変周波数発振器53から出力されるクロック信号の周波数で制御できるので、速度変化の幅を広くでき、スイープ速度を複数段階に容易に調整できる。
また、周波数分解能は、UDカウンタ544のビット数によって設定できるので、周波数分解能も容易に切り替えることができる。
【0069】
(6)電子時計を、圧電素子912を有する振動体及びこの振動体に設けられるとともに駆動対象に当接される凸部914を有する圧電アクチュエータ91と、前述の構成の駆動装置50と、圧電アクチュエータ91によって駆動される日付表示機構90と、を備えて構成したので、消費電力が少なく、安定した駆動制御を短時間で達成できる電子時計を提供することができる。
【0070】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、圧電アクチュエータの個体差等による駆動速度のバラツキを予め無くすために本発明を用いていたが、被駆動体の駆動中に、その駆動速度を検出して速度調整を行うフィードバック制御時に本発明を用いてもよい。
また、例えば、可動玩具などにおいて、利用者が高速駆動と低速駆動等、駆動速度を切り替えて操作可能な場合に、その速度切替のために本発明を用いてもよい。
要するに、本発明は、目標となる駆動速度に合わせるための速度調整に限らず、利用者の操作や駆動対象の状態に応じて積極的に駆動速度を切り替える場合にも利用できる。
【0071】
また、前記実施形態では、スイープ方向、スイープ速度、周波数分解能の3つのパラメータを制御していたが、これらの3つのパラメータのうちの1種類または2種類のみを制御してもよい。例えば、可動玩具で2種類の速度調整が行えばよい場合など、駆動速度の調整段階が少なくて良い場合には、1種類または2種類のパラメータのみで制御してもよい。なお、制御対象のパラメータが1または2種類のみでよい場合には、制御回路60には、スイープ方向制御部61、分解能制御部62、スイープ速度制御部63のいずれか1つ、あるいは2つのみ設ければよい。
【0072】
また、スイープ方向は、ダウン方向またはアップ方向の2段階しか設定できないが、他のスイープ速度や周波数分解能は、2段階以上に設定できる。従って、これらの設定数は、必要とする駆動速度の調整段階などに応じて設定すればよい。すなわち、前記実施形態では、スイープ速度は3段階に切り替えていたが、2段階に切り替えてもよいし、4段階以上に切り替えてもよい。また、周波数分解能は、2段階に切り替えていたが、3段階以上に切り替えてもよい。
【0073】
周波数制御手段51としては、前記UDカウンタ544を有する電圧調整回路54を用いたものに限らず、異なる時定数を有する複数のループフィルタを用いた電圧調整回路を有するものなどでもよく、要するに、駆動回路55から圧電素子912に出力される駆動信号の周波数をスイープ可能であり、かつそのスイープ方向、スイープ速度、周波数分解能の少なくとも1つを複数段階に変更可能なものであればよい。
【0074】
さらに、本発明では、制御部内の各手段等は、各種論理素子等のハードウェアで構成されたものや、CPU(中央処理装置)、メモリ(記憶装置)等を備えたコンピュータを時計や携帯機器内に設け、このコンピュータに所定のプログラムやデータ(各記憶部に記憶されたデータ)を組み込んで各手段を実現させるように構成したものでもよい。
ここで、前記プログラムやデータは、時計や携帯機器内に組み込まれたRAMやROM等のメモリに予め記憶しておけばよい。また、例えば、時計や携帯機器内のメモリに所定の制御プログラムやデータをインターネット等の通信手段や、CD−ROM、メモリカード等の記録媒体を介してインストールしてもよい。そして、メモリに記憶されたプログラムでCPU等を動作させて、各手段を実現させればよい。なお、時計や携帯機器に所定のプログラム等をインストールするには、その時計や携帯機器にメモリカードやCD−ROM等を直接差し込んで行ってもよいし、これらの記憶媒体を読み取る機器を外付けで時計や携帯機器に接続してもよい。さらには、LANケーブル、電話線等を時計や携帯機器に接続して通信によってプログラム等を供給しインストールしてもよいし、無線によってプログラムを供給してインストールしてもよい。
【0075】
このような記録媒体やインターネット等の通信手段で提供される制御プログラム等を時計や携帯機器に組み込めば、プログラムの変更のみで前記各発明の機能を実現できるため、工場出荷時あるいは利用者が希望する制御プログラムを選択して組み込むこともできる。この場合、プログラムの変更のみで制御形式の異なる各種の時計や携帯機器を製造できるため、部品の共通化等が図れ、バリエーション展開時の製造コストを大幅に低減できる。
【0076】
また、本発明は、前記実施形態の電子時計に適用されるものに限らない。すなわち、本発明の圧電アクチュエータの駆動方法や、駆動装置を採用した電子機器としては、腕時計、置時計、柱時計等の電子時計に限らず、各種の電子機器に本発明が適用可能であり、特に小型化が要求される携帯用の電子機器に好適である。ここで、各種の電子機器としては、時計機能を備えた電話、携帯電話、非接触ICカード、パソコン、携帯情報端末(PDA)、カメラ等が例示できる。また、時計機能を備えないカメラ、ディジタルカメラ、ビデオカメラ、カメラ機能付き携帯電話等の電子機器にも適用可能である。これらカメラ機能を備えた電子機器に適用する場合には、レンズの合焦機構や、ズーム機構、絞り調整機構等の駆動に本発明の駆動手段を用いることができる。さらに、計測機器のメータ指針の駆動機構や、可動玩具の駆動機構、自動車等のインパネ(instrumental panel)のメータ指針の駆動機構、圧電ブザー、プリンタのインクジェットヘッド、超音波モータ等に本発明の駆動手段を用いてもよい。
【0077】
また、前記実施形態では、圧電アクチュエータを電子時計1の日付表示機構の駆動に用いていたが、これに限らず、電子時計1の時刻表示針(指針)の駆動に用いてもよい。このようにすれば、通常、指針を駆動するステッピングモータを圧電アクチュエータに置き換えることで、電子時計1の一層の薄型化が実現できるとともに、圧電アクチュエータがステッピングモータよりも磁性の影響を受けにくいことから、電子時計の高耐磁化をも図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施形態に係る電子時計における日付表示機構の主要部の構成を示す平面図である。
【図2】前記電子時計で用いられる圧電アクチュエータを示す平面図である。
【図3】圧電アクチュエータの駆動装置の内部構成を示すブロック図である。
【図4】周波数制御手段の内部構成を示すブロック図である。
【図5】スイープ方向、スイープ速度、周波数分解能と駆動速度との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0079】
1…電子時計、50…駆動装置、51…周波数制御手段、53…可変周波数発振器、54…電圧調整回路、55…駆動回路、56…可変周波数発振器、60…制御回路、61…スイープ方向制御部、62…分解能制御部、63…スイープ速度制御部、90…日付表示機構、91…圧電アクチュエータ、92…ロータ、93…日車、544…UDカウンタ、545…D/A変換器、911…補強板、912…圧電素子、912A…駆動電極、912B…検出電極、914…凸部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の周波数の駆動信号が圧電素子に与えられることで振動する振動体と、この振動体に設けられるとともに駆動対象に当接される当接部とを備えた圧電アクチュエータの駆動速度調整方法であって、
前記圧電素子へ供給する駆動信号の周波数を所定範囲でスイープさせるとともに、
前記周波数のスイープ方向を切り替えて圧電アクチュエータの駆動速度を調整することを特徴とする圧電アクチュエータの駆動速度調整方法。
【請求項2】
所定の周波数の駆動信号が圧電素子に与えられることで振動する振動体と、この振動体に設けられるとともに駆動対象に当接される当接部とを備えた圧電アクチュエータの駆動速度調整方法であって、
前記圧電素子へ供給する駆動信号の周波数を所定範囲でスイープさせるとともに、
前記周波数のスイープ速度を切り替えて圧電アクチュエータの駆動速度を調整することを特徴とする圧電アクチュエータの駆動速度調整方法。
【請求項3】
所定の周波数の駆動信号が圧電素子に与えられることで振動する振動体と、この振動体に設けられるとともに駆動対象に当接される当接部とを備えた圧電アクチュエータの駆動速度調整方法であって、
前記圧電素子へ供給する駆動信号の周波数を所定範囲でスイープさせるとともに、
前記周波数の分解能を切り替えて圧電アクチュエータの駆動速度を調整することを特徴とする圧電アクチュエータの駆動速度調整方法。
【請求項4】
所定の周波数の駆動信号が圧電素子に与えられることで振動する振動体と、この振動体に設けられるとともに駆動対象に当接される当接部とを備えた圧電アクチュエータの駆動速度調整方法であって、
前記圧電素子へ供給する駆動信号の周波数を所定範囲でスイープさせるとともに、
前記駆動信号の周波数のスイープ方向、スイープ速度および周波数分解能の少なくとも1つを制御して圧電アクチュエータの駆動速度を調整することを特徴とする圧電アクチュエータの駆動速度調整方法。
【請求項5】
請求項4に記載の圧電アクチュエータの駆動速度調整方法において、
最初に前記周波数のスイープ方向を設定し、次に前記周波数のスイープ速度を設定し、最後に前記周波数の分解能を設定して圧電アクチュエータの駆動速度を調整することを特徴とする圧電アクチュエータの駆動速度調整方法。
【請求項6】
請求項5に記載の圧電アクチュエータの駆動速度調整方法において、
前記周波数のスイープ方向はアップ方向またはダウン方向に切替可能とされ、
前記周波数のスイープ速度は高速度または低速度の少なくとも2段階に切替可能とされ、
前記周波数の周波数分解能は高分解能または低分解能の少なくとも2段階に切替可能とされ、
前記スイープ速度を低速度、分解能を高分解能に設定した状態で、前記周波数のスイープ方向を切り替えて圧電アクチュエータを駆動し、圧電アクチュエータの目標速度が前記スイープ方向をダウン方向に設定した場合の駆動速度以下であり、かつスイープ方向をアップ方向に設定した場合の駆動速度よりも速い場合には、スイープ方向をダウン方向に設定し、圧電アクチュエータの目標速度が前記スイープ方向をアップ方向に設定した場合の駆動速度以下の場合には、スイープ方向をアップ方向に設定することを特徴とする圧電アクチュエータの駆動速度調整方法。
【請求項7】
所定の周波数の駆動信号が圧電素子に与えられることで振動する振動体と、この振動体に設けられるとともに駆動対象に当接される当接部とを備えた圧電アクチュエータにおける前記圧電素子へ駆動信号を供給する圧電アクチュエータの駆動装置であって、
前記圧電素子へ供給する駆動信号の周波数を所定範囲でスイープさせる周波数制御手段を備え、
前記周波数制御手段は、前記駆動信号の周波数のスイープ方向を切り替えて圧電アクチュエータの駆動速度を調整することを特徴とする圧電アクチュエータの駆動装置。
【請求項8】
所定の周波数の駆動信号が圧電素子に与えられることで振動する振動体と、この振動体に設けられるとともに駆動対象に当接される当接部とを備えた圧電アクチュエータにおける前記圧電素子へ駆動信号を供給する圧電アクチュエータの駆動装置であって、
前記圧電素子へ供給する駆動信号の周波数を所定範囲でスイープさせる周波数制御手段を備え、
前記周波数制御手段は、前記駆動信号の周波数のスイープ速度を切り替えて圧電アクチュエータの駆動速度を調整することを特徴とする圧電アクチュエータの駆動装置。
【請求項9】
所定の周波数の駆動信号が圧電素子に与えられることで振動する振動体と、この振動体に設けられるとともに駆動対象に当接される当接部とを備えた圧電アクチュエータにおける前記圧電素子へ駆動信号を供給する圧電アクチュエータの駆動装置であって、
前記圧電素子へ供給する駆動信号の周波数を所定範囲でスイープさせる周波数制御手段を備え、
前記周波数制御手段は、前記駆動信号の周波数の分解能を切り替えて圧電アクチュエータの駆動速度を調整することを特徴とする圧電アクチュエータの駆動装置。
【請求項10】
所定の周波数の駆動信号が圧電素子に与えられることで振動する振動体と、この振動体に設けられるとともに駆動対象に当接される当接部とを備えた圧電アクチュエータにおける前記圧電素子へ駆動信号を供給する圧電アクチュエータの駆動装置であって、
前記圧電素子へ供給する駆動信号の周波数を所定範囲でスイープさせる周波数制御手段を備え、
前記周波数制御手段は、前記駆動信号の周波数のスイープ方向、スイープ速度および周波数分解能の少なくとも1つを制御して圧電アクチュエータの駆動速度を調整することを特徴とする圧電アクチュエータの駆動装置。
【請求項11】
請求項7から請求項10のいずれかに記載の圧電アクチュエータの駆動装置において、
前記周波数制御手段は、駆動信号の周波数のスイープ方向を制御するスイープ方向制御部と、駆動信号の周波数のスイープ速度を制御するスイープ速度制御部と、駆動信号の周波数の分解能を制御する周波数分解能制御部とを備えていることを特徴とする圧電アクチュエータの駆動装置。
【請求項12】
請求項7から請求項11のいずれかに記載の圧電アクチュエータの駆動装置において、
前記周波数制御手段は、クロック信号を出力するとともに前記クロック信号の周波数を可変可能な第1の可変周波数発振器と、電圧調整回路と、前記電圧調整回路から出力される電圧によって出力信号の周波数を可変可能な第2の可変周波数発振器と、制御回路とを備え、
前記電圧調整回路は、前記第1の可変周波数発振器から出力されるクロック信号が入力されるアップダウンカウンタと、このアップダウンカウンタのカウンタ値に基づいて出力電圧の電圧値を設定するデジタル/アナログ変換器とを備え、
前記制御回路は、前記クロック信号の入力をアップダウンカウンタのアップ入力またはダウン入力に切り替えてスイープ方向を選択するスイープ方向制御部と、前記第1の可変周波数発振器から出力されるクロック信号の周波数を変更してスイープ速度を制御するスイープ速度制御部と、前記アップダウンカウンタのビット数を設定して周波数分解能を制御する周波数分解能制御部とを備えることを特徴とする圧電アクチュエータの駆動装置。
【請求項13】
所定の周波数の駆動信号が圧電素子に与えられることで振動する振動体及びこの振動体に設けられるとともに駆動対象に当接される当接部を有する圧電アクチュエータと、請求項7から請求項12のいずれかに記載の圧電アクチュエータの駆動装置と、を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項14】
所定の周波数の駆動信号が圧電素子に与えられることで振動する振動体と、この振動体に設けられるとともに駆動対象に当接される当接部とを備えた圧電アクチュエータにおける前記圧電素子へ駆動信号を供給する圧電アクチュエータの駆動装置の制御プログラムであって、
前記駆動装置に組み込まれたコンピュータを、
前記圧電素子へ供給する駆動信号の周波数を所定範囲でスイープさせるとともに、前記駆動信号の周波数のスイープ方向、スイープ速度および周波数分解能の少なくとも1つを制御して圧電アクチュエータの駆動速度を調整する周波数制御手段として機能させることを特徴とする圧電アクチュエータの駆動装置の制御プログラム。
【請求項15】
請求項14に記載の制御プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−42438(P2006−42438A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−215905(P2004−215905)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】