圧電デバイス、及び電子機器
【課題】周波数温度特性が良好であり、且つ短期安定の優れた圧電デバイスを得る。
【解決手段】圧電デバイスは、圧電振動素子10と、感温部品30と、これらを収容する容器20と、を備え、容器20底部には実装端子22a〜22dが設けられている。実装端子22bと圧電振動素子10とを、第1の熱伝導部23a、23dと第1の配線パターン26aにより、電気的に接続し、且つ実装端子22cと感温部品30とを、第2の熱伝導部24bと第2の配線パターン26bとにより、電気的に接続して構成した圧電デバイスである。
【解決手段】圧電デバイスは、圧電振動素子10と、感温部品30と、これらを収容する容器20と、を備え、容器20底部には実装端子22a〜22dが設けられている。実装端子22bと圧電振動素子10とを、第1の熱伝導部23a、23dと第1の配線パターン26aにより、電気的に接続し、且つ実装端子22cと感温部品30とを、第2の熱伝導部24bと第2の配線パターン26bとにより、電気的に接続して構成した圧電デバイスである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感温部品と圧電振動素子とを備えた圧電デバイスに関する。両者の温度分布がほぼ同程度になるように構成することにより、マザーボード上に共に搭載されるIC部品と本圧電デバイスとにより、精度のよい温度補償型圧電発振器が構成される。また、この圧電デバイスを用いた圧電モジュール、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1乃至4には、携帯電話等の無線通信機器に用いられる温度補償型圧電発振器が開示されている。特許文献4には、温度補償回路として温度に関する四次成分以上の回路を用いて、電源投入後の周波数ドリフトを小さくした温度補償型圧電発振器が開示されている。これに使用されるIC部品は、温度を感知する温度センサーと、圧電振動素子の温度変化による周波数変動を補償するための温度補償回路と、可変容量素子と、増幅回路等を有しており、圧電振動素子を高精度に温度補償できると開示されている。また、実装端子、素子搭載パッド、IC搭載パッドは、容器(パッケージ)の絶縁基板内部に設けられたビア電極(貫通孔(ビアホール)にビア電極ペーストを充填した導体)、及び絶縁基板の層間に配置された配線パターン等により電気的接続されている。
【0003】
特許文献5には、絶縁容器の隅部に設けたキャスタレーションに金属膜等を焼成し、この導電膜(キャスタレーション電極)を、実装端子と素子搭載パッドとの電気的導通の手段とした例が開示されている。なお、絶縁容器の4つの角部に上下方向に伸長するキャスタレーションは、多数の容器がマトリクス状に形成された積層マザーウェーハから、個別の容器に小割切断する際に用いられる。
容器の内部に形成したビア電極の一方の端部を蓋部材(リッド)に接続し、他方の端部を接地用実装端子に接続することにより、電磁気的なシールド効果が得られる。また、容器の層間に焼成した配線パターンとキャスタレーション電極とを接続することにより、実装端子と配線パターンとを電気的に導通することができる。キャスタレーション電極同志を層間に焼成した配線パターンにより導通した例も開示されている。配線パターン等の電極材料にはタングステン等が用いられる。
【0004】
ところで、上記の温度補償型圧電発振器では、パッケージ内の圧電振動素子の温度と、絶縁容器の外部に設けたIC部品に内蔵する温度センサーが検出する温度との間に僅かに温度差が生じる。両者間に温度差があると、誤差のある温度に基づいて圧電振動子の周波数温度特性を補償することになり、高精度の温度補償ができず、周波数ドリフトが生じるという問題があった。そこで、このような不具合に対処するために、圧電振動素子が搭載されている絶縁基板の温度を精度よく測定する試みがなされてきた。
【0005】
特許文献6〜特許文献8には、温度検出精度の向上と、小型化を図るために、容器の上部のキャビティー内に圧電振動素子を収容し、反対側の下部のキャビティー内に発振回路、温度補償回路等を収容した構造の表面実装型圧電発振器が開示されている。特許文献6には、圧電振動素子を接続するパッドの近傍に温度センサーを配置し、圧電振動素子の温度と温度センサーにより検出される温度との温度差を小さくすることにより、周波数温度特性、周波数ドリフト特性を安定化できると開示されている。しかし、圧電振動素子搭載用のパッドに接続されたIC部品の端子は、発振回路の増幅器の近傍に配置されているので、増幅器の動作に伴い発熱する。その結果、IC部品に内蔵する温度センサーを圧電振動素子側に近接させてもIC部品の発熱温度を検出する虞があり、周波数ドリフト特性を劣化させるという課題がある。
【0006】
次に、特許文献7には、容器の上部のキャビティーに圧電振動素子と、発振回路、温度センサーを備えた第1のIC部品と、を収容すると共に、下部のキャビティーに温度補償回路を備えた第2のIC部品を収容することにより、圧電振動素子と、温度センサーとを同じ温度環境下に配置でき、周波数温度特性、周波数ドリフト特性を安定化できると開示されている。しかし、IC部品を二分して、温度センサー付きの第1のIC部品を、圧電振動素子と同じキャビティーに収容する構造は、コスト高となって実現性が低く、また発振器全体の小型化に逆行するという課題がある。
また、特許文献8には、容器の上部の凹部に圧電振動素子を片持ち支持状態で収容し、下部の凹部にIC部品を収容し、IC部品の温度センサー端子を上部凹部に設けた枕部材と接続することにより、圧電振動素子の温度と、温度センサーの検出温度との温度差を縮小して、周波数温度特性、周波数ドリフト特性を安定化できると開示されている。
【0007】
しかし、特許文献6〜特許文献8に開示された何れの構造も、セラミック基板に圧電振動素子を搭載する構成であるため、導電性接着剤を介して圧電振動素子と接続されたセラミック基板の温度を測定すれば、圧電振動素子の温度を正確に検出できると推測されている。しかし、実際には周波数ドリフト特性を改善する効果は、十分ではなかった。このように、圧電振動素子と離れて温度センサーを内蔵するIC部品を配置した従来の表面実装型圧電発振器では、圧電振動素子の温度を正確に検出することはできず、安定した周波数温度特性が得られない。また起動時の周波数ドリフト特性の改善も不十分であるという問題があった。
【0008】
特許文献9には、圧電振動子の容器の主面に、ICチップを接着した表面実装型圧電発振器が開示されている。ICチップは温度センサーを内蔵し、圧電振動素子は容器内に収容されている。圧電振動素子は温度変化によってその周波数が変動し、温度センサーは温度変化によって出力信号が変化する。ICチップに内蔵される発振回路と、圧電振動素子とによって圧電発振器が構成され、ICチップに内蔵される温度補償回路で圧電発振器の周波数が補償される。つまり、温度補償発振回路は、温度センサーからの出力信号に基づいて温度補償用の電圧信号を出力し、それを可変容量素子に印加することにより可変容量素子の容量を変化させて、周波数を補償する。即ち、温度の変化により圧電振動素子の振動周波数が変動するが、温度センサーの出力信号により温度補償発振回路が動作し、周波数の変化分を補償する。ICチップを圧電振動子の容器に固定することで、両者の位置を近接させ、温度差を縮小できると記述されている。温度センサーはICチップの表層部に形成されている。この構成を用いることにより周波数温度特性、周波数ドリフト特性を安定化できると開示されている。
【0009】
最近、携帯電話の主回路基板に関し、集積化、チップセット化等の技術革新が進み、部品の小型・低背化、少数化の傾向は目覚ましい。即ち、前述の特許文献1乃至9に記載されているような温度補償型圧電発振器は必ずしも必要とされず、主回路基板(マザーボード)上に搭載されるIC部品に温度補償回路を付加する傾向があり、基準周波数源には圧電振動子を用い、この圧電振動子と前記のようなIC部品(チップセット)と組合せることにより、圧電振動子の温度補償を実現するという試みがなされている。
【0010】
しかし、主回路基板に搭載された圧電振動子の温度と、温度センサーの検出温度との間に温度差があることが問題になっている。これは回路基板上に圧電振動子、温度センサー、及び熱源を配置し、回路基板上の温度分布をシミュレーションにより求めることにより明らかとなった。圧電振動子と温度センサーとの僅かの温度差は、携帯電話に搭載されているGPSの位置測定精度に影響する。GPSは基準周波数の短期安定度が極めて重要な要素となるからである。
【0011】
特許文献10には、底板及び枠壁からなる凹部を有する矩形状の容器と、容器に収容された水晶振動素子と、容器の開口部に接合された金属カバーと、水晶振動素子の温度検出用で容器の長手方向の一端側に付着させたサーミスタと、を備えた表面実装型水晶振動子が開示されている。サーミスタの長手方向が、容器の高さ方向に直交して容器の外側面に固着した構成とした温度センサー付き水晶振動子である。
【0012】
特許文献11には、底板層と枠壁層と有した凹状積層セラミックからなる容器と、容器内に収容され一端部両側が固着された水晶振動素子と、水晶振動素子と共に容器内に収容されたサーミスタと、を備えた表面実装型水晶振動子が開示されている。水晶振動素子の主面は底板層の最上位層と対面し、サーミスタは底板層に設けられた凹所内に配置された構成の温度センサー付き水晶振動子である。
【0013】
しかしながら、特許文献10に開示の構造では、サーミスタが圧電振動子の容器に接続されているものの、容器が絶縁性のセラミックであるため、熱伝導性の点から容器内の圧電振動素子が呈している温度とサーミスタが検出する温度との間に温度差が生じるという問題がある。更に、容器の外側に突出してサーミスタが固定されているため、ハンドリング時や他の部品との接触により破損や、脱落の虞があるという問題がある。
【0014】
また、特許文献11に開示の構造では、サーミスタが圧電振動子の容器の内部に搭載されており、圧電振動素子が呈している温度を検出できることが期待できる。しかし、容器に収容された圧電振動素子に何らかの特性不良が発生したとき、同じ容器内に搭載されているサーミスタも廃棄させざるを得ず、その分コスト高となるという問題があった。
【0015】
特許文献12、特許文献13には、容器の断面がH型である所謂、H型パッケージを用いて、第1の収納部(上部)に圧電振動素子を搭載し、第1の収納部と反対側の第2の収納部(下部)に、チップコンデンサー、容量素子、可変容量素子、リアクタンス素子、等のチップ状の電子部品を搭載した圧電デバイスが開示されている。この圧電デバイスは、容器に搭載された圧電振動素子と、並列接続された2つの容量素子と、を直列に接続し、回路基板上に実装され増幅回路等と接続することによりコルピッツ発振回路が実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2005−217782公報
【特許文献2】特開2005−244925公報
【特許文献3】特開2009−089437公報
【特許文献4】特開2010−206443公報
【特許文献5】特開2006−054314公報
【特許文献6】特開2006−191517公報
【特許文献7】特開2008−263564公報
【特許文献8】特開2010−035078公報
【特許文献9】特開2009−105199公報
【特許文献10】特開2010−118979公報
【特許文献11】特開2008−205938公報
【特許文献12】特開平10−322129号公報
【特許文献13】特開平11−145768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本願発明者らは、特許文献12や特許文献13の技術を活用し、所謂H型パッケージ(容器)を用いて、第1の収納部(上部)に圧電振動素子を搭載し、第1の収納部と反対側の第2の収納部(下部)に、温度センサーとして、サーミスタ等の感温部品を搭載する圧電デバイスの構造を検討した。
しかしながら、特許文献10の問題と同様に、圧電デバイスの圧電振動素子を収容する第1の収納部は、その底部(セラミック製)を介して反対側の第2の収納部に感温部品(サーミスタ)を搭載する構造をしており、容器が絶縁性のセラミックであるため、熱伝導性の点から、第1の収納部内の圧電振動素子の温度と、第2の収納部内の感温部品が検知する温度との間に温度差が生じるという問題があった。つまり、開示された構造では、本願発明者の検証した結果からは、携帯電話に搭載されるGPS用の規格を満たすには不十分であり、更なる改善が必要とされることが明らかとなった。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、圧電振動素子の第1の収容部の外に感温部品(温度センサー)を配置した構成の圧電デバイスであっても、圧電振動素子の温度を高精度に検出することを可能とし、主回路基板(マザーボード)上に搭載され補償回路と組合せることにより、高安定、高精度の周波数温度特性の発振器を可能とする、表面実装型の圧電デバイスを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0019】
[適用例1]本発明に係る圧電デバイスは、圧電振動素子と、温度を検出する感温部品と、前記圧電振動素子を収容する第1の収容部を有し、前記感温部品を収容する第2の収容部を有した容器と、を備えた圧電デバイスであって、前記容器は、前記第2の収容部を構成する貫通孔を有し且つ底部に複数の実装端子を備えた第1の絶縁基板と、前記第1の絶縁基板の前記底部とは反対側の表部に対して裏面を積層固定され、前記裏面とは反対側の表面に前記圧電振動素子搭載用の第1の電極パッドが設けられ、前記裏面に前記実装端子と前記第1の電極パッドとを導通させる第1の配線パターン、前記実装端子と前記感温部品とを導通させる第2の配線パターン、及び前記感温部品搭載用の第2の電極パッドが設けられた第2の絶縁基板と、前記第2の絶縁基板の前記表面に積層固定され、前記第1の収容部を構成する第3の基板と、を備え、少なくとも1つの前記実装端子と前記第1の電極パッドとは、第1の熱伝導部及び前記第1の配線パターンにより電気的に接続され、他の少なくとも1つの前記実装端子と前記第2の電極パッドとは、第2の熱伝導部及び前記第2の配線パターンにより電気的に接続されていることを特徴とする圧電デバイスである。
【0020】
上記のように圧電デバイスを構成することにより、圧電振動素子の温度と、感温部品の検知する温度との温度差を縮小することが可能となり、外部回路と接続されて良好な周波数温度特性が得られ、また優れた周波数ドリフト特性(短期安定度)特性を有する温度補償型圧電発振器が実現できるという効果がある。
【0021】
[適用例2]また圧電デバイスは、圧電振動素子と、温度を検出する感温部品と、前記圧電振動素子を収容する第1の収容部を有し、前記感温部品を収容する第2の収容部を有した容器と、を備えた圧電デバイスであって、前記容器は、前記第2の収容部を構成形成する貫通孔を有し且つ底部に複数の実装端子を備えた第1の絶縁基板と、前記第1の絶縁基板の前記底部とは反対側の表部に対して裏面を積層固定され、前記裏面とは反対側の表面に前記圧電振動素子搭載用の第1の電極パッドが設けられ、前記裏面に前記実装端子と前記第1の電極パッドとを導通させる第1の配線パターン、前記実装端子と前記感温部品とを導通させる第2の配線パターン、及び前記感温部品搭載用の第2の電極パッドが設けら形成された第2の絶縁基板と、前記第2の絶縁基板の前記表面に積層固定され、前記第1の収容部を構成する第3の基板と、を備え、少なくとも1つの前記実装端子と前記第1の電極パッドとは、第1の熱伝導部により電気的に接続され、他の少なくとも1つの前記実装端子と前記第2の電極パッドとは、第2の熱伝導部及び前記第2の配線パターンにより電気的に接続されていることを特徴とする圧電デバイスである。
【0022】
上記のように圧電デバイスを構成することにより、極めて短時間で圧電振動素子の温度と、感温部品の検出する温度との温度差を縮小することが可能となり、外部回路と接続されて、優れた周波数ドリフト特性(短期安定度)特性を有する温度補償型圧電発振器が実現できるので、GPS等の性能を改善できるという効果がある。
【0023】
[適用例3]また圧電デバイスは、前記第1、第2の熱伝導部の少なくとも何れか一方の少なくとも一部は、前記第1基板の内部に貫通配置されていることを特徴とする圧電デバイスである。
【0024】
上記のように構成することにより、第1、第2の熱伝導部を経由するため、実装端子から伝わる熱の流れ(熱伝導)の速度は、速く、極めて短時間で圧電振動素子の温度と、感温部品の検出する温度との温度差を縮小できるという効果がある。
【0025】
[適用例4]また圧電デバイスは、前記第1、第2の熱伝導部の少なくとも何れか一方の少なくとも一部は、前記容器の外側面に設けられたキャスタレーション内に配置されていることを特徴とする圧電デバイスである。
【0026】
上記のように構成することにより、第1、第2の熱伝導部少なくとも何れか一方をキャスタレーション内に設けることにより、実装端子から伝わる熱の流れ(熱伝導)の速度は速く、極めて短時間で圧電振動素子の検出する温度と、感温部品の検出する温度との温度差を縮小できるという効果がある。
【0027】
[適用例5]また圧電デバイスは、前記第1、第2の熱伝導部のうちの一方の少なくとも一部は、前記第1の絶縁基板の内部に貫通配置され、他方の少なくとも一部は前記容器の外側面に設けられたキャスタレーション内に配置されていることを特徴とする圧電デバイスである。
【0028】
上記のように構成することにより、実装端子から伝わる熱の流れ(熱伝導)は、基板内に設けた熱伝導部と、容器の側面に設けたキャスタレーション電極と、を経由するため熱伝導の速度が速く、極めて小さい時間で圧電振動素子の温度と、感温部品の検出する温度との温度差を縮小できるという効果がある。
【0029】
[適用例6]また圧電デバイスは、前記第1、第2の熱伝導部の少なくとも何れか一方が、前記第1の絶縁基板の内部に貫通配置された熱伝導部と、前記絶縁容器外側面に設けられたキャスタレーション内に配置された熱伝導部と、が連結していることを特徴とする圧電デバイスである。
【0030】
上記のように構成することにより、実装端子から伝わる熱の流れ(熱伝導)は、基板内に設けた熱伝導部と、容器の側面に設けたキャスタレーション電極と、を経由するため熱伝導の速度が速く、極めて小さい時間で圧電振動素子の温度と、感温部品の検出する温度との温度差を縮小できるという効果がある。
【0031】
[適用例7]また圧電デバイスは、前記第1の収容部を気密封止する蓋部材を備え、前記蓋部材は、前記容器の内部を貫通する第3の熱伝導部により前記感温部品と接続する実装端子と電気的に接続されていることを特徴とする圧電デバイスである。
【0032】
上記のように構成することにより、実装端子と蓋部材との熱伝導の速度は速くなり、実装端子と接続する感温部品の温度と、蓋部材に近接して配置された圧電振動素子の温度と、の温度差を極めて短時間で縮小できるという効果がある。
【0033】
[適用例8]また圧電デバイスは、前記圧電振動素子は、前記圧電振動素子の圧電基板が、水晶の結晶軸である電気軸としてのX軸と、機械軸としてのY軸と、光学軸としてのZ軸と、からなる直交座標系の前記X軸を中心として、前記Z軸を前記Y軸の−Y方向へ所定の角度だけ傾けた軸をZ’軸とし、前記Y軸を前記Z軸の+Z方向へ前記所定の角度だけ傾けた軸をY’軸とし、前記X軸と前記Z’軸に平行な面で構成され、前記Y’軸に平行な方向を厚みとする水晶基板であり、前記X軸に平行な辺を長辺とし、前記Z’軸に平行な辺を短辺とした水晶基板を用いたATカット水晶振動素子であることを特徴とする圧電デバイスである。
【0034】
上記のように、圧電基板にATカット水晶基板を用いることにより、圧電デバイスの周波数温度特性は優れた3次特性となり、今までに蓄積された温度補償技術が有効に活用できるという効果がある。また、ATカット水晶基板のエッチング手法も長い間の経験に裏打ちされているので、高周波で小型の圧電基板が量産できるという利点がある。
【0035】
[適用例9]また圧電デバイスは、前記圧電振動素子が、音叉型水晶振動素子であることを特徴とする圧電デバイスである。
【0036】
上記のように、圧電振動素子に音叉型水晶振動素子を用いることにより、高周波を分周することなく低周波が得られるという利点がある。
【0037】
[適用例10]また圧電デバイスは、前記圧電振動素子が、ATカット水晶振動素子と音叉型水晶振動素子とが前記第1の収容部に併置されていることを特徴とする圧電デバイスである。
【0038】
上記のように構成すると、外部回路を用いることにより、高周波と低周波の2つの圧電発振器が温度補償され、高安定で短期安定度の優れた基準周波数が得られるという効果がある。
【0039】
[適用例11]本発明に係る電子機器は、上記の圧電デバイスを備えたことを特徴とする電子機器である。
【0040】
上記の圧電デバイスを用いて電子機器を製作すると、高安定で短期安定度の優れた基準周波数源が容易に構成できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る圧電デバイス1の構成を示す概略図であり、(a)は蓋部材を除いた平面図であり、(b)は断面図であり、(c)は底面図。
【図2】第2の絶縁基板の、(a)は平面図(表面)であり、(b)は裏面図であり、(c)は第1の絶縁基板の裏面図。
【図3】他の実施形態に係る第2の絶縁基板の、(a)は平面図(表面)であり、(b)は裏面図であり、(c)は他の第1の絶縁基板の裏面図。
【図4】他の実施形態に係る第2の絶縁基板の、(a)は平面図(表面)であり、(b)は裏面図であり、(c)は他の第1の絶縁基板の裏面図。
【図5】座標軸と切断角度を説明する図。
【図6】(a)は圧電振動素子の平面図であり、(b)は断面図。
【図7】(a)は圧電デバイス1の熱の伝導を説明する断面図であり、(b)は部材の熱伝導率を説明する表。
【図8】圧電デバイス2の熱の伝導を説明する断面図。
【図9】(a)は圧電デバイス3の構成を示す断面図であり、(b)は第2の絶縁基板の裏面図であり、(c)は第1の絶縁基板の裏面図。
【図10】(a)は圧電デバイス4の構成を示す断面図であり、(b)は第2の絶縁基板の裏面図であり、(c)は第1の絶縁基板の裏面図。
【図11】(a)は圧電デバイス5の構成を示す断面図であり、(b)は第2の絶縁基板の平面(表面)図であり、(c)は第2の絶縁基板の断面図。
【図12】デジタル携帯電話の構成を示すブロック図。
【図13】圧電デバイス6の構成を示す断面図。
【図14】(a)は音叉型圧電振動素子の平面図であり、(b)は断面図。
【図15】圧電デバイス7の構成を示す概略図であり、(a)は蓋部材を除いた平面図であり、(b)は断面図であり、(c)は底面図。
【図16】圧電デバイスにおける圧電振動素子及び感温部品の夫々の配線パターンの長さを説明する図
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る圧電デバイス1の構成を示す概略図である。図1(a)は蓋部材を省略した平面図であり、同図(b)は(a)のQ−Q断面図であり、同図(c)は底面図である。圧電デバイス1は、図1(b)に示すように、外部の発振回路及び補償回路(主回路基板上に搭載された発振回路部品及び補償回路部品)と接続されて、所望の周波数を出力する圧電振動素子10と、圧電振動素子10の温度を検出する感温部品30と、圧電振動素子10を収容する第1の収容部27を表部(図1(b)では上部)に有すると共に、感温部品30を収容する第2の収容部21を第1の収容部と反対側の底部(下部)に有した容器(パッケージ)20と、第1の収容部27を封止する蓋部材38と、を備えている。
【0043】
容器20の一例は、図1(b)に示すように、中央部に貫通孔21を有する矩形状の第1の絶縁基板20aと、矩形平板状の第2の絶縁基板20bと、中央に大きな貫通孔を有する額縁平板状の第3の基板20cと、を積層して形成されている。第2の絶縁基板20bの表面と、第3の基板20cの貫通孔とで、圧電振動素子10を収容する第1の収容部(キャビティー)27を形成する。更に、第1の絶縁基板20aの貫通孔21と、第2の絶縁基板20bの裏面とで、感温部品30を収容する第2の収容部21を形成する。なお、第1の絶縁基板20a、第2の絶縁基板20b、及び第3の基板20cの角隅部の側壁には、キャスタレーションC1、C2、C3、C4が形成されている。
【0044】
図2は、図1(b)に示す容器20に用いる第1の絶縁基板20aと、第2の絶縁基板20bの構成を示す図である。図2(a)、(b)は、夫々第2の絶縁基板20bの表面と裏面の構成を示す平面図と裏面図である。第2の絶縁基板20bの表面には、図2(a)に示すように、長手方向と直交して端部寄りに、圧電振動素子10を搭載する一対の第1の電極パッド28a、28bが直線上に形成されている。また、裏面には、図2(b)に示すように、実装端子22b、22dと第1の電極パッド28b、28aとを夫々導通接続するための第1の配線パターン26a、26aが形成されている。更に、実装端子22a、22cと、第2の電極パッド29a、29bとを夫々導通接続するための第2の配線パターン26b、26bが形成されている。
図2(c)は、第1の絶縁基板20aの底部の構成を示す裏面図であり、矩形状の第1の絶縁基板20aの中央部には貫通孔21が設けられ、底部の4つの隅部に実装端子22a、22b、22c、22dが形成されている。なお、第1の絶縁基板20aの表部には、配線パターン等は形成されていない。また、第3の基板20cは、中央部を中空とした環状体であり、環状囲繞部の上部周縁にシールリングが焼成された絶縁基板である。
【0045】
第1及び第2の絶縁基板20a、20bの絶縁体内部には、ビア電極(ビアホール(貫通孔)にビア電極ペーストを充填し、焼成形成した導体)が形成されている。図1に示す実施形態例を図2(a)、(b)、(c)を参照して説明する。第1の絶縁基板20aの絶縁体の肉厚内部には、底部に形成された実装端子22a、22b、22c、22dと、第2の絶縁基板20bの裏面に設けられた中継パッド40a、40b、40c、40dと、を夫々導通接続するビア電極24a、23a、24b、23bが貫通形成されている。また、第2の絶縁基板20bの絶縁体内部には、表面の第1の電極パッド28a、28bと、裏面の第1の配線パターン26a、26aとを夫々導通接続するビア電極23c、23dが貫通形成されている。
【0046】
実装端子22a、22cは、夫々ビア電極24a、24bを介して中継パッド40a、40cに接続し、中継パッド40a、40cは夫々第2の配線パターン26b、26bを介して感温部品30を搭載する第2の電極パッド29a、29bと導通接続している。
また、実装端子22b、22dは、夫々第1の絶縁基板20aを貫通するビア電極23a、23bを介して中継パッド40b、40dに導通接続し、中継パッド40b、40dは第1の配線パターン26a、26aを介して、第2の絶縁基板20bを貫通するビア電極23d、23cと接続している。そして、ビア電極23d、23cは、夫々第1の電極パッド28b、28aと導通接続している。つまり、実装端子22b、22dは、圧電振動素子10搭載用の第1の電極パッド28b、28aと導通接続し、実装端子22a、22cは、感温部品30搭載用の第2の電極パッド29a、29bと導通接続している。ここで、第1の電極パッド28a、28bに接続するビア電極23a、23b、23c、23dを第1の熱伝導部と称し、第2の電極パッド29a、29bに接続するビア電極24a、24bを第2の熱伝導部と称する。なお、図2(a)、(b)に示す第2の絶縁基板20b、同図(c)に示す第1の絶縁基板20aのキャスタレーションC1〜C4の壁面には電極が焼成されていない例である。
【0047】
図3は他の例に係る圧電デバイス1を構成する第1及び第2の絶縁基板20a1、20b1の構成を示す図である。図3(a)は他の例に係る第2の絶縁基板20b1の平面(表面)図であり、同図(b)は第2の絶縁基板20b1の裏面図であり、同図(c)は他の例に係る第1の絶縁基板20a1の裏面図である。図2に示した第1及び第2の絶縁基板20a、20bと、図3に示した他の第1及び第2の絶縁基板20a1、20b1との違いは、図3に示す例では、キャスタレーションC1〜C4の側面には金属膜が焼成されてキャスタレーション電極Ce1〜Ce4となり、実装端子22a〜22d、中継パッド40a〜40dとキャスタレーション電極Ce1〜Ce4とが配線により導通している点である。従って、実装端子22a〜22dと、第1及び第2の電極パッド28a、28b、及び29a、29bとの導通接続は、第1及び第2の熱伝導部を経由しても可能であり、またキャスタレーション電極Ce1〜Ce4を経由しても可能である。
【0048】
また、図4は他の例に係る圧電デバイス1を構成する第1及び第2の絶縁基板20a2、20b2の構成を示す図である。図4(a)は他の例に係る第2の絶縁基板20b2の表面図であり、同図(b)は第2の絶縁基板20b2の裏面図であり、同図(c)は他の例に係る第1の絶縁基板20a2の裏面図である。図4に示すキャスタレーションC1〜C4の側面には金属膜が焼成されてキャスタレーション電極Ce1〜Ce4となっている。しかし、第1の絶縁基板20a2と第2の絶縁基板20b2とを導通接続するビア電極は設けていない。従って、実装端子22a〜22dと、第1及び第2の電極パッド28a、28b、及び29a、29bとの導通接続は、キャスタレーション電極Ce1〜Ce4を経由して行われる。
【0049】
図1に示す実施形態の圧電デバイス1は、容器20が、第2の収容部21を形成する貫通孔を有し、且つ底部の角隅部に複数の実装端子22(22a、22b、22c、22d)(図1の実施例)を備えた第1の絶縁基板20aを有している。更に、容器20は、第1の絶縁基板20aの表部に対して裏面を積層固定され、裏面とは反対側の表面に圧電振動素子10を搭載する第1の電極パッド28a、28bが形成されると共に、裏面には実装端子22b、22dと、第1の電極パッド28b、28aとを導通する第1の配線パターン26a、26aと、実装端子22a、22cと第2の電極パッド29a、29bとを導通接続する第2の配線パターン26b、26bと、が形成された第2の絶縁基板20bを有している。
更に、容器20は、図1(b)に示した実施形態例では、第2の絶縁基板20bの表面に対して底部を積層固定され、上部にメタライズ部(図示せず)が焼成された枠状の第3の基板20cを有している。
つまり、図1(b)に示した実施形態例では、容器20は、第1の絶縁基板20a、第2の絶縁基板20b、及び第3の基板20cを積層して構成されている。
【0050】
容器20の実装端子22(22a、22b、22c、22d)、第1の熱伝導部(ビア電極)23a、23b、23c、23dと、第2の熱伝導部(ビア電極)24a、24bと、第1及び第2の配線パターン26a、26bに用いる金属材料としては、例えばタングステン材を例示することができる。第3の基板20cの上面周縁に形成されるメタライズ部としてもタングステン材を用いることができる。
【0051】
図1、図2に示した圧電デバイス1の構成例では、ビア電極(第1の熱伝導部)23a、23b、23c、23dと、ビア電極(第2の熱伝導部)24a、24bと、を用いて、実装端子22と、圧電振動素子10、感温部品30との導通を図っている。
図3に示した絶縁基板を用いて形成した容器20を使用して圧電デバイス1を構成した場合は、第1の熱伝導部(ビア電極)23a、23b、23c、23d、及び第2の熱伝導部(ビア電極)24a、24bと、キャスタレーション電極Ce1〜Ce4と、を使って、実装端子22と、圧電振動素子10、感温部品30との導通を図っている。しかし、電気的には第1の熱伝導部及び第2の熱伝導部と、キャスタレーション電極Ce1〜Ce4との両方を共に必要とするわけではないが、圧電振動素子10と感温部品30との熱的平衡状態、即ち両者がほぼ同じ温度となる状態をつくるには、必要となる場合がある。
また、図4に示した第1及び第2の絶縁基板20a2、20b2を用いて形成した容器20を使って圧電デバイス1を構成する例では、実装端子22と、圧電振動素子10、感温部品30との導通接続は、キャスタレーション電極Ce1〜Ce4を経由して行われる。
【0052】
図1の実施形態例に用いられる圧電振動素子10には、例えばATカット水晶振動素子がある。水晶等の圧電材料は三方晶系に属し、図5に示すように互いに直交する結晶軸X、Y、Zを有する。X軸、Y軸、Z軸は、夫々電気軸、機械軸、光学軸と呼称される。ATカット水晶基板12は、XZ面をX軸の回りに角度θだけ回転させた平面に沿って、水晶から切り出された平板である。ATカット水晶基板12の場合は、θは略35°15′である。なお、Y軸及びZ軸もX軸の周りにθ回転させて、夫々Y’軸、及びZ’軸とする。従って、ATカット水晶基板12は、直交する結晶軸X、Y’、Z’を有する。ATカット水晶基板12は、厚み方向がY’軸であって、Y’軸に直交するXZ’面(X軸及びZ’軸を含む面)が主面であり、厚みすべり振動が主振動として励振される。
【0053】
即ち、図1に示す圧電基板12は、図5に示すようにX軸(電気軸)、Y軸(機械軸)、Z軸(光学軸)からなる直交座標系のX軸を中心として、Z軸をY軸の−Y方向へ傾けた軸をZ’軸とし、Y軸をZ軸の+Z方向へ傾けた軸をY’軸とし、X軸とZ’軸に平行な面で構成され、Y’軸に平行な方向を厚みとするATカット水晶基板からなる。
【0054】
ATカット水晶基板の外形形状は、一般的にX軸方向を長手方向とする矩形状であり、Y’軸方向の厚さで周波数が決まる。周波数が高い場合には平板形状の水晶基板が用いられるが、周波数が低い場合にはメサ型水晶基板(周辺部に比べ中央部を厚くした水晶基板)12が用いられる。図6はメサ型水晶振動素子の一例であり、同図(a)は平面図であり、同図(b)はQ−Q断面図である。
水晶基板12は、その中央に位置し主たる振動領域となる励振部13と、励振部13より薄肉で励振部13の周縁に沿って形成された、従たる振動領域となる周辺部15と、を有している。つまり、振動領域は、後述するように、励振部13と、周辺部15の一部に跨っている。
平面形状がほぼ矩形である励振部13の対向する2つの側面(短手方向に沿った両側面)は夫々無段差状の1つの平面であり、励振部13の他の対向する2つの側面(長手方向に沿った2つの側面)は夫々厚み方向に段差部を有した構造をしている。
【0055】
水晶基板12の励振部13の表裏に励振電極14a、14bを形成し、励振電極14a、14bの夫々から、水晶基板12の端部に設けた端子電極18a、18bに向かって延びるリード電極16a、16bを形成する。
励振電極14a、14bに交番電圧を印加すると、水晶振動素子10は固有の振動周波数で励振される。
また、図1に示す圧電デバイス1に用いる感温部品30は、温度変化に応じて物理量、例えば電気抵抗が変わるサーミスタを用いる。サーミスタ30の電気抵抗を外部回路で検出し、サーミスタ30の検出する温度が測定できる。
【0056】
本発明に係る圧電デバイス1によれば、圧電振動素子10の温度と、感温部品30の検出する温度と、がほぼ等しくなるように、圧電振動素子10、感温部品30の熱容量を考慮し、第1の熱伝導部(ビア電極)23a、23b、23c、23d、及び第1の配線パターン26aと、第2の熱伝導部(ビア電極)24a、24b、及び第2の配線パターン26bと、を適切に設定することができる。つまり、実装端子22b、22dと圧電振動素子10とを接続する第1の熱伝導部(ビア電極)23a、23b、23c、23dの熱伝導率、長さ及び太さ、及び配線パターン26aの熱伝導率、幅、厚さ、長さと、実装端子22a、22cと感温部品30とを接続する第2の熱伝導部(ビア電極)24a、24bの熱伝導率、長さ及び太さ、及び第2の配線パターン26bの熱伝導率、幅、厚さ、長さと、を圧電振動素子10の温度と、感温部品30の温度と、がほぼ等しくなるように、即ち両者の熱的平衡状態が素早く達成されるように、上記部材の種類、寸法形状を適切に設定することでができる。
【0057】
図7(a)は、圧電デバイス1の熱の主伝導経路を示す断面図であり、同図(b)は圧電デバイス1に使用される部材の熱伝導率を示す表である。圧電デバイス1を包む雰囲気内の空気の熱伝導率は極めて小さい。また、容器20を主に構成するセラミック材(Al2O3)の熱伝導率は、例えば第1、第2の熱伝導部(ビア電極23a、23b、23c、23d、24a、24b)や第1、第2の配線パターン26a、26bに用いるタングステンの熱伝導率に比べて1/10程度である。従って、主回路基板(マザーボード)の各種の増幅器等から生じる熱の大部分は、実装端子22からビア電極、配線パターンを経由して、圧電振動素子10と感温部品30とに伝導する。
【0058】
圧電振動素子10の温度上昇に関与する経路においては、端子電極22b、22dに伝達した熱は、ビア電極23a、23bを経由して第1の配線パターン26a、26aに伝わり、ビア電極23d、23cを経由して、第1の電極パッド28b、28a、導電性接着剤35を介して圧電振動素子10の端子電極18b、18a、リード電極16b、16aを経て励振電極14b、14aに伝わり、圧電基板12の温度を上昇させる。
また、感温部品30の温度上昇に関与する経路としては、端子電極22a、22cに伝達した熱は、ビア電極24a、24bを経由して第2の配線パターン26b、26bに伝わり、第2の配線パターン26b、26bから第2の電極パッド29a、29bを介し、半田層を経て感温部品30に伝導して感温部品30の温度を上昇させる。
【0059】
容器20の形状寸法とメタライズ材を設定した後は、圧電振動素子10、感温部品30の夫々の熱容量に応じて実装端子22から熱が流れるように、第1の絶縁基板20aのビア電極23a、23bの径φ1、第1の配線パターン26a、26aの幅と厚さ、第2の絶縁基板20bのビア電極23c、23dの径φ2と、第1の絶縁基板20aのビア電極24a、24bの径φ3、第2の配線パターン26bの幅と厚さと、を圧電振動素子10、感温部品30の温度が夫々ほぼ等しくなるように設定する。
また、第1の熱伝導部(23a、23b、23c、23d)と、第2の熱伝導部(24a、24b)の熱量の伝導が等しい場合には、圧電振動素子10、感温部品30の夫々の熱容量に応じて第1、第2の配線パターンの夫々の長さ、幅を設定する必要がある。
【0060】
図16は圧電デバイスの配線導体の長さを説明する模式図である。図7(b)に示す各部材の熱伝導率から明らかなように、圧電振動素子10の励振電極、リード電極の材料である金(Au)を除けば、容器20のメタライズを構成するタングステン(W)の熱伝導率が圧倒的に大きい。従って、圧電振動素子10、感温部品30への熱の伝導は、主として配線導体を経由すると考えてよい。圧電振動素子10用の実装端子に接続するビア電極の中心T1、T2と、圧電振動素子10の端子電極18a、18bとの配線導体の長さを夫々L1、L2とする。また、感温部品用30の実装端子に接続するビア電極の中心T3、T4と、感温部品用30の端子30a、30bとの配線導体の長さを夫々L3、L4とする。実装端子の中心T1、T2と、圧電振動素子10の端子電極18a、18bとの配線導体の長さの合計は(L1+L2)であり、実装端子の中心T3,T4と、感温部品30の端子30a、30bとの配線導体の長さの合計は(L3+L4)である。夫々の配線導体の長さを等しく、つまり(L1+L2)=(L3+L4)に設定した場合に、圧電振動素子10と感温部品30との温度が夫々ほぼ等しくなるように設定できる。
【0061】
図1の実施形態例に示すように圧電デバイス1を構成すると、圧電振動素子10の温度と、感温部品30の検出する温度との温度差を縮小することが可能となり、外部回路と接続されて良好な周波数温度特性が得られ、また優れた周波数ドリフト特性(短期安定度)特性を有する温度補償型圧電発振器が実現できるという効果がある。
また、第1、第2の熱伝導部を経由するため、実装端子から伝わる熱の流れ(熱伝導)の速度は、速く、極めて短時間で圧電振動素子10の検出する温度と、感温部品30の検出する温度との温度差を縮小できるという効果がある。
また、圧電基板12にATカット水晶基板を用いることにより、圧電デバイス1の周波数温度特性は優れた3次特性となり、今までに蓄積された温度補償技術が有効に活用できるという効果がある。さらに、ATカット水晶基板のエッチング手法も長い間の経験に裏打ちされているので、高周波で小型の圧電基板が量産できるという利点がある。
【0062】
図8は、図3に示した第1及び第2の絶縁基板20a1、20b1を用いた第2の実施形態例である圧電デバイス2の断面図と、その図に重ねて熱の伝導経路を示した図である。図1の圧電デバイス1と異なる点は、図3に示すように、キャスタレーションC1〜C4内にメタライズを施し、キャスタレーション電極Ce1〜Ce4とした点である。つまり、実装端子22からキャスタレーション電極Ce1〜Ce4を経由して、圧電振動素子10、感温部品30へ伝導される熱も考慮している。キャスタレーション電極Ce1〜Ce4の形状は対称であるので、これらを流れる熱量はほぼ等しいと考えられ、キャスタレーション電極Ce1〜Ce4から圧電振動素子10、感温部品30への配線パターンの長さと、幅は両者の熱容量を考慮して設定する。
【0063】
図8に示す実施形態例の圧電デバイス2に示すように、第1、第2の熱伝導部の少なくとも何れか一方をキャスタレーションC1〜C4内に設けることにより、実装端子22から伝わる熱の流れ(熱伝導)の速度は速く、極めて短時間で圧電振動素子10の検出する温度と、感温部品30の検出する温度との温度差を縮小できるという効果がある。
実装端子22から伝わる熱の流れ(熱伝導)は、基板内に設けた熱伝導部と、容器の側面に設けたキャスタレーション電極Ce1〜Ce4とを経由するため、熱伝導の速度が速く、極めて短い時間で圧電振動素子の検出する温度と、感温部品検出する温度との温度差を縮小できるという効果がある。
【0064】
図9(a)は第3の実施形態例の圧電デバイス3の構成を示す断面図であり、同図(b)は第2の絶縁基板20b3の裏面図であり、同図(c)は第1の絶縁基板20a3の裏面図である。図1に示す圧電デバイス1では、圧電振動素子10へ接続する実装端子22b、22dは、第1の絶縁基板20aの底部に対角状に配置されているが、図9に示す実施形態例の圧電デバイス3では、圧電振動素子10用の実装端子22a、22bを、第1の絶縁基板20aAの底部の短辺側の一方の端部に配置し、感温部品30用の実装端子を短辺側の他方の端部に配置している点が異なる。これは、実装端子22と圧電振動素子10との接続経路を配線パターンを介さないストレートな第1の熱伝導部で導通接続するようにしたからである。
【0065】
図1に示す実施形態の圧電デバイス1では、実装端子22b(22d)は、ビア電極23a(23b)、第1の配線パターン26a、ビア電極23d(23c)、第1の電極パッド28b(28a)を経由して圧電振動素子10に接続している。これに対し、図9に示す実施形態の圧電デバイス3では、実装端子22a、22bは、第1の絶縁基板20a3を貫通するビア電極23a、23bと、第2の絶縁基板20b3と貫通するビア電極23c、23dとがストレートに接続されており、第1の電極パッド28a、28bを経て圧電振動素子10に導通接続されている。つまり、第1の配線パターン26aを経ずに、実装端子22a、22bは、第1の熱伝導部(ビア電極23a、23b、23c、23d)のみで圧電振動素子10と導通接続されている。実装端子22c、22dと感温部品30との導通経路は、圧電デバイス1とほぼ同様である。このように、実装端子22と圧電振動素子10との伝導経路が第1の配線パターン26aを経由しないと、熱の伝導性も良く成り、圧電振動素子10の温度と、感温部品30の温度とをほぼ等しくするのが容易となる。
【0066】
図9の実施形態例に示すように圧電デバイス3を構成することにより、極めて短時間で圧電振動素子10の温度と、感温部品30の検出する温度との温度差を縮小することが可能となり、外部回路と接続されて、優れた周波数ドリフト特性(短期安定度)特性を有する温度補償型圧電発振器が実現できるので、GPS等の性能を改善できるという効果がある。
【0067】
図10は、第4の実施形態例の圧電デバイス4の構成を示す断面図である。圧電デバイス4が図8に示す第2の実施形態例の圧電デバイス2と異なる点は、第2の絶縁基板20b4と第3の基板20c4とを貫通するビア電極24gを設けている点である。図10(a)に示すように、ビア電極24bとビア電極24gとを直線的に導通接続し、1つの実装端子22c(接地用)と蓋部材38との導通を図っている。感温部品30の一方の端子電極は接地して用いる場合が多いので、感温部品30と接続する実装端子22cと、第3の基板20cの上部周縁に形成するシールリング(図示せず)とを導通接続するには、ビア電極24bに直結するビア電極24gを設ければよい。図10に示す断面図ではキャスタレーション電極Ce(Ce1〜Ce4)も示している。蓋部材38を接地することにより圧電デバイス4からの高周波雑音の放射を防止できる。
【0068】
圧電デバイス(感温部品内蔵の振動子)において、感温部品(サーミスタ)30と蓋部材38とを接続する利点は、次の通りである。即ち、蓋部材38と圧電振動素子10とは温度分布的に近い温度となる。そこで、蓋部材38と感温部品30とを第2の熱伝導部(ビア電極24b、24g)で導通接続すると、圧電振動素子10の温度と感温部品30との温度差が小さくなることが期待できる。つまり、圧電振動素子10と、感温部品30とは、短時間で熱的平衡状態に近づくことが推測される。更に感温部品30の一方の端子電極が接続する実装端子を接地すると、主回路基板からの熱は接地から多く伝導されるので、この実装端子を経由して感温部品30と蓋部材38に熱が伝導し、熱的平衡状態が早まる。また、蓋部材38を接地することによりシールド効果も同時に得られる。感温部品(サーミスタ)30用に2つの実装端子と、圧電振動素子10用に2つの実装端子の計4つの実装端子22のうち、感温部品30の一方の端子に繋がる実装端子22cを接地すればよく、接地用の独立の実装端子を設けなくてもよい。
第2の熱伝導部(ビア電極24b、24g)を用いると、実装端子22と蓋部材38との熱伝導の速度は速くなり、実装端子22と接続する感温部品30の温度と、蓋部材38に近接して配置された圧電振動素子10の温度との温度差を極めて短時間で縮小できるという効果がある。
【0069】
図11(a)は、第5の実施形態例の圧電デバイス5の構成を示す断面図であり、同図(b)は、第2の絶縁基板20b5の平面図であり、同図(c)は、(b)のQ−Q断面図である。圧電デバイス5の構成が図1に示す圧電デバイス1の構成と異なる点は、図1に示す第3の基板20cとして厚肉環状のシールリング42を用い、図11に示すように、第2の絶縁基板20b5の表面とシールリング42とで第1の収容部27を構成している点である。シールリング42の上部にコバール等の蓋部材38をシーム溶接することにより、第1の収容部27を気密封止することができる。圧電デバイス5の方が圧電デバイス1より低背化が可能となる。
【0070】
図12は、第6の実施形態の圧電デバイス6を用いる電子機器の一例としてデジタル携帯電話100の構成を示す概略ブロック図である。圧電デバイス6は、既に説明した容器20を用い、第1の収容部27に音叉型水晶振動素子50を、第2の収容部21に感温部品30を、収容し、蓋部材38で第1の収容部27を真空・密封した圧電デバイスである。
図12に示すデジタル携帯電話100で音声を送信する場合、使用者が自分の音声をマイクロフォンに入力すると、信号はパルス幅変調・符号化の回路と変調器/ 復調器の回路を経てトランスミッター、アンテナスイッチを介しアンテナから送信される。一方、他者から送信された信号は、アンテナで受信され、アンテナスイッチ、受信フィルター+アンプ回路等を経て、レシーバー回路に入り、このレシーバー回路から変調器/ 復調器回路に入力される。そして、復調器回路で復調された信号がパルス幅変調・符号化回路を経てスピーカーから音声として出力されるように構成されている。アンテナスイッチや変調器/ 復調器ブ回路等を制御するためにコントローラが設けられている。
【0071】
このコントローラは、上述の機能の他に表示部であるLCDや、数字等の入力部であるキー、さらにRAMやROM等も制御するため、用いられる音叉振動子の周波数は、高精度、高安定度であることが求められる。この要求に応えるべく、感温部品30と音叉振動素子50とを、容器20に収容した圧電振動子が、図13に示す圧電デバイス6である。
つまり、第6の実施形態例の圧電デバイス6と、図1に示す圧電デバイス1との異なる点は、圧電デバイス1では圧電振動素子10は厚みすべり振動素子を用いているが、圧電デバイス6では屈曲振動をする音叉型圧電振動素子50を用いている点である。高周波が必要とされる場合は、圧電デバイス1が適し、低周波が要求される場合は圧電デバイス6が適している。
圧電振動素子10に音叉型水晶振動素子50を用いることにより、高周波を分周することなく所望の低周波得られるという利点がある。また、圧電デバイス1〜6及び後述する圧電デバイス7を用いて電子機器を製作すると、高安定で短期安定度の優れた基準周波数源が容易に構成できるという効果がある。
【0072】
音叉型圧電振動素子について簡単に説明する。図14(a)は、音叉型圧電振動素子50の平面図であり、同図(b)は(a)のP−P断面図である。圧電基板52は、フォトリソグラフィ技術とエッチング手法を用いて形成される。図14(a)に示すように、互いに並行(平行)して直線状に延びる細幅帯状の複数の振動腕55a、55bと、各振動腕55a、55bの一方の端部(基端部)間を連接する基部54と、各振動腕55a、55bの振動中心線に沿った表面及び裏面に夫々形成された溝部57a、57b、58a、58bと、を備えている。
【0073】
図14(b)は、各振動腕55a、55bに夫々形成された励振電極60、62、64、66の配置を示すP−P断面図である。励振電極60、64は、各溝部57a(57b)、58a(8b)の表面、及び側面に形成され、励振電極62、66は各振動腕55a、55bの夫々両側面に形成されている。励振電極60、66と、励振電極62、64とは、互いに異符号の電圧が基部54の電極パッド(図示せず)を介して印加されるように構成されている。つまり、励振電極60、66に+電圧が印加されるとき、励振電極62、64には−電圧が印加され、図14(b)の矢印で示すような電界が生じ、圧電振動素子50の重心を通る中心線に対し対称な音叉振動(屈曲振動)が励振される。
なお、溝部57a(57b)、58a(58b)を形成することにより、電界強度が強まり、音叉振動をより効率的に励振することができる。即ち、圧電振動素子のCI(クリスタルインピーダンス)を小さくすることができる。
【0074】
図15は、第7の実施形態例の圧電デバイス7の構成を示す図である。図15(a)は平面図であり、同図(b)は(a)のQ−Q断面図であり、同図(c)は底面図である。図1に示す圧電デバイス1と異なる点は、第2の絶縁基板20b6の表面と、第3の絶縁基板20c6とで形成される第1の収容部27に、厚みすべり振動の圧電振動素子10aと、屈曲振動の音叉型圧電振動素子10bと、を併置して収容した点である。2つの圧電振動素子10a、10bを併置したので、第1の電極パッドは4個28a〜28d必要となり、これに対応するビア電極も4つ必要となる。また、ビア電極の個数が増えるのに応じ、実装端子の数も多くなり、図15の実施形態例では実装端子22a〜22fは、圧電デバイス7の裏面図に示すように、6個となる。
圧電デバイス7は、低周波と高周波の両方の周波数を必要とする電子機器には有用であり、1つの感温部品30で2つの高精度の周波数を得ることができる。
圧電デバイス7を用いると、外部回路を用いることにより、高周波と低周波の2つの圧電発振器が温度補償され、高安定で短期安定度の優れた基準周波数が得られるという効果がある。
【符号の説明】
【0075】
1、2、3、4、5、6、7…圧電デバイス、10、10a、10b…圧電振動素子、12…圧電基板、13…励振部、14a、14b…励振電極、15…周辺部、16a、16b…リード電極、18a、18b…端子電極、20…容器、20a、20a1、20a2、20a3、20a4、20a5、20a6…第1の絶縁基板、20b、20b1、20b2、20b3、20b4、20b5、20b6…第2の絶縁基板、20c、20c3、20c4、20c6…第3の基板、21…第2の収容部、22…実装端子、23a、23b、23c、23d…第1の熱伝導部(ビア電極)、24a、24b…第2の熱伝導部(ビア電極)、24g…ビア電極、25…第3の熱伝導部(ビア電極)、26a…第1の配線パターン、26b…第2の配線パターン、27…第1の収容部、28a、28b、28c、28d…第1の電極パッド、29a、29b…第2の電極パッド、30…感温部品、35導電性接着剤…、38…蓋部材、40a、40b、40c、40d…中継パッド、42…シールリング、C1、C2、C3、C4…キャスタレーション、Ce1、Ce2、Ce3、Ce4…キャスタレーション電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、感温部品と圧電振動素子とを備えた圧電デバイスに関する。両者の温度分布がほぼ同程度になるように構成することにより、マザーボード上に共に搭載されるIC部品と本圧電デバイスとにより、精度のよい温度補償型圧電発振器が構成される。また、この圧電デバイスを用いた圧電モジュール、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1乃至4には、携帯電話等の無線通信機器に用いられる温度補償型圧電発振器が開示されている。特許文献4には、温度補償回路として温度に関する四次成分以上の回路を用いて、電源投入後の周波数ドリフトを小さくした温度補償型圧電発振器が開示されている。これに使用されるIC部品は、温度を感知する温度センサーと、圧電振動素子の温度変化による周波数変動を補償するための温度補償回路と、可変容量素子と、増幅回路等を有しており、圧電振動素子を高精度に温度補償できると開示されている。また、実装端子、素子搭載パッド、IC搭載パッドは、容器(パッケージ)の絶縁基板内部に設けられたビア電極(貫通孔(ビアホール)にビア電極ペーストを充填した導体)、及び絶縁基板の層間に配置された配線パターン等により電気的接続されている。
【0003】
特許文献5には、絶縁容器の隅部に設けたキャスタレーションに金属膜等を焼成し、この導電膜(キャスタレーション電極)を、実装端子と素子搭載パッドとの電気的導通の手段とした例が開示されている。なお、絶縁容器の4つの角部に上下方向に伸長するキャスタレーションは、多数の容器がマトリクス状に形成された積層マザーウェーハから、個別の容器に小割切断する際に用いられる。
容器の内部に形成したビア電極の一方の端部を蓋部材(リッド)に接続し、他方の端部を接地用実装端子に接続することにより、電磁気的なシールド効果が得られる。また、容器の層間に焼成した配線パターンとキャスタレーション電極とを接続することにより、実装端子と配線パターンとを電気的に導通することができる。キャスタレーション電極同志を層間に焼成した配線パターンにより導通した例も開示されている。配線パターン等の電極材料にはタングステン等が用いられる。
【0004】
ところで、上記の温度補償型圧電発振器では、パッケージ内の圧電振動素子の温度と、絶縁容器の外部に設けたIC部品に内蔵する温度センサーが検出する温度との間に僅かに温度差が生じる。両者間に温度差があると、誤差のある温度に基づいて圧電振動子の周波数温度特性を補償することになり、高精度の温度補償ができず、周波数ドリフトが生じるという問題があった。そこで、このような不具合に対処するために、圧電振動素子が搭載されている絶縁基板の温度を精度よく測定する試みがなされてきた。
【0005】
特許文献6〜特許文献8には、温度検出精度の向上と、小型化を図るために、容器の上部のキャビティー内に圧電振動素子を収容し、反対側の下部のキャビティー内に発振回路、温度補償回路等を収容した構造の表面実装型圧電発振器が開示されている。特許文献6には、圧電振動素子を接続するパッドの近傍に温度センサーを配置し、圧電振動素子の温度と温度センサーにより検出される温度との温度差を小さくすることにより、周波数温度特性、周波数ドリフト特性を安定化できると開示されている。しかし、圧電振動素子搭載用のパッドに接続されたIC部品の端子は、発振回路の増幅器の近傍に配置されているので、増幅器の動作に伴い発熱する。その結果、IC部品に内蔵する温度センサーを圧電振動素子側に近接させてもIC部品の発熱温度を検出する虞があり、周波数ドリフト特性を劣化させるという課題がある。
【0006】
次に、特許文献7には、容器の上部のキャビティーに圧電振動素子と、発振回路、温度センサーを備えた第1のIC部品と、を収容すると共に、下部のキャビティーに温度補償回路を備えた第2のIC部品を収容することにより、圧電振動素子と、温度センサーとを同じ温度環境下に配置でき、周波数温度特性、周波数ドリフト特性を安定化できると開示されている。しかし、IC部品を二分して、温度センサー付きの第1のIC部品を、圧電振動素子と同じキャビティーに収容する構造は、コスト高となって実現性が低く、また発振器全体の小型化に逆行するという課題がある。
また、特許文献8には、容器の上部の凹部に圧電振動素子を片持ち支持状態で収容し、下部の凹部にIC部品を収容し、IC部品の温度センサー端子を上部凹部に設けた枕部材と接続することにより、圧電振動素子の温度と、温度センサーの検出温度との温度差を縮小して、周波数温度特性、周波数ドリフト特性を安定化できると開示されている。
【0007】
しかし、特許文献6〜特許文献8に開示された何れの構造も、セラミック基板に圧電振動素子を搭載する構成であるため、導電性接着剤を介して圧電振動素子と接続されたセラミック基板の温度を測定すれば、圧電振動素子の温度を正確に検出できると推測されている。しかし、実際には周波数ドリフト特性を改善する効果は、十分ではなかった。このように、圧電振動素子と離れて温度センサーを内蔵するIC部品を配置した従来の表面実装型圧電発振器では、圧電振動素子の温度を正確に検出することはできず、安定した周波数温度特性が得られない。また起動時の周波数ドリフト特性の改善も不十分であるという問題があった。
【0008】
特許文献9には、圧電振動子の容器の主面に、ICチップを接着した表面実装型圧電発振器が開示されている。ICチップは温度センサーを内蔵し、圧電振動素子は容器内に収容されている。圧電振動素子は温度変化によってその周波数が変動し、温度センサーは温度変化によって出力信号が変化する。ICチップに内蔵される発振回路と、圧電振動素子とによって圧電発振器が構成され、ICチップに内蔵される温度補償回路で圧電発振器の周波数が補償される。つまり、温度補償発振回路は、温度センサーからの出力信号に基づいて温度補償用の電圧信号を出力し、それを可変容量素子に印加することにより可変容量素子の容量を変化させて、周波数を補償する。即ち、温度の変化により圧電振動素子の振動周波数が変動するが、温度センサーの出力信号により温度補償発振回路が動作し、周波数の変化分を補償する。ICチップを圧電振動子の容器に固定することで、両者の位置を近接させ、温度差を縮小できると記述されている。温度センサーはICチップの表層部に形成されている。この構成を用いることにより周波数温度特性、周波数ドリフト特性を安定化できると開示されている。
【0009】
最近、携帯電話の主回路基板に関し、集積化、チップセット化等の技術革新が進み、部品の小型・低背化、少数化の傾向は目覚ましい。即ち、前述の特許文献1乃至9に記載されているような温度補償型圧電発振器は必ずしも必要とされず、主回路基板(マザーボード)上に搭載されるIC部品に温度補償回路を付加する傾向があり、基準周波数源には圧電振動子を用い、この圧電振動子と前記のようなIC部品(チップセット)と組合せることにより、圧電振動子の温度補償を実現するという試みがなされている。
【0010】
しかし、主回路基板に搭載された圧電振動子の温度と、温度センサーの検出温度との間に温度差があることが問題になっている。これは回路基板上に圧電振動子、温度センサー、及び熱源を配置し、回路基板上の温度分布をシミュレーションにより求めることにより明らかとなった。圧電振動子と温度センサーとの僅かの温度差は、携帯電話に搭載されているGPSの位置測定精度に影響する。GPSは基準周波数の短期安定度が極めて重要な要素となるからである。
【0011】
特許文献10には、底板及び枠壁からなる凹部を有する矩形状の容器と、容器に収容された水晶振動素子と、容器の開口部に接合された金属カバーと、水晶振動素子の温度検出用で容器の長手方向の一端側に付着させたサーミスタと、を備えた表面実装型水晶振動子が開示されている。サーミスタの長手方向が、容器の高さ方向に直交して容器の外側面に固着した構成とした温度センサー付き水晶振動子である。
【0012】
特許文献11には、底板層と枠壁層と有した凹状積層セラミックからなる容器と、容器内に収容され一端部両側が固着された水晶振動素子と、水晶振動素子と共に容器内に収容されたサーミスタと、を備えた表面実装型水晶振動子が開示されている。水晶振動素子の主面は底板層の最上位層と対面し、サーミスタは底板層に設けられた凹所内に配置された構成の温度センサー付き水晶振動子である。
【0013】
しかしながら、特許文献10に開示の構造では、サーミスタが圧電振動子の容器に接続されているものの、容器が絶縁性のセラミックであるため、熱伝導性の点から容器内の圧電振動素子が呈している温度とサーミスタが検出する温度との間に温度差が生じるという問題がある。更に、容器の外側に突出してサーミスタが固定されているため、ハンドリング時や他の部品との接触により破損や、脱落の虞があるという問題がある。
【0014】
また、特許文献11に開示の構造では、サーミスタが圧電振動子の容器の内部に搭載されており、圧電振動素子が呈している温度を検出できることが期待できる。しかし、容器に収容された圧電振動素子に何らかの特性不良が発生したとき、同じ容器内に搭載されているサーミスタも廃棄させざるを得ず、その分コスト高となるという問題があった。
【0015】
特許文献12、特許文献13には、容器の断面がH型である所謂、H型パッケージを用いて、第1の収納部(上部)に圧電振動素子を搭載し、第1の収納部と反対側の第2の収納部(下部)に、チップコンデンサー、容量素子、可変容量素子、リアクタンス素子、等のチップ状の電子部品を搭載した圧電デバイスが開示されている。この圧電デバイスは、容器に搭載された圧電振動素子と、並列接続された2つの容量素子と、を直列に接続し、回路基板上に実装され増幅回路等と接続することによりコルピッツ発振回路が実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2005−217782公報
【特許文献2】特開2005−244925公報
【特許文献3】特開2009−089437公報
【特許文献4】特開2010−206443公報
【特許文献5】特開2006−054314公報
【特許文献6】特開2006−191517公報
【特許文献7】特開2008−263564公報
【特許文献8】特開2010−035078公報
【特許文献9】特開2009−105199公報
【特許文献10】特開2010−118979公報
【特許文献11】特開2008−205938公報
【特許文献12】特開平10−322129号公報
【特許文献13】特開平11−145768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本願発明者らは、特許文献12や特許文献13の技術を活用し、所謂H型パッケージ(容器)を用いて、第1の収納部(上部)に圧電振動素子を搭載し、第1の収納部と反対側の第2の収納部(下部)に、温度センサーとして、サーミスタ等の感温部品を搭載する圧電デバイスの構造を検討した。
しかしながら、特許文献10の問題と同様に、圧電デバイスの圧電振動素子を収容する第1の収納部は、その底部(セラミック製)を介して反対側の第2の収納部に感温部品(サーミスタ)を搭載する構造をしており、容器が絶縁性のセラミックであるため、熱伝導性の点から、第1の収納部内の圧電振動素子の温度と、第2の収納部内の感温部品が検知する温度との間に温度差が生じるという問題があった。つまり、開示された構造では、本願発明者の検証した結果からは、携帯電話に搭載されるGPS用の規格を満たすには不十分であり、更なる改善が必要とされることが明らかとなった。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、圧電振動素子の第1の収容部の外に感温部品(温度センサー)を配置した構成の圧電デバイスであっても、圧電振動素子の温度を高精度に検出することを可能とし、主回路基板(マザーボード)上に搭載され補償回路と組合せることにより、高安定、高精度の周波数温度特性の発振器を可能とする、表面実装型の圧電デバイスを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0019】
[適用例1]本発明に係る圧電デバイスは、圧電振動素子と、温度を検出する感温部品と、前記圧電振動素子を収容する第1の収容部を有し、前記感温部品を収容する第2の収容部を有した容器と、を備えた圧電デバイスであって、前記容器は、前記第2の収容部を構成する貫通孔を有し且つ底部に複数の実装端子を備えた第1の絶縁基板と、前記第1の絶縁基板の前記底部とは反対側の表部に対して裏面を積層固定され、前記裏面とは反対側の表面に前記圧電振動素子搭載用の第1の電極パッドが設けられ、前記裏面に前記実装端子と前記第1の電極パッドとを導通させる第1の配線パターン、前記実装端子と前記感温部品とを導通させる第2の配線パターン、及び前記感温部品搭載用の第2の電極パッドが設けられた第2の絶縁基板と、前記第2の絶縁基板の前記表面に積層固定され、前記第1の収容部を構成する第3の基板と、を備え、少なくとも1つの前記実装端子と前記第1の電極パッドとは、第1の熱伝導部及び前記第1の配線パターンにより電気的に接続され、他の少なくとも1つの前記実装端子と前記第2の電極パッドとは、第2の熱伝導部及び前記第2の配線パターンにより電気的に接続されていることを特徴とする圧電デバイスである。
【0020】
上記のように圧電デバイスを構成することにより、圧電振動素子の温度と、感温部品の検知する温度との温度差を縮小することが可能となり、外部回路と接続されて良好な周波数温度特性が得られ、また優れた周波数ドリフト特性(短期安定度)特性を有する温度補償型圧電発振器が実現できるという効果がある。
【0021】
[適用例2]また圧電デバイスは、圧電振動素子と、温度を検出する感温部品と、前記圧電振動素子を収容する第1の収容部を有し、前記感温部品を収容する第2の収容部を有した容器と、を備えた圧電デバイスであって、前記容器は、前記第2の収容部を構成形成する貫通孔を有し且つ底部に複数の実装端子を備えた第1の絶縁基板と、前記第1の絶縁基板の前記底部とは反対側の表部に対して裏面を積層固定され、前記裏面とは反対側の表面に前記圧電振動素子搭載用の第1の電極パッドが設けられ、前記裏面に前記実装端子と前記第1の電極パッドとを導通させる第1の配線パターン、前記実装端子と前記感温部品とを導通させる第2の配線パターン、及び前記感温部品搭載用の第2の電極パッドが設けら形成された第2の絶縁基板と、前記第2の絶縁基板の前記表面に積層固定され、前記第1の収容部を構成する第3の基板と、を備え、少なくとも1つの前記実装端子と前記第1の電極パッドとは、第1の熱伝導部により電気的に接続され、他の少なくとも1つの前記実装端子と前記第2の電極パッドとは、第2の熱伝導部及び前記第2の配線パターンにより電気的に接続されていることを特徴とする圧電デバイスである。
【0022】
上記のように圧電デバイスを構成することにより、極めて短時間で圧電振動素子の温度と、感温部品の検出する温度との温度差を縮小することが可能となり、外部回路と接続されて、優れた周波数ドリフト特性(短期安定度)特性を有する温度補償型圧電発振器が実現できるので、GPS等の性能を改善できるという効果がある。
【0023】
[適用例3]また圧電デバイスは、前記第1、第2の熱伝導部の少なくとも何れか一方の少なくとも一部は、前記第1基板の内部に貫通配置されていることを特徴とする圧電デバイスである。
【0024】
上記のように構成することにより、第1、第2の熱伝導部を経由するため、実装端子から伝わる熱の流れ(熱伝導)の速度は、速く、極めて短時間で圧電振動素子の温度と、感温部品の検出する温度との温度差を縮小できるという効果がある。
【0025】
[適用例4]また圧電デバイスは、前記第1、第2の熱伝導部の少なくとも何れか一方の少なくとも一部は、前記容器の外側面に設けられたキャスタレーション内に配置されていることを特徴とする圧電デバイスである。
【0026】
上記のように構成することにより、第1、第2の熱伝導部少なくとも何れか一方をキャスタレーション内に設けることにより、実装端子から伝わる熱の流れ(熱伝導)の速度は速く、極めて短時間で圧電振動素子の検出する温度と、感温部品の検出する温度との温度差を縮小できるという効果がある。
【0027】
[適用例5]また圧電デバイスは、前記第1、第2の熱伝導部のうちの一方の少なくとも一部は、前記第1の絶縁基板の内部に貫通配置され、他方の少なくとも一部は前記容器の外側面に設けられたキャスタレーション内に配置されていることを特徴とする圧電デバイスである。
【0028】
上記のように構成することにより、実装端子から伝わる熱の流れ(熱伝導)は、基板内に設けた熱伝導部と、容器の側面に設けたキャスタレーション電極と、を経由するため熱伝導の速度が速く、極めて小さい時間で圧電振動素子の温度と、感温部品の検出する温度との温度差を縮小できるという効果がある。
【0029】
[適用例6]また圧電デバイスは、前記第1、第2の熱伝導部の少なくとも何れか一方が、前記第1の絶縁基板の内部に貫通配置された熱伝導部と、前記絶縁容器外側面に設けられたキャスタレーション内に配置された熱伝導部と、が連結していることを特徴とする圧電デバイスである。
【0030】
上記のように構成することにより、実装端子から伝わる熱の流れ(熱伝導)は、基板内に設けた熱伝導部と、容器の側面に設けたキャスタレーション電極と、を経由するため熱伝導の速度が速く、極めて小さい時間で圧電振動素子の温度と、感温部品の検出する温度との温度差を縮小できるという効果がある。
【0031】
[適用例7]また圧電デバイスは、前記第1の収容部を気密封止する蓋部材を備え、前記蓋部材は、前記容器の内部を貫通する第3の熱伝導部により前記感温部品と接続する実装端子と電気的に接続されていることを特徴とする圧電デバイスである。
【0032】
上記のように構成することにより、実装端子と蓋部材との熱伝導の速度は速くなり、実装端子と接続する感温部品の温度と、蓋部材に近接して配置された圧電振動素子の温度と、の温度差を極めて短時間で縮小できるという効果がある。
【0033】
[適用例8]また圧電デバイスは、前記圧電振動素子は、前記圧電振動素子の圧電基板が、水晶の結晶軸である電気軸としてのX軸と、機械軸としてのY軸と、光学軸としてのZ軸と、からなる直交座標系の前記X軸を中心として、前記Z軸を前記Y軸の−Y方向へ所定の角度だけ傾けた軸をZ’軸とし、前記Y軸を前記Z軸の+Z方向へ前記所定の角度だけ傾けた軸をY’軸とし、前記X軸と前記Z’軸に平行な面で構成され、前記Y’軸に平行な方向を厚みとする水晶基板であり、前記X軸に平行な辺を長辺とし、前記Z’軸に平行な辺を短辺とした水晶基板を用いたATカット水晶振動素子であることを特徴とする圧電デバイスである。
【0034】
上記のように、圧電基板にATカット水晶基板を用いることにより、圧電デバイスの周波数温度特性は優れた3次特性となり、今までに蓄積された温度補償技術が有効に活用できるという効果がある。また、ATカット水晶基板のエッチング手法も長い間の経験に裏打ちされているので、高周波で小型の圧電基板が量産できるという利点がある。
【0035】
[適用例9]また圧電デバイスは、前記圧電振動素子が、音叉型水晶振動素子であることを特徴とする圧電デバイスである。
【0036】
上記のように、圧電振動素子に音叉型水晶振動素子を用いることにより、高周波を分周することなく低周波が得られるという利点がある。
【0037】
[適用例10]また圧電デバイスは、前記圧電振動素子が、ATカット水晶振動素子と音叉型水晶振動素子とが前記第1の収容部に併置されていることを特徴とする圧電デバイスである。
【0038】
上記のように構成すると、外部回路を用いることにより、高周波と低周波の2つの圧電発振器が温度補償され、高安定で短期安定度の優れた基準周波数が得られるという効果がある。
【0039】
[適用例11]本発明に係る電子機器は、上記の圧電デバイスを備えたことを特徴とする電子機器である。
【0040】
上記の圧電デバイスを用いて電子機器を製作すると、高安定で短期安定度の優れた基準周波数源が容易に構成できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る圧電デバイス1の構成を示す概略図であり、(a)は蓋部材を除いた平面図であり、(b)は断面図であり、(c)は底面図。
【図2】第2の絶縁基板の、(a)は平面図(表面)であり、(b)は裏面図であり、(c)は第1の絶縁基板の裏面図。
【図3】他の実施形態に係る第2の絶縁基板の、(a)は平面図(表面)であり、(b)は裏面図であり、(c)は他の第1の絶縁基板の裏面図。
【図4】他の実施形態に係る第2の絶縁基板の、(a)は平面図(表面)であり、(b)は裏面図であり、(c)は他の第1の絶縁基板の裏面図。
【図5】座標軸と切断角度を説明する図。
【図6】(a)は圧電振動素子の平面図であり、(b)は断面図。
【図7】(a)は圧電デバイス1の熱の伝導を説明する断面図であり、(b)は部材の熱伝導率を説明する表。
【図8】圧電デバイス2の熱の伝導を説明する断面図。
【図9】(a)は圧電デバイス3の構成を示す断面図であり、(b)は第2の絶縁基板の裏面図であり、(c)は第1の絶縁基板の裏面図。
【図10】(a)は圧電デバイス4の構成を示す断面図であり、(b)は第2の絶縁基板の裏面図であり、(c)は第1の絶縁基板の裏面図。
【図11】(a)は圧電デバイス5の構成を示す断面図であり、(b)は第2の絶縁基板の平面(表面)図であり、(c)は第2の絶縁基板の断面図。
【図12】デジタル携帯電話の構成を示すブロック図。
【図13】圧電デバイス6の構成を示す断面図。
【図14】(a)は音叉型圧電振動素子の平面図であり、(b)は断面図。
【図15】圧電デバイス7の構成を示す概略図であり、(a)は蓋部材を除いた平面図であり、(b)は断面図であり、(c)は底面図。
【図16】圧電デバイスにおける圧電振動素子及び感温部品の夫々の配線パターンの長さを説明する図
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る圧電デバイス1の構成を示す概略図である。図1(a)は蓋部材を省略した平面図であり、同図(b)は(a)のQ−Q断面図であり、同図(c)は底面図である。圧電デバイス1は、図1(b)に示すように、外部の発振回路及び補償回路(主回路基板上に搭載された発振回路部品及び補償回路部品)と接続されて、所望の周波数を出力する圧電振動素子10と、圧電振動素子10の温度を検出する感温部品30と、圧電振動素子10を収容する第1の収容部27を表部(図1(b)では上部)に有すると共に、感温部品30を収容する第2の収容部21を第1の収容部と反対側の底部(下部)に有した容器(パッケージ)20と、第1の収容部27を封止する蓋部材38と、を備えている。
【0043】
容器20の一例は、図1(b)に示すように、中央部に貫通孔21を有する矩形状の第1の絶縁基板20aと、矩形平板状の第2の絶縁基板20bと、中央に大きな貫通孔を有する額縁平板状の第3の基板20cと、を積層して形成されている。第2の絶縁基板20bの表面と、第3の基板20cの貫通孔とで、圧電振動素子10を収容する第1の収容部(キャビティー)27を形成する。更に、第1の絶縁基板20aの貫通孔21と、第2の絶縁基板20bの裏面とで、感温部品30を収容する第2の収容部21を形成する。なお、第1の絶縁基板20a、第2の絶縁基板20b、及び第3の基板20cの角隅部の側壁には、キャスタレーションC1、C2、C3、C4が形成されている。
【0044】
図2は、図1(b)に示す容器20に用いる第1の絶縁基板20aと、第2の絶縁基板20bの構成を示す図である。図2(a)、(b)は、夫々第2の絶縁基板20bの表面と裏面の構成を示す平面図と裏面図である。第2の絶縁基板20bの表面には、図2(a)に示すように、長手方向と直交して端部寄りに、圧電振動素子10を搭載する一対の第1の電極パッド28a、28bが直線上に形成されている。また、裏面には、図2(b)に示すように、実装端子22b、22dと第1の電極パッド28b、28aとを夫々導通接続するための第1の配線パターン26a、26aが形成されている。更に、実装端子22a、22cと、第2の電極パッド29a、29bとを夫々導通接続するための第2の配線パターン26b、26bが形成されている。
図2(c)は、第1の絶縁基板20aの底部の構成を示す裏面図であり、矩形状の第1の絶縁基板20aの中央部には貫通孔21が設けられ、底部の4つの隅部に実装端子22a、22b、22c、22dが形成されている。なお、第1の絶縁基板20aの表部には、配線パターン等は形成されていない。また、第3の基板20cは、中央部を中空とした環状体であり、環状囲繞部の上部周縁にシールリングが焼成された絶縁基板である。
【0045】
第1及び第2の絶縁基板20a、20bの絶縁体内部には、ビア電極(ビアホール(貫通孔)にビア電極ペーストを充填し、焼成形成した導体)が形成されている。図1に示す実施形態例を図2(a)、(b)、(c)を参照して説明する。第1の絶縁基板20aの絶縁体の肉厚内部には、底部に形成された実装端子22a、22b、22c、22dと、第2の絶縁基板20bの裏面に設けられた中継パッド40a、40b、40c、40dと、を夫々導通接続するビア電極24a、23a、24b、23bが貫通形成されている。また、第2の絶縁基板20bの絶縁体内部には、表面の第1の電極パッド28a、28bと、裏面の第1の配線パターン26a、26aとを夫々導通接続するビア電極23c、23dが貫通形成されている。
【0046】
実装端子22a、22cは、夫々ビア電極24a、24bを介して中継パッド40a、40cに接続し、中継パッド40a、40cは夫々第2の配線パターン26b、26bを介して感温部品30を搭載する第2の電極パッド29a、29bと導通接続している。
また、実装端子22b、22dは、夫々第1の絶縁基板20aを貫通するビア電極23a、23bを介して中継パッド40b、40dに導通接続し、中継パッド40b、40dは第1の配線パターン26a、26aを介して、第2の絶縁基板20bを貫通するビア電極23d、23cと接続している。そして、ビア電極23d、23cは、夫々第1の電極パッド28b、28aと導通接続している。つまり、実装端子22b、22dは、圧電振動素子10搭載用の第1の電極パッド28b、28aと導通接続し、実装端子22a、22cは、感温部品30搭載用の第2の電極パッド29a、29bと導通接続している。ここで、第1の電極パッド28a、28bに接続するビア電極23a、23b、23c、23dを第1の熱伝導部と称し、第2の電極パッド29a、29bに接続するビア電極24a、24bを第2の熱伝導部と称する。なお、図2(a)、(b)に示す第2の絶縁基板20b、同図(c)に示す第1の絶縁基板20aのキャスタレーションC1〜C4の壁面には電極が焼成されていない例である。
【0047】
図3は他の例に係る圧電デバイス1を構成する第1及び第2の絶縁基板20a1、20b1の構成を示す図である。図3(a)は他の例に係る第2の絶縁基板20b1の平面(表面)図であり、同図(b)は第2の絶縁基板20b1の裏面図であり、同図(c)は他の例に係る第1の絶縁基板20a1の裏面図である。図2に示した第1及び第2の絶縁基板20a、20bと、図3に示した他の第1及び第2の絶縁基板20a1、20b1との違いは、図3に示す例では、キャスタレーションC1〜C4の側面には金属膜が焼成されてキャスタレーション電極Ce1〜Ce4となり、実装端子22a〜22d、中継パッド40a〜40dとキャスタレーション電極Ce1〜Ce4とが配線により導通している点である。従って、実装端子22a〜22dと、第1及び第2の電極パッド28a、28b、及び29a、29bとの導通接続は、第1及び第2の熱伝導部を経由しても可能であり、またキャスタレーション電極Ce1〜Ce4を経由しても可能である。
【0048】
また、図4は他の例に係る圧電デバイス1を構成する第1及び第2の絶縁基板20a2、20b2の構成を示す図である。図4(a)は他の例に係る第2の絶縁基板20b2の表面図であり、同図(b)は第2の絶縁基板20b2の裏面図であり、同図(c)は他の例に係る第1の絶縁基板20a2の裏面図である。図4に示すキャスタレーションC1〜C4の側面には金属膜が焼成されてキャスタレーション電極Ce1〜Ce4となっている。しかし、第1の絶縁基板20a2と第2の絶縁基板20b2とを導通接続するビア電極は設けていない。従って、実装端子22a〜22dと、第1及び第2の電極パッド28a、28b、及び29a、29bとの導通接続は、キャスタレーション電極Ce1〜Ce4を経由して行われる。
【0049】
図1に示す実施形態の圧電デバイス1は、容器20が、第2の収容部21を形成する貫通孔を有し、且つ底部の角隅部に複数の実装端子22(22a、22b、22c、22d)(図1の実施例)を備えた第1の絶縁基板20aを有している。更に、容器20は、第1の絶縁基板20aの表部に対して裏面を積層固定され、裏面とは反対側の表面に圧電振動素子10を搭載する第1の電極パッド28a、28bが形成されると共に、裏面には実装端子22b、22dと、第1の電極パッド28b、28aとを導通する第1の配線パターン26a、26aと、実装端子22a、22cと第2の電極パッド29a、29bとを導通接続する第2の配線パターン26b、26bと、が形成された第2の絶縁基板20bを有している。
更に、容器20は、図1(b)に示した実施形態例では、第2の絶縁基板20bの表面に対して底部を積層固定され、上部にメタライズ部(図示せず)が焼成された枠状の第3の基板20cを有している。
つまり、図1(b)に示した実施形態例では、容器20は、第1の絶縁基板20a、第2の絶縁基板20b、及び第3の基板20cを積層して構成されている。
【0050】
容器20の実装端子22(22a、22b、22c、22d)、第1の熱伝導部(ビア電極)23a、23b、23c、23dと、第2の熱伝導部(ビア電極)24a、24bと、第1及び第2の配線パターン26a、26bに用いる金属材料としては、例えばタングステン材を例示することができる。第3の基板20cの上面周縁に形成されるメタライズ部としてもタングステン材を用いることができる。
【0051】
図1、図2に示した圧電デバイス1の構成例では、ビア電極(第1の熱伝導部)23a、23b、23c、23dと、ビア電極(第2の熱伝導部)24a、24bと、を用いて、実装端子22と、圧電振動素子10、感温部品30との導通を図っている。
図3に示した絶縁基板を用いて形成した容器20を使用して圧電デバイス1を構成した場合は、第1の熱伝導部(ビア電極)23a、23b、23c、23d、及び第2の熱伝導部(ビア電極)24a、24bと、キャスタレーション電極Ce1〜Ce4と、を使って、実装端子22と、圧電振動素子10、感温部品30との導通を図っている。しかし、電気的には第1の熱伝導部及び第2の熱伝導部と、キャスタレーション電極Ce1〜Ce4との両方を共に必要とするわけではないが、圧電振動素子10と感温部品30との熱的平衡状態、即ち両者がほぼ同じ温度となる状態をつくるには、必要となる場合がある。
また、図4に示した第1及び第2の絶縁基板20a2、20b2を用いて形成した容器20を使って圧電デバイス1を構成する例では、実装端子22と、圧電振動素子10、感温部品30との導通接続は、キャスタレーション電極Ce1〜Ce4を経由して行われる。
【0052】
図1の実施形態例に用いられる圧電振動素子10には、例えばATカット水晶振動素子がある。水晶等の圧電材料は三方晶系に属し、図5に示すように互いに直交する結晶軸X、Y、Zを有する。X軸、Y軸、Z軸は、夫々電気軸、機械軸、光学軸と呼称される。ATカット水晶基板12は、XZ面をX軸の回りに角度θだけ回転させた平面に沿って、水晶から切り出された平板である。ATカット水晶基板12の場合は、θは略35°15′である。なお、Y軸及びZ軸もX軸の周りにθ回転させて、夫々Y’軸、及びZ’軸とする。従って、ATカット水晶基板12は、直交する結晶軸X、Y’、Z’を有する。ATカット水晶基板12は、厚み方向がY’軸であって、Y’軸に直交するXZ’面(X軸及びZ’軸を含む面)が主面であり、厚みすべり振動が主振動として励振される。
【0053】
即ち、図1に示す圧電基板12は、図5に示すようにX軸(電気軸)、Y軸(機械軸)、Z軸(光学軸)からなる直交座標系のX軸を中心として、Z軸をY軸の−Y方向へ傾けた軸をZ’軸とし、Y軸をZ軸の+Z方向へ傾けた軸をY’軸とし、X軸とZ’軸に平行な面で構成され、Y’軸に平行な方向を厚みとするATカット水晶基板からなる。
【0054】
ATカット水晶基板の外形形状は、一般的にX軸方向を長手方向とする矩形状であり、Y’軸方向の厚さで周波数が決まる。周波数が高い場合には平板形状の水晶基板が用いられるが、周波数が低い場合にはメサ型水晶基板(周辺部に比べ中央部を厚くした水晶基板)12が用いられる。図6はメサ型水晶振動素子の一例であり、同図(a)は平面図であり、同図(b)はQ−Q断面図である。
水晶基板12は、その中央に位置し主たる振動領域となる励振部13と、励振部13より薄肉で励振部13の周縁に沿って形成された、従たる振動領域となる周辺部15と、を有している。つまり、振動領域は、後述するように、励振部13と、周辺部15の一部に跨っている。
平面形状がほぼ矩形である励振部13の対向する2つの側面(短手方向に沿った両側面)は夫々無段差状の1つの平面であり、励振部13の他の対向する2つの側面(長手方向に沿った2つの側面)は夫々厚み方向に段差部を有した構造をしている。
【0055】
水晶基板12の励振部13の表裏に励振電極14a、14bを形成し、励振電極14a、14bの夫々から、水晶基板12の端部に設けた端子電極18a、18bに向かって延びるリード電極16a、16bを形成する。
励振電極14a、14bに交番電圧を印加すると、水晶振動素子10は固有の振動周波数で励振される。
また、図1に示す圧電デバイス1に用いる感温部品30は、温度変化に応じて物理量、例えば電気抵抗が変わるサーミスタを用いる。サーミスタ30の電気抵抗を外部回路で検出し、サーミスタ30の検出する温度が測定できる。
【0056】
本発明に係る圧電デバイス1によれば、圧電振動素子10の温度と、感温部品30の検出する温度と、がほぼ等しくなるように、圧電振動素子10、感温部品30の熱容量を考慮し、第1の熱伝導部(ビア電極)23a、23b、23c、23d、及び第1の配線パターン26aと、第2の熱伝導部(ビア電極)24a、24b、及び第2の配線パターン26bと、を適切に設定することができる。つまり、実装端子22b、22dと圧電振動素子10とを接続する第1の熱伝導部(ビア電極)23a、23b、23c、23dの熱伝導率、長さ及び太さ、及び配線パターン26aの熱伝導率、幅、厚さ、長さと、実装端子22a、22cと感温部品30とを接続する第2の熱伝導部(ビア電極)24a、24bの熱伝導率、長さ及び太さ、及び第2の配線パターン26bの熱伝導率、幅、厚さ、長さと、を圧電振動素子10の温度と、感温部品30の温度と、がほぼ等しくなるように、即ち両者の熱的平衡状態が素早く達成されるように、上記部材の種類、寸法形状を適切に設定することでができる。
【0057】
図7(a)は、圧電デバイス1の熱の主伝導経路を示す断面図であり、同図(b)は圧電デバイス1に使用される部材の熱伝導率を示す表である。圧電デバイス1を包む雰囲気内の空気の熱伝導率は極めて小さい。また、容器20を主に構成するセラミック材(Al2O3)の熱伝導率は、例えば第1、第2の熱伝導部(ビア電極23a、23b、23c、23d、24a、24b)や第1、第2の配線パターン26a、26bに用いるタングステンの熱伝導率に比べて1/10程度である。従って、主回路基板(マザーボード)の各種の増幅器等から生じる熱の大部分は、実装端子22からビア電極、配線パターンを経由して、圧電振動素子10と感温部品30とに伝導する。
【0058】
圧電振動素子10の温度上昇に関与する経路においては、端子電極22b、22dに伝達した熱は、ビア電極23a、23bを経由して第1の配線パターン26a、26aに伝わり、ビア電極23d、23cを経由して、第1の電極パッド28b、28a、導電性接着剤35を介して圧電振動素子10の端子電極18b、18a、リード電極16b、16aを経て励振電極14b、14aに伝わり、圧電基板12の温度を上昇させる。
また、感温部品30の温度上昇に関与する経路としては、端子電極22a、22cに伝達した熱は、ビア電極24a、24bを経由して第2の配線パターン26b、26bに伝わり、第2の配線パターン26b、26bから第2の電極パッド29a、29bを介し、半田層を経て感温部品30に伝導して感温部品30の温度を上昇させる。
【0059】
容器20の形状寸法とメタライズ材を設定した後は、圧電振動素子10、感温部品30の夫々の熱容量に応じて実装端子22から熱が流れるように、第1の絶縁基板20aのビア電極23a、23bの径φ1、第1の配線パターン26a、26aの幅と厚さ、第2の絶縁基板20bのビア電極23c、23dの径φ2と、第1の絶縁基板20aのビア電極24a、24bの径φ3、第2の配線パターン26bの幅と厚さと、を圧電振動素子10、感温部品30の温度が夫々ほぼ等しくなるように設定する。
また、第1の熱伝導部(23a、23b、23c、23d)と、第2の熱伝導部(24a、24b)の熱量の伝導が等しい場合には、圧電振動素子10、感温部品30の夫々の熱容量に応じて第1、第2の配線パターンの夫々の長さ、幅を設定する必要がある。
【0060】
図16は圧電デバイスの配線導体の長さを説明する模式図である。図7(b)に示す各部材の熱伝導率から明らかなように、圧電振動素子10の励振電極、リード電極の材料である金(Au)を除けば、容器20のメタライズを構成するタングステン(W)の熱伝導率が圧倒的に大きい。従って、圧電振動素子10、感温部品30への熱の伝導は、主として配線導体を経由すると考えてよい。圧電振動素子10用の実装端子に接続するビア電極の中心T1、T2と、圧電振動素子10の端子電極18a、18bとの配線導体の長さを夫々L1、L2とする。また、感温部品用30の実装端子に接続するビア電極の中心T3、T4と、感温部品用30の端子30a、30bとの配線導体の長さを夫々L3、L4とする。実装端子の中心T1、T2と、圧電振動素子10の端子電極18a、18bとの配線導体の長さの合計は(L1+L2)であり、実装端子の中心T3,T4と、感温部品30の端子30a、30bとの配線導体の長さの合計は(L3+L4)である。夫々の配線導体の長さを等しく、つまり(L1+L2)=(L3+L4)に設定した場合に、圧電振動素子10と感温部品30との温度が夫々ほぼ等しくなるように設定できる。
【0061】
図1の実施形態例に示すように圧電デバイス1を構成すると、圧電振動素子10の温度と、感温部品30の検出する温度との温度差を縮小することが可能となり、外部回路と接続されて良好な周波数温度特性が得られ、また優れた周波数ドリフト特性(短期安定度)特性を有する温度補償型圧電発振器が実現できるという効果がある。
また、第1、第2の熱伝導部を経由するため、実装端子から伝わる熱の流れ(熱伝導)の速度は、速く、極めて短時間で圧電振動素子10の検出する温度と、感温部品30の検出する温度との温度差を縮小できるという効果がある。
また、圧電基板12にATカット水晶基板を用いることにより、圧電デバイス1の周波数温度特性は優れた3次特性となり、今までに蓄積された温度補償技術が有効に活用できるという効果がある。さらに、ATカット水晶基板のエッチング手法も長い間の経験に裏打ちされているので、高周波で小型の圧電基板が量産できるという利点がある。
【0062】
図8は、図3に示した第1及び第2の絶縁基板20a1、20b1を用いた第2の実施形態例である圧電デバイス2の断面図と、その図に重ねて熱の伝導経路を示した図である。図1の圧電デバイス1と異なる点は、図3に示すように、キャスタレーションC1〜C4内にメタライズを施し、キャスタレーション電極Ce1〜Ce4とした点である。つまり、実装端子22からキャスタレーション電極Ce1〜Ce4を経由して、圧電振動素子10、感温部品30へ伝導される熱も考慮している。キャスタレーション電極Ce1〜Ce4の形状は対称であるので、これらを流れる熱量はほぼ等しいと考えられ、キャスタレーション電極Ce1〜Ce4から圧電振動素子10、感温部品30への配線パターンの長さと、幅は両者の熱容量を考慮して設定する。
【0063】
図8に示す実施形態例の圧電デバイス2に示すように、第1、第2の熱伝導部の少なくとも何れか一方をキャスタレーションC1〜C4内に設けることにより、実装端子22から伝わる熱の流れ(熱伝導)の速度は速く、極めて短時間で圧電振動素子10の検出する温度と、感温部品30の検出する温度との温度差を縮小できるという効果がある。
実装端子22から伝わる熱の流れ(熱伝導)は、基板内に設けた熱伝導部と、容器の側面に設けたキャスタレーション電極Ce1〜Ce4とを経由するため、熱伝導の速度が速く、極めて短い時間で圧電振動素子の検出する温度と、感温部品検出する温度との温度差を縮小できるという効果がある。
【0064】
図9(a)は第3の実施形態例の圧電デバイス3の構成を示す断面図であり、同図(b)は第2の絶縁基板20b3の裏面図であり、同図(c)は第1の絶縁基板20a3の裏面図である。図1に示す圧電デバイス1では、圧電振動素子10へ接続する実装端子22b、22dは、第1の絶縁基板20aの底部に対角状に配置されているが、図9に示す実施形態例の圧電デバイス3では、圧電振動素子10用の実装端子22a、22bを、第1の絶縁基板20aAの底部の短辺側の一方の端部に配置し、感温部品30用の実装端子を短辺側の他方の端部に配置している点が異なる。これは、実装端子22と圧電振動素子10との接続経路を配線パターンを介さないストレートな第1の熱伝導部で導通接続するようにしたからである。
【0065】
図1に示す実施形態の圧電デバイス1では、実装端子22b(22d)は、ビア電極23a(23b)、第1の配線パターン26a、ビア電極23d(23c)、第1の電極パッド28b(28a)を経由して圧電振動素子10に接続している。これに対し、図9に示す実施形態の圧電デバイス3では、実装端子22a、22bは、第1の絶縁基板20a3を貫通するビア電極23a、23bと、第2の絶縁基板20b3と貫通するビア電極23c、23dとがストレートに接続されており、第1の電極パッド28a、28bを経て圧電振動素子10に導通接続されている。つまり、第1の配線パターン26aを経ずに、実装端子22a、22bは、第1の熱伝導部(ビア電極23a、23b、23c、23d)のみで圧電振動素子10と導通接続されている。実装端子22c、22dと感温部品30との導通経路は、圧電デバイス1とほぼ同様である。このように、実装端子22と圧電振動素子10との伝導経路が第1の配線パターン26aを経由しないと、熱の伝導性も良く成り、圧電振動素子10の温度と、感温部品30の温度とをほぼ等しくするのが容易となる。
【0066】
図9の実施形態例に示すように圧電デバイス3を構成することにより、極めて短時間で圧電振動素子10の温度と、感温部品30の検出する温度との温度差を縮小することが可能となり、外部回路と接続されて、優れた周波数ドリフト特性(短期安定度)特性を有する温度補償型圧電発振器が実現できるので、GPS等の性能を改善できるという効果がある。
【0067】
図10は、第4の実施形態例の圧電デバイス4の構成を示す断面図である。圧電デバイス4が図8に示す第2の実施形態例の圧電デバイス2と異なる点は、第2の絶縁基板20b4と第3の基板20c4とを貫通するビア電極24gを設けている点である。図10(a)に示すように、ビア電極24bとビア電極24gとを直線的に導通接続し、1つの実装端子22c(接地用)と蓋部材38との導通を図っている。感温部品30の一方の端子電極は接地して用いる場合が多いので、感温部品30と接続する実装端子22cと、第3の基板20cの上部周縁に形成するシールリング(図示せず)とを導通接続するには、ビア電極24bに直結するビア電極24gを設ければよい。図10に示す断面図ではキャスタレーション電極Ce(Ce1〜Ce4)も示している。蓋部材38を接地することにより圧電デバイス4からの高周波雑音の放射を防止できる。
【0068】
圧電デバイス(感温部品内蔵の振動子)において、感温部品(サーミスタ)30と蓋部材38とを接続する利点は、次の通りである。即ち、蓋部材38と圧電振動素子10とは温度分布的に近い温度となる。そこで、蓋部材38と感温部品30とを第2の熱伝導部(ビア電極24b、24g)で導通接続すると、圧電振動素子10の温度と感温部品30との温度差が小さくなることが期待できる。つまり、圧電振動素子10と、感温部品30とは、短時間で熱的平衡状態に近づくことが推測される。更に感温部品30の一方の端子電極が接続する実装端子を接地すると、主回路基板からの熱は接地から多く伝導されるので、この実装端子を経由して感温部品30と蓋部材38に熱が伝導し、熱的平衡状態が早まる。また、蓋部材38を接地することによりシールド効果も同時に得られる。感温部品(サーミスタ)30用に2つの実装端子と、圧電振動素子10用に2つの実装端子の計4つの実装端子22のうち、感温部品30の一方の端子に繋がる実装端子22cを接地すればよく、接地用の独立の実装端子を設けなくてもよい。
第2の熱伝導部(ビア電極24b、24g)を用いると、実装端子22と蓋部材38との熱伝導の速度は速くなり、実装端子22と接続する感温部品30の温度と、蓋部材38に近接して配置された圧電振動素子10の温度との温度差を極めて短時間で縮小できるという効果がある。
【0069】
図11(a)は、第5の実施形態例の圧電デバイス5の構成を示す断面図であり、同図(b)は、第2の絶縁基板20b5の平面図であり、同図(c)は、(b)のQ−Q断面図である。圧電デバイス5の構成が図1に示す圧電デバイス1の構成と異なる点は、図1に示す第3の基板20cとして厚肉環状のシールリング42を用い、図11に示すように、第2の絶縁基板20b5の表面とシールリング42とで第1の収容部27を構成している点である。シールリング42の上部にコバール等の蓋部材38をシーム溶接することにより、第1の収容部27を気密封止することができる。圧電デバイス5の方が圧電デバイス1より低背化が可能となる。
【0070】
図12は、第6の実施形態の圧電デバイス6を用いる電子機器の一例としてデジタル携帯電話100の構成を示す概略ブロック図である。圧電デバイス6は、既に説明した容器20を用い、第1の収容部27に音叉型水晶振動素子50を、第2の収容部21に感温部品30を、収容し、蓋部材38で第1の収容部27を真空・密封した圧電デバイスである。
図12に示すデジタル携帯電話100で音声を送信する場合、使用者が自分の音声をマイクロフォンに入力すると、信号はパルス幅変調・符号化の回路と変調器/ 復調器の回路を経てトランスミッター、アンテナスイッチを介しアンテナから送信される。一方、他者から送信された信号は、アンテナで受信され、アンテナスイッチ、受信フィルター+アンプ回路等を経て、レシーバー回路に入り、このレシーバー回路から変調器/ 復調器回路に入力される。そして、復調器回路で復調された信号がパルス幅変調・符号化回路を経てスピーカーから音声として出力されるように構成されている。アンテナスイッチや変調器/ 復調器ブ回路等を制御するためにコントローラが設けられている。
【0071】
このコントローラは、上述の機能の他に表示部であるLCDや、数字等の入力部であるキー、さらにRAMやROM等も制御するため、用いられる音叉振動子の周波数は、高精度、高安定度であることが求められる。この要求に応えるべく、感温部品30と音叉振動素子50とを、容器20に収容した圧電振動子が、図13に示す圧電デバイス6である。
つまり、第6の実施形態例の圧電デバイス6と、図1に示す圧電デバイス1との異なる点は、圧電デバイス1では圧電振動素子10は厚みすべり振動素子を用いているが、圧電デバイス6では屈曲振動をする音叉型圧電振動素子50を用いている点である。高周波が必要とされる場合は、圧電デバイス1が適し、低周波が要求される場合は圧電デバイス6が適している。
圧電振動素子10に音叉型水晶振動素子50を用いることにより、高周波を分周することなく所望の低周波得られるという利点がある。また、圧電デバイス1〜6及び後述する圧電デバイス7を用いて電子機器を製作すると、高安定で短期安定度の優れた基準周波数源が容易に構成できるという効果がある。
【0072】
音叉型圧電振動素子について簡単に説明する。図14(a)は、音叉型圧電振動素子50の平面図であり、同図(b)は(a)のP−P断面図である。圧電基板52は、フォトリソグラフィ技術とエッチング手法を用いて形成される。図14(a)に示すように、互いに並行(平行)して直線状に延びる細幅帯状の複数の振動腕55a、55bと、各振動腕55a、55bの一方の端部(基端部)間を連接する基部54と、各振動腕55a、55bの振動中心線に沿った表面及び裏面に夫々形成された溝部57a、57b、58a、58bと、を備えている。
【0073】
図14(b)は、各振動腕55a、55bに夫々形成された励振電極60、62、64、66の配置を示すP−P断面図である。励振電極60、64は、各溝部57a(57b)、58a(8b)の表面、及び側面に形成され、励振電極62、66は各振動腕55a、55bの夫々両側面に形成されている。励振電極60、66と、励振電極62、64とは、互いに異符号の電圧が基部54の電極パッド(図示せず)を介して印加されるように構成されている。つまり、励振電極60、66に+電圧が印加されるとき、励振電極62、64には−電圧が印加され、図14(b)の矢印で示すような電界が生じ、圧電振動素子50の重心を通る中心線に対し対称な音叉振動(屈曲振動)が励振される。
なお、溝部57a(57b)、58a(58b)を形成することにより、電界強度が強まり、音叉振動をより効率的に励振することができる。即ち、圧電振動素子のCI(クリスタルインピーダンス)を小さくすることができる。
【0074】
図15は、第7の実施形態例の圧電デバイス7の構成を示す図である。図15(a)は平面図であり、同図(b)は(a)のQ−Q断面図であり、同図(c)は底面図である。図1に示す圧電デバイス1と異なる点は、第2の絶縁基板20b6の表面と、第3の絶縁基板20c6とで形成される第1の収容部27に、厚みすべり振動の圧電振動素子10aと、屈曲振動の音叉型圧電振動素子10bと、を併置して収容した点である。2つの圧電振動素子10a、10bを併置したので、第1の電極パッドは4個28a〜28d必要となり、これに対応するビア電極も4つ必要となる。また、ビア電極の個数が増えるのに応じ、実装端子の数も多くなり、図15の実施形態例では実装端子22a〜22fは、圧電デバイス7の裏面図に示すように、6個となる。
圧電デバイス7は、低周波と高周波の両方の周波数を必要とする電子機器には有用であり、1つの感温部品30で2つの高精度の周波数を得ることができる。
圧電デバイス7を用いると、外部回路を用いることにより、高周波と低周波の2つの圧電発振器が温度補償され、高安定で短期安定度の優れた基準周波数が得られるという効果がある。
【符号の説明】
【0075】
1、2、3、4、5、6、7…圧電デバイス、10、10a、10b…圧電振動素子、12…圧電基板、13…励振部、14a、14b…励振電極、15…周辺部、16a、16b…リード電極、18a、18b…端子電極、20…容器、20a、20a1、20a2、20a3、20a4、20a5、20a6…第1の絶縁基板、20b、20b1、20b2、20b3、20b4、20b5、20b6…第2の絶縁基板、20c、20c3、20c4、20c6…第3の基板、21…第2の収容部、22…実装端子、23a、23b、23c、23d…第1の熱伝導部(ビア電極)、24a、24b…第2の熱伝導部(ビア電極)、24g…ビア電極、25…第3の熱伝導部(ビア電極)、26a…第1の配線パターン、26b…第2の配線パターン、27…第1の収容部、28a、28b、28c、28d…第1の電極パッド、29a、29b…第2の電極パッド、30…感温部品、35導電性接着剤…、38…蓋部材、40a、40b、40c、40d…中継パッド、42…シールリング、C1、C2、C3、C4…キャスタレーション、Ce1、Ce2、Ce3、Ce4…キャスタレーション電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電振動素子と、温度を検出する感温部品と、前記圧電振動素子を収容する第1の収容部を有し、前記感温部品を収容する第2の収容部を有した容器と、を備えた圧電デバイスであって、
前記容器は、前記第2の収容部を構成する貫通孔を有し且つ底部に複数の実装端子を備えた第1の絶縁基板と、
前記第1の絶縁基板の前記底部とは反対側の表部に対して裏面を積層固定され、前記裏面とは反対側の表面に前記圧電振動素子搭載用の第1の電極パッドが設けられ、前記裏面に前記実装端子と前記第1の電極パッドとを導通させる第1の配線パターン、前記実装端子と前記感温部品とを導通させる第2の配線パターン、及び前記感温部品搭載用の第2の電極パッドが設けられた第2の絶縁基板と、
前記第2の絶縁基板の前記表面に積層固定され、前記第1の収容部を構成する第3の基板と、を備え、
少なくとも1つの前記実装端子と前記第1の電極パッドとは、第1の熱伝導部及び前記第1の配線パターンにより電気的に接続され、
他の少なくとも1つの前記実装端子と前記第2の電極パッドとは、第2の熱伝導部及び前記第2の配線パターンにより電気的に接続されていることを特徴とする圧電デバイス。
【請求項2】
圧電振動素子と、温度を検出する感温部品と、前記圧電振動素子を収容する第1の収容部を有し、前記感温部品を収容する第2の収容部を有した容器と、を備えた圧電デバイスであって、
前記容器は、前記第2の収容部を構成する貫通孔を有し且つ底部に複数の実装端子を備えた第1の絶縁基板と、
前記第1の絶縁基板の前記底部とは反対側の表部に対してを積層固定され、前記裏面とは反対側の表面に前記圧電振動素子搭載用の第1の電極パッドが設けられ、前記裏面に前記実装端子と前記第1の電極パッドとを導通させる第1の配線パターン、前記実装端子と前記感温部品とを導通させる第2の配線パターン、及び前記感温部品搭載用の第2の電極パッドが設けられた第2の絶縁基板と、
前記第2の絶縁基板の前記表面に積層固定され、前記第1の収容部を構成する第3の基板と、を備え、
少なくとも1つの前記実装端子と前記第1の電極パッドとは、第1の熱伝導部により電気的に接続され、
他の少なくとも1つの前記実装端子と前記第2の電極パッドとは、第2の熱伝導部及び前記第2の配線パターンにより電気的に接続されていることを特徴とする圧電デバイス。
【請求項3】
前記第1、第2の熱伝導部の少なくとも何れか一方の少なくとも一部は、前記第1の絶縁基板の内部に貫通配置されていることを特徴とする請求項1、又は2に記載の圧電デバイス。
【請求項4】
前記第1、第2の熱伝導部の少なくとも何れか一方の少なくとも一部は、前記容器の外側面に設けられたキャスタレーション内に配置されていることを特徴とする請求項1、又は2に記載の圧電デバイス。
【請求項5】
前記第1、第2の熱伝導部のうちの一方の少なくとも一部は、前記第1の絶縁基板の内部に貫通配置され、他方の少なくとも一部は前記容器の外側面に設けられたキャスタレーション内に配置されていることを特徴とする請求項1、又は2に記載の圧電デバイス。
【請求項6】
前記第1、第2の熱伝導部の少なくとも何れか一方は、前記第1の絶縁基板の内部に貫通配置された熱伝導部と、前記絶縁容器外側面に設けられたキャスタレーション内に配置された熱伝導部と、が連結していることを特徴とする請求項1、又は2に記載の圧電デバイス。
【請求項7】
前記第1の収容部を気密封止する蓋部材を備え、
前記蓋部材は、前記容器の内部を貫通する第3の熱伝導部により、前記感温部品と接続する実装端子と電気的に接続されていることを特徴とする請求項1乃至6のうち何れか一項に記載の圧電デバイス。
【請求項8】
前記圧電振動素子の圧電基板は、水晶の結晶軸である電気軸としてのX軸と、機械軸としてのY軸と、光学軸としてのZ軸と、からなる直交座標系の前記X軸を中心として、
前記Z軸を前記Y軸の−Y方向へ所定の角度だけ傾けた軸をZ’軸とし、
前記Y軸を前記Z軸の+Z方向へ前記所定の角度だけ傾けた軸をY’軸とし、
前記X軸と前記Z’軸に平行な面で構成され、
前記Y’軸に平行な方向を厚みとする水晶基板であり、
前記X軸に平行な辺を長辺とし、
前記Z’軸に平行な辺を短辺とした水晶基板を用いたATカット水晶振動素子であることを特徴とする請求項1乃至7のうち何れか一項に記載の圧電デバイス。
【請求項9】
前記圧電振動素子は、音叉型水晶振動素子であることを特徴とする請求項1乃至7のうち何れか一項に記載の圧電デバイス。
【請求項10】
前記圧電振動素子は、ATカット水晶振動素子と音叉型水晶振動素子とが前記第1の収容部に併置されていることを特徴とする請求項1乃至7のうち何れか一項に記載の圧電デバイス。
【請求項11】
請求項1乃至10のうち何れか一項に記載の圧電デバイスを備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項1】
圧電振動素子と、温度を検出する感温部品と、前記圧電振動素子を収容する第1の収容部を有し、前記感温部品を収容する第2の収容部を有した容器と、を備えた圧電デバイスであって、
前記容器は、前記第2の収容部を構成する貫通孔を有し且つ底部に複数の実装端子を備えた第1の絶縁基板と、
前記第1の絶縁基板の前記底部とは反対側の表部に対して裏面を積層固定され、前記裏面とは反対側の表面に前記圧電振動素子搭載用の第1の電極パッドが設けられ、前記裏面に前記実装端子と前記第1の電極パッドとを導通させる第1の配線パターン、前記実装端子と前記感温部品とを導通させる第2の配線パターン、及び前記感温部品搭載用の第2の電極パッドが設けられた第2の絶縁基板と、
前記第2の絶縁基板の前記表面に積層固定され、前記第1の収容部を構成する第3の基板と、を備え、
少なくとも1つの前記実装端子と前記第1の電極パッドとは、第1の熱伝導部及び前記第1の配線パターンにより電気的に接続され、
他の少なくとも1つの前記実装端子と前記第2の電極パッドとは、第2の熱伝導部及び前記第2の配線パターンにより電気的に接続されていることを特徴とする圧電デバイス。
【請求項2】
圧電振動素子と、温度を検出する感温部品と、前記圧電振動素子を収容する第1の収容部を有し、前記感温部品を収容する第2の収容部を有した容器と、を備えた圧電デバイスであって、
前記容器は、前記第2の収容部を構成する貫通孔を有し且つ底部に複数の実装端子を備えた第1の絶縁基板と、
前記第1の絶縁基板の前記底部とは反対側の表部に対してを積層固定され、前記裏面とは反対側の表面に前記圧電振動素子搭載用の第1の電極パッドが設けられ、前記裏面に前記実装端子と前記第1の電極パッドとを導通させる第1の配線パターン、前記実装端子と前記感温部品とを導通させる第2の配線パターン、及び前記感温部品搭載用の第2の電極パッドが設けられた第2の絶縁基板と、
前記第2の絶縁基板の前記表面に積層固定され、前記第1の収容部を構成する第3の基板と、を備え、
少なくとも1つの前記実装端子と前記第1の電極パッドとは、第1の熱伝導部により電気的に接続され、
他の少なくとも1つの前記実装端子と前記第2の電極パッドとは、第2の熱伝導部及び前記第2の配線パターンにより電気的に接続されていることを特徴とする圧電デバイス。
【請求項3】
前記第1、第2の熱伝導部の少なくとも何れか一方の少なくとも一部は、前記第1の絶縁基板の内部に貫通配置されていることを特徴とする請求項1、又は2に記載の圧電デバイス。
【請求項4】
前記第1、第2の熱伝導部の少なくとも何れか一方の少なくとも一部は、前記容器の外側面に設けられたキャスタレーション内に配置されていることを特徴とする請求項1、又は2に記載の圧電デバイス。
【請求項5】
前記第1、第2の熱伝導部のうちの一方の少なくとも一部は、前記第1の絶縁基板の内部に貫通配置され、他方の少なくとも一部は前記容器の外側面に設けられたキャスタレーション内に配置されていることを特徴とする請求項1、又は2に記載の圧電デバイス。
【請求項6】
前記第1、第2の熱伝導部の少なくとも何れか一方は、前記第1の絶縁基板の内部に貫通配置された熱伝導部と、前記絶縁容器外側面に設けられたキャスタレーション内に配置された熱伝導部と、が連結していることを特徴とする請求項1、又は2に記載の圧電デバイス。
【請求項7】
前記第1の収容部を気密封止する蓋部材を備え、
前記蓋部材は、前記容器の内部を貫通する第3の熱伝導部により、前記感温部品と接続する実装端子と電気的に接続されていることを特徴とする請求項1乃至6のうち何れか一項に記載の圧電デバイス。
【請求項8】
前記圧電振動素子の圧電基板は、水晶の結晶軸である電気軸としてのX軸と、機械軸としてのY軸と、光学軸としてのZ軸と、からなる直交座標系の前記X軸を中心として、
前記Z軸を前記Y軸の−Y方向へ所定の角度だけ傾けた軸をZ’軸とし、
前記Y軸を前記Z軸の+Z方向へ前記所定の角度だけ傾けた軸をY’軸とし、
前記X軸と前記Z’軸に平行な面で構成され、
前記Y’軸に平行な方向を厚みとする水晶基板であり、
前記X軸に平行な辺を長辺とし、
前記Z’軸に平行な辺を短辺とした水晶基板を用いたATカット水晶振動素子であることを特徴とする請求項1乃至7のうち何れか一項に記載の圧電デバイス。
【請求項9】
前記圧電振動素子は、音叉型水晶振動素子であることを特徴とする請求項1乃至7のうち何れか一項に記載の圧電デバイス。
【請求項10】
前記圧電振動素子は、ATカット水晶振動素子と音叉型水晶振動素子とが前記第1の収容部に併置されていることを特徴とする請求項1乃至7のうち何れか一項に記載の圧電デバイス。
【請求項11】
請求項1乃至10のうち何れか一項に記載の圧電デバイスを備えたことを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−102315(P2013−102315A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244214(P2011−244214)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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