説明

圧電デバイスおよびその製造方法

【課題】スペーサの構成を簡単なものとするとともに、パッケージを実装基板に実装した後においても、パッケージの支持高さ(すなわち、スペーサの高さ)を調節することができることにより小型化を図ることのできる圧電デバイスおよび圧電デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】圧電デバイス1は、圧電体素子2を収容したパッケージ3と、スペーサ51〜53を介してパッケージ3を支持する実装基板4と、スペーサ51〜53により形成されたパッケージ3および実装基板4間の隙間に位置するように実装基板4に設けられ、圧電体素子2を駆動するための電子部品6とを有している。スペーサ51は、アーチ状に湾曲させた金属ワイヤで構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電デバイスおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
圧電デバイスとしては、支持基板上に水晶発振器回路を構成する電子部品を設けるとともに、この電子部品の上方に水晶発振器を位置させるように、水晶発振器をスペーサを介して前記支持基板に固定した構成のものが知られている(特許文献1参照)。
特許文献1の圧電デバイス(圧電発振器)は、内部に圧電振動片を収容するパッケージと、パッケージを接続部材(スペーサ)を介して固定する回路基板と、接続部材により形成された回路基板とパッケージの間の空間に位置するように回路基板に搭載された集積回路(IC)とを有している。
【0003】
このような圧電デバイスでは、接続部材として、融点の高い球形部材である核の周囲に、融点の低い導電性部材(ハンダ)をコーティングしたハンダボールを用いており、これにより、核の周囲にコーティングされたハンダにて電気的接続を行いつつ、核によりパッケージの支持高さを定めている。
このように、特許文献1の圧電デバイスによれば、接続部材によりパッケージの支持高さを定めることができる。しかしながら、このような圧電デバイスには、次のような問題がある。
【0004】
第1に、特許文献1の圧電デバイスでは、球形の接続部材は、コーティングされたハンダが溶融するまでは、回路基板およびパッケージに対して変位し易く、そのため、接続部材(およびパッケージ)が所定位置からずれ易いという問題がある。
第2に、特許文献1の圧電デバイスでは、圧電デバイスのサイズ等によって、核の大きさが異なる接続部材を使い分ける必要があり、大きさの異なる接続部材を予め複数種類用意しておかなければならない。そのため、特許文献1の圧電デバイスでは、圧電デバイスの製造コストが増加するという問題がある。
第3に、特許文献1の圧電デバイスでは、パッケージを接続部材に固定した後には、パッケージの支持高さを調節することが出来ない。そのため、特許文献1の圧電デバイスでは、圧電デバイスの小型化(薄型化)を図ることができない問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−104151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、スペーサの構成を簡単なものとするとともに、パッケージを実装基板に実装した後においても、パッケージの支持高さ(すなわち、スペーサの高さ)を調節することができることにより小型化を図ることのできる圧電デバイスおよび圧電デバイスの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本発明の圧電デバイスは、圧電振動片を収容し、外底面を有するパッケージと、
部品実装面を有する実装基板と、
前記パッケージの前記外底面および前記実装基板の前記部品実装面間に配置され、前記外底面および前記部品実装面間に隙間を形成するスペーサと、
前記外底面および前記部品実装面間の前記隙間に配置され、前記圧電振動片を駆動する電子部品とを有し、
前記スペーサは、前記部品実装面または前記外底面に両端部が接合された金属ワイヤを有し、
前記金属ワイヤは、前記両端部の間にループ形状を有することを特徴とする。
これにより、スペーサの構成を簡単なものとすることができる。また、パッケージを実装基板に実装した後においても、パッケージの支持高さ(すなわち、スペーサの高さ)を調節することができるため、圧電デバイスの小型化(薄型化)を図ることができる。
【0008】
[適用例2]
本発明の圧電デバイスでは、前記金属ワイヤの前記両端部は、それぞれ、前記実装基板の前記部品実装面に接合され、
前記パッケージの前記外底面に形成された外部端子が、導電性の接合材により、前記金属ワイヤの頂部に固着されていることが好ましい。
これにより、圧電デバイスの製造(金属ワイヤの形成)工程を簡素化することができる。また、パッケージを金属ワイヤを介して実装基板に固定することができる。
【0009】
[適用例3]
本発明の圧電デバイスでは、前記金属ワイヤの前記両端部は、それぞれ、前記パッケージの前記外底面に接合され、
前記実装基板上に形成された接続端子が、前記金属ワイヤの頂部に導電性の接合材により固着されていることが好ましい。
これにより、圧電デバイスの製造(金属ワイヤの形成)工程を簡素化することができる。また、パッケージを金属ワイヤを介して実装基板に固定することができる。
【0010】
[適用例4]
本発明の圧電デバイスでは、前記金属ワイヤは、ワイヤボンディングにより形成されていることが好ましい。
これにより、所定位置に、所定形状(大きさを含む)をなす金属ワイヤを高精度にかつ簡単に形成することができる。
【0011】
[適用例5]
本発明の圧電デバイスでは、前記スペーサを複数有し、
複数の前記スペーサは、それぞれ、前記金属ワイヤを複数有していることが好ましい。
これにより、スペーサの機械的強度を高めることができる。また、スペーサとパッケージとの接触面積を大きくすることができ、スペーサとパッケージとの接合強度を高めることができる。
【0012】
[適用例6]
本発明の圧電デバイスでは、複数の前記金属ワイヤは、少なくとも、前記実装基板の平面視にて、並設された一対の前記金属ワイヤを含んでいることが好ましい。
これにより、複数の金属ワイヤを、それぞれ、同じ方向にワイヤボンディングすればよいため、金属ワイヤの形成が容易となる。
【0013】
[適用例7]
本発明の圧電デバイスでは、複数の前記金属ワイヤは、少なくとも、前記実装基板の平面視にて、互いに交わるように設けられた一対の前記金属ワイヤを含んでいることが好ましい。
これにより、比較的少ない本数の金属ワイヤで、所望の機械的強度を有するスペーサを形成することができる。
【0014】
[適用例8]
本発明の圧電デバイスの製造方法は、圧電振動片を収容し外底面を有するパッケージと、部品実装面を有する実装基板と、前記パッケージの前記外底面および前記実装基板の前記部品実装面間に配置され前記外底面および前記部品実装面間に隙間を形成するスペーサと、前記外底面および前記部品実装面間の前記隙間に配置され前記圧電振動片を駆動する電子部品とを有する圧電デバイスの製造方法であって、
ループ形状を有する金属ワイヤの両端部を、前記部品実装面および前記外底面の少なくとも何れか一方に接合することにより前記スペーサを形成するスペーサ形成工程と、
前記パッケージの前記外底面と、前記実装基板の前記部品実装面とを前記スペーサを介して接続する接続工程とを有していることを特徴とする。
これにより、スペーサの構成が簡単で、小型化を図ることのできる圧電デバイスを容易に製造することができる。
【0015】
[適用例9]
本発明の圧電デバイスの製造方法では、前記スペーサ形成工程において、前記金属ワイヤの前記接合は、ワイヤボンディングによりなされることが好ましい。
これにより、スペーサを所望位置に高精度かつ簡単に形成することができる。
【0016】
[適用例10]
本発明の圧電デバイスの製造方法では、前記実装基板の前記部品実装面には端子が形成されており、
前記スペーサ形成工程では、前記金属ワイヤの少なくとも一端部を前記端子に接合して前記スペーサを形成し、前記端子と前記電子部品とをワイヤボンディングにより接続することが好ましい。
これにより、電子部品と端子とをワイヤボンディングにより電気的に接続する際に、あわせて、スペーサを形成することができる。そのため、圧電デバイスの製造工程の簡易化を図ることができる。
【0017】
[適用例11]
本発明の圧電デバイスの製造方法では、前記接続工程の後に、前記隙間にモールド材を充填するモールド工程を有し、
前記モールド工程は、前記圧電デバイスに前記パッケージと前記実装基板とを接近させる方向の力を加え、前記金属ワイヤを弾性変形させることにより、前記パッケージと前記実装基板との離間距離を外力が作用していない状態と比較して小さくした状態で行われることが好ましい。
これにより、圧電デバイスの小型化(薄型化)を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の圧電デバイスの第1実施形態を示す断面図である。
【図2】図1に示す圧電デバイスが備えるパッケージの上面図および下面図である。
【図3】図1に示す圧電デバイスが備える実装基板の上面図である。
【図4】図1に示す圧電デバイスが備えるスペーサの斜視図である。
【図5】図1に示す圧電デバイスをモールドした状態を示す断面図である。
【図6】図5に示す圧電デバイスの製造方法を示す断面図である。
【図7】図5に示す圧電デバイスの製造方法を示す断面図である。
【図8】図5に示す圧電デバイスの製造方法を示す断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る圧電デバイスが備えるスペーサを示す平面図である。
【図10】図9に示すスペーサの斜視図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係る圧電デバイスが備えるスペーサを示す平面図である。
【図12】図11に示すスペーサの斜視図である。
【図13】本発明の第4実施形態に係る圧電デバイスが備えるパッケージの下面図である。
【図14】図13に示す圧電デバイスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の圧電デバイスを添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の圧電デバイスの第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の圧電デバイスの第1実施形態を示す断面図、図2は、図1に示す圧電デバイスが備えるパッケージの上面図および下面図、図3は、図1に示す圧電デバイスが備える実装基板の上面図、図4は、図1に示す圧電デバイスが備えるスペーサの斜視図、図5は、図1に示す圧電デバイスをモールドした状態を示す断面図、図6ないし図8は、それぞれ圧電デバイスの製造方法を説明する断面図である。なお、図3および図4については、後述する配線パターン42の図示を省略している。また、図1、図4〜図8中の上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。
図1に示す圧電デバイス1は、圧電振動片2を収容するパッケージ(収容部)3と、4つのスペーサ51、52、53、54を介してパッケージ3を実装(固定・支持)する実装基板4と、パッケージ3と実装基板4の間に位置するように実装基板4に設けられた電子部品6とを有している。以下、これらについて、順次、詳細に説明する。
【0020】
まず、圧電振動片2について説明する。
本実施形態では、圧電振動片2は、弾性表面波素子(SAWチップ)である。図2に示すように、弾性表面波素子2は、長手形状をなす圧電体基板21と、圧電体基板21上に設けられたIDT(櫛歯電極)22と、IDT22の両側に配置された一対の反射器23a、23bとを有している。
【0021】
圧電体基板21は、水晶で構成されている。圧電体基板21を水晶で構成することにより優れた温度特性を発揮することができる。なお、圧電体基板21は、例えば、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、ホウ酸リチウム等の水晶以外の圧電材料で構成されていてもよい。
IDT22は、圧電体基板21の中央部に設けられている。このIDT22は、一対の電極22a、22bで構成されている。一対の電極22a、22bは、電極22aの電極指221aと、電極22bの電極指221bとが噛み合うように配置されている。一対の電極22a、22b間に電圧を印加すると、圧電体基板21の圧電効果によって、電極指221a、221b間に周期的なひずみが生じ、弾性表面波が励起される。励起した弾性表面波は、電極指221a、221bの連続方向(すなわち、圧電体基板21の長手方向)に沿って伝搬する。
【0022】
一対の反射器23a、23bは、前述した弾性表面波の伝搬方向において、IDT22を挟んでその両側に配置されている。このような反射器23a、23bは、圧電体基板21に伝搬する弾性表面波を反射して、反射器23aと反射器23bとの間に封じ込める機能を有する。
このようなIDT22および反射器23a、23bは、全体的に、圧電体基板21の長手方向の一端側(図2中右側の端側)にずれて形成されている。そして、圧電体基板21の他端側(図2中左側の端側)には、一対の引出電極24a、24bが形成されている。引出電極24a、24bは、それぞれ、圧電体基板21の上面(IDT22が形成されている面)から側面を介して下面に回り込むように形成されている。また、引出電極24aは、電極22aと電気的に接続されており、引出電極24bは、電極22bと電気的に接続されている。
【0023】
このようなIDT22、反射器23a、23bおよび引出電極24a、24bは、それぞれ、アルミニウム、アルミニウム合金等の導電性の優れた金属材料により形成することができる。
このような弾性表面波素子2を備えることにより、圧電デバイス1は、SAW共振子やSAW発振器等のSAWデバイスを構成することができる。
【0024】
次いで、弾性表面波素子2を収容・固定するパッケージ3について説明する。パッケージ3は、その平面視にて、略長方形状をなしている。図1に示すように、このようなパッケージ3は、板状のベース基板31と、枠状の枠部材32と、板状の蓋部材33とを有している。ベース基板31と、枠部材32と、蓋部材33とは、実装基板4側からこの順で積層している。ベース基板31と枠部材32および枠部材32と蓋部材33は、それぞれ、例えば、接着剤やロウ材を介して接合されている。そして、パッケージ3は、ベース基板31、枠部材32および蓋部材33で画成された内部空間Sに弾性表面波素子2を収容している。
このようなベース基板31の構成材料としては、絶縁性(非導電性)を有しているものが好ましく、例えば、各種ガラス、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、炭化物系セラミックス等の各種セラミックス、ポリイミド等の各種樹脂材料などを用いることができる。
【0025】
また、枠部材32および蓋部材33の構成材料としては、例えば、ベース基板31と同様の構成材料、Al、Cu等の各種金属材料、各種ガラス材料などを用いることができる。特に、蓋部材33の構成材料として、ガラス材料等の光透過性を有するものを用いた場合には次のような効果を発揮することができる。すなわち、まず、圧電体基板21に、予め金属被覆部(図示せず)を形成しておく。これにより、弾性表面波素子2をパッケージ3内に収容した後であっても、蓋部材33を介して前記金属被覆部にレーザを照射し、前記金属被覆部を除去して圧電体基板21の質量を減少させることにより(質量削減方式により)、弾性表面波素子2の周波数調整を行うことができる。
【0026】
図1および図2に示すように、ベース基板31の上面には、一対の内部端子34a、34bが内部空間Sに露出するように形成されている。この内部端子34a、34bの上には、それぞれ、エポキシ系、ポリイミド系等の導電性接着剤39a、39bが塗布されて(盛られて)おり、さらに、この導電性接着剤39a、39b上に、前述した弾性表面波素子2がIDT22等が形成された面を上側(蓋部材33側)にして載置されている。そして、導電性接着剤39a、39bを硬化することにより、弾性表面波素子2を内部端子34a、34b(ベース基板31)に固定する。
【0027】
なお、この固定は、導電性接着剤39aが引出電極24aに接触するとともに、導電性接着剤39bが引出電極24bに接触するようにして行われる。これにより、導電性接着剤39a、39bを介して、弾性表面波素子2がベース基板31に固定されるとともに、導電性接着剤39aを介して引出電極24aおよび内部端子34aが電気的に接続され、導電性接着剤39bを介して引出電極24bおよび内部端子34bが電気的に接続される。
【0028】
また、図1および図2に示すように、ベース基板31の下面すなわちパッケージ3の外底面には、その四隅付近に位置するように4つの外部端子35a、35b、35c、35dが設けられている。これら外部端子35a〜35dは、それぞれ、実装基板4の上面(部品実装面)に設けられた後述する4つの接続端子41a〜41dに対向するように位置する。
【0029】
4つの外部端子35a〜35dのうち、外部端子35a、35bは、それぞれ、ベース基板31に形成されたビアホールを介して内部端子34a、34bに電気的に接続されたホット端子である。他の2つの外部端子35c、35dは、それぞれ、パッケージ3を実装基板4に実装するときの接合強度(スペーサ51〜54とパッケージ3の接合強度)を高めるためのダミー端子である。
このような内部端子34a、34bおよび外部端子35a〜35dは、それぞれ、例えば、タングステンおよびニッケルメッキの下地層に、金メッキを施すことで形成することができる。
【0030】
次いで、上記のようなパッケージ3を実装(固定する)する実装基板4について説明する。図3に示すように、実装基板4は、その平面視にて、略長方形状をなしており、前述したパッケージ3のベース基板31よりも若干大きく形成されている。
このような実装基板4は、リジッド基板、フレキシブル基板あるいはリジッドフレキシブル基板のいずれでもよい。また、実装基板4の構成材料としては、絶縁性(非導電性)を有しているものが好ましく、例えば、各種ガラス、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、炭化物系セラミックス等の各種セラミックス、ポリイミド等の各種樹脂材料などを用いることができる。
【0031】
図2および図3に示すように、実装基板4の上面である部品実装面(パッケージ3側の面)には、4つの接続端子41a、41b、41c、41dと、配線パターン42とが形成されている。4つの接続端子41a〜41dは、それぞれ、パッケージ3の外部端子35a〜35dと対向するように、実装基板4の角部付近に形成されている。また、これら接続端子41a〜41dのうち、外部端子(ホット端子)35a、35bに対応する接続端子41a、41bは、それぞれ、配線パターン42と電気的に接続されている。
【0032】
一方、図1に示すように、実装基板4の下面には、例えば、圧電デバイス1を実装する回路基板(図示しない)と電気的、機械的に接続される実装端子43が複数形成されている。各実装端子43は、実装基板4に形成されたビアホールを介して配線パターン42と電気的に接続されている。
なお、実装基板4の下面には、必要に応じて、後述するIC6の特性検査や、IC6内部の各種情報(例えば、圧電デバイス1の温度補償情報)を書き換え(調整)を行うための書込端子を形成してもよい。
【0033】
実装基板4の上面の中央部には、電子部品6が搭載(載置)されている。電子部品6は、弾性表面波素子2を駆動するための回路素子としての例えば集積回路素子(以下、単に「IC」とも言う)である。図1に示すように、IC6は、絶縁性(非導電性)の接着剤や、接着シート等の接着部材44により実装基板4に固定されており、さらに、金属ワイヤ(ボンディングワイヤ)45により、配線パターン42と電気的に接続されている。これにより、各端子(接続端子41a、41bおよび実装端子43)とIC6とが配線パターン42を介して電気的に接続される。なお、IC6を実装基板4に搭載する方法として、IC6の能動面を実装基板4に向け、IC6の能動面のパッドと配線パターン42との間をバンプを介して電気的および機械的に接続するフェイスダウンボンディング方式を採用することもできる。
【0034】
実装基板4は、その上面側にて、スペーサ51〜54を介してパッケージ3を固定している。スペーサ51〜54は、IC6の周囲に配置されており、実装基板4とパッケージ3の間に、IC6等を搭載するための隙間を形成する機能を有している。これにより、パッケージ3とIC6とを圧電デバイス1の高さ方向に重ねる(積層する)ことができるため、圧電デバイス1の小型化を図ることができる。なお、スペーサ51〜54の実装基板4の上面を基準とした高さh1は、IC6の搭載高さh2よりも高くなるように設定されている。ここでいうIC6の搭載高さh2とは、実装基板4に搭載されたIC6に接続される金属ワイヤ等を含む実質的な高さのことであり、本実施形態の場合は金属ワイヤ45を含む高さのことである。なお、IC6の実装基板4への搭載方法としてフェイスダウンボンディング方式を採用する場合、IC6の搭載高さh2は、実装基板4の上面からIC6の上面(非能動面)までの高さのことである。
【0035】
スペーサ51は、実装基板4の接続端子41a上に形成されている。これと同様に、スペーサ52、53、54は、それぞれ、実装基板4の接続端子41b、41c、41d上に形成されている。
以下、スペーサ51〜54の構成について具体的に説明するが、これらスペーサ51〜54は、それぞれに同様の構成であるため、スペーサ51について代表して説明し、スペーサ52〜54については、その説明を省略する。
【0036】
図3および4に示すように、スペーサ51は、複数(3本)の弾性を有する金属ワイヤ511、512、513で構成されている。このように、スペーサ51を複数の金属ワイヤ511〜513で構成することにより、スペーサ51の機械的強度を高めることができる。また、スペーサ51とパッケージ3との接触面積を大きくすることができ、スペーサ51とパッケージとの接合強度を高めることができる。
【0037】
3本の金属ワイヤ511〜513は、それぞれ、その両端部が接続端子41aに接合されており、両端部の間にアーチ状に湾曲したループ形状を備えている(パッケージ3側に向けて凸となるように撓んでいる)。なお、金属ワイヤ511〜513は、実装基板4の上面を基準とした高さh1が、IC6の搭載高さh2より高くなるようなループ形状を有している。金属ワイヤ511〜513の接続端子41aへの接合は、それぞれ、ワイヤボンディングによりなされる。すなわち、ワイヤボンディングによりスペーサ51が形成されている。これにより、所定位置に、所定形状(大きさを含む)をなす金属ワイヤ511〜513をそれぞれ高精度にかつ簡単に形成することができる。
【0038】
また、本実施形態のように、各金属ワイヤ511〜513の両端を接続端子41a(すなわち、実装基板4側)に接合した構成とすれば、後述するように、IC6と配線パターン42とをワイヤボンディングする際に、あわせて、金属ワイヤ511〜513をワイヤボンディングにより形成することができる。そのため、圧電デバイス1の製造工程の簡素化を図ることができる。
【0039】
また、金属ワイヤ511〜513は、それぞれ、その頂部付近にて、パッケージ3の外部端子35aと半田を介して接合している。これにより、パッケージ3を金属ワイヤ511〜513を介して実装基板4に固定することができる。また、IC6と圧電振動片2(すなわち、実装基板4側とパッケージ3側)との電気的な接続をとることができる。これにより、これにより、圧電デバイス1の部品点数の削減を図ることができ(接続端子41aと外部端子35aとを電気的に接続する別部材を設けなくてもよいため)、製造の簡易化、低コスト化および小型化を図ることができる。
【0040】
図3および図4に示すように、金属ワイヤ511〜513は、それぞれ、同形状となるように撓んでいる。また、金属ワイヤ511〜513は、実装基板4の平面視にて、それぞれ、平行となるように間隔を隔てて並設されている。これにより、金属ワイヤ511〜513を、それぞれ、同じ方向にワイヤボンディングすればよいため、金属ワイヤ511〜513の形成が容易となる。
【0041】
各金属ワイヤ511〜513の径(直径)としては、特に限定されないが、20μm程度であるのが好ましい。これにより、スペーサ51の小型化を図ることができるとともに、パッケージ3を支持するのに十分な強度のスペーサ51を得る(形成する)ことができる。
金属ワイヤ511〜512のうち、互いに隣り合う金属ワイヤ同士(金属ワイヤ511と金属ワイヤ512、および金属ワイヤ512と金属ワイヤ513)の頂部付近での離間距離dは、特に限定されないが、10μm〜30μm程度であるのが好ましい。後述するように、これら金属ワイヤ511〜513(スペーサ51)とパッケージ3との接合は、金属ワイヤ511〜513の頂部に塗布された導電性接合材であるペースト状の半田を介して行われる。離間距離dを上記の数値範囲とすることにより、例えば、隣り合う金属ワイヤ間の隙間からペースト状の半田が垂れ落ちることを防止することができ、ペースト状の半田を金属ワイヤ511〜513の頂部に保持することが容易となる。
【0042】
各金属ワイヤ511〜513の頂部付近の平均曲率半径としては、特に限定されないが、0.1mm〜1mm程度であることが好ましく、0.3mm〜0.6mm程度であることがより好ましい。これにより、金属ワイヤ511〜513の頂部に、金属ワイヤ511〜513とパッケージ3とを十分な接合強度で接合させるのに十分な量の半田を保持することができる。
【0043】
各金属ワイヤ511〜513の高さ(ループ高さ)Tとしては、IC(ICチップ)6の、搭載位置等によっても異なるが、実装基板4に実装された状態にて、IC6の厚さをD[mm]とした場合、IC6とパッケージ3との離間距離L[mm]が、0.5×D〜2×Dとなるような高さとすることが好ましい。これにより、IC6とパッケージ3との間に十分な空隙を形成することができ、IC6とパッケージ3との緩衝(接触)を的確に防止することができる。
【0044】
なお、前述したように、各金属ワイヤ511〜513は、弾性を有している。そのため、金属ワイヤ511〜513に外力(実装基板4の厚さ方向の力)を加えることにより、金属ワイヤ511〜513を弾性変形させて、その高さを変化させることができる。そのため、金属ワイヤ511〜513を接続端子41a上に形成した後でも、更には、パッケージ3を実装基板4に実装した後でも、スペーサ51の高さを適宜変更(調整)することができる。言い換えれば、圧電デバイス1は、パッケージ3を実装基板4に実装した後にも、高さを変更(調整)することのできるスペーサ51を有している。これにより、パッケージ3と、IC6あるいは金属ワイヤ45との緩衝が生じない範囲において、スペーサ51の高さを低くすることができ、圧電デバイス1の小型化(薄型化)を図るこができる。
【0045】
例えば、パッケージ3とスペーサ51とを接合する際に、パッケージ3とIC6(金属ワイヤ45)との接触を効果的に防止するために、各金属ワイヤ511〜513の高さを所定高さよりも若干高くしておく。そして、パッケージ3とスペーサ51との接合が完了した後、後述するように、パッケージ3および実装基板4間の隙間に後述するモールド材8を充填する際に、圧電デバイス1に、パッケージ3と実装基板4とを接近させる方向の外力を加え、金属ワイヤ511〜513を弾性変形させて、金属ワイヤ511〜513の高さを低くした(所定高さとした)状態とすることにより、モールド後の圧電デバイス1を小型化(薄型化)することができる。
【0046】
このような観点からすれば、金属ワイヤ511〜513は、それぞれ、パッケージ3の重みによっては、ほとんど変形しない(すなわち、高さが変わらない)が、圧電デバイス1に、パッケージ3と実装基板4とを接近させる方向の外力(圧電デバイス1の破損を確実に防止できる小さい外力)が加わったときには、容易に変形する程度の弾性力を有していることが好ましい。なお、金属ワイヤ511〜513の弾性力としては、これに限定されない。
【0047】
このような金属ワイヤ511〜513の構成材料としては、特に限定されないが、優れた導電性を有するものがよく、例えば、金、銀、銅等の各種金属、またはこれらのうちの少なくとも1種を含む合金等を用いることができる。これらの中でも、半田との相性から、銅、銅を含む合金が好ましい。
以上、本実施形態の圧電デバイス1について説明したが、図5に示すように、このような圧電デバイス1に流動性のある樹脂で構成されたモールド材8を流し込み、パッケージ3の蓋部材33の上面および実装基板4の下面がそれぞれ外部に露出するように、圧電デバイス1全体をモールド材8で覆ってもよい。なお、モールド材8としては、熱可塑性樹脂材や熱硬化性樹脂材等の樹脂材を用いることができる。
【0048】
なお、本実施形態では、スペーサ51が3本の金属ワイヤで構成されているものについて説明したが、スペーサ51を構成する金属ワイヤの数は、これに限定されず、例えば、1本でもよく、2本でもよく、4本以上であってもよい。
次いで、圧電デバイス1の製造方法(本発明の圧電デバイスの製造方法)について説明する。なお、以下では、各スペーサ51〜54の製造方法およびパッケージ3との接合方法が、それぞれ同様であるため、スペーサ51について代表して説明し、スペーサ52〜53については、その説明を省略する。
【0049】
圧電デバイス1の製造方法は、[1]接続端子41a〜41d、配線パターン42および実装端子43が形成された実装基板4上にIC6を搭載する第1の工程と、[2]ワイヤボンディングによりIC6と配線パターン42とを電気的に接続するとともに、ワイヤボンディングにより金属ワイヤ511〜513をアーチ状となるように接続端子41aに接合してスペーサ51を形成する第2の工程と、[3]金属ワイヤ511〜513の頂部付近にペースト状の半田を塗布し、外部端子35aを金属ワイヤ511〜513に接触させるように、パッケージ3を金属ワイヤ511〜513上に載置し、これらを固着する第3の工程と、[4]パッケージ3と実装基板4の間の隙間にモールド材8を充填する第4の工程とを有している。以下、詳細に説明する。
【0050】
[1]第1の工程
まず、図6(a)に示すように、上面に接続端子41a〜41dおよび配線パターン42が形成され、下面にビアホールを介して配線パターン42と導通する実装端子43が形成された実装基板4を用意する。接続端子41a〜41dおよび配線パターン42は、例えば、実装基板4の上面に導電性膜(金属膜)を形成し、エッチングにより前記導電性膜の不要な部分(接続端子41a〜41dおよび配線パターン42に対応しない部分)を除去することにより形成することができる。実装端子43についても同様にして形成することができる。
次いで、図6(b)に示すように、実装基板4の上面に、接着剤である接着部材44を介してIC6を載置し、接着部材44を固化することにより、IC6を実装基板4に固着(固定)する。
【0051】
[2]第2の工程
まず、図6(c)に示すように、ワイヤボンディング(金属ワイヤ45)により、IC6と配線パターン42とを電気的に接続する。また、これとともに、スペーサ形成工程として、図6(d)に示すように、ワイヤボンディングにより、アーチ状に湾曲させた金属ワイヤ511〜513の両端をそれぞれ接続端子41a上に接合する。これにより、実装基板4(接続端子41a)にスペーサ51が形成される。
【0052】
このように、ワイヤボンディングによりスペーサ51を形成することにより、スペーサ51を所望位置に高精度かつ簡単に形成することができる。また、金属ワイヤ511〜513の両端を接続端子41aに接合してスペーサ51を形成することにより、IC6と配線パターン42とをワイヤボンディングする際に、あわせて、スペーサ51を形成することができる。そのため、圧電デバイス1の製造工程の簡易化を図ることができる。
なお、スペーサ51を形成する際に用いるワイヤボンディングとしては、特に限定されず、例えば、ボールボンディング、ウェッジボンディング等の各種ボンディングを用いることができる。例えば、ボールボンディングを用いた場合には、次のようにして金属ワイヤ511〜513を形成することができる。
【0053】
図7(a)に示すように、キャピラリー101の先端に確保された金属ワイヤ102の先端に高電圧をかけて火花を飛ばし、金属ワイヤ102の先端を溶かすと、溶けた部分が表面張力により球状に固まる。これにより、金属ワイヤ102の先端にボール(FAB)が形成される。この状態で、ワイヤクランプ103を開けてキャピラリー101を降下する。
図7(b)に示すように、金属ワイヤ102の先端に形成されたボールが実装基板4に接触すると、ボールに熱、加重、超音波を与えることにより第1ボンド104を形成する。
【0054】
次いで、図7(c)に示すように、キャピラリー101を一定の高さまで上昇させた後、第2ボンディングの位置まで移動する。この際、第1ボンド位置から第2ボンド位置までのキャピラリー101の軌道を適宜設定することにより、金属ワイヤ102を所望の形状とすることができる。
図7(d)に示すように、再びキャピラリー101を下降し、金属ワイヤ102を実装基板4に押し付け、金属ワイヤ102に熱、加重、超音波を与える。これにより、第2ボンド105を形成する。
【0055】
最後に、図7(e)に示すように、金属ワイヤ102を残したままキャピラリー101を上昇させ、キャピラリー101の先端に一定の長さを金属ワイヤ102を確保した後、ワイヤクランプ103を閉じ、第2ボンド105の位置で金属ワイヤ102を切断する(引きちぎる)。
以上のようにして、金属ワイヤ511〜513を形成することができる。
【0056】
[3]第3の工程(接続工程)
次いで、図8(a)に示すように、金属ワイヤ511〜513の頂部にペースト状の半田9を塗布する。
次いで、図8(b)に示すように、圧電振動片2を収容したパッケージ3を実装基板4の上方から金属ワイヤ511〜513上に載置する。この時、パッケージ3の外部端子35a〜35dが、それぞれ、スペーサ51〜54と接触するようにパッケージ3を載置する。これにより、半田9を介してスペーサ51〜54と外部端子35a〜35dとを接合することができる。また、スペーサ51を介して接続端子41aと外部端子35aとが電気的に接続されるとともに、スペーサ52を介して接続端子41bと外部端子35bとが電気的に接続される。このようにして、パッケージ3を、スペーサ51〜54を介して実装基板4に実装することができる。
【0057】
[4]第4の工程(モールド工程)
次いで、図8(c)に示すように、圧電デバイス1に、パッケージ3と実装基板4とが接近する方向の外力を加える。これにより、金属ワイヤ511〜513が弾性変形し、パッケージ3と実装基板4とが接近する。この状態にて、パッケージ3と実装基板4との間の隙間(空間)にモールド材8を充填し固化することにより、パッケージ3と実装基板4とが接近した状態が維持される。これにより、圧電デバイス1の小型化(薄型化)を図ることができる。また、モールド材により覆われた金属ワイヤ511〜513は、外気に触れないため耐食性が向上する。
以上のようにして圧電デバイス1を製造することができる。
【0058】
なお、圧電デバイス1の製造方法としては、これに限定されず、例えば、第4の工程にて、パッケージ3と実装基板4との間の隙間(空間)にモールド材8を充填した後であって、モールド材8が固化する前に、パッケージ3と実装基板4とが接近する方向の外力を圧電デバイス1に加えるようにしてもよい。また、圧電デバイス1に、パッケージ3と実装基板4とが接近する方向の外力を加えなくてもよい。また、第4の工程は、省略してもよい。
【0059】
<第2実施形態>
次に、本発明の圧電デバイスの第2実施形態について説明する。
図9は、本発明の第2実施形態に係る圧電デバイスが備えるスペーサを示す平面図、図10は、図9に示すスペーサの斜視図である。なお、図9および図10については、配線パターン42の図示を省略している。
以下、第2実施形態の圧電デバイスについて、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0060】
本発明の第2実施形態にかかる圧電デバイスは、各スペーサ(4つのスペーサ)の形状が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
図9に示すように、4つのスペーサ51A〜54Aは、それぞれ、接続端子41a〜41d上に形成されている。以下、スペーサ51A〜54Aについて説明するが、これらは、互いに同様の構成であるため、スペーサ51Aについて代表して説明し、他のスペーサ52A〜54Aについては、その説明を省略する。
【0061】
図9および図10に示すように、スペーサ51Aは、実装基板4の平面視にて、互いに交わる2本の金属ワイヤ511A、512Aで構成されている。スペーサ51Aをこのような構成とすることにより、少ない本数の金属ワイヤで、所望の機械的強度を有するスペーサ51Aを形成することができる。なお、実装基板4の平面視にて、金属ワイヤ511A、512Aの交わる角度としては、特に限定されないが、略90度であることが好ましい。これにより、上記効果がより顕著となる。
また、金属ワイヤ511A、512Aは、それぞれ、アーチ状に湾曲しており、その頂部にて互いに接触している。このように、金属ワイヤ511A、512Aを互いに接触させることによりスペーサ51Aの機械的強度をより高めることができる。なお、2本の金属ワイヤ511A、512Aは、互いに接触していなくてもよい。
【0062】
<第3実施形態>
次に、本発明の圧電デバイスの第3実施形態について説明する。
図11は、本発明の第3実施形態に係る圧電デバイスが備えるスペーサを示す平面図、図12は、図11に示すスペーサの斜視図である。なお、図11および図12については、配線パターン42の図示を省略している。
以下、第3実施形態の圧電デバイスについて、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0063】
本発明の第3実施形態にかかる圧電デバイスは、各スペーサ(4つのスペーサ)の形状が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
図11に示すように、4つのスペーサ51B〜54Bは、それぞれ、接続端子41a〜41d上に形成されている。以下、スペーサ51B〜54Bについて説明するが、これらは、互いに同様の構成であるため、スペーサ51Bについて代表して説明し、他のスペーサ52B〜54Bについては、その説明を省略する。
【0064】
図11および図12に示すように、スペーサ51Bは、実装基板4の平面視にて、互いに並設(平行となるように近設)された一対の金属ワイヤ511B、512Bと、これらと直交するように並設された一対の金属ワイヤ513B、514Bとで構成されている。言い換えれば、スペーサ51Bは、互いに直交する一対の金属ワイヤを2組(金属ワイヤ511B、513Bの組と、金属ワイヤ512B、514Bの組)有している。また、各金属ワイヤ511B〜514Bは、それぞれ、それと直交するように設けられた2本の金属ワイヤとそれぞれ頂部付近にて接触している。具体的には、例えば、金属ワイヤ511Bは、金属ワイヤ513B、514Bとそれぞれ頂部付近にて接触している。
スペーサ51Bを、このような構成とすることにより、スペーサ51Bの機械的強度を高めることができる。さらに、スペーサ51Bの頂部に、4本の金属ワイヤ511B〜514Bで囲まれた領域S1を形成することができ、この領域S1によってペースト状の半田を的確に保持することができる。
【0065】
<第4実施形態>
次に、本発明の圧電デバイスの第4実施形態について説明する。
図13は、本発明の第4実施形態に係る圧電デバイスが備えるパッケージの下面図、図14は、図13に示す圧電デバイスの断面図である。
以下、第4実施形態の圧電デバイスについて、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0066】
本発明の第4実施形態にかかる圧電デバイスは、各スペーサ(4つのスペーサ)の形成位置が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
図13に示すように、4つのスペーサ51C〜54Cは、それぞれ、パッケージ3が有する外部端子35a〜35d上に形成されている。すなわち、スペーサ51Cを構成する3本の金属ワイヤ511C〜513Cは、それぞれ、その両端が外部端子35aに接合されている。スペーサ52C〜54Cについても、これと同様である。また、図14に示すように、スペーサ51C〜54Cは、それぞれ、その頂部に塗布された半田を介して、接続端子41a〜41dと接合している。
【0067】
このような構成の第4実施形態においても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
以上、本発明の圧電デバイスおよび圧電デバイスの製造方法を図示の各実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や、工程が付加されていてもよい。また、本発明の圧電デバイスは、前記各実施形態のうち、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0068】
また、前述した実施形態では、4つのスペーサの全てが、実装基板側またはパッケージ側に形成されている構成(すなわち、全ての金属ワイヤの両端が実装基板側またはパッケージ側に接合された構成)について説明したが、これに限定されず、例えば、4つのスペーサのうちの少なくとも1つをパッケージ側に形成し、他のスペーサを実装基板上に形成してもよい。
【0069】
また、前述した実施形態では、4つのスペーサを実装基板(またはパッケージ)の各角部付近に形成する構成について説明したが、これに限定されず、例えば、4つのスペーサを実装基板(またはパッケージ)の各辺付近に形成してもよい。また、スペーサの数も、パッケージを支持固定することができれば、特に限定されず、1つであってもよいし、2つ、3つ、5つ以上の複数であってもよい。
【0070】
また、前述した実施形態では、ICと実装基板上の配線パターンとをワイヤボンディングにより電気的に接続した構成について説明したが、ICと配線パターンとの電気的接続は、これに限定されず、例えば、ICと配線パターンとを半田ボールを介して電気的に接続する構成(いわゆるBGA(ボールグリッドアレイ))であってもよい。
また、前述した実施形態では、圧電振動片として弾性表面波素子を用いた構成について説明したが、圧電振動片としては、これに限定されず、例えば、厚みすべり型振動片または音叉型振動片等の振動片や水晶等の圧電体を用いたジャイロセンサであってもよい。
【符号の説明】
【0071】
1……圧電デバイス 2……圧電振動片(弾性表面波素子) 21……圧電体基板 22……IDT 22a、22b……電極 221a、221b……電極指 23a、23b……反射器 24a、24b……引出電極 3……パッケージ 31……ベース基板 32……枠部材 33……蓋部材 34a、34b……内部端子 35a〜35d……外部端子 39a、39b……導電性接着剤 4……実装基板 41a〜41d……接続端子 42……配線パターン 43……実装端子 44……接着部材 45……金属ワイヤ 51〜54、51A〜54A、51B〜54B、51C〜54C……スペーサ 511〜513、511A、512A、511B〜514B、511C〜513C……金属ワイヤ 6……電子部品(IC) 8……モールド材 9……半田 101……キャピラリー 102……金属ワイヤ 103……ワイヤクランプ 104……第1ボンド 105……第2ボンド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電振動片を収容し、外底面を有するパッケージと、
部品実装面を有する実装基板と、
前記パッケージの前記外底面および前記実装基板の前記部品実装面間に配置され、前記外底面および前記部品実装面間に隙間を形成するスペーサと、
前記外底面および前記部品実装面間の前記隙間に配置され、前記圧電振動片を駆動する電子部品とを有し、
前記スペーサは、前記部品実装面または前記外底面に両端部が接合された金属ワイヤを有し、
前記金属ワイヤは、前記両端部の間にループ形状を有することを特徴とする圧電デバイス。
【請求項2】
前記金属ワイヤの前記両端部は、それぞれ、前記実装基板の前記部品実装面に接合され、
前記パッケージの前記外底面に形成された外部端子が、導電性の接合材により、前記金属ワイヤの頂部に固着されている請求項1に記載の圧電デバイス。
【請求項3】
前記金属ワイヤの前記両端部は、それぞれ、前記パッケージの前記外底面に接合され、
前記実装基板上に形成された接続端子が、前記金属ワイヤの頂部に導電性の接合材により固着されている請求項1に記載の圧電デバイス。
【請求項4】
前記金属ワイヤは、ワイヤボンディングにより形成されている請求項2または3に記載の圧電デバイス。
【請求項5】
前記スペーサを複数有し、
複数の前記スペーサは、それぞれ、前記金属ワイヤを複数有している請求項1ないし4のいずれかに記載の圧電デバイス。
【請求項6】
複数の前記金属ワイヤは、少なくとも、前記実装基板の平面視にて、並設された一対の前記金属ワイヤを含んでいる請求項5に記載の圧電デバイス。
【請求項7】
複数の前記金属ワイヤは、少なくとも、前記実装基板の平面視にて、互いに交わるように設けられた一対の前記金属ワイヤを含んでいる請求項5に記載の圧電デバイス。
【請求項8】
圧電振動片を収容し外底面を有するパッケージと、部品実装面を有する実装基板と、前記パッケージの前記外底面および前記実装基板の前記部品実装面間に配置され前記外底面および前記部品実装面間に隙間を形成するスペーサと、前記外底面および前記部品実装面間の前記隙間に配置され前記圧電振動片を駆動する電子部品とを有する圧電デバイスの製造方法であって、
ループ形状を有する金属ワイヤの両端部を、前記部品実装面および前記外底面の少なくとも何れか一方に接合することにより前記スペーサを形成するスペーサ形成工程と、
前記パッケージの前記外底面と、前記実装基板の前記部品実装面とを前記スペーサを介して接続する接続工程とを有していることを特徴とする圧電デバイスの製造方法。
【請求項9】
前記スペーサ形成工程において、前記金属ワイヤの前記接合は、ワイヤボンディングによりなされる請求項8に記載の圧電デバイスの製造方法。
【請求項10】
前記実装基板の前記部品実装面には端子が形成されており、
前記スペーサ形成工程では、前記金属ワイヤの少なくとも一端部を前記端子に接合して前記スペーサを形成し、前記端子と前記電子部品とをワイヤボンディングにより接続する請求項9に記載の圧電デバイスの製造方法。
【請求項11】
前記接続工程の後に、前記隙間にモールド材を充填するモールド工程を有し、
前記モールド工程は、前記圧電デバイスに前記パッケージと前記実装基板とを接近させる方向の力を加え、前記金属ワイヤを弾性変形させることにより、前記パッケージと前記実装基板との離間距離を外力が作用していない状態と比較して小さくした状態で行われる請求項8ないし10のいずれかに記載の圧電デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−206505(P2010−206505A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−49560(P2009−49560)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(000003104)エプソントヨコム株式会社 (1,528)
【Fターム(参考)】