説明

圧電デバイス及びその製造方法

【課題】低背化を可能とする圧電デバイス及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】電子部品20と、パッケージ32内に圧電振動片35が収容された圧電振動子30とが、基板40の配線パターン27を介して電気的に接続されている圧電デバイスであって、電子部品20は、基板40の上面40aに配置され、圧電振動子30は、基板40と並列に配置されており、基板40の上面40a側であって、少なくとも圧電振動子30と基板40との接合領域に、樹脂62が付着している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を利用して、圧電振動子と電子部品とを接続するようにした圧電デバイス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
HDD(ハード・ディスク・ドライブ)、モバイルコンピュータ、あるいはICカード等の小型の情報機器や、携帯電話、自動車電話、またはページングシステム等の移動体通信機器において、圧電デバイスが広く使用されている。
図10は従来の圧電デバイス1の概略斜視図を示しており(特許文献1参照)、図において、圧電デバイス1は、基板2と、圧電振動子3と、半導体チップ4とを有している。
【0003】
すなわち、基板2の上面に、圧電振動子3と半導体チップ4とを横並びになるように実装し、基板2上の図示しない配線パターンを介して、圧電振動子3と半導体チップ4とを電気的に接続するようにしている。これにより、圧電振動子3と半導体チップ4とを高さ方向に並べる場合に比べて、圧電デバイス1の薄型化を可能としている。
また、圧電デバイス1は、半導体チップ4と配線パターンとを電気的に接続するためのボンディングワイヤ5を樹脂6でコートして、他の電子機器との短絡などを防止するようにしている。
【0004】
【特許文献1】実開平1−82507号のマイクロフィルム
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、近年、情報機器などの電子機器ではその薄型化が急速に進んでおり、その電子機器に用いられる圧電デバイスについても、さらなる薄型化が要求されている。このため、図10に示すような圧電デバイス1であっても、この薄型化の要求に応えられないケースが生じてきている。
【0006】
本発明は、低背化を可能とする圧電デバイス及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的は、第1の発明によれば、電子部品と、パッケージ内に圧電振動片が収容された圧電振動子とが、基板の配線パターンを介して電気的に接続されている圧電デバイスであって、前記電子部品は、前記基板の上面に配置され、前記圧電振動子は、前記基板と並列に配置されており、前記基板の上面側であって、少なくとも前記圧電振動子と前記基板との接合領域に、樹脂が付着している圧電デバイスにより達成される。
【0008】
第1の発明の構成によれば、電子部品は基板の上面に配置されているが、圧電振動子は、基板と並列に配置されている。したがって、圧電振動子が基板の上面に配置されていないため、基板の厚み分、圧電デバイスを低背化することができる。そして、このように圧電振動子と基板とを並列に配置したとしても、基板の上面側であって、少なくとも圧電振動子と基板との接合領域に、樹脂が付着しているため、この樹脂によって圧電振動子と基板とを接合できる。
かくして、本発明によれば、低背化を可能とする圧電デバイスを提供することができる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明の構成において、前記圧電振動子の上面が外部に露出するようにして、前記圧電振動子の前記基板側の側面、及び前記電子部品を含む前記基板の上側全体が樹脂で覆われていることを特徴とする。
第2の発明の構成によれば、電子部品を含む基板の上側全体が樹脂で覆われているため、基板上の電子部品を樹脂封止して保護できる。また、圧電振動子の基板側の側面も樹脂で覆われているため、圧電振動子と基板との接合強度を高めることもできる。また、圧電振動子の上面が外部に露出するようになっているので、圧電振動子の上面には樹脂が付着しておらず、樹脂が圧電振動子を覆うようにした場合に比べて低背化できる。
【0010】
第3の発明は、第1または第2の発明の構成において、前記圧電振動子のパッケージは、前記基板の近傍に、前記圧電振動片と電気的に接続された導電パターンを有しており、前記基板の配線パターンは、前記導電パターンに隣接するように配置されていることを特徴とする。
第3の発明の構成によれば、圧電振動子のパッケージは、基板の近傍に、圧電振動片と電気的に接続された導電パターンを有しており、基板の配線パターンは、導電パターンに隣接するように配置されている。したがって、例えば、隣接した圧電振動子側の導電パターンと基板側の配線パターンとを掛け渡すように半田づけをして、圧電振動子と基板との電気的機械的な接合を図れる。
【0011】
第4の発明は、第3の発明の構成において、前記電子部品は前記基板の配線パターンとワイヤボンディングされており、前記パッケージは、前記基板側の一部が水平方向に突出して、この突出部の上面に前記導電パターンが設けられていることを特徴とする。
第4の発明の構成によれば、パッケージは、基板側の一部が水平方向に突出して、この突出部の上面に導電パターンが設けられているため、突出部の上面に設けられた導電パターンと基板の配線パターンとをワイヤボンディングできる。したがって、電子部品と基板の配線パターンとをワイヤボンディングする際に、圧電振動子の導電パターンと基板の配線パターンとをワイヤボンディングできるため、工程数を抑えることができる。
【0012】
第5の発明は、第3の発明の構成において、前記パッケージは、前記基板側の一部が水平方向に突出して、この突出部の上面に前記導電パターンが設けられており、前記基板は、前記パッケージ側がクランク状になって、前記突出部の上面に載置されるようになっており、前記クランク状の端部の下面に前記配線パターンが設けられていることを特徴とする。
第5の発明の構成によれば、基板は、パッケージ側がクランク状になって、突出部の上面に載置されるようになっており、クランク状の端部の下面に配線パターンが設けられている。このため、圧電振動子と基板とを接合する際、突出部の上面にクランク状の端部を載置するだけで、圧電振動子と基板とを導通できる。
【0013】
第6の発明は、第3ないし第5の発明の構成において、前記導電パターンは、前記パッケージの上向きの面に延伸されていることを特徴とする。
第6の発明の構成によれば、導電パターンは、パッケージの上向きの面に延伸されている。したがって、このパッケージの上向きの面まで延伸された導電パターンに対して、上から検査用のプローブピンを当接させ、圧電振動子の特性を容易に検査することができる。
【0014】
また、上述の目的は、第7の発明によれば、圧電振動片を収容するパッケージを有する圧電振動子と、この圧電振動子と電気的に接続される電子部品と、この電子部品と前記圧電振動子とを電気的に接続するための配線パターンを有する基板とを、別々に形成する準備工程と、前記圧電振動子と前記基板とを並列に配置する並列配置工程と、前記電子部品を、前記基板の上面に配置する部品配置工程と、前記基板の上面側であって、少なくとも前記圧電振動子と前記基板との接合領域に、樹脂を付着する樹脂塗布工程とを備える圧電デバイスの製造方法により達成される。
【0015】
第7の発明の構成によれば、並列配置工程において、圧電振動子と基板とを並列に配置しているので、圧電振動子を基板の上面に配置していない分、圧電デバイスを低背化できる。そして、このように圧電振動子と基板とを並列に配置したとしても、樹脂塗布工程において、基板の上面側であって、少なくとも圧電振動子と基板との接合領域に、樹脂を付着するため、この樹脂によって圧電振動子と基板とを接合できる。
したがって、本発明によれば、低背化を可能とする圧電デバイスの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1ないし図4は、本発明の実施形態に係る圧電デバイス10の例として圧電発振器を示しており、図1は圧電デバイス10の概略平面図、図2は図1のA−A線概略切断断面図、図3は圧電デバイスの後述する樹脂を透過して見た概略斜視図、図4は圧電デバイス10の後述する樹脂と電子部品を取り除いて、圧電振動子についてはその底部基板のみを図示した概略平面図である。
これらの図において、圧電デバイス10は、電子部品20と、パッケージ32内に圧電振動片35が収容された圧電振動子30とが、基板40の配線パターン27を介して電気的に接続されており、底面(下面)の四隅に実装端子42〜45を備えている。
【0017】
圧電振動子30は、所謂表面実装型の振動子であって、略矩形状のパッケージ32を有している。
すなわち、パッケージ32は、例えば、絶縁材料として、酸化アルミニウム質のセラミックグリーンシートを成型して形成される複数の基板を積層した後に、焼結して形成されており、図2に示されるように、この実施形態では、下から第1の基板33、及び第2の基板34を重ねて形成されている。
【0018】
第2の基板34は、その内側に所定の孔を形成することで、第1の基板33に積層した場合に、パッケージ32の内側に所定の内部空間Sを形成するようにされている。この内部空間Sが圧電振動片35を収容するキャビティとなる。
また、第2の基板34の開口された上端にある開口端面には、例えば、低融点ガラス等のロウ材(図示せず)を介して、蓋体38が接合されることにより、内部空間Sが密封されている。
蓋体34は、金属製にしてアース接地するようにしてもよいが、本実施形態の場合、外部からレーザ光を圧電振動片35の金属被覆部(図示せず)に照射して、質量削減方式により周波数調整を行うために、光を透過する材料、特に薄板ガラスで形成されている。
【0019】
第1の基板33は、パッケージ32の底部基板を構成するための略平板状部材であり、内部空間Sに露出した内側底面(即ち、底部基板の上面)33bに、例えば、タングステンメタライズ上にニッケルメッキ及び金メッキで形成した電極部31,31が設けられている。この電極部31,31は互いに異極となっており、その上面には導電性接着剤37,37が用いられて、圧電振動片35が接合固定されている。
また、第1の基板33の底面(下面)33aには、図1及び図2に示すように、実装端子42,43が、外側の2箇所の角部(即ち、圧電デバイス10全体の底面の2箇所の角部)に設けられている。
【0020】
なお、圧電振動片35は、本実施形態では水晶等の圧電材料により形成されたATカット振動片が用いられているが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、タンタル酸リチウム等の圧電材料を利用したり、或いは音叉型の圧電振動片などを利用したりしても勿論よい。
【0021】
電子部品20は、本実施形態の場合、少なくとも圧電振動子30を発振させる回路構造を有する半導体素子等から形成された発振回路素子(以下、「ICチップ」という)であり、図3に示すように、その上面20aに、複数の端子41,41,・・・を有している。なお、ICチップ20の端子41の数や種類は、ICチップの種類により図3に示すよりも多い場合も少ない場合もあるのは勿論であるが、本実施形態の場合、圧電振動子30と電気的に接続されたゲート/ドレイン(G/D)端子、実装端子部と接続された発振回路の入出力端子、発振回路にデータを書き込むための制御端子、グランド端子などからなっている。
【0022】
そして、ICチップ20は、薄型化を可能にするため、圧電振動子30の上下方向に配置するのではなく、基板40の上面40aに圧電振動子30と横並びに実装されている。具体的には、ICチップ20は、水平方向について、圧電振動子30よりも小さく形成されており、高さ方向について、後述する基板40の厚みD2を加えても、圧電振動子30よりも高さが低くなるように形成され、図示しない接着剤を用いて基板40の中央付近に接合されている。
【0023】
また、ICチップ20は、基板40上の配線パターン21〜28とワイヤボンディングにより電気的に接合されている。なお、本実施形態のICチップ20は、配線パターン21〜28とワイヤボンディングで電気的に接続されているが、所謂フリップチップボンディングで、電気的機械的に接合されるようにしてもよい。
【0024】
基板40は、圧電振動子30及びICチップ20が電気的機械的に接続される部材であり、リジット基板やフレキシブル基板を用いることができる。
本実施形態の場合、基板40は、耐熱性などを考慮してポリイミドやガラスエポキシ等で形成された絶縁部材と、この絶縁部材の上面に形成された複数の配線パターン21〜28とを備えている。
配線パターン21〜28は、銅箔などの導電性材料が用いられて、基板40の上面40aにエッチング、印刷、蒸着、メッキなどで形成されている。
【0025】
具体的には、図3に示すように、配線パターン21,27は、ICチップ20のゲート/ドレイン端子とワイヤボンディングされ、圧電振動子30の後述する導電パターン54,56を介して電極部31,31と電気的に接続されている。
配線パターン22,23,26は、ICチップ20にデータを書き込む端子となる。
配線パターン24,25は、ICチップ20の発振回路の入出力端子とワイヤボンディングされ、それぞれ圧電デバイス10の2箇所の角部付近に延伸されている。そして、その端部に形成されたビアホール24a,25a内の導電部材を介して、圧電デバイス10の底面(下面)の2箇所の角部付近に設けられた実装端子部44,45と電気的に接続されている。
配線パターン28は、ICチップ20のグランド端子とワイヤボンディングされて、後述する圧電振動子30のパターン52、及びこのパターン52の端部に形成されたビアホール52aを介して、実装端子43と電気的に接続されている。
【0026】
なお、基板40を引き回されている配線パターン21,27,28の各両端部21a,21b,27a,27b,28a,28b、及び配線パターン22〜26のボンディングされている部分が上側に露出するようにして、基板40の上面40a全体を絶縁膜が覆うようになっている。本実施形態の場合、絶縁膜はレジスト膜から形成されており、薄膜を可能にすると共に、ファトリソグラフィー技術を用いて位置精度が高められるようになっている。これにより、圧電振動子30と基板40を接合する際、半田等によって配線パターン21〜28間でショートすることを防止している。
【0027】
ここで、圧電振動子30は、基板40と並列に配置されている。すなわち、圧電振動子30は、基板40上に重ねられずに、圧電振動子30の側面と基板40の側面とが対向するように配置されている。
本実施形態の場合、図2および図3に示されるように、パッケージ32を構成する複数の基板33,34のうち、第1の基板(底部基板)33の厚みD1と、基板40の厚みD2とが略同じ寸法で形成されており、第1の基板(底部基板)33の側面33cと基板40の側面40cとが接触している。すなわち、基板40の上面40aとパッケージ32の底部基板の上面33bとが略同一面になっている。
また、図4に示されるように、圧電振動子30の基板40と対向する側面32aに対して垂直方向に沿った側面32bと、基板40の側面40bとが略同一面になっている。
【0028】
そして、圧電振動子30のパッケージ32は、基板40の近傍に、圧電振動片35と電気的に接続された導電パターン54,56を有している。
本実施形態の導電パターン54,56は、図4に示すように、電極部31,31がパッケージ32の第1の基板33の上面33bを通って、基板40側の側面32aまで引き回されており、電極部31,31と同様にタングステンメタライズ上にニッケルメッキ及び金メッキで形成されている。
また、図3に示すように、パッケージ32の基板40側の側面32aであって、基板40より上側に位置する側面(即ち、パッケージ32の第2の基板34の側面)34cには、側面32aを臨むようにして窪み或いは切り欠かれたキャスタレーション46,46が形成されており、このキャスタレーション46,46の内面まで導電パターン54,56が設けられている。
【0029】
なお、キャスタレーション46は、圧電振動子30の側面32aに、もう一つ形成されており、その内面にも、導電パターン54,56と同様に導通可能なパターン52が設けられている。この導通可能なパターン52は、図4に示されるように、パッケージ32の第1の基板(底部基板)33の上面33bの角部付近まで引き回されており、その角部付近に位置する端部に形成されたビアホール52a内の導電部材を介して、実装端子43と電気的に接続されている。
【0030】
一方、ICチップ20のゲート/ドレイン端子とワイヤボンディンされた基板40の配線パターン21,27は、パッケージ側面32aの導電パターン54,56に隣接して配置されるように引き回されている。また、ICチップ20のグランド端子とワイヤボンディンされた配線パターン28も、パッケージ側面32aのパターン52に隣接して配置されるように引き回されている。
【0031】
そして、図3および図4に示されるように、圧電振動子30の側面34cに設けられた導電パターン54,56と、基板40の配線パターン21,27の端部21b,27bとは、半田等の導電材料60,60を用いて、電気的機械的に接続されている。この際、導電パターン54,56が設けられている側面34cは、基板40の上面40aよりも上側に位置するため、導電材料60,60はフィレットを形成するように両パターンに付着することになる。なお、同様にして、圧電振動子30の側面34cに設けられたパターン52と基板40の配線パターン28の端部28bについても、半田等の導電材料60を用いて、フィレットを形成するようにして電気的機械的に接続されている。
【0032】
そして、図2に示すように、圧電デバイス10は、基板40の上面40a側であって、少なくとも圧電振動子30と基板40との接合領域(即ち、パッケージ32の側面32aと基板40のパッケージ32に対向する側面40cの付近)に、例えば、エポキシ系樹脂等の熱硬化性の樹脂62が付着して、圧電振動子30と基板40との接合を図っている。
【0033】
本実施形態の場合、ICチップ20を含む基板40の上側全体が樹脂62で覆われており、これにより、基板40の強度を向上させ、また、ICチップ20やワイヤを樹脂封止して保護している。また、圧電振動子30の基板40側の側面32aも樹脂62で覆われており、圧電振動子30とICチップ20を含む基板40との接合強度を高めている。
そして、このように基板40の上側全体を樹脂62で覆うようにしても、圧電振動子30の上面(即ち、蓋体38の上面)は外部に露出するようにしている。すなわち、圧電振動子30の上面と樹脂62の上面との高さ方向の位置が同じとなるように形成して、圧電デバイス10の低背化を図っている。また、圧電振動子30の上面を外部に露出することで、蓋体38を透明体にした場合、例えば樹脂モールドした後であっても、圧電振動片35の表面の金属被覆部にレーザ光を照射して、質量削減方式で周波数調整できる。
【0034】
次に、圧電デバイス10の製造方法の実施形態について、上述した図1ないし図4、及び圧電デバイス10の製造方法の一例を示したフローチャートである図5を参照しながら概説する。
図5に示されるように、圧電デバイス10は、基板と圧電振動子とICチップ(電子部品)とを別々に用意しておく。すなわち、図2及び図3に示すように、圧電振動片35を収容するパッケージ32を有する圧電振動子30と、この圧電振動子30と電気的に接続されるICチップ20と、このICチップ20と圧電振動子30とを電気的に接続するための配線パターン21,27を有する基板40とを、別々に形成する準備工程を行う(図5のST1−1,ST1−2,ST1−3)。
【0035】
次いで、図2及び図3に示されるように、圧電振動子30の側面32aと基板40の側面40cが接触するようにして、圧電振動子30と基板40とを並列に治具に載置する(図5のST2:並列配置工程)。
次いで、図2及び図3に示されるように、圧電振動子30の側面32aに設けた導電パターン54,56、及び導通可能なパターン52と、これらのパターンに隣接する基板上面40aの配線パターン21,27,28の端部21b,27b,28bに半田付けをする(図5のST3)。
【0036】
次いで、準備工程で形成したICチップ20を、図2及び図3に示すように、基板40の上面40aに接着剤等を用いて接合し(図5のST4:部品配置工程)、その後、基板上面40aの配線パターン21〜28と、ICチップ20の各端子41とをワイヤボンディングする(図5のST5)。
次いで、例えば、圧電デバイスの温度特性を検査し、周波数特性の補正を行なう必要がある場合には、基板40の配線パターン22,23,26(図3参照)にプローブピン等を当接してICチップ20にデータを書き込む(図5のST6:検査及び/又は調整)。
【0037】
次いで、図2に示すように、基板30の上面40a側であって、少なくとも圧電振動子30と基板40との接合領域に、樹脂62を付着する(図5のST7:樹脂塗布工程)。
樹脂62は、金型を用いて、エポキシ樹脂などの絶縁部材でインジェクションモールドしてもよく、あるいは、スクリーン印刷により樹脂を塗布してもよい。
本実施形態では、樹脂62は、圧電振動子30の上面が外部に露出するようにして、基板40の上側全体を覆うようにしている。なお、圧電振動子30の上面に樹脂が付着した場合は、付着した樹脂をサンドブラストやブラシをかけるなどして除去するとよい。
【0038】
次いで、圧電デバイス10から所定の振動特性を得られないときは、レーザ光を、図2に示す透明な蓋体38を透過させて、パッケージ32内の圧電振動片35の金属被覆部(図示せず)に照射して、質量削減方式により周波数調整を行い(図5のST8)、圧電デバイスを完成させる。
【0039】
本発明の実施形態は以上のように構成されており、圧電振動子30は基板40と並列に配置されているため、基板40の厚み分、圧電デバイス10を低背化することができる。そして、このように圧電振動子30と基板40とを並列に配置したとしても、基板40の上面40a側であって、少なくとも圧電振動子30と基板40との接合領域に、樹脂62が付着しているため、この樹脂62によって圧電振動子30と基板40とを接合できる。
【0040】
図6は、本発明の実施形態の第1の変形例に係る圧電デバイス12であって、圧電振動子30と基板40との接合領域付近の拡大斜視図である。なお、この図では理解の便宜のため樹脂は図示していない。
この図において、図1ないし図5の説明で用いた符号と同一の符号を付した箇所は共通する構成であるから、重複した説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
この圧電デバイス12が上述した圧電デバイス10と異なるのは、圧電振動子30のパッケージ32と基板40との接続構造についてである。
【0041】
すなわち、圧電デバイス12のパッケージ32は、基板40側の一部が水平方向に突出して、この突出部70の上面70aに、導電パターン54,56およびパターン52が設けられている。
具体的には、パッケージ32を構成する最下層の基板64の端部を、その上の二層目の基板65に比べて基板40側に配置して、その端部を突出部70とし、そして、この突出部70の上向きの段部である上面70aまで、圧電振動片と接続された電極部(図示せず)を引き回すようにして導電パターン54,56を形成している。このため、導電パターン54,56は上向きとなって、基板40の上向きの配線パターン21,27,28とワイヤボンディングし易くなっている。
【0042】
また、導電パターン54,56は、パッケージ32の上向きの面65aに延伸されている。本第1の変形例の場合、パッケージ32の二層目の基板65が、その上の三層目の基板66に比べて、基板40側に配置されて上向きの段部が形成されており、この上向きの段部が上向きの面65aになる。これにより、この上向きの面65aまで延伸された導電パターン54,56に対して、上から検査用のプローブピンKを当接させ、圧電振動子30の特性を容易に検査することができる。
【0043】
なお、パッケージ32は、このように複数の上向きの段部或いは上面70a,65aを形成するようにしているため、図2の圧電デバイス10に比べて、多くの積層基板64,65,66を用いる層構造になっている。そして、圧電デバイス12全体の高さ寸法を大きくしないため、基板64,65,66の一部あるいは全ての厚みを小さくしている。本第1の変形例では、最下層の基板64の厚みを図2の圧電デバイス10に比べて小さくしている。
【0044】
また、本第1の変形例の場合、この最下層の基板64の厚みD3と、配線パターン21等が設けられた基板40の厚みD4とを略同じ寸法として、基板40の厚みD4は可撓性がある程に薄く形成されている。具体的には、基板40は、ポリイミド等を成分とする絶縁性フィルムの上面に、銅箔などの導電性材料を設けて、この導電性材料の一部が露出するようにしてレジスト等で絶縁膜を形成し、そして、このフィルム状のものを所定の大きさに切断することで形成されている。
【0045】
本発明の実施形態の第1の変形例は以上のように構成されており、パッケージ32は、基板40側の一部が水平方向に突出して、この突出部70の上面70aに導電パターン54,56が設けられているため、突出部70の上面70aに設けられた導電パターン54,56と基板40の配線パターン21,27とをワイヤボンディングできる。このため、圧電振動子30の導電パターン54,56と基板40の配線パターン21,27とを電気的に接続するためのワイヤボンディングと、ICチップ20と基板40の配線パターン21〜28(図3参照)とを電気的に接続するためのワイヤボンディングとを同じ工程(図5のST5)で出来る。すなわち、図5の圧電デバイス10の製造工程と比べると、図5のST3の半田付けの工程が不要となり、製造工程数を減らすことができる。
【0046】
なお、本第1の変形例では、上述のように、最下層の基板64、及び基板40は可撓性がある程に薄く形成されている。このため、図6の一点鎖線で示すように、ワイヤボンディングする際は、粘着力のある支持用のテープ72を固定台74との間に挟んで、最下層の基板64、及び基板40が固定台74から動かないようにするとよい。
【0047】
また、本第1の変形例では、上述のように、導電パターン54,56と配線パターン21,27とをワイヤボンディングしているが、ICチップ20と配線パターン21〜28(図3参照)を、例えばフリップチップボンディングする際は、図6の圧電デバイス12のさらなる変形例である図7に示すように、導電パターン54,56と配線パターン21,27を半田などの導電材料76で電気的機械的に接続するようにしてもよい。
【0048】
図8は、本発明の実施形態の第2の変形例に係る圧電デバイス14であって、圧電振動子30と基板40との接合領域付近の拡大断面図である。なお、この図では理解の便宜のため樹脂は図示していない。
この図において、図1ないし図7の説明で用いた符号と同一の符号を付した箇所は共通する構成であるから、重複した説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
この圧電デバイス14が上述した圧電デバイス10,12と異なるのは、圧電振動子30のパッケージ32と基板40との接続構造についてである。
【0049】
すなわち、圧電デバイス14のパッケージ32は、基板40の上面40aよりも上側に位置し、かつ、基板40側に位置する側面の一部が水平方向に突出しており、この突出部78の下面78aに、導電パターン54,56が設けられている。
具体的には、パッケージ32は、図6の第1の変形例に係る圧電デバイス12と同様に、三層の積層基板64,65,66からなっているが、下から二層目の基板65が、最下層の基板64より基板40側に突出して突出部78が形成されるようになっている。
そして、この突出部78の下面78aに導電パターン54,56が引き回されており、本第2の変形例の場合、導電パターン54,56は、突出部78の下面78aだけでなく、突出部78の突出方向の側面78bや、最下層の基板64の基板40側の側面64aにも一体的に形成されている。
【0050】
また、パッケージ32の最下層の基板64の厚みD5は、ICチップ20が載置された基板40の厚みD6よりも僅かに大きく形成されており、基板40は、その上面40aが突出部78の下面78aと対向するように配置されて、庇に潜り込むようになっている。
そして、突出部78および最下層基板64に設けられた導電パターン54,56と、ICチップ20が載置された基板40の配線パターン21,27とが、半田等の導電材料76を用いて、電気的機械的に接続されている。
【0051】
本発明の実施形態の第2の変形例は以上のように構成されており、パッケージ32は、基板40よりも上側に位置し、かつ、基板40側に位置する側面の一部が水平方向に突出しており、基板40は、その上面40aが突出部78の下面78aと対向するように配置されている。したがって、パッケージ32と基板40との接合面積を大きくとることができ、圧電振動子30と基板40との接合強度を向上させることができる。
【0052】
図9は、本発明の実施形態の第3の変形例に係る圧電デバイス16であって、圧電振動子30と基板40との接合領域付近の拡大断面図である。なお、この図では理解の便宜のため樹脂は図示していない。
この図において、図1ないし図8の説明で用いた符号と同一の符号を付した箇所は共通する構成であるから、重複した説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
この圧電デバイス16が上述した圧電デバイス10,12,14と異なるのは、圧電振動子30のパッケージ32と基板40との接続構造についてである。
【0053】
まず、圧電デバイス16では、図6の第1の変形例に係る圧電デバイス12の圧電振動子30と略同様の構成となっている。具体的には、パッケージ32は、基板40側の一部(本変形例では底部基板64)が水平方向に突出して、この突出部70の上面70aに導電パターン54,56が設けられている。なお、図9のパッケージ32の底部基板64の厚みは、図6の第1の変形例と異なり、基板40の厚みよりも大きく形成されている。
【0054】
これに対して、基板40は、図6の第1の変形例に係る圧電デバイス12と異なり、パッケージ32側がクランク状となって、突出部70の上面70aに載置されるようになっており、このクランク状の端部80の下面80aに配線パターン21,27が設けられている。また、このクランク状の端部80を樹脂62が覆うようになっている。なお、下面80aの配線パターン21,27は、図示しないビアホール等を利用して、基板40の上面40aに引き回されて、ICチップ20とワイヤボンディングされている。
【0055】
なお、本第3の変形例の場合、基板40にはフレキシブル基板等の可撓性部材が利用されており、その可撓性を利用してクランク状に曲げるようにしている。
また、このように基板40は可撓性を有しているため、図6で示した第1の変形例と同様に、樹脂モールド等で固定するまでは、粘着力のある支持用のテープ72を固定台74との間に挟んで、基板40が固定台74から動かないようにするとよい。
【0056】
本発明の実施形態の第3の変形例は以上のように構成されており、パッケージ32の突出部70の上面70aに導電パターン54,56が設けられており、基板40のパッケージ32側が、突出部70の上面70aに載置されるようにクランク状になっており、このクランク状の端部80の下面80aに配線パターン21,27が設けられている。このため、図5のST2の並列配置工程で、圧電振動子30と基板40を治具に載置する際、突出部70の上面70aにクランク状の端部80を載置するだけで、圧電振動子30と基板40との導通を図ることができる。また、圧電振動子30と基板40との接触面積を大きくして、接合強度を高めることができる。
【0057】
本発明は上述の実施形態に限定されない。実施形態や各変形例の各構成はこれらを適宜組み合わせたり、省略し、図示しない他の構成と組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施形態に係る圧電デバイスの概略平面図。
【図2】図1のA−A線概略切断断面図。
【図3】本発明の実施形態に係る圧電デバイスの樹脂を透過して見た概略斜視図。
【図4】本発明の実施形態に係る圧電デバイスの樹脂と電子部品を取り除いて、圧電振動子についてはその底部基板のみを図示した概略平面図。
【図5】本発明の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法の一例を示した工程図。
【図6】本発明の実施形態の第1の変形例に係る圧電デバイスの接合領域付近の拡大斜視図。
【図7】図6の圧電デバイスのさらなる変形例。
【図8】本発明の実施形態の第2の変形例に係る圧電デバイスの接合領域付近の拡大断面図。
【図9】本発明の実施形態の第3の変形例に係る圧電デバイスの接合領域付近の拡大断面図。
【図10】従来の圧電デバイスの概略斜視図。
【符号の説明】
【0059】
10,12,14,16・・・圧電デバイス、20・・・電子部品(ICチップ)、21,22,23,24,25,26,27,28・・・配線パターン、30・・・圧電振動子、32・・・パッケージ、40・・・基板、54,56・・・導電パターン、62・・・樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品と、パッケージ内に圧電振動片が収容された圧電振動子とが、基板の配線パターンを介して電気的に接続されている圧電デバイスであって、
前記電子部品は、前記基板の上面に配置され、
前記圧電振動子は、前記基板と並列に配置されており、
前記基板の上面側であって、少なくとも前記圧電振動子と前記基板との接合領域に、樹脂が付着している
ことを特徴とする圧電デバイス。
【請求項2】
前記圧電振動子の上面が外部に露出するようにして、前記圧電振動子の前記基板側の側面、及び前記電子部品を含む前記基板の上側全体が樹脂で覆われていることを特徴とする請求項1に記載の圧電デバイス。
【請求項3】
前記圧電振動子のパッケージは、前記基板の近傍に、前記圧電振動片と電気的に接続された導電パターンを有しており、
前記基板の配線パターンは、前記導電パターンに隣接するように配置されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の圧電デバイス。
【請求項4】
前記電子部品は前記基板の配線パターンとワイヤボンディングされており、
前記パッケージは、前記基板側の一部が水平方向に突出して、この突出部の上面に前記導電パターンが設けられている
ことを特徴とする請求項3に記載の圧電デバイス。
【請求項5】
前記パッケージは、前記基板側の一部が水平方向に突出して、この突出部の上面に前記導電パターンが設けられており、
前記基板は、前記パッケージ側がクランク状になって、前記突出部の上面に載置されるようになっており、前記クランク状の端部の下面に前記配線パターンが設けられている
ことを特徴とする請求項3に記載の圧電デバイス。
【請求項6】
前記導電パターンは、前記パッケージの上向きの面に延伸されていることを特徴とする請求項3ないし5のいずれかに記載の圧電デバイス。
【請求項7】
圧電振動片を収容するパッケージを有する圧電振動子と、この圧電振動子と電気的に接続される電子部品と、この電子部品と前記圧電振動子とを電気的に接続するための配線パターンを有する基板とを、別々に形成する準備工程と、
前記圧電振動子と前記基板とを並列に配置する並列配置工程と、
前記電子部品を、前記基板の上面に配置する部品配置工程と、
前記基板の上面側であって、少なくとも前記圧電振動子と前記基板との接合領域に、樹脂を付着する樹脂塗布工程と
を備えることを特徴とする圧電デバイスの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate