圧電マイクロブロア
【課題】振動板の振動が外部に漏洩しにくくし、エネルギー損失を低減できる圧電マイクロブロアを提供する。
【解決手段】圧電素子20を有する振動板2の周囲を固定し、振動板との間でブロア室3を形成するケース1と、ケース1の外周部に設けられ、ケース1から外部への振動伝搬を実質的に抑制する複数の連結部4と、を有する。振動板2の中央部と対向するケース1の天板部10に第1開口部11が形成され、振動板2をベンディングモードで駆動させることにより、空気を第1開口部11から排出する。振動板2の振動がケース1から外部へ漏洩するのを連結部4が抑制し、エネルギー損失を低減する。
【解決手段】圧電素子20を有する振動板2の周囲を固定し、振動板との間でブロア室3を形成するケース1と、ケース1の外周部に設けられ、ケース1から外部への振動伝搬を実質的に抑制する複数の連結部4と、を有する。振動板2の中央部と対向するケース1の天板部10に第1開口部11が形成され、振動板2をベンディングモードで駆動させることにより、空気を第1開口部11から排出する。振動板2の振動がケース1から外部へ漏洩するのを連結部4が抑制し、エネルギー損失を低減する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気のような圧縮性流体を輸送するのに適した圧電マイクロブロアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯型電子機器の筐体内部で発生する熱を効果的に放出させるためや、燃料電池で発電するのに必要な酸素を供給するための送風用ブロアとして、圧電マイクロブロアが知られている。圧電マイクロブロアは、圧電素子への電圧印加により屈曲変形するダイヤフラムを用いた一種のポンプであり、構造が簡単で、小型・薄型に構成でき、かつ低消費電力であるという利点がある。
【0003】
特許文献1には、流体が満たされた加圧室を有する基体と、加圧室に臨むように設けたノズルを有するノズル板と、開口を有し、この開口のほぼ中央にノズルが位置するようにノズル板に装着された振動子とを備え、ノズル板と振動子とを基体に装着すると共に、振動子の共振周波数近傍の周波数の交流信号をこの振動子に供給するようにした流れ発生装置が提案されている。この場合には、逆止弁を省略でき、振動子を高周波で駆動することにより流量を増大させることができる。特許文献1の第5図の構造では、ノズル板の前方に流入空気室を設け、ノズルから噴出した気流が周囲の空気室の空気を巻き込みながら排出口から排出する構造となっている。
【0004】
特許文献2には、外部空気を吸引して噴射する噴射ユニットと、噴射ユニットから噴射された空気を排出する排出口が形成されたカバー部と、噴射ユニットと結合されるベースユニットとを含むマイクロブロアが開示されている。特許文献2の図4には、吸引穴と噴射穴とを有する噴射プレートが設けられ、この噴射プレートの背後にマグネチックシートを備える振動板が加圧室を介して取り付けられ、マグネチックシートをコイルによって振動させてキャビティから噴射気流を発生させ、噴射プレートの前方に位置するカバーキャビティの空気を巻き込んで排出口から排出する構造が開示されている。
【0005】
特許文献3には、ステンレス製ディスクの片面に圧電素子を貼り付けて超音波駆動体を構成し、ステンレス製ディスクの他面に第1のステンレス製膜体を固定し、このステンレス製膜体との間に一定の空洞をあけて第2のステンレス製膜体を固定した構造のガス流発生器が開示されている。
【0006】
マイクロブロアとして求められる特性の1つに高エネルギー効率化がある。すなわち、入力される電気エネルギーを空気の吐出流量にできるだけ無駄なく変換することが必要がある。特許文献1の場合、内ケースと外ケースとの二重壁構造よりなるので、内ケースの振動が外部へ漏れにくい構造となっているが、内ケースと外ケースとを繋ぐ壁部は剛体であり、しかも壁部が振動子の振動方向に延びているため、この壁部を介して振動子の振動が内ケースから外ケースへ伝播しやすい。外ケースは機器の筐体や基板などに固定されるが、振動子の振動が外ケースに漏洩することにより、エネルギー損失が大きくなると共に、外ケースと筐体との固定構造によって特性が変動してしまうという問題がある。
【0007】
特許文献2の場合、噴射プレートにリザーバボディを介して振動子が取り付けられ、噴射プレートの外周部は外側のケースと固定されている。噴射プレートは振動子の振動にともなって振動しないような比較的厚肉な板であるため、振動子の振動が外側のケースへ伝播してしまい、特許文献1と同様にエネルギー損失が大きくなる。
【0008】
特許文献3の場合、第2のステンレス製膜体を筐体などに固定することになるが、第1のステンレス製膜体と第2のステンレス製膜体とが外周部で固定されているため、超音波駆動体の振動がそのまま外部へ漏洩し、特許文献1,2に比べてさらにエネルギー損失が大きくなると考えられる。また、筐体への固定構造によって特性変動を招く可能性がある。
【特許文献1】特公昭64−2793号公報
【特許文献2】特開2005−113918号公報
【特許文献3】特表2006−522896号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明の目的は、振動板の振動が外部に漏洩しにくくし、エネルギー損失を低減できる圧電マイクロブロアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、本発明は、圧電素子を有する振動板と、前記振動板の周囲を固定し、振動板との間でブロア室を形成するケースと、前記振動板の中央部と対向する前記ケースの壁部に設けられた第1開口部と、前記ケースの外周部に設けられ、前記ケースから外部への振動伝搬を実質的に抑制する複数の連結部と、を備え、前記圧電素子に所定周波数の電圧を印加して前記振動板をベンディングモードで駆動させることにより、前記第1開口部から圧縮性流体を排出することを特徴とする圧電マイクロブロアを提供する。
【0011】
圧電素子に所定周波数の電圧を印加して振動板を駆動させると、振動板の変位に伴って空気がある半周期では第1開口部から吸い込まれ、次の半周期では排出される。振動板の高周波駆動に伴い第1開口部から排出される高速気流により、その周囲にある空気を巻き込みながら排出する。ケースの外側に外部ケースを設けた場合には、ケースと外部ケースとの隙間を介して中央空間に吸い込まれた空気と、第1開口部から排出された空気とが合流して第2開口部から排出されるので、振動板の変位体積以上の吐出流量を得ることができる。
【0012】
駆動部であるケースと非駆動部である外部ケースとは、ケースから外部ケースへの振動伝播を実質的に抑制する複数の連結部を介して連結されているので、ケースの振動が外部ケースに漏洩するのを少なくでき、エネルギー損失が少ない。そのため、圧電素子に入力された電気エネルギーを効率よく空気流量に変換でき、効率のよい圧電マイクロブロアを実現できる。また、駆動部分であるケースと非駆動部分である外部ケースとを別体にして、分離した構造とすることで、筐体などへの取付による特性変動を防止することができる。さらに、ケースと外部ケースとの間の隙間を全面的に流入通路とすることができるので、流路抵抗を減少させ、さらなる流量増加を実現できる。連結部は流入通路の中に形成されるが、この連結部は周方向に間隔をあけて設ければよいので、実質的に流路抵抗とはならない。
【0013】
本発明における振動板とは、ダイヤフラム(例えば金属板)の片面に平面方向に伸縮する圧電素子を貼り付けたユニモルフ型、ダイヤフラムの両面に互いに逆方向に伸縮する圧電素子を貼り付けたバイモルフ型、ダイヤフラムの片面にそれ自体が屈曲変形する積層型圧電素子を貼り付けたバイモルフ型、さらにはダイヤフラムを省略し、圧電素子自体で振動板が構成されたものでもよい。また、圧電素子の形状は、円板状、矩形状、あるいは円環状であってもよい。圧電素子とダイヤフラムとの間に中間板を貼り付けた構造でもよい。いずれにしても、圧電素子に交番電圧(交流電圧または矩形波電圧)を印加することによって、振動板が板厚方向に屈曲振動するものであればよい。
【0014】
振動板を1次共振モード(1次共振周波数)で駆動するのが、最も大きな変位量が得られるので望ましいが、1次共振周波数は人間の可聴領域となり、騒音が大きくなる場合がある。これに対し、3次共振モード(3次共振周波数)を用いると、1次共振モードに比べて変位量が小さくなるものの、共振モードを使用しない場合より大きな変位量が得られ、しかも可聴領域を越えた周波数で駆動できるため、騒音を防ぐことができる。なお、1次共振モードとは、振動板の腹が1つの振動モードのことであり、3次共振モードとは、振動板の中央部とその周辺部とでそれぞれ腹が1つずつ生じる振動モードのことである。
【0015】
振動板と対向するケースの壁部が、振動板の駆動に伴って振動するように形成するのがよい。特に、ケースの壁部が、振動板の共振駆動に伴って共振するように形成するのがよい。即ち、ケースの壁部の中央空間と対向する部分の固有振動数を振動板の共振周波数と近づけるか、または振動板の共振周波数の整数倍又は整数分の1に設定することにより、振動板の変位に追随してケースの壁部を共振させることができる。この場合には、振動板が発生する流体の流量をケースの壁部の変位によって増加させる働きがあり、さらなる流量増加を実現できる。振動板とケースの壁部とは同じ共振モードで振動してもよいし、一方が1次共振モードで振動し、他方が3次共振モードで振動してもよい。
【0016】
連結部は、振動板の振動方向と同方向に変位自在なばね部材で形成されているのがよい。連結部の変位方向は特に限定されないが、振動板の振動方向と同方向に変位自在なばね部材で形成されている場合には、ケースから外部ケースへの振動の漏洩をより効果的に低減することができる。
【0017】
振動板と対向するケースの壁部を弾性金属板で形成し、連結部を、この弾性金属板の外周部に周方向に間隔をあけて形成された弾性片とし、当該弾性片の外側端部を外部ケースに固定してもよい。この場合は、ケースの壁部を構成する弾性金属板に連結部が一体に形成されているので、連結部の強度を確保しやすくなると共に、ケースと外部ケースとの相互の取付が簡単になる。
【0018】
好ましい実施形態によれば、連結部の一端部を、ケースの壁部の振動の節に接続するのがよい。ケースの壁部の振動が最も生じにくい部分に連結部が接続されているため、ケースの振動が外部ケースに漏洩するのをより少なくでき、エネルギー損失を小さくすることができる。ケースの壁部の振動モードは振動板の振動モードに応じて種々に変化するが、例えば外周縁が節となるような振動モードでケースの壁部が振動する場合には、連結部をケースの壁部の外周縁に接続することで、振動の漏洩を効果的に低減できる。また、外周縁より内側に入った部位が節となるような振動モードでケースの壁部が振動する場合には、連結部をこの節部に連結することで、振動の漏洩を効果的に低減できる。このように節部に連結部を接続した場合には、連結部は必ずしもばね弾性を有する必要はないが、ケースの壁部の節部の角度変化を許容できるような構造とするのが望ましい。
【0019】
連結部をケースの壁部の振動の節に接続した場合に、連結部をケースの壁部に対して垂直方向に突設し、連結部の他端部をケースの壁部と対向する外部ケースの壁部に接続してもよい。この場合には、連結部の長さ分だけケースの壁部と外部ケースの壁部との間に中央空間となる隙間を設けることができる。また、連結部をケースの壁部の振動の節に接続した場合に、連結部をケースの壁部と平行にケースの径方向外側へ突設し、連結部の他端部を外部ケースの内側壁に接続してもよい。この場合には、連結部とケースの外周部とが接触しないように、ケースに適宜切り欠きやスリットなどを設けるのがよい。
【0020】
圧電素子の直径をブロア室の内径より大きくしてもよい。圧電素子の直径をブロア室の内径よりも大きくした場合、振動板及びケースを含む駆動部全体が外周端を自由端とするように振動させることが可能である。そのため、駆動部の外周端をばね性を持つ連結部で支持するか、あるいは駆動部の振動の節を連結部で支持することで、振動板の大きな変位、ひいてはケースの天板の大きな変位が得られ、流量増加が可能になる。
【0021】
中央空間を取り囲む周壁部が、ケースの壁部又は外部ケースの壁部から突設され、前記周壁部に、ケースと外部ケースとの隙間から中央空間へ通じる流入通路が形成され、当該周壁部の頂面と、この頂面と対向するケースの壁部又は外部ケースの壁部との間に微少な隙間が形成されているのがよい。この場合には、中央空間が流入通路を介して外部と連通するだけでなく、中央空間は全周にわたって微少な隙間をもって外部と連通するので、中央空間へ流れ込む空気の流路抵抗が小さくなり、さらにブロアの効率が向上する。ケースの壁部が振動板の共振駆動に伴って共振する場合、周壁部とケースの壁部との間の微少な隙間は、ケースの壁部が共振しても接触しない程度の隙間とする必要がある。この場合には、中央空間と対面するケースの壁部の部分だけでなく、その周囲の部分も同時に共振できるので、ケースの壁部の振動領域を広くでき、さらに流量増加を実現できる。
【0022】
ケースが金属材料で形成され、外部ケースが樹脂材料で形成されているのが望ましい。ケースを金属材料で形成すれば、圧電素子の一方の電極を外部へ引き出す際にケースを導電路として利用できる。一方、外部ケースが絶縁材料であれば、外部ケースを筐体などに固定した際、圧電素子の電極が筐体と短絡するのを防止できる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明の圧電マイクロブロアによれば、ケースの外周部にケースから外部への振動伝播を実質的に抑制する複数の連結部を設けたので、ケースの振動が外部に漏洩するのを少なくでき、エネルギー損失を少なくできる。また、ケースを筐体などへ取り付けた場合、取付による特性変動を少なくすることができる。さらに、ケースと外部との間の隙間を全面的に流入通路とすることができるので、流路抵抗を減少させることができる。その結果、効率のよい圧電マイクロブロアを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る圧電マイクロブロアの第1実施形態の概略断面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII −III 線断面図である。
【図4】本発明に係る圧電マイクロブロアの第2実施形態の概略断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る圧電マイクロブロアを具体化した例の断面図である。
【図6】図5に示す圧電マイクロブロアを斜め上方から見た分解斜視図である。
【図7】図5に示す圧電マイクロブロアを斜め下方から見た分解斜視図である。
【図8】図5に示す圧電マイクロブロアと比較例との駆動周波数及びダイヤフラムの中心変位量を比較した図である。
【図9】振動板を3次モードで駆動した場合と、1次モードで駆動した場合の振動板と内ケースの天板の振動モードを示した図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る圧電マイクロブロアを具体化した例の断面図である。
【図11】図10に示す圧電マイクロブロアを斜め上方から見た分解斜視図である。
【図12】図10に示す圧電マイクロブロアを斜め下方から見た分解斜視図である。
【図13】本発明に係る圧電マイクロブロアの第3実施形態の概略断面図である。
【図14】第3実施形態の圧電マイクロブロアに使用される駆動部分の斜視図である。
【図15】第3実施形態の圧電マイクロブロアとその比較例との駆動周波数及びダイヤフラムの中心変位量を比較した図である。
【図16】本発明の第3実施形態に係る圧電マイクロブロアを具体化した一例の断面図である。
【図17】図16に示す圧電マイクロブロアの斜め上方から見た分解斜視図である。
【図18】図16に示す圧電マイクロブロアの斜め下方から見た分解斜視図である。
【図19】本発明の第3実施形態に係る圧電マイクロブロアを具体化した他の例の断面図である。
【図20】図19に示す圧電マイクロブロアの斜め上方から見た分解斜視図である。
【図21】図19に示す圧電マイクロブロアの斜め下方から見た分解斜視図である。
【図22】図20の一部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0026】
〔第1実施形態〕
図1〜図3は本発明にかかる圧電マイクロブロアの第1実施形態を示し、電子機器の送風用ブロアとして用いる例を示す。この圧電マイクロブロアAは、大略、内ケース(ケース)1と、内ケース1の外側を所定の隙間αをもって非接触で覆う外ケース(外部ケース)5とで構成されており、内ケース1と外ケース5との間が複数の連結部4によって連結されている。本実施形態では、図2に示すように外ケース5は側壁部50と天壁部52とを有し、その中に下方が開口した円筒形の空洞部51が形成されている。この空洞部51の中に円板形の内ケース1が所定の隙間αをあけて収容されている。連結部4は内ケース1の外周部と外ケース5の側壁部50との間に設けられている。内ケース1は下方が開口した断面コの字形に形成され、内ケース1の開口を閉じるように振動板2のダイヤフラム21が固定されて、内ケース1と振動板2との間でブロア室3が形成されている。本実施形態の振動板2は、圧電セラミックよりなる圧電素子20を金属薄板よりなるダイヤフラム21の中央部に貼り付けたユニモルフ構造であり、圧電素子20に所定周波数の電圧を印加することにより、振動板2全体がベンディングモードで共振駆動される。
【0027】
振動板2の中央部と対向する内ケース1の天板部(壁部)10には、第1開口部11が形成されている。内ケース1の天板部10は、振動板2の共振駆動に伴って共振するように薄肉に形成されている。内ケース1の天板部10と対向する外ケース5の天板部(壁部)52には、第1開口部11と一直線状に並ぶ第2開口部53が形成されている。本実施形態では、第2開口部53は第1開口部11よりやや大きい。外ケース5の天板部52の内面、つまり内ケース1の天板部10と対向する面には、内ケース1に向かって突出し、内ケース1の天板部10との間に微少な隙間βをもって近接する凸部(周壁部)54が形成されている。隙間βは隙間αより小さくてよく、天板部10が共振したとき、天板部10が凸部54と接触しない寸法に設定されている。凸部54の高さγは隙間βより大きく、隙間αと同等でよい。凸部54の内周には第1開口部11及び第2開口部53と通じる中央空間6が形成され、凸部54には中央空間6から放射方向に延びる複数本(ここでは4本)の溝よりなる流入通路7(図2参照)が形成されている。この実施形態では、流入通路7だけでなく、凸部54と天板部10との隙間βも流入通路として機能し、しかも隙間βは全周に亘って連通しているので、流路抵抗を低減でき、流量増加に寄与することができる。
【0028】
連結部4は、図3に示すように流入通路7と位相が異なる部位に、周方向に複数個(ここでは4個)設けられ、内ケース1を外ケース5に対して柔らかく支持している。連結部4は板ばね等のばね部材よりなり、振動板のベンディングモードで振動する方向のばね弾性が低く、振動板のベンディングモードで振動する方向と垂直な方向のばね弾性が高く設定されている。そのため、振動板2の共振駆動に伴って内ケース1が上下方向に振動したとき、その振動が外ケース5に漏洩するのを抑制する働きを持つ。
【0029】
内ケース1の外周と外ケース5の側壁部50の内周との間には、環状の隙間αが形成されており、その隙間αを介して外部の空気が吸い込まれ、流入通路7を通り中央空間6に導かれる。隙間αの途中に連結部4が介在するが、連結部4は周方向に間隔をあけて配置されているので、空気の流路抵抗となるおそれがない。
【0030】
ここで、前記構成の圧電マイクロブロアAの作動を説明する。圧電素子20に所定周波数の交流電圧を印加すると、振動板2が1次共振モード又は3次共振モードで共振駆動され、それにより第1開口部11と振動板2の距離が変化する。第1開口部11と振動板2の距離が増大するとき、中央空間6内の空気が第1開口部11を通りブロア室3へと吸い込まれ、逆に第1開口部11と振動板2との距離が減少するとき、ブロア室3内の空気が第1開口部11を通り中央空間6へと排出される。振動板2は高周波で駆動されるため、第1開口部11から中央空間6へと排出された高速/高エネルギーの空気流は、中央空間6を通過し、第2開口部53から排出される。このとき、中央空間6内にある空気を巻き込みながら第2開口部53から排出されるので、流入通路7から中央空間6へ向かう連続した空気の流れが生じ、第2開口部53から空気は噴流となって連続的に排出される。空気の流れを図1に矢印で示す。
【0031】
内ケース1の天板部10が、振動板2の共振駆動に伴って共振するように薄肉に形成されている場合には、第1の開口部11と振動板2との距離が振動板2の振動に同調して変化するため、天板部10が共振しない場合に比べて、第2開口部53から排出される空気の流量が飛躍的に増大する。図1のように天板部10全体が薄肉に形成されている場合、天板部10全体を共振させることができるので、さらなる流量増加を実現できる。天板部10は1次共振モード又は3次共振モードのいずれで共振してもよい。
【0032】
内ケース1は振動板2の共振駆動に伴って上下に振動するが、内ケース1は連結部4を介して外ケース5に対して柔らかく支持されているので、内ケース1の振動が外ケース5に殆ど漏洩せず、エネルギー損失を低減できる。その結果、比較的小さい入力エネルギーでも、大流量のマイクロブロアを実現できる。さらに、外ケース5が殆ど振動しないので、外ケース5を筐体や基板などに固定した際、その固定構造によって振動板2の振動が影響を受けず、流量等の特性変動をなくすことができる。
【0033】
〔第2実施形態〕
図4は本発明にかかる圧電マイクロブロアの第2実施形態を示す。本実施形態の圧電マイクロブロアBのうち、第1実施形態の圧電マイクロブロアAと同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
【0034】
本実施形態のマイクロブロアBでは、内ケース1の天板部10の上面に上方向に突出する凸部(周壁部)12を形成し、外ケース5の天板部52の内面は平坦面としてある。なお、凸部12には放射方向に流入通路7が形成されている。この場合は、内ケース1の天板部10のうち凸部12以外の部分、つまり中央空間6に対面する天板部10の部分10aが振動板2の共振駆動に伴って上下に共振する。
【0035】
なお、第1,第2実施形態における凸部54,12は必須のものではなく、内ケース1の天板部10の上面及び外ケース5の天板部52の下面を平坦面としてもよい。この場合には、内ケース1の天板部10と外ケース5の天板部52との間全体が中央空間6及び流入通路7となる。
【0036】
図5〜図7は、前述の第1実施形態のマイクロブロアを具体化したものであり、新たな符号を付したものを除き、対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。このマイクロブロアA'の内ケース1は、天板10と、天板10の下面に固定された環状の第1枠体13と、第1枠体13の下面に固定された振動板2と、振動板2の下面に固定された環状の第2枠体14との積層構造となっている。第1枠体13の厚みによって、ブロア室3の厚みが設定される。
【0037】
天板10はばね弾性を有する円板状の金属板よりなり、図6に示すように、その外周部に4個の幅狭な連結部4が90°間隔で一体に突設され、各連結部4の外側端部に幅広な取付部10b,10cが形成されている。取付部のうちの1つ10cは外ケース5より外周方向に突出しており、この取付部10cが圧電素子20に電圧を印加するための一方の電極端子を兼ねている。第1枠体13、第2枠体14も金属材料よりなり、第1枠体13と第2枠体14との間で振動板2の金属製ダイヤフラム21の上下面を挟持することにより、圧電素子20の片面の電極は、別途配線を行うことなく、天板10の電極端子10cと電気的に接続できる。
【0038】
振動板2は、ダイヤフラム21と圧電素子20とを中間板22を間にして接着したものである。中間板22もダイヤフラム21と同様な金属板よりなり、振動板2が屈曲変形したとき、変位の中立面が中間板22の厚みの範囲内になるように設定されている。
【0039】
外ケース5は例えば樹脂材料によって一体成形されており、その周壁部端面に他方の電極端子8が固定されている。この電極端子8には、圧電素子20の他面に形成された電極がリード線81を介して電気的に接続されている。外ケース5の側壁部50には、周方向4箇所に支持面55が形成され、これら支持面55に天板10の取付部10b,10cを支持固定することにより、内ケース1は外ケース5に対して浮動状態で弾性的に支持される。外ケース5の周壁部には、上下に貫通する複数の取付孔56が形成され、これら取付孔56にボルト(又はネジ)を挿入して、筐体又は基板などに締結することにより、本マイクロブロアA'は取り付けられる。なお、ボルトに代えて接着剤により固定してもよい。本実施例では、外ケース5の空洞部51は下方に開放し、圧電素子20が外部に露出しているが、圧電素子20を覆うように外ケース5の下面開口を蓋体で閉じるようにしてもよい。
【0040】
図8は、以下のような条件でマイクロブロアA'の駆動部分のみ(内ケース+振動板)と、駆動部分と外ケースとを連結部で連結した連結構造とにおいて、駆動周波数とダイヤフラムの中心変位とをシミュレーションにて比較したものである。なお、内ケース1の天板10と外ケース5の天板52との間が中央空間6となる構成(流路形成用の凸部54は省略)によってシミュレーションを行った。
ブロア室(内径、厚み)=(φ14mm、t0.15mm)
圧電素子(直径、厚み)=(φ11mm、t0.15mm)
ダイヤフラム(駆動領域直径、厚み、材質)=(φ17mm、t0.05mm、42Ni)
内ケース天板(駆動領域直径、厚み、材質)=(φ17mm、t0.1mm、SUS430)
第1開口部(ポンプ室天板)=(φ0.6mm)
連結部(長さ、幅、厚み、材質) =(0.5mm、1mm、0.1mm、SUS430)
外ケース天板(直径、厚み、材質)=(φ18mm、0.3mm、PBT)
内ケースの外側と外ケースの側壁部との隙間=α(0.5mm)
中央空間(直径、厚み)=(φ18mm、0.5mm)
【0041】
この実験では、振動板を26kHz 、15Vpp で駆動したところ、0.8L/minの流量が得られた。この場合には、図9の(a)に示すように、振動板の駆動領域(φ17mm)は3次モード、内ケースの天板の駆動領域(φ17mm)は振動板とは異なる3次モードの振動をした。
【0042】
図8から明らかなように、駆動部分と連結構造とを比較すると、駆動周波数及び中心変位量の違いが非常に小さく、連結部を介した外ケースへの振動の漏洩は殆どないことがわかる。特に、図9の(a)ようなモードで振動板及び内ケースの天板を振動させ、かつ圧電素子の直径がブロア室内径より小さい場合、振動板及び内ケースの天板の外周部の変位が共に小さいので、その変位の小さい部分をばね弾性を持つ連結部で支持することで、外ケースへの振動の漏洩を殆どなくすことができたと考えられる。
【0043】
図9の(a)は振動板を3次モードで駆動した時であるが、図9の(b)は振動板を1次モードで駆動した時の様子を示す。なお、圧電素子の直径はダイヤフラムとほぼ同径であり、ブロア室の内径より大きい。この場合には、内ケースの天板は中央部とその周辺部とに節を持つ3次モードで振動する。振動板及び内ケースの天板は、その外周端が自由端となるように振動するので、内ケースの天板の外周端を支持する連結部としては、ばね性に富んだ材料で形成するのが望ましい。内ケースの天板の中央部の変位量は、振動板の中央部の変位量より大きくなるので、3次モードで駆動した場合(図9の(a))に比べて流量を増加させることが可能になる。
【0044】
上述のように、本実施例のマイクロブロアの場合、内ケースと外ケースとがはね弾性を持つ連結部を介して連結されているので、駆動部分の振動エネルギーが外ケースに漏洩する事によるエネルギーロスを低減でき、小型化しても所望の流量を得ることができる。また、取付方法に関係なく流量特性を維持することができる。さらに、内ケースと凸部との隙間β(0.1mm)が流路として機能する為、流入通路が同じ厚み場合と比較して、流路抵抗が低減し、流量が増加するという効果がある。
【0045】
図10〜図12は、第2実施形態のマイクロブロアBを具体化したものであり、第1実施例のマイクロブロアA’と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。このマイクロブロアB’では、内ケース1の天板10の上面に複数の凸部(周壁部)12を接着したものである。凸部12の上面と外ケース5の天板52との間には隙間βが設けられている。凸部12同士の間には溝状の流入通路7が放射方向に形成され、流入通路7の内側端には絞り部71が形成されている。この絞り部71を介して流入通路7と中央空間6とが連通している。中央空間6は第1開口部11を中心とする同心円形に形成されている。天板10の中で凸部12の接着部以外の部分、つまり中央空間6と面する部分10aだけが振動板2の駆動に伴って共振する。
【0046】
〔第3実施形態〕
図13,図14は本発明にかかる圧電マイクロブロアの第3実施形態を示す。本実施形態の圧電マイクロブロアCのうち、第1,第2実施形態の圧電マイクロブロアA,Bと同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
【0047】
本実施形態のマイクロブロアCでは、内ケース1の天板10の上面に複数(ここでは4個)の連結部4を垂直に形成し、これら連結部4を介して天板10を外ケース5の天板52に固定してある。連結部4はばね弾性を持たない部材で形成してもよいが、ばね部材の方が望ましい。天板10の中心(第1開口部11)から連結部4までの径方向の距離Rは、連結部4の位置が天板10の振動の節と一致するように設定されている。なお、他の構成は第1実施形態と略同様であるが、流路形成用の凸部12,54は設けられていない。したがって、内ケース1の天板10と外ケース5の天板52との間の空間が中央空間6となる。
【0048】
図15は、連結部4を振動の節に垂直に接続した圧電マイクロブロアCと、連結部4を天板10の外周端部に接続した比較例とを用いて、駆動時の駆動周波数とダイヤフラムの中心変位量とを解析したものである。ここでは、駆動部分(内ケース1+振動板2)と外ケース5とを連結部で連結した連結構造に対する、駆動部分のみの構造の特性を比で表してある。駆動周波数は25kHzであり、15Vppで駆動した際に、1次共振モードで振動する振動板と内ケースとが共振状態となる周波数を示す。ここで、駆動部分の各部分の寸法は以下の通りである。内ケース1の天板10と外ケース5の天板52との間が中央空間6となる。
ブロア室(内径、厚み)=(φ5mm、t0.15mm)
圧電素子(径、厚み)=(φ11mm、t0.1mm)
ダイヤフラム(駆動領域直径、厚み、材質)=(φ11mm、t0.1mm、42Ni)
ブロア室天板(駆動領域直径、厚み、材質)=(φ11mm、t0.05mm、SUS430)
第1開口部(ポンプ室天板)=(φ0.6mm)
連結部(長さ、幅、厚み、材質) =(0.5mm、1mm、0.05mm、SUS430)
距離R=4mm
外ケースの天板(直径、厚み、材質)=(φ12mm、0.3mm、PBT)
内ケースの外側と外ケースの側壁部との隙間=α(0.5mm)
中央空間(直径、厚み)=(φ12mm、0.4mm)
【0049】
図15のうち、左側は外周部で保持した場合、右側は節部で保持した場合である。この実験では、振動板を1次モードで駆動しているため、図9の(b)と同様に、振動板及び内ケースの天板は、その外周端が自由端となるように振動し、振動の節は外周端よりやや内側に入った部位にある。しかも、内ケースの天板の振動の節は振動板の節とほぼ同じ位置にある。図15より明らかなように、外周部で保持した場合(比較例)では、自由端である外周部が保持部で拘束されるため、駆動部分単体に比べて、駆動周波数が約10%高くなり、かつ自由端である外周部から保持部を介して振動が外ケースに伝わるため、流量特性に影響するダイヤフラムの中心変位量が66%に低下する。一方、圧電マイクロブロアCのように節部(R=4mm)の位置で保持した場合、駆動周波数は駆動部分単体の駆動周波数と同じとなり、ダイヤフラムの中心変位量の差も1%未満である。このことから、連結部を内ケースの天板の節部に接続することで、内ケースの振動が外ケースへ漏洩することによるエネルギー損失が非常に小さいことが分かる。
【0050】
なお、ここでいう1次共振モードは、振動板の振動モードのことであり、内ケースの天板(壁部)の振動モードではない。内ケースの天板は、圧電素子が形成された振動板の振動に伴って振動するが、この内ケースの天板の振動は、必ずしも振動板の振動モードと一致する訳ではなく、複雑な振動を行う。今回の実験では、圧電素子を備えた振動板は外周が自由端となる1次共振モードで振動し、内ケースの天板の振動には節が生じており、節の位置は内ケースの外周端よりも内側に入った位置にある。この節の位置は、内ケースの天板の振動を個別にLDV(レーザー・ドップラー流速計)で測定することで求めることができる。このため、振動板の振動状況によっては、内ケースの天板の外周端に内ケースの振動の節が位置する可能性もある。
【0051】
図15のように、ダイヤフラムの中心変位量が大きくなる理由は、内ケースの天板を節部で支持したためだけでなく、圧電素子20の直径がブロア室3の直径より大きいことも影響している。すなわち、圧電素子20の直径がブロア室3の直径よりも大きい場合、圧電素子20の外周端が第1枠体13上に位置するため、一般には第1枠体13により圧電素子20の変位が拘束され、変位が小さくなると考えられる。しかし、圧電素子20の直径をブロア室3の直径よりも大きくし、第1枠体13を容易に屈曲変位できる厚みとし、圧電素子20を一次モードで駆動した場合、振動板2を含む内ケース1全体が外周端を自由端とするように無理なく変位できる。そのため、振動板2の大きな変位、ひいては内ケース1の天板の大きな変位が得られたものと推定される。さらに、ブロア室3が共鳴空間となるようにその直径を設定することで、さらなる流量増加を期待できる。
【0052】
図16〜図18は、前述の第3実施形態のマイクロブロアCを具体化したものであり、図13と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。このマイクロブロアC'の内ケース1は、天板10と、天板10の下面に固定された環状の枠体13と、枠体13の下面に固定されたダイヤフラム21との積層構造となっている。枠体13の内側にブロア室3が形成される。
【0053】
天板10はばね弾性を有する円板状の金属板よりなり、図17に示すように、その外周部にクランク状の4個の連結部4が一体に形成されている。連結部4は天板10に対して直角に折り曲げられている。連結部4の内側端部41と天板10との接続位置が天板10の振動の節となるように、連結部4と第1開口部11との距離Rが設定されている。連結部4の外側端部42は、天板10から放射方向へ突出しており、外ケース5の天板52の内面に支持されている。外側端部42の先端部に形成された取付部10bが外ケース5の支持面55に支持されている。なお、取付部のうちの1つ10cは外ケース5の支持面55から外部へ突出し、電極端子を兼ねている。
【0054】
この場合には、連結部4を天板10から一体に形成できるので、構造が簡単になると共に、連結部4の外側端部42が外ケース5の天板52の内面で支持されるので、内ケース1を外ケース5に対して安定して支持できる。また、連結部4は天板10の振動の節に接続されているので、天板10が振動しても連結部4は実質的に振動しない。つまり、連結部4は弾性を必要としないので、任意の材質のものを選ぶことができる。
【0055】
図19〜図22は、前述の第3実施形態のマイクロブロアCを具体化した他の具体例を示す。図16〜図18の例と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。このマイクロブロアC”では、連結部4が天板10と同一面上で放射方向に延びている。連結部4の両側にスリット10dを形成し、これらスリット10dの切り込み量、つまり連結部4の内側端41と天板10の中心(第1開口部11)との距離Rを適切に設定することで、連結部4の内側端41が天板10の振動の節となるように調整してある。天板10とダイヤフラム21との間に介設される枠体13には、連結部4が天板10と振動の節より外側部で接触しないように、連結部4と対応する位置に切欠部13aが形成されている。なお、切欠部13aに代えて凹部でもよい。
【0056】
この実施例では、連結部4の形成のために天板10に曲げ加工を行う必要がないので、天板10の製作が簡単である。
【0057】
本発明は前述の実施形態乃至実施例に限定されるものではない。例えば前記説明では、中央空間と対応する内ケースの天板部を振動板の振動に伴って振動させる例を示したが、必ずしも内ケースの天板部が振動する必要はない。流入通路の形状は、中央空間から放射方向に直線的に延びた形状に限るものではなく、任意に選択できる。また、流入通路の本数も任意であり、流量、騒音の程度に応じて選択できる。さらに、振動板として、ダイヤフラムの中央部に円板状圧電素子を貼り付けたもの、及びダイヤフラムに円板状の中間板を介して円板状の圧電素子を貼り付けたものを示したが、圧電素子の形状は円板状に限らず、リング状でもよい。連結部の一端部を接続する内ケース側の部材は、どの部材でもよく、実施例のような天板10に限らず、天板10とダイヤフラム21との間に介設される第1枠体13であってもよいし、ダイヤフラム21であってもよい。
【符号の説明】
【0058】
A,A',B,B',C,C',C'' 圧電マイクロブロア
1 内ケース(ケース)
10 天板(壁部)
11 第1開口部
12 凸部(周壁部)
13 第1枠体
14 第2枠体
2 振動板
20 圧電素子
21 ダイヤフラム
3 ブロア室
4 連結部
5 外ケース(外部)
51 空洞部
52 天板部(壁部)
53 第2開口部
54 凸部(周壁部)
6 中央空間
7 流入通路
【技術分野】
【0001】
本発明は空気のような圧縮性流体を輸送するのに適した圧電マイクロブロアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯型電子機器の筐体内部で発生する熱を効果的に放出させるためや、燃料電池で発電するのに必要な酸素を供給するための送風用ブロアとして、圧電マイクロブロアが知られている。圧電マイクロブロアは、圧電素子への電圧印加により屈曲変形するダイヤフラムを用いた一種のポンプであり、構造が簡単で、小型・薄型に構成でき、かつ低消費電力であるという利点がある。
【0003】
特許文献1には、流体が満たされた加圧室を有する基体と、加圧室に臨むように設けたノズルを有するノズル板と、開口を有し、この開口のほぼ中央にノズルが位置するようにノズル板に装着された振動子とを備え、ノズル板と振動子とを基体に装着すると共に、振動子の共振周波数近傍の周波数の交流信号をこの振動子に供給するようにした流れ発生装置が提案されている。この場合には、逆止弁を省略でき、振動子を高周波で駆動することにより流量を増大させることができる。特許文献1の第5図の構造では、ノズル板の前方に流入空気室を設け、ノズルから噴出した気流が周囲の空気室の空気を巻き込みながら排出口から排出する構造となっている。
【0004】
特許文献2には、外部空気を吸引して噴射する噴射ユニットと、噴射ユニットから噴射された空気を排出する排出口が形成されたカバー部と、噴射ユニットと結合されるベースユニットとを含むマイクロブロアが開示されている。特許文献2の図4には、吸引穴と噴射穴とを有する噴射プレートが設けられ、この噴射プレートの背後にマグネチックシートを備える振動板が加圧室を介して取り付けられ、マグネチックシートをコイルによって振動させてキャビティから噴射気流を発生させ、噴射プレートの前方に位置するカバーキャビティの空気を巻き込んで排出口から排出する構造が開示されている。
【0005】
特許文献3には、ステンレス製ディスクの片面に圧電素子を貼り付けて超音波駆動体を構成し、ステンレス製ディスクの他面に第1のステンレス製膜体を固定し、このステンレス製膜体との間に一定の空洞をあけて第2のステンレス製膜体を固定した構造のガス流発生器が開示されている。
【0006】
マイクロブロアとして求められる特性の1つに高エネルギー効率化がある。すなわち、入力される電気エネルギーを空気の吐出流量にできるだけ無駄なく変換することが必要がある。特許文献1の場合、内ケースと外ケースとの二重壁構造よりなるので、内ケースの振動が外部へ漏れにくい構造となっているが、内ケースと外ケースとを繋ぐ壁部は剛体であり、しかも壁部が振動子の振動方向に延びているため、この壁部を介して振動子の振動が内ケースから外ケースへ伝播しやすい。外ケースは機器の筐体や基板などに固定されるが、振動子の振動が外ケースに漏洩することにより、エネルギー損失が大きくなると共に、外ケースと筐体との固定構造によって特性が変動してしまうという問題がある。
【0007】
特許文献2の場合、噴射プレートにリザーバボディを介して振動子が取り付けられ、噴射プレートの外周部は外側のケースと固定されている。噴射プレートは振動子の振動にともなって振動しないような比較的厚肉な板であるため、振動子の振動が外側のケースへ伝播してしまい、特許文献1と同様にエネルギー損失が大きくなる。
【0008】
特許文献3の場合、第2のステンレス製膜体を筐体などに固定することになるが、第1のステンレス製膜体と第2のステンレス製膜体とが外周部で固定されているため、超音波駆動体の振動がそのまま外部へ漏洩し、特許文献1,2に比べてさらにエネルギー損失が大きくなると考えられる。また、筐体への固定構造によって特性変動を招く可能性がある。
【特許文献1】特公昭64−2793号公報
【特許文献2】特開2005−113918号公報
【特許文献3】特表2006−522896号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明の目的は、振動板の振動が外部に漏洩しにくくし、エネルギー損失を低減できる圧電マイクロブロアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、本発明は、圧電素子を有する振動板と、前記振動板の周囲を固定し、振動板との間でブロア室を形成するケースと、前記振動板の中央部と対向する前記ケースの壁部に設けられた第1開口部と、前記ケースの外周部に設けられ、前記ケースから外部への振動伝搬を実質的に抑制する複数の連結部と、を備え、前記圧電素子に所定周波数の電圧を印加して前記振動板をベンディングモードで駆動させることにより、前記第1開口部から圧縮性流体を排出することを特徴とする圧電マイクロブロアを提供する。
【0011】
圧電素子に所定周波数の電圧を印加して振動板を駆動させると、振動板の変位に伴って空気がある半周期では第1開口部から吸い込まれ、次の半周期では排出される。振動板の高周波駆動に伴い第1開口部から排出される高速気流により、その周囲にある空気を巻き込みながら排出する。ケースの外側に外部ケースを設けた場合には、ケースと外部ケースとの隙間を介して中央空間に吸い込まれた空気と、第1開口部から排出された空気とが合流して第2開口部から排出されるので、振動板の変位体積以上の吐出流量を得ることができる。
【0012】
駆動部であるケースと非駆動部である外部ケースとは、ケースから外部ケースへの振動伝播を実質的に抑制する複数の連結部を介して連結されているので、ケースの振動が外部ケースに漏洩するのを少なくでき、エネルギー損失が少ない。そのため、圧電素子に入力された電気エネルギーを効率よく空気流量に変換でき、効率のよい圧電マイクロブロアを実現できる。また、駆動部分であるケースと非駆動部分である外部ケースとを別体にして、分離した構造とすることで、筐体などへの取付による特性変動を防止することができる。さらに、ケースと外部ケースとの間の隙間を全面的に流入通路とすることができるので、流路抵抗を減少させ、さらなる流量増加を実現できる。連結部は流入通路の中に形成されるが、この連結部は周方向に間隔をあけて設ければよいので、実質的に流路抵抗とはならない。
【0013】
本発明における振動板とは、ダイヤフラム(例えば金属板)の片面に平面方向に伸縮する圧電素子を貼り付けたユニモルフ型、ダイヤフラムの両面に互いに逆方向に伸縮する圧電素子を貼り付けたバイモルフ型、ダイヤフラムの片面にそれ自体が屈曲変形する積層型圧電素子を貼り付けたバイモルフ型、さらにはダイヤフラムを省略し、圧電素子自体で振動板が構成されたものでもよい。また、圧電素子の形状は、円板状、矩形状、あるいは円環状であってもよい。圧電素子とダイヤフラムとの間に中間板を貼り付けた構造でもよい。いずれにしても、圧電素子に交番電圧(交流電圧または矩形波電圧)を印加することによって、振動板が板厚方向に屈曲振動するものであればよい。
【0014】
振動板を1次共振モード(1次共振周波数)で駆動するのが、最も大きな変位量が得られるので望ましいが、1次共振周波数は人間の可聴領域となり、騒音が大きくなる場合がある。これに対し、3次共振モード(3次共振周波数)を用いると、1次共振モードに比べて変位量が小さくなるものの、共振モードを使用しない場合より大きな変位量が得られ、しかも可聴領域を越えた周波数で駆動できるため、騒音を防ぐことができる。なお、1次共振モードとは、振動板の腹が1つの振動モードのことであり、3次共振モードとは、振動板の中央部とその周辺部とでそれぞれ腹が1つずつ生じる振動モードのことである。
【0015】
振動板と対向するケースの壁部が、振動板の駆動に伴って振動するように形成するのがよい。特に、ケースの壁部が、振動板の共振駆動に伴って共振するように形成するのがよい。即ち、ケースの壁部の中央空間と対向する部分の固有振動数を振動板の共振周波数と近づけるか、または振動板の共振周波数の整数倍又は整数分の1に設定することにより、振動板の変位に追随してケースの壁部を共振させることができる。この場合には、振動板が発生する流体の流量をケースの壁部の変位によって増加させる働きがあり、さらなる流量増加を実現できる。振動板とケースの壁部とは同じ共振モードで振動してもよいし、一方が1次共振モードで振動し、他方が3次共振モードで振動してもよい。
【0016】
連結部は、振動板の振動方向と同方向に変位自在なばね部材で形成されているのがよい。連結部の変位方向は特に限定されないが、振動板の振動方向と同方向に変位自在なばね部材で形成されている場合には、ケースから外部ケースへの振動の漏洩をより効果的に低減することができる。
【0017】
振動板と対向するケースの壁部を弾性金属板で形成し、連結部を、この弾性金属板の外周部に周方向に間隔をあけて形成された弾性片とし、当該弾性片の外側端部を外部ケースに固定してもよい。この場合は、ケースの壁部を構成する弾性金属板に連結部が一体に形成されているので、連結部の強度を確保しやすくなると共に、ケースと外部ケースとの相互の取付が簡単になる。
【0018】
好ましい実施形態によれば、連結部の一端部を、ケースの壁部の振動の節に接続するのがよい。ケースの壁部の振動が最も生じにくい部分に連結部が接続されているため、ケースの振動が外部ケースに漏洩するのをより少なくでき、エネルギー損失を小さくすることができる。ケースの壁部の振動モードは振動板の振動モードに応じて種々に変化するが、例えば外周縁が節となるような振動モードでケースの壁部が振動する場合には、連結部をケースの壁部の外周縁に接続することで、振動の漏洩を効果的に低減できる。また、外周縁より内側に入った部位が節となるような振動モードでケースの壁部が振動する場合には、連結部をこの節部に連結することで、振動の漏洩を効果的に低減できる。このように節部に連結部を接続した場合には、連結部は必ずしもばね弾性を有する必要はないが、ケースの壁部の節部の角度変化を許容できるような構造とするのが望ましい。
【0019】
連結部をケースの壁部の振動の節に接続した場合に、連結部をケースの壁部に対して垂直方向に突設し、連結部の他端部をケースの壁部と対向する外部ケースの壁部に接続してもよい。この場合には、連結部の長さ分だけケースの壁部と外部ケースの壁部との間に中央空間となる隙間を設けることができる。また、連結部をケースの壁部の振動の節に接続した場合に、連結部をケースの壁部と平行にケースの径方向外側へ突設し、連結部の他端部を外部ケースの内側壁に接続してもよい。この場合には、連結部とケースの外周部とが接触しないように、ケースに適宜切り欠きやスリットなどを設けるのがよい。
【0020】
圧電素子の直径をブロア室の内径より大きくしてもよい。圧電素子の直径をブロア室の内径よりも大きくした場合、振動板及びケースを含む駆動部全体が外周端を自由端とするように振動させることが可能である。そのため、駆動部の外周端をばね性を持つ連結部で支持するか、あるいは駆動部の振動の節を連結部で支持することで、振動板の大きな変位、ひいてはケースの天板の大きな変位が得られ、流量増加が可能になる。
【0021】
中央空間を取り囲む周壁部が、ケースの壁部又は外部ケースの壁部から突設され、前記周壁部に、ケースと外部ケースとの隙間から中央空間へ通じる流入通路が形成され、当該周壁部の頂面と、この頂面と対向するケースの壁部又は外部ケースの壁部との間に微少な隙間が形成されているのがよい。この場合には、中央空間が流入通路を介して外部と連通するだけでなく、中央空間は全周にわたって微少な隙間をもって外部と連通するので、中央空間へ流れ込む空気の流路抵抗が小さくなり、さらにブロアの効率が向上する。ケースの壁部が振動板の共振駆動に伴って共振する場合、周壁部とケースの壁部との間の微少な隙間は、ケースの壁部が共振しても接触しない程度の隙間とする必要がある。この場合には、中央空間と対面するケースの壁部の部分だけでなく、その周囲の部分も同時に共振できるので、ケースの壁部の振動領域を広くでき、さらに流量増加を実現できる。
【0022】
ケースが金属材料で形成され、外部ケースが樹脂材料で形成されているのが望ましい。ケースを金属材料で形成すれば、圧電素子の一方の電極を外部へ引き出す際にケースを導電路として利用できる。一方、外部ケースが絶縁材料であれば、外部ケースを筐体などに固定した際、圧電素子の電極が筐体と短絡するのを防止できる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明の圧電マイクロブロアによれば、ケースの外周部にケースから外部への振動伝播を実質的に抑制する複数の連結部を設けたので、ケースの振動が外部に漏洩するのを少なくでき、エネルギー損失を少なくできる。また、ケースを筐体などへ取り付けた場合、取付による特性変動を少なくすることができる。さらに、ケースと外部との間の隙間を全面的に流入通路とすることができるので、流路抵抗を減少させることができる。その結果、効率のよい圧電マイクロブロアを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る圧電マイクロブロアの第1実施形態の概略断面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII −III 線断面図である。
【図4】本発明に係る圧電マイクロブロアの第2実施形態の概略断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る圧電マイクロブロアを具体化した例の断面図である。
【図6】図5に示す圧電マイクロブロアを斜め上方から見た分解斜視図である。
【図7】図5に示す圧電マイクロブロアを斜め下方から見た分解斜視図である。
【図8】図5に示す圧電マイクロブロアと比較例との駆動周波数及びダイヤフラムの中心変位量を比較した図である。
【図9】振動板を3次モードで駆動した場合と、1次モードで駆動した場合の振動板と内ケースの天板の振動モードを示した図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る圧電マイクロブロアを具体化した例の断面図である。
【図11】図10に示す圧電マイクロブロアを斜め上方から見た分解斜視図である。
【図12】図10に示す圧電マイクロブロアを斜め下方から見た分解斜視図である。
【図13】本発明に係る圧電マイクロブロアの第3実施形態の概略断面図である。
【図14】第3実施形態の圧電マイクロブロアに使用される駆動部分の斜視図である。
【図15】第3実施形態の圧電マイクロブロアとその比較例との駆動周波数及びダイヤフラムの中心変位量を比較した図である。
【図16】本発明の第3実施形態に係る圧電マイクロブロアを具体化した一例の断面図である。
【図17】図16に示す圧電マイクロブロアの斜め上方から見た分解斜視図である。
【図18】図16に示す圧電マイクロブロアの斜め下方から見た分解斜視図である。
【図19】本発明の第3実施形態に係る圧電マイクロブロアを具体化した他の例の断面図である。
【図20】図19に示す圧電マイクロブロアの斜め上方から見た分解斜視図である。
【図21】図19に示す圧電マイクロブロアの斜め下方から見た分解斜視図である。
【図22】図20の一部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0026】
〔第1実施形態〕
図1〜図3は本発明にかかる圧電マイクロブロアの第1実施形態を示し、電子機器の送風用ブロアとして用いる例を示す。この圧電マイクロブロアAは、大略、内ケース(ケース)1と、内ケース1の外側を所定の隙間αをもって非接触で覆う外ケース(外部ケース)5とで構成されており、内ケース1と外ケース5との間が複数の連結部4によって連結されている。本実施形態では、図2に示すように外ケース5は側壁部50と天壁部52とを有し、その中に下方が開口した円筒形の空洞部51が形成されている。この空洞部51の中に円板形の内ケース1が所定の隙間αをあけて収容されている。連結部4は内ケース1の外周部と外ケース5の側壁部50との間に設けられている。内ケース1は下方が開口した断面コの字形に形成され、内ケース1の開口を閉じるように振動板2のダイヤフラム21が固定されて、内ケース1と振動板2との間でブロア室3が形成されている。本実施形態の振動板2は、圧電セラミックよりなる圧電素子20を金属薄板よりなるダイヤフラム21の中央部に貼り付けたユニモルフ構造であり、圧電素子20に所定周波数の電圧を印加することにより、振動板2全体がベンディングモードで共振駆動される。
【0027】
振動板2の中央部と対向する内ケース1の天板部(壁部)10には、第1開口部11が形成されている。内ケース1の天板部10は、振動板2の共振駆動に伴って共振するように薄肉に形成されている。内ケース1の天板部10と対向する外ケース5の天板部(壁部)52には、第1開口部11と一直線状に並ぶ第2開口部53が形成されている。本実施形態では、第2開口部53は第1開口部11よりやや大きい。外ケース5の天板部52の内面、つまり内ケース1の天板部10と対向する面には、内ケース1に向かって突出し、内ケース1の天板部10との間に微少な隙間βをもって近接する凸部(周壁部)54が形成されている。隙間βは隙間αより小さくてよく、天板部10が共振したとき、天板部10が凸部54と接触しない寸法に設定されている。凸部54の高さγは隙間βより大きく、隙間αと同等でよい。凸部54の内周には第1開口部11及び第2開口部53と通じる中央空間6が形成され、凸部54には中央空間6から放射方向に延びる複数本(ここでは4本)の溝よりなる流入通路7(図2参照)が形成されている。この実施形態では、流入通路7だけでなく、凸部54と天板部10との隙間βも流入通路として機能し、しかも隙間βは全周に亘って連通しているので、流路抵抗を低減でき、流量増加に寄与することができる。
【0028】
連結部4は、図3に示すように流入通路7と位相が異なる部位に、周方向に複数個(ここでは4個)設けられ、内ケース1を外ケース5に対して柔らかく支持している。連結部4は板ばね等のばね部材よりなり、振動板のベンディングモードで振動する方向のばね弾性が低く、振動板のベンディングモードで振動する方向と垂直な方向のばね弾性が高く設定されている。そのため、振動板2の共振駆動に伴って内ケース1が上下方向に振動したとき、その振動が外ケース5に漏洩するのを抑制する働きを持つ。
【0029】
内ケース1の外周と外ケース5の側壁部50の内周との間には、環状の隙間αが形成されており、その隙間αを介して外部の空気が吸い込まれ、流入通路7を通り中央空間6に導かれる。隙間αの途中に連結部4が介在するが、連結部4は周方向に間隔をあけて配置されているので、空気の流路抵抗となるおそれがない。
【0030】
ここで、前記構成の圧電マイクロブロアAの作動を説明する。圧電素子20に所定周波数の交流電圧を印加すると、振動板2が1次共振モード又は3次共振モードで共振駆動され、それにより第1開口部11と振動板2の距離が変化する。第1開口部11と振動板2の距離が増大するとき、中央空間6内の空気が第1開口部11を通りブロア室3へと吸い込まれ、逆に第1開口部11と振動板2との距離が減少するとき、ブロア室3内の空気が第1開口部11を通り中央空間6へと排出される。振動板2は高周波で駆動されるため、第1開口部11から中央空間6へと排出された高速/高エネルギーの空気流は、中央空間6を通過し、第2開口部53から排出される。このとき、中央空間6内にある空気を巻き込みながら第2開口部53から排出されるので、流入通路7から中央空間6へ向かう連続した空気の流れが生じ、第2開口部53から空気は噴流となって連続的に排出される。空気の流れを図1に矢印で示す。
【0031】
内ケース1の天板部10が、振動板2の共振駆動に伴って共振するように薄肉に形成されている場合には、第1の開口部11と振動板2との距離が振動板2の振動に同調して変化するため、天板部10が共振しない場合に比べて、第2開口部53から排出される空気の流量が飛躍的に増大する。図1のように天板部10全体が薄肉に形成されている場合、天板部10全体を共振させることができるので、さらなる流量増加を実現できる。天板部10は1次共振モード又は3次共振モードのいずれで共振してもよい。
【0032】
内ケース1は振動板2の共振駆動に伴って上下に振動するが、内ケース1は連結部4を介して外ケース5に対して柔らかく支持されているので、内ケース1の振動が外ケース5に殆ど漏洩せず、エネルギー損失を低減できる。その結果、比較的小さい入力エネルギーでも、大流量のマイクロブロアを実現できる。さらに、外ケース5が殆ど振動しないので、外ケース5を筐体や基板などに固定した際、その固定構造によって振動板2の振動が影響を受けず、流量等の特性変動をなくすことができる。
【0033】
〔第2実施形態〕
図4は本発明にかかる圧電マイクロブロアの第2実施形態を示す。本実施形態の圧電マイクロブロアBのうち、第1実施形態の圧電マイクロブロアAと同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
【0034】
本実施形態のマイクロブロアBでは、内ケース1の天板部10の上面に上方向に突出する凸部(周壁部)12を形成し、外ケース5の天板部52の内面は平坦面としてある。なお、凸部12には放射方向に流入通路7が形成されている。この場合は、内ケース1の天板部10のうち凸部12以外の部分、つまり中央空間6に対面する天板部10の部分10aが振動板2の共振駆動に伴って上下に共振する。
【0035】
なお、第1,第2実施形態における凸部54,12は必須のものではなく、内ケース1の天板部10の上面及び外ケース5の天板部52の下面を平坦面としてもよい。この場合には、内ケース1の天板部10と外ケース5の天板部52との間全体が中央空間6及び流入通路7となる。
【0036】
図5〜図7は、前述の第1実施形態のマイクロブロアを具体化したものであり、新たな符号を付したものを除き、対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。このマイクロブロアA'の内ケース1は、天板10と、天板10の下面に固定された環状の第1枠体13と、第1枠体13の下面に固定された振動板2と、振動板2の下面に固定された環状の第2枠体14との積層構造となっている。第1枠体13の厚みによって、ブロア室3の厚みが設定される。
【0037】
天板10はばね弾性を有する円板状の金属板よりなり、図6に示すように、その外周部に4個の幅狭な連結部4が90°間隔で一体に突設され、各連結部4の外側端部に幅広な取付部10b,10cが形成されている。取付部のうちの1つ10cは外ケース5より外周方向に突出しており、この取付部10cが圧電素子20に電圧を印加するための一方の電極端子を兼ねている。第1枠体13、第2枠体14も金属材料よりなり、第1枠体13と第2枠体14との間で振動板2の金属製ダイヤフラム21の上下面を挟持することにより、圧電素子20の片面の電極は、別途配線を行うことなく、天板10の電極端子10cと電気的に接続できる。
【0038】
振動板2は、ダイヤフラム21と圧電素子20とを中間板22を間にして接着したものである。中間板22もダイヤフラム21と同様な金属板よりなり、振動板2が屈曲変形したとき、変位の中立面が中間板22の厚みの範囲内になるように設定されている。
【0039】
外ケース5は例えば樹脂材料によって一体成形されており、その周壁部端面に他方の電極端子8が固定されている。この電極端子8には、圧電素子20の他面に形成された電極がリード線81を介して電気的に接続されている。外ケース5の側壁部50には、周方向4箇所に支持面55が形成され、これら支持面55に天板10の取付部10b,10cを支持固定することにより、内ケース1は外ケース5に対して浮動状態で弾性的に支持される。外ケース5の周壁部には、上下に貫通する複数の取付孔56が形成され、これら取付孔56にボルト(又はネジ)を挿入して、筐体又は基板などに締結することにより、本マイクロブロアA'は取り付けられる。なお、ボルトに代えて接着剤により固定してもよい。本実施例では、外ケース5の空洞部51は下方に開放し、圧電素子20が外部に露出しているが、圧電素子20を覆うように外ケース5の下面開口を蓋体で閉じるようにしてもよい。
【0040】
図8は、以下のような条件でマイクロブロアA'の駆動部分のみ(内ケース+振動板)と、駆動部分と外ケースとを連結部で連結した連結構造とにおいて、駆動周波数とダイヤフラムの中心変位とをシミュレーションにて比較したものである。なお、内ケース1の天板10と外ケース5の天板52との間が中央空間6となる構成(流路形成用の凸部54は省略)によってシミュレーションを行った。
ブロア室(内径、厚み)=(φ14mm、t0.15mm)
圧電素子(直径、厚み)=(φ11mm、t0.15mm)
ダイヤフラム(駆動領域直径、厚み、材質)=(φ17mm、t0.05mm、42Ni)
内ケース天板(駆動領域直径、厚み、材質)=(φ17mm、t0.1mm、SUS430)
第1開口部(ポンプ室天板)=(φ0.6mm)
連結部(長さ、幅、厚み、材質) =(0.5mm、1mm、0.1mm、SUS430)
外ケース天板(直径、厚み、材質)=(φ18mm、0.3mm、PBT)
内ケースの外側と外ケースの側壁部との隙間=α(0.5mm)
中央空間(直径、厚み)=(φ18mm、0.5mm)
【0041】
この実験では、振動板を26kHz 、15Vpp で駆動したところ、0.8L/minの流量が得られた。この場合には、図9の(a)に示すように、振動板の駆動領域(φ17mm)は3次モード、内ケースの天板の駆動領域(φ17mm)は振動板とは異なる3次モードの振動をした。
【0042】
図8から明らかなように、駆動部分と連結構造とを比較すると、駆動周波数及び中心変位量の違いが非常に小さく、連結部を介した外ケースへの振動の漏洩は殆どないことがわかる。特に、図9の(a)ようなモードで振動板及び内ケースの天板を振動させ、かつ圧電素子の直径がブロア室内径より小さい場合、振動板及び内ケースの天板の外周部の変位が共に小さいので、その変位の小さい部分をばね弾性を持つ連結部で支持することで、外ケースへの振動の漏洩を殆どなくすことができたと考えられる。
【0043】
図9の(a)は振動板を3次モードで駆動した時であるが、図9の(b)は振動板を1次モードで駆動した時の様子を示す。なお、圧電素子の直径はダイヤフラムとほぼ同径であり、ブロア室の内径より大きい。この場合には、内ケースの天板は中央部とその周辺部とに節を持つ3次モードで振動する。振動板及び内ケースの天板は、その外周端が自由端となるように振動するので、内ケースの天板の外周端を支持する連結部としては、ばね性に富んだ材料で形成するのが望ましい。内ケースの天板の中央部の変位量は、振動板の中央部の変位量より大きくなるので、3次モードで駆動した場合(図9の(a))に比べて流量を増加させることが可能になる。
【0044】
上述のように、本実施例のマイクロブロアの場合、内ケースと外ケースとがはね弾性を持つ連結部を介して連結されているので、駆動部分の振動エネルギーが外ケースに漏洩する事によるエネルギーロスを低減でき、小型化しても所望の流量を得ることができる。また、取付方法に関係なく流量特性を維持することができる。さらに、内ケースと凸部との隙間β(0.1mm)が流路として機能する為、流入通路が同じ厚み場合と比較して、流路抵抗が低減し、流量が増加するという効果がある。
【0045】
図10〜図12は、第2実施形態のマイクロブロアBを具体化したものであり、第1実施例のマイクロブロアA’と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。このマイクロブロアB’では、内ケース1の天板10の上面に複数の凸部(周壁部)12を接着したものである。凸部12の上面と外ケース5の天板52との間には隙間βが設けられている。凸部12同士の間には溝状の流入通路7が放射方向に形成され、流入通路7の内側端には絞り部71が形成されている。この絞り部71を介して流入通路7と中央空間6とが連通している。中央空間6は第1開口部11を中心とする同心円形に形成されている。天板10の中で凸部12の接着部以外の部分、つまり中央空間6と面する部分10aだけが振動板2の駆動に伴って共振する。
【0046】
〔第3実施形態〕
図13,図14は本発明にかかる圧電マイクロブロアの第3実施形態を示す。本実施形態の圧電マイクロブロアCのうち、第1,第2実施形態の圧電マイクロブロアA,Bと同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
【0047】
本実施形態のマイクロブロアCでは、内ケース1の天板10の上面に複数(ここでは4個)の連結部4を垂直に形成し、これら連結部4を介して天板10を外ケース5の天板52に固定してある。連結部4はばね弾性を持たない部材で形成してもよいが、ばね部材の方が望ましい。天板10の中心(第1開口部11)から連結部4までの径方向の距離Rは、連結部4の位置が天板10の振動の節と一致するように設定されている。なお、他の構成は第1実施形態と略同様であるが、流路形成用の凸部12,54は設けられていない。したがって、内ケース1の天板10と外ケース5の天板52との間の空間が中央空間6となる。
【0048】
図15は、連結部4を振動の節に垂直に接続した圧電マイクロブロアCと、連結部4を天板10の外周端部に接続した比較例とを用いて、駆動時の駆動周波数とダイヤフラムの中心変位量とを解析したものである。ここでは、駆動部分(内ケース1+振動板2)と外ケース5とを連結部で連結した連結構造に対する、駆動部分のみの構造の特性を比で表してある。駆動周波数は25kHzであり、15Vppで駆動した際に、1次共振モードで振動する振動板と内ケースとが共振状態となる周波数を示す。ここで、駆動部分の各部分の寸法は以下の通りである。内ケース1の天板10と外ケース5の天板52との間が中央空間6となる。
ブロア室(内径、厚み)=(φ5mm、t0.15mm)
圧電素子(径、厚み)=(φ11mm、t0.1mm)
ダイヤフラム(駆動領域直径、厚み、材質)=(φ11mm、t0.1mm、42Ni)
ブロア室天板(駆動領域直径、厚み、材質)=(φ11mm、t0.05mm、SUS430)
第1開口部(ポンプ室天板)=(φ0.6mm)
連結部(長さ、幅、厚み、材質) =(0.5mm、1mm、0.05mm、SUS430)
距離R=4mm
外ケースの天板(直径、厚み、材質)=(φ12mm、0.3mm、PBT)
内ケースの外側と外ケースの側壁部との隙間=α(0.5mm)
中央空間(直径、厚み)=(φ12mm、0.4mm)
【0049】
図15のうち、左側は外周部で保持した場合、右側は節部で保持した場合である。この実験では、振動板を1次モードで駆動しているため、図9の(b)と同様に、振動板及び内ケースの天板は、その外周端が自由端となるように振動し、振動の節は外周端よりやや内側に入った部位にある。しかも、内ケースの天板の振動の節は振動板の節とほぼ同じ位置にある。図15より明らかなように、外周部で保持した場合(比較例)では、自由端である外周部が保持部で拘束されるため、駆動部分単体に比べて、駆動周波数が約10%高くなり、かつ自由端である外周部から保持部を介して振動が外ケースに伝わるため、流量特性に影響するダイヤフラムの中心変位量が66%に低下する。一方、圧電マイクロブロアCのように節部(R=4mm)の位置で保持した場合、駆動周波数は駆動部分単体の駆動周波数と同じとなり、ダイヤフラムの中心変位量の差も1%未満である。このことから、連結部を内ケースの天板の節部に接続することで、内ケースの振動が外ケースへ漏洩することによるエネルギー損失が非常に小さいことが分かる。
【0050】
なお、ここでいう1次共振モードは、振動板の振動モードのことであり、内ケースの天板(壁部)の振動モードではない。内ケースの天板は、圧電素子が形成された振動板の振動に伴って振動するが、この内ケースの天板の振動は、必ずしも振動板の振動モードと一致する訳ではなく、複雑な振動を行う。今回の実験では、圧電素子を備えた振動板は外周が自由端となる1次共振モードで振動し、内ケースの天板の振動には節が生じており、節の位置は内ケースの外周端よりも内側に入った位置にある。この節の位置は、内ケースの天板の振動を個別にLDV(レーザー・ドップラー流速計)で測定することで求めることができる。このため、振動板の振動状況によっては、内ケースの天板の外周端に内ケースの振動の節が位置する可能性もある。
【0051】
図15のように、ダイヤフラムの中心変位量が大きくなる理由は、内ケースの天板を節部で支持したためだけでなく、圧電素子20の直径がブロア室3の直径より大きいことも影響している。すなわち、圧電素子20の直径がブロア室3の直径よりも大きい場合、圧電素子20の外周端が第1枠体13上に位置するため、一般には第1枠体13により圧電素子20の変位が拘束され、変位が小さくなると考えられる。しかし、圧電素子20の直径をブロア室3の直径よりも大きくし、第1枠体13を容易に屈曲変位できる厚みとし、圧電素子20を一次モードで駆動した場合、振動板2を含む内ケース1全体が外周端を自由端とするように無理なく変位できる。そのため、振動板2の大きな変位、ひいては内ケース1の天板の大きな変位が得られたものと推定される。さらに、ブロア室3が共鳴空間となるようにその直径を設定することで、さらなる流量増加を期待できる。
【0052】
図16〜図18は、前述の第3実施形態のマイクロブロアCを具体化したものであり、図13と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。このマイクロブロアC'の内ケース1は、天板10と、天板10の下面に固定された環状の枠体13と、枠体13の下面に固定されたダイヤフラム21との積層構造となっている。枠体13の内側にブロア室3が形成される。
【0053】
天板10はばね弾性を有する円板状の金属板よりなり、図17に示すように、その外周部にクランク状の4個の連結部4が一体に形成されている。連結部4は天板10に対して直角に折り曲げられている。連結部4の内側端部41と天板10との接続位置が天板10の振動の節となるように、連結部4と第1開口部11との距離Rが設定されている。連結部4の外側端部42は、天板10から放射方向へ突出しており、外ケース5の天板52の内面に支持されている。外側端部42の先端部に形成された取付部10bが外ケース5の支持面55に支持されている。なお、取付部のうちの1つ10cは外ケース5の支持面55から外部へ突出し、電極端子を兼ねている。
【0054】
この場合には、連結部4を天板10から一体に形成できるので、構造が簡単になると共に、連結部4の外側端部42が外ケース5の天板52の内面で支持されるので、内ケース1を外ケース5に対して安定して支持できる。また、連結部4は天板10の振動の節に接続されているので、天板10が振動しても連結部4は実質的に振動しない。つまり、連結部4は弾性を必要としないので、任意の材質のものを選ぶことができる。
【0055】
図19〜図22は、前述の第3実施形態のマイクロブロアCを具体化した他の具体例を示す。図16〜図18の例と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。このマイクロブロアC”では、連結部4が天板10と同一面上で放射方向に延びている。連結部4の両側にスリット10dを形成し、これらスリット10dの切り込み量、つまり連結部4の内側端41と天板10の中心(第1開口部11)との距離Rを適切に設定することで、連結部4の内側端41が天板10の振動の節となるように調整してある。天板10とダイヤフラム21との間に介設される枠体13には、連結部4が天板10と振動の節より外側部で接触しないように、連結部4と対応する位置に切欠部13aが形成されている。なお、切欠部13aに代えて凹部でもよい。
【0056】
この実施例では、連結部4の形成のために天板10に曲げ加工を行う必要がないので、天板10の製作が簡単である。
【0057】
本発明は前述の実施形態乃至実施例に限定されるものではない。例えば前記説明では、中央空間と対応する内ケースの天板部を振動板の振動に伴って振動させる例を示したが、必ずしも内ケースの天板部が振動する必要はない。流入通路の形状は、中央空間から放射方向に直線的に延びた形状に限るものではなく、任意に選択できる。また、流入通路の本数も任意であり、流量、騒音の程度に応じて選択できる。さらに、振動板として、ダイヤフラムの中央部に円板状圧電素子を貼り付けたもの、及びダイヤフラムに円板状の中間板を介して円板状の圧電素子を貼り付けたものを示したが、圧電素子の形状は円板状に限らず、リング状でもよい。連結部の一端部を接続する内ケース側の部材は、どの部材でもよく、実施例のような天板10に限らず、天板10とダイヤフラム21との間に介設される第1枠体13であってもよいし、ダイヤフラム21であってもよい。
【符号の説明】
【0058】
A,A',B,B',C,C',C'' 圧電マイクロブロア
1 内ケース(ケース)
10 天板(壁部)
11 第1開口部
12 凸部(周壁部)
13 第1枠体
14 第2枠体
2 振動板
20 圧電素子
21 ダイヤフラム
3 ブロア室
4 連結部
5 外ケース(外部)
51 空洞部
52 天板部(壁部)
53 第2開口部
54 凸部(周壁部)
6 中央空間
7 流入通路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素子を有する振動板と、
前記振動板の周囲を固定し、振動板との間でブロア室を形成するケースと、
前記振動板の中央部と対向する前記ケースの壁部に設けられた第1開口部と、
前記ケースの外周部に設けられ、前記ケースから外部への振動伝搬を実質的に抑制する複数の連結部と、を備え、
前記圧電素子に所定周波数の電圧を印加して前記振動板をベンディングモードで駆動させることにより、前記第1開口部から圧縮性流体を排出することを特徴とする圧電マイクロブロア。
【請求項2】
前記振動板と対向する前記ケースの壁部が、前記振動板の駆動に伴って振動するよう形成されていることを特徴とする請求項1に記載の圧電マイクロブロア。
【請求項1】
圧電素子を有する振動板と、
前記振動板の周囲を固定し、振動板との間でブロア室を形成するケースと、
前記振動板の中央部と対向する前記ケースの壁部に設けられた第1開口部と、
前記ケースの外周部に設けられ、前記ケースから外部への振動伝搬を実質的に抑制する複数の連結部と、を備え、
前記圧電素子に所定周波数の電圧を印加して前記振動板をベンディングモードで駆動させることにより、前記第1開口部から圧縮性流体を排出することを特徴とする圧電マイクロブロア。
【請求項2】
前記振動板と対向する前記ケースの壁部が、前記振動板の駆動に伴って振動するよう形成されていることを特徴とする請求項1に記載の圧電マイクロブロア。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2013−50108(P2013−50108A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−224911(P2012−224911)
【出願日】平成24年10月10日(2012.10.10)
【分割の表示】特願2010−515855(P2010−515855)の分割
【原出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年10月10日(2012.10.10)
【分割の表示】特願2010−515855(P2010−515855)の分割
【原出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
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