説明

圧電型センサ

【課題】簡易な構造を有し、温度変化および振動変化が同時に生じることに起因する荷電を排除することができる圧電型センサの提供。
【解決手段】可撓性のある第1の圧電素子(A)と、第1の圧電素子(A)と実質的に同一形状かつ実質的に同一素子容量で可撓性のある第2の圧電素子(B)と、を備え、温度または振動キャンセル機能を有するセンサであって、第1の圧電素子(A)と第2の圧電素子(B)とを、一方の圧電素子の熱を付与した際に正の電荷が生じる面と他方の圧電素子の熱を付与した際に負の電荷が生じる面とが同一方向となるように配置すること、並びに、第1の圧電素子(A)の表面と第2の圧電素子(B)の裏面または表面とを電気的に接続し、かつ、第1の圧電素子(A)の裏面と第2の圧電素子(B)の表面または裏面とを電気的に接続したことを特徴とする圧電型センサ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度キャンセル機能を有する圧電型センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被測定物の振動を測定する圧電型振動センサとして、片持ち梁型、ダイアフラム型、圧縮型、せん断型等が知られている。圧電型振動センサは、圧電体に、振動被測定物の振動により作用される圧縮や引っ張り応力に比例した電荷ないし電圧が発生することを利用して振動を検知するものである。
しかしながら、圧電型振動センサにおいては、圧電体に温度変化が生じると、この温度分布に起因する焦電効果によって余分な電気出力を生じ、これがノイズ出力となるという問題がある。そのため、圧電型振動センサを、温度変化が生じる条件下で利用することは困難であった。
【0003】
かかる課題を解決できる圧電型振動センサとしては、例えば特許文献1には、電極と第1の圧電体と電極と荷重体と電極と第2の圧電体と電極を順次積層して形成され、この第1の圧電体と第2の圧電体が温度変化によって電荷を発生した際、各々の圧電体の正に荷電した側に接した電極同志の組と、負に荷電した側に接した電極同志の組のうち、一方の組の電極間を短絡し、他方の組の電極間で出力を検知することを特徴とする圧電型振動センサが開示され、特許文献2には、基板と、この基板上に固定された感知部と、この感知部上に固着され、慣性質量部として作用する剛体からなる荷重体を有する振動センサユニットを中空パッケージ内に納め、上記振動センサユニットの基板のみを、中空パッケージに浮かして固定し、中空パッケージの底部を被測定物に取付けるようにした圧電型振動センサ装置において、上記中空パッケージの底部側に温度変化に伴って、パッケージに発生する応力を集中させるパッケージの厚さの10〜50%のノッチを設けたことを特徴とする圧電型振動センサ装置が開示される。
【0004】
また、体動を検知するのに適した圧電型センサとしては、発明者が提案したブリッジ状に撓ませた圧電フィルムと、圧電フィルムの両端を結ぶ圧電フィルムより短い伸縮可能な部材とから構成され、被検体に当接する伸縮可能な部材の伸縮動に追従して、圧電フィルムの撓みが変化する体動検知センサがある(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開6−207869号公報
【特許文献2】特開5−172624号公報
【特許文献3】特許第4045344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献3に記載された圧電型センサにより、体動を検出することが可能となった。しかしながら、体動という特定の動作に限定されず、一般的・汎用的な動作を検出するための簡易な構造を有する動作検出センサが求められていた。
また、一般的・汎用的な動作を検出するためには、温度変化および振動変化が同時に生じることに起因する焦電性ノイズを排除することが不可欠である。
さらには、軽量かつ小型化可能であることも解決すべき課題である。
【0007】
上記課題を解決するべく、本発明は、簡易な構造を有し、温度変化および振動変化が同時に生じることに起因する荷電を排除することができる圧電型センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
特許文献1および2には、温度変化による電荷の発生の方向が同一になるように第1および第2の圧電体を設け、正または負に荷電する電極同士を短絡させる構成が開示されている。これは、2つの圧電体を電圧源として考え、直列接続で温度変化をキャンセルすることを目的するものである。
発明者は、圧電フィルムのように熱容量が小さい圧電素子においては、圧電素子はいつまでも電荷を提供できるわけではないことに着目し、並列接続で温度変化をキャンセルすることの着想を得た。すなわち、圧電フィルムはいつまでも電荷を提供できるわけではなく正電荷と負電荷が導線を伝わってキャンセルされるとそれ以上電荷は生成されないのである。そこで、発明者は、第1および第2の圧電体を設け、正または負に荷電する第1の圧電体の電極と、それとは逆に荷電する第2の圧電体の電極とを接続するという特許文献1および2とは逆転の発想により本発明を創作した。
【0009】
本発明は、以下の技術手段により構成される。
[1]可撓性のある第1の圧電素子(A)と、第1の圧電素子(A)と実質的に同一形状かつ実質的に同一素子容量で可撓性のある第2の圧電素子(B)と、を備え、温度キャンセル機能を有する振動検出センサであって、第1の圧電素子(A)と第2の圧電素子(B)とを、一方の圧電素子の熱を付与した際に正の電荷が生じる面と他方の圧電素子の熱を付与した際に負の電荷が生じる面とが同一方向となるように配置すること、並びに、第1の圧電素子(A)の熱を付与した際に正の電荷が生じる面と第2の圧電素子(B)の熱を付与した際に負の電荷が生じる面とを電気的に接続し、かつ、第1の圧電素子(A)の熱を付与した際に負の電荷が生じる面と第2の圧電素子(B)の熱を付与した際に正の電荷が生じる面とを電気的に接続したことを特徴とする圧電型センサ。
[2]可撓性のある第1の圧電素子(A)と、第1の圧電素子(A)と実質的に同一形状かつ実質的に同一素子容量で可撓性のある第2の圧電素子(B)と、を備え、振動キャンセル機能を有する温度検出センサであって、第1の圧電素子(A)と第2の圧電素子(B)とを、一方の圧電素子の熱を付与した際に正の電荷が生じる面と他方の圧電素子の熱を付与した際に負の電荷が生じる面とが同一方向となるように配置すること、並びに、第1の圧電素子(A)の熱を付与した際に正の電荷が生じる面と第2の圧電素子(B)の熱を付与した際に正の電荷が生じる面とを電気的に接続し、かつ、第1の圧電素子(A)の熱を付与した際に負の電荷が生じる面と第2の圧電素子(B)の熱を付与した際に負の電荷が生じる面とを電気的に接続したことを特徴とする圧電型センサ。
[3]第1の圧電素子(A)と第2の圧電素子(B)とを線対称または点対称に配置したことを特徴とする[1]または[2]の圧電型センサ。
[4]第1の圧電素子(A)および第2の圧電素子(B)が圧電フィルムであることを特徴とする[1]ないし[3]のいずれかの圧電型センサ。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡易な構造を有し、温度変化および振動変化が同時に生じることに起因する焦電性ノイズも排除することができる圧電型センサを提供することが可能となる。
また、本発明の圧電型センサは、軽量であり小型化も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る一対の圧電素子A、Bの平面図である。
【図2】(ア)一対の圧電素子A、Bにおける温度変化に起因する荷電状態と、(イ)振動に起因する荷電状態を説明するための図面である。
【図3】一対の圧電素子A、Bにおける振動のみを検出する回路構成(温度キャンセル型)を示す図面である。
【図4】一対の圧電素子A、Bにおける温度のみを検出する回路構成(振動キャンセル型)を示す図面である。
【図5】図3の回路構成における、(ア)温度変化に起因する荷電状態と、(イ)振動に起因する荷電状態を説明するための側面図である。
【図6】図4の回路構成における、(ア)温度変化に起因する荷電状態と、(イ)振動に起因する荷電状態を説明するための側面図である。
【図7】実施例1に係る圧電型センサ(温度キャンセル型)の配置構成図である。
【図8】実施例1に係る圧電型センサにおいて、ヒモを引っ張ったとき、戻したときの電圧変化を示すグラフである(増幅度1400倍)。
【図9】実施例2に係る圧電型センサにおいて、ヒモを引っ張ったとき、戻したときの電圧変化を示すグラフである(増幅度2000倍)。
【図10】比較例1に係る圧電型センサ(温度キャンセル型)の配置構成図である。
【図11】比較例1に係る圧電型センサにおいて、温風をブローしたとき、停止したときの電圧変化を示すグラフである(増幅度1400倍)。
【図12】実施例3に係る圧電型センサ(温度キャンセル型)の配置構成図である。
【図13】実施例3に係る圧電型センサにおいて、温風をブローしたとき、停止したときの電圧変化を示すグラフである(増幅度1400倍)。
【図14】比較例2に係る圧電型センサにおいて、温風をブローしたとき、停止したときの電圧変化を示すグラフである(増幅度2000倍)。
【図15】実施例4に係る圧電型センサ(温度キャンセル型)において、温風をブローしたとき、停止したときの電圧変化を示すグラフである(増幅度2000倍)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る可撓性のある圧電素子(圧電フィルム)の基本特性を図1および図2を参照しながら説明する。図1は、同一形状かつ同一素子容量の圧電フィルムA、Bを、Aは表面が上面となるように配置とし、Bは裏面が上面となるよう配置した状態を示す図面である。
図2(ア)に、圧電フィルムAは表面側に熱が付与されるように配置し、圧電フィルムBは裏面側に熱が付与されるように配置し、両圧電フィルムに同時に温度変化を与え際に生じる電荷の状態を示す。図2(ア)から、並列に配置された圧電フィルムA、Bに同じ方向から熱を付与した際には、各表面側が正に荷電し、各裏面側が負に荷電することが確認できる。
図2(イ)に、図2(ア)と同じ配置の圧電フィルムA、Bに同じ方向から振動を与えた際に生じる電荷の状態を示す。図2(イ)から、圧電フィルムA、Bに温度変化が生じた際には、圧電フィルムの配置の表裏にかかわらず、振動が与えられた側の面が正に荷電し、その反対面が負に荷電することが確認できる。
【0013】
図3は、同一方向から熱および振動が印加される場合に温度変化をキャンセルし、振動のみを検出する温度キャンセル型の回路構成であり、図4は、同一方向から熱および振動が印加される場合に振動をキャンセルし、温度変化のみを検出する振動キャンセル型の回路構成である。
図3の回路において、温度変化が生じた際の荷電状態を示したのが図5(ア)であり、振動が生じた際の荷電状態を示したのが図5(イ)である。図5(ア)に示すように、温度変化により生じた電荷については、圧電素子A、B間を移動するため出力が生じない。他方、図5(イ)に示すように、振動により生じた電荷については、導電線に接続された図示しない測定装置により出力が検出される。
【0014】
図4の回路において、温度変化が生じた際の荷電状態を示したのが図6(ア)であり、振動が生じた際の荷電状態を示したのが図6(イ)である。図6(ア)に示すように、温度変化により生じた電荷については、導電線に接続された図示しない測定装置により出力が検出される。他方、図6(イ)に示すように、振動により生じた電荷については、圧電素子A、B間を移動するため出力が生じない。
【0015】
このように、本発明によれば、一対の同一形状かつ同一素子容量の圧電素子を用いて振動または温度のいずれか一方のみを高精度に検出することが可能となる。例えば、開閉弁付きマスクの弁の動作検出においては、振動のみならず熱も検出されるが、そのような振動と熱が同時に生じる場面への適用に本発明は好適である。
圧電素子の枚数は2枚に限定されない。同一形状かつ同一素子容量の圧電素子を偶数枚用意し、これらを組み合わせて振動または温度のいずれかを検出するようにしてもよい。
【0016】
圧電素子としては、ピエゾ効果を示すものであればその種別を問わず、例えば、PVDF(Polyvinylidene fluoride film:ポリフッ化ビリニデン)やチタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などからなる圧電セラミックまたは圧電セラミック薄膜があげられる。また、Pb(Zr・Ti)O3 、PbTiO3 、(Pb,La)(ZR,Ti)O3 等の無機圧電材料の微粉末を熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等の高分子材料中に分散させたものを用いてもよい。
人体への装着して用いる場合、具体的には、体動検知センサとして胴体へ着用する場合には、装着感を高めるためには軽量で柔軟性に富むものが好ましく、軽量で柔軟性に富み、加工性がよいPVDFが好ましい材としてあげられる。PVDFは応答帯域がきわめて広く、固有の共振周波数を持ちにくいという特徴も有する。なお、PVDFは高温度環境下での利用に適していないため、そのような環境下で利用する場合には圧電セラミックを使用した薄膜、厚膜を用いることとなる。
【0017】
圧電素子の固定は、全ての圧電素子が同じ方向に屈曲するような態様であればいかなる態様で固定してもよく、例えば、点対称に配置したり線対称に並設してもよい。この際、面積の大きい方の面に対して垂直方向から力を作用させ、圧電素子を歪ませて生じる電荷信号を検出するのが好ましい。例えば、開閉弁に圧電フィルムを固定する場合には、開閉弁の動きにあわせて一対の圧電素子が同じ動きをするように開閉弁の中心線を挟んで線対称に固定することが開示される。圧電素子をそれともに可撓される薄板(弾性部材)に固定し、この薄板を介して所望箇所に設置してもよい。
また、圧電素子は、導電布テープによりシールドすることでノイズ対策を施すのが好ましい。導電布テープは電子機器の電磁波や静電気のシールド、信号ケーブルやコネクタのシールドに使用される一般的なものでよく、粘着面にも導電性があり、貼り合わせても導通があるため、確実にシールド効果を得ることができる。
【0018】
本発明に係る圧電型センサは、チャージアンプやFET(電界降下トランジスタ)などの測定回路に接続され、そこで圧電素子に誘起された電荷量を電圧信号に変換する。測定回路を通すことにより、圧電素子に電荷が誘起された時だけ出力することができる。
【0019】
以下では、本発明の詳細を実施例で説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されることはない。
【実施例1】
【0020】
実施例1は、温度キャンセル機能を有する圧電型動作センサに関する。
実施例1のセンサは、長手方向の歪に応じた信号を出力する一対の方形状の圧電フィルムにより構成され、図3および図5の回路構成を有する。実施例1では東京センサー社の圧電フィルム(DTシリーズ)を使用した。この製品は、ピエゾフィルムに電極を銀インクスクリーン印刷し、薄いアクリルコーティングを施して構成されている。わずかなひずみでも数mVの電圧を発生し、一般的なストレインゲージよりも60dBも大きな値を得ることができるとされている。実施例1で使用した圧電フィルムの主な仕様は次のとおりである。
【0021】
型番:DT1−028K
フィルムの厚さ:28μm
シート部寸法:16mm×41mm
電極部寸法:12mm×30mm
静電容量:1.38nF
【0022】
図7は、実施例1に係る圧電型センサの配置構成図である。一対の圧電フィルムA、Bは、それぞれの一方の端部が板部材1に固定され、それ以外の部分は可動となっている。一対の圧電フィルムの固定された側とは反対側の端部はヒモ付きの連結部材3で固定されており、ヒモ2を引っ張ることにより両圧電フィルムに同時に振動が与えられるようになっている。一対の圧電フィルの板部材1に固定された側の端部においては、□、■の部分で導線と結線され、測定装置(四国計測工業社製呼吸センサー用アンプ)に出力が検出されるようになっている。
測定装置の増幅度は、チャージアンプの増幅度、後段のアンプの増幅度を合成して入力信号に対して1400倍で測定した。図8に増幅度1400倍の測定結果を示す。図8から、ヒモの引っ張りにより振動が生じたのと同期して測定装置により出力が検出されることが確認された。
【実施例2】
【0023】
実施例2は、使用した圧電フィルムを除き、実施例1と同じ構成の圧電型動作センサに関する。実施例2で使用した圧電フィルムの主な仕様は次のとおりである。
【0024】
型番:DT1−052K
フィルムの厚さ:52μm
シート部寸法:16mm×41mm
電極部寸法:12mm×30mm
静電容量:0.74nF
【0025】
測定装置の増幅度は、チャージアンプの増幅度、後段のアンプの増幅度を合成して入力信号に対して2000倍で測定した。図9に増幅度2000倍の測定結果を示す。図9から、ヒモの引っ張りにより振動が生じたのと同期して測定装置により出力が検出されることが確認された。
【実施例3】
【0026】
実施例3では、実施例1の圧電型動作センサ(温度キャンセル型)にドライヤーで温風をブローした際の出力を測定し、温度による出力がキャンセルされることを検証した。ドライヤーは、フカイ工業製FHD−1202i(1200W)を使用した。
[比較例1]
図10は、比較例1に係る圧電型センサの配置構成図である。圧電フィルムA、Bは、実施例1と同じものを使用した。一対の圧電フィルムA、Bは、それぞれの全面が板部材1に固定され、振動の影響を受けないようになっている。
図11は、比較例1に係る圧電型センサに温風を当てた際の測定装置により出力(増幅度1400倍)を示すグラフである。図11では、僅かに出力が生じているがこれは実験に使用したピエゾフィルムの面積が広く全面積に均一に温風が当たってないためにその差分が出力されているからであると推測される。この問題は、使用する状況によりピエゾフィルムの面積や形状を調整することによりさらに小さくすることが可能と考えられる。もっとも、温度キャンセル型センサで振動のみを検出する場合、振動による出力と温風の非平衡による微小な出力の出力差が大きいため、実用面での問題はないと考えられる。
【0027】
[実施例3]
図12は、実施例3に係る圧電型センサ(温度キャンセル型)の配置構成図である。
比較例1のセンサは、比較例1のセンサと固定態様の点においてのみ相違し、ドライヤーにより温風を当てた際に熱と振動が生じる配置となっている。
図13は、実施例3に係る圧電型センサに温風を当てた際の測定装置により出力(増幅度1400倍)を示すグラフである。図13では、温風の印加と同期して測定装置により振動に起因する出力が検出されることが確認された。(図13における温度に起因する出力は、図11に示す出力であると考えられるところ、図13の出力は専ら振動に起因するものであるということができる。)
【実施例4】
【0028】
実施例4では、実施例2の圧電型動作センサ(温度キャンセル型)にドライヤーで温風をブローした際の出力を測定し、温度による出力がキャンセルされることを検証した。
[比較例2]
比較例2に係る圧電型センサの配置構成は図10と同じである。圧電フィルムA、Bは、実施例2と同じものを使用した。
図14は、比較例2に係る圧電型センサに温風を当てた際の測定装置により出力(増幅度2000倍)を示すグラフである。ここでも、図11と同様に僅かに出力が生じているが、ピエゾフィルムの面積が広く全面積に均一に温風が当たってないための差分出力あると推測されるところ、実用面での問題はないと考えられる。
【0029】
[実施例4]
実施例4に係る圧電型センサの配置構成は図12と同じである。圧電フィルムA、Bは、実施例2と同じものを使用した。図15は、実施例4に係る圧電型センサに温風を当てた際の測定装置により出力(増幅度2000倍)を示すグラフである。図15では、温風の印加と同期して測定装置により振動に起因する出力が検出されることが確認された。(図15における温度に起因する出力は、図14に示す出力であると考えられるところ、図15の出力は専ら振動に起因するものであるということができる。)
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、温度変化の生じる環境下での振動検出の用途であればあらゆる場面に適用可能である。具体例としては、電磁弁付きの防塵マスクのスイッチ、人口呼吸器使用者の呼吸監視、筋ジストロフィー患者の在宅人工呼吸療法、車両運転者の呼吸状態を監視する居眠り検知システム、動物の分娩タイミングの監視における利用があげられる。
【符号の説明】
【0031】
1 固定板
2 ヒモ
3 連結部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性のある第1の圧電素子(A)と、第1の圧電素子(A)と実質的に同一形状かつ実質的に同一素子容量で可撓性のある第2の圧電素子(B)と、を備え、温度キャンセル機能を有する振動検出センサであって、
第1の圧電素子(A)と第2の圧電素子(B)とを、一方の圧電素子の熱を付与した際に正の電荷が生じる面と他方の圧電素子の熱を付与した際に負の電荷が生じる面とが同一方向となるように配置すること、並びに、
第1の圧電素子(A)の熱を付与した際に正の電荷が生じる面と第2の圧電素子(B)の熱を付与した際に負の電荷が生じる面とを電気的に接続し、かつ、第1の圧電素子(A)の熱を付与した際に負の電荷が生じる面と第2の圧電素子(B)の熱を付与した際に正の電荷が生じる面とを電気的に接続したことを特徴とする圧電型センサ。
【請求項2】
可撓性のある第1の圧電素子(A)と、第1の圧電素子(A)と実質的に同一形状かつ実質的に同一素子容量で可撓性のある第2の圧電素子(B)と、を備え、振動キャンセル機能を有する温度検出センサであって、
第1の圧電素子(A)と第2の圧電素子(B)とを、一方の圧電素子の熱を付与した際に正の電荷が生じる面と他方の圧電素子の熱を付与した際に負の電荷が生じる面とが同一方向となるように配置すること、並びに、
第1の圧電素子(A)の熱を付与した際に正の電荷が生じる面と第2の圧電素子(B)の熱を付与した際に正の電荷が生じる面とを電気的に接続し、かつ、第1の圧電素子(A)の熱を付与した際に負の電荷が生じる面と第2の圧電素子(B)の熱を付与した際に負の電荷が生じる面とを電気的に接続したことを特徴とする圧電型センサ。
【請求項3】
第1の圧電素子(A)と第2の圧電素子(B)とを線対称または点対称に配置したことを特徴とする請求項1または2の圧電型センサ。
【請求項4】
第1の圧電素子(A)および第2の圧電素子(B)が圧電フィルムであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかの圧電型センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−13440(P2012−13440A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147666(P2010−147666)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(504237050)独立行政法人国立高等専門学校機構 (656)
【Fターム(参考)】