説明

圧電型発音装置

【課題】ショート不良を発生しにくくする。
【解決手段】振動膜と前記振動膜よりも厚い振動膜外部とを有する基部と、前記振動膜の表面上の全域を含む前記基部の表面上において厚み方向の一方側に形成される下電極層と、肉厚部と前記肉厚部よりも厚みが薄い肉薄部とを有し、前記下電極層の表面上において圧電材料によって形成される圧電層と、前記肉厚部の表面上に形成される上電極層と、を備え、前記振動膜は、前記肉厚部の少なくとも一部と厚み方向に重なる第1領域と、前記第1領域を除く領域であって前記肉薄部の少なくとも一部と厚み方向に重なる第2領域とからなる、圧電型発音装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電型発音装置に関し、特にMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)として構成される圧電型発音装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧電素子を有する振動膜を複数備えたMEMSが知られている(例えば特許文献1)。特許文献1においては、各振動膜について独立した圧電膜と電極対とを設け、同一層内の櫛歯状の配線パターンによって前記電極対に電圧を印加している。
【0003】
【特許文献1】特開2008−20429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
引用文献1においては、同一層内において配線を引き回すため、配線が細線化する。配線が細線化すると配線が剥離しやすくなり、剥離した配線が面内において短絡するショート不良が生じる問題があった。特に、繰り返し変形させられる振動膜上の配線は剥離しやすくなるという問題があった。
【0005】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、ショート不良が発生しにくい圧電型発音装置を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)前記目的を達成するための圧電型発音装置において、振動膜と前記振動膜よりも厚い振動膜外部とを有する基部と、前記振動膜の表面上の全域を含む前記基部の表面上において厚み方向の一方側に形成される下電極層と、肉厚部と前記肉厚部よりも厚みが薄い肉薄部とを有し、前記下電極層の表面上において圧電材料によって形成される圧電層と、前記肉厚部の表面上に形成される上電極層と、を備え、前記振動膜は、前記肉厚部の少なくとも一部と厚み方向に重なる第1領域と、前記第1領域を除く領域であって前記肉薄部の少なくとも一部と厚み方向に重なる第2領域とからなる。
【0007】
本発明の圧電型発音装置において、下電極層は少なくとも振動膜の表面の全域上に形成される。したがって下電極層と振動膜との接合面積を広くすることができ、下電極層が振動膜から剥離することが防止できる。振動膜上において下電極層は表面上の全域が圧電層によって覆われる。これにより、振動膜の表面上から下電極層が剥離することを防止できる。さらに、上電極層が振動膜の表面上から剥離した場合でも、圧電層が剥離した下電極層と上電極層との接触を妨げる。したがって圧電型発音装置のショート不良を防止できる。さらに振動膜の第2領域が肉薄部と厚み方向に重なることにより、振動膜の振動を妨げることなく、ショート不良を防止できる。
【0008】
(2)前記目的を達成するための圧電型発音装置において、前記上電極層の一部と前記肉厚部の一部と前記下電極層の一部と前記振動膜外部の少なくとも一部とが厚み方向に重なる。
振動膜外部と厚み方向に重なる領域において下電極層の一部と上電極層の一部とが厚み方向に重なる場合に、これらの間に肉厚部を介在させることにより、寄生容量を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1Aは本発明の第一実施形態にかかる平面図、図1Bは図1Aに示す1B−1B線断面図、図1Cは図1Bに示す断面における各層の厚み方向の重なりを示す模式図である。
【図2】本発明の第一実施形態にかかる断面図である。
【図3】本発明の第一実施形態にかかる断面図である。
【図4】本発明の第一実施形態にかかる断面図である。
【図5】本発明の第一実施形態にかかる断面図である。
【図6】図6Aは本発明の第二実施形態にかかる平面図、図6Bは図6Aに示す6B−6B線断面図、図6Cは図6Bに示す断面における各層の厚み方向の重なりを示す模式図である。
【図7】図7Aは本発明の第三実施形態にかかる平面図、図7Bは図7Aに示す7B−7B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照しながら以下の順に説明する。なお、各図において対応する構成要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。
【0011】
1.第一実施形態
(構成)
図1に本発明による圧電型発音装置の第一実施形態としての圧電スピーカー1を示す。圧電スピーカー1は半導体製造プロセスを用いて製造されるMEMSであって、博物館展示説明用など、限られたエリアにおいて音声を聴取させるための超指向性スピーカーとして用いられる。また、MEMSであるため、例えば厚みが1mm程度の薄型のケースに組み込むことができる。圧電スピーカー1は素子基板10と素子基板10上に形成された圧電素子11を備えている。素子基板10に形成された複数の振動膜12を圧電素子11によって駆動することによって音波を送波する。本明細書において"上"と"下"が示す方向は、図1Bに図示された圧電スピーカー1の方向を基準とする。また、圧電スピーカー1の厚み方向とは、圧電スピーカー1を構成する各層の積層方向を指す。素子基板10は本発明の基部に相当する。素子基板10の厚み方向の一方側(上側)に圧電素子11が積層される。
【0012】
素子基板10は相対的に厚い単結晶珪素層101と相対的に薄い単結晶珪素層103とこれらに挟まれた絶縁膜102と二酸化珪素層104とからなる。厚い単結晶珪素層101の厚さは例えば500μmとし、薄い単結晶珪素層103の厚さは例えば25μmとし、絶縁膜102は例えば厚さ0.5μmの二酸化珪素とし、二酸化珪素層104は例えば0.5μmの二酸化珪素とする。振動膜12は薄い単結晶珪素層103と二酸化珪素層104とからなる。素子基板10には孔10aが形成されている。孔10aは厚い単結晶珪素層101と絶縁膜102とを貫通している。孔10aは断面が直径1000μmの円形のストレート孔とする。複数の振動膜12は素子基板10に形成された複数の孔10aのそれぞれの上底を構成している部分であり、素子基板10における振動膜外部13よりも厚みが薄い。振動膜外部13とは素子基板10における振動膜12以外の部分であって圧電素子11によって実質的に駆動させられない剛体として振る舞う部分を指す。振動膜12の振動端(固定端)は孔10aの断面形状によって決まる。すなわち、本実施形態の振動膜12は円形であり、その円周が振動膜12と振動膜外部13の境界をなす。
【0013】
圧電素子11は、素子基板10の薄い単結晶珪素層103の表面の全域上に形成された二酸化珪素層104の表面上に接合されている。圧電素子11は下電極層111、上電極層113、および、圧電層112とからなる。下電極層111、上電極層113はそれぞれ例えば厚さが0.1μm、0.1μmであり、白金や金等からなる。圧電層112はチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の絶縁性を有する圧電材料からなる。
【0014】
下電極層111は薄い単結晶珪素層103の上面の全域上に形成されている。白金は密着性が低いため下電極層111が二酸化珪素層104から剥離しやすいが、二酸化珪素層104と下電極層111とが広く接するようにすることにより、薄い単結晶珪素層103から下電極層111が剥離することが防止できる。特に、繰り返し変形させられる振動膜12上においても、全域に下電極層111と下電極層111とが広く形成されるため、振動膜12の表面上において下電極層111が剥離することが防止できる。
【0015】
次に圧電層112と上電極層113のパターン形状について説明する。
圧電層112は下電極層111の上面における通孔11bを除く全域上に形成されている。振動膜12の全域上において下電極層111が圧電層112によって覆われる。これにより、振動膜12の表面上から下電極層111が剥離することが防止できる。
【0016】
圧電層112は、肉厚部と、肉厚部よりも厚みが薄い肉薄部Tとからなる。さらに肉厚部は圧電部Pと配線絶縁部Iとからなる。圧電層112の圧電部Pと配線絶縁部Iの厚みは互いに等しく、例えば3μmとする。肉薄部Tの厚みは例えば0.5μmとする。圧電層112の肉厚部と上電極層113とは同一のパターン形状を有する。すなわち上電極層113は圧電層112の肉厚部の表面の全域上に形成されている。そのため圧電層112の肉厚部と上電極層113のパターン形成を同時に行うことができる。
【0017】
上電極層113は上電極Uと配線部Lとからなる。配線部Lは、外部からの配線を上電極層113に接続するための矩形状の接続部11dを有し、この接続部11dと各上電極Uとを電気的に接続する配線をなす。圧電層112の配線絶縁部Iにおける表面の全域上に配線部Lが形成される。一方、上電極Uは、振動膜12の外周部Oと厚み方向に重なる領域において円環状に形成されている。圧電層112の圧電部Pにおける表面の全域上に上電極Uが形成される。
【0018】
上電極層113と圧電層112には断面円形状の孔11cが形成される。孔11cは、振動膜12の中央部Mと厚み方向に重なる領域に形成され、上電極層113を貫通し、圧電層112を肉薄部Tの厚みだけ残した深さとされている。圧電層112における孔11cの下底が肉薄部Tの一部を構成する。振動膜12の外周部Oにおいてのみ厚い圧電部P、下電極層111および上電極Uを厚み方向に重ねることより、圧電部Pに生じた歪みによって振動膜12を振動させることができる。一方、振動膜12の中央部Mが肉薄部Tと厚み方向に重なることより、振動膜12が両端固定梁として振動する際に中央部Mが大きく振動することを妨げないようにすることができる。なお振動膜12の外周部Oが本発明の第1領域を構成し、振動膜12の中央部Mが本発明の第2領域を構成する。
【0019】
圧電層112の配線絶縁部Iは振動膜外部13と厚み方向に重なる。振動膜外部13と厚み方向に重なる圧電層112の領域のうち、配線絶縁部Iと通孔11bを除く領域が肉薄部Tを構成する。配線絶縁部Iの表面上の全域において配線部Lが重なるため、振動膜外部13と厚み方向に重なる領域においても、上電極層113と圧電層112の肉厚部のパターン形状が同一となっている。したがって振動膜外部13と厚み方向に重なる領域についても、上電極層113と圧電層112のパターン形成を同時に行うことができる。また、振動膜外部13と厚み方向に重なる領域において、肉厚部の一部(配線絶縁部I)のみが下電極層111の一部と上電極層113の一部(配線部L)によって厚み方向に挟まれている。すなわち振動膜外部13と厚み方向に重なる領域において、肉薄部Tが下電極層111と上電極層113によって厚み方向に挟まれることはない。したがって振動膜外部13と厚み方向に重なる領域において生じる寄生容量を低減することができる。なお振動膜外部13と厚み方向に重なる領域において、肉薄部Tの一部には下電極層111の接続部11aを露出させるための通孔11bが形成されている。
【0020】
(製造方法)
次に図2から図5を参照しながら圧電スピーカー1の製造方法を説明する。
はじめに素子基板10となるSOI(Silicon On Insulator)ウエハを用意し、薄い単結晶珪素層103の表面を熱酸化させることにより二酸化珪素層104を形成する。二酸化珪素層104の表面上に下電極層111、圧電層112、上電極層113を図2に示すように順に形成する。下電極層111および上電極層113は例えば白金をスパッタ法によって、それぞれ素子基板10および圧電層112の上側の表面上に積層することによって形成する。圧電層112は例えばチタン酸ジルコン酸鉛をスパッタ法によって下電極層111の表面上に積層することによって形成する。
【0021】
次に図3に示すように上電極層113における上電極層Uと圧電部Pと配線部Lの表面にフォトレジストからなる保護膜R1のパターンを形成し、保護膜R1を用いたイオンミリングによって上電極層113と圧電層112をエッチングする。肉薄部Tの厚みだけ圧電層112を残すようにエッチング深さを制御する。これにより上電極層Uと配線部Lを除く領域に肉薄部Tが形成される。
【0022】
次に前工程のイオンミリングによって形成された上電極層113と圧電層112の表面上を図4に示すように覆うとともに保護膜R2のパターンを上電極層113および肉薄部Tの表面に形成する。続いて、保護膜R2を用いたウエットエッチングによって圧電層112をエッチングして接続部11aにて下電極層111を露出させる。これにより、接続部11aが形成される。
【0023】
次に図5に示すように素子基板10の厚い単結晶珪素層101の表面にフォトレジストからなる保護膜R3のパターンを形成し、保護膜R3を用いた厚い単結晶珪素層101のDeep−RIE(Reactive Ion Etching)、および、絶縁膜102のウェットウェットエッチングによって、薄い単結晶珪素層103を底とする孔10aを厚い単結晶珪素層101と絶縁膜102とに形成する。これにより、薄い単結晶珪素層103と二酸化珪素層104とからなる振動膜12と振動膜12を上底とする孔10aが素子基板10に形成される。最後に、ダイサーによって素子基板10を個片へと切り分け、パッケージングなどの後工程を実施すると圧電スピーカー1が完成する。
【0024】
(動作)
図示しない導線を介して圧電素子11の下電極層111と上電極層113に電圧を印加すると、下電極層111と上電極層113に挟まれた圧電層112は面内方向に歪み(収縮・膨張)を生じさせようとする。素子基板10は振動膜12以外の振動膜外部13において十分な厚さを有するため実質的に剛体として振る舞う。したがって圧電層112のうち振動膜12と厚み方向に重なっている圧電部Pのみが面内方向に収縮・膨張することができる。なお下電極層111の接続部11aと上電極層113の接続部11dに対して外部からの配線を接続することにより下電極層111と上電極層113に電圧を印加することができる。
【0025】
圧電部Pの収縮・膨張は、振動膜12における振動膜12の外周部Oに厚み方向の撓みを生じさせる。振動膜12の外周部Oが厚み方向に撓むと面内方向において固定端から最も遠い振動膜12の中央部Mの変位が最も大きくなる。このように振動膜12の外周部Oを圧電部Pの収縮・膨張によって駆動させることにより、振動膜12を効率よく撓ませることができる。振動膜12が撓む際には、振動膜12と厚み方向に重なる肉薄部Tも一体となって撓む。なお、圧電部Pが面内方向に収縮するとそれぞれの振動膜12は中央部Mが上側に盛り上がるように変形し、反対に圧電部Pが面内方向に膨張するとそれぞれの振動膜12は下側に盛り上がるように変形する。したがって圧電素子11に超音波振動を発生させると、圧電素子11と一体に振動する振動膜12から超音波が送波される。なお、下電極層111と上電極層113はそれぞれ電気的に一体であるため、各振動膜12から同相の音波が送波される。
【0026】
2.第二実施形態
図6は第二実施形態にかかる圧電スピーカー2を示す。第二実施形態の圧電スピーカー2と、第一実施形態の圧電スピーカー1との相違点は、上電極層113の配線部Lを孔11cと圧電スピーカー2の四辺近傍を除いて面内方向のほぼ全域に形成する点にある。本実施形態でも上電極層113の配線部Lと圧電層112の配線絶縁部Iとは同一のパターン形状である。このように配線部Lと配線絶縁部Iを面内方向に広く形成することにより、配線部Lが配線絶縁部Iから剥離することを防止できる。本実施形態でも配線部Lと配線絶縁部Iは同一のパターン形状を有しているため、圧電層112と上電極層113のパターン形成を同時に行うことができる。さらに第一実施形態よりも圧電層112において厚い配線絶縁部Iが占める面積比率が増すため、下電極層111の剥離や下電極層111と上電極層113とのショートを確実に防止できる。なお、本実施形態において、圧電層112の配線絶縁部Iを圧電スピーカー2の面内方向の端部まで形成するのではなく、圧電スピーカー2の四辺から100μmだけ内側の矩形枠状部分に肉薄部Tを形成している。これにより、圧電層112と上電極層113の同時のパターン形成により、面内方向における上電極層113の配線部Lの端部と、下電極層111の端部の位置をずらすことができ、圧電スピーカー2の四辺における下電極層111と上電極層113とのショートを防止できる。本実施形態の圧電スピーカー2は、第一実施形態の保護膜R1のパターンにおいて通孔11bと孔11cに対応する領域のみを開口させることにより製造できる。
【0027】
3.第三実施形態
図7は第三実施形態にかかる圧電スピーカー3を示す。第三実施形態の圧電スピーカー3と、第二実施形態の圧電スピーカー2との相違点は、上電極層113のパターンである。第三実施形態では圧電層112の配線絶縁部Iを第二実施形態と同様のパターンとしつつ、上電極層113に対して別途パターン形成を行うことにより第一実施形態と同様のパターンの上電極層113を形成している。これにより第二実施形態よりも上電極層113の面積を減少させることができるため、第二実施形態によりも寄生容量を低減させることができる。
【0028】
なお、本発明の技術的範囲は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば前記実施形態で示した材質や寸法や形状や成膜方法やパターン転写方法はあくまで例示であるし、当業者であれば自明である工程の追加や削除や工程順序の入れ替えについては説明が省略されている。
【0029】
第一実施形態の上電極Uと圧電部Pの外径は振動膜12と振動膜外部13との境界の径と厳密に一致しなくてもよく、上電極Uと圧電部Pの外径が振動膜12と振動膜外部13との境界の径と所定量異なっていてもよい。振動膜12はポリイミド、PVDF(PolyVinylidene DiFluoride)、ゴム等の有機材料から構成してもよいし、酸化珪素、多結晶珪素、セラミック(ジルコニア(ZrO2)、アルミナ(Al23)など)、金属(Cuなど)等の無機材料で構成してもよい。また振動膜12と振動膜外部13との境界は円形に限らず、矩形であってもよいし、振動膜12に通孔が形成されていてもよいし、振動膜12が帯形状であってもよい。振動膜12と振動膜外部13との境界を円形としない場合でも、圧電部Pの内側に肉薄部Tを形成すればよい。また振動膜12を超音波の周波数で振動させることにより、超音波発生装置やパラメトリックアレイスピーカーとして使用することも勿論可能である。前記実施形態では、圧電部Pを振動膜12の外周部Oと厚み方向に重なるように形成したが、圧電部Pを振動膜12の中央部Mと厚み方向に重なるように形成してもよい。この場合、肉薄部Tは振動膜12の外周部Oと厚み方向に重なる。また振動膜12は圧電素子11の駆動によって振動可能な程度に厚みが薄ければよく、振動膜12が複数または連続的に変化する厚みを有してよい。振動膜外部13は圧電素子11の駆動によって振動不能な程度に厚みが厚ければよく、振動膜外部13が複数または連続的に変化する厚みを有してよい。さらに振動膜12を単数備えてもよい。振動膜12を複数備えた場合に、各上電極層Uを電気的に独立させることにより各振動膜12を独立して振動させてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1〜3…圧電スピーカー、10…素子基板、10a…孔、11…圧電素子、11a…接続部、11b…通孔,11c…孔、12…振動膜、13…振動膜外部、101…単結晶珪素層、102…絶縁膜、103…単結晶珪素層、104…二酸化珪素層、111…下電極層、112…圧電層、113…上電極層、C…空洞、I…配線絶縁部、T…肉薄部、P…圧電部、U…上電極層、L…配線部、M…中央部、O…外周部、R1〜R3…保護膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動膜と前記振動膜よりも厚い振動膜外部とを有する基部と、
前記振動膜の表面上の全域を含む前記基部の表面上において厚み方向の一方側に形成される下電極層と、
肉厚部と前記肉厚部よりも厚みが薄い肉薄部とを有し、前記下電極層の表面上において圧電材料によって形成される圧電層と、
前記肉厚部の少なくとも一部の表面上に形成される上電極層と、を備え、
前記振動膜は、前記肉厚部の少なくとも一部と厚み方向に重なる第1領域と、前記第1領域を除く領域であって前記肉薄部の少なくとも一部と厚み方向に重なる第2領域とからなる、圧電型発音装置。
【請求項2】
前記上電極層の一部と前記肉厚部の一部と前記下電極層の一部と前記振動膜外部の少なくとも一部とが厚み方向に重なる、請求項1に記載の圧電型発音装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−139267(P2011−139267A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297661(P2009−297661)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】