説明

圧電変成器を有する電源及び電力変換の方法

【課題】圧電変成器を有する電源と圧電変成器を用いた電圧変換の方法を提供する。
【解決手段】提案する電源は、圧電変成器24を含むDC/DC昇圧型電圧コンバータで、圧電変成器24の共振周波数を制御する。圧電変成器24は発振器回路30に接続された電力源28に接続され、発振器回路30は圧電変成器24を駆動する正弦波電圧26を制御する。電力源28は移相回路網を有するフィードバック回路32に接続され、周波数制御のためのフィードバック回路を構成している。圧電変成器24の出力端子は電圧増倍器回路34に接続され、電圧増倍器回路34の出力端子に出力電圧制御器36が接続されて直流電圧を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に電源に関し、特に、昇圧コンバータ電源に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電圧コンバータ装置、特にDC/DCコンバータ装置は、一般にスイッチング回路及び/又はチャージポンプを含む。電圧コンバータ装置において、スイッチング回路及び/又はチャージポンプに加えて又はその代わりにフライバックインダクタが使用されてもよい。コンバータ装置のこれらの素子は、放射電磁妨害(EMI)及び伝導EMIの双方を発生する高い過渡電流を形成する。磁界を利用する用途(例えば、磁気共鳴イメージング(MRI)への応用)などのいくつかの用途では、EMI性能が撮像動作及び画質を左右するので、EMIを発生するこの種のコンバータ装置はそのような用途に適さず、従って、容認されない。低レベル信号スイッチングへの応用(例えば、低雑音アップコンバータ、RF信号ルーティングなど)を含めて、EMIを低く抑えることが要求される他の用途においても、従来の電圧コンバータ装置は悪影響を与える可能性がある。
【0003】
EMIを低減するために、多くの場合、遮蔽及びフィルタリングが使用される。例えばチャージポンプと関連して遮蔽が実行される。しかし、遮蔽又はフィルタリングの効果は限られていることが多く、用途によっては、磁界及びRF電界の均一性を歪ませるなどの悪影響を及ぼす場合がある。空芯変成器技術も使用される。しかし、共振一次回路及び共振二次回路を使用しても、空芯変成器の効率は低く、大きな電流がEMIを発生する。雑音感知領域外で電力を発生し、その電力を雑音感知領域へ送出する他のAC/DC電源も周知である。しかし、そのようなシステムでは高電圧インタフェースが必要とされ、電気絶縁及び漏れ電流の問題が発生するので、患者の安全性が損なわれる危険がある。
【0004】
昇圧型電圧変換を実行する電源も周知であり、LCDバックライト電源のように圧電変成器を含む。しかし、この電源は高電流スイッチング素子及び磁気素子を使用する。高電流スイッチング素子及び磁気素子は、例えば磁界を利用するシステムなどの特定の用途において不都合な影響を及ぼす場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7,579,749B2号公報
【特許文献2】米国特許第2009/0195295A1号公報
【特許文献3】米国特許第7,385,333B2号公報
【特許文献4】米国特許第2008/0048524A1号公報
【特許文献5】米国特許第7,202,592B2号公報
【特許文献6】米国特許第7,196,475B2号公報
【特許文献7】米国特許第2007/0018589A1号公報
【特許文献8】米国特許第7,122,939B2号公報
【特許文献9】米国特許第2006/0222398A1号公報
【特許文献10】米国特許第7,005,778B2号公報
【特許文献11】米国特許第2005/0285476A1号公報
【特許文献12】米国特許第2005/0030774A1号公報
【特許文献13】国際公開第2004/0232806A1号公報
【特許文献14】国際公開第2004/0227434A1号公報
【特許文献15】米国特許第6,738,267B1号公報
【特許文献16】米国特許第6,151,232号公報
【特許文献17】米国特許第5,949,179号公報
【特許文献18】米国特許第5,751,091号公報
【特許文献19】米国特許第5,092,243号公報
【特許文献20】米国特許第4,973,876号公報
【特許文献21】米国特許第4,644,212号公報
【特許文献22】米国特許第4,595,856号公報
【特許文献23】米国特許第4,510,484号公報
【特許文献24】米国特許第3,657,579号公報
【特許文献25】米国特許第3,576,504号公報
【発明の概要】
【0006】
一実施形態によれば、圧電変成器と、圧電変成器に接続された発振器回路とを含む電源が提供される。発振器回路は圧電変成器の入力端子における正弦電圧波形を制御する。
【0007】
別の実施形態によれば、圧電変成器と、圧電変成器に接続されたフィードバック回路とを含む低信号モード給電スイッチングシステムが提供され、圧電変成器はフィードバック回路の一部を形成する。低信号モード給電スイッチングシステムは演算増幅器及び移相回路網を更に含み、圧電変成器が正弦電圧波入力を受信するように、演算増幅器及び移相回路網は、圧電変成器の入力端子に接続され且つフィードバック回路と共に自己発振線形DC/DC昇圧コンバータを形成する。低信号モード給電スイッチングシステムは、圧電変成器の出力端子に接続された超小型電気機械システム(MEMS)スイッチを更に含む。
【0008】
更に別の実施形態によれば、電力変換の方法が提供される。方法は、DC入力信号から圧電変成器に対する正弦駆動信号を発生することと、圧電変成器からのフィードバック信号を使用して正弦駆動信号の周波数を制御することとを含む。方法は、圧電変成器の出力端子からDC出力信号を発生することを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は種々の実施形態に従って構成された電源を示したブロック図である。
【図2】図2は図1の電源のDC/DC昇圧コンバータを示したブロック図である。
【図3】図3は種々の実施形態に従って構成された電源を示した概略図である。
【図4】図4は図3の電源における電圧信号変換を示したブロック図である。
【図5】図5は種々の実施形態に従って構成された電源と関連して実現されるシステムを示したブロック図である。
【図6】図6は種々の実施形態に係る電圧変換の方法を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付の図面と関連させて読むことにより、先に示した発明の概要並びに以下のある特定の実施形態の詳細な説明が更によく理解されるだろう。図が種々の実施形態の機能ブロックの概略図を示す限りにおいて、機能ブロックはハードウェア回路網間の分割を必ずしも示さない、従って、例えば機能ブロックのうち1つ以上が単一のハードウェアで実現されてもよいし、あるいは複数のハードウェアにわたって実現されてもよい。尚、種々の実施形態は図面に示される配置及び機器構成に限定されない。
【0011】
本明細書において、特に指示のない限り単数形で示される要素又はステップは、複数の要素又はステップを除外しないと理解されるべきである。更に、「一実施形態」という場合、そこに挙げられている特徴を同様に含む他の実施形態の存在を除外しないと解釈されるべきである。また、特に指示のない限り、ある特定の特性を有する1つの要素又は複数の要素を「具備する」又は「有する」実施形態は、その特性を有していない要素を更に含んでもよい。
【0012】
種々の実施形態は、圧電セラミック変成器装置などのピエゾ変成器装置を使用するDC/DC昇圧型電圧コンバータを有する電源を提供する。特に、図1に示される電源20は、外部電圧源からの信号であってもよいDC入力信号を受信するDC/DC昇圧型電圧コンバータ22(以下、昇圧コンバータ22と呼ぶ)を一般に含む。昇圧コンバータ22は圧電変成器24を含み、圧電変成器24の共振を周波数制御に使用する。受信されるDC入力信号は任意の種類の直流電圧信号(例えば、非整流電圧信号又は整流電圧信号)であってもよい。振幅を増加させたDC出力信号を発生するために、DC入力信号は整流され且つ増幅される。例えば磁気環境(磁気共鳴画像(MRI)システムなど)における動作を可能にするために、電源20は、電磁妨害(EMI)を低減又は減少させた整流増幅出力信号を発生可能である。尚、電源20の一部として制御要素、ユーザ入力装置及び表示装置が更に設けられてもよい。
【0013】
図2に更に詳細に示されるように、昇圧コンバータ22は圧電変成器24を含む。圧電変成器24は、圧電変成器24の入力端子で受信される正弦波26により駆動される。種々の実施形態において、圧電変成器24はピエゾセラミック変成器、すなわち、ピエゾセラミック材料から形成された圧電変成器である。圧電変成器24は発振器回路30に接続された電力源28に接続される。発振器回路30は圧電変成器24を駆動する正弦波26の波形を制御する。電力源28は移相回路網を有するフィードバック回路32に更に接続される。電源20が圧電変成器24(別の発振器ではなく)の周波数で動作するように、圧電変成器24の出力はフィードバック回路32の一部を形成する。従って、周波数制御のためにフィードバック回路32と共に圧電変成器24を使用することにより、自己発振線形電圧変換が実行されてもよい。例えば電源20は150kHz又は180kHzなどの低周波数で動作してもよい。しかし、特定の用途又は特定の動作条件に基づいて、上記の数値を超える動作周波数又は上記の数値より低い動作周波数も考えられる。
【0014】
圧電変成器24の出力端子は電圧増倍器回路34に更に接続される。電圧増倍器回路34の出力端子に出力電圧制御器36が接続される。動作中、整流及び調整の実行前、圧電変成器24からの出力信号は正弦波形である。特に、電圧増倍器回路34は、例えば倍電圧器回路として構成される場合は電圧を2倍にし、3倍電圧器回路として構成される場合には電圧を3倍に増加する。電圧増倍器回路34は圧電変成器24からの出力信号を整流する。電圧増倍器回路34は本質的にはAC電圧をそれより高いDC電圧に変化させる。いくつかの実施形態において、電圧増倍器回路34は付加電力を必要としない受動回路網である。その後、動作中、例えば接続される装置などの特定の用途、条件又は特性に基づいて出力電圧レベルを制限するために、整流増幅信号は出力電圧制御器36により電圧制御又は電圧制限される。従って、電源20は、正弦駆動波を使用する自己発振構成を使用して入力DC信号を定DC出力信号に昇圧変換する。
【0015】
電源20の概略図が図3に示される。電源20は、本実施形態においてピエゾセラミック材料から形成される圧電変成器24を含む。従って、ピエゾセラミック材料の形状により判定される共振周波数を有するピエゾセラミック変成器素子が提供される。例えば圧電変成器24は、東京のTamura Corporationより市販されている圧電セラミック変成器であってもよい。圧電変成器24は入力端子40及び出力端子42を含み、入力端子40及び出力端子42は電極であってもよい。ピエゾセラミック材料は入力端子40から出力端子42へ機械的エネルギーを伝播し、周知のように、その機械的エネルギーは増幅電気エネルギーに変換される。
【0016】
圧電変成器24に接続される電源20の電力源28は、一般に演算増幅器44を含む。演算増幅器44は、図3に示されるような+10V電圧供給源などの電圧供給源46(例えば、電圧レール)に接続される。しかし、希望又は必要に応じて、異なる電圧レベル及び電流レベルを提供するために異なる電圧供給源が設けられてもよい。DC電圧を演算増幅器44に結合するために、電圧供給源46と演算増幅器44との間に1対の減結合コンデンサ48及び50(C1及びC2)が接続される。電力源28は、演算増幅器44の負入力端子を接地点に接続する抵抗器(R1)52とコンデンサ(C4)54との直列接続の組み合わせを更に含む。直列接続される抵抗器52及びコンデンサ54の値は、演算増幅器44の負入力端子のインピーダンスとほぼ等しくなるように選択される。
【0017】
尚、図3に示される素子の値は単なる例であり、例えば演算増幅器44を駆動するための所望の電圧レベル、出力電圧条件、圧電変成器の動作パラメータなどに基づいて希望又は必要に応じて変更されてもよい。例えば抵抗器52は1Kではなく、7Kの値を有してもよい。
【0018】
演算増幅器44の負入力端子は発振器回路30に更に接続される。発振器回路30は、抵抗器(R3)、1対のダイオード58及び60(D1及びD2)並びに抵抗器62(R4)の並列接続の組み合わせを含む。並列接続されたこの組み合わせはコンデンサ(C3)64と直列に接続され、この直列接続構成は電力源28の抵抗器(R2)66を介して演算増幅器44の負入力端子に接続される。
【0019】
動作中、発振器回路30は、演算増幅器44に対して利得制御を実行し且つ電力源28に圧電変成器24を駆動するための正弦波26を継続して発生させるためにダイオードクリッピングを実行する。発振器回路30は電力源28の正弦動作モードを維持すると共に、電力源28及び圧電変成器24から形成される増幅器段の帯域幅/利得の制御を維持する。種々の実施形態において、電力源28の抵抗器66と発振器回路30の抵抗器62との組み合わせが電力源28の波形を正弦波として制御するので、発振器回路30は電力源28の出力を方形波出力に変換しない。図示される実施形態において、電力源28は、10V電圧供給源46から、+/−5V(又は任意に+/−4V)の正弦波形を演算増幅器44の出力端子で発生し、この波形は抵抗器(R5)68を介して圧電変成器24を駆動する。
【0020】
尚、発振器回路30の変形及び変更も考えられる。例えば圧電変成器24を駆動する正弦波を維持するために自動利得制御回路を構成するように、発振器回路30は、整流ダイオード及び抵抗器‐コンデンサ(RC)回路網と共に電界効果トランジスタ(FET)を含んでもよい。一般に、正弦動作が維持されるように、希望に応じて又は必要に応じて異なる回路又は回路構成が設けられてもよい。
【0021】
正弦電流を含む圧電変成器24の出力は、移相回路網70を含むフィードバック回路32に接続される。特に、フィードバック回路32において、ブロッキングコンデンサとして動作するコンデンサ(C7)78を介して抵抗器(R8)74と抵抗器(R9)76との並列接続の組み合わせに接続された抵抗器(R9)72から分圧器が形成される。抵抗器74は電圧供給源46(10V電圧供給源として示される)に接続され、抵抗器76は接地点に接続される。動作中、分圧器は演算増幅器44の正入力を約5Vにバイアスする。
【0022】
フィードバック回路32は移相回路網70を更に含む。移相回路網70は、接地点にそれぞれ接続された1対の並列接続コンデンサ78及び80(C6及びC5)を含み、それらのコンデンサの間に抵抗器(R6)82が接続される。従って、1対のコンデンサ78及び80は、1対の抵抗器74及び76と並列接続の組み合わせを形成する。移相回路網70は、圧電変成器24の出力端子から発生される適正な位相フィードバックを演算増幅器44の正入力端子で維持し、すなわち同一の位相を維持する。従って、動作中、圧電変成器24の入力端子40における信号の位相は一定である。動作中、圧電変成器24の出力は振幅増加正弦波形である。例えばいくつかの実施形態において、圧電変成器24の入力端子40の+/−5V正弦電圧波は圧電変成器24を介して伝播され、圧電変成器24の出力端子42で+/−50V又は+/−100Vの正弦電圧波を発生する。この電圧増加は、周知のように圧電変成器24の構造により判定される。
【0023】
圧電変成器24の出力端子は電圧増倍器回路34に更に接続される。図示される実施形態において、電圧増倍器回路34は、正弦電圧波の振幅を2倍に増加し且つ正弦電圧波を整流する倍電圧器として構成される。電圧増倍器回路34は、ダイオード(D3)84とコンデンサ(C8)86との並列接続の組み合わせに接続されたダイオード(D4)82を含む。先に挙げた値を引き続き例にとると、動作中、圧電変成器24の出力端子42の+/−50V又は+/−100Vの正弦電圧波は+/−100V又は+/−200Vにそれぞれ倍増され、その後、整流、例えば半波整流又は全波整流される。その結果、0〜+100V又は0〜+200Vの整流信号などの正の正弦波形が発生される。他の実施形態において、電圧増倍器回路34は、例えば2倍を超えるか又は2倍未満の倍率で増幅された異なる電圧レベルを有する信号を発生するように変形されてもよい。
【0024】
尚、図3に示される素子は特定の種類として示されるが、異なる種類の素子が使用されてもよい。例えばダイオード82及び84はショットキーダイオードとして示されるが、ショットキー型ではない異なる種類のダイオードが使用されてもよい。また、例えば圧電変成器24は、所望の及び/又は所要の伝播特性及び利得特性を提供する任意の種類の圧電変成器素子であってもよい。
【0025】
電圧増倍器回路34の出力端子は電圧制御器36の出力端子に接続される。電圧制御器36は、ダイオード(D5)90に接続された抵抗器(R10)88を含む。抵抗器88は、電圧増倍器34のコンデンサ86とダイオード90との並列接続の組み合わせの間に接続される。尚、ダイオード90はツェナーダイオードとして示されるが、ツェナー型ではない他の種類のダイオードが使用されてもよい。動作中、出力電圧制御器36は電源20から出力されるDC電圧のレベルを制限する。例えば先に挙げた値を例にとると、電圧増倍器回路34からの0〜+100V又は0〜+200Vの整流信号は約70Vに制限されてもよい。しかし、それより高い電圧レベル又は低い電圧レベルの出力信号、例えば100Vの出力を発生するために、素子の値は変更されてもよい。出力電圧制御器36は、本質的には出力電圧を分流又はクリッピングし、電流限界を設定する。
【0026】
種々の実施形態において、電源20の動作中、圧電変成器24は270°の位相遅れ並びに10倍の電圧増加を実現する。抵抗器82(R6)、76(R7)及び72(R9)とコンデンサ80(C5)、78(C6)及び78(C7)との組み合わせは、更に90°の位相遅れを発生する。更に、抵抗器52(R1)、66(R2)及び62(R4)は演算増幅器44の初期利得を設定する。図示される実施形態において、初期利得は11に設定される。発振開始後、コンデンサ64(C3)、ダイオード58(D1)及び60(D2)並びに抵抗器56(R3)は、先に説明したように更なる整流及び調整を実行するダイオード84(D3)、82(D4)及び90(D5)並びに関連素子に対する歪みを減少するために利得を(わずかに)減少する。
【0027】
図4は、電源20における電圧信号変換を示す。特に、電源20は、電力源28(例えば、外部電圧供給源)から図中符号100で示されるような+10Vの定DC電圧を受け取る。次に、図中符号102で示されるように、圧電変成器24(図3に示される)を駆動するための正弦電圧波が発生される。例えば+/−5Vの自己発振正弦電圧波形が発生され、次に、図中符号104で示されるように増幅される。図中符号102で示される波形が圧電変成器24を介して伝播する間、電圧波形は+/−100V正弦波形に増幅される。次に、図中符号106で示されるように、波形は整流され且つ増幅される。例えば+/−100V正弦波形が半波整流又は全波整流され且つ振幅を倍増されることにより、0V〜200V電圧波形が発生する。次に、電源20からの出力信号は図中符号108で示されるように制限される。例えば0V〜200V電圧波形は+70Vの定DC電圧に制限される。尚、図4に示される波形の周波数及び振幅は単なる例である。
【0028】
種々の実施形態において、電源20は、電力変換を実行する場合に低雑音動作を実行するように動作する。例えば図5に示されるように、電源20は超小型電気機械システム(MEMS)スイッチ110に接続されてもよく、MEMSスイッチ110を切り替えるために低雑音電力信号を発生してもよい。MEMSスイッチ110は、例えば本出願と共通の所有者により所有される名称「Switching Device for Magnetic Resonance Coil Decoupling and Method of Switching」の同時係属米国特許出願第 号(代理人処理番号230547(553−1523))に記載されるようにMRIシステム112に対して表面コイルの減結合スイッチとして構成されたMRIシステム112の一部を形成してもよい。電源20は、MRIシステム112の磁界環境の中で動作可能であり、電源20により発生されるEMIがMRIシステム112の動作に対して影響を及ぼすとしても、その影響は最小限に抑えられる。しかし、異なる用途、例えば低雑音動作が希望されるか又は必要とされる用途で電源20が使用されてもよい。
【0029】
従って、種々の実施形態は、高レベルの磁界を許容し且つ放射の発生、特にEMI放射が少ない電源を提供する。図6に示されるように、電源を使用して電圧を昇圧変換する方法110も提供されてよい。特に、ステップ112において、圧電変成器を駆動するための正弦駆動信号が発生される。特に、圧電セラミック変成器であってもよい圧電変成器からのフィードバックを使用して、圧電変成器の共振周波数を使用することにより正弦電圧波信号は制御され、それにより、自己発振構成を形成する。正弦電圧波信号の形状はその波形が方形波に変換されないように制御される。
【0030】
駆動後、圧電変成器は正弦入力波を伝播し、増幅正弦波信号を出力する。次に、ステップ114において、増幅正弦波信号は整流され且つ増幅される。例えば圧電変成器からの正弦波出力信号の振幅はある倍率(例えば、2倍)で増加され、次に、正電圧変動信号を発生するために、整流、例えば全波整流又は半波整流される。次に、整流増幅信号は制御される。特に、出力信号のレベルは制御されて、例えば分流又はクリッピングされて定電圧信号を発生する。例えば電圧は70V DCに制限されてもよく、電流は、例えば数ナノアンペア(nA)(例えば、5nA未満)に制限されてもよい。次に、ステップ118において、低電流定DC電圧が出力される。
【0031】
従って、種々の実施形態の電源において、正弦電圧波は線形DC/DC昇圧変換を実行するために圧電変成器を駆動する。圧電変成器の共振周波数で自己最適化発振が起こるように、圧電変成器は自己発振周波数制御を実行するためのフィードバックを含む。従って、EMIが低減された又は最小限に抑えられた状態で小信号モードで動作する電源が提供されてもよい。
【0032】
以上の説明は例示を目的とし、本発明を制限しないことを意図すると理解すべきである。例えば先に説明した実施形態(及び/又はその態様)は、互いに組み合わせて使用されてもよい。更に、種々の実施形態の範囲から逸脱することなく、特定の状況又は材料を種々の実施形態の教示に適合させるために多くの変形が実施されてもよい。本明細書に記載される寸法及び材料の種類は種々の実施形態のパラメータを定義することを意図するが、本発明を制限することは全くなく、単なる例示である。以上の説明を検討すれば、他の多くの実施形態が当業者には明らかだろう。従って、種々の実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲を添付の特許請求の範囲が保護すべきあらゆる同等物と共に参照することによって判定されるべきである。添付の特許請求の範囲において、「含む」及び「ここで」の各用語は、それぞれ対応する用語「具備する」及び「おいて」と同等の平易な表現である。更に、特許請求の範囲において、「第1の」、「第2の」及び「第3の」などの用語は単なるラベルとして使用されるにすぎず、それらの用語により説明される対象物に順序条件を課すことを意図しない。また、添付の特許請求の範囲の限界は手段+機能形式で書かれておらず、特許請求の範囲におけるそのような限界が「〜のための手段」及びそれに続く更なる構造を含まない機能の記載により構成される語句を明確に使用していない限り、特許請求の範囲の限界は、米国特許法第112条6項に基づいて解釈されることを意図しない。
【0033】
最良の態様を含めて種々の実施形態を開示するため並びに任意の装置又はシステムを製造し且つ使用すること及び取り入れられている方法を実行することを含めて当業者による種々の実施形態の実施を可能にするために、以上の説明は実施例を使用する。特許性のある種々の実施形態の範囲は特許請求の範囲により定義され、当業者には明白である他の実施例を含んでもよい。そのような他の実施例は、特許請求の範囲の用語と相違しない構造要素を有する場合又は特許請求の範囲の用語と実質的に相違しない同等の構造要素を含む場合には特許請求の範囲の範囲内にあることを意図する。
【符号の説明】
【0034】
20 電源
22 昇圧コンバータ
24 圧電変成器
26 正弦波
28 電力源
30 発振器回路
32 フィードバック回路
34 電圧増倍器回路
36 出力電圧制御器
40 入力端子
42 出力端子
44 演算増幅器
46 電圧供給源
48 減結合コンデンサ
50 減結合コンデンサ
52 抵抗器
54 コンデンサ(C4)
56 抵抗器
58 ダイオード
60 ダイオード
62 抵抗器
64 コンデンサ(C3)
66 抵抗器
68 抵抗器(R5)
70 移相回路網
72 抵抗器(R9)
74 抵抗器
76 抵抗器
78 コンデンサ
80 コンデンサ
82 抵抗器(R6)
83 ダイオード(D4)
84 ダイオード(D3)
86 コンデンサ
88 抵抗器(R10)
90 ダイオード(D5)
100 +10Vの定DC電圧
102 圧電変成器(図3に示される)を駆動するために発生される正弦電圧波
104 発生され、次に増幅される+/−5V自己発振正弦電圧波形
106 整流増幅波形
108 制限された電源20からの出力信号
110 方法
111 (MEMS)スイッチ
112 特に、圧電変成器を駆動するための正弦駆動信号を発生する
113 MRIシステム
114 圧電変成器からの出力電圧信号を整流し且つ増幅する
118 電圧信号を出力する

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電変成器(24)と;
前記圧電変成器に接続され、前記圧電変成器の入力端子における正弦電圧波形を制御する発振器回路(30)とを具備する電源(20)。
【請求項2】
前記発振器回路(30)に接続されて自己発振線形DC/DC昇圧コンバータを形成する演算増幅器(44)及び移相回路網(70)を更に具備する請求項1記載の電源(20)。
【請求項3】
移相器を有するフィードバック回路網(32)を更に具備し、前記圧電変成器(24)は前記フィードバック回路網の一部を形成する請求項1記載の電源(20)。
【請求項4】
前記圧電変成器(24)の出力端子にあり、前記圧電変成器の出力から整流増幅DC信号を発生する電圧増倍器回路(34)を更に具備する請求項1記載の電源(20)。
【請求項5】
前記圧電変成器(24)の前記入力端子に接続され、一定の電圧であり且つ前記圧電変成器の周波数で振動する前記正弦電圧波形を供給する演算増幅器(44)を更に具備する請求項1記載の電源(20)。
【請求項6】
設定レベルの定電圧出力信号を発生するように構成された出力電圧制御器(36)を更に具備する請求項1記載の電源(20)。
【請求項7】
前記圧電変成器(24)の出力端子に接続され、前記正弦電圧波形の振動を制御するためにフィードバック信号を発生する分圧器(72、74、76、78)を更に具備する請求項1記載の電源(20)。
【請求項8】
前記圧電変成器(24)の出力端子に接続された超小型電気機械システム(MEMS)スイッチ(110)を更に具備する請求項1記載の電源(20)。
【請求項9】
前記圧電変成器(24)はピエゾセラミック材料から形成される請求項1記載の電源(20)。
【請求項10】
電力変換の方法(110)において、
DC入力信号から圧電変成器に対する正弦駆動信号を発生すること(112)と;
前記圧電変成器からのフィードバック信号を使用して前記正弦駆動信号の周波数を制御すること(116)と;
前記圧電変成器の出力端子からDC出力信号を発生すること(118)とから成る方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−50239(P2011−50239A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190196(P2010−190196)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】