説明

圧電振動デバイスの周波数調整装置

【課題】 品質に優れかつ生産性を向上させた圧電振動デバイスの周波数調整装置を提供するものである。
【解決手段】 周波数調整部から周波数信号S2,S3が周波数カウンタ21,22にそれぞれ送信される。タイミングチャートに示すように、測定開始信号に基づき10msの時間に周波数カウンタ回路のゲートの開放を行い、ゲートを閉じた後測定データを制御部3に送信するという動作を繰り返している。制御部3は周波数カウンタ回路21,22から交互に測定データを受信し、予め設定された設定周波数と比較を行い、設定周波数以上になった段階で周波数調整部1に制御信号を送信し、当該音叉型水晶振動素子に対する周波数調整動作を終了させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に用いられる水晶振動子や水晶発振器等の圧電振動デバイスの周波数調整装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
圧電振動デバイスは圧電振動板の表面に金属膜からなる複数の励振電極を形成し、各励振電極に交流電圧を印加することにより、特定の周波数信号を得る構成である。当該圧電振動デバイスは所定の周波数を得るために圧電振動板に対して質量付加または質量減少による周波数調整を行う。例えば、音叉型水晶振動子においては、その振動腕の先端領域に金属膜を形成し、当該金属膜にパーシャル蒸着によって金属材料を追加的に質量付加することにより、当該音叉型水晶振動子の周波数を連続的に低下させ、周波数調整を行っていた。
【0003】
通常周波数の調整状況は、周波数カウンタ回路でその時点での周波数を測定することにより、所望の周波数になっているか否かをモニタリングし、所望の周波数に達している場合、周波数調整を完了させていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−43549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、パーシャル蒸着等の質量付加による周波数調整は例えば金属材料等の付加物質を連続的に付加する手法であり、またイオンミリング等の質量減少による周波数調整においても調整用の錘である金属材料が連続的に除去される手法である。このように周波数調整用の質量の加減は連続的に行われる。これに対して前記周波数カウンタ回路による周波数測定には一定時間を必要としていた。このため前記一定時間の初期の段階で設定(目標)周波数に達した場合でも、前記一定時間の終了まで周波数調整作業は続けられることになる。このように周波数測定の一定時間の間に目的の周波数を大きく越えてしまうことがあり、量産時においては全体として周波数バラツキが大きくなり、品質低下を招くことがあった。
【0006】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、品質に優れかつ生産性を向上させた圧電振動デバイスの周波数調整装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するためになされたもので、請求項1に記載したように、圧電振動素子に周波数調整用の質量を付加することにより、周波数調整を行う圧電振動デバイスの周波数調整装置であって、
圧電振動素子に周波数調整用の質量を付加する周波数調整部と、前記周波数調整部から出力された周波数信号を受け取るとともに、一定時間の間周波数測定する複数の周波数カウンタ回路と、各周波数カウンタ回路で測定した周波数の測定データを受け取るとともに、受け取った信号が設定周波数以下であるか否かを判定し、所定の周波数以下である場合、周波数調整停止信号を周波数調整装置に送信する制御部と、を有し、前記複数の周波数カウンタ回路は、前記周波数調整部からの周波数を測定する一定時間間隔を相互にずらせ、各々前記一定時間の周波数測定後、前記制御部に測定データを送信することを特徴とする圧電振動デバイスの周波数調整装置である。
【0008】
上記調整方法によれば、前記複数の周波数カウンタ回路は、前記周波数測定部からの周波数を測定する一定時間間隔を相互にずらせ、各々前記一定時間の測定後、前記制御部に測定データを送信する方法を採用しているので、各周波数カウンタ回路の測定結果を、これまでの半分あるいは半分以下の時間間隔で制御部に送信することができる。制御部では受け取った測定データが所定の周波数以下であるか否かを判定するので、従来より早く、かつ高精度に周波数の測定結果に対する判定をすることができる。
【0009】
また請求項2に示すように、圧電振動素子に周波数調整用の質量を減少させることにより、周波数調整を行う圧電振動デバイスの周波数調整装置であって、
圧電振動素子に周波数調整用の質量を減少させる周波数調整部と、前記周波数調整部から出力された周波数信号を受け取るとともに、一定時間の間周波数測定する複数の周波数カウンタ回路と、各周波数カウンタ回路で測定した周波数の測定データを受け取るとともに、受け取った測定データが所定の周波数以上であるか否かを判定し、所定の周波数以上である場合、周波数調整停止信号を周波数調整装置に送信する制御部と、を有し、前記複数の周波数カウンタ回路は、前記周波数調整部からの周波数を測定する一定時間間隔を相互にずらせ、各々前記一定時間の周波数測定後、前記制御部に測定データを送信することを特徴とする圧電振動デバイスの周波数調整装置であってもよい。
【0010】
上記調整方法によれば、前記複数の周波数カウンタ回路は、前記周波数測定部からの周波数を測定する一定時間間隔を相互にずらせ、各々前記一定時間の測定後、前記制御部に測定データを送信する方法を採用しているので、各周波数カウンタ回路の測定結果を、これまでの半分あるいは半分以下の時間間隔で制御部に送信することができる。制御部では受け取った測定データが所定の周波数以上であるか否かを判定するので、従来より早く、かつ高精度に周波数の測定結果に対する判定をすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、周波数の測定結果に対する判定を早く、かつ高精度に得ることができるので、品質に優れかつ生産性を向上させた圧電振動デバイスの周波数調整装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による第1の実施形態を示す圧電振動デバイスの周波数調整装置におけるシステム構成を示す図
【図2】本発明による第1の実施形態を示す周波数調整部を示す図
【図3】図1のシステム構成によるタイミングチャートを示す図
【図4】周波数調整に係る周波数上昇と周波数測定に係る時間間隔を示す図
【図5】本発明により周波数調整を行った圧電振動デバイスの分布を示す図
【図6】従来例により周波数調整を行った圧電振動デバイスの分布を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明による好ましい実施の形態について図面に基づいて説明する。
本発明による第1の実施の形態について、音叉型水晶振動素子を用いて、イオンミリングにより周波数調整を行う圧電振動デバイスの周波数調整装置を例にとり、図1乃至図5とともに説明する。
【0014】
本発明による圧電振動デバイスの周波数調整装置は、周波数調整部1と周波数調整部1からの周波数信号を受け取る周波数カウンタ回路21および周波数カウンタ回路22と、各周波数カウンタ回路で測定したデータを受け取る制御部3とからなる。
【0015】
周波数調整部1は、開口部を有するパッケージ13に収納された音叉型水晶振動素子132に対して、当該音叉型水晶振動素子132を励振させながらイオンミリングにより周波数調整を行い、調整時の周波数信号を外部に出力する構成である。
【0016】
音叉型水晶振動素子132は、図示していないが、一対の振動腕とこれら振動腕の一方を連結する音叉型形状を有し、かつ一方の振動腕の対向する主面に形成された励振電極と他方の振動腕の対向する側面に形成された励振電極とを共通接続し、また一方の振動腕の対向する側面に形成された励振電極と他方の振動腕の対向する主面に形成された励振電極とを共通接続した構成である。当該電極構成により音叉屈曲振動を行う。
【0017】
音叉型水晶振動素子132を収納するパッケージ13は開口部を有する箱形構成であり、セラミックからなる多層構成で、音叉型水晶振動素子を保持する電極パッドと、当該電極パッドを外部に導出する外部接続端子131a、131bを有している。
【0018】
各パッケージはパレット11に収納されている。パレット11は、SUS304ステンレス等からなる金属材やセラミック材等からなり、パッケージ保持用の収納部4aをマトリクス状に配した構成である。また、各収納部4aは上方に開口した凹形状であり、底部にはイオンビームを通過させる小さな開口(イオンビーム透過孔)111が形成されている。なお開口部分はイオンビームBが照射されるので、イオンエッチングに耐性のある材料を用い、パレットを保護する二重構成であってもよい。
【0019】
パレット11の下方にはイオンガン12が配置されている。イオンガン12は全体として円筒形状であり、内部構成は図示していないが、内部に熱陰極(フィラメント)と当該熱陰極の前面に円筒状に形成された陽極(アノード)と、陽極の前面に設けられた遮蔽グリッドと、その遮蔽グリッドの前面に設けられた加速グリッドと内部に不活性ガスを供給する供給口を有する構成である。この加速グリッドがイオンビームBの放射口となり、イオン粒子がビーム状に放射される。図示していないが、本実施の形態において加速グリッドは複数のグリッド開口を有し、これらグリッド開口が全体として略円形状に配置された構成である。
【0020】
イオンガン12の加速グリッドの前面にはシャッタ121が配置されている。シャッタ121はイオンビームBの照射経路中に配置され、シャッタ121の開閉によりイオンビームの音叉型水晶振動素子の励振電極(金属膜)への照射を制御する。本実施例において、シャッタ121はイオンガンの放射面である加速グリッドの平面と平行に配置されているが、非平行状態に配置してもよい。
【0021】
発振回路部14は周波数調整中の音叉型水晶振動素子の周波数信号を発生させ、当該周波数信号が後述の逓倍器2aに対して出力される。また、発振回路部14は、真空室内でパッケージの外部接続部131a,131bと当接するコンタクトプローブ141,142を有している。コンタクトプローブは図示しないアクチュエータにより上下動作し、前述の周波数調整動作に対応して動作制御が行われる。なお、コンタクトプローブは一対の端子構成でイオンガンの移動に同期して移動してもよいし、複数のコンタクトプローブの組を用意して、リレー切り換えにより周波数測定部と接続して周波数測定を行ってもよい。発振回路部14により発生させた周波数信号が周波数調整部への出力信号となる。
【0022】
周波数カウンタ回路21、22は、入力したアナログ信号をデジタル信号(パルス信号)に変換し、そのパルス数を測定(カウント)する構成であり、周波数調整部1から周波数信号を受け取り、音叉型水晶振動素子の周波数を測定する。 具体的には各周波数カウンタ回路21,22の基準クロックに基づくゲート開放時間を設定し、当該ゲート開放時間内に入力したパルス数を測定することにより、調整中の音叉型水晶振動素子の周波数を測定する。測定データは制御部3に送信される。
【0023】
図3に示すように周波数カウンタ回路21,22は周波数調整部1からの周波数を測定する一定時間間隔を相互にずらせている。具体的には周波数を測定する一定時間(ゲート開放時間)を各々10ms(ミリ秒)に設定した場合、周波数カウンタ回路21のゲート開放から約5ms後に周波数カウンタ回路22のゲート開放を行い、このゲートの開放閉鎖を順次連続的に繰り返す。各周波数カウンタ回路からはゲートを閉じた後、測定した測定データを制御部3に送信し、送信終了後再度ゲートを開放し周波数を測定する。これにより各周波数カウンタ回路21,22からは約5ms毎に制御部に対して測定データを送信することができる。なお、実際上は測定データの送信時間が約1ms程度必要となる。
【0024】
制御部3は周波数調整部1への調整動作の制御や、周波数カウンタ回路21,22の測定動作の制御や、測定データの受信を行い、受信した測定データと設定(目標)周波数との比較を行う。そして当該比較結果に基づいて音叉型水晶振動素子に対する周波数調整を終了させるか継続させるかを決定する。
【0025】
具体的にはイオンミリングのように音叉型水晶振動素子に予め形成された周波数調整用の質量である調整金属膜を減少させることによって周波数調整を行う場合、調整金属膜の減少(除去)によって周波数が上昇する。制御部3は測定開始信号S4、S6をそれぞれ相互にずらせたタイミングで各周波数カウンタ回路に送信し、これにより一方の周波数カウンタ回路が遅延した状態でゲートを開放し、それぞれ一定時間周波数を測定する。各一定時間終了後、それぞれの周波数カウンタ回路からは相互に制御部3に測定データS5,S7が送信される。
【0026】
各周波数カウンタ回路21、22から受信した測定データS5、S7と制御部3に記録された設定周波数とを比較し、測定データが設定周波数より高ければ、周波数調整を終了すると判断し、周波数調整部1に調整終了の制御信号を送信する。測定データが設定周波数より低ければ、周波数調整を継続すると判断し、周波数調整部1に調整終了の制御信号を送信しない。これにより周波数調整動作は継続される。なお、設定によって調整継続の制御信号を送信することにより周波数調整動作を継続させてもよい。
【0027】
次に圧電振動子の周波数調整装置の実施例を説明する。図2に示すように周波数調整部1においては、励振電極および周波数調整用の質量である調整金属膜が形成された音叉型水晶振動素子132がパッケージに収納された状態で、パレット11に格納されている。パレット11はマトリクス状に収納部4aを有する構成で各収納部にパッケージ13が収納されている。
【0028】
これらパレット11はイオンミリングが実施できる真空チャンバ内に配置され、イオンガン2により順次パレット内のパッケージに格納された音叉型水晶振動素子132の調整金属膜に対してイオンビームを照射し、調整金属膜の質量を減少させる。このとき発振回路部14により周波数調整中の音叉型水晶振動素子は励振されており、前記質量の減少に対応して漸次周波数信号が変化(上昇)している。当該周波数信号をパッケージの外部接続電極131a,131bに接触接続されたコンタクトプローブ141,142を介して音叉型水晶振動素子の周波数を測定している。発振回路部14からは前記周波数信号が後述の逓倍器2aに対して出力される。
【0029】
測定した周波数は周波数信号S2,S3として周波数カウンタ21,22にそれぞれ送信されるが、当該周波数信号S2,S3は各周波数カウンタ回路の前に配置された逓倍器2aにより逓倍され、当該逓倍された周波数信号が分岐され周波数カウンタ21,22に送信される。例えば周波数が3000倍に逓倍されており、音叉型水晶振動素子の周波数32.768KHzが98.304MHzに逓倍され、周波数カウンタ回路21,22にそれぞれ送信される。このような処理により、前述のゲート開放時間が10msであっても周波数測定の最小単位が1ppmとすることができ、高精度な周波数調整に寄与している。
【0030】
周波数カウンタ回路21,22は図3のタイミングチャートに示すように、測定開始信号に基づき10msの時間に周波数カウンタ回路のゲートの開放を行い、ゲートを閉じた後測定データを制御部3に送信するという動作を繰り返している。前述のとおり 図3に示すように周波数カウンタ回路21,22は周波数調整部1からの周波数を測定する一定時間間隔を相互にずらせている。具体的には周波数を測定する一定時間(ゲート開放時間)を各々10ms(ミリ秒)に設定し、当該設定を各周波数カウンタ回路に記憶させる。この状態で制御部3から周波数カウンタ回路21に対し測定開始信号を送信し、周波数カウンタ回路21は測定開始信号の受信と上記設定に基づき10ms間ゲートを開放する。ゲート開放中はビジー信号(図示せず)を制御部に送信している。
【0031】
周波数カウンタ回路21のゲート開放から約5ms後に、制御部3から周波数カウンタ回路22に対し測定開始信号S6を送信し、周波数カウンタ回路22は測定開始信号の受信と上記設定に基づき10ms間ゲートを開放する。ゲート開放中はビジー信号(図示せず)を制御部に送信している。
【0032】
周波数カウンタ回路21のゲートが閉じた段階で、前記ビジー信号の送信は停止され、当該ビジー信号の停止に基づき、制御部3から読み出し命令信号(図示せず)を周波数カウンタ回路21に送信する。当該読み出し命令信号の受信に基づき、周波数カウンタ回路21から測定した測定データを制御部3に送信する。
【0033】
また周波数カウンタ回路21のゲートが閉じてから約5ms後、周波数カウンタ回路22のゲートが閉じた段階で、前記ビジー信号の送信は停止され、当該ビジー信号の停止に基づき、制御部3から読み出し命令信号(図示せず)を周波数カウンタ回路22に送信する。当該読み出し命令信号の受信に基づき、周波数カウンタ回路22から測定した測定データを制御部3に送信する。
【0034】
このように各周波数カウンタ回路21,22のゲート開放と閉鎖を順次連続的に繰り返す。前述のとおり各周波数カウンタ回路からはゲートを閉じた後、測定した測定データを制御部3に送信し、送信終了後再度ゲートを開放し周波数を測定する。これにより各周波数カウンタ回路21,22からは約5ms毎に制御部に対して測定データを送信することができる。なお、周波数カウンタ回路のゲート開放時間は制御部からの直接的な命令により行う構成としてもよく、制御部からのゲート開放信号とゲート閉鎖信号を所定時間間隔を持って送信し、周波数カウンタ回路の動作を制御してもよい。
【0035】
このような周波数カウンタ回路21,22の動作は制御部3の指令により制御される。前述のとおり測定開始信号を送信することにより、周波数カウンタ回路がゲートを開放する。また、ビジー信号の受信停止に基づき読み出し命令信号を周波数カウンタ回路に送信し、当該周波数カウンタ回路からの測定データを受信する。
【0036】
図4はイオンミリングによる周波数調整において、周波数カウンタ回路21,22による周波数測定のタイミングを示すグラフである。周波数カウンタ回路21による測定C21の途中(中間)から周波数カウンタ回路22による測定C22が開始され、交互にずれた状態で周波数測定を行う。周波数測定後、制御部3に測定データを送信しており、測定に係る精度が向上している。
【0037】
図5は本発明による複数個の音叉型水晶振動素子を周波数調整した場合の周波数分布を示す図である。図6に示す従来の複数個の音叉型水晶振動素子を周波数調整した場合の周波数分布に較べてバラツキが抑制され、設定した周波数近傍に集中した状態で周波数調整が行われている。
【0038】
このように制御部3は周波数カウンタ回路21,22から交互に測定データを受信し、予め設定された設定周波数と比較を行い、設定周波数以上になった段階で周波数調整部1に制御信号を送信し、当該音叉型水晶振動素子に対する周波数調整動作を終了させる。そして、次の音叉型水晶振動素子に対する周波数調整を同様の手順で進める。パレットのすべてのパッケージに収納された音叉型水晶振動素子の周波数調整が終了すると、熱安定化処理等の後工程に移動する。
【0039】
なお上記実施の形態および実施例の説明において、イオンミリングにより周波数調整用の質量を減少させる周波数調整の例を示したが、例えば、電子ビーム、レーザービームの照射あるいは微粒子体を調整領域に吹き付けるサンドブラスト法等により周波数調整用の質量を減少させる手法を適用いてもよい。
【0040】
また周波数調整用の質量を付加する装置にも適用することができる。具体的には周波数調整領域に金属膜を部分的に形成するパーシャル蒸着法等をあげることができる。このように周波数調整用の質量を付加する場合は、圧電振動素子の周波数が低下することにより調整が進められるので、設定周波数以下になった時点で周波数調整を終了するようにする必要がある。
【0041】
また2つの周波数カウンタ回路を用いたが、3つ以上の周波数カウンタ回路を用い、順次交互に測定を進める構成であってもよい。また周波数カウンタ回路におけるゲート開放時間すなわち周波数測定時間は10msに設定したが、それ以上(例えば12ms)またはそれ以下(例えば8ms)に設定してもよい。10ms以下に設定した場合は周波数測定の精度が低下するおそれがあるが、測定にかかる時間を短くすることができ、生産性向上に寄与する。また10ms以上に設定した場合は周波数測定の精度が向上するが、測定にかかる時間が長くなる。
【0042】
また逓倍器により音叉型水晶振動素子の周波数を3000倍に逓倍したが、3000倍以上の逓倍(例えば5000〜10000倍等の逓倍)を行ってもよい。この場合、周波数調整における分解能が高くなり調整精度が向上する。
【0043】
さらに圧電振動素子として表面実装型のパッケージに収納した音叉型水晶振動素子を例示したが、リード端子付きのベースに接続したシリンダー型の水晶振動子に適用してもよい。また、ATカット水晶振動素子や水晶以外の他の圧電材料の圧電振動素子を用いてもよい。
【0044】
ATカット水晶振動素子の場合、励振電極上に質量付加の金属膜を形成することにより周波数調整したり、あるいは励振電極の膜厚を一部減少させることにより周波数調整を行う。質量付加の場合、パーシャル蒸着により金属膜を追加形成する例をあげることができる。また、励振電極の膜厚を減少させる場合、イオンミリングにより金属膜を一部除去する例をあげることができる。また水晶振動子以外にも水晶振動素子と発振回路用ICとを収納した水晶発振器に適用してもよい。
【0045】
なお、本発明は、その精神や主旨または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0046】
水晶振動子の量産に適用できる。
【符号の説明】
【0047】
1 周波数調整部
21,22 周波数カウンタ回路
3 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電振動素子に周波数調整用の質量を付加することにより、周波数調整を行う圧電振動デバイスの周波数調整装置であって、
圧電振動素子に周波数調整用の質量を付加する周波数調整部と、
前記周波数調整部から出力された周波数信号を受け取るとともに、一定時間の間周波数測定する複数の周波数カウンタ回路と、
各周波数カウンタ回路で測定した周波数の測定データを受け取るとともに、受け取った信号が設定周波数以下であるか否かを判定し、所定の周波数以下である場合、周波数調整停止信号を周波数調整装置に送信する制御部と、を有し、
前記複数の周波数カウンタ回路は、前記周波数調整部からの周波数を測定する一定時間間隔を相互にずらせ、各々前記一定時間の周波数測定後、前記制御部に測定データを送信することを特徴とする圧電振動デバイスの周波数調整装置。
【請求項2】
圧電振動素子に周波数調整用の質量を減少させることにより、周波数調整を行う圧電振動デバイスの周波数調整装置であって、
圧電振動素子に周波数調整用の質量を減少させる周波数調整部と、
前記周波数調整部から出力された周波数信号を受け取るとともに、一定時間の間周波数測定する複数の周波数カウンタ回路と、
各周波数カウンタ回路で測定した周波数の測定データを受け取るとともに、受け取った測定データが所定の周波数以上であるか否かを判定し、所定の周波数以上である場合、周波数調整停止信号を周波数調整装置に送信する制御部と、を有し、
前記複数の周波数カウンタ回路は、前記周波数調整部からの周波数を測定する一定時間間隔を相互にずらせ、各々前記一定時間の周波数測定後、前記制御部に測定データを送信することを特徴とする圧電振動デバイスの周波数調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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