説明

圧電振動デバイスの製造装置

【課題】各製造処理手段の基準値の補正を実施することができる圧電振動デバイスの製造装置を提供する。
【解決手段】ワーク4が載置されるワーク保持部2と、ワーク4に対して製造処理を実施する複数の製造処理手段(第1搬送手段50、位置調整手段80、位置計測手段、第1塗布手段10、第2搬送手段60、第2塗布手段30、撮像検査手段20,40及び第3搬送手段70)と、各製造処理手段の動作を制御する制御信号を前記製造処理手段に送信する制御部6と、前記製造処理手段を用いた補正データ取得処理が施される調整用ブロック3と、当該調整用ブロック3に施された前記補正データ取得処理の結果に基づいて前記制御信号に付加される補正データを得る補正データ作成部7と、調整用ブロック3及びワーク保持部2を搬送する搬送部とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークに対して複数の製造処理を実施することによって圧電振動デバイスを製造する圧電振動デバイスの製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の圧電振動デバイスの一例として水晶片を用いた水晶振動子があり、この水晶振動子の一例としては、図13に示すように、底部111aおよびこの底部111a上に積層した堤部111bからなる箱状体のベース111と板状体の蓋112とから構成された筐体110と、ベース111の底部111a上に形成された一対の電極パッド121,122と、ベース111のキャビティに配置された水晶振動片130とから構成されたものがある。
【0003】
水晶振動片130の両主面(一主面と他主面)には、一対の励振電極131,132と、これら励振電極131,132から延設された引き出し電極131a,132aとが形成されている。さらに、水晶振動片130は、引き出し電極131a,132aが延設された一端部の両隅が導電性樹脂接合材141,142によって電極パッド121,122に機械的に固定されており、励振電極131,132は、引き出し電極131a,132a及び導電性樹脂接合材141,142を介して電極パッド121,122に電気的に接続されている。
【0004】
導電性樹脂接合材141,142は、電極パッド121,122上に塗布した導電性樹脂を水晶振動片130を配置した後に硬化することによって形成される。
【0005】
また、ベース111下面には、電極パッド121,122と個々に電気的に接続された複数の外部接続用電極(不図示)が形成されている。
【0006】
さらに、この水晶振動子では、ベース111上面の外周縁部と蓋112下面の外周縁部とが封止用接合材160によって接合され、筐体110内部が気密封止されている。なお、図13では、筐体110内部を図示するために、蓋112をベース111上方にずらした状態で図示している。
【0007】
従来の圧電振動デバイスの製造装置の一例としては、図14に示すような、水晶振動子の製造装置がある。この水晶振動子の製造装置は、矢印Z101で示す方向(反時計回り方向)に間欠的に回転可能な円板形状のインデックステーブル101と、このインデックステーブル101の外周端部に沿ってインデックステーブル101上面に予め設定された間隔で配置された複数のワーク保持部102と、種々の製造処理を実施するためにインデックステーブル101周辺部に配置された複数の製造処理手段とを備えている。
【0008】
前記複数の製造処理手段としては、例えば、第1搬送手段104、位置調整手段105、第1塗布手段106a、第2搬送手段107、第2塗布手段106b及び第3搬送手段108等がある。
【0009】
第1搬送手段104は、インデックステーブル101上に搬送されるワークであるベース111を保管する第1パレット104aと、ベース111を保持して第1パレット104aからワーク保持部102へベース111を搬送する第1ハンドリングシステム104bとを備えている。なお、図14中に、第1搬送手段104によるベース111の搬送方向を矢印Z102を用いて示す。
【0010】
位置調整手段105は、第1搬送手段104によりワーク保持部102上面にベース111を配置した後、直ちに、ベース111の位置調整を実施するポジショニング装置である。この位置調整は、位置調整装置を構成する4本の位置調整用片でベース111の側面を四方から押圧し、ベース111をワーク保持部102上面で擦動させて予め設定された位置に移動することによって実施される。
【0011】
第1塗布手段106aは、硬化によって導電性樹脂接合材141,142を成すペースト状の導電性樹脂が充填されたシリンジを備えており、導電性樹脂をシリンジの一端部に設けられたニードルから吐出し電極パッド121,122上面に塗布するものであり、特に、第1塗布手段106aは水晶振動片130載置前に実施される下塗布を行うものである。
【0012】
第2搬送手段107は、ワークとしての水晶振動片130を複数個保管する第2パレット107aと、水晶振動片130を第2パレット107aから取り出しベース111のキャビティに搬送して、導電性樹脂の下塗布が完了した電極パッド121,122上面に水晶振動片130を配置する第2ハンドリングシステム107bとを備えている。なお、図14中に、第2搬送手段107による水晶振動片130の搬送方向を矢印Z103を用いて示す。
【0013】
第2塗布手段106bは、前記導電性樹脂が充填されたシリンジを備えており、導電性樹脂をシリンジの一端部に設けられたニードルから吐出し、水晶振動片130の引き出し電極131a,132aが延設された一端部の両隅とともに電極パッド121,122上面にこの導電性樹脂を塗布するものである。特に、第2塗布手段106bは、水晶振動片130載置後に実施される上塗布を行うものである。なお、このようなペースト状の導電性樹脂を用いて励振電極131,132と電極パッド121,122とを電気的機械的に接続した圧電振動デバイスおよび圧電振動デバイスの製造方法の従来例としては、下記特許文献1の特開2007−96945号公報に開示されている水晶振動デバイスおよび水晶振動デバイスの製造方法がある。
【0014】
また、図示していないが、インデックステーブル101周辺部には製造処理手段である検査用カメラがさらに配置されている。この検査用カメラは、第2塗布手段106bによって上塗布が実施された状態のベース111内部を撮像するものである。この撮像後、得られた画像データを用いて、導電性樹脂の塗布状態及び水晶振動片130の配置状態に基づき、ベース111が良品であるかまたは不良品であるかを判断する検査が実施される。
【0015】
第3搬送手段108は、インデックステーブル101上に配置されたワーク保持部102からベース111を排出する第3ハンドリングシステム108bと、排出したベース111を保管する第3パレット108aとを備えている。このベース111を排出する際、良品と判断されたベース111のみが第3パレット108aに搬送され、不良品と判断されたベース111は、図示しない他のパレット(不良品を保管するためのパレット)に搬送される。なお、図14中に、第3搬送手段108によるベース111の搬送方向を矢印Z104を用いて示す。
【0016】
さらに、第1ハンドリングシステム104b、第2ハンドリングシステム107b及び第3ハンドリングシステム108bは、真空吸着によりワークを保持する真空吸着コレットまたはワークを挟持する一対の挟持片を備えた保持アーム104b1,107b1,108b1と、この保持アーム104b1,107b1,108b1を水平方向及び垂直方向に移動させるアーム駆動部104b2,107b2,108b2とをそれぞれ備えている。なお、本明細書において、「水平方向」とはインデックステーブル101上面に対して平行な方向、「垂直方向」とはインデックステーブル101上面に対して垂直な方向である。
【0017】
また、ワーク保持部102は、薄板形状の部材であり、図15に示すように、ワーク載置面に位置決め用のマーク102aが付与されている。このマーク102aは、例えば凹部または貫通孔であり、電極パッド121,122上面に導電性樹脂を塗布する際や水晶振動片130をベース111内部に配置する際における製造処理手段の位置決め等に用いられる。
【特許文献1】特開2007−96945号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
前述したような従来の水晶振動子の製造装置においては、製造処理を実施する際にワークと接触する手段(例えば、第1搬送手段、位置調整手段、第2搬送手段、第2塗布手段及び第3搬送手段等)及びワークへの製造処理を実施する手段(例えば、検査用カメラ、第1塗布手段及び第2塗布手段等)の位置決めのために、製造処理実施時の停止位置を示す位置情報が初期設定時に設定されている。そして、製造処理実施時には、この位置情報に従って各製造処理手段の動作制御が実施される。
【0019】
さらに、前記真空吸着コレット、挟持片及び位置調整用片については経年変化によって交換を要し、一方、前記シリンジについてはニードル先端部に付着した接着剤の硬化によって交換(または解体洗浄)を要する。例えば、シリンジは、接着剤の種類等によるが約8時間毎に交換する必要がある。しかしながら、このような交換を実施した際に、前記真空吸着コレット、挟持片、位置調整用片及びシリンジの位置が交換前と交換後とでずれてしまう場合がある。
【0020】
そのため、従来の水晶振動子の製造装置においては、作業者が、真空吸着コレット、挟持片、及び位置調整用片によってワークを正しい位置に配置できているか、塗布後の導電性樹脂が電極パッド上面の正しい位置に塗布されているかを目視検査により確認していた。さらに、正しい位置に配置または塗布されておらずずれが生じている場合には、ずれの補正として製造処理実施時の停止位置(処理実施位置)の調整を行った後、再び製造処理を実施し、目視検査を行っていた。
【0021】
そのため、目視検査における判断やずれの補正に熟練した技術及び時間を要するといった問題や、ずれの補正が完了するまでの間に不良が発生することによって歩留りが低下したり製造コストが増加したりするといった問題が生じていた。
【0022】
一方、前記検査用カメラによって得られた画像のスケールの設定は、例えばワーク保持部上面に設けられた上端面が円形状の凹部または貫通孔であるマークを上方から撮像することによって実施されていた。具体的には、マークを撮像して得た円形状の画像データからマークの画像を抽出し、この画像の直径を画素数で表した値を取得した後、マークの直径の実寸法をこの画素数で割ることにより、1画素当たりの実寸法を求めてスケールとして用いていた。しかしながら、ワーク保持部は位置調整用片等が接触することによってマーク周辺部が徐々に磨耗してしまう。そのため、画像データからマークの外周形状を正確に抽出することができなくなってしまい、スケールの設定ができなくなってしまう場合があるといった問題があった。
【0023】
本発明はかかる問題点を解決すべく創案されたもので、その目的は、各製造処理手段のワークに対して製造処理を実施する部位(例えば、真空吸着コレット、挟持片、位置調整用片及びシリンジ等)の処理実施位置の補正及び検査用カメラのスケールの校正等といった製造処理を実施する際の動作及び判断の基準となるデータ(基準値)の補正を行うことができる圧電振動デバイスの製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記課題を解決するため、本発明の圧電振動デバイスの製造装置は、励振電極が形成された圧電振動片と、当該圧電振動片を気密封止する筐体と、当該筐体内に配置され、前記励振電極に電気的に接続された電極パッドとを備えてなる圧電振動デバイスを製造するためのものであり、図1に示すように、ワーク4が載置されるワーク保持部2と、ワーク4に対して製造処理を実施する複数の製造処理手段(例えば、後述の第1搬送手段50、位置調整手段80、位置計測手段、第1塗布手段10、第2搬送手段60、第2塗布手段30、撮像検査手段20,40及び第3搬送手段70)と、各製造処理手段の動作を制御する制御信号を前記製造処理手段に送信する制御部6と、前記製造処理手段を用いた補正データ取得処理が施される調整用ブロック3と、当該調整用ブロック3に施された前記補正データ取得処理の結果に基づいて前記制御信号に付加される補正データを得る補正データ作成部7とを備えてなるものである。さらに、この圧電振動デバイスの製造装置は、調整用ブロック3及びワーク保持部2を搬送する搬送部を備えていてもよい。
【0025】
これにより、調整用ブロックに施された製造処理の結果に基づいて各製造処理手段の基準値を補正することができる。
【0026】
また、前記複数の製造処理手段のうちの少なくとも1つの製造処理手段(例えば第1塗布手段10及び第2塗布手段30)が、前記製造処理として吐出部から接着剤を吐出して接着剤の塗布を実施する処理実施手段と、当該処理実施手段を支持する支持手段と、前記支持手段の位置を変位させて前記処理実施手段の先端部を待機位置から処理実施位置または調整用ブロックに接触する位置である接触位置まで移動させる駆動手段とから構成されているとともに、前記圧電振動デバイスの製造装置は、前記吐出部を待機位置から接触位置へ移動する間に支持手段が移動する距離の初期設定値を示す比較データを予め格納した比較データ記憶手段をさらに備えている。このような構成において、前記補正データ取得処理が、前記吐出部を前記待機位置から前記接触位置まで移動して調整用ブロックに接触させるステップからなり、前記補正データ作成部が、前記吐出部を待機位置から接触位置へ移動する間に支持手段が移動した距離を示す移動距離データを前記製造処理の結果として取得し、当該取得した移動距離データと比較データとの差を、前記1つの製造処理手段の動作を制御する制御信号に付加される補正データとして得るものであってもよい。
【0027】
この場合には、補正データを制御信号に付加することによって、前記処理実施位置を補正することができ、その結果、前記吐出部を正しい位置に配置した状態で接着剤を塗布することができる。
【0028】
また、前記複数の製造処理手段のうちの少なくとも1つの製造処理手段(例えば、第1搬送手段50、位置調整手段80、第2搬送手段60および第3搬送手段70)が、前記製造処理としてワークを保持し搬送する処理実施手段と、当該処理実施手段を支持する支持手段と、前記支持手段の位置を変位させて前記処理実施手段の先端部を待機位置から処理実施位置または調整用ブロックに接触する位置である接触位置まで移動させる駆動手段とから構成されているとともに、前記圧電振動デバイスの製造装置は、前記処理実施手段の先端部を待機位置から接触位置へ移動する間に支持手段が移動する距離の初期設定値を示す比較データを予め格納した比較データ記憶手段をさらに備えている。このような構成において、前記補正データ取得処理が、前記処理実施手段を前記待機位置から前記接触位置まで移動して調整用ブロックに接触させるステップからなり、前記補正データ作成部が、前記処理実施手段の先端部が待機位置から接触位置まで移動するまでの間に支持手段が移動した距離を示す移動距離データを前記製造処理の結果として取得し、当該取得した移動距離データと前記吐出部を待機位置から接触位置へ移動する間に支持手段が移動すべき距離を示す比較データとの差を、前記1つの製造処理手段の動作を制御する制御信号に付加される補正データとして得るものであってもよい。
【0029】
この場合には、補正データを制御信号に付加することによって、前記処理実施位置を補正することができ、その結果、前記ワークを正しい位置に搬送(または移動)することができる。
【0030】
また、前記複数の製造処理手段のうちの少なくとも1つの製造処理手段(例えば、撮像検査手段20)が、他の製造処理手段(例えば、第1搬送手段50、位置調整手段80、第1塗布手段10、第2搬送手段60、第2塗布手段30及び第3搬送手段70)による製造処理実施後の前記ワーク保持部を撮像して画像データを得る撮像手段と、前記画像データに対して画像処理を施し、前記製造処理が実施された位置とともに、前記圧電振動デバイスの製造装置は、前記他の製造処理手段による製造処理を実施する位置の初期設定値を示す比較データを予め格納した比較データ記憶手段をさらに備えている。このような構成において、前記補正データ取得処理が、調整用ブロックに対して他の製造処理手段による製造処理を実施するステップと、前記撮像手段を用いて調整用ブロックを撮像して画像データを得るステップと、前記画像処理手段を用いて画像データに対して画像処理を施し前記製造処理が実施された位置を示す位置データを取得するステップとからなり、前記補正データ作成部が、取得した位置データと前記比較データとの差を、前記他の製造処理手段の動作を制御する制御信号に付加される補正データとして得るものであってもよい。
【0031】
この場合には、補正データを制御信号に付加することによって、正しい位置に製造処理を実施することができる。
【0032】
また、前記複数の製造処理手段のうちの少なくとも1つの製造処理手段(例えば、撮像検査手段)が、前記ワーク保持部を撮像して画像データを得る撮像手段と、前記画像データに対して画像処理を実施して、前記ワーク保持部の予め設定された部位の画像を構成する画素数を検出する画像処理手段とから構成されているとともに、前記圧電振動デバイスの製造装置は、前記調整用ブロックの予め設定された部位の寸法を示す比較データを予め格納した比較データ記憶手段をさらに備えている。このような構成において、前記補正データ取得処理が、前記撮像手段を用いて調整用ブロックを撮像して画像データを得るステップと、前記画像処理手段を用いて画像データに対して画像処理を施し調整用ブロックの予め設定された部位の画像を構成する画素数を検出するステップとからなり、前記補正データ作成部が、前記比較データを検出した画素数で割った値を、前記1つの製造処理手段の動作を制御する制御信号に付加される補正データとして得るものであってもよい。
【0033】
この場合には、補正データを制御信号に付加することにより、撮像手段のスケール(一画素当たりの撮像対象物の実寸法)を校正することができる。
【0034】
また、前記複数の製造処理手段のうちの少なくとも1つの製造処理手段(例えば、位置計測手段)が、ワーク保持部の予め設定された部位の位置を計測して当該予め設定された部位の位置を示す位置データを得る位置計測手段を備えているとともに、前記圧電振動デバイスの製造装置は、前記調整用ブロックの予め設定された部位の位置の初期設定値を示す比較データを予め格納した比較データ記憶手段をさらに備えている。このような構成において、前記補正データ取得処理が、位置計測手段を用いて前記調整用ブロックの予め設定された部位の位置を示す位置データを取得するステップからなり、前記補正データ作成部が、前記比較データと取得した位置データとの差を、前記1つの製造処理手段の動作を制御する制御信号に付加される補正データとして得るものであってもよい。
【0035】
この場合には、補正データを制御信号に付加することにより、位置計測手段の測定誤差の校正を実施することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明は上記のように構成したので、1つの調整用ブロックを用いて各製造処理手段の基準値の補正を実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明の圧電振動デバイスの製造装置の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0038】
図1は、本発明の圧電振動デバイスの製造装置の一実施形態を示す説明図である。
【0039】
なお、図中の実線矢印はデータの送受信を示し、二点鎖線矢印は製造処理手段による製造処理が実施されることを示している。
【0040】
この圧電振動デバイスの製造装置は、ワーク4が載置される複数のワーク保持部2と、ワーク4に対して製造処理を実施する複数の製造処理手段(例えば、後述の第1塗布手段10、撮像検査手段20,40、第2塗布手段30、位置計測手段、第1搬送手段50、第2搬送手段60、第3搬送手段70及び位置調整手段80等)と、各製造処理手段の動作を制御する制御信号を出力する制御部6と、前記製造処理手段を用いた補正データ取得処理が施される調整用ブロック3と、前記補正データ取得処理の結果に基づいて前記制御信号に付加される補正データを得る補正データ作成部7と、この補正データ作成部7で補正データを得る際に用いられる比較データを格納している比較データ記憶部8と、ワーク保持部4及び調整用ブロック3を搬送する搬送部(不図示)とからなる。
【0041】
ワーク保持部2は、上面形状が長方形となっている薄板形状の部材であり、図15に示すワーク保持部と異なりマークが付与されていない。
【0042】
調整用ブロック3は、製造処理手段の動作を制御する制御信号に付加される補正データを作成する際に用いられるものである。
【0043】
前記搬送部は、例えばインデックステーブルまたはベルトコンベアで構成されている。
【0044】
比較データ記憶部8に格納されている比較データは、圧電振動デバイスの製造装置を生産ライン内に設置した際の設置状態に基づいて予め設定された初期設定値であり、後に具体例を示す。
【0045】
制御部6と各製造処理手段との間では、制御部6から各製造処理手段へ制御信号が送信されるとともに、各製造処理手段から制御部6へ各製造処理手段の状態を示す(例えば、製造処理が完了したことを示す)処理状況データが送信される。
【0046】
図2は、図1に示す圧電振動デバイスの製造装置を用いて製造される圧電振動デバイスの一例を示す説明図である。
【0047】
この圧電振動デバイスは、底部91a1およびこの底部91a1上に積層した堤部91a2からなる箱状体のベース91aと板状体の蓋91bとから構成された筐体91と、ベース91aの底部91a1上に形成された一対の電極パッド92a,92bと、ベース91aのキャビティに配置された水晶振動片93とから構成された水晶振動子90である。
【0048】
水晶振動片93の両主面(一主面と他主面)には、一対の励振電極93a1,93a2と、これら励振電極93a1,93a2から延設された引き出し電極93a11,93a21とが形成されている。さらに、水晶振動片93は、引き出し93a11,93a21が延設された一端部の両隅が導電性樹脂接合材94a,94bによって電極パッド92a,92bに機械的に固定されており、励振電極93a1,93a2は、引き出し電極93a11,93a21及び導電性樹脂接合材94a,94bを介して電極パッド92a,92bに電気的に接続されている。
【0049】
導電性樹脂接合材94a,94bは、電極パッド92a,92b上に塗布した導電性樹脂を水晶振動片93を配置した後に硬化することによって形成される。
【0050】
また、ベース91a下面には、電極パッド92a,92bと個々に電気的に接続された複数の外部接続用電極(不図示)が形成されている。
【0051】
さらに、この水晶振動子90では、ベース91a上面の外周縁部と蓋91b下面の外周縁部とが封止用接合材96によって接合され、筐体91内部が気密封止されている。なお、図2では、筐体91内部を図示するために、蓋91bをベース91a上方にずらした状態で図示している。
【0052】
なお、本実施形態においては、圧電振動デバイスの一例として図2に示す構成を備えた水晶振動子90を示したが、本発明においては圧電振動デバイスはこの形態に限定されるものではない。例えば、筐体91の形状及び構成、並びに励振電極93a1,93a2の形状及び形成位置が異なっているものであってもよい。
【0053】
図3は、図1に示す圧電振動デバイスの製造装置を構成するワーク保持部、複数の製造処理手段、調整用ブロック及び搬送部の一例を示す説明図である。
【0054】
図示されているように、搬送部は、円板形状のインデックステーブル1と、当該インデックステーブル1を平面側中心点を軸として矢印Aで示す方向(反時計回り方向)に間欠的に回転可能な回転機構(不図示)とを搬送部として備えている。
【0055】
このインデックステーブル1上面には、複数のワーク保持部2と1つの調整用ブロック3とがインデックステーブル1の外周端部に沿って同心円状に一定の間隔で配置されている。
【0056】
さらに、インデックステーブル1の周辺部には、複数の製造処理手段として、第1搬送手段50、位置調整手段80、位置計測手段(不図示)、第1塗布手段10、第2搬送手段60、第2塗布手段30、撮像検査手段20,40及び第3搬送手段70等が反時計回りに順次配置されている。なお、これら製造処理手段は一例に過ぎず実施される製造処理の内容に従って変更可能である。また、各製造処理手段の配置についても一例に過ぎず製造処理を実施する順序に従って変更可能である。
【0057】
第1搬送手段50は、インデックステーブル1上に搬送されるワーク4であるベース91aを保管する第1パレット51と、ベース91aを保持して第1パレット51からワーク保持部2へ搬送する第1ハンドリングシステム52とを備えている。図3中に、第1搬送手段50によるベース91aの搬送方向を矢印B1を用いて示す。
【0058】
さらに、第1ハンドリングシステム52は、ワークを保持し搬送する負圧エアでワークを吸引する吸引口を備えた処理実施手段としての支持手段52aと、この支持手段52aを支持するとともにインデックステーブル1上面に対して平行な方向(X−Y方向)に移動させる第1移動手段52bと、この移動手段52bをインデックステーブル1上面に対して垂直な方向(Z方向)に移動させる第2移動手段(不図示)と、第1移動手段及び第2移動手段を動作させるアクチュエータ(不図示)とから構成されている。
【0059】
位置調整手段80は、ワーク保持部2上面にベース91aを配置した後、直ちに、ベース91aの位置調整を実施するポジショニング装置である。さらに詳細に説明すると、図示していないが、前記製造処理としてワークを保持し搬送する処理実施手段(例えば位置調整用片)と、当該位置調整用片を支持する支持手段と、前記支持手段の位置を変位させて前記位置調整用片の先端部を待機位置から処理実施位置または調整用ブロックに接触する位置である接触位置まで移動させる駆動手段とから構成されている。また、位置調整は、4本の位置調整用片でベース91a側面を四方から押圧し、ベース91aをワーク保持部2上面で擦動させて予め設定された位置に移動することによって実施される。
【0060】
撮像検査手段40は、ベース91aの予め設定された部位を撮像して電極パッドの位置(即ち、電極パッドの配置状態)やベース91aの傾き等を示す情報を取得するといった検査を実施するものであり、例えば、ベース91aを上方から撮像する電子カメラと、得られた画像データに基づき電極パッドの配置を検出する画像処理手段とを備えている。なお、後述の第1塗布手段10は、この撮像検査手段40での検査結果に基づいて処理実施位置を判断する。
【0061】
また、図示していないが、撮像検査手段40とともに、ワーク4の予め設定された部位の位置を計測して当該予め設定された部位の位置データ等を得る位置計測手段がさらに配置されていてもよい。この撮像検査手段は、例えばレーザビームを予め設定された部位に向けて照射するかまたはマトリクス状に走査させながら照射する機構を備えたレーザ変位計を備えており、電極パッド上面の高さ(即ち、インデックステーブル1上面に対する電極パッド上面の高さ)を測定するものである。
【0062】
第1塗布手段10は、硬化によって導電性樹脂接合材94a,94bを成すペースト状の導電性樹脂が充填されたシリンジを処理実施手段として備えており、導電性樹脂をシリンジの一端部に設けられたニードルから吐出し電極パッド94a,94b上面に塗布するものであり、特に、第1塗布手段10は水晶振動片93a1載置前に実施される下塗布を行うものである。
【0063】
さらに、第1塗布手段10は、図示していないが、シリンジを支持する支持手段、及び前記支持手段の位置を変位させてシリンジの吐出部(ニードル)を待機位置から処理実施位置または調整用ブロックに接触する位置である接触位置まで移動させる駆動手段も備えている。
【0064】
第2搬送手段60は、ワーク4として水晶振動片93を複数個保管する第2パレット61と、水晶振動片93を第2パレット61から取り出しベース91aのキャビティに搬送して、導電性樹脂の下塗布が完了した電極パッド92a,92b上面に水晶振動片93を配置する第2ハンドリングシステム62とを備えている。図3中に、第2搬送手段60による水晶振動片93の搬送方向を矢印B2を用いて示す。
【0065】
さらに、第2ハンドリングシステム62は、ワークを保持し搬送する負圧エアでワークを吸引する吸引口を備えた処理実施手段としての支持手段62aと、この支持手段62aを支持するとともにインデックステーブル1上面に対して平行な方向(X−Y方向)に移動させる第1移動手段62bと、この移動手段62bをインデックステーブル1上面に対して垂直な方向(Z方向)に移動させる第2移動手段(不図示)と、第1移動手段及び第2移動手段を動作させるアクチュエータ(不図示)とから構成されている。
【0066】
なお、第1塗布手段10と第2搬送手段60との間に、前記位置計測手段と同様の構成を備えた下塗布位置計測手段及び前記撮像検査手段40と同様の構成を備えた下塗布撮像検査手段のうちの少なくとも一方の手段が配置されていてもよい。この場合、水晶振動片93の搬送を実施する前に、下塗布位置計測手段によって、下塗布された導電性樹脂の高さを測定して水晶振動片93を配置する際の高さ確認を実施することができ、下塗布撮像検査手段によって、導電性樹脂の塗布位置を検出し、この塗布位置の良否判定を行うことができる。また、下塗布位置計測手段としては、例えばレーザビームを予め設定された部位(導電性樹脂の頂上部または導電性樹脂の中心部)に向けて照射するか、もしくはマトリクス状に走査させながら照射する機構を備えたレーザ変位計を備えたものが用いられる。
【0067】
第2塗布手段30は、前記導電性樹脂(または非導電性樹脂)が充填されたシリンジを処理実施手段として備えており、導電性樹脂をシリンジの一端部に設けられたニードルから吐出し、水晶振動片93の引き出し電極93a11,93a21が延設された一端部の両隅とともに電極パッド92a,92b上面にこの導電性樹脂を塗布するものである。特に、第2塗布手段30は、水晶振動片93載置後に実施される上塗布を行うものである。
【0068】
さらに、第2塗布手段30は、図示していないが、シリンジを支持する支持手段、及び前記支持手段の位置を変位させてシリンジの吐出部(ニードル)を待機位置から処理実施位置または調整用ブロックに接触する位置である接触位置まで移動させる駆動手段も備えている。なお、水晶振動子90の構成や必要とされる固定強度に応じて、この第2塗布手段30による導電性樹脂の上塗布が省略されてもよい。
【0069】
撮像検査手段20は、前述の撮像検査手段40と同様の構成を備えており、第2塗布手段30によって上塗布が実施された後、ベース91aを撮像するものである。この撮像により得られた画像データは、導電性樹脂接合材94a,94b及び水晶振動片93の配置状態を確認し、予め設定された配置状態になっているか否かを検査する際に利用される。もし、予め設定された配置状態になっていない場合には不良と判断され、予め設定された配置状態になっている場合には良品と判断される。さらに詳細に説明すると、この撮像検査手段20は、ワーク保持部2上方からワークを撮像して画像データを得る撮像手段(例えば電子カメラであり、後述の撮像部22)と、前記画像データに対して画像処理を実施して、ワーク保持部2の予め設定された部位の画像を構成する画素数を検出する画像処理手段(後述の画像処理部23)とから構成されている。
【0070】
なお、図示していないが、撮像検査手段20とともに、前記位置計測手段と同様の構成を備えた上塗布位置計測手段がさらに配置されていてもよい。この場合、上塗布位置計測手段によって上塗布された導電性樹脂の高さを測定し、導電性樹脂が予め設定された配置状態になっているか否かを検査することによって、良否判断を実施することができる。また、上塗布位置計測手段としては、例えばレーザビームを予め設定された部位(導電性樹脂の頂上部または導電性樹脂の中心部)に向けて照射するか、もしくはマトリクス状に走査させながら照射する機構を備えたレーザ変位計を備えたものが用いられる。
【0071】
また、撮像検査手段20による検査の前に、図示しない加熱処理手段を用いて、電極パッド92a,92b上面に塗布された導電性樹脂に対して加熱処理を実施することによって導電性樹脂を硬化し導電性樹脂接合材94a,94bを形成してもよい。
【0072】
第3搬送手段70は、インデックステーブル1上に配置されたワーク保持部2からワーク4としてのベース91aを排出する第3ハンドリングシステム72と、排出したベース91aを保管する第3パレット71とを備えている。このベース91aを排出する際、良品と判断されたベース91aのみが第3パレット71に搬送され、不良品と判断されたベース91aは、図示しない他のパレット(不良品を保管するためのパレット)に搬送される。図3中には、第3搬送手段70によるベース91aの搬送方向を矢印B3用いて示す。
【0073】
さらに、第3ハンドリングシステム72は、ワークを保持し搬送するために負圧エアでワークを吸引する吸引口を備えた処理実施手段としての支持手段72aと、この支持手段72aを支持するとともにインデックステーブル1上面に対して平行な方向(X−Y方向)に移動させる第1移動手段72bと、この移動手段72bをインデックステーブル1上面に対して垂直な方向(Z方向)に移動させる第2移動手段(不図示)と、第1移動手段及び第2移動手段を動作させるアクチュエータ(不図示)とから構成されている。なお、第3ハンドリングシステムの支持手段は、吸引に代えてワークを挟持する構成であってもよい。
【0074】
また、排出したベース91aを第3パレット71の代わりに第1パレット51に搬送することによって、製造処理実施前のベース91aと製造処理実施後のベース91aとを同じパレット(第1パレット51)で保管してもよい。この場合には、前記第3搬送手段70を省略することができる。
【0075】
また、前述の第1搬送手段50、第2搬送手段60及び第3搬送手段70は、負圧エアでワークを吸引する吸引口の代わりに、ワークを挟持する一対の挟持片を備えていてもよく、さらにまた、ハンドリングシステムの代わりにロボットハンドを備えていてもよい。
【0076】
図3に示す圧電振動デバイスの製造装置を用いて図2に示す水晶振動子を製造する場合、まず初めに、第1ハンドリングシステム52によって、第1パレット51からインデックステーブル1上面の1つのワーク保持部2上面にベース91aが搬送される。
【0077】
次いで、インデックステーブル1が回転し停止することにより位置調整手段80の作業範囲にベース91aが配置されると、位置調整手段80による位置調整が実施される。
【0078】
さらに、インデックステーブル1が回転し停止することにより撮像検査手段40の作業領域にベース91aが配置されると検査が実施され、電極パッド92a,92bの位置と、ベース91aの傾きとに係る情報が取得される。
【0079】
続いて、インデックステーブル1が回転し停止することによりベース91aが第1塗布手段10の作業領域に配置されると、電極パッドへの導電性樹脂の下塗布が実施される。このとき、撮像検査手段40による検査結果に基づいてX−Y方向における処理実施位置が調整された後、この調整後の処理実施位置に従って第1塗布手段10のX−Y方向における位置調整が実施された状態で電極パッドへ導電性樹脂が塗布される。なお、前記位置計測手段による測定が実施された場合には、当該位置計測手段による測定結果に基づいてZ方向における処置実施位置の調整が実施された後、この調整後の処理実施位置に従って支持手段の降下距離(Z方向における移動距離)の調整が実施された状態で電極パッドへ導電性樹脂が塗布される。
【0080】
その後、インデックステーブル1が回転し停止することによりベース91aが第2搬送手段60の作業領域に配置されると、第2ハンドリングシステム62によって、第2パレット61からベース91aのキャビティに水晶振動片93が搬送される。このとき、前記撮像検査手段40による検査によって得られたベース91aの傾きに係る情報に基づき、ベース91aへの搭載位置が調整される。
【0081】
さらに、インデックステーブル1が回転し停止することによりベース91aが第2塗布手段30の作業領域に配置されると、電極パッドへの導電性樹脂の上塗布が実施される。このとき、撮像検査手段40による検査結果に基づいてX−Y方向における処理実施位置が調整された後、この調整後の処理実施位置に従って第2塗布手段30のX−Y方向における位置調整が実施された状態で電極パッドへ導電性樹脂が塗布される。なお、前記位置計測手段による測定が実施された場合には、当該位置計測手段による測定結果に基づいてZ方向における処置実施位置の調整が実施された後、この調整後の処理実施位置に従って支持手段の降下距離(Z方向における移動距離)の調整が実施された状態で電極パッドへ導電性樹脂が塗布される。
【0082】
続いて、インデックステーブル1が回転し停止することによりベース91aが撮像検査手段20の作業領域に配置されると、撮像検査手段20によって導電性樹脂接合材94a,94b及び水晶振動片93の配置状態を確認し、予め設定された配置状態になっているか否かを検査する。なお、撮像検査手段20とともに前記上塗布位置計測手段が配置されている場合には、当該上塗布位置計測手段による測定結果に基づく導電性樹脂接合材94a,94bの高さの確認も実施される。
【0083】
最後に、インデックステーブル1が回転し停止することによりベース91aが第3搬送手段70の作業領域に配置されると、第3ハンドリングシステム72によってベース91aがインデックステーブル1上のワーク保持部2から第3パレット71へ搬送される。
【0084】
なお、図3に示す圧電振動デバイスの製造装置においては、インデックステーブル1が停止している間に、全ての製造処理手段が各製造処理を同時に実施することが好ましい。
【0085】
次いで、前記調整用ブロックを用いた製造処理手段の基準値補正手順の具体例について説明する。
【0086】
<基準値補正手順の具体例1>
まず、前記調整用ブロックを用いた製造処理手段の基準値補正手順の具体例1について図面を参照しつつ説明する。
【0087】
図4は、図1に示す圧電振動デバイスの製造装置を構成する製造処理手段の一例を示す説明図であり、図5は、図4に示す製造処理手段の基準値補正手順の一具体例を示すフローチャートである。
【0088】
本具体例では、ベース内部の底部に形成された電極パッド上に導電性樹脂を塗布する際に用いられる第1塗布手段10を製造処理手段の一例としている。
【0089】
第1塗布手段10は、図4に示すように、導電性樹脂を収容したシリンジ11、シリンジ11の一端部(紙面下端部)に設けられたニードル11a、シリンジの他端部(紙面上端部)に接続されており加圧エアを供給する供給ホース12、及びシリンジ11を支持する支持部材13を備えており、さらに、図示していないが、支持部材13の水平方向及び垂直方向(Z方向)における位置を変位させる駆動機構、第1塗布手段10(特に、ニードル11a先端部)と調整用ブロック3との接触を検出するための接触検出手段も備えている。この接触検出手段としては、例えば電気信号の変化により接触を検出する計測機器(即ち、シリンジが調整用ブロック3に接触したことでシリンジがわずかに上方に変位したことを検出する変位計)、または光信号の変化により接触を検出する光電センサを用いることができる。
【0090】
供給ホース12は接続部材12aを介してシリンジ11に接続されている。また、支持部材13にはシリンジ11を着脱自在な状態で固定する保持部材13aが固定されている。このシリンジ11は、接続部材12aとシリンジ11との間の接続を解除して供給ホース12を取り外し、保持部材13aによる挟持を解除しながら保持部材13aからシリンジ11を取り出すことによって交換することができる。
【0091】
第1塗布手段10は、電極パッドに対して予め設定された位置までニードル先端部を降下させた後、加圧エアを供給してニードル11aの先端部から導電性樹脂を吐出することにより、電極パッドに導電性樹脂を塗布するといった製造処理を実施する。
【0092】
また、本具体例において、比較データ記憶部8には、吐出部であるニードル11aを待機位置から接触位置へ移動する間に支持部材13が移動する距離の初期設定値を示す比較データが予め格納されている。
【0093】
一般的に、このような構成を有する第1塗布手段10においては、シリンジに充填した導電性樹脂の経時的な硬化により、シリンジ11ごとニードル11aを定期的に交換(または解体洗浄)する必要があり、この交換前と交換後とでニードル11a先端部の位置がずれてしまう場合がある。ここでは、ニードル11a先端部の垂直方向において生じたずれを調整用ブロックを用いて補正する場合について説明する。
【0094】
なお、本具体例では、インデックステーブル1に近接する方向(降下方向)を−方向、インデックステーブル1から離間する方向(上昇方向)を+方向とする。さらに、比較データ記憶部8には比較データとして「−30mm」が格納されているものとする。
【0095】
本具体例では、シリンジ11交換後、まず初めに、制御部6から送信された制御信号に従って、インデックステーブル1が予め設定された角度分回転した後に停止することにより、第1塗布手段10下方に調整用ブロック3が配置される(ステップS1)。
【0096】
続いて、制御部6から送信された制御信号に従って、支持部材13が連続降下する(ステップS2)。
【0097】
その後、接触検出手段において、調整用ブロック3上面にニードル11a先端部(二点鎖線で示す)が接触したことが検出されると(ステップS3での判断結果がNOからYESに変わると)、支持部材13が停止し待機位置まで上昇するとともに、補正データ作成部7で、支持部材13が降下を開始してから停止するまでの間に移動した距離を算出し、移動距離データを取得する(ステップS4)。
【0098】
最後に、補正データ作成部7で、前記比較データとステップS4で取得した移動距離データとの差を補正データとして得る(ステップS5)。その後、この補正データは補正データ作成部7から制御部6へ送信される。
【0099】
なお、前記補正データを得るための計算式は例えば式(1)で表すことができる。
【0100】
補正データ=比較データ−移動距離データ・・・式(1)
このような手順により補正データを得た後、第1塗布手段10による電極パッドへの導電性樹脂の塗布が再開される。このとき、制御部6は駆動機構の動作を制御する制御信号に前記補正データを付加する。この付加により、支持部材13移動距離が交換前と比べて補正データ分変化する。従って、ニードル11a先端部を電極パッド上方の予め設定された位置に配置することができる。
【0101】
例えば、交換によってニードル11a先端部の位置がインデックステーブル1に近接する方向に1mmずれた場合、ステップ4では移動距離データが「−29mm」となり、即ち、補正データは「−1mm」となり、製造処理実施時の支持部材13の移動距離を交換前よりも1mm短くすることができる。従って、シリンジ11の交換により生じたずれを補正することができる。また、交換によってニードル11a先端部の位置がインデックステーブル1から離間する方向に1mmずれた場合、ステップS4では移動距離データが「−31mm」となり、即ち、補正データは「+1mm」となり、製造処理実施時の支持部材13の移動距離を交換前よりも1mm長くすることができる。従って、シリンジ11の交換により生じたずれを補正することができる。
【0102】
本実施形態の圧電振動デバイスの製造装置は、このような基準値補正手順を実施するものであるため、交換前と交換後とでニードル11aの先端部の垂直方向における位置がずれてしまった場合においても、調整用ブロックを用いて作成した補正データを制御信号に付加して、支持部材13の移動距離(即ち、ニードル11a先端部の位置)を補正することができる。その結果、常に一定の条件で導電性樹脂の吐出を実施することができる。
【0103】
なお、図4に示す第1塗布手段10は導電性接着剤を塗布する製造処理手段の一例に過ぎず、この形態に限定されるものではない。また、第1塗布手段のみならず他の製造処理手段(例えば、第2塗布手段30、第1搬送手段50、第2搬送手段60、第3搬送手段70及び位置調整手段80)についても同様の手順で高さに関する基準値の補正を行うことができる。例えば、第1搬送手段50について基準値の補正を行う場合は、ニードルの代わりに第1搬送手段80の挟持片を調整用ブロックに接触させて補正データを作成すればよい。
【0104】
<基準値補正手順の具体例2>
次いで、前記調整用ブロックを用いた製造処理手段の基準値補正手順の具体例2について図面を参照しつつ説明する。
【0105】
図6は、図1に示す圧電振動デバイスの製造装置を構成する製造処理手段の他の例を示す説明図であり、図7は、図4に示す製造処理手段の基準値補正手順の他の具体例を示すフローチャートであり、図8は、図7に示す基準値補正手順を実施している過程における圧電振動デバイスの製造装置の状態の具体例を示す説明図である。
【0106】
図6に示すように、本具体例では、調整用ブロック3上面を撮像し画像データを得る撮像部22と、得られた画像データに対して画像処理を実施する画像処理部23とを備えた撮像検査手段20を製造処理手段の一例としている。
【0107】
撮像部22は、他の製造処理手段によって調整用ブロック3に対して製造処理が施された後、この調整用ブロック3上面を撮像して画像データを得るものであり、例えば、CCD(charge‐coupled device)カメラまたはCMOS(complementary metal−oxide semiconductor)カメラで構成されている。
【0108】
画像処理部23は、画像データに対して画像処理を実施して、調整用ブロック3のどの位置に製造処理が実施されたかを示す位置データを取得するものである。
【0109】
なお、この撮像検査手段20は、例えば、導電性樹脂接合材94a,94b及び水晶振動片93がキャビティ内の予め設定された位置に配置されているか否かを検査するものである。この検査結果を示すデータは制御部6に送信され、予め設定された位置に配置されていない場合には制御部6において不良が発生していると判断される。さらに具体的に説明すると、撮像検査手段20による検査は、例えば、第2塗布手段30による導電性樹脂の上塗布が完了した後、撮像部22によってベース91aのキャビティを撮像して画像データを取得し、画像処理部23によって画像データに対して画像処理を施して、水晶振動片93の中心部を検出し、この中心部が正しい位置(予め設定された位置)であるか否かを判断するといった手順で実施される。なお、中心部が正しい位置であるか否かを判断する際には、この中心部を示す画素からキャビティ内の一つの部位を示す画素までの画素数を検出し、検出した画素数に撮像部22のスケールを掛けることによって中心部から前記一つの部位までの実寸法を算出し、この実寸法に基づいて判断を実施してもよい。
【0110】
なお、ここでは撮像検査手段20についてのみ説明したが、撮像検査手段40も同様の構成を備えたものである。
【0111】
ここでは、図4に示す第1塗布手段10を前記他の製造処理手段の一例とし、シリンジ11の交換により生じたニードル11a先端部の水平方向(X−Y方向)のずれを調整用ブロックを用いて補正する場合について説明する。
【0112】
なお、本具体例では、調整用ブロック3上面の中央部が製造処理が実施される位置に予め設定されており、比較データ記憶部8には、前記他の製造処理手段による製造処理を実施する位置の初期設定値を示す比較データとして、調整用ブロック3上面の中央部の位置を示す比較データが予め格納されている。
【0113】
本具体例では、シリンジ11交換後、まず初めに、制御部6から送信された制御信号に従って、インデックステーブルが予め設定された角度分回転した後に停止することにより、第1塗布手段10下方に調整用ブロック3が配置される(ステップS11)。
【0114】
次いで、インデックステーブルの停止後、ニードル11a先端部が調整用ブロック3上方の予め設定された位置に配置されるまでニードル11aが降下し停止した後、ニードル11aから導電性樹脂が吐出され、調整用ブロック3上面に導電性樹脂21が塗布される(ステップS12。図8(a)参照)。塗布後、ニードル11aは降下前の位置まで上昇する。
【0115】
続いて、制御部6から送信された制御信号に従って、インデックステーブルが予め設定された角度分回転した後に停止することにより、撮像部22の下方に調整用ブロック3が配置される(ステップS13。図8(b)参照)。
【0116】
次いで、インデックステーブルの停止後、撮像部22による撮像が実施され、撮像部22は導電性樹脂21を含む調整用ブロック3上面の画像データを得る(ステップS14)。この画像データは、撮像部22から画像処理部23へ送信される。なお、この撮像後、調整用ブロック3上面に塗布された導電性樹脂21は硬化する前に拭取り及び洗浄のうちの少なくとも一方が実施されることによって除去される。
【0117】
その後、画像処理部23は、画像データに対して画像処理を実施して、画像データから調整用ブロック3上面における導電性樹脂21の塗布位置を示す位置データを検出し(ステップS15)、この位置データを補正データ作成部7へ送信する。この位置データの検出手順の一例としては、まず、画像データから導電性樹脂21の画像領域を抽出し、この画像領域の重心の位置を示す位置データを、製造処理が実施された位置を示す位置データとして取得するといった手順があげられる。
【0118】
最後に、補正データ作成部7で、前記比較データと画像処理部23から送信された位置データとを比較して差を算出する。さらに、この差を解消するためにはどの方向にどの程度の距離シリンジ11(即ち、支持部材)を移動する必要があるのかを算出し、この算出結果を補正データとする(ステップS16)。その後、この補正データは補正データ作成部7から制御部6へ送信される。
【0119】
このような手順により補正データを得た後、第1塗布手段10による電極パッドへの導電性樹脂の塗布が再開される。このとき、制御部6は駆動機構の動作を制御する制御信号に前記補正データを付加する。この付加により、製造処理実施時には、交換前と比べて支持部材13の移動距離及び移動方向が補正データ分変化し、ニードル11a先端部が電極パッド上方の処理実施位置に正しく配置される。
【0120】
なお、ここでは、撮像検査手段20を用いて撮像等を行っているが、撮像検査手段20の代わりに撮像検査手段40を用いてもよく、他の撮像検査手段が配置されている場合には当該他の撮像検査手段を用いてもよい。
【0121】
本実施形態の圧電振動デバイスの製造装置は、このような基準値補正手順を実施するものであるため、交換前と交換後とでニードル11aの先端部の水平方向における位置がずれてしまった場合においても、調整用ブロックを用いて作成した補正データを制御信号に付加して、支持部材13の移動距離及び移動方向を補正することができる。その結果、常に一定の処理実施位置から導電性樹脂の吐出を実施することができる。
【0122】
また、上記導電性樹脂のサイズや形状に係る情報を得ることにより、適切な導電接合が行えているか否かの判定にも用いることができる。
【0123】
なお、ここでは、他の製造処理手段として第1塗布手段10を用いて説明を行ったが、第1搬送手段、位置調整手段、第2搬送手段、第2塗布手段及び第3搬送手段についても水平方向における位置のずれを補正することができる。例えば、第1搬送手段50の支持手段52aについて位置のずれを補正する場合には、ベースを調整用ブロック上に搬送した後、調整用ブロックを撮像し、調整用ブロックの重心とベースの重心とのずれを検出し、ずれが発生している場合にはこのずれの方向や距離に基づいて基準値を補正すればよい。
【0124】
また、前述の具体例1ではニードル先端部の垂直方向のずれを、具体例2ではニードル先端部の水平方向のずれをそれぞれ補正しているが、両方向のずれを補正するために具体例1,2に示す基準値補正手順を順次実施してもよい。
【0125】
<基準値補正手順の具体例3>
次いで、前記調整用ブロックを用いた製造処理手段の基準値補正手順の具体例3について図面を参照しつつ説明する。
【0126】
図9は、図6に示す製造処理手段の基準値補正手順の一具体例を示すフローチャートであり、図10は、図9に示す基準値補正手順を実施している過程において得られた画像データの具体例を示す説明図である。なお、図10のマス目はマトリクス状に配置された複数の画素を概略的に示しており、分かりやすくするために各画素のサイズを実際よりも大きく変更した状態で図示している。
【0127】
ここでは、図8に示す撮像検査手段を製造処理手段の一例とし、撮像検査手段を構成する撮像部22のスケールを調整用ブロックを用いて校正する場合について説明する。
【0128】
なお、本具体例では、比較データ記憶部8には、調整用ブロック3の予め設定された部位の寸法を示す比較データが予め格納されている。
【0129】
まず初めに、制御部6から送信された制御信号に従って、インデックステーブルが予め設定された角度だけ回転した後に停止することにより、撮像部22の下方に調整用ブロック3が配置される(ステップS21)。
【0130】
次いで、インデックステーブルの停止後、撮像部22による撮像が実施され、撮像部22は調整用ブロック3上面の画像データを得る(ステップS22)。この画像データは、例えば、図10に示すように、撮像領域31中に調整用ブロックの画像領域31aを含んだものである。
【0131】
その後、前記画像データは撮像部22から画像処理部23へ送信され、画像処理部23では、撮像領域31から調整用ブロックの画像領域31aを抽出する(ステップS23)。ここでは、上面形状が長方形となっている調整用ブロックを一例として用いているため、長方形の画像領域31aが得られる。
【0132】
続いて、画像処理部23で、画像領域31aのうち、調整用ブロックの予め設定された部位の画像を構成する画素の数(画素数)を検出する(ステップS24)。ここでは、前記予め設定された部位を調整用ブロック3の長辺とする。従って、得られる画素数は「8」となる。得られた前記画素数は、画像処理部23から補正データ作成部7へ送信される。
【0133】
最後に、補正データ作成部7で、前記比較データを前記画素数で割った値を算出し、1画素あたりの寸法であるスケールを補正データとして算出する。
【0134】
このような手順により補正データを得た後、撮像検査手段による検査を再開し、予め設定されているスケールの代わりに算出したスケール(補正データ)を用いて検査結果を得る。
【0135】
なお、ここでは、長方形の調整用ブロック3を用いて説明を行っているが、調整用ブロック3の形状はこれに限定されるものでない。例えば、調整用ブロック3の上面形状が円形である場合は調整用ブロック3上面の直径の寸法を用いてスケールを算出することができる。
【0136】
本実施形態の圧電振動デバイスの製造装置は、このような基準値補正手順を実施するものであるため、ワーク保持部のマークを用いることなく調整用ブロックを用いてスケールを校正することができる。
【0137】
<基準値補正手順の具体例4>
次いで、前記調整用ブロックを用いた製造処理手段の基準値補正手順の具体例4について図面を参照しつつ説明する。
【0138】
図11は、図1に示す圧電振動デバイスの製造装置を構成する調整用ブロックを用いた製造処理手段の基準値補正手順の具体例を示すフローチャートであり、図12は、図11に示す基準地補正手段を実施している過程における圧電振動デバイスの製造装置の状態の具体例を示す説明図である。
【0139】
本具体例では、製造処理手段として位置計測手段の一例であるレーザ変位計41を用いて説明を行う。
【0140】
このレーザ変位計41は、製造処理実施時には、例えば導電性樹脂の塗布を行う前に全ての電極パッドの高さを測定し、この測定結果を示すデータを制御部に送信するものであり、制御部はこの測定結果に基づいて塗布時のニードル先端部の高さ(垂直方向における位置)を調整している。
【0141】
レーザ変位計41は、半導体レーザ及び集光用レンズ等を備え、測定光Cを出力する発光部と、測定対象物(例えば、調整用ブロック3または電極パッド)上面で測定光Cが反射することにより得られる反射光Dを受光し、受光量に応じた電気信号を出力する受光部と、受光部から出力された電気信号に基づいて調整用ブロック3上面及び電極パッド上面の垂直方向における位置(即ち、インデックステーブル1上面からの高さ)を示す位置データを得る演算処理部とから構成されている。
【0142】
一般的に、レーザ変位計41は、性能試験や初期設定が行われた後に出荷され、出荷先で予め設定された部位の位置等を測定する非接触検査手段等として用いられる。しかしながら、このレーザ変位計41の性能は、機器校正に左右される場合があり、また、使用環境(特に温度)によって正しい検出結果が得られない場合もある。そのため、使用時に正しい検出結果が得られず、測定誤差が生じてしまう場合がある。
【0143】
本具体例では、このレーザ変位計41の測定誤差の校正を調整用ブロック3を用いて実施する場合について説明する。
【0144】
なお、本具体例では、比較データ記憶部8には、調整用ブロック3の予め設定された部位の位置の初期設定値を示す比較データとして、調整用ブロック3上面の位置(インデックステーブル1上面からの高さ)、具体的には「30mm」が格納されているものとする。
【0145】
本具体例では、レーザ変位計41を用いた製造処理が実施される前に、制御部6から送信された制御信号に従って、インデックステーブル1が予め設定された角度分回転した後に停止することにより、レーザ変位計41の測定領域に調整用ブロック3が配置される(ステップS31)。
【0146】
続いて、図12中に矢印Cで示すようにレーザ変位計41の発光部から調整用ブロック3上面に測定光Cを照射し、調整用ブロック3上面で反射した反射光Dを受光部で受光する(ステップS32)。なお、電源立ち上げから測定光Cの照射までに充分な時間をかけることによって、レーザ変位計41の性能を安定させておく。
【0147】
次いで、演算処理部で、受光した反射光Dに基づき調整用ブロック3上面の位置を示す位置データを得る(ステップS33)。
【0148】
最後に、補正データ作成部7で、前記比較データと演算処理部から送信された位置データとを比較して差を補正データとして得る(ステップS34)。その後、この補正データは補正データ作成部7から制御部6へ送信される。
【0149】
なお、前記補正データを得るための計算式は例えば式(2)で表すことができる。
【0150】
補正データ=比較データ−位置データ・・・式(2)
このような手順により補正データを得た後、レーザ変位計41による電極パッドの高さ測定が開始される。このとき、制御部6は制御信号に補正データを付加するため、レーザ変位計41から出力される位置データ(測定結果)が補正データ分変化し、レーザ変位計41の測定誤差の校正が実施される。
【0151】
例えば、ステップS33で得られた位置データが「29mm」であった場合、補正データは「+1mm」となる。従って、製造処理実施時にはレーザ変位計41から出力される測定結果が補正前と比較して1mm大きい値となり、正しい測定結果が得られる。また、ステップS33で得られた位置データが「31mm」であった場合、補正データは「−1mm」となる。従って、製造処理実施時にはレーザ変位計41から出力される測定結果が補正前と比較して1mm小さい値となり、正しい測定結果が得られる。
【0152】
本実施形態の圧電振動デバイスの製造装置は、このような基準値補正手順を実施するものであるため、製造処理を実施する使用環境においてレーザ変位計の測定誤差の校正を実施することができる。
【0153】
なお、前述の具体例1において、調整用ブロックは、導電性樹脂の拭取りが容易な材料を用いて形成されていることが好ましい。また、具体例2及び3において、調整用ブロックは、画像処理の精度を向上するために、画像処理時にインデックステーブル及び導電性樹脂との境界部分を明確に抽出することができる色であることが好ましい。また、前述の具体例1〜4において、整用ブロックは、例えば、セラミックを用いて形成されていてもよい。
【0154】
また、インデックステーブル上での調整用ブロックの個数は、1個でもあってもよく、複数個であってもよい。しかしながら、各調整用ブロックの配置状態(例えば、配置位置、高さ及び傾き等)の違いに影響されて正確に基準値補正を行うことができなくなってしまうことを防止するために、インデックステーブル上での調整用ブロックの個数は1個であることがより好ましい。
【0155】
さらに、調整用ブロックは等間隔に配置したワーク保持部の間に設置してもよい。この場合、調整用ブロックは、いずれか一つのワーク保持部間に1個設置されていてもよく、また、複数のワーク保持部間にそれぞれ設置されることによって複数個設置されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0156】
本発明の圧電振動デバイスの製造装置は、小型の圧電振動デバイスを製造する際に活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【図1】本発明の圧電振動デバイスの製造装置の一実施形態を示す説明図である。
【図2】図1に示す圧電振動デバイスの製造装置を用いて製造される圧電振動デバイスの一例を示す説明図である。
【図3】図1に示す圧電振動デバイスの製造装置を構成するワーク保持部、複数の製造処理手段、調整用ブロック及び搬送部の一例を示す説明図である。
【図4】図1に示す圧電振動デバイスの製造装置を構成する製造処理手段の一例を示す説明図である。
【図5】図4に示す製造処理手段の基準値補正手順の一具体例を示すフローチャートである。
【図6】図1に示す圧電振動デバイスの製造装置を構成する製造処理手段の他の例を示す説明図である。
【図7】図4に示す製造処理手段の基準値補正手順の他の具体例を示すフローチャートである。
【図8】図7に示す基準値補正手順を実施している過程における圧電振動デバイスの製造装置の状態の具体例を示す説明図である。
【図9】図6に示す製造処理手段の基準値補正手順の一具体例を示すフローチャートである。
【図10】図9に示す基準値補正手順を実施している過程において得られた画像データの具体例を示す説明図である。
【図11】図1に示す圧電振動デバイスの製造装置を構成する調整用ブロックを用いた製造処理手段の基準値補正手順の具体例を示すフローチャートである。
【図12】図11に示す基準地補正手段を実施している過程における圧電振動デバイスの製造装置の状態の具体例を示す説明図である。
【図13】従来の圧電振動デバイスの一例を示す説明図である。
【図14】従来の圧電振動デバイスの製造装置の一例を示す説明図である。
【図15】従来の圧電振動デバイスの製造装置を構成するワーク保持部の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0158】
1 インデックステーブル
2 ワーク保持部
3 調整用ブロック
4 ワーク
6 制御部
7 補正データ作成部
8 比較データ記憶部
10 第1塗布手段
20,40 撮像検査手段
30 第2塗布手段
50 第1搬送手段
60 第2搬送手段
70 第3搬送手段
80 位置調整手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
励振電極が形成された圧電振動片と、当該圧電振動片を気密封止する筐体と、当該筐体内に配置され、前記励振電極に電気的に接続された電極パッドとを備えてなる圧電振動デバイスを製造する圧電振動デバイスの製造装置において、
ワークが載置されるワーク保持部と、前記ワークに対して製造処理を実施する複数の製造処理手段と、各製造処理手段の動作を制御する制御信号を前記製造処理手段に送信する制御部と、前記製造処理手段を用いた補正データ取得処理が施される調整用ブロックと、前記補正データ取得処理の結果に基づいて前記制御信号に付加される補正データを得る補正データ作成部とを備えてなることを特徴とする圧電振動デバイスの製造装置。
【請求項2】
請求項1記載の圧電振動デバイスの製造装置において、前記調整用ブロック及びワーク保持部を搬送する搬送部をさらに備えている圧電振動デバイスの製造装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の圧電振動デバイスの製造装置において、
前記複数の製造処理手段のうちの少なくとも1つの製造処理手段が、前記製造処理として吐出部から接着剤を吐出して接着剤の塗布を実施する処理実施手段と、当該処理実施手段を支持する支持手段と、前記支持手段の位置を変位させて前記吐出部の先端部を待機位置から処理実施位置または調整用ブロックに接触する位置である接触位置まで移動させる駆動手段とから構成されており、
前記吐出部を待機位置から接触位置へ移動する間に支持手段が移動する距離の初期設定値を示す比較データを予め格納した比較データ記憶手段をさらに備えており、
前記補正データ取得処理が、前記吐出部を前記待機位置から前記接触位置まで移動して調整用ブロックに接触させるステップからなり、
前記補正データ作成部が、前記吐出部を待機位置から接触位置へ移動する間に支持手段が移動した距離を示す移動距離データを前記製造処理の結果として取得し、当該取得した移動距離データと比較データとの差を、前記1つの製造処理手段の動作を制御する制御信号に付加される補正データとして得るものである圧電振動デバイスの製造装置。
【請求項4】
請求項1,2または3記載の圧電振動デバイスの製造装置において、
前記複数の製造処理手段のうちの少なくとも1つの製造処理手段が、前記製造処理としてワークを保持し搬送する処理実施手段と、当該処理実施手段を支持する支持手段と、前記支持手段の位置を変位させて前記処理実施手段の先端部を待機位置から処理実施位置または調整用ブロックに接触する位置である接触位置まで移動させる駆動手段とから構成されており、
前記処理実施手段の先端部を待機位置から接触位置へ移動する間に支持手段が移動する距離の初期設定値を示す比較データを予め格納した比較データ記憶手段をさらに備えており、
前記補正データ取得処理が、前記処理実施手段を前記待機位置から前記接触位置まで移動して調整用ブロックに接触させるステップからなり、
前記補正データ作成部が、前記処理実施手段の先端部が待機位置から接触位置まで移動するまでの間に支持手段が移動した距離を示す移動距離データを前記製造処理の結果として取得し、当該取得した移動距離データと比較データとの差を、前記1つの製造処理手段の動作を制御する制御信号に付加される補正データとして得るものである圧電振動デバイスの製造装置。
【請求項5】
請求項1,2,3または4記載の圧電振動デバイスの製造装置において、
前記複数の製造処理手段のうちの少なくとも1つの製造処理手段が、他の製造処理手段による製造処理実施後の前記ワーク保持部を撮像して画像データを得る撮像手段と、前記画像データに対して画像処理を施し、前記製造処理が実施された位置を示す位置データを取得する画像処理手段とから構成されており、
前記他の製造処理手段による製造処理を実施する位置の初期設定値を示す比較データを予め格納した比較データ記憶手段をさらに備えており、
前記補正データ取得処理が、調整用ブロックに対して他の製造処理手段による製造処理を実施するステップと、前記撮像手段を用いて調整用ブロックを撮像して画像データを得るステップと、前記画像処理手段を用いて画像データに対して画像処理を施し前記製造処理が実施された位置を示す位置データを取得するステップとからなり、
前記補正データ作成部が、取得した位置データと前記比較データとの差を、前記他の製造処理手段の動作を制御する制御信号に付加される補正データとして得るものである圧電振動デバイスの製造装置。
【請求項6】
請求項1,2,3,4または5記載の圧電振動デバイスの製造装置において、
前記複数の製造処理手段のうちの少なくとも1つの製造処理手段が、前記ワーク保持部を撮像して画像データを得る撮像手段と、前記画像データに対して画像処理を実施して、前記ワーク保持部の予め設定された部位の画像を構成する画素数を検出する画像処理手段とから構成されており、
前記調整用ブロックの予め設定された部位の寸法を示す比較データを予め格納した比較データ記憶手段をさらに備えており、
前記補正データ取得処理が、前記撮像手段を用いて調整用ブロックを撮像して画像データを得るステップと、前記画像処理手段を用いて画像データに対して画像処理を施し調整用ブロックの予め設定された部位の画像を構成する画素数を検出するステップとからなり、
前記補正データ作成部が、前記比較データを検出した画素数で割った値を、前記1つの製造処理手段の動作を制御する制御信号に付加される補正データとして得るものである圧電振動デバイスの製造装置。
【請求項7】
請求項1,2,3,4,5または6記載の圧電振動デバイスの製造装置において、
前記複数の製造処理手段のうちの少なくとも1つの製造処理手段が、ワーク保持部の予め設定された部位の位置を計測して当該予め設定された部位の位置を示す位置データを得る位置計測手段を備えており、
前記調整用ブロックの予め設定された部位の位置の初期設定値を示す比較データを予め格納した比較データ記憶手段をさらに備えており、
前記補正データ取得処理が、位置計測手段を用いて前記調整用ブロックの予め設定された部位の位置を示す位置データを取得するステップからなり、
前記補正データ作成部が、前記比較データと取得した位置データとの差を、前記1つの製造処理手段の動作を制御する制御信号に付加される補正データとして得るものである圧電振動デバイスの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−124233(P2010−124233A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295989(P2008−295989)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(000149734)株式会社大真空 (312)
【Fターム(参考)】