説明

圧電振動デバイス

【課題】 電磁波ノイズ対策がとれた、特性の安定した圧電振動デバイスを提供する。
【解決手段】 表面実装型水晶振動デバイスは、上部が開口した凹部を有するセラミックパッケージ1と、当該パッケージの中に収納される圧電振動板である水晶振動板3と、パッケージの開口部に接合されるリッド2とからなる。水晶振動デバイスの矩形状のリッド2の上面(表面)にはほぼ全面に渡ってシールド膜4が形成されている。当該シールド膜4はニッケル膜が形成からなる。前記リッド角部のシールド膜には連結電極4aが接続され、当該連結電極4aはシールド膜4から水晶振動デバイスの角部においてリッド側面、鉛フリーガラス材からなる接合材、そしてパッケージの側面をとおり、前記キャスタレーション内に形成された側面電極13aに渡って形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に用いられる圧電振動デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化、集積化が進み電磁波ノイズ(EMI)対策の必要性が高まっている。圧電振動デバイスにおいても外部からの電磁波ノイズによる周波数への悪影響が生じたり、あるいは圧電振動デバイスからのノイズにより、他の電子部品に悪影響を及ぼすことがあった。このような悪影響を排除するためにカバー(リッド)に導電体を形成し、電磁波ノイズのシールド効果を得る案が提案されていた。このような構成例を特許文献1(特開平10−209795号)に示す。本構成では、第1のカバーおよび第2のカバー2と、これらの間に狭持した振動板とを備えた振動子において、第2のカバー2の該表面と外周端面部分の凹部を導電体で覆い、第1のカバーに形成した第2の外部電極と導電体が電気的に導通していることで、導電体が振動子のシールドとして働き、外来ノイズから振動子を保護し、振動子からの内部輻射による他部品への影響を防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−209795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
圧電振動デバイスはハンダによりプリント配線基板等電気的機械的に接続されるが、前記シールドとして働く導電体が、前記ハンダ接合時に損傷してしまうことがあった。具体的には、導電体が金や銀等からなる場合当該金や銀等がハンダに拡散する、いわゆるハンダ喰われ現象により金属膜が一部滅失してしまうことがあった。このような場合、導電体が一部電気的に切断されることになり、導電体による電磁波ノイズに対するシールド効果が機能しなくなることがあった。
【0005】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、電磁波ノイズ対策がとれた、特性の安定した圧電振動デバイスを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するためになされたもので、請求項1に記載したように、励振電極が形成された圧電振動板と、当該圧電振動板を収納する収納部を有し、開口部を有するパッケージと、当該パッケージの開口部と気密接合され、絶縁材料からなるリッドと、を具備する圧電振動デバイスであって、前記パッケージには外部接続電極が形成されるとともに、当該外部接続電極と接続され前記パッケージの外部側面に引き出された側面電極を有し、前記リッドの一方または両方の主面にシールド膜が形成され、当該シールド膜は連結電極を介して前記側面電極と接続され、かつ前記連結電極はハンダ濡れ性の低い導電材からなることを特徴としている。
【0007】
上記構成であれば、前記リッドの一方または両方の主面にシールド膜が形成され、当該シールド膜は連結電極を介して前記側面電極と接続され、かつ前記連結電極はハンダ濡れ性の低い導電材からなる構成であるので、シールド膜により、外来ノイズから圧電振動デバイスを保護し、また圧電振動デバイスからの輻射による他部品への影響を防ぐことができる。
【0008】
またパッケージに側面電極が形成されている構成により、圧電振動デバイスがハンダ(導電接合材)により実装基板等に外部接続された場合、ハンダによるフィレットの形成が容易になり、接合強度が向上する。なお、前記連結電極は側面電極の一部と接合されていればよい。
【0009】
また前記連結電極はハンダ濡れ性の低い金属材料からなる構成であるので、連結電極からシールド膜側に導電接合材が流れることを抑制し、これにより半田喰われによる連結電極の切断を抑制し、また側面電極部分にハンダが留まるので、ハンダによるフィレットを十分に形成することができる。なお、ハンダは鉛フリーハンダ等の低融点金属材料からなる。
【0010】
また請求項2に示すように、前記連結電極は前記側面電極全体を覆う状態に形成され、かつハンダ濡れ性の低い導電材の上面にハンダ濡れ性が高い導電材が形成された構成であることを特徴とする圧電振動デバイスであってもよい。
【0011】
請求項2に示す構成であれば、連結電極がハンダ濡れ性の低い導電材(下層)の上面にハンダ濡れ性が高い導電材(上層)が形成された構成であるので、ハンダ材が側面電極領域に形成された連結電極に拡がり、フィレットの形成が確実にでき、接合強度が向上する。また、連結電極の上層にハンダ喰われが生じたとしても、下層のハンダ濡れ性の低い材料の存在により、連結電極の損傷や切断を抑制することができる。これによりシールド膜が確実に電気的に外部と接続することができ、外来ノイズから圧電振動デバイスを保護し、また圧電振動デバイスからの輻射による他部品への影響を防ぐことができる。
【0012】
なお、ハンダ濡れ性については、次のような確認を行った。試料台としてアルミナセラミック板上にそれそれ確認したい導電材を膜状に形成した。形成した膜厚は300nmである。当該導電材の膜に対し溶融した鉛フリーハンダ(Sn96.5wt%−Ag3.0 wt%―Cu0.5 wt%)を滴下し、その拡がり状況を確認した。滴下したハンダがその滴下粒のサイズを大きく越えて拡がった材料をハンダ濡れ性の高い材料、滴下したハンダがその滴下粒のサイズから拡がらなかった材料をハンダ濡れ性の低い材料とした。具体例をあげると、アルミナセラミック板上に厚さ300nmの金膜をスパッタリング法にて形成し、溶融した鉛フリーハンダ(Sn96.5wt%−Ag3.0 wt%―Cu0.5 wt%)を滴下した。金膜においては滴下したハンダがその滴下粒のサイズを大きく越えて拡がったので、ハンダ濡れ性の高い導電材とした。
【0013】
さらに請求項3に示すように、パッケージとリッドは鉛フリーガラス材により接合され、前記連結電極は前記鉛フリーガラス材上を通って形成されている構成であってもよい。
【0014】
リッドはパッケージ上にガラス材等の封止材料で接合するが、ここで用いるガラス材が鉛を含有する材料の場合、図3のBで示すような当該ガラス材上の連結電極部分が剥離し、これに起因して連結電極が切断することがあった。このような場合、上記シールド膜による外来ノイズから圧電振動デバイスを保護し、また圧電振動デバイスからの輻射による他部品への影響を防ぐ効果が得られない不具合の生じることがあった。このような不具合について、発明者がガラス材上の連結電極部分を詳細に観察したところ、連結電極を構成する金属膜の密着性が大きく低下していることを確認した。当該ガラス材にを鉛フリーガラス材を用いた場合、このような密着性の低下は見られず、剥離の問題が抑制できたことを確認した。
【0015】
請求項3の構成によれば、シールド膜が確実に電気的に外部と接続することができ、外来ノイズから圧電振動デバイスを保護し、また圧電振動デバイスからの輻射による他部品への影響を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電磁波ノイズ対策がとれた、特性の安定した圧電振動デバイスを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明による第1の実施形態を示す圧電振動デバイスの斜視図
【図2】本発明による第1の実施形態を示す圧電振動デバイスの分解斜視図
【図3】本発明による第1の実施形態を示す圧電振動デバイスの角部の側面図
【図4】本発明による第2の実施形態を示す圧電振動デバイスの角部の側面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明による好ましい実施の形態について図面に基づいて説明する。
本発明による第1の実施の形態を表面実装型の水晶振動デバイスを例にとり図1乃至図3とともに説明する。図1は本実施の形態を示す斜視図、図2は本実施の形態を示す分解斜視図、図3は図1に示す表面実装型水晶振動デバイスの角部の側面図である。表面実装型水晶振動デバイスは、上部が開口した凹部を有するセラミックパッケージ1と、当該パッケージの中に収納される圧電振動板である水晶振動板3と、パッケージの開口部に接合されるリッド2とからなる。
【0019】
断面でみて凹形の電子素子収納部10を有するセラミックパッケージ1には、凹形周囲の堤部11を有する構成である。またセラミックパッケージ外周の4角には上下にキャスタレーションC1,C2,C3,C4が形成されている。このうちキャスタレーションC1,C2,C3,C4の各々の下方には側面電極12a,13a、14a、15a(15aは図示せず)が形成されている。
【0020】
本セラミックパッケージ1は矩形平板形状のパッケージ基体と、中央部分が大きく穿設されるとともに外形サイズが前記パッケージ基体とほぼ等しいセラミック枠体からなり、これら各層が積層されて一体的に焼成され、セラミックパッケージ1を構成している。なお、上記焼成成形後、セラミック枠体の上面には前述のガラス層(図示せず)が焼き付け加工等の手法により形成してもよい。当該ガラス層は形成していなくてもパッケージとリッドの気密接合を行うことが可能であるが、ガラス層をセラミックパッケージ側にも形成することにより、後述のリッドに形成されたガラス材との接合強度を向上させることができる。
【0021】
図2に示すように、セラミックパッケージ1の内部底面には電極パッド10a,10bが形成されており、これら電極パッド10a,10bは、各々外部接続電極12b、14bと電気的に接続されている。また外部接続電極12bは側面電極12aと、外部接続電極14bは側面電極14aとそれぞれ電気的に接続されている。
【0022】
前記電極パッド10a,10b間には圧電振動板である矩形の水晶振動板3が搭載されている。水晶振動板3の表裏面には一対の励振電極31,32(32は図示せず)が形成され、例えば水晶振動板3に接してクロム、金の順に、あるいはクロム、銀の順で電極が形成されている。各励振電極は各々電極パッド10a,10bに引き出されており、導電性接合材(図示せず)により導電接合されている。上記接続構成により水晶振動デバイスの入出力端子用の引出電極、すなわち外部接続電極12b,14bは水晶振動デバイスの対向した角部に導出された構成となっている。なお、当該導出構成は、水晶振動デバイスの長辺の一端側に形成してもよいし、短辺の一端側に形成してもよい。
【0023】
セラミックパッケージを気密封止するリッド2は平板形状であり、セラミック材料またはガラスセラミック材料からなる。当該リッド2の接合面には、接合材としてスズリン酸系のガラス材21が形成されている。当該ガラス材は鉛フリーガラス材であり、例えば酸化スズ47重量%、酸化リン31重量%、酸化ジルコン17重量%、そしてアルミナ、酸化ケイ素、酸化鉄、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化クロムを含みその合計が5重量%となる構成を有している。
【0024】
なお図示していないが、当該ガラス材21はパッケージの堤部の幅より大きくかつパッケージ内方において電子素子収納部10にはみ出す状態で周状にリッド2に形成される。また図示していないがガラス材21は、溶融接合時に中央部分が円状またはだ円状または長円状に除去された形状になるようにパターニングしてもよい。
【0025】
上記パッケージとリッドの接合は所定温度の加熱により、図1に示すようにリッドに形成されたガラス材21を溶融させ接合を行う。
【0026】
図1に示すように、水晶振動デバイスの矩形状のリッド2の上面(表面)にはほぼ全面に渡ってシールド膜4が形成されている。当該シールド膜4はハンダ濡れ性の低い導電材からなり、本実施の形態ではニッケル膜が形成されている。なお、シールド膜はリッドの上下面(表裏面)に形成してもよい。シールド電極はリッドのほぼ全面に形成することが好ましいが、一部外周領域にシールド膜が形成されない構成であっても、実質的なシールド効果を得ることができる。
【0027】
また前記リッド角部のシールド膜には連結電極4aが接続され、当該連結電極4aはシールド膜4から水晶振動デバイスの角部においてリッド側面、鉛フリーガラス材からなる接合材、そしてパッケージの側面をとおり、前記キャスタレーション内に形成された側面電極13aに渡って形成されている。
【0028】
本実施の形態においては、前記シールド膜4と連結電極4aとは一体的に形成されており、ニッケル膜が真空蒸着法やスパッタリング法等の成膜手段にて形成されている。なお、連結電極はシールド膜の対向する角部それぞれから各々の側面電極に接続する構成であってもよい。また連結電極は水晶振動デバイスの長辺または短辺の側面をとおり、前記側面電極と接続してもよい。なお、ハンダ濡れ性の低い導電材として、ニッケルに代えてチタン、鉄、コバルト、クロムからなる金属膜を適用してもよいし、これら金属の合金であってもよい。
【0029】
また、この連結電極はシールド膜と別に形成してもよく、シールド膜の形成されたリッドとパッケージとを接合材により接合し、接合後の水晶振動デバイスに対して連結電極を形成し、シールド膜と側面電極とを導電接続してもよい。
【0030】
ところで、気密封止作業はリッドの位置決めと自重封止を行うために、マトリクス状に収納部の設けられたパレットを用い、多数個について一括処理を行えばよい。例えばパッケージと同サイズの凹形の収納部がマトリクス状に形成されたパレットを用意し、当該各収納部にまずリッドをそれぞれ収納した後、水晶振動板の保持されたパッケージをその開口部がリッドと接触するように収納部に逆さに収納する。この状態で所定温度に加熱することによりガラス材を溶融させ、リッドの位置決めと自重封止を行う一括接合処理を行う。
【0031】
なお、上記各実施の形態において、リッドにスズリン酸系ガラス接合材を形成した例を示したが、パッケージとリッドの両接合領域にスズリン酸系ガラス接合材を形成してもよいし、パッケージのみに形成してもよい。また、鉛フリーかつハロゲンフリーのガラス接合材の例としてスズリン酸系ガラスを例示したが、例えば酸化ビスマス系ガラスや酸化バナジウム系ガラス等を用いてもよい。
【0032】
第2の実施の形態について図4に基づいて説明する。図4は表面実装型水晶振動デバイスの角部の側面図である。表面実装型水晶振動デバイスの基本構成は、第1の実施形態に示すような構成であり、上部が開口した凹部を有するセラミックパッケージ1と、当該パッケージの中に収納される圧電振動板である水晶振動板3と、パッケージの開口部に接合されるリッド2とからなる。
【0033】
図4に示すように、水晶振動デバイスの矩形状のリッド2の上面にはほぼ全面にシールド膜5が形成されている。当該シールド膜5は2層構成であり、下層としてハンダ濡れ性の低い導電材を形成し、その上面に上層としてハンダ濡れ性の高い導電材が形成された構成である。具体的にはハンダ濡れ性の低い導電材としてニッケル合金膜、ハンダ濡れ性の高い導電材として金膜が形成されている。
【0034】
また前記リッド角部のシールド膜には連結電極5aが接続され、当該連結電極5aはシールド膜5から水晶振動デバイスの角部においてリッド側面、鉛フリーガラス材からなる接合材、そしてパッケージの側面をとおり、前記キャスタレーション内に形成された側面電極13aに渡って形成されている。本実施の形態においては、前記シールド膜5と連結電極5aとは一体的に形成されており、上記ニッケル膜と金膜の2層構成の金属膜が真空蒸着法やスパッタリング法等の成膜手段にて形成されている。なお、ハンダ濡れ性の低い導電材として、ニッケルに代えてニッケル合金を適用してもよいし、チタン、鉄、コバルト、クロムを適用してもよい。またなお、ハンダ濡れ性の高い導電材として、金に代えて錫、銀、パラジウムやこれらの合金からなる金属膜を用いてもよいし、またこれら金属粒子を含有した樹脂材料であってもよい。
【0035】
また、この連結電極はシールド膜と別に形成してもよく、シールド膜の形成されたリッドとパッケージとを接合材により接合し、接合後の水晶振動デバイスに対して連結電極を形成し、シールド膜と側面電極とを導電接続してもよい。
【0036】
また本第2実施の形態では、キャスタレーションの下部が上部よりも深く形成されており、このキャスタレーションに側面電極を形成した状態でも凹部13cを形成した構成となっている。このような凹部は実装基板に接合するハンダが入り込むことができるので、接合強度を向上させるとともに、ハンダの無用な這い上がりを抑制することができる。
【0037】
次に、本発明による具体的なシールド膜、連結電極を用いた実施例を以下に示す。実施例に用いた表面実装型水晶振動デバイスは以下の構成であり、リッド表面および連結電極に形成される金属膜の構成を変化させた例を示している。
【0038】
パッケージはアルミナからなるセラミック材料並びに導体を積層して構成され、外形寸法が長辺寸法2.5mm、短辺寸法約2.0mm、高さ約0.45mmの寸法を有している。パッケージを封止するリッドもアルミナからなり、その一主面の外周近傍にガラス接合材が周状に形成されて、その外形寸法は長辺、短辺ともパッケージより若干小さな寸法(例えば0.1mm小さい寸法)であり、また高さはガラス接合材を含んで約0.3mmの寸法を有している。リッドに形成されたガラス接合材の材料はビスマス系のガラス材料であり、例えば酸化ビスマス、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等を含む材料を用いている。パッケージ内には矩形形状のATカット水晶振動板が導電フィラー(金属粒子)の添加されたシリコーン系接着剤により導電接合されている。水晶振動板にはクロム、金の順に電極材料が形成されている。なお、下記実施例はすべて実装基板にハンダ接合後、150℃のエージング16時間後の状態のものについて確認している。
【0039】
実施例1は、パッケージとリッドの接合に鉛フリーガラス(ビスマス系ガラス)を用い、シールド膜および連結電極にハンダ濡れ性の低い導電材としてニッケル膜を300nm形成した。なお、連結電極の下端は側面電極の上方までとした。またニッケル膜の厚さは200nm程度まで薄くしてもよい。このような構成の水晶振動デバイスを鉛フリーハンダ(Sn96.5wt%−Ag3.0 wt%―Cu0.5 wt%)により実装基板に接合した。その結果、当該鉛フリーハンダの這い上がりは側面電極に重ねて形成された前記連結電極の下端領域に規制されている。これにより適切なハンダ這い上がり状態およびフィレットの形成を得ることがでた。また鉛フリーガラスを用いているので、当該鉛フリーガラスの表面に連結電極が形成されているが、連結電極が剥離される問題も生じなかった。(図3参照)
【0040】
実施例2は、パッケージとリッドの接合に鉛フリーガラス(ビスマス系ガラス)を用い、シールド膜および連結電極にハンダ濡れ性の低い導電材として厚さ200nmのニッケル膜を、その上面にハンダ濡れ性の高い導電材として厚さ50nmの金膜をそれぞれ形成した。なお、連結電極の下端は側面電極の下端(パッケージの底面近傍)までとした。またニッケル膜の厚さは100nm程度まで薄くしてもよく、また金膜の厚さは30nm程度まで薄くしてもよい。このような構成の水晶振動デバイスを鉛フリーハンダ(Sn96.5wt%−Ag3.0 wt%―Cu0.5 wt%)により実装基板に接合した。
【0041】
その結果、実施例1よりも良好なハンダ濡れ状態となったが、鉛フリーハンダの這い上がりは側面電極形成領域に収まった状態とすることができ、ハンダ喰われによる電極切断等の問題も生じなかった。また鉛フリーガラスを用いているので、当該鉛フリーガラスの表面に連結電極が形成されているが、連結電極が剥離される問題も生じなかった。(図4参照)
【0042】
実施例3は、パッケージとリッドの接合に鉛フリーガラス(スズリン酸系ガラス)を用い、シールド膜および連結電極にハンダ濡れ性の低い導電材として厚さ200nmのニッケル膜を、その上面にハンダ濡れ性の高い導電材として厚さ150nmの銀膜をそれぞれ形成した。なお、連結電極の下端は側面電極の下端(パッケージの底面近傍)までとした。またニッケル膜の厚さは100nm程度まで薄くしてもよく、また銀膜の厚さは80nm程度まで薄くしてもよい。このような構成の水晶振動デバイスを鉛フリーハンダ(Sn96.5wt%−Ag3.0 wt%―Cu0.5 wt%)により実装基板に接合した。
【0043】
その結果、実施例1よりも良好なハンダ濡れ状態となったが、鉛フリーハンダの這い上がりは側面電極形成領域に収まった状態とすることができ、ハンダ喰われによる電極切断等の問題も生じなかった。また鉛フリーガラスを用いているので、当該鉛フリーガラスの表面に連結電極が形成されているが、連結電極が剥離される問題も生じなかった。(図4参照)
【0044】
なお、本発明は、その精神や主旨または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0045】
水晶振動子等の圧電振動デバイスの量産に適用できる。
【符号の説明】
【0046】
1 セラミックパッケージ
12a,13a,14a 側面電極
2 リッド
21 ガラス材
3 水晶振動板
4 シールド膜
4a 連結電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
励振電極が形成された圧電振動板と、当該圧電振動板を収納する収納部を有し、開口部を有するパッケージと、当該パッケージの開口部と気密接合され、絶縁材料からなるリッドと、を具備する圧電振動デバイスであって、
前記パッケージには外部接続電極が形成されるとともに、当該外部接続電極と接続され前記パッケージの外部側面に引き出された側面電極を有し、
前記リッドの一方または両方の主面にシールド膜が形成され、当該シールド膜は連結電極を介して前記側面電極と接続され、かつ前記連結電極はハンダ濡れ性の低い導電材からなることを特徴とする圧電振動デバイス。
【請求項2】
前記連結電極は前記側面電極全体を覆う状態に形成され、かつハンダ濡れ性の低い導電材の上面にハンダ濡れ性が高い導電材が形成された構成であることを特徴とする請求項1記載の圧電振動デバイス。
【請求項3】
パッケージとリッドは鉛フリーガラス材により接合され、前記連結電極は前記鉛フリーガラス材上を通って形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の圧電振動デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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