圧電振動子の周波数調整装置及び周波数調整方法
【課題】圧電振動子の周波数調整方法において、生産性が高く高精度な周波数調整の装置及び方法を提供する。
【解決手段】圧電振動子の周波数を調整する装置において、x軸方向に配列される複数の圧電振動子に対して所定レートで成膜材料を付着させる成膜源、配列された複数の圧電振動子の成膜対象部分を遮蔽/露出するシャッタ、及びシャッタの開閉動作を制御する制御部を備え、制御部が、成膜前に測定された複数の圧電振動子の周波数分布から算出された複数の圧電振動子の質量分布M1(x)から算出された各圧電振動子の必要露出時間t(x)に基づいてシャッタの開閉動作を制御するように構成した。
【解決手段】圧電振動子の周波数を調整する装置において、x軸方向に配列される複数の圧電振動子に対して所定レートで成膜材料を付着させる成膜源、配列された複数の圧電振動子の成膜対象部分を遮蔽/露出するシャッタ、及びシャッタの開閉動作を制御する制御部を備え、制御部が、成膜前に測定された複数の圧電振動子の周波数分布から算出された複数の圧電振動子の質量分布M1(x)から算出された各圧電振動子の必要露出時間t(x)に基づいてシャッタの開閉動作を制御するように構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は圧電振動子の周波数調整装置及び周波数調整方法に関し、より具体的には、音叉型振動片の周波数調整に関する。
【背景技術】
【0002】
電子回路のクロック源として圧電振動子が広く用いられている。近年の電子回路の小型化・高精度化に伴い、圧電振動子にも小型化及び高い周波数精度が求められている。圧電振動子の代表例として音叉型水晶振動子がある。音叉型水晶振動子は音叉の形状をした振動片からなり、その振動片(特に各振動腕の先端部)の質量の調整により共振周波数が決定される。その音叉型振動片の周波数調整方法の例が特許文献1及び2に開示されている。
【0003】
特許文献1の音叉型振動片の周波数調整方法は、(1)圧電材料のウエハに音叉型振動片の外形を加工してその表面に電極膜を形成するとともに音叉型振動片の振動腕に蒸着膜等のいわゆる重り材料を付着させる工程、(2)各音叉型振動片をウエハから切り離す前に個々の振動腕に対してエネルギービームを照射して重り材料をトリミングする粗調工程、及び(3)各音叉型振動片をウエハから切り離した後に各振動腕にエネルギービームを照射して重り材料をトリミングする微調工程からなり、その隣接する照射スポットが互いに部分的に重なるように所定ピッチでシフトさせながらエネルギービームを照射する。
【0004】
特許文献2の音叉型振動片の周波数調整方法は、(1)圧電材料のウエハに音叉型振動片の外形を加工してその表面に電極膜を形成するとともに音叉型振動片の振動腕の表側面に微調用の重り材料を付着させる工程、(2)各音叉型振動片をウエハから切り離す前に各振動腕の裏側面が露出するようにマスクを被せて蒸着により重り材料を付着させる粗調工程、及び(3)各音叉型振動片をウエハから切り離した後に各振動腕の表側面にエネルギービームを照射して重り材料をトリミングする微調工程からなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−133879号公報
【特許文献2】特開2008−92112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、音叉型振動片がさらに小型化し(例えば、振動腕の幅:約100μm、振動腕重り電極の長さ:約500μm、振動片ピッチ:約400μm、等)、高い粗調精度(例えば、±500ppm等)及び高い生産性が求められる状況で、特許文献1のように個々の振動腕にエネルギービームを当てて粗調を行うことは合理的ではなくなってきている。即ち、レーザービームのスポット位置の精度を上げ、かつ、振動腕を削り過ぎないようにレーザービーム出力を微調整するのは現実的ではない。特に、レーザービームによって振動腕を貫通してトリミングした場合、振動腕の面積が減るために後の微調工程におけるイオンビーム照射量等の決定が複雑になるという問題も出てきてしまう。一方で、振動片が小型化したとはいえ、イオンビームで全粗調工程を行うと工程に長い時間を要し、生産性が低下してしまう。
【0007】
また、特許文献2のように、ウエハ全体にマスクを被せて蒸着による粗調を行うと、例えば、蒸着源の真上付近では蒸着膜が厚く、真上から外れるほど薄くなる等、蒸着膜厚のばらつきが発生してしまい、粗調工程の時間は短縮できるもののその調整精度は低下する。特に、粗調前の段階(ウエハを調達した段階)で既にウエハ上に厚さ分布がある場合に、粗調で発生する分布が既存の分布に加わり、粗調精度は著しく低下することになる。上記の結果として、微調工程にかかる負担が増し、生産性が低下してしまう。
【0008】
そこで、本発明は、個々の振動腕ではなくウエハ全体に対して粗調を行うことによってタクトを短くしつつも、全体の粗調レベルのばらつきを相殺できるような周波数調整の装置及び方法を提供し、周波数調整の生産性及び精度を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の側面は、圧電振動子の周波数を調整する装置であって、x軸方向に配列される複数の圧電振動子に対して所定レートで成膜材料を付着させる成膜源、配列された複数の圧電振動子の成膜対象部分を遮蔽/露出するシャッタ、及びシャッタの開閉動作を制御する制御部を備え、制御部が、成膜前に測定された複数の圧電振動子の周波数分布から算出された複数の圧電振動子の質量分布M1(x)から算出された各圧電振動子の必要露出時間t(x)に基づいてシャッタの開閉動作を制御するよう構成された装置である。
【0010】
本発明の第2の側面は、圧電振動子の周波数を調整する装置であって、x軸方向に配列される複数の圧電振動子に対して所定レートでビーム照射する照射源、配列された複数の圧電振動子のトリミング対象部分を遮蔽/露出するシャッタ、及びシャッタの開閉動作を制御する制御部を備え、制御部が、ビーム照射前に測定された複数の圧電振動子の周波数分布から算出された複数の圧電振動子の質量分布M2(x)から算出された各圧電振動子の必要露出時間t(x)に基づいてシャッタの開閉動作を制御するよう構成された装置である。ここで、照射源をイオンガンとするのが好ましい。
【0011】
上記第1及び第2の側面において、シャッタが、x軸方向に開閉動作する一対の第1及び第2のシャッタ板からなり、第1及び第2のシャッタ板の対向する端面が、必要露出時間t(x)の極大値又は最大値を与えるxを起点として開閉移動するように、制御部が第1及び第2のシャッタ板を制御するように構成した。
また、シャッタがx軸方向に対して傾斜したエッジ部分を有する1枚のシャッタ板からなり、エッジ部分が複数の圧電振動子を通過するように、制御部がシャッタ板をx軸に垂直なy軸方向に移動させるように構成してもよい。
【0012】
本発明の第3の側面は、圧電振動子の周波数を調整する装置であって、x軸方向及びx軸に垂直なy軸方向に配列される複数の圧電振動子に対して所定レートで成膜材料を付着させる成膜源、配列された複数の圧電振動子の成膜対象部分を遮蔽/露出するシャッタ、及びシャッタの開閉動作を制御する制御部を備え、制御部が、成膜前に測定された複数の圧電振動子の周波数分布から算出された複数の圧電振動子の質量分布M1(x、y)から算出された各圧電振動子の必要露出時間t(x、y)に基づいてシャッタの開閉動作を制御するよう構成された装置である。
【0013】
本発明の第4の側面は、圧電振動子の周波数を調整する装置であって、x軸方向及びx軸に垂直なy軸方向に配列される複数の圧電振動子に対して所定レートでビーム照射する照射源、配列された複数の圧電振動子のトリミング対象部分を遮蔽/露出するシャッタ、及びシャッタの開閉動作を制御する制御部を備え、制御部が、ビーム照射前に測定された複数の圧電振動子の周波数分布から算出された複数の圧電振動子の質量分布M2(x、y)から算出された各圧電振動子の必要露出時間t(x、y)に基づいてシャッタの開閉動作を制御するよう構成された装置である。ここで、照射源をイオンガンとするのが好ましい。
【0014】
上記第3又は第4の側面において、シャッタが、端面がx−y平面上で交差して重なり合う第1及び第2のシャッタ板からなり、第1のシャッタ板と第2のシャッタ板の交差部分が、必要露出時間t(x、y)の極大値又は最大値を与える(x、y)を起点として移動するように、制御部が第1及び第2のシャッタ板を制御するように構成した。
【0015】
本発明の第5の側面は、x軸方向に配列される複数の圧電振動子に対して所定レートで成膜する成膜源、及び配列された複数の圧電振動子の成膜対象部分を遮蔽/露出するシャッタを備えた装置によって圧電振動子の周波数を調整する方法であって、複数の圧電振動子各々の周波数分布を測定するステップ、周波数分布から複数の圧電振動子の質量分布M1(x)を算出するステップ、質量分布M1(x)から各圧電振動子の必要露出時間t(x)を算出するステップ、及び必要露出時間t(x)に基づいてシャッタを開閉動作させて前記ウエハに対して成膜するステップを備える方法である。
【0016】
本発明の第6の側面は、x軸方向に配列される複数の圧電振動子に対して所定レートでトリミングする照射源、及び配列された複数の圧電振動子のトリミング対象部分を遮蔽/露出するシャッタを備えた装置によって圧電振動子の周波数を調整する方法であって、複数の圧電振動子各々の周波数分布を測定するステップ、周波数分布から複数の圧電振動子の質量分布M2(x)を算出するステップ、質量分布M2(x)から各圧電振動子の必要露出時間t(x)を算出するステップ、及び必要露出時間t(x)に基づいてシャッタを開閉動作させてウエハに対してエネルギービームを照射するステップを備える方法である。ここで、ビーム照射するステップをイオンビームを照射するステップとすることが好ましい。
【0017】
上記第5又は第6の側面において、シャッタがx軸方向に開閉動作する一対の第1及び第2のシャッタ板からなり、移動制御するステップにおいて、第1及び第2のシャッタ板の対向する端面が、必要露出時間t(x)の極大値又は最大値を与えるxを起点として移動制御されるようにした。
また、シャッタがx軸方向に対して傾斜したエッジ部分を有する1枚のシャッタ板からなり、移動制御するステップを、エッジ部分が複数の圧電振動子を通過するようにシャッタ板をx軸に垂直なy軸方向に移動させるステップとしてもよい。
【0018】
本発明の第7の側面は、コンピュータを、上記第1から第4の側面の周波数調整装置の制御部として機能させるプログラムであり、本発明の第8の側面は第7の側面のプログラムを格納した記憶媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1A】本発明の第1の実施例による周波数調整装置のブロック図である。
【図1B】音叉型振動片が形成されたウエハを示す図である。
【図2】本発明の第1の実施例による製造方法のフローチャートである。
【図3A】本発明の第1の実施例を説明する図である。
【図3B】本発明の第1の実施例を説明する図である。
【図4】本発明の第1の実施例を説明する図である。
【図5】本発明の第1の実施例を説明する図である。
【図6】本発明の第1の実施例を説明する図である。
【図7】本発明の第2の実施例による周波数調整装置のブロック図である。
【図8】本発明の第2の実施例による製造方法のフローチャートである。
【図9】本発明の第2の実施例を説明する図である。
【図10】本発明の第1の変形例を示す図である。
【図11A】本発明の第2の変形例を示す図である。
【図11B】本発明の第2の変形例を示す図である。
【図12】本発明の第3の変形例を示す図である。
【図13】本発明の周波数調整方法を実行する汎用コンピュータシステムの上位ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施例1.
図1A及び1Bに第1の実施例の周波数調整装置100の構成図を示す。
図1Aに示すように、装置100は、ウエハ10に対して所定レートで成膜材料を蒸発させる蒸発源20、ウエハ10の成膜対象部分を画定するマスク51、マスク51で露出される部分を遮蔽/露出するシャッタ40、及びシャッタ40の開閉動作を制御するシャッタ制御部45を備える。
【0021】
説明の便宜上、図1A及び1Bにおける左右の方向をx軸、図1Bにおいてx軸に垂直な方向(図1Aの紙面前後方向)をy軸とする。図1Bに示すように、ウエハ10には複数の音叉型振動片111〜11max(これらをまとめて音叉型振動片11という)が打ち抜かれた状態で配列されている。ウエハ10は搬送トレー52に保持され、搬送機構55によって図のy軸方向に搬送される。本実施例ではm個の音叉型振動片11がx軸方向に同じ向きで配列され、n個がy軸方向に配列されるものとする。蒸発源20は蒸着を想定した蒸発源であり、例えば、抵抗加熱蒸発源が用いられ、蒸発源電源25によって出力制御される。マスク51は窓部51aによってウエハ10の所定部分、即ち、音叉型振動片11の成膜対象部分を露出する。説明の便宜上、図1Bではマスク51を半透明なものとして示しているが、実際には窓部51a以外の部分は蒸発源20から覆い隠される。
【0022】
シャッタ40はシャッタ板41及び42からなり、蒸発源20とマスク51の間に配置され、シャッタ板41及び42は制御部45によってそれぞれx軸方向に移動される。シャッタ板41及び42は独立して制御可能であり、シャッタ40が閉じた場合の両シャッタ板の境界部はx軸方向に移動可能とすることもできる。
なお、蒸発源電源25、シャッタ制御部45及び搬送機構55はそれぞれ独立して動作するものであるが、1つの制御系105によって統合して動作するようにしてもよい。
【0023】
図2に本実施例の周波数調整方法を含む音叉型振動片の製造方法のフローチャートを示す。
工程200でウエハ10が研磨加工される。この工程により、ウエハ10上では厚さのばらつきが発生する。この厚さばらつきは、後の工程202で音叉型振動片を形成した際の周波数ばらつきとなる。具体的な厚さばらつきの態様として、一般に研磨中心から略同心円上に厚さが薄くなる傾向が現れる。例えば、1枚のウエハをその中心から研磨した場合には中心から略同心円上に厚さが薄くなっていく。また、複数のウエハを、各ウエハのx軸が研磨中心を囲むように放射状に並べてその配列の中心から研磨した場合には、各ウエハに図3Aのような厚さ分布が発生する。また、複数のウエハを、各ウエハのy軸が研磨中心を囲むように放射状に並べてその配列の中心から研磨した場合には、各ウエハに図3Bのような厚さ分布が発生する。その他、ウエハの配置や研磨の態様によって各ウエハ上に何らかの厚さ分布が発生する。
【0024】
工程202でウエハ10が打ち抜き加工されて音叉型振動片11が形成される。このとき各音叉型振動片には周波数測定用の電極も形成される。振動片を形成するウェットエッチング工程において、ウエハ上にはさらに、エッチング液の濃度分布や温度分布に起因した厚さ分布が発生する。
【0025】
工程210で音叉型振動片11各々の周波数が測定される。この時点では、通常は各音叉型振動片11の周波数は所望の周波数よりも充分高い。ここで測定された各周波数から各振動片11の質量が求められ、振動片11の質量分布M1(m、n)が得られる。また、M1(m、n)を近似する等してM1(x、y)が求められる。この質量分布M1(m、n)は、予め取得されている周波数対質量の関係に基づいて、測定された周波数から一意的に求められる。当業者には分かるように、測定された周波数に対して質量は、例えば反比例する関係となる。
【0026】
工程212で上記M1(m、n)から各振動片11の必要露出時間t1(m、n)が算出される。具体的には、上記の予め取得されている周波数対質量の関係から目標周波数f0に対する目標質量M0が決定され、不足分質量M1´を、M1´(m、n)=M0−M1(m、n)から算出し、質量M1´(m、n)の蒸着膜を蒸着するための時間t1(m、n)が、t1(m、n)=M1´(m、n)/αから算出される。αは実験等により求められる既知の蒸着レートである。この工程における目標周波数f0は最終的な製品としての目標周波数以下であり、従って目標質量M0は最終的な製品としての質量以上である。
なお、本実施例では、振動片11は一列ごと、即ち、あるyに対して個別に調整されるので、以降は所与のyについて、M1´(m)又はM1´(x)、及びt1(m)又はt1(x)について説明する。
【0027】
そして、工程214において、音叉型振動片11の各露出時間がt1(m)となるように、シャッタ40がシャッタ制御部45によって制御される。
【0028】
具体例として、例えば、図3Aに示すようなウエハの厚さ分布がある場合を採り上げると、M1(x)、M1´(x)、及びt1(x)は図4に示すものとなる。なお、M1(x)、M1´(x)及びt1(x)はそれぞれM1(m)、M1´(m)、及びt1(m)を近似又は補間した直線又は曲線である。従って、M1(x)、M1´(x)及びt1(x)はそれぞれM1(m)、M1´(m)、及びt1(m)を含む概念である。なお、説明の便宜上、x軸について、図の左端をx=x00、t1(x)の極小値を与えるxをx=x01、図の右端をx=x02とする。
【0029】
図4を参照すると、シャッタ板41及び42は、まずシャッタ板41の端部がx00にシャッタ板42の端部がx01に位置するように配置される(a)。次に、シャッタ板41が停止した状態で、シャッタ板42の端部がx00まで移動される(b)。次に、シャッタ板41の端部をx01にシャッタ板42の端部をx02に移動する(c)。次に、シャッタ板42が停止した状態で、シャッタ板41の端部がx02まで移動される(d)。ここで当該y値に対するシャッタの移動が完了する。
【0030】
次のy値について同様に処理することができる。即ち、搬送機構55によって基板トレー52を移動させ、マスク51の窓部51aから次のy列を露出させ、上記(a)〜(d)の動作を行うことができる。或いは、上記の終了状態(d)から、x01〜x02側の動作を行い、その後x00〜x01側の動作を行うようにしてもよい。上記動作はシャッタ41及びシャッタ42を閉じた状態から開いた状態への動作((b)→(a)、(d)→(c))としてもよい。または、シャッタ41及びシャッタ42を閉じた状態から開いた状態とし更に閉じた状態とする往復動作((b)→(a)→(b)、(d)→(c)→(d))としてもよい。なお、あるy値と他のy値においてt1(x)の極小値を与えるxは必ずしも同一とは限らず、x01は各y値での処理において異なる可能性がある。従って、前述したように、シャッタ板41とシャッタ板42の境界の位置は可変とすることが望ましい。
【0031】
各シャッタ板の移動は、各振動片11のピッチ(即ち、t1(m))に合わせてステップ状に移動させてもよいし、近似された曲線(即ち、t1(x))に合わせてリニアに移動させてもよい。
【0032】
例えば図4の(a)から(b)への動作において、シャッタ板42がm番目の振動片を露出させてm+1番目の振動片を覆う時間をs1(m)とし、x=x00付近の振動片をm=1とし、x=x01付近の振動片をm=kとすると、
ステップ状に移動させる場合、
【数1】
であるから、
【数2】
を算出して、s1(m)に従ってシャッタ板42を移動させればよい。
【0033】
また、リニアに移動させる場合は、シャッタ42の移動速度が、図4(a)から(b)で、v=(x00−x01)/{t1(1)}、となるように等速移動させてもよいし、t1(x)の曲線に合わせて途中で加速又は減速するようにしてもよい。
同様のことがシャッタ板41についても当てはまる。
【0034】
いずれにしても(即ち、上記の式に厳密に従わなくても)、上記のシャッタ40の移動により、少なくともx=x00及びx02付近の露出時間がx01付近の露出時間よりも長くなり、当初の質量分布M1(m)の格差が縮小されることが分かる。従って、シャッタ板41とシャッタ板42の境界位置が固定のx値(例えば、x00とx02の中心点)であっても、本実施例の効果をある程度得ることができる。
【0035】
なお、M(m)の分布の不規則性に起因して、必ずしもt1(m)が単調変化しない場合が想定される。t1(m)が、あるm=maについて突出した場合には、例えば、t1(ma)がt1(ma−1) とt1(ma+1)の間のいずれかの値(例えば平均値)であるものとしてシャッタ40を動作させればよい。この場合、振動片11maは、後に続く微調整工程で調整してもよいし、廃棄してもよい。
【0036】
また、図5に示すように、M1´(m)の不規則性が大きい場合には、x10〜x11、x11〜x13、x13〜x14に区間を分けてシャッタ40の制御を行ってもよい。x10〜x11の区間及びx13〜x14の区間は、それぞれ図4で説明したx00〜x01での制御及びx01〜x02での制御と同じである。x11〜x13の間の動作は、x10〜x11の動作終了後に、シャッタ板41及び42を閉じた状態でその境界部がx12に位置するように移動させ、その後シャッタ41の端部をx12とx11の間で往復動作させるとともに、シャッタ42の端部をx12とx13の間で往復動作させればよい。この際、シャッタ41の動作とシャッタ42の動作は独立して行うことができる。x11〜x12の間の動作とx12〜x13の間の動作は同時に行なう。
【0037】
またさらに、例えば、図3Bに示すようなウエハ10の厚さ分布がある場合を採り上げると、M1(x)、M1´(x)、及びt1(x)は図6に示すものとなる。図4と同様に、M1(x)、M1´(x)及びt1(x)はそれぞれM1(m)、M1´(m)、及びt1(m)を近似又は補間した直線又は曲線である。なお、説明の便宜上、x軸について、図の左端をx=x20、右端をx=x21とする。
【0038】
図6を参照すると、シャッタ板41及び42の端部境界がx=x21付近に配置された状態(a)と、シャッタ板42の端部がx21にあり、シャッタ板41の端部がx20にある状態(b)について、状態(a)から(b)への動作、状態(b)から(a)への動作、又はその両方の動作が各y値について行われる。この場合、シャッタ40はシャッタ板41のみを備えていればよい。
【0039】
なお、図6の場合も、シャッタの移動速度、分布の不規則性への対応等は図4の場合と同様である。このように、本実施例のシャッタ40はあらゆる必要露出時間t(x)の分布に対して対応することができる。
【0040】
図2に戻り、工程220で、各振動片11がウエハ10から切り離され、個々の振動片毎に最終的な周波数調整が行われる。具体的には、工程214で多めに付加された蒸着膜を振動片11毎にイオンビームエッチングを施す等してトリミングする。もちろん、工程214における周波数調整終了時に周波数が所望のものとなっていれば、工程220は不要である(工程220が不要となる場合、工程214を粗調とはいわないものとする)。
【0041】
以上により、音叉型振動片の周波数調整が完了する。本実施例によると、複数の振動片について、周波数調整前の振動片の質量ばらつき(即ち、周波数ばらつき)を1つの蒸着工程によって相殺するように周波数調整を行うことができる。従って、複数の振動片のほぼ同時処理によって周波数調整時間を短縮できるだけでなく、粗調としては非常に高い精度の周波数調整が可能となる。結果として、後に続く周波数の微調整にかかる時間も短縮することができ、或いは不要とすることができる。これにより、小型化された振動片に対しても、生産性が非常に高い周波数調整方法乃至は圧電振動片の製造方法を達成できる。
【0042】
実施例2.
実施例1では、重り材料を付加する工程でシャッタを使用する例を示したが、本実施例では、重り材料が既に付加された状態の振動片をエネルギービームでトリミングする工程でシャッタを使用する周波数調整を示す。本実施例ではエネルギービームとしてイオンビームを用いる。
【0043】
図7に本実施例の周波数調整装置300を示す。図7は、図1Aの蒸発源20及び蒸発電源25の代わりにイオンガン30及びイオンガン電源35が設けられた点以外は図1Aと同じである。即ち、装置300は、ウエハ10に対して所定レートでイオンビームを照射するイオンガン30、ウエハ10の照射対象部分を画定するマスク51、マスク51で露出される部分を遮蔽/露出するシャッタ40、及びシャッタ40の開閉動作を制御するシャッタ制御部45を備え、イオンガン電源35、シャッタ制御部45及び搬送機構55はそれぞれ独立して動作するものであるが、1つの制御系305によって統合して動作するようにしてもよい。また、本実施例でも、ウエハ10は図1Bに示す構成と同様であり、x軸及びy軸の定義も実施例1と同様である。
【0044】
図8に本実施例の周波数調整方法を含む音叉型振動片の製造方法のフローチャートを示す。
工程400でウエハ10が研磨加工される。
工程402でウエハ10が打ち抜き加工されて音叉型振動片11が形成される。このとき各音叉型振動片には周波数測定用の電極も形成される。
【0045】
工程410において、蒸着等によりウエハ上の振動片11に重り材料が付加される。この工程で、ウエハそのものの厚み分布に加えてウエハ10上での厚さ(重さ)のばらつきが発生する。実施例1の場合と同様に、この重さばらつきが音叉型振動片の周波数ばらつきとなる。具体的な重さばらつきの態様として、一般に蒸着源の真上を中心に同心円上に厚さが薄くなる傾向が現れる。例えば、複数のウエハを、各ウエハのx軸が蒸着中心を囲むように放射状に並べられた場合には、各ウエハに図3Aと同様の重さ分布が発生する。また、複数のウエハを、各ウエハのy軸が蒸発中心を囲むように放射状に並べられた場合には、各ウエハに図3Bと同様の重さ分布が発生する。その他、ウエハの配置によって各ウエハ上に様々な重さ分布が発生する。なお、この時点では、通常は各音叉型振動片11の周波数は所望の周波数よりも低いものとなっている。
【0046】
工程420で音叉型振動片11各々の周波数が測定される。実施例1と同様に、測定された各周波数から各質量が求められ振動片11の質量分布M2(m、n)が得られる。また、M2(m、n)を近似する等してM2(x、y)が求められる。実施例1と同様に、この質量分布M2(m、n)は、予め取得されている周波数対質量の関係に基づいて、測定された周波数から一意的に求められる。当業者には分かるように、測定された周波数に対して質量は、例えば反比例する関係となる。
【0047】
工程422で上記M2(m、n)から各音叉型振動片の必要露出時間t2(m、n)が算出される。具体的には、上記の予め取得されている周波数対質量の関係から目標周波数f0に対する目標質量M0が決定され、超過質量M2´を、M2´(m、n)=M2−M0(m、n)から算出し、質量M2´(m、n)をトリミングするための照射時間t2(m、n)が、t2(m、n)=M2´(m、n)/βから算出される。βは実験等により求められる既知のイオンビーム照射レートである。この工程における目標周波数f0は最終的な製品としての目標周波数以下であり、従って目標質量M0は最終的な製品としての質量以上である。
なお、本実施例では、音叉型振動片11は一列ごと、即ち、あるyに対して個別に調整されるので、以降は所与のyについて、M2´(m)又はM2´(x)及びt2(m)又はt2(x)について説明する。
【0048】
工程424において、音叉型振動片11の各露出時間がt2(x)となるように、シャッタ40がシャッタ制御部45によって制御される。
【0049】
具体例として、例えば、図3Aに示すようなウエハの重さ分布がある場合を採り上げると、M2(x)、M2´(x)、及びt2(x)は図9に示すものとなる。M2(x)、M2´(x)、及びt2(x)はそれぞれM2(m)、M2´(m)、及びt2(m)を近似又は補間した直線又は曲線である。従って、M2(x)、M2´(x)及びt2(x)はそれぞれM2(m)、M2´(m)、及びt2(m)を含む概念である。なお、説明の便宜上、x軸について、図の左端をx=x30、t2(x)の極大値を与えるxをx=x31、図の右端をx=x32とする。
【0050】
図9を参照すると、シャッタ板41及び42の端部境界がx=x31付近に配置された閉状態(a)と、シャッタ板41の端部がx30にあり、シャッタ板42の端部がx32にある開状態(b)について、状態(a)から(b)への動作、状態(b)から(a)への動作、又はその両方の動作が各y値について行われる。
【0051】
次のy値については、上記(a)又は(b)の状態から搬送機構55によって基板トレー52を移動させ、マスク51から次のy列が露出された状態とし、上記の動作が行われる。なお、あるy値と他のy値においてt2(x)の極大値を与えるxが必ずしも同一とは限らず、x31は各y値での処理において異なる可能性がある。従って、シャッタ板41とシャッタ板42の境界の位置は可変とすることが望ましい。
【0052】
例えば、図9の状態(a)から(b)への片道動作において、シャッタ板42がm番目の振動片を露出させてm+1番目の振動片を覆う時間をs2(m)とし、x=x31付近の振動片をm=1とし、x=x32付近の振動片をm=kとすると、
ステップ状に移動させる場合、
【数3】
であるから、
【数4】
を算出して、s2(m)に従ってシャッタ板42を移動させればよい。
【0053】
また、リニアに移動させる場合は、シャッタ42の端部の移動速度が、((a)→(b)のみの場合)v=(x32−x31)/t1(x31)、((b)→(a)のみの場合)v=(x31−x32)/t1(x31)、又は((b)⇔(a)往復の場合)v=±2×x31/t1(x31)となるように等速移動させてもよいし、t2(x)の曲線に合わせて途中で加速又は減速するようにしてもよい。
同様のことがシャッタ板41についても当てはまる。
【0054】
いずれにしても(即ち、上記の式に厳密に従わなくても)、上記のシャッタ40の移動により、少なくともx=x31付近の露出時間がx30及びx32付近の露出時間よりも長くなり、当初の質量分布M2(m)の格差が縮小されることが分かる。
本実施例の場合も、シャッタの移動速度、分布の不規則性への対応等は実施例1の場合と同様である。x30〜x31の間の動作とx31〜x32の間の動作は同時に行なうことにより生産性を向上させる。またイオンビームエッチングを採用することにより、振動腕の面積を確保して微調の精度を向上させる。
【0055】
図8に戻り、工程430で、各振動片11がウエハ10から切り離され、個々の振動片毎に最終的な周波数調整が行われる。具体的には、工程424でやや多めに残された重り材料を振動片毎にイオンビームエッチングを施す等してトリミングする。もちろん、工程424における周波数調整終了時に周波数が所望のものとなっていれば、工程430は不要である(工程430が不要の場合、工程420−424を粗調とはいわないものとする)。
【0056】
以上により、音叉型振動片の周波数調整が完了する。本実施例によると、複数の振動片について、周波数調整前の振動片の質量ばらつき(即ち、周波数ばらつき)を1つのトリミング工程によって相殺するように周波数調整を行うことができる。従って、複数振動片のほぼ同時処理によって周波数調整時間を短縮できるだけでなく、小型化された振動片に対しても、粗調としては非常に高い精度の周波数調整が可能となる。特に、トリミング用のエネルギービームとしてイオンビームを用いたので、その照射の均一性や出力制御の容易性が担保され、特に好適な装置を構成することができる。結果として、後に続く周波数の微調整にかかる時間も短縮することができ、或いは不要とすることができる。生産性が非常に高い周波数調整方法乃至は圧電振動片の製造方法を達成できる。
【0057】
変形例1.
実施例1及び2においては各y値に対してx軸方向に動作する1次元シャッタを示したが、本変形例では、2次元で移動可能なシャッタを示す。本変形例は、ウエハ10は図1Bに示す構成と同様であり、x軸及びy軸の定義も実施例1と同様である。
【0058】
図10に本変形例の周波数調整装置500の一部分を示す。装置500は、マスク、シャッタ及び搬送機構の構成を除いて実施例1又は2と同様である。図10に示すように、マスク551は2次元的に配列され、各y(n)に対してx軸方向に成膜対象又は照射対象を画定する窓部が設けられている。説明の便宜上、ウエハ10を破線で示してあるが、現実には窓部から処理対象部分が見えるだけである。シャッタ540はシャッタ板541及び542からなり、それぞれ、x−y平面内を独立して自在に移動できるように構成され、シャッタ制御部545によって制御される。またさらに、シャッタ板541及び542はそのエッジ543及び544のxに対するyの傾きを可変とすることもできる。
【0059】
本変形例のシャッタ540は実施例1のような重り材料付加の場合及び実施例2のようなトリミングの場合にも使用できるが、ここではトリミングの場合を例に挙げて説明する。
例えば、図3Aのような厚み分布がある場合、シャッタ板541及び542は、ほぼ分布のピークとみられる(x、y)座標付近(例えば、x=振動子配列の中心、y=0)に両エッジの交点が位置するように配置された閉状態と、シャッタ板541がx軸負方向(又はy軸正方向)に移動されるとともにシャッタ板542がx軸正方向(又はy軸正方向)に移動されてシャッタが開放された開状態について、閉状態から開状態への動作、開状態から閉状態への動作、又はその両方の動作が各ウエハ10について行われる。なお、図10は閉状態と開状態の中間を示している。
【0060】
上記動作により、y値について一列ずつ移動させる搬送トレー及び搬送機構(図1の52及び55)が不要となるとともに、図3Aのような2次元分布を効率的にトリミング処理することができる。もちろん、シャッタ板541及び542の一方又は双方を適宜移動させることにより、図3Bのような分布にも対応できる。
【0061】
変形例2.
実施例1及び2並びに変形例1ではシャッタが2枚のシャッタ板からなる構成を示したが、本変形例ではシャッタが1枚のシャッタ板からなるものを示す。本変形例でも、ウエハ10は図1Bに示す構成と同様であり、x軸及びy軸の定義も実施例1と同様である。
【0062】
図11Aに本変形例の周波数調整装置600の一部分を示す。装置600は、シャッタの構成、又はシャッタ及び搬送機構の構成を除いて実施例1と同様である。図11Aに示すように、シャッタ640は1枚のシャッタ板からなり、そのシャッタ板はy軸負方向に張り出した凸形エッジ641を有する。シャッタ板640はシャッタ制御部645によりy軸方向、又はx軸及びy軸方向に移動される。シャッタ640は、例えば、実施例1のような重り材料付加の場合であって、図3Aのような厚み分布がある場合を想定している。
【0063】
ここで、エッジ641がウエハ10上を通過するように、シャッタ640と、ウエハ10及びマスク51とがy軸方向に相対的に移動される。即ち、シャッタ640が窓部51aを完全に覆う閉状態と、シャッタ640が窓部51aを完全に開放する開状態について、閉状態から開状態への移動、開状態から閉状態への移動、又はこの両方を行う。これにより、振動片111〜11mの両端部付近の露出時間は長く(即ち、蒸着量は多く)、中央部付近の露出時間は短くなる(即ち、蒸着量は少なくなる)。また、t1(x)の分布がxにおけるピークに対して比較的対称であれば、y軸方向の相対移動速度を調整することによって、t1(x)の分布に対応した蒸着を行うことができる。
【0064】
さらに、エッジ641の先端部642の位置が、各y値について最小のt1(x、y)を与えるxに一致するようにシャッタ640をx軸方向に移動させるようにしてもよい。
【0065】
また、シャッタ640のエッジ形状を振動片の位置のピッチに対応させて階段状とするとともに、シャッタ640をy軸方向にステップ状に移動させる構成としてもよい。これにより振動片毎の調整が可能となる。
【0066】
またさらに、図11Bに示すようにマスク651の窓部をy軸配列方向に対応させて複数設けるとともに、マスク651及び(不図示の)搬送トレー652(及びウエハ10)を連動させることによって、シャッタ640を固定させた状態で、即ち、(不図示の)搬送機構655のみを駆動させることによって、周波数調整処理が可能となる。従って、図11Bの変形例ではシャッタ制御部(図11Aのシャッタ制御部645)を不要とすることができる。
【0067】
以上のように、本変形例では、少なくともシャッタの開閉動作が不要となり、さらにはシャッタそのものを移動させない構成とすることもできるので装置の信頼性を向上することができる。
【0068】
変形例3.
変形例2では重り材料付加の実施例1に対応したシャッタを示したが、本変形例ではトリミングの実施例2に対応するシャッタを示す。本変形例でも、ウエハ10は図1Bに示す構成と同様であり、x軸及びy軸の定義も実施例1と同様である。
【0069】
図12に本変形例の周波数調整装置700の一部分を示す。装置700は、シャッタの構成、又はシャッタ及び搬送機構の構成を除いて実施例2と同様である。図12に示すように、シャッタ740は1枚のシャッタ板からなり、そのシャッタ板はy軸正方向に凹んだ凹形エッジ741を有する。シャッタ板740はシャッタ制御部745によりy軸方向、又はx軸及びy軸方向に移動される。シャッタ740は、例えば、実施例2のようなトリミングの場合であって、図3Aのような厚み分布がある場合を想定している。
【0070】
ここで、エッジ741がウエハ10上を通過するように、シャッタ740と、ウエハ10及びマスク51とがy軸方向に相対的に移動される。即ち、シャッタ740がマスク51の窓部51aを完全に覆う閉状態及びシャッタ740がマスク51の窓部51aを完全に開放する開状態について、閉状態から開状態への移動、開状態から閉状態への移動、又はこの両方を行う。これにより、振動片111〜11mの両端部付近の露出時間は短く(即ち、照射量は少なく)、中央部付近の露出時間は長くなる(即ち、照射量は多くなる)。また、t2(x)の分布がxにおけるピークに対して比較的対称であれば、y軸方向の相対移動速度を調整することによって、t2(x)の分布に対応した照射を行うことができる。
【0071】
さらに、エッジ741の先端部742の位置が、各y値について最大のt(x、y)を与えるxに一致するようにシャッタ740をx軸方向に移動させるようにしてもよい。
【0072】
また、シャッタ740のエッジ形状を振動片の位置のピッチに対応させて階段状とするとともに、シャッタ740をy軸方向にステップ状に移動させる構成としてもよい。これにより振動片毎の調整が可能となる。
【0073】
またさらに、変形例2の図11Bの態様を応用して、マスク751の窓部をy軸配列方向に対応させて複数設けるとともに、マスク751及び(不図示の)搬送トレー752(及びウエハ10)を連動させることによって、シャッタ740を固定させた状態で、即ち、(不図示の)搬送機構755のみを駆動させることによって、周波数調整が可能となる。従って、この変形例ではシャッタ制御部(図12のシャッタ制御部745)を不要とすることができる。
【0074】
以上のように、本変形例でも、少なくともシャッタの開閉動作が不要となり、さらにはシャッタそのものを移動させない構成とすることもできるので装置の信頼性を向上することができる。
【0075】
図13は本発明の周波数調整方法を実行する汎用コンピュータシステム800の上位ブロック図である。図13に示すように、システム800はプロセッサ802(例えば、CPU)、メモリ804(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び/又は読取り専用メモリ(ROM))、及び種々の入出力デバイス806(例えば、受信機、送信機、スピーカ、ディスプレイ、入出力ポート、及びユーザ入力デバイス(キーボード、キーパッド、マウス等))を備える。
【0076】
メモリ804にはコンピュータプログラムが格納され、当該プログラムは、プロセッサ802によって実行されると、上記の各周波数調整装置の蒸発源電源25、イオンガン電源35、シャッタ制御部45、545、645、745、搬送機構55、655、755、又は制御系105、305の少なくともいずれか1つに、上記の周波数調整方法の動作の全部又は一部を実行させることができる。入出力デバイス806は各制御対象要素に有線又は無線で接続される。
また、上記のコンピュータプログラムは、例えば、RAMメモリ、磁気又は光ドライブ等のコンピュータ可読記憶媒体に記憶できる。
【0077】
なお、上記実施例では本発明の最も好適な例を示したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で以下のように変形可能である。
(1)圧電振動子として音叉型振動片を示したが、本発明はセラミック振動子、SAWフィルタ、圧電フィルタ等の他のタイプの圧電素子にも適用できる。ウエハ上に複数形成された圧電素子であればこれに限らず本発明を適用できる。
(2)蒸着対象部分又は照射対象部分を画定するためにマスクを用いたが、非蒸着対象部分又非は照射対象部分が、例えばコーティング等、何らかの方法で覆われていればマスクはなくてもよい。
(3)音叉型振動片がx軸方向及びy軸方向に整列されるものを示したが、整列状態にないもの(極端な場合にはランダムに配置されたもの)であっても、各振動片の座標に対する必要露出時間t(x)又はt(x、y)が得られれば、本発明は実施可能である。
(4)重り材料の付加を抵抗加熱蒸発源を用いて行ったが、成膜源にはスパッタリング等他の付着方法を用いることもできる。
(5)トリミング用のエネルギービームとしてイオンビームを用いたが、ビームの照射範囲や出力を所望の態様にすることができればレーザービーム、電子ビーム等を用いることも可能である。
(6)各グラフは概念的な例示を誇張的に模擬的に示したものであり、数値、比率等は実際とは異なる。
【符号の説明】
【0078】
10.ウエハ
11.音叉型振動片
20.蒸発源
30.イオンガン
40、540、640、740.シャッタ
41、42、541、542.シャッタ板
541、542、641、741.エッジ
45、545、645、745.シャッタ制御部
100、300、500、600、700.周波数調整装置
【技術分野】
【0001】
本発明は圧電振動子の周波数調整装置及び周波数調整方法に関し、より具体的には、音叉型振動片の周波数調整に関する。
【背景技術】
【0002】
電子回路のクロック源として圧電振動子が広く用いられている。近年の電子回路の小型化・高精度化に伴い、圧電振動子にも小型化及び高い周波数精度が求められている。圧電振動子の代表例として音叉型水晶振動子がある。音叉型水晶振動子は音叉の形状をした振動片からなり、その振動片(特に各振動腕の先端部)の質量の調整により共振周波数が決定される。その音叉型振動片の周波数調整方法の例が特許文献1及び2に開示されている。
【0003】
特許文献1の音叉型振動片の周波数調整方法は、(1)圧電材料のウエハに音叉型振動片の外形を加工してその表面に電極膜を形成するとともに音叉型振動片の振動腕に蒸着膜等のいわゆる重り材料を付着させる工程、(2)各音叉型振動片をウエハから切り離す前に個々の振動腕に対してエネルギービームを照射して重り材料をトリミングする粗調工程、及び(3)各音叉型振動片をウエハから切り離した後に各振動腕にエネルギービームを照射して重り材料をトリミングする微調工程からなり、その隣接する照射スポットが互いに部分的に重なるように所定ピッチでシフトさせながらエネルギービームを照射する。
【0004】
特許文献2の音叉型振動片の周波数調整方法は、(1)圧電材料のウエハに音叉型振動片の外形を加工してその表面に電極膜を形成するとともに音叉型振動片の振動腕の表側面に微調用の重り材料を付着させる工程、(2)各音叉型振動片をウエハから切り離す前に各振動腕の裏側面が露出するようにマスクを被せて蒸着により重り材料を付着させる粗調工程、及び(3)各音叉型振動片をウエハから切り離した後に各振動腕の表側面にエネルギービームを照射して重り材料をトリミングする微調工程からなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−133879号公報
【特許文献2】特開2008−92112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、音叉型振動片がさらに小型化し(例えば、振動腕の幅:約100μm、振動腕重り電極の長さ:約500μm、振動片ピッチ:約400μm、等)、高い粗調精度(例えば、±500ppm等)及び高い生産性が求められる状況で、特許文献1のように個々の振動腕にエネルギービームを当てて粗調を行うことは合理的ではなくなってきている。即ち、レーザービームのスポット位置の精度を上げ、かつ、振動腕を削り過ぎないようにレーザービーム出力を微調整するのは現実的ではない。特に、レーザービームによって振動腕を貫通してトリミングした場合、振動腕の面積が減るために後の微調工程におけるイオンビーム照射量等の決定が複雑になるという問題も出てきてしまう。一方で、振動片が小型化したとはいえ、イオンビームで全粗調工程を行うと工程に長い時間を要し、生産性が低下してしまう。
【0007】
また、特許文献2のように、ウエハ全体にマスクを被せて蒸着による粗調を行うと、例えば、蒸着源の真上付近では蒸着膜が厚く、真上から外れるほど薄くなる等、蒸着膜厚のばらつきが発生してしまい、粗調工程の時間は短縮できるもののその調整精度は低下する。特に、粗調前の段階(ウエハを調達した段階)で既にウエハ上に厚さ分布がある場合に、粗調で発生する分布が既存の分布に加わり、粗調精度は著しく低下することになる。上記の結果として、微調工程にかかる負担が増し、生産性が低下してしまう。
【0008】
そこで、本発明は、個々の振動腕ではなくウエハ全体に対して粗調を行うことによってタクトを短くしつつも、全体の粗調レベルのばらつきを相殺できるような周波数調整の装置及び方法を提供し、周波数調整の生産性及び精度を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の側面は、圧電振動子の周波数を調整する装置であって、x軸方向に配列される複数の圧電振動子に対して所定レートで成膜材料を付着させる成膜源、配列された複数の圧電振動子の成膜対象部分を遮蔽/露出するシャッタ、及びシャッタの開閉動作を制御する制御部を備え、制御部が、成膜前に測定された複数の圧電振動子の周波数分布から算出された複数の圧電振動子の質量分布M1(x)から算出された各圧電振動子の必要露出時間t(x)に基づいてシャッタの開閉動作を制御するよう構成された装置である。
【0010】
本発明の第2の側面は、圧電振動子の周波数を調整する装置であって、x軸方向に配列される複数の圧電振動子に対して所定レートでビーム照射する照射源、配列された複数の圧電振動子のトリミング対象部分を遮蔽/露出するシャッタ、及びシャッタの開閉動作を制御する制御部を備え、制御部が、ビーム照射前に測定された複数の圧電振動子の周波数分布から算出された複数の圧電振動子の質量分布M2(x)から算出された各圧電振動子の必要露出時間t(x)に基づいてシャッタの開閉動作を制御するよう構成された装置である。ここで、照射源をイオンガンとするのが好ましい。
【0011】
上記第1及び第2の側面において、シャッタが、x軸方向に開閉動作する一対の第1及び第2のシャッタ板からなり、第1及び第2のシャッタ板の対向する端面が、必要露出時間t(x)の極大値又は最大値を与えるxを起点として開閉移動するように、制御部が第1及び第2のシャッタ板を制御するように構成した。
また、シャッタがx軸方向に対して傾斜したエッジ部分を有する1枚のシャッタ板からなり、エッジ部分が複数の圧電振動子を通過するように、制御部がシャッタ板をx軸に垂直なy軸方向に移動させるように構成してもよい。
【0012】
本発明の第3の側面は、圧電振動子の周波数を調整する装置であって、x軸方向及びx軸に垂直なy軸方向に配列される複数の圧電振動子に対して所定レートで成膜材料を付着させる成膜源、配列された複数の圧電振動子の成膜対象部分を遮蔽/露出するシャッタ、及びシャッタの開閉動作を制御する制御部を備え、制御部が、成膜前に測定された複数の圧電振動子の周波数分布から算出された複数の圧電振動子の質量分布M1(x、y)から算出された各圧電振動子の必要露出時間t(x、y)に基づいてシャッタの開閉動作を制御するよう構成された装置である。
【0013】
本発明の第4の側面は、圧電振動子の周波数を調整する装置であって、x軸方向及びx軸に垂直なy軸方向に配列される複数の圧電振動子に対して所定レートでビーム照射する照射源、配列された複数の圧電振動子のトリミング対象部分を遮蔽/露出するシャッタ、及びシャッタの開閉動作を制御する制御部を備え、制御部が、ビーム照射前に測定された複数の圧電振動子の周波数分布から算出された複数の圧電振動子の質量分布M2(x、y)から算出された各圧電振動子の必要露出時間t(x、y)に基づいてシャッタの開閉動作を制御するよう構成された装置である。ここで、照射源をイオンガンとするのが好ましい。
【0014】
上記第3又は第4の側面において、シャッタが、端面がx−y平面上で交差して重なり合う第1及び第2のシャッタ板からなり、第1のシャッタ板と第2のシャッタ板の交差部分が、必要露出時間t(x、y)の極大値又は最大値を与える(x、y)を起点として移動するように、制御部が第1及び第2のシャッタ板を制御するように構成した。
【0015】
本発明の第5の側面は、x軸方向に配列される複数の圧電振動子に対して所定レートで成膜する成膜源、及び配列された複数の圧電振動子の成膜対象部分を遮蔽/露出するシャッタを備えた装置によって圧電振動子の周波数を調整する方法であって、複数の圧電振動子各々の周波数分布を測定するステップ、周波数分布から複数の圧電振動子の質量分布M1(x)を算出するステップ、質量分布M1(x)から各圧電振動子の必要露出時間t(x)を算出するステップ、及び必要露出時間t(x)に基づいてシャッタを開閉動作させて前記ウエハに対して成膜するステップを備える方法である。
【0016】
本発明の第6の側面は、x軸方向に配列される複数の圧電振動子に対して所定レートでトリミングする照射源、及び配列された複数の圧電振動子のトリミング対象部分を遮蔽/露出するシャッタを備えた装置によって圧電振動子の周波数を調整する方法であって、複数の圧電振動子各々の周波数分布を測定するステップ、周波数分布から複数の圧電振動子の質量分布M2(x)を算出するステップ、質量分布M2(x)から各圧電振動子の必要露出時間t(x)を算出するステップ、及び必要露出時間t(x)に基づいてシャッタを開閉動作させてウエハに対してエネルギービームを照射するステップを備える方法である。ここで、ビーム照射するステップをイオンビームを照射するステップとすることが好ましい。
【0017】
上記第5又は第6の側面において、シャッタがx軸方向に開閉動作する一対の第1及び第2のシャッタ板からなり、移動制御するステップにおいて、第1及び第2のシャッタ板の対向する端面が、必要露出時間t(x)の極大値又は最大値を与えるxを起点として移動制御されるようにした。
また、シャッタがx軸方向に対して傾斜したエッジ部分を有する1枚のシャッタ板からなり、移動制御するステップを、エッジ部分が複数の圧電振動子を通過するようにシャッタ板をx軸に垂直なy軸方向に移動させるステップとしてもよい。
【0018】
本発明の第7の側面は、コンピュータを、上記第1から第4の側面の周波数調整装置の制御部として機能させるプログラムであり、本発明の第8の側面は第7の側面のプログラムを格納した記憶媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1A】本発明の第1の実施例による周波数調整装置のブロック図である。
【図1B】音叉型振動片が形成されたウエハを示す図である。
【図2】本発明の第1の実施例による製造方法のフローチャートである。
【図3A】本発明の第1の実施例を説明する図である。
【図3B】本発明の第1の実施例を説明する図である。
【図4】本発明の第1の実施例を説明する図である。
【図5】本発明の第1の実施例を説明する図である。
【図6】本発明の第1の実施例を説明する図である。
【図7】本発明の第2の実施例による周波数調整装置のブロック図である。
【図8】本発明の第2の実施例による製造方法のフローチャートである。
【図9】本発明の第2の実施例を説明する図である。
【図10】本発明の第1の変形例を示す図である。
【図11A】本発明の第2の変形例を示す図である。
【図11B】本発明の第2の変形例を示す図である。
【図12】本発明の第3の変形例を示す図である。
【図13】本発明の周波数調整方法を実行する汎用コンピュータシステムの上位ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施例1.
図1A及び1Bに第1の実施例の周波数調整装置100の構成図を示す。
図1Aに示すように、装置100は、ウエハ10に対して所定レートで成膜材料を蒸発させる蒸発源20、ウエハ10の成膜対象部分を画定するマスク51、マスク51で露出される部分を遮蔽/露出するシャッタ40、及びシャッタ40の開閉動作を制御するシャッタ制御部45を備える。
【0021】
説明の便宜上、図1A及び1Bにおける左右の方向をx軸、図1Bにおいてx軸に垂直な方向(図1Aの紙面前後方向)をy軸とする。図1Bに示すように、ウエハ10には複数の音叉型振動片111〜11max(これらをまとめて音叉型振動片11という)が打ち抜かれた状態で配列されている。ウエハ10は搬送トレー52に保持され、搬送機構55によって図のy軸方向に搬送される。本実施例ではm個の音叉型振動片11がx軸方向に同じ向きで配列され、n個がy軸方向に配列されるものとする。蒸発源20は蒸着を想定した蒸発源であり、例えば、抵抗加熱蒸発源が用いられ、蒸発源電源25によって出力制御される。マスク51は窓部51aによってウエハ10の所定部分、即ち、音叉型振動片11の成膜対象部分を露出する。説明の便宜上、図1Bではマスク51を半透明なものとして示しているが、実際には窓部51a以外の部分は蒸発源20から覆い隠される。
【0022】
シャッタ40はシャッタ板41及び42からなり、蒸発源20とマスク51の間に配置され、シャッタ板41及び42は制御部45によってそれぞれx軸方向に移動される。シャッタ板41及び42は独立して制御可能であり、シャッタ40が閉じた場合の両シャッタ板の境界部はx軸方向に移動可能とすることもできる。
なお、蒸発源電源25、シャッタ制御部45及び搬送機構55はそれぞれ独立して動作するものであるが、1つの制御系105によって統合して動作するようにしてもよい。
【0023】
図2に本実施例の周波数調整方法を含む音叉型振動片の製造方法のフローチャートを示す。
工程200でウエハ10が研磨加工される。この工程により、ウエハ10上では厚さのばらつきが発生する。この厚さばらつきは、後の工程202で音叉型振動片を形成した際の周波数ばらつきとなる。具体的な厚さばらつきの態様として、一般に研磨中心から略同心円上に厚さが薄くなる傾向が現れる。例えば、1枚のウエハをその中心から研磨した場合には中心から略同心円上に厚さが薄くなっていく。また、複数のウエハを、各ウエハのx軸が研磨中心を囲むように放射状に並べてその配列の中心から研磨した場合には、各ウエハに図3Aのような厚さ分布が発生する。また、複数のウエハを、各ウエハのy軸が研磨中心を囲むように放射状に並べてその配列の中心から研磨した場合には、各ウエハに図3Bのような厚さ分布が発生する。その他、ウエハの配置や研磨の態様によって各ウエハ上に何らかの厚さ分布が発生する。
【0024】
工程202でウエハ10が打ち抜き加工されて音叉型振動片11が形成される。このとき各音叉型振動片には周波数測定用の電極も形成される。振動片を形成するウェットエッチング工程において、ウエハ上にはさらに、エッチング液の濃度分布や温度分布に起因した厚さ分布が発生する。
【0025】
工程210で音叉型振動片11各々の周波数が測定される。この時点では、通常は各音叉型振動片11の周波数は所望の周波数よりも充分高い。ここで測定された各周波数から各振動片11の質量が求められ、振動片11の質量分布M1(m、n)が得られる。また、M1(m、n)を近似する等してM1(x、y)が求められる。この質量分布M1(m、n)は、予め取得されている周波数対質量の関係に基づいて、測定された周波数から一意的に求められる。当業者には分かるように、測定された周波数に対して質量は、例えば反比例する関係となる。
【0026】
工程212で上記M1(m、n)から各振動片11の必要露出時間t1(m、n)が算出される。具体的には、上記の予め取得されている周波数対質量の関係から目標周波数f0に対する目標質量M0が決定され、不足分質量M1´を、M1´(m、n)=M0−M1(m、n)から算出し、質量M1´(m、n)の蒸着膜を蒸着するための時間t1(m、n)が、t1(m、n)=M1´(m、n)/αから算出される。αは実験等により求められる既知の蒸着レートである。この工程における目標周波数f0は最終的な製品としての目標周波数以下であり、従って目標質量M0は最終的な製品としての質量以上である。
なお、本実施例では、振動片11は一列ごと、即ち、あるyに対して個別に調整されるので、以降は所与のyについて、M1´(m)又はM1´(x)、及びt1(m)又はt1(x)について説明する。
【0027】
そして、工程214において、音叉型振動片11の各露出時間がt1(m)となるように、シャッタ40がシャッタ制御部45によって制御される。
【0028】
具体例として、例えば、図3Aに示すようなウエハの厚さ分布がある場合を採り上げると、M1(x)、M1´(x)、及びt1(x)は図4に示すものとなる。なお、M1(x)、M1´(x)及びt1(x)はそれぞれM1(m)、M1´(m)、及びt1(m)を近似又は補間した直線又は曲線である。従って、M1(x)、M1´(x)及びt1(x)はそれぞれM1(m)、M1´(m)、及びt1(m)を含む概念である。なお、説明の便宜上、x軸について、図の左端をx=x00、t1(x)の極小値を与えるxをx=x01、図の右端をx=x02とする。
【0029】
図4を参照すると、シャッタ板41及び42は、まずシャッタ板41の端部がx00にシャッタ板42の端部がx01に位置するように配置される(a)。次に、シャッタ板41が停止した状態で、シャッタ板42の端部がx00まで移動される(b)。次に、シャッタ板41の端部をx01にシャッタ板42の端部をx02に移動する(c)。次に、シャッタ板42が停止した状態で、シャッタ板41の端部がx02まで移動される(d)。ここで当該y値に対するシャッタの移動が完了する。
【0030】
次のy値について同様に処理することができる。即ち、搬送機構55によって基板トレー52を移動させ、マスク51の窓部51aから次のy列を露出させ、上記(a)〜(d)の動作を行うことができる。或いは、上記の終了状態(d)から、x01〜x02側の動作を行い、その後x00〜x01側の動作を行うようにしてもよい。上記動作はシャッタ41及びシャッタ42を閉じた状態から開いた状態への動作((b)→(a)、(d)→(c))としてもよい。または、シャッタ41及びシャッタ42を閉じた状態から開いた状態とし更に閉じた状態とする往復動作((b)→(a)→(b)、(d)→(c)→(d))としてもよい。なお、あるy値と他のy値においてt1(x)の極小値を与えるxは必ずしも同一とは限らず、x01は各y値での処理において異なる可能性がある。従って、前述したように、シャッタ板41とシャッタ板42の境界の位置は可変とすることが望ましい。
【0031】
各シャッタ板の移動は、各振動片11のピッチ(即ち、t1(m))に合わせてステップ状に移動させてもよいし、近似された曲線(即ち、t1(x))に合わせてリニアに移動させてもよい。
【0032】
例えば図4の(a)から(b)への動作において、シャッタ板42がm番目の振動片を露出させてm+1番目の振動片を覆う時間をs1(m)とし、x=x00付近の振動片をm=1とし、x=x01付近の振動片をm=kとすると、
ステップ状に移動させる場合、
【数1】
であるから、
【数2】
を算出して、s1(m)に従ってシャッタ板42を移動させればよい。
【0033】
また、リニアに移動させる場合は、シャッタ42の移動速度が、図4(a)から(b)で、v=(x00−x01)/{t1(1)}、となるように等速移動させてもよいし、t1(x)の曲線に合わせて途中で加速又は減速するようにしてもよい。
同様のことがシャッタ板41についても当てはまる。
【0034】
いずれにしても(即ち、上記の式に厳密に従わなくても)、上記のシャッタ40の移動により、少なくともx=x00及びx02付近の露出時間がx01付近の露出時間よりも長くなり、当初の質量分布M1(m)の格差が縮小されることが分かる。従って、シャッタ板41とシャッタ板42の境界位置が固定のx値(例えば、x00とx02の中心点)であっても、本実施例の効果をある程度得ることができる。
【0035】
なお、M(m)の分布の不規則性に起因して、必ずしもt1(m)が単調変化しない場合が想定される。t1(m)が、あるm=maについて突出した場合には、例えば、t1(ma)がt1(ma−1) とt1(ma+1)の間のいずれかの値(例えば平均値)であるものとしてシャッタ40を動作させればよい。この場合、振動片11maは、後に続く微調整工程で調整してもよいし、廃棄してもよい。
【0036】
また、図5に示すように、M1´(m)の不規則性が大きい場合には、x10〜x11、x11〜x13、x13〜x14に区間を分けてシャッタ40の制御を行ってもよい。x10〜x11の区間及びx13〜x14の区間は、それぞれ図4で説明したx00〜x01での制御及びx01〜x02での制御と同じである。x11〜x13の間の動作は、x10〜x11の動作終了後に、シャッタ板41及び42を閉じた状態でその境界部がx12に位置するように移動させ、その後シャッタ41の端部をx12とx11の間で往復動作させるとともに、シャッタ42の端部をx12とx13の間で往復動作させればよい。この際、シャッタ41の動作とシャッタ42の動作は独立して行うことができる。x11〜x12の間の動作とx12〜x13の間の動作は同時に行なう。
【0037】
またさらに、例えば、図3Bに示すようなウエハ10の厚さ分布がある場合を採り上げると、M1(x)、M1´(x)、及びt1(x)は図6に示すものとなる。図4と同様に、M1(x)、M1´(x)及びt1(x)はそれぞれM1(m)、M1´(m)、及びt1(m)を近似又は補間した直線又は曲線である。なお、説明の便宜上、x軸について、図の左端をx=x20、右端をx=x21とする。
【0038】
図6を参照すると、シャッタ板41及び42の端部境界がx=x21付近に配置された状態(a)と、シャッタ板42の端部がx21にあり、シャッタ板41の端部がx20にある状態(b)について、状態(a)から(b)への動作、状態(b)から(a)への動作、又はその両方の動作が各y値について行われる。この場合、シャッタ40はシャッタ板41のみを備えていればよい。
【0039】
なお、図6の場合も、シャッタの移動速度、分布の不規則性への対応等は図4の場合と同様である。このように、本実施例のシャッタ40はあらゆる必要露出時間t(x)の分布に対して対応することができる。
【0040】
図2に戻り、工程220で、各振動片11がウエハ10から切り離され、個々の振動片毎に最終的な周波数調整が行われる。具体的には、工程214で多めに付加された蒸着膜を振動片11毎にイオンビームエッチングを施す等してトリミングする。もちろん、工程214における周波数調整終了時に周波数が所望のものとなっていれば、工程220は不要である(工程220が不要となる場合、工程214を粗調とはいわないものとする)。
【0041】
以上により、音叉型振動片の周波数調整が完了する。本実施例によると、複数の振動片について、周波数調整前の振動片の質量ばらつき(即ち、周波数ばらつき)を1つの蒸着工程によって相殺するように周波数調整を行うことができる。従って、複数の振動片のほぼ同時処理によって周波数調整時間を短縮できるだけでなく、粗調としては非常に高い精度の周波数調整が可能となる。結果として、後に続く周波数の微調整にかかる時間も短縮することができ、或いは不要とすることができる。これにより、小型化された振動片に対しても、生産性が非常に高い周波数調整方法乃至は圧電振動片の製造方法を達成できる。
【0042】
実施例2.
実施例1では、重り材料を付加する工程でシャッタを使用する例を示したが、本実施例では、重り材料が既に付加された状態の振動片をエネルギービームでトリミングする工程でシャッタを使用する周波数調整を示す。本実施例ではエネルギービームとしてイオンビームを用いる。
【0043】
図7に本実施例の周波数調整装置300を示す。図7は、図1Aの蒸発源20及び蒸発電源25の代わりにイオンガン30及びイオンガン電源35が設けられた点以外は図1Aと同じである。即ち、装置300は、ウエハ10に対して所定レートでイオンビームを照射するイオンガン30、ウエハ10の照射対象部分を画定するマスク51、マスク51で露出される部分を遮蔽/露出するシャッタ40、及びシャッタ40の開閉動作を制御するシャッタ制御部45を備え、イオンガン電源35、シャッタ制御部45及び搬送機構55はそれぞれ独立して動作するものであるが、1つの制御系305によって統合して動作するようにしてもよい。また、本実施例でも、ウエハ10は図1Bに示す構成と同様であり、x軸及びy軸の定義も実施例1と同様である。
【0044】
図8に本実施例の周波数調整方法を含む音叉型振動片の製造方法のフローチャートを示す。
工程400でウエハ10が研磨加工される。
工程402でウエハ10が打ち抜き加工されて音叉型振動片11が形成される。このとき各音叉型振動片には周波数測定用の電極も形成される。
【0045】
工程410において、蒸着等によりウエハ上の振動片11に重り材料が付加される。この工程で、ウエハそのものの厚み分布に加えてウエハ10上での厚さ(重さ)のばらつきが発生する。実施例1の場合と同様に、この重さばらつきが音叉型振動片の周波数ばらつきとなる。具体的な重さばらつきの態様として、一般に蒸着源の真上を中心に同心円上に厚さが薄くなる傾向が現れる。例えば、複数のウエハを、各ウエハのx軸が蒸着中心を囲むように放射状に並べられた場合には、各ウエハに図3Aと同様の重さ分布が発生する。また、複数のウエハを、各ウエハのy軸が蒸発中心を囲むように放射状に並べられた場合には、各ウエハに図3Bと同様の重さ分布が発生する。その他、ウエハの配置によって各ウエハ上に様々な重さ分布が発生する。なお、この時点では、通常は各音叉型振動片11の周波数は所望の周波数よりも低いものとなっている。
【0046】
工程420で音叉型振動片11各々の周波数が測定される。実施例1と同様に、測定された各周波数から各質量が求められ振動片11の質量分布M2(m、n)が得られる。また、M2(m、n)を近似する等してM2(x、y)が求められる。実施例1と同様に、この質量分布M2(m、n)は、予め取得されている周波数対質量の関係に基づいて、測定された周波数から一意的に求められる。当業者には分かるように、測定された周波数に対して質量は、例えば反比例する関係となる。
【0047】
工程422で上記M2(m、n)から各音叉型振動片の必要露出時間t2(m、n)が算出される。具体的には、上記の予め取得されている周波数対質量の関係から目標周波数f0に対する目標質量M0が決定され、超過質量M2´を、M2´(m、n)=M2−M0(m、n)から算出し、質量M2´(m、n)をトリミングするための照射時間t2(m、n)が、t2(m、n)=M2´(m、n)/βから算出される。βは実験等により求められる既知のイオンビーム照射レートである。この工程における目標周波数f0は最終的な製品としての目標周波数以下であり、従って目標質量M0は最終的な製品としての質量以上である。
なお、本実施例では、音叉型振動片11は一列ごと、即ち、あるyに対して個別に調整されるので、以降は所与のyについて、M2´(m)又はM2´(x)及びt2(m)又はt2(x)について説明する。
【0048】
工程424において、音叉型振動片11の各露出時間がt2(x)となるように、シャッタ40がシャッタ制御部45によって制御される。
【0049】
具体例として、例えば、図3Aに示すようなウエハの重さ分布がある場合を採り上げると、M2(x)、M2´(x)、及びt2(x)は図9に示すものとなる。M2(x)、M2´(x)、及びt2(x)はそれぞれM2(m)、M2´(m)、及びt2(m)を近似又は補間した直線又は曲線である。従って、M2(x)、M2´(x)及びt2(x)はそれぞれM2(m)、M2´(m)、及びt2(m)を含む概念である。なお、説明の便宜上、x軸について、図の左端をx=x30、t2(x)の極大値を与えるxをx=x31、図の右端をx=x32とする。
【0050】
図9を参照すると、シャッタ板41及び42の端部境界がx=x31付近に配置された閉状態(a)と、シャッタ板41の端部がx30にあり、シャッタ板42の端部がx32にある開状態(b)について、状態(a)から(b)への動作、状態(b)から(a)への動作、又はその両方の動作が各y値について行われる。
【0051】
次のy値については、上記(a)又は(b)の状態から搬送機構55によって基板トレー52を移動させ、マスク51から次のy列が露出された状態とし、上記の動作が行われる。なお、あるy値と他のy値においてt2(x)の極大値を与えるxが必ずしも同一とは限らず、x31は各y値での処理において異なる可能性がある。従って、シャッタ板41とシャッタ板42の境界の位置は可変とすることが望ましい。
【0052】
例えば、図9の状態(a)から(b)への片道動作において、シャッタ板42がm番目の振動片を露出させてm+1番目の振動片を覆う時間をs2(m)とし、x=x31付近の振動片をm=1とし、x=x32付近の振動片をm=kとすると、
ステップ状に移動させる場合、
【数3】
であるから、
【数4】
を算出して、s2(m)に従ってシャッタ板42を移動させればよい。
【0053】
また、リニアに移動させる場合は、シャッタ42の端部の移動速度が、((a)→(b)のみの場合)v=(x32−x31)/t1(x31)、((b)→(a)のみの場合)v=(x31−x32)/t1(x31)、又は((b)⇔(a)往復の場合)v=±2×x31/t1(x31)となるように等速移動させてもよいし、t2(x)の曲線に合わせて途中で加速又は減速するようにしてもよい。
同様のことがシャッタ板41についても当てはまる。
【0054】
いずれにしても(即ち、上記の式に厳密に従わなくても)、上記のシャッタ40の移動により、少なくともx=x31付近の露出時間がx30及びx32付近の露出時間よりも長くなり、当初の質量分布M2(m)の格差が縮小されることが分かる。
本実施例の場合も、シャッタの移動速度、分布の不規則性への対応等は実施例1の場合と同様である。x30〜x31の間の動作とx31〜x32の間の動作は同時に行なうことにより生産性を向上させる。またイオンビームエッチングを採用することにより、振動腕の面積を確保して微調の精度を向上させる。
【0055】
図8に戻り、工程430で、各振動片11がウエハ10から切り離され、個々の振動片毎に最終的な周波数調整が行われる。具体的には、工程424でやや多めに残された重り材料を振動片毎にイオンビームエッチングを施す等してトリミングする。もちろん、工程424における周波数調整終了時に周波数が所望のものとなっていれば、工程430は不要である(工程430が不要の場合、工程420−424を粗調とはいわないものとする)。
【0056】
以上により、音叉型振動片の周波数調整が完了する。本実施例によると、複数の振動片について、周波数調整前の振動片の質量ばらつき(即ち、周波数ばらつき)を1つのトリミング工程によって相殺するように周波数調整を行うことができる。従って、複数振動片のほぼ同時処理によって周波数調整時間を短縮できるだけでなく、小型化された振動片に対しても、粗調としては非常に高い精度の周波数調整が可能となる。特に、トリミング用のエネルギービームとしてイオンビームを用いたので、その照射の均一性や出力制御の容易性が担保され、特に好適な装置を構成することができる。結果として、後に続く周波数の微調整にかかる時間も短縮することができ、或いは不要とすることができる。生産性が非常に高い周波数調整方法乃至は圧電振動片の製造方法を達成できる。
【0057】
変形例1.
実施例1及び2においては各y値に対してx軸方向に動作する1次元シャッタを示したが、本変形例では、2次元で移動可能なシャッタを示す。本変形例は、ウエハ10は図1Bに示す構成と同様であり、x軸及びy軸の定義も実施例1と同様である。
【0058】
図10に本変形例の周波数調整装置500の一部分を示す。装置500は、マスク、シャッタ及び搬送機構の構成を除いて実施例1又は2と同様である。図10に示すように、マスク551は2次元的に配列され、各y(n)に対してx軸方向に成膜対象又は照射対象を画定する窓部が設けられている。説明の便宜上、ウエハ10を破線で示してあるが、現実には窓部から処理対象部分が見えるだけである。シャッタ540はシャッタ板541及び542からなり、それぞれ、x−y平面内を独立して自在に移動できるように構成され、シャッタ制御部545によって制御される。またさらに、シャッタ板541及び542はそのエッジ543及び544のxに対するyの傾きを可変とすることもできる。
【0059】
本変形例のシャッタ540は実施例1のような重り材料付加の場合及び実施例2のようなトリミングの場合にも使用できるが、ここではトリミングの場合を例に挙げて説明する。
例えば、図3Aのような厚み分布がある場合、シャッタ板541及び542は、ほぼ分布のピークとみられる(x、y)座標付近(例えば、x=振動子配列の中心、y=0)に両エッジの交点が位置するように配置された閉状態と、シャッタ板541がx軸負方向(又はy軸正方向)に移動されるとともにシャッタ板542がx軸正方向(又はy軸正方向)に移動されてシャッタが開放された開状態について、閉状態から開状態への動作、開状態から閉状態への動作、又はその両方の動作が各ウエハ10について行われる。なお、図10は閉状態と開状態の中間を示している。
【0060】
上記動作により、y値について一列ずつ移動させる搬送トレー及び搬送機構(図1の52及び55)が不要となるとともに、図3Aのような2次元分布を効率的にトリミング処理することができる。もちろん、シャッタ板541及び542の一方又は双方を適宜移動させることにより、図3Bのような分布にも対応できる。
【0061】
変形例2.
実施例1及び2並びに変形例1ではシャッタが2枚のシャッタ板からなる構成を示したが、本変形例ではシャッタが1枚のシャッタ板からなるものを示す。本変形例でも、ウエハ10は図1Bに示す構成と同様であり、x軸及びy軸の定義も実施例1と同様である。
【0062】
図11Aに本変形例の周波数調整装置600の一部分を示す。装置600は、シャッタの構成、又はシャッタ及び搬送機構の構成を除いて実施例1と同様である。図11Aに示すように、シャッタ640は1枚のシャッタ板からなり、そのシャッタ板はy軸負方向に張り出した凸形エッジ641を有する。シャッタ板640はシャッタ制御部645によりy軸方向、又はx軸及びy軸方向に移動される。シャッタ640は、例えば、実施例1のような重り材料付加の場合であって、図3Aのような厚み分布がある場合を想定している。
【0063】
ここで、エッジ641がウエハ10上を通過するように、シャッタ640と、ウエハ10及びマスク51とがy軸方向に相対的に移動される。即ち、シャッタ640が窓部51aを完全に覆う閉状態と、シャッタ640が窓部51aを完全に開放する開状態について、閉状態から開状態への移動、開状態から閉状態への移動、又はこの両方を行う。これにより、振動片111〜11mの両端部付近の露出時間は長く(即ち、蒸着量は多く)、中央部付近の露出時間は短くなる(即ち、蒸着量は少なくなる)。また、t1(x)の分布がxにおけるピークに対して比較的対称であれば、y軸方向の相対移動速度を調整することによって、t1(x)の分布に対応した蒸着を行うことができる。
【0064】
さらに、エッジ641の先端部642の位置が、各y値について最小のt1(x、y)を与えるxに一致するようにシャッタ640をx軸方向に移動させるようにしてもよい。
【0065】
また、シャッタ640のエッジ形状を振動片の位置のピッチに対応させて階段状とするとともに、シャッタ640をy軸方向にステップ状に移動させる構成としてもよい。これにより振動片毎の調整が可能となる。
【0066】
またさらに、図11Bに示すようにマスク651の窓部をy軸配列方向に対応させて複数設けるとともに、マスク651及び(不図示の)搬送トレー652(及びウエハ10)を連動させることによって、シャッタ640を固定させた状態で、即ち、(不図示の)搬送機構655のみを駆動させることによって、周波数調整処理が可能となる。従って、図11Bの変形例ではシャッタ制御部(図11Aのシャッタ制御部645)を不要とすることができる。
【0067】
以上のように、本変形例では、少なくともシャッタの開閉動作が不要となり、さらにはシャッタそのものを移動させない構成とすることもできるので装置の信頼性を向上することができる。
【0068】
変形例3.
変形例2では重り材料付加の実施例1に対応したシャッタを示したが、本変形例ではトリミングの実施例2に対応するシャッタを示す。本変形例でも、ウエハ10は図1Bに示す構成と同様であり、x軸及びy軸の定義も実施例1と同様である。
【0069】
図12に本変形例の周波数調整装置700の一部分を示す。装置700は、シャッタの構成、又はシャッタ及び搬送機構の構成を除いて実施例2と同様である。図12に示すように、シャッタ740は1枚のシャッタ板からなり、そのシャッタ板はy軸正方向に凹んだ凹形エッジ741を有する。シャッタ板740はシャッタ制御部745によりy軸方向、又はx軸及びy軸方向に移動される。シャッタ740は、例えば、実施例2のようなトリミングの場合であって、図3Aのような厚み分布がある場合を想定している。
【0070】
ここで、エッジ741がウエハ10上を通過するように、シャッタ740と、ウエハ10及びマスク51とがy軸方向に相対的に移動される。即ち、シャッタ740がマスク51の窓部51aを完全に覆う閉状態及びシャッタ740がマスク51の窓部51aを完全に開放する開状態について、閉状態から開状態への移動、開状態から閉状態への移動、又はこの両方を行う。これにより、振動片111〜11mの両端部付近の露出時間は短く(即ち、照射量は少なく)、中央部付近の露出時間は長くなる(即ち、照射量は多くなる)。また、t2(x)の分布がxにおけるピークに対して比較的対称であれば、y軸方向の相対移動速度を調整することによって、t2(x)の分布に対応した照射を行うことができる。
【0071】
さらに、エッジ741の先端部742の位置が、各y値について最大のt(x、y)を与えるxに一致するようにシャッタ740をx軸方向に移動させるようにしてもよい。
【0072】
また、シャッタ740のエッジ形状を振動片の位置のピッチに対応させて階段状とするとともに、シャッタ740をy軸方向にステップ状に移動させる構成としてもよい。これにより振動片毎の調整が可能となる。
【0073】
またさらに、変形例2の図11Bの態様を応用して、マスク751の窓部をy軸配列方向に対応させて複数設けるとともに、マスク751及び(不図示の)搬送トレー752(及びウエハ10)を連動させることによって、シャッタ740を固定させた状態で、即ち、(不図示の)搬送機構755のみを駆動させることによって、周波数調整が可能となる。従って、この変形例ではシャッタ制御部(図12のシャッタ制御部745)を不要とすることができる。
【0074】
以上のように、本変形例でも、少なくともシャッタの開閉動作が不要となり、さらにはシャッタそのものを移動させない構成とすることもできるので装置の信頼性を向上することができる。
【0075】
図13は本発明の周波数調整方法を実行する汎用コンピュータシステム800の上位ブロック図である。図13に示すように、システム800はプロセッサ802(例えば、CPU)、メモリ804(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び/又は読取り専用メモリ(ROM))、及び種々の入出力デバイス806(例えば、受信機、送信機、スピーカ、ディスプレイ、入出力ポート、及びユーザ入力デバイス(キーボード、キーパッド、マウス等))を備える。
【0076】
メモリ804にはコンピュータプログラムが格納され、当該プログラムは、プロセッサ802によって実行されると、上記の各周波数調整装置の蒸発源電源25、イオンガン電源35、シャッタ制御部45、545、645、745、搬送機構55、655、755、又は制御系105、305の少なくともいずれか1つに、上記の周波数調整方法の動作の全部又は一部を実行させることができる。入出力デバイス806は各制御対象要素に有線又は無線で接続される。
また、上記のコンピュータプログラムは、例えば、RAMメモリ、磁気又は光ドライブ等のコンピュータ可読記憶媒体に記憶できる。
【0077】
なお、上記実施例では本発明の最も好適な例を示したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で以下のように変形可能である。
(1)圧電振動子として音叉型振動片を示したが、本発明はセラミック振動子、SAWフィルタ、圧電フィルタ等の他のタイプの圧電素子にも適用できる。ウエハ上に複数形成された圧電素子であればこれに限らず本発明を適用できる。
(2)蒸着対象部分又は照射対象部分を画定するためにマスクを用いたが、非蒸着対象部分又非は照射対象部分が、例えばコーティング等、何らかの方法で覆われていればマスクはなくてもよい。
(3)音叉型振動片がx軸方向及びy軸方向に整列されるものを示したが、整列状態にないもの(極端な場合にはランダムに配置されたもの)であっても、各振動片の座標に対する必要露出時間t(x)又はt(x、y)が得られれば、本発明は実施可能である。
(4)重り材料の付加を抵抗加熱蒸発源を用いて行ったが、成膜源にはスパッタリング等他の付着方法を用いることもできる。
(5)トリミング用のエネルギービームとしてイオンビームを用いたが、ビームの照射範囲や出力を所望の態様にすることができればレーザービーム、電子ビーム等を用いることも可能である。
(6)各グラフは概念的な例示を誇張的に模擬的に示したものであり、数値、比率等は実際とは異なる。
【符号の説明】
【0078】
10.ウエハ
11.音叉型振動片
20.蒸発源
30.イオンガン
40、540、640、740.シャッタ
41、42、541、542.シャッタ板
541、542、641、741.エッジ
45、545、645、745.シャッタ制御部
100、300、500、600、700.周波数調整装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電振動子の周波数を調整する装置であって、
x軸方向に配列される複数の圧電振動子に対して所定レートで成膜材料を付着させる成膜源、
前記配列された複数の圧電振動子の成膜対象部分を遮蔽/露出するシャッタ、及び
前記シャッタの開閉動作を制御する制御部
を備え、
前記制御部が、成膜前に測定された前記複数の圧電振動子の周波数分布から算出された前記複数の圧電振動子の質量分布M1(x)から算出された各圧電振動子の必要露出時間t(x)に基づいて前記シャッタの開閉動作を制御するよう構成された装置。
【請求項2】
圧電振動子の周波数を調整する装置であって、
x軸方向に配列される複数の圧電振動子に対して所定レートでビーム照射する照射源、
前記配列された複数の圧電振動子のトリミング対象部分を遮蔽/露出するシャッタ、及び
前記シャッタの開閉動作を制御する制御部
を備え、
前記制御部が、ビーム照射前に測定された前記複数の圧電振動子の周波数分布から算出された前記複数の圧電振動子の質量分布M2(x)から算出された各圧電振動子の必要露出時間t(x)に基づいて前記シャッタの開閉動作を制御するよう構成された装置。
【請求項3】
請求項1又は2の装置において、
前記シャッタが、x軸方向に開閉動作する一対の第1及び第2のシャッタ板からなり、
前記第1及び第2のシャッタ板の対向する端面が、前記必要露出時間t(x)の極大値又は最大値を与えるxを起点として開閉移動するように、前記制御部が該第1及び第2のシャッタ板を制御するように構成された装置。
【請求項4】
請求項1又は2の装置において、
前記シャッタがx軸方向に対して傾斜したエッジ部分を有する1枚のシャッタ板からなり、前記エッジ部分が前記複数の圧電振動子を通過するように、前記制御部が該シャッタ板をx軸に垂直なy軸方向に移動させるように構成された装置。
【請求項5】
圧電振動子の周波数を調整する装置であって、
x軸方向及びx軸に垂直なy軸方向に配列される複数の圧電振動子に対して所定レートで成膜材料を付着させる成膜源、
前記配列された複数の圧電振動子の成膜対象部分を遮蔽/露出するシャッタ、及び
前記シャッタの開閉動作を制御する制御部
を備え、
前記制御部が、成膜前に測定された前記複数の圧電振動子の周波数分布から算出された前記複数の圧電振動子の質量分布M1(x、y)から算出された各圧電振動子の必要露出時間t(x、y)に基づいて前記シャッタの開閉動作を制御するよう構成された装置。
【請求項6】
圧電振動子の周波数を調整する装置であって、
x軸方向及びx軸に垂直なy軸方向に配列される複数の圧電振動子に対して所定レートでビーム照射する照射源、
前記配列された複数の圧電振動子のトリミング対象部分を遮蔽/露出するシャッタ、及び
前記シャッタの開閉動作を制御する制御部
を備え、
前記制御部が、ビーム照射前に測定された前記複数の圧電振動子の周波数分布から算出された前記複数の圧電振動子の質量分布M2(x、y)から算出された各圧電振動子の必要露出時間t(x、y)に基づいて前記シャッタの開閉動作を制御するよう構成された装置。
【請求項7】
請求項6又は7の装置において、
前記シャッタが、端面がx−y平面上で交差して重なり合う第1及び第2のシャッタ板からなり、
前記第1のシャッタ板と第2のシャッタ板の交差部分が、前記必要露出時間t(x、y)の極大値又は最大値を与える(x、y)を起点として移動するように、前記制御部が前記第1及び第2のシャッタ板を制御するように構成された装置。
【請求項8】
請求項2又は6の装置において、前記照射源がイオンガンからなる装置。
【請求項9】
x軸方向に配列される複数の圧電振動子に対して所定レートで成膜する成膜源、及び前記配列された複数の圧電振動子の成膜対象部分を遮蔽/露出するシャッタを備えた装置によって圧電振動子の周波数を調整する方法であって、
前記複数の圧電振動子各々の周波数分布を測定するステップ、
前記周波数分布から前記複数の圧電振動子の質量分布M1(x)を算出するステップ、
前記質量分布M1(x)から各圧電振動子の必要露出時間t(x)を算出するステップ、及び
前記必要露出時間t(x)に基づいて前記シャッタを開閉動作させて前記ウエハに対して成膜するステップ
を備える方法。
【請求項10】
x軸方向に配列される複数の圧電振動子に対して所定レートでトリミングする照射源、及び前記配列された複数の圧電振動子のトリミング対象部分を遮蔽/露出するシャッタを備えた装置によって圧電振動子の周波数を調整する方法であって、
前記複数の圧電振動子各々の周波数分布を測定するステップ、
前記周波数分布から前記複数の圧電振動子の質量分布M2(x)を算出するステップ、
前記質量分布M2(x)から各圧電振動子の必要露出時間t(x)を算出するステップ、及び
前記必要露出時間t(x)に基づいて前記シャッタを開閉動作させて前記ウエハに対してエネルギービームを照射するステップ
を備える方法。
【請求項11】
請求項9又は10の方法において、
前記シャッタがx軸方向に開閉動作する一対の第1及び第2のシャッタ板からなり、
前記移動制御するステップにおいて、前記第1及び第2のシャッタ板の対向する端面が、前記必要露出時間t(x)の極大値又は最大値を与えるxを起点として移動制御される方法。
【請求項12】
請求項9又は10の方法において、
前記シャッタがx軸方向に対して傾斜したエッジ部分を有する1枚のシャッタ板からなり、
前記移動制御するステップが、前記エッジ部分が前記複数の圧電振動子を通過するように、該シャッタ板をx軸に垂直なy軸方向に移動させるステップからなる方法。
【請求項13】
請求項9の方法において、前記ビーム照射するステップがイオンビームを照射するステップからなる方法。
【請求項14】
コンピュータを、請求項1から8いずれか一項に記載された周波数調整装置の制御部として機能させるプログラム。
【請求項15】
コンピュータを、請求項1から8いずれか一項に記載された周波数調整装置の制御部として機能させるプログラムを格納した記憶媒体。
【請求項1】
圧電振動子の周波数を調整する装置であって、
x軸方向に配列される複数の圧電振動子に対して所定レートで成膜材料を付着させる成膜源、
前記配列された複数の圧電振動子の成膜対象部分を遮蔽/露出するシャッタ、及び
前記シャッタの開閉動作を制御する制御部
を備え、
前記制御部が、成膜前に測定された前記複数の圧電振動子の周波数分布から算出された前記複数の圧電振動子の質量分布M1(x)から算出された各圧電振動子の必要露出時間t(x)に基づいて前記シャッタの開閉動作を制御するよう構成された装置。
【請求項2】
圧電振動子の周波数を調整する装置であって、
x軸方向に配列される複数の圧電振動子に対して所定レートでビーム照射する照射源、
前記配列された複数の圧電振動子のトリミング対象部分を遮蔽/露出するシャッタ、及び
前記シャッタの開閉動作を制御する制御部
を備え、
前記制御部が、ビーム照射前に測定された前記複数の圧電振動子の周波数分布から算出された前記複数の圧電振動子の質量分布M2(x)から算出された各圧電振動子の必要露出時間t(x)に基づいて前記シャッタの開閉動作を制御するよう構成された装置。
【請求項3】
請求項1又は2の装置において、
前記シャッタが、x軸方向に開閉動作する一対の第1及び第2のシャッタ板からなり、
前記第1及び第2のシャッタ板の対向する端面が、前記必要露出時間t(x)の極大値又は最大値を与えるxを起点として開閉移動するように、前記制御部が該第1及び第2のシャッタ板を制御するように構成された装置。
【請求項4】
請求項1又は2の装置において、
前記シャッタがx軸方向に対して傾斜したエッジ部分を有する1枚のシャッタ板からなり、前記エッジ部分が前記複数の圧電振動子を通過するように、前記制御部が該シャッタ板をx軸に垂直なy軸方向に移動させるように構成された装置。
【請求項5】
圧電振動子の周波数を調整する装置であって、
x軸方向及びx軸に垂直なy軸方向に配列される複数の圧電振動子に対して所定レートで成膜材料を付着させる成膜源、
前記配列された複数の圧電振動子の成膜対象部分を遮蔽/露出するシャッタ、及び
前記シャッタの開閉動作を制御する制御部
を備え、
前記制御部が、成膜前に測定された前記複数の圧電振動子の周波数分布から算出された前記複数の圧電振動子の質量分布M1(x、y)から算出された各圧電振動子の必要露出時間t(x、y)に基づいて前記シャッタの開閉動作を制御するよう構成された装置。
【請求項6】
圧電振動子の周波数を調整する装置であって、
x軸方向及びx軸に垂直なy軸方向に配列される複数の圧電振動子に対して所定レートでビーム照射する照射源、
前記配列された複数の圧電振動子のトリミング対象部分を遮蔽/露出するシャッタ、及び
前記シャッタの開閉動作を制御する制御部
を備え、
前記制御部が、ビーム照射前に測定された前記複数の圧電振動子の周波数分布から算出された前記複数の圧電振動子の質量分布M2(x、y)から算出された各圧電振動子の必要露出時間t(x、y)に基づいて前記シャッタの開閉動作を制御するよう構成された装置。
【請求項7】
請求項6又は7の装置において、
前記シャッタが、端面がx−y平面上で交差して重なり合う第1及び第2のシャッタ板からなり、
前記第1のシャッタ板と第2のシャッタ板の交差部分が、前記必要露出時間t(x、y)の極大値又は最大値を与える(x、y)を起点として移動するように、前記制御部が前記第1及び第2のシャッタ板を制御するように構成された装置。
【請求項8】
請求項2又は6の装置において、前記照射源がイオンガンからなる装置。
【請求項9】
x軸方向に配列される複数の圧電振動子に対して所定レートで成膜する成膜源、及び前記配列された複数の圧電振動子の成膜対象部分を遮蔽/露出するシャッタを備えた装置によって圧電振動子の周波数を調整する方法であって、
前記複数の圧電振動子各々の周波数分布を測定するステップ、
前記周波数分布から前記複数の圧電振動子の質量分布M1(x)を算出するステップ、
前記質量分布M1(x)から各圧電振動子の必要露出時間t(x)を算出するステップ、及び
前記必要露出時間t(x)に基づいて前記シャッタを開閉動作させて前記ウエハに対して成膜するステップ
を備える方法。
【請求項10】
x軸方向に配列される複数の圧電振動子に対して所定レートでトリミングする照射源、及び前記配列された複数の圧電振動子のトリミング対象部分を遮蔽/露出するシャッタを備えた装置によって圧電振動子の周波数を調整する方法であって、
前記複数の圧電振動子各々の周波数分布を測定するステップ、
前記周波数分布から前記複数の圧電振動子の質量分布M2(x)を算出するステップ、
前記質量分布M2(x)から各圧電振動子の必要露出時間t(x)を算出するステップ、及び
前記必要露出時間t(x)に基づいて前記シャッタを開閉動作させて前記ウエハに対してエネルギービームを照射するステップ
を備える方法。
【請求項11】
請求項9又は10の方法において、
前記シャッタがx軸方向に開閉動作する一対の第1及び第2のシャッタ板からなり、
前記移動制御するステップにおいて、前記第1及び第2のシャッタ板の対向する端面が、前記必要露出時間t(x)の極大値又は最大値を与えるxを起点として移動制御される方法。
【請求項12】
請求項9又は10の方法において、
前記シャッタがx軸方向に対して傾斜したエッジ部分を有する1枚のシャッタ板からなり、
前記移動制御するステップが、前記エッジ部分が前記複数の圧電振動子を通過するように、該シャッタ板をx軸に垂直なy軸方向に移動させるステップからなる方法。
【請求項13】
請求項9の方法において、前記ビーム照射するステップがイオンビームを照射するステップからなる方法。
【請求項14】
コンピュータを、請求項1から8いずれか一項に記載された周波数調整装置の制御部として機能させるプログラム。
【請求項15】
コンピュータを、請求項1から8いずれか一項に記載された周波数調整装置の制御部として機能させるプログラムを格納した記憶媒体。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−228931(P2011−228931A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−96865(P2010−96865)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(000146009)株式会社昭和真空 (72)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(000146009)株式会社昭和真空 (72)
【Fターム(参考)】
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