説明

圧電材料、圧電素子、および電子機器

【課題】 絶縁性と圧電性が良好で、鉛とカリウムを含まない圧電材料、前記圧電材料を用いた圧電素子または積層圧電素子を提供する。
【解決手段】 下記一般式(1)で表わされるペロブスカイト型金属酸化物からなる圧電材料。
一般式(1)
(1−x){(NaBa1−z)(NbTi1−z)O}−xBiFeO(式中、x、y、zは、0<x≦0.015、0.80≦y≦0.95、0.85≦z≦0.95を表す。)上記の圧電材料と、前記圧電材料に接して設けられた一対の電極とを少なくとも有する圧電素子。上記の圧電材料からなる圧電材料層と、内部電極を含む電極とが交互に積層された積層圧電素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は圧電材料に関し、特に鉛を含有しない圧電材料に関する。また、本発明は前記圧電材料を用いた圧電素子、積層圧電素子、積層圧電素子の製造方法、液体吐出ヘッド、液体吐出装置、超音波モータ、光学機器、振動装置、塵埃除去装置、撮像装置、および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
鉛を含有するチタン酸ジルコン酸鉛は代表的な圧電材料であり、アクチュエータ、発振子、センサやフィルターなど多様な圧電デバイスで使用されている。しかし、鉛含有圧電デバイスが一旦廃棄され酸性雨を浴びると、圧電材料中の鉛成分が土壌に溶け出し、生態系に害を及ぼす可能性が指摘されている。そこで圧電デバイスの非鉛化を目的として、非鉛圧電材料の研究開発が盛んに行われている。
【0003】
非特許文献1では、反強誘電体であるニオブ酸ナトリウムに少量のチタン酸バリウムを固溶させるとニオブ酸ナトリウムが強誘電体となることが見出されている。更に、非特許文献1にはチタン酸バリウムの濃度が5%から20%の組成で1200から1280℃で焼結させたときの、残留分極、抗電界、圧電定数、電気機械結合係数が開示されている。非特許文献1の材料は、鉛を含まないことに加えて、難焼結性や低耐湿性の原因となるカリウムを含まない。さらに非特許文献1の材料のキュリー温度は、代表的な非鉛圧電材料であるチタン酸バリウムのキュリー温度(110から120℃)よりも高い。最大の圧電定数d33=143pC/Nが得られる組成(Na0.9Ba0.1)(Nb0.9Ti0.1)Oでのキュリー温度は230℃であることが開示されている。
【0004】
また、特許文献1では、ニオブ酸ナトリウムとチタン酸バリウムの固溶体である圧電セラミックにコバルトを加えることで、圧電定数が向上することが開示されている。一方で、特許文献1の圧電材料には10Ω以下と低い絶縁性のために分極が困難な試料が含まれていたことも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−227535号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】”J.T.Zengら、Journal of the American Ceramic Society”2006年、89巻、2828ページから2832ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の技術では、ニオブ酸ナトリウムにチタン酸バリウムを固溶させて得られる圧電材料(以後、NN−BTと記す。)の圧電定数向上のためには、1200から1280℃という高温で焼結させねばならず、また高価で有害性が指摘されているコバルトを使用しなくてはならなかった。さらにコバルトを加えたNN−BTの絶縁抵抗が必ずしも高くないという課題があった。
【0008】
本発明は、この様な課題を解決するためになされたものであり、鉛とカリウム、コバルトを含まず、キュリー温度が100℃以上であり、1200℃よりも低温で焼結できる、絶縁性と圧電性が良好な圧電材料を提供するものである。また本発明は、前記非鉛圧電材料を用いた圧電素子、積層圧電素子、及び前記圧電素子もしくは積層圧電素子を用いた液体吐出ヘッド、超音波モータおよび塵埃除去装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明の圧電材料は、下記一般式(1)で表わされるペロブスカイト型金属酸化物からなることを特徴とする圧電材料である。
【0010】
一般式(1)
(1−x){(NaBa1−z)(NbTi1−z)O}−xBiFeO(式中、x、y、zは、0<x≦0.015、0.80≦y≦0.95、0.85≦z≦0.95を表す。)
【0011】
本発明の圧電素子は、第一の電極、圧電材料及び第二の電極を有する圧電素子であって、前記圧電材料が本発明の圧電材料であることを特徴とする圧電素子である。
【0012】
本発明の積層圧電素子は、圧電材料層と、内部電極を含む電極とが交互に積層された積層圧電素子であって、前記圧電材料層が上記の圧電材料であることを特徴とする。
【0013】
本発明の液体吐出ヘッドは、前記圧電素子または積層圧電素子を配した振動部を備えた液室と、前記液室と連通する吐出口を少なくとも有することを特徴とする。
【0014】
本発明の液体吐出装置は、記録媒体の搬送部と前記液体吐出ヘッドを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の超音波モータは、前記圧電素子または積層圧電素子を配した振動体と、前記振動体と接触する移動体とを少なくとも有することを特徴とする。
【0016】
本発明の光学機器は、駆動部に前記超音波モータを備えることを特徴とする。
【0017】
本発明の振動装置は、前記圧電素子または積層圧電素子を配した振動体を有することを特徴とする。
【0018】
本発明の塵埃除去装置は、前記振動装置を振動部に備えることを特徴とする。
【0019】
本発明の撮像装置は、前記の塵埃除去装置と撮像素子ユニットとを少なくとも有する撮像装置であって、前記塵埃除去装置の振動部材と前記撮像ユニットの受光面を同一軸上に順に設けた事を特徴とする。
【0020】
本発明の電子機器は、前記圧電素子または積層圧電素子を備えた圧電音響部品を配することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、鉛とカリウム、コバルトを含まず、キュリー温度が100℃以上であり、1200℃よりも低温で焼結できる、絶縁性と圧電性が良好な圧電材料を提供することができる。また本発明によれば、前記非鉛圧電材料を用いた圧電素子、積層圧電素子、及び前記圧電素子もしくは積層圧電素子を用いた液体吐出ヘッド、液体吐出装置、超音波モータ、光学機器、振動装置、塵埃除去装置、撮像装置、および電子機器を提供することができる。
【0022】
本発明の圧電材料は、鉛を使用していないために環境に対する負荷が小さい。また、カリウムを使用していないために、焼結性や耐湿性の面でも優れている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の圧電素子の構成の一実施形態を示す概略図である。
【図2】本発明の積層圧電素子の構成の一実施形態を示す断面概略図である。
【図3】本発明の液体吐出ヘッドの構成の一実施態様を示す概略図である。
【図4】本発明の液体吐出装置の一実施態様を示す概略図である。
【図5】本発明の液体吐出装置の一実施態様を示す概略図である。
【図6】本発明の超音波モータの構成の一実施態様を示す概略図である。
【図7】本発明の光学機器の一実施態様を示す概略図である。
【図8】本発明の光学機器の一実施態様を示す概略図である。
【図9】本発明の振動装置を塵埃除去装置とした場合の一実施態様を示す概略図である。
【図10】本発明の塵埃除去装置における圧電素子の構成を示す概略図である。
【図11】本発明の塵埃除去装置の振動原理を示す模式図である。
【図12】本発明の撮像装置の一実施態様を示す概略図である。
【図13】本発明の撮像装置の一実施態様を示す概略図である。
【図14】本発明の電子機器の一実施態様を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0025】
本発明は、NN−BTをベースとし、圧電性と絶縁性の良好な非鉛圧電材料を提供するものである。なお、本発明の圧電材料は、誘電材料としての特性を利用してコンデンサ、メモリ、およびセンサ等のさまざまな用途に利用することができる。
【0026】
本発明の圧電材料は、下記一般式(1)で表わされるペロブスカイト型金属酸化物からなることを特徴とする。
【0027】
一般式(1)
(1−x){(NaBa1−z)(NbTi1−z)O}−xBiFeO(式中、x、y、zは、0<x≦0.015、0.80≦y≦0.95、0.85≦z≦0.95を表す。)
【0028】
上記一般式(1)は、(1−x)モルの{(NaBa1−z)(NbTi1−z)O}(NN−BT)と、xモルのBiFeOからなる金属酸化物の組成を示している。上記一般式(1)中のNN−BTは、ニオブ酸ナトリウムにチタン酸バリウムを固溶させて得られたNaNbOとBaTiOの固溶体からなるが、焼結時にNaが揮発しやすく、Nbに対してNaが欠損してしまうことがある。上記の一般式(1)では、本発明の圧電材料がNaの欠損する場合もあることを踏まえ、Nbの添え字“z”と区別して、Naの添え字を“y”と表記した。
【0029】
またNN−BTとBiFeOは完全な固溶体を形成している必要はないが、均一に固溶して単相のペロブスカイト型構造を形成しているとNNの斜方晶構造、BTの正方晶構造、BiFeOの菱面体晶構造の組成相境界効果により圧電定数の向上幅が大きくなる。
【0030】
上記一般式(1)のxの範囲は0<x≦0.015である。BiFeOの量比xが0.015より大きいと、キュリー温度が低くなりすぎて、デバイス作製工程やデバイス駆動時の熱により脱分極してしまうおそれがある。一方、BiFeOの量はわずかであっても絶縁抵抗と圧電性を向上させる効果は得られる。好ましいxは0.001≦x≦0.015、より好ましいxは0.001≦x≦0.013であり、xが前記範囲の値であるとBiFeOを含まない組成に対して10%以上の圧電定数の向上効果が得られる。
【0031】
一般式(1)のyの範囲は0.80≦y≦0.95である。ナトリウム量yが0.8よりも少ないと、ナトリウムがニオブに対して化学量論ベースで95%よりも少なくなる。ナトリウムが5%よりも多く欠損した組成では不純物相(BaNb、BaTiNb42、BaNbTi21、BaNb3.2Ti21などと類似のエックス線回折パターンを持つ相)が発生し試料の絶縁性が低下する。また、ナトリウム量yが0.95を超えると圧電性が低下する。ナトリウム量yが0.80≦y≦0.95の範囲にあると、不純物相の発生を抑制できて、良好な圧電性が得られる。より好ましいyは0.80≦y≦0.90である。
【0032】
一般式(1)のzの範囲は0.85≦z≦0.95である。ニオブ量zが0.85よりも小さくなるとキュリー温度が110℃よりも低くなる。一方で、ニオブ量zが0.95を超えると圧電性が低下する。より好ましいzは0.85≦z≦0.90である。
【0033】
上記一般式(1)において、前記zの値が小さく(例えばz≦0.87)、かつ前記xも大きな値(例えばx≧0.013)を取る時、本発明の圧電材料は圧電性能の向上と引き換えにキュリー温度が低くなる。本発明の圧電材料がデバイス作製工程における加熱やデバイス駆動における発熱によって脱分極するのを防ぐためには、本発明の圧電材料のキュリー温度が100℃以上、好ましくは110℃以上、より好ましくは130℃以上である組成を選択することが好ましい。本発明の圧電材料のキュリー温度は、組成パラメータx、y、zとミクロスケールでの組成均一性により制御可能である。
【0034】
本明細書において、キュリー温度とは、キュリーワイス則から見積もられるキュリー温度に加えて、強誘電相と常誘電相(立方晶)の相転移温度近傍で誘電率が極大となる温度もキュリー温度として取り扱う。
【0035】
本明細書において、ペロブスカイト構造とは、一般にABOの化学式で表現される結晶構造の名称である。元素A、Bは各々Aサイト、Bサイトと呼ばれる単位格子の特定の位置を占める。立方晶のペロブスカイト構造の場合、Aサイト元素は単位格子の8つのコーナーを、Bサイト元素が1つの体心位置を、酸素は6つの面心位置を占有する。Aサイト元素は12配位であり、Bサイト元素は6配位である。
【0036】
本発明の圧電材料の製造を容易にしたり、本発明の圧電材料の物性を調整したりする目的で、バリウムの一部を2価の金属元素、例えばストロンチウムやカルシウムで置換しても構わない。同様に、ニオブの一部を5価の金属元素、例えばタンタルやバナジウムで置換しても構わない。
【0037】
本発明の圧電材料は、その組成に特徴があり、圧電材料の形状は限定されず、粉末、単結晶、多結晶セラミックス、基板上に作製された膜のいずれであっても構わない。本発明の圧電材料の焼結セラミックスの製造には、圧電材料を構成する金属酸化物、金属塩の粉末や液体を原料として用いることができる。また、原料にはチタン酸バリウム粉末やニオブ酸ナトリウム粉末、鉄酸ビスマス粉末を用いてもよい。
【0038】
成型体は空気中、常圧下で焼結することができる。これ以外にも通電加熱法やマイクロ波焼結法、ミリ波焼結法、熱間等方圧プレスといった手法も必要に応じて採用することが出来る。
【0039】
焼結温度に特に制限は無いが、本発明の圧電材料はNN−BTにBiFeOを加える効果により、低温プロセスで十分な圧電性を得ることができる。例えば、従来のNN−BTよりなるセラミックス状の圧電材料は、1280℃以上の焼結温度でないと十分な密度および圧電性能を得られないが、本発明の圧電材料は1100℃から1200℃程度の焼結温度で十分な密度および圧電性能を有する圧電セラミックスとなる。
【0040】
本発明の圧電材料の結晶粒径が100μmを越える場合、切断加工及び研磨加工時に強度が十分でない場合がある。そのために圧電材料の結晶粒径の好ましい粒径範囲は、平均粒径が0.3μm以上100μm以下である。
【0041】
本発明の圧電材料を基板上に作製された膜として利用する際、前記圧電材料の厚みは200nm以上10μm以下、より好ましくは300nm以上3μm以下であることが望ましい。圧電材料の膜厚を200nm以上10μm以下とすることで圧電素子として十分な電気機械変換機能が得られる。
【0042】
前記膜の積層方法は特に制限されない。例えば、化学溶液堆積法(CSD法)、ゾルゲル法、有機金属化学気相成長法(MOCVD法)、スパッタリング法、パルスレーザデポジション法(PLD法)、水熱合成法、エアロゾルデポジション法(AD法)などが挙げられる。このうち、もっとも好ましい積層方法は化学溶液堆積法またはスパッタリング法である。化学溶液堆積法またはスパッタリング法は、容易に成膜面積を大面積化できる。
【0043】
本発明の圧電材料に用いる基板は(001)面または(110)面で切断・研磨された単結晶基板であることが好ましい。特定の結晶面で切断・研磨された単結晶基板を用いることで、その基板表面に設けられた圧電材料膜も同一方位に強く配向させることができる。
【0044】
以下に本発明の圧電材料を用いた圧電素子について説明する。
【0045】
図1は本発明の圧電素子の構成の一実施形態を示す概略図である。本発明に係る圧電素子は、第一の電極1、圧電材料2および第二の電極3を少なくとも有する圧電素子であって、前記圧電材料2が本発明の圧電材料であることを特徴とする。
【0046】
本発明に係る圧電材料は、少なくとも第一の電極と第二の電極を有する圧電素子にすることにより、その圧電特性を評価できる。前記第一の電極および第二の電極は、厚み5nmから2000nm程度の導電層よりなる。その材料は特に限定されず、圧電素子に通常用いられているものであればよい。例えば、Ti、Pt、Ta、Ir、Sr、In、Sn、Au、Al、Fe、Cr、Ni、Pd、Ag、Cuなどの金属およびこれらの化合物を挙げることができる。
【0047】
前記第一の電極および第二の電極は、これらのうちの1種からなるものであっても、あるいはこれらの2種以上を積層してなるものであってもよい。また、第一の電極と第二の電極が、それぞれ異なる材料であってもよい。
【0048】
前記第一の電極と第二の電極の製造方法は限定されず、金属ペーストの焼き付けにより形成しても良いし、スパッタ、蒸着法などにより形成してもよい。また第一の電極と第二の電極とも所望の形状にパターニングして用いてもよい。
【0049】
前記圧電素子は一定方向に分極軸が揃っているものであると、より好ましい。分極軸が一定方向に揃っていることで前記圧電素子の圧電定数は大きくなる。
【0050】
前記圧電素子の分極方法は特に限定されない。分極処理は大気中で行ってもよいし、オイル中で行ってもよい。分極をする際の温度は60℃から160℃の温度が好ましいが、素子を構成する圧電材料の組成によって最適な条件は多少異なる。分極処理をするために印加する電界は、その材料の抗電界以上であることが好ましく、具体的には1から5kV/mmである。
【0051】
前記圧電素子の圧電定数および機械的品質係数は、市販のインピーダンスアナライザを用いて得られる共振周波数及び反共振周波数の測定結果から、電子情報技術産業協会規格(JEITA EM−4501)に基づいて、計算により求めることができる。以下、この方法を共振−反共振法と呼ぶ。
【0052】
次に、本発明の圧電材料を用いた積層圧電素子について説明する。
【0053】
本発明に係る積層圧電素子は、圧電材料層と、内部電極を含む電極とが交互に積層された積層圧電素子であって、前記圧電材料層が本発明の圧電材料よりなることを特徴とする。
【0054】
図2は本発明の積層圧電素子の構成の一実施形態を示す断面概略図である。本発明に係る積層圧電素子は、圧電材料層54と、内部電極55を含む電極とで構成されており、圧電材料層と層状の電極とが交互に積層された積層圧電素子であって、前記圧電材料層54が上記の圧電材料よりなることを特徴とする。電極は、内部電極55以外に第一の電極51や第二の電極53といった外部電極を含んでいてもよい。
【0055】
図2(a)は2層の圧電材料層54と1層の内部電極55が交互に積層され、その積層構造体を第一の電極51と第二の電極53で狭持した本発明の積層圧電素子の構成を示しているが、図2(b)のように圧電材料層と内部電極の数を増やしてもよく、その層数に限定はない。図2(b)の積層圧電素子は9層の圧電材料層504と8層の内部電極505が交互に積層され、その積層構造体を第一の電極501と第二の電極503で狭持した構成であり、交互に形成された内部電極を短絡するための外部電極506aおよび外部電極506bを有する。
【0056】
内部電極55、505、第一電極51、501、第二電極53、503、および外部電極506a、506bの大きさや形状は必ずしも圧電材料層54、504と同一である必要はなく、また複数に分割されていてもよい。
【0057】
内部電極55、505、第一電極51、501、第二電極53、503、および外部電極506a、506bは、厚み5nmから2000nm程度の導電層よりなる。その材料は特に限定されず、圧電素子に通常用いられているものであればよい。例えば、Ti、Pt、Ta、Ir、Sr、In、Sn、Au、Al、Fe、Cr、Ni、Pd、Ag、Cuなどの金属およびこれらの化合物を挙げることができる。内部電極55、505、第一電極51、501、第二電極53、503、および外部電極506a、506bは、これらのうちの1種からなるものであっても2種以上の混合物あるいは合金であってもよく、あるいはこれらの2種以上を積層してなるものであってもよい。また複数の電極が、それぞれ異なる材料であってもよい。電極材料が安価という観点において、内部電極55、505はNiを主成分とすることが好ましい。 本発明の積層圧電素子は、内部電極がAgとPdを含み、前記Agの含有重量M1と前記Pdの含有重量M2との重量比M1/M2が1.5≦M1/M2≦9.0であることが好ましい。より好ましくは2.3≦M1/M2≦4.0である。前記重量比M1/M2が1.5未満であると内部電極の焼結温度が高くなるので望ましくない。一方で、前記重量比M1/M2が9.0よりも大きくなると、内部電極が島状になるために面内で不均一になるので望ましくない。
【0058】
図2(b)に示すように、内部電極505を含む複数の電極は、駆動電圧の位相をそろえる目的で互いに短絡させても良い。例えば内部電極505、第一の電極501、第二の電極503を交互に短絡させる構成が挙げられる。また電極どうしの短絡の形態は限定されない。積層圧電素子の側面に短絡のための電極や配線を設けてもよいし、圧電材料層504を貫通するスルーホールを設け、その内側に導電材料を設けて電極どうしを短絡させてもよい。
【0059】
本発明に係る液体吐出ヘッドは、前記圧電素子または前記積層圧電素子を配した振動部を備えた液室と、前記液室と連通する吐出口を少なくとも有することを特徴とする。
【0060】
図3は、本発明の液体吐出ヘッドの構成の一実施態様を示す概略図である。図3(a)(b)に示すように、本発明の液体吐出ヘッドは、本発明の圧電素子101を有する液体吐出ヘッドである。圧電素子101は、第一の電極1011、圧電材料1012、第二の電極1013を少なくとも有する圧電素子である。圧電材料1012は、図3(b)の如く、必要に応じてパターニングされている。
【0061】
図3(b)は液体吐出ヘッドの模式図である。液体吐出ヘッドは、吐出口105、個別液室102、個別液室102と吐出口105をつなぐ連通孔106、液室隔壁104、共通液室107、振動板103、圧電素子101を有する。図において圧電素子101は矩形状だが、その形状は、楕円形、円形、平行四辺形等の矩形以外でも良い。一般に、圧電材料1012は個別液室102の形状に沿った形状となる。
【0062】
本発明の液体吐出ヘッドに含まれる圧電素子101の近傍を図3(a)で詳細に説明する。図3(a)は、図3(b)に示された圧電素子の幅方向での断面図である。圧電素子101の断面形状は矩形で表示されているが、台形や逆台形でもよい。
【0063】
図中では、第一の電極1011が下部電極、第二の電極1013が上部電極として使用されている。しかし、第一の電極1011と、第二の電極1013の配置はこの限りではない。例えば、第一の電極1011を下部電極として使用してもよいし、上部電極として使用してもよい。同じく、第二の電極1013を上部電極として使用しても良いし、下部電極として使用しても良い。また、振動板103と下部電極の間にバッファ層108が存在しても良い。なお、これらの名称の違いはデバイスの製造方法の違いによるものであり、いずれの場合でも本発明の効果は得られる。
【0064】
前記液体吐出ヘッドにおいては、振動板103が圧電材料1012の伸縮によって上下に変動し、個別液室102の液体に圧力を加える。その結果、吐出口105より液体が吐出される。本発明の液体吐出ヘッドは、プリンタ用途や電子デバイスの製造に用いることができる。振動板103の厚みは、1.0μm以上15μm以下であり、好ましくは1.5μm以上8μm以下である。振動板の材料は限定されないが、好ましくはSiである。振動板のSiにホウ素やリンがドープされていてもよい。また、振動板上のバッファ層、電極が振動板の一部となってもよい。バッファ層108の厚みは、5nm以上300nm以下であり、好ましくは10nm以上200nm以下である。吐出口105の大きさは、円相当径で5μm以上40μm以下である。吐出口105の形状は、円形であってもよいし、星型や角型状、三角形状でもよい。
【0065】
次に、本発明の液体吐出装置について説明する。本発明の液体吐出装置は、記録媒体の搬送部と前記液体吐出ヘッドを備えたものである。
【0066】
本発明の液体吐出装置の一例として、図4および図5に示すインクジェット記録装置を挙げることができる。図4に示す液体吐出装置(インクジェット記録装置)881の外装882〜885及び887を外した状態を図5に示す。インクジェット記録装置881は、記録媒体としての記録紙を装置本体896内へ自動給送する自動給送部897を有する。更に、自動給送部897から送られる記録紙を所定の記録位置へ導き、記録位置から排出口898へ導く搬送部899と、記録位置に搬送された記録紙に記録を行う記録部891と、記録部891に対する回復処理を行う回復部890とを有する。記録部891には、本発明の液体吐出ヘッドを収納し、レール上を往復移送されるキャリッジ892が備えられる。
【0067】
このようなインクジェット記録装置において、コンピューターから送出される電気信号によりキャリッジ892がレール上を移送され、圧電材料を挟持する電極に駆動電圧が印加されると圧電材料が変位する。この圧電材料の変位により、図3(b)に示す振動板103を介して個別液室102を加圧し、インクを吐出口105から吐出させて、印字を行う。本発明の液体吐出装置においては、均一に高速度で液体を吐出させることができ、装置の小型化を図ることができる。
【0068】
上記例は、プリンタとして例示したが、本発明の液体吐出装置は、ファクシミリや複合機、複写機などのインクジェット記録装置等のプリンティング装置の他、産業用液体吐出装置、対象物に対する描画装置として使用することができる。
【0069】
本発明に係る超音波モータは、前記圧電素子または前記積層圧電素子を配した振動体と、前記振動体と接触する移動体とを少なくとも有することを特徴とする。図6は、本発明の超音波モータの構成の一実施態様を示す概略図である。本発明の単板からなる圧電素子を含む超音波モータを、図6(a)に示す。超音波モータは、振動子201、振動子201の摺動面に不図示の加圧バネによる加圧力で接触しているロータ202、ロータ202と一体的に設けられた出力軸203を有する。前記振動子201は、金属の弾性体リング2011、本発明の圧電素子2012、圧電素子2012を弾性体リング2011に接着する有機系接着剤2013(エポキシ系、シアノアクリレート系など)で構成される。本発明の圧電素子2012は、不図示の第一の電極と第二の電極によって挟まれた圧電材料で構成される。本発明の圧電素子に位相がπ/2異なる二相の交流電圧を印加すると、振動子201に屈曲進行波が発生し、振動子201の摺動面上の各点は楕円運動をする。この振動子201の摺動面にロータ202が圧接されていると、ロータ202は振動子201から摩擦力を受け、屈曲進行波とは逆の方向へ回転する。不図示の被駆動体は、出力軸203と接合されており、ロータ202の回転力で駆動される。圧電材料に電圧を印加すると、圧電横効果によって圧電材料は伸縮する。金属などの弾性体が圧電素子に接合している場合、弾性体は圧電材料の伸縮によって曲げられる。ここで説明された種類の超音波モータは、この原理を利用したものである。次に、積層構造を有した圧電素子を含む超音波モータを図6(b)に例示する。振動子204は、筒状の金属弾性体2041に挟まれた積層圧電素子2042よりなる。積層圧電素子2042は、不図示の複数の積層された圧電材料により構成される素子であり、積層外面に第一の電極と第二の電極、積層内面に内部電極を有する。金属弾性体2041はボルトによって締結され、圧電素子2042を挟持固定し、振動子204となる。圧電素子2042に位相の異なる交流電圧を印加することにより、振動子204は互いに直交する2つの振動を励起する。この二つの振動は合成され、振動子204の先端部を駆動するための円振動を形成する。なお、振動子204の上部にはくびれた周溝が形成され、駆動のための振動の変位を大きくしている。ロータ205は、加圧用のバネ206により振動子204と加圧接触し、駆動のための摩擦力を得る。ロータ205はベアリングによって回転可能に支持されている。
【0070】
次に、本発明の光学機器について説明する。本発明の光学機器は、駆動部に前記超音波モータを備えたことを特徴とする。
【0071】
図7は、本発明の撮像装置の好適な実施形態の一例である一眼レフカメラの交換レンズ鏡筒の主要断面図である。また、図8は本発明の撮像装置の好適な実施形態の一例である一眼レフカメラの交換レンズ鏡筒の分解斜視図である。カメラとの着脱マウント711には、固定筒712と、直進案内筒713、前群鏡筒714が固定されている。これらは交換レンズ鏡筒の固定部材である。
【0072】
直進案内筒713には、フォーカスレンズ702用の光軸方向の直進案内溝713aが形成されている。フォーカスレンズ702を保持した後群鏡筒716には、径方向外方に突出するカムローラ717a、717bが軸ビス718により固定されており、このカムローラ717aがこの直進案内溝713aに嵌まっている。
【0073】
直進案内筒713の内周には、カム環715が回動自在に嵌まっている。直進案内筒713とカム環715とは、カム環715に固定されたローラ719が、直進案内筒713の周溝713bに嵌まることで、光軸方向への相対移動が規制されている。このカム環715には、フォーカスレンズ702用のカム溝715aが形成されていて、カム溝715aには、前述のカムローラ717bが嵌まっている。
【0074】
固定筒712の外周側にはボールレース727により固定筒712に対して定位置回転可能に保持された回転伝達環720が配置されている。回転伝達環720には、回転伝達環720から放射状に延びた軸720fにコロ722が回転自由に保持されており、このコロ722の径大部722aがマニュアルフォーカス環724のマウント側端面724bと接触している。またコロ722の径小部722bは接合部材729と接触している。コロ722は回転伝達環720の外周に等間隔に6つ配置されており、それぞれのコロが上記の関係で構成されている。
【0075】
マニュアルフォーカス環724の内径部には低摩擦シート(ワッシャ部材)733が配置され、この低摩擦シートが固定筒712のマウント側端面712aとマニュアルフォーカス環724の前側端面724aとの間に挟持されている。また、低摩擦シート733の外径はリング状とされマニュアルフォーカス環724の内径724cとは互いに適合しており、更にマニュアルフォーカス環724の内径724cは固定筒712の外径部712bと径嵌合している。低摩擦シート733は、マニュアルフォーカス環724が固定筒712に対して光軸周りに相対回転する構成の回転環機構における摩擦を軽減する役割を果たす。
【0076】
なお、コロ722の径大部722aとマニュアルフォーカス環のマウント側端面724aとは、波ワッシャ726が超音波モータ725をレンズ前方に押圧する力により、加圧力が付与された状態で接触している。また同じく、波ワッシャ726が超音波モータ725をレンズ前方に押圧する力により、コロ722の径小部722bと接合部材729の間も適度な加圧力が付与された状態で接触している。波ワッシャ726は、固定筒712に対してバヨネット結合したワッシャ732によりマウント方向への移動を規制されており、波ワッシャ726が発生するバネ力(付勢力)は、超音波モータ725、更にはコロ722に伝わり、マニュアルフォーカス環724が固定筒712のマウント側端面712aを押し付け力ともなる。つまり、マニュアルフォーカス環724は、低摩擦シート733を介して固定筒712のマウント側端面712aに押し付けられた状態で組み込まれている。
【0077】
従って、不図示の制御部により超音波モータ725が固定筒712に対して回転駆動されると、接合部材729がコロ722の径小部722bと摩擦接触しているため、コロ722が軸720f中心周りに回転する。コロ722が軸720f回りに回転すると、結果として回転伝達環720が光軸周りに回転する(オートフォーカス動作)。
【0078】
また、不図示のマニュアル操作入力部からマニュアルフォーカス環724に光軸周りの回転力が与えられると、マニュアルフォーカス環724のマウント側端面724bがコロ722の径大部722aと加圧接触しているため、摩擦力によりコロ722が軸720f周りに回転する。コロ722の径大部722aが軸720f周りに回転すると、回転伝達環720が光軸周りに回転する。このとき超音波モータ725は、ロータ725cとステータ725bの摩擦保持力により回転しないようになっている(マニュアルフォーカス動作)。
【0079】
回転伝達環720には、フォーカスキー728が2つ互いに対向する位置に取り付けられており、フォーカスキー728がカム環715の先端に設けられた切り欠き部715bと嵌合している。従って、オートフォーカス動作或いはマニュアルフォーカス動作が行われて、回転伝達環720が光軸周りに回転させられると、その回転力がフォーカスキー728を介してカム環715に伝達される。カム環が光軸周りに回転させられると、カムローラ717aと直進案内溝713aにより回転規制された後群鏡筒716が、カムローラ717bによってカム環715のカム溝715aに沿って進退する。これにより、フォーカスレンズ702が駆動され、フォーカス動作が行われる。
【0080】
ここで本発明の光学機器として、一眼レフカメラの交換レンズ鏡筒について説明したが、コンパクトカメラ、電子スチルカメラ、カメラ付き携帯情報端末等、カメラの種類を問わず、駆動部に超音波モータを有する光学機器に適用することができる。
【0081】
粒子、粉体、液滴の搬送、除去等で利用される振動装置は、電子機器等で広く使用されている。
【0082】
以下、本発明の振動装置の一つの例として、本発明の圧電素子を用いた塵埃除去装置について説明する。
【0083】
本発明に係る塵埃除去装置は、前記圧電素子または前記積層圧電素子を配した振動体を有することを特徴とする。
【0084】
図9(a)および図9(b)は本発明の塵埃除去装置の一実施態様を示す概略図である。塵埃除去装置310は板状の圧電素子330と振動板320より構成される。圧電素子330は、本発明の積層圧電素子であってもよい。振動板320の材質は限定されないが、塵埃除去装置310を光学デバイスに用いる場合には透光性材料や光反射性材料を振動板320として用いることができる。
【0085】
図10は図9における圧電素子330の構成を示す概略図である。図10(a)と(c)は圧電素子330の表裏面の構成、図10(b)は側面の構成を示している。圧電素子330は図9に示すように圧電材料331と第1の電極332と第2の電極333より構成され、第1の電極332と第2の電極333は圧電材料331の板面に対向して配置されている。図9と同様に圧電素子330は、本発明の積層圧電素子であっても良い。その場合、圧電材料331は圧電材料層と内部電極の交互構造をとり、内部電極を交互に第一の電極332または第二の電極333と短絡させることにより、圧電材料の層ごとに位相の異なる駆動波形を与えることができる。図10(c)において圧電素子330の手前に出ている第1の電極332が設置された面を第1の電極面336、図10(a)において圧電素子330の手前に出ている第2の電極333が設置された面を第2の電極面337とする。
【0086】
ここで、本発明における電極面とは電極が設置されている圧電素子の面を指しており、例えば図10に示すように第1の電極332が第2の電極面337に回りこんでいても良い。
【0087】
圧電素子330と振動板320は、図9(a)(b)に示すように圧電素子330の第1の電極面336で振動板320の板面に固着される。そして圧電素子330の駆動により圧電素子330と振動板320との間に応力が発生し、振動板に面外振動を発生させる。本発明の塵埃除去装置310は、この振動板320の面外振動により振動板320の表面に付着した塵埃等の異物を除去する装置である。面外振動とは、振動板を光軸方向つまり振動板の厚さ方向に変位させる弾性振動を意味する。
【0088】
図11は本発明の塵埃除去装置310の振動原理を示す模式図である。上図は左右一対の圧電素子330に同位相の交番電界を印加して、振動板320に面外振動を発生させた状態を表している。左右一対の圧電素子330を構成する圧電材料の分極方向は圧電素子330の厚さ方向と同一であり、塵埃除去装置310は7次の振動モードで駆動している。下図は左右一対の圧電素子330に位相が180°反対である逆位相の交番電界を印加して、振動板320に面外振動を発生させた状態を表している。塵埃除去装置310は6次の振動モードで駆動している。本発明の塵埃除去装置310は少なくとも2つの振動モードを使い分けることで振動板の表面に付着した塵埃を効果的に除去できる装置である。
【0089】
次に、本発明の撮像装置について説明する。本発明の撮像装置は、前記塵埃除去装置と撮像素子ユニットとを少なくとも有する撮像装置であって、前記塵埃除去装置の振動部材と前記撮像ユニットの受光面を同一軸上に順に設けた事を特徴とする。図12および図13は本発明の撮像装置の好適な実施形態の一例であるデジタル一眼レフカメラを示す図である。
【0090】
図12は、カメラ本体601を被写体側より見た正面側斜視図であって、撮影レンズユニットを外した状態を示す。図13は、本発明の塵埃除去装置と撮像ユニット400の周辺構造について説明するためのカメラ内部の概略構成を示す分解斜視図である。
【0091】
カメラ本体601内には、撮影レンズを通過した撮影光束が導かれるミラーボックス605が設けられており、ミラーボックス605内にメインミラー(クイックリターンミラー)606が配設されている。メインミラー606は、撮影光束をペンタダハミラー(不図示)の方向へ導くために撮影光軸に対して45°の角度に保持される状態と、撮像素子(不図示)の方向へ導くために撮影光束から退避した位置に保持される状態とを取り得る。
【0092】
カメラ本体の骨格となる本体シャーシ300の被写体側には、被写体側から順にミラーボックス605、シャッタユニット200が配設される。また、本体シャーシ300の撮影者側には、撮像ユニット400が配設される。撮像ユニット400は、撮影レンズユニットが取り付けられる基準となるマウント部602の取り付け面に撮像素子の撮像面が所定の距離を空けて、且つ平行になるように調整されて設置される。
【0093】
ここで、本発明の撮像装置として、デジタル一眼レフカメラについて説明したが、例えばミラーボックス605を備えていないミラーレス型のデジタル一眼カメラのような撮影レンズユニット交換式カメラであってもよい。また、撮影レンズユニット交換式のビデオカメラや、複写機、ファクシミリ、スキャナ等の各種の撮像装置もしくは撮像装置を備える電子電気機器のうち、特に光学部品の表面に付着する塵埃の除去が必要な機器にも適用することができる。
【0094】
次に、本発明の電子機器について説明する。本発明の電子機器は、前記圧電素子または前記積層圧電素子を備えた圧電音響部品を配したことを特徴とする。圧電音響部品にはスピーカ、ブザー、マイク、表面弾性波(SAW)素子が含まれる。
【0095】
図14は本発明の電子機器の好適な実施形態の一例であるデジタルカメラの本体931の前方から見た全体斜視図である。本体931の前面には光学装置901、マイク914、ストロボ発光部909、補助光部916が配置されている。マイク914は本体内部に組み込まれているため、破線で示している。マイク914の前方には外部からの音を拾うための穴形状が設けられている。
【0096】
本体931上面には電源ボタン933、スピーカ912、ズームレバー932、合焦動作を実行するためのレリーズボタン908が配置される。スピーカ912は本体931内部に組み込まれており、破線で示してある。スピーカ912の前方には音声を外部へ伝えるための穴形状が設けられている。
【0097】
本発明の圧電音響部品は、マイク914、スピーカ912、また表面弾性波素子、の少なくとも一つに用いられる。
【0098】
ここで、本発明の電子機器としてデジタルカメラについて説明したが、本発明の電子機器は、音声再生機器、音声録音機器、携帯電話、情報端末等各種の圧電音響部品を有する電子機器にも適用することができる。
【0099】
前述したように本発明の圧電素子または積層圧電素子は、液体吐出ヘッド、液体吐出装置、超音波モータ、光学機器、振動装置、塵埃除去装置、撮像装置および電子機器に好適に用いられる。本発明の圧電素子または積層圧電素子を用いることで、鉛を含む圧電素子を用いた場合と同等以上のノズル密度、および吐出速度を有する液体吐出ヘッドを提供できる。
【0100】
本発明の液体吐出ヘッドを用いることで、鉛を含む圧電素子を用いた場合と同等以上の吐出速度および吐出精度を有する液体吐出装置を提供できる。本発明の圧電素子または積層圧電素子を用いることで、鉛を含む圧電素子を用いた場合と同等以上の駆動力、および耐久性を有する超音波モータを提供できる。
【0101】
本発明の超音波モータを用いることで、鉛を含む圧電素子を用いた場合と同等以上の耐久性および動作精度を有する光学機器を提供できる。
【0102】
本発明の圧電素子または積層圧電素子を用いることで、鉛を含む圧電素子を用いた場合と同等以上の振動能力、および耐久性を有する振動装置を提供できる。
【0103】
本発明の振動装置を用いることで、鉛を含む圧電素子を用いた場合と同等以上の塵埃除去効率、および耐久性を有する塵埃除去装置を提供できる。
【0104】
本発明の塵埃除去装置を用いることで、鉛を含む圧電素子を用いた場合と同等以上の塵埃除去機能を有する撮像装置を提供できる。
【0105】
本発明の圧電素子または積層圧電素子を備えた圧電音響部品を用いることで、鉛を含む圧電素子を用いた場合と同等以上の発音性を有する電子機器を提供できる。
【0106】
本発明の圧電材料は、液体吐出ヘッド、モータなどに加え、超音波振動子、圧電アクチュエータ、圧電センサ、強誘電メモリ等のデバイスに用いることができる。
【実施例】
【0107】
以下に実施例を挙げて本発明の圧電材料をより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例により限定されるものではない。
【0108】
実施例および比較例で得られた圧電材料およびその中間体の加工と評価は下記のような手順で行った。
【0109】
評価のための圧電材料は厚みが約0.5mmとなるように研磨処理をした。アルキメデス法により圧電材料の密度を評価し、理論密度の95%以上であれば十分に結晶化が進んでいると判断した。圧電材料の結晶相と格子定数はエックス線回折測定により評価した。
【0110】
(比較例1から3)
BiFeO成分を含まないNN−BTよりなる比較用の金属酸化物材料を作製した。原料には、炭酸ナトリウム(NaCO)、酸化ニオブ(Nb)、チタン酸バリウム(BaTiO)の粉末を用いた。チタン酸バリウム粉末は粒径100nmの市販品(堺化学社製、商品名BT01)を用いた。NN−BTを合成する際、ナトリウムとニオブのモル比が1:1となるように原料を秤量すると、焼結後の試料からBaNb(ICDD35−1154)、BaTiNb42(ICDD47−0522)、BaNbTi21(ICDD70−1150)、BaNb3.2Ti21(ICDD33−0170)の少なくとも一つと回折パターンが類似の不純物相が検出されることがあった。そのため、比較例1から3の金属酸化物材料を作製する際には、目的組成に対して3%過剰のナトリウムを秤量した。これにより不純物相の発生が顕著に抑制された。
【0111】
目的組成NaBa1−zNbTi1−z(z=0.85(比較例1)、0.88(比較例2)、0.90(比較例3))になるように原料を秤量して混合した。混合した粉末を大気中1000から1100℃で空気中、2から5時間かけて仮焼した。仮焼粉を粉砕し、バインダーを加えて造粒した。造粒粉を金型内に充填し、圧縮することで直径17mm、厚みが約1mmの成形体を作製した。得られた成形体を最大温度1280℃で空気中、2から6時間焼成することにより焼結体を得た。
【0112】
エックス線回折により、試料はほぼペロブスカイト構造単相であることが確認できた。焼結体の密度は理論密度の95%以上であった。焼結体の組成を誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP)で評価したところ、ナトリウムは目的組成から約3%少なかった。
【0113】
(実施例1から7)
比較例1から3と同様の方法で試料を作製し、本発明の圧電材料とした。ただし目的組成(1−x){(NaBa1−z)(NbTi1−z)O}−xBiFeO(x=0.0010(実施例1)、0.0025(実施例2)、0.0050(実施例3)、0.0075(実施例4)、0.010(実施例5)、0.013(実施例6)、0.015(実施例7)、y=0.88、z=0.88)になるように鉄酸ビスマス(BiFeO)の粉末を秤量して混合した。鉄酸ビスマスは、市販の酸化ビスマスと酸化鉄(III)を混合して800℃で5時間焼成することで事前に作製した。その他、酸化ビスマスと酸化鉄を目的の組成となるように秤量し、NN−BTと共に焼成しても同様の効果が得られた。焼結体は、成形体を最大温度1160℃、空気中で1から6時間焼成することにより得た。
【0114】
焼結後の圧電材料についてエックス線回折を測定すると、試料はほぼペロブスカイト構造単相であることが確認できた。圧電材料の密度は理論密度の95%以上であった。圧電材料の組成をICPで分析したところ、ナトリウムは目的組成から最大5%欠損していた。
【0115】
(実施例8から11)
実施例1から7と同様の方法で試料を作製し、本発明の圧電材料とした。ただしx=0.0010、0.0050、0.013、0.015、y=0.85、z=0.85になるように鉄酸ビスマス(BiFeO)の粉末を秤量して混合した。焼結体は、成形体を最大温度1160℃、空気中で1から6時間焼成することにより得た。
【0116】
焼結後の圧電材料についてエックス線回折を測定すると、試料はほぼペロブスカイト構造単相であることが確認できた。圧電材料の密度は理論密度の95%以上であった。圧電材料の組成をICPで分析したところ、ナトリウムは目的組成から最大5%欠損していた。
【0117】
(実施例12から15)
実施例1から11と同様の方法で試料を作製し、本発明の圧電材料とした。ただしx=0.0010(実施例12)、0.0050(実施例13)、0.013(実施例14)、0.015(実施例15)、y=0.90、z=0.90になるように鉄酸ビスマス(BiFeO)の粉末を秤量して混合した。焼結体は、成形体を最大温度1160℃、空気中で1から6時間焼成することにより得た。
【0118】
焼結後の圧電材料についてエックス線回折を測定すると、試料はほぼペロブスカイト構造単相であることが確認できた。圧電材料の密度は理論密度の95%以上であった。圧電材料の組成をICPで分析したところ、ナトリウムは目的組成から最大5%欠損していた。
【0119】
(比較例4から6)
実施例1から15と同様の方法で比較用の金属酸化物材料を作製した。ただしx=0.020、y=z=0.88(比較例4)、0.85(比較例5)、0.90(比較例6)になるように原料の粉末を秤量して混合した。焼結体は、成形体を最大温度1160℃、空気中で1から6時間焼成することにより得た。
【0120】
焼結後の圧電材料についてエックス線回折を測定すると、試料はほぼペロブスカイト構造単相であることが確認できた。圧電材料の密度は理論密度の93%以上であった。圧電材料の組成をICPで分析したところ、ナトリウムは目的組成から最大5%欠損していた。
【0121】
実施例1から15の圧電材料の表面を研磨し、該表面の有機物成分を除去するために400から1000℃で空気中1時間熱処理をした。その表面および裏面にDCスパッタリング法で金電極を形成して本発明の圧電素子とした。この圧電素子を10mm×2.5mm×0.5mmの短冊状に加工して、各種特性の評価を行った。
【0122】
比較例1から6の金属酸化物材料についても、実施例1から15と同様の加工を行って比較用の素子とした。この比較用の素子を用いて、各種特性の評価を行った。
【0123】
抵抗率の測定には、未分極の素子を用いた。素子の2つの電極間に直流10Vのバイアスを印加し、20秒後のリーク電流値より抵抗率を求めた。この抵抗率が1GΩ・cm以上、より好ましくは100GΩ・cm以上であれば、圧電材料及び圧電素子の実用において十分な絶縁性を有している。
【0124】
圧電性の評価に先立っては、試料に分極処理を施した。具体的には、試料をオイルバス中で100℃から150℃に加熱し、該試料に20kV/cmの電圧を30分間印加し、電圧を印加したままで室温まで冷却した。
【0125】
圧電材料の圧電定数(d31)、機械品質係数(Qm)は、前記短冊形状の圧電素子を用いて共振反共振法により評価した。
【0126】
圧電材料の圧電定数(d33)はベルリンコート法によって評価した。
【0127】
キュリー温度は、比誘電率が極大となる温度を測定し、その温度をキュリー温度とした。
【0128】
表1に、実施例1から15の圧電材料より得た圧電素子および比較例1から6の金属酸化物材料より得た素子の抵抗率、圧電定数(d31)、圧電定数(d33)、キュリー温度を示す。圧電定数d31の値は絶対値を示す。
【0129】
【表1】

【0130】
(注1)「目的組成(1−x)(NN−BT)−xBFO」は、「目的組成(1−x){(NaBa1−z)(NbTi1−z)O}−xBiFeO」を表す。
【0131】
表1から、NN−BTに鉄酸ビスマスを加えることで、圧電定数(d31)および圧電定数(d33)が増加していることが分かる。ただし、比較例4から6のようにx=0.020となると、圧電定数は無添加より大きいもののキュリー温度が低くなりすぎて実用には適さない。また、比較例1と実施例1から7、比較例2と実施例8から11、比較例3と実施例12から15を比べると、NN−BTに鉄酸ビスマスを加えることで、抵抗率も改善することが分かる。
【0132】
また、表1には記載していないが、共振反共振法により機械品質係数(Qm)の評価も行った。実施例1から15の機械品質係数(Qm)は、いずれも280以上と共振型の圧電素子として十分な値を示した。
【0133】
(実施例16)
実施例4と同様に原料の粉末を湿式混合して脱水乾燥し、1000℃から1100℃で仮焼して仮焼物を得た。この仮焼物に有機バインダーを加えて混合した後、ドクターブレード法によりシート形成して厚み50μmのグリーンシートを得た。
【0134】
上記グリーンシートに内部電極用の導電ペーストを印刷した。導電ペーストには、Ag70%−Pd30%合金を用いた。このように作製した導電ペーストを塗布したグリーンシートを9枚積層して、その積層体を1140℃で焼成して焼結体を得た。このようにして得られた焼結体を10mm×2.5mmの大きさに切断した後にその側面を研磨し、内部電極を交互に短絡させる一対の外部電極(第一の電極と第二の電極)をAuスパッタにより形成し、図2(b)のような積層圧電素子を作製した。
【0135】
得られた積層圧電素子の内部電極を観察したところ、電極層であるAg−Pdが圧電材料層と交互に形成されていた。
【0136】
圧電性の評価に先立って試料に分極処理を施した。具体的には、試料をホットプレート上で100℃から150℃に加熱し、第一の電極と第二の電極間に20kV/cmの電圧を30分間印加し、電圧を印加したままで室温まで冷却した。
【0137】
圧電性を評価したところ、十分な絶縁性を有し、実施例4の圧電材料と同等の良好な圧電特性を得ることができた。
【0138】
(比較例7)
比較例1と同様に原料の粉末を湿式混合して脱水乾燥し、1000℃から1100℃で仮焼して仮焼物を得た。この原料に有機バインダーを加えて混合した後、ドクターブレード法によりシート形成して厚み50μmのグリーンシートを得た。
【0139】
上記グリーンシートに内部電極用の導電ペーストを印刷した。導電ペーストには、Ag70%−Pd30%合金を用いた。このように作製した導電ペーストを塗布したグリーンシートを9枚積層して、その積層体を1280℃で焼成して焼結体を得た。このようにして得られた焼結体を実施例16と同様に加工して、図2(b)のような積層圧電素子を作製した。
【0140】
得られた積層圧電素子の内部電極を観察したところ、電極材であるAg−Pdが溶けており、圧電材料層にAg、Pdが拡散していた。また、素子の一対の外部電極間の抵抗率が10Ω・cm以下と低かったために、圧電定数を測定できなかった。
【0141】
(比較例8)
比較例7と同様にして厚み50μmのグリーンシートを得た。
【0142】
上記グリーンシートに内部電極用の導電ペーストを印刷した。導電ペーストには、Ag70%−Pd30%合金を用いた。このように作製した導電ペーストを塗布したグリーンシートを9枚積層して、その積層体を1140℃で焼成して焼結体を得た。このようにして得られた焼結体を実施例16と同様に加工して、図2(b)のような積層圧電素子を作製した。
【0143】
得られた積層圧電素子の内部電極を観察したところ、電極材であるAg−Pdは圧電材料層を交互に形成されていたが、圧電材料層の焼結密度が不十分であるために、素子の一対の外部電極間の抵抗率が10Ω・cm以下と低い上に、圧電定数d31は検出できず、圧電定数d33は10pC/Nより小さかった。
【0144】
(実施例17)
実施例4の圧電素子を用いて、図3に示される液体吐出ヘッドを作製した。入力した電気信号に追随したインクの吐出が確認された。
【0145】
(実施例18)
実施例17の液体吐出ヘッドを用いて、図4に示される液体吐出装置を作製した。入力した電気信号に追随したインクの吐出が記録媒体上に確認された。
【0146】
(実施例19)
実施例4の圧電素子を用いて、図6(b)に示される超音波モータを作製した。交流電圧の印加に応じたモータの回転が確認された。
【0147】
(実施例20)
実施例19の超音波モータを用いて、図7に示される光学機器を作製した。交流電圧の印加に応じたオートフォーカス動作が確認された。
【0148】
(実施例21)
実施例4の圧電素子を用いて、図9に示される塵埃除去装置を作製した。プラスチック製ビーズを散布し、交流電圧を印加したところ、良好な塵埃除去率が確認された。
【0149】
(実施例22)
実施例21の塵埃除去装置を用いて、図12に示される撮像装置を作製した。動作させたところ、撮像ユニットの表面の塵を良好に除去し、塵欠陥の無い画像が得られた。
【0150】
(実施例23)
実施例16の積層圧電素子を用いて、図3に示される液体吐出ヘッドを作製した。入力した電気信号に追随したインクの吐出が確認された。
【0151】
(実施例24)
実施例23の液体吐出ヘッドを用いて、図4に示される液体吐出装置を作製した。入力した電気信号に追随したインクの吐出が記録媒体上に確認された。
【0152】
(実施例25)
実施例16の積層圧電素子を用いて、図6(b)に示される超音波モータを作製した。交流電圧の印加に応じたモータの回転が確認された。
【0153】
(実施例26)
実施例25の超音波モータを用いて、図7に示される光学機器を作製した。交流電圧の印加に応じたオートフォーカス動作が確認された。
【0154】
(実施例27)
実施例16の積層圧電素子を用いて、図9に示される塵埃除去装置を作製した。プラスチック製ビーズを散布し、交流電圧を印加したところ、良好な塵埃除去率が確認された。
【0155】
(実施例28)
実施例27の塵埃除去装置を用いて、図12に示される撮像装置を作製した。動作させたところ、撮像ユニットの表面の塵を良好に除去し、塵欠陥の無い画像が得られた。
【0156】
(実施例29)
実施例16の積層圧電素子を用いて、図14に示される電子機器を作製した。交流電圧の印加に応じたスピーカ動作が確認された。
【産業上の利用可能性】
【0157】
本発明の圧電材料は、高い環境温度においても良好な圧電性を発現する。鉛を含まないために、環境に対する負荷が少ない。よって、本発明の非鉛圧電材料は、液体吐出ヘッド、超音波モータ、塵埃除去装置などの圧電材料を多く用いる機器にも問題なく利用することができる。
【符号の説明】
【0158】
1 第一の電極
2 圧電材料
3 第二の電極
101 圧電素子
102 個別液室
103 振動板
104 液室隔壁
105 吐出口
106 連通孔
107 共通液室
108 バッファ層
1011 第一の電極
1012 圧電材料
1013 第二の電極
201 振動子
202 ロータ
203 出力軸
204 振動子
205 ロータ
206 バネ
2011 弾性体リング
2012 圧電素子
2013 有機系接着剤
2041 金属弾性体
2042 積層圧電素子
310 塵埃除去装置
330 圧電素子
320 振動板
330 圧電素子
331 圧電材料
332 第1の電極
333 第2の電極
336 第1の電極面
337 第2の電極面
310 塵埃除去装置
320 振動板
330 圧電素子
51 第一の電極
53 第二の電極
54 圧電材料層
55 内部電極
501 第一の電極
503 第二の電極
504 圧電材料層
505 内部電極
506a 外部電極
506b 外部電極
601 カメラ本体
602 マウント部
605 ミラーボックス
606 メインミラー
200 シャッタユニット
300 本体シャーシ
400 撮像ユニット
701 前群レンズ
702 後群レンズ(フォーカスレンズ)
711 着脱マウント
712 固定筒
713 直進案内筒
714 前群鏡筒
715 カム環
716 後群鏡筒
717 カムローラ
718 軸ビス
719 ローラ
720 回転伝達環
722 コロ
724 マニュアルフォーカス環
725 超音波モータ
726 波ワッシャ
727 ボールレース
728 フォーカスキー
729 接合部材
732 ワッシャ
733 低摩擦シート
881 液体吐出装置
882 外装
883 外装
884 外装
885 外装
887 外装
890 回復部
891 記録部
892 キャリッジ
896 装置本体
897 自動給送部
898 排出口
899 搬送部
901 光学装置
908 レリーズボタン
909 ストロボ発光部
912 スピーカ
914 マイク
916 補助光部
931 本体
932 ズームレバー
933 電源ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表わされるペロブスカイト型金属酸化物からなることを特徴とする圧電材料。
一般式(1)
(1−x){(NaBa1−z)(NbTi1−z)O}−xBiFeO(式中、x、y、zは、0<x≦0.015、0.80≦y≦0.95、0.85≦z≦0.95を表す。)
【請求項2】
前記圧電材料のキュリー温度が110℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の圧電材料。
【請求項3】
第一の電極、圧電材料を含有する圧電材料部および第二の電極を少なくとも有する圧電素子であって、前記圧電材料が請求項1乃至2のいずれかに記載の圧電材料であることを特徴とする圧電素子。
【請求項4】
圧電材料層と、内部電極を含む電極層とが交互に積層された積層圧電素子であって、前記圧電材料が請求項1乃至2のいずれかに記載の圧電材料よりなることを特徴とする積層圧電素子。
【請求項5】
前記内部電極がAgとPdを含み、前記Agの含有重量M1と前記Pdの含有重量M2との重量比M1/M2が1.5≦M1/M2≦9.0であることを特徴とする請求項4に記載の積層圧電素子。
【請求項6】
前記内部電極がNiおよびCuの少なくともいずれか1種を含むことを特徴とする請求項4に記載の積層圧電素子。
【請求項7】
請求項3に記載の圧電素子または請求項4乃至6のいずれかに記載の積層圧電素子を配した振動部を備えた液室と、前記液室と連通する吐出口を少なくとも有する液体吐出ヘッド。
【請求項8】
記録媒体の搬送部と請求項7に記載の液体吐出ヘッドを備えた液体吐出装置。
【請求項9】
請求項3に記載の圧電素子または請求項4乃至6のいずれかに記載の積層圧電素子を配した振動体と、前記振動体と接触する移動体とを少なくとも有する超音波モータ。
【請求項10】
駆動部に請求項9に記載の超音波モータを備えた光学機器。
【請求項11】
請求項3に記載の圧電素子または請求項4乃至6のいずれかに記載の積層圧電素子を配した振動体を有する振動装置。
【請求項12】
請求項11に記載の振動装置を振動部に備えた塵埃除去装置。
【請求項13】
請求項12に記載の塵埃除去装置と撮像素子ユニットとを少なくとも有する撮像装置であって、前記塵埃除去装置の振動部材と前記撮像ユニットの受光面を同一軸上に順に設けた事を特徴とする撮像装置。
【請求項14】
請求項3に記載の圧電素子または請求項4乃至6のいずれかに記載の積層圧電素子を備えた圧電音響部品を配した電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−107813(P2013−107813A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−221969(P2012−221969)
【出願日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成23年度文部科学省元素戦略プロジェクトの委託研究の成果で、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】