説明

圧電発振器

【課題】本発明は、パッケージ内に形成される電極による浮遊容量の発生が抑えられた圧電発振器を提供する。
【解決手段】圧電発振器(100)は、圧電振動片(110)と、励振電極(111)と、一端側と他端側とに引き出された一対の引出電極(112)と、励振電極を励振させる一対の圧電端子(125a)、電源を接続される電源端子、励振電極が励振した周波数を出力する出力端子、及び接地用のグランド端子を有する発振回路(120)と、一対の圧電端子から一対の引出電極まで配線する一対の配線電極(139)を有するパッケージ(130)と、を備え、一対の圧電端子が、互いに対向する位置に配置され、一対の圧電端子の両側に、電源端子、出力端子及びグランド端子の少なくとも1つが配置され、一対の配線電極が、圧電端子から互いに逆方向に引き出されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動片及び発振回路を有する圧電発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の振動周波数で振動する圧電振動片と、発振回路と、圧電振動片及び発振回路が載置されるキャビティが形成されたセラミックパッケージと、を有する圧電発振器が知られている。このような圧電発振器は発振回路が複数の端子を有しているため、これらの端子に対応した複数の配線電極がセラミックパッケージ内に張り巡らされる。交差する配線電極は、配線電極間のセラミック層によって浮遊容量を発生させてしまい、圧電振動片の振動の特性を低下させる場合がある。このため、例えば特許文献1は、圧電振動片と発振回路とが重ならないようにして、且つ特許文献1の図面に示されるようにパッケージ内の配線電極が交差しないようにして、浮遊容量の発生を抑えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−018951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、省スペース化のために、高さ方向に圧電振動片と発振回路とが重なる圧電発振器が求められている。また、特許文献1に開示された圧電発振器は、電極が圧電振動片に重ならないように迂回して形成されているため、電極の形成距離が長くなっており、その分、電極の電気抵抗が増加する。
【0005】
本発明は、パッケージ内に形成される電極による浮遊容量の発生が抑えられた圧電発振器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1観点の圧電発振器は、第1方向に伸びる第1辺と該第1方向と直交する第2方向に伸びる第2辺とを有する矩形状の圧電振動片と、圧電振動片の中央領域の両主面に形成された励振電極と、一対の励振電極からそれぞれ第1方向に圧電振動片の一端側と他端側とに引き出された一対の引出電極と、圧電振動片の励振電極を励振させる一対の圧電端子、電源を接続される電源端子、励振電極が励振した周波数を出力する出力端子、及び接地用のグランド端子を有する発振回路と、一対の圧電端子から一対の引出電極まで配線する一対の配線電極を有するパッケージと、を備える。一対の圧電端子は、発振回路の第1方向に互いに対向する位置に配置され、一対の圧電端子の間には、電源端子、出力端子及びグランド端子の少なくとも1つが配置される。また、一対の配線電極が、圧電端子から第1方向に互いに逆方向に引き出されている。
【0007】
第2観点の圧電発振器の発振回路は、さらに出力端子からの出力をオンオフするスタンバイ端子又は周波数を制御する周波数制御電圧端子を含む。
第3観点の圧電発振器は、第1観点及び第2観点において、一対の配線電極の一部がそれぞれパッケージの外側にも形成される。
【0008】
第4観点の圧電発振器において、圧電振動片と発振回路とが、第1及び第2方向と交差する方向から見て、互いに重なり合う位置に配置される。
第5観点の圧電発振器は、第1観点から第4観点において、発振回路と圧電振動片とがパッケージ内の同じキャビティに配置される。
第6観点の圧電発振器は、第1観点から第4観点において、発振回路と圧電振動片とがパッケージ内のそれぞれ別のキャビティに配置される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の圧電発振器によれば、パッケージ内に形成される電極による浮遊容量の発生が抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】圧電発振器100の分解斜視図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】(a)は、圧電振動片110の+Y’軸側の面の平面図である。 (b)は、圧電振動片110の−Y’軸側の面の平面図である。 (c)は、発振回路120の平面図である。
【図4】(a)は、パッケージ130の第1層130aの平面図である。 (b)は、パッケージ130の第2層130bの平面図である。 (c)は、パッケージ130の第3層130cの平面図である。
【図5】(a)は、発振回路220の平面図である。 (b)は、パッケージの第3層230cの平面図である。
【図6】圧電発振器300の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明の範囲は以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0012】
(第1実施形態)
<圧電発振器100の構成>
図1は、圧電発振器100の分解斜視図である。圧電発振器100は、表面実装型の圧電発振器であり、プリント基板等に実装されて使用される。圧電発振器100は主に、圧電振動片110と、発振回路120と、パッケージ130と、リッド板140と、により形成されている。圧電振動片110には、例えば、ATカットの水晶振動片を用いることができる。ATカットの水晶振動片は、主面(YZ面)が結晶軸(XYZ)のY軸に対して、X軸を中心としてZ軸からY軸方向に35度15分傾斜されている。以下の説明では、ATカットの水晶振動片の軸方向を基準とし、傾斜された新たな軸をY’軸及びZ’軸として用いる。すなわち、圧電発振器100において圧電発振器100の長手方向をX軸方向、圧電発振器100の高さ方向をY’軸方向、X軸方向及びY’軸方向に垂直な方向をZ’軸方向として説明する。
【0013】
圧電振動片110は、矩形形状に形成されている。圧電振動片110の+Y’軸側の面及び−Y’軸側の面にはそれぞれ励振電極111が形成され、各励振電極111から+X軸側又は−X軸側の辺には引出電極112が引き出されている。
【0014】
発振回路120は、圧電振動片110と電気的に接続されて電気回路が形成される。発振回路120は−Y’軸側の面に複数の端子が形成されており、これらの端子が圧電振動片110の引出電極112又はパッケージ130に形成される外部電極135に電気的に接続される。
【0015】
パッケージ130は、X軸方向に長辺、Z’軸方向に短辺が形成されている。また、−Y’軸側の面には外部電極135が形成されており、+Y’軸側の面には圧電振動片110及び発振回路120が載置される凹部131が形成されている。凹部131の周りには、リッド板140に接合される接合面132が形成されている。また、凹部131には、圧電振動片110が載置される載置部133が形成されており、載置部133の+Y’軸側の面には、圧電振動片110の引出電極112と導電性接着剤152(図2参照)を介して電気的に接続される接続電極134が形成されている。パッケージ130は、例えばセラミックを基材としており、第1層130a、第2層130b、及び第3層130cの3つの層が重ね合わされることにより形成されている。第1層130aは、パッケージ130の+Y’軸側に配置され、第1層130aの+Y’軸側の面には接合面134が形成されている。第2層130bは、第1層130aの−Y’軸側の面に接合されており、第2層130bは載置部133を形成している。第3層130cは、第2層130bの−Y’軸側の面に形成されており、第3層130cの−Y’軸側の面には外部電極135が形成されている。また、パッケージ130の四隅の側面にはキャスタレーション137aが形成され、パッケージ130の+X軸側及び−X軸側の側面にはキャスタレーション137bが形成され、パッケージ130の+Z’軸側及び−Z’軸側の各側面の2箇所にはキャスタレーション137cが形成されている。キャスタレーション137bの第2層130bには、圧電発振器100が完成した後に圧電振動片の振動周波数を検査するための検査電極136aが形成されている。キャスタレーション137cの第3層130cには側面電極136bが形成されている。
【0016】
リッド板140は、平板状に形成されており、パッケージ130の接合面132に封止材151(図2参照)を介して接合されることにより、パッケージ130の凹部131を密封する。
【0017】
図2は、図1のA−A断面図である。圧電発振器100は、パッケージ130の凹部131がリッド板140で密封されることにより、圧電発振器100の内部にキャビティ161が形成される。キャビティ161には、圧電振動片110と、発振回路120と、が載置される。圧電振動片110は、パッケージ130の第2層130bに形成される載置部133に載置され、発振回路120は、第3層130cの+Y’軸側の面に載置される。第3層130cの+Y’軸側の面から載置部133の+Y’軸側の面までには配線電極139が形成される。この配線電極139は、載置部133の+Y’軸側の面に形成される接続電極139、及びキャスタレーション137bに形成される検査電極136aを含んでいる。配線電極139は発振回路120の圧電端子125aとバンプ153を介して電気的に接続され、また、圧電振動片110の引出電極112に導電性接着剤152を介して電気的に接続される。
【0018】
図3(a)は、圧電振動片110の+Y’軸側の面の平面図である。圧電振動片110は、X軸方向に長辺、Z’軸方向に短辺を有する矩形形状の平面を有している。圧電振動片110の+Y’軸側の面の中央領域には励振電極111が形成されており、さらに励振電極111からは−X軸側の辺に引出電極112が引き出されている。−X軸側の辺に引き出された引出電極112は圧電振動片110の−X軸側の辺に沿って形成されており、さらに圧電振動片110の−X軸側の側面に形成されている引出電極112aを介して圧電振動片130の−Y’軸側の面に引き出されている。また、圧電振動片110の+Y’軸側の面の+X軸側の辺には、−Y’軸側の励振電極111から引き出された引出電極112が+X軸側の辺に沿って形成されている。
【0019】
図3(b)は、圧電振動片110の−Y’軸側の面の平面図である。圧電振動片110の−Y’軸側の面の中央領域には励振電極111が形成されており、さらに励振電極111からは+X軸側の辺に引出電極112が引き出されている。+X軸側の辺に引き出された引出電極112は圧電振動片110の+X軸側の辺に沿って形成されており、さらに圧電振動片110の+X軸側の側面に形成されている引出電極112aを介して圧電振動片110の+Y’軸側の面に引き出されている。また、圧電振動片110の−Y’軸側の面の−X軸側の辺には、+Y’軸側の励振電極111から引き出された引出電極112が−X軸側の辺に沿って形成されている。
【0020】
図3(c)は、発振回路120の平面図である。発振回路120は、−Y’軸側の面に6つの端子が形成されている。図3(c)では、発振回路120の−Y’軸側に形成される6つの端子が点線で描かれる円で示されている。発振回路120の−Z’軸側の−X軸側には電源端子121aが形成されている。電源端子121aは電源に接続される端子である。発振回路120の−Z’軸側の+X軸側には出力端子122aが形成されている。出力端子122aは、圧電振動片120が振動する周波数を圧電発振器100の外部に出力する端子である。発振回路120の+Z’軸側の−X軸側には周波数制御電圧端子123aが形成されている。周波数制御電圧端子123aは圧電振動片110の振動周波数を調整するための端子である。発振回路120の+Z’軸側の+X軸側にはグランド端子124aが形成されており、グランド端子124aは接地される。発振回路120の+X軸側及び−X軸側であり、出力端子122aとグランド端子124aとの間、及び電源端子121aと周波数制御電圧端子123aとの間には、それぞれ圧電端子125aが互いに対向する位置に形成されている。各圧電端子125aはそれぞれ圧電振動片110の引出電極112に電気的に接続される。
【0021】
図4(a)は、パッケージ130の第1層130aの平面図である。第1層130aの+Y’軸側の面には、リッド板140に封止材151を介して接合される接合面132が形成されている。また、接合面132の内側はY’軸方向に貫通した空間であり、この空間は、パッケージ130の凹部131の一部を形成する。
【0022】
図4(b)は、パッケージ130の第2層130bの平面図である。第2層130bの+Y’軸側の面は第1層130aの−Y’軸側の面に接合し、第2層130bの−Y’軸側の面は第3層130cの+Y’軸側の面に接合される。また、第2層130bの+Y’軸側の面の一部には接続電極134が形成され、第2層130bのキャスタレーション137bには検査端子136aが形成され、接続電極134と検査端子136aとは互いに電気的に接続される。また、第2層130bの中央には、第2層130bをY’軸方向に貫通する空間が形成されており、この空間は、パッケージ130の凹部131の一部を形成する。
【0023】
図4(c)は、パッケージ130の第3層130cの平面図である。図4(c)には、説明のために、第3層130cの−Y’軸側の面の四隅にそれぞれ形成される4つの外部電極135及び第2層130bに形成される検査電極136aが点線で示されている。第3層130cの4か所に形成されているキャスタレーション137cにはそれぞれ側面電極136bが形成されており、各外部電極135と各側面電極136bとはそれぞれ一対一に対応して電気的に接続されている。また、第3層130cの+Y’軸側の面の中央付近には、発振回路120の6つの端子に対応した6つの電極が形成されている。6つの電極の−Z’軸側の−X軸側には電源電極121bが形成されている。電源電極121bは、発振回路120の電源端子121aにバンプ153を介して電気的に接続される。6つの電極の−Z’軸側の+X軸側には出力電極122bが形成されている。出力電極122bはバンプ153を介して発振回路120の出力端子122aに電気的に接続される。6つの電極の+Z’軸側の−X軸側には周波数制御電圧電極123bが形成されている。周波数制御電圧電極123bは、発振回路120の周波数制御電圧端子123aにバンプ153を介して電気的に接続される。6つの電極の+Z’軸側の+X軸側にはグランド電極124bが形成されている。グランド電極124bは、発振回路120のグランド端子124aにバンプ153を介して電気的に接続される。6つの電極の+X軸側及び−X軸側であり、出力電極122bとグランド電極124bとの間、及び電源電極121bと周波数制御電圧電極123bとの間には、それぞれ圧電電極125bが形成されている。圧電電極125bは配線電極139の一部を構成している。各圧電電極125bは発振回路120の圧電端子125aにそれぞれ電気的に接続される。電源電極121b、出力電極122b、周波数制御電圧電極123b、及びグランド電極124bは、それぞれ最も近くに存在する側面電極136bに電気的に接続されている。+X軸側及び−X軸側に形成される圧電電極125bからは、それぞれ+X軸方向及び−X軸方向に配線電極139が伸びている。第3層130cの+Y’軸側の面に形成されている各配線電極139は、それぞれ第2層130bのキャスタレーション137bに形成される検査電極136aに電気的に接続されている。
【0024】
圧電発振器100は振動周波数の調整することができ、この調整範囲は圧電振動片110の励振電極111の面積に依存する。圧電発振器の大きさが小型化される場合、励振電極の面積が小さくなり、振動周波数の調整範囲も小さくなる。さらに、配線電極が浮遊容量を有する場合には、振動周波数の調整範囲がさらに小さくなる。圧電発振器100では、発振回路120の圧電端子125aが発振回路120の+X軸側及び−X軸側に形成され、さらに各圧電電極125bからそれぞれ+X軸方向及び−X軸方向に配線電極139が伸びることにより、配線電極139が第3層130c上に形成される他の電極にはY’軸方向に重ならないように形成されている。そのため、配線電極139が浮遊容量を有することが防がれており、圧電発振器100の振動周波数の調整可能範囲が狭くなることが防がれている。また、図4(c)に示されるように、配線電極139と外部電極135とがY’軸方向に重ならないように形成された場合にも、配線電極139が浮遊容量を有することが防がれる。また、浮遊容量の発生が抑えられることにより、ノイズの発生も防がれる。
【0025】
また、発振回路120の圧電端子125aが発振回路120の+X軸側及び−X軸側に形成され、さらに各圧電電極125bからそれぞれ+X軸方向及び−X軸方向に配線電極139が伸びることにより、配線電極139の長さが最短距離、又は最短距離に近い長さに形成することができる。これにより、配線電極139が有する電気抵抗を小さくすることができ、配線電極139の電気抵抗の違いに起因するクリスタルインピーダンス(CI)値等の圧電発振器100の特性の違いを小さくすることができる。
【0026】
(第2実施形態)
圧電発振器では、様々な変形例が考えられる。以下、発振回路、及びパッケージが圧電発振器100とは異なる圧電発振器の変形例を説明する。また以下の説明では、第1実施形態と同じ部分に関しては、第1実施形態と同じ番号を付してその説明を省略する。
【0027】
<発振回路220の構成>
発振回路には端子が8個形成されていてもよい。以下、8個の端子を有する発振回路220に関して説明する。
【0028】
図5(a)は、発振回路220の平面図である。発振回路220は、−Y’軸側の面に8つの端子が形成されている。発振回路220では、図3(c)に示された発振回路120と同様に、電源端子221a、出力端子222a、周波数制御電圧端子223a、グランド端子224a、及び一対の圧電端子225aが発振回路220の−Y’軸側の面に形成されており、さらに、電源端子221aと出力端子222aとの間にはスタンバイ端子226aが形成され、周波数制御電圧端子223aとグランド端子224aとの間には、予備端子227aが形成されている。スタンバイ端子226aは、出力端子222aからの周波数の出力のオンオフ、つまり、周波数を出力するしないを制御することができる。予備端子227aは圧電発振器の外部とは電気的に接続されない、予備の端子である。発振回路220においても、一対の圧電端子225aが発振回路220の+X軸側及び−X軸側の互いに対向する位置に形成されている。
【0029】
図5(b)は、発振回路220が載置されるパッケージの第3層230cの平面図である。第3層230cの+Y’軸側の面には、発振回路220に形成される各端子に対応する8つの電極が形成される。8つの電極の−Z’軸側の−X軸側には電源電極221bが形成され、電源電極221bから時計回りに、スタンバイ電極226b、出力電極222b、圧電電極225b、グランド電極224b、予備電極227b、周波数制御電圧電極223b、及び圧電電極225bが形成されている。また、発振回路220が載置されるパッケージは、発振回路220の端子に合わせて、+Z’軸側及び−Z’軸側の側面に、それぞれキャスタレーション237cが形成されている。キャスタレーション237cは、片側の側面に3か所ずつ、計6か所に形成されている。各キャスタレーション237cには側面電極236bが形成されており、それぞれ最も近くに形成されている、電源電極221b、スタンバイ電極226b、出力電極222b、グランド電極224b、予備電極227b、及び周波数制御電圧電極223bのいずれか1つに電気的に接続される。また、第3層230cの−Y’軸側の面には、外部電極235が四隅及び+Z’軸側及び−Z’軸側の辺の中央に形成されている。各外部電極235はそれぞれ側面電極236bに、一対一に対応して電気的に接続される。また、+X軸側及び−X軸側の圧電電極225bからは、それぞれ+X軸方向及び−X軸方向に配線電極239が伸びている。
【0030】
8個の端子が形成されている発振回路220においても、一対の圧電端子225bが+X軸側及び−X軸側に形成されている。そのため、発振回路120と同様に、パッケージ内に形成される配線電極239が、最短距離、又は最短距離に近い長さに形成することができる。また、配線電極239が他の端子から引き出されている電極に重なることがないため、配線電極239に浮遊容量が発生することが防がれている。
【0031】
<圧電発振器300の構成>
図6は、圧電発振器300の断面図である。圧電発振器300は主に、圧電振動片110と、発振回路120と、パッケージ330と、リッド板140と、により構成されている。また、パッケージ330は、第1層330aと、第2層330bと、第3層330cと、第4層330dと、の4つの層により構成されている。第1層330aは、パッケージ330の+Y’軸側に配置されている。第1層330aの+Y’軸側の面は接合面332であり、封止材151を介してリッド板140に接合される。第1層330aの−Y’軸側の面は第2層330bに接合されている。第1層330aの中心には第1層330aをY’軸方向に貫通した空間が形成されている。第2層330bは、平板状に形成されている。第2層330bの+Y’軸側の面には接続電極334が形成されており、接続電極334には導電性接着剤152を介して圧電振動片110の引出電極112が電気的に接続される。また、リッド板140と、第1層330aと、第2層330bと、に囲まれたキャビティ162には圧電振動片110が配置される。第2層330bの−Y’軸側の面には、第3層330cが接合される。第3層330cの中央には、第3層をY’軸方向に貫通する空間が形成されており、+X軸側及び−X軸側の外側の側面には検査端子336aが形成されている。第3層330cの−Y’軸側の面には、平板状に形成された第4層330dが接合されている。第4層330dの+Y’軸側の面には配線電極339が形成されており、配線電極339はバンプ153を介して発振回路120の圧電端子125aに電気的に接続される。また、第4層330dの+Y’軸側の面には、図4(c)に示された第3層130cと同様に発振回路120の各端子に対応する複数の電極が形成されている。これらの第4層330dの+Y’軸側に形成される各電極は、図4(c)に示された第3層130cと同様に、電極同士が互いにY’軸方向に重ならず、配線電極339が最短距離、又は最短距離に近い長さで形成されている。第4層330dの−Y’軸側の面には外部電極135が形成されている。圧電発振器300では、第2層330bと、第3層330cと、第4層330dと、で密閉されたキャビティ163が形成され、このキャビティ163の中には発振回路120が配置される。
【0032】
圧電発振器300においても、圧電発振器100と同様に、配線電極339を、最短距離、又は最短距離に近い長さに形成することができる。また、配線電極339が他の端子から引き出されている電極に重なることがないため、配線電極339に浮遊容量が発生することが防がれている。
【0033】
以上、本発明の最適な実施形態について詳細に説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において実施形態に様々な変更・変形を加えて実施することができる。
【0034】
例えば、上記の実施形態では圧電振動片にATカットの水晶振動片である場合を示したが、同じように厚みすべりモードで振動するBTカットなどであっても同様に適用できる。さらに圧電振動片は水晶材のみならず、タンタル酸リチウムやニオブ酸リチウムあるいは圧電セラミックを含む圧電材に基本的に適用できる。
【符号の説明】
【0035】
100、300 … 圧電発振器
110 … 圧電振動片
111 … 励振電極
112 … 引出電極
120、220 … 発振回路
121a、221a … 電源端子
121b、221b … 電源電極
122a、222a … 出力端子
122b、222b … 出力電極
123a、223a … 周波数制御電圧端子
123b、223b … 周波数制御電圧電極
124a、224a … グランド端子
124b、224b … グランド電極
125a、225a … 圧電端子
125b、225b … 圧電電極
130 … パッケージ
130a、330a … 第1層
130b、330b … 第2層
130c、330c … 第3層
131 … 凹部
132、332 … 接合面
133 … 載置部
134、334 … 接続電極
135 … 外部電極
136a、336a … 検査電極
136b … 側面電極
137a、137b、137c … キャスタレーション
139、339 … 配線電極
140 … リッド板
151 … 封止材
152 … 導電性接着剤
153 … バンプ
161、162、163 … キャビティ
330d … 第4層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に伸びる第1辺と該第1方向と直交する第2方向に伸びる第2辺とを有する矩形状の圧電振動片と、
前記圧電振動片の中央領域の両主面に形成された励振電極と、
前記一対の励振電極からそれぞれ前記第1方向に前記圧電振動片の一端側と他端側とに引き出された一対の引出電極と、
前記圧電振動片の前記励振電極を励振させる一対の圧電端子、電源を接続される電源端子、前記励振電極が励振した周波数を出力する出力端子、及び接地用のグランド端子を有する発振回路と、
前記一対の圧電端子から前記一対の引出電極まで配線する一対の配線電極を有するパッケージと、を備え、
前記一対の圧電端子は、前記発振回路の前記第1方向に互いに対向する位置に配置され、前記一対の圧電端子の間には、前記電源端子、前記出力端子及び前記グランド端子の少なくとも1つが配置され、
前記一対の配線電極は、前記圧電端子から前記第1方向に互いに逆方向に引き出されている圧電発振器。
【請求項2】
前記発振回路は、さらに前記出力端子からの出力をオンオフするスタンバイ端子又は前記周波数を制御する周波数制御電圧端子を含む請求項1に記載の圧電発振器。
【請求項3】
前記一対の配線電極の一部はそれぞれ前記パッケージの外側にも形成される請求項1又は請求項2に記載の圧電発振器。
【請求項4】
前記圧電振動片と前記発振回路とは、前記第1及び第2方向と交差する方向から見て、互いに重なり合う位置に配置される請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の圧電発振器。
【請求項5】
前記発振回路と前記圧電振動片とが前記パッケージ内の同じキャビティに配置される請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の圧電発振器。
【請求項6】
前記発振回路と前記圧電振動片とが前記パッケージ内のそれぞれ別のキャビティに配置される請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の圧電発振器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−46275(P2013−46275A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183359(P2011−183359)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】