説明

圧電膜形成方法

【課題】 膜の厚さムラを低減できる圧電膜形成方法を提供することにある。
【解決手段】 噴射ノズル22を交差方向にずらしながら複数回走査させるとともに、隣り合う堆積層31が一部重なり合うようにして圧電膜30を形成する。また、噴射ノズル22の交差方向への移動距離を堆積層31の膜厚分布に基づいて決定する。さらに、第1の圧電層32を構成する堆積層31が、これと重ねられる第2の圧電層33を構成する堆積層31に対して交差方向ににずれるようにする。これにより、粒子2の付着量が少ない領域同士が重なりあうように堆積層31の重なり率が調整され、圧電膜30全体として厚さを均一化することができる。また、装置を大型化する必要がなく、コストを低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電膜形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばインクジェットプリンタのプリンタヘッド等に用いられる圧電アクチュエータ等の製造方法として、エアロゾルデポジション法(AD法)と呼ばれるものがある。これは、圧電材料の微粒子を気体中に分散させたもの(エアロゾル)をノズルから基板表面に向けて噴射させ、微粒子を基板上に衝突・堆積させることにより圧電膜を形成させるものである(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開2001−152360公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ノズルからの材料粒子の噴出量にはムラがあり、一般にノズル幅方向の中心に近づくほど多く、両端に近づくほど少なくなる。このため、形成される圧電膜の厚さにもムラが生じ、膜の圧電特性に悪影響を与える場合がある。特に、大面積の基板上に広い範囲にわたって圧電膜を形成する場合には、ノズルを大きくしなければならないが、ノズルが幅広になるほど噴出量のムラが大きくなるため、均一な圧電膜を作ることはきわめて困難となる。
【0004】
また、AD法においてはエアロゾル室と成膜チャンバーとの圧力差によってエアロゾルを噴出させる。このため、ノズルを大きくすると、エアロゾル室の真空度を保つために大容量の真空ポンプが必要となるなど、装置が大型化し、コストが増大してしまう。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、膜の厚さムラを低減できる圧電膜形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するための請求項1の発明に係る圧電膜形成方法は、噴出孔を設けた噴射ノズルを基板に対して相対移動するように複数回走査しつつ圧電材料の粒子を含むエアロゾルを前記噴出孔から噴出させて前記基板に吹き付けることにより前記粒子を前記基板上に付着させて圧電膜を形成する方法であって、(A)前記噴射ノズルを所定の走査方向に走査させながら前記エアロゾルを噴出させることで前記基板上に一の堆積層を形成する第1の走査工程と、(B)前記噴射ノズルを前記走査方向と交差する交差方向に移動させることで直前の走査工程における走査経路から前記噴射ノズルの位置をずらす走査経路変更工程と、(C)前記噴射ノズルを前記直前の走査工程における走査方向に沿う方向に走査させながら前記エアロゾルを噴出させることで前記直前の走査工程により形成された堆積層に一部重なり合う他の堆積層を形成する第2の走査工程と、(D)前記工程(B)と前記工程(C)とを所定回数交互に繰り返す工程と、を含むことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の圧電膜形成方法であって、前記走査経路変更工程において、前記噴射ノズルの前記交差方向への移動距離を前記堆積層の膜厚分布に基づいて決定することを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1に記載の圧電膜形成方法であって、前記第1の走査工程と前記第2の走査工程とは、当該走査工程において形成した前記堆積層の膜厚を測定する測定工程を含み、前記走査経路変更工程においては、直前の前記走査工程における前記測定工程によって得られた測定結果に応じて、前記噴射ノズルの前記交差方向への移動距離を決定することを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の圧電膜形成方法であって、前記走査経路変更工程において、前記噴射ノズルからの前記エアロゾルの噴射を停止させることを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の圧電膜形成方法であって、前記走査経路変更工程において、前記基板と前記噴射ノズルとの間にマスク材を設けて前記エアロゾルを遮断することにより前記粒子の前記基板への到達を規制することを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の圧電膜形成方法であって、前記走査経路変更工程において、前記噴射ノズルの移動速度を前記第1の走査工程および前記第2の走査工程における前記噴射ノズルの走査速度よりも速くすることを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の圧電膜形成方法であって、前記走査経路変更工程において、前記噴出孔の走査方向の開口幅と移動方向の開口幅との比率に基づいて前記噴射ノズルの移動速度を前記第1の走査工程または前記第2の走査工程における前記噴射ノズルの走査速度に対して増減することを特徴とする。
【0013】
請求項8の発明は、請求項1〜請求項7のいずれかに記載の圧電膜形成方法であって、(E)前記工程(A)〜(D)により形成された一の圧電層上に、さらに前記工程(A)〜(D)を行うことにより他の圧電層を積層する積層工程を含むとともに、前記積層工程において、前記噴射ノズルの走査方向を前記一の圧電層を形成したときの走査方向と平行な方向とし、かつ、前記噴射ノズルの走査経路を前記一の圧電層を形成したときの走査経路に対して交差する方向にずらすことを特徴とする。
【0014】
請求項9の発明は、請求項1〜請求項8のいずれかに記載の圧電膜形成方法であって、前記堆積層の厚さを0.01μm以上0.5μm以下とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、噴射ノズルを走査方向と交差する交差方向にずらしながら複数回走査させるとともに、隣り合う堆積層が一部重なり合うようにして圧電膜を形成している。これにより、エアロゾル噴出量のムラが少ない小さなノズルを使用して広い領域に圧電膜を形成できるため、厚さムラの少ない圧電膜を形成することができる。また、一の走査により形成される堆積層に厚さムラが生じても、隣り合う堆積層を一部重ねあうことで厚さムラを調整し、全体として均一な圧電膜を形成することができる。加えて、装置を大型化する必要がなく、コストを低減できる。
【0016】
請求項2の発明によれば、噴射ノズルの交差方向への移動距離を堆積層の膜厚分布に基づいて決定する。これにより、粒子の付着量が少ない領域同士が重なりあうように堆積層の重なり率が調整され、圧電膜全体として厚さを均一化することができる。
【0017】
請求項3の発明によれば、走査工程の度にその走査工程で形成された堆積層の膜厚を測定し、その測定結果に応じて噴射ノズルの交差方向への移動距離を決定する。これにより、成膜中において噴射ノズルの噴射特性が突発的に変化し、堆積層の膜厚分布の変化が起こったとしても、これに瞬時に対応し、圧電膜全体として厚さを均一化することができる。
【0018】
請求項4の発明によれば、走査経路変更工程において噴射ノズルからのエアロゾルの噴射を停止させる。ここで、走査経路変更工程においては、交差方向にノズルを移動させるのであるが、噴出孔の縦横の開口幅は通常異なるため、走査時と同様の厚さの堆積層を移動経路上に形成させることが難しい。しかし、本請求項の構成によれば、噴射ノズルの移動経路上に走査経路上とは異なる厚さの堆積層が形成されることを避けることができるから、厚さの均一な圧電膜を形成することができる。
【0019】
請求項5の発明によれば、基板と前記噴射ノズルとの間にマスク材を設けて前記エアロゾルを遮断する。これにより、噴射ノズルの移動経路上に走査経路上とは異なる厚さの堆積層が形成されることを避けることができるから、厚さの均一な圧電膜を形成することができる。
【0020】
請求項6の発明によれば、走査経路変更工程における噴射ノズルの移動速度を第1・第2の走査工程における走査速度よりも速くする。これにより、走査経路変更工程において噴射ノズルの移動経路に付着する粒子をできるだけ薄くすることができるから、圧電膜の厚みの不均一化を最小限度とすることができる。
【0021】
請求項7の発明によれば、走査経路変更工程における噴射ノズルの速度を、噴出孔の走査方向の開口幅と移動方向の開口幅との比率に基づいて増減する。これにより、走査時と同様の厚さの堆積層を移動経路上にも形成することができる。したがって、厚さの均一な圧電膜を形成することができる。
【0022】
請求項8の発明によれば、一の圧電層を構成する堆積層が、この一の層と重ねられる他の圧電層を構成する堆積層に対して走査方向と交差する方向ににずれる。これにより、重なり合う圧電層同士で薄い部分、厚い部分が互いにずれて配置されることとなり、層間においても厚さが均一化されるから、より均一な圧電膜を形成することができる。
【0023】
請求項9の発明によれば、一の走査により形成される堆積層の厚さを0.01μm以上0.5μm以下とする。ここで、成膜厚さムラは、膜厚が大きくなるほど大きくなる傾向にある。そこで、一の走査により形成される堆積層を成膜厚さムラを抑えることができる程度に薄く形成し、厚さムラの小さい層を幾重にも重ねることによって、所望の厚さの圧電膜を均一な厚さで形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
<第1実施形態>
以下、本発明を具体化した第1実施形態について、図1〜図7を参照しつつ詳細に説明する。
【0025】
本発明の圧電膜30を形成させるための成膜装置の概略図を、図1に示した。この成膜装置1は、圧電材料の粒子2をキャリアガスに分散させてエアロゾル3を形成させるエアロゾル発生器10、およびエアロゾル3をノズルから噴出させて基板に付着させるための成膜チャンバー20を備えている。
【0026】
エアロゾル発生器10には、内部に圧電材料の粒子2を収容可能なエアロゾル室11と、このエアロゾル室11に取り付けられてエアロゾル室11を振動させる加振装置12とを備えている。エアロゾル室11には、キャリアガスを導入するためのガスボンベ13が導入管14を介して接続されている。導入管14の先端はエアロゾル室11内部において底面付近に位置し、粒子2中に埋没するようにされている。キャリアガスとしては、例えばヘリウム、アルゴン、窒素等の不活性ガスや空気、酸素等を使用することができる。また、圧電材料の粒子2としては、圧電膜の材料として通常に使用されるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、水晶、ニオブ酸リチウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、メタニオブ酸鉛、酸化亜鉛等の粒子を使用することができる。
【0027】
成膜チャンバー20には、基板4を取り付けるためのステージ21と、ステージ移動機構26と、ステージ21の下方にその噴射方向が基板4の面と直交する姿勢で設けられた噴射ノズル22が備えられている。ステージ移動機構26は、制御装置27からの指令に応じて駆動されるものであり、ステージ21に取り付けられた基板4と平行な面内においてステージ21を移動させるものである。噴射ノズル22は、エアロゾル供給管23を介してエアロゾル室11に接続されており、エアロゾル室11内のエアロゾル3が、エアロゾル供給管23を通って噴射ノズル22に供給されるようになっている。
したがって、噴射ノズル22は基板4に対して相対移動可能とされており、基板4を所定方向(走査方向)に直線移動させると、噴射ノズル22は基板4の面を走査し、基板4を所定方向と交差(直交)する方向に直線移動させると、後述する走査経路の変更がなされる。
【0028】
噴射ノズル22は全体として円筒状に形成されるとともに、その噴出端寄りの部分が噴出端に向かって次第に縮径する円錐台形状とされている(図2参照)。この噴射ノズル22の先端面には、横方向(噴射ノズル22の走査方向と交差する方向のこと、以下「交差方向」と称する)に細長い矩形状の噴出孔22Aが備えられている。
【0029】
また、この成膜チャンバー20には、粉体回収装置24を介して真空ポンプ25が接続されており、その内部を減圧できるようにされている。
【0030】
この成膜装置1を用いて圧電膜30を形成させる際には、まず、基板4をステージ21にセットする。このとき、基板4の表面(エアロゾル3の吹き付け面)において、噴射ノズル22の走査方向の始端・終端縁よりやや内側位置に、それぞれ帯状のマスク材5を配置しておく(図3(A)参照)。このマスク材5は、噴射ノズル22の交差方向のほぼ全幅に亘って設けられる。
【0031】
次いで、エアロゾル室11の内部に粒子2を投入する。そして、ガスボンベ13からキャリアガスを導入して、そのガス圧で粒子2を舞い上がらせる。それととともに、加振装置12によってエアロゾル室11を振動させることで、粒子2とキャリアガスとを混合してエアロゾル3を発生させる。そして、成膜チャンバー20内を真空ポンプ25により減圧することにより、エアロゾル室11と成膜チャンバー20との間の差圧により、エアロゾル室11内のエアロゾル3を高速に加速しつつ噴射ノズル22から噴出させる。噴出したエアロゾル3に含まれる粒子2は基板4に衝突して堆積し、圧電膜30を形成する。
【0032】
ここで、エアロゾル3の吹き付けは、基板4に対する噴射ノズル22の相対位置を少しずつずらしながら板面方向に沿って複数回往復走査させることによって行われ、これにより、基板4の全面に渡って圧電膜30が形成される。
【0033】
すなわち、まず第1の走査工程において、噴射ノズル22を基板4の吹き付け面における角部付近に位置付ける。そして、この噴射ノズル22を一方のマスク材5Aが設けられている側から他方のマスク材5Bが設けられている側まで相対移動(以下、単に「移動」とする)させながら、基板4にエアロゾル3を吹き付ける(図3Aおよび図6A参照)。噴射ノズル22の走査経路Sを図3A中鎖線矢印で示す。このとき、噴射ノズル22は、その噴出孔22Aにおける短辺方向が走査方向と沿う向きとされている。この吹き付けによって、基板4上に粒子2が堆積し、走査方向に細長い帯状の第1の堆積層31A(本発明の一の堆積層に該当する)が形成される。エアロゾル3は、噴射ノズル22からやや広がって噴出されるため、形成される堆積層31の幅は噴出孔22Aの開口幅よりもわずかに広くなっており、その両側縁部がわずかに薄くなっている。このとき、成膜厚さムラをできるだけ少なくするため、噴射ノズル22の走査速度を粒子2が基板4に満遍なく付着可能な限度で大きくし、堆積層31をできるだけ薄く(0.01μm〜0.5μm程度に)形成することが好ましい。
【0034】
次に、走査経路変更工程において、マスク材5上で噴射ノズル22を交差方向に移動させ、噴射ノズル22の位置を1回目の走査経路Sからずらす(図3B参照)。噴射ノズル22の移動経路Mを図3B中実線矢印で示す。
【0035】
次いで、第2の走査工程において、噴射ノズル22を第1の走査工程における走査経路Sと平行かつ逆方向に移動させながら、基板4にエアロゾル3を吹き付け、先の第1の堆積層31Aと隣接する第2の堆積層31B(本発明の他の堆積層に該当する)を形成させる(図4Cおよび図4D参照)。このとき、1回目の走査により形成された第1の堆積層31Aと、2回目の走査により形成された第2の堆積層31Bとの側縁部、すなわち薄くなっている部分同士が重なるように、両堆積層31A、31Bの重なり率を調整する。
【0036】
この重なり率の調整は、先の走査経路変更工程において、噴射ノズル22の交差方向への移動距離を調整することによって行うことができる。この移動距離は、堆積層31の交差方向における膜厚分布に基づいて調整する。堆積層31の膜厚分布は使用する噴射ノズル22の形状や成膜条件等によっても異なるから、あらかじめ成膜時と同じ条件で堆積層31を作成して膜厚分布を調べておき、その膜厚分布に基づいて噴射ノズル22の移動距離を決定すれば良い。例えば図6に示すように、堆積層31の厚さが全体としてほぼ平坦であり、その両側縁部、すなわち噴出孔22Aの開口幅から外れた位置のみが薄くなっている場合には、噴射ノズル22の移動距離を大きくして、隣り合う堆積層31の重なり率が小さくなるようにする。一方、例えば図7に示すように、堆積層31が中央位置に1つのピークを持つ断面山状に形成されており、比較的厚い部分と薄い部分との差が大きい場合には、隣り合う堆積層31の重なり率が50%程度となるように移動距離を調整する。
【0037】
この後、走査経路変更工程、および第2の走査工程を交互に繰り返すことによって、噴射ノズル22の走査経路をずらしながら、直前の走査工程で形成された堆積層31に対して一部分が重なり合うように堆積層31を順次形成していく。これにより、基板4のほぼ全面にわたって第1の圧電層32を形成する(図5Eおよび図6B参照)。
【0038】
次に、この第1の圧電層32に重ねて、第2の圧電層33を形成する(図6C参照)。第2の圧電層33の形成においては、噴射ノズル22の走査方向を、第1の圧電層32を形成したときの走査方向と一致させる。そして、第1の圧電層32を形成したのと同様に、まず第1の走査工程により堆積層31を形成し、その後、走査経路変更工程と第2の走査工程とを交互に繰り返すことによって噴射ノズル22の走査経路をずらしながら堆積層31を順次形成していく。これにより、基板4の全面に渡って、隣り合う堆積層31の側縁部が重ね合わせられた第2の圧電層33を形成する。
【0039】
このとき、第2の圧電層33を構成する堆積層31が、第1の圧電層32を構成する堆積層31に対して噴射ノズル22の交差方向にずれるように、噴射ノズル22の走査経路をずらして吹き付けを行う。すなわち、第2の圧電層33を形成する際の噴射ノズル22の走査経路Sが第1のの圧電層32を形成したときの走査経路Sに対して交差方向にずれるようにして噴射ノズル22の走査を行う。
【0040】
ここで、既に形成された第1の圧電層32が、隣り合う堆積層31、31が重なり合う領域において厚さが完全に均一とならず、わずかなムラを生じることがある。したがって、その上に第2の圧電層33を重ねる際に、下位層である第1の圧電層32を形成する際の走査経路と完全に一致する走査経路で噴射ノズル22を走査させたのでは、隣り合う堆積層31、31が重なり合う領域が上下の圧電層32、33で同一の位置となり、厚さムラが拡大されるおそれがある。しかし、上下の圧電層32、33間で堆積層31をずらすように形成すれば、層間で厚さムラが均されて全体として均一な厚さの圧電膜30を形成できる。
【0041】
さらに、同様にして層間で走査経路Sをずらすようにしながら、所望の厚さになるまで圧電層の形成を繰り返す。最後に、走査経路の両端縁に設けられていたマスク材5を除去する(図5F参照)。これにより、圧電膜30の形成が終了する。
【0042】
以上のように本実施形態によれば、噴射ノズル22を交差方向にずらしながら複数回走査させるとともに、隣り合う堆積層31が一部重なり合うようにして圧電膜30を形成する。これにより、エアロゾル3噴出量のムラが少ない小さな噴射ノズル22を使用して広い領域に圧電膜30を形成できるため、厚さムラの少ない圧電膜30を形成することができる。また、一の走査により形成される堆積層31に厚さムラが生じても、隣り合う堆積層31を一部重ねあうことで厚さムラを調整し、全体として均一な圧電膜30を形成することができる。加えて、装置を大型化する必要がなく、コストを低減できる。
【0043】
また、噴射ノズル22の交差方向への移動距離を堆積層31の交差方向における膜厚分布に基づいて決定する。これにより、粒子2の付着量が少ない領域同士が重なりあうように堆積層31の重なり率が調整され、圧電膜30全体として厚さを均一化することができる。
【0044】
さらに、第2の圧電層33を構成する堆積層31が、これと重ねられる第1の圧電層32を構成する堆積層31に対して交差方向ににずれるようにする。これにより、重なり合う層同士で薄い部分、厚い部分が互いにずれて配置されることとなり、層間においても厚さが均一化されるから、より均一な圧電膜30を形成することができる。
【0045】
加えて、走査経路変更工程における噴射ノズル22の移動経路M上にマスク材5を基板4上に設けておき、このマスク材5上で噴射ノズル22の交差方向への移動を行う。ここで、噴出孔22Aは走査方向に沿った方向の開口幅が小さく、交差方向に沿った方向の開口幅が大きくされている。このため、噴射ノズル22の交差方向への移動(開口幅の大きな方向への移動)の際に、粒子2の堆積量が走査時よりも大きくなってしまう。しかし、本実施形態では噴射ノズル22の移動経路M上にマスク材5を設けてあるので、圧電膜30の形成後にこのマスク材5を除去することによって、噴射ノズル22の移動経路M上に付着された厚い粒子層を除去して、膜厚の均一な部分のみを残すことができる。
【0046】
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態について、図8を参照しつつ説明する。
本実施形態と第1実施形態との相違点は、基板4上にマスク材5等を特に設けず、噴射ノズル22の移動速度を調整することで、噴射ノズル22の交差方向への移動時における粒子層の厚さを調整する点にある。なお、第1の実施形態と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0047】
本実施形態では、まず第1の走査工程において、第1実施形態と同様に、噴射ノズル22を走査しながら基板4にエアロゾル3を吹き付ける。噴射ノズル22は、第1実施形態と同様に、その噴出孔22Aにおける短辺方向が走査方向と沿う向きとされている。この吹き付けによって、基板4上に粒子2が堆積し、走査方向に細長い帯状の堆積層31が形成される。
【0048】
次に、走査経路変更工程において、噴射ノズル22の走査経路をずらすために交差方向への移動を行う。このとき、噴射ノズル22の噴出孔22Aは走査方向に沿った方向の開口幅が小さく、交差方向に沿った方向の開口幅が大きくなっているため、走査時と同じ速さで噴射ノズル22を移動していたのでは、移動時の粒子2の堆積量が走査時よりも大きくなってしまう。このため、噴射ノズル22の移動スピードを、走査時よりも大きくして、粒子2の基板4への付着量が走査時とほぼ同程度となるようにする。移動速度の増大量は、噴出孔22Aの走査方向に沿った方向での開口幅と、交差方向に沿った方向での開口幅との比に基づいて決定すれば良い。すなわち、走査時の速度に、噴出孔22Aの走査方向に沿った方向の開口幅W1に対する交差方向に沿った方向の開口幅W2の比(W2/W1)を乗じて移動時の速度を求めればよい。
【0049】
噴射ノズル22が所定の位置まで移動したら、再び噴射ノズル22を反対側まで走査しながら、基板4にエアロゾル3を吹き付け、堆積層31を形成させる。このとき、第1実施形態と同様に、1回目の走査により形成された堆積層31と、2回目の走査により形成された堆積層31との側縁部、すなわち薄くなっている部分同士が重なるように、両堆積層31の重なり率を調整する。
【0050】
この後、走査経路変更工程、および第2の走査工程を交互に繰り返すことによって、噴射ノズル22の走査経路をずらしながら堆積層31を順次形成していき、基板4の全面にわたって第1の圧電層32を形成する。そして、この第1の圧電層32の上に第1実施形態と同様にして圧電層32を順次積層していくことによって、所望の厚さの圧電膜30を形成する。
【0051】
このように、本実施形態によれば、走査経路変更工程における噴射ノズル22の移動速度を、この噴射ノズル22の走査方向の開口幅W1と交差方向の開口幅W2との比率に基づいて増大させる。これにより、走査経路S上と同様の厚さの堆積層31を移動経路M上にも形成することができる。したがって、全体として厚さの均一な圧電膜30を形成することができる。
【0052】
<第3実施形態>
以下、本発明の第3実施形態について、図9を参照しつつ説明する。
本実施形態と上記実施形態との相違点は、走査経路変更工程において噴射ノズル22からエアロゾル3の噴射を停止させる点にある。なお、上記各実施形態と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0053】
すなわち、まず第1の走査工程において、第1実施形態と同様に、噴射ノズル22を走査しながら基板4にエアロゾル3を吹き付ける。噴射ノズル22は、第1実施形態と同様に、その噴出孔22Aにおける短辺方向が走査方向と沿う向きとされている。この吹き付けによって、基板4上に粒子2が堆積し、走査方向に細長い帯状の堆積層31が形成される。
【0054】
次に、走査経路変更工程において、噴射ノズル22の走査経路をずらすために交差方向への移動を行う。このとき、噴射ノズル22からのエアロゾル3の噴射は行わない。
【0055】
噴射ノズル22が所定の位置まで移動したら、再び噴射ノズル22を反対側まで走査しながら、基板4にエアロゾル3を吹き付け、堆積層31を形成させる。このとき、第1実施形態と同様に、1回目の走査により形成された堆積層31と、2回目の走査により形成された堆積層31との側縁部、すなわち薄くなっている部分同士が重なるように、両堆積層31の重なり率を調整する。
【0056】
この後、走査経路変更工程、および第2の走査工程を交互に繰り返すことによって、噴射ノズル22の走査経路をずらしながら堆積層31を順次形成していき、基板4の全面に渡って第1の圧電層32を形成する。そして、この第1の圧電層32の上に第1実施形態と同様にして圧電層を順次積層していくことによって、所望の厚さの圧電膜30を形成する。
【0057】
このように、本実施形態によれば、走査経路変更工程において、この噴射ノズル22からのエアロゾル3の噴射を停止させる。これにより、移動経路M上に走査経路S上とは異なる厚さの付着層が形成されることを避けることができ、全体として厚さの均一な圧電膜30を形成することができる。
【実施例】
【0058】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
【0059】
[膜厚分布を調べるための予備実験]
<予備実験1>
基板としてはステンレス(SUS430)板を、材料粒子としては平均粒子径0.3〜1μmのPZTを用いた。成膜装置としては上記実施形態と同様のものを使用した。なお、噴射ノズルの開口幅は5mm(交差方向)×0.5mm(走査方向)、ガス流量は2.0リットル/minである。
1スキャンあたり0.15μmとなるようなノズル速度で、最大膜厚15μmとなるまで1ライン上を往復走査し、圧電膜を形成した。
その他の成膜条件は、成膜チャンバー内圧力150Pa、エアロゾル室内圧力30000Pa、キャリアガス種類He、ノズル−基板間距離10〜20mmとした。
形成された圧電膜は、ノズル幅方向(交差方向)での厚さの最大値と最小値との差が3μmであり、中央に1つのピークを有する膜厚分布を示した。
【0060】
<予備実験2>
開口幅10mm×0.4mmの噴射ノズルを使用し、ガス流量4.5リットル/ minとした他は、予備実験1と同様にして圧電膜を形成した。
形成された圧電膜は、予備実験1と同様に、中央に1つのピークを有する膜厚分布を示した。また、ノズル幅方向(交差方向)での厚さの最大値と最小値との差は7μmであったことから、噴射ノズルの開口幅が広くなるにつれて、均一な厚さの膜形成が困難となることが分かる。
【0061】
[広範囲に均一な成膜を行うための実施例]
<実施例1>
開口幅10mm×0.4mmの噴射ノズルを使用し、上記実施形態に記載したように、噴射ノズルの走査経路をずらしながら堆積層を順次形成していき、基板の全面に渡って厚さ15μmの圧電膜を形成した。なお、隣り合う堆積層の重なり率は50%とした。その他の成膜条件は、予備実験2と同様とした。
圧電膜全体としての、ノズル幅方向(交差方向)での厚さの最大値と最小値との差は2μmときわめて小さく、膜全体として厚さを均一化することができた。
【0062】
<他の実施形態>
本発明の技術的範囲は、上記した実施形態によって限定されるものではなく、例えば、次に記載するようなものも本発明の技術的範囲に含まれる。その他、本発明の技術的範囲は、均等の範囲にまで及ぶものである。
【0063】
(1)上記各実施形態によれば、基板4の全面に渡って圧電膜30を形成させたが、例えば図10に示すように、基板4上に所定のパターンを有する圧電膜40を形成させてもよい。このようなパターンは、走査経路上で圧電膜の形成が不要な非形成領域4Aにおいて噴射ノズルからのエアロゾルの噴射を停止させることによって形成しても良い。あるいは、非形成領域4Aにマスク材を設けて粒子の付着を阻害することによって形成しても良い。
【0064】
(2)上記各実施形態では、複数の圧電層32、33を積層することにより圧電膜30を形成したが、圧電層を積層せず、ただ1層の圧電層によって圧電膜を形成しても構わない。
(3)上記各実施形態では、噴射ノズル22を固定して基板4を動かすことにより、噴射ノズル22が基板4に対して相対移動するようにしているが、逆に基板4を固定して噴射ノズル22を動かすことにより、噴射ノズル22が基板4に対して相対移動するようにしても構わない。
【0065】
(4)上記各実施形態では、第1の走査工程が終了後、走査経路変更工程において噴射ノズル22をそのまま交差方向に移動させ、第2の走査工程において噴射ノズル22を第1の走査工程における走査経路Sと平行かつ逆方向に移動させたが、両走査工程において走査方向が必ずしも逆方向である必要はない。すなわち、例えば図11に示すように、第1の走査工程が終了後、いったん噴射ノズルをスタート位置に戻してから走査経路変更工程において噴射ノズルを交差方向に移動させ、第2の走査工程において噴射ノズルを第1の走査工程における走査経路Sと平行かつ順方向に移動させるようにしても構わない。
【0066】
(5)上記各実施形態では、圧電膜30を形成する前に予め堆積層31の交差方向における膜厚分布を調べておき、その膜厚分布に基づいて噴射ノズル22の交差方向への移動距離を決定していたが、第1または第2の走査工程において堆積層31が形成されたときに、その交差方向における膜厚分布を直ちに測定する測定工程を備え、その測定された膜厚分布に応じて、直後の走査経路変更工程における噴射ノズル22の移動距離を調整するようにしても良い。
この場合、図12に示すように、成膜装置1は膜厚測定を行うための反射型の光検出器28を備え、光検出器28による膜厚分布の測定結果が制御装置27にフィードバックされるように構成される。また、光検出器28は、噴射ノズル22と走査方向に沿って並び、かつ走査方向において噴射ノズル22よりも後方となる位置に設けられ、堆積層31の堆積されたばかりの部分に光検出器28の検出光が照射されるようにされる。また、噴射ノズル22の基板4に対する相対移動の経路は、図11に示されたように、走査経路Sに沿った同一方向の移動を繰り返すものとされる。
この実施形態によれば、成膜の最中に噴射ノズル22の噴射特性が突発的に変化し、堆積層31の膜厚分布に変化が生じたとしても、これに瞬時に対応し、圧電膜全体として厚さを均一化することができる。
なお、光検出器28は、堆積層31の交差方向における膜厚分布を測定するものでなく、堆積層31の任意の一点(例えば、堆積層31の頂点)における膜厚を測定するものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】第1実施形態の成膜装置を示す概略図
【図2】第1実施形態の噴射ノズルを側面および正面から見た図
【図3】第1実施形態の圧電膜の形成工程を示す上面図−1 (A)第1の走査工程においてマスク材を設けた基板上を走査する様子を示す上面図 (B)走査経路変更工程において噴射ノズルを移動させる様子を示す上面図
【図4】第1実施形態の圧電膜の形成工程を示す上面図−2 (C)第2の走査工程においてマスク材を設けた基板上を走査する様子を示す上面図 (D)第2の走査工程において隣り合う堆積層が重なり合うように形成された様子を示す上面図
【図5】第1実施形態の圧電膜の形成工程を示す上面図−3 (E)圧電層形成後の基板を示す上面図 (F)マスク材除去後の基板を示す上面図
【図6】第1実施形態の圧電膜の形成工程を示す側面図−1 (A)第1の走査工程において基板上を走査する様子を示す側面図 (B)第1の圧電層形成後の基板を示す側面図 (C)第2の圧電層積層後の基板を示す側面図
【図7】第1実施形態の圧電膜の形成工程を示す側面図−2 (A)第1の圧電層形成後の基板を示す側面図 (B)第2の圧電層積層後の基板を示す側面図
【図8】第2実施形態の圧電膜の形成工程を示す上面図 (A)第2実施形態において基板上を噴射ノズルにより走査する様子を示す上面図 (B)圧電膜形成後の基板を示す上面図
【図9】第3実施形態において基板上を噴射ノズルにより走査する様子を示す上面図
【図10】他の実施形態の圧電膜の形成工程を示す上面図−1 (A)基板上を噴射ノズルにより走査する様子を示す上面図 (B)圧電膜形成後の基板を示す上面図
【図11】他の実施形態の圧電膜の形成工程を示す上面図−2
【図12】他の実施形態の成膜装置を示す概略図
【符号の説明】
【0068】
2…粒子
3…エアロゾル
4…基板
22A…噴出孔
22…噴射ノズル
30、40…圧電膜
31…堆積層
31A…第1の堆積層(一の堆積層)
31B…第2の堆積層(他の堆積層)
32…第1の圧電層(一の圧電層)
33…第2の圧電層(他の圧電層)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴出孔を設けた噴射ノズルを基板に対して相対移動するように複数回走査しつつ圧電材料の粒子を含むエアロゾルを前記噴出孔から噴出させて前記基板に吹き付けることにより前記粒子を前記基板上に付着させて圧電膜を形成する方法であって、
(A)前記噴射ノズルを所定の走査方向に走査させながら前記エアロゾルを噴出させることで前記基板上に一の堆積層を形成する第1の走査工程と、
(B)前記噴射ノズルを前記走査方向と交差する交差方向に移動させることで直前の走査工程における走査経路から前記噴射ノズルの位置をずらす走査経路変更工程と、
(C)前記噴射ノズルを前記直前の走査工程における走査方向に沿う方向に走査させながら前記エアロゾルを噴出させることで前記直前の走査工程により形成された堆積層に一部重なり合う他の堆積層を形成する第2の走査工程と、
(D)前記工程(B)と前記工程(C)とを所定回数交互に繰り返す工程と、
を含むことを特徴とする圧電膜形成方法。
【請求項2】
前記走査経路変更工程において、前記噴射ノズルの前記交差方向への移動距離を前記堆積層の膜厚分布に基づいて決定することを特徴とする請求項1に記載の圧電膜形成方法。
【請求項3】
前記第1の走査工程と前記第2の走査工程とは、当該走査工程において形成した前記堆積層の膜厚を測定する測定工程を含み、
前記走査経路変更工程においては、直前の前記走査工程における前記測定工程によって得られた測定結果に応じて、前記噴射ノズルの前記交差方向への移動距離を決定することを特徴とする請求項1に記載の圧電膜形成方法。
【請求項4】
前記走査経路変更工程において、前記噴射ノズルからの前記エアロゾルの噴射を停止することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか記載の圧電膜形成方法。
【請求項5】
前記走査経路変更工程において、前記基板と前記噴射ノズルとの間にマスク材を設けて前記エアロゾルを遮断することにより前記粒子の前記基板への到達を規制することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の圧電膜形成方法。
【請求項6】
前記走査経路変更工程において、前記噴射ノズルの移動速度を前記第1の走査工程および前記第2の走査工程における前記噴射ノズルの走査速度よりも速くすることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の圧電膜形成方法。
【請求項7】
前記走査経路変更工程において、前記噴出孔の走査方向の開口幅と移動方向の開口幅との比率に基づいて前記噴射ノズルの移動速度を前記第1の走査工程または前記第2の走査工程における前記噴射ノズルの走査速度に対して増減することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の圧電膜形成方法。
【請求項8】
(E)前記工程(A)〜(D)により形成された一の圧電層上に、さらに前記工程(A)〜(D)を行うことにより他の圧電層を積層する積層工程を含むとともに、
前記積層工程において、前記噴射ノズルの走査方向を前記一の圧電層を形成したときの走査方向と平行な方向とし、かつ、前記噴射ノズルの走査経路を前記一の圧電層を形成したときの走査経路に対して交差する方向にずらすことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の圧電膜形成方法。
【請求項9】
前記堆積層の厚さを0.01μm以上0.5μm以下とすることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の圧電膜形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−32485(P2006−32485A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−206086(P2004−206086)
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】