説明

圧電霧化器

【課題】本発明は、スプレー塗装装置に用いられ、塗料の利用率が高く且つ環境保護に有利の圧電霧化器を提供する。
【解決手段】本発明に係る圧電霧化器は、頂表面と、噴出口を有する底表面と、前記頂表面と前記底表面との間に位置し、前記頂表面から開放され、前記噴出口と貫通し、且つ塗料を収容するキャビディーとを有する本体と、前記本体の頂表面に被せて前記キャビディー頂表面を閉鎖する蓋体と、前記蓋体の底表面に結合されるフィルム部材と、前記蓋体と前記フィルム部材との間に配置され、且つ塗料を霧化する駆動部材と、前記本体の底表面に結合され、且つ前記本体の噴出口に対応する部位に複数の噴出孔が形成されているノズルプレートと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、霧化器に関し、特にスプレー塗装装置に用いられる圧電霧化器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、携帯電話またはコンピュータなどのような電子装置のハウジングに対してスプレー塗装方式で塗装して、電子装置のハウジングの外観を加飾する。従来のスプレーガンは高速の空気を利用して、塗料を微小な顆粒に霧化してスプレーガンのノズルから噴出する。前記高速の空気による気流は強いので、ワークの表面に塗装される塗料を均一にするためには、前記ワークと前記スプレーガンとは一定の間隔を保持しなければならない。
【0003】
しかし、前記スプレーガンと前記ワークとの間隔が遠ければ遠いほど、塗料の霧化範囲が大きくなり、且つワークに確実に塗装される塗料は約10%〜30%しかなく、約70%〜90%の塗料が浪費される。ワークの特定の区域に塗装するか、または特定のパターンを塗装する場合、塗装を必要としない部分をマスクで被覆し、塗装工程が終了すると前記マスクを除去するため、塗装過程が複雑であって、前記ワークの特定の区域における塗料の利用率が低い。従って、従来の塗装方法は、塗料の利用率が低く、塗料の浪費が多いため、塗料のコストが高く、且つ環境保護に不利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上の問題点に鑑みて、本発明は、スプレー塗装装置に用いられ、塗料の利用率が高く且つ環境保護に有利な圧電霧化器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記問題を解決するために、本発明に係る圧電霧化器は、頂表面と、噴出口を有する底表面と、前記頂表面と前記底表面との間に位置し、前記頂表面から開放され、前記噴出口と貫通し、且つ塗料を収容するキャビディーとを有する本体と、前記本体の頂表面に被せて前記キャビディー頂表面を閉鎖する蓋体と、前記蓋体の底表面に結合されるフィルム部材と、前記蓋体と前記フィルム部材との間に配置され、且つ塗料を霧化する駆動部材と、前記本体の底表面に結合され、且つ前記本体の噴出口に対応する部位に複数の噴出孔が形成されているノズルプレートと、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る圧電霧化器においては、駆動部材の振動数をキャビディーの共振振動数に達しさせて、キャビディー内の塗料を霧化させ、霧化された塗料をワークの表面にスプレー塗装することによって、塗料の利用率を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第一実施例に係る圧電霧化器の斜視図である。
【図2】図1の圧電霧化器の分解図である。
【図3】図1の圧電霧化器の別の視角からの分解図である。
【図4】図1の圧電霧化器のIV―IV線による断面図である。
【図5】図1の圧電霧化器のV―V線による断面図である。
【図6】本発明の第二実施例に係る圧電霧化器の分解図である。
【図7】本発明の第二実施例に係る圧電霧化器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面に基づいて、本発明の実施例に係る圧電霧化器について詳細に説明する。
【0009】
本発明に係る圧電霧化器は、ワークの表面に対してスプレー塗装を行うスプレー塗装装置に用いられる。
【0010】
図1ないし図3を参照すると、本発明の第一実施例に係る圧電霧化器10は、本体20、略四角形のリング部材27、フィルム部材30、駆動部材40、蓋体50、複数の固定部材53及びノズルプレート60を備える。
【0011】
前記本体20は、中央に形成されている錐状のキャビディー21と、前記本体20の底表面に形成されている噴出口22及び凹部23と、を備える。前記噴出口22は、前記錐状のキャビディー21の先端と貫通する。前記錐状のキャビディー21の開口部は、前記本体20の頂表面201から開放される。前記錐状のキャビディー21の開口部の周縁には、略四角のリング状の安着部24が形成されている。前記安着部24の周囲の前記本体20の頂表面201には、複数の第一固定孔25が形成されている。前記本体20の対向する2つの側面には、前記キャビディー21と貫通される貫通孔26がそれぞれに形成されている。
【0012】
前記フィルム部材30の周縁部には、前記本体20の複数の第一固定孔25に対応する複数の第二固定孔31が形成されている。前記フィルム部材30は、テフロン(登録商標)・フィルム(Teflon Film)又は柔軟性材料からなるフィルムである。
【0013】
前記駆動部材40は、圧電性材料からなる。
【0014】
前記蓋体50の周縁部には、前記本体20の複数の第一固定孔25及び前記フィルム部材30の複数の第二固定孔31のそれぞれに対応する複数の第三固定孔51が形成されている。前記蓋体50の底表面501(図3を参照)には、前記駆動部材40の一部を収容し且つ他の一部を外部へ延伸するように安着する安着槽52が形成されている。
【0015】
前記ノズルプレート60における前記本体20の噴出口22に対応する部位には、複数の噴出孔61が形成されている。前記噴出孔61のサイズ、密度及び数量は、塗装要求に基づいて調整することができる。
【0016】
図4及び図5を参照すると、前記圧電霧化器10を組立てる場合、先ず、前記略四角形のリング部材27を前記本体20の安着部24内に装着し、前記駆動部材40を前記蓋体50の安着槽52内に装着する。前記駆動部材40と前記蓋体50とは、導電性接着剤によって接着される。次に、前記フィルム部材30を前記駆動部材40及び前記蓋体50に被覆してから、前記フィルム部材30が被覆された蓋体50を前記本体20の頂表面に配置して前記キャビディー21の開口端部を密閉する。次に、前記複数の固定部材53を前記蓋体50の複数の第三固定孔51及び前記フィルム部材30の第二固定孔31にそれぞれに挿入してから、前記複数の固定部材53を前記本体20の第一固定孔25内に固定して、前記本体20と前記フィルム部材30が被覆された蓋体50とを結合する。最後に、前記本体20の凹部23に接着剤を設置し、且つ前記ノズルプレート60を前記接着剤の接着性を利用して前記本体20の底表面に接着することによって、前記圧電霧化器10の組立てが終了する。前記凹部23の設置は、前記本体20と前記ノズルプレート60との結合強度を向上することができる。
【0017】
前記本体20の両側の貫通孔26には、塗料を進出させるための接続管材70がそれぞれ接続され、且つ前記接続管材70は塗料供給管部材(図示せず)に接続される。塗料は一定の正の圧力によって1つの接続管材70から前記キャビディー21内に注入され、前記キャビディー21内に存在する空気は前記塗料の注入によって他の接続管材70から排出される。前記キャビディー21内の空気が完全に排出された時、前記他の接続管材70を遮断する。この時、塗料は前記ノズルプレート60の噴出孔61から連続的に噴出される。前記駆動部材40は一定の振動振動数を提供して塗料を霧化させる。霧化された塗料はワークの表面にスプレー塗装されて、塗料の利用率を向上させ、且つ特定の区域及びパターンに対するスプレー塗装を迅速に行うことができる。
【0018】
図6及び図7を参照すると、本発明の第二実施例に係る圧電霧化器10’は、本発明の第一実施例に係る圧電霧化器10と似ている。異なるところは、第二実施例の圧電霧化器10’において、本体20の周縁部に複数の貫通固定孔28が形成され、且つ固定板材80をさらに備えることである。前記固定板材80の周縁部には、前記複数の貫通固定孔28に対応する複数の第四固定孔81が形成され、中央には中空部82が形成されている。前記固定板材80は、前記ノズルプレート60を前記本体20に固定する役割を果たす。前記フィルム部材30は前記蓋体50及び前記駆動部材40に直接的に結合することができるため、前記フィルム部材30に固定孔を設置しなくてもよい。
【0019】
本発明に係る圧電霧化器10、10’において、塗料を霧化した後、ワークの表面にスプレー塗装するため、塗料の浪費を低減して環境保護に有利である。霧化した後の塗料の顆粒のサイズは、キャビディー21内に塗料を注入する圧力、駆動部材40の電圧強度及び振動数、噴出孔61の数量及びサイズによって制御される。キャビディー21を逆錐状に設計することは、エネルギーを集中させるのに有利である。また、キャビディー21を共振体に設計して、必要とするエネルギーを最小化することができる。また、駆動部材40の振動数がキャビディー21の共振振動数に達すれば、塗料が霧化される。
【0020】
以上、本発明の好適な実施例について詳細に説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形又は修正が可能であり、該変形又は修正も又、本発明の特許請求の範囲内に含まれるものであることは、いうまでもない。
【符号の説明】
【0021】
10、10’ 圧電霧化器
20 本体
201 頂表面
21 キャビディー
22 噴出口
23 凹部
24 安着部
25 第一固定孔
26 接続孔
27 リング部材
28 貫通固定孔
30 フィルム部材
31 第二固定孔
40 駆動部材
50 蓋体
501 底表面
51 第三固定孔
52 安着槽
53 固定部材
60 ノズルプレート
61 噴出孔
70 接続管材
80 固定板材
81 第四固定孔
82 中空部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頂表面と、噴出口を有する底表面と、前記頂表面と前記底表面との間に位置し、前記頂表面から開放され、前記噴出口と貫通し、且つ塗料を収容するキャビディーとを有する本体と、
前記本体の頂表面に被せて前記キャビディー頂表面を閉鎖する蓋体と、
前記蓋体の底表面に結合されるフィルム部材と、
前記蓋体と前記フィルム部材との間に配置され、且つ塗料を霧化する駆動部材と、
前記本体の底表面に結合され、且つ前記本体の噴出口に対応する部位に複数の噴出孔が形成されているノズルプレートと、
を備えることを特徴とする圧電霧化器。
【請求項2】
前記キャビディーは、錐状であり、先端が前記噴出口と貫通され、他端が前記本体の頂表面から開放されることを特徴とする請求項1に記載の圧電霧化器。
【請求項3】
前記錐状のキャビディーの開口部の周縁の前記本体の頂表面に、リング部材が装着されるリング状の安着部が形成され、前記フィルム部材の結合によって前記錐状のキャビディーの開口部端が密閉されることを特徴とする請求項2に記載の圧電霧化器。
【請求項4】
前記本体の両側に貫通孔がそれぞれ設置され、前記貫通孔には塗料を進出させるための接続管材がそれぞれ接続されることを特徴とする請求項1に記載の圧電霧化器。
【請求項5】
前記駆動部材は、圧電性材料からなることを特徴とする請求項1に記載の圧電霧化器。
【請求項6】
前記本体の底表面に接着剤を配置するための凹部が形成され、前記凹部は、前記本体と前記ノズルプレートとの接着強度を向上させることを特徴とする請求項1に記載の圧電霧化器。
【請求項7】
前記蓋体の底表面に、前記駆動部材の一部を収容し且つ他の一部を外部へ延伸するようにする安着槽が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の圧電霧化器。
【請求項8】
前記本体の周縁部の頂表面に複数の第一固定孔が形成され、前記フィルム部材及び前記蓋体にそれぞれ前記複数の第一固定孔に対応する複数の第二固定孔及び複数の第三固定孔が形成され、複数の固定部材を前記蓋体の複数の第三固定孔及び前記フィルム部材の第二固定孔にそれぞれ挿入してから、前記複数の固定部材を前記本体の第一固定孔内に固定して、前記本体と前記蓋体とを結合することを特徴とする請求項1に記載の圧電霧化器。
【請求項9】
前記圧電霧化器は、中央に中空部が形成されている固定板材をさらに備え、前記本体の
の周縁部に複数の貫通固定孔が形成され、前記固定板材の周縁部に前記本体の複数の貫通固定孔に対応する複数の第四固定孔が形成され、複数の固定部材を前記蓋体の複数の第三固定孔、前記本体の貫通固定孔及び前記固定板材の複数の第四固定孔のそれぞれに挿入及び固定して、前記ノズルプレートを前記本体に固定することを特徴とする請求項1に記載の圧電霧化器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−20115(P2011−20115A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77475(P2010−77475)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(500080546)鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司 (1,018)
【Fターム(参考)】