説明

在宅コールセンタシステム及び在宅コール応答方法

【課題】在宅コールセンタにおける正規オペレータ以外の第三者の成りすましによる不正な顧客対応を防止する。
【解決手段】在宅コールセンタシステムは、顧客が使用する電話機3と、オペレータ21により操作されるIP電話機22及びオペレータ用端末機30をそれぞれ有し、複数の拠点に分散して配置された複数の在宅コールセンタ20と、コールセンタサーバ10及び声紋認証装置14を有するコールセンタ1とを備えている。コールセンタサーバ10は、電話機3からの通信要求を受信し、音声案内を行う。同時に、複数の在宅コールセンタ20の1つを選択し、IP電話機22及びオペレータ用端末機30と通信し、音声情報を受信する。この音声情報の認証を音声認証装置14に依頼してオペレータ21の本人認証を行う。認証成立のときには、電話機3とIP電話機22とを接続して通話可能状態にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サテライトオフィス又は在宅勤務のオペレータにより、利用者からの電話を受け付けて各種問い合わせに対応する在宅コールセンタシステム及び在宅コール応答方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、利用者からの電話による問い合せ対応又は新規顧客開拓等の電話によるマーケティングを行うため、各種の企業体では、電話対応業務を専門に行うコールセンタを設けて対応している。又、コールセンタ業務を専門に請け負う業者も存在している。コールセンタは、コンタクトセンタとも呼ばれるが、以下、コールセンタの名称を使用する。
【0003】
コールセンタ業務は、大別して、利用者からの電話を受け付けるインバウンドと、新規顧客の開拓のように企業側から一般消費者に電話をかけるアウトバウンドとの2つの形態がある。いずれの場合も、商品情報データベースや顧客情報データベース等の情報系システムと電話系システムとの深い連携が必要になる。
【0004】
コールセンタでは、従来、同時に複数の利用者からの電話に対応するため、多くのオペレータを集中的に配置していたが、人材の確保、賃金コストの低減等の理由で、多くのコールセンタが地方都市に設置されている。更に、人材確保等の観点から、コールセンタの機能をサテライトオフィス又は在宅に分散し、オペレータが自宅等で利用者の対応を行う、在宅コールセンタシステムが出現している。
【0005】
図11は、従来の在宅コールセンタシステムの概略を示す構成図である。
【0006】
従来の在宅コールセンタシステムでは、コールセンタ60に音声自動応答機能や着信呼自動分配機能を有するコールセンタサーバ61が設置されている。コールセンタサーバ61は、公衆電話回線網2経由の固定電話機3と通信可能に構成されている。
【0007】
更に、コールセンタサーバ61は、例えば、インターネット4を経由して複数の在宅コールセンタ70(=70−1,70−2,・・・)の複数のIP(Internet Protocol)電話機72(=72−1,72−2・・・)及び複数のオペレータ用端末機73(=73−1,73−2,・・・)と通信可能に接続されている。
【0008】
IP電話機72とは、VoIP(Voice over Internet Protocol)の技術を使用した電話機で、音声を符号化して圧縮し、パケットに変換して送信するように構成されている。
【0009】
一般に、在宅コールセンタシステムでは、各オペレータ71(=71−1,71−2,・・・)が、コールセンタ業務を開始する際に、オペレータ用端末機73からオペレータID(=オペレータ識別番号)及びパスワードを入力することによりログオンするように構成されている。このログオンによりオペレータ71の認証が行われる。
【0010】
このような、在宅コールセンタシステムに関する技術は、例えば、下記の特許文献1〜3に記載されている。
【0011】
特許文献1には、在宅等で勤務するオペレータの、対応中、応答待ち、離席、若しくはログオフ中の少なくとも1つの状態判別を行うオペレータ支援システムの技術が記載されている。
【0012】
特許文献2には、在宅コールセンタのオペレータの体調不良や利用者との対話の進行の不調を、自動的に遠隔地にいる管理者に通知する技術が記載されている。
【0013】
特許文献3には、オペレータの認証に生体認証装置を用いる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2002−77403号公報
【特許文献2】特開2004−252668号公報
【特許文献3】特開2006−126976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、従来の在宅コールセンタシステムにおけるオペレータ71の認証手段は、オペレータ用端末機73からのログオン時にオペレータ71がオペレータID及びパスワード入力を入力する方法が一般的である。このオペレータID及びパスワードによるログオン操作に代えて、指紋や静脈に基づく生体認証技術を適用してオペレータ71の認証を行うこともできる。この場合には、オペレータ71の負荷低減を図ることができる。
【0016】
これらの方法は、オペレータ用端末機73において、業務開始時に行うため、一度業務が開始されると、ログオフされるまでは、本人ではなくても操作が可能となる。そのため、第三者への情報漏洩や、正規のオペレータ以外の第三者の成りすましによる不正な利用者対応がなされるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明のうちの第1の発明の在宅コールセンタシステムは、オペレータにより操作される音声通信機能を持った端末機をそれぞれ有し、複数の拠点に分散して配置された複数の在宅コールセンタと、コールセンタ利用者の利用者電話機からの通信要求を受信し、前記利用者電話機に対し音声による案内を送信する第1の自動音声応答装置とを備えている。
【0018】
更に、前記通信要求又は選択更新要求に基づき、前記複数の在宅コールセンタのうちのいずれか1つを選択する着信呼分配処理部と、前記選択された在宅コールセンタ内の前記端末機と通信し、前記端末機から送信された生体情報を受信して前記オペレータの本人認証を行い、認証成立のときには、前記利用者電話機と前記端末機とを接続して通話可能状態にし、認証不成立のときには、前記着信呼分配処理部に対して前記選択更新要求を行う第1のオペレータ認証接続部とを備えている。
【0019】
第2の発明の在宅コールセンタシステムは、オペレータにより操作される音声通信機能を持った端末機をそれぞれ有し、複数の拠点に分散して配置された複数の在宅コールセンタと、コールセンタ利用者の利用者電話機からの通信要求を受信して前記利用者電話機と通信し、前記利用者電話機から送信された音声を受信して前記利用者の本人認証を行い、認証成立のときには、前記利用者電話機との通話可能状態を維持し、認証不成立のときには、前記利用者電話機との前記通話可能状態を遮断する第2の自動音声応答装置とを備えている。
【0020】
更に、前記通信要求又は選択更新要求に基づき、前記複数の在宅コールセンタのうちのいずれか1つを選択する着信呼分配処理部と、前記選択された在宅コールセンタ内の前記端末機と通信し、前記端末機から送信された生体情報を受信して前記オペレータの本人認証を行い、認証成立のときには、前記利用者電話機と前記端末機とを接続して通話可能状態にし、認証不成立のときには、前記着信呼分配処理部に対して前記選択更新要求を行う第1のオペレータ認証接続部とを備えている。
【0021】
第3の発明の在宅コールセンタシステムは、オペレータにより操作される音声通信機能を持った端末機をそれぞれ有し、複数の拠点に分散して配置された複数の在宅コールセンタと、コールセンタ利用者の利用者電話機からの通信要求を受信し、前記利用者電話機に対し音声による案内を送信する第1の自動音声応答装置とを備えている。
【0022】
更に、前記通信要求又は選択更新要求に基づき、前記複数の在宅コールセンタのうちのいずれか1つを選択する着信呼分配処理部と、前記利用者電話機と前記端末機とを接続して通話可能状態を維持し、前記オペレータが発する音声の一部を認証して本人認証を行い、認証成立のときには、前記通話可能状態を継続し、認証不成立のときには、前記通話可能状態を中断し、前記着信呼分配処理部に対して前記選択更新要求を行う第2のオペレータ認証接続部とを備えている。
【0023】
第4の発明の在宅コール方法は、オペレータにより操作される音声通信機能を持った端末機をそれぞれ有し、複数の拠点に分散して配置された複数の在宅コールセンタと、コールセンタ利用者の利用者電話機と前記複数の在宅コールセンタとを接続するコールセンタサーバと、を用いた在宅コール応答方法である。
【0024】
前記コールセンタサーバは、前記利用者電話機からの通信要求を受信し、前記利用者電話機に対して音声による案内を送信する自動音声応答処理と、前記通信要求又は選択更新要求に基づき前記複数の在宅コールセンタのうちのいずれか1つを選択する着信呼分配処理と、前記通信要求の受信の都度、前記端末機から送信される生体情報を受信して前記オペレータの本人認証を行い、認証成立のときには、前記利用者電話機と前記端末機とを接続して通話可能状態にし、認証不成立のときには、前記着信呼分配処理に対して前記選択更要求を行うオペレータ認証接続処理とを行う。
【発明の効果】
【0025】
本発明のうちの第1の発明の在宅コールセンタシステムによれば、次の(1)のような効果がある。
【0026】
(1) 声紋認証により、オペレータの本人認証を行うので、正規のオペレータ以外の第三者によるオペレータの成りすましの防止ができる。
【0027】
第2の発明の在宅コールセンタシステムによれば、更に、次の(2)のような効果がある。
【0028】
(2) 第2の自動音声応答装置において、利用者電話機により利用者から通信要求を受信した際に、利用者の認証を可能としたので、第三者による利用者の成りすましの防止ができる。
【0029】
第3の発明の在宅コールセンタシステムによれば、更に、次の(3)のような効果がある。
【0030】
(3) 第2のオペレータ認証接続部において、利用者と通話状態にあるオペレータの声紋認証を行うようにしたので、より精度の高い成りすまし防止ができる。
【0031】
第4の発明の在宅コール応答方法によれば、前述した第1の発明の在宅コールセンタシステムと同様の効果があり、在宅コールセンタシステムにおけるセキュリティを向上させる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は本発明の実施例1における在宅コールセンタシステムの概略を示す構成図である。
【図2】図2は図1中のコールセンタサーバの概略を示す構成図である。
【図3】図3は図1中のオペレータ用端末機の入力操作画面の表示例を示す図である。
【図4】図4は本発明の実施例1の在宅コール応答方法を示すフローチャートである。
【図5】図5は本発明の実施例2における在宅コールセンタシステムの概略を示す構成図である。
【図6】図6は図5中のコールセンタサーバの概略を示す構成図である。
【図7】図7は本発明の実施例2の在宅コール応答方法を示すフローチャートである。
【図8】図8は本発明の実施例3における在宅コールセンタシステムの概略を示す構成図である。
【図9】図9は図8中のコールセンタサーバの概略を示す構成図である。
【図10】図10は本発明の実施例3の在宅コール応答方法を示すフローチャートである。
【図11】図11は従来のコールセンタシステムの概略を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0034】
(実施例1の構成)
図1は、本発明の実施例1における在宅コールセンタシステムを示す概略の構成図である。
【0035】
在宅コールセンタシステムは、利用者(以下「顧客」という。)からの電話による問い合せ対応又は新規顧客開拓等の電話によるマーケティングを行うためのシステムである。
【0036】
在宅コールセンタシステムは、図示しない商品情報データベースや顧客情報データベース等の情報系システムと電話系システムとを連携させて管理するコールセンタ1と、公衆電話回線網2を経由してコールセンタ1と音声通信を行うために顧客が使用する利用者電話機(以下単に「電話機」という)3と、インターネット4を経由して複数の拠点に設置された複数の在宅コールセンタ20(=20−1,20−2,・・・)とから構成されている。
【0037】
本実施例1では、コールセンタ1に、音声自動応答機能や着信呼自動分配機能を有するコールセンタサーバ10と、声紋認証装置14とが設置されている。このコールセンタサーバ10は、公衆電話回線網2経由の電話機3と通信可能に構成されている。
【0038】
複数の在宅コールセンタ20は、例えば、オペレータの自宅でもよいし、サテライトオフィスでもよい。複数の在宅コールセンタ20には、在宅コールセンタ20毎に、オペレータ21(=21−1,21−2,・・・)が配備され、オペレータ21によって操作される、IP電話機22(=22−1,22−2,・・・)と、オペレータ用端末機30(=30−1,30−2,・・・)とから構成される端末機が設置されている。
【0039】
複数のオペレータ用端末機30は、例えば、パーソナルコンピュータであり、入力操作画面50(=50−1,50−2,・・・)と入力操作部40(=40−1,40−2・・・)とを有している。
【0040】
IP電話機22は、音声回線(IP)vlによりコールセンタサーバ10に接続されている。オペレータ用端末機30は、データ回線dlによりコールセンタサーバ10に接続されている。コールセンタサーバ10と声紋認証装置14とは、データ回線dlにより接続されている。
【0041】
この音声回線(IP)vl及びデータ回線dlは、装置間の論理的な接続関係を表してしている。例えば、物理的には、図示しない端末アダプタが在宅コールセンタ20内に設置され、この端末アダプタがインターネット4に接続されている。IP電話22及びオペレータ用端末機30は、この端末アダプタに接続されるように構成されて音声もデータもパケットにより通信されるように構成されている。
【0042】
図2は、図1中のコールセンタサーバ10の概略を示す構成図である。
コールセンタサーバ10は、顧客の使用する電話機3から通信要求を受信し、電話機3に音声による案内を送信する第1の自動音声応答装置(IVR)11と、通信要求又は選択更新要求に基づき、複数の拠点に分散して配置された複数の在宅コールセンタ20のうちのいずれか1つを選択する着信呼分配処理部(ACD)12と、選択された在宅コールセンタ20−1と通信し、在宅コールセンタ20−1から送信された生体情報を受信してオペレータ21−1の本人認証を行う第1のオペレータ認証接続部13とを有している。
【0043】
オペレータ認証接続部13は、電話機3とIP電話機22とを接続する接続手段13aを有している。接続手段13aは、電話機3とIP電話機22とを接続して通話可能状態にし、或いは、通話可能状態を遮断して電話機3とIP電話機22とを切断する機能を有している。
【0044】
(実施例1の方法)
本実施例1の在宅コールセンタシステムにおける在宅コール応答方法は、オペレータ21による顧客対応の都度、オペレータ21の本人確認を行う方法である。
【0045】
図3は、図1中のオペレータ用端末機30の入力操作画面50の表示例を示す図である。
【0046】
入力操作画面50は、例えば、顧客情報検索画面51a、購入履歴検索画面51b、商品発注画面51c、及びクレーム処理画面51d等の画面を選択することにより、それぞれの画面に対応する処理を選択する画面選択エリア51と、コールセンタサーバ10からのメッセージやオペレータ用端末機30への入力データを表示する、入力操作エリア52とに区分されて使用される。
【0047】
図3に示す例では、入力操作エリア52には、顧客からの通信要求があったことを知らせる着信情報ポップアップ画面53が表示されている。合言葉53aは、オペレータ21の音声認証時にオペレータ21が発する言葉である。はいボタン53bは、オペレータ21がこの通信要求に対応するときに押下し、いいえボタン53cは、都合によりオペレータ21がこの通信要求に対応できないときに押下するものである。
【0048】
図4は、本発明の実施例1の在宅コール応答方法を示すフローチャートである。
ステップS1において、コールセンタを利用する顧客は、電話機3を使用してコールセンタ1へ電話をかけることによりコールセンタを呼び出す。ステップS2において、顧客からの呼び出しを検知したコールセンタサーバ10の自動音声応答装置(IVR)11は、顧客の電話機3に次の案内を音声で送信する。
「お電話、有り難うございます。こちらは○○コールセンタでございます。ただ今、オペレータを呼び出しております。しばらくお待ちください。」
【0049】
ステップS3において、コールセンタサーバ10の着信呼分配処理部(ACD)12は、所定のロジックで複数の在宅コールセンタ20のうちから、例えば在宅コールセンタ20−1を選択する。ここで、所定のロジックとは、例えば、顧客対応中、離席、ログオフ中、待機中等のオペレータ21−1の状態や、商品案内、苦情等の顧客の通信要求の内容等の条件により、適切なオペレータ21を選択することをいう。
【0050】
ステップS4において、オペレータ用端末機30−1宛てに、図3に示す認証用画面である着信情報ポップアップ画面53を送信する。オペレータ用端末機30−1は、着信情報ポップアップ画面53を受信し、オペレータ用端末機30−1の入力操作エリア52に次のメッセージを表示する。
「お客様から電話です。電話にでますか? 電話に出る場合は、最初に以下の合言葉を発声して下さい。 合言葉 : ひらけごま はい いいえ」
【0051】
オペレータ21−1により、はいボタン53bが選択される。オペレータ21−1が、はい33aを選択したことがコールセンタサーバ10に送信される。コールセンタサーバ10のオペレータ認証部13は、在宅コールセンタ20−1のIP電話機22−1宛てに
「認証のため、合言葉を発声して下さい。」の音声メッセージを送信する。
【0052】
オペレータ21−1は、IP電話機22−1を用いて、合言葉「ひらけごま」53aを発声する。
【0053】
ステップS5において、オペレータ認証部13は、合言葉「ひらけごま」53aを受信し、ステップS6において、これを声紋認証装置14へ転送する。
【0054】
ステップS7において、オペレータ認証部13は、声紋認証システム14から認証成立の回答が戻ってきたときには、
「認証されました。お客様とおつなぎします。」の音声メッセージをIP電話機22−1に送信して顧客の電話機3とオペレータ21−1のIP電話機22−1とを接続する。以降は、ステップS8において、顧客とオペレータ21−1との音声による対話が行われ、オペレータ21−1による顧客対応が開始される。
【0055】
ステップ7において、声紋認証システム14から認証不成立の回答が戻ってきたときには、オペレータ認証部13は、在宅コールセンタ20−1のIP電話機22−1宛てに、
「声紋認証が不成立でした。再度、認証のため、合言葉を発声して下さい。」の音声メッセージを送信する。これを所定回数繰り返しても、認証ができないときは、別人がIP電話機22−1を使用していると判断して、オペレータ認証接続部13は、着信呼分配処理部(ACD)12に対して選択更新要求を行う。その結果、ステップS3において、着信呼分配処理部(ACD)12は、次の在宅コールセンタ20−2を選択する。ステップS4において、オペレータ認証接続部13は、次の在宅コールセンタ20−2に対し、図3に示す着信情報ポップアップ画面53を送信する。以降、ステップS4からステップS7が実行される。
【0056】
なお、IP電話22及びオペレータ用端末機30のIPアドレスあるいは他の識別情報は、コールセンタサーバの図示しない記憶部にオペレータの識別情報とともに記憶されており、オペレータは予め決められた端末でのみ応答できるようになっているものとする。
【0057】
(実施例1の効果)
本実施例1の在宅コールセンタシステム及び在宅コール応答方法応答方法によれば、次の(1)〜(3)のような効果がある。
【0058】
(1) オペレータ21−1による顧客対応の都度、声紋認証により、オペレータ21−1の本人認証を行うので、正規のオペレータ以外の第三者によるオペレータ21−1の成りすましが防止できる。
【0059】
(2) オペレータ21−1が確実にオペレータ用端末機30−1の設置場所にいることが確認できる。
【0060】
(3) 認証を行うためのオペレータ21−1の操作(例えば、パスワード入力操作等)が簡略化できるので、オペレータ21−1の負荷低減になる。
【実施例2】
【0061】
(実施例2の構成)
図5は、本発明の実施例2における在宅コールセンタシステムの概略を示す構成図であり、実施例1を示す図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0062】
本実施例2におけるコールセンタシステムは、実施例1を示す図1のコールセンタシステムとほぼ同様の構成を有している。実施例1との相違点は、実施例2のコールセンタサーバ10Aの構成が、実施例1のコールセンタサーバ10の構成と異なっており、その結果、実施例2のコールセンタ1Aの構成は、実施例1のコールセンタ1の構成と異なっている。
【0063】
図6は、図5中のコールセンタサーバ10Aの概略を示す構成図であり、実施例1を示す図2中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0064】
本実施例2におけるコールセンタ10Aは、実施例1の自動音声応答装置(IVR)11と構成の異なる第2の自動音声応答装置(IVR)11Aを有している。自動音声応答装置(IVR)11Aは、顧客の声紋を認証する声紋認証部11aを有している。その他の構成は、実施例1のコールセンタ10と同様である。
【0065】
(実施例2の方法)
図7は、本発明の実施例2の在宅コール応答方法を示すフローチャートであり、実施例1を示す図4のフローチャートと共通のステップには、共通の符号が付されている。
【0066】
実施例1と同様のステップS1において、コールセンタを利用する顧客は、電話機3を使用してコールセンタ1Aへ電話をかけることによりコールセンタを呼び出す。このとき電話機3はプッシュホンを前提とする。実施例1と異なるステップS11において、自動音声応答装置(IVR)11Aは、プッシュボタンによる顧客IDの入力を促す音声メッセージを電話機3に送信する。
【0067】
ステップS12において、自動音声応答装置(IVR)11Aは、電話機3から顧客IDを受信して顧客の認証を行う。認証が成立してステップS13へ進む。ステップS13において、自動音声応答装置(IVR)11Aは、電話機3に対して合言葉53aの発声を促す音声を送信する。ステップS14において、自動音声応答装置(IVR)11Aは、顧客の発生した合言葉53aを受信して声紋認証部11aで声紋認証を行う。
【0068】
ステップS15において、認証成立か否かが判定される。認証成立のときには、
ステップS16へ進み、顧客の電話機3との接続が継続される。以降の処理は、実施例1を示す図4のステップS3〜ステップS10と同様である。ステップS15において、認証不成立と判定されたときには、その旨を、電話機3に通知して処理を終了する。
【0069】
(実施例2の効果)
本実施例2の在宅コールセンタシステム及び在宅コール応答方法によれば、実施例1の効果に加え、自動音声応答装置(IVR)11Aに声紋認証機能を設け、電話機3により顧客からの通信要求を受信した際に、顧客IDによる認証に加えて、顧客の音声による認証を行うようにしている。そのため、第三者による顧客の成りすましの防止がより確実にできる。
【実施例3】
【0070】
(実施例3の構成)
図8は、本発明の実施例3における在宅コールセンタシステムの概略を示す構成図であり、実施例1を示す図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0071】
本実施例3におけるコールセンタシステムは、実施例1を示す図1のコールセンタシステムとほぼ同様の構成を有している。実施例3のコールセンタサーバ10Bの構成が、実施例1のコールセンタサーバ10の構成と異なっており、その結果、実施例3のコールセンタ1Bの構成は、実施例1のコールセンタ1の構成と異なっている。他の構成は、実施例1と同様である。
【0072】
図9は、図8中のコールセンタサーバ10Bの概略を示す構成図であり、実施例1を示す図2中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0073】
本実施例3におけるコールセンタサーバ10Bは、実施例1のオペレータ認証接続部13と構成の異なる第2のオペレータ認証接続部13Bを有している。オペレータ認証接続部13Bは、実施例1と同様に、電話機3とIP電話機22とを接続する接続手段13aを有している。接続手段13aは、電話機3とIP電話機22とを接続して通話可能状態にし、或いは、通話可能状態を遮断して電話機3とIP電話機22とを切断する機能を有している。
【0074】
オペレータ認証接続部13Bは、実施例1のオペレータ認証接続部13とは、異なり、電話機3とIP電話機22とを接続して通話可能状態を維持し、オペレータ21が発する音声の一部を認証して本人認証を行い、認証成立のときには、通話可能状態を継続し、認証不成立のときには、通話可能状態を遮断し、着信呼分配処理部(ACD)12に対して選択更新要求を行う機能を有している。
【0075】
(実施例3の方法)
図10は、本発明の実施例3の在宅コール応答方法を示すフローチャートであり、実施例1を示す図4のフローチャートと共通のステップには、共通の符号が付されている。
る。
【0076】
実施例1と同様のステップS1〜S3が実行される。実施例1では、ステップS3において、コールセンタサーバ10の着信呼分配処理部(ACD)12は、所定のロジックで複数の在宅コールセンタ20のうちから、例えば在宅コールセンタ20−1を選択する。ステップS4以降において、オペレータ認証接続部13は、オペレータ21−1の音声認証を行う。本実施例3では、ここでは、音声認証を行わずに、実施例1と異なるステップS21において、直ちに、顧客の電話機3とIP電話機22−1とを接続する。以降、顧客とオペレータ21−1との音声による対話が行われる。
【0077】
ステップS22において、オペレータ認証接続部13Bは、発話中のオペレータ21−1の音声の一部を切り出し、声紋認証装置14へ転送してオペレータ21−1に認証を依頼する。
【0078】
ステップS23において、認証成立か否かが判定される。認証成立のときには、顧客の電話機3とオペレータ21−1のIP電話機22−1との通話可能状態を継続し、ステップS22へ戻る。この処理は、通話の間中、予め定めた一定時間毎に繰り返される。ステップS23において、認証不成立のときには、ステップS24へ進み、オペレータ21−1が成りすましの可能性があるため、ステップS24において、オペレータ認証接続部13Bは、
「そのままお待ちください」を電話機3に通知し、電話機3とIP電話機22−1との通話可能状態を遮断する。更に、オペレータ認証接続部13Bは、着信呼分配処理部(ACD)12に対し、選択更新要求を行う。
【0079】
ステップS26において、着信呼分配処理部(ACD)12は、所定のロジックで複数の在宅コールセンタ20のうちから、次の在宅コールセンタ20−2を選択する。
【0080】
(実施例3の効果)
本実施例3の在宅コールセンタシステム及び在宅コール応答方法によれば、実施例1の効果に加え、次の(4)、(5)のような効果がある。
【0081】
(4) オペレータ認証接続部13Bにおいて、顧客対応中のオペレータ21−1の音声を取得して声紋認証を行うようにしたので、より精度の高い成りすまし防止ができる。さらに、通話中定期的に繰り返すことにより、通話途中でのすり替わり等を防ぐことができる。
【0082】
(5) 顧客からの通信要求の都度、オペレータ21−1による合言葉53aの入力を行わないので、オペレータ21−1の負荷を軽減できる。
【0083】
(変形例)
本発明は、上記実施例に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)〜(d)のようなものがある。
【0084】
(a) 実施例1〜3では、端末機として、IP電話機22及びオペレータ用端末機30の組み合わせで説明したが、ヘッドセットを備え、電話機能とオペレータ用端末機30とを一体に構成した端末機でもよい。
【0085】
(b) 実施例1〜3では、電話機3は、公衆電話回線網を経由してコールセンタ1,1A,1Bと接続される固定電話機で説明したが、IP電話機、携帯電話機等であってもよい。
【0086】
(c) 実施例1〜3では、コールセンタサーバ10,10A,10Bと複数の在宅コールセンタ20のIP電話22及びオペレータ用端末機30とを、インターネット4で接続したが、これに限定されない。例えば、アナログ有線回線、デジタル有線回線、携帯電話回線、移動体通信回線、衛星通信回線等の組み合わせであってもよい。
【0087】
(d) 実施例1、2では、声紋認証装置14を用いて、オペレータ21の認証を行うことで説明したが、指紋情報、虹彩情報、顔情報、又は静脈情報等の生体情報による認証技術を活用して、オペレータ21の認証を行ってもよい。
【符号の説明】
【0088】
1、1A,1B コールセンタ
3 電話機
4 インターネット
10,10A,10B コールセンタサーバ
11,11A 自動音声応答装置(IVR)
12 着信呼分配処理部(ACD)
13,13B オペレータ認証接続部
14 声紋認証装置
20,20−1,20−2 在宅コールセンタ
21,21−1,21−2 オペレータ
22,21−1,21−2 IP電話機
30,30−1,30−2 オペレータ用端末機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オペレータにより操作される音声通信機能を持った端末機をそれぞれ有し、複数の拠点に分散して配置された複数の在宅コールセンタと、
コールセンタ利用者の利用者電話機からの通信要求を受信し、前記利用者電話機に対し音声による案内を送信する第1の自動音声応答装置と、
前記通信要求又は選択更新要求に基づき、前記複数の在宅コールセンタのうちのいずれか1つを選択する着信呼分配処理部と、
前記選択された在宅コールセンタ内の前記端末機と通信し、前記端末機から送信された生体情報を受信して前記オペレータの本人認証を行い、認証成立のときには、前記利用者電話機と前記端末機とを接続して通話可能状態にし、認証不成立のときには、前記着信呼分配処理部に対して前記選択更新要求を行う第1のオペレータ認証接続部と、
を備えたことを特徴とする在宅コールセンタシステム。
【請求項2】
オペレータにより操作される音声通信機能を持った端末機をそれぞれ有し、複数の拠点に分散して配置された複数の在宅コールセンタと、
コールセンタ利用者の利用者電話機からの通信要求を受信して前記利用者電話機と通信し、前記利用者電話機から送信された音声を受信して前記利用者の本人認証を行い、認証成立のときには、前記利用者電話機との通話可能状態を維持し、認証不成立のときには、前記利用者電話機との前記通話可能状態を遮断する第2の自動音声応答装置と、
前記通信要求又は選択更新要求に基づき、前記複数の在宅コールセンタのうちのいずれか1つを選択する着信呼分配処理部と、
前記選択された在宅コールセンタ内の前記端末機と通信し、前記端末機から送信された生体情報を受信して前記オペレータの本人認証を行い、認証成立のときには、前記利用者電話機と前記端末機とを接続して通話可能状態にし、認証不成立のときには、前記着信呼分配処理部に対して前記選択更新要求を行う第1のオペレータ認証接続部と、
を備えたことを特徴とする在宅コールセンタシステム。
【請求項3】
前記第1のオペレータ認証接続部は、
前記第1の自動音声応答装置が前記通信要求を受信する都度、前記在宅コールセンタ内の前記端末機と通信し、前記端末機から送信された前記生体情報を受信して前記オペレータの本人認証を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の在宅コールセンタシステム。
【請求項4】
前記生体情報は、
音声情報、指紋情報、虹彩情報、顔情報、又は静脈情報のうちのいずれか1つであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の在宅コールセンタシステム。
【請求項5】
オペレータにより操作される音声通信機能を持った端末機をそれぞれ有し、複数の拠点に分散して配置された複数の在宅コールセンタと、
コールセンタ利用者の利用者電話機からの通信要求を受信し、前記利用者電話機に対し音声による案内を送信する第1の自動音声応答装置と、
前記通信要求又は選択更新要求に基づき、前記複数の在宅コールセンタのうちのいずれか1つを選択する着信呼分配処理部と、
前記利用者電話機と前記端末機とを接続して通話可能状態を維持し、前記オペレータが発する音声の一部を認証して本人認証を行い、認証成立のときには、前記通話可能状態を継続し、認証不成立のときには、前記通話可能状態を遮断し、前記着信呼分配処理部に対して前記選択更新要求を行う第2のオペレータ認証接続部と、
を備えたことを特徴とする在宅コールセンタシステム。
【請求項6】
オペレータにより操作される音声通信機能を持った端末機をそれぞれ有し、複数の拠点に分散して配置された複数の在宅コールセンタと、コールセンタ利用者の利用者電話機と前記複数の在宅コールセンタとを接続するコールセンタサーバと、を用いた在宅コール応答方法であって、
前記コールセンタサーバは、
前記利用者電話機からの通信要求を受信し、前記利用者電話機に対して音声による案内を送信する自動音声応答処理と、
前記通信要求又は選択更新要求に基づき前記複数の在宅コールセンタのうちのいずれか1つを選択する着信呼分配処理と、
前記通信要求の受信の都度、前記端末機から送信される生体情報を受信して前記オペレータの本人認証を行い、認証成立のときには、前記利用者電話機と前記端末機とを接続して通話可能状態にし、認証不成立のときには、前記着信呼分配処理に対して前記選択更要求を行うオペレータ認証接続処理と、
を行うことを特徴とする在宅コール応答方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−49756(P2012−49756A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−189057(P2010−189057)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591051645)株式会社OKIソフトウェア (173)
【Fターム(参考)】