説明

在宅酸素療法チューブ

【課題】在宅酸素療法を施されている患者が宅内で歩行移動しても床面等との衝突音の小さな在宅酸素療法チューブを提供する。
【解決手段】チューブ本体22の少なくとも一部が弾性体23で被覆されている。このため、在宅酸素療法チューブ21が床面等に衝突する際の衝撃が弾性体23に吸収され、在宅酸素療法を施されている患者が宅内で歩行移動しても床面等との衝突音が小さい。また、チューブ本体22の一部のみが弾性体23で被覆されていれば、チューブ本体22の全体が弾性体23で被覆されている場合に比べて弾性体23の量が少なくてよく、在宅酸素療法チューブ21のコストが低い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、在宅酸素療法を施す際に酸素供給源と患者装着具との間に接続される在宅酸素療法チューブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
気管支炎や気管支喘息等の慢性呼吸不全症等の患者に対しては在宅酸素療法が施されており、慢性呼吸不全症等の患者は就寝中や入浴中等も大気中酸素濃度よりも高濃度の酸素を常に吸入している必要がある。一方、酸素濃縮器等の酸素供給源は重い(例えば、30〜50kg程度)ので、患者が入浴等のために宅内で移動する場合に酸素供給源も患者と一緒に移動させることは一般には行われていない。このため、在宅酸素療法システムには、宅内で患者の移動路に沿って延在させることができる程に長く(例えば、15m程度)、延長チューブや酸素供給チューブ等とも称されている在宅酸素療法チューブが用いられている。
【0003】
図4は、この様な在宅酸素療法システムを示している。この在宅酸素療法システム11では、患者12の居室に酸素濃縮器等の酸素供給源13が置かれており、この酸素供給源13に上述の長い在宅酸素療法チューブ14の一方のコネクタ15が接続されている。在宅酸素療法チューブ14の他方のコネクタ16にはニップル17の一端側が接続されており、ニップル17の他端側に鼻孔カニューラ等の患者装着具18のソケット19が接続されている。酸素供給源13としては酸素濃縮器の他に液体酸素容器等が用いられることもあり、患者装着具18としては鼻孔カニューラの他に吸入用マスク等が用いられることもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、患者12が宅内で移動すると、移動のための患者12の歩行動作に伴って長い在宅酸素療法チューブ14のうちの患者12に近い部分が上下動し、この部分が下動時に床面等に衝突して、比較的大きな衝突音が歩行動作のたびに発生していた。特に、患者12が夜中にトイレへ行ったりするときには、周囲が昼間よりも静かなので、在宅酸素療法チューブ14の上述の衝突音のために就寝中の家族が目を覚ましたり患者12自身が気兼ねしたりしていた。従って、本発明は、在宅酸素療法を施されている患者が宅内で歩行移動しても床面等との衝突音の小さな在宅酸素療法チューブを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る在宅酸素療法チューブでは、チューブ本体の少なくとも一部が弾性体で被覆されているので、在宅酸素療法チューブが床面等に衝突する際の衝撃が弾性体に吸収される。また、チューブ本体の一部のみが弾性体で被覆されていれば、チューブ本体の全体が弾性体で被覆されている場合に比べて弾性体の量が少なくてよい。
【0006】
請求項2に係る在宅酸素療法チューブでは、チューブ本体に対して弾性体が着脱可能であるので、弾性体を他のチューブ本体にも使用することができ、各々のチューブ本体毎に弾性体を用意する場合に比べて弾性体の数が少なくてよい。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る在宅酸素療法チューブでは、在宅酸素療法チューブが床面等に衝突する際の衝撃が弾性体に吸収されるので、在宅酸素療法を施されている患者が宅内で歩行移動しても床面等との衝突音が小さい。また、チューブ本体の一部のみが弾性体で被覆されていれば、チューブ本体の全体が弾性体で被覆されている場合に比べて弾性体の量が少なくてよいので、在宅酸素療法チューブのコストが低い。
【0008】
請求項2に係る在宅酸素療法チューブでは、弾性体を他のチューブ本体にも使用することができ、各々のチューブ本体毎に弾性体を用意する場合に比べて弾性体の数が少なくてよいので、在宅酸素療法チューブのコストが低い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の第一〜第三実施形態を、図1〜3を参照しながら説明する。図1が、第一実施形態の在宅酸素療法チューブ21を示している。在宅酸素療法システムのうちの在宅酸素療法チューブ21以外の装備は、図4に示されている在宅酸素療法システム11中の各種装備と実質的に同じでよい。在宅酸素療法チューブ21では、チューブ本体22の全体が弾性体23で覆われており、弾性体23はチューブ本体22の外周面に一体的に且つチューブ本体22の形成と実質的に同時に形成されている。チューブ本体22は図4に示されている在宅酸素療法チューブ14のうちのコネクタ15、16以外の部分と実質的に同じ構造でよく、チューブ本体22の両端にコネクタ15、16が接続されている。
【0010】
弾性体23の材料としては、ポリエチレンフォーム、シリコーンフォーム、ウレタンフォーム、ゴム、エアークッション材、布、不織布等を用いることができる。また、本来的に摩擦係数の低い弾性体23の材料を除いて弾性体23の表面には平滑化処理が施されており、その結果、何れの弾性体23の表面の摩擦係数も低い。この様な在宅酸素療法チューブ21では、患者12の歩行動作に伴って在宅酸素療法チューブ21が床面等に衝突しても、衝突の際の衝撃が弾性体23に吸収されるので、衝突音が小さい。しかも、弾性体23の表面の摩擦係数が低いので、患者12の歩行動作に伴って在宅酸素療法チューブ21が床面や敷居等に摺接してもこの摺接が滑らかに行われて、摺接音も小さい。
【0011】
図2が、第二実施形態の在宅酸素療法チューブ24を示している。この在宅酸素療法チューブ24には円筒状の弾性体25が備えられており、弾性体25にはその軸心の延在方向に切れ目26が形成されている。在宅酸素療法チューブ24では、チューブ本体22の全体が切れ目26から弾性体25内へ嵌め込まれており、この嵌め込みによってチューブ本体22が弾性体25に覆われている。
【0012】
弾性体25の材料や表面処理は弾性体23と同様である。この様な在宅酸素療法チューブ24では、弾性体25がチューブ本体22に対して着脱可能であるので、弾性体25を他のチューブ本体にも使用することができて、衝突音及び摺接音が小さいという効果の他に、在宅酸素療法チューブ24のコストが低いという効果もある。
【0013】
図3が、第三実施形態の在宅酸素療法チューブ27を示している。この在宅酸素療法チューブ27では、チューブ本体22のうちで床面や敷居等に衝突や摺接する可能のある複数の個所が弾性体28で夫々覆われており、各々の弾性体28はチューブ本体22の外周面に一体的に且つチューブ本体22の形成と実質的に同時に形成されている。弾性体28の材料や表面処理は弾性体23と同様である。
【0014】
この様な在宅酸素療法チューブ27では、図1に示されている在宅酸素療法チューブ21の弾性体23よりも弾性体28の量が少なくてよいので、衝突音及び摺接音が小さいという効果の他に、在宅酸素療法チューブ27のコストが低いという効果もある。なお、この在宅酸素療法チューブ27でも、図2に示されている在宅酸素療法チューブ24と同様に、各々の弾性体28に切れ目が形成されていて、これらの切れ目から弾性体28内へチューブ本体22が嵌め込まれていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明は、在宅酸素療法システムにおける在宅酸素療法チューブの製造等に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第一実施形態の部分斜視図である。
【図2】本発明の第二実施形態の分解部分斜視図である。
【図3】本発明の第三実施形態の部分斜視図である。
【図4】本発明を適用し得る在宅酸素療法システムの斜視図である。
【符号の説明】
【0017】
13 酸素供給源
18 患者装着具
21、24、27 在宅酸素療法チューブ
22 チューブ本体
23、25、28 弾性体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素供給源と患者装着具との間に接続される在宅酸素療法チューブにおいて、
チューブ本体の少なくとも一部が弾性体で被覆されていることを特徴とする在宅酸素療法チューブ。
【請求項2】
前記チューブ本体に対して前記弾性体が着脱可能であることを特徴とする請求項1に記載の在宅酸素療法チューブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−252503(P2007−252503A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−79022(P2006−79022)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(390022541)アトムメディカル株式会社 (38)