地下構造物用蓋の食込み解除構造
【課題】良好な止水性を実現して地下構造物内への雨水等の流入を確実に防止できると共に、専用のバールを要することなく蓋本体の食込み解除を実施できる地下構造物用蓋の食込み解除構造を提供する。
【解決手段】バール孔7を蓋本体3の外周縁より中心側に形成して受枠2との間の止水性を確保した上で、バール孔7から蓋本体3の外周側に連続するように支点押圧孔61を形成し、この支点押圧孔61内に可動支点部材65を上下動可能に支持すると共に、受枠2に可動支点部材65が当接して下降を規制するストッパ面64を形成し、可動支点部材65の上面をバール41の支点として利用し、てこの原理で蓋本体3に上方への力を作用させて食込み解除する。
【解決手段】バール孔7を蓋本体3の外周縁より中心側に形成して受枠2との間の止水性を確保した上で、バール孔7から蓋本体3の外周側に連続するように支点押圧孔61を形成し、この支点押圧孔61内に可動支点部材65を上下動可能に支持すると共に、受枠2に可動支点部材65が当接して下降を規制するストッパ面64を形成し、可動支点部材65の上面をバール41の支点として利用し、てこの原理で蓋本体3に上方への力を作用させて食込み解除する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下構造物用蓋の食込み解除構造に関する。
なお、本願明細書でいう「地下構造物用蓋」とは、下水道における地下埋設物,地下構造施設等と地上とを通じる開口部を閉塞する大型鉄蓋,マンホール蓋,汚水桝蓋、電力・通信における地下施設機器や地下ケーブル等を保護する開閉可能な共同溝用鉄蓋,送電用鉄蓋,配電用鉄蓋、上水道やガス配管における路面下の埋設導管およびその付属機器と地上とを結ぶ開閉扉としての機能を有する消火栓蓋,制水弁蓋,仕切弁蓋,空気弁蓋,ガス配管用蓋,量水器蓋等を総称する。
【背景技術】
【0002】
各種の地下構造物用蓋は、地下構造物の上端に設置されて内部が地下構造物と連通する受枠と、当該受枠に嵌まり込んで閉塞する蓋本体とから構成され、蓋本体上を車両が走行したときのガタツキ音の抑制等のために蓋本体は受枠にテーパ嵌合等によって支持されている。このような構造のため蓋本体上を通過する車両の重量等により蓋本体は受枠内に次第に食込み、受枠より蓋本体を取り外す際には食込み解除のために単に蓋本体を持ち上げる場合より遥かに強い力を要することから、蓋本体の一側に形成したバール孔内にバールの先端を挿入し、てこの原理を利用して受枠に対する蓋本体の食込みを解除する手法が採られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された技術では、蓋本体の周縁の一側に上方および蓋本体の外周方向に開放された形状をなすようにバール孔を形成すると共に、バール孔内の両側に相対向して一対の張出し部を形成し、受枠に嵌め込まれた蓋本体の食込みを解除する際には、バールの先端に略T字状をなすように形成された係合部をバール孔内に挿入して両張出し部に下方よりそれぞれ当接させ、この当接個所を作用点とし、バールの一側を受枠の周縁上に当接させて支点とした上で、バールの基端側を力点と見なして下方に揺動操作し、てこの原理によりバール孔の張出し部に上方への力を作用させて受枠内から蓋本体を離脱させて食込み解除している。
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、受枠の周縁をバールの支点として利用すべく、蓋本体に形成されたバール孔を外周方向に開放する形状としているため、当該個所では蓋本体の外周に十分なテーパ面が形成されず、受枠に対して蓋本体が僅かに傾斜した姿勢で支持されると、受枠の内周面と蓋本体に形成されたバール孔の外周方向に形成された個所との間に地下構造物の内外を連通する隙間が生じて、この隙間から雨水等が地下構造物内に流入することから止水性の点で問題があった。
【0005】
そこで、このような止水性の問題に着目した提案もなされている(例えば、特許文献2参照)。当該特許文献2の技術では、蓋本体のバール孔の外周側を開放することなく閉塞し、これによりバール孔の個所でも他の個所と同様のテーパ状をなす蓋本体の外周面を形成して止水性の向上を図っている。そして、バール孔の外周側を閉塞したことにより、先端に係合部を形成しただけの一般的なバールでは受枠の周縁上にバールの一側を当接させて支点として利用不能となることから、バール孔の張出し部に係合するようにバールの先端をフック状に形成した上で、バールの先端近傍をフックに倣った方向に屈曲させて係止爪部を突設し、これによりバールの先端をバール孔の張出し部に係合させた状態で、蓋本体の外周を跨いで干渉を避けながらバールの係止爪部を受枠の周縁上に当接させて支点として利用できるように配慮している。
【特許文献1】実公昭58−5712号公報
【特許文献2】特許第2617868号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献2の技術では、蓋本体の外周との干渉を回避するために先端部が特殊な形状をした専用のバールを必要とするため、当該バールの準備を要するという問題がある。また、実際の地下構造物用蓋の保守作業では、上記特許文献1および特許文献2が想定する形式の地下構造物用蓋が混在している場合もあるため、このような地域での保守作業では、一般的なバールと共に特許文献2のバールも携帯しなければならず、保守作業の負担が増大するという別の問題もある。
【0007】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、良好な止水性を実現して地下構造物内への雨水等の流入を確実に防止できると共に、専用のバールを要することなく蓋本体の食込み解除を実施することができる地下構造物用蓋の食込み解除構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、地下構造物の上端に設置された受枠と、受枠内に着脱可能に嵌め込まれて受枠を閉鎖し、上面の外周縁より中心側に離間した位置に蓋開閉用のバールの係合部を掛止可能な掛止部が設けられた蓋本体と、蓋本体の掛止部の外周側の位置に隣接して貫設された支点押圧孔と、蓋本体の上記支点押圧孔から上部を露出した姿勢で上下動可能に支持された可動支点部材と、受枠の内周の可動支点部材の下方位置に形成され、可動支点部材の下部に当接して可動支点部材の下降を規制可能なストッパ部とを備えたものである。
【0009】
従って、蓋本体の外周縁より中心側に離間した位置にバール孔が形成されることにより、蓋本体のバール孔の外周側は閉塞されて他の個所と同様に受枠の内周面との間で良好な止水性を奏する。
一方、可動支点部材は蓋本体に上下動可能に支持されると共に、その下部を受枠のストッパ部に当接させて下降を規制されており、バールの係合部を掛止部に掛止してバールを外周側に揺動操作したときには、この係合部の個所が作用点として機能し、バールの一側が可動支点部材に当接して支点として機能するため、てこの原理により蓋本体に上方への力を作用させて、受枠に対する蓋本体の食込みを解除可能となる。
【0010】
従って、バールとしては、蓋本体の掛止部に掛止可能な係合部を有するものであれば使用可能であり、先端が特殊な形状の専用のバールを使用することなく一般的な形状のバールを使用できる。
請求項2の発明は、請求項1において、掛止部が、蓋本体の上面に凹設されて内部に可動支点部材の中心側の側面が露出するバール孔と、バール孔内の一側に突設されてバール孔内に挿入されたバールの係合部が下方より掛止される張出し部とから構成されたものである。
【0011】
従って、バール孔内に可動支点部材の中心側の側面が露出していることから、バールの係合部をバール孔の張出し部に掛止したときには、バールの一側が可動支点部材に当接して支点として利用可能となる。
【0012】
請求項3の発明は、地下構造物の上端に設置された受枠と、受枠内に着脱可能に嵌め込まれて受枠を閉鎖し、外周縁より中心側に離間した位置に蓋開閉用のバールの係合部を挿入可能なバール孔が貫設された蓋本体と、蓋本体の上記バール孔の外周側の位置に、バール孔に対して外周方向に連続するように貫設された支点押圧孔と、蓋本体の上記支点押圧孔から上面を露出された姿勢で上下動可能に支持されると共に、中心側の側面をバール孔内に露出させた可動支点部材と、受枠の内周の可動支点部材の下方位置に形成され、可動支点部材の下部に当接して可動支点部材の下降を規制可能なストッパ部と、バール孔の下方に設けられて、蓋本体の開蓋を規制する施錠位置と蓋本体の開蓋を許容する解錠位置との間で切換可能に構成された施錠機構と、蓋本体のバール孔を下方より閉塞すると共に、バールの係合部により上方より押圧されたときに下降してバール孔を開放すると共に、施錠機構を解錠位置に切換える可動蓋とを備えたものである。
【0013】
従って、蓋本体の外周縁より中心側に離間した位置にバール孔が形成されることにより、蓋本体のバール孔の外周側は閉塞されて他の個所と同様に受枠の内周面との間で良好な止水性を奏する。
一方、可動支点部材は蓋本体に上下動可能に支持されると共に、その下部を受枠のストッパ部に当接させて下降を規制されている。そして、バールの係合部により可動蓋を上方より押圧すると可動蓋は開放され、バール孔内にバールの係合部を挿入して蓋本体の下面に当接させた状態でバールを外周側に揺動操作すると、係合部の個所が作用点として機能し、バールの一側が可動支点部材に当接して支点として機能するため、てこの原理により蓋本体に上方への力を作用させて、受枠に対する蓋本体の食込みを解除可能となる。
【0014】
従って、バールとしては、蓋本体のバール孔に挿入されて蓋本体の下面に当接可能な係合部を有するものであれば使用可能であり、先端が特殊な形状の専用のバールを使用することなく一般的な形状のバールを使用できる。
即ち、バールの係合部としては、上記支点および作用点に一側をそれぞれ当接可能な形状であればよく、先端が特殊な形状の専用のバールを使用することなく、一般的な形状のバールを使用可能となる。
【0015】
また、可動蓋の下降に伴って施錠機構が解錠位置に切換えられるため、蓋本体を開蓋可能となる。このようにバール孔内に挿入したバールの係合部により蓋本体の食込み解除操作と解錠操作とを一連の連続したバール操作として完結可能となる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように請求項1,2の発明の地下構造物用蓋の食込み解除構造によれば、蓋本体の外周縁より中心側に離間した位置にバール孔を形成することにより良好な止水性を実現して地下構造物内への雨水等の流入を確実に防止できると共に、蓋本体の可動支点部材の下降を受枠のストッパ部により規制して支点として利用し、バールの係合部によりてこの原理で蓋本体の食込みを解除するようにしたため、専用のバールを要することなく一般的な形状のバールにより蓋本体の食込みを解除することができる。
【0017】
請求項3の発明の地下構造物用蓋の食込み解除構造によれば、蓋本体の外周縁より中心側に離間した位置にバール孔を形成することにより良好な止水性を実現して地下構造物内への雨水等の流入を確実に防止できると共に、蓋本体の可動支点部材の下降を受枠のストッパ部により規制して支点として利用し、バールの係合部によりてこの原理で蓋本体の食込みを解除するようにしたため、専用のバールを要することなく一般的な形状のバールにより蓋本体の食込みを解除でき、しかも、可動蓋の下降に連動して施錠機構を解錠位置に切換えて蓋本体を解錠できるため、蓋本体の食込み解除操作と解錠操作とを一連の連続したバール操作として迅速且つ容易に実行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
[第1実施形態]
以下、本発明の地下構造物用蓋の食込み解除構造を具体化した第1実施例を図面に基づいて説明する。
図1は本実施形態の地下構造物用蓋の食込み解除構造を示す断面図であり、地下構造物用蓋1は受枠2と蓋本体3とから構成されている。受枠2は平面視で環状をなし、図示はしないが周囲をアスファルト等で舗装された状態で路面上に設置され、その内部を地下構造物内と連通させている。蓋本体3は受枠2と対応するように平面視で円形状をなして受枠2内にテーパ嵌合により嵌め込まれ、その外周の一側は蝶番構造4により受枠2と連結される一方、外周の180°対向する他側には、受枠2に対する蓋本体3の食込みを解除する食込み解除構造5、および蓋本体3の不用意な開蓋を防止する施錠構造6が設けられている。
【0019】
これらの食込み解除構造5および施錠構造6は、蓋本体3上の外周縁より中心側に離間した位置に開口形成されたバール孔7に食込み解除および蓋開閉用の工具であるバール41(図2に示す)の先端を挿入して適宜バール41を揺動操作することで作動し、これにより任意に食込み解除や施錠・解錠を行うことができる。以下、当該食込み解除構造5および施錠構造6について詳述する。
【0020】
図2は蓋本体の閉蓋時における食込み解除構造5および施錠構造6を示す部分拡大断面図、図3は図2のIII−III線断面図、図4は揺動鉤体11、圧縮ばね26、可動蓋21、可動支点部材65を示す分解斜視図、図5は押圧ガイド面および下降ガイド面を示す揺動鉤体の斜視図である。図2に示すように、受枠2の内周面および蓋本体3の外周面は共に下方に向けて縮径するテーパ状断面に形成され、受枠2内に蓋本体3がテーパ嵌合して固定される。
【0021】
上記バール孔7は蓋本体3の外周縁から若干中心側(図2,3の右方)に形成され、中心側が円弧状をなす略長方形状に形成されて蓋本体3を上下に貫通している。蓋本体3にはバール孔7に対して外周側に連続するように略長方形状の支点押圧孔61が上下に貫設されている。これらのバール孔7および支点押圧孔61は蓋本体3の中心および外周方向に延びる1つの大きな孔と見なすこともできるが、後述のように全く別の機能を奏することから、以下の説明では相互に独立した孔として上記バール孔7および支点押圧孔61と称する。
【0022】
そして、バール孔7より外周側の支点押圧孔61も蓋本体3の外周縁より中心側に位置していることから、バール孔7および支点案内孔61は共に蓋本体3の外周面に開放されることなく閉塞され、上記した特許文献2の技術と同じく蓋本体3の外周のバール孔7および支点押圧孔61の個所も他の個所と同様のテーパ状の外周面を形成して、受枠2の内周面との密着により十分な止水性を奏している。
【0023】
蓋本体3の下面にはバール孔7の左右両側(図3の上下両側)に位置するように一対の軸受部10が突設され、軸受部10にはそれぞれ軸受孔10aが形成されている。蓋本体3のバール孔7の下方には揺動鉤体11が配設され、図4,5に示すように揺動鉤体11の左右両側には上方に向けて一対の支持アーム12が延設されている。右側の支持アーム12の上端右側面および左側の支持アーム12の上端左側面には揺動軸13がそれぞれ突設され、これらの揺動軸13が上記蓋本体3の軸受孔10a内で回動可能に支持されることにより、揺動鉤体11は蓋本体3の中心および外周方向に揺動可能な状態で垂下されている。
【0024】
図2に示すように、揺動鉤体11の下部には外周側に向けて係合爪14が一体形成され、この係合爪14の上方に位置するように受枠2の内周面には係合突起15が一体形成され、揺動鉤体11は、図2に実線で示すように蓋本体3から垂下した略直立姿勢(以下、施錠位置という)では係合爪14を受枠2の係合突起15の下方に位置させて蓋本体3の開蓋を規制する一方、仮想線で示すように下部を中心方向に揺動させた姿勢(以下、解錠位置という)では係合爪14を係合突起15の下方より退避させて蓋本体3の開蓋を許容する。
【0025】
揺動鉤体11は両支持アーム12間において断面四角状のガイド孔16が上下方向に貫設され、ガイド孔16の上部開口個所にはばね座18が同心上に形成され、ガイド孔16の下部開口個所は下方より円筒状に穿設されてワッシャ当接面19が形成されている。
揺動鉤体11の両支持アーム12の間には可動蓋21が配設され、可動蓋21からは下方に向けてガイドロッド22が延設されている。ガイドロッド22は断面四角状をなして揺動鉤体11のガイド孔16内に上方より挿入され、ガイド孔16の下側開口部に突出したガイドロッド22の下端にはワッシャ23がカシメ固定されている。これにより揺動鉤体11に対して可動蓋21が水平方向への回転を規制された状態で上下動可能に支持され、ガイド孔16とガイドロッド22との間には若干の遊びが設けられ、後述する押圧ガイド面51bによる可動蓋21の位置変位を許容するように配慮されている。
【0026】
可動蓋21の下面には、ガイドロッド22を中心としてばね座24が形成され、可動蓋21のばね座24と揺動鉤体11のばね座18との間には圧縮ばね26が介装されている。圧縮ばね26の付勢力により揺動鉤体11に対して可動蓋21は常に上方に向けて付勢され、ガイドロッド22の下端のワッシャ23を揺動鉤体11のワッシャ当接面19に当接させている。なお、圧縮ばね26は防塵用のゴムブーツ27により覆われている。
【0027】
図3に示すように、平面視において可動蓋21の外形は蓋本体3のバール孔7より中心方向および左右両方向に大きく、外周側のみはバール孔7と面一(即ち、バール孔7と支点押圧孔61との境界と一致)に設定されている。可動蓋21の上面にはバール孔7の形状に対応する押圧部31が形成されると共に、押圧部31の周囲にはゴム製のパッキン32が装着されてパッキン32上を当接面33としている。図2に示すように可動蓋21の外周側においてパッキン32は若干側方に突出し、後述する可動支点部材65との間の止水性を確保している。
【0028】
上記した圧縮ばね26の上方への付勢力により、可動蓋21は蓋本体3のバール孔7内に押圧部31を嵌め込んだ状態で当接面33を蓋本体3の下面におけるバール孔7の周囲に当接させ、これによりバール孔7を閉鎖して十分な止水性を奏している。そして、この状態から圧縮ばね26の付勢力に抗して可動蓋21が下降すると、可動蓋21の押圧部31がバール孔7から下方に離脱すると共に、当接面33が蓋本体3の下面から離間し、結果としてバール孔7が開放される。また、可動蓋21がバール孔7を閉鎖している状態では、可動蓋21を付勢している圧縮ばね26の反力および揺動鉤体11自体の自重により、揺動鉤体11は図2に実線で示す施錠位置に保持されている。
【0029】
そして、蓋本体3の食込み解除および解錠操作はバール7の先端で上記可動蓋21を押圧して下降させた状態で行われ、ここで、バール41の先端の形状について述べる。
端的に表現して本実施形態の地下構造物用蓋1の食込み解除構造5および施錠構造6に適用されるバール41は、例えば上記特許文献1に適用されるバールと同様の一般的なものであり、その先端にはバール41に対して略T字状をなして直交する係合部41aが形成されている。図3に示す平面視においてバール孔7の左右方向の寸法Aは、バール41の係合部41aの幅Wより広く、且つ係合部41aの長さLより狭く設定されている。
【0030】
従って、バール41の係合部41aを中心および外周方向に沿わせた姿勢では、上方より係合部41aをバール孔7内に挿入可能であり、バール孔7への挿入後に係合部41aを水平方向に90°角度変更して左右方向に沿わせると、係合部41aはバール孔7の左右両側で蓋本体3の下面に当接して掛止される。また、係合部41aの両端には、バール先端側に面するように面取り状の傾斜面41bがそれぞれ形成されている。
【0031】
図4,5に示すように、揺動鉤体11の左右の支持アーム12には上方に指向する突片51がそれぞれ一体形成され、これらの突片51には蓋本体3の中心側に面するように押圧ガイド面51aが形成され、両押圧ガイド面51aは下方ほど中心側となるように直線状に傾斜している。両支持アーム12には押圧ガイド面51aの下方に向けて連続する下降ガイド面51bが形成され、両下降ガイド面51bは略垂直に形成されている。これらの押圧ガイド面51aおよび下降ガイド面51bに対応するように、可動蓋21の左右両側にはガイドピン52がそれぞれ突設され、上記のように可動蓋21が蓋本体3のバール孔7を閉塞している状態では、各ガイドピン52が揺動鉤体11の押圧ガイド面51aの直上に位置する一方、可動蓋21が下降したときには、各ガイドピン52が押圧ガイド面51a上から下降ガイド面51b上へと摺接し、押圧ガイド面51a上での摺接時には当該押圧ガイド面51bに沿って可動蓋21は若干中心側に位置変位しながら下降し、このときの位置変位はガイド孔16とガイドロッド22との遊びにより許容される。
【0032】
一方、図3に示すように、蓋本体3の下面内周には上記支点押圧孔61の左右両側に位置するように一対のガイド片62が中心側に向けて突設され、これらのガイド片62の先端(中心側端)は相互に接近する方向に屈曲形成されて、両ガイド片62と蓋本体3の下面内周との間に上下方向に延びる支点ガイド孔63が形成されている。支点ガイド孔63は上記支点押圧孔61の直下に位置し、支点ガイド孔63の形状は平面視で略長方形状をなし、支点押圧孔61より外周方向および左右両方向に大きく、中心側のみは支点押圧孔61と面一(即ち、支点押圧孔61とバール孔7との境界と一致)に設定されている。
【0033】
図2に示すように、上記受枠2の係合突起15の上面には平坦なストッパ面64(ストッパ部)が形成され、このストッパ面64は支点ガイド孔63の直下に位置して、蓋本体3の閉蓋時には当該支点ガイド孔63を下方よりほぼ閉塞している。支点ガイド孔63内には略直方体状をなす可動支点部材65が配設され、可動支点部材65は支点ガイド孔63に対応する断面形状をなして支点ガイド孔63内で上下動可能に支持されると共に、通常時は自重によりストッパ面64上に当接している。可動支点部材65の上面には支点押圧孔61の形状に対応する支点部66が形成されると共に、支点部66の周囲において可動支点部材65の上面にはゴム製のパッキン67が装着されてパッキン67上を当接面68としている。
【0034】
図2,3に示す蓋本体3の閉蓋時において、可動支点部材65の支点部66は支点押圧孔61内に下方より嵌め込まれて上面を蓋本体3上に露出させると共に、当接面68を蓋本体3の下面における支点押圧孔61の周囲に当接させ、これにより支点押圧孔61を閉鎖して十分な止水性を奏している。また、可動支点部材65のパッキン67は可動蓋21のパッキン32と略同一高さに位置し、外周側に突出した可動蓋21のパッキン32に当接して、可動支点部材65と可動蓋21との間の止水性も確保されている。ここで、この状態から圧縮ばね26の付勢力に抗して可動蓋21を下降させると、可動支点部材65の中心側の側面がバール孔7内に露出することになる。
【0035】
可動支点部材65の左右方向の一側面(図3の下方)には下方および中心側方向に開口する凹設部71が形成され、凹設部71の上部には下方に面する下降規制面71aが形成されている。この下降規制面71aに対応して蓋本体3の一方のガイド片62にはボルト孔72が貫設され、ボルト孔72を介してガイド片62の両側よりボルト73とナット74が螺合し、ナット74が上記凹設部71内で下降規制面71aの下方に位置している。蓋本体3の閉蓋時においてナット74は下降規制面71aより所定寸法だけ下方に位置し、後述のように蓋本体3の開蓋時には下降規制面71aに当接して、支点ガイド孔63内からの可動支点部材65の脱落を防止する。
【0036】
本実施形態の地下構造物用蓋1の食込み解除構造5および施錠構造6は以上のように構成されており、次に蓋本体3を開蓋および閉蓋する際の手順について説明する。
まず、図2に示す蓋本体3の閉蓋時においては、圧縮ばね26の付勢力により可動蓋21が上方に付勢されており、その押圧部31が蓋本体3のバール孔7内に嵌め込まれると共に、当接面33が蓋本体3の下面に当接してバール孔7を閉塞している。また、可動支点部材65の支点部66が支点押圧孔61内に嵌め込まれると共に、当接面68が蓋本体3の下面に当接して支点押圧孔61を閉塞している。そして、圧縮ばね26の反力および自重により揺動鉤体11は蓋本体3から垂下した施錠位置に保持されて、その係合爪14を受枠2の係合突起15の下方に位置させており、蓋本体3と共に揺動鉤体11が上昇したときには、係合爪14が下方より受枠2の係合突起15に係合して開蓋を規制する。
【0037】
従って、バール孔7を介して雨水等が地下構造物内に流入する事態が確実に防止されると共に、地下構造物内での溢水等に起因する開蓋、或いは不法投棄等を目的とした第三者による開蓋等が未然に防止される。
この状態からの開蓋操作は、食込み解除および解錠の2つの操作が同時に行われる。
【0038】
まず、図2に示すようにバール41を直立させた姿勢で係合部41aを蓋本体3の中心および外周方向に沿わせてバール孔7内に上方より挿入する。図6に示すように、挿入されたバール41の係合部41aにより可動蓋21の押圧部31が下方に押圧され、圧縮ばね26の付勢力に抗して可動蓋21が次第に下降する。下降時の可動蓋21はガイドピン52を押圧ガイド面51a上から下降ガイド面51b上へと摺接させながら若干中心側に位置変位し、これにより可動蓋21は可動支点部材65の中心側に干渉することなく下降する。そして、可動蓋21の下降により可動支点部材65は、その支点部66を支点押圧孔61から上方に露出させるのに加えて、中心側の側面をバール孔7内に露出させる。
【0039】
この状態で図7に示すように係合部41aを水平方向に90°角度変更して左右方向に沿わせた姿勢とする。結果としてバール41の係合部41aの両端はバール孔7の左右両側で蓋本体3の下面に当接して掛止される。さらに図8に示すようにバール41の係合部41aを外周側に移動させると、それに伴って可動蓋21に対する係合部41aの押圧個所は圧縮ばね26の軸心Cより外周側に移動するため、この押圧個所を中心として圧縮ばね26の反力により揺動鉤体11には下部を中心側に移動させる方向にモーメントが作用する。
【0040】
また、同時にバール41の係合部41aの左右両端は揺動鉤体11の押圧ガイド面51aをそれぞれ外周側に向けて押圧し、この押圧力によっても上記と同方向のモーメントが揺動鉤体11に作用する。結果として揺動鉤体11は下部を中心側に移動させるように揺動して解錠位置に切換られ、その係合爪14が受枠2の係合突起15の下方より退避する。
【0041】
さらに図9に示すようにバール41を蓋本体3の外周側に大きく揺動させると、バール41の係合部41aより若干上方個所が可動支点部材65の支点部66の中心側角部に当接する。上記のように閉蓋時の可動支点部材65は受枠2のストッパ面64上に当接して下降を規制されていることから、支点部66の中心側角部に対するバール41の当接個所が支点として機能し、バールの係合部41aが蓋本体3の下面に当接して作用点として機能し、バール41の上端の揺動操作個所が力点として機能し、てこの原理により蓋本体3に強力な上方への力が作用する。従って、受枠2に対して蓋本体3がテーパ嵌合により食込んでいる場合であっても、その食込みが容易且つ確実に解除される。
【0042】
そして、この状態で図10に示すようにバール41を上方に引き上げると、その係合部41aに掛止された蓋本体3が可動蓋21、揺動鉤体11、可動支点部材65と一体で受枠2内から引き上げられ、蝶番構造4を介して蓋本体3を水平旋回または垂直反転することで開蓋できる。なお、蓋本体3の開蓋に伴って可動支点部材65はストッパ面64による支持を失って自重により支点ガイド孔63内で下降するが、下降規制面71aがナット74に当接することで、支点ガイド孔63内からの脱落が防止される。
【0043】
また、蓋本体3を閉蓋するときには、揺動鉤体11を自由な状態としておき、そのまま受枠2内に蓋本体3を配置すると、揺動鉤体11が圧縮ばね26の反力および自重により施錠位置に切換えられて蓋本体3の開蓋を防止すると共に、可動蓋21が圧縮ばね26の付勢力により上昇してバール孔7を閉鎖し、一方、可動支点部材65は自ずと受枠2のストッパ面64上に当接して支点押圧孔61を閉鎖する。
【0044】
以上のように本実施形態の地下構造物用蓋1の食込み解除構造5では、蓋本体3のバール孔7および支点押圧孔61の外周側を閉鎖することにより受枠2の内周面との間の止水性を確保すると共に、蓋本体3の食込み解除の支点として利用できなくなった受枠2の周縁に代えて、蓋本体3に可動支点部材65を設けて受枠2のストッパ面64により支持する構成とし、この可動支点部材65の支点部66を蓋本体3の食込み解除時の支点として利用している。従って、食込み解除時には、バール41の係合部41aを蓋本体3の下面に当接させて作用点とし、バール41の係合部41aより若干上方個所を可動支点部材65の支点部66の中心側角部に当接させて支点として、蓋本体3に上方に力を作用させて食込み解除できる。
【0045】
よって、特許文献2に記載されたような特殊な形状のバールを要することなく、上記した一般的な係合部41aを有するバール41を使用でき、例えば、特許文献1が想定する一般的な形式の地下構造物用蓋と本実施形態の地下構造物用蓋1とが混在している地域の保守作業においても、上記した一般的なバール41を携帯するだけで大きな負担を強要することなく保守作業を実施できるという利点が得られる。
【0046】
一方、本実施形態では食込み解除構造5と施錠構造6とを全く独立して構成することなく相互に関連して構成しているため、蓋本体3の食込み解除操作と解錠操作とを連続した一連のバール操作として実行できる。具体的には、本実施形態では可動支点部材65に隣接して可動蓋21を設けて、この可動蓋21をバール41の係合部41aにより押圧して下降させることで、可動支点部材65の中心側の側面を露出させて食込み解除のための支点として利用し、その後にバール41の押圧位置を外周側に移動させるだけで、揺動鉤体11を揺動させて解錠位置に切換えることができる。即ち、蓋本体3の食込み解除操作と解錠操作とは、共にバール孔7内にバール41の係合部41aを挿入して行う一連の連続したバール操作として完結できるため、例えば食込み解除構造5とは全く別個に施錠構造6を設けた場合のように双方の操作を別個に実行するときに比較して、両操作を迅速且つ容易に実行することができる。
【0047】
[第2実施形態]
次に、本発明を別の地下構造物用蓋の食込み解除構造に具体化した第2実施例を図面に基づいて説明する。端的に表現して、第1実施形態に対する本実施形態の相違点は施錠構造6を廃止したことにあり、その他の構成は同一である。よって、共通個所は同一部材番号を付して説明を省略し、相違点を重点的に説明する。
【0048】
図11は本実施形態における地下構造物用蓋1の食込み解除構造の閉蓋時を示す部分拡大断面図、図12は同じく平面図、図13は開蓋時の食込み解除構造を示す部分拡大断面図である。
支点押圧孔61、可動支点部材65、ストッパ面64等は第1実施形態と同様に構成されており、この支点押圧孔61の中心側に連続するバール孔81(掛止部)は、第1実施形態のバール孔7のように蓋本体3を貫通することなく下方に凹設されている。即ち、バール孔81は平面視において支点押圧孔61と連続する略長方形状をなし、内側壁81a、左右両側壁81b及び底壁81cにより形成されて、蓋本体3の外周側には開放されている。バール孔81の外周側の開放端では底壁81cが若干上方に屈曲し、屈曲個所の外周側の面である当接面81dは、上記可動支点部材65の中心側の側面に当接し、両部材間の止水性を確保している。
【0049】
このようにバール孔81が外周側に向けて開放されていることから、上記第1実施形態と同じく可動支点部材65の中心側の側面がバール孔81内に露出し、その支点部66の中心角部をてこの支点として利用可能となっている。そして、バール孔81および支点押圧孔61は共に蓋本体3の外周面に開放されることなく閉塞されているため、蓋本体3の外周のバール孔81および支点押圧孔61の個所も他の個所と同様の略テーパ状の外周面を形成して、受枠2の内周面との密着により十分な止水性を奏する。
【0050】
一方、バール孔81内の左右両側には一対の張出し部83(掛止部)が相対向して形成され、両張り出し部83の間を開口部82としている。図12に仮想線で示すように、開口部82には中心および外周方向に沿った姿勢でバール41の係合部41aを挿入可能であり、バール孔81内で係合部41aを水平方向に90°角度変更させて張出し部83の下面に当接可能となっている。
【0051】
次に、以上のように構成された地下構造物用蓋1の食い込み構造における蓋本体3の開蓋手順を説明する。
まず、図11に示す蓋本体3の閉蓋状態で、バール41の係合部41aを中心および外周方向に沿った姿勢で開口部82よりバール孔81内に挿入し、水平方向に90°角度変更させて張出し部83の下面に当接させる。その後、図13に示すようにバール41を蓋本体3の外周側に大きく揺動させると、バール41の係合部41aより若干上方個所が可動支点部材65の支点部66の中心側角部に当接して支点となり、係合部41aはバール孔81の張出し部83の下面に当接して作用点となり、てこの原理により受枠2に対する蓋本体3の食込みが解除される。従って、係合部41aをバール孔81の張出し部83に掛止させたままバール41を引き上げると、蓋本体3を開蓋することができる。
【0052】
以上のように本実施形態の地下構造物用蓋1では、バール孔81に対するバール41の係合部41aの掛止状態が相違するものの、第1実施形態と同じく蓋本体3に設けた可動支点部材65を支点として利用することで、一般的な係合部41aを有するバール41を使用可能としているため、重複する説明はしないが第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0053】
なお、本実施形態ではバール孔81を凹設して外周側に開放することにより、可動支点部材65の中心側の側面をバール孔81内に露出させててこの支点として利用したが、バール41の形状によっては必ずしも可動支点部材65の中心側の側面をバール孔81内に露出させる必要はない。例えば本実施形態のバール41は、図13に示すように係合部41aより若干上方個所(可動支点部材65への当接個所)が突設されているため、仮に当接面81dを上方に延設して可動支点部材65の中心側の側面を完全に覆ったとしても、支点部66の上面に係合部41aを当接させて支点として利用することができる。そして、この場合でも一般的な形状のバール41を使用可能で本実施形態と作用効果上の相違はないため、このように構成してもよい。
【0054】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、蓋本体3に対して可動支点部材65を直線状に上下動可能に支持してナット74により脱落防止したが、これに代えて可動支点部材65の一側を蓋本体3にヒンジにより揺動可能に支持してストッパ面64上に当接させ、可動支点部材65をバール41の支点として機能させるときには、可動支点部材65を揺動させながら蓋本体3の食込みを解除し、開蓋後はヒンジにより可動支点部材65の脱落を防止するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】第1実施形態の地下構造物用蓋の食込み解除構造を示す断面図である。
【図2】蓋本体の閉蓋時における食込み解除構造および施錠構造を示す部分拡大断面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】揺動鉤体、圧縮ばね、可動蓋、可動支点部材を示す分解斜視図である。
【図5】押圧ガイド面および下降ガイド面を示す揺動鉤体の斜視図である。
【図6】バールにより可動蓋を押圧したときの食込み解除・解錠手順の説明図である。
【図7】バールを水平方向に角度変更したときの食込み解除・解錠手順の説明図である。
【図8】揺動鉤体を解錠位置へと揺動させたときの食込み解除・解錠手順の説明図である。
【図9】てこの原理で食込み解除したときの食込み解除・解錠手順の説明図である。
【図10】バールにより蓋本体を引き上げたときの食込み解除・解錠手順の説明図である。
【図11】第2実施形態における地下構造物用蓋の食込み解除構造の閉蓋時を示す部分拡大断面図である。
【図12】同じく平面図である。
【図13】開蓋時の食込み解除構造を示す部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0056】
2 受枠
3 蓋本体
7 バール孔
21 可動蓋
41 バール
41a 係合部
61 支点押圧孔
64 ストッパ面(ストッパ部)
65 可動支点部材
81 バール孔(掛止部)
83 張出し部(掛止部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下構造物用蓋の食込み解除構造に関する。
なお、本願明細書でいう「地下構造物用蓋」とは、下水道における地下埋設物,地下構造施設等と地上とを通じる開口部を閉塞する大型鉄蓋,マンホール蓋,汚水桝蓋、電力・通信における地下施設機器や地下ケーブル等を保護する開閉可能な共同溝用鉄蓋,送電用鉄蓋,配電用鉄蓋、上水道やガス配管における路面下の埋設導管およびその付属機器と地上とを結ぶ開閉扉としての機能を有する消火栓蓋,制水弁蓋,仕切弁蓋,空気弁蓋,ガス配管用蓋,量水器蓋等を総称する。
【背景技術】
【0002】
各種の地下構造物用蓋は、地下構造物の上端に設置されて内部が地下構造物と連通する受枠と、当該受枠に嵌まり込んで閉塞する蓋本体とから構成され、蓋本体上を車両が走行したときのガタツキ音の抑制等のために蓋本体は受枠にテーパ嵌合等によって支持されている。このような構造のため蓋本体上を通過する車両の重量等により蓋本体は受枠内に次第に食込み、受枠より蓋本体を取り外す際には食込み解除のために単に蓋本体を持ち上げる場合より遥かに強い力を要することから、蓋本体の一側に形成したバール孔内にバールの先端を挿入し、てこの原理を利用して受枠に対する蓋本体の食込みを解除する手法が採られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された技術では、蓋本体の周縁の一側に上方および蓋本体の外周方向に開放された形状をなすようにバール孔を形成すると共に、バール孔内の両側に相対向して一対の張出し部を形成し、受枠に嵌め込まれた蓋本体の食込みを解除する際には、バールの先端に略T字状をなすように形成された係合部をバール孔内に挿入して両張出し部に下方よりそれぞれ当接させ、この当接個所を作用点とし、バールの一側を受枠の周縁上に当接させて支点とした上で、バールの基端側を力点と見なして下方に揺動操作し、てこの原理によりバール孔の張出し部に上方への力を作用させて受枠内から蓋本体を離脱させて食込み解除している。
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、受枠の周縁をバールの支点として利用すべく、蓋本体に形成されたバール孔を外周方向に開放する形状としているため、当該個所では蓋本体の外周に十分なテーパ面が形成されず、受枠に対して蓋本体が僅かに傾斜した姿勢で支持されると、受枠の内周面と蓋本体に形成されたバール孔の外周方向に形成された個所との間に地下構造物の内外を連通する隙間が生じて、この隙間から雨水等が地下構造物内に流入することから止水性の点で問題があった。
【0005】
そこで、このような止水性の問題に着目した提案もなされている(例えば、特許文献2参照)。当該特許文献2の技術では、蓋本体のバール孔の外周側を開放することなく閉塞し、これによりバール孔の個所でも他の個所と同様のテーパ状をなす蓋本体の外周面を形成して止水性の向上を図っている。そして、バール孔の外周側を閉塞したことにより、先端に係合部を形成しただけの一般的なバールでは受枠の周縁上にバールの一側を当接させて支点として利用不能となることから、バール孔の張出し部に係合するようにバールの先端をフック状に形成した上で、バールの先端近傍をフックに倣った方向に屈曲させて係止爪部を突設し、これによりバールの先端をバール孔の張出し部に係合させた状態で、蓋本体の外周を跨いで干渉を避けながらバールの係止爪部を受枠の周縁上に当接させて支点として利用できるように配慮している。
【特許文献1】実公昭58−5712号公報
【特許文献2】特許第2617868号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献2の技術では、蓋本体の外周との干渉を回避するために先端部が特殊な形状をした専用のバールを必要とするため、当該バールの準備を要するという問題がある。また、実際の地下構造物用蓋の保守作業では、上記特許文献1および特許文献2が想定する形式の地下構造物用蓋が混在している場合もあるため、このような地域での保守作業では、一般的なバールと共に特許文献2のバールも携帯しなければならず、保守作業の負担が増大するという別の問題もある。
【0007】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、良好な止水性を実現して地下構造物内への雨水等の流入を確実に防止できると共に、専用のバールを要することなく蓋本体の食込み解除を実施することができる地下構造物用蓋の食込み解除構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、地下構造物の上端に設置された受枠と、受枠内に着脱可能に嵌め込まれて受枠を閉鎖し、上面の外周縁より中心側に離間した位置に蓋開閉用のバールの係合部を掛止可能な掛止部が設けられた蓋本体と、蓋本体の掛止部の外周側の位置に隣接して貫設された支点押圧孔と、蓋本体の上記支点押圧孔から上部を露出した姿勢で上下動可能に支持された可動支点部材と、受枠の内周の可動支点部材の下方位置に形成され、可動支点部材の下部に当接して可動支点部材の下降を規制可能なストッパ部とを備えたものである。
【0009】
従って、蓋本体の外周縁より中心側に離間した位置にバール孔が形成されることにより、蓋本体のバール孔の外周側は閉塞されて他の個所と同様に受枠の内周面との間で良好な止水性を奏する。
一方、可動支点部材は蓋本体に上下動可能に支持されると共に、その下部を受枠のストッパ部に当接させて下降を規制されており、バールの係合部を掛止部に掛止してバールを外周側に揺動操作したときには、この係合部の個所が作用点として機能し、バールの一側が可動支点部材に当接して支点として機能するため、てこの原理により蓋本体に上方への力を作用させて、受枠に対する蓋本体の食込みを解除可能となる。
【0010】
従って、バールとしては、蓋本体の掛止部に掛止可能な係合部を有するものであれば使用可能であり、先端が特殊な形状の専用のバールを使用することなく一般的な形状のバールを使用できる。
請求項2の発明は、請求項1において、掛止部が、蓋本体の上面に凹設されて内部に可動支点部材の中心側の側面が露出するバール孔と、バール孔内の一側に突設されてバール孔内に挿入されたバールの係合部が下方より掛止される張出し部とから構成されたものである。
【0011】
従って、バール孔内に可動支点部材の中心側の側面が露出していることから、バールの係合部をバール孔の張出し部に掛止したときには、バールの一側が可動支点部材に当接して支点として利用可能となる。
【0012】
請求項3の発明は、地下構造物の上端に設置された受枠と、受枠内に着脱可能に嵌め込まれて受枠を閉鎖し、外周縁より中心側に離間した位置に蓋開閉用のバールの係合部を挿入可能なバール孔が貫設された蓋本体と、蓋本体の上記バール孔の外周側の位置に、バール孔に対して外周方向に連続するように貫設された支点押圧孔と、蓋本体の上記支点押圧孔から上面を露出された姿勢で上下動可能に支持されると共に、中心側の側面をバール孔内に露出させた可動支点部材と、受枠の内周の可動支点部材の下方位置に形成され、可動支点部材の下部に当接して可動支点部材の下降を規制可能なストッパ部と、バール孔の下方に設けられて、蓋本体の開蓋を規制する施錠位置と蓋本体の開蓋を許容する解錠位置との間で切換可能に構成された施錠機構と、蓋本体のバール孔を下方より閉塞すると共に、バールの係合部により上方より押圧されたときに下降してバール孔を開放すると共に、施錠機構を解錠位置に切換える可動蓋とを備えたものである。
【0013】
従って、蓋本体の外周縁より中心側に離間した位置にバール孔が形成されることにより、蓋本体のバール孔の外周側は閉塞されて他の個所と同様に受枠の内周面との間で良好な止水性を奏する。
一方、可動支点部材は蓋本体に上下動可能に支持されると共に、その下部を受枠のストッパ部に当接させて下降を規制されている。そして、バールの係合部により可動蓋を上方より押圧すると可動蓋は開放され、バール孔内にバールの係合部を挿入して蓋本体の下面に当接させた状態でバールを外周側に揺動操作すると、係合部の個所が作用点として機能し、バールの一側が可動支点部材に当接して支点として機能するため、てこの原理により蓋本体に上方への力を作用させて、受枠に対する蓋本体の食込みを解除可能となる。
【0014】
従って、バールとしては、蓋本体のバール孔に挿入されて蓋本体の下面に当接可能な係合部を有するものであれば使用可能であり、先端が特殊な形状の専用のバールを使用することなく一般的な形状のバールを使用できる。
即ち、バールの係合部としては、上記支点および作用点に一側をそれぞれ当接可能な形状であればよく、先端が特殊な形状の専用のバールを使用することなく、一般的な形状のバールを使用可能となる。
【0015】
また、可動蓋の下降に伴って施錠機構が解錠位置に切換えられるため、蓋本体を開蓋可能となる。このようにバール孔内に挿入したバールの係合部により蓋本体の食込み解除操作と解錠操作とを一連の連続したバール操作として完結可能となる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように請求項1,2の発明の地下構造物用蓋の食込み解除構造によれば、蓋本体の外周縁より中心側に離間した位置にバール孔を形成することにより良好な止水性を実現して地下構造物内への雨水等の流入を確実に防止できると共に、蓋本体の可動支点部材の下降を受枠のストッパ部により規制して支点として利用し、バールの係合部によりてこの原理で蓋本体の食込みを解除するようにしたため、専用のバールを要することなく一般的な形状のバールにより蓋本体の食込みを解除することができる。
【0017】
請求項3の発明の地下構造物用蓋の食込み解除構造によれば、蓋本体の外周縁より中心側に離間した位置にバール孔を形成することにより良好な止水性を実現して地下構造物内への雨水等の流入を確実に防止できると共に、蓋本体の可動支点部材の下降を受枠のストッパ部により規制して支点として利用し、バールの係合部によりてこの原理で蓋本体の食込みを解除するようにしたため、専用のバールを要することなく一般的な形状のバールにより蓋本体の食込みを解除でき、しかも、可動蓋の下降に連動して施錠機構を解錠位置に切換えて蓋本体を解錠できるため、蓋本体の食込み解除操作と解錠操作とを一連の連続したバール操作として迅速且つ容易に実行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
[第1実施形態]
以下、本発明の地下構造物用蓋の食込み解除構造を具体化した第1実施例を図面に基づいて説明する。
図1は本実施形態の地下構造物用蓋の食込み解除構造を示す断面図であり、地下構造物用蓋1は受枠2と蓋本体3とから構成されている。受枠2は平面視で環状をなし、図示はしないが周囲をアスファルト等で舗装された状態で路面上に設置され、その内部を地下構造物内と連通させている。蓋本体3は受枠2と対応するように平面視で円形状をなして受枠2内にテーパ嵌合により嵌め込まれ、その外周の一側は蝶番構造4により受枠2と連結される一方、外周の180°対向する他側には、受枠2に対する蓋本体3の食込みを解除する食込み解除構造5、および蓋本体3の不用意な開蓋を防止する施錠構造6が設けられている。
【0019】
これらの食込み解除構造5および施錠構造6は、蓋本体3上の外周縁より中心側に離間した位置に開口形成されたバール孔7に食込み解除および蓋開閉用の工具であるバール41(図2に示す)の先端を挿入して適宜バール41を揺動操作することで作動し、これにより任意に食込み解除や施錠・解錠を行うことができる。以下、当該食込み解除構造5および施錠構造6について詳述する。
【0020】
図2は蓋本体の閉蓋時における食込み解除構造5および施錠構造6を示す部分拡大断面図、図3は図2のIII−III線断面図、図4は揺動鉤体11、圧縮ばね26、可動蓋21、可動支点部材65を示す分解斜視図、図5は押圧ガイド面および下降ガイド面を示す揺動鉤体の斜視図である。図2に示すように、受枠2の内周面および蓋本体3の外周面は共に下方に向けて縮径するテーパ状断面に形成され、受枠2内に蓋本体3がテーパ嵌合して固定される。
【0021】
上記バール孔7は蓋本体3の外周縁から若干中心側(図2,3の右方)に形成され、中心側が円弧状をなす略長方形状に形成されて蓋本体3を上下に貫通している。蓋本体3にはバール孔7に対して外周側に連続するように略長方形状の支点押圧孔61が上下に貫設されている。これらのバール孔7および支点押圧孔61は蓋本体3の中心および外周方向に延びる1つの大きな孔と見なすこともできるが、後述のように全く別の機能を奏することから、以下の説明では相互に独立した孔として上記バール孔7および支点押圧孔61と称する。
【0022】
そして、バール孔7より外周側の支点押圧孔61も蓋本体3の外周縁より中心側に位置していることから、バール孔7および支点案内孔61は共に蓋本体3の外周面に開放されることなく閉塞され、上記した特許文献2の技術と同じく蓋本体3の外周のバール孔7および支点押圧孔61の個所も他の個所と同様のテーパ状の外周面を形成して、受枠2の内周面との密着により十分な止水性を奏している。
【0023】
蓋本体3の下面にはバール孔7の左右両側(図3の上下両側)に位置するように一対の軸受部10が突設され、軸受部10にはそれぞれ軸受孔10aが形成されている。蓋本体3のバール孔7の下方には揺動鉤体11が配設され、図4,5に示すように揺動鉤体11の左右両側には上方に向けて一対の支持アーム12が延設されている。右側の支持アーム12の上端右側面および左側の支持アーム12の上端左側面には揺動軸13がそれぞれ突設され、これらの揺動軸13が上記蓋本体3の軸受孔10a内で回動可能に支持されることにより、揺動鉤体11は蓋本体3の中心および外周方向に揺動可能な状態で垂下されている。
【0024】
図2に示すように、揺動鉤体11の下部には外周側に向けて係合爪14が一体形成され、この係合爪14の上方に位置するように受枠2の内周面には係合突起15が一体形成され、揺動鉤体11は、図2に実線で示すように蓋本体3から垂下した略直立姿勢(以下、施錠位置という)では係合爪14を受枠2の係合突起15の下方に位置させて蓋本体3の開蓋を規制する一方、仮想線で示すように下部を中心方向に揺動させた姿勢(以下、解錠位置という)では係合爪14を係合突起15の下方より退避させて蓋本体3の開蓋を許容する。
【0025】
揺動鉤体11は両支持アーム12間において断面四角状のガイド孔16が上下方向に貫設され、ガイド孔16の上部開口個所にはばね座18が同心上に形成され、ガイド孔16の下部開口個所は下方より円筒状に穿設されてワッシャ当接面19が形成されている。
揺動鉤体11の両支持アーム12の間には可動蓋21が配設され、可動蓋21からは下方に向けてガイドロッド22が延設されている。ガイドロッド22は断面四角状をなして揺動鉤体11のガイド孔16内に上方より挿入され、ガイド孔16の下側開口部に突出したガイドロッド22の下端にはワッシャ23がカシメ固定されている。これにより揺動鉤体11に対して可動蓋21が水平方向への回転を規制された状態で上下動可能に支持され、ガイド孔16とガイドロッド22との間には若干の遊びが設けられ、後述する押圧ガイド面51bによる可動蓋21の位置変位を許容するように配慮されている。
【0026】
可動蓋21の下面には、ガイドロッド22を中心としてばね座24が形成され、可動蓋21のばね座24と揺動鉤体11のばね座18との間には圧縮ばね26が介装されている。圧縮ばね26の付勢力により揺動鉤体11に対して可動蓋21は常に上方に向けて付勢され、ガイドロッド22の下端のワッシャ23を揺動鉤体11のワッシャ当接面19に当接させている。なお、圧縮ばね26は防塵用のゴムブーツ27により覆われている。
【0027】
図3に示すように、平面視において可動蓋21の外形は蓋本体3のバール孔7より中心方向および左右両方向に大きく、外周側のみはバール孔7と面一(即ち、バール孔7と支点押圧孔61との境界と一致)に設定されている。可動蓋21の上面にはバール孔7の形状に対応する押圧部31が形成されると共に、押圧部31の周囲にはゴム製のパッキン32が装着されてパッキン32上を当接面33としている。図2に示すように可動蓋21の外周側においてパッキン32は若干側方に突出し、後述する可動支点部材65との間の止水性を確保している。
【0028】
上記した圧縮ばね26の上方への付勢力により、可動蓋21は蓋本体3のバール孔7内に押圧部31を嵌め込んだ状態で当接面33を蓋本体3の下面におけるバール孔7の周囲に当接させ、これによりバール孔7を閉鎖して十分な止水性を奏している。そして、この状態から圧縮ばね26の付勢力に抗して可動蓋21が下降すると、可動蓋21の押圧部31がバール孔7から下方に離脱すると共に、当接面33が蓋本体3の下面から離間し、結果としてバール孔7が開放される。また、可動蓋21がバール孔7を閉鎖している状態では、可動蓋21を付勢している圧縮ばね26の反力および揺動鉤体11自体の自重により、揺動鉤体11は図2に実線で示す施錠位置に保持されている。
【0029】
そして、蓋本体3の食込み解除および解錠操作はバール7の先端で上記可動蓋21を押圧して下降させた状態で行われ、ここで、バール41の先端の形状について述べる。
端的に表現して本実施形態の地下構造物用蓋1の食込み解除構造5および施錠構造6に適用されるバール41は、例えば上記特許文献1に適用されるバールと同様の一般的なものであり、その先端にはバール41に対して略T字状をなして直交する係合部41aが形成されている。図3に示す平面視においてバール孔7の左右方向の寸法Aは、バール41の係合部41aの幅Wより広く、且つ係合部41aの長さLより狭く設定されている。
【0030】
従って、バール41の係合部41aを中心および外周方向に沿わせた姿勢では、上方より係合部41aをバール孔7内に挿入可能であり、バール孔7への挿入後に係合部41aを水平方向に90°角度変更して左右方向に沿わせると、係合部41aはバール孔7の左右両側で蓋本体3の下面に当接して掛止される。また、係合部41aの両端には、バール先端側に面するように面取り状の傾斜面41bがそれぞれ形成されている。
【0031】
図4,5に示すように、揺動鉤体11の左右の支持アーム12には上方に指向する突片51がそれぞれ一体形成され、これらの突片51には蓋本体3の中心側に面するように押圧ガイド面51aが形成され、両押圧ガイド面51aは下方ほど中心側となるように直線状に傾斜している。両支持アーム12には押圧ガイド面51aの下方に向けて連続する下降ガイド面51bが形成され、両下降ガイド面51bは略垂直に形成されている。これらの押圧ガイド面51aおよび下降ガイド面51bに対応するように、可動蓋21の左右両側にはガイドピン52がそれぞれ突設され、上記のように可動蓋21が蓋本体3のバール孔7を閉塞している状態では、各ガイドピン52が揺動鉤体11の押圧ガイド面51aの直上に位置する一方、可動蓋21が下降したときには、各ガイドピン52が押圧ガイド面51a上から下降ガイド面51b上へと摺接し、押圧ガイド面51a上での摺接時には当該押圧ガイド面51bに沿って可動蓋21は若干中心側に位置変位しながら下降し、このときの位置変位はガイド孔16とガイドロッド22との遊びにより許容される。
【0032】
一方、図3に示すように、蓋本体3の下面内周には上記支点押圧孔61の左右両側に位置するように一対のガイド片62が中心側に向けて突設され、これらのガイド片62の先端(中心側端)は相互に接近する方向に屈曲形成されて、両ガイド片62と蓋本体3の下面内周との間に上下方向に延びる支点ガイド孔63が形成されている。支点ガイド孔63は上記支点押圧孔61の直下に位置し、支点ガイド孔63の形状は平面視で略長方形状をなし、支点押圧孔61より外周方向および左右両方向に大きく、中心側のみは支点押圧孔61と面一(即ち、支点押圧孔61とバール孔7との境界と一致)に設定されている。
【0033】
図2に示すように、上記受枠2の係合突起15の上面には平坦なストッパ面64(ストッパ部)が形成され、このストッパ面64は支点ガイド孔63の直下に位置して、蓋本体3の閉蓋時には当該支点ガイド孔63を下方よりほぼ閉塞している。支点ガイド孔63内には略直方体状をなす可動支点部材65が配設され、可動支点部材65は支点ガイド孔63に対応する断面形状をなして支点ガイド孔63内で上下動可能に支持されると共に、通常時は自重によりストッパ面64上に当接している。可動支点部材65の上面には支点押圧孔61の形状に対応する支点部66が形成されると共に、支点部66の周囲において可動支点部材65の上面にはゴム製のパッキン67が装着されてパッキン67上を当接面68としている。
【0034】
図2,3に示す蓋本体3の閉蓋時において、可動支点部材65の支点部66は支点押圧孔61内に下方より嵌め込まれて上面を蓋本体3上に露出させると共に、当接面68を蓋本体3の下面における支点押圧孔61の周囲に当接させ、これにより支点押圧孔61を閉鎖して十分な止水性を奏している。また、可動支点部材65のパッキン67は可動蓋21のパッキン32と略同一高さに位置し、外周側に突出した可動蓋21のパッキン32に当接して、可動支点部材65と可動蓋21との間の止水性も確保されている。ここで、この状態から圧縮ばね26の付勢力に抗して可動蓋21を下降させると、可動支点部材65の中心側の側面がバール孔7内に露出することになる。
【0035】
可動支点部材65の左右方向の一側面(図3の下方)には下方および中心側方向に開口する凹設部71が形成され、凹設部71の上部には下方に面する下降規制面71aが形成されている。この下降規制面71aに対応して蓋本体3の一方のガイド片62にはボルト孔72が貫設され、ボルト孔72を介してガイド片62の両側よりボルト73とナット74が螺合し、ナット74が上記凹設部71内で下降規制面71aの下方に位置している。蓋本体3の閉蓋時においてナット74は下降規制面71aより所定寸法だけ下方に位置し、後述のように蓋本体3の開蓋時には下降規制面71aに当接して、支点ガイド孔63内からの可動支点部材65の脱落を防止する。
【0036】
本実施形態の地下構造物用蓋1の食込み解除構造5および施錠構造6は以上のように構成されており、次に蓋本体3を開蓋および閉蓋する際の手順について説明する。
まず、図2に示す蓋本体3の閉蓋時においては、圧縮ばね26の付勢力により可動蓋21が上方に付勢されており、その押圧部31が蓋本体3のバール孔7内に嵌め込まれると共に、当接面33が蓋本体3の下面に当接してバール孔7を閉塞している。また、可動支点部材65の支点部66が支点押圧孔61内に嵌め込まれると共に、当接面68が蓋本体3の下面に当接して支点押圧孔61を閉塞している。そして、圧縮ばね26の反力および自重により揺動鉤体11は蓋本体3から垂下した施錠位置に保持されて、その係合爪14を受枠2の係合突起15の下方に位置させており、蓋本体3と共に揺動鉤体11が上昇したときには、係合爪14が下方より受枠2の係合突起15に係合して開蓋を規制する。
【0037】
従って、バール孔7を介して雨水等が地下構造物内に流入する事態が確実に防止されると共に、地下構造物内での溢水等に起因する開蓋、或いは不法投棄等を目的とした第三者による開蓋等が未然に防止される。
この状態からの開蓋操作は、食込み解除および解錠の2つの操作が同時に行われる。
【0038】
まず、図2に示すようにバール41を直立させた姿勢で係合部41aを蓋本体3の中心および外周方向に沿わせてバール孔7内に上方より挿入する。図6に示すように、挿入されたバール41の係合部41aにより可動蓋21の押圧部31が下方に押圧され、圧縮ばね26の付勢力に抗して可動蓋21が次第に下降する。下降時の可動蓋21はガイドピン52を押圧ガイド面51a上から下降ガイド面51b上へと摺接させながら若干中心側に位置変位し、これにより可動蓋21は可動支点部材65の中心側に干渉することなく下降する。そして、可動蓋21の下降により可動支点部材65は、その支点部66を支点押圧孔61から上方に露出させるのに加えて、中心側の側面をバール孔7内に露出させる。
【0039】
この状態で図7に示すように係合部41aを水平方向に90°角度変更して左右方向に沿わせた姿勢とする。結果としてバール41の係合部41aの両端はバール孔7の左右両側で蓋本体3の下面に当接して掛止される。さらに図8に示すようにバール41の係合部41aを外周側に移動させると、それに伴って可動蓋21に対する係合部41aの押圧個所は圧縮ばね26の軸心Cより外周側に移動するため、この押圧個所を中心として圧縮ばね26の反力により揺動鉤体11には下部を中心側に移動させる方向にモーメントが作用する。
【0040】
また、同時にバール41の係合部41aの左右両端は揺動鉤体11の押圧ガイド面51aをそれぞれ外周側に向けて押圧し、この押圧力によっても上記と同方向のモーメントが揺動鉤体11に作用する。結果として揺動鉤体11は下部を中心側に移動させるように揺動して解錠位置に切換られ、その係合爪14が受枠2の係合突起15の下方より退避する。
【0041】
さらに図9に示すようにバール41を蓋本体3の外周側に大きく揺動させると、バール41の係合部41aより若干上方個所が可動支点部材65の支点部66の中心側角部に当接する。上記のように閉蓋時の可動支点部材65は受枠2のストッパ面64上に当接して下降を規制されていることから、支点部66の中心側角部に対するバール41の当接個所が支点として機能し、バールの係合部41aが蓋本体3の下面に当接して作用点として機能し、バール41の上端の揺動操作個所が力点として機能し、てこの原理により蓋本体3に強力な上方への力が作用する。従って、受枠2に対して蓋本体3がテーパ嵌合により食込んでいる場合であっても、その食込みが容易且つ確実に解除される。
【0042】
そして、この状態で図10に示すようにバール41を上方に引き上げると、その係合部41aに掛止された蓋本体3が可動蓋21、揺動鉤体11、可動支点部材65と一体で受枠2内から引き上げられ、蝶番構造4を介して蓋本体3を水平旋回または垂直反転することで開蓋できる。なお、蓋本体3の開蓋に伴って可動支点部材65はストッパ面64による支持を失って自重により支点ガイド孔63内で下降するが、下降規制面71aがナット74に当接することで、支点ガイド孔63内からの脱落が防止される。
【0043】
また、蓋本体3を閉蓋するときには、揺動鉤体11を自由な状態としておき、そのまま受枠2内に蓋本体3を配置すると、揺動鉤体11が圧縮ばね26の反力および自重により施錠位置に切換えられて蓋本体3の開蓋を防止すると共に、可動蓋21が圧縮ばね26の付勢力により上昇してバール孔7を閉鎖し、一方、可動支点部材65は自ずと受枠2のストッパ面64上に当接して支点押圧孔61を閉鎖する。
【0044】
以上のように本実施形態の地下構造物用蓋1の食込み解除構造5では、蓋本体3のバール孔7および支点押圧孔61の外周側を閉鎖することにより受枠2の内周面との間の止水性を確保すると共に、蓋本体3の食込み解除の支点として利用できなくなった受枠2の周縁に代えて、蓋本体3に可動支点部材65を設けて受枠2のストッパ面64により支持する構成とし、この可動支点部材65の支点部66を蓋本体3の食込み解除時の支点として利用している。従って、食込み解除時には、バール41の係合部41aを蓋本体3の下面に当接させて作用点とし、バール41の係合部41aより若干上方個所を可動支点部材65の支点部66の中心側角部に当接させて支点として、蓋本体3に上方に力を作用させて食込み解除できる。
【0045】
よって、特許文献2に記載されたような特殊な形状のバールを要することなく、上記した一般的な係合部41aを有するバール41を使用でき、例えば、特許文献1が想定する一般的な形式の地下構造物用蓋と本実施形態の地下構造物用蓋1とが混在している地域の保守作業においても、上記した一般的なバール41を携帯するだけで大きな負担を強要することなく保守作業を実施できるという利点が得られる。
【0046】
一方、本実施形態では食込み解除構造5と施錠構造6とを全く独立して構成することなく相互に関連して構成しているため、蓋本体3の食込み解除操作と解錠操作とを連続した一連のバール操作として実行できる。具体的には、本実施形態では可動支点部材65に隣接して可動蓋21を設けて、この可動蓋21をバール41の係合部41aにより押圧して下降させることで、可動支点部材65の中心側の側面を露出させて食込み解除のための支点として利用し、その後にバール41の押圧位置を外周側に移動させるだけで、揺動鉤体11を揺動させて解錠位置に切換えることができる。即ち、蓋本体3の食込み解除操作と解錠操作とは、共にバール孔7内にバール41の係合部41aを挿入して行う一連の連続したバール操作として完結できるため、例えば食込み解除構造5とは全く別個に施錠構造6を設けた場合のように双方の操作を別個に実行するときに比較して、両操作を迅速且つ容易に実行することができる。
【0047】
[第2実施形態]
次に、本発明を別の地下構造物用蓋の食込み解除構造に具体化した第2実施例を図面に基づいて説明する。端的に表現して、第1実施形態に対する本実施形態の相違点は施錠構造6を廃止したことにあり、その他の構成は同一である。よって、共通個所は同一部材番号を付して説明を省略し、相違点を重点的に説明する。
【0048】
図11は本実施形態における地下構造物用蓋1の食込み解除構造の閉蓋時を示す部分拡大断面図、図12は同じく平面図、図13は開蓋時の食込み解除構造を示す部分拡大断面図である。
支点押圧孔61、可動支点部材65、ストッパ面64等は第1実施形態と同様に構成されており、この支点押圧孔61の中心側に連続するバール孔81(掛止部)は、第1実施形態のバール孔7のように蓋本体3を貫通することなく下方に凹設されている。即ち、バール孔81は平面視において支点押圧孔61と連続する略長方形状をなし、内側壁81a、左右両側壁81b及び底壁81cにより形成されて、蓋本体3の外周側には開放されている。バール孔81の外周側の開放端では底壁81cが若干上方に屈曲し、屈曲個所の外周側の面である当接面81dは、上記可動支点部材65の中心側の側面に当接し、両部材間の止水性を確保している。
【0049】
このようにバール孔81が外周側に向けて開放されていることから、上記第1実施形態と同じく可動支点部材65の中心側の側面がバール孔81内に露出し、その支点部66の中心角部をてこの支点として利用可能となっている。そして、バール孔81および支点押圧孔61は共に蓋本体3の外周面に開放されることなく閉塞されているため、蓋本体3の外周のバール孔81および支点押圧孔61の個所も他の個所と同様の略テーパ状の外周面を形成して、受枠2の内周面との密着により十分な止水性を奏する。
【0050】
一方、バール孔81内の左右両側には一対の張出し部83(掛止部)が相対向して形成され、両張り出し部83の間を開口部82としている。図12に仮想線で示すように、開口部82には中心および外周方向に沿った姿勢でバール41の係合部41aを挿入可能であり、バール孔81内で係合部41aを水平方向に90°角度変更させて張出し部83の下面に当接可能となっている。
【0051】
次に、以上のように構成された地下構造物用蓋1の食い込み構造における蓋本体3の開蓋手順を説明する。
まず、図11に示す蓋本体3の閉蓋状態で、バール41の係合部41aを中心および外周方向に沿った姿勢で開口部82よりバール孔81内に挿入し、水平方向に90°角度変更させて張出し部83の下面に当接させる。その後、図13に示すようにバール41を蓋本体3の外周側に大きく揺動させると、バール41の係合部41aより若干上方個所が可動支点部材65の支点部66の中心側角部に当接して支点となり、係合部41aはバール孔81の張出し部83の下面に当接して作用点となり、てこの原理により受枠2に対する蓋本体3の食込みが解除される。従って、係合部41aをバール孔81の張出し部83に掛止させたままバール41を引き上げると、蓋本体3を開蓋することができる。
【0052】
以上のように本実施形態の地下構造物用蓋1では、バール孔81に対するバール41の係合部41aの掛止状態が相違するものの、第1実施形態と同じく蓋本体3に設けた可動支点部材65を支点として利用することで、一般的な係合部41aを有するバール41を使用可能としているため、重複する説明はしないが第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0053】
なお、本実施形態ではバール孔81を凹設して外周側に開放することにより、可動支点部材65の中心側の側面をバール孔81内に露出させててこの支点として利用したが、バール41の形状によっては必ずしも可動支点部材65の中心側の側面をバール孔81内に露出させる必要はない。例えば本実施形態のバール41は、図13に示すように係合部41aより若干上方個所(可動支点部材65への当接個所)が突設されているため、仮に当接面81dを上方に延設して可動支点部材65の中心側の側面を完全に覆ったとしても、支点部66の上面に係合部41aを当接させて支点として利用することができる。そして、この場合でも一般的な形状のバール41を使用可能で本実施形態と作用効果上の相違はないため、このように構成してもよい。
【0054】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、蓋本体3に対して可動支点部材65を直線状に上下動可能に支持してナット74により脱落防止したが、これに代えて可動支点部材65の一側を蓋本体3にヒンジにより揺動可能に支持してストッパ面64上に当接させ、可動支点部材65をバール41の支点として機能させるときには、可動支点部材65を揺動させながら蓋本体3の食込みを解除し、開蓋後はヒンジにより可動支点部材65の脱落を防止するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】第1実施形態の地下構造物用蓋の食込み解除構造を示す断面図である。
【図2】蓋本体の閉蓋時における食込み解除構造および施錠構造を示す部分拡大断面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】揺動鉤体、圧縮ばね、可動蓋、可動支点部材を示す分解斜視図である。
【図5】押圧ガイド面および下降ガイド面を示す揺動鉤体の斜視図である。
【図6】バールにより可動蓋を押圧したときの食込み解除・解錠手順の説明図である。
【図7】バールを水平方向に角度変更したときの食込み解除・解錠手順の説明図である。
【図8】揺動鉤体を解錠位置へと揺動させたときの食込み解除・解錠手順の説明図である。
【図9】てこの原理で食込み解除したときの食込み解除・解錠手順の説明図である。
【図10】バールにより蓋本体を引き上げたときの食込み解除・解錠手順の説明図である。
【図11】第2実施形態における地下構造物用蓋の食込み解除構造の閉蓋時を示す部分拡大断面図である。
【図12】同じく平面図である。
【図13】開蓋時の食込み解除構造を示す部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0056】
2 受枠
3 蓋本体
7 バール孔
21 可動蓋
41 バール
41a 係合部
61 支点押圧孔
64 ストッパ面(ストッパ部)
65 可動支点部材
81 バール孔(掛止部)
83 張出し部(掛止部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下構造物の上端に設置された受枠と、
上記受枠内に着脱可能に嵌め込まれて該受枠を閉鎖し、外周縁より中心側に離間した位置に蓋開閉用のバールの係合部を掛止可能な掛止部が設けられた蓋本体と、
上記蓋本体の上記掛止部の外周側の位置に隣接して貫設された支点押圧孔と、
上記蓋本体の上記支点押圧孔から上部を露出した姿勢で上下動可能に支持された可動支点部材と、
上記受枠の内周の上記可動支点部材の下方位置に形成され、上記可動支点部材の下部に当接して該可動支点部材の下降を規制可能なストッパ部と
を備えたことを特徴とする地下構造物用蓋の食込み解除構造。
【請求項2】
上記掛止部は、上記蓋本体の上面に凹設されて内部に上記可動支点部材の中心側の側面が露出するバール孔と、該バール孔内の一側に突設されて該バール孔内に挿入された上記バールの係合部が下方より掛止される張出し部とから構成されたことを特徴とする請求項1記載の地下構造物用蓋の食込み解除構造。
【請求項3】
地下構造物の上端に設置された受枠と、
上記受枠内に着脱可能に嵌め込まれて該受枠を閉鎖し、外周縁より中心側に離間した位置に蓋開閉用のバールの係合部を挿入可能なバール孔が貫設された蓋本体と、
上記蓋本体の上記バール孔の外周側の位置に、該バール孔に対して外周方向に連続するように貫設された支点押圧孔と、
上記蓋本体の上記支点押圧孔から上面を露出された姿勢で上下動可能に支持されると共に、中心側の側面を上記バール孔内に露出させた可動支点部材と、
上記受枠の内周の上記可動支点部材の下方位置に形成され、上記可動支点部材の下部に当接して該可動支点部材の下降を規制可能なストッパ部と、
上記バール孔の下方に設けられて、上記蓋本体の開蓋を規制する施錠位置と該蓋本体の開蓋を許容する解錠位置との間で切換可能に構成された施錠機構と、
上記蓋本体のバール孔を下方より閉塞すると共に、上記バールの係合部により上方より押圧されたときに下降して上記バール孔を開放すると共に、上記施錠機構を解錠位置に切換える可動蓋と
を備えたことを特徴とする地下構造物用蓋の食込み解除構造。
【請求項1】
地下構造物の上端に設置された受枠と、
上記受枠内に着脱可能に嵌め込まれて該受枠を閉鎖し、外周縁より中心側に離間した位置に蓋開閉用のバールの係合部を掛止可能な掛止部が設けられた蓋本体と、
上記蓋本体の上記掛止部の外周側の位置に隣接して貫設された支点押圧孔と、
上記蓋本体の上記支点押圧孔から上部を露出した姿勢で上下動可能に支持された可動支点部材と、
上記受枠の内周の上記可動支点部材の下方位置に形成され、上記可動支点部材の下部に当接して該可動支点部材の下降を規制可能なストッパ部と
を備えたことを特徴とする地下構造物用蓋の食込み解除構造。
【請求項2】
上記掛止部は、上記蓋本体の上面に凹設されて内部に上記可動支点部材の中心側の側面が露出するバール孔と、該バール孔内の一側に突設されて該バール孔内に挿入された上記バールの係合部が下方より掛止される張出し部とから構成されたことを特徴とする請求項1記載の地下構造物用蓋の食込み解除構造。
【請求項3】
地下構造物の上端に設置された受枠と、
上記受枠内に着脱可能に嵌め込まれて該受枠を閉鎖し、外周縁より中心側に離間した位置に蓋開閉用のバールの係合部を挿入可能なバール孔が貫設された蓋本体と、
上記蓋本体の上記バール孔の外周側の位置に、該バール孔に対して外周方向に連続するように貫設された支点押圧孔と、
上記蓋本体の上記支点押圧孔から上面を露出された姿勢で上下動可能に支持されると共に、中心側の側面を上記バール孔内に露出させた可動支点部材と、
上記受枠の内周の上記可動支点部材の下方位置に形成され、上記可動支点部材の下部に当接して該可動支点部材の下降を規制可能なストッパ部と、
上記バール孔の下方に設けられて、上記蓋本体の開蓋を規制する施錠位置と該蓋本体の開蓋を許容する解錠位置との間で切換可能に構成された施錠機構と、
上記蓋本体のバール孔を下方より閉塞すると共に、上記バールの係合部により上方より押圧されたときに下降して上記バール孔を開放すると共に、上記施錠機構を解錠位置に切換える可動蓋と
を備えたことを特徴とする地下構造物用蓋の食込み解除構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−100296(P2007−100296A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−287284(P2005−287284)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(505093769)株式会社ライセンス&プロパティコントロール (16)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(505093769)株式会社ライセンス&プロパティコントロール (16)
【Fターム(参考)】
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