説明

地下貯水構造体

【課題】 任意の場所の地中に容易かつ安価に設置可能な地下貯水構造体の提供。
【解決手段】
地面を掘削して形成した貯水ピット10と、貯水ピット10内の水を送出するポンプ17と、から地下貯水構造体1を形成し、貯水ピット10の内面である底面11と側壁12とを防水シート14で覆い、貯水ピット10内に透水性のポーラスコンクリート製のブロック体20を積み上げて充填する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下貯水構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
我々の周囲では、古来、数多くの貯水施設が造られており、様々な用途に用いられてきた。貯水施設として多く見られるものが雨水等を蓄える貯水タンクである(例えば、特許文献1を参照)。
貯水タンクは様々な場所に設置されているが、スペースを有効活用するために地中に埋設されることが多い(例えば、特許文献2を参照)。
貯水タンク自体は、鋼板や樹脂素材によって形成されており、通常は工場において製造される。また、通常、工場で製造される貯水タンクは形状や大きさが規格化されている。そして、貯水タンクは工場から出荷され、設置場所に搬入され、必要に応じて地中に埋設される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−264690号公報
【特許文献2】特開2004−203409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
貯水タンクを地中に埋設する場所は様々である。いびつな形状の場所に設置しなければならないケースも多い。このような場合、規格化された貯水タンクでは対応が困難であり、設置場所に応じた形状の貯水タンクをわざわざ製作しなければならなくなってしまう。しかし、貯水タンクを個別に製作する場合のコストは、既存の規格品を購入する場合のコストに比して高額になりやすい。
【0005】
また、貯水タンクを工場から埋設場所まで搬送しなければならない。容器本体は中が空洞であるため、重量に比して容積が大きくなり、大型車両を使って搬送しなければならないことが多い。とりわけ、道路事情が劣悪な地域においては、その搬送作業に要する手間とコストが大きくなりやすい。
本発明は、上記問題を解決するものであり、その目的とするところは、任意の場所の地中に容易かつ安価に設置可能な地下貯水構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、その課題を解決するために以下のような構成をとる。請求項1の発明に係る地下貯水構造体は、地面を掘削して形成された貯水ピットと、当該貯水ピット内の水を当該貯水ピット外へ送出可能なポンプと、を有し、前記貯水ピットの内面が防水壁で覆われており、前記貯水ピット内に、透水性のポーラスコンクリート製のブロック体が充填されている。
【0007】
透水性のポーラスコンクリート製のブロック体が、貯水ピット内に充填されている。貯水ピットに入った水は、ブロック体に上から浸み込み、貯水ピットの底にたまる。そして、貯水ピットの底にたまった水は、ポンプによって貯水ピット外へ送出される。
貯水ピット内において、水はブロック体の中を通って上から下へ徐々に移動する。水がブロック体の中を下に移動するにつれて、水の温度は、貯水ピットの周囲の地中の温度と同じになる。一年を通じて、地中の温度変化が小さい。このため、貯水ピットの底にたまる水の温度は、一年を通じて安定している。そして、一年を通じて温度変化の小さな水を貯水ピットから取り出すことができる。
【0008】
地下貯水構造体を設置するに当たっては、必要な容積の穴を貯水ピットとして地面に掘削し、貯水ピットの内面を防水性の素材で覆い、防水壁を形成する。防水壁は、例えば、防水シートを貯水ピットの内面に張り巡らして形成することができる。また、貯水ピットの内面をブロック体の一部を用いて形成し、この内面をなすブロック体の表面に遮水性の塗料等を塗装してしてもよい。
【0009】
その後、ポンプを設置する。ポンプは貯水ピットの底に設置されてもよいし、地表に設置されてもよい。また、貯水ピットに隣接して、ポンプ設置用のスペースを地中に形成してもよい。そして、ブロック体を貯水ピット内に積み上げるなどして充填する。
大型の容器を地中に埋設する必要がなくなり、準備作業や設置作業が簡単である。また、地形に応じた形の穴を貯水ピットとして地面に掘削すれば済むので、設置場所を選定する際の柔軟性が高い。
【0010】
請求項2の発明に係る地下貯水構造体は、請求項1に記載の地下貯水構造体であって、
前記ブロック体は、直方体をなし、当該直方体を貫通する穴が、当該直方体の互いに平行な2枚の面の中央において開口し、前記貯水ピット内に充填される前記ブロック体のうち、前記貯水ピット内の下部にたまる水に浸漬する前記ブロック体の集合体が、第1の集合体を形成し、前記第1の集合体を形成する前記ブロック体である前記直方体において、前記穴が鉛直に前記ブロック体を貫通しており、前記貯水ピット内に充填されている前記ブロック体のうち、前記第1の集合体の上に充填される前記ブロック体の集合体が、第2の集合体を形成し、前記第2の集合体を形成する前記ブロック体である前記直方体において、前記穴が水平に前記ブロック体を貫通している。
【0011】
ブロック体の形状が直方体であるので、貯水ピット内にブロック体を積み上げて充填することができる。全く同じ形のブロック体を用いて第1の集合体と第2の集合体を形成することができる。この場合、第1の集合体と第2の集合体とにおいて、ブロック体の穴が貫通する方向をそれぞれ変えてやれば足りる。
第1の集合体を形成するブロック体の穴は、ブロック体を鉛直に貫通している。この穴が存在することにより、貯水ピット内にたまる水の量が増える。また、ポンプが貯水ピットの水を吸引する際、ポンプにより吸引される水は、第1の集合体のブロック体を形成するポーラスコンクリートの中を通過して濾過される。
【0012】
第2の集合体を形成するブロック体の穴は、ブロック体を水平に貫通している。貯水ピットに入った水は、第2の集合体のブロック体を形成するポーラスコンクリートの中を通って下に移動して濾過される。
また、第2の集合体のブロック体の穴の中には空気が存在している。第2の集合体のブロック体の中を通って移動する水によって、第2の集合体のブロック体が暖められたり冷やされたりしても、ブロック体の穴の中の空気がブロック体に水から伝わる熱を吸収し、ブロック体の温度変化が抑制される。この結果、貯水ピットの底にたまる水の温度変化も抑制される。
【0013】
請求項3の発明に係る地下貯水構造体は、請求項2に記載の地下貯水構造体であって、前記第2の集合体において、前記ブロック体が1段又は複数段をなして積み上げられており、前記第2の集合体の同じ段を形成する前記ブロック体どうしにおいては、ひとつの前記ブロック体の前記穴が開口する面と、隣接する前記ブロック体の前記穴が開口する面と、が、互いに対向している。
【0014】
第2の集合体の同じ段を形成するブロック体において、互いに隣接するブロック体の穴どうしが互いに連通している。互いに連通する複数個の穴が集まってひとつの空洞を形成している。この空洞の中には空気が存在している。
第2の集合体のブロック体の中を通って移動する水によって、第2の集合体が局所的に暖められたり冷やされたりしても、空洞の中の空気が第2の集合体に局所的に伝わる熱を吸収する。そして、空洞の中の空気が吸収した熱は、この空洞を共有する他のブロック体に分散され、第2の集合体に局所的な温度のムラが生じることが抑制される。
【0015】
請求項4の発明に係る地下貯水構造体は、請求項1から請求項3のうちのいずれかの請求項に記載の地下貯水構造体であって、前記ブロック体を形成するポーラスコンクリートは、シラスと、ゼオライトと、活性炭と、のうちの少なくともいずれかひとつを、含有している。
シラスとは、例えば、九州南部一帯に厚い地層として分布する細粒の軽石や火山灰のことである。
【0016】
貯水ピットに入る水は、例えば、雨水であってもよいし、貯水ピットから一度取り出され後に戻される水であってもよい。このような水の中には、様々な微小な異物が含まれている。貯水ピットに入った水がブロック体の中を通って移動する際、ブロック体の中に含まれているシラス、ゼオライトあるいは活性炭が、水の中の微小な異物を吸着する。したがって、貯水ピットの底にたまる水は、微小な異物を除去された清浄な水となる。
【0017】
請求項5の発明に係る地下貯水構造体は、請求項1から請求項4のうちのいずれかの請求項に記載の地下貯水構造体であって、前記貯水ピット内において、上方に充填された前記ブロック体の空隙率が、下方に充填された前記ブロック体の空隙率よりも小さい。
貯水ピット内において、上方に充填されるブロック体の空隙率を小さくし、下方に充填されるブロック体の空隙率を大きくすることにより、貯水ピットに入った水から異物を効率良く除去できる。貯水ピットに入った水の中の比較的大きな異物は、貯水ピット内の上方に充填されるブロック体によって除去されてしまう。
【0018】
例えば、貯水ピット内の底にたまる水に浸漬するブロック体の空隙率は、これらのブロック体の上に充填されるブロック体の空隙率より大きければよい。また、貯水ピット内の底にたまる水に浸漬するブロック体よりも上に充填されるブロック体において、空隙率が上から下に段階的に大きくなっていてもよい。
【発明の効果】
【0019】
上記のような地下貯水構造体であるので、任意の場所の地中に容易かつ安価に設置することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】地下貯水構造体の構造説明図である。
【図2】図1のA−A線横断面図である。
【図3】図1のB−B線横断面図である。
【図4】ブロック体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態を図1〜図4を参照しつつ説明する。
図1〜図3に示すように、地下貯水構造体1は、地面を掘削して形成した貯水ピット10を有する。貯水ピット10は直方体の形状を有し、その内面である底面11と側壁12とはすべて防水シート14によって隙間なく覆われている。防水シート14により覆われた底面11と側壁12が防水壁をなしている。
【0022】
貯水ピット10の底面11の片隅に、縦長の筒状体16が設置されている。筒状体16の底に、ポンプ17が設置されている。ポンプ17の吸引口は、筒状体16の下部外側面において、貯水ピット10内に向かって開口している
筒状体16が設置されている部分を除いて、貯水ピット10内には、ブロック体20が7段に積み上げられて充填されている。図4に示すように、ブロック体20は立方体をなし、透水性を有するポーラスコンクリートによって形成されている。ブロック体20を形成するポーラスコンクリートは、シラスを含有している。
【0023】
ブロック体20には穴21が形成されている。穴21は、ブロック体20の中心を通ってまっすぐに貫通している。穴21は、ブロック体20の1枚の面と、この面に平行な別の1枚の面の中央に開口している。
貯水ピット10の底面11から3段に積み上げられたブロック体20の集合体が、第1の集合体23を形成している。第1の集合体23をなすブロック体20がブロック体20Aである。
【0024】
ブロック体20Aにおいて、穴21はブロック体20Aを鉛直に貫通している(図1及び図2を参照)。上下に隣接して積み重なるブロック体20Aどうしにおいて、穴21が開口する面どうしが対向し、互いの穴21が上下に連通している。そして、ブロック体20Aの連通した穴21どうしが集まり、鉛直にまっすぐ延びる空洞25Aが形成されている。
【0025】
第1の集合体23の上に地表面の高さまで4段に積み上げられたブロック体20の集合体が、第2の集合体24を形成している。第2の集合体24をなすブロック体20のうち、一番上の段に積み上げられているものがブロック体20Bである。また、第2の集合体24のうちの下の3段に積み上げられているものがブロック体20Cである。
ブロック体20Bにおいて、穴21はブロック体20Bを水平に貫通しており、ブロック体20Cにおいても、穴21はブロック体20Cを水平に貫通している(図1及び図3を参照)。同じ段のブロック体20Cどうしにおいては、穴21が貫通する方向はすべて同じである。
【0026】
水平に隣接する同じ段のブロック体20Bどうしにおいて、穴21が開口する面どうしが対向し、互いの穴21が連通している。そして、ブロック体20Bの連通した穴21どうしが集まり、水平にまっすぐ延びる空洞25Bが形成されている。
同様に、水平に隣接する同じ段のブロック体20Cどうしにおいて、穴21が開口する面どうしが対向し、互いの穴21が連通している。そして、ブロック体20Cの連通した穴21どうしが集まり、水平にまっすぐ延びる空洞25Cが形成されている。
【0027】
また、空洞25Bが伸びる方向と、一番上の段に積み上げられたブロック体20Cの中に形成された空洞25Cが延びる方向と、は、互いに直交している。また、あるひとつの段のブロック体20Cの中に形成された空洞25Cが延びる方向と、その下に隣接する段のブロック体20Cの中に形成された空洞25Cが延びる方向と、は、互いに直交している。
【0028】
ブロック体20Aの空隙率はρ1であり、ブロック体20Cの空隙率はρ2であり、ブロック体20Bの空隙率はρ3である。ρ1>ρ2>ρ3の関係が成立している。
また、ブロック体20Bの側面が集まって貯水ピット10の表面27を形成している。表面27は一枚の平坦な面である。表面27にブロック体20Bの穴21は露出していない。表面27は貯水ピット10の周辺の地表面と同じ高さにある。
【0029】
表面27の片隅において、筒状体16の上方部分がマンホール28によって覆われている。ポンプ17の吐出口に連なる配管30が、マンホール28を貫通して地上に延びている。
配管30から配管30Aと配管30Bとが分岐している。配管30Aの末端には蛇口31が形成されている。蛇口31の下にドレン32が形成されている。ドレン32は、表面27の上まで延びている。また、配管30Bは、貯水ピット10の脇に建つ建物33の壁と床の中を通っており、配管30Bの末端はドレン32につながっている。
【0030】
地下貯水構造体1は以上述べた構成を有している。次に、地下貯水構造体1が奏する作用効果について説明する。
空洞25B、25Cの中の空気は、貯水ピット10の周囲の地中温度と同じ温度になっている。そして、ブロック体20B、20Cの温度も貯水ピット10の周囲の地中温度と同じ温度になっている。
【0031】
地表に降った雨水やドレン32から流れ出る水が、表面27の上に流れる。表面27の上に流れた水は、表面27を通ってブロック体20Bの中に浸み込む。雨水やドレン32から流れ出る水の中に異物が含まれていたとしても、大きな異物は、ブロック体20Bの中に入ることなく、表面27の上に残る。
ブロック体20Bの中に浸み込んだ水は、重力によって下方に移動し、次いで、ブロック体20Cの中に浸み込む。ブロック体20Cの中に浸み込んだ水は、重力によってさらに下方に移動する。
【0032】
表面27からブロック体20Bの中に浸み込む水の温度が、地中温度より暖かい場合、ブロック体20B、20Cはこの水によって暖められる。しかし、空洞25B、25Cの中の空気によって、ブロック体20B、20Cは冷やされて貯水ピット10の周囲の地中温度と同じ温度に維持される。
また、表面27からブロック体20Bの中に浸み込む水の温度が、地中温度より冷たい場合、ブロック体20B、20Cはこの水によって冷やされる。しかし、空洞25B、25Cの中の空気によって、ブロック体20B、20Cは暖められて貯水ピット10の周囲の地中温度と同じ温度に維持される。
【0033】
そして、水が、第2の集合体24の中を下方に移動するにつれて、水の温度は、貯水ピット10の周囲の地中温度と同じ温度になる。
また、表面27の一部分から暖かい水や冷たい水が第2の集合体24に浸み込むと、この浸み込んだ部分の下方にある第2の集合体24が局所的に暖められたり冷やされたりすることになる。しかし、第2の集合体24に局所的に水から伝わる熱は、空洞25B、25C内の空気によって吸収される。空洞25B、25C内の空気が吸収した熱は、空洞25B、25Cを共有する他のブロック体20B、20Cに分散して伝わり、第2の集合体24に局所的な温度のムラが生じることが抑制される。そして、ブロック体20B、20Cの温度は貯水ピット10の周囲の地中温度と同じ温度に維持される。
【0034】
ブロック体20Bの中に浸み込む水の中に、微小な異物が混入していたとしても、水が第2の集合体24の中を下まで移動する間に、ブロック体20B、20Cを形成するポーラスコンクリートに含まれるシラスが、微小な異物を吸着してしまう。
第2の集合体24の中を下まで移動した水は、さらに、下方の第1の集合体23へ移動する。第1の集合体23の中に入った水はそのまま貯水ピット10の底にたまり、ブロック体20Aは水に浸漬した状態となる。
【0035】
貯水ピット10の底にたまる水の温度は、周囲の地中温度と同じ温度であり、一年を通じて温度変化が小さい。また、貯水ピット10の底にたまる水は、ブロック体20C、B2の中を通って濾過されており清浄な水となっている。
貯水ピット10の底にたまった水は、ポンプ17によって吸引され地上に送水される。ポンプ17が貯水ピット10から水を吸引すると、貯水ピット10の底にたまっていた水は、ポンプ17に向かって貯水ピット10の底を横方向に移動する。
【0036】
ブロック体20Aの穴21はブロック体20Aを鉛直に貫通しているので、貯水ピット10の底にたまっていた水は、ブロック体20Aの中に浸み込んで通過しなければならない。したがって、ポンプ17が吸引する貯水ピット10の水は、ポンプ17に吸引される前に、ブロック体20Aによって濾過されることになる。
ポンプ17によって貯水ピット10から地上に送られる水は、一年を通じて温度変化が小さく、夏場は冷たく、冬場は暖かい。この水を配管30から配管30Bに送り、建物33の冷暖房に利用することができる。また、この水を配管30から配管30Aに送り、蛇口31から取り出して利用することができる。
【0037】
配管30Bに送られた水はドレン32に流れる。また、蛇口31から出た水もドレン32に流れる。ドレン32に流れた水は表面27の上に排出され、再び、表面27からブロック体20Bの中に浸み込む。
ブロック体20Cの空隙率ρ2は、ブロック体20Bの空隙率ρ3よりも大きいので、ブロック体20B内における水の下方への移動速度は、ブロック体20C内における水の下方への移動速度よりも遅い。表面27からブロック体20Bの中に浸み込む水の温度と、貯水ピット10の底にたまっている水の温度と、の間に温度差がある場合でも、水がブロック体20Bの中を移動する間に、この温度差が小さくなる。そして、貯水ピット10の底にたまっている水の温度変動が防止される。
【0038】
また、ブロック体20Aの空隙率ρ1は、ブロック体20Cの空隙率ρ2よりも大きいので、ブロック体20A内における水の横方向への移動速度が速くなる。これにより、ポンプ17の空引きが防止される。
貯水ピット10の表面27は一枚の平面となっているので、駐車場等、様々な形で利用可能である。
【0039】
地下貯水構造体1を設置するに当たっては、地形に応じて貯水ピット10を掘削し、ブロック体20を貯水ピット10の中に積み上げて充填すればよい。このため、貯水ピット10の形を地形に合わせて選定できる。そして、貯水ピット10を設置するために必要な資材は、防水シート14、筒状体16、ポンプ17、ブロック体20であるので、これらの資材の搬入が容易であり、その設置作業も容易である。
【0040】
本実施の形態において、第2の集合体24は3段に積み上げたブロック体20Cと、その上に1段積み打上げられたブロック体20Bと、によって形成されているとしたが、ブロック体20Cの段数が3段に限定されないことは勿論であり、ブロック体20Bの段数が1段に限定されないことも勿論である。
なお、ブロック体20Bを複数段に積み上げる場合、
上下に隣り合う段のブロック体20Bにおいて、上段側のブロック体20Bの中に形成されている空洞25Bが延びる方向と、下数側のブロック体20Bの中に形成されている空洞25Bが延びる方向と、は、互いに直交することが好ましい。かかる構成とすることにより、第2の集合体24の温度ムラをより効果的に抑制できる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
上記のような地下貯水構造体であるので、設置される場所の自由度が非常に高い地下貯水構造体として有用である。
【符号の説明】
【0042】
1 地下貯水構造体
10 貯水ピット
11 貯水ピットの底面
12 貯水ピットの側壁
14 防水シート
16 筒状体
17 ポンプ
20、20A、20B、20C ブロック体
21 ブロック体の穴
23 第1の集合体
24 第2の集合体
25A、25B、25C 空洞
27 表面
28 マンホール
30、30A、30B 配管
31 蛇口
32 ドレン
33 建物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面を掘削して形成された貯水ピットと、当該貯水ピット内の水を当該貯水ピット外へ送出可能なポンプと、を有し、
前記貯水ピットの内面が防水壁で覆われており、
前記貯水ピット内に、透水性のポーラスコンクリート製のブロック体が充填されていることを特徴とする地下貯水構造体。
【請求項2】
前記ブロック体は、直方体をなし、当該直方体を貫通する穴が、当該直方体の互いに平行な2枚の面の中央において開口し、
前記貯水ピット内に充填される前記ブロック体のうち、前記貯水ピット内の下部にたまる水に浸漬する前記ブロック体の集合体が、第1の集合体を形成し、
前記第1の集合体を形成する前記ブロック体である前記直方体において、前記穴が鉛直に前記ブロック体を貫通しており、
前記貯水ピット内に充填されている前記ブロック体のうち、前記第1の集合体の上に充填される前記ブロック体の集合体が、第2の集合体を形成し、
前記第2の集合体を形成する前記ブロック体である前記直方体において、前記穴が水平に前記ブロック体を貫通していることを特徴とする請求項1に記載の地下貯水構造体。
【請求項3】
前記第2の集合体において、前記ブロック体が1段又は複数段をなして積み上げられており、
前記第2の集合体の同じ段を形成する前記ブロック体どうしにおいては、ひとつの前記ブロック体の前記穴が開口する面と、隣接する前記ブロック体の前記穴が開口する面と、が、互いに対向していることを特徴とする請求項2に記載の地下貯水構造体。
【請求項4】
前記ブロック体を形成するポーラスコンクリートは、シラスと、ゼオライトと、活性炭と、のうちの少なくともいずれかひとつを、含有していることを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれかの請求項に記載の地下貯水構造体。
【請求項5】
前記貯水ピット内において、上方に充填された前記ブロック体の空隙率が、下方に充填された前記ブロック体の空隙率よりも小さいことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれかの請求項に記載の地下貯水構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−68057(P2013−68057A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209142(P2011−209142)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(596085793)
【Fターム(参考)】