説明

地中に埋設された貯留浸透槽の内部を洗浄する方法

【課題】雨水を貯留または浸透させるための貯留浸透槽を埋設した雨水貯留浸透システムにおいて、その貯留浸透槽内部を容易に洗浄できるようにする。
【解決手段】先端屈曲した先端部12を備えたガイド部材10を用いる。洗浄用ホース7に取り付けた逆噴射洗浄ノズル6をガイド部材10の屈曲した先端部12に着脱自在に取り付ける。ガイド部材10とともに洗浄ノズル6を、貯留浸透槽30に付設した管理桝1内を貯留浸透槽30の洗浄すべき位置まで落下させ、その位置でガイド部材10を操作して、洗浄ノズル6の向きを洗浄すべき方向に向ける。この後、高圧水を噴射して洗浄を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に埋設されており、側溝等から流入する雨水を貯留する貯留槽または地中に浸透させる貯留浸透槽の内部を洗浄する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
側溝等から流入する雨水を貯留することのできる貯留槽や、貯留した雨水を地中に浸透させる浸透槽を地中に埋設することで、降雨時に、側溝などから溢れ出た雨水によって車道や歩道が浸水状態となるのを防止する雨水貯留浸透システムは知られており、その一例が、特許文献1あるいは特許文献2などに記載されている。通常、そのように雨水貯留浸透システムにおいて、雨水の貯留浸透槽には、雨水を貯留できる空間を多列に備えた樹脂製構造体を直角に向きを変えながら多段に積層した積層構造体が多く用いられる。
【0003】
また、貯留浸透槽内に、雨水に混入している夾雑物が堆積すると、槽内での雨水の流れが停滞することから、貯留浸透槽の内部を洗浄することも行われる。貯留浸透槽に付設される管理桝(流入桝および流出桝も含まれる)が人の入れる大きさの場合には、作業者が管理桝内に入り込んで、貯留浸透槽内に高圧水を吹き込んだり、バキュームで吸引することで、洗浄を行うことができる。
【0004】
管理枡が小さい場合には、地上面から管理枡内に、高圧水の逆噴射ノズルやバキュームノズルを所要の深さまで落とし込み、地上からの操作でノズルの位置決めをしながら、高圧水の吹き込みやバキュームの吸引を行うこともある。しかし、地上から洗浄用のノズル位置を操作することは、容易でない。
【0005】
地上からのバキュームホースの操作を容易にするために、特許文献1には、貯留浸透施設の下部に夾雑物受枠を配置し、該夾雑物受枠を貯留浸透施設に近接して設置される管理桝内にまで延長するようにしたシステムが記載されている。このシステムでは、地上から管理桝内にバキュームホースを落としていき、バキュームノズルを夾雑物受枠の管理桝内内に延長した部分に乗せるようにすることで、バキュームノズルが貯留浸透内に入り込むのを容易にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−249874号公報
【特許文献2】特開2006−24447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のように、貯留浸透施設に近接して設置される管理桝内にまで夾雑物受枠を延長させ、その延長した部分でバキュームノズルを受けるようにすることにより、貯留浸透内の洗浄作業が容易化することが期待できる。しかし、バキュームノズルは、通常の場合、可撓性のあるバキュームホースの先端に取り付けられているだけであり、管理桝内を下を向いた状態で落下していくバキュームノズルの位置を、地上からバキュームホースを操作して、所定位置(特許文献1に記載の方法では夾雑物受枠を延長部)にガイドするのは容易でない。また、夾雑物受枠が管理桝まで延長していない設備の場合には、適正な位置まで落下させたとしても、バキュームノズルの向きを制御して貯留浸透内に送り込むのは、きわめて困難である。
【0008】
そのようなことから、雨水を貯留または浸透させる貯留浸透槽を地中に埋設した雨水貯留浸透システムが広く採用されてきている今日において、より簡単にかつより容易に雨水貯留浸透内を洗浄できる方法が、求められている。
【0009】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、雨水を貯留または浸透させるための貯留浸透槽を埋設した雨水貯留浸透システムにおいて、その貯留浸透槽内部を容易に洗浄できる洗浄方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、雨水を貯留または浸透させるために地中に埋設された貯留浸透槽の内部を洗浄する方法であって、先端が屈曲した長尺状の自立性のあるガイド部材を用い、洗浄用ホースに取り付けた洗浄ノズルを前記ガイド部材の屈曲した先端部またはその近傍に着脱自在に取り付け、ガイド部材とともに洗浄ノズルを貯留浸透槽に付設して設けられている管理桝内を貯留浸透槽の洗浄すべき位置まで落下させ、その位置でガイド部材を操作することで洗浄ノズルの向きを洗浄すべき方向に設定した後、洗浄を開始することを特徴とする。
【0011】
本発明による貯留浸透槽の内部洗浄方法では、先端が屈曲した長尺状の自立性のあるガイド部材の先端部に洗浄ノズルを取り付け、ガイド部材とともに洗浄ノズルを管理桝内に落とし込む。ガイド部材は自立性を有しており、地上でガイド部材の先端の向きを自由に調整することができる。また、ガイド部材の先端は、上下方向に走るガイド部材の主軸に対して屈曲しており、そこに取り付けられた洗浄ノズルは、下向きではなく、屈曲角度に応じた傾斜した姿勢となっている。好ましくは、屈曲角度は90度であり、その場合には、洗浄ノズルは水平方向を向いている。
【0012】
洗浄に当たっては、管理桝内を、貯留浸透槽の洗浄すべき深さまで洗浄ノズルをガイド部材とともに落とし込む。所要深さに達したときに、作業者は、地上からガイド部材を操作して、洗浄ノズルの方向を貯留浸透槽の洗浄すべき場所の方向に一致させる。その状態とした後に、洗浄を開始することで、洗浄のための加圧水等を確実に貯留浸透槽内に入り込むことができる。よって、本発明の貯留浸透槽の内部洗浄方法によれば、ガイド部材の操作という簡単な操作を行うことで、貯留浸透槽内部を容易にかつ確実に洗浄することが可能となる。
【0013】
本発明における貯留浸透槽の内部洗浄方法において、洗浄ノズルが高圧水の逆噴射ノズルであり、洗浄に高圧水を用いることは好ましい態様である。この態様では、高圧水の逆噴射によって洗浄ノズルは貯留浸透槽内に進入していくので、貯留浸透槽の内部を一層容易に行うことができる。高圧水に代えて、高圧空気を逆噴射させるようにしてもよい。また、バキュームノズルであってもよい。
【0014】
ガイド部材は、自立性を有していることを条件に任意の材料で作ることができる。例として、金属材料、樹脂材料、木質材料などが挙げられる。また、ガイド部材は、長さの長い棒または平板であってもよく、内部が空洞であるパイプであってもよい。伸縮自在または折り畳みできる部材であってもよい。棒または平板の場合には、その屈曲した先端に洗浄ノズルが着脱自在に取り付けられる。その場合、洗浄用ホースはガイド部材に移動可能に仮止めされていてもよく、自由であってもよい。パイプの場合には、その内部を洗浄用ホースが通過するようにしてもよい。
【0015】
ガイド部材が長さの長い棒または平板の場合、洗浄ノズルが屈曲部から離れる方向に移動するとき、あるいは離れた位置から屈曲部に戻ってくるときに、洗浄用ホースがガイド部材の該屈曲部近傍に接触した状態で送り出されまたは引き上げられることが起こる。このときの両者間の摩擦で洗浄用ホースが損傷することが起こり得る。それを回避するために、ガイド部材の屈曲部近傍に、洗浄用ホースに対する摩擦低減材を取り付けた状態で洗浄を行うことが推奨される。また、パイプの場合には、パイプ内部に洗浄用ホースに対する摩擦低減剤を塗布しておくことが推奨される。
【0016】
さらに、ガイド部材の先端に、ガイド部材の先端側を貯留浸透槽側に固定できる固定具を備えたガイド部材を用いて洗浄を行うことは、本発明による貯留浸透槽の内部洗浄方法の好ましい態様である。このような固定具を用いることで、洗浄作業中でのガイド部材の姿勢を安定させることができ、洗浄作業を一層容易に行うことができるようになる。
【0017】
本発明による貯留浸透槽の内部洗浄方法において、貯留浸透槽として、貯留浸透槽内を通過する樋部材を備えた形態の貯留浸透槽を用いることは好ましい。その理由は、該樋部材に沿って洗浄ノズルが貯留浸透槽の内部に進入しやすいことによる。その際に、該樋部材は、貯留浸透槽に付設してある管理桝内まで延長した延長部を案内部として備えることは好ましいが、そのような延長部を備えなくてもよい。前記したように、洗浄ノズルはガイド部材の屈曲した先端部に取り付けられているので、案内部を果たす前記延長部がなくても、樋部材内に容易に進入できるからである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、雨水を貯留または浸透させるために地中に埋設された貯留浸透槽の内部を容易に洗浄することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明による貯留浸透槽の内部洗浄方法の一態様を説明するための図。
【図2】貯留浸透槽の内部洗浄方法の他の態様を説明するための図。
【図3】貯留浸透槽の内部洗浄方法のさらに他の態様を説明するための図。
【図4】貯留浸透槽の内部洗浄方法のさらに他の態様を説明するための図。
【図5】貯留浸透槽の内部洗浄方法のさらに他の態様を説明するための図。
【図6】貯留浸透槽の内部洗浄方法のさらに他の態様を説明するための図。
【図7】貯留浸透槽の内部洗浄方法のさらに他の態様を説明するための図
【図8】貯留浸透槽を形成する貯水空間形成部材の一例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明を実施の形態に基づき説明する。
図1(a)において、30は、雨水を一時的に貯留し地中に浸透させる地中に埋設された貯留浸透槽であり、前記した特許文献1または2に記載される形態のものであってよい。図示される貯留浸透槽30は、図8に示す樹脂製の貯水空間形成部材31を、90度方向を変えながら多段に積み上げて形成されている。
【0021】
この貯水空間形成部材31は、前記した特許文献2に記載されるものであり、下端が開放された箱状部32aの複数個が間隔を空けながらX方向に配列した箱列32が、X方向に直交するY方向に間隔を空けながら必要列数だけ配列した構成を基本的に備えている。必要な場合には、異なった大きさの複数個の貯水空間形成部材31を箱列(凸部からなる列)32の方向が同じ方向となるように寄せ集めて貯水空間形成部材31とすることもできる。
【0022】
そして、貯水空間形成部材31の多数枚を、前記箱列(凸部からなる列)32の方向が交互に90度に交差した姿勢で上下方向に積み上げることにより、貯留浸透槽30とされる。図示の例で、貯留浸透槽30は、掘削した支持地盤に砕石のような基礎材35を敷き詰めて均平化し、その上に配置されており、全体が不織布のような透水性シート36により覆われることで、貯留浸透槽30とされている。
【0023】
貯留浸透槽30には管理桝1が付設されており、管理桝1と貯留浸透槽30とは筒状の通路2で接続されている。前記通路2は、貯留浸透槽30を構成する貯水空間形成部材31における前記した箱列(凸部からなる列)32、32の間のX方向に延びる空間領域のいずれかに直線的に接続するように形成されている。また、管理桝1の下端部は貯留浸透槽30の底面より下方まで延出しており、該延出部は沈砂部3として機能している。
【0024】
前記した管理桝1は、流入桝あるいは流出桝としての機能を備えていてもよく、図示しないが、管理桝1とは別に、流入桝あるいは流出桝が備えられていてもよい。管理桝1は地表面にマンホール孔4を有しており、そこには蓋5が備えられる。この例において、管理桝1は比較的径の小さいものであり、マンホール孔4を通って人が管理桝内に入り込むことはできない。
【0025】
貯留浸透槽30の内部を洗浄することが必要となったときに、作業者は、マンホール孔4から、洗浄ノズル6を管理桝1内に落とし込む。この例において、洗浄ノズル6は、従来知られている高圧水の逆噴射ノズルであり、図示しない高圧水発生源からの高圧水が洗浄用ホース7を通して逆噴射ノズルに送られ、そこから、ノズルの先端の向きとは反対の方向に高圧水が噴出する。
【0026】
洗浄ノズル6を管理桝1内に落とし込むにあたり、作業者は、地上で、ガイド部材10の先端に洗浄ノズル6を取り付ける。図1に示す例において、ガイド部材10は、金属材料あるいは樹脂材料からなる中空のパイプであって、図1(c)に示すように、直線状の主軸部11と、その先端から90度に屈曲した先端部12とを備える。作業者は、洗浄用ホース7をガイド部材10であるパイプの内部を一方端から他方端まで通し、前記屈曲した先端部12側から飛び出ている洗浄用ホース7の先端に洗浄ノズル6を取り付ける。
【0027】
その後、作業者は、ガイド部材10を立てた姿勢として、先端に洗浄ノズル6を取り付けた状態のガイド部材10を、先端部12側から管理桝1内に落とし込んでいく。屈曲した先端部12が管理桝1と貯留浸透槽30を接続する通路2の位置に到達した時点で、作業者は、マンホール孔4からのぞき込みながらガイド部材10の主軸部11を回転させることで、洗浄ノズル6の向きを前記通路2の軸線方向にほぼ一致した状態とする。その状態が、図1(a)に示される。
【0028】
作業者は、洗浄ノズル6の他端を高圧水発生源に接続するとともに、ガイド部材10の主軸部11を前記通路2が位置する管理桝1の壁部側に近接させる。そして、高圧水発生源を操作して、高圧水を洗浄ノズル6から逆噴射させる。その状態が図1(b)に示される。高圧水が図1(b)に示すように逆噴射することで、その力により、洗浄ノズル6は、管理桝1から貯留浸透槽30に向けて移動していく。そして、洗浄ノズル6は、貯留浸透槽30を構成する貯水空間形成部材31における前記した箱列32、32の間のX方向に延びる空間領域内に進入し、また進入を貯留浸透槽30の他方端近傍まで続けることで、貯留浸透槽30内は、高圧水によって洗浄される。
【0029】
貯留浸透槽30内の沈殿物等は洗浄水とともに前記通路2から管理桝1内に流入し、沈砂部3に沈殿する。所要の洗浄を行った後、作業者はガイド部材10を図1(a)の位置に戻し、ガイド部材10を洗浄ノズル6とともに地上まで引き上げることで、貯留浸透槽30の内部洗浄作業は終了する。なお、沈砂部3内に溜まった沈殿物等は、別途バキュームホースをマンホール孔4から沈砂部3に落とし込み、バキューム除去される。
【0030】
図2は、本発明による貯留浸透槽の内部洗浄方法で用いることのできるガイド部材10の他の態様を示している。ここでは、先端部12がガイド部材10の主軸部11に対して90度ではなく、90度以下の角度、例えば45度程度の角度で屈曲している。この場合でも、図示のように、洗浄ノズル6の先端は前記通路2内に位置することができるので、高圧水を逆噴射して洗浄ノズル6を貯留浸透槽30内に進入させることができる。
【0031】
図3は、本発明による貯留浸透槽の内部洗浄方法で用いることのできるガイド部材10の他の態様を示しており、図3(a)は通路2(仮想線で示される)側から見た正面図、図3(b)は側面図である。ここでは、屈曲した先端部12に、十字形をなす固定具13を取り付けている。固定具13の直径は前記通路2の直径よりも少し小さめとされており、そのために、前記した図1(a)の状態から図1(b)の状態にガイド部材10を移動させたときに、前記固定具13は、図3(b)に示すように、前記通路2内に入り込み、ガイド部材10の移動を規制する。すなわち、洗浄作業中でのガイド部材10の姿勢を安定させることができる。それにより、洗浄作業は一層容易となる。
【0032】
図4は、本発明による貯留浸透槽の内部洗浄方法で用いることのできるガイド部材10の他の態様を示している。このガイド部材10Aは、中空パイプでなく、金属材料、樹脂材料あるいは木質材料からなる棒状または板状のものである。そして、主軸部11からほぼ90度に屈曲した先端部12には、適宜の保持機構14を用いて、洗浄ノズル6を着脱自在に保持できるようになっている。
【0033】
図4(a)は、図1(a)に相当する図であり、図4(b)は、図1(b)に相当する図である。図4(a)に示す状態から、高圧水を逆噴射ノズルである洗浄ノズル6から噴射させることで、図4(b)に示すように、洗浄ノズル6は保持機構14から離脱して、前記したように貯留浸透槽30内に進入していく。
【0034】
図5(a)は、本発明による貯留浸透槽の内部洗浄方法で用いることのできるガイド部材10の他の態様を示している。このガイド部材10Bは、先端部12がガイド部材10Bの主軸部11に対して90度ではなく、90度以下の角度、例えば45度程度の角度で屈曲している点でのみ、前記したガイド部材10Aと相違する。図5(b)に示すガイド部材10Cは、洗浄ノズル6が、ガイド部材先端部の下面側ではなく、上面側に着脱自在に取り付けられている点で、ガイド部材10Bと相違する。
【0035】
ガイド部材10B、10Cにおいても、洗浄ノズル6から高圧水を逆噴射することで、洗浄ノズル6は、前記した保持機構14から離脱することができ、離脱後に前記通路2内を通過して貯留浸透槽30内に進入することで、貯留浸透槽30内の洗浄を行うことができる。
【0036】
図6は、本発明による貯留浸透槽の内部洗浄方法で用いることのできるガイド部材10の他の態様を示している。このガイド部材10Dは、ガイド部材の基本構成は、図4に示したガイド部材10Aと同じであり、前記主軸部11と90度に屈曲した先端部12との繋ぎ部である曲がり部領域に、例えばフッ素樹脂のような、洗浄用ホース11に対する摩擦低減材15を取り付けている点で相違する。
【0037】
図6に示すように、高圧水の逆噴射により洗浄ノズル6が貯留浸透槽30に向けて、また貯留浸透槽30を進入するときに、また、洗浄ノズル6を元の位置に戻すときに、洗浄用ホース7は前記主軸部11と90度に屈曲した先端部12との繋ぎ部である曲がり部領域と接触しながらに移動することとなるが、摩擦低減材15を取り付けておくことにより、摩擦によって洗浄用ホース7が損耗するのを防止することかできる。この摩擦低減材15は、図5(a)に示したガイド部材10Bにおいても、効果的に用いることができる。
【0038】
図7は、本発明による貯留浸透槽の内部洗浄方法を実施するときに、貯留浸透槽30側の他の態様を示す、図1に相当する図である。ここでは、前記通路2に、断面U字状をなす樋部材37を配置し、該樋部材37の先端の延長部38を管理桝1内にまで延長させている。この態様では、作業者が、ガイド部材10とともに洗浄ノズル6を管理桝1内に落とし込むときに、前記樋部材37あるいはその延長部38を目印とすることで、前記通路2の位置を正しくかつ容易に認識することができ、洗浄作業は一層容易となる。また、樋部材37の延長部38に洗浄ノズル6を乗せるようにすることで、さらに作業を容易化することができる。
【0039】
前記樋部材37を、前記した貯留浸透槽30を構成する貯水空間形成部材31における前記した箱列32、32の間のX方向に延びる空間領域内を、貯留浸透槽30の一方端から他方端にわたるようにして配置してもよい。この態様では、洗浄ノズル6は樋部材37内をスムースに移動できるようになり、貯留浸透槽30の内部洗浄を一層効果的に行うことができる。
【0040】
なお、上記では、高圧水の逆噴射ノズルを洗浄ノズルとして用いるようにしたが、バキューム源に接続したバキュームノズルを洗浄ノズルとして用いることもできる。
【符号の説明】
【0041】
30…洗浄の対象となる地中に埋設された貯留浸透槽、
1…管理桝、
2…管理桝と貯留浸透槽とを接続する筒状の通路、
3…管理桝の沈砂部、
4…マンホール孔、
6…洗浄ノズル(逆噴射ノズル)、
7…洗浄用ホース、
10、10A〜10D…ガイド部材、
11…ガイド部材の直線状の主軸部、
12…ガイド部材の屈曲した先端部、
13…固定具、
14…洗浄ノズル補冶具、
15…摩擦低減材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
雨水を貯留または浸透させるために地中に埋設された貯留浸透槽の内部を洗浄する方法であって、
先端が屈曲した長尺状の自立性のあるガイド部材を用い、洗浄用ホースに取り付けた洗浄ノズルを前記ガイド部材の屈曲した先端部またはその近傍に着脱自在に取り付け、ガイド部材とともに洗浄ノズルを貯留浸透槽に付設して設けられている管理桝内を貯留浸透槽の洗浄すべき位置まで落下させ、その位置でガイド部材を操作することで洗浄ノズルの向きを洗浄すべき方向に設定した後、洗浄を開始することを特徴とする貯留浸透槽の内部洗浄方法。
【請求項2】
洗浄ノズルが高圧水の逆噴射ノズルであり、洗浄に高圧水を用いることを特徴とする請求項1に記載の貯留浸透槽の内部洗浄方法。
【請求項3】
ガイド部材が棒または平板であり、屈曲部近傍に洗浄用ホースに対する摩擦低減材を取り付けた状態で洗浄を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の貯留浸透槽の内部洗浄方法。
【請求項4】
ガイド部材がパイプであり、前記パイプ内に洗浄用ホースを通過させた状態で洗浄を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の貯留浸透槽の内部洗浄方法。
【請求項5】
ガイド部材の先端にガイド部材の先端側を貯留浸透槽側に固定できる固定具を備えたガイド部材を用いて洗浄を行うことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の貯留浸透槽の内部洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−174319(P2011−174319A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40061(P2010−40061)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】