説明

地中レーダ装置

【課題】直達波のリンギングを抑制して浅層の埋設物でも確実に探査できる地中レーダ装置を提供する。
【解決手段】送信アンテナ12から地中に向けて送出された電磁波の反射波を受信アンテナ21で受信して得られる受信信号を、ウェーブレット変換器5で複数の周波数成分信号に分解し、STC処理部6において、送信アンテナ12から直接受信される電磁波及び地表面からの反射波による直達波受信期間では分解生成された各周波数信号成分に対して信号レベルを均一化するよう個別に感度調整量を設定してSTC処理を行い、その後の受信期間では低周波信号成分に対して時間経過と共に感度調整量が増大するよう感度調整量を設定して埋設物からの反射信号強度の強い信号成分を強調するSTC処理を行い、STC処理後の各周波数信号成分を、逆ウェーブレット変換器7で合成して合成受信信号を生成し、合成受信信号に基づいて埋設物を探査する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中の埋設物を探査するための地中レーダ装置に関し、特に、浅層から深層まで広範囲に埋設物の探査が可能な地中レーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地中レーダ装置として、例えば特許文献1に記載されたものがある。この地中レーダ装置は、地上に設置した地中レーダ装置の電磁波送信部の送信アンテナから地中に向かって電磁波を発射し、地中の埋設物からの反射波を地中レーダ装置の電磁波受信部の受信アンテナで受信することにより、地中の埋設物を探査するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3039509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、現状の地中レーダ装置は、深層の埋設物を検出するため、高出力化が容易で、土壌への透過率が良い0〜300MHzの周波数成分を主成分とするパルス幅3ns程度の信号を送信波として用いている。このような送信波を用いた場合、深度が50〜250cm程度の埋設物は検出できるが、深度が10cm程度の浅層の埋設物は、送信アンテナから直接受信アンテナに伝搬する電磁波及び地表面からの反射波(以下、これら電磁波及び反射波を直達波と称す)の影響により検出が難しいという問題がある。即ち、地中レーダ装置の測定結果は、直達波と地中の埋設物からの反射波とが時間差をもって受信され、受信波形はこれらが重畳されたものが現れる。この場合、直達波の信号レベルは埋設物からの反射波の信号レベルに比べて極めて大きいため、直達波における各周波数成分のレベル不均一に起因して直達波のリンギングが時間的に長引くと、浅層の埋設物からの反射波が直達波のリンギング部分で埋もれてしまうため、浅層の埋設物の検出が難しい。
【0005】
本発明は上記問題点に着目してなされたもので、直達波のリンギングを抑制して浅層の埋設物でも確実に探査できる地中レーダ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため、本発明は、電磁波送信部から地中に向けて電磁波を送出し、電磁波受信部で前記電磁波に基づく反射波を受信し、前記電磁波受信部の受信信号に基づいて地中に埋設された埋設物を探知する地中レーダ装置において、前記受信信号を複数の周波数成分の信号に分解する信号分解部と、前記受信信号における、電磁波送信部から直接受信される電磁波及び地表面からの反射波による直達波受信期間では前記信号分解部で分解生成された各信号成分に対して信号レベルを均一化するよう個別に感度調整量を設定してSTC処理を行い、その後の受信期間では低周波信号成分に対して時間経過と共に感度調整量が増大するよう、又は/及び、高周波信号成分に対して時間経過と共に感度調整量が減少するよう感度調整量を設定してSTC処理を行うSTC処理部と、該STC処理部で処理された前記各信号成分を合成して合成受信信号を生成する信号合成部と、を備え、前記信号合成部で生成した合成受信信号に基づいて前記埋設物を探知する構成とすることを特徴とする。
【0007】
かかる構成では、電磁波送信部から地中に向けて送出した電磁波の反射波が電磁波受信部で受信されると、信号分解部は受信信号を複数の周波数成分の信号に分解する。STC処理部は、受信信号における電磁波送信部から直接受信される電磁波及び地表面からの反射波による直達波受信期間では分解生成された各信号成分に対して信号レベルを均一化するよう個別に感度調整量を設定してSTC処理を行い、その後の受信期間では低周波信号成分に対して時間経過と共に感度調整量が増大するよう、又は/及び、高周波信号成分に対して時間経過と共に感度調整量が減少するよう感度調整量を設定してSTC処理を行う。信号合成部はSTC処理部で処理された各信号成分を合成して合成受信信号を生成する。この生成された合成受信信号に基づいて埋設物を探査する。これにより、合成受信信号においては直達波におけるリンギングを抑制でき、ランダムノイズの影響も抑制できるようになる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の地中レーダ装置によれば、直達波における各周波数成分のレベル不均一に起因する直達波のリンギングを抑制できるので、浅層の埋設物からの反射波が直達波のリンギングで埋もれることがない。従って、浅層の埋設物からの反射波を見落とすことなく検出できる。また、受信信号のリンギング期間以後の受信期間では低周波信号成分に対して時間経過と共に感度調整量が増大するよう、又は/及び、高周波信号成分に対して時間経過と共に感度調整量が減少するよう感度調整量を設定したSTC処理により、埋設物からの反射信号強度の強い信号成分を強調するようにしてランダムノイズの影響を抑制するので、深層の埋設物からの反射波も容易に検出できる。従って、高出力化が容易で、土壌への透過率が良い0〜300MHzの周波数成分を主成分とするパルス幅3ns程度の信号を送信波として用いて、浅層から深層まで広範囲に埋設物の探査が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る地中レーダ装置の第1実施形態を示す構成図。
【図2】第1実施形態の分解、STC処理、合成の各動作による信号波形変化の説明図。
【図3】受信アンテナで受信される受信信号の周波数分布の一例を示す図。
【図4】本発明に係る地中レーダ装置の第2実施形態を示す構成図。
【図5】本発明に係る地中レーダ装置の第3実施形態を示す構成図。
【図6】本発明に係る地中レーダ装置の第4実施形態を示す構成図。
【図7】本発明に係る地中レーダ装置の第5実施形態を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る地中レーダ装置の第1実施形態を示す構成図である。
図1において、本実施形態の地中レーダ装置1は、筐体2内に、電磁波送信部3と、電磁波受信部4と、信号分解部としてのウェーブレット変換器5と、STC処理部6と、信号合成部としての逆ウェーブレット変換器7と、A/D変換器8と、信号処理部9とを備える。
【0011】
前記電磁波送信部3は、地中に向けて例えばチャープ波やFM−CW波等の電磁波を送出するもので、電磁波送信信号を発生する送信器11と、該送信器11からの送信信号を地中に向けて送出する送信アンテナ12と、受信信号の相関処理用のローカル信号を送信するローカル信号送信器13と、を備える。ローカル信号送信器13は、電磁波送信部3の送信タイミングに同期して電磁波送信信号と同じ信号をローカル信号として発生する。
【0012】
前記電磁波受信部4は、送信アンテナ12から送信された送信信号に基づく電磁波を受信して受信信号を出力するもので、直達波や地中の埋設物10等からの反射波を受信する受信アンテナ21と、該受信アンテナ21からの受信信号と前記ローカル信号とを相互相関処理する相関器22と、を備える。相関器22は、受信アンテナ21からの信号をA/D変換8で処理可能な速度のアナログ信号に変換する。尚、前述の直達波とは、送信アンテナ12から直接受信アンテナ21に伝搬する電波及び地表面からの反射波を示す。
【0013】
前記ウェーブレット変換器5は、受信信号を時間周波数領域の信号に分解することで、受信信号を複数の周波数成分(又は周波数帯域成分)の信号に分解する。
【0014】
前記STC処理部6は、ウェーブレット変換器5で分解された複数の周波数成分信号の受信感度調整量を時間に応じて増大する感度時間調整(Sensitivity Time Control)処理を行うもので、分解する周波数成分数に対応するn個(n≧1)の増幅器を備えて構成される。前記STC処理部6は、受信信号における直達波の受信期間ではウェーブレット変換器5で分解生成された各周波数信号成分に対して各周波数信号成分の信号レベルを均一化するよう個別に感度調整量を設定してSTC処理を行い、その後の受信期間では、例えば低周波信号成分に対して時間経過と共に感度調整量が増大するよう感度調整量を設定して埋設物からの反射信号強度の強い信号成分を強調するようなSTC処理を行う。
【0015】
前記逆ウェーブレット変換器7は、STC処理部で個別にSTC処理された各周波数信号成分を合成して合成受信信号を生成する。
【0016】
前記A/D変換器8は、逆ウェーブレット変換器7から出力されたアナログの合成受信信号を所定のサンプリング周期でサンプリングしてディジタル信号に変換する。
【0017】
前記信号処理部9は、A/D変換器8からのディジタル信号を処理して探査結果を画面表示するもので、入力するディジタル信号データに基づいて、横軸を時間、縦軸を受信強度としたAスコープ用の表示データや、横軸を地中レーダ装置1の移動距離、縦軸を反射時間(電磁波送信から反射受信までの経過時間)としたBスコープ用の2次元画像データを生成するデータ処理部31と、データ処理部31で生成された各データに基づいてAスコープやBスコープによる探査結果を表示するディスプレイ32とを備え、例えばパーソナルコンピュータである。
【0018】
次に、本実施形態の地中レーダ装置1による埋設物10の探査動作について説明する。
この地中レーダ装置1を、例えば台車に載置して探査領域内を一方向に移動させながら電磁波送信部3の送信器11から発生させた電磁波送信信号を送信アンテナ12から真下の地中に向けて電磁波を放射し、その反射波を電磁波受信部4の受信アンテナ21で受信して受信信号データを収集し、収集した受信信号データに基づいて探査結果をAスコープ表示はBスコープ表示して地中内の埋設物を探査する。尚、筐体2に直接車輪を取付けて地中レーダ装置1を移動可能な構成としてもよい。また、信号処理部9を筐体2に対して電気的に接続可能な外部装置として構成してもよい。
【0019】
受信アンテナ21で受信した受信信号は、相関器22で送信器11の送信タイミングに同期してローカル信号送信器13から発生したローカル信号で相互相関処理され、後段のA/D変換8で処理可能な速度のアナログ信号に変換され、ウェーブレット変換器5に入力する。ウェーブレット変換器5に入力する受信信号は、直達波の受信信号と地中の埋設物からの反射波の受信信号とが時間差をもって存在し、これら受信信号に更に機器の熱雑音や外来ノイズに起因するランダムノイズ成分が重畳された信号となっている。このため、図2の最上段に示すように、受信初期は直達波の受信により信号レベルが高い。そして、浅層の埋設物10の場合、直達波の受信と埋設物10の反射波の受信時間差が僅かとなり、受信信号に含まれる各周波数成分のレベルの不均一に起因して直達波のリンギング期間が長引くと、直達波のリンギング期間が埋設物10の反射波の受信と重なり、直達波のリンギングの信号レベルが埋設物10の反射波の信号レベルより高い場合には、図2に示すように、直達波のリンギング部分で埋設物10の反射波が埋もれてしまう。尚、図2では、説明を判り易くするため、直達波による受信信号成分(図中、鎖線で示す)と埋設物10の反射波による受信信号成分(図中、点線で示す)とランダムノイズによる受信信号成分(図中、実線で示す)をそれぞれ分離して示してあるが、実際の受信信号波形は、これらが重畳された波形となっている。
【0020】
ウェーブレット変換器5では、入力した受信信号を複数の周波数成分信号に分解する。本実施形態では、図2に示すように低周波数成分(図中、左側)と高周波数成分(図中、右側)に分解する。ウェーブレット変換器5で生成された低周波数成分信号と高周波数成分信号は、STC処理部6に入力する。本実施形態の場合、ウェーブレット変換器5で分解する周波数成分信号が、低周波数成分と高周波数成分の2つであり、STC処理部6は、分解する信号成分数に対応して2つの増幅器61、62を備える構成である。
【0021】
STC処理部6は、直達波受信期間において低周波数成分信号と高周波数成分信号のそれぞれに対して両周波数成分の信号レベルが均一になるよう個別に各増幅器61、62の感度調整量を設定してSTC処理を行う。図3に示すように高周波数成分の信号レベルが低い場合、例えば、図3の点線で示すように高周波数成分の信号レベルを低周波数成分の信号レベルと同じになるよう高周波数成分の感度調整量を高く設定して両周波数成分の信号レベルを均一化する。尚、低周波数成分の信号レベルを高周波数成分の信号レベルと同じになるよう低周波数成分の感度調整量を低く設定して両周波数成分の信号レベルを均一化するようにしてもよい。図2の右側の図に点線で示す直達波受信期間に対応する感度調整領域後の受信期間では、両周波数成分信号の埋設物からの反射信号強度が強いと思われる低周波数成分の信号レベルを強調するよう、低周波信号成分に対して時間経過と共に感度調整量が増大するよう感度調整量を設定してSTC処理を行い、深層の埋設物からの反射波の受信感度を高めるようにする。尚、高周波数成分の信号レベルを低くするよう、高周波信号成分に対して時間経過と共に感度調整量が減少するよう感度調整量を設定するSTC処理を行い、ランダムノイズ成分を軽減させることで、相対的に受信感度を高めるようにしても良い。また、低周波数成分の信号レベルを強調すると共に高周波数成分の信号レベルを抑制するよう低周波数成分と高周波数成分の両方について感度調整量を設定してSTC処理を行うようにしてもよい。
【0022】
ここで、直達波受信期間に対応する感度調整領域の設定は、予め探査領域の受信信号データを収集し、その収集した受信信号データの解析結果に基づいて直達波受信時間を決定して設定するようにすればよい。これにより、感度調整領域として感度調整する感度調整時間を予め設定し、その設定時間が経過するまではリンギング低減のための個別の感度調整を行い、設定時間経過後は、低周波信号成分に対して時間経過と共に感度調整量が増大するよう感度調整量を設定して埋設物からの反射信号強度の強い周波数成分を強調するSTC処理を行う。
【0023】
STC処理部6からの感度調整した両周波数成分信号は、逆ウェーブレット変換器7で合成する。このアナログの合成受信信号は、A/D変換器8で所定のサンプリング周期でサンプリングしてディジタル信号に変換し、信号処理部9のデータ処理部31で処理され、操作者の指示入力によりディスプレイ32にAスコープやBスコープの表示形態で表示される。
【0024】
かかる本実施形態の構成によれば、図3の最下段に示すように、直達波のリンギング期間が短く、浅層の埋設物の反射波がリンギング期間で埋もれることなく明確に現れるAスコープによる受信信号波形が得られる。これにより、高出力化が容易で、土壌への透過率が良い0〜300MHzの周波数成分を主成分とするパルス幅3ns程度の信号を送信波として用いて、浅層から深層まで広範囲に埋設物を探査することができる。
【0025】
尚、本実施形態では、受信信号を低周波数成分と高周波数成分の2の周波数成分信号に分割する例で説明したが、分割する周波数成分数が多ければ多い程、合成受信信号の周波数成分の信号レベルをより一層均一化することができ、リンギング期間の短縮化及び所望の反射信号の強調が図れる。
【0026】
図4〜図6は、本発明に係る地中レーダ装置の第2〜第4実施形態を示す構成図である。尚、第1実施形態と同一要素には同一符号を付してある。
図4の第2実施形態は、A/D変換器8と信号処理部9との間に、ウェーブレット変換器5、STC処理部6及び逆ウェーブレット変換器7を設け、A/D変換器8でディジタル信号に変換した受信信号に対して、第1実施形態と同様に受信信号の分解、STC及び合成の各処理を行う構成である。
【0027】
図5の第3実施形態は、パーソナルコンピュータからなる信号処理部9内に、合成受信信号生成部33を設け、この合成受信信号生成部33で受信信号の分解、STC及び合成の各処理をソフトウエアで処理して合成受信信号を生成する構成であり、合成受信信号生成部33が、第1実施形態におけるウェーブレット変換器5、STC処理部6及び逆ウェーブレット変換器7の機能を備える。
【0028】
図6の第4実施形態は、電磁波受信部4の受信アンテナ21と相関器22との間に、ウェーブレット変換器5、STC処理部6及び逆ウェーブレット変換器7を設け、受信アンテナ21から出力される受信信号に対して、第1実施形態と同様に受信信号の分解、STC及び合成の各処理を行う構成である。
【0029】
上述した第2〜第4実施形態は、分解、STC及び合成の各処理を行う箇所が第1実施形態と異なるだけで、地中レーダ装置1内の各部における信号の処理動作は第1実施形態と同じであり、その作用効果についても同様である。
【0030】
図7は、本発明に係る地中レーダ装置の第5実施形態を示す構成図である。
図7において、本実施形態の地中レーダ装置1は、ウェーブレット変換器5に代えて、送信信号に含まれる周波数成分を複数に分割したそれぞれの周波数成分からなるローカル信号を発生する複数のローカル信号送信機131〜13nを備えるローカル信号送信機群13と、各ローカル信号送信機131〜13nから送信されるそれぞれのローカル信号と受信アンテナ21からの受信信号との相互相関処理を行う複数の相関器221〜22nを備える相関器群22とを設ける構成である。
【0031】
かかる構成の地中レーダ装置1では、各相関器221〜22nにより対応する各ローカル信号送信機131〜13nの発生する周波数成分信号と相関を持つ周波数成分信号を受信信号から抽出することで、受信信号を複数の周波数成分信号に分割している。その後は、各相関器221〜22nの分割した周波数成分信号に対して第1実施形態と同様のSTC処理部6によるSTC処理、逆ウェーブレット変換器7による合成受信信号の生成を実行し、信号処理部9による信号処理を経てディスプレイ32にAスコープやBスコープの表示形態で表示される。
【0032】
かかる第5実施形態でも、第1〜第4実施形態と同様、高出力化が容易で、土壌への透過率が良い0〜300MHzの周波数成分を主成分とするパルス幅3ns程度の信号を送信波として用いて、浅層から深層まで広範囲に埋設物を探査することができる。
【0033】
尚、上述の第1、第2及び第4実施形態において、ウェーブレット変換器を用いて受信信号を複数の周波数成分信号に分解したが、ウェーブレット変換器の代わりに通過周波数帯域を異ならせた複数の帯域通過フィルタを設け、これら帯域通過フィルタで受信信号を複数の周波数成分信号に分解するよう構成してもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 地中レーダ装置
3 電磁波送信部
4 電磁波受信部
5 ウェーブレット変換器
6 STC処理部
7 逆ウェーブレット変換器
9 信号処理部
11 送信機
12 送信アンテナ
13 ローカル信号送信機(群)
21 受信アンテナ
22 相関器(群)
33 合成受信信号生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波送信部から地中に向けて電磁波を送出し、電磁波受信部で前記電磁波に基づく反射波を受信し、前記電磁波受信部の受信信号に基づいて地中に埋設された埋設物を探査する地中レーダ装置において、
前記受信信号を複数の周波数成分の信号に分解する信号分解部と、
前記受信信号における、電磁波送信部から直接受信される電磁波及び地表面からの反射波による直達波受信期間では前記信号分解部で分解生成された各信号成分に対して信号レベルを均一化するよう個別に感度調整量を設定してSTC処理を行い、その後の受信期間では低周波信号成分に対して時間経過と共に感度調整量が増大するよう、又は/及び、高周波信号成分に対して時間経過と共に感度調整量が減少するよう感度調整量を設定してSTC処理を行うSTC処理部と、
該STC処理部で処理された前記各信号成分を合成して合成受信信号を生成する信号合成部と、
を備え、
前記信号合成部で生成した合成受信信号に基づいて前記埋設物を探査する構成としたことを特徴とする地中レーダ装置。
【請求項2】
前記信号分解部は、ウェーブレット変換を用いて前記受信信号を前記複数の周波数成分の信号に分解する構成とした請求項1に記載の地中レーダ装置。
【請求項3】
前記信号分解部は、通過周波数帯域を互いに異ならせた複数の帯域通過フィルタを用いて前記受信信号を前記複数の周波数成分の信号に分解する構成とした請求項1に記載の地中レーダ装置。
【請求項4】
前記信号分解部は、前記電磁波送信部の電磁波送信信号と同期する相互相関処理用で前記複数の周波数成分のローカル信号と前記受信信号との相互相関処理によって受信信号を前記複数の周波数成分の信号に分解する構成とした請求項1に記載の地中レーダ装置。
【請求項5】
前記信号合成部は、逆ウェーブレット変換を用いて前記STC処理部で処理された前記各信号成分を合成する構成とした請求項1〜4のいずれか1つに記載の地中レーダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−154833(P2012−154833A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15047(P2011−15047)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】