説明

地中梁構造ユニット、地中梁構造及び地中梁構造の施工方法

【課題】運搬や施工作業が容易で、工期は短く、製作及び施工コストが低くて、しかも大きな剛性、耐震性をもっており、さらに高い耐久性を備えた地中梁、この地中梁を構成する地中梁構成体及びこの地中梁の施工方法を提供する。
【解決手段】地中梁部として機能する第1の枠体部27と、基礎土台部として機能する第2の枠体部39及び柱部を搭載する部材として機能する第3の枠体部とが一体的に形成され搬送自在に構成されている地中梁構造ユニット100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中梁構造ユニット、地中梁構造及び地中梁構造の施工方法に関するものであり、特には、住宅用或いは工場用等の建築物と称される構造物の基礎部である、地中梁構造ユニット、地中梁構造及び地中梁の施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般の地中梁は、予め形成されている捨てコンクリート或いはラップルコンクリート等の表面上の所定の位置に、要すればアンカーボルトの構造体を付加して、これに適宜の縦鉄筋及び横鉄筋を所定間隔を配置し、敷設し、当該アンカーボルトの構造体を含む、縦横鉄筋群からなる立体状組み立て体の側面の周囲を、合板ベニアや鋼製板状体等からなる型枠材で囲み、当該型枠等を支保工という仮設材で支えながら型枠体を形成し、或いはその逆に、当該型枠体を形成してから当該型枠体内に当該鉄筋群からなる立体状組み立て体を形成した後、当該型枠体の内側空間領域内にコンクリートを注入して乾燥養生後に当該型枠材を解体して、地中梁を完成させる施工方法によって形成されているのが一般的である。
【0003】
即ち、図9(A)に示されている従来の代表的な地中梁の構造例(例えば、特開平8−184060号公報(特許文献1)に記載の構造)から理解される様に、従来の地中梁の構造は、縦、横鉄筋群81、82とアンカーボルト4及び型枠11で構成された地中梁構成体内にコンクリートを注入し、コンクリートの乾燥養生後、当該型枠11を解体除去して完成させるものである。
【0004】
そして、また上記した様な、従来の一般的な地中梁の施工に際しては、アンカーボルト4や鉄筋81、82を現場で設置した後、支保工により型枠11を支えた上で、鉄筋を組み立てた後にコンクリートを注入する。
更に、図9(B)に示されている別の従来例(例えば、特開平10−299001号公報(特許文献2)に記載の構造)から理解される様に、型枠17の内部にメッシュ状の鉄筋群12、13、16等を組立、当該型枠17内部にコンクリートを注入し、コンクリートの乾燥養生後、当該型枠17を解体除去して完成させるものである。
【0005】
係る従来の地中梁の施工に際しては、当該型枠を造る人を型枠工、鉄筋を組み立てる人を鉄筋工と称してそれぞれ熟練者が施工するため、熟練工の不足や工事費の高騰、工事施工日数の負担が多いことが現状である。
【0006】
一方、図9(A)及び図9(B)に示された従来の地中梁の施工方法では、当該地中梁の構成は、本発明の構成に類似はしているものの、全ての作業を現場上で実行することが要求されている。
【0007】
従って、係る従来の地中梁施工方法は、天候に左右されることと、アンカーボルトを設置する工程、鉄筋を組み立てる工程、型枠を設置する工程全てが別々の日程で消化され、施工日数が膨大に掛かってしまい、建物を建設する際の工程が長期化している原因である。
また、現場作業が多いことで、施工精度も設計図どおりに完了することが難しいのが現状である。
【0008】
係る従来からの地中梁の構造及びその施工方法の問題点を解決し、作業現場に於ける作業効率を改善し、コストの低減と工事期間の短縮化を図る試みが行われており、例えば、特開平9−3914号公報(特許文献3)には、当該地中梁の柱部分を、鉄骨状の柱を中心として、且つ当該柱と直交した水平方向に互いに直交する方向に延展している4本の鉄骨と複数本の鉄筋(横鉄筋)と、その周囲に適宜の鉄筋(縦鉄筋)を巻きつけた脚部と、当該脚部の自由端部に接続された鉄筋(縦鉄筋と横鉄筋)のみからなる梁部とで構成された地中梁が開示されており、当該脚部の鉄筋構造を従来の鉄筋構造に対してより簡素化することにより、鉄筋の組み立て作業を効率的且つ簡素化出来ると共に、型枠の構造も簡素化されるので、作業時間が短縮され、コストの低減に寄与出来る事が示唆されている。
然しながら、上記従来例に於いては、依然として、鉄筋の組み立ての作業が工事現場で実行されると共に、型枠の設置作業とその除去作業が必要であるので、顕著な作業効率の改善とコスト低減には結びつかなかったという問題が有った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平08−184060号公報
【特許文献2】特開平10−2990011号公報
【特許文献3】特開平09−3914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って本発明の目的は、上記した従来技術の欠陥を改良し、正確に設計された住宅用基礎構造体を天候や気温に左右されずに短期間で、然も高度の熟練技術を持たない作業員でも極めて限定された人数で正確に且つ短時間で、施工作業が実行でき、且つ、運搬コストを含む想到的な施工コストを削減でき、然も、硬性に優れ、耐震性及び耐久性に優れた、高品質の高層建築物を含む建築物用地中梁ユニット、当該地中梁構造体及び当該地中梁の施工方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記のような目的を達成するため、基本的には、以下に示す様な技術構成を採用するものである。
【0012】
即ち、本発明の第1の態様としては、所定の高さと長さを有する2枚の硬性板状体に形成され、所定の間隔で相互に平行的に対向して配置された、硬性材料からなる第1の壁板部と第2の壁板部とからなり、当該第1と第2の壁板部の間の間隔を所定の値に設定する為に、当該第1と第2の壁板部の相互に対向する裏面部間に固定的に架橋配置された所定の長さを有する複数個の幅決め部材であって、当該第1と第2の壁板部の長手方向に対して直交する方向で且つ当該長手方向と平行する方向に所定の間隔で配列されている幅決め部材と、当該第1と第2の壁板部の間の第1の空間領域内に、当該第1と第2の壁板部の長手方向と平行する方向に配置されている少なくとも一本の横鉄筋と当該第1と第2の壁板部の高さ方向に平行する方向に配置されると共に、当該第1と第2の壁板部の長手方向と平行する方向に所定の間隔で隣接配置せしめられている複数本の主縦鉄筋とから構成されている第1の枠体部と、
当該第1の枠体部の長手方向に於ける一方の端部若しくはその近傍部の下端縁部に当接し、当該第1の枠体部の長手方向と並行に配置された所定の長さと所定の高さ有する2枚の硬性材料からなる硬性板状体と、当該第1の枠体部の長手方向と直交して配置された
当該第1の枠体部の幅よりも長い長さを有し、且つ当該硬性板状体の当該所定の高さと同じ高さを有する2枚の硬性材料からなる硬性板状側壁部材により、矩形状に形成された第2の空間領域部を形成すると共に、当該第2の空間領域部内に当該第1の枠体部の長手方向と並行及び直交する複数本の横鉄筋と、当該第1の枠体部の高さ方向に並行する複数本の縦鉄筋とが配置されている第2の枠体部とからなり、且つ当該第1と第2の枠体部は、
少なくとも、当該第2の枠体部の縦鉄筋及び当該第1の枠体部の横鉄筋とを部分的に結合することにより相互に一体的に固定されている事を特徴とする建築物用の地中梁構造ユニットであり、本発明の第2の態様としては、上記した当該地中梁構造ユニット内にコンクリートが注入されて一体化されている事を特徴とする地中梁構造である。
【0013】
又、本発明の第3の態様としては、予め決定された建築物用基礎部の設計情報に基づいて、当該建築物用基礎部の設計情報から得られる当該建築物用基礎部の個々の部位に対応する前記した複数種類の個別的な組み立て構造を有する地中梁構造ユニット群を工場内で製造する工程、当該工場で製作された複数種類の当該地中梁構造ユニットを、当該建設現場に搬送する工程、当該建設現場に於いて、当該建築物用基礎部の設計情報に基づいて、当該建築物用基礎部が配置される予定の地面に予め配された捨てコンクリート若しくはラップルコンクリート等の表面に、当該建築物用基礎部の設計情報に基づいて、当該搬送されてきた複数個の当該地中梁構造ユニットのそれぞれを、予め定められた部位に個別に且つ相互に連接するように配置設置する工程、相互に隣接して配置された当該地中梁構造ユニットの接合端縁部同士を適宜の連結手段を使用して連結接合する工程、相互に隣接する当該地中梁構造ユニット内の横鉄筋同士若しくは縦鉄筋同士、或いは当該縦鉄筋及び横鉄筋とを、適宜の連結手段を介して相互に締結する工程、建築物用の地中梁構造ユニット群のそれぞれの枠体部の内部空間部内にコンクリートを注入する工程、当該コンクリートを養生させる工程、とから構成されている事を特徴とする建築物用の地中梁構造の施工方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る当該建築物用地中梁ユニット、当該建築物用地中梁構造体、及び、当該建築物用地中梁構造体の施工方法は、上記した技術構成のそれぞれを採用し、それらを有機的に結合した結果、従来技術の欠陥を改良し、工場内で予め所定の当該地中梁ユニットを、当該建築物に関する設計情報に基づいて、一対の型枠として機能する硬性板状体と当該硬性板状体間に配置される鉄筋群とを相互に一体的に固定して形成した梁部を構成する第1の枠体部と、当該第1の枠体部の下方部に、硬性板状体からなる側壁部で構成され、その内部に複数の縦横鉄筋を配置して一体的に固定して形成された土台部を構成する第2の枠体部とが、一体的に固定され形成された地中梁ユニットを、建築現場とは異なる工場内で予め形成しておき、係る搬送可能な複数種類の地中梁ユニットを建築物の建築現場に搬入して、少人数の作業員により、所定の建築物用の基礎構造に関する設計情報に基づいて予め設定されている捨てコンクリート部の表面或いは予め設定されているラップルコンクリートの表面に設置して、それぞれの当該地中梁ユニットの水準を合わせて、必要に応じて、別途工場内で製造した、連結梁部を構成する第4の枠体部を介して相互に隣接固定配置した後に、当該それぞれの地中梁ユニットの枠体部内にコンクリードを注入打設し、所定の期間、養生した後、当該型枠を構成する当該壁板部、当該側壁部或いは、当該板状壁部は、当該コンクリードと一体化した状態で、分離することなくそのまま当該地中梁構造体の一部として使用する様にしたので、従来技術の欠陥を改良し、正確に設計された地中梁構造体を、天候や気温に左右されずに短期間で、然も高度の熟練技術を持たない作業員でも極めて限定された人数で施工作業が実行できるので、運搬コストを含む施工コストを削減できるという作用効果を発揮できるのである。
【0015】
又、本発明に於いては、当該建築物用地中梁ユニットにより構成された当該地中梁構造体は、従来のコンクリートからなる本体部の外側に、硬性材料からなる板状体、側壁部或いは板状壁部等が永続的に配置されているので、当該梁部の強度や耐久性が大幅に向上するので、当該建築物の耐用期間が大幅に伸び、100年を超える耐久性が得られると共に、当該硬性材料からなる板状体、側壁部或いは板状壁部等による当該地中梁部の高度強化に伴い、使用する鉄筋の本数や太さを、従来の地中梁部の鉄筋の本数よりも少なくする事が可能であるか、或いは従来の地中梁部の太さよりも細くする事が可能となる。
【0016】
即ち、本願発明に於いては、上記した通り、従来の地中梁を、全ての工程を建設工事現場で,製作構成すると言う工法と違って、当該地中梁の主要な構造物をユニット化して、すべてを,工場で行い、正確な地中梁ユニット製品を当該建設工事現場に搬入し、わずかな,現場専用鉄筋を当該所定の部位に配置されたそれぞれの地中梁ユニットに挿入して、隣接して配置される他の地中梁ユニットとの間を結束するだけの工程を消化するだけで、コンクリート打設作業ができるので、工期は、早く労働力の縮減を提供できて、正確な地中梁を完成することができる。
【0017】
さらに、強度面に於いては、従来のプレファブ地中梁の最大の欠点であった、鋼製型枠5の膨れを防止し、堅固な橋梁地中梁を完成することが可能になったことと、コスト面においては,地中梁の運搬作業や、施工作業を容易に行うことができるようになるので、工事費を大幅に低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1(A)及び図1(B)は、本発明の地中梁構造体ユニットの一具体例の構成を示す斜視図である。
【図2】図2(A)は、第3の枠体部を有する本発明の地中梁構造体ユニットの一具体例の構成を示す平面図であり、図2(B)は、第3の枠体部を有しない本発明の地中梁構造体ユニットの一具体例の構成を示す平面図である。
【図3】図3(A)及び図3(B)は、本発明の地中梁構造体ユニットの一具体例の構成を示す図2(A)の矢印Aから見た側面図である。
【図4】図4(A)乃至図4(F)は、本発明の地中梁構造体ユニットの概略の構成例を示す平面図である。
【図5】図5は、本発明の地中梁構造体ユニットの一具体例に於ける一部断面図である。
【図6】図6は、本発明の地中梁構造体ユニットの一具体例における構成を示す斜視図である。
【図7】図7は、本発明の地中梁構造体ユニットと一体的に使用される第4の枠体の構成例を示す斜視図である。
【図8】図8は、本発明の地中梁構造体ユニットの一具体例における第1の枠体部内の格子状鉄筋群の構成の一例を示す断面図である。
【図9】図9(A)及び図9(B)は、従来の地中梁構造の具体例における構成状態を示す図である。
【図10】図10は、本発明に於ける第1の枠体部と第4の枠体部の接続構成例を示す図である。
【図11】図11は、本発明に於いて使用される地中梁構造ユニットの配置例を示す平面図である。
【図12】図12は、本発明に於いて使用される地中梁構造体の構成例を示す斜視図である。
【図13】図13は、図4(F)に示される本発明に於いて使用される地中梁構造ユニットの具体例に於ける第1の枠体部27の配置例を示す平面図である。
【図14】図14は、本発明に於いて使用される地中梁構造体の構成例に於ける、鉄筋を省略した場合の壁板部及び側壁部材の形状例を示す斜視図である。
【図15】図15(A)及び図15(E)は、本発明に於ける地中梁構造ユニットの施工方法の別の具体例を説明する図である。
【図16】図16(A)及び図16(B)は、本発明に於ける地中梁構造ユニットの施工方法の更に別の具体例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明に係る第1の態様である当該建築物用地中梁構造ユニットの具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
即ち、図1(A)は、本発明に於ける当該建築物用地中梁構造ユニット100の一具体例を示す図であって、図中、所定の高さと長さを有する2枚の硬性板状体に形成され、所定の間隔Wで相互に平行的に対向して配置された、硬性材料からなる第1の壁板部20と第2の壁板部21とからなり、当該第1と第2の壁板部20、21間の間隔Wを所定の値に設定する為に、当該第1と第2の壁板部20、21の相互に対向する裏面部22間に固定的に架橋配置された所定の長さを有する複数個の幅決め部材23であって、当該第1と第2の壁板部20、21の長手方向に対して直交する方向で且つ当該長手方向と平行する方向に所定の間隔で配列されている幅決め部材23と、当該第1と第2の壁板部20、21の間の第1の空間領域24内に、当該第1と第2の壁板部20、21の長手方向と平行する方向に配置されている少なくとも一本の横鉄筋25と当該第1と第2の壁板部20、21の高さ方向に平行する方向に配置されると共に、当該第1と第2の壁板部20、21の長手方向と平行する方向に所定の間隔で隣接配置せしめられている複数本の主縦鉄筋26とから構成されている第1の枠体部27と、
当該第1の枠体部27の長手方向に於ける一方の端部28若しくはその近傍部の下端縁部29に当接し、当該第1の枠体部27の長手方向と並行に配置された所定の長さと所定の高さ有する2枚の硬性材料からなる硬性板状体30、31と、当該第1の枠体部27の長手方向と直交して配置された、当該第1の枠体部の幅よりも長い長さを有し、且つ、当該硬性板状体30、31の当該所定の高さと略同じ所定の長さと所定の高さ有する2枚の硬性材料32、33からなる硬性板状側壁部材34により、矩形状に形成された第2の空間領域部35を形成すると共に、当該第2の空間領域部35内に当該第1の枠体部27の長手方向と並行及び直交する複数本の横鉄筋36、37と、当該第1の枠体部27の高さ方向に並行する複数本の縦鉄筋38とが配置されている第2の枠体部39とからなり、且つ当該第1と第2の枠体部27、39は、当該縦鉄筋38により相互に一体的に固定されている事を特徴とする建築物用の地中梁構造ユニット100が示されている。
本発明に係る上記具体例に於いては、当該第1の枠体部27のスペックは、任意であるが、例えば、高さ、長さ及びその幅は20乃至150mmの範囲で適宜設定されるものであり、又当該第2の枠体部39の高さ、長さ及びその幅は20乃至300mmの範囲で適宜設定されるものであって、当該第2の枠体部39の幅は、当該第1の枠体部27の幅よりも大きくなる様に設定される。
更に、本発明に於いては、当該横鉄筋は、相互に平行に、或いは相互に直交して縦横二次元的に配置されるものであり、当該横鉄筋は、水平面に対して、上下方向に複数段配置される事が望ましい。
【0021】
一方当該複数の縦鉄筋は、当該第1の枠体部27及び当該第2の枠体部39の壁板部或いは側壁部材に近接した位置に沿って所定の間隔で垂直に配置される事が好ましく、更には、アンカーボルト或いは柱部が搭載される部位に密に配置されるものである。
この場合、当該アンカーボルト或いは柱支持鉄筋は、当該第1の枠体部27の上端面から上方に所定の長さだけ突出する様に設計される事が望ましい。
つまり、アンカーボルト用の縦鉄筋は、柱支持鉄筋を兼用する事も出来る。
更に、上記した本発明に係る縦鉄筋或いは横鉄筋は、図8に示されている様に、横鉄筋25の外周部を囲繞周回する鉄筋63の一部を利用する事も可能である。
図1(A)は、本発明に於ける一具体例の構成を示したものであって、当該第2の枠体部39の上に2本の第1の枠体部27がL字型に配列されている具体例を示したものであるが、基本的な構成は、図1(B)に示される構造からなりたつものである。
つまり、1個の第2の枠体部39の上に、1個の第1の枠体部27が、当該第2の枠体部39の一つの壁面に対して直交する様に、一体的に搭載され固定されている構造である。
図1(B)に於いて、図1(A)に使用される部材と同一の部材には、図1(A)に使用される符号と同じ符号を付してある。
更に、図1(A)に示す具体例は、当該第2の枠体部39の主要部分にアンカーボルトを配置する為に、当該第1の枠体部27の幅よりも一辺の長さを長く設定した矩形状空間部を構成する第3の枠体部40を設けた具体例を示したものであり、図2(A)には、その平面図が示されているが、係る第3の枠体部40を設ける事は必須ではなく、当該第3の枠体部40を設けない場合の本発明の具体例の構造の平面は、図2(B)に示されている。
図2(B)中で、図2(A)に使用される部材と同一の部材には、図2(A)に使用される符号と同じ符号が付されている。
更に、図3は、上記した本発明に係る地中梁構造ユニット100の一具体例の側面図を示したものであり、図3(A)は、当該第1の枠体部27が当該第2の枠体部39の上面縁部54に沿って搭載配置されている例を示しており、図3(B)は、当該第1の枠体部27の下端縁部47が、当該第2の枠体部39の上面縁部54よりも下方に配置されている具体例を示している。
尚、図3の具体例では、第3の枠体部40を設けない例を示したものである。
即ち、本発明に係る当該地中梁構造ユニット100は、図1に示す様な、予め決定されている建築物に於ける基礎構造体の設計情報に基づいて、当該建築物用基礎の設計情報から得られる当該建築物用基礎構造体の個々の特定の部位に対応する複数種類の個別的な組み立て構造体からなるユニット群100を工場で製造し、当該工場で製造された複数個の個々の地中梁構造ユニット100を所定の住宅の建設現場に搬送し、当該現場で、当該建築物用基礎構造体の設計情報に基づいて、当該複数個の個々の地中梁構造ユニット100を相互に隣接して配置し、相互の地中梁構造ユニット100を相互に接続固定した後、当該地中梁構造ユニット100内にコンクリートを注入して打設するようにし、それをそのまま地中に埋め込み当該建築物用基礎として使用する様に構成したものである。
【0022】
本発明に係る当該地中梁構造ユニット100のそれぞれは、上記したとおり、少なくとも一つの、一対の壁板部20、21と、当該一対の壁板部20、21とその間に配置された主横鉄筋25と主縦鉄筋26からなる格子状の鉄筋群15とが一体的に固定された第1の枠体部27と、当該第1の枠体部27の長手方向に於ける一方の端部28若しくはその近傍部の下端縁部29に当接し、所定の長さと所定の高さ有する4枚の硬性材料からなる硬性板状体30、31、32、33からなる硬性板状側壁部材34により、矩形状に形成された第2の空間領域部35を形成すると共に、当該第2の空間領域部35内に相互に直交する複数本の横鉄筋36、37と、当該第1の枠体部27の高さ方向に並行する複数本の縦鉄筋38とが配置されている第2の枠体部39とが相互に一体的に固定されている構造を有するものである。
本発明に於いては、当該縦鉄筋38は、当該第1枠体部の上縁部を超えて上方に延展されているものであっても良い。
本発明に於ける当該鉄筋群内では、当該縦鉄筋26や当該横鉄筋25が、相互に、或いは、当該固定金具53或いは当該幅決め部材23と、適宜の手段、例えば締結針金、ボルト、ナット、溶接、溶着等の手段により固定された状態で配置形成されている。
【0023】
即ち、本発明に係る当該地中梁構造ユニット100の当該第2の枠体部39は、適宜の捨てコンクリート105或いはラップルコンクリート106等の表面に配置形成される土台部となる基礎構造体を構成する部分を形成する機器に該当し、当該第1の枠体部27は、当該土台部上に配置される鋼材等からなる柱部と隣接する柱部の間を連結する梁部の少なくとも一部を構成する部分を形成する機器に該当するものである。
そして、本発明に係る当該地中梁構造ユニット100は、上記した組み立て構造を呈しているものでありながら、内部にはコンクリートが打設されていないので、軽量であって、作業員が2人で搬送することが可能である。
【0024】
更に、本発明に係る当該地中梁構造ユニット100のそれぞれは、建築現場で形成されるものではなく、予め決定されている建築物用基礎構造体の設計情報に基づいて、所定の部位の地中梁構造ユニット100をそれぞれ個別に工場内で、所定の鋼材、鋼板を切り出し組み立てるものであるので、設計図に指定されているディメンジョン通りの地中梁構造ユニット100が正確に且つ強固に然も効率的に形成され更に、少人数で搬送可能であるので、製造コストが従来に比べて大幅に低減すると同時に耐久性が大幅に向上出来る。
然も、本発明に係る当該地中梁構造ユニット100を組み合わせて形成された図12に示す様な、建築物用基礎構造にコンクリート200を注入して打設養生して得た地中梁構造ユニット100から当該地中梁構造ユニット100を解体したり、取外したりはしないので、当該壁板部20、21と当該鉄筋群15と当該コンクリートとが長期に亘って緊密に接合固着されて一体化されると共に、当該壁板部20、21は、当該コンクリートから分離することなく、そのまま建築物用基礎構造体の一部として使用されるので、コンクリートがひび割れしたり、風化劣化する事も防止されるので、当該建築物用構造体そのものの強度や耐久性は従来の建築物用基礎構造体と比べて大幅に向上出来、100年の耐久性を有する建築物の建設に寄与する事が可能である。
本発明に於ける当該地中梁構造ユニット100の基本的構造は、上記し、図4(A)の平面図に示されている通り、少なくとも1個の第1の枠体部27と第2の枠体部39とが一体的に接合固定されているものであって、当該第1の枠体部27の一端部28が、当該第2の枠体部39の中心部に指向されて配置されており、その他方の端部28’は、当該第2の枠体部39の外周縁部に対して直交した形で外方部に向けて突出している。
当該第2の枠体部39の略中央部には、柱部を形成するH鋼或いはI鋼等が搭載される、後述するアンカーボルト部80が配置される鉄筋群を内蔵し、且つ当該第1の枠体部27の当該長手方向直行する方向の巾の長さよりも広い長さを有する矩形を基本とした第3の枠体部40が設けられるものである。
本発明に於いては、上記した通り、当該第3の枠体部40を使用しない場合もある。
本発明に於いては、当該第2の枠体部39上に設けられる当該第1の枠体部27は、一つに限るものではなく、2つ乃至4つを同時に配置することも可能である。
図4(B)は、当該第2の枠体部39上に2個の当該第1の枠体部27、27’を、当該第3の枠体部40を中心として、相互に90度の角度を呈する様にL字型に配置した例を示しているが、図4(C)に示す様に、3個の当該第1の枠体部27、27’、27”を使用して、当該第3の枠体部40を中心として、相互に90度の角度を呈する様にT字型に配置した構造のものであっても良く、或いは、図4(D)に示す様に、4個の当該第1の枠体部27、27’、27”、27’”を使用して、当該第3の枠体部40を地中梁構造ユニット100中心として、相互に90度の角度を呈する様に十文字型に配置した構造のものであっても良い。
例えば、図4(E)に示す様に、当該第2の枠体部39の平面形状を正方形でなく、長辺と短辺からなる矩形を構成したものであっても良い。
又、本発明に於いては、図4(F)に示す様に、一つの第2の枠体部39に対して、5本の第1の枠体部27を同時に搭載させ、T字型とV字型を組み合わせた形状に配置したものであっても良い。
尚、参考までに、図4(F)に示す地中梁構造ユニット100を使用する場合の当該横鉄筋の配置平面図を図13に示す。
上記それぞれの構造を有する個々の地中梁構造ユニット100は、上記した、建築物の基礎部の設計図情報に基づいて、所定の構造を有する当該地中梁構造ユニット100を所定の基礎構造の部位に配置するものである。
つまり、本発明に係るそれぞれの当該地中梁構造ユニット100は、当該図11に例示されている建築物の基礎構造体設計図から指定された特定の部位に相当する特有の個別の構成をそれぞれ有するものである事は言うまでもない。
【0025】
処で、図1に於ける本発明の当該地中梁構造ユニット100に於いて、当該一対の壁板部20、21は、所定の長さLと所定の高さSを有する矩形状に形成された板状体であって、適宜の金属材料、合成樹脂、更には炭素繊維等の高強力材料を含む複合合成樹脂、又は、当該金属材料或いは合成樹脂に炭素繊維からなる布帛シートを張り合わせた材料、或いは金属材料と合成樹脂を複合させた材料等の硬性材料で形成された板状体で構成された硬性材料で形成されている事が望ましい。
更に、本発明に於いては、当該硬性材料として高耐錆性、高耐腐蝕性、高耐食性を有する鋼板を使用する事が好ましい。
【0026】
本発明に於ける当該壁板部の長さ及び高さは、特定されるものではなく、図11に例示する様に、予め決定されている建築物用基礎構造体設計情報から選択された特定の部位に相当する地中梁構造として当然に要求される長さと高さを有することになる。
尚、当該地中梁構造ユニット100の内、特に当該第1の枠体部27の長手方向の長さは、トラック等で運搬できる範囲の長さに制限されることは言うまでもない。
又、当該柱部間の梁部の長さが長い場合には、後述する図7で示される様な、当該第1の枠体部27の構造を略同じ構造を有する、第4の枠体部50を別途作成し、当該双方の柱部に配置される個々の地中梁構造ユニット100間に配置して連結する様に構成することも可能である。
尚、本発明に於ける当該第4の枠体部50及び当該第1の枠体部27は、布基礎或いはベタ基礎を併用して使用する事が可能である。
【0027】
更に、本発明に於ける当該地中梁構造ユニット100に於いては、当該第1の壁板部20と当該第2の壁板部21とは、予め決定されている所定の間隔Wを介して相互に平行に対向して配置され、且つ地表面Gに対して双方とも垂直に配置されるものである。
具体的には、図1に示す様に当該第1と第2の壁板部20、21は、その対向するそれぞれの裏面部22、22’との間に、所定の長さWと所定の幅及び厚みを有する適宜の硬性材料からなる幅決め部材23を適宜の固定手段、溶接方式或いは接着方式又は、ビス、ボルトナット等の部材を使用して固着することで実現される。
当該第1と第2の壁板部21、21間の間隔Wは、特定されるものではなく、当該建築物の基礎構造体に関する基本設計情報に基づいて決定されるものである。
当該間隔Wは、例えば20乃至150mmとする事が出来る。
当該幅決め部材23は、複数個が当該壁板部20、21の長手方向及び高さ方向に適宜の間隔を介して配置されている事が望ましい。
一方、本発明に於ける当該第1の枠体部27の当該壁板部20、21の外表面41及び又は内表面42に適宜の間隔で、当該第1の枠体部27の高さ方向と並行に複数個の補強材43を設けることも好ましい具体例である。
即ち、本発明において、上記した地中梁構造ユニット100内にコンクリートを打設したときに、当該コンクリートの圧力によって、当該壁板部20、21が膨らみ、均一なコンクリートを形成することが不可能となる場合があるので、係る問題を解決する為に、当該,補強材43を採用したものである。
本発明に於ける当該補強材43は、当該幅決め部材23を固定保持することも可能であり、又、横鉄筋25を保持することも可能である。
尚、本発明に於ける当該補強材43は、鋼製の帯状体或いは板状体を使用することが可能であるが、その他プラスチック、セラミックス、アルミニウム、ステンレス、炭素繊維などの材質も状況によって選択して使用することが出来る。
【0028】
尚、本発明に於ける当該地中梁構造ユニット100に使用されている当該壁板部20、21の少なくとも一方の下端縁部47、48から、当該壁板部20、21の外表面に対して略直交する方向に屈曲して延展されている補助支持部材49が形成されているものであっても良い。
当該補助支持部材49は、当該地中梁構造ユニット100を所定の捨てコンクリート或いはラップルコンクリート上に配置する際に、安定して水平に配置するために使用される。
当該補助支持部材49の屈曲幅は、特に限定されるものではないが、例えば、30〜50mmである事が望ましい。
【0029】
更に、当該壁板部20、21の当該補助支持部材49には、所定の間隔で、ボルト貫通孔部51が適宜の個数形成されており、当該根掘部の底部に形成される捨てコンクリート105或はラップルコンクリート106等に予め所定の間隔で所定の寸法のボルトを予め配置しておき、当該補助支持部材49に設けた当該ボルト貫通孔部51を当該ボルト等と貫通されてナット等で固定することにより、より正確に且つより迅速に当該地中梁構造ユニット100を所定の基礎構造部の所定の部位に配置せしめることが可能となる。
一方、当該壁板部20、21の長手方向に於ける上縁部52には、当該第1及び第2の壁板部20、21の側面表面に対して略直交する方向で且つ当該壁板部20、21が対向する方向に屈曲して延展されている固定金具53が形成されているものであっても良い。
当該固定金具53の幅は特に限定されるものではないが、例えば、15乃至30mmに設定する事が出来る。
係る固定金具53は、例えば、上記した幅決め部材23や、縦鉄筋26或いは横鉄筋25等、或いは当該縦鉄筋26と当該横鉄筋25との交錯点を、適宜の結合固定手段を介して固定保持する機能を有するものである。更に、当該固定金具53は、当該地中梁構造ユニット100の外観形状を美観に保持すると同時に、当該第1の枠体部27内部に打設されるコンクリートとの一体性を強固に保持する事が可能となる他、作業員の作業の安全性の向上にも貢献するものである。
又、当該第1の枠体部27の高さは、当該第1の枠体部27の長手方向に沿って均一な高さを保持しているものであっても良く、或いは、その一部の下端縁部47、48が当該第2の枠体部39の上面部54よりも低い位置に位置する様に設定されるものであっても良い。
又、本発明においては、当該固定金具53は、扁平の板状体で構成されていても良く、或いは円筒状のものを選択して使用することも可能である。
そして、当該固定金具53の材質としては、鋼製材料が一般的であるが、その他プラスチック、セラミックス、アルミニウム、ステンレス、炭素繊維などの材質も状況によって選択して使用することが可能である。
【0030】
更に、本発明に於ける当該地中梁構造ユニット100の当該第1の枠体部27の内部空間領域24内に配置される格子状の鉄筋群15に関して説明するならば、当該鉄筋群15の構成に関しては、特に限定されるものではなく、配置される基礎構造の部位とそこに掛る荷重の設計データに基づいて、当該縦鉄筋26の太さ及び配置本数及び当該横鉄筋25の太さ及び配置本数が適宜に決定されるものである。
図8は、当該第1の枠体部27内に配置される鉄筋群15の構成の一例を示すものであるが、本発明に於いてはこれに限定されるものではない。
即ち、図8に於いては、当該第1と第2の壁板部20,21の間の空間部24内に格子状の鉄筋群15が、当該壁板部20、21との面に並行に挿入配置されているものである。
当該鉄筋群15は、当該第1と第2の壁板部20、21の長手方向に平行して配置され且つ当該壁板部20、21の垂直方向と平行する方向に多段に配置される、つまり高さ方向に所定の間隔を以って配置される、複数本の主横鉄筋群25と、当該第1と第2の壁板部20、21の垂直方向と平行する方向に配置されると共に、当該第1と第2の壁板部20、21の長手方向と平行する方向に所定の間隔で隣接配置せしめられている複数本の主縦鉄筋26とで構成されている。
【0031】
更に、本発明に於ける当該鉄筋群15を構成する当該主横鉄筋26と当該主縦鉄筋25とは、略同一平面上に相互に直交する様に格子状に配列せしめられており、それぞれの交点部分は、針金材を含む適宜の締め付け機能を有する結合固定部材61によって相互に固定せしめられている。
【0032】
更に、当該主横鉄筋26及び当該主縦鉄筋25の少なくとも一方は、上記した当該幅決め部材23の少なくとも一部に、針金材を含む適宜の締め付け機能を有する結合固定部材61’を介して固定的に接合保持されているものであっても良い。
尚、場合によっては、当該主横鉄筋26及び当該主縦鉄筋25の双方が同時に適宜の結合固定部材61’を介して、当該幅決め部材23の少なくとも一部に固定的に接合保持されている構成を採用しても良い。
又、当該鉄筋群15の一部は、当該固定金具53により固定されるものであっても良い。
更に当該、鉄筋群15の一部は、当該主縦鉄筋25の間に配置され、且つ当該主横鉄筋26の周囲を取り囲んで囲繞する様に配置された縦鉄筋26と横鉄筋25との作用を併用する周回鉄筋63を設けることも可能であり、更には、当該地中梁構造ユニット100を工場から建設現場に搬送する途中の振動等の外圧による衝撃等で、当該第1の枠体部27の形状が変化、変形することを防止する為に、適宜の鉄筋からなる斜め鉄筋64を更に付加することも望ましい。
【0033】
又、当該横鉄筋25の長さは、当該第1の枠体27の長手方向よりも長く設定されることが望ましく、特に、後述する第3の枠体部40の内部にまで、延展される様な長さであるか、或いは、他の第1の枠体部27に使用されている横鉄筋25と相互に交差出来る長さであることが望ましい。同様に、当該横鉄筋26は、その一方の端部は、当該第1の枠体27の長手方向の自由端部28’から所定の長さだけ突出して設けられる事が望ましい。
これは、後述する様に、当該第1の枠体部27が別の地中梁構造ユニット100に於ける第1の枠体部と溶接、圧接手段を含む適宜の連結結合手段により連結結合されるか、別途形成された当該隣接する柱部間の梁部構造の一部を構成する第4の枠体部50と連結結合する場合に、図10に示す様に、当該横鉄筋同士を、接合固定させるのに必要である。
【0034】
一方、当該縦鉄筋26は、その長さは、少なくとも当該第1の枠体部27の高さに近い長さであれば良いが、特に後述する様に、第2の枠体部39と一体化させる為に、一部の縦鉄筋26は、当該第1の枠体部27の下端縁部47、48を越えて下方に延展している事が必要である。
又、当該第1の枠体部27の長手方向の自由端部28’には、上記した様に、他の枠体部或いは第4の枠体部50と連結結合させる為の連結手段66が設けられている事が好ましい。
更に、当該第1の枠体部27の当該第1と弟2の壁板部20、21の長手方向の自由端部28’の位置は、接合操作を容易にし、且つ接合部の強度を向上させる為に、相互に異なる様に設定しておく事が望ましい。
次に、本発明に於いて使用される当該第2の枠体部39の具体的な構成例を以下に説明する。
【0035】
即ち、当該第2の枠体部39は、基本的には、図1及び図2に示されている様に、当該第1の枠体部27の長手方向に於ける一方の端部28若しくはその近傍部の下端縁部29に当接し、当該第1の枠体部27の長手方向と並行に配置された所定の長さと所定の高さ有する2枚の硬性材料からなる硬性板状体30、31と、当該第1の枠体部27の長手方向と直交して配置された所定の長さと所定の高さ有する2枚の硬性材料からなる硬性板状体32、33により、矩形状に形成された第2の空間領域部35を形成すると共に、当該第2の空間領域部35内に当該第1の枠体部27の長手方向と並行及び直交する複数本の横鉄筋36、37と、当該第1の枠体部27の高さ方向に並行する複数本の縦鉄筋38とが配置されている第2の枠体部39とからなり、且つ当該第1と第2の枠体部27、39は、当該縦鉄筋38により相互に一体的に固定されているという構成を有する。
そして、本発明に於ける当該第2の枠体部39は、特に建築物の鋼鉄製の柱部が配置されるための土台部を構成する為の鉄筋コンクリートを収容する機能を有しており、その為、当該第2の枠体部39の高さや長さ、幅は、当該建築物に基づく、基礎部の設計情報に基づいて、予想される最大荷重に耐えるに必要な強度と硬度が得られる様に、適宜決定されるものである。
【0036】
従って、当該第2の枠体部39内の第2の空間領域部35内に配置される縦横鉄筋群15のそれぞれの太さや本数並びに配列方向等も上記した基礎部の設計情報に基づいて、それぞれ個別に決定されるものである。
当該硬性材料30、31、32、33からなる4枚の側壁部材34は、何れも同一の所定の長さLと所定の高さSを有する矩形状に形成された板状体であって、適宜の金属材料、合成樹脂、更には炭素繊維等の高強力材料を含む複合合成樹脂、又は、当該金属材料或いは合成樹脂に炭素繊維からなる布帛シートを張り合わせた材料、或いは金属材料と合成樹脂を複合させた材料等の硬性材料で形成された板状体で構成された硬性材料で形成されている事が望ましい。
更に、本発明に於いては、当該硬性材料として高耐錆性、高耐腐蝕性、高耐食性を有する鋼板を使用する事が好ましい。
【0037】
次に、当該第2の枠体部39内の空間領域部35内に配置される鉄筋群60の一具体例について説明するならば、図5から明らかな様に、少なくとも当該空間領域部35内で、水平方向に縦方向に配置された複数本の水平縦鉄筋36と当該水平縦鉄筋36に対して直交する角度を以て配置された複数本の水平横鉄筋37とからなる格子状水平鉄筋群65が少なくとも一層配置されるものであり、当該基礎構造部の設計情報に基づいて、当該格子状水平鉄筋群65が高さ方向に2層乃至3層に配置されるものであっても良い。
一方、当該空間領域部35内には、必要に応じて、当該格子状水平鉄筋群65に対して、当該第2の枠体部39の高さ方向に平行に適宜の高さを有する複数本の縦鉄筋38が、上記した様な配列形式で設けられるものである。
特に、前記した当該第1の枠体部27の配置領域と重複する当該第2の枠体部39の領域部には、当該第1と第2の枠体部27、39を相互に接合固定する為に必要な主縦鉄筋38が配置されている事が好ましい。
当該主縦鉄筋38は、他の縦鉄筋よりも太さが太く、長さも当該第2の枠体部39の上面部54近傍に到達するかそれを超える様な長さである事が望ましい。
当該縦鉄筋38は、柱支持鉄筋として使用される場合もある。
更に、本発明に於いては、当該主縦鉄筋38は、前記した第1の枠体部27の縦鉄筋26と溶接、圧接手段を含む適宜の連結固定手段を介して、相互に連結固定される事が望ましく、場合によっては、当該第1と第2の枠体部27、39を一体的に固定保持する為に、当該第1と第2の枠体部27、39を縦方向に貫通する複数本の縦鉄筋を使用することも可能である。
又、当該縦鉄筋38は、連続する1本の鉄筋材料で構成されているものであっても良い。
【0038】
一方、当該第2の枠体部39には、上記した第1の枠体部27と同様に、本発明に於ける当該第2の枠体部39の当該側壁部材34の外表面67及び又は内表面68に適宜の間隔で、当該側壁部材34の高さ方向と並行に複数個の補強材43を設けることも好ましい。
即ち、本発明において、上記した地中梁構造ユニット100内にコンクリートを打設したときに、当該コンクリートの圧力によって、当該第2の枠体部39に於ける当該側壁部材34が膨らみ、均一なコンクリートを形成することが不可能となる場合があるので、係る問題を解決する為に、当該,補強材43を採用したものである。
本発明に於ける当該補強材43は、当該複数本の水平縦鉄筋36と水平横鉄筋37とからなる格子状水平鉄筋群65の何れかの鉄筋を結合保持する事も可能で有る。
尚、本発明に於ける当該補強材43は、鋼製の帯状体或いは板状体を使用することが可能であるが、その他プラスチック、セラミックス、アルミニウム、ステンレス、炭素繊維などの材質も状況によって選択して使用することが出来る。
【0039】
尚、本発明に於ける当該地中梁構造ユニット100に使用されている当該第2の枠体部39に於ける当該側壁部材34の下端縁部66から、当該側壁部材34の外表面に対して略直交する方向に屈曲して延展されている補助支持部材67が形成されているものであっても良い。
当該補助支持部材67は、当該地中梁構造ユニット100を所定の捨てコンクリート105或いはラップルコンクリート106上に配置する際に、安定して水平に配置するために使用されると共に、注入されたコンクリートが漏えいしないような機能を合わせて有している。
当該補助支持部材67の屈曲幅は、特に限定されるものではないが、例えば、30〜50mmである事が望ましい。
【0040】
更に、当該補助支持部材67には、所定の間隔で、ボルト貫通孔部51が適宜の個数形成されており、当該根掘部の底部に形成される捨てコンクリート或はラップルコンクリート等に予め所定の間隔で所定の寸法のボルトを予め配置しておき、当該補助支持部材67に設けた当該ボルト貫通孔部51を当該ボルト等と貫通されてナット等で固定することにより、より正確に且つより迅速に当該地中梁構造ユニット100を所定の基礎構造部の所定の部位に配置せしめることが可能となる。
即ち、本発明に於いては、当該捨てコンクリート105若しくはラップルコンクリート106の表面に予め適宜の鉄筋を埋め込むことが好ましい具体例である。
一方、当該側壁部材34の長手方向に於ける上縁部54には、当該側壁部材34の側面表面に対して略直交する方向で且つ当該側壁部材34の内部の第2空間領域部35内にむけて屈曲して延展されている固定金具53が形成されているものであっても良い。
当該固定金具53の幅は特に限定されるものではないが、例えば、15乃至30mmに設定する事が出来る。
係る固定金具53は、例えば、上記した水平縦鉄筋36或いは水平横鉄筋37或いは縦鉄筋38等を適宜の結合固定手段を介して固定保持する機能を有するものである。更に、当該固定金具53は、当該地中梁構造ユニット100の外観形状を美観に保持すると同時に、当該第2の枠体部39内部に打設されるコンクリートとの一体性を強固に保持する事が可能となる他、作業員の作業の安全性の向上にも貢献するものである。
更に、当該第2の枠体部39のそれぞれの相互に対向する当該側壁部材34の上部縁部54間に、当該第2の空間領域部35上を架橋する様に配置された複数本の当該固定金具53を縦方向及び横方向に格子状に配置したものであっても良い。
つまり、当該第2の枠体部39の上面部縁部54に於いて、相互に対向する当該硬性板状側壁部材34との間に、当該第2の枠体部39の当該空間領域上を、当該第1及び第3の枠体部27、40とそれぞれ干渉しない様に、架橋されている固定金具53が設けられている。
本発明に於いては、当該第2の枠体部39の上面部54は、コンクリートの注入を効率的に且つ高速に実行する為に、当該第1の枠体部27が重畳されている部分を除き、開放されている事が望ましい。
【0041】
次に、本発明に於いて、当該第1と第2の枠体部27、39を一体化する為の両者の配置構成について以下に説明する。
即ち、本発明に於いて、当該第1の枠体部27と第2の枠体部39とは、基本的には図4(A)に示す様に、当該第2の枠体部39の上面54上に当該第1の枠体部27の長手方向軸が、当該第2の枠体部39いずれかの側壁部材34の長手方向と直交する様に配置されており、当該第1の枠体部27の長手方向に於ける一方の端部28が、当該第2の枠体部39に於ける柱部を受ける部分、即ち後述する第3の枠体部40と接続され、又、当該第1の枠体部27の長手方向に於ける他方の端部28’が、当該第2の枠体部39の側壁部材34と直交して外方に延展する様に配置するものである。
尚、当該第2の枠体部39上に搭載される当該第1の枠体部27は、一つに限るものではなく、図4(B)、図4(C)及び図4(D)等に示す様に、2乃至4個の当該第1の枠体部27が使用され、その配置形態は、L字型、T字型、十文字型などが具体例として挙げられる。
即ち、第2の具体例としては、2個の当該第1の枠体部27、27’が、当該第2の枠体39上で、当該第3の枠体40を中心として、互いに直交する角度で配置されている構造であり、第3の具体例としては、3個の当該第1の枠体部27、27’、27”が、当該第2の枠体39上で、当該第3の枠体40を中心として、互いに直交する角度で且つT字型を形成する様に配置されている構成である。
そして、第4の具体例としては、図4(D)に示す様に、4個の当該第1の枠体部27、27’、27”及び27’”が、当該第2の枠体39上で、当該第3の枠体40を中心として、互いに直交する角度で且つ十文字型を形成する様に配置されている構造を有するものである。
【0042】
此処で、上記した当該第2の枠体部39上に形成される、当該柱部を搭載する為の第3の枠体部40の構造の具体例に付いて以下に説明する。
即ち、図1乃至図2に示されている様に、当該第3の枠体部40は、当該第2の枠体部39の上面54上に配置されており、当該第1の枠体部27の端部28に、当該第1の枠体部27の当該第1及び第2の壁板部20、21から所定の接続壁板部70を介して、当該第1の枠体部27の長手方向に延展された、当該第1の枠体部27の幅間隔Wよりも広い幅間隔で配置されている少なくとも2枚の延展壁部73、73’で規定された、当該第3の枠体部40の領域内に設けられている第3の空間領域部74であって、当該第3の空間領域部74内に、当該第1の枠体部27の横鉄筋25と並行に配置された横鉄筋25’と、当該第1の枠体部27内の縦鉄筋26と平行に配置された縦鉄筋38’とが配置されている構成を有している。
そして、当該第3の枠体部40は、基本的には、4枚の当該延展壁部73で構成された矩形状の区間領域部であるが、当該第1の枠体部の一つ或いはその複数個が接続される形態にあっては、当該延展壁部73の一部あるいは大部分が当該第1の枠体部27の空間領域部35と連通する通路を形成することになる。
更に、当該第3の枠体部40の当該延展壁部73の外方表面或いは内方表面には、前記した様な、補強材43や、当該延展壁部73の上縁部には、前記した様な、固定金具53が併用されるものであっても良い。
又、当該第3の枠体部40の当該横鉄筋25’は、当該第1の枠体部27で使用されている横鉄筋25と一体化されているものであっても良く、又、当該縦鉄筋38’は、当該第2の枠体部39に使用されている縦鉄筋38と一体化されているものであっても良い。
そうでない場合には、その両者の縦鉄筋同士又は横鉄筋同士は、締結手段、かしめ接合手段、溶接手段、圧接手段等を含む適宜の接合手段により連結されることが望ましい。
本発明に於ける当該第3の枠体部40は、当該第2の枠体部39の平面図から見て、略中央部に配置されることが望ましいが、上記建築物の基礎構造に関する設計データに基づいて、当該第3の枠体部は、当該第2の枠体部の領域内で自由にその配置位置を変更させる事が出来る。
【0043】
次に、当該第3の枠体部40には、当該第1の枠体部27の高さ方向に平行する方向に、当該建築物の柱部が搭載されるアンカーボルト80が設けられている事が好ましい。
当該アンカーボルト80の本数或いは太さ等に関しては、上記した基礎設計データ情報に基づいて適宜決定されるものであり、その配置状態も当該基礎設計情報に基づいて決定されるものである。
図2では、当該アンカーボルト80の配置の一例として、8本のアンカーボルト80が、当該第3の枠体部40の略中心部を中心として略円形を形成する様に配置されている。
又、本発明に於ける当該地中梁構造ユニット100に於いては、当該第3の枠体部40内の空間部領域74内で、アンカーボルト80は、当該縦鉄筋38、38’と平行して配置されると共に、当該横鉄筋25、25’と適宜の固定手段を介して固定されているが、完全固定ではなく、当該アンカーボルト80の高さ若しくは、水平方向の位置が建築工事現場で調整できる様に仮止め固定されている状態にしておく事が、望ましい具体例である。
その為に、図6に示す様に、当該複数個のアンカーボルト80は、それ自身が、外部から回転力を印加させることにより、当該アンカーボルト80の頂点部の位置が上下に微調整できる様な機構を内蔵するものであることが望ましく、一方、当該複数個の当該アンカーボルト80のそれぞれの先端部近傍を適宜の板状体で構成されたアンカーボルト調整板83に係合させると共に、当該アンカーボルト調整板83を適宜のブラケット部84に搭載し、当該ブラケット部84を水平な任意の方向に微動可能に形成することによって、当該アンカーボルト80の水平方向の位置を設計図に決定された位置に調整する様に構成することが望ましい。
【0044】
次に、上記した様に、本発明に於いては、当該それぞれの地中梁構造ユニット100を所定の建築物用の基礎構造部の予め定められた部位に配置固定するものであるが、当該1の地中梁構造ユニット100の当該第3の枠体部40に搭載される柱部と隣接する当該他の地中梁構造ユニット100の当該第3の枠体部40’に搭載される柱部との間がかなり長い場合には、当該隣接配置されたそれぞれの地中梁構造ユニット100に於ける当該第1の枠体部27同士が連結不可能である場合があり、その為に、その空間の梁を構成する必要があり、本発明では、以下に記載する第4の枠体部50を使用して、上記問題を解決するものである。
即ち、図7に示す様に、所定の高さと長さを有する2枚の硬性板状体90、91に形成され、所定の間隔Wで相互に平行的に対向して配置された、硬性材料からなる第1の板状壁部90と第2の板状壁部91と、当該第1と第2の板状壁部90、91の間の間隔Wを所定の値に設定する為に、当該第1と第2の板状壁部90、91の相互に対向する裏面部間に固定的に架橋配置された所定の長さを有する複数個の幅決め部材23であって、当該第1と第2の壁板部90、91の長手方向と平行する方向に所定の間隔で配列されている幅決め部材23と、当該第1と第2の板状壁部90、91の間に於いて、当該第1と第2の板状壁部90、91の長手方向と平行する方向に配置されている少なくとも一本の主横鉄筋25と、当該第1と第2の板状壁部90、91の間に於いて、当該第1と第2の板状壁部90、91の垂直方向と平行する方向に配置されると共に、当該第1と第2の板状壁部90、91の長手方向と平行する方向に所定の間隔で隣接配置せしめられており、且つ当該主横鉄筋25と係合固定されている複数本の主縦鉄筋26とから構成された第4の枠体50を別途用意するものである。
当該第4の枠体部50の高さ及び幅は、当該第1の枠体部27の高さ及び幅と同一に設計されるが、当該第4の枠体部50の長手方向の長さは、必要に応じて自由に設定することが可能である。
【0045】
更に、当該第4の枠体部50の長手方向の両端部93、93’には、当該第1の枠体部27の自由端部28’と接合可能な適宜の接合手段92が設けられているものである。
尚、当該第4の枠体部50を構成する第1と第2の板状壁部90、91の長さは、相互に異なる様に設定しておく事が望ましい。
更に、当該第4の枠体部50には、当該第1乃至第3の枠体部27、39、40等に設けられた、当該固定金具53、当該補強部材43、或いは補助指示部材49等が適宜設けられるものである。
そして、当該第1の枠体部27の自由端部28’に設けられている当該連結結合手段66と当該第4の枠体部50の当該連結結合手段92とを所定の連結手段110により連結し固定することで、所定の梁構造が完成する。
同時に、図10に示す様に、当該横鉄筋25、25’同士を適宜の連結結合手段111を使用して連結結合するものである。
そして、本発明の当該地中梁構造ユニット100は、建築現場とは異なる工場内で形成され、当該建築現場に設置された後に、当該地中梁構造ユニット内にコンクリートが注入される様に構成されている事を特徴とする地中梁構造ユニットであり、また、本発明の第2の態様としては、図12に示す様に、当該地中梁構造ユニット100内にコンクリート200が注入されて一体化されている事を特徴とする地中梁構造101である。
【0046】
又、本発明に係る当該地中梁構造体ユニット100内に打設されるコンクリートは, 当該地中梁構造体100内に均一に打設されることが,望ましく、本発明に係る当該地中梁構造体ユニット100は、コンクリートを均一に注入するのに最適な構造を有しているのである。
此処で、上記した図4(F)の具体例に於ける横鉄筋の配置例を図13参照して説明する。
即ち、図13に示す通り、当該第2の枠体部39の平面形状を変形6角形状とし、その上に第1の枠体部27−1、27−2、27−3、27−4、27−5をそれぞれ相互に所定の角度を介して配置したものであり、それぞれの第1の枠体部27内の横鉄筋は、当該第2の枠体部39の略中央部で、相互に重複する様な状態で重畳されるものである。
本具体例に於いては、5本の第1の枠体部が集中している中央部では、5つの方向から挿入されたそれぞれの横鉄筋が相互に且つ上下方向の配置位置を調整された上で、相互にバッティングすることなく、交差しており、当該それぞれの横鉄筋間に形成された適宜の大きさの空間部の一部には、複数本の縦鉄筋が挿入配置され、上方から見た場合には、当該縦鉄筋により略矩形状の縁部が形成されている様に配置される事も好ましい具体例である。
上記した本発明に係る当該地中梁構造ユニット100に於いて、図4(C)の具体例(第3の枠体部40を使用したもの)に於ける、鉄筋群を省略した壁板部と当該第2の枠体部39の側壁部との配置構成図の概略外観図を図14に示す。
又、本発明に於ける具体例に於いては、当該第2の枠体部の上面部縁部に於いて、相互に対向する当該硬性板状側壁部材との間に、当該第2の枠体部の当該空間領域上を、当該第1及び第3の枠体部と干渉しない様に、架橋されている固定部材が設けられている事も好ましい具体例である。
【0047】
その他、本発明に係る当該地中梁構造ユニット100の他の好ましい具体例としては、
当該第2の枠体部の上面部は、当該第1の枠体部が重畳されている部分を除き、開放されている事を特徴とする地中梁構造ユニットであり、又、当該第1と第2の壁板部、当該側壁部材及び当該延展壁部の少なくとも何れかの外側壁面若しくは内側壁面に補強部材43が設けられている事を特徴とする地中梁構造ユニットであっても良い。
更に、本発明に於いては、当該第1と第2の壁板部、当該側壁部材及び当該延展壁部の少なくとも何れかの上側縁部に沿って、当該各枠体部の内部空間領域方向に向けて屈曲して一体的に形成された固定部材53、153が設けられている事も好ましい具体例であり、更には、当該第2の枠体部の上面部縁部に於いて、相互に対向する当該硬性板状側壁部材との間に、当該第2の枠体部の当該空間領域上を、当該第1及び第3の枠体部と干渉しない様に、架橋されている固定部材56が設けられている事も望ましい具体例の一つである。
【0048】
その他、本発明に於ける地中梁構造ユニット100に於いて、当該第3の枠体部内、若しくは、当該第2の枠体部内で、当該第1の枠体部の当該第2の枠体部内に配置されている端部に対向する部位には、当該第1の枠体部の高さ方向に並行する方向に、当該建築物の柱部を搭載するアンカーボルト80が設けられているもので有っても良く、更には、当該アンカーボルトは、当該横鉄筋と適宜の固定手段を介して固定されているが、完全固定ではなく、当該アンカーボルトの高さ若しくは、水平方向の位置を建築工事現場で調整できる様に仮止め固定されている様に構成されているものであっても良い。
即ち、当該アンカーボルトは、当該第3の枠体部に設けられた適宜のブラケット部を介して水平方向に変位可能に取り付けられているアンカーボルト固定板に保持されている様な構成を採用する事も可能である。
【0049】
又、本発明に於ける当該地中梁構造ユニット100の別の具体例としては、当該第3の枠体部内若しくは、当該第2の枠体部内で、当該第1の枠体部の当該第2の枠体部内に配置されている端部に対向する部位には、当該第1の枠体部の高さ方向に並行する方向に、当該建築物の柱部を搭載する複数本の柱部支持鉄筋群が設けられている事も望ましい具体れであり、さらに、当該柱部支持鉄筋は、当該第1の枠体部の上端面を超えて上方に延展されている事も好ましい具体例である。
尚、図4(F)に関連する本発明の地中梁構造ユニット100は、4個以上の当該第1の枠体部が、当該第2の枠体上で、相互に所定の角度を形成する様に多方面的に配置されているという構成を有するものである。
更に、上記した本発明に於ける当該地中梁構造ユニットに於いて、1の当該地中梁構造ユニットを構成する当該第1の枠体部に於ける自由端部には、他の当該地中梁構造ユニットを構成する当該第1の枠体部に於ける自由端部と連結接合することが可能な連結接合手段が設けられている事が必要である。
【0050】
一方、本発明に於いて、相互に隣接する当該地中梁構造ユニット同士の間隔がかなり存在する場合には、別途容易した後述する第4の枠体部50を使用してその間隙を埋めて連続した地中梁構造を構成する事も可能である。
即ち、本発明に係る、当該地中梁構造ユニット間に於いて、1の当該地中梁構造ユニットを構成する当該第1の枠体部に於ける自由端部には、所定の高さと長さを有する2枚の硬性板状体に形成され、所定の間隔で相互に平行的に対向して配置された、硬性材料からなる第1の板状壁部と第2の板状壁部と、当該第1と第2の板状壁部の間の間隔を所定の値に設定する為に、当該第1と第2の板状壁部の相互に対向する裏面部間に固定的に架橋配置された所定の長さを有する複数個の幅決め部材であって、当該第1と第2の壁板部の長手方向と平行する方向に所定の間隔で配列されている幅決め部材と、当該第1と第2の板状壁部の間に於いて、当該第1と第2の板状壁部の長手方向と平行する方向に配置されている少なくとも一本の主横鉄筋と、当該第1と第2の板状壁部の間に於いて、当該第1と第2の板状壁部の垂直方向と平行する方向に配置されると共に、当該第1と第2の板状壁部の長手方向と平行する方向に所定の間隔で隣接配置せしめられており、且つ当該主横鉄筋と係合固定されている複数本の主縦鉄筋とから構成された第4の枠体の長手方向に於ける一方の自由端部と連結接合することが可能な連結接合手段が設けられている事を特徴とする地中梁構造ユニットとする事も可能である。
【0051】
又、本発明に於ける地中梁構造ユニット100に於いては、
当該第1と第2の壁板部、当該側壁部材、当該延展壁部若しくは当該第1と第2の板状壁部は、適宜の金属材料、合成樹脂、更には炭素繊維等の高強力材料を含む複合合成樹脂、又は、当該金属材料或いは合成樹脂に炭素繊維からなる布帛シートを張り合わせた材料、或いは金属材料と合成樹脂を複合させた材料等の硬性材料で形成された板状体である事が望ましい。
更に、本発明に於いて、当該硬性材料で形成された板状体が金属材料の板状体である場合には、錆発生防止効果を有する金属鋼板が使用される事も好ましい具体例である。
本発明に於ける別の態様としては、当該地中梁構造ユニットは、建築現場とは異なる工場内で形成され、当該建築現場に設置された後に、当該地中梁構造ユニット内にコンクリートが注入される様に構成されている構造を有するものであって、且つ当該地中梁構造ユニット内にコンクリートが注入されて一体化されている事を特徴とする地中梁構造である。
【0052】
そして、本発明に係る第3の態様としては、当該地中梁構造を施工する方法であって、具体的には、前記した様に、予め決定された建築物用基礎部の設計情報に基づいて、当該建築物用基礎部の設計情報から得られる当該建築物用基礎部の個々の部位に対応する複数種類の個別的な組み立て構造を有する地中梁構造ユニット群を工場内で製造する工程、
当該工場で製作された複数種類の当該地中梁構造ユニットを、当該建設現場に搬送する工程、
当該建設現場に於いて、当該建築物用基礎部の設計情報に基づいて、当該建築物用基礎部が配置される予定の地面に予め配された捨てコンクリート若しくはラップルコンクリート等の表面に、当該建築物用基礎部の設計情報に基づいて、当該搬送されてきた複数個の当該地中梁構造ユニットのそれぞれを、予め定められた部位に個別に且つ相互に連接するように配置設置する工程、
相互に隣接して配置された当該地中梁構造ユニットの接合端縁部同士、及び横鉄筋同士を適宜の連結手段を使用して連結接合する工程、
相互に隣接する当該地中梁構造ユニット内の横鉄筋同士若しくは縦鉄筋同士、或いは当該縦鉄筋及び横鉄筋とを、適宜の連結手段を介して相互に締結する工程、
建築物用の地中梁構造ユニット群のそれぞれの枠体部の内部空間部内にコンクリートを注入する工程、
当該コンクリートを養生させる工程、
とから構成されている建築物用の地中梁構造の施工方法である。
【0053】
更に、本発明に於ける当該地中梁構造の施工方法としては、当該第3の枠体部内に配置
されている当該アンカーボルトの配置高さ及び配置位置を調整する工程が更に設けられている事を特徴とする建築物用の地中梁構造の施工方法である。
即ち、本発明に係る第3の態様としては、先ず地中梁構造体ユニット100を製造する工場から、建築物の基礎構造部の形成に必要複数個の地中梁構造体ユニット100をトラックなどに積載して建設現場に搬入し、クレーン等により地中梁構造体ユニット100を1体づつ、設計データに基づいて順次に架設配置して行く。
当該地中梁構造体ユニット100を複数数体敷設したところで,適宜の現場専用鉄筋を挿入し、当該地中梁構造体ユニット100内にある横鉄筋と接合し、溶接、圧接、金属線による締結、ボルト、ナット、かしめ操作等の適宜の連結接合作業が完了した後、主鉄筋26及び横鉄筋25との交点を細い鉄線などにより緊結する。
上記作業を繰り返すことにより、地中梁の敷設が完了し、コンクリートを最後に全体に打設することにより完成する。
コンクリートが固化すると、コンクリート、地中梁構造体1が一体化して、剛性構造となり、大きな剛性をもち、しかも従来の地中梁に比べて高い剛性の地中梁ができるので、従来の技術を使用した場合より捨てコンクリート105の厚さを短くでき、捨てコンクリート105の数を少なくする事ができる。
【0054】
また、当該地中梁構造体ユニット100の本体が地中梁の外壁を構成することになるので、コンクリート型枠を組んだり、これを外したりする必要がない。
さらに、仮設材をまったく設けずに地中梁構造体101を施工することが可能となる。
即ち、本発明に於ける地中梁の施工方法としては、基本的には、上記した構成からなる当該地中梁構造体ユニット100を捨てコンクリート105上に敷設する工程及び当該地中梁構造体ユニット100の該空間領域内にコンクリートを注入する工程とから構成されているものであり、又他の態様としては、複数の当該地中梁構造体ユニット100を縦横の方向に直線または曲線状に配置隣接させ、それぞれの当該地中梁構造体ユニット100の互いに隣接する端部同士を互いに連結する工程、当該連結された地中梁構造体にコンクリートを注入する工程とから構成されている地中梁の施工方法である。
上記した本発明に係る地中梁の構造及びその施工方法は、一般的な住宅の基礎部に使用されるものであるが、特には、建造物自体が大型で重量が大きな建造物、例えば、3階以上と高層住宅、高層マンション、平地の工場、倉庫等の建造物の基礎部として使用されることが望ましい。
【0055】
更に本発明に於ける第3の具体例の別の態様としては、当該第3の枠体部内に配置されている当該アンカーボルトの配置高さ及び配置位置を調整する工程が更に設けられている構成を有するもので有っても良く、更には、当該捨てコンクリート若しくはラップルコンクリートの表面に予め適宜の鉄筋を埋め込む工程が更に設けられている工程が付加されているものであっても良い。
又、本発明に於ける当該第3の具体例の更なる態様としては、当該地中梁構造ユニットを配置する予定の水平な面で構成された基礎部であって、当該アンカーボルト部若しくは当該柱部支持鉄筋部38が配置される予定の領域に於ける周辺部位の少なくとも2か所の位置に、予め複数本の固定支持鉄筋群100を当該基礎部の水平面に対して垂直に配置固定する工程、
当該地中梁構造ユニットを、その底面部が、当該基礎部の表面に当接せしめる様に上方から下降させ、且つ当該地中梁構造ユニットの当該アンカーボルト部若しくは当該柱部支持鉄筋部38が当該予定領域部と対向し、又当該地中梁構造ユニットの当該第1の枠体部の一部が、当該固定支持鉄筋群にかぶさる様に配置させる工程、及び、当該固定支持鉄筋群と当該地中梁構造ユニット内に配置されている少なくとも横鉄筋とを適宜の接合固定手段により結合する工程、とが更に設けられてい建築物用の地中梁構造の施工方法であっても良い。
つまり、本発明に於いて、当該地中梁構造ユニット100のサイズが大型である場合には、当該地中梁構造ユニット100を所定の部位に配置設定することに、かなり厳しい設定作業が要求されると同時に、所定の地面との安定した固定状態を実現する為に、単なる配置では不十分な場合が多く、従って、係る問題点を効果的に回避する為に、上記した施工方法を導入する事が望ましい。
【0056】
即ち、本具体例を図4(E)に示す様な形状を有する地中梁構造ユニット100を使用する場合に付いて説明するならば、図15(A)は、図4(E)に示す地中梁構造ユニット100の一具体例の斜視図を示すものであり、図1乃至図2に於いて使用されている部材と同一部材に対しては、図1乃至図2で使用されたと同一の符号を使用するものである。
具体的には、先ず図15(A)に示された当該地中梁構造ユニット100を所望の基礎構成領域の所定の部位に基礎設計情報に沿って配置するものであるが、本具体例では、図15(B)及び図15(C)で示す様に、当該地中梁構造ユニット100を配置する予定の水平な面で構成された基礎部の表面(例えば、水平に設定されているコンクリート面或いはラップルコンクリート面)120であって、当該アンカーボルト部80若しくは当該柱部支持鉄筋部38が配置される予定の領域121に於ける周辺部位の少なくとも2か所の位置に、予め複数本の固定支持鉄筋群110を当該基礎部の水平面120に対して垂直に配置固定するものである。
当該複数本の固定支持鉄筋群110の高さ及び本数、或いは当該鉄筋の太さ等は、特に限定されるものではないが、強度計算結果に対応する結果に従って適宜設定する事が好ましい。
【0057】
具体的には、当該固定支持鉄筋群110の高さは、当該基礎部水平面120から当該地中梁構造ユニット100の当該第1の枠体部27に設置された水平鉄筋の少なくとも一部と交差して、締結、溶接固定が可能となる様な程度の高さである事が望ましい。
更に、本具体例に於いては、当該固定支持鉄筋群110の配置部位は、図15(C)で示す様に、当該アンカーボルト部80若しくは当該柱部支持鉄筋部38が配置される予定の領域121の両側に対象的に配置するものであり、且つ当該固定支持鉄筋群110は、それぞれ円環状に配列されている事が好ましいが、その他の形状、例えば四角形状に配置されるものであっても良い。
更に、本具体例に於いては、当該固定支持鉄筋群110が配置されている上方から、図15(A)に示された当該地中梁構造ユニット100を下降させて、当該双方の円環状固定支持鉄筋群110を、当該地中梁構造ユニット100のそれぞれの第1の枠体部27内に取り込む様に覆いかぶせて設定固定操作を完了させるのである。
この際、主として、当該第1の枠体部27に既に配置されている横鉄筋25の少なくとも一部が当該固定支持鉄筋群110と適宜の接合固定手段を使用して固定締結される。
更に望ましくは、図16(A)に示す様に、当該第1の枠体部27に予め、既に配置されている横鉄筋25に加えて別の補強横鉄筋111を追加的に配置しておく事も望ましい。
尚、図16(A)は、図15(C)の底面図であって、主たる横鉄筋25と主たる縦鉄筋26は、省略されている。
【0058】
一方、当該地中梁構造ユニット100の略中央部である、上記領域121に対応する部分には、相互に直角に交差する横鉄筋25に加えて、アンカーボルト80或いは適宜の柱部支持鉄筋部38及び通常の縦鉄筋26等が例えば、相互に接合固定されているか、或いは、当該柱部支持鉄筋部38及び通常の縦鉄筋26等が適宜の囲繞鉄筋により角柱状或いは円柱状に結束されて保持された構造112を有しているものであっても良く、当該縦鉄筋群の下端部は、例えば、図16(B)に示す様に、上記した固定支持鉄筋群110を被覆した際に、横方向に屈曲させて、当該固定支持鉄筋群110の一部と接合固定しておく事も望まし具体例である。
又、更に別の具体例としては、上記した角柱状或いは円柱状に結束されている当該アンカーボルト80或いは適宜の当該柱部支持鉄筋部38及び通常の縦鉄筋26等の群からなる構造体112を予め別体として形成しておき、当該アンカーボルト80或いは適宜の当該柱部支持鉄筋部38及び通常の縦鉄筋26等が予め設けられていない当該地中梁構造ユニット100を上記した様に、当該固定支持鉄筋群110上に覆いかぶせた後に、当該角柱状或いは円柱状に結束されている当該アンカーボルト80或いは適宜の当該柱部支持鉄筋部38及び通常の縦鉄筋26等の鉄筋群からなる当該構造体112を後から、当該地中梁構造ユニット100内に上方から下降させて挿入した後、個々の交差接近している鉄筋同士を適宜の結合締結手段を使用して固定する様にしたもので有っても良い。
【符号の説明】
【0059】
15…格子状の鉄筋群
20…第1の壁板部
21…第2の壁板部
23…幅決め部材
24…第1の空間領域
25、36、37…横鉄筋
26、38、38’…縦鉄筋
27…第1の枠体部
30、31、32、33…硬性板状体
34…硬性板状側壁部材
35…第2の空間領域
36…水平縦鉄筋
37…水平横鉄筋
39…第2の枠体部
40…第3の枠体部
43…補強部材
49…補助支持部材
50…第4の枠体部
53…固定金具
54…第2の枠体部の上面部
56…固定部材
61、61’…結合固定部材
63…周回鉄筋
64…斜め鉄筋
65…格子状水平鉄筋群
66、92…連結接合手段
67…補助支持部材
70…接続壁板部
73、73’…延展壁部
74…第3の空間領域部
80…アンカーボルト
90、91…硬性板状
100…地中梁構造ユニット
101…地中梁構造体
105…捨てコンクリート
106…ラップルコンクリート
110…固定支持鉄筋群
111…補強横鉄筋
112…鉄筋構造体
120…コンクリート面
121…アンカーボルト部、柱部支持鉄筋部の配置予定領域
156…固定部材
200…コンクリート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の高さと長さを有する2枚の硬性板状体に形成され、所定の間隔で相互に平行的に対向して配置された、硬性材料からなる第1の壁板部と第2の壁板部とからなり、当該第1と第2の壁板部の間の間隔を所定の値に設定する為に、当該第1と第2の壁板部の相互に対向する裏面部間に固定的に架橋配置された所定の長さを有する複数個の幅決め部材であって、当該第1と第2の壁板部の長手方向に対して直交する方向で且つ当該長手方向と平行する方向に所定の間隔で配列されている幅決め部材と、当該第1と第2の壁板部の間の第1の空間領域内に、当該第1と第2の壁板部の長手方向と平行する方向に配置されている少なくとも一本の横鉄筋と当該第1と第2の壁板部の高さ方向に平行する方向に配置されると共に、当該第1と第2の壁板部の長手方向と平行する方向に所定の間隔で隣接配置せしめられている複数本の主縦鉄筋とから構成されている第1の枠体部と、
当該第1の枠体部の長手方向に於ける一方の端部若しくはその近傍部の下端縁部に当接し、当該第1の枠体部の長手方向と並行に配置された所定の長さと所定の高さ有する2枚の硬性材料からなる硬性板状体と、当該第1の枠体部の長手方向と直交して配置された
当該第1の枠体部の幅よりも長い長さを有し、且つ当該第1の枠体部の当該所定の高さと同じ高さを有する2枚の硬性材料からなる硬性板状側壁部材により、矩形状に形成された第2の空間領域部を形成すると共に、当該第2の空間領域部内に当該第1の枠体部の長手方向と並行及び直交する複数本の横鉄筋と、当該第1の枠体部の高さ方向に並行する複数本の縦鉄筋とが配置されている第2の枠体部とからなり、且つ当該第1と第2の枠体部は、
少なくとも、当該第2の枠体部の縦鉄筋及び当該第1の枠体部の横鉄筋とを部分的に結合することにより相互に一体的に固定されている事を特徴とする建築物用の地中梁構造ユニット。
【請求項2】
当該第2の枠体部の上面に配置されており、当該第1の枠体部の端部に、当該第1の枠体部の当該第1及び第2の壁板部から所定の接続壁板部を介して、当該第1の枠体部の長手方向に延展された、当該第1の枠体部の幅間隔よりも広い幅間隔で配置されている少なくとも2枚の延展壁部で規定された、当該第2の枠体部領域内に設けられている第3の空間部であって、当該第3の空間部内に、当該第1の枠体部の横鉄筋と並行に配置された横鉄筋と、当該第1の枠体部内の縦鉄筋と並行に配置された縦鉄筋とが配置されている第3の枠体部を有している事を特徴とする請求項1に記載の地中梁構造ユニット。
【請求項3】
当該第2の枠体部の上面部は、当該第1の枠体部が重畳されている部分を除き、開放されている事を特徴とする請求項1又は2に記載の地中梁構造ユニット。
【請求項4】
当該第1と第2の壁板部、当該側壁部材及び当該延展壁部の少なくとも何れかの外側壁面若しくは内側壁面に補強部材が設けられている事を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の地中梁構造ユニット。
【請求項5】
当該第1と第2の壁板部、当該側壁部材及び当該延展壁部の少なくとも何れかの上側縁部に沿って、当該各枠体部の内部空間領域方向に向けて屈曲して一体的に形成された固定部材が設けられている事を特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の地中梁構造ユニット。
【請求項6】
当該第2の枠体部の上面部縁部に於いて、相互に対向する当該硬性板状側壁部材との間に、当該第2の枠体部の当該空間領域上を、当該第1及び第3の枠体部と干渉しない様に、架橋されている固定部材が設けられている事を特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の屈折縁部が設けられている事を特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の地中梁構造ユニット。
【請求項7】
当該第3の枠体部内若しくは、当該第2の枠体部内で、当該第1の枠体部の当該第2の枠体部内に配置されている端部に対向する部位には、当該第1の枠体部の高さ方向に並行する方向に、当該建築物の柱部を搭載するアンカーボルトが設けられている事を特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の地中梁構造ユニット。
【請求項8】
当該アンカーボルトは、当該横鉄筋と適宜の固定手段を介して固定されているが、完全固定ではなく、当該アンカーボルトの高さ若しくは、水平方向の位置を建築工事現場で調整できる様に仮止め固定されている事を特徴とする請求項7に記載の地中梁構造ユニット。
【請求項9】
当該アンカーボルトは、当該第3の枠体部に設けられた適宜のブラケット部を介して水平方向に変位可能に取り付けられているアンカーボルト固定板に保持されている事を特徴とする請求項7又は8に記載の地中梁構造ユニット。
【請求項10】
当該第3の枠体部内若しくは、当該第2の枠体部内で、当該第1の枠体部の当該第2の枠体部内に配置されている端部に対向する部位には、当該第1の枠体部の高さ方向に並行する方向に、当該建築物の柱部を搭載する複数本の柱部支持鉄筋群が設けられている事を特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の地中梁構造ユニット。
【請求項11】
当該柱部支持鉄筋は、当該第1の枠体部の上端面を超えて上方に延展されている事を特徴とする請求項10に記載の地中梁構造ユニット。
【請求項12】
2個の当該第1の枠体部が、当該第2の枠体上で、互いに直交する角度で配置されている事を特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載の地中梁構造ユニット。
【請求項13】
3個の当該第1の枠体部が、当該第2の枠体上で、互いに直交する角度で且つT字型を形成する様に配置されている事を特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載の地中梁構造ユニット。
【請求項14】
4個の当該第1の枠体部が、当該第2の枠体上で、互いに直交する角度で且つ十文字型を形成する様に配置されている事を特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載の地中梁構造ユニット。
【請求項15】
4個以上の当該第1の枠体部が、当該第2の枠体上で、相互に所定の角度を形成する様に多方面的に配置されている事を特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載の地中梁構造ユニット。
【請求項16】
請求項1乃至15の何れかに記載されている当該地中梁構造ユニットに於いて、1の当該地中梁構造ユニットを構成する当該第1の枠体部に於ける自由端部には、他の当該地中梁構造ユニットを構成する当該第1の枠体部に於ける自由端部と連結接合することが可能な連結接合手段が設けられている事を特徴とする地中梁構造ユニット。
【請求項17】
請求項1乃至16の何れかに記載されている当該地中梁構造ユニットに於いて、1の当該地中梁構造ユニットを構成する当該第1の枠体部に於ける自由端部には、所定の高さと長さを有する2枚の硬性板状体に形成され、所定の間隔で相互に平行的に対向して配置された、硬性材料からなる第1の板状壁部と第2の板状壁部と、当該第1と第2の板状壁部の間の間隔を所定の値に設定する為に、当該第1と第2の板状壁部の相互に対向する裏面部間に固定的に架橋配置された所定の長さを有する複数個の幅決め部材であって、当該第1と第2の壁板部の長手方向と平行する方向に所定の間隔で配列されている幅決め部材と、当該第1と第2の板状壁部の間に於いて、当該第1と第2の板状壁部の長手方向と平行する方向に配置されている少なくとも一本の主横鉄筋と、当該第1と第2の板状壁部の間に於いて、当該第1と第2の板状壁部の垂直方向と平行する方向に配置されると共に、当該第1と第2の板状壁部の長手方向と平行する方向に所定の間隔で隣接配置せしめられており、且つ当該主横鉄筋と係合固定されている複数本の主縦鉄筋とから構成された第4の枠体の長手方向に於ける一方の自由端部と連結接合することが可能な連結接合手段が設けられている事を特徴とする地中梁構造ユニット。
【請求項18】
当該第1と第2の壁板部、当該側壁部材、当該延展壁部若しくは当該第1と第2の板状壁部は、適宜の金属材料、合成樹脂、更には炭素繊維等の高強力材料を含む複合合成樹脂、又は、当該金属材料或いは合成樹脂に炭素繊維からなる布帛シートを張り合わせた材料、或いは金属材料と合成樹脂を複合させた材料等の硬性材料で形成された板状体である事を特徴とする請求項1乃至17の何れかに記載の地中梁構造ユニット。
【請求項19】
当該硬性材料で形成された板状体が金属材料の板状体である場合には、錆発生防止効果を有する金属鋼板が使用される事を特徴とする請求項18に記載された地中梁構造ユニット。
【請求項20】
当該地中梁構造ユニットは、建築現場とは異なる工場内で形成され、当該建築現場に設置された後に、当該地中梁構造ユニット内にコンクリートが注入される様に構成されている事を特徴とする請求項1乃至19の何れかに記載の地中梁構造ユニット。
【請求項21】
請求項1乃至20の何れかに記載された当該地中梁構造ユニット内にコンクリートが注入されて一体化されている事を特徴とする地中梁構造。
【請求項22】
予め決定された建築物用基礎部の設計情報に基づいて、当該建築物用基礎部の設計情報から得られる当該建築物用基礎部の個々の部位に対応する複数種類の個別的な組み立て構造を有する請求項1乃至16の何れかに記載の地中梁構造ユニット群を工場内で製造する工程、
当該工場で製作された複数種類の当該地中梁構造ユニットを、当該建設現場に搬送する工程、
当該建設現場に於いて、当該建築物用基礎部の設計情報に基づいて、当該建築物用基礎部が配置される予定の地面に予め配された捨てコンクリート若しくはラップルコンクリート等の表面に、当該建築物用基礎部の設計情報に基づいて、当該搬送されてきた複数個の当該地中梁構造ユニットのそれぞれを、予め定められた部位に個別に且つ相互に連接するように配置設置する工程、
相互に隣接して配置された当該地中梁構造ユニットの接合端縁部同士を適宜の連結手段を使用して連結接合する工程、
相互に隣接する当該地中梁構造ユニット内の横鉄筋同士若しくは縦鉄筋同士、或いは当該縦鉄筋及び横鉄筋とを、適宜の連結手段を介して相互に締結する工程、
建築物用の地中梁構造ユニット群のそれぞれの枠体部の内部空間部内にコンクリートを注入する工程、
当該コンクリートを養生させる工程、
とから構成されている事を特徴とする建築物用の地中梁構造の施工方法。
【請求項23】
当該第3の枠体部内に配置されている当該アンカーボルトの配置高さ及び配置位置を調整する工程が更に設けられている事を特徴とする請求項22に記載の建築物用の地中梁構造の施工方法。
【請求項24】
当該捨てコンクリート若しくはラップルコンクリートの表面に予め適宜の鉄筋を埋め込む工程が更に設けられている事を特徴とする請求項22又は23に記載の建築物用の地中梁構造の施工方法。
【請求項25】
当該地中梁構造ユニットを配置する予定の水平な面で構成された基礎部であって、当該アンカーボルト部若しくは当該柱部支持鉄筋部が配置される予定の領域に於ける周辺部位の少なくとも2か所の位置に、予め複数本の固定支持鉄筋群を当該基礎部の水平面に対して垂直に配置固定する工程、
当該地中梁構造ユニットを、その底面部が、当該基礎部の表面に当接せしめる様に上方から下降させ、且つ当該地中梁構造ユニットの当該アンカーボルト部若しくは当該柱部支持鉄筋部が当該予定領域部と対向し、又当該地中梁構造ユニットの当該第1の枠体部の一部が、当該固定支持鉄筋群にかぶさる様に配置させる工程、及び、
当該固定支持鉄筋群と当該地中梁構造ユニット内に配置されている少なくとも横鉄筋とを適宜の接合固定手段により結合する工程、
とが、更に設けられている特徴とする請求項22乃至24の何れかに記載の建築物用の地中梁構造の施工方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2012−193598(P2012−193598A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178155(P2011−178155)
【出願日】平成23年8月16日(2011.8.16)
【出願人】(506159460)株式会社アイ・テック (5)
【Fターム(参考)】