説明

地中構造物の構築方法、地盤掘削装置

【課題】地盤に混合するセメントミルクの量を必要最低限に減らすことのできる地中構造物の構築方法を提供する。
【解決手段】(A)地盤の少なくとも一部を削孔撹拌し、(B)削孔撹拌された対象土にセメントミルクを注入し、(C)対象土とセメントミルクとを混合撹拌し、(D)対象土とセメントミルクの混合物をサンプリングし、サンプリングした混合物における注入液の混入率を算出し、算出した注入液の混入率に基づき、セメントミルクの供給量を調整することにより地中構造物10を構成するソイルセメント13の少なくとも一部を構築する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソイルセメントからなる地中構造物の構築方法及び地中構造物を構築する際に用いられる地盤掘削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、土留壁などには、低コストで構築することのできるソイルセメント壁が用いられている。このようなソイルセメント壁を構成するソイルセメントは、原位置で地盤を掘削することにより発生した対象土にセメント系材料からなる注入液を混入し、対象土と注入液を撹拌するソイルセメント撹拌工法を用いて構築される。
【0003】
現場においてソイルセメントを形成する場合には、セメントミルクと対象土とが充分に撹拌されていないなどの理由により強度のばらつきが生じ易い。これに対して、従来、形成されたソイルセメントの注入液の混入率を調べる方法がなく、確実にソイルセメントが所定の強度を発揮できるように、ソイルセメントの設計基準強度に対して割り増し係数(3倍程度)をかけて配合強度を算出し、この配合強度を確保するために必要なセメントミルクの量を地盤に供給することによりソイルセメントを形成していた。(非特許文献1参照)
【非特許文献1】“改訂版 建築物の改良地盤の設計及び品質管理指針 ―セメント系固化材を用いた深層・浅層混合処理工法―” 財団法人 日本建築センター、平成14年11月30日、p.409−414
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、現場においてソイルセメントを形成する場合には、実際に所定の強度を発現させるのに必要なセメントミルクの量に比べて、過大な量のセメントミルクをソイルセメントに混合しなければならない。このため、地中構造物を構築するために必要以上のコストがかかってしまう。特に、ソイルセメントを高強度にするような場合では、セメントミルクの混合量が非常に大きくなり、大幅なコスト高を招いてしまう。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであり、低コストで地中構造物を構築するため、地盤に混合するセメントミルクの量を必要最低限に減らすことのできる地中構造物の構築方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の地中構造物の構築方法は、地盤に埋設されるソイルセメントからなる地中構造物を構築する方法であって、前記地盤の地中構造物に相当する部分の少なくとも一部を削孔撹拌し、前記削孔撹拌された対象土にセメント系材料からなる注入液を注入し、前記対象土と前記注入液とを混合撹拌することによりソイルセメントを形成しながら、前記対象土と前記注入液の混合物をサンプリングすることを特徴とする。
上記の地中構造物の構築方法において、前記サンプリングした混合物における前記注入液の混入率を求め、求めた注入液の混入率に基づき、前記注入液の供給量を調整してもよい。
【0007】
また、前記対象土と前記注入液の混合物に空気を混入させ、空気を混入させた前記混合物を揚泥ポンプで揚泥することにより前記対象土と前記注入液の混合物をサンプリングしてもよい。
【0008】
また、下端が前記混合物内に到達するように設置された鉛直方向に延びる円筒状の筒状部材と、前記筒状部材の略中心に配置された回転軸と、前記筒状部材と隙間がないように前記回転軸に螺旋状にとりつけられた回転翼と、を備え、前記回転軸を回転させることにより、前記回転翼が前記筒状部材下端より前記混合物を前記筒状部材内に取りこみ、上方に押し上げることのできるサンプリング装置を用いて、前記対象土と前記注入液の混合物をサンプリングしてもよい。
【0009】
また、前記対象土に混合された注入液の密度をD1、前記対象土に混合された注入液の累積体積をV1、前記注入液を混合する前の前記対象土の密度をD2、前記注入液を混合する前の前記対象土の体積をV2、前記サンプリングした混合物の密度をD3、とした場合に、前記注入液の混入率Xを、次式(1)により算出してもよい。
X=V1/V2×(D1−D3)/(D1−D2) …(1)
【0010】
また、前記対象土に注入液を注入し、前記対象土と前記注入液とを混合撹拌する工程を繰り返すことによりソイルセメントの強度を調整してもよい。また、前記地中構造物を構成するソイルセメントの少なくとも一部を高強度ソイルセメントとしてもよい。
【0011】
また、本発明の地盤掘削装置は、地盤を削孔撹拌する削孔撹拌手段と、前記削孔撹拌手段により削孔撹拌された対象土にセメント系材料からなる注入液を供注入する注入手段と、前記削孔撹拌手段により削孔撹拌された対象土と前記注入液とを混合撹拌する撹拌手段と、前記混合撹拌された対象土と注入液の混合物をサンプリングする手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
前記サンプリングする手段は、前記混合物に空気を混入させる手段と、前記空気を混入させた混合物を揚泥する揚泥ポンプと、を備えるものであってもよい。また、前記サンプリング手段は、下端が前記混合物内に到達するように設置された鉛直方向に延びる円筒状の筒状部材と、前記筒状部材内に配置された回転軸と、前記筒状部材と隙間がないように前記回転軸に螺旋状にとりつけられた回転翼と、を備え、前記回転軸を回転させることにより、前記回転翼が前記筒状部材下端より前記混合物を前記筒状部材内に取りこみ、上方に押し上げることによりサンプリングしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、対象土とセメントミルクとの混合物をサンプリングし、サンプリングした混合物におけるセメントミルクの混入率に基づき、セメントミルクの供給量を調整するため、セメントミルクの供給量を必要最低限とすることができる。このため、コストを削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の地中構造物の構築方法の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の地中構造物の構築方法により構築されたソイルセメント13からなる地中構造物10の一例を示す図であり、(A)は鉛直方向断面図であり、(B)は水平方向断面図である。同図に示すように、地中構造物10は、ソイルセメント13と、ソイルセメント13に埋設された芯材11とで構成され、建物2を支持する杭として機能する。地中構造物10を構成するソイルセメント13の支持層3にあたる部分は高強度ソイルセメント16からなり、その他の部分は普通強度のソイルセメントからなる。高強度ソイルセメント16は、普通強度のソイルセメントに比べて土砂に対するセメント量の割合を増加させることにより形成され、4[N/mm]以上の強度を有する。ただし、一般的には高強度ソイルセメント16の強度の上限は20[N/mm]程度である。後に詳述するように、本実施形態の地中構造物10を構成するソイルセメント13は、複数の改良区間20に分割され、下方から上方に向かって、改良区間20ごとに順次形成されたものである。
【0015】
図1に示すように、芯材11は、横方向に並べられた鉛直方向に延びる複数のH型鋼12と、これら複数のH型鋼12を軟弱層4にあたる部分で連結するように、H型鋼12の両フランジ面に取り付けられた第1の鋼板14と、H型鋼12を支持層3にあたる部分で連結するように、H型鋼12の両フランジ面に取り付けられた第2の鋼板15と、を備える。第1の鋼板14は、水平方向に対して傾斜した状態でH型鋼12に取付けられており、傾斜の向きが交互に反転することでトラス状の構成を呈している。このように第1の鋼板14が傾斜して設けられることで、第1の鋼板14が筋かいのように働き、軟弱層4内での地中構造物10の水平方向の耐力が向上されている。
【0016】
また、H型鋼12のウェブの表面には、水平方向(紙面に垂直な方向)に延びるように凸部18が形成されている。この凸部18は、例えばアングル材をH型鋼12のウェブの表面に水平に溶接することにより形成することができる。
【0017】
建物2の荷重は鉛直下向きに地中構造物10の芯材11のH型鋼12に伝達される。この荷重により、表面に設けられた凸部18と高強度ソイルセメント16との間に支圧力が作用し、この支圧力により建物の鉛直荷重が高強度ソイルセメント16に伝達される。高強度ソイルセメント16は支持層3まで到達しているため、建物2の荷重は高強度ソイルセメント16から支持層3に伝達される。これにより地中構造物10は建物の鉛直荷重を支持することができる。
【0018】
本実施形態の地中構造物の構築方法は、地中構造物10を構成するソイルセメントを構築する際に、地盤を削孔撹拌することにより生じた対象土とセメントミルクとを混合撹拌し、対象土とセメントミルクの混合物をサンプリングし、サンプリングした混合物におけるセメントミルクの混入率に基づき、セメントミルクの供給量を調整することに特徴を有する。
【0019】
まず、地中構造物を構築するために用いられる地盤掘削装置の構成を説明する。図2は、地中構造物を構築するために用いられる地盤掘削装置100の構成を示す図である。同図に示すように、地盤掘削装置100は、揚重機(不図示)により揚重されて用いられ、装置の下部に設けられた、油圧モータなどにより駆動される一対のカッタードラム110と、セメントミルクを供給する注入液供給装置120と、エアーリフト130と、を備える。
【0020】
地盤掘削装置100は、カッタードラム110を回転させることにより、地盤を断面長方形状に削孔撹拌することができる。なお、削孔撹拌とは、地盤を削孔するとともに削孔することにより生じた土砂を撹拌することを意味し、ベントナイトや水を注入しながら行ってもよい。
また、地盤掘削装置100は、注入液供給装置120により削孔撹拌された対象土に注入液を供給した後、カッタードラム110を回転させることにより、対象土と注入液とを混合撹拌してソイルセメントを形成することができる。
エアーリフト130は、混合物を圧送する揚泥ポンプ132と、揚泥ポンプ132により圧送された対象土とセメントミルクとの混合物に空気を混入させるエアー供給装置131と、を備える。また、混合物を地上まで送るための配管内には逆流防止用の弁が取り付けられており、逆流が防止されている。かかる構成により、エアーリフト130は、エアー供給装置131により対象土とセメントミルクの混合物に空気を混入させ、混合物の比重を下げることで、揚泥ポンプ132により混合物を地上高さまで揚げることができる。
【0021】
次に、注入液の混入率を算出する方法の一例について説明する。図3は、注入液の混入率を算出する方法の原理を説明するための図である。以下の説明では、一の改良区間20のソイルセメントにおける注入液の混入率を算出する場合について説明する。同図に示すように、改良区間20に注入される注入液の密度及び体積を夫々D1、V1、改良区間20の地盤の密度及び体積を夫々D2、V2、混合撹拌することにより形成される対象土と注入液の混合物の密度をD3とする。
【0022】
改良区間20に注入される注入液の密度D1は、注入液の調合に基づき求めることができる。
注入される注入液の体積V1は、注入液供給装置120における注入時間と流量とを積算するなどの方法により求めることができる。
改良区間20の地盤の密度D2は、地中構造物10を構築する前に実施される地盤調査の結果から得ることができる。
改良区間20の体積V2は、地盤掘削装置100の性能や施工計画に基づき決定される。
排出される対象土及び注入液の混合物の密度D3は、サンプリングした混合物の質量及び体積などを測定することにより算出できる。
【0023】
注入液を注入したあとの改良区間20の質量Mは注入液の混入率をXとすると、以下の式で算出される。
M=V2×D1×X+V2×D2×(1−X) …(2)
また、質量の収支を考えると、改良区間20の質量Mは以下の式で表される。
M=V1×D1+V2×D2−V1×D3 …(3)
式(2)及び式(3)からから次式(4)が導かれる。
X=V1/V2×(D1−D3)/(D1−D2) …(4)
【0024】
式(4)を用いることにより、改良区間20における注入液の混入率Xを算出することができる。なお、改良区間20の体積が大きい場合には、地盤掘削装置100の体積の影響が小さいため、改良区間20の体積を式(4)におけるV2として用いることができるが、改良区間20の体積が小さいような場合には、改良区間20の体積から地盤掘削装置100の体積を除いた値をV2とするとよい。
【0025】
以下、地盤掘削装置100を用いた地中構造物10の構築方法を説明する。図4は地中構造物10の構築方法を説明するための図である。
まず、予め、設計条件などに基づき、地中構造物10の改良区間20にあたる部分において必要な注入液の設計混入率X(改良区間20におけるソイルセメント13に必要な強度を発現させるべく、最低限必要な注入液の混入率)を求めておく。
【0026】
次に、図4(A)に示すように、揚重機により地盤掘削装置100を揚重し、地中構造物10の構築位置に地盤掘削装置100を設置し、カッタードラム110を回転させて、地中構造物10の下端にあたる深さまで地盤を掘削する。
次に、図4(B)に示すように、下端の改良区間20にあたる位置で注入液供給装置120を起動し、地盤を削孔撹拌することにより発生した対象土に注入液を供給する。
次に、図4(C)に示すように、カッタードラム110を回転させることにより、対象土と注入液とを混合撹拌する。
【0027】
次に、図4(D)に示すように、エアーリフト130により対象土と注入液との混合物をサンプリングする。そして、混合物における注入液の混合率Xを式(4)により算出する。
次に、図4(E)に示すように、算出された注入液の混入率Xが設計混入率X未満の場合には、混入率Xが設計混入率Xに達するまで注入液の供給、及び対象土と注入液との混合撹拌を繰り返す。
これにより、ソイルセメントにおける注入液の混入率Xを高めて行くことができ、設計混入率Xとなるように調整することができる。こうして、算出された注入液の混入率Xが設計混入率Xになった時点で注入液の供給及び混合撹拌を終了する。
【0028】
なお、支持層3にあたる部分の改良区間20の高強度ソイルセメント16を形成する場合には、注入液の供給と、対象土と注入液の混合撹拌とを繰り返せばよい。これらの工程を繰り返すことによりソイルセメントの強度を高めていくことで、高強度ソイルセメント16を形成することができる。
上記の工程を繰り返すことにより、図4(F)に示すように、地中構造物10を構成するソイルセメント13を構築することができる。
【0029】
次に、上記のようにして形成されたソイルセメント13が硬化する前に、図4(G)に示すように、ソイルセメント13内に芯材11を埋設する。なお、地中構造物10内に埋設される芯材11は、予め、地上において複数の凸部18の設けられたH型鋼12を第1の鋼板14及び第2の鋼板15により連結しておき、これをソイルセメント13に挿入すればよい。
そして、図4(H)に示すように、ソイルセメント13が硬化することにより、ソイルセメント13からなる地中構造物10が構築される。
【0030】
以上説明したように、本実施形態の地中構造物の構築方法によれば、施工中に形成したソイルセメント13における注入液の混入率Xを算出することができるため、確実に注入液を所定の割合まで混入させることができる。これにより、設計基準強度に対して積算する割り増し係数が抑えられ、注入液の量を削減することができるため、コストを削減することができる。特に、高強度ソイルセメントを構築する場合には、割り増し係数を抑えることにより、必要となる注入液を大きく削減することができるため、非常に有効である。
【0031】
なお、本実施形態では、下方の改良区間20より上方に向かって、順次ソイルセメント13を形成する構成としたが、これに限らず、上方の改良区間より下方に向かって、ソイルセメントを形成してもよい。
【0032】
また、本実施形態では、複数の改良区間20に分割して、改良区間20ごとにソイルセメント13を構築する構成としが、これに限らず、連続的にソイルセメントを構築することも可能である。このような場合には、注入液を供給しながら混合撹拌を行い、適宜なタイミングでサンプリングを行い、ソイルセメントの混入率が所定の割合以上となったら、地盤掘削装置100を上方に移動させればよい。
【0033】
また、本実施形態では、対象土と、注入液との混合物をサンプリングする手段として、エアーリフト130を用いる構成としたが、これに限らず、例えば、図5に示すような機械的に混合物を地上まで送るサンプリング装置140を用いることができる。
【0034】
図5に示すサンプリング装置140は、下端が混合物内に到達するように設置された鉛直方向に延びる円筒状の筒状部材143と、筒状部材143の中心に配置された回転軸141と、筒状部材143と隙間がないように回転軸141に螺旋状にとりつけられた回転翼142と、を備える。サンプリング装置140によれば、回転翼142の下端が改良区間に到達するようにサンプリング装置140を配置し、回転軸141を回転させることにより、回転翼142が筒状部材143下端より混合物を筒状部材143内に取りこみ、上方に押し上げる。これにより、混合物を地上まで押し上げることができ、サンプリングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本実施形態の地中構造物の構築方法により構築されたソイルセメントからなる地中構造物の構成を示す図であり、(A)は鉛直方向断面図であり、(B)は水平方向断面図である。
【図2】地中構造物を構築するために用いられる地盤掘削装置の構成を示す図である。
【図3】注入液混入率の算出方法の原理を説明するための図である。
【図4】地中構造物の構築方法を説明するための図である。
【図5】機械的に混合物を地上まで送るサンプリング装置を備えた地盤掘削装置を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
3 支持層
4 軟弱層
10 地中構造物
11 芯材
12 H型鋼
13 ソイルセメント
14 第1の鋼板
15 第2の鋼板
16 高強度ソイルセメント
18 凸部
20 改良区間
100 地盤掘削装置
110 カッタードラム
120 ソイルセメント供給装置
130 エアーリフト
131 エアー供給装置
132 揚泥ポンプ
140 サンプリング装置
141 回転軸
142 回転翼
143 筒状部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に埋設されるソイルセメントからなる地中構造物を構築する方法であって、
前記地盤の地中構造物に相当する部分の少なくとも一部を削孔撹拌し、前記削孔撹拌された対象土にセメント系材料からなる注入液を注入し、前記対象土と前記注入液とを混合撹拌することによりソイルセメントを形成しながら、前記対象土と前記注入液の混合物をサンプリングすることを特徴とする地中構造物の構築方法。
【請求項2】
請求項1記載の地中構造物の構築方法であって、
前記サンプリングした混合物における前記注入液の混入率を求め、求めた注入液の混入率に基づき、前記注入液の供給量を調整することを特徴とする地中構造物の構築方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の地中構造物の構築方法であって、
前記対象土と前記注入液の混合物に空気を混入させ、空気を混入させた前記混合物を揚泥ポンプで揚泥することにより前記対象土と前記注入液の混合物をサンプリングすることを特徴とする地中構造物の構築方法。
【請求項4】
請求項1又は2記載の地中構造物の構築方法であって、
下端が前記混合物内に到達するように設置された鉛直方向に延びる円筒状の筒状部材と、前記筒状部材の略中心に配置された回転軸と、前記筒状部材と隙間がないように前記回転軸に螺旋状にとりつけられた回転翼と、を備え、前記回転軸を回転させることにより、前記回転翼が前記筒状部材下端より前記混合物を前記筒状部材内に取りこみ、上方に押し上げることのできるサンプリング装置を用いて、前記対象土と前記注入液の混合物をサンプリングすることを特徴とする地中構造物の構築方法。
【請求項5】
請求項1から4何れかに記載の地中構造物の構築方法であって、
前記対象土に混合された注入液の密度をD1、前記対象土に混合された注入液の累積体積をV1、前記注入液を混合する前の前記対象土の密度をD2、前記注入液を混合する前の前記対象土の体積をV2、前記サンプリングした混合物の密度をD3、とした場合に、前記注入液の混入率Xを、次式(1)により算出することを特徴とする地中構造物の構築方法。
X=V1/V2×(D1−D3)/(D1−D2) …(1)
【請求項6】
請求項1から5何れかに記載の地中構造物の構築方法であって、
前記対象土に注入液を注入し、前記対象土と前記注入液とを混合撹拌する工程を繰り返すことによりソイルセメントの強度を調整することを特徴とする地中構造物の構築方法。
【請求項7】
前記地中構造物を構成するソイルセメントの少なくとも一部を高強度ソイルセメントとすることを特徴とする請求項1から6何れかに記載の地中構造物の構築方法。
【請求項8】
地盤を削孔撹拌する削孔撹拌手段と、
前記削孔撹拌手段により削孔撹拌された対象土にセメント系材料からなる注入液を供注入する注入手段と、
前記削孔撹拌手段により削孔撹拌された対象土と前記注入液とを混合撹拌する撹拌手段と、
前記混合撹拌された対象土と注入液の混合物をサンプリングする手段と、
を備えることを特徴とする地盤掘削装置。
【請求項9】
前記サンプリングする手段は、
前記混合物に空気を混入させる手段と、
前記空気を混入させた混合物を揚泥する揚泥ポンプと、
を備えることを特徴とする請求項8記載の地盤掘削装置。
【請求項10】
前記サンプリング手段は、
下端が前記混合物内に到達するように設置された鉛直方向に延びる円筒状の筒状部材と、前記筒状部材内に配置された回転軸と、前記筒状部材と隙間がないように前記回転軸に螺旋状にとりつけられた回転翼と、を備え、
前記回転軸を回転させることにより、前記回転翼が前記筒状部材下端より前記混合物を前記筒状部材内に取りこみ、上方に押し上げることによりサンプリングすることを特徴とする請求項8記載の地盤掘削装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−127892(P2008−127892A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−315469(P2006−315469)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】