説明

地中構造物の構築方法

【課題】 小断面トンネル群の到達側に立坑を建設しなくとも延伸方向前面を塞ぐことが可能な地中構造物の構築方法を提供する。
【解決手段】 同一方向に向けて延伸される複数の小断面トンネル1,・・・の側面間を連結した小断面トンネル群100によって地山8を囲繞し、その囲繞された地山を掘削して構築する地中構造物の構築方法である。
この小断面トンネルのなかで対向する一対の小断面トンネルの掘削にそれぞれ使用される分岐型シールド掘削機3の内部には小型掘削機31が収容されており、一方の小型掘削機31Aを発進させて螺旋状に掘進させると共に、他方の小型掘削機31Bを螺旋状トンネル4Aの間を掘進させ、2本の螺旋状トンネル4A,4Bと小断面トンネルの先端との間隙に面する小断面トンネルを延伸して間隙を埋めることによって小断面トンネル群の開放面101を覆う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に大断面トンネル、地下備蓄施設又は地下駐車場などの地中構造物を構築する際の構築方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、地中に大断面トンネルを構築する方法として、特許文献1に開示されているように、地山を複数の小断面トンネルで囲繞して大断面トンネルの外殻を形成した後に内部の地山を掘削する方法が知られている。
【0003】
また、特許文献2では、大断面トンネルの外殻を、シールド掘削機を螺旋状に掘進させることによって構築する方法が開示されている。
【特許文献1】特開2000−310100号公報
【特許文献2】特開平3−96600号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記した大断面トンネルの構築方法では、大断面トンネルの軸方向の両端を塞ぐために、両側に立坑を構築する必要がある。
【0005】
この立坑の建設費及び工期は、トンネルの深度が深くなればなるほど嵩む上に、都心部においては立坑を建設する場所の用地買収などが難しく工事の着手が遅れる原因になるなどの問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、小断面トンネル群の到達側に立坑を建設しなくとも延伸方向前面を塞ぐことが可能な地中構造物の構築方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、同一方向に向けて延伸される複数の小断面トンネルの側面間を連結した小断面トンネル群によって地山を囲繞し、その囲繞された地山を掘削して構築する地中構造物の構築方法において、前記小断面トンネルのなかで対向する一対の小断面トンネルの掘削にそれぞれ使用される分岐型シールド掘削機の内部には小型掘削機が収容されており、前記小断面トンネルを所定の位置まで掘削した後に、一方の前記小型掘削機を前記小断面トンネルの延伸方向と交差する方向に発進させて前記小断面トンネル群の中心軸方向に向けて螺旋状に掘進させると共に、他方の前記小型掘削機を前記一方の小型掘削機とは反対方向であって該一方の小型掘削機によって形成される螺旋状トンネルの間を掘進させ、前記2本の螺旋状トンネルと前記小断面トンネルの先端との間に間隙があるときには間隙に面する前記小断面トンネルを延伸して間隙を埋めることによって前記小断面トンネル群の開放面を覆う地中構造物の構築方法であることを特徴とする。
【0008】
また、同一方向に向けて延伸される複数の小断面トンネルの側面間を連結した小断面トンネル群によって地山を囲繞し、その囲繞された地山を掘削して構築する地中構造物の構築方法において、前記小断面トンネルのなかで近接した複数の小断面トンネルの掘削にそれぞれ使用される分岐型シールド掘削機の内部には小型掘削機が収容されており、前記小断面トンネルを所定の位置まで掘削した後に、前記分岐型シールド掘削機を前記小断面トンネル群の中心軸方向に向けて掘進させて曲線トンネルを形成すると共に、前記小型掘削機を該曲線トンネルと交差する方向に向けて円状に掘進させて該曲線トンネルに到達させ、前記曲線トンネルに近接した小断面トンネルの分岐型シールド掘削機を前記曲線トンネル又は円状トンネルに到達されるまで掘進させると共に、その内部に収容されている小型掘削機を前記円状トンネルの外周に沿って掘進させる工程を、残りの分岐型シールド掘削機について実施することによって前記小断面トンネル群の開放面を覆う地中構造物の構築方法であることを特徴とする。
【0009】
さらに、同一方向に向けて延伸される複数の小断面トンネルの側面間を連結した小断面トンネル群によって地山を囲繞し、その囲繞された地山を掘削して構築する地中構造物の構築方法において、前記小断面トンネルのなかで少なくとも1箇所の小断面トンネルの掘削に使用される分岐型シールド掘削機の内部には小型掘削機が収容されており、前記小断面トンネルを所定の位置まで掘削した後に、前記分岐型シールド掘削機を前記小断面トンネル群の中心軸方向に向けて掘進させて曲線トンネルを形成した後に、前記小型掘削機を該曲線トンネルと交差する方向に向けて円状に掘進させて該曲線トンネルに到達させる工程を前記小断面トンネルの先端との間隙が埋められるまで実施することによって前記小断面トンネル群の開放面を覆う地中構造物の構築方法であることを特徴とする。
【0010】
ここで、前記小型掘削機によって形成されるトンネルの周囲の地山は地盤改良して隣接するトンネルと隙間なく連結させることができる。
【発明の効果】
【0011】
このように構成された本発明の地中構造物の構築方法は、地中構造物の外殻を形成する複数の小断面トンネルの構築に使用するシールド掘削機の一部を、分岐トンネル用の小型掘削機を収容した分岐型シールド掘削機とし、その小型掘削機によって構築されるトンネルによって小断面トンネル群の一方の開放面を塞ぐ。
【0012】
このため、小断面トンネル群の延伸方向の到達側に地上から立坑を建設しなくてもよいので経済的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の最良の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図2に本実施の形態の地中構造物の構成を説明する模式図を示す。
【0015】
本実施の形態の地中構造物の構築方法では、まず、図2に示すように地上から地中に向けて所定の深さの立坑5を構築し、その立坑5を利用して小断面トンネル群100を構築する。
【0016】
すなわち、この立坑5から小断面トンネル1を掘削するシールド掘削機(図2には図示せず)を同一方向に向けて発進させて、複数の小断面トンネル1,・・・の側面間を連結した円筒状の小断面トンネル群100を形成する。
【0017】
そして、この小断面トンネル群100の延伸方向の端部、言い換えると立坑5の反対側の端部(図6の開放面101参照)には、ドーム状の蓋部2を構築して小断面トンネル群100の両端をこの蓋部2と立坑5で塞ぎ、小断面トンネル群100によって囲繞される地山8を掘削することで地中構造物を構築する。
【0018】
この蓋部2を前方からみた正面図を図1に示す。
【0019】
この蓋部2の外縁には、複数の小断面トンネル1,・・・の側面間を連結して形成された小断面トンネル群100によって地中構造物の外殻が形成されている。
【0020】
この小断面トンネル群100の構築方法について、図3に4通りの方法を示した。
【0021】
まず、図3(a)に示す方法では、最初に構築した断面視円形の小断面トンネル1Aの両側面に、円形の一部が欠損した月形の小断面トンネル1B,1Bを構築し、さらにその両側に月形の小断面トンネル1C,1Cを構築するという工程を繰り返して連結をおこなう。
【0022】
また、図3(b)の方法では、最初に構築した断面視円形の小断面トンネル1Dの両側面に、円形の両側が欠損した分銅形の小断面トンネル1E,1Eを構築し、さらにその両側に円形の小断面トンネル1F,1Fを構築するという工程を繰り返して連結をおこなう。
【0023】
さらに、図3(c)の方法では、最初に遮蔽板1a,1aで両側を仕切られた断面視分銅形の鋼管を地中に推進させて小断面トンネル1Gを構築し、その両側面に円形の一部が欠損した月形の小断面トンネル1H,1Hを構築し、さらにその両側に月形の小断面トンネル1J,1Jを構築するという工程を繰り返して連結をおこなう。
【0024】
そして、図3(d)の方法では、シールドトンネル1cの外周に地盤改良部1bを設け、その地盤改良部1bを重ね合わせて小断面トンネル1K,1L,1L,1M,1Mの側面間の連結をおこなう。
【0025】
これらのいずれの方法によっても本実施の形態の小断面トンネル群100を構築することができる。
【0026】
また、この小断面トンネル群100の開放面101を覆う本実施の形態の蓋部2は、図1に示すように2本の螺旋状の螺旋状トンネル4A,4Bによって形成される。
【0027】
この螺旋状トンネル4A,4Bは、小断面トンネル群100の延伸方向であると共に中心軸方向に向けて小型掘削機31A,31Bを掘進させることによって形成されるため、前記中心軸に近づくにつれて張り出して小断面トンネル群100の先端との距離が大きくなる。
【0028】
図4には、小型掘削機31,61,71が収容された3種類の分岐型シールド掘削機31,61,71を説明する模式図を示した。
【0029】
図4(a)に示した分岐型シールド掘削機3は、内部に球体型の回転部32が備えられており、小断面トンネル1の延伸方向と略直交する方向に回転部32を回転させて小型掘削機31を発進させることで分岐トンネルの構築をおこなうことができる。
【0030】
また、図4(b)に示した分岐型シールド掘削機6は、胴体部に小断面トンネル1の延伸方向と略直交する方向に向けた小型掘削機61が配備されており、この小型掘削機61を発進させることで分岐トンネルの構築をおこなうことができる。
【0031】
さらに、図4(c)に示した分岐型シールド掘削機7は、小断面トンネル1の終点部に地盤改良部72を設け、小断面トンネル1の前面を塞いだ後にその掘削に使用した小型掘削機71を胴体部に引き込み、内部で方向転換させた後に分岐トンネルを掘削するために小型掘削機71を発進させる。
【0032】
また、これらの小型掘削機31,61,71は、中折れ型シールド掘削機などのように曲線部を形成できるような構造のものを装備しておく。
【0033】
以上に示したいずれの分岐型シールド掘削機3,6,7を使用してもよいが、本実施の形態では図4(a)に示した分岐型シールド掘削機3を使用して蓋部2を構築する。
【0034】
この蓋部2を形成する螺旋状トンネル4A,4Bは、図5(図1のA−A線矢視断面図)に示すように小型掘削機31A,31Bの後方に形成される覆工部42A,42Bとその周囲に形成される地盤改良部41A,41Bとからなり、この地盤改良部41A,41Bを図5(b)に示すように隣接する螺旋状トンネル4A,4B間で重ね合わせることによって隙間のない蓋部2を形成することができる。
【0035】
次に、本実施の形態の地中構造物の構築方法を説明するとともに、この実施の形態の作用について説明する。
【0036】
まず、図6に示すように小断面トンネル群100を構成する各小断面トンネル1,・・・を立坑5(図2参照)から所定の位置まで延伸させる。
【0037】
そして、小断面トンネル群100のなかで対向する一対の小断面トンネル1,1を他よりも少し前方に延伸させ、その構築に使用した分岐型シールド掘削機3A,3Bの内部から小型掘削機31A,31Bを発進させて螺旋状トンネル4A,4Bを構築する。
【0038】
ここで、小断面トンネル群100の延伸方向の先端が揃っていると、斜め前方に向けて掘進する螺旋状トンネル4A,4Bと小断面トンネル1,・・・との間には間隙が発生することになるので、その間隙の大きさに合わせて小断面トンネル1,・・・を段階的に延伸させた延伸部11を設ける。
【0039】
この図6に示した二点鎖線は、延伸方向の先端の位置を揃えた場合の小断面トンネル1,・・・の位置を示したものであり、二点鎖線と先端の間の延伸部11の長さは、分岐型シールド掘削機3A,3Bから発進する小型掘削機31A,31Bの経路に合わせて徐々に長くなる。
【0040】
この延伸部11,・・・の構築は、螺旋状トンネル4A,4Bを構築する前におこなってもよいし、螺旋状トンネル4A,4Bを構築した後に間隙を埋めるようにしておこなってもよい。また、延伸部11,・・・の大部分を螺旋状トンネル4A,4Bを構築する前に構築しておき、螺旋状トンネル4A,4Bを構築した後に残った間隙を埋める調整をおこなってもよい。
【0041】
そして、蓋部2が形成された後に、両端を蓋部2と立坑5で塞がれた小断面トンネル群100に囲繞された地山8を掘削し、内側に隔壁(図示せず)を構築して地中構造物を完成させる。
【0042】
このように本実施の形態の地中構造物の構築方法によれば、小断面トンネル群100の到達側に立坑を構築しなくとも蓋部2を形成することができる。
【0043】
このため、立坑の建設費を節約できる上に、到達側の立坑を建設するための用地を確保する必要がないので、全体の工期及び工事費を大幅に削減することができる。
【0044】
また、小型掘削機31A,31Bを収容した分岐型シールド掘削機3A,3Bを、小断面トンネル群100の対向する位置に一対で配置し、図5に示すように一方の小型掘削機31Aによって構築した螺旋状トンネル4A,4A,4A間を、他方の小型掘削機31Bによって構築した螺旋状トンネル4B,4Bで連結する。
【0045】
このため、曲率の小さな急曲線のトンネルを構築しなくとも隙間のない蓋部2を容易に形成することができる。
【実施例1】
【0046】
以下、前記した実施の形態の実施例1について説明する。なお、前記実施の形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0047】
実施例1では、図7に示す3台の分岐型シールド掘削機6,3A,3B(図4(a),(b)参照)を利用して、小断面トンネル群100の開放面101に図8に示すような蓋部12を構築する。
【0048】
この3台の分岐型シールド掘削機6,3A,3Bは、小断面トンネル群100のなかで近接した位置の小断面トンネル1,・・・の構築に使用されるものである。例えば図7に示すように分岐型シールド掘削機6,3A,3Bによって構築される小断面トンネル1,1,1は一つ置きに配置される。
【0049】
そして、所定の位置まで小断面トンネル群100を延伸した後に、分岐型シールド掘削機6を小断面トンネル群100の延伸方向に前進させながら中心軸に向けて延伸させて図8に示すように曲線トンネル9Aを形成する。
【0050】
この曲線トンネル9Aはドーム状の蓋部12の一部となるものであり、この曲線トンネル9Aの途中から小型掘削機61を発進させて円状トンネル10Aを構築する。
【0051】
続いて、曲線トンネル9Aに隣接する分岐型シールド掘削機3Aを、小断面トンネル群100の延伸方向に前進させながら中心軸に向けて延伸させて曲線トンネル9Bを形成する。
【0052】
この曲線トンネル9Bを円状トンネル10Aに到達するまで構築した後に、分岐型シールド掘削機3Aの中から小型掘削機31Aを発進させて円状トンネル10Bを形成する。
【0053】
さらに、分岐型シールド掘削機3Bにおいても、曲線トンネル9Cを形成した後に、分岐型シールド掘削機3Bの中から小型掘削機31Bを発進させて、円状トンネル10A,10Bと同心円状の円状トンネル10Cを形成する。
【0054】
これらの曲線トンネル9A,9B,9C及び円状トンネル10A,10B,10Cの外周には地盤改良部が形成されており、隙間のない蓋部12を形成することができる。
【0055】
特に、円状トンネル10A,10B,10Cは一定の曲率で平面的に施工できる上に、同心円状の円状トンネル10A,10B,10Cであれば隣接するトンネルに沿って掘進させればよいので比較的容易に構築できる。
また、この実施例1では、3台の分岐型シールド掘削機6,3A,3Bを使用した場合について説明したが、これらの使用機種、使用台数又は配置位置に限定されるものではなく、任意に選択することができる。
【0056】
なお、他の構成及び作用効果については、前記実施の形態と略同様であるので説明を省略する。
【実施例2】
【0057】
以下、前記した実施の形態の実施例2について説明する。なお、前記実施の形態及び実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0058】
実施例2では、図9に示したように小断面トンネル1の構築に使用した1台の分岐型シールド掘削機7(図4(c)参照)によって1本の曲線トンネル23を構築し、その曲線トンネル23を挟んで複数の同心円状の円状トンネル24A〜24Dを構築して蓋部22を形成する。
【0059】
この実施例2では、一本の曲線トンネル23に複数の円状トンネル24A〜24Dを接続させることになるので、分岐型シールド掘削機7に収容した小型掘削機71を複数回利用するか、又は複数の小型掘削機を用意して同時に複数の円状トンネル24A〜24Dの構築をおこなわせることができる。
【0060】
このように実施例2の方法によれば、分岐型シールド掘削機7を1台使用するだけでよいので、掘削機にかかる費用を低減することができる。
【0061】
また、一本の曲線トンネル23からすべての円状トンネル24A〜24Dを発進させればよいので簡単に施工することができる。
【0062】
なお、他の構成及び作用効果については、前記実施の形態又は実施例1と略同様であるので説明を省略する。
【0063】
以上、図面を参照して、本発明の最良の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0064】
例えば、前記実施の形態では、小断面トンネル群100を円筒状に形成したが、これに限定されるものではなく、例えば断面視四角形などの多角柱状に形成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の最良の実施の形態の地中構造物の蓋部の構成を説明する正面図である。
【図2】本発明の最良の実施の形態によって構築される地中構造物の概略構成を示した斜視図である。
【図3】(a)〜(d)は、4種類の小断面トンネル群の構築方法を説明する断面図である。
【図4】(a)〜(c)は、3種類の分岐型シールド掘削機を説明する模式図である。
【図5】図1のA−A線方向の断面図であって、(a)は一方の螺旋状トンネルを構築した段階の断面図で、(b)は両方の螺旋状トンネルを構築した段階の断面図である。
【図6】本実施の形態の地中構造物の構築方法を説明する斜視図である。
【図7】実施例1の地中構造物の構築方法を説明する正面図である。
【図8】実施例1の地中構造物の蓋部を説明する正面図である。
【図9】実施例2の地中構造物の構築方法を説明する正面図である。
【符号の説明】
【0066】
1 小断面トンネル
100 小断面トンネル群
101 開放面
2 蓋部
3,6,7 分岐型シールド掘削機
31,61,71 小型掘削機
4A,4B 螺旋状トンネル
8 地山
9A〜9C 曲線トンネル
10A〜10C 円状トンネル
12 蓋部
22 蓋部
23 曲線トンネル
24A〜24D 円状トンネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一方向に向けて延伸される複数の小断面トンネルの側面間を連結した小断面トンネル群によって地山を囲繞し、その囲繞された地山を掘削して構築する地中構造物の構築方法において、
前記小断面トンネルのなかで対向する一対の小断面トンネルの掘削にそれぞれ使用される分岐型シールド掘削機の内部には小型掘削機が収容されており、前記小断面トンネルを所定の位置まで掘削した後に、一方の前記小型掘削機を前記小断面トンネルの延伸方向と交差する方向に発進させて前記小断面トンネル群の中心軸方向に向けて螺旋状に掘進させると共に、他方の前記小型掘削機を前記一方の小型掘削機とは反対方向であって該一方の小型掘削機によって形成される螺旋状トンネルの間を掘進させ、前記2本の螺旋状トンネルと前記小断面トンネルの先端との間に間隙があるときには間隙に面する前記小断面トンネルを延伸して間隙を埋めることによって前記小断面トンネル群の開放面を覆うことを特徴とする地中構造物の構築方法。
【請求項2】
同一方向に向けて延伸される複数の小断面トンネルの側面間を連結した小断面トンネル群によって地山を囲繞し、その囲繞された地山を掘削して構築する地中構造物の構築方法において、
前記小断面トンネルのなかで近接した複数の小断面トンネルの掘削にそれぞれ使用される分岐型シールド掘削機の内部には小型掘削機が収容されており、前記小断面トンネルを所定の位置まで掘削した後に、前記分岐型シールド掘削機を前記小断面トンネル群の中心軸方向に向けて掘進させて曲線トンネルを形成すると共に、前記小型掘削機を該曲線トンネルと交差する方向に向けて円状に掘進させて該曲線トンネルに到達させ、前記曲線トンネルに近接した小断面トンネルの分岐型シールド掘削機を前記曲線トンネル又は円状トンネルに到達されるまで掘進させると共に、その内部に収容されている小型掘削機を前記円状トンネルの外周に沿って掘進させる工程を、残りの分岐型シールド掘削機について実施することによって前記小断面トンネル群の開放面を覆うことを特徴とする地中構造物の構築方法。
【請求項3】
同一方向に向けて延伸される複数の小断面トンネルの側面間を連結した小断面トンネル群によって地山を囲繞し、その囲繞された地山を掘削して構築する地中構造物の構築方法において、
前記小断面トンネルのなかで少なくとも1箇所の小断面トンネルの掘削に使用される分岐型シールド掘削機の内部には小型掘削機が収容されており、前記小断面トンネルを所定の位置まで掘削した後に、前記分岐型シールド掘削機を前記小断面トンネル群の中心軸方向に向けて掘進させて曲線トンネルを形成した後に、前記小型掘削機を該曲線トンネルと交差する方向に向けて円状に掘進させて該曲線トンネルに到達させる工程を前記小断面トンネルの先端との間隙が埋められるまで実施することによって前記小断面トンネル群の開放面を覆うことを特徴とする地中構造物の構築方法。
【請求項4】
前記小型掘削機によって形成されるトンネルの周囲の地山を地盤改良することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の地中構造物の構築方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−322270(P2006−322270A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−148277(P2005−148277)
【出願日】平成17年5月20日(2005.5.20)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【Fターム(参考)】