地中熱利用熱交換チューブの埋設方法および埋設構造

【課題】地中熱を十分に利用でき、かつ、熱交換チューブが損傷する恐れがなく、交換やメンテナンスも容易な地中熱利用熱交換チューブの埋設方法と埋設構造を提供することである。
【解決手段】熱交換チューブ2が埋設される周囲に空間を開けて、麺状の熱可塑性樹脂を3次元で網状に絡ませて管状に成形固化し、内表面と外表面に連通する空隙を有する管状網状体3を埋設し、この管状網状体3の中に熱交換チューブ2を挿入することにより、管状網状体3の隙間を通る地下水Aを、熱交換チューブ2の周囲の空間で自由に流動させて、熱交換チューブ2と広い接触面積で接触させ、地下水Aとの熱交換効率を高めて地中熱を十分に利用できるようにするとともに、管状網状体3で周囲の地盤の崩れ込みを防止して、熱交換チューブ2が損傷する恐れをなくし、交換やメンテナンスも容易に行うことができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中熱を利用する熱交換チューブの埋設方法と埋設構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、炭酸ガス排出量の削減や省エネルギ等に有効で環境にやさしい技術として、熱交換チューブを地中に縦向きに埋設し、ヒートポンプによって冷暖房や融雪等の熱源として地中熱を利用する地中熱利用技術の実用化が進められている。地中熱利用熱交換チューブは、直径が10〜20mm程度のU字管とされ、地中に10〜100m程度の深さまで埋設される。
【0003】
従来、このような地中熱利用熱交換チューブを埋設する際は、まず、先端に掘削刃が設けられた掘削用ケーシングパイプで所定の深さの掘削孔を掘削して、ケーシングパイプの中に掘削孔の底近くまで熱交換チューブを挿入し、こののち、ケーシングパイプの中の熱交換チューブの周囲に珪砂、炭素粒、メタルスラグ粒等の粒状物を充填して、最後にケーシングパイプを引き抜く埋設方法が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2007−218024号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された従来の地中熱利用熱交換チューブの埋設方法は、以下の問題がある。
(1) 通常、数m程度以上の深さでは地下水が湧き出し、地中熱は地下水を介して熱交換チューブと熱交換される割合が大きいが、従来の熱交換チューブは周囲に粒状物が充填されているので、地下水との接触面積が少なく、かつ、熱交換チューブの周囲の地下水の流動が阻害されて、地下水との熱交換効率が低くなり、地中熱を十分に利用できない。
(2) 粒状物が十分に充填されず、熱交換チューブの周囲に空所が形成されることがあるので、地盤がこの空所へ崩れ込み、熱交換チューブを損傷する恐れがある。
(3) 周囲を粒状物で充填された熱交換チューブの交換やメンテナンスが困難である。
【0006】
そこで、本発明の課題は、地中熱を十分に利用でき、かつ、熱交換チューブが損傷する恐れがなく、交換やメンテナンスも容易な地中熱利用熱交換チューブの埋設方法と埋設構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の地中熱利用熱交換チューブの埋設方法は、地中熱を利用する熱交換チューブを地中の所定の深さまで縦向きに埋設する地中熱利用熱交換チューブの埋設方法において、前記熱交換チューブが埋設される周囲に空間を開けて、麺状の熱可塑性樹脂を3次元で網状に絡ませて管状に成形固化し、内表面と外表面に連通する空隙を有する管状網状体を埋設し、この管状網状体の中に前記熱交換チューブを縦向きに挿入する方法を採用した。
【0008】
すなわち、熱交換チューブが埋設される周囲に空間を開けて、麺状の熱可塑性樹脂を3次元で網状に絡ませて管状に成形固化し、内表面と外表面に連通する空隙を有する管状網状体を埋設し、この管状網状体の中に熱交換チューブを縦向きに挿入することにより、管状網状体の隙間を通る地下水を、熱交換チューブの周囲の空間で自由に流動させて、熱交換チューブと広い接触面積で接触させ、地下水との熱交換効率を高めて地中熱を十分に利用できるようにするとともに、管状網状体で周囲の地盤の崩れ込みを防止して、熱交換チューブが損傷する恐れをなくし、管状網状体の内側の空間に挿入された熱交換チューブを取り出して、交換やメンテナンスも容易に行うことができるようにした。
【0009】
なお、前記麺状の熱可塑性樹脂を3次元で網状に絡ませて管状に成形固化した管状網状体は、地盤の液状化を予防するアースドレーン工法のドレーンパイプとして使用されており、地中に埋設されたときに地盤の崩れ込みを防止する十分な耐圧強度を有する(例えば、特開2006−214241号公報参照)。
【0010】
前記管状網状体の埋設方法が、縦向きの孔を掘削する掘削刃が先端に取り付けられたケーシングパイプの中に、掘削前または掘削後に前記管状網状体を入れ込み、こののち、掘削孔を掘削したケーシングパイプを抜き取って、前記管状網状体を埋設する方法とすることができる。
【0011】
前記管状網状体の埋設方法が、先端に穿孔ビットが取り付けられた打設機のノッカーに、穿孔ビットの後面側で前記管状網状体を外嵌し、ノッカーを打設することによって穿孔される縦向きの孔に管状網状体を埋設し、こののち、前記ノッカーを抜き取る方法とすることもできる。
【0012】
また、本発明の地中熱利用熱交換チューブの埋設構造は、地中熱を利用する熱交換チューブを地中の所定の深さまで縦向きに埋設する地中熱利用熱交換チューブの埋設構造において、前記熱交換チューブが埋設された周囲に空間を開けて、麺状の熱可塑性樹脂を3次元で網状に絡ませて管状に成形固化し、内表面と外表面に連通する空隙を有する管状網状体を埋設した構成を採用することにより、地下水との熱交換効率を高めて地中熱を十分に利用でき、かつ、熱交換チューブが損傷する恐れがなく、交換やメンテナンスも容易に行うことができるようにした。
【発明の効果】
【0013】
本発明の地中熱利用熱交換チューブの埋設方法は、熱交換チューブが埋設される周囲に空間を開けて、麺状の熱可塑性樹脂を3次元で網状に絡ませて管状に成形固化し、内表面と外表面に連通する空隙を有する管状網状体を埋設し、この管状網状体の中に前記熱交換チューブを縦向きに挿入するようにしたので、地下水との熱交換効率を高めて地中熱を十分に利用でき、かつ、熱交換チューブが損傷する恐れがなく、交換やメンテナンスも容易に行うことができる。
【0014】
また、本発明の地中熱利用熱交換チューブの埋設構造は、熱交換チューブが埋設された周囲に空間を開けて、麺状の熱可塑性樹脂を3次元で網状に絡ませて管状に成形固化し、内表面と外表面に連通する空隙を有する管状網状体を埋設したので、地下水との熱交換効率を高めて地中熱を十分に利用でき、かつ、熱交換チューブが損傷する恐れがなく、交換やメンテナンスも容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明に係る地中熱利用熱交換チューブの埋設構造を採用した住宅の冷暖房、給湯用等の地中熱利用システムを示す。この地中熱利用システムは、地上に設置されたヒートポンプ1に接続したU字状の地中熱利用熱交換チューブ2を、地中の数十mの深さまで縦向きに埋設したものであり、熱交換チューブ2の周囲に空間を開けて、内表面と外表面に連通する空隙を有する管状網状体3が埋設されている。なお、管状網状体3は、深さ方向で複数のユニット3aに分割されて埋設されている。
【0016】
図1および図2に示すように、前記熱交換チューブ2の周囲の空間では、数m程度以上の深さで、管状網状体3の隙間を通った地下水Aが流動し、熱交換チューブ2と広い接触面積で接触する。したがって、地下水Aとの熱交換効率を高めて地中熱を十分に利用することができる。また、熱交換チューブ2は交換やメンテナンスのために容易に取り出すことができ、管状網状体3は、後述するように、地盤の崩れ込みを防止する十分な耐圧強度を有するので、熱交換チューブ2が損傷する恐れもない。
【0017】
図3に示すように、前記管状網状体3のユニット3aは、熱可塑性樹脂としてのポリプロピレンを加熱溶融してノズルから麺状に押し出し、3次元で網状に絡ませて管状に成形固化したものであり、高い耐圧強度を有する。
【0018】
図4は、上述した地中熱利用熱交換チューブ2の埋設方法の第1の実施形態を示す。この実施形態では、図4(a)に示すように、先端に掘削刃11aが取り付けられたケーシングパイプ11の中にユニット3a化した管状網状体3を入れ込んで、縦向きの孔を掘削し、こののち、図4(b)に示すように、孔を掘削したケーシングパイプ11を抜き取って、管状網状体3を埋設し、最後に、図1に示したように、管状網状体3の中に熱交換チューブ2を挿入して、埋設を完了する。なお、掘削刃11aは先端が開くようになっており、ケーシングパイプ11と一緒に孔から抜き取られる。管状網状体3は、掘削後にケーシングパイプ11の中に入れ込むこともできる。
【0019】
図5は、地中熱利用熱交換チューブ2の埋設方法の第2の実施形態を示す。この実施形態では、図5(a)に示すように、先端に穿孔ビット12aが取り付けられた打設機のノッカー12に、穿孔ビット12aの後面側で管状網状体3を外嵌して、縦向きの孔を穿孔しながら管状網状体3を埋設し、こののち、図5(b)に示すように、ノッカー12を抜き取り、最後に、図1に示したように、管状網状体3の中に熱交換チューブ2を挿入して、埋設を完了する。なお、この実施形態では、穿孔ビット12aが孔の底に残る。
【0020】
上述した実施形態では、管状網状体を形成する熱可塑性樹脂をポリプロピレンとしたが、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等の他の熱可塑性樹脂とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る地中熱利用熱交換チューブの埋設構造を採用した地中熱利用システムを示す縦断面図
【図2】図1のII−II線に沿った断面図
【図3】図1の管状網状体のユニットを示す外観斜視図
【図4】a、bは、第1の実施形態の地中熱利用熱交換チューブの埋設方法を示す縦断面図
【図5】a、bは、第2の実施形態の地中熱利用熱交換チューブの埋設方法を示す縦断面図
【符号の説明】
【0022】
1 ヒートポンプ
2 熱交換チューブ
3 管状網状体
3a ユニット
11 ケーシングパイプ
11a 掘削刃
12 ノッカー
12a 穿孔ビット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中熱を利用する熱交換チューブを地中の所定の深さまで縦向きに埋設する地中熱利用熱交換チューブの埋設方法において、前記熱交換チューブが埋設される周囲に空間を開けて、麺状の熱可塑性樹脂を3次元で網状に絡ませて管状に成形固化し、内表面と外表面に連通する空隙を有する管状網状体を埋設し、この管状網状体の中に前記熱交換チューブを縦向きに挿入するようにしたことを特徴とする地中熱利用熱交換チューブの埋設方法。
【請求項2】
前記管状網状体の埋設方法が、縦向きの孔を掘削する掘削刃が先端に取り付けられたケーシングパイプの中に、掘削前または掘削後に前記管状網状体を入れ込み、こののち、掘削孔を掘削したケーシングパイプを抜き取って、前記管状網状体を埋設する方法である請求項1に記載の地中熱利用熱交換チューブの埋設方法。
【請求項3】
前記管状網状体の埋設方法が、先端に穿孔ビットが取り付けられた打設機のノッカーに、穿孔ビットの後面側で前記管状網状体を外嵌し、ノッカーを打設することによって穿孔される縦向きの孔に管状網状体を埋設し、こののち、前記ノッカーを抜き取る方法である請求項1に記載の地中熱利用熱交換チューブの埋設方法。
【請求項4】
地中熱を利用する熱交換チューブを地中の所定の深さまで縦向きに埋設する地中熱利用熱交換チューブの埋設構造において、前記熱交換チューブが埋設された周囲に空間を開けて、麺状の熱可塑性樹脂を3次元で網状に絡ませて管状に成形固化し、内表面と外表面に連通する空隙を有する管状網状体を埋設したことを特徴とする地中熱利用熱交換チューブの埋設構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−14359(P2010−14359A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−175611(P2008−175611)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(501119023)関電エネルギ−開発株式会社 (1)
【出願人】(505462471)株式会社イー・プランニング (4)
【出願人】(508203079)株式会社森長工務店 (1)
【出願人】(506178461)株式会社機動技研 (3)
【Fターム(参考)】