説明

地図データの検査装置,検査方法およびプログラム

【課題】本発明は、地図データにおけるノードおよびリンクで構成される接続構造の誤りを検査することが可能な技術を提供する。
【解決手段】地図サーバ50は、検査範囲を設定する範囲設定部511と、着目ノードを選定するノード選定部512と、着目ノードからリンクを介して通行可能な検査経路を抽出する経路抽出部513と、プローブデータから走行軌跡を抽出するプローブ抽出部514と、走行軌跡と整合性がない検査経路を誤り経路として特定する誤り特定部515とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図上に道路を表現する地図データにおける誤りを検査する検査技術に関する。
【背景技術】
【0002】
地図上に道路を表現するための地図データは、コンピュータで利用可能に電子化され、車載用や携帯用のナビゲーション装置、ウェブサーバ、パーソナルコンピュータなどの装置で利用される。一般的な地図データは、道路上の基準点を示す複数のノードを規定したノードデータと、これら複数のノード間を接続する複数のリンクを規定したリンクデータとを備える。地図データを利用する装置は、地図データに規定されたノードおよびリンクを組み合わせて地図上に道路を表現することによって、道路地図の表示、現在地の表示、経路の探索、経路の案内などの処理を実行する。
【0003】
実際の道路と地図データの道路との間には、道路の新設,改修,廃止の他、交通規則の改変、データ作成時の誤り等によって相違点が生じる場合がある。下記特許文献1には、位置情報を検出するセンサを備える車両(いわゆる「プローブカー」)を用いて走行軌跡を記録したプローブデータを収集し、その収集したプローブデータに基づいて、地図データで表現された道路に対する進入禁止規制を判定する技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−267471号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来、プローブデータを用いて地図データの誤りを検査することに関して十分な考慮がなされていなかった。特に、従来の技術は、地図データのリンクに関連付けられた関連情報の誤りを検査するものであり、地図データのノードおよびリンクで構成される接続構造自体に誤りが存在することは考慮されていなかった。
【0006】
本発明は、上記した課題を踏まえ、地図データにおけるノードおよびリンクで構成される接続構造の誤りを検査することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1] 適用例1の検査装置は、地図上にノードおよびリンクによって道路を表現する地図データにおける誤りを検査する検査装置であって、前記地図データに含まれるノードの一つである着目ノードを選定するノード選定部と、前記着目ノードからリンクを介して通行可能な検査経路を、前記地図データから抽出する経路抽出部と、車両が走行した走行軌跡を記録したプローブデータから、前記着目ノードに相当する位置から延びた走行軌跡を抽出するプローブ抽出部と、前記経路抽出部によって抽出された検査経路のうち、前記プローブ抽出部によって抽出された走行軌跡と整合性がない経路を、ノードおよびリンクで構成される接続構造に誤りがある誤り経路として特定する誤り特定部とを備えることを特徴とする。適用例1の検査装置によれば、地図データから抽出した通行可能な経路に対するプローブデータとの整合性を判断することによって、地図データにおけるノードおよびリンクで構成される接続構造の誤りを検査することができる。
【0009】
[適用例2] 適用例1の検査装置において、前記経路抽出部によって抽出される検査経路は、三つ以上のリンクに跨る経路であるとしても良い。適用例2の検査装置によれば、二つのリンクに跨る経路では実際に通行可能であるが、この二つのリンクに他のリンクを更に連結した経路では実際に通行できない経路を特定することができる。一般に、このような経路に対して二つのリンクに注目するだけでは、誤りを判断することは困難である。
【0010】
[適用例3] 適用例1または適用例2の検査装置は、更に、前記地図データの誤りを検査する検査範囲を設定する範囲設定部を備えても良い。適用例3の検査装置によれば、検査対象となる検査経路および走行軌跡のデータ量が絞られるため、処理負荷を軽減することができる。
【0011】
[適用例4] 適用例1ないし適用例3のいずれかの検査装置において、前記誤り特定部は、前記プローブ抽出部によって抽出された走行軌跡に基づいて、前記経路抽出部によって抽出された検査経路の通行量を算出する通行量算出部と、前記経路抽出部によって抽出された検査経路のうち、前記通行量算出部によって算出された通行量が基準閾値よりも少ない経路を、前記プローブ抽出部によって抽出された走行軌跡と整合性がない経路と判断する整合性判断部とを含むとしても良い。適用例4の検査装置によれば、地図データから抽出した通行可能な経路に対するプローブデータとの整合性を定量的に判断することができる。
【0012】
[適用例5] 適用例1ないし適用例4のいずれかの検査装置は、更に、前記プローブ抽出部によって抽出された走行軌跡に基づいて、前記誤り特定部によって特定された誤り経路における接続構造を修正する修正部を備えても良い。適用例4の検査装置によれば、実際の通行可能な経路を地図データに反映させることができる。
【0013】
本発明の形態は、検査装置に限るものではなく、例えば、検査装置を備えるナビゲーション装置、地図データの検査方法、地図データの検査機能をコンピュータに実現させるためのプログラムなどの他の形態に適用することもできる。また、本発明は、前述の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において様々な形態で実施し得ることは勿論である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以上説明した本発明の構成および作用を一層明らかにするために、以下本発明を適用した地図表示システムについて説明する。
【0015】
A.地図表示システム10の構成:
図1は、地図表示システム10の構成を示す説明図である。地図表示システム10は、端末装置20と、地図サーバ50と、記憶装置60とを備える。地図表示システム10は、記憶装置60に記憶されている地図データ80に基づくデータを地図サーバ50から端末装置20に配信することによって、端末装置20において道路地図の表示、現在地の表示、経路の探索、経路の案内などを実行するナビゲーションシステムである。地図表示システム10は、地図サーバ50が検査装置として機能することによって、地図データ80における誤りをプローブデータ70に基づいて検査する。プローブデータ70は、プローブカー34が走行した走行軌跡を記録したデータである。本実施例では、プローブデータ70は、プローブカー34からネットワーク40を介して収集され、記憶装置60に記憶される。
【0016】
地図表示システム10の記憶装置60は、地図データ80を記憶可能な記憶容量を有する記憶装置である。本実施例では、記憶装置60は、地図サーバ50の外部記憶装置として構成されたハードディスクドライブ(Hard Disk Drive、以下、HDDという)であるが、他の実施形態において、記憶装置60は、地図サーバ50に内蔵されても良いし、半導体メモリやDVD(Digital Versatile Disk),CD(Compact Disk)を用いた記憶装置であっても良い。
【0017】
記憶装置60に記憶されている地図データ80は、ノードデータ810と、リンクデータ820とを備える。地図データ80のノードデータ810は、道路上の基準点を示す複数のノードを規定する。地図データ80のリンクデータ820は、ノードデータ810に規定された複数のノード間を接続する複数のリンクを規定する。
【0018】
図2は、地図データ80によって規定されたノードおよびリンクを模式的に例示する説明図である。以下の説明では、図中のノードを個別に示す場合には、英文字「N」の後に数字を付した符号を用い(例えば、N1,N2,N3,…)、図中のリンクを個別に示す場合には、英文字「L」の後に数字を付した符号を用いる(例えば、L1,L2,L3,…)。図2には、地図データ80のノードデータ810によって規定された9個のノードN1〜N9が図示され、地図データ80のリンクデータ820によって規定された11個のリンクL1〜L11が図示されている。ノードN1〜N9は、道路や車線における特徴的な基準点、例えば、公差点,分岐点,幅員が変化する点などを表現する。リンクL1〜L11は、ノードN1〜N9の間を接続する道路や車線を表現する。
【0019】
図3は、地図データ80におけるノードデータ810の詳細構成を示す説明図である。ノードデータ810は、ノード毎の属性を示すノード属性データ8102を備える。ノード属性データ8102に示されるノードの属性は、ノード番号と、位置座標と、ノード種別と、接続リンク数と、接続リンク番号とを含む。
【0020】
ノード属性データ8102のノード番号は、ノードを識別するための符号を示す。ノード属性データ8102の位置座標は、地図上におけるノードの位置を示す。ノード属性データ8102のノード種別は、ノードが表現する基準点の種別を示す。ノード属性データ8102の接続リンク数は、ノードに接続するリンクの数を示す。ノード属性データ8102の接続リンク番号は、ノードに接続するリンクを識別するための符号を示す。図3に示す例では、ノード番号「N2」が割り当てられたノードN2に関するノード属性データ8102には、ノードN2が座標[Xn2(経度),Yn2(緯度)]上に位置し、ノードN2が「交差点」を表現し、ノードN2に接続するリンクの数が「4」であり、これらのリンク番号が「L1,L2,L4,L9」であることが示されている。
【0021】
図4は、地図データ80におけるリンクデータ820の詳細構成を示す説明図である。リンクデータ820は、リンク毎の属性を示すリンク属性データ8202を備える。リンク属性データ8202に示されるリンクの属性は、リンク番号と、始点ノードと、終点ノードと、道路種別と、補間点座標とを含み、その他、リンク長,幅員区分,車線数なども含む。
【0022】
リンク属性データ8202のリンク番号は、リンクを識別するための符号を示す。リンク属性データ8202の始点ノードは、リンクが始点として接続するノードを識別するための符号を示す。リンク属性データ8202の終点ノードは、リンクが終点として接続するノードを識別するための符号を示す。リンク属性データ8202の道路種別は、リンクが表現する道路や車線の種別を示す。リンク属性データ8202の補間点座標は、リンクが始点ノードから終点ノードまで延びる軌跡の形状を示す。リンク属性データ8202のリンク長は、始点ノードから終点ノードまでのリンクの長さを示す。リンク属性データ8202の幅員区分は、リンクが表現する道路や車線の幅員を示す。リンク属性データ8202の車線数は、リンクが表現する道路や車線に含まれる車線の数を示す。図4に示す例では、リンク番号「L2」が割り当てられたリンクL2に関するリンク属性データ8202には、リンクL2が「始点ノードN2」から「終点ノードN3」へと接続し、リンクL2が表現する道路が「一般国道」であることが示されている。
【0023】
図5は、地図表示システム10における地図サーバ50の構成を主に示す説明図である。地図サーバ50は、セントラルプロセッシングユニット(Central Processing Unit、以下、地図サーバCPUという)510と、地図サーバメモリ520と、ネットワークインタフェース532と、ストレージインタフェース534とを備える。
【0024】
地図サーバCPU510は、地図サーバ50の各部を制御する。地図サーバメモリ520は、地図サーバCPU510の動作を規定したプログラムや、地図サーバCPU510によって取り扱われる種々のデータを記憶する。地図サーバメモリ520に記憶されているプログラムには、ナビゲーションプログラム522と、誤り検査プログラム524とを含む。ナビゲーションプログラム522は、端末装置20を通じた道路地図の表示、現在地の表示、経路の探索、経路の案内を実行する機能を地図サーバCPU510に実現させるためのプログラムである。誤り検査プログラム524は、地図データ80の誤りを検査する機能を地図サーバCPU510に実現させるためのプログラムである。
【0025】
地図サーバ50のネットワークインタフェース532は、ネットワーク40とデータ通信可能に接続する。地図サーバ50のストレージインタフェース534は、記憶装置60とデータ通信可能に接続する。
【0026】
地図サーバ50は、範囲設定部511と、ノード選定部512と、経路抽出部513と、プローブ抽出部514と、誤り特定部515と、修正部516とを備える。本実施例では、範囲設定部511,ノード選定部512,経路抽出部513,プローブ抽出部514,誤り特定部515,修正部516の各機能は、地図サーバCPU510がソフトウェアに基づいて演算処理を実行することによって実現されるが、他の実施形態において、これらの少なくとも一部の機能は、地図サーバ50の電子回路がその物理的な回路構成に基づいて動作することによって実現されるとしても良い。
【0027】
地図サーバ50の範囲設定部511は、地図データ80の誤りを検査する検査範囲を設定する。地図サーバ50のノード選定部512は、検査範囲に含まれるノードの一つである着目ノードを選定する。地図サーバ50の経路抽出部513は、範囲設定部511によって設定された検査範囲で、ノード選定部512によって選定された着目ノードからリンクを介して通行可能な検査経路を抽出する。地図サーバ50のプローブ抽出部514は、プローブデータ70から、範囲設定部511によって設定された検査範囲に相当する範囲で、ノード選定部512によって選定された着目ノードに相当する位置から延びた走行軌跡を抽出する。
【0028】
地図サーバ50の誤り特定部515は、経路抽出部513によって抽出された検査経路のうち、プローブ抽出部514によって抽出された走行軌跡と整合性がない経路を、ノードおよびリンクで構成される接続構造に誤りがある誤り経路として特定する。地図サーバ50の修正部516は、プローブ抽出部514によって抽出された走行軌跡に基づいて、誤り特定部515によって特定された誤り経路における接続構造を修正する。なお、地図サーバ50の動作の詳細については後述する。
【0029】
図1の説明に戻り、地図表示システム10の端末装置20は、携帯用のナビゲーション装置であり、本実施例では、ナビゲーション装置としての機能を有する携帯電話機である。端末装置20は、端末CPU210と、端末メモリ220と、ディスプレイ230と、入力ボタン240と、無線通信部250と、GPS受信部260とを備える。
【0030】
端末装置20の端末CPU210は、端末装置20の各部を制御する。端末装置20の端末メモリ220は、端末CPU210の動作を規定したプログラムや、CPU210によって取り扱われる種々のデータを記憶する。端末装置20のディスプレイ230は、端末CPU210の指示に基づいて道路地図を含む種々の画像を表示する。端末装置20の入力ボタン240は、端末装置20を操作するユーザからのデータの入力を受け付ける。
【0031】
端末装置20の無線通信部250は、地図サーバ50とのデータのやり取りを無線通信で行う。本実施例では、端末装置20の無線通信部250が携帯電話網の基地局装置32と無線通信を行うことによって、端末装置20は、地図サーバ50に接続されたネットワーク40に接続する。ネットワーク40は、インターネット,WAN(Wide Area Network),LAN(Local Area Network),携帯電話網,固定電話網,光通信網などを含むとしても良い。
【0032】
端末装置20のGPS受信部250は、測地衛星90から送信されるGPS(Global Positioning System)信号を受信する。GPS受信部250によって受信されたGPS信号を解析することによって、端末装置20の現在位置を検知することができる。
【0033】
A2.地図表示システム10の動作:
図6は、地図表示システム10の地図サーバ50が実行する誤り検査処理(ステップS100)を示すフローチャートである。本実施例では、地図サーバ50は、図6の誤り検査処理(ステップS100)を定期的に実行する。本実施例では、図6の誤り検査処理(ステップS100)は、地図サーバCPU510がソフトウェアに基づいて動作することによって実現されるが、他の実施形態として、地図サーバ50の電子回路がその物理的な回路構成に基づいて動作することによって実現されても良い。
【0034】
地図表示システム10の地図サーバ50は、誤り検査処理(ステップS100)を開始すると、地図サーバCPU510が範囲設定部511として機能することによって、地図データ80の誤りを検査する検査範囲を設定する(ステップS110)。本実施例では、設定される検査範囲は、地図上に規定されたメッシュの区画を単位に設定される。他の実施形態において、設定される検査範囲は、所定の地点から所定の距離にある範囲(例えば、半径10キロメートル)であっても良いし、所定の地点から連続するリンク列の合計距離が所定の距離にある範囲であっても良いし、地図表示システム10の管理者によって指定された範囲であっても良い。
【0035】
検査範囲が設定された後(ステップS110)、地図サーバ50は、地図サーバCPU510がノード選定部512として機能することによって、検査範囲に含まれるノードの一つである着目ノードを選定する(ステップS120)。本実施例では、選定される着目ノードは、設定された検査範囲の略中央に位置するノードが選定される。他の実施形態において、選定される着目ノードは、地図表示システム10の管理者によって指定されたノードであっても良い。なお、本実施例では、検査範囲の特定(ステップS110)を実施した後に、着目ノードの選定(ステップS120)を実施するが、着目ノードの選定(ステップS120)を実施した後に、検査範囲の特定(ステップS110)を実施しても良い。
【0036】
検査範囲および着目ノードが特定された後(ステップS110,S120)、地図サーバ50は、地図サーバCPU510が経路抽出部513として機能することによって、範囲設定部511によって設定された検査範囲で、ノード選定部512によって選定された着目ノードからリンクを介して通行可能な検査経路を抽出する(ステップS130)。例えば、図2に示した例において、ノードN3が着目ノードに選定された場合、三つのリンクで構成される検査経路としては、8個の検査経路「L2‐L4‐L5」,「L2‐L9‐L11」,「L6‐L5‐L4」,「L8‐L11‐L9」,「L8‐L10‐L3」,「L8‐L10‐L7」が抽出される。なお、ここでは、リンクL3からリンクL10への左折禁止の規制が入っているため、「L3‐L10‐L8」,「L3‐L10‐L11」については抽出されない。本実施例では、抽出される検査経路は、三つ以上のリンクに跨る経路であるが、他の実施形態において、一つ以上のリンクに跨る経路であっても良いし、検査経路に含まれるリンク数に上限を設けても良い。
【0037】
図6の説明に戻り、検査経路が抽出された後(ステップS130)、地図サーバ50は、地図サーバCPU510がプローブ抽出部514として機能することによって、プローブデータ70から、範囲設定部511によって設定された検査範囲に相当する範囲で、ノード選定部512によって選定された着目ノードに相当する位置から延びた走行軌跡を抽出する(ステップS140)。本実施例では、地図データ80とプローブデータ70との間における所定距離(例えば、5メートル)内のズレを許容して、検査範囲に相当する範囲および着目ノードに相当する位置が特定される。なお、本実施例では、地図データ80における検査経路の抽出(ステップS130)を実施した後に、プローブデータ70における走行軌跡の抽出(ステップS140)を実施するが、他の実施形態において、プローブデータ70における走行軌跡の抽出(ステップS140)を実施した後に、地図データ80における検査経路の抽出(ステップS130)を実施しても良い。
【0038】
検査経路および走行軌跡が抽出された後(ステップS130,S140)、地図サーバ50は、地図サーバCPU510が誤り特定部515として機能することによって、誤り特定処理を実行する(ステップS150)。誤り特定処理(ステップS150)において、地図サーバ50は、地図データ80から抽出された検査経路のうち、プローブデータ70から抽出された走行軌跡と整合性がない経路を、ノードおよびリンクで構成される接続構造に誤りがある誤り経路として特定する。
【0039】
誤り特定処理を開始すると(ステップS150)、地図サーバ50は、プローブデータ70から抽出された走行軌跡に基づいて、地図データ80から抽出された検査経路の通行量を算出する(ステップS152)。その後、地図サーバ50は、通行量が基準閾値よりも少ない経路を、プローブデータ70から抽出された走行軌跡と整合性がない経路と判断する(ステップS154)。本実施例では、通行量を判断するための基準閾値は「1」である。すなわち、検査経路を通る走行軌跡が一つでも存在すれば、その検査経路は整合性がある経路として判断される。他の実施形態において、通行量を判断するための基準閾値を1以上の数値に設定しても良い。
【0040】
全ての検査経路に整合性がある場合(ステップS156:「YES」)、地図サーバ50は、地図データ80に誤りが存在しないと判断して、誤り特定処理(ステップS150)を終了する。一方、少なくとも一つの検査経路に整合性がない場合(ステップS156:「NO」)、地図サーバ50は、その整合性がない検査経路を、ノードおよびリンクで構成される接続構造に誤りがある誤り経路として特定する(ステップS158)。誤り経路が特定された後(ステップS158)、地図サーバ50は、誤り特定処理(ステップS150)を終了する。
【0041】
誤り特定処理(ステップS150)において誤り経路が特定された場合(ステップS158)、地図サーバ50は、地図サーバCPU510が修正部516として機能することによって、プローブデータ70から抽出された走行軌跡に基づいて、誤り経路における接続構造を修正する(ステップS160)。本実施例では、地図サーバ50は、プローブデータ70から抽出された走行軌跡に基づいて生成した修正候補を地図表示システム10の管理者に提示し、管理者によって承認された修正候補を地図データ80に反映させる。他の実施形態において、地図サーバ50は、誤り経路を地図表示システム10の管理者に提示し、管理者から修正データの入力を受け付けるとしても良い。
【0042】
図7は、誤り検査処理(ステップS100)の様子を第1の例を用いて示す説明図である。図7の上段には、実際の道路構造910が図示されている。図7の中段には、道路構造910を誤って表現した接続構造C11が図示されている。図7の下段には、道路構造910を正しく表現した接続構造C12が図示されている。
【0043】
道路構造910は、車線911,912と、分岐道路913とを備える。車線911,912は、紙面左方向から右方向へと並行して延びる道路である。分岐道路913は、車線911の途中から紙面右上方向へと分岐する道路である。車線911と車線912との間には、交通の上流側から分岐道路913との分岐点の手前までに中央分離帯916が設けられている。中央分離帯916から下流側には、分岐道路913との分岐地点を過ぎるまで、車線911と車線912との間に沿って複数のポール918が設置されている。複数のポール918から下流側には、走行を遮る地物は設けられておらず、車線911と車線912との間で車線変更が可能になっている。
【0044】
接続構造C11は、6個のノードN10,N11,N12,N13,N14,N15と、5個のリンクL10,L11,L12,L14,L15とを備える。接続構造C11において、ノードN10は、車線911の上流側端点を表現し、ノードN11は、車線912の上流側端点を表現する。ノードN12は、車線911と車線912との間に設けられている中央分離帯916の下流側終点を表現する。ノードN13は、分岐道路913の分岐点を表現する。ノードN14は、分岐道路913の下流側端点を表現する。ノードN15は、車線911,912の下流側端点を表現する。
【0045】
接続構造C11において、リンクL10は、ノードN10からノードN12までを接続して車線911を表現し、リンクL11は、ノードN11からノードN12までを接続して車線912を表現する。リンクL12は、ノードN12からノードN13までを接続して車線911,912を表現する。リンクL14は、ノードN13からノードN14までを接続して分岐道路913を表現する。リンクL15は、ノードN13からノードN15までを接続して車線911,912を表現する。
【0046】
図7に示した道路構造910に対して地図データ80に接続構造C11が規定されている状況で、誤り検査処理(ステップS100)を実行した場合について説明する。接続構造C11において、ノードN10,N11が着目ノードに選定された場合、三つ以上のリンクに跨る検査経路として、四つの検査経路「L10‐L12‐L14」,「L10‐L12‐L15」,「L11‐L12‐L14」,「L11‐L12‐L15」が、地図データ80から抽出される(ステップS130)。
【0047】
プローブデータ70からは、五つのパターンに分類可能な走行軌跡P10,P12,P13,P14,P15が抽出されたとする(ステップS140)。走行軌跡P10は、ノードN10からN15までに相当する区間で車線911を直進した軌跡を示す。走行軌跡P12は、ノードN10に相当する地点から車線911を直進した後、リンクL15の途中に相当する位置で車線911から車線912へと車線変更した軌跡を示す。走行軌跡P13は、ノードN10に相当する地点から車線911を直進した後、分岐道路913へと進路変更した軌跡を示す。走行軌跡P14は、ノードN11からN15までに相当する区間で車線912を直進した軌跡を示す。走行軌跡P15は、ノードN11に相当する地点から車線912を直進した後、リンクL15の途中に相当する位置で車線912から車線911へと車線変更した軌跡を示す。
【0048】
誤り特定処理(ステップS150)において、検査経路「L10‐L12‐L14」は、走行軌跡P10,P12に対応し、プローブデータ70に基づく通行量があることから、整合性がある経路と判断される。検査経路「L10‐L12‐L15」は、走行軌跡P13に対応し、プローブデータ70に基づく通行量があることから、整合性がある経路と判断される。検査経路「L11‐L12‐L15」は、走行軌跡P14,P15に対応し、プローブデータ70に基づく通行量があることから、整合性がある経路と判断される。
【0049】
一方、検査経路「L11‐L12‐L14」に対応して、ノードN11に相当する地点から車線912を直進した後、分岐道路913へと進路変更する軌跡X10は、走行軌跡として抽出されていない。実際の道路構造910では、分岐道路913が車線911から分岐する区間において、車線911と車線912との間に複数のポール918が設定されているため、車線912から分岐道路913への進路変更は物理的に不可能となっている。そのため、検査経路「L11‐L12‐L14」は、プローブデータ70に基づく通行量がないことから、整合性がない経路と判断される。
【0050】
接続構造C11から抽出された検査経路「L11‐L12‐L14」が誤り経路として特定されると(ステップS158)、接続構造C11は、プローブデータ70から抽出された走行軌跡P10〜P13に基づいて、接続構造C12へと修正される(ステップS160)。
【0051】
図7の接続構造C12には、接続構造C11から修正されたノードおよびリンクの符号が枠で囲まれた状態で示されている。接続構造C12では、接続構造C11と比較して、ノードN12が削除され、ノードN16が追加され、リンクL10,L11,L15が変更され、リンクL13が追加されている。ノードN16は、走行軌跡P12,P15に基づいて、車線911,912間で車線変更が行われる地点の上流側、すなわち、複数のポール918の終点を表現するノードとして新設されている。リンクL10は、ノードN10からノードN13までを接続して車線911を表現するリンクに変更されている。リンクL13は、走行軌跡P10,P12に基づいて、ノードN13からノードN16までを接続して車線911を表現するリンクとして新設されている。リンクL11は、ノードN11からノードN16までを接続して車線912を表現するリンクに変更されている。リンクL15は、ノードN16からノードN15までを接続して車線912,912を表現するリンクに変更されている。
【0052】
図8は、誤り検査処理(ステップS100)の様子を第2の例を用いて示す説明図である。図8の上段には、実際の道路構造920が図示されている。図8の中段には、道路構造920を誤って表現した接続構造C21が図示されている。図8の下段には、道路構造920を正しく表現した接続構造C22が図示されている。
【0053】
道路構造920は、車線921,922と、交差道路923,924と、合流道路925とを備える。車線921は、紙面左方向から右方向へと延び、車線922は、車線921に対向して紙面右方向から左方向へと延びる道路である。交差道路923は、車線921から紙面右上方向へと延び、交差道路924は、紙面右上方向から車線921へと延びる。交差道路923は、交差道路924と共に、片側一車線の道路を構成する。交差道路923,924は、紙面右上方向から車線921,922へと交差して三叉路を構成する。合流道路925は、紙面右下方向から車線922へと合流する道路である。合流道路925と車線922との合流点は、交差道路923と車線921,922とで構成される三叉路よりも紙面左側にずれている。
【0054】
車線921と車線922との間には、交差道路923,924との三叉路を空けて中央分離帯926,927が設けられている。車線921からは、交差道路923へと左折可能であり、車線922からは、交差道路923へと右折可能である。交差道路924からは、車線921へと左折可能であり、車線922へと右折可能である。なお、車線921と車線922との間におけるUターンは禁止されている。
【0055】
接続構造C21は、9個のノードN20,N21,N23,N24,N25,N26,N27,N28,N29と、8個のリンクL20,L21,L22,L24,L25,L26,L28,L29とを備える。接続構造C21において、ノードN20は、車線921の上流側端点を表現し、ノードN23は、車線921の下流側端点を表現する。ノードN21は、車線921と交差道路923,924との交差点を表現する。ノードN24は、車線922の上流側端点を表現し、ノードN27は、車線922の下流側端点を表現する。ノードN25は、合流道路925との合流点を表現し、ノードN26は、車線922と交差道路923との交差点を表現する。ノードN28は、交差道路923,924の端点を表現し、ノードN29は、合流道路925の上流側端点を表現する。
【0056】
接続構造C21において、リンクL20は、ノードN20からノードN21までを接続して車線921を表現し、リンクL21は、ノードN21からノードN23までを接続して車線921を表現する。リンクL24は、ノードN24からノードN25までを接続して車線922を表現し、リンクL25は、ノードN25からノードN26までを接続して車線922を表現し、リンクL26は、ノードN26からノードN27までを接続して車線922を表現する。リンクL22は、ノードN21とノードN22との間を接続して、車線921,922と交差道路923とで構成される三叉路を表現する。リンクL28は、ノードN21とノードN28との間を接続して交差道路923,924を表現する。リンクL29は、ノードN29からノードN25までを接続して合流道路925を表現する。
【0057】
図8に示した道路構造920に対して地図データ80に接続構造C21が規定されている状況で、誤り検査処理(ステップS100)を実行した場合について説明する。接続構造C21において、ノードN29が着目ノードに選定された場合、三つ以上のリンクに跨る検査経路として、三つの検査経路「L29‐L25‐L22」,「L29‐L25‐L22‐L28」,「L29‐L25‐L26」が、地図データ80から抽出される(ステップS130)。なお、本実施例では、リンクL22からリンクL21への進入は禁止されているため、経路「L29‐L25‐L22‐L21」は、検査経路として抽出されない。
【0058】
プローブデータ70からは、ノードN29に相当する地点からの走行軌跡として、一つのパターンに分類可能な走行軌跡P24のみが抽出されたとする(ステップS140)。走行軌跡P24は、ノードN29に相当する地点から合流道路925を直進した後、車線922へと合流した軌跡を示す。
【0059】
誤り特定処理(ステップS150)において、検査経路「L29‐L25‐L26」は、走行軌跡P24に対応し、プローブデータ70に基づく通行量があることから、整合性がある経路と判断される。
【0060】
一方、検査経路「L29‐L25‐L22」,「L29‐L25‐L22‐L28」に対応して、ノードN29に相当する地点から合流道路925を直進して車線922に合流した後、交差道路923との三叉路へと右折する軌跡X20は、走行軌跡として抽出されていない。実際の道路構造920では、車線922における交差道路923との交差点よりも下流側に合流道路925は合流するため、合流道路925から交差道路923への進入は物理的に不可能となっている。そのため、検査経路「L29‐L25‐L22」,「L29‐L25‐L22‐L28」は、プローブデータ70に基づく通行量がないことから、整合性がない経路と判断される。
【0061】
接続構造C21から抽出された検査経路「L29‐L25‐L22」,「L29‐L25‐L22‐L28」が誤り経路として特定されると(ステップS158)、接続構造C21は、プローブデータ70から抽出された走行軌跡P21〜P27に基づいて、接続構造C22へと修正される(ステップS160)。
【0062】
図8の接続構造C22には、接続構造C21から修正されたノードおよびリンクの符号が枠で囲まれた状態で示されている。接続構造C22では、接続構造C21と比較して、リンクL22,L29が変更されている。リンクL22は、ノードN21とノードN25との間を接続して、車線921,922と交差道路923,924との交差点を表現するリンクに変更されている。リンクL29は、ノードN29からノードN26までを接続して合流道路925を表現するリンクに変更されている。
【0063】
図9は、誤り検査処理(ステップS100)の様子を第3の例を用いて示す説明図である。図9の上段には、実際の道路構造930が図示されている。図9の中段には、道路構造930を誤って表現した接続構造C31が図示されている。図9の下段には、道路構造930を正しく表現した接続構造C32が図示されている。
【0064】
道路構造930は、片側一車線の道路931,932を備える。道路931と道路932とは、交差して交差点を構成する。道路931の紙面右側から道路932との交差点に進出する位置には、道路931の通行を遮断する障壁936が設置されている。
【0065】
接続構造C31は、5個のノードN30〜N34と、4個のリンクL31〜L34とを備える。接続構造C31において、ノードN31は、道路931の紙面左側の端点を表現し、ノードN32は、道路931の紙面右側の端点を表現する。ノードN33は、道路932の紙面上側の端点を表現し、ノードN34は、道路932の紙面下側の端点を表現する。ノードN30は、道路931と道路932との交差点を表現する。
【0066】
接続構造C31において、リンクL31は、ノードN31とノードN30との間を接続して道路931を表現し、リンクL32は、ノードN30とノードN32との間を接続して道路931を表現する。リンクL33は、ノードN33とノードN30との間を接続して道路932を表現し、リンクL34は、ノードN30とノードN34との間を接続して道路932を表現する。
【0067】
図9に示した道路構造930に対して地図データ80に接続構造C21が規定されている状況で、誤り検査処理(ステップS100)を実行した場合について説明する。図9の実施例では、二つ以上のリンクに跨る経路が検査経路として抽出されるとする。接続構造C31において、ノードN31が着目ノードに選定された場合、二つ以上のリンクに跨る検査経路として、三つの検査経路「L31‐L32」,「L31‐L33」,「L31‐L34」が、地図データ80から抽出される(ステップS130)。
【0068】
プローブデータ70からは、ノードN31に相当する地点からの走行軌跡として、二つのパターンに分類可能な走行軌跡P31,P32が抽出されたとする(ステップS140)。走行軌跡P31は、ノードN31に相当する地点から道路931を直進した後、道路932を紙面上側へと左折した軌跡を示す。走行軌跡P32は、ノードN31に相当する地点から道路931を直進した後、道路932を紙面下側へと右折した軌跡を示す。
【0069】
誤り特定処理(ステップS150)において、検査経路「L31‐L33」,「L31‐L34」は、走行軌跡P31,P32に対応し、プローブデータ70に基づく通行量があることから、整合性がある経路と判断される。
【0070】
一方、検査経路「L31‐L32」に対応して、ノードN31に相当する地点から道路931を直進し、道路932との交差点を超えて直進し続ける軌跡X30は、走行軌跡として抽出されていない。実際の道路構造930では、道路931には障壁936が設置されているため、道路932との交差点を超えて道路931を直進することは物理的に不可能となっている。そのため、検査経路「L31‐L32」は、プローブデータ70に基づく通行量がないことから、整合性がない経路と判断される。
【0071】
接続構造C21から抽出された検査経路「L31‐L32」が誤り経路として特定されると(ステップS158)、接続構造C31は、プローブデータ70から抽出された走行軌跡P31〜P37に基づいて、接続構造C32へと修正される(ステップS160)。
【0072】
図9の接続構造C32には、接続構造C31から修正されたノードおよびリンクの符号が枠で囲まれた状態で示されている。接続構造C32では、接続構造C31と比較して、ノードN35が追加され、リンクL32が変更されている。ノードN35は、走行軌跡P37に基づいて、障壁936が設定されている地点を表現するノードとして新設され、このノードN35とノードN30との間にはリンクが設けられていない。リンクL32は、ノードN32とノードN35との間を接続して道路931を表現するリンクに変更されている。
【0073】
A3.効果
以上説明した地図表示システム10によれば、地図データ80から抽出した通行可能な経路に対するプローブデータ70との整合性を判断することによって、地図データ80におけるノードおよびリンクで構成される接続構造の誤りを検査することができる。また、走行軌跡に基づく通行量に基づいて検査経路の整合性を判断するため(ステップS150)、地図データ80から抽出した通行可能な経路に対するプローブデータ70との整合性を定量的に判断することができる。
【0074】
B.その他の実施形態:
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において様々な形態で実施し得ることは勿論である。例えば、本実施例では、地図表示システム10の端末装置20は、携帯電話機であるが、無線ローカルエリアネットワーク(Local Area Network, LAN)の端末装置であっても良いし、地図表示専用の携帯端末であっても良いし、車載のカーナビゲーション装置であっても良い。また、本実施例では、地図データ80に基づくデータを地図サーバ50が端末装置20にネットワーク40などを介して配信する構成としたが、他の実施形態において、端末装置20に記憶装置60を内蔵または外付けして、端末装置20が地図データ80を直接的に取り扱うとしても良い。また、端末装置20が地図データ80を直接的に取り扱う場合、地図サーバ50は、地図データ80の修正前後の差分データを端末装置20へと配信するとしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】地図表示システムの構成を示す説明図である。
【図2】地図データによって規定されたノードおよびリンクを模式的に例示する説明図である。
【図3】地図データにおけるノードデータの詳細構成を示す説明図である。
【図4】地図データにおけるリンクデータの詳細構成を示す説明図である。
【図5】地図表示システムにおける地図サーバの構成を主に示す説明図である。
【図6】地図表示システムの地図サーバが実行する誤り検査処理を示すフローチャートである。
【図7】誤り検査処理の様子を第1の例を用いて示す説明図である。
【図8】誤り検査処理の様子を第2の例を用いて示す説明図である。
【図9】誤り検査処理の様子を第3の例を用いて示す説明図である。
【符号の説明】
【0076】
10…地図表示システム
20…端末装置
32…基地局装置
34…プローブカー
40…ネットワーク
50…地図サーバ
60…記憶装置
70…プローブデータ
80…地図データ
90…測地衛星
210…端末CPU
220…端末メモリ
250…無線通信部
260…GPS受信部
510…地図サーバCPU
511…範囲設定部
512…ノード選定部
513…経路抽出部
514…プローブ抽出部
515…誤り特定部
516…修正部
520…地図サーバメモリ
522…ナビゲーションプログラム
524…誤り検査プログラム
532…ネットワークインタフェース
534…ストレージインタフェース
810…ノードデータ
820…リンクデータ
910…道路構造
911…車線
912…車線
913…分岐道路
916…中央分離帯
918…ポール
920…道路構造
921…車線
922…車線
923,924…交差道路
925…合流道路
926,927…中央分離帯
930…道路構造
931…道路
932…道路
936…障壁
8102…ノード属性データ
8202…リンク属性データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図上にノードおよびリンクによって道路を表現する地図データにおける誤りを検査する検査装置であって、
前記地図データに含まれるノードの一つである着目ノードを選定するノード選定部と、
前記着目ノードからリンクを介して通行可能な検査経路を、前記地図データから抽出する経路抽出部と、
車両が走行した走行軌跡を記録したプローブデータから、前記着目ノードに相当する位置から延びた走行軌跡を抽出するプローブ抽出部と、
前記経路抽出部によって抽出された検査経路のうち、前記プローブ抽出部によって抽出された走行軌跡と整合性がない経路を、ノードおよびリンクで構成される接続構造に誤りがある誤り経路として特定する誤り特定部と
を備える検査装置。
【請求項2】
前記経路抽出部によって抽出される検査経路は、三つ以上のリンクに跨る経路である請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
更に、前記地図データの誤りを検査する検査範囲を設定する範囲設定部を備える請求項1または請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の検査装置であって、
前記誤り特定部は、
前記プローブ抽出部によって抽出された走行軌跡に基づいて、前記経路抽出部によって抽出された検査経路の通行量を算出する通行量算出部と、
前記経路抽出部によって抽出された検査経路のうち、前記通行量算出部によって算出された通行量が基準閾値よりも少ない経路を、前記プローブ抽出部によって抽出された走行軌跡と整合性がない経路と判断する整合性判断部と
を含む、検査装置。
【請求項5】
更に、前記プローブ抽出部によって抽出された走行軌跡に基づいて、前記誤り特定部によって特定された誤り経路における接続構造を修正する修正部を備える請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の検査装置。
【請求項6】
地図上にノードおよびリンクによって道路を表現する地図データにおける誤りを検査する検査方法であって、
コンピュータが、前記地図データに含まれるノードの一つである着目ノードを選定する工程と、
コンピュータが、前記着目ノードからリンクを介して通行可能な検査経路を、前記地図データから抽出する経路抽出工程と、
コンピュータが、車両が走行した走行軌跡を記録したプローブデータから、前記着目ノードに相当する位置から延びた走行軌跡を抽出するプローブ抽出工程と、
コンピュータが、前記経路抽出工程によって抽出された検査経路のうち、前記プローブ抽出工程によって抽出された走行軌跡と整合性がない経路を、ノードおよびリンクで構成される接続構造に誤りがある誤り経路として特定する工程と
を備える検査方法。
【請求項7】
地図上にノードおよびリンクによって道路を表現する地図データにおける誤りを検査する機能をコンピュータに実現させるためのプログラムであって、
前記地図データに含まれるノードの一つである着目ノードを選定する機能と、
前記着目ノードからリンクを介して通行可能な検査経路を、前記地図データから抽出する経路抽出機能と、
車両が走行した走行軌跡を記録したプローブデータから、前記着目ノードに相当する位置から延びた走行軌跡を抽出するプローブ抽出機能と、
前記経路抽出機能によって抽出された検査経路のうち、前記プローブ抽出機能によって抽出された走行軌跡と整合性がない経路を、ノードおよびリンクで構成される接続構造に誤りがある誤り経路として特定する機能と
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−85890(P2010−85890A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−257184(P2008−257184)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(597151563)株式会社ゼンリン (155)
【Fターム(参考)】